説明

原稿給送装置および画像読取装置

【課題】昇降可能な原稿トレイを有し、その昇降により原稿の取り出し易さを確保しながら、原稿が給送可能となるまでの時間が無用に遅れるのを避けることができる画像読取装置の原稿給送装置を提供する。
【解決手段】この原稿給送装置は、原稿を載置する昇降可能な原稿トレイと、原稿トレイの下方に配置され、原稿トレイから画像読取位置へ給送された原稿が排出される排出トレイと、排出トレイの周縁部上方で人体を検知する人体検知センサとを備え、原稿トレイからの給送により原稿セット検知センサが原稿を検知しなくなってから、人体検知センサが人体を検知すると、原稿トレイを給送位置より上昇させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿トレイから画像読取位置へ原稿を給送する原稿給送装置およびその原稿給送装置を備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やスキャナ、ファクシミリ、複合機などの画像読取装置では、複数の原稿の画像を高速に読み取るために、原稿トレイに積載された原稿を一枚ずつ自動的に画像読取位置へ給送する原稿給送装置が用いられている。画像読取位置を通過した原稿は、原稿トレイの下方に設けられた排出トレイへ排出される。ユーザは、全ての原稿が排出トレイに排出されてから、その原稿を排出トレイから取り出せばよい。
【0003】
特許文献1は、原稿給紙トレイと原稿排紙トレイとの間隔が狭いと、原稿排紙トレイから原稿を容易に取り出せないと指摘している。この問題を解決するものとして、特許文献1は、原稿給紙トレイを昇降可能に支持し、原稿給紙トレイに積載された原稿が全て給送されると、原稿トレイ上方退避位置まで原稿給紙トレイを上昇させる原稿給紙装置を記載している。原稿排紙トレイから原稿が取り出され、排出原稿検知センサが原稿を検知しなくなると、原稿給紙トレイはホームポジションまで下降する。
【特許文献1】特開2006−16093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿を複数回に分けて原稿トレイに載置して画像を読み取るような場合でも、排出トレイから取り出すときには、各回の読み取りが終了する度に取り出すよりも、全ての原稿をまとめて取り出した方が簡便である。このような場合、各回の読み取りが終了する度に原稿トレイを退避位置へ上昇させても無駄になる。
【0005】
また原稿トレイを退避位置まで上昇させると、ホームポジションに原稿トレイを下降させるまでの時間が増加してしまう。このため、次回の読み取り分の原稿を給送するまでに時間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の提供する原稿給送装置は、原稿を載置する昇降可能な原稿トレイと、原稿トレイを昇降させる駆動機構と、原稿トレイ上の原稿を検知する原稿セット検知センサと、原稿トレイから画像読取位置へ原稿を給送する原稿搬送機構と、原稿トレイの下方に配置され、原稿トレイから画像読取位置へ給送された原稿が排出される排出トレイと、排出トレイの周縁部上方で人体を検知する人体検知センサと、原稿トレイからの給送により原稿セット検知センサが原稿を検知しなくなってから、人体検知センサが人体を検知すると、原稿トレイを給送位置より上昇させる制御部とを備える。
【0007】
この原稿給送装置は、排出トレイ上の原稿を検知する排出原稿検知センサをさらに備えるようにしてもよい。その場合、制御部は、原稿トレイからの給送により原稿セット検知センサが原稿を検知しなくなってから、排出原稿検知センサが原稿を検知していれば、人体検知センサが人体を検知したとき、原稿トレイを給送位置より上昇させることができる。
【0008】
制御部は、排出トレイに排出された原稿を排出原稿検知センサが検知しなくなり、人体検知センサが人体を検知していなければ、上昇させた原稿トレイを初期位置に下降させるようにしてもよい。
【0009】
また原稿給送装置は、排出トレイへの排出部を通過する原稿を検知する通過原稿検知センサをさらに備えるようにしてもよい。この場合、制御部は、原稿トレイに載置された全ての原稿が排出部を通過したことを通過原稿検知センサが検知しなければ、原稿トレイを移動させない制御をすることができる。
【0010】
