説明

印画物作製システム及び印画物作製方法

【課題】美肌処理を含めた画像処理時間を短縮し、画像サイズ毎に適した美肌処理を施すことができる印画物作製システム及び方法を提供する。
【解決手段】印画物作製システムは、顔を撮影し、顔画像データを生成する撮影装置2と、前記顔画像データのデータサイズを変更し、プリント用画像データ及びプレビュー用画像データを生成するリサイズ部21と、プリント用画像データに対して第1処理モードの美肌処理を施す第1画像処理部23と、前記プレビュー用画像データに対して第2処理モードの美肌処理を施す第2画像処理部24を備えている。美肌処理が施された前記プリント用画像データに基づいてプリンタ5により印画物がプリントされる。また、美肌処理が施された前記プレビュー用画像データは、タッチパネル3により表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔画像が印画された印画物を作製する印画物作製システム及び印画物作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、免許証、パスポート、履歴書等に貼付するための証明写真等を撮影するためのボックス型の写真撮影装置が知られている。写真撮影装置は、撮影した顔画像の倍率を変えて縮小(リサイズ)し、用途に応じた様々なサイズの写真をプリントして出力する。写真撮影装置には、顔画像を表示するモニタが設けられており、写真印画される顔画像を事前に確認することができる。
【0003】
また、最近では、特に女性向きの付加価値機能として、顔(肌)の細かい凹凸やブツブツ感を軽減し、すべすべした質感に加工する「美肌処理」機能を有する写真撮影装置が知られている。
【0004】
美肌処理では、例えば、顔の輪郭や、髪の毛、目、鼻、口等の輪郭部分のシャープネスを保持しつつ、顔の肌部分において、シミ、シワ等を除去・軽減したり、凹凸感を軽減してなめらかに見せたりするスムージング処理が行われる(例えば特許文献1、2参照)。
【0005】
従来は、撮影機器が撮影したデータサイズの大きい顔画像に対して美肌処理を行い、その後、プリント用やモニタ表示用にリサイズ処理を行っていた。しかし、画像データサイズの大きい顔画像に対する美肌処理には時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、プリントする写真サイズが小さくなると、細かい部分の表現力(描写性)が低下し、これは美肌処理を施すことと同等の効果をもたらす。従来のように、美肌処理後の画像をリサイズする場合、写真サイズに適した美肌効果を得ることが出来なかった。また、モニタ画面は表示解像力が低く、美肌効果を目視確認することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−276182号公報
【特許文献2】特開2006−60841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、美肌処理を含めた画像処理時間を短縮し、画像サイズ毎に適した美肌処理を施すことができる印画物作製システム及び印画物作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による印画物作製システムは、顔を撮影し、顔画像データを生成する撮影装置と、前記顔画像データのデータサイズを変更し、プリント用画像データ及びプレビュー用画像データを生成するリサイズ部と、前記プリント用画像データに対して画像処理を施す第1画像処理部と、前記プレビュー用画像データに対して画像処理を施す第2画像処理部と、前記第1画像処理部により画像処理が施された前記プリント用画像データに基づいて印画物をプリントするプリンタと、前記第2画像処理部により画像処理が施された前記プレビュー用画像データを表示する表示部と、を備え、前記第1画像処理部は、前記プリント用画像データに対して、第1処理モードの美肌処理を施し、前記第2画像処理部は、前記プレビュー用画像データに対して、前記第1処理モードとは異なる第2処理モードの美肌処理を施すことを特徴とするものである。
【0010】
本発明による印画物作製システムにおいては、前記プリンタが前記印画物にプリントする画像サイズの指示を受け付ける指示受付部と、指示された画像サイズに応じて、複数の処理モードの美肌処理のうちのいずれか1つを選択する選択部と、をさらに備え、前記第1画像処理部は、前記プリント用画像データに対して、前記選択部が選択した処理モードの美肌処理を施すものである。
【0011】
本発明による印画物作製システムにおいては、前記選択部は、指示された前記画像サイズが小さいほど、強度の弱い処理モードの美肌処理を選択するものである。
【0012】
本発明による印画物作製システムにおいては、前記第2処理モードの美肌処理は、前記第1処理モードの美肌処理より強度が強いものである。
