原稿給送装置及び画像読取装置
【課題】綴じ状態のある原稿が積載された場合でも、綴じ状態を的確に判定することで原稿への損傷を無くすることが可能な原稿給送装置及び画像読取装置を提供する。
【解決手段】CPUは、給送ローラ103による原稿Pの給送前にファン203〜206を作動させて原稿Pの側部に送風を行い、その際の原稿面高さを距離センサ207〜210で検知することに基づき、給送前の原稿に綴じ状態があるか否かを判断する。これにより、原稿トレイ101に積載された原稿Pがステイプル、クリップ等による綴じ部のある場合、糊付けや非磁性の綴じ具で綴じられている場合のいずれであっても、綴じ状態の有無を的確に判断することができる。このため、原稿トレイ101に綴じ原稿を積載してしまった場合でも、綴じ状態を原稿給送前に確実に判定し、原稿に損傷を与える等の不都合を確実に防止できる。
【解決手段】CPUは、給送ローラ103による原稿Pの給送前にファン203〜206を作動させて原稿Pの側部に送風を行い、その際の原稿面高さを距離センサ207〜210で検知することに基づき、給送前の原稿に綴じ状態があるか否かを判断する。これにより、原稿トレイ101に積載された原稿Pがステイプル、クリップ等による綴じ部のある場合、糊付けや非磁性の綴じ具で綴じられている場合のいずれであっても、綴じ状態の有無を的確に判断することができる。このため、原稿トレイ101に綴じ原稿を積載してしまった場合でも、綴じ状態を原稿給送前に確実に判定し、原稿に損傷を与える等の不都合を確実に防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ等の画像読取装置に原稿を1枚ずつ分離給送する原稿給送装置に関し、特には原稿に付されたステイプル等の綴じ部を判別する機能を有する原稿給送装置及びこれを備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機等に使用される画像読取装置には、自動原稿給送装置により原稿を1頁ずつ原稿台ガラス上に搬送し、その搬送路に固定された露光装置により露光して原稿の画像を読み取る、所謂「流し読み」を行うものがある(特許文献1参照)。
【0003】
上記構成を有する画像読取装置では、流し読みを行う際に、ステイプルやクリップを除去されない原稿束が原稿トレイ上に積載されて、読み取り指示が行われることがある。自動原稿給送装置では、給送部の分離機構によって原稿が1枚ずつ分離されて給送されるように構成されるので、綴じ状態の原稿束の積載状態で給送動作が開始されると、最上面の原稿が分離、給送される際に綴じ部分に負荷がかかる。これにより、原稿がシワになったり、破れてしまったりすることがある。また、綴じられた原稿が分離されずに送り出されることで、搬送経路上で紙詰まりを起こすというトラブルが発生することもある。
【0004】
そこで、このような事態を避けるために、原稿がステイプルやクリップ等で綴じられていることを検知する装置が種々提案されている。例えば、原稿トレイ上に積載された原稿に対し、ステイプル、クリップ、糊付け等の綴じ部の有無を判断するために、原稿給送時の原稿の跳ね上がりを検出して綴じ部の有無を判断する構成を備えた装置がある(特許文献2参照)。或いは、原稿積載部に金属探知器を設けて、ステイプル、クリップの有無を判断する装置も知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−285595号公報
【特許文献2】特許第4118135号公報
【特許文献3】特開平9−77282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、給送時に原稿の跳ね上がりを見る上記特許文献2記載の技術では、原稿を実際に送り出す時点での綴じ部の有無を判断するので、原稿破れには至らないまでも、給送の際に綴じ部に負担がかかり、綴じ部に折れやシワが付いてしまう問題があった。さらに、サイド規制板に原稿が押し付けられて、原稿端部に折れやシワが付いてしまうという問題もあった。
【0007】
また、原稿積載部に金属検知器を設ける上記特許文献3記載の技術では、糊付けや非磁性の綴じ具によって綴じられた原稿束を検出することができないという問題があった。さらに、装置内の金属と区別がつきにくく、ステイプルやクリップがない原稿でも反応してしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、原稿積載部にステイプル、糊付け等による綴じ状態のある原稿が積載された場合でも、綴じ状態を的確に判定することで原稿に与える損傷を無くすることが可能な原稿給送装置、及びこれを備えた画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、原稿を積載する原稿積載部と、前記原稿積載部上の原稿を画像読取位置に送り出す原稿給送部と、を備えた原稿給送装置において、前記原稿積載部に積載した原稿の側部に対して送風する送風部と、前記原稿積載部上の原稿の原稿面高さを検知する原稿面高さ検知部と、を有し、前記原稿給送部による原稿の給送前に前記送風部を作動させて原稿の側部に送風を行った際の、前記原稿面高さ検知部で検知された原稿面高さに基づき、前記原稿給送部による給送前の原稿が綴じ状態であるか否かを判断する制御部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、原稿給送前に送風部を作動させて原稿に送風を行って原稿面高さを検知することに基づき、原稿に綴じ状態があるか否かを判断することができる。このため、原稿積載部に積載された原稿がステイプル、クリップ等による綴じ部のある場合、糊付けや非磁性の綴じ具で綴じられている場合のいずれであっても、綴じ状態の有無を的確に判断することができる。これにより、誤って原稿積載部に綴じ原稿を積載してしまった場合でも、綴じ状態を原稿給送前に確実に判定し、原稿に損傷を与える等の不都合を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態における自動原稿給送装置を搭載した画像読取装置の構成を示す側面断面図。
【図2】本実施形態における自動原稿給送装置を搭載した画像読取装置の構成を示す平面図。
【図3】本実施形態における自動原稿給送装置を搭載した画像読取装置の構成を示す斜視図。
【図4】本実施形態における装置の機能構成を示すブロック図。
【図5】本実施形態における原稿の綴じ部の検知動作を説明するフローチャート。
【図6】本実施形態における距離センサの設置構造を示す斜視図。
【図7】本実施形態におけるファンの設置構造を示す斜視図。
【図8】綴じ部が無い原稿を積載した場合の綴じ部検知時の外観図。
【図9】ステイプルによる綴じ部が1箇所の場合の綴じ部検知時の外観図。
【図10】ステイプルによる綴じ部が2箇所の場合の綴じ部検知時の外観図。
【図11】別の実施形態における原稿の綴じ部の検知動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る自動原稿給送装置を備えた画像読取装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図1、図2、図3はそれぞれ、本実施形態における自動原稿給送装置(原稿給送装置)を搭載した画像読取装置の構成を示す断面図、平面図、斜視図である。
【0013】
図1に示すように、原稿給送装置としての自動原稿給送装置100は、原稿Pを積載する原稿積載部である原稿トレイ101を有しており、原稿トレイ101の上方に給送ローラ103を有している。給送ローラ103は、分離搬送ローラ104と同一の駆動源に接続され、分離搬送ローラ104の回転に連れて回転して原稿を送り出す。本実施形態における画像読取装置は、原稿Pの画像を読み取るための原稿読取部102と、原稿読取部102に原稿Pを自動的に給送する自動原稿給送装置100とを備えている。なお、給送ローラ103は、原稿トレイ101上(原稿積載部上)の原稿Pを、原稿読取部102における流し読みガラス116に対応する画像読取位置に送り出す原稿給送部を構成している。
【0014】
また、図2に示すように、原稿Pを送り出した際に原稿Pの斜行を防ぐためのサイド規制板201,202が配設されている。サイド規制板201,202は、ユーザにより原稿トレイ101上で原稿送り方向(給送方向)に対して垂直な方向に稼動可能であり、通常、原稿Pの給送前に原稿幅に合った幅にセットされる。これらサイド規制板201,202は、原稿積載部としての原稿トレイ101に積載された原稿Pの給送方向(図2の矢印A方向)と直交する幅方向(図2の上下方向)のサイズに応じて可動可能に対向配置された一対の原稿ガイド部を構成している。
【0015】
図1に示すように、給送ローラ(原稿給送部)103は、通常、ホームポジションである上方の位置に退避して、原稿Pのセット作業を阻害しないように構成されている。給送動作が開始されると、給送ローラ103は、下降して原稿Pの上面に当接する。給送ローラ103は、不図示のアームに軸支されており、このアームが揺動することによって上下に移動する。
【0016】