本発明の他の態様によれば、上述の原稿給送装置と、原稿給送装置により給送された原稿の画像を読み取る画像読取部とを備える画像読取装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、排出トレイの周縁部上面に人体を人体検知センサが検知したときにのみ、昇降可能な原稿トレイを給送位置より上昇させて、排出トレイからユーザが原稿トレイを取り出し易くし、排出トレイからユーザが原稿を取り出そうとしていないのに原稿トレイを給送位置から上昇させて次の原稿を給送するのが無用に遅れるのを避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。この実施の形態では、デジタル複写機に備えられた原稿給送装置として本発明を具体化する。
【0013】
図1は本実施の形態におけるデジタル複写機の全体構成の一例を示す図である。複写機101は、画像読取部102および画像形成部103を備えている。画像読取部102は、原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータを生成する。画像読取部102は、コンタクトガラス等の透明板からなる原稿台104をその筐体上面に有している。原稿は、その原稿台104に載置することができる。原稿台104の下方には走査光学系105が配置されている。走査光学系105は、第1キャリッジ106や第2キャリッジ107、集光レンズ108を備える。第1キャリッジ106には線状の光源109およびミラー110が設けられ、第2キャリッジ107にはミラー111および112が設けられている。光源109は原稿を照明する。ミラー110、111、112は、原稿からの反射光をレンズ108に導き、レンズ108はその光像をラインイメージセンサ113の受光面に結像する。この走査光学系105において、第1キャリッジ106および第2キャリッジ107は、副走査方向114に往復動可能に設けられている。第1キャリッジ106および第2キャリッジ107を副走査方向114に移動することによって、原稿台104に載置された原稿の画像をイメージセンサ113で読み取ることができる。イメージセンサ113は、受光面に入射した光像から、原稿の画像データを生成する。
【0014】
画像形成部103は、画像読取部102で得た画像データや外部機器から受信した画像データを用紙に印刷する。画像形成部103には、感光体ドラム115が設けられている。この感光体ドラム115は、一定速度で矢印方向116に回転する。感光体ドラム115の周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器117、露光器118、現像器119、転写器120、クリーニングユニット121が配置されている。帯電器117は、感光体ドラム115表面を一様に帯電させる。露光器118は、一様に帯電した感光体ドラム115の表面に、画像データに応じて光を照射し、感光体ドラム115上に静電潜像を形成する。現像器119は、その静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム115上にトナー像を形成する。転写器120は、感光体ドラム115上のトナー像を用紙に転写する。クリーニングユニット121は、転写後も感光体ドラム115表面に残留した廃トナーを感光体ドラム115から除去して感光体ドラム115表面をクリーニングする。感光体ドラム115が回転することによりこれらのプロセスが一連で行われる。
【0015】
画像形成部103は、手差しトレイ122や給紙カセット123から、感光体ドラム115と転写器120との間の転写部に用紙を給送する。手差しトレイ122や各給紙カセットには、様々なサイズの用紙を載置または収容することができる。画像形成部103は、ユーザの指定した用紙や、自動検知した原稿のサイズに応じた用紙を選択し、選択した用紙を給送ローラ124により手差しトレイ122やカセット123から引き出す。引き出した用紙は搬送ローラ125やレジストローラ126で転写部に送り込む。トナー像を転写した用紙は、定着器127に搬送される。定着器127は、定着ローラ128および加圧ローラ129を有しており、熱と押圧力によってトナー像を用紙に定着する。画像形成部103は、定着器127を通過した用紙を排出トレイ130へ排紙する。
【0016】
このような複写機101において、画像読取部102の上側には原稿給送装置131が開閉可能に取り付けられている。原稿給送装置131には、原稿トレイ132、搬送路133および排出トレイ134が備えられている。ユーザは、原稿台104に原稿を載置するか、この原稿給送装置131に原稿をセットする。原稿給送装置131は、原稿トレイ132にセットされた原稿を原稿搬送機構により1枚ずつ搬送路133へ送り出す。その搬送路133上には画像読取位置135がある。画像読取部102の筐体上面には、原稿台104だけでなく、その画像読取位置135に対する読取用ガラス136も設けられている。原稿給送装置131にセットされた原稿の画像を読み取る場合、画像読取部102は、第1キャリッジ106および第2キャリッジ107を画像読取位置135に合わせて一時的に固定する。原稿が画像読取位置135を通過するとき、読取用ガラス136を通じて原稿を照明し、原稿の画像を読み取る。画像読取位置135を通過した原稿は、排出トレイ134に排出される。
