説明

危険性判断装置及び危険性判断システム

【課題】所定エリア内に存在する車両の危険性を判断する技術において、処理負荷の低減を図ることが可能な危険性判断装置及び危険性判断システムを提供すること。
【解決手段】自車両が所定エリアを通過する際に、衝突危険性を判断する装置において、所定エリアに対する危険度の重み付けを設定し、危険度が高い場合のみ衝突危険性を判断する。これにより、実際に危険性が高い場合のみ衝突危険性を判断することができるため、処理負荷が軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険性判断装置及び危険性判断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に適用される衝突防止技術として、接近車両との衝突の可能性が高いと判定された場合に、音声によってドライバに警告する技術がある(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献2に記載の車両用警報装置では、センサによって雨を検知して、路面の滑りやすさなどの走行環境を検出すると共に、アクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作などを検知して、ドライバ特性を判断し、ドライバ特性に応じて、警報出力のタイミングを変化させている。また、特許文献3には、車間距離が短くなったことを報知する技術において、天候や混雑度に応じ、警報出力のタイミングを早めるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−197740号公報
【特許文献2】特開平5−155291号公報
【特許文献3】特開2002−362268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に記載の技術では、自車両が所定のエリア内に存在するあいだ、実際には衝突の可能性が低いと判定される場合であっても、常に衝突危険性を判断していたため、処理が高負荷となるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、処理負荷の低減を図ることが可能な危険性判断装置及び危険性判断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による危険度判断装置は、自車両が所定エリア内に存在する場合の危険性を判断する危険性判断装置において、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する重み付け設定手段と、前記重み付け設定手段によって、危険度が高いと重み付けされた場合に、自車両の衝突危険度を判定する衝突判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような危険度判断装置によれば、自車両が所定エリアを通過する際に、衝突危険性を判断する装置において、所定エリアに対する危険度の重み付けを可変にし、危険度が高い場合のみ衝突危険性を判断する。これにより、実際に危険性が高い場合のみ衝突危険性を判断することができるため、処理負荷が軽減される。
【0008】
また、重み付け設定手段は、周辺環境情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定することが好適である。重み付け設定手段は、交通流情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定することが好ましい。重み付け設定手段は、ドライバ特性に関する情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定することが好適である。
【0009】
本発明による危険性判断システムは、車両との間で信号の送受信を行う管理サーバを備え、前記車両が所定エリア内に存在する場合の危険性を判断する危険性判断システムにおいて、前記管理サーバは、前記所定エリアに関する情報を記憶する記憶手段と、前記所定エリアに存在する前記車両に信号を送信する送信手段と、前記所定エリアに前記車両が進入した場合に、前記記憶手段に記憶された前記所定エリアに関する情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する重み付け設定手段と、を備え、前記送信手段は、前記重み付け設定手段によって、危険度が高いと重み付けされた場合に、前記車両に対して、前記車両の衝突危険度を判定するように指示する信号を送信することを特徴とする。
【0010】
本発明による危険性判断システムは、車両との間で信号の送受信を行う管理サーバを備え、前記車両が所定エリア内に存在する場合の危険性を判断する危険性判断システムにおいて、前記管理サーバは、ドライバ特性に関する情報を記憶する記憶手段と、前記所定エリアに存在する前記車両に信号を送信する送信手段と、前記所定エリアに前記車両が進入した場合に、前記記憶手段に記憶された前記ドライバ特性に関する情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する重み付け設定手段と、を備え、前記送信手段は、前記重み付け設定手段によって、危険度が高いと重み付けされた場合に、前記車両に対して、前記車両の衝突危険度を判定するように指示する信号を送信することを特徴とする。
【0011】
