印刷状態不良原因の解析装置および解析方法
【課題】印刷検査によって取得される印刷状態計測情報に基づいて印刷不良の原因解析を合理的且つ容易に行うことができる印刷状態不良原因の解析装置および解析方法を提供することを目的とする。
【解決手段】印刷検査装置M2による印刷検査において基板3のランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データ23aを、解析用データ作成プログラム23bに規定された所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理して、基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成し、作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブル23eと対比して印刷状態の不良原因を特定する。
【解決手段】印刷検査装置M2による印刷検査において基板3のランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データ23aを、解析用データ作成プログラム23bに規定された所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理して、基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成し、作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブル23eと対比して印刷状態の不良原因を特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に印刷されたクリーム半田などのペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析装置および解析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する部品実装工程では、部品搭載に先立って基板上にクリーム半田などのペーストを印刷するスクリーン印刷作業が行われる。スクリーン印刷の後には、ペーストの印刷状態の良否を判定するための印刷検査が実行され、この印刷検査においては検査内容に応じてペーストの印刷量や印刷位置など各種項目について計測が、カメラによる画像認識や3次元計測装置などを用いて行われる(例えば特許文献1参照)。この特許文献例に示す先行技術においては、印刷後の基板をカメラによって撮像した撮像結果を認識処理することにより印刷状態の良否を判定するとともに、判定結果を統計処理した統計データを画面に表示させるようにしている。これにより、不良発生位置や発生頻度などを視覚的に把握することができ、印刷検査の有用性を向上させるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−271638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年品質管理に求められるレベルの高度化に伴い、スクリーン印刷後の印刷検査においても、単に印刷結果の良否判定のみならず印刷不良を招く要因を解析して印刷品質を向上させるための方策が望まれるようになっている。しかしながら上述の先行技術を含め従来技術においては、画像認識や3次元計測などによって定量的な計測は行われるものの、検査結果についての情報が表示されるのみであることから、印刷不良の要因を解析するには情報が不十分であった。
【0005】
すなわち印刷不良をその原因に遡って解析するには、基板におけるペーストの印刷状態を定量的に示す指標値が必要となるが、従来技術においては印刷検査によって取得した計測情報をこのような解析目的に利用可能にするためのデータ処理は行われていなかった。このため従来技術においては印刷不良の原因解析を行うことが困難で、印刷検査によって取得される印刷状態計測情報に基づいて印刷不良の原因解析を合理的且つ容易に行う手法が求められていた。
【0006】
そこで本発明は、印刷検査によって取得される印刷状態計測情報に基づいて印刷不良の原因解析を合理的且つ容易に行うことができる印刷状態不良原因の解析装置および解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の印刷状態不良原因の解析装置は、基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析装置であって、前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手手段と、前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する解析用データ作成処理部と、前記作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブルと対比することにより前記印刷状態の不良原因を特定する不良原因特定処理部と、特定された前記印刷状態の不良原因を所定の出力フォーマットにしたがって出力する出力部とを備えた。
【0008】
本発明の印刷状態不良原因の解析方法は、基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析方法であって、前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手工程と、前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する解析用データ作成処理工程と、前記作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブルと対比することにより前記印刷状態の不良原因を特定する不良原因特定処理工程と、特定された前記印刷状態の不良原因を所定の出力フォーマットにしたがって出力する出力工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板のランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理して、基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成し、作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブルと対比して印刷状態の不良原因を特定することにより、印刷検査によって取得される印刷状態計測情報に基づいて印刷不良の原因解析を合理的且つ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析装置が組み込まれた電子部品実装ラインの平面図
【図2】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析装置における解析対象となる基板の構成説明図
【図3】本発明の一実施の形態の印刷検査装置の制御系の構成を示すブロック図
【図4】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる面積率計測データの説明図
【図5】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる面積率計測データの説明図
【図6】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる面積率計測データの説明図
【図7】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる面積率分布パターンの説明図
【図8】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる面積率分布パターンデータの経時変動パターンの説明図
【図9】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる不良原因特定用のデータテーブルの説明図
【図10】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析方法の処理フロー図
【図11】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析方法における解析用データ作成の処理フロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本実施の形態に示す印刷状態不良原因の解析装置が組み込まれた電子部品実装ライン1の構成について説明する。図1に示すように、電子部品実装ライン1は、スクリーン印刷装置M1、印刷検査装置M2、部品実装装置M3を直列に接続して構成されている。スクリーン印刷装置M1は、電子部品の実装の対象となる基板の接続用電極に、電子部品を接合するためのクリーム半田などのペーストをスクリーン印刷により供給する機能を有するものである。印刷検査装置M2は、スクリーン印刷装置M1によって基板に印刷されたペーストの印刷状態を検査する。部品実装装置M3は、印刷状態が良好であると判定された基板に対して、電子部品を実装する。
【0012】
スクリーン印刷装置M1の構成を説明する。基台1A上には基板搬送機構2AがX方向(基板搬送方法)に配設されており、基板搬送機構2Aは上流側(矢印a)から搬入された基板3を基板位置決め部4Aに搬送する。基板位置決め部4Aの上方には、印刷対象の基板3のランド配置に対応してパターン孔が開口されたスクリーンマスク5がマスク枠5aに展張されて配設されている。搬入された基板3は、基板下受け機構(図示省略)を備えた基板位置決め部4Aによって保持され、スクリーンマスク5に対して位置決めされる。
【0013】
スクリーンマスク5の上方には、スキージ機構6がX軸テーブル7X、Y軸テーブル7Yによって水平方向に移動自在に配設されている。スクリーンマスク5の上面にペーストを供給した状態で、基板下受け機構によって下受けされた状態の基板3をスクリーンマスク5の下面に当接させ、スキージ機構6をスクリーンマスク5の上面でY方向(スキージング方向)に摺動させることにより、基板3のランドにはパターン孔を介してペーストが印刷される。
【0014】
印刷検査装置M2の構成を説明する。基台1B上には基板搬送機構2BがX方向に配設されており、基板搬送機構2Bはスクリーン印刷装置M1の基板搬送機構2Aから搬入された基板3を基板位置決め部4Bに搬送する。基板位置決め部4Bの上方には検査対象の基板3を撮像するカメラ8a(図3)参照を備えた検査ヘッド8が、カメラ移動機構であるX軸テーブル9X、Y軸テーブル9Yによって水平方向に移動自在に配設されている。基板位置決め部4Bに位置決め保持された基板3はカメラ8aによって撮像され、これによりスクリーン印刷装置M1によるスクリーン印刷作業が行われた後の基板3におけるペーストの印刷状態が計測され、所定項目について良否判定の検査が行われる。
【0015】
部品実装装置M3の構成を説明する。基台1C上には基板搬送機構2CがX方向に配設されており、基板搬送機構2Cは印刷検査装置M2の基板搬送機構2Bから搬入された基板3を基板位置決め部4Cに搬送する。基板搬送機構2Cの両側には、複数のテープフィーダ11が並設された部品供給部10が配設されている。テープフィーダ11は電子部品を収納したキャリアテープをピッチ送りすることにより、部品実装機構によるピックアップ位置に電子部品を供給する。部品実装機構は、実装ヘッド12をX軸テーブル13X、Y軸テーブル13Yによって移動させる構成となっている。
【0016】