【0017】
図2は本実施の形態における原稿給送装置の機械的構成の一例をより詳細に示す断面図である。原稿給送装置131の原稿搬送機構は、原稿トレイ132に載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離するため、ピックアップローラ201、給送ベルト202および分離ローラ203を備えている。ピックアップローラ201は、原稿束の最上面の先端に押し当てられる。その状態でピックアップローラ201を駆動することで、原稿束から原稿が引き出される。引き出された原稿が2枚以上あっても、それらの原稿から1枚目の原稿を給送ベルト202および分離ローラ203が分離して搬送路133の下流側へ搬送する。その下流には、レジストローラ204および搬送ローラ205が設けられている。レジストローラ204で画像読取位置135に搬送するタイミングを調整し、搬送ローラ205が画像読取位置135へ原稿を搬送する。その画像読取位置135で原稿の片面の画像が読み取られる。この原稿給送装置131では、画像読取位置135の下流に、密着光学系を採用した原稿読取部206が配置されている。原稿の両面の画像を読み取る場合、この原稿読取部206で残りの面の画像を読み取る。原稿読取部206を通過した原稿は、排紙ローラ207により排出部から排出トレイ134へ排紙される。原稿トレイ132に載置された原稿の画像が全て読み取られた後、ユーザは、原稿トレイ132と排出トレイ134との間に手を挿入し、それらの原稿をまとめて排出トレイ134から取り出すことができる。
【0018】
この原稿給送装置131において、原稿トレイ132は、原稿搬送方向208下流側に配置された下流側トレイ209と、原稿搬送方向208上流側に配置された上流側トレイ210を有する。
【0019】
下流側トレイ209の上面には、一対の原稿カーソル211が配置されている。その原稿カーソル211は、原稿幅方向に往復動可能に取り付けられている。原稿カーソル211の間に配置された原稿をその原稿カーソル211で幅寄せすることで、原稿の幅方向の中心を機械と合わせることができる。
【0020】
上流側トレイ210は、下流側209の原稿搬送方向208の上流端に揺動可能に連結されている。ユーザは、排出トレイ134から原稿を取り出すとき、この上流側トレイ210を必要に応じて持ち上げることにより、排出トレイ134の上方空間を広げることができる。
【0021】
また原稿トレイ132は、下流側トレイ209の両側部で昇降機構212により昇降可能に支持されている。昇降機構212は、ラック213およびピニオン214を有している。ピニオン214をモータで駆動することにより、原稿トレイ132はラック213の長辺方向215に沿って昇降する。例えば原稿トレイ132に原稿が載置されると、初期位置(ホームポジション)から原稿トレイ132を上昇させて、原稿束の上面をピックアップローラ201に押し当てる。原稿トレイ132に原稿が載置されたかどうかは、光学センサのような原稿セット検知センサ216を用いて検出することができる。原稿束の上面がピックアップローラ201に押し当てられる給送位置に達したかどうかは、上限位置検知スイッチ217を用いて検出される。この検知信号は、原稿トレイ132に載置された原稿を一枚ずつ給送する間、監視されている。原稿が給送されることで、原稿束の上面が給送位置より低くなると、上限位置検知スイッチ217が再び検知するまで原稿トレイ132が上昇する。このようにして原稿給送中は、原稿束の上面が給送位置に調整される。
【0022】
図3は原稿トレイがホームポジションにある状態の原稿給送装置を示す図である。原稿の画像の読み取りが完了し、排出トレイ134から原稿が取り出されると、ピニオン214を駆動することにより、原稿トレイ132は、ホームポジションへ下降する。ホームポジションには下限位置検知センサ301が配置されており、下限位置検知センサ301が原稿トレイ132を検知すると、モータは駆動を停止する。
【0023】
図4は原稿トレイが上方退避位置にある状態の原稿給送装置を示す図である。原稿トレイ132に載置された原稿が全て給送されたとき、原稿トレイ132はほぼ給送位置にありホームポジションにあるときよりも、原稿トレイ132と排出トレイ134との間隔は広がっている。この間隔が広ければ、排出トレイ134からユーザが原稿を取り出し易い。
【0024】