このような危険度判断システムによれば、車両が所定エリアを通過する際に、衝突危険性を判断する技術において、所定エリアに対する危険度の重み付けを可変にし、危険性が高い場合のみ衝突危険性を判断させる。これにより、実際に危険性が高い場合のみ衝突危険性を判断させることができるため、処理負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、処理負荷の低減を図ることが可能な危険性判断装置及び危険性判断システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る危険度判断装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る危険度判断装置で実行される動作手順を示すフローチャートである。
【図3】対象地点の絞込み処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】自車の危険度判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る危険度判断システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による危険性判断装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本発明の第1実施形態に係る危険性判断装置について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る危険性判断装置を示すブロック図である。図1に示す危険性判断装置1は、車両に搭載され、自車両の衝突危険性を判断するものである。
【0015】
危険性判断装置1は、主要な構成として、GPS受信機21、ナビゲーションECU(Electronic Control Unit)22、通信装置31、センサ41、衝突回避部51、衝突予防ECU61を備える。これらのセンサ、機器などは、例えばCAN(Controller Area Network)などの通信回路で接続されることにより、相互にデータ交換可能な構成とされている。
【0016】
ナビゲーションECU22は、現在位置から目的地までの経路案内を行うナビゲーションシステムの制御を司る電子制御ユニットである。ナビゲーションECU22は、GPS受信機によって受信されたGPS衛星信号に基づき自車位置を定期的に特定し、衝突予防ECU61に送信する。また、ナビゲーションECU22は、地図情報を格納した地図DB(データベース)を備える。
【0017】
通信装置31は、例えば、自車両周辺に存在する他車両と車車間通信を行う通信装置である。通信装置31は、自車両の位置や速度などの情報を他車両に送信すると共に、他車両の位置や速度などの情報を他車両から受信する。また、通信装置31は、他車両との間でその他の有用な情報を送受信する。通信装置31は、衝突予防ECU61から出力された指令信号に基づいて作動し、他車両から受信した情報を衝突予防ECU61に送信する。また、通信装置31は、通信ネットワークとの接続を可能とする通信手段である。通信装置31は、路車間通信を行う通信手段としての機能を備えるものでもよい。
【0018】
各種センサ41には、例えば、前方用ミリ波レーダ、前側方用ミリ波レーダ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ、車速センサ、前方撮像カメラなどが含まれる。各種センサ41によって取得された各種情報は、衝突予防ECU61に送信される。各種センサとは、衝突危険性を判断する際に必要な情報を取得するためのセンサ、後述する周辺環境情報を取得するためのセンサ、交通流情報を取得するためのセンサ、ドライバ特性に関する情報を取得するためのセンサがある。
【0019】
衝突回避部51は、衝突危険性が高い場合に、ドライバに警告する警告動作を行う動作部である。また、衝突回避部51は、衝突危険性が高い場合に、衝突を回避する介入動作を行う動作部である。衝突回避部51は、例えば、警報ECU52、警報器53、シートベルトECU55、シートベルトアクチュエータ56、ブレーキECU57、ブレーキアクチュエータ58を備える。
【0020】
警報ECU52は、衝突予防ECU61から出力された指令信号に基づいて警報器53を制御し、警報器53によって音声を出力することで、ドライバに警告を与える。なお、音声による警告の他に、振動、画像などによる警告でもよい。シートベルトECU55は、衝突予防ECU61から出力された指令信号に基づいてシートベルトアクチュエータ56を制御し、シートベルトを巻き取って緊張させることで、ドライバに警告を与える。
【0021】
ブレーキECU57は、衝突予防ECU61から出力された指令信号に基づいてブレーキアクチュエータ58を制御し、ブレーキを作動させて減速制御を行うことで、介入制御を行う。なお、減速制御による介入制御の他に、操舵制御による介入制御を実行してもよい。
【0022】
衝突予防ECU61は、演算処理を行うCPU、記憶部となるROM及びRAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成されている。衝突予防ECU61は、通信制御部62、重み付け設定部63、衝突危険性判定部64、衝突回避動作制御部65、記憶部66を備える。
【0023】
通信制御部62は、危険性判断装置1の通信を制御する。衝突予防ECU61は、通信ネットワークに接続可能とされ、例えば、管理センタから各種情報を取得する。また、衝突予防ECU61は、その他のECU、各種センサ41から各種情報を取得する。衝突予防ECU61は、各種情報として、例えば、周辺環境情報、交通流情報、ドライバ特性に関する情報を取得する。
【0024】
周辺環境情報としては、天気情報、気温情報、道路周辺の木々の生長度合に関する情報、水溜りの有無に関する情報などが挙げられる。衝突予防ECU61は、例えば管理センタから天気情報を取得する。衝突予防ECU61は、例えば各種センサからの信号に基づいて気温(外気温)情報を取得する。衝突予防ECU61は、取得した情報に基づいて、自車両のガラスの曇りやすさなどを判定する。