部品供給部10と基板搬送機構2Cの間には部品認識カメラ14が配設されており、電子部品をピックアップした実装ヘッド12が部品認識カメラ14の上方を通過することにより、実装ヘッド12に保持された電子部品の認識が行われる。基板位置決め部4Cに位置決め保持された基板3に電子部品を搭載する際には、部品認識カメラ14による認識結果に基づいて、実装ヘッド12による部品搭載位置が補正される。
【0017】
次に図2を参照して、作業対象の基板3の構成を説明する。図2(a)に示すように、基板3はベースとなる基板キャリア30に複数の個片基板31を装着した構成となっている。基板キャリア30の表面には粘着性を有する貼着面が形成されており、樹脂基板より成る個片基板31を着脱自在に貼着保持することができるようになっている。個片基板31を基板キャリア30に装着する際には、基板キャリア30に設けられた位置決めピンなどの位置合わせ手段によって基板キャリア30に対して位置合わせした状態で、基板キャリア30の貼着面に対して押しつける。
【0018】
個片基板31は1枚の樹脂基板に複数面(ここでは3面)の要素基板32を作り込んだ構成となっている。すなわち親基板としての基板3は、子基板としての個片基板31および孫基板としての要素基板32より構成されている。要素基板32には、実装対象の電子部品(ここでは、4種類の電子部品PA,PB,PC,PD)の電極が接合される接続電極である複数のランド33が形成されている。スクリーン印刷動作においては、複数の要素基板32の各ランド33に、スクリーンマスクのパターン孔を介してペーストが一括して印刷される。
【0019】
図2(b)は、要素基板32に実装される電子部品PA,PB,PC,PDおよびこれらの電子部品に対応して形成されたランド33の配列形態を示している。すなわちQFP型の電子部品PAの実装位置には、部品各辺毎のリード位置に対応して複数の個別ランド33aが並列配置で形成されている。電子部品PB,PC,PDはそれぞれサイズの異なるチップ型部品であり、各電子部品の実装位置には端部電極位置に対応して個別ランド33b,33c、33dが対をなして形成されている。
【0020】
本実施の形態においては、これらのランド33のうち、印刷されたペーストによって接合される単一部品に対応する複数のランド33の集合を、当該部品についての印刷パターンとして定義している。すなわち、図2(b)に示すように、電子部品PAに対応する複数の個別ランド33aの集合は印刷パターン34aを構成し、同様に電子部品PB,PC,PDのそれぞれに対応する複数の個別ランド33b、33c、33dの集合は、それぞれ印刷パターン34b、34c、34dを構成する。
【0021】
次に図3を参照して、印刷検査装置M2の制御系の構成を説明する。図3において、検査制御部20はカメラ移動機構であるX軸テーブル9X、Y軸テーブル9Yを制御して、カメラ8aを検査対象の基板3の任意位置に移動させるカメラ移動制御を行うとともに、カメラ8aによる撮像動作を制御する。認識処理部21は、カメラ8aによる撮像結果を認識処理することにより、基板3における複数のランド33にそれぞれ印刷されたペーストを認識する処理を行い、認識結果を各ランド33毎に当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値を求める認識処理を行う。
【0022】
面積率算出部22は、認識処理部21によって求められた印刷後のペーストの面積値の正規の印刷面積,すなわちパターン孔の開口サイズに基づく印刷面積に対する比率を示す面積率(ここでは百分比)を、複数のランド33のそれぞれについて求める面積率演算処理を行う。これらの面積率は、複数のランド33のそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられるものである。本実施の形態においては、このようにして求められた印刷指標データとしての面積率を、以下に説明する印刷状態不良原因の解析の目的で用いるようにしている。
【0023】
記憶部23は、検査制御部20が印刷検査装置M2を制御して印刷検査動作を実行させるために必要な各種プログラムやデータを記憶するほか、上述の印刷状態計測結果の表示のために用いられる面積率計測データ23a、解析用データ作成プログラム23b、不良原因特定処理プログラム23c、パターンデータ23d、データテーブル23eを記憶する。面積率計測データ23aは、各ランド33に印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を複数のランド33のそれぞれについて求めたものであり、面積率算出部22によって算出されて記憶部23に記憶される。ここでは、1つの基板品種について複数枚の基板を対象として反復して実行された計測データが記憶されている。
【0024】
解析用データ作成プログラム23bは、面積率計測データ23aを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、基板3に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する処理を行うためのプログラムである。不良原因特定処理プログラム23cは、作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブル(図9参照)と対比することにより、印刷状態の不良原因を特定する処理を実行するためのプログラムである。
【0025】
パターンデータ23dは、上述の不良原因の特定に用いられる判定用のパターンを示すデータであり、ここでは、基板3における面積率の分布状態を予め想定される類型にパターンした面積率の分布パターン(図7に示す分布パターンP1参照)と、同一基板種について複数枚の基板を連続的に生産する場合における分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターン(図8に示す経時変動パターンP2参照)の2種類のパターンデータが予め類型パターンとして記憶されている。データテーブル23eは、不良原因特定のために用いられるものであり、不良原因を構成する不良因子と、面積率の分布パターン、経時変動パターンとの想定可能な対応関係を、データテーブルの形で表したものである(図9参照)。
【0026】
解析用データ作成処理部24は、解析用データ作成プログラム23bを実行して、面積率計測データ23aを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理して、解析用データを作成する処理を実行する。不良原因特定処理部25は、不良原因特定処理プログラム23cを実行して、作成された解析用データと不良原因特定用のデータテーブル(図9参照)とを対比することにより、印刷状態の不良原因を特定する処理を実行する。表示処理部26は、特定された不良原因を表示パネル27の表示画面に表示して報知するための処理を行う。
【0027】
図3において符号28の破線枠で示す記憶部23、解析用データ作成処理部24、不良原因特定処理部25、表示処理部26、表示パネル27は、基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析装置28を構成する。そして面積率計測データ23aを記憶する記憶部23は、面積率を複数のランド33のそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手手段となっている。
【0028】
もちろん、記憶部23に面積率計測データ23aを記憶させることなく、認識処理部21、面積率算出部22から直接面積率計測データを入手するようにしてもよい。この場合には、認識処理部21、面積率算出部22が面積率計測データを入手するデータ入手手段となる。
【0029】
そして、表示処理部26および表示パネル27は、特定された印刷状態の不良原因を所定の出力フォーマットにしたがって出力する出力部を構成する。本実施の形態では、特定された印刷状態の不良原因は、表示処理部26によって表示パネル27の表示画面に所定の表示フォーマットで表示される。すなわちここでは、前述の出力フォーマットは、特定された印刷状態の不良原因を表示画面に所定の表示フォーマットにしたがって表示するように設定されている。
【0030】
なお図3に示す構成では、印刷状態不良原因の解析装置28を印刷検査装置M2に組み込んだ例を示しているが、図3に示す印刷状態不良原因の解析装置28の機能を印刷検査装置M2と別個に設けるようにしてもよい。この場合には、面積率計測データ23aは、これら各装置を接続するLANシステムを介して,またはUSBメモリなどの単体の記憶媒体を介して印刷検査装置M2から取り込まれる。この場合には、LANシステムまたは記憶媒体が、面積率計測データを入手するデータ入手手段となる。
【0031】
次に、図2に示す基板3における面積率計測データ23aの具体例について、図4、図5,図6を参照して説明する。これらの面積率計測データ23aは、印刷状態不良原因の解析に際して、作業者による面積率分布の目視観察用に表示パネル27に表示されるとともに、印刷状態不良原因の解析用データを作成するための基礎データとして用いられる。
【0032】
まず図4は個別のランド33のそれぞれについて計測された面積率をそのまま用いる例を示している。この場合には、図4(a)に示す全ての要素基板32について、図4(b)に示す個別ランド33a,33b、33c、33dのそれぞれに求められた面積率に基づいて基板3における面積率分布(個別ランド別面積率分布)が求められる。そして表示パネル27に目視観察用として表示する際には、予め設定された面積率の数値範囲毎に異なった表示色で個別ランドを表示するなどの方法により、面積率分布を視覚的に把握可能になっている。
【0033】
図5は接合される単一部品に対応する複数のランドの集合によって定義される印刷パターン毎に、当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値(平均値)を求め、それぞれの印刷パターンに対応させるパターン別面積率分布を用いる例を示している。すなわち、図5(a)に示す全ての要素基板32について、図5(b)に示す各印刷パターン、すなわち接合される単一部品に対応する複数のランドの集合によって定義される印刷パターン34a、34b、34c、34dのそれぞれについて、面積率の代表値(平均値)が、各印刷パターン毎に求められる。ここではそれぞれの印刷パターンの面積率の代表値を、図形マークARa、ARb、ARc、ARdの大きさによって表示した例を示している。表示パネル27に目視観察用として表示する際には、面積率が100%、すなわち規定の印刷面積に対応したサイズを示す標準マークSを参照することにより、面積率分布を視覚的に把握可能になっている。
【0034】
図6は基板3の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア毎に、当該要素エリアに属する複数の面積率の代表値(平均値)を求め、それぞれの要素エリアに対応させるエリア別面積率分布を用いる例を示している。ここでは、図6(a)に示すように、要素基板32を1つの要素エリアとして領域分割した例を示しており、基板3は要素エリア[A11]〜[Aij]〜[A33]に分割されている。もちろん領域分割の態様は任意であり、面積率分布を解析する際に必要とされる精度に応じて分割メッシュを適宜設定することができる。この場合には、図6(b)に示すように、要素エリア[A11]〜[Aij]〜[A33]のそれぞれに属するランド33の面積率の代表値(平均値)が求められ、図形マークARijの大きさによって面積率が要素エリア毎に表示される。この場合においても、表示パネル27に目視観察用として表示する際には、面積率が100%、すなわち規定の印刷面積に対応したサイズを示す標準マークSが参照される。