その間隔をより広げるため、この原稿給送装置131では、給送位置よりも高い上方退避位置まで原稿トレイ132を上昇させることができる。例えば原稿セット検知センサ216、通過原稿検知センサ401および排出原稿検知センサ402を用いて、原稿トレイ132に載置されていた原稿が全て排出トレイ134に排出されたかどうかを判定し、全ての原稿が排出されていれば、原稿トレイ132を給送位置から上方退避位置まで上昇させる。原稿セット検知センサ216がオフになってから、通過原稿検知センサ401が最後の原稿の通過を検知しており、排出原稿検知センサ402が排出トレイ134上の原稿を検知していれば、ピニオン214を既定時間駆動して原稿トレイ132を上昇させる。
【0025】
しかしながら、上方退避位置まで原稿トレイ132を上昇させると、原稿トレイ132をホームポジションへ下降させるのに要する時間が給送位置から下降させるときよりも増加してしまう。その場合、次の給送を行うまでに要する時間が増えることになる。
【0026】
そこで、この原稿給送装置131は、排出トレイ134の周縁部上方で人体を検知する人体検知センサ403を備えている。この実施の形態では、排出トレイ134の原稿搬送方向208上流側の周縁部上面に人体検知センサ401として光学センサが配置されている。そして原稿給送装置131は、全ての原稿が排出されたと判断してから、排出トレイ139の上方へ差し出されたユーザの手を人体検知センサ401が検知すると、原稿トレイ132を上方退避位置へ上昇させる。
【0027】
これによってユーザが排出トレイ134から原稿を取り出す動作を実際に行ったときにのみ原稿トレイ132が上方退避位置へ上昇する。原稿を複数回に分けて原稿トレイに載置して画像を読み取るような場合に、各回の読み取りが終了する度に排出トレイ134から原稿を取り出すつもりがそのユーザになければ、原稿トレイ132は上方退避位置へ無用に上昇しない。このため各回の読み取りが終了する度に原稿トレイ132が上方退避位置へ上昇するときよりも、2回目以降の読み取り分の原稿が給送可能になるまでの時間を短縮することが可能となる。
【0028】
図5は原稿給送装置の制御系の構成例を示す図である。原稿給送装置の制御部501には、専用回路か汎用の演算回路を用いることができる。この実施の形態では、汎用回路を用いており、制御部501は、CPU502やROM503等を備える。ROM503は制御プログラムを格納しており、CPU502は、その制御プログラムの指令にしたがって原稿給送装置131を制御する。
【0029】
制御部501には、各種の駆動モータやセンサ、スイッチが接続される。この実施の形態では、制御部501が、リフトモータ504、給紙モータ505、レジストモータ506、搬送モータ507、排紙モータ508と接続されており、各モータをそれぞれ独立に制御する。リフトモータ504は昇降機構を駆動し、給紙モータ505はピックアップローラを駆動する。レジストモータ506はレジストローラを駆動し、搬送モータ507および排紙モータ508は搬送ローラおよび排出ローラをそれぞれ駆動する。
【0030】
また制御部501は、原稿セット検知センサ216、上限位置検知スイッチ217、下限位置検知センサ301、通過原稿検知センサ401、排出原稿検知センサ402および人体検知センサ403などのセンサやスイッチと接続されている。さらに制御部501は、複写機本体の制御部509を介して操作パネル510とも接続されている。操作パネル510は、スタートキーを有しており、ユーザは、そのスターキーを操作することによって、複写の開始を複写機に指示する。
【0031】
図6は原稿給送装置の制御手順の一例を説明するためのフローチャートである。制御部のCPUは、制御プログラムの指令にしたがって、これらの手順を実行する。まずCPUは、原稿セット検知センサの出力がオンかどうかを監視する(手順601)。原稿トレイに原稿が載置され、原稿セット検知センサの出力がオンになると、CPUは、上限位置検知スイッチがオンかオフかを判定し(手順602)、オフであれば、上限位置検知スイッチがオンになるまでリフトモータを駆動する(手順603)。これにより、原稿トレイ上の原稿束上面がピックアップローラに接し、原稿が給送可能な状態となる。上限位置検知スイッチがオンになり、原稿束上面が給送位置にあると判断すると、CPUは、操作パネルの入力を監視し、ユーザがスタートキーを押したかどうかを判別する(手順604)。
【0032】