【0025】
衝突予防ECU61は、例えば、市役所などから伐採管理に関する情報を取得して、道路周辺の木々の生長度合に関する情報を取得する。また、衝突予防ECU61は、カメラからの映像に基づいて、道路周辺の木々の生長度合に関する情報を取得してもよい。衝突予防ECU61は、カメラからの映像に基づいて、水溜りの有無に関する情報を取得する。また、衝突予防ECU61は、記憶部に格納された地図情報や、管理センタからの情報に基づいて、水溜りの有無に関する情報を取得する。
【0026】
交通流情報としては、車の混み具合に関する情報、その日の車の流れや動きに関する情報などが挙げられる。衝突予防ECU61は、例えばカメラからの映像に基づいて車の混み具合に関する情報を取得する。例えば、道路が混んでいる場合には、人は注意するので、走行に時間が掛かる。また、道路が空いている場合には、周辺に対する気がそれるので危険である。その日の車の流れや動きに関する情報としては、例えば、トラックの通過台数が多いか少ないかに関する情報、右折車両が多いか少ないかに関する情報、交差点内の平均車速に関する情報、交差点内での停止車両の有無に関する情報、歩行者が多いか少ないかに関する情報などが挙げられる。衝突予防ECU61は、例えば、管理センタからの情報に基づいて、その日の車の流れや動きに関する情報を取得する。周辺のイベント情報などに基づいて、歩行者が多いか少ないかを判断してもよい。
【0027】
ドライバ特性に関する情報としては、例えば、交差点内でのブレーキ操作の回数に関する情報、右左折時のアクセルワークに関する情報、右折後に横断歩道手前で停止したか否かに関する情報、ホーンの使用の有無や使用回数に関する情報、一時停止線における一時停止実行の有無や通過速度に関する情報などが挙げられる。これらの情報は、高精度な交差点データと車両データに基づいて判断することができる。車両データとは、ブレーキ操作、アクセル操作、ウインカー操作、ホーン操作に関するデータを含む。右左折時のアクセルワークが頻繁である場合には、危険であると判断することができる。また、ドライバ特性に関する情報として、ドライバのその日の行動や意図に関する情報が挙げられる。車載機の車両データに基づいて、普段よりアクセル操作/ブレーキ操作が粗い場合には、危険度が高いと判断することができる。また、ライフログによるデータに基づいて、睡眠不足である、日常より家を出る時間が遅い場合などには、危険度が高いと判断することができる。
【0028】
重み付け設定部63は、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する。重み付け設定部63は、周辺環境情報、交通流情報、ドライバ特性情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する。重み付け設定部63は、天気、気温、路面状態などに応じて所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する。重み付け設定部63は、混雑度、トラックの多い少ないに応じて所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する。衝突予防ECU61は、地点の周囲状況やドライバ、対象車両の状態などに対し、危険度を付与し、この値から、危険箇所かどうかの判断と危険車両かどうかの判断を行い、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する。
【0029】
衝突危険性判定部64は、各接近車両について、自車両との衝突危険性に関する判定を行う。衝突危険性に関する判定としては、例えば、各所定接近車両の位置情報の変化から当該車両の速度を導出し、車速センサから取得した自車両の速度を用いて、自車両の進行方向に存在する交差点に到達するタイミングが合致するか否かを判定する。そして、交差点に到達するタイミングが合致する場合、接近車両の速度変化から当該車両の制動意思を判断する共に、自車両の速度変化から自車両の制動意思を判断し、双方共に制動意思が推認されない場合に、衝突危険性が高いと判定する。
【0030】
衝突回避動作制御部65は、衝突危険性が高いと判定された場合に、衝突回避部51を制御して、ドライバに音声による警告を与える。衝突回避動作制御部65は、衝突危険性が高い場合に、衝突回避部51を制御してシートベルトを締め付けることで、ドライバに警告を与えてもよい。また、衝突回避動作制御部65は、衝突危険性が高い場合に、衝突回避部51を制御して、ブレーキアクチュエータを作動させる介入制御、操舵トルクを付与する介入制御などを実行してもよい。
【0031】
次に、本実施形態に係る危険性判断装置1の動作について、図2〜図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、ステップをSと略記することもある。図2は、本発明の第1実施形態に係る危険性判断装置で実行される動作手順を示すフローチャートである。まず、対象地点の絞込み処理を行う(S1)。図3は、対象地点の絞込み処理の手順を示すフローチャートである。対象地点の絞込み処理では、登録地点であるか否かを判定する(S11)。例えば、危険箇所が登録された危険箇所データベースを参照し、制御対象となる登録地点(所定エリア)であるか否かを判定する。自車両の現在位置が登録地点である場合には、ステップ12に進み、登録地点ではない場合には、一定時間の経過後ステップ11の処理を再度実行する。
【0032】
