説明

印字装置、読取装置および部品管理システム

【課題】モータの一部であるモータ部品に対して識別情報を迅速かつ正確に印字するとともにモータ部品から識別情報を精度良く読み取る。
【解決手段】モータ部品の部品管理システムでは、印字装置5において、スリーブ31の印字領域100に対して印字ヘッド521からインクの液滴が吐出され、治具移動機構53およびヘッド移動機構54により、印字ヘッド521からのインクの液滴の着弾位置が印字領域100内において相対的に移動される。これにより、スリーブ31の曲面である金属表面に設定された印字領域100に対して2次元バーコードを迅速かつ正確に印字することができる。また、読取装置において、スリーブ31の印字領域100に散乱光を照射しつつ、印字領域100の中心における法線に対して傾斜した方向から印字領域100を撮像することにより、印字領域100上の2次元バーコードを、ハレーションを抑制して精度良く読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの一部であるモータ部品に識別情報を印字する印字装置、および、モータ部品に印字された識別情報を読み取る読取装置に関し、また、当該印字装置および読取装置を備え、モータ部品を管理する部品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハードディスク装置と呼ばれる記録ディスク駆動装置は、記録ディスクを回転するスピンドルモータ(以下、「モータ」という。)を備えている。このようなモータでは、記録ディスクが取り付けられるロータ部をステータ部に対して回転可能に支持する軸受機構の1つとして、潤滑油の動圧を利用した軸受機構(いわゆる、流体動圧軸受)が利用されている。
【0003】
一方、モータの製造では、近年、生産性の向上や品質管理の観点から、モータの一部である軸受機構のようなモータ部品を個々に識別して管理することが求められている。このため、例えば、特許文献1および特許文献2では、すべり軸受ユニットのハウジング底面に追加工を施して凹部を形成し、凹部内に装着されたRFID(radio frequency identification)用タグにロット番号等を記録することにより、複数のすべり軸受ユニットを識別する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−52782号公報
【特許文献2】特開2006−52783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1および特許文献2のすべり軸受ユニットの製造では、ハウジングに対する凹部の形成や接着剤によるRFID用タグ(以下、単に「タグ」という。)の封止等の工程が必要となるため、生産性が低下してしまうのみならず、すべり軸受ユニット以外のモータ部品に応用しようとした場合、タグを収容する凹部を形成することが困難な小型のモータ部品には応用することはできない。また、モータのコストがタグの分だけ増大してしまい、コスト低減の障害となってしまう。さらには、タグは環境に対する耐性があまり高くないため、タグ埋め込み後のすべり軸受ユニットに対する作業が制約される恐れもある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、モータ部品に対して識別情報を迅速かつ正確に印字すること、および、モータ部品から識別情報を精度良く読み取ることを主な目的とし、また、モータ部品の管理の質を向上することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、モータの一部であるモータ部品に識別情報を印字する印字装置であって、モータ部品を保持する保持部と、前記モータ部品の金属表面に設定された印字領域に向けてインクの液滴を吐出する、または、レーザ光を出射する印字ヘッドと、前記モータ部品の前記印字領域内において前記インクの前記液滴の着弾位置または前記レーザ光の照射位置を相対的に移動する移動機構とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印字装置であって、前記印字領域が、前記モータ部品の曲面状の前記金属表面に設定されている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の印字装置であって、前記印字ヘッドにより、前記印字領域に2次元バーコードが印字される。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の印字装置であって、前記モータ部品が、モータの軸受機構の一部である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の印字装置であって、前記印字領域が、前記モータ部品の中心軸を中心とする回転面である外側面のうち、前記中心軸から最も離れた最外周面と重なる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の印字装置であって、前記最外周面が、前記中心軸を中心とする第1円筒面、および、前記第1円筒面に連続するとともに前記中心軸からの距離が前記第1円筒面よりも僅かに大きい第2円筒面を有し、前記印字領域が、前記第1円筒面上のみに設定される。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の印字装置であって、前記印字ヘッドにより、前記インクの前記液滴が前記印字領域に向けて吐出される。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の印字装置であって、前記印字領域に着弾した前記インクの前記液滴の乾燥速度を増大させる乾燥促進部をさらに備える。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の印字装置であって、前記乾燥促進部により、前記印字領域が加熱される。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の印字装置であって、前記乾燥促進部による前記印字領域の加熱温度が、40℃以上140℃以下とされる。