分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104に対向して配置され、分離搬送ローラ104に向けて押圧されている。分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104より僅かに摩擦が少ないゴム材等から形成されており、分離搬送ローラ104と協働して、給送ローラ103によって送り出される原稿Pを、1枚ずつ捌いて給送する。
【0017】
レジストローラ106及びレジスト従動ローラ107は、分離搬送ローラ104及び分離搬送従動ローラ105からなる分離部で給送された原稿Pの先端を揃えるものである。静止したレジストローラ106及びレジスト従動ローラ107のニップ部に向けて、分離した原稿Pの先端が突き当てられることで、原稿Pにループが生じてその先端が揃えられる。そして、リードローラ108及びリード従動ローラ109は、原稿Pを、流し読みガラス(画像読取位置)116に向けて搬送する。流し読みガラス116の対向側には、プラテンローラ110が配置されている。
【0018】
この際、流し読みガラス116上を通過する原稿Pの画像情報がCCDラインセンサ126によって読み取られる。そして、CCDラインセンサ126での原稿Pの画像読み取りが終了すると、リード排出ローラ111及びリード排出従動ローラ112は、原稿を排紙ローラ113に向けて搬送する。115は、流し読みガラス116から原稿Pをすくい上げるためのジャンプ台であり、ジャンプ台115ですくい上げられた原稿Pは、排紙ローラ113によって排紙トレイ114に排出される。
【0019】
図1において、117は画像読取装置である。この画像読取装置117は、原稿Pの読み取り原稿面に対して光を照射するランプ119、及び原稿Pからの反射光をレンズ125及びCCDラインセンサ126に導くミラー120,121,122を有している。ランプ119及びミラー120は、第1ミラー台123に取り付けられている。また、ミラー121,122は、第2ミラー台124に取り付けられている。
【0020】
上記ミラー台123,124は、ワイヤ(図示せず)によって駆動モータ(図示せず)と結合され、駆動モータの回転駆動によって原稿台ガラス118と平行に移動させられる。原稿Pからの反射光は、ミラー120,121,122を介してレンズ125に導かれ、レンズ125によってCCDラインセンサ126の受光部に結像される。CCDラインセンサ126は、結像した反射光を受光素子で光電変換し、入射光量に応じた電気信号を出力する。
【0021】
上記構成を有する画像読取装置117では、原稿固定読み取りモードと流し読みモード)の2つのモードで原稿を読み取ることができる。原稿固定読み取りモードでは、原稿Pを原稿台ガラス118上に載置し、第1ミラー台123及び第2ミラー台124を移動させながら原稿を読み取る。流し読みモードでは、第1ミラー台123及び第2ミラー台124を停止させた状態で、原稿給送装置100によって原稿Pを搬送させながら、流し読みガラス116の位置(画像読取位置)で原稿の画像(画像情報)を読み取る。
【0022】
続いて、本発明に係る実施形態の特徴であるステイプル等による原稿の綴じ部(綴じ状態)の検出方法について説明する。
【0023】
すなわち、図2及び図3に示すように、サイド規制板(原稿ガイド部)201,202内には、原稿トレイ101に原稿Pが積載された際に、原稿Pの側部に対して送風を行うファン(送風部)203,204,205,206が配設されている。ファン203〜206は、原稿トレイ101に積載した原稿Pの対向する少なくとも2箇所以上(本実施形態では4箇所)の側部に対して送風する送風部を構成している。
【0024】
サイド規制板201,202内には、原稿トレイ101に積載された原稿Pの高さを測定する距離センサ(原稿面高さ検知部)207,208,209,210が配設されている。つまり、原稿面高さ検知部が複数設けられている。原稿トレイ101に積載された原稿Pの所定部位の高さを検知する距離センサ207〜210はそれぞれ、図6に示すように、原稿トレイ101上の原稿PにおけるA点、B点、C点、D点の各高さを測定するように構成されている。距離センサ207〜210は、各ファン(送風部)203〜206にそれぞれ近接した状態で原稿トレイ101上の原稿Pの原稿面高さを検知する2箇所以上の原稿面高さ検知部を構成している。
【0025】
図4は、本実施形態における装置の機能構成を示すブロック図である。図4において、CPU401は、ファン制御回路402を介してファン203,204,205,206に対し駆動制御を行う。また、同じくCPU401は、センサ制御回路403を介して距離センサ207,208,209,210の駆動制御を行う。CPU401は、原稿給送部としての給送ローラ103、送風部としてのファン203〜206、及び、原稿面高さ検知部としての距離センサ207〜210を制御する制御部を構成している。
【0026】
距離センサ207,208,209,210は、CPU401からの駆動信号を受けた際、その時点での対象物に対する距離をアナログ値としてA/D変換器404,405,406,407にそれぞれ伝送する。A/D変換器404は、距離センサ207からのアナログ値の距離情報をデジタル値に変換してCPU401に伝送する。A/D変換器405は、距離センサ208からのアナログ値の距離情報をデジタル値に変換してCPU401に伝送する。A/D変換器406は、距離センサ209からのアナログ値の距離情報をデジタル値に変換してCPU401に伝送する。A/D変換器407は、距離センサ210からのアナログ値の距離情報をデジタル値に変換してCPU401に伝送する。
【0027】
CPU(制御部)401は、A/D変換器404,405,406,407からの各デジタル値の距離情報に基づいて、原稿トレイ101上の原稿高さを算出する。また、CPU401は、上記距離情報を記憶する記憶部408を有している。
【0028】
後述するように、CPU401は、給送ローラ103による原稿Pの給送前に各ファン203〜206を作動させて原稿Pの側部に送風を行う。そして、その際の原稿面高さを各距離センサ207〜210で検知することに基づき、給送ローラ103による給送前の原稿Pに綴じ状態があるか否かを判断する。このCPU401は、ファン203〜206による送風時における2箇所以上の距離センサ207〜210による検知結果の相違に基づき、給送ローラ103による給送前の原稿Pに綴じ状態があるか否かを判断する。そして、CPU401は、給送前の原稿Pに綴じ状態があると判断した場合には、給送ローラ103による給送動作を中止すると共に、給送前の原稿Pに綴じ状態がある旨を報知手段としての操作部(図示せず)に表示してユーザに報知する。
【0029】
ここで、原稿綴じ部検知動作の本実施形態における一例について、図5のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートでは、特に明記が無い場合は全てCPU401が実行するものとする。
【0030】
原稿トレイ101上に原稿Pが載置された状態でコピー開始指示が不図示の操作部(操作パネル)からなされた場合、すぐに給送動作を行わず、以下の原稿綴じ部検出動作を行う。
【0031】
まず、ステップS501において、CPU401は、距離センサ207,208,209,210を駆動(ON)させ、それらの検知結果に基づいて、原稿PにおけるA点、B点、C点、D点(図6参照)の各高さをそれぞれ測定(算出)する。
【0032】
CPU401は、A/D変換器404,405,406,407を介して送信されてくる距離センサ207,208,209,210の各結果を夫々サンプリングし、原稿Pを載置した状態での初期高さを測定する。距離センサ207〜210の初期高さ値を夫々、センサ207での値(高さ)を“Hdef_A”、センサ208での値を“Hdef_B”、センサ209での値を“Hdef_C”、センサ210での値を“Hdef_D”として、記憶部408に記憶する。(S502)
【0033】
続いて、ファン203,204,205,206を駆動(ON)させ、原稿トレイ101に積載された原稿Pの側面に対して送風を行う(S503)。積載された原稿Pの側面(側部)に対して送風を行うため、送風方向は、図7に矢印で示すように、原稿トレイ101の内側方向にする。
【0034】
その後、ステップS504において、一定時間WAITを行う。この際のWAIT時間は、ファン203,204,205,206の送風により原稿Pが十分に浮き上がる時間を設定する。具体的な時間は、ファン203〜206の風量、個数、向き等により最適な値を設定する(例えば1秒程度)。
【0035】
CPU401は、ファン203〜206の送風を続けた状態で、A/D変換器404〜407を介して送信されてくる距離センサ207〜210の各結果をサンプリングする。このとき、原稿トレイ101に積載された原稿Pがファン203〜206の送風によって上下にばたつくことがある。そのような場合であっても、正しく検知を行うために、それぞれのセンサ測定点において原稿Pの上下のばたつきの中での最大高さを測定する。そのために、距離センサ207〜210の各結果のサンプリングは、所定時間毎に複数回行う必要がある(S505)。また、原稿Pがファン203〜206の送風により上下する時間に対し十分小さな時間毎にサンプリングをし、原稿Pがファン203〜206の送風で数回上下運動をする時間以上サンプリングを続けることが好ましい。これにより、原稿Pの上下のばたつきの中での最大高さを正しく測定することができる。
【0036】