【0013】
本発明による印画物作製システムにおいては、前記表示部は、前記第2画像処理部により前記美肌処理が施された前記プレビュー用画像データと、前記美肌処理が施されていない前記プレビュー用画像データとを表示するものである。
【0014】
本発明による印画物作製方法は、顔を撮影し、顔画像データを生成する工程と、前記顔画像データのデータサイズを変更し、プリント用画像データ及びプレビュー用画像データを生成する工程と、前記プリント用画像データに対して第1処理モードの美肌処理を施す工程と、前記プレビュー用画像データに対して前記第1処理モードとは異なる第2処理モードの美肌処理を施す工程と、前記第2処理モードの美肌処理が施された前記プレビュー用画像データを表示する工程と、前記第1処理モードの美肌処理が施された前記プリント用画像データに基づいて印画物をプリントする工程と、を備えるものである。
【0015】
本発明による印画物作製方法においては、前記印画物にプリントする画像サイズの指示を受け付ける工程と、指示された画像サイズに応じて、複数の処理モードの美肌処理のうちのいずれか1つを前記第1処理モードとして選択する工程と、をさらに備えるものである。
【0016】
本発明による印画物作製方法においては、指示された前記画像サイズが小さいほど、強度の弱い処理モードの美肌処理を選択するものである。
【0017】
本発明による印画物作製方法においては、前記第2処理モードの美肌処理は、前記第1処理モードの美肌処理より強度が強いものである。
【0018】
本発明による印画物作製方法においては、前記プレビュー用画像データを表示する工程では、前記第2処理モードの美肌処理が施された前記プレビュー用画像データと、前記第2処理モードの美肌処理が施されていない前記プレビュー用画像データとを表示するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、撮影画像のリサイズ処理後に美肌処理を行っているので、美肌処理を施す画像のデータサイズが小さく、美肌処理を含めた画像処理時間を短縮することができる。また、プリントする写真サイズに応じて処理モードを切り替えることで、写真サイズ毎に適した美肌効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る印画物作製システムの概略構成図である。
【図2】同実施形態に係る演算制御装置のハードウェア構成図である。
【図3】同実施形態に係る画像処理プログラムを実行することで実現される機能ブロック図である。
【図4】処理モード毎の美肌処理の内容を規定したテーブルの一例を示す図である。
【図5】タッチパネルの表示画面の一例を示す図である。
【図6】タッチパネルの表示画面の一例を示す図である。
【図7】タッチパネルの表示画面の一例を示す図である。
【図8】同実施形態に係る印画物作製方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1に本実施形態に係る印画物作製システムの概略構成を示す。印画物作製システムは、被撮影者Pの顔を撮影し、顔画像データを生成する撮影装置2と、この顔画像データに対して画像処理を施す演算制御装置1と、印画物(写真)をプリントするプリンタ5と、撮影装置2が被撮影者Pの顔を撮影する際に被撮影者Pに光を照射するストロボ6と、を備える。撮影装置2は、例えばデジタルカメラであり、レンズ、シャッタ、CMOSセンサ、A/D変換器等を有する。撮影装置2が被撮影者Pの顔を撮影する場合には、CMOSセンサが、レンズにより収束された撮影光を、シャッタを介して受光すると共に、受光面に結像された光学像を光電変換し、画像信号として出力する。そして、A/D変換器が、CMOSセンサから出力された画像信号をA/D変換し、顔画像データを生成する。撮影装置2は、顔画像データを演算制御装置1へ出力する。
【0023】
また、印画物作製システムは、被撮影者Pから各種指示を受け付けると共に、プレビュー画像を表示するタッチパネル(指示受付部及び表示部)3を備えている。
【0024】
タッチパネル3は、操作ボタンを表示し、操作ボタンが押されると、その操作ボタンに対応した操作指示を受け付ける。例えば、タッチパネル3は、ユーザ(被撮影者P)から、プリンタ5が印画物にプリントする画像サイズ(写真サイズ)の指示を受け付ける。写真サイズは、例えば、運転免許証、パスポート、ビザ等に対応するものである。また、写真サイズのカスタマイズができるようになっていてもよい。また、タッチパネル3は、ユーザからプリンタ5のプリント開始指示を受け付けることができる。
【0025】
さらに、印画物作製システムには、被撮影者Pが印画物の代金として支払う貨幣を受け入れたり、釣銭を払い出したりする課金部(図示せず)が設けられている。
【0026】