【0016】
請求項11に記載の発明は、モータの一部であるモータ部品に印字された識別情報を読み取る読取装置であって、モータ部品を保持する保持部と、前記モータ部品の金属表面に設定された印字領域の中心における法線に対して傾斜した方向に配置される光源と、前記光源からの光を散乱しつつ反射し、前記散乱光を前記印字領域に照射する反射部と、前記光源に近接して配置されるとともに前記印字領域の前記法線に対して傾斜した方向から前記印字領域の画像を取得する撮像素子と、前記撮像素子からの出力に基づいて、前記印字領域に印字された識別情報を読み取る読取部とを備える。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の読取装置であって、前記印字領域が、前記モータ部品の曲面状の前記金属表面に設定されている。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項11または12に記載の読取装置であって、前記反射部が、前記保持部に保持された前記モータ部品の周囲に配置されて前記光源からの光を散乱しつつ反射する円筒面状の反射面を有する。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の読取装置であって、前記反射部が、前記撮像素子および前記光源を内部に収容する略円筒状のケーシングであり、前記反射部の内側面が、前記反射面を含む。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の読取装置であって、前記光源が、前記撮像素子の周囲において全周に亘って配置されている。
【0021】
請求項16に記載の発明は、モータの一部であるモータ部品を管理する部品管理システムであって、モータ部品に識別情報を印字する請求項1ないし10のいずれかに記載の印字装置と、モータ部品に印字された識別情報を読み取る請求項11ないし15のいずれかに記載の読取装置と、前記読取装置の前記読取部からの出力を記憶する記憶部とを備える。
【0022】
請求項17に記載の発明は、モータの一部であるモータ部品を管理する部品管理システムであって、モータ部品に識別情報を印字する請求項8ないし10のいずれかに記載の印字装置と、モータ部品に印字された識別情報を読み取る請求項11ないし15のいずれかに記載の読取装置と、前記読取装置の前記読取部からの出力を記憶する記憶部と、前記印字装置による印字の前にモータ部品を洗浄する洗浄装置とを備える。
【発明の効果】
【0023】
請求項1ないし10の発明では、モータ部品に対して識別情報を迅速かつ正確に印字することができる。請求項5の発明では、識別情報の印字を容易とすることができる。請求項6の発明では、印字された識別情報の損傷を防止することができる。請求項8の発明では、インクの滲みを抑制して高精度な印字を実現することができる。請求項9の発明では、インクの液滴の乾燥速度を容易に増大させることができる。
【0024】
請求項11ないし15の発明では、識別情報を精度良く読み取ることができる。請求項16および17の発明では、モータ部品の管理の質を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る部品管理システム4の構成を示す図である。部品管理システム4は、モータの一部であるモータ部品を管理するシステムであり、例えば、モータの組み立て工場に設置される。本実施の形態では、部品管理システム4により、後述するモータの軸受機構の一部であるスリーブが管理される。
【0026】
図1に示すように、部品管理システム4は、モータ部品(すなわち、スリーブ)に模様や文字等の識別情報を印字する印字装置5、印字装置5によりモータ部品に印字された識別情報を読み取る読取装置6、および、読取装置6により読み取られた識別情報を記憶する記憶部7を備える。また、部品管理システム4は、印字装置5による印字の前にモータ部品を洗浄する洗浄装置8をさらに備える。
【0027】
図2は、部品管理システム4の管理対象であるモータ部品を備えるモータ1を示す断面図である。モータ1は、記録ディスク駆動装置において記録ディスクの回転に使用されるスピンドルモータである。
【0028】
図2に示すように、モータ1はアウターロータ型のモータであり、固定組立体であるステータ部2、および、回転組立体であるロータ部3を備える。ロータ部3は、作動流体である潤滑油による流体動圧を利用する軸受機構を介して、モータ1の中心軸J1(後述するスリーブ31の中心軸でもある。)を中心にステータ部2に対して回転可能に支持される。以下の説明では、便宜上、中心軸J1に沿ってロータ部3側を上側、ステータ部2側を下側として説明するが、中心軸J1は必ずしも重力方向と一致する必要はない。
【0029】
ステータ部2は、ステータ部2の各構成を保持するベース部21、中心軸J1を中心とする略円筒状であってベース部21に固定されてベース部21から上向きに突出するシャフト22、および、シャフト22の周囲にてベース部21に取り付けられる電機子23を備える。シャフト22の上部および下部には、シャフト22の外側面に取り付けられた略円環状の上部凸部221および下部凸部222が設けられる。