CPU401は、複数回サンプルを行ったうちの各距離センサ207〜210の最大値を夫々、センサ207での最大値を“Hmax_A”とし、センサ208での最大値を“Hmax_B”とする。さらに、センサ209での最大値を“Hmax_C”とし、センサ210での最大値を“Hmax_D”として、記憶部408に記憶する(S506)。
【0037】
引き続き、ステップS507においてCPU401は、距離センサ207〜210毎に、ステップS501で記憶部408に記憶していた初期高さHdef_*と、ステップS506で記憶部408に記憶した送風時の最大高さHmax_*との差を算出する。ステップS507にて算出した「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差を夫々、距離センサ207での差を“DIS_A”、センサ208での差を“DIS_B”、センサ209での差を“DIS_C”、センサ210での差を“DIS_D”とする。なお、このように算出された、初期高さHdef_*と、送風時の最大高さHmax_*との差は、送風されたことによる最上位原稿の浮き上がり量に相当する。
【0038】
ここで、CPU401は、算出した各距離センサ207〜210における「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差が、予め設定された所定の閾値(一定値)以上であるか否かの判断を行う(S508)。
MAX(DIS_A,DIS_B,DIS_C,DIS_D)−MIN(DIS_A,DIS_B,DIS_C,DIS_D)≧所定の閾値(一定値)
【0039】
差が一定以上(所定の閾値以上)である場合は、原稿トレイ101上の原稿Pに綴じ部が有ると判断し(S509)、原稿Pの給送を行わずにコピー動作を終了する(S510)。そして、不図示の操作部の液晶パネル等に、ユーザに原稿に綴じ部がある旨を表示して通知(報知)する(S511)。つまり、CPU401は、給送前の原稿Pに綴じ状態があると判断した場合には、給送ローラ103による給送動作を終了(中止)すると共に、給送前の原稿Pに綴じ状態がある旨を操作部に表示してユーザに報知する。
【0040】
一方、ステップS508での判断で、「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差が一定未満(所定の閾値未満)であった場合は、原稿トレイ101上の原稿Pに綴じ部が無いと判断する(S512)。そして、通常のコピー動作を開始(コピーJOBを実施)する(S513)。
【0041】
ここで、原稿トレイ101上の原稿Pに綴じ部があるか無いかを判断する動作に関して、さらに詳しく説明を行う。
【0042】
図8は、ステイプル等の綴じ部が無い原稿Pに対し、側部よりファン203〜206で送風を行った図である。図8において、ファン203〜206の送風を行う前の原稿面の初期値は、4点でほぼ一定であり、原稿Pの綴じ部の有無で大きな差は無い。
【0043】
図8では、原稿Pの全面にエアーが送られて原稿Pが上方向に上昇するのに対し、規制するものが無いので、原稿Pの自重とのバランスが取れた場所で安定する。本実施形態では、原稿トレイ101に積載されている原稿Pが多い場合であっても、原稿Pの給送側の中央付近が給送ローラ103に突き当たらないように、給送ローラ103は上昇させておくように構成されている。さらに、原稿トレイ101に、最大積載時に最上面の原稿Pと上昇中の給送ローラ103との間に隙間ができるような、原稿トレイ101と給送ローラ103との位置関係となるように構成されている。この際、原稿Pの重さは面方向に対してはほぼ均一であるため、距離センサ207〜210で測定を行う4点(図8中のA点、B点、C点、D点)でほぼ同一の値を得ることができる。
【0044】
このため、各距離センサ207〜210の「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差は小さくなり、CPU401は、原稿Pに綴じ部がないと判断することができる。
【0045】
図9は、図中左奥に1箇所のみステイプルSTによる綴じ部が有る原稿Pに対し、側部からファン203〜206によって送風を行った際の斜視図である。
【0046】
即ち、原稿Pの側部よりエアーが送られた際に、ステイプルSTが無い部分は、原稿上方向には規制するものが無いので、原稿Pの自重とのバランスが取れた場所で安定する。しかし、ステイプルSTの有る部分だけは下の原稿Pと繋がっているため、下の原稿Pの重量分がステイプルSTの部分にかかることで、他の部分に比べて上昇が少なくなる(ステイプル枚数が多い場合は殆ど浮かない場合もある)。よって、距離センサ207〜210で測定を行う4点(図9中のA点、B点、C点、D点)のうちで、ステイプルSTが有る部分(図9の場合はA点)だけが大きい値となる。このため、各距離センサ207〜210の「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差は大きくなるため、CPU401は、原稿Pに綴じ部がないと判断することができる。
【0047】
図10は、図中奥側部に2箇所のステイプルSTによる綴じ部が有る原稿Pに対し、側部からファン203〜206で送風を行った場合の状態を示す斜視図である。
【0048】
即ち、原稿Pの側部よりエアーが送られた際に、ステイプルSTが無い側は、原稿上方向には規制するものが無いので、原稿Pの自重とのバランスが取れた場所で安定する。しかし、ステイプルSTが有る側は、下の原稿Pと繋がっているため、下の原稿Pの重量分がステイプルSTの部分にかかることで、他の側に比べて上昇が少なくなる。この際、ステイプル枚数が多い場合は殆ど浮かない場合もある。よって、距離センサ207〜210で測定を行う4点(図10中のA点、B点、C点、D点)のうちで、ステイプルSTが有る側(図9の場合はA点、B点)が大きい値となる。このため、各距離センサ207〜210の「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差は大きくなるため、CPU401は、原稿Pに綴じ部がないと判断する。
【0049】
本実施形態では、原稿給送前にファン203〜206を作動させて原稿Pに送風を行って原稿面高さを検知することに基づき、原稿Pに綴じ部(綴じ状態)があるか否かを判断することができる。このため、原稿トレイ101に積載された原稿Pがステイプル、クリップ等による綴じ部のある場合、糊付けや非磁性の綴じ具で綴じられている場合のいずれであっても、綴じ状態の有無を的確に判断することができる。これにより、誤って原稿トレイ101に綴じ原稿を積載してしまった場合でも、綴じ状態を原稿給送前に確実に判定し、原稿Pに損傷を与える等の不都合を確実に防止することができる。
【0050】
ステイプルSTによる綴じ部がこの他の位置にあった場合も同様に、ステイプルSTの検出を行うことができる。上記の構成であっても、十分に原稿Pの綴じ部の検知は可能であるが、より精度良く検知を行う別の実施形態について以下に述べる。この別の実施形態は、特に原稿束の原稿枚数が少ない時(例えば2枚綴じの原稿)に有効である。
【0051】
本実施形態における、前述の実施形態との装置構成の違いは、ファン制御回路402にファン203,204,205,206の駆動速度を、CPU401の制御で段階的に切り換えることができるように構成していることである。ファン203〜206の駆動速度を切り換え可能なファン制御回路402は、D/A変換器を用いる構成、PWM制御を用いる構成、セレクタを用いる構成等を用いることで実現することができる。
【0052】
このような本実施形態について、図11のフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態では、基本的な形態は前述の実施形態と同様であるため、特に記載が無い場合は前述の実施形態と同様とする。
【0053】
原稿トレイ101に原稿Pが置かれた状態でコピー開始指示が操作部からなされた場合、すぐに給送動作を行わず以下の原稿綴じ部検出動作を行う。
【0054】
まず、ステップS1101において、距離センサ207〜210を駆動させ、CPU401は、A/D変換器404〜407を介して送信されてくる距離センサ207〜210の結果をサンプリングし、原稿Pを載置した状態での初期高さを測定(算出)する。CPU401は、各距離センサ207〜210による初期高さ値を夫々、距離センサ207での値を“Hdef_A”とし、距離センサ208での値を“Hdef_B”とする。さらに、距離センサ209での値を“Hdef_C”とし、距離センサ210での値を“Hdef_D”とし、記憶部408に記憶する(S1102)。
【0055】
続いて、ファン203〜206を所定の駆動速度で駆動(ON)させ、原稿トレイ101に積載された原稿Pの側面(側部)に対して送風を行う(S1103)。このときの駆動速度は、その装置が想定している最も薄い(軽い)原稿1枚を浮かせることのできる駆動速度が好ましい。
【0056】
その後、一定時間WAITを行う。このときのWAIT時間は、ファン203,204,205,206の送風により原稿Pが十分浮き上がる時間を設定する(S1104)。具体的な時間は、ファン203〜206の風量、個数、向き等により最適な値を設定する(例えば1秒程度)。
【0057】