演算制御装置1は、撮影装置2、タッチパネル3、プリンタ5、ストロボ6、及び課金部に接続されており、各部の制御やデータの受け渡しを行う。
【0027】
図2に、演算制御装置1のハードウェア構成を示す。演算制御装置1は、CPU(中央演算処理部)11、メインメモリ12、ディスク装置13、及び入出力部14を有する。演算制御装置1の各部はバス15を介して接続されている。
【0028】
ディスク装置13は、CPU11により実行される画像処理プログラム16を格納する。また、ディスク装置13は、複数の処理モードの美肌処理の各々に対応する処理内容を規定したテーブル17を格納する。美肌処理については後述する。ディスク装置13は例えばハードディスクドライブである。なお、画像処理プログラム16は、ディスク装置13でなく、ROMや磁気テープ(共に図示せず)に格納されていてもよい。
【0029】
CPU11は、ディスク装置13内の画像処理プログラム16をメインメモリ12にロードして、画像処理プログラム16を実行する。このとき、ディスク装置13内のテーブル17をメインメモリ12にロードするようにしてもよい。
【0030】
画像処理プログラム16の実行に伴い、メインメモリ12上には、顔画像データ、プレビュー用画像データ、及びプリント用画像データを格納する領域が確保される。プレビュー用画像データは、タッチパネル3にプレビュー画像として表示される画像データであり、プリント用画像データは、プリンタ5によりプリントされる画像データである。
【0031】
図3に、CPU11が画像処理プログラム16を実行することで実現される機能ブロック図を示す。画像処理プログラム16の実行により、リサイズ部21、選択部22、第1画像処理部23、及び第2画像処理部24が実現される。
【0032】
リサイズ部21は、撮影装置2により生成された顔画像データを、プリンタ5でプリントする写真サイズに対応したサイズに縮小し、プリント用画像データを生成する。例えば、縦、横の画素を均等に間引くことで画像を縮小することができる。プリンタ5でプリントされる写真サイズは、タッチパネル3を介して指示される。
【0033】
また、リサイズ部21は、撮影装置2から受け取った顔画像データをタッチパネル3でのプレビュー表示に対応したサイズに縮小し、プレビュー用画像データを生成する。タッチパネル3での表示サイズはあらかじめ決められていてもよいし、タッチパネル3を介して指示できるようにしてもよい。
【0034】
一般に、撮影装置2によって生成される顔画像データのサイズは、プリントサイズやプレビューサイズと比較して大きいため、リサイズ部21は縮小処理を行うことが多いが、拡大処理を行ってもよい。例えば、画素を補間することで画像を拡大することができる。
【0035】
第1画像処理部23は、プリント用画像データに対して画像処理を施す。ここで施される画像処理は、顔(肌)の細かい凹凸やブツブツ感を軽減し、すべすべした質感に加工したり、シワやシミ等の美観を損なう不要部分を軽減したりする、いわゆる美肌処理である。第1画像処理部23は、顔画像の肌領域を抽出し、この肌領域に美肌処理を施す。
【0036】
肌領域の抽出処理の一例について説明する。まず、顔画像の両目の下方領域、より厳密には、鼻の両脇の輪郭を跨ぎ、かつ、髪、目、鼻孔にはかからない領域を参照領域と定義する。そして、この参照領域内に含まれる各画素の画素値の平均を平均画素値として求め、プリント用画像全体を構成する各画素の中から、この平均画素値に対する色差が所定範囲内の画素値をもつ画素を抽出する。抽出された画素の集合からなる領域が肌領域となる。
【0037】
美肌処理は、画像処理の技術分野で公知の技術であり、ここでは第1画像処理部23が行い得る美肌処理の例について説明する。例えば、所定のソフトフォーカス効果を示すフィルタやローパスフィルタ等によるフィルタ処理を画像に施すことで、細かい凹凸やブツブツ感、シワやシミ等を軽減することができる。また、肌領域の彩度を上げることで、くすみなどを軽減することができる。
【0038】
美肌処理の際に使用するフィルタや彩度の補正レベル(上げ幅)を変えることで、美肌処理の強度を変更することができる。例えば、フィルタ強度を強くしたり、彩度の補正レベルを大きくしたりすることで、強度の強い美肌処理を行うことができる。一方、フィルタ強度を弱くしたり、彩度の補正レベルを小さくしたりすることで、強度の弱い美肌処理を行うことができる。
【0039】
また、公知の画像処理ソフトの美肌処理機能を用いることで、美肌処理の強度を調整することができる。例えば、市川ソフトラボラトリー「デイジーコラージュ」では、肌のシミやそばかすやくすみなどを補正する“メーキャップ”、肌全体を白く補正する“美白”、肌の凹凸をぼかして補正する“美肌”、肌全体に「美白」効果を掛けると共に明るくソフトに補正する“ソフトホワイト”などのパラメータを調整して、効果の強弱を調整することができる。また、肌の色を、より白くしたり、日焼けしたような小麦色にしたり、赤みを強調したり、赤みを抑えたりすることができる。さらに、画像をぼかすように効果を掛けて、肌のキメを調整したりすることもできる。