【0030】
ロータ部3は、シャフト22が挿入される略円筒状のスリーブ31、スリーブ31の外周に固定されるとともに記録ディスクが取り付けられるロータハブ32、および、ロータハブ32に固定されるとともに電機子23との間で中心軸J1を中心とする回転力(トルク)を発生する界磁用磁石33を備える。スリーブ31およびロータハブ32は、ステンレス鋼等の金属により形成される。
【0031】
図3は、スリーブ31の側面図である。図2および図3に示すように、スリーブ31は、シャフト22が挿入される略円筒状のシャフト挿入部311、シャフト挿入部311の外側面から外向き(すなわち、中心軸J1から離れる方向)に突出するフランジ部312、および、フランジ部312の外縁部から下向きに突出するとともに外側面3131にロータハブ32が固定される略円筒状のハブ固定部313を備える。
【0032】
図3に示すスリーブ31の外側面は、スリーブ31の中心軸J1を中心とする回転面(すなわち、曲面)であり、フランジ部312の上面は、中心軸J1に対して傾斜する傾斜面となっている。また、ハブ固定部313の外側面3131は、スリーブ31の外側面のうち、中心軸J1から最も離れた最外周面となっており、中心軸J1を中心とする第1円筒面3132、および、第1円筒面3132の下側にて第1円筒面3132に連続するとともに中心軸J1を中心とする第2円筒面3133を有する。ハブ固定部313の外側面3131では、第2円筒面3133の中心軸J1からの距離が、第1円筒面3132の中心軸J1からの距離よりも僅かに大きくされる。図2に示すロータ部3では、スリーブ31のハブ固定部313の外側面3131において、第2円筒面3133のみがロータハブ32に当接しており、第1円筒面3132はロータハブ32には接触していない。
【0033】
スリーブ31では、部品管理システム4の印字装置5(図1参照)により識別情報の印字が行われる印字領域100が、図3中に破線にて囲んで示すように、ハブ固定部313の外側面3131の第1円筒面3132上のみに設定される。本実施の形態では、印字領域100の中心軸J1方向の高さは約2mmとされ、中心軸J1を中心とする周方向における印字領域100の幅は約4mmとされる。
【0034】
図2に示すように、スリーブ31のシャフト挿入部311の上部および下部には、中心軸J1に垂直な断面が円形の上部凹部3111および下部凹部3112が形成されており、上部凹部3111および下部凹部3112にはそれぞれ、シャフト22の上部凸部221および下部凸部222が収容される。また、シャフト22の中心軸J1方向のおよそ中央部は、シャフト22の上部および下部よりも外径が小さい小径部223となっており、小径部223の外側面とスリーブ31のシャフト挿入部311の内側面との間の間隙は、シャフト22の上部および下部におけるシャフト22の外側面とスリーブ31のシャフト挿入部311の内側面との間の間隙よりも大きくなっている。
【0035】
モータ1では、シャフト22の小径部223の上方において、シャフト22の外側面とシャフト挿入部311の内側面との間、シャフト22の上部凸部221の下面とスリーブ31の上部凹部3111の内底面との間、および、シャフト22の上部凸部221の外側面とスリーブ31の上部凹部3111の内側面との間に微小な間隙が設けられており、これらの間隙に作動流体である潤滑油が充填されている。また、シャフト22の小径部223の下方においても、シャフト22の外側面とシャフト挿入部311の内側面との間、シャフト22の下部凸部222の上面とスリーブ31の下部凹部3112の内底面との間、および、シャフト22の下部凸部222の外側面とスリーブ31の下部凹部3112の内側面との間に微小な間隙が設けられており、これらの間隙にも潤滑油が充填されている。
【0036】
モータ1では、ロータハブ32がスリーブ31と共に中心軸J1を中心として回転することにより、上述のシャフト22とスリーブ31との隙間に充填された潤滑油に動圧が発生し、ロータ部3が潤滑油を介して非接触にてステータ部2に支持される。すなわち、モータ1では、シャフト22およびスリーブ31により、流体動圧を利用する軸受機構が構成されている。
【0037】
図4は、部品管理システム4の印字装置5を示す正面図である。印字装置5は、インクジェット方式によりスリーブ31の印字領域100に識別情報を印字する装置であり、図4に示すように、モータ部品であるスリーブ31を保持する保持部である印字治具51、スリーブ31の印字領域100に向けてインクの液滴を吐出するインクジェットプリンタ52、スリーブ31を印字治具51と共に図4中の左方向(すなわち、スリーブ31の中心軸J1(図3参照)に垂直な方向)に移動する治具移動機構53、これらの構成を制御する制御ユニット541、制御ユニット541に送られるデータが入力される端末であるデータ入力装置542、および、印字治具51の位置を検出するセンサ543を備える。
【0038】
インクジェットプリンタ52は、スリーブ31の印字領域100に向けてインクの液滴を吐出する印字ヘッド521、および、印字ヘッド521にインクを供給するプリンタ本体部522を備える。印字装置5では、印字ヘッド521と印字治具51に保持されたスリーブ31との間の図4中における上下方向に関する距離は、数mm〜数十mmとされる。インクジェットプリンタ52の印字ヘッド521から吐出されるインクとしては、例えば、MEK(メチルエチルケトン)系やアルコール系、水系のインクが利用され、本実施の形態では、乾燥時間が短いMEK系のインクが利用される。また、本実施の形態では、印字ヘッド521により、スリーブ31の印字領域100に識別情報として2次元バーコード(例えば、マトリックス型の2次元バーコードであるベリコード、QRコード、マキシコード、データマトリックス等、あるいは、スタック型の2次元バーコード)が印字される。当該2次元バーコードには、スリーブ31を他のスリーブから識別する識別番号やスリーブ31の製造日時等の情報が含まれており、これらの情報は、予めデータ入力装置542を介して制御ユニット541に送られて格納されている。