ステップ12では、周辺環境情報を確認する。危険性判断装置1は、例えば、天気、気温、路面状態などの周辺環境情報を取得し、自車両の周辺環境をチェックする。続く、ステップ13では、自車両の現在位置が危険箇所に該当するか否かを判定する。危険性判断装置1は、周辺環境情報に基づいて、判定条件を満たしているか否かを判定する。判定条件を満たしている場合には、危険箇所に該当すると判定し、判定条件を満たしていない場合には、危険箇所に該当しないと判定し、一定時間の経過後再度ステップ11の処理を再度実行する。
【0033】
ステップ13で危険箇所に該当すると判定された場合には、対象地点の絞込み処理を終了し、図2のステップ2に進み、自車の危険度判定処理を行う。図4は、自車の危険度判定処理の手順を示すフローチャートである。自車の危険度判定処理では、ドライバの走行経験に関する情報を取得し(S21)、ドライバのその日の状況に関する情報を取得する(S22)。重み付け設定部63は、ドライバ特性に関する情報を取得し、ドライバの走行経験に関する情報、その日の状況に関する情報を取得する。
【0034】
続く、ステップ23では、しきい値を超えるか否かを判定する。ドライバ特性に関する情報を数値化し、その数値が、対象車両と設定するための判定しきい値を超える場合には、ステップ24に進み、判定しきい値を超えない場合には、自車の危険度判定処理を終了する。
【0035】
ステップ24では、しきい値を超える車両を対象車両と判定する。重み付け設定部63は、対象車両と設定することで、危険度の重み付けを判定する。ステップ24終了後、自車の危険度判定処理を終了し、図2のステップ3に進み、相手車両の危険度判定を行う。
【0036】
ステップ3では、相手車両の危険度を特定するための所定の条件が成立するか否かを判定する。相手車両の危険度を特定するための所定の条件としては、i)危険車両とみなされた車両がある範囲内に進入したとき、ii)危険車両である他車が右折するとき、対向車として大型トラックなどが自車に接近するとき、iii)付近の建物や駐車場から交差点に進入する他車両が危険車両や対向車に出くわすとき(付近で駐車していた他車両が、交差点に進入し、危険車両や対向車に出くわすとき)、などが挙げられる。上記条件i)〜iii)の何れかが成立したときに、相手車両の危険度を特定する。衝突危険度判定部64は、相手車両の危険度を特定することで、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する。
【0037】
続くステップ4では、危険度が高いと重み付けされているか否かを判定する。ステップ1〜3の全ての条件を満たすとき、危険度が高いと重み付けされていると判定し、ステップ5に進む。危険度が高いと重み付けされていない場合には、ステップ1に戻る。
【0038】
ステップ5では、衝突危険性判定部64は、危険度判定処理を実行する。危険度が高いと判定された場合には、衝突回避動作制御部65は、衝突回避部51を制御して、ドライバに対する警告、衝突回避のための介入制御を実行する。
【0039】
このように危険性判断装置1では、制御対象地点である所定エリアに対する危険度の重み付けを可変にし、危険度が高いと判定された場合のみ衝突危険性を判断する。これにより、危険度が高いと判定されなかった所定エリアにおける衝突危険性の判断を実行せず、実際に危険度が高いのみ所定エリアにおける衝突危険性を判断することができる。そのため、処理負荷の軽減が図られた危険性判断装置を実現することができる。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態に係る危険性判断システムについて説明する。図5は、本発明の第2実施形態に危険性判断システムを示すブロック図である。なお、上記第1実施形態と同様の説明は省略する。図5に示す危険性判断システム71は、複数の車両との間で信号の送受信を行う管理サーバ72と、車両に搭載された危険性判断装置1Aとによって実現される。第2実施形態が第1実施形態と違う点は、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する重み付け設定部74が管理センタに設けられている点である。第2実施形態の危険性判断装置1Aが、第1実施形態の危険性判断装置と違う点は、重み付け設定部63を備えた衝突予防ECU61に代えて、重み付け設定部63を備えていない衝突予防ECU61Aを有する点である。
【0041】
管理サーバ72は、複数の車両などから各種情報を収集し、収集された各種情報を管理する管理センタに設けられたサーバである。管理サーバ72は、演算処理を行うCPU、記憶部となるROM及びRAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成されている。また、管理サーバ72は、通信ネットワークに接続され、危険性判断装置1Aを備えた車両(自車A、他車B,C)と通信可能な構成とされている。
【0042】
管理サーバ72は、主な構成として、通信制御部73、重み付け設定部74、記憶部75を備える。通信制御部73は、管理サーバ72の通信を制御する。管理サーバ72は、複数の車両から各種情報を取得する。管理サーバ72は、各種情報として、例えば、周辺環境情報、交通流情報、ドライバ特性に関する情報を取得する。
【0043】
重み付け設定部74は、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する。重み付け設定部74は、周辺環境情報、交通流情報、ドライバ特性情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する。
【0044】