【0040】
本実施形態では、美肌処理の強度に対応した複数の処理モードが設けられている。ディスク装置13は、図4に示すような、各処理モードに対応付けられた彩度の補正レベルと使用フィルタの組み合わせが規定されたテーブル17を記憶している。また、ディスク装置13は、各フィルタも記憶している。
【0041】
第1画像処理部23は、後述する選択部22により選択された処理モードで美肌処理を実行する。第1画像処理部23は、ディスク装置13に記憶されているテーブル17を参照して、彩度補正レベル、使用フィルタを決定し、プリント用画像データに対して美肌処理を施す。ユーザ(被撮影者P)からの指示に基づいて、第1画像処理部23により美肌処理が施されたプリント用画像データ又は美肌処理が施されていないプリント用画像データが、入出力部14を介して、プリンタ5へ出力される。
【0042】
選択部22は、タッチパネル3を介して指示された写真サイズの指示に基づいて、第1画像処理部23が実行すべき美肌処理の処理モードを選択する。例えば、選択部22は、写真サイズが小さいほど、美肌処理の強度の弱い処理モードを選択する。プリントする写真サイズが小さくなると、細かい部分の表現力(描写性)が低下し、これは美肌処理を施すことと同等の効果をもたらす。そのため、写真サイズが小さい場合は、第1画像処理部23が施す美肌処理の強度を弱いものにする。
【0043】
第2画像処理部24は、プレビュー用画像データに対して画像処理を施す。ここで施される画像処理は、上述した美肌処理と同じである。第2画像処理部24は、顔画像の肌領域を抽出し、この肌領域に美肌処理を施す。
【0044】
また、第2画像処理部24は、(第1画像処理部23よりも)強度の強い美肌処理を実行する。プレビュー用画像データはタッチパネル3で表示されるデータであるが、タッチパネル3の画面は表示解像力が低い。そのため、美肌効果を目視確認できるように、強度の強い美肌処理が実行される。例えば、第2画像処理部24は、ディスク装置13に記憶されているテーブル17を参照し、強度の強い処理モードに対応する彩度補正レベル、フィルタを用いて、プレビュー用画像データに美肌処理を施す。第2画像処理部24により美肌処理が施されたプレビュー用画像データは、入出力部14を介してタッチパネル3へ出力される。また、美肌処理が施されていないプレビュー用画像データも、入出力部14を介してタッチパネル3へ出力される。
【0045】
タッチパネル3は、演算制御装置1から美肌処理が施されたプレビュー用画像データ及び美肌処理が施されていないプレビュー用画像データを受け取り、色変換やシャープネス処理を行い、画面に表示する。
【0046】
タッチパネル3は、図5に示すように、美肌処理が施された画像と、施されていない画像とを並べて表示する。美肌処理が施されていない画像は、表示解像力の低いタッチパネル3に表示されることで、美肌処理が施されることと同等の効果を得る。しかし、第2画像処理部24により強度の強い美肌処理を施しているため、タッチパネル3の画面上においても、美肌処理の有無の違いをユーザに認識させることができる。
【0047】
また、図5に示すように、タッチパネル3は、各プレビュー画像の下に、プリント実行ボタン31、32を表示する。ユーザが、美肌処理が施されていないプレビュー画像に対応するプリント実行ボタン31を押すことで、美肌処理が施されていないプリント用画像データが、演算制御装置1からプリンタ5へ出力される。一方、ユーザが、美肌処理が施されたプレビュー画像に対応するプリント実行ボタン32を押すことで、美肌処理が施されたプリント用画像データが、演算制御装置1からプリンタ5へ出力される。
【0048】
タッチパネル3でのプレビュー画像の表示形式は図5に示すものに限定されない。例えば、図6に示すように、美肌処理画像プレビューボタン41及び通常画像プレビューボタン42を表示し、美肌処理画像プレビューボタン41が押されると美肌処理後のプレビュー画像を表示し、通常画像プレビューボタン42が押されると美肌処理が施されていないプレビュー画像を表示するようにしてもよい。
【0049】
また、図7に示すように、切替ボタン51を表示し、切替ボタン51が押される度に、美肌処理が施されていないプレビュー画像と美肌処理後のプレビュー画像とを切り替えて表示するようにしてもよい。
【0050】
プリンタ5は、演算制御装置1から受け取ったプリント用画像データに対して、色変換やシャープネス処理を行う。そして、プリンタ5は、被撮影者Pの撮影画像を用紙に印画して出力する。プリンタ5のプリント方式は特に限定されず、インクジェット方式、昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式等を用いることができる。