【0039】
印字装置5は、治具移動機構53と隣接して配置される加熱プレート55をさらに備える。印字装置5では、印字領域100に対する印字前に、スリーブ31が加熱プレート55上に載置されることにより、印字領域100を含むスリーブ31全体が加熱される。加熱プレート55によるスリーブ31(の印字領域100)の加熱温度は、好ましくは、40℃以上140℃以下(より好ましくは、60℃以上80℃以下)とされる。実際の印字装置5では、加熱プレート55上に複数のスリーブが載置されて同時に加熱されるが、図4では、加熱プレート55上のスリーブの図示を省略している。
【0040】
印字装置5によりスリーブ31の印字領域100に印字が行われる際には、まず、加熱プレート55により加熱されたスリーブ31が印字治具51上に載置されて保持され、制御ユニット541により制御される治具移動機構53によりスリーブ31が印字治具51と共に図4中の左方向に搬送される。そして、センサ543により印字治具51の通過が検出されると、制御ユニット541によりインクジェットプリンタ52が制御され、印字ヘッド521からスリーブ31上の印字領域100に向けてインクの液滴の吐出が開始される。印字装置5では、印字ヘッド521によりインクの液滴の吐出方向等が制御されることにより、印字領域100内においてインクの液滴の着弾位置がスリーブ31の中心軸J1に平行な方向に移動され、2次元バーコードの一部が印字領域100に印字される。
【0041】
続いて、印字ヘッド521からのインクの液滴の吐出が停止された状態で、治具移動機構53により印字治具51およびスリーブ31が、図4中の左方向に僅かにステップ移動された後(すなわち、印字ヘッド521からのインクの液滴の着弾位置が、印字領域100に対して図4中の右方向に相対的に移動された後)、印字ヘッド521から印字領域100に向けてインクの液滴が吐出される。
【0042】
そして、印字ヘッド521によるインクの液滴の吐出と、インクの液滴の吐出を停止した状態で行われる印字治具51のステップ移動とが交互に繰り返されることにより、スリーブ31上の印字領域100に2次元バーコードが印字される。このとき、印字領域100が常温よりも加熱されているため、印字領域100に着弾したインクの液滴の乾燥速度が、印字領域100が常温である場合に比べて増大する。すなわち、加熱プレート55は、着弾後のインクの液滴の乾燥を促進する乾燥促進部となっている。
【0043】
図5は、部品管理システム4の読取装置6を示す側面図である。図5に示すように、読取装置6は、スリーブ31を保持する保持部61、保持部61の鉛直下方に配置されて保持部61に保持されたスリーブ31の印字領域100の画像を取得する撮像素子62、撮像素子62に近接して配置される複数の光源63、複数の光源63からの光を散乱しつつ反射して散乱光をスリーブ31の印字領域100に照射する略円筒状の反射部64、および、撮像素子62からの出力に基づいて印字領域100に印字された2次元バーコードを読み取って2次元バーコードに含まれる情報を取得する読取部65を備える。図5では、図示の都合上、反射部64を断面にて描いており、また、複数の光源63の一部のみを描いている。
【0044】
保持部61では、中心軸J1が水平方向に対して傾斜するとともに印字領域100が下側に位置するように(すなわち、撮像素子62と対向するように)スリーブ31が保持される。より詳細には、撮像素子62は、印字領域100の中心における法線110(図5中にて二点鎖線にて示す。)に対して傾斜した方向に配置されることとなり、また、複数の光源63も、印字領域100の法線110に対して傾斜した方向に配置されることとなる。
【0045】
図6は、読取装置6を示す平面図である。図6では、図5と異なり、保持部61上のスリーブの図示を省略している。図6に示すように、読取装置6では、複数の光源63が、撮像素子62の周囲において撮像素子62を中心とする円周上に全周に亘って配置されている。本実施の形態では、光源63として、いわゆる白色LED(Light Emitting Diode)が使用されており、各光源63は光軸が鉛直方向を向くように配置されている。
【0046】
図5および図6に示すように、反射部64は、保持部61に保持されたスリーブ31の周囲に配置されるとともに撮像素子62および複数の光源63を内部に収容するケーシングとなっており、反射部64の内側面641は、スリーブ31(図5参照)の周囲において光源63からの光を散乱しつつ反射する円筒面状の反射面となっている。なお、反射部64では、必ずしも内側面641の全体が反射面とされる必要はなく、内側面641の一部のみがスリーブ31の印字領域100(図5参照)に散乱光を照射する反射面とされてもよい。換言すれば、反射部64の内側面641は、反射面を含んでいればよい。
【0047】
図5に示す読取装置6では、複数の光源63からの光が、反射部64の内側面641により反射されて印字領域100に照射され、焦点を印字領域100から僅かにずらした撮像素子62により、印字領域100が法線110に対して傾斜した方向から撮像される。換言すれば、印字領域100に対して間接照明が行われた状態で印字領域100上の2次元バーコードの画像が取得される。