【0035】
図4、図5,図6に示す面積率分布は、面積率計測データ23aを解析用データ作成プログラム23bに規定される処理アルゴリズムにしたがってデータ処理して解析用データを作成することにより求められる。すなわちここで規定される処理アルゴリズムは、個別のランド33毎に当該ランド33の面積率を対応させる個別ランド別面積率分布、接合される単一部品に対応する複数のランド33の集合によって定義される印刷パターン34毎に、当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値を求めてそれぞれの印刷パターンに対応させるパターン別面積率分布、基板3の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア[Aij]毎に、当該要素エリア[Aij]に属する複数の面積率の代表値を求めてそれぞれの要素エリアに対応させるエリア別面積率分布のいずれかの面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを解析用データとして作成するようにしている。
【0036】
さらに本実施の形態においては、解析用データとして、印刷対象となった複数の基板3についての面積率の分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターンを併せて作成するようにしている。このようにして作成された分布パターンデータと経時変動パターンデータとを組み合わせることにより、実際のスクリーン印刷作業において生じる各種の印刷状態の不良原因と特定の対応関係にある解析用データを作成することができる。そしてこの特定の対応関係を表すデータテーブルを予め作成しておき、実際の面積率計測データ23aから導出された解析用データをデータテーブルと対比することにより、不良原因を自動的に推定することが可能となっている。
【0037】
ここで、面積率計測データ23aに基づいて作成される解析用データを構成する面積率の分布パターンP1、分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターンP2について、図7,図8を参照して説明する。ここに示す分布パターンP1、経時変動パターンP2は、予め準備されるデータテーブル23eの不良因子との対応関係が明らかにされているパターンを例示したものであり、実際にはここに示す例以外にも各種の形態の分布パターンが存在する。
【0038】
まず、図7を参照して、分布パターンP1の例について説明する。ここに示す分布パターンP1Aは、基板3の内側3aにおいて面積率が標準範囲を超えて過大であり、内側3aの外側では反対に面積率が過小となる分布パターンである。分布パターンP1Bは、基板3の特定のランド33(単数、複数いずれも含む)において面積率が過大となっている分布パターンであり、分布パターンP1Cはこれと反対に、特定のランド33(単数、複数いずれも含む)において面積率が過小となっている分布パターンである。
【0039】
分布パターンP1Dは、基板3の全面で「にじみ」により面積率が過大となっている分布パターンである。分布パターンP1Eは、基板3においてスキージ方向に面積率が過大な筋状範囲3bが存在する分布パターンである。分布パターンP1Fは、基板3の特定エリア(ここでは両側縁部3c)において面積率が過大となっている分布パターンである。分布パターンP1Gは、基板3の全面で面積率が過大または過小となっている分布パターンである。分布パターンP1Hは、基板3の不特定エリアにおいて面積率が過小となる分布パターンである。分布パターンP1Iは、基板3の全面で「にじみ」以外の形態で面積率が過大となっている分布パターンである。分布パターンP1Jは、基板3の不特定エリアにおいて面積率が過大となる分布パターンである。
【0040】
次に図8を参照して、経時変動パターンP2の例について説明する。ここでは、同一基板種について複数枚を連続して生産する過程において取得された面積率計測データ23aを時系列的に統計処理した結果、ある分布パターンがどのようにして発生開始しどのようにして終焉したかを、時系列に類型化している。
【0041】
経時変動パターンP2Aは、スクリーン印刷装置M1における生産が開始した初期状態から発生し,その後継続して同一の分布パターンが発生している経時変動パターンである。経時変動パターンP2Bは、同様に初期状態から発生し,その後マスクを清掃するクリーニングまで継続して同一の分布パターンが発生している経時変動パターンである。
【0042】
経時変動パターンP2Cは、初期状態においては発生せず、特定使用時間が経過した時点において発生した分布パターンがその後継続して発生している経時変動パターンである。経時変動パターンP2Dは、初期状態においては発生せず、その後時間的な脈絡なく突発的に同一の分布パターンが1回または複数回発生する経時変動パターンである。経時変動パターンP2Dは、同様に初期状態においては発生せず、その後ペースト供給を実行したタイミングの前後において1つの分布パターンが発生する経時変動パターンである。
【0043】
次に図9を参照して、データテーブル23eの例を説明する。ここでは、一般的に想定される不良因子40および当該不良により印刷時に現れると考えられる不良現象43と、対応する解析データ44、すなわち図7,図8に例示される分布パターンP1、経時変動パターンP2の組み合わせとの対応関係を示している。ここでは、不良因子40を部位・要素41および挙動・状態42に分けて表示している。以下、個別項目毎にその概略を説明する。
【0044】
部位・要素41の「マスク」41aに関しては、対応する挙動・状態42として、「テンション低下」42a、「開口部破損」42b、「開口部目詰まり」42cが予め想定されている。これらの場合の「印刷時の不良現象」43としては、マスクプレートの張力が低下して弛みが生じる「テンション低下」42aについては、版離れ時に発生した「ツノ」がちぎれてマスク裏に付着し、次の印刷時に形状不良の発生が考えられる。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Aが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Aが対応関係にある。
【0045】
「開口部破損」42bの場合には、破損箇所の開口面積が増大する結果、印刷面積が増大する。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Bが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Aが対応関係にある。「開口部目詰まり」42cの場合には、実効的な開口面積が減少することから目詰まり箇所の印刷面積の減少が考えられる。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Cが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Bが対応関係にある。
【0046】
「スキージ」41bに関しては、「摩耗」42d、「破損」42eが想定されている。これらの場合の「印刷時の不良現象」43としては、スキージがすり減る「摩耗」42dについては、マスク上の全体にペーストが残留して、基板全体に「にじみ」が発生することが予想される。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Dが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Aが対応関係にある。スキージが部分的に欠損する場合など、スキージの「破損」42eの場合には、破損部分に対応してマスク上に筋状にペーストが残留し、その部分で「にじみ」が発生することが予想される。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Eが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Aが対応関係にある。
【0047】
基板下受け機構の不具合を示す「基板下受け」41cに関しては、下受け面がマスク面やスキージ摺動面に対して完全に平行になっていない「傾き」42fが想定されている。この場合の「印刷時の不良現象」43としては、マスク上に傾きに応じて部分的にペーストが残留し、その部分で印刷面積が増大することが考えられる。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Fが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Aが対応関係にある。
【0048】
「ペースト」41dに関しては、「劣化」42g、「異物混入」42h、「量的変動」42iが想定されている。これらの場合の「印刷時の不良現象」43としては、使用時間の経過に伴う「劣化」42gについては、ローリング性の低下によるペースト残留の発生が考えられる。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Gが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Cが対応関係にある。
【0049】
「異物混入」42hの場合には、混入異物によって印刷が局部的に妨げられる結果、突発的に「かすれ」が発生する。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Hが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Dが対応関係にある。「量的変動」42iの場合には、ペースト量が急増することからローリング性が変化し、印刷面積が増大する。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Iが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Dが対応関係にある。
【0050】
そして「基板」41eに関しては、「異物混入、基板凹凸」42jが想定されている。この場合の「印刷時の不良現象」43としては、イバンとマスクの間に隙間が発生しやすいことから突発的に印刷面積が増大することが考えられる。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Jが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Dが対応関係にある。なお、ここで示すデータテーブル23eにおける不良因子40や、「印刷時の不良現象」43、解析データ44は例示であり、実際にはこれ以外にも多くの不良因子が存在し、これらに関連する解析データ44が考えられる。
【0051】
すなわち本実施の形態に示す不良原因特定用のデータテーブル23eは、スクリーン印刷装置M1において、基板自体の異常に起因する基板異常、ペーストの異常に起因するペースト異常、基板を下受けして固定する基板下受け状態に起因する基板下受け異常、スクリーン印刷に用いられるスクリーンマスクの異常に起因するマスク異常、スクリーン印刷に用いられるスキージの異常に起因するスキージ異常のうちの少なくとも1つに起因する不良原因についての対比データを含んだ形態となっている。
【0052】