【0051】
次に、このような印画物作製システムを用いた印画物作製方法を図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0052】
(ステップS101)タッチパネル3が、印画する写真サイズの指示を受け付ける。
【0053】
(ステップS102)撮影装置2が、被撮影者P(ユーザ)を撮影し、顔画像データを生成する。撮影装置2が撮影を行う際に、ストロボ6が被撮影者Pに光を照射する。
【0054】
(ステップS103)リサイズ部21が、顔画像データのリサイズ処理を行い、プリント用画像データ及びプレビュー用画像データを生成する。具体的には、ステップS101で指示された写真サイズに基づいて顔画像データをリサイズし、プリント用画像データを生成する。また、タッチパネル3でのプレビュー表示に合わせて顔画像データをリサイズし、プレビュー用画像データを生成する。
【0055】
(ステップS104)第1画像処理部23が、プリント用画像データに対して美肌処理を施す。第1画像処理部23における美肌処理の処理モード(強度)は、選択部22がステップS101で指示された写真サイズに基づいて選択する。選択部22は、写真サイズが小さいほど、美肌処理の強度の弱い処理モードを選択する。第1画像処理部23は、ディスク装置13に記憶されている図4に示すようなテーブル17を参照し、美肌処理を実行する。
【0056】
また、第2画像処理部24が、プレビュー用画像データに対して美肌処理を施す。第2画像処理部24は、表示解像力の低いタッチパネル3の画面で美肌効果を目視確認できるように、強度の強い美肌処理を実行する。例えば、第1画像処理部23よりも強度の強い美肌処理が実行される。
【0057】
(ステップS105)タッチパネル3が、美肌処理の施されたプレビュー用画像データと、美肌処理の施されていないプレビュー用画像データとを、並べて又は切り替えて表示する。
【0058】
(ステップS106)ユーザが、タッチパネル3に表示されたプレビュー画像から顔画像に美肌処理を施すか否か決定する。美肌処理を施す場合はステップS107に進み、美肌処理を施さない場合はステップS108に進む。
【0059】
(ステップS107)ユーザが、タッチパネル3に表示された、美肌処理が施されたプレビュー画像に対応するプリント実行ボタン32を押す。これにより、演算制御装置1は、美肌処理が施されたプリント用画像データをプリンタ5へ出力する。
【0060】
(ステップS108)ユーザが、タッチパネル3に表示された、美肌処理が施されていないプレビュー画像に対応するプリント実行ボタン31を押す。これにより、演算制御装置1は、美肌処理が施されていないプリント用画像データをプリンタ5へ出力する。
【0061】
(ステップS109)プリンタ5が、演算制御装置1から受け取ったプリント用画像データをプリントして出力する。
【0062】
このように、本実施形態によれば、プリント用画像データに施す美肌処理の強度を、プリンタ5で印画される写真サイズに応じて変えることで、写真サイズ毎に適した美肌処理の効果を得ることができる。また、プレビュー用画像データに対して強度の強い美肌処理を施すことで、表示解像度の低いモニタ画面においても、美肌処理の効果を容易に確認することができる。
【0063】
美肌処理は、処理を施す画像のデータサイズが大きくなると、処理時間が長くなる。本実施形態では、撮影装置2によって生成されたデータサイズの大きい顔画像データでなく、リサイズ部21によりリサイズ(縮小)された画像データに対して美肌処理を行っている。そのため、美肌処理を含めた画像処理時間を短縮することができる。
【0064】
上記実施形態では、タッチパネル3が、ユーザからの操作指示の受け付け及びプレビュー画像の表示を行っていたが、ユーザからの操作指示の受け付ける指示受付部と、プレビュー画像の表示を行う表示部とを別々に設けてもよい。
【0065】
また、CPU11をマルチコアプロセッサで構成し、プリント用画像データに対する美肌処理と、プレビュー用画像データに対する美肌処理とを並列に実行するようにしてもよい。
【0066】
また、撮影装置2が、被撮影者Pを1回又は複数回撮影して、複数の顔画像データをタッチパネル3に表示し、ユーザが表示された画像を確認した上で、どの画像を印画するか選択できるようにしてもよい。この場合、選択された画像に対してリサイズ処理、美肌処理が施される。また、撮り直しができるようにしてもよい。
【0067】
上記実施形態において、リサイズ部21は、顔画像データから、プリント用画像データ及びプレビュー用画像データを生成していたが、顔画像データからプレビュー用画像データを生成し、このプレビュー用画像データからプリント用画像データを生成するようにしてもよい。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 演算制御装置