【0048】
次に、部品管理システム4によるスリーブ31の管理の流れについて説明する。図1に示す部品管理システム4では、まず、洗浄装置8において、洗浄槽に貯溜された洗浄液に複数のスリーブが浸漬され、洗浄液に超音波振動が付与されることにより、スリーブに対する超音波洗浄が行われる。
【0049】
洗浄が終了すると、複数のスリーブが図4に示す印字装置5に搬入され、加熱プレート55上に載置されて所定の温度まで加熱される。続いて、一のスリーブ31が作業者によりピンセット等の工具を利用して把持され、印字領域100が上方を向くように(すなわち、印字領域100が印字ヘッド521側を向くように)印字治具51上に載置される。このとき、工具は、スリーブ31のハブ固定部313の外側面3131において第2円筒面3133のみに当接する。そして、印字ヘッド521からのインクの液滴の吐出と、インクの液滴の吐出を停止した状態で行われる印字治具51のステップ移動とが交互に繰り返されることにより、スリーブ31上の印字領域100に2次元バーコードが印字される。
【0050】
印字が終了したスリーブ31は、作業者により工具を利用して把持され、印字装置5から搬出されて図5に示す読取装置6へと搬入される。このときも、工具は、スリーブ31のハブ固定部313の第2円筒面3133のみに当接する。次に、スリーブ31が、印字領域100が下方を向くように(すなわち、印字領域100が撮像素子62に対向するように)保持部61により保持され、散乱光が照射された印字領域100上の2次元バーコードが撮像素子62により撮像される。その後、読取部65により2次元バーコードが読み取られて2次元バーコードに含まれる情報(すなわち、スリーブ31の識別番号や製造日時等)が取得され、読取部65からの出力が図1に示す記憶部7に送られて記憶部7により格納(すなわち、記憶)される。
【0051】
部品管理システム4では、多数のスリーブに対して、超音波洗浄、加熱、2次元バーコードの印字、2次元バーコードの読み取り、および、2次元バーコードに含まれる情報の格納が順次行われる。そして、記憶部7に格納された情報に基づいて、これら多数のスリーブの管理が行われる。部品管理システム4では、例えば、各スリーブの識別番号と後工程において各スリーブが搭載される軸受機構やモータの識別番号とを対応させてデータベースが構築される。これにより、スリーブのトレーサビリティを向上することができる。
【0052】
ところで、スリーブに識別情報を付与して管理する手法として、作業者が各スリーブの表面に識別番号等の情報をマジック等による手書きにて記入したり、軸受機構の組み立て前に各スリーブに手書きされた識別番号を目視にて読み取ってデータベースに登録する方法が考えられる。しかしながら、スリーブは非常に小さいモータ部品であり、また、表面の曲率も大きいため、当該表面に数字等を記入することは非常に困難であり、多大な労力と長い作業時間が必要となる。また、識別番号等のスリーブへの記入およびデータベースへの入力が作業者の手作業により行われているため、記入ミスや入力ミスが生じる可能性があり、管理の正確性の向上に限界がある。
【0053】
これに対し、本実施の形態に係る部品管理システム4では、印字装置5において、治具移動機構53が、印字ヘッド521をスリーブ31の印字領域100に対して相対的に移動する移動機構となっており、当該移動機構により印字ヘッド521が相対移動され、また、印字ヘッド521によりインクの液滴の吐出方向等が制御されることにより、印字ヘッド521からのインクの液滴の着弾位置が印字領域100内において相対的に移動されて2次元バーコードの印字が行われる。これにより、スリーブ31の曲面である金属表面に設定された印字領域100に対して2次元バーコードを迅速かつ正確に印字することができる。その結果、スリーブ31に対して識別情報等の様々な情報を迅速かつ正確に付与することができる。
【0054】
また、読取装置6において、スリーブ31の印字領域100に散乱光を照射しつつ、印字領域100の中心における法線110に対して傾斜した方向から印字領域100を撮像することにより、印字領域100上の2次元バーコードの読み取りが行われる。これにより、金属表面上の印字領域100に印字された2次元バーコードを、光量過剰により生じるハレーションを抑制して精度良く読み取ることができる。
【0055】
部品管理システム4では、上述のように、印字装置5により識別情報等を含む2次元バーコードをスリーブ31に対して迅速かつ正確に印字し、読取装置6によりスリーブ31上の2次元バーコードを精度良く読み取った上で、記憶部7に記憶された読取装置6からの出力に基づいてスリーブ31の管理が行われる。これにより、スリーブ31の管理の質を向上することができる。また、部品管理システム4では、印字装置5および読取装置6により、2次元バーコードの迅速な印字および読み取りが行われることにより、モータ1の生産性を向上することができる。
【0056】
さらには、一連の所定の処理の間において部品管理システム4による2次元バーコードの印字および読み取りが行われる際に、印字工程および読み取り工程を短時間で行うことにより、当該工程に長時間を要した場合に生じる恐れがある一連の処理における不具合(例えば、処理時間が長くなってしまうことにより所望の処理結果が得られない等の不具合)の発生を防止し、モータ1の品質低下を防止することができる。
【0057】