次に、図10,図11を参照して、基板3に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析方法について説明する。図10に示すように、まず面積率計測データ23aを入手する(ST1)。すなわち、基板3に設けられた複数のランド33のそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランド33に印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率複数のランド33のそれぞれについて求めた面積率計測データを記憶部23から読み出して入手する(データ入手工程)。
【0053】
次に解析用データを作成する(ST2)。すなわち、同一品種の基板3を複数枚連続して生産する過程において求められた複数枚分の計測データを含む面積率計測データ23aを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、基板3に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する(解析用データ作成処理工程)。ここでは、図4,図5,図6にそれぞれ示す個別ランド別面積率分布、パターン別面積率分布、エリア別面積率分布のいずれかの面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンP1とともに、印刷対象となった複数の基板3についての分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターンP2のデータを解析用データとして作成する。
【0054】
この解析用データ作成処理について、図11を参照して説明する。まず、対象となる複数の基板3の面積率計測データ23aから、それぞれの基板3毎に面積率が標準範囲よりも過大・過小の部位を抽出する(ST21)。次いで個別の基板3毎に、抽出された過大・過小の部位の分布パターンを判定する(ST22)。すなわち、過大・過小の部位の位置的分布状態を、図7に示す分布パターンP1の類例と比較することにより、当該基板がどの分布パターンに該当するかを画像上でのマッチングなどの手法によって判定する。
【0055】
次に(ST22)において複数の基板3について判定された複数の分布パターンの経時変動パターンを判定する(ST23)。すなわち、同一の分布パターンの発生状態、終焉状態を、図8に示す経時変動パターンP2の類例と比較することにより、当該分布パターンがどの経時変動パターンに該当するかを,発生頻度の度数分布比較などの手法によって判定する。そしてこのようにして求められた分布パターンP1と経時変動パターンP2とを組み合わせて、解析用データとして出力する(ST24)。
【0056】
この後、図10に戻って、不良原因の特定が行われる(ST3)。すなわち、上述のようにして求められた分布パターンP1と経時変動パターンP2との組み合わせを、図9に示すデータテーブル23eと対比することにより、対応する不良因子40を特定する。すなわち、作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブル23eと対比することにより印刷状態の不良原因を特定する(不良原因特定処理工程)。
【0057】
そしてこのようにして特定された印刷状態の不良原因(不良因子40)を、所定の出力フォーマットにしたがって出力する(出力工程)(ST4)。本実施の形態においては、不良原因の出力は、その旨を報知する表示を表示パネル27の表示画面に所定の表示フォーマットにしたがって表示することにより行われる。この表示画面を観察した作業者は、スクリーン印刷装置M1にて発生している印刷状態不良の原因を高い一致度で推測することができ、印刷検査装置M2による印刷検査によって取得される印刷状態計測情報に基づいて、印刷不良の原因解析を合理的且つ容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の印刷状態不良原因解析装置および解析方法は、印刷検査によって取得される印刷状態計測情報に基づいて、印刷不良の原因解析を合理的且つ容易に行うことができるという効果を有し、スクリーン印刷によって基板にペーストを印刷する印刷分野や、印刷されたペーストの印刷状態を検査する印刷検査の分野において有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 電子部品実装ライン
3 基板
28 印刷状態不良原因の解析装置
32 要素基板
33 ランド
33a、33b、33c、33d 個別ランド
34、34a、34b、34c、34d 印刷パターン
PA、PB、PC、PD 電子部品
P1 分布パターン
P2 経時変動パターン
M1 スクリーン印刷装置
M2 印刷検査装置
M3 部品実装装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に印刷されたクリーム半田などのペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析装置および解析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する部品実装工程では、部品搭載に先立って基板上にクリーム半田などのペーストを印刷するスクリーン印刷作業が行われる。スクリーン印刷の後には、ペーストの印刷状態の良否を判定するための印刷検査が実行され、この印刷検査においては検査内容に応じてペーストの印刷量や印刷位置など各種項目について計測が、カメラによる画像認識や3次元計測装置などを用いて行われる(例えば特許文献1参照)。この特許文献例に示す先行技術においては、印刷後の基板をカメラによって撮像した撮像結果を認識処理することにより印刷状態の良否を判定するとともに、判定結果を統計処理した統計データを画面に表示させるようにしている。これにより、不良発生位置や発生頻度などを視覚的に把握することができ、印刷検査の有用性を向上させるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−271638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年品質管理に求められるレベルの高度化に伴い、スクリーン印刷後の印刷検査においても、単に印刷結果の良否判定のみならず印刷不良を招く要因を解析して印刷品質を向上させるための方策が望まれるようになっている。しかしながら上述の先行技術を含め従来技術においては、画像認識や3次元計測などによって定量的な計測は行われるものの、検査結果についての情報が表示されるのみであることから、印刷不良の要因を解析するには情報が不十分であった。
【0005】
すなわち印刷不良をその原因に遡って解析するには、基板におけるペーストの印刷状態を定量的に示す指標値が必要となるが、従来技術においては印刷検査によって取得した計測情報をこのような解析目的に利用可能にするためのデータ処理は行われていなかった。このため従来技術においては印刷不良の原因解析を行うことが困難で、印刷検査によって取得される印刷状態計測情報に基づいて印刷不良の原因解析を合理的且つ容易に行う手法が求められていた。
【0006】
そこで本発明は、印刷検査によって取得される印刷状態計測情報に基づいて印刷不良の原因解析を合理的且つ容易に行うことができる印刷状態不良原因の解析装置および解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の印刷状態不良原因の解析装置は、基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析装置であって、前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手手段と、前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する解析用データ作成処理部と、前記作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブルと対比することにより前記印刷状態の不良原因を特定する不良原因特定処理部と、特定された前記印刷状態の不良原因を所定の出力フォーマットにしたがって出力する出力部とを備えた。
【0008】
本発明の印刷状態不良原因の解析方法は、基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析方法であって、前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手工程と、前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する解析用データ作成処理工程と、前記作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブルと対比することにより前記印刷状態の不良原因を特定する不良原因特定処理工程と、特定された前記印刷状態の不良原因を所定の出力フォーマットにしたがって出力する出力工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板のランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理して、基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成し、作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブルと対比して印刷状態の不良原因を特定することにより、印刷検査によって取得される印刷状態計測情報に基づいて印刷不良の原因解析を合理的且つ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析装置が組み込まれた電子部品実装ラインの平面図
【図2】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析装置における解析対象となる基板の構成説明図
【図3】本発明の一実施の形態の印刷検査装置の制御系の構成を示すブロック図
【図4】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる面積率計測データの説明図
【図5】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる面積率計測データの説明図
【図6】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる面積率計測データの説明図
【図7】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる面積率分布パターンの説明図
【図8】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる面積率分布パターンデータの経時変動パターンの説明図
【図9】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析に用いられる不良原因特定用のデータテーブルの説明図
【図10】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析方法の処理フロー図