CPU401は、ファン203〜206の送風を続けた状態で、A/D変換器404〜407を介して送信されてくる距離センサ207〜210の結果をサンプリングする。このとき、原稿トレイ101に積載された原稿Pがファン203〜206の送風により上下にばたつくことがある。このような場合であっても、正しく検知を行うために、それぞれのセンサ測定点において原稿Pの上下のばたつきの中での最大高さを測定する。そのために、距離センサ207〜210のサンプリングは、所定時間毎に複数回行う必要がある(S1105)。また、原稿Pがファン203〜206の送風により上下する時間に対し十分に小さな時間毎にサンプリングを行い、原稿Pがファン203〜206の送風により数回上下運動をする時間以上にサンプリングを続けるのが好ましい。これにより、原稿Pの上下のばたつきの中での最大高さを正しく測定することができる。
【0058】
ステップS505にて、CPU401は、複数回サンプルを行ったうちの各距離センサ207〜210の最大値をそれぞれ、距離センサ207での最大値を“Hmax_A”とし、距離センサ208での最大値を“Hmax_B”とする。さらに、距離センサ209での最大値を“Hmax_C”とし、距離センサ210での最大値を“Hmax_D”とし、記憶部408に記憶する(S1106)。
【0059】
次に、CPU401は、ステップS1101で距離センサ207〜210毎に記憶部408に記憶した初期高さHdef_*と、ステップS1106で記憶部408に記憶した送風時の最大高さHmax_*との差を算出する(S1107)。CPU401は、ステップS1107で算出した「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差をそれぞれ、距離センサ207での差を“DIS_A”とし、距離センサ208での差を“DIS_B”とする。さらに、距離センサ209での差を”DIS_C”とし、距離センサ210での差を“DIS_D”とする。
【0060】
続いて、各距離センサ207〜210で求めた「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものが一定以上の値であるか否かの判断をする(S1108)。ここでの一定以上の値は、ファン203〜206の送風により原稿Pが浮き上がったと十分に判断できる値とする(例えば10mm程度)。
【0061】
ステップS5011で、各距離センサ207〜210で求めた「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものが一定以上でない場合、CPU401は、ファン制御回路402を介してファン203〜206の各駆動速度を一定量増加する。(S1109)この一回の増加量は、小さい方が精度良い検出が可能であるが、その反面、検知時間が増大してしまうので検知精度と検知時間を垣間見て設定する。
【0062】
その後、ステップS1104に戻り、上記のフローを各距離センサ207〜210で求めた「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものが一定以上になるまで、ステップS1104〜S1108のフローを繰り返す。
【0063】
各距離センサ207〜210で求めた「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものが一定以上になった場合は、上記差のうちで最大値のものと最小値のものとの差が所定の閾値(一定値)以上であるかの判断を行う(S1110)。
MAX(DIS_A,DIS_B,DIS_C,DIS_D)−MIN(DIS_A,DIS_B,DIS_C,DIS_D)≧所定の閾値(一定値)
【0064】
ステップS1111において、差が一定以上(所定の閾値以上)である場合は、原稿トレイ101上の原稿Pに綴じ部(綴じ状態)があると判断し、原稿Pの給送を行わずにコピー動作を終了(コピーJOBを中止)する(S1112)。さらに、不図示の操作部の液晶パネル等に、ユーザに原稿に綴じ部がある旨を表示して通知する(報知)する(S1113)。
【0065】
ステップS1110において、「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差が一定未満(所定の閾値未満)であった場合は、原稿トレイ101上の原稿Pに綴じ部が無いと判断する(S1114)。そして、通常のコピー動作を開始する(S1115)。
【0066】
以上の本実施形態によると、前述した先の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、以下の効果を得ることができる。即ち、本実施形態では、ファン203〜206の駆動速度を段階的に増加させながら綴じ部の検知を行うことで、原稿Pの厚み(重さ)に拘わらず、以下の状態を作り出すことができる。つまり、原稿Pが1枚の場合には原稿Pが浮き上がる状態を作り出し、原稿Pに綴じ部が存在し2枚以上の原稿Pが拘束されている場合には浮き上がらない状態を作り出すことができる。このため、原稿束の原稿枚数が少ない場合であっても、適正な綴じ部の検知を行うことができる。
【0067】
なお、先の実施形態及び本実施形態では、原稿面高さ検知部として距離センサ207〜210を用いたが、オンオフタイプのセンサをサイド規制板201,202の所定位置に配置し、原稿面高さ検知部として原稿面高さを検知する構成とすることもできる。
【0068】
また、綴じられた原稿であるかどうかを判断するのに以下のようにしてもよい。距離センサからの出力によって送風前初期高さと送風時の最大高さとの差(浮き上がり量)を求める。浮き上がり量が所定値以下なら原稿が綴じ状態であると判断する。そして、浮き上がり量が所定値を超えると原稿が綴じ状態でないと判断する。ここで閾値として設定しておく上記所定値は、綴じられていない原稿に送風したときに浮き上がる量を予め実験などで求めておき、それに基づいて決められる値である。先の実施形態のように、複数の距離センサ207〜210を設け、複数の距離センサ207〜210のいずれかが、浮き上がり量が所定値以下である信号を出力したら原稿が綴じ状態であると判断するようにしてもよい。また、距離センサを一つだけ設ける形態であってもよい。一つだけ距離センサを設ける場合には、例えば、綴じられることのおおい、原稿の角部に対応する箇所に、距離センセに設けるとよい。
【符号の説明】
【0069】
100…自動原稿給送装置(原稿給送装置)、101…原稿積載部(原稿トレイ)、102…原稿読取部、103…原稿給送部(給送ローラ)、116…画像読取位置(流し読みガラス)、117…画像読取装置、201,202…原稿ガイド部(サイド規制板)、203〜206…送風部(ファン)、207〜210…原稿面高さ検知部(距離センサ)、401…制御部(CPU)、P…原稿
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ等の画像読取装置に原稿を1枚ずつ分離給送する原稿給送装置に関し、特には原稿に付されたステイプル等の綴じ部を判別する機能を有する原稿給送装置及びこれを備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機等に使用される画像読取装置には、自動原稿給送装置により原稿を1頁ずつ原稿台ガラス上に搬送し、その搬送路に固定された露光装置により露光して原稿の画像を読み取る、所謂「流し読み」を行うものがある(特許文献1参照)。
【0003】
上記構成を有する画像読取装置では、流し読みを行う際に、ステイプルやクリップを除去されない原稿束が原稿トレイ上に積載されて、読み取り指示が行われることがある。自動原稿給送装置では、給送部の分離機構によって原稿が1枚ずつ分離されて給送されるように構成されるので、綴じ状態の原稿束の積載状態で給送動作が開始されると、最上面の原稿が分離、給送される際に綴じ部分に負荷がかかる。これにより、原稿がシワになったり、破れてしまったりすることがある。また、綴じられた原稿が分離されずに送り出されることで、搬送経路上で紙詰まりを起こすというトラブルが発生することもある。
【0004】
そこで、このような事態を避けるために、原稿がステイプルやクリップ等で綴じられていることを検知する装置が種々提案されている。例えば、原稿トレイ上に積載された原稿に対し、ステイプル、クリップ、糊付け等の綴じ部の有無を判断するために、原稿給送時の原稿の跳ね上がりを検出して綴じ部の有無を判断する構成を備えた装置がある(特許文献2参照)。或いは、原稿積載部に金属探知器を設けて、ステイプル、クリップの有無を判断する装置も知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−285595号公報
【特許文献2】特許第4118135号公報
【特許文献3】特開平9−77282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、給送時に原稿の跳ね上がりを見る上記特許文献2記載の技術では、原稿を実際に送り出す時点での綴じ部の有無を判断するので、原稿破れには至らないまでも、給送の際に綴じ部に負担がかかり、綴じ部に折れやシワが付いてしまう問題があった。さらに、サイド規制板に原稿が押し付けられて、原稿端部に折れやシワが付いてしまうという問題もあった。
【0007】