ユーザがスタートキーを押すと、CPUは、原稿トレイに載置された原稿を搬送する(手順605)。原稿を搬送している間、CPUは、上限位置検知スイッチがオンかどうかを監視する(手順606)。原稿の給送により原稿束の高さが低くなり、上限位置検知スイッチがオフになると、CPUは、上限位置検知スイッチがオンになるまでリフトモータを駆動する(手順607)。上限位置検知スイッチがオンであり原稿が給送位置にある場合、CPUは、原稿セット検知センサがオンかオフかを監視する(手順608)。原稿トレイに原稿が残っているために原稿セット検知センサがオンのままであれば手順606及び607を繰り返す。一方、原稿トレイ上の原稿が全て給送され原稿セット検知センサがオフになると、CPUは、通過原稿検知センサがオフになったかどうかを監視する(手順609)。通過原稿検知センサがオフになり、最後の原稿が通過したと判断すると、CPUは、排出原稿検知センサがオンかどうかをチェックする(手順610)。
【0033】
排出原稿検知センサがオフになっていれば、CPUは、人体検知センサがオフかどうかをチェックする(手順611)。原稿トレイと排出トレイとの間にユーザが手を伸ばしておらず、人体検知センサがオフであれば、CPUは、下限位置検知センサの出力をチェックする(手順612)。下限位置検知センサがオフであれば、オンになるまでリフトモータを逆方向に動作させる(手順613)。それによって、給送位置からホームポジションへ原稿トレイが下降する。
【0034】
一方、手順610で排出原稿検知センサがオンであれば、CPUは、人体検知センサがオンかどうかをチェックする(手順614)。人体検知センサがオンである場合、CPUは、リフトモータを正方向に既定時間動作させる(手順615)。これによって、原稿トレイが給送位置から上方退避位置へ上昇し、原稿トレイと排出トレイとの間からユーザが原稿を取り出し易くなる。リフトモータを既定時間動作させると、CPUは、排出原稿検知センサの出力を監視し(手順616)、排出トレイから原稿が取り出されたかどうかを確認する。排出トレイからユーザが原稿を取り出し排出原稿検知センサがオフになると、CPUは、手順611乃至613を実行する。これによって、原稿トレイは上方退避位置からホームポジションへ下降する。
【0035】
手順614において人体検知センサがオフである場合、ユーザは、排出トレイ上の原稿を取り出そうとしていない。この場合、CPUは、原稿トレイを給送位置から上昇させることなく、手順611乃至手順613を実行する。これによって、原稿トレイは給送位置からホームポジションへ下降し、ユーザが他の原稿を原稿トレイに載置することが可能となる。上方退避位置からホームポジションへ原稿トレイを下降させる場合よりも、原稿トレイがホームポジションへ戻るまでの時間が短縮される。
【0036】
もしユーザが原稿トレイに他の原稿を載置すれば、排出トレイに前の原稿が残されたまま再び手順601以降の手順をCPUは実行する。このように複数回に分けて原稿を載置するとき、この原稿給送装置は、ユーザが各回の原稿を排出トレイから取り出そうとしなければ、各回の原稿の読み取りが終了する度に原稿トレイを上方退避位置まで上昇させない。
【0037】
さらに上述の制御手順では、全ての原稿が排出部を通過したことを検知するまで、原稿トレイを移動させていない。このため、原稿の画像を読み取っている途中で、原稿トレイと排出トレイの間にユーザが手を伸ばしたとしても、原稿トレイは下降しない。
【0038】
上述のような制御プログラムは、コンピュータ読取可能な媒体を用いて第三者に提供することができる。例えばプログラムの指令を電気信号や光信号、磁気信号などで表現し、その信号を搬送波に載せて送信することで、同軸ケーブルや銅線、光ファイバのような伝送媒体でそのプログラムを提供することができる。また制御プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に記録してもよい。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROMやCD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RWなどの光学メディアや、フレキシブルディスクのような磁気メディア、フラッシュメモリやRAMのような半導体メモリを利用することができる。
【0039】
上述の原稿給送装置では、原稿のサイズにかかわらず人体検知センサが人体を検知すると、原稿トレイを給送位置より上昇させていたが、原稿サイズが既定サイズ以下の場合に人体検知センサが人体を検知すると、原稿トレイを給送位置より上昇させるようにしてもよい。原稿サイズは、例えば一対の原稿カーソル間の幅を検知することで特定することができる。原稿サイズが既定サイズよりも大きければ、排出された原稿端が排出トレイの周縁部に近づくので、既定サイズ以下の原稿と比べると、排出トレイから原稿を取り出し易い。このような場合に原稿トレイを給送位置から上昇させるのを避けることで、原稿の取り出し易さを確保しながら、原稿が給送可能となるまでの時間をできるだけ短縮することができる。