【図11】本発明の一実施の形態の印刷状態不良原因の解析方法における解析用データ作成の処理フロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、本実施の形態に示す印刷状態不良原因の解析装置が組み込まれた電子部品実装ライン1の構成について説明する。図1に示すように、電子部品実装ライン1は、スクリーン印刷装置M1、印刷検査装置M2、部品実装装置M3を直列に接続して構成されている。スクリーン印刷装置M1は、電子部品の実装の対象となる基板の接続用電極に、電子部品を接合するためのクリーム半田などのペーストをスクリーン印刷により供給する機能を有するものである。印刷検査装置M2は、スクリーン印刷装置M1によって基板に印刷されたペーストの印刷状態を検査する。部品実装装置M3は、印刷状態が良好であると判定された基板に対して、電子部品を実装する。
【0012】
スクリーン印刷装置M1の構成を説明する。基台1A上には基板搬送機構2AがX方向(基板搬送方法)に配設されており、基板搬送機構2Aは上流側(矢印a)から搬入された基板3を基板位置決め部4Aに搬送する。基板位置決め部4Aの上方には、印刷対象の基板3のランド配置に対応してパターン孔が開口されたスクリーンマスク5がマスク枠5aに展張されて配設されている。搬入された基板3は、基板下受け機構(図示省略)を備えた基板位置決め部4Aによって保持され、スクリーンマスク5に対して位置決めされる。
【0013】
スクリーンマスク5の上方には、スキージ機構6がX軸テーブル7X、Y軸テーブル7Yによって水平方向に移動自在に配設されている。スクリーンマスク5の上面にペーストを供給した状態で、基板下受け機構によって下受けされた状態の基板3をスクリーンマスク5の下面に当接させ、スキージ機構6をスクリーンマスク5の上面でY方向(スキージング方向)に摺動させることにより、基板3のランドにはパターン孔を介してペーストが印刷される。
【0014】
印刷検査装置M2の構成を説明する。基台1B上には基板搬送機構2BがX方向に配設されており、基板搬送機構2Bはスクリーン印刷装置M1の基板搬送機構2Aから搬入された基板3を基板位置決め部4Bに搬送する。基板位置決め部4Bの上方には検査対象の基板3を撮像するカメラ8a(図3)参照を備えた検査ヘッド8が、カメラ移動機構であるX軸テーブル9X、Y軸テーブル9Yによって水平方向に移動自在に配設されている。基板位置決め部4Bに位置決め保持された基板3はカメラ8aによって撮像され、これによりスクリーン印刷装置M1によるスクリーン印刷作業が行われた後の基板3におけるペーストの印刷状態が計測され、所定項目について良否判定の検査が行われる。
【0015】
部品実装装置M3の構成を説明する。基台1C上には基板搬送機構2CがX方向に配設されており、基板搬送機構2Cは印刷検査装置M2の基板搬送機構2Bから搬入された基板3を基板位置決め部4Cに搬送する。基板搬送機構2Cの両側には、複数のテープフィーダ11が並設された部品供給部10が配設されている。テープフィーダ11は電子部品を収納したキャリアテープをピッチ送りすることにより、部品実装機構によるピックアップ位置に電子部品を供給する。部品実装機構は、実装ヘッド12をX軸テーブル13X、Y軸テーブル13Yによって移動させる構成となっている。
【0016】
部品供給部10と基板搬送機構2Cの間には部品認識カメラ14が配設されており、電子部品をピックアップした実装ヘッド12が部品認識カメラ14の上方を通過することにより、実装ヘッド12に保持された電子部品の認識が行われる。基板位置決め部4Cに位置決め保持された基板3に電子部品を搭載する際には、部品認識カメラ14による認識結果に基づいて、実装ヘッド12による部品搭載位置が補正される。
【0017】
次に図2を参照して、作業対象の基板3の構成を説明する。図2(a)に示すように、基板3はベースとなる基板キャリア30に複数の個片基板31を装着した構成となっている。基板キャリア30の表面には粘着性を有する貼着面が形成されており、樹脂基板より成る個片基板31を着脱自在に貼着保持することができるようになっている。個片基板31を基板キャリア30に装着する際には、基板キャリア30に設けられた位置決めピンなどの位置合わせ手段によって基板キャリア30に対して位置合わせした状態で、基板キャリア30の貼着面に対して押しつける。
【0018】
個片基板31は1枚の樹脂基板に複数面(ここでは3面)の要素基板32を作り込んだ構成となっている。すなわち親基板としての基板3は、子基板としての個片基板31および孫基板としての要素基板32より構成されている。要素基板32には、実装対象の電子部品(ここでは、4種類の電子部品PA,PB,PC,PD)の電極が接合される接続電極である複数のランド33が形成されている。スクリーン印刷動作においては、複数の要素基板32の各ランド33に、スクリーンマスクのパターン孔を介してペーストが一括して印刷される。
【0019】
図2(b)は、要素基板32に実装される電子部品PA,PB,PC,PDおよびこれらの電子部品に対応して形成されたランド33の配列形態を示している。すなわちQFP型の電子部品PAの実装位置には、部品各辺毎のリード位置に対応して複数の個別ランド33aが並列配置で形成されている。電子部品PB,PC,PDはそれぞれサイズの異なるチップ型部品であり、各電子部品の実装位置には端部電極位置に対応して個別ランド33b,33c、33dが対をなして形成されている。
【0020】
本実施の形態においては、これらのランド33のうち、印刷されたペーストによって接合される単一部品に対応する複数のランド33の集合を、当該部品についての印刷パターンとして定義している。すなわち、図2(b)に示すように、電子部品PAに対応する複数の個別ランド33aの集合は印刷パターン34aを構成し、同様に電子部品PB,PC,PDのそれぞれに対応する複数の個別ランド33b、33c、33dの集合は、それぞれ印刷パターン34b、34c、34dを構成する。
【0021】
次に図3を参照して、印刷検査装置M2の制御系の構成を説明する。図3において、検査制御部20はカメラ移動機構であるX軸テーブル9X、Y軸テーブル9Yを制御して、カメラ8aを検査対象の基板3の任意位置に移動させるカメラ移動制御を行うとともに、カメラ8aによる撮像動作を制御する。認識処理部21は、カメラ8aによる撮像結果を認識処理することにより、基板3における複数のランド33にそれぞれ印刷されたペーストを認識する処理を行い、認識結果を各ランド33毎に当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値を求める認識処理を行う。
【0022】
面積率算出部22は、認識処理部21によって求められた印刷後のペーストの面積値の正規の印刷面積,すなわちパターン孔の開口サイズに基づく印刷面積に対する比率を示す面積率(ここでは百分比)を、複数のランド33のそれぞれについて求める面積率演算処理を行う。これらの面積率は、複数のランド33のそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられるものである。本実施の形態においては、このようにして求められた印刷指標データとしての面積率を、以下に説明する印刷状態不良原因の解析の目的で用いるようにしている。
【0023】
記憶部23は、検査制御部20が印刷検査装置M2を制御して印刷検査動作を実行させるために必要な各種プログラムやデータを記憶するほか、上述の印刷状態計測結果の表示のために用いられる面積率計測データ23a、解析用データ作成プログラム23b、不良原因特定処理プログラム23c、パターンデータ23d、データテーブル23eを記憶する。面積率計測データ23aは、各ランド33に印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を複数のランド33のそれぞれについて求めたものであり、面積率算出部22によって算出されて記憶部23に記憶される。ここでは、1つの基板品種について複数枚の基板を対象として反復して実行された計測データが記憶されている。
【0024】
解析用データ作成プログラム23bは、面積率計測データ23aを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、基板3に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する処理を行うためのプログラムである。不良原因特定処理プログラム23cは、作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブル(図9参照)と対比することにより、印刷状態の不良原因を特定する処理を実行するためのプログラムである。
【0025】
パターンデータ23dは、上述の不良原因の特定に用いられる判定用のパターンを示すデータであり、ここでは、基板3における面積率の分布状態を予め想定される類型にパターンした面積率の分布パターン(図7に示す分布パターンP1参照)と、同一基板種について複数枚の基板を連続的に生産する場合における分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターン(図8に示す経時変動パターンP2参照)の2種類のパターンデータが予め類型パターンとして記憶されている。データテーブル23eは、不良原因特定のために用いられるものであり、不良原因を構成する不良因子と、面積率の分布パターン、経時変動パターンとの想定可能な対応関係を、データテーブルの形で表したものである(図9参照)。
【0026】
解析用データ作成処理部24は、解析用データ作成プログラム23bを実行して、面積率計測データ23aを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理して、解析用データを作成する処理を実行する。不良原因特定処理部25は、不良原因特定処理プログラム23cを実行して、作成された解析用データと不良原因特定用のデータテーブル(図9参照)とを対比することにより、印刷状態の不良原因を特定する処理を実行する。表示処理部26は、特定された不良原因を表示パネル27の表示画面に表示して報知するための処理を行う。
【0027】
図3において符号28の破線枠で示す記憶部23、解析用データ作成処理部24、不良原因特定処理部25、表示処理部26、表示パネル27は、基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析装置28を構成する。そして面積率計測データ23aを記憶する記憶部23は、面積率を複数のランド33のそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手手段となっている。
【0028】
もちろん、記憶部23に面積率計測データ23aを記憶させることなく、認識処理部21、面積率算出部22から直接面積率計測データを入手するようにしてもよい。この場合には、認識処理部21、面積率算出部22が面積率計測データを入手するデータ入手手段となる。
【0029】
そして、表示処理部26および表示パネル27は、特定された印刷状態の不良原因を所定の出力フォーマットにしたがって出力する出力部を構成する。本実施の形態では、特定された印刷状態の不良原因は、表示処理部26によって表示パネル27の表示画面に所定の表示フォーマットで表示される。すなわちここでは、前述の出力フォーマットは、特定された印刷状態の不良原因を表示画面に所定の表示フォーマットにしたがって表示するように設定されている。
【0030】