記憶部75は、所定エリアに関する情報を記憶する記憶手段として機能する。所定エリアとは、例えば、過去のデータなどに基づいて設定された登録地点であり、衝突が発生しやすい交差点などである。記憶部75は、ドライバ特性に関する情報を記憶する記憶手段として機能する。記憶部75は、収集した各種情報を記憶する記憶手段として機能する。
【0045】
重み付け設定部74は、所定エリアに車両が進入した場合に、記憶部75に記憶された所定エリアに関する情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する重み付け設定手段として機能する。重み付け設定部74は、所定エリアに車両が進入した場合に、記憶部に記憶されたドライバ特性に関する情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する重み付け設定手段として機能する。
【0046】
また、通信制御部73は、重み付け設定部74によって、危険度が高いと重み付けされた場合に、当該所定エリアに存在する車両に対して、自車の衝突危険度を判定するように指示する信号を送信する送信手段として機能する。
【0047】
危険性判断装置1Aの衝突予防ECU61Aは、管理センタからの指令信号に従い、自車の衝突危険度を判定する。このように管理センタによって、各種情報を収集し、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定してもよい。このように構成された危険性判断システム71によれば、車両が所定エリアを通過する際に、衝突危険性を判断する技術において、所定エリアに対する危険度の重み付けを可変にし、危険性が高い場合のみ当該所定エリアに存在する車両に信号を送信して衝突危険性を判断させる。これにより、実際に危険性が高い場合のみ衝突危険性を判断させることができるため、危険性判断装置1Aにおける処理負荷を軽減することができる。
【0048】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、重み付け設定手段は、周辺環境情報、交通流情報、ドライバ特性に関する情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定しているが、その他の情報に基づいて所定エリアにおける危険度の重み付けを設定してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,1A…危険性判断装置、61,61A…衝突予防ECU、63…重み付け設定部、64…衝突危険性判定部、71…危険性判断システム、72…管理サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が所定エリア内に存在する場合の危険性を判断する危険性判断装置において、
所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する重み付け設定手段と、
前記重み付け設定手段によって、危険度が高いと重み付けされた場合に、自車両の衝突危険度を判定する衝突判定手段と、を備えることを特徴とする危険度判断装置。
【請求項2】
前記重み付け設定手段は、周辺環境情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する請求項1記載の危険度判断装置。
【請求項3】
前記重み付け設定手段は、交通流情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する請求項1又は2記載の危険度判断装置。
【請求項4】
前記重み付け設定手段は、ドライバ特性に関する情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する請求項1〜3の何れか一項に記載の危険度判断装置。
【請求項5】
車両との間で信号の送受信を行う管理サーバを備え、前記車両が所定エリア内に存在する場合の危険性を判断する危険性判断システムにおいて、
前記管理サーバは、
前記所定エリアに関する情報を記憶する記憶手段と、
前記所定エリアに存在する前記車両に信号を送信する送信手段と、
前記所定エリアに前記車両が進入した場合に、前記記憶手段に記憶された前記所定エリアに関する情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する重み付け設定手段と、を備え、
前記送信手段は、前記重み付け設定手段によって、危険度が高いと重み付けされた場合に、前記車両に対して、前記車両の衝突危険度を判定するように指示する信号を送信することを特徴とする危険性判断システム。
【請求項6】
車両との間で信号の送受信を行う管理サーバを備え、前記車両が所定エリア内に存在する場合の危険性を判断する危険性判断システムにおいて、
前記管理サーバは、
ドライバ特性に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記所定エリアに存在する前記車両に信号を送信する送信手段と、
前記所定エリアに前記車両が進入した場合に、前記記憶手段に記憶された前記ドライバ特性に関する情報に基づいて、所定エリアにおける危険度の重み付けを設定する重み付け設定手段と、を備え、
前記送信手段は、前記重み付け設定手段によって、危険度が高いと重み付けされた場合に、前記車両に対して、前記車両の衝突危険度を判定するように指示する信号を送信することを特徴とする危険性判断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−14097(P2011−14097A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160094(P2009−160094)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】