また、原稿積載部に金属検知器を設ける上記特許文献3記載の技術では、糊付けや非磁性の綴じ具によって綴じられた原稿束を検出することができないという問題があった。さらに、装置内の金属と区別がつきにくく、ステイプルやクリップがない原稿でも反応してしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、原稿積載部にステイプル、糊付け等による綴じ状態のある原稿が積載された場合でも、綴じ状態を的確に判定することで原稿に与える損傷を無くすることが可能な原稿給送装置、及びこれを備えた画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、原稿を積載する原稿積載部と、前記原稿積載部上の原稿を画像読取位置に送り出す原稿給送部と、を備えた原稿給送装置において、前記原稿積載部に積載した原稿の側部に対して送風する送風部と、前記原稿積載部上の原稿の原稿面高さを検知する原稿面高さ検知部と、を有し、前記原稿給送部による原稿の給送前に前記送風部を作動させて原稿の側部に送風を行った際の、前記原稿面高さ検知部で検知された原稿面高さに基づき、前記原稿給送部による給送前の原稿が綴じ状態であるか否かを判断する制御部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、原稿給送前に送風部を作動させて原稿に送風を行って原稿面高さを検知することに基づき、原稿に綴じ状態があるか否かを判断することができる。このため、原稿積載部に積載された原稿がステイプル、クリップ等による綴じ部のある場合、糊付けや非磁性の綴じ具で綴じられている場合のいずれであっても、綴じ状態の有無を的確に判断することができる。これにより、誤って原稿積載部に綴じ原稿を積載してしまった場合でも、綴じ状態を原稿給送前に確実に判定し、原稿に損傷を与える等の不都合を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態における自動原稿給送装置を搭載した画像読取装置の構成を示す側面断面図。
【図2】本実施形態における自動原稿給送装置を搭載した画像読取装置の構成を示す平面図。
【図3】本実施形態における自動原稿給送装置を搭載した画像読取装置の構成を示す斜視図。
【図4】本実施形態における装置の機能構成を示すブロック図。
【図5】本実施形態における原稿の綴じ部の検知動作を説明するフローチャート。
【図6】本実施形態における距離センサの設置構造を示す斜視図。
【図7】本実施形態におけるファンの設置構造を示す斜視図。
【図8】綴じ部が無い原稿を積載した場合の綴じ部検知時の外観図。
【図9】ステイプルによる綴じ部が1箇所の場合の綴じ部検知時の外観図。
【図10】ステイプルによる綴じ部が2箇所の場合の綴じ部検知時の外観図。
【図11】別の実施形態における原稿の綴じ部の検知動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る自動原稿給送装置を備えた画像読取装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図1、図2、図3はそれぞれ、本実施形態における自動原稿給送装置(原稿給送装置)を搭載した画像読取装置の構成を示す断面図、平面図、斜視図である。
【0013】
図1に示すように、原稿給送装置としての自動原稿給送装置100は、原稿Pを積載する原稿積載部である原稿トレイ101を有しており、原稿トレイ101の上方に給送ローラ103を有している。給送ローラ103は、分離搬送ローラ104と同一の駆動源に接続され、分離搬送ローラ104の回転に連れて回転して原稿を送り出す。本実施形態における画像読取装置は、原稿Pの画像を読み取るための原稿読取部102と、原稿読取部102に原稿Pを自動的に給送する自動原稿給送装置100とを備えている。なお、給送ローラ103は、原稿トレイ101上(原稿積載部上)の原稿Pを、原稿読取部102における流し読みガラス116に対応する画像読取位置に送り出す原稿給送部を構成している。
【0014】
また、図2に示すように、原稿Pを送り出した際に原稿Pの斜行を防ぐためのサイド規制板201,202が配設されている。サイド規制板201,202は、ユーザにより原稿トレイ101上で原稿送り方向(給送方向)に対して垂直な方向に稼動可能であり、通常、原稿Pの給送前に原稿幅に合った幅にセットされる。これらサイド規制板201,202は、原稿積載部としての原稿トレイ101に積載された原稿Pの給送方向(図2の矢印A方向)と直交する幅方向(図2の上下方向)のサイズに応じて可動可能に対向配置された一対の原稿ガイド部を構成している。
【0015】
図1に示すように、給送ローラ(原稿給送部)103は、通常、ホームポジションである上方の位置に退避して、原稿Pのセット作業を阻害しないように構成されている。給送動作が開始されると、給送ローラ103は、下降して原稿Pの上面に当接する。給送ローラ103は、不図示のアームに軸支されており、このアームが揺動することによって上下に移動する。
【0016】
分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104に対向して配置され、分離搬送ローラ104に向けて押圧されている。分離搬送従動ローラ105は、分離搬送ローラ104より僅かに摩擦が少ないゴム材等から形成されており、分離搬送ローラ104と協働して、給送ローラ103によって送り出される原稿Pを、1枚ずつ捌いて給送する。
【0017】
レジストローラ106及びレジスト従動ローラ107は、分離搬送ローラ104及び分離搬送従動ローラ105からなる分離部で給送された原稿Pの先端を揃えるものである。静止したレジストローラ106及びレジスト従動ローラ107のニップ部に向けて、分離した原稿Pの先端が突き当てられることで、原稿Pにループが生じてその先端が揃えられる。そして、リードローラ108及びリード従動ローラ109は、原稿Pを、流し読みガラス(画像読取位置)116に向けて搬送する。流し読みガラス116の対向側には、プラテンローラ110が配置されている。
【0018】
この際、流し読みガラス116上を通過する原稿Pの画像情報がCCDラインセンサ126によって読み取られる。そして、CCDラインセンサ126での原稿Pの画像読み取りが終了すると、リード排出ローラ111及びリード排出従動ローラ112は、原稿を排紙ローラ113に向けて搬送する。115は、流し読みガラス116から原稿Pをすくい上げるためのジャンプ台であり、ジャンプ台115ですくい上げられた原稿Pは、排紙ローラ113によって排紙トレイ114に排出される。
【0019】
図1において、117は画像読取装置である。この画像読取装置117は、原稿Pの読み取り原稿面に対して光を照射するランプ119、及び原稿Pからの反射光をレンズ125及びCCDラインセンサ126に導くミラー120,121,122を有している。ランプ119及びミラー120は、第1ミラー台123に取り付けられている。また、ミラー121,122は、第2ミラー台124に取り付けられている。
【0020】
上記ミラー台123,124は、ワイヤ(図示せず)によって駆動モータ(図示せず)と結合され、駆動モータの回転駆動によって原稿台ガラス118と平行に移動させられる。原稿Pからの反射光は、ミラー120,121,122を介してレンズ125に導かれ、レンズ125によってCCDラインセンサ126の受光部に結像される。CCDラインセンサ126は、結像した反射光を受光素子で光電変換し、入射光量に応じた電気信号を出力する。
【0021】
上記構成を有する画像読取装置117では、原稿固定読み取りモードと流し読みモード)の2つのモードで原稿を読み取ることができる。原稿固定読み取りモードでは、原稿Pを原稿台ガラス118上に載置し、第1ミラー台123及び第2ミラー台124を移動させながら原稿を読み取る。流し読みモードでは、第1ミラー台123及び第2ミラー台124を停止させた状態で、原稿給送装置100によって原稿Pを搬送させながら、流し読みガラス116の位置(画像読取位置)で原稿の画像(画像情報)を読み取る。
【0022】
続いて、本発明に係る実施形態の特徴であるステイプル等による原稿の綴じ部(綴じ状態)の検出方法について説明する。
【0023】
すなわち、図2及び図3に示すように、サイド規制板(原稿ガイド部)201,202内には、原稿トレイ101に原稿Pが積載された際に、原稿Pの側部に対して送風を行うファン(送風部)203,204,205,206が配設されている。ファン203〜206は、原稿トレイ101に積載した原稿Pの対向する少なくとも2箇所以上(本実施形態では4箇所)の側部に対して送風する送風部を構成している。
【0024】
サイド規制板201,202内には、原稿トレイ101に積載された原稿Pの高さを測定する距離センサ(原稿面高さ検知部)207,208,209,210が配設されている。つまり、原稿面高さ検知部が複数設けられている。原稿トレイ101に積載された原稿Pの所定部位の高さを検知する距離センサ207〜210はそれぞれ、図6に示すように、原稿トレイ101上の原稿PにおけるA点、B点、C点、D点の各高さを測定するように構成されている。距離センサ207〜210は、各ファン(送風部)203〜206にそれぞれ近接した状態で原稿トレイ101上の原稿Pの原稿面高さを検知する2箇所以上の原稿面高さ検知部を構成している。