なお図3に示す構成では、印刷状態不良原因の解析装置28を印刷検査装置M2に組み込んだ例を示しているが、図3に示す印刷状態不良原因の解析装置28の機能を印刷検査装置M2と別個に設けるようにしてもよい。この場合には、面積率計測データ23aは、これら各装置を接続するLANシステムを介して,またはUSBメモリなどの単体の記憶媒体を介して印刷検査装置M2から取り込まれる。この場合には、LANシステムまたは記憶媒体が、面積率計測データを入手するデータ入手手段となる。
【0031】
次に、図2に示す基板3における面積率計測データ23aの具体例について、図4、図5,図6を参照して説明する。これらの面積率計測データ23aは、印刷状態不良原因の解析に際して、作業者による面積率分布の目視観察用に表示パネル27に表示されるとともに、印刷状態不良原因の解析用データを作成するための基礎データとして用いられる。
【0032】
まず図4は個別のランド33のそれぞれについて計測された面積率をそのまま用いる例を示している。この場合には、図4(a)に示す全ての要素基板32について、図4(b)に示す個別ランド33a,33b、33c、33dのそれぞれに求められた面積率に基づいて基板3における面積率分布(個別ランド別面積率分布)が求められる。そして表示パネル27に目視観察用として表示する際には、予め設定された面積率の数値範囲毎に異なった表示色で個別ランドを表示するなどの方法により、面積率分布を視覚的に把握可能になっている。
【0033】
図5は接合される単一部品に対応する複数のランドの集合によって定義される印刷パターン毎に、当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値(平均値)を求め、それぞれの印刷パターンに対応させるパターン別面積率分布を用いる例を示している。すなわち、図5(a)に示す全ての要素基板32について、図5(b)に示す各印刷パターン、すなわち接合される単一部品に対応する複数のランドの集合によって定義される印刷パターン34a、34b、34c、34dのそれぞれについて、面積率の代表値(平均値)が、各印刷パターン毎に求められる。ここではそれぞれの印刷パターンの面積率の代表値を、図形マークARa、ARb、ARc、ARdの大きさによって表示した例を示している。表示パネル27に目視観察用として表示する際には、面積率が100%、すなわち規定の印刷面積に対応したサイズを示す標準マークSを参照することにより、面積率分布を視覚的に把握可能になっている。
【0034】
図6は基板3の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア毎に、当該要素エリアに属する複数の面積率の代表値(平均値)を求め、それぞれの要素エリアに対応させるエリア別面積率分布を用いる例を示している。ここでは、図6(a)に示すように、要素基板32を1つの要素エリアとして領域分割した例を示しており、基板3は要素エリア[A11]〜[Aij]〜[A33]に分割されている。もちろん領域分割の態様は任意であり、面積率分布を解析する際に必要とされる精度に応じて分割メッシュを適宜設定することができる。この場合には、図6(b)に示すように、要素エリア[A11]〜[Aij]〜[A33]のそれぞれに属するランド33の面積率の代表値(平均値)が求められ、図形マークARijの大きさによって面積率が要素エリア毎に表示される。この場合においても、表示パネル27に目視観察用として表示する際には、面積率が100%、すなわち規定の印刷面積に対応したサイズを示す標準マークSが参照される。
【0035】
図4、図5,図6に示す面積率分布は、面積率計測データ23aを解析用データ作成プログラム23bに規定される処理アルゴリズムにしたがってデータ処理して解析用データを作成することにより求められる。すなわちここで規定される処理アルゴリズムは、個別のランド33毎に当該ランド33の面積率を対応させる個別ランド別面積率分布、接合される単一部品に対応する複数のランド33の集合によって定義される印刷パターン34毎に、当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値を求めてそれぞれの印刷パターンに対応させるパターン別面積率分布、基板3の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア[Aij]毎に、当該要素エリア[Aij]に属する複数の面積率の代表値を求めてそれぞれの要素エリアに対応させるエリア別面積率分布のいずれかの面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを解析用データとして作成するようにしている。
【0036】
さらに本実施の形態においては、解析用データとして、印刷対象となった複数の基板3についての面積率の分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターンを併せて作成するようにしている。このようにして作成された分布パターンデータと経時変動パターンデータとを組み合わせることにより、実際のスクリーン印刷作業において生じる各種の印刷状態の不良原因と特定の対応関係にある解析用データを作成することができる。そしてこの特定の対応関係を表すデータテーブルを予め作成しておき、実際の面積率計測データ23aから導出された解析用データをデータテーブルと対比することにより、不良原因を自動的に推定することが可能となっている。
【0037】
ここで、面積率計測データ23aに基づいて作成される解析用データを構成する面積率の分布パターンP1、分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターンP2について、図7,図8を参照して説明する。ここに示す分布パターンP1、経時変動パターンP2は、予め準備されるデータテーブル23eの不良因子との対応関係が明らかにされているパターンを例示したものであり、実際にはここに示す例以外にも各種の形態の分布パターンが存在する。
【0038】
まず、図7を参照して、分布パターンP1の例について説明する。ここに示す分布パターンP1Aは、基板3の内側3aにおいて面積率が標準範囲を超えて過大であり、内側3aの外側では反対に面積率が過小となる分布パターンである。分布パターンP1Bは、基板3の特定のランド33(単数、複数いずれも含む)において面積率が過大となっている分布パターンであり、分布パターンP1Cはこれと反対に、特定のランド33(単数、複数いずれも含む)において面積率が過小となっている分布パターンである。
【0039】
分布パターンP1Dは、基板3の全面で「にじみ」により面積率が過大となっている分布パターンである。分布パターンP1Eは、基板3においてスキージ方向に面積率が過大な筋状範囲3bが存在する分布パターンである。分布パターンP1Fは、基板3の特定エリア(ここでは両側縁部3c)において面積率が過大となっている分布パターンである。分布パターンP1Gは、基板3の全面で面積率が過大または過小となっている分布パターンである。分布パターンP1Hは、基板3の不特定エリアにおいて面積率が過小となる分布パターンである。分布パターンP1Iは、基板3の全面で「にじみ」以外の形態で面積率が過大となっている分布パターンである。分布パターンP1Jは、基板3の不特定エリアにおいて面積率が過大となる分布パターンである。
【0040】
次に図8を参照して、経時変動パターンP2の例について説明する。ここでは、同一基板種について複数枚を連続して生産する過程において取得された面積率計測データ23aを時系列的に統計処理した結果、ある分布パターンがどのようにして発生開始しどのようにして終焉したかを、時系列に類型化している。
【0041】
経時変動パターンP2Aは、スクリーン印刷装置M1における生産が開始した初期状態から発生し,その後継続して同一の分布パターンが発生している経時変動パターンである。経時変動パターンP2Bは、同様に初期状態から発生し,その後マスクを清掃するクリーニングまで継続して同一の分布パターンが発生している経時変動パターンである。
【0042】
経時変動パターンP2Cは、初期状態においては発生せず、特定使用時間が経過した時点において発生した分布パターンがその後継続して発生している経時変動パターンである。経時変動パターンP2Dは、初期状態においては発生せず、その後時間的な脈絡なく突発的に同一の分布パターンが1回または複数回発生する経時変動パターンである。経時変動パターンP2Dは、同様に初期状態においては発生せず、その後ペースト供給を実行したタイミングの前後において1つの分布パターンが発生する経時変動パターンである。
【0043】
次に図9を参照して、データテーブル23eの例を説明する。ここでは、一般的に想定される不良因子40および当該不良により印刷時に現れると考えられる不良現象43と、対応する解析データ44、すなわち図7,図8に例示される分布パターンP1、経時変動パターンP2の組み合わせとの対応関係を示している。ここでは、不良因子40を部位・要素41および挙動・状態42に分けて表示している。以下、個別項目毎にその概略を説明する。
【0044】
部位・要素41の「マスク」41aに関しては、対応する挙動・状態42として、「テンション低下」42a、「開口部破損」42b、「開口部目詰まり」42cが予め想定されている。これらの場合の「印刷時の不良現象」43としては、マスクプレートの張力が低下して弛みが生じる「テンション低下」42aについては、版離れ時に発生した「ツノ」がちぎれてマスク裏に付着し、次の印刷時に形状不良の発生が考えられる。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Aが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Aが対応関係にある。
【0045】
「開口部破損」42bの場合には、破損箇所の開口面積が増大する結果、印刷面積が増大する。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Bが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Aが対応関係にある。「開口部目詰まり」42cの場合には、実効的な開口面積が減少することから目詰まり箇所の印刷面積の減少が考えられる。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Cが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Bが対応関係にある。
【0046】
「スキージ」41bに関しては、「摩耗」42d、「破損」42eが想定されている。これらの場合の「印刷時の不良現象」43としては、スキージがすり減る「摩耗」42dについては、マスク上の全体にペーストが残留して、基板全体に「にじみ」が発生することが予想される。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Dが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Aが対応関係にある。スキージが部分的に欠損する場合など、スキージの「破損」42eの場合には、破損部分に対応してマスク上に筋状にペーストが残留し、その部分で「にじみ」が発生することが予想される。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Eが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Aが対応関係にある。
【0047】