2 撮影装置
3 タッチパネル
5 プリンタ
6 ストロボ
11 CPU
12 メインメモリ
13 ディスク装置
14 入出力部
15 バス
21 リサイズ部
22 選択部
23 第1画像処理部
24 第2画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔を撮影し、顔画像データを生成する撮影装置と、
前記顔画像データのデータサイズを変更し、プリント用画像データ及びプレビュー用画像データを生成するリサイズ部と、
前記プリント用画像データに対して画像処理を施す第1画像処理部と、
前記プレビュー用画像データに対して画像処理を施す第2画像処理部と、
前記第1画像処理部により画像処理が施された前記プリント用画像データに基づいて印画物をプリントするプリンタと、
前記第2画像処理部により画像処理が施された前記プレビュー用画像データを表示する表示部と、
を備え、
前記第1画像処理部は、前記プリント用画像データに対して、第1処理モードの美肌処理を施し、前記第2画像処理部は、前記プレビュー用画像データに対して、前記第1処理モードとは異なる第2処理モードの美肌処理を施すことを特徴とする印画物作製システム。
【請求項2】
前記プリンタが前記印画物にプリントする画像サイズの指示を受け付ける指示受付部と、
指示された画像サイズに応じて、複数の処理モードの美肌処理のうちのいずれか1つを選択する選択部と、
をさらに備え、
前記第1画像処理部は、前記プリント用画像データに対して、前記選択部が選択した処理モードの美肌処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の印画物作製システム。
【請求項3】
前記選択部は、指示された前記画像サイズが小さいほど、強度の弱い処理モードの美肌処理を選択することを特徴とする請求項2に記載の印画物作製システム。
【請求項4】
前記第2処理モードの美肌処理は、前記第1処理モードの美肌処理より強度が強いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印画物作製システム。
【請求項5】
前記表示部は、前記第2画像処理部により前記美肌処理が施された前記プレビュー用画像データと、前記美肌処理が施されていない前記プレビュー用画像データとを表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の印画物作製システム。
【請求項6】
顔を撮影し、顔画像データを生成する工程と、
前記顔画像データのデータサイズを変更し、プリント用画像データ及びプレビュー用画像データを生成する工程と、
前記プリント用画像データに対して第1処理モードの美肌処理を施す工程と、
前記プレビュー用画像データに対して前記第1処理モードとは異なる第2処理モードの美肌処理を施す工程と、
前記第2処理モードの美肌処理が施された前記プレビュー用画像データを表示する工程と、
前記第1処理モードの美肌処理が施された前記プリント用画像データに基づいて印画物をプリントする工程と、
を備える印画物作製方法。
【請求項7】
前記印画物にプリントする画像サイズの指示を受け付ける工程と、
指示された画像サイズに応じて、複数の処理モードの美肌処理のうちのいずれか1つを前記第1処理モードとして選択する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の印画物作製方法。
【請求項8】
指示された前記画像サイズが小さいほど、強度の弱い処理モードの美肌処理を選択することを特徴とする請求項7に記載の印画物作製方法。
【請求項9】
前記第2処理モードの美肌処理は、前記第1処理モードの美肌処理より強度が強いことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の印画物作製方法。
【請求項10】
前記プレビュー用画像データを表示する工程では、前記第2処理モードの美肌処理が施された前記プレビュー用画像データと、前記第2処理モードの美肌処理が施されていない前記プレビュー用画像データとを表示することを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の印画物作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−113338(P2012−113338A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259108(P2010−259108)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】