【0025】
図4は、本実施形態における装置の機能構成を示すブロック図である。図4において、CPU401は、ファン制御回路402を介してファン203,204,205,206に対し駆動制御を行う。また、同じくCPU401は、センサ制御回路403を介して距離センサ207,208,209,210の駆動制御を行う。CPU401は、原稿給送部としての給送ローラ103、送風部としてのファン203〜206、及び、原稿面高さ検知部としての距離センサ207〜210を制御する制御部を構成している。
【0026】
距離センサ207,208,209,210は、CPU401からの駆動信号を受けた際、その時点での対象物に対する距離をアナログ値としてA/D変換器404,405,406,407にそれぞれ伝送する。A/D変換器404は、距離センサ207からのアナログ値の距離情報をデジタル値に変換してCPU401に伝送する。A/D変換器405は、距離センサ208からのアナログ値の距離情報をデジタル値に変換してCPU401に伝送する。A/D変換器406は、距離センサ209からのアナログ値の距離情報をデジタル値に変換してCPU401に伝送する。A/D変換器407は、距離センサ210からのアナログ値の距離情報をデジタル値に変換してCPU401に伝送する。
【0027】
CPU(制御部)401は、A/D変換器404,405,406,407からの各デジタル値の距離情報に基づいて、原稿トレイ101上の原稿高さを算出する。また、CPU401は、上記距離情報を記憶する記憶部408を有している。
【0028】
後述するように、CPU401は、給送ローラ103による原稿Pの給送前に各ファン203〜206を作動させて原稿Pの側部に送風を行う。そして、その際の原稿面高さを各距離センサ207〜210で検知することに基づき、給送ローラ103による給送前の原稿Pに綴じ状態があるか否かを判断する。このCPU401は、ファン203〜206による送風時における2箇所以上の距離センサ207〜210による検知結果の相違に基づき、給送ローラ103による給送前の原稿Pに綴じ状態があるか否かを判断する。そして、CPU401は、給送前の原稿Pに綴じ状態があると判断した場合には、給送ローラ103による給送動作を中止すると共に、給送前の原稿Pに綴じ状態がある旨を報知手段としての操作部(図示せず)に表示してユーザに報知する。
【0029】
ここで、原稿綴じ部検知動作の本実施形態における一例について、図5のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートでは、特に明記が無い場合は全てCPU401が実行するものとする。
【0030】
原稿トレイ101上に原稿Pが載置された状態でコピー開始指示が不図示の操作部(操作パネル)からなされた場合、すぐに給送動作を行わず、以下の原稿綴じ部検出動作を行う。
【0031】
まず、ステップS501において、CPU401は、距離センサ207,208,209,210を駆動(ON)させ、それらの検知結果に基づいて、原稿PにおけるA点、B点、C点、D点(図6参照)の各高さをそれぞれ測定(算出)する。
【0032】
CPU401は、A/D変換器404,405,406,407を介して送信されてくる距離センサ207,208,209,210の各結果を夫々サンプリングし、原稿Pを載置した状態での初期高さを測定する。距離センサ207〜210の初期高さ値を夫々、センサ207での値(高さ)を“Hdef_A”、センサ208での値を“Hdef_B”、センサ209での値を“Hdef_C”、センサ210での値を“Hdef_D”として、記憶部408に記憶する。(S502)
【0033】
続いて、ファン203,204,205,206を駆動(ON)させ、原稿トレイ101に積載された原稿Pの側面に対して送風を行う(S503)。積載された原稿Pの側面(側部)に対して送風を行うため、送風方向は、図7に矢印で示すように、原稿トレイ101の内側方向にする。
【0034】
その後、ステップS504において、一定時間WAITを行う。この際のWAIT時間は、ファン203,204,205,206の送風により原稿Pが十分に浮き上がる時間を設定する。具体的な時間は、ファン203〜206の風量、個数、向き等により最適な値を設定する(例えば1秒程度)。
【0035】
CPU401は、ファン203〜206の送風を続けた状態で、A/D変換器404〜407を介して送信されてくる距離センサ207〜210の各結果をサンプリングする。このとき、原稿トレイ101に積載された原稿Pがファン203〜206の送風によって上下にばたつくことがある。そのような場合であっても、正しく検知を行うために、それぞれのセンサ測定点において原稿Pの上下のばたつきの中での最大高さを測定する。そのために、距離センサ207〜210の各結果のサンプリングは、所定時間毎に複数回行う必要がある(S505)。また、原稿Pがファン203〜206の送風により上下する時間に対し十分小さな時間毎にサンプリングをし、原稿Pがファン203〜206の送風で数回上下運動をする時間以上サンプリングを続けることが好ましい。これにより、原稿Pの上下のばたつきの中での最大高さを正しく測定することができる。
【0036】
CPU401は、複数回サンプルを行ったうちの各距離センサ207〜210の最大値を夫々、センサ207での最大値を“Hmax_A”とし、センサ208での最大値を“Hmax_B”とする。さらに、センサ209での最大値を“Hmax_C”とし、センサ210での最大値を“Hmax_D”として、記憶部408に記憶する(S506)。
【0037】
引き続き、ステップS507においてCPU401は、距離センサ207〜210毎に、ステップS501で記憶部408に記憶していた初期高さHdef_*と、ステップS506で記憶部408に記憶した送風時の最大高さHmax_*との差を算出する。ステップS507にて算出した「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差を夫々、距離センサ207での差を“DIS_A”、センサ208での差を“DIS_B”、センサ209での差を“DIS_C”、センサ210での差を“DIS_D”とする。なお、このように算出された、初期高さHdef_*と、送風時の最大高さHmax_*との差は、送風されたことによる最上位原稿の浮き上がり量に相当する。
【0038】
ここで、CPU401は、算出した各距離センサ207〜210における「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差が、予め設定された所定の閾値(一定値)以上であるか否かの判断を行う(S508)。
MAX(DIS_A,DIS_B,DIS_C,DIS_D)−MIN(DIS_A,DIS_B,DIS_C,DIS_D)≧所定の閾値(一定値)
【0039】
差が一定以上(所定の閾値以上)である場合は、原稿トレイ101上の原稿Pに綴じ部が有ると判断し(S509)、原稿Pの給送を行わずにコピー動作を終了する(S510)。そして、不図示の操作部の液晶パネル等に、ユーザに原稿に綴じ部がある旨を表示して通知(報知)する(S511)。つまり、CPU401は、給送前の原稿Pに綴じ状態があると判断した場合には、給送ローラ103による給送動作を終了(中止)すると共に、給送前の原稿Pに綴じ状態がある旨を操作部に表示してユーザに報知する。
【0040】
一方、ステップS508での判断で、「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差が一定未満(所定の閾値未満)であった場合は、原稿トレイ101上の原稿Pに綴じ部が無いと判断する(S512)。そして、通常のコピー動作を開始(コピーJOBを実施)する(S513)。
【0041】
ここで、原稿トレイ101上の原稿Pに綴じ部があるか無いかを判断する動作に関して、さらに詳しく説明を行う。
【0042】
図8は、ステイプル等の綴じ部が無い原稿Pに対し、側部よりファン203〜206で送風を行った図である。図8において、ファン203〜206の送風を行う前の原稿面の初期値は、4点でほぼ一定であり、原稿Pの綴じ部の有無で大きな差は無い。
【0043】
図8では、原稿Pの全面にエアーが送られて原稿Pが上方向に上昇するのに対し、規制するものが無いので、原稿Pの自重とのバランスが取れた場所で安定する。本実施形態では、原稿トレイ101に積載されている原稿Pが多い場合であっても、原稿Pの給送側の中央付近が給送ローラ103に突き当たらないように、給送ローラ103は上昇させておくように構成されている。さらに、原稿トレイ101に、最大積載時に最上面の原稿Pと上昇中の給送ローラ103との間に隙間ができるような、原稿トレイ101と給送ローラ103との位置関係となるように構成されている。この際、原稿Pの重さは面方向に対してはほぼ均一であるため、距離センサ207〜210で測定を行う4点(図8中のA点、B点、C点、D点)でほぼ同一の値を得ることができる。
【0044】
このため、各距離センサ207〜210の「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差は小さくなり、CPU401は、原稿Pに綴じ部がないと判断することができる。
【0045】
図9は、図中左奥に1箇所のみステイプルSTによる綴じ部が有る原稿Pに対し、側部からファン203〜206によって送風を行った際の斜視図である。