印字装置5では、スリーブ31の印字領域100に対する2次元バーコードの印字が行われる前に、加熱プレート55により印字領域100が加熱される。これにより、印字領域100に着弾したインクの液滴の乾燥速度が増大され、インクの滲みを抑制して高精度な印字を実現することができる。また、インクの液滴内の着色材料を印字領域100に強固に固着させ、2次元バーコードの溶剤に対する耐久性や強度を向上することもできる。特に、部品管理システム4のように、印字装置5による印字工程よりも前にスリーブ31の洗浄が行われるシステムでは、洗浄の影響によりインクの滲みが生じやすくなることがあるため、印字装置5の加熱プレート55においてインクの液滴の乾燥促進が行われることがより好ましい。
【0058】
加熱プレート55では、スリーブ31の印字領域100の加熱温度を40℃以上とすることにより、印字領域100におけるインクの滲みをより確実に抑制することができ、より高精度な印字を実現することができる。また、加熱温度を140℃以下とすることにより、印字領域100上のインクの液滴内において溶媒の蒸発速度が過剰に大きくなることを防止し、溶媒の蒸発時に着色材料が偏って定着してしまうことをより確実に防止することができる。その結果、インクの液滴の着弾位置における着色材料の定着不良(すなわち、2次元バーコードの欠損)を防止してより高精度な印字を実現することができる。
【0059】
部品管理システム4では、印字装置5により高精度な印字が実現されることにより、読取装置6における2次元バーコードの読み取り不良を防止することができ、部品管理システム4によるスリーブ31の管理の質をより向上することができる。
【0060】
ところで、スリーブ31は小型のモータ部品であり、表面の曲率が大きいため、表面上に大きな印字領域を設定することが難しい。上述のように、印字装置5では、スリーブ31の識別情報等が2次元バーコードとして印字領域100に印字されているため、識別情報等が1次元バーコードや数字等として印字される場合に比べて印字に要する面積を小さくすることができる。したがって、印字装置5は、モータ1の軸受機構の一部であるスリーブ31のような小型のモータ部品に対する印字に特に適しているといえる。
【0061】
印字装置5では、印字領域100が、スリーブ31の外側面のうちの最外周面であるハブ固定部313の外側面3131(すなわち、スリーブ31の外側面のうち曲率が小さい領域)に設定されることにより、印字領域100に対する2次元バーコードの印字を容易とすることができる。また、読取装置6においても、2次元バーコードの読み取りを容易とすることができる。
【0062】
さらには、印字領域100が、ハブ固定部313の外側面3131のうち、第2円筒面3133よりも僅かに内側(すなわち、中心軸J1に近い位置)に位置する第1円筒面3132上のみに設定されることにより、印字装置5からスリーブ31を搬出する際等に、スリーブ31を把持するための工具が印字領域100上の2次元バーコードに接触することが防止され、印字された2次元バーコードの損傷を防止することができる。
【0063】
読取装置6では、反射部64がスリーブ31の周囲に配置される円筒面状の反射面を有することにより、印字領域100に対して散乱光を均一に照射することができ、印字領域100におけるハレーションをより効率良く抑制することができる。その結果、印字領域100上の2次元バーコードをより精度良く読み取ることができる。また、複数の光源63を撮像素子62の周囲において全周に亘って配置することにより、印字領域100に対して散乱光をより均一に照射することができる。さらには、反射部64を、撮像素子62および光源63を内部に収容するケーシングとすることにより、読取装置6を小型化することができる。
【0064】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る部品管理システムの印字装置について説明する。図7は、第2の実施の形態に係る部品管理システムの印字装置5aを示す平面図である。図7に示すように、印字装置5aでは、図4に示す印字装置5のインクジェットプリンタ52に代えて、印字治具51上のスリーブ31に対してレーザ光を出射する印字ヘッド521aを有するレーザマーカ52aが設けられており、スリーブ31に対してレーザマーキングにより2次元バーコードが印字される。また、印字装置5aでは、図4に示す加熱プレート55が省略されている。部品管理システムのその他の構成は図1ないし図6と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0065】
印字装置5aでは、第1の実施の形態と同様に、治具移動機構53が印字ヘッド521aをスリーブ31の印字領域100に対して相対的に移動する移動機構となっており、制御ユニット541により制御される当該移動機構により印字ヘッド521aが相対移動され、また、印字ヘッド521aによりレーザ光の出射方向等が制御されることにより、印字ヘッド521aからのレーザ光の照射位置が印字領域100内において相対的に移動されて2次元バーコードの印字が行われる。これにより、第1の実施の形態と同様に、スリーブ31の曲面である金属表面に設定された印字領域100に対して2次元バーコードを迅速かつ正確に印字することができる。その結果、スリーブ31に対して識別情報等の様々な情報を迅速かつ正確に付与することができる。
【0066】
印字装置5aでは、特に、レーザマーキングにより2次元バーコードが印字されるため、インクジェット方式により2次元バーコードが印字される場合に比べて、より高精度に2次元バーコードを印字することができる。その結果、印字領域100を小型化することができる。また、2次元バーコードの耐久性をより向上することもできる。
【0067】