基板下受け機構の不具合を示す「基板下受け」41cに関しては、下受け面がマスク面やスキージ摺動面に対して完全に平行になっていない「傾き」42fが想定されている。この場合の「印刷時の不良現象」43としては、マスク上に傾きに応じて部分的にペーストが残留し、その部分で印刷面積が増大することが考えられる。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Fが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Aが対応関係にある。
【0048】
「ペースト」41dに関しては、「劣化」42g、「異物混入」42h、「量的変動」42iが想定されている。これらの場合の「印刷時の不良現象」43としては、使用時間の経過に伴う「劣化」42gについては、ローリング性の低下によるペースト残留の発生が考えられる。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Gが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Cが対応関係にある。
【0049】
「異物混入」42hの場合には、混入異物によって印刷が局部的に妨げられる結果、突発的に「かすれ」が発生する。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Hが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Dが対応関係にある。「量的変動」42iの場合には、ペースト量が急増することからローリング性が変化し、印刷面積が増大する。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Iが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Dが対応関係にある。
【0050】
そして「基板」41eに関しては、「異物混入、基板凹凸」42jが想定されている。この場合の「印刷時の不良現象」43としては、イバンとマスクの間に隙間が発生しやすいことから突発的に印刷面積が増大することが考えられる。この不良現象には、分布パターンP1としては分布パターンP1Jが、経時変動パターンP2としては経時変動パターンP2Dが対応関係にある。なお、ここで示すデータテーブル23eにおける不良因子40や、「印刷時の不良現象」43、解析データ44は例示であり、実際にはこれ以外にも多くの不良因子が存在し、これらに関連する解析データ44が考えられる。
【0051】
すなわち本実施の形態に示す不良原因特定用のデータテーブル23eは、スクリーン印刷装置M1において、基板自体の異常に起因する基板異常、ペーストの異常に起因するペースト異常、基板を下受けして固定する基板下受け状態に起因する基板下受け異常、スクリーン印刷に用いられるスクリーンマスクの異常に起因するマスク異常、スクリーン印刷に用いられるスキージの異常に起因するスキージ異常のうちの少なくとも1つに起因する不良原因についての対比データを含んだ形態となっている。
【0052】
次に、図10,図11を参照して、基板3に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析方法について説明する。図10に示すように、まず面積率計測データ23aを入手する(ST1)。すなわち、基板3に設けられた複数のランド33のそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランド33に印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率複数のランド33のそれぞれについて求めた面積率計測データを記憶部23から読み出して入手する(データ入手工程)。
【0053】
次に解析用データを作成する(ST2)。すなわち、同一品種の基板3を複数枚連続して生産する過程において求められた複数枚分の計測データを含む面積率計測データ23aを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、基板3に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する(解析用データ作成処理工程)。ここでは、図4,図5,図6にそれぞれ示す個別ランド別面積率分布、パターン別面積率分布、エリア別面積率分布のいずれかの面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンP1とともに、印刷対象となった複数の基板3についての分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターンP2のデータを解析用データとして作成する。
【0054】
この解析用データ作成処理について、図11を参照して説明する。まず、対象となる複数の基板3の面積率計測データ23aから、それぞれの基板3毎に面積率が標準範囲よりも過大・過小の部位を抽出する(ST21)。次いで個別の基板3毎に、抽出された過大・過小の部位の分布パターンを判定する(ST22)。すなわち、過大・過小の部位の位置的分布状態を、図7に示す分布パターンP1の類例と比較することにより、当該基板がどの分布パターンに該当するかを画像上でのマッチングなどの手法によって判定する。
【0055】
次に(ST22)において複数の基板3について判定された複数の分布パターンの経時変動パターンを判定する(ST23)。すなわち、同一の分布パターンの発生状態、終焉状態を、図8に示す経時変動パターンP2の類例と比較することにより、当該分布パターンがどの経時変動パターンに該当するかを,発生頻度の度数分布比較などの手法によって判定する。そしてこのようにして求められた分布パターンP1と経時変動パターンP2とを組み合わせて、解析用データとして出力する(ST24)。
【0056】
この後、図10に戻って、不良原因の特定が行われる(ST3)。すなわち、上述のようにして求められた分布パターンP1と経時変動パターンP2との組み合わせを、図9に示すデータテーブル23eと対比することにより、対応する不良因子40を特定する。すなわち、作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブル23eと対比することにより印刷状態の不良原因を特定する(不良原因特定処理工程)。
【0057】
そしてこのようにして特定された印刷状態の不良原因(不良因子40)を、所定の出力フォーマットにしたがって出力する(出力工程)(ST4)。本実施の形態においては、不良原因の出力は、その旨を報知する表示を表示パネル27の表示画面に所定の表示フォーマットにしたがって表示することにより行われる。この表示画面を観察した作業者は、スクリーン印刷装置M1にて発生している印刷状態不良の原因を高い一致度で推測することができ、印刷検査装置M2による印刷検査によって取得される印刷状態計測情報に基づいて、印刷不良の原因解析を合理的且つ容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の印刷状態不良原因解析装置および解析方法は、印刷検査によって取得される印刷状態計測情報に基づいて、印刷不良の原因解析を合理的且つ容易に行うことができるという効果を有し、スクリーン印刷によって基板にペーストを印刷する印刷分野や、印刷されたペーストの印刷状態を検査する印刷検査の分野において有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 電子部品実装ライン
3 基板
28 印刷状態不良原因の解析装置
32 要素基板
33 ランド
33a、33b、33c、33d 個別ランド
34、34a、34b、34c、34d 印刷パターン
PA、PB、PC、PD 電子部品
P1 分布パターン
P2 経時変動パターン
M1 スクリーン印刷装置
M2 印刷検査装置
M3 部品実装装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析装置であって、
前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手手段と、
前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する解析用データ作成処理部と、
前記作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブルと対比することにより前記印刷状態の不良原因を特定する不良原因特定処理部と、
特定された前記印刷状態の不良原因を所定の出力フォーマットにしたがって出力する出力部とを備えたことを特徴とする印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項2】
前記処理アルゴリズムは、個別の前記ランド毎に当該ランドの前記面積率を対応させる個別ランド別面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項3】
前記処理アルゴリズムは、印刷されたペーストによって接合される単一部品に対応する複数のランドの集合によって構成される印刷パターン毎に前記面積率を分類して、それぞれの印刷パターン毎に求められた当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの印刷パターンに対応させるパターン別面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項4】
前記処理アルゴリズムは、前記基板の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア毎に前記面積率を分類して、それぞれの要素エリア毎に求められた当該要素エリアに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの要素エリアに対応させるエリア別面積率分布のいずれかの面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項5】
前記解析用データは、印刷対象となった複数の前記基板についての前記分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターンを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項6】
前記不良原因特定用のデータテーブルは、スクリーン印刷装置において、前記基板自体の異常に起因する基板異常、前記ペーストの異常に起因するペースト異常、前記基板を下受けして固定する基板下受け状態に起因する基板下受け異常、スクリーン印刷に用いられるスクリーンマスクの異常に起因するマスク異常、スクリーン印刷に用いられるスキージの異常に起因するスキージ異常のうちの少なくとも1つに起因する不良原因についての対比データを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項7】
前記出力フォーマットは、特定された前記印刷状態の不良原因を表示画面に所定の表示フォーマットにしたがって表示するように設定されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項8】
基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析方法であって、
前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手工程と、
前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する解析用データ作成処理工程と、