【0046】
即ち、原稿Pの側部よりエアーが送られた際に、ステイプルSTが無い部分は、原稿上方向には規制するものが無いので、原稿Pの自重とのバランスが取れた場所で安定する。しかし、ステイプルSTの有る部分だけは下の原稿Pと繋がっているため、下の原稿Pの重量分がステイプルSTの部分にかかることで、他の部分に比べて上昇が少なくなる(ステイプル枚数が多い場合は殆ど浮かない場合もある)。よって、距離センサ207〜210で測定を行う4点(図9中のA点、B点、C点、D点)のうちで、ステイプルSTが有る部分(図9の場合はA点)だけが大きい値となる。このため、各距離センサ207〜210の「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差は大きくなるため、CPU401は、原稿Pに綴じ部がないと判断することができる。
【0047】
図10は、図中奥側部に2箇所のステイプルSTによる綴じ部が有る原稿Pに対し、側部からファン203〜206で送風を行った場合の状態を示す斜視図である。
【0048】
即ち、原稿Pの側部よりエアーが送られた際に、ステイプルSTが無い側は、原稿上方向には規制するものが無いので、原稿Pの自重とのバランスが取れた場所で安定する。しかし、ステイプルSTが有る側は、下の原稿Pと繋がっているため、下の原稿Pの重量分がステイプルSTの部分にかかることで、他の側に比べて上昇が少なくなる。この際、ステイプル枚数が多い場合は殆ど浮かない場合もある。よって、距離センサ207〜210で測定を行う4点(図10中のA点、B点、C点、D点)のうちで、ステイプルSTが有る側(図9の場合はA点、B点)が大きい値となる。このため、各距離センサ207〜210の「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差は大きくなるため、CPU401は、原稿Pに綴じ部がないと判断する。
【0049】
本実施形態では、原稿給送前にファン203〜206を作動させて原稿Pに送風を行って原稿面高さを検知することに基づき、原稿Pに綴じ部(綴じ状態)があるか否かを判断することができる。このため、原稿トレイ101に積載された原稿Pがステイプル、クリップ等による綴じ部のある場合、糊付けや非磁性の綴じ具で綴じられている場合のいずれであっても、綴じ状態の有無を的確に判断することができる。これにより、誤って原稿トレイ101に綴じ原稿を積載してしまった場合でも、綴じ状態を原稿給送前に確実に判定し、原稿Pに損傷を与える等の不都合を確実に防止することができる。
【0050】
ステイプルSTによる綴じ部がこの他の位置にあった場合も同様に、ステイプルSTの検出を行うことができる。上記の構成であっても、十分に原稿Pの綴じ部の検知は可能であるが、より精度良く検知を行う別の実施形態について以下に述べる。この別の実施形態は、特に原稿束の原稿枚数が少ない時(例えば2枚綴じの原稿)に有効である。
【0051】
本実施形態における、前述の実施形態との装置構成の違いは、ファン制御回路402にファン203,204,205,206の駆動速度を、CPU401の制御で段階的に切り換えることができるように構成していることである。ファン203〜206の駆動速度を切り換え可能なファン制御回路402は、D/A変換器を用いる構成、PWM制御を用いる構成、セレクタを用いる構成等を用いることで実現することができる。
【0052】
このような本実施形態について、図11のフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態では、基本的な形態は前述の実施形態と同様であるため、特に記載が無い場合は前述の実施形態と同様とする。
【0053】
原稿トレイ101に原稿Pが置かれた状態でコピー開始指示が操作部からなされた場合、すぐに給送動作を行わず以下の原稿綴じ部検出動作を行う。
【0054】
まず、ステップS1101において、距離センサ207〜210を駆動させ、CPU401は、A/D変換器404〜407を介して送信されてくる距離センサ207〜210の結果をサンプリングし、原稿Pを載置した状態での初期高さを測定(算出)する。CPU401は、各距離センサ207〜210による初期高さ値を夫々、距離センサ207での値を“Hdef_A”とし、距離センサ208での値を“Hdef_B”とする。さらに、距離センサ209での値を“Hdef_C”とし、距離センサ210での値を“Hdef_D”とし、記憶部408に記憶する(S1102)。
【0055】
続いて、ファン203〜206を所定の駆動速度で駆動(ON)させ、原稿トレイ101に積載された原稿Pの側面(側部)に対して送風を行う(S1103)。このときの駆動速度は、その装置が想定している最も薄い(軽い)原稿1枚を浮かせることのできる駆動速度が好ましい。
【0056】
その後、一定時間WAITを行う。このときのWAIT時間は、ファン203,204,205,206の送風により原稿Pが十分浮き上がる時間を設定する(S1104)。具体的な時間は、ファン203〜206の風量、個数、向き等により最適な値を設定する(例えば1秒程度)。
【0057】
CPU401は、ファン203〜206の送風を続けた状態で、A/D変換器404〜407を介して送信されてくる距離センサ207〜210の結果をサンプリングする。このとき、原稿トレイ101に積載された原稿Pがファン203〜206の送風により上下にばたつくことがある。このような場合であっても、正しく検知を行うために、それぞれのセンサ測定点において原稿Pの上下のばたつきの中での最大高さを測定する。そのために、距離センサ207〜210のサンプリングは、所定時間毎に複数回行う必要がある(S1105)。また、原稿Pがファン203〜206の送風により上下する時間に対し十分に小さな時間毎にサンプリングを行い、原稿Pがファン203〜206の送風により数回上下運動をする時間以上にサンプリングを続けるのが好ましい。これにより、原稿Pの上下のばたつきの中での最大高さを正しく測定することができる。
【0058】
ステップS505にて、CPU401は、複数回サンプルを行ったうちの各距離センサ207〜210の最大値をそれぞれ、距離センサ207での最大値を“Hmax_A”とし、距離センサ208での最大値を“Hmax_B”とする。さらに、距離センサ209での最大値を“Hmax_C”とし、距離センサ210での最大値を“Hmax_D”とし、記憶部408に記憶する(S1106)。
【0059】
次に、CPU401は、ステップS1101で距離センサ207〜210毎に記憶部408に記憶した初期高さHdef_*と、ステップS1106で記憶部408に記憶した送風時の最大高さHmax_*との差を算出する(S1107)。CPU401は、ステップS1107で算出した「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差をそれぞれ、距離センサ207での差を“DIS_A”とし、距離センサ208での差を“DIS_B”とする。さらに、距離センサ209での差を”DIS_C”とし、距離センサ210での差を“DIS_D”とする。
【0060】
続いて、各距離センサ207〜210で求めた「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものが一定以上の値であるか否かの判断をする(S1108)。ここでの一定以上の値は、ファン203〜206の送風により原稿Pが浮き上がったと十分に判断できる値とする(例えば10mm程度)。
【0061】
ステップS5011で、各距離センサ207〜210で求めた「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものが一定以上でない場合、CPU401は、ファン制御回路402を介してファン203〜206の各駆動速度を一定量増加する。(S1109)この一回の増加量は、小さい方が精度良い検出が可能であるが、その反面、検知時間が増大してしまうので検知精度と検知時間を垣間見て設定する。
【0062】
その後、ステップS1104に戻り、上記のフローを各距離センサ207〜210で求めた「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものが一定以上になるまで、ステップS1104〜S1108のフローを繰り返す。
【0063】
各距離センサ207〜210で求めた「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものが一定以上になった場合は、上記差のうちで最大値のものと最小値のものとの差が所定の閾値(一定値)以上であるかの判断を行う(S1110)。
MAX(DIS_A,DIS_B,DIS_C,DIS_D)−MIN(DIS_A,DIS_B,DIS_C,DIS_D)≧所定の閾値(一定値)
【0064】
ステップS1111において、差が一定以上(所定の閾値以上)である場合は、原稿トレイ101上の原稿Pに綴じ部(綴じ状態)があると判断し、原稿Pの給送を行わずにコピー動作を終了(コピーJOBを中止)する(S1112)。さらに、不図示の操作部の液晶パネル等に、ユーザに原稿に綴じ部がある旨を表示して通知する(報知)する(S1113)。
【0065】