一方、第1の実施の形態に係る印字装置5(図4参照)では、インクジェット方式により2次元バーコードを印字することにより、レーザマーキングにより2次元バーコードが印字される場合に比べて、迅速かつ低コストにて2次元バーコードの印字を行うことができる。その結果、モータ1(図2参照)の生産性をより向上することができるとともにモータ1の製造に要するコストを低減することができる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0069】
例えば、第1の実施の形態に係る印字装置5の加熱プレート55は、必ずしも治具移動機構53に隣接して配置される必要はなく、印字装置5および部品管理システム4において行われる作業に合わせて適切な位置に配置されてよい。
【0070】
印字装置5では、予め加熱された印字治具51によりスリーブ31が保持されてもよい。これにより、スリーブ31から印字治具51への熱伝導を防止し(あるいは、抑制し)、印字領域100の温度が所望の温度よりも低くなってしまうことをより確実に防止することができる。その結果、インクの滲みを抑制してより高精度な印字を実現することができる。
【0071】
また、印字装置5では、印字前のスリーブ31に対する加熱プレート55による加熱に代えて、印字治具51に熱源が設けられて印字中および印字直後のスリーブ31が継続的に加熱されてもよい。この場合、印字治具51の熱源が、印字領域100に着弾したインクの液滴の乾燥速度を増大させる乾燥促進部となる。また、スリーブ31に対して、印字前の加熱、並びに、印字中および印字直後の加熱の双方が行われてもよい。
【0072】
印字装置5では、上記実施の形態のように、スリーブ31の印字領域100が印字前に予め加熱されることにより、インクの液滴の乾燥速度を容易に増大させることができるが、この場合、必ずしもスリーブ31全体が加熱される必要はなく、印字領域100近傍に配置されたヒータからの輻射熱等により印字領域100(およびその近傍の部位)のみが加熱されてインクの液滴の乾燥が促進されてもよい。また、乾燥促進部として送風機構が設けられ、印字直後の印字領域100に向けて送風が行われることにより、インクの液滴の乾燥速度が増大されてもよい。
【0073】
上記実施の形態に係る印字装置により印字が行われる印字領域100は、ハブ固定部313の第1円筒面3132のみでは印字領域の面積が十分に確保できない場合等、必要に応じて、第1円筒面3132および第2円筒面3133に亘って設定されてもよい。また、印字領域100は、必ずしも、ハブ固定部313の外側面3131のみに設定される必要はなく、例えば、ハブ固定部313の外側面3131および隣接する他の領域(例えば、フランジ部312の上面)に亘って設定されてもよい。このように、印字領域100を、スリーブ31の外側面のうちの最外周面(すなわち、ハブ固定部313の外側面3131)と重ねて設定することにより、印字領域100の曲率を小さくすることができ、印字装置による2次元バーコードの印字、および、読取装置6による2次元バーコードの読み取りを容易とすることができる。
【0074】
印字装置では、印字領域を大きく確保することができる場合には、2次元バーコードに代えて、数字やアルファベット等の文字や1次元バーコード等の模様がスリーブ31上に印字されてもよい。
【0075】
第1の実施の形態に係る部品管理システム4では、洗浄装置8によるスリーブ31の洗浄が行われない場合、あるいは、洗浄後にスリーブ31の表面に対してインクの滲みを抑制する処理が施された場合等、印字した際のインクの滲みが許容範囲(すなわち、読取装置6による読み取り可能範囲)内に収まるのであれば、加熱プレート55による印字領域100の加熱(すなわち、着弾後のインクの乾燥促進)は省略されてよい。
【0076】
上記実施の形態に係る部品管理システムでは、印字装置および読取装置6により、スリーブ31以外のモータ部品(例えば、軸受機構の一部であるシャフト22(図2参照)や軸受機構以外のモータ部品)の曲面状の金属表面に設定された印字領域に対して、識別情報の印字および読み取りが行われてもよい。また、スリーブ31やその他のモータ部品の平面状の金属表面(例えば、モータ部品の曲面状の金属表面の一部が切除される等して形成された平滑部)に設定された印字領域に対して、識別情報の印字および読み取りが行われてもよい。
【0077】
上記実施の形態に係る印字装置は、必ずしも読取装置6と共に部品管理システム4において使用される必要はなく、印字装置単体で使用されてもよい。また、読取装置6も印字装置とは別に単体にて使用されてもよい。この場合、印字装置により印字された識別情報以外の他の識別情報の読み取りが読取装置6により行われる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】第1の実施の形態に係る部品管理システムの構成を示す図である。
【図2】モータの断面図である。
【図3】スリーブの側面図である。
【図4】印字装置の正面図である。
【図5】読取装置の側面図である。
【図6】読取装置の平面図である。
【図7】第2の実施の形態に係る部品管理システムの印字装置の正面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 モータ
4 部品管理システム
5,5a 印字装置
6 読取装置
7 記憶部
8 洗浄装置
22 シャフト
31 スリーブ
51 印字治具
521,521a 印字ヘッド
53 治具移動機構
54 ヘッド移動機構
55 加熱プレート
61 保持部
62 撮像素子
63 光源
64 反射部
65 読取部
100 印字領域
110 法線
641 内側面
3131 外側面
3132 第1円筒面
3133 第2円筒面