前記作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブルと対比することにより前記印刷状態の不良原因を特定する不良原因特定処理工程と、
特定された前記印刷状態の不良原因を所定の出力フォーマットにしたがって出力する出力工程とを含むことを特徴とする印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項9】
前記解析用データ作成処理工程において、個別の前記ランド毎に当該ランドの前記面積率を対応させる個別ランド別面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成することを特徴とする請求項8記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項10】
前記解析用データ作成処理工程において、印刷されたペーストによって接合される単一部品に対応する複数のランドの集合によって構成される印刷パターン毎に前記面積率を分類して、それぞれの印刷パターン毎に求められた当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの印刷パターンに対応させるパターン別面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成することを特徴とする請求項8記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項11】
前記解析用データ作成処理工程において、前記基板の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア毎に前記面積率を分類して、それぞれの要素エリア毎に求められた当該要素エリアに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの要素エリアに対応させるエリア別面積率分布のいずれかの面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成することを特徴とする請求項8記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項12】
前記解析用データは、印刷対象となった複数の前記基板についての前記分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターンを含むことを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項13】
前記不良原因特定用のデータテーブルは、スクリーン印刷装置において、前記基板自体の異常に起因する基板異常、前記ペーストの異常に起因するペースト異常、前記基板を下受けして固定する基板下受け状態に起因する基板下受け異常、スクリーン印刷に用いられるスクリーンマスクの異常に起因するマスク異常、スクリーン印刷に用いられるスキージの異常に起因するスキージ異常のうちの少なくとも1つに起因する不良原因についての対比データを含むことを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項14】
前記出力工程において、特定された前記印刷状態の不良原因を表示画面に所定の表示フォーマットにしたがって表示することを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項1】
基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析装置であって、
前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手手段と、
前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する解析用データ作成処理部と、
前記作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブルと対比することにより前記印刷状態の不良原因を特定する不良原因特定処理部と、
特定された前記印刷状態の不良原因を所定の出力フォーマットにしたがって出力する出力部とを備えたことを特徴とする印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項2】
前記処理アルゴリズムは、個別の前記ランド毎に当該ランドの前記面積率を対応させる個別ランド別面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項3】
前記処理アルゴリズムは、印刷されたペーストによって接合される単一部品に対応する複数のランドの集合によって構成される印刷パターン毎に前記面積率を分類して、それぞれの印刷パターン毎に求められた当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの印刷パターンに対応させるパターン別面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項4】
前記処理アルゴリズムは、前記基板の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア毎に前記面積率を分類して、それぞれの要素エリア毎に求められた当該要素エリアに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの要素エリアに対応させるエリア別面積率分布のいずれかの面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項5】
前記解析用データは、印刷対象となった複数の前記基板についての前記分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターンを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項6】
前記不良原因特定用のデータテーブルは、スクリーン印刷装置において、前記基板自体の異常に起因する基板異常、前記ペーストの異常に起因するペースト異常、前記基板を下受けして固定する基板下受け状態に起因する基板下受け異常、スクリーン印刷に用いられるスクリーンマスクの異常に起因するマスク異常、スクリーン印刷に用いられるスキージの異常に起因するスキージ異常のうちの少なくとも1つに起因する不良原因についての対比データを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項7】
前記出力フォーマットは、特定された前記印刷状態の不良原因を表示画面に所定の表示フォーマットにしたがって表示するように設定されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析装置。
【請求項8】
基板に形成された複数のランドにスクリーン印刷によって印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析する印刷状態不良原因の解析方法であって、
前記複数のランドのそれぞれの印刷状態を示す印刷指標データとして用いられ当該ランドに印刷されたペーストの平面形状における面積値の正規の印刷面積に対する比率を示す面積率を前記複数のランドのそれぞれについて求めた面積率計測データを入手するデータ入手工程と、
前記面積率計測データを所定の処理アルゴリズムにしたがってデータ処理することにより、前記基板に印刷されたペーストの印刷状態の不良原因を解析するための解析用データを作成する解析用データ作成処理工程と、
前記作成された解析用データを予め設定された不良原因特定用のデータテーブルと対比することにより前記印刷状態の不良原因を特定する不良原因特定処理工程と、
特定された前記印刷状態の不良原因を所定の出力フォーマットにしたがって出力する出力工程とを含むことを特徴とする印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項9】
前記解析用データ作成処理工程において、個別の前記ランド毎に当該ランドの前記面積率を対応させる個別ランド別面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成することを特徴とする請求項8記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項10】
前記解析用データ作成処理工程において、印刷されたペーストによって接合される単一部品に対応する複数のランドの集合によって構成される印刷パターン毎に前記面積率を分類して、それぞれの印刷パターン毎に求められた当該印刷パターンに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの印刷パターンに対応させるパターン別面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成することを特徴とする請求項8記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項11】
前記解析用データ作成処理工程において、前記基板の印刷対象面を複数の領域に分割して設定された要素エリア毎に前記面積率を分類して、それぞれの要素エリア毎に求められた当該要素エリアに属する複数の面積率の代表値をそれぞれの要素エリアに対応させるエリア別面積率分布のいずれかの面積率分布にしたがって、当該基板における面積率の位置的分布のパターンを示す分布パターンデータを前記解析用データとして作成することを特徴とする請求項8記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項12】
前記解析用データは、印刷対象となった複数の前記基板についての前記分布パターンデータの変動を時系列的に統計処理した経時変動パターンを含むことを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項13】
前記不良原因特定用のデータテーブルは、スクリーン印刷装置において、前記基板自体の異常に起因する基板異常、前記ペーストの異常に起因するペースト異常、前記基板を下受けして固定する基板下受け状態に起因する基板下受け異常、スクリーン印刷に用いられるスクリーンマスクの異常に起因するマスク異常、スクリーン印刷に用いられるスキージの異常に起因するスキージ異常のうちの少なくとも1つに起因する不良原因についての対比データを含むことを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【請求項14】
前記出力工程において、特定された前記印刷状態の不良原因を表示画面に所定の表示フォーマットにしたがって表示することを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載の印刷状態不良原因の解析方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−2863(P2013−2863A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131952(P2011−131952)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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