ステップS1110において、「初期高さ」と「送風時の最大高さ」との差のうちで最大値のものと最小値のものとの差が一定未満(所定の閾値未満)であった場合は、原稿トレイ101上の原稿Pに綴じ部が無いと判断する(S1114)。そして、通常のコピー動作を開始する(S1115)。
【0066】
以上の本実施形態によると、前述した先の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、以下の効果を得ることができる。即ち、本実施形態では、ファン203〜206の駆動速度を段階的に増加させながら綴じ部の検知を行うことで、原稿Pの厚み(重さ)に拘わらず、以下の状態を作り出すことができる。つまり、原稿Pが1枚の場合には原稿Pが浮き上がる状態を作り出し、原稿Pに綴じ部が存在し2枚以上の原稿Pが拘束されている場合には浮き上がらない状態を作り出すことができる。このため、原稿束の原稿枚数が少ない場合であっても、適正な綴じ部の検知を行うことができる。
【0067】
なお、先の実施形態及び本実施形態では、原稿面高さ検知部として距離センサ207〜210を用いたが、オンオフタイプのセンサをサイド規制板201,202の所定位置に配置し、原稿面高さ検知部として原稿面高さを検知する構成とすることもできる。
【0068】
また、綴じられた原稿であるかどうかを判断するのに以下のようにしてもよい。距離センサからの出力によって送風前初期高さと送風時の最大高さとの差(浮き上がり量)を求める。浮き上がり量が所定値以下なら原稿が綴じ状態であると判断する。そして、浮き上がり量が所定値を超えると原稿が綴じ状態でないと判断する。ここで閾値として設定しておく上記所定値は、綴じられていない原稿に送風したときに浮き上がる量を予め実験などで求めておき、それに基づいて決められる値である。先の実施形態のように、複数の距離センサ207〜210を設け、複数の距離センサ207〜210のいずれかが、浮き上がり量が所定値以下である信号を出力したら原稿が綴じ状態であると判断するようにしてもよい。また、距離センサを一つだけ設ける形態であってもよい。一つだけ距離センサを設ける場合には、例えば、綴じられることのおおい、原稿の角部に対応する箇所に、距離センセに設けるとよい。
【符号の説明】
【0069】
100…自動原稿給送装置(原稿給送装置)、101…原稿積載部(原稿トレイ)、102…原稿読取部、103…原稿給送部(給送ローラ)、116…画像読取位置(流し読みガラス)、117…画像読取装置、201,202…原稿ガイド部(サイド規制板)、203〜206…送風部(ファン)、207〜210…原稿面高さ検知部(距離センサ)、401…制御部(CPU)、P…原稿
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を積載する原稿積載部と、前記原稿積載部上の原稿を画像読取位置に送り出す原稿給送部と、を備えた原稿給送装置において、
前記原稿積載部に積載した原稿の側部に対して送風する送風部と、
前記原稿積載部上の原稿の原稿面高さを検知する原稿面高さ検知部と、を有し、
前記原稿給送部による原稿の給送前に前記送風部を作動させて原稿の側部に送風を行った際の、前記原稿面高さ検知部で検知された原稿面高さに基づき、前記原稿給送部による給送前の原稿が綴じ状態であるか否かを判断する制御部を備える、
ことを特徴とする原稿給送装置。
【請求項2】
前記原稿積載部に積載した原稿の複数の箇所で前記原稿積載部上の原稿の原稿面高さを検知するように前記原稿面高さ検知部は複数設けられ、前記制御部は、前記複数の原稿面高さ検知部の検知結果から得られる前記複数の箇所での原稿の浮き上がり量の相違が閾値未満なら原稿が綴じ状態でないと判断し、該相違が前記閾値以上なら原稿が綴じ状態であると判断する、ことを特徴とする請求項1に記載の原稿給送装置。
【請求項3】
前記原稿面高さ検知部の検知結果から得られる送風された原稿の浮き上がり量が所定値を超えると原稿が綴じ状態でないと判断し、該浮き上がり量が前記所定値以下なら原稿が綴じ状態であると判断する、ことを特徴とする請求項1に記載の原稿給送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記給送前の原稿が綴じ状態であると判断した場合に、前記原稿給送部による給送動作を中止する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の原稿給送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記給送前の原稿が綴じ状態であると判断した場合に、その旨を報知する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の原稿給送装置。
【請求項6】
前記原稿積載部に積載された原稿の給送方向と直交する幅方向のサイズに応じて可動可能に対向配置された一対の原稿ガイド部を備え、
前記送風部及び前記原稿面高さ検知部は、前記一対の原稿ガイド部にそれぞれ配設されている、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の原稿給送装置。
【請求項7】
前記原稿面高さ検知部は、前記原稿積載部に積載された原稿の所定部位の高さを検知する距離センサである、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の原稿給送装置。
【請求項8】
原稿の画像を読み取るための原稿読取部と、
前記原稿読取部に原稿を自動的に給送する自動原稿給送装置と、を備え、
前記自動原稿給送装置が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の原稿給送装置である、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項1】
原稿を積載する原稿積載部と、前記原稿積載部上の原稿を画像読取位置に送り出す原稿給送部と、を備えた原稿給送装置において、
前記原稿積載部に積載した原稿の側部に対して送風する送風部と、
前記原稿積載部上の原稿の原稿面高さを検知する原稿面高さ検知部と、を有し、
前記原稿給送部による原稿の給送前に前記送風部を作動させて原稿の側部に送風を行った際の、前記原稿面高さ検知部で検知された原稿面高さに基づき、前記原稿給送部による給送前の原稿が綴じ状態であるか否かを判断する制御部を備える、
ことを特徴とする原稿給送装置。
【請求項2】
前記原稿積載部に積載した原稿の複数の箇所で前記原稿積載部上の原稿の原稿面高さを検知するように前記原稿面高さ検知部は複数設けられ、前記制御部は、前記複数の原稿面高さ検知部の検知結果から得られる前記複数の箇所での原稿の浮き上がり量の相違が閾値未満なら原稿が綴じ状態でないと判断し、該相違が前記閾値以上なら原稿が綴じ状態であると判断する、ことを特徴とする請求項1に記載の原稿給送装置。
【請求項3】
前記原稿面高さ検知部の検知結果から得られる送風された原稿の浮き上がり量が所定値を超えると原稿が綴じ状態でないと判断し、該浮き上がり量が前記所定値以下なら原稿が綴じ状態であると判断する、ことを特徴とする請求項1に記載の原稿給送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記給送前の原稿が綴じ状態であると判断した場合に、前記原稿給送部による給送動作を中止する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の原稿給送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記給送前の原稿が綴じ状態であると判断した場合に、その旨を報知する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の原稿給送装置。
【請求項6】
前記原稿積載部に積載された原稿の給送方向と直交する幅方向のサイズに応じて可動可能に対向配置された一対の原稿ガイド部を備え、
前記送風部及び前記原稿面高さ検知部は、前記一対の原稿ガイド部にそれぞれ配設されている、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の原稿給送装置。
【請求項7】
前記原稿面高さ検知部は、前記原稿積載部に積載された原稿の所定部位の高さを検知する距離センサである、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の原稿給送装置。
【請求項8】
原稿の画像を読み取るための原稿読取部と、
前記原稿読取部に原稿を自動的に給送する自動原稿給送装置と、を備え、
前記自動原稿給送装置が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の原稿給送装置である、ことを特徴とする画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−12169(P2012−12169A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150237(P2010−150237)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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