J1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの一部であるモータ部品に識別情報を印字する印字装置であって、
モータ部品を保持する保持部と、
前記モータ部品の金属表面に設定された印字領域に向けてインクの液滴を吐出する、または、レーザ光を出射する印字ヘッドと、
前記モータ部品の前記印字領域内において前記インクの前記液滴の着弾位置または前記レーザ光の照射位置を相対的に移動する移動機構と、
を備えることを特徴とする印字装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印字装置であって、
前記印字領域が、前記モータ部品の曲面状の前記金属表面に設定されていることを特徴とする印字装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印字装置であって、
前記印字ヘッドにより、前記印字領域に2次元バーコードが印字されることを特徴とする印字装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の印字装置であって、
前記モータ部品が、モータの軸受機構の一部であることを特徴とする印字装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の印字装置であって、
前記印字領域が、前記モータ部品の中心軸を中心とする回転面である外側面のうち、前記中心軸から最も離れた最外周面と重なることを特徴とする印字装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印字装置であって、
前記最外周面が、前記中心軸を中心とする第1円筒面、および、前記第1円筒面に連続するとともに前記中心軸からの距離が前記第1円筒面よりも僅かに大きい第2円筒面を有し、
前記印字領域が、前記第1円筒面上のみに設定されることを特徴とする印字装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の印字装置であって、
前記印字ヘッドにより、前記インクの前記液滴が前記印字領域に向けて吐出されることを特徴とする印字装置。
【請求項8】
請求項7に記載の印字装置であって、
前記印字領域に着弾した前記インクの前記液滴の乾燥速度を増大させる乾燥促進部をさらに備えることを特徴とする印字装置。
【請求項9】
請求項8に記載の印字装置であって、
前記乾燥促進部により、前記印字領域が加熱されることを特徴とする印字装置。
【請求項10】
請求項9に記載の印字装置であって、
前記乾燥促進部による前記印字領域の加熱温度が、40℃以上140℃以下とされることを特徴とする印字装置。
【請求項11】
モータの一部であるモータ部品に印字された識別情報を読み取る読取装置であって、
モータ部品を保持する保持部と、
前記モータ部品の金属表面に設定された印字領域の中心における法線に対して傾斜した方向に配置される光源と、
前記光源からの光を散乱しつつ反射し、前記散乱光を前記印字領域に照射する反射部と、
前記光源に近接して配置されるとともに前記印字領域の前記法線に対して傾斜した方向から前記印字領域の画像を取得する撮像素子と、
前記撮像素子からの出力に基づいて、前記印字領域に印字された識別情報を読み取る読取部と、
を備えることを特徴とする読取装置。
【請求項12】
請求項11に記載の読取装置であって、
前記印字領域が、前記モータ部品の曲面状の前記金属表面に設定されていることを特徴とする読取装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の読取装置であって、
前記反射部が、前記保持部に保持された前記モータ部品の周囲に配置されて前記光源からの光を散乱しつつ反射する円筒面状の反射面を有することを特徴とする読取装置。
【請求項14】
請求項13に記載の読取装置であって、
前記反射部が、前記撮像素子および前記光源を内部に収容する略円筒状のケーシングであり、
前記反射部の内側面が、前記反射面を含むことを特徴とする読取装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の読取装置であって、
前記光源が、前記撮像素子の周囲において全周に亘って配置されていることを特徴とする読取装置。
【請求項16】
モータの一部であるモータ部品を管理する部品管理システムであって、
モータ部品に識別情報を印字する請求項1ないし10のいずれかに記載の印字装置と、
モータ部品に印字された識別情報を読み取る請求項11ないし15のいずれかに記載の読取装置と、
前記読取装置の前記読取部からの出力を記憶する記憶部と、
を備えることを特徴とする部品管理システム。
【請求項17】
モータの一部であるモータ部品を管理する部品管理システムであって、
モータ部品に識別情報を印字する請求項8ないし10のいずれかに記載の印字装置と、
モータ部品に印字された識別情報を読み取る請求項11ないし15のいずれかに記載の読取装置と、
前記読取装置の前記読取部からの出力を記憶する記憶部と、
前記印字装置による印字の前にモータ部品を洗浄する洗浄装置と、
を備えることを特徴とする部品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−188962(P2008−188962A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28731(P2007−28731)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】