【0040】
また上述の原稿給送装置では、排出トレイの原稿搬送方向上流側の周縁部上面に人体検知センサを配置していたが、これに限られるものではない。例えば原稿を取り出し易くするため、原稿トレイに切欠部が設けられており、その切欠部により排出トレイが原稿トレイと重なっていない領域を有している場合、その領域に人体検知センサを配置するようにしてもよい。
【0041】
さらに本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複合機などデジタル複写機以外の画像読取装置及びその原稿給送装置に適用することも可能である。
【0042】
上述した実施の形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の原稿給送装置および画像読取装置によれば、排出トレイの周縁部上面に人体を人体検知センサが検知したときにのみ原稿トレイを給送位置より上昇させて、排出トレイからユーザが原稿トレイを取り出し易くすると共に、排出トレイから原稿をユーザが取り出そうとしていないのに原稿トレイを給送位置から上昇させて次の原稿を読み取るのが無用に遅れるのを避けることができ、複写機やプリンタ、ファクシミリ、複合機等の様々な機器に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施の形態におけるデジタル複写機の全体構成の一例を示す図である。
【図2】本実施の形態における原稿給送装置のより具体的な構成の一例を示す図である。
【図3】原稿トレイが上方退避位置にある状態の原稿給送装置を示す図である。
【図4】原稿給送装置の動作状態を説明するための別の図である。
【図5】原稿給送装置の制御系の構成例を示す図である。
【図6】原稿給送装置の制御手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
101 複写機
102 画像読取部
103 画像形成部
131 原稿給送装置
132 原稿トレイ
133 搬送路
134 排出トレイ
212 昇降機構
216 原稿セット検知センサ
217 上限位置検知スイッチ
301 下限位置検知センサ
401 通過原稿検知スイッチ
402 排出原稿検知スイッチ
403 人体検知スイッチ
501 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置する昇降可能な原稿トレイと、
原稿トレイを昇降させる駆動機構と、
原稿トレイ上の原稿を検知する原稿セット検知センサと、
原稿トレイから画像読取位置へ原稿を給送する原稿搬送機構と、
原稿トレイの下方に配置され、原稿トレイから画像読取位置へ給送された原稿が排出される排出トレイと、
排出トレイの周縁部上方で人体を検知する人体検知センサと、
原稿トレイからの給送により原稿セット検知センサが原稿を検知しなくなってから、人体検知センサが人体を検知すると、原稿トレイを給送位置より上昇させる制御手段と
を備える原稿給送装置。
【請求項2】
排出トレイ上の原稿を検知する排出原稿検知センサをさらに備え、
前記制御手段が、原稿トレイからの給送により原稿セット検知センサが原稿を検知しなくなってから、排出原稿検知センサが原稿を検知していれば、人体検知センサが人体を検知したとき、原稿トレイを給送位置より上昇させる請求項1記載の原稿給送装置。
【請求項3】
前記制御手段が、排出トレイに排出された原稿を排出原稿検知センサが検知しなくなり、人体検知センサが人体を検知していなければ、上昇させた原稿トレイを初期位置へ下降させる請求項2記載の原稿給送装置。
【請求項4】
排出トレイへの排出部を通過する原稿を検知する通過原稿検知センサをさらに備え、
前記制御手段が、原稿トレイに載置された全ての原稿が排出部を通過したことを通過原稿検知センサが検知しなければ、原稿トレイを移動させない請求項2記載の原稿給送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の原稿給送装置と、
原稿給送装置により給送された原稿の画像を読み取る画像読取部と
を備える画像読取装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−320670(P2007−320670A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149500(P2006−149500)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】