説明

原稿読取装置、その制御方法、および、画像形成装置

【課題】中綴じされた原稿の読取を容易にする。
【解決手段】原稿読取装置では、中綴じされた原稿が中綴じされたままの状態で給紙トレイに載置される。そして、原稿読取装置では、第1の読取機構が搬送の経路上で原稿の表面を読取り、第2の読取機構が当該原稿の裏面を読取る。第1の読取機構および第2の読取機構が読取った画像は、記憶部で記憶される。再構成部は、記憶部に記憶された中綴じ原稿の各ページ画像を、配列を並べ替えて再構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置、その制御方法、および、画像形成装置に関し、特に、中綴じされた原稿の画像を読み取るための原稿読取装置、その制御方法、および、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、中綴じされた原稿の画像を読み取るための技術が種々提案されてきた。中綴じされた原稿、または中綴じ原稿とは、複数枚の用紙を半分に折り、折り代を綴じ代にして綴じることにより小冊子やパンフレットなどの形態に仕上げられるように画像が印刷された原稿であって、用紙の両面に、それぞれ2ページ分ずつのコンテンツが印刷された原稿をいう。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開2010−119063号公報)には、中綴じ印刷された原稿を綴じるステープルを外してばらばらにした後でADF(Auto Document Feeder)にセットして画像を読み取ったときに、読み取られた画像データを原稿通りに並べる技術が開示されている。当該公報に記載の技術は、読み取った画像に関連して、読取枚数や、原稿の左開き/右開きの情報の入力を受付ける。さらに、当該技術は、読み取った1枚目の原稿の表面の画像のプレビュー画像を表示させると共に、読取枚数や中綴じ原稿に対する読み取りを開始した面が、表紙/裏表紙の面か中央の面かを、ユーザに選択させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−119063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、中綴じされた原稿を読み取らせるには、原稿を綴じるステープルを外してばらばらにした後でADFにセットする必要があり、煩雑であった。特に、中綴じのステープルを外した後の原稿は、一般的なユーザが所有するステープラでは再度綴じることができない、という課題もあった。また、中綴じされたままの状態の原稿を各ページを開いて原稿ガラス上の読み取り位置にセットすると、何度も読み取りを行う必要があり煩雑であるという問題もあった。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、ADFを用いて中綴じされた原稿の読取を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従った原稿読取装置は、中綴じされた原稿が中綴じされたままの状態で載置される給紙トレイと、給紙トレイ上の載置された原稿を搬送するための搬送部と、搬送部による搬送の経路上で原稿の表面を読取る第1の読取機構と、搬送部による搬送の経路上で原稿の裏面を読取る第2の読取機構と、給紙トレイ上に載置する中綴じ原稿の開き方を報知するための報知部と、第1の読取機構および第2の読取機構が読取った画像を記憶するための記憶部と、記憶部に記憶された中綴じ原稿の各ページ画像を、配列を並べ替えて再構成するための再構成部とを備える。
【0008】
好ましくは、中綴じ原稿を構成する書類の枚数またはページ数を取得するための取得部と、中綴じ原稿を搬送の経路に搬送した回数をカウントするためのカウント部と、を更に備え、報知部は、取得部が取得した枚数又はページ数、およびカウント部によりカウントされた搬送回数に基いて、搬送の経路を搬送される中綴じ原稿の開き方を更新して報知する。
【0009】
好ましくは、原稿を搬送の経路上に供給するための給紙ローラと、原稿を1枚ずつ分離させるサバキ機能を有し、給紙ローラとの間で原稿をニップするためのサバキローラと、サバキローラを制御するためのサバキローラ制御部とをさらに備え、サバキローラ制御部は、単票の原稿を搬送の経路で送る単票モードと、中綴じ原稿を搬送の経路で送る中綴じモードとで制御が可能であり、単票モードでは、サバキローラのサバキ機能を作動させ、中綴じモードでは、サバキローラのサバキ機能を作動させない。
【0010】
好ましくは、サバキローラを駆動するためのサバキローラ駆動部と、サバキローラ駆動部からサバキローラへ伝達される回転方向を切り替える駆動切替部と、を更に備え、サバキローラ制御部は、単票モードでは、サバキローラが搬送の経路に原稿を送る向きとは逆向きに回転され、中綴じモードでは、サバキローラが搬送の経路に原稿を送る向きに回転されるように駆動切替部を制御する。
【0011】
好ましくは、サバキローラを駆動するためのサバキローラ駆動部と、サバキローラ駆動部からサバキローラへの駆動力の伝達を解除するための解除部と、を更に備え、サバキローラ制御部は、単票モードでは、サバキローラがサバキローラ駆動部により駆動され、中綴じモードでは、サバキローラがサバキローラ駆動部により駆動されないように解除部を制御する。
【0012】
好ましくは、搬送の経路上に設けられ、タイミングをとって原稿を搬送するためのレジストユニットと、レジストユニットを制御するためのレジストユニット制御部とをさらに備え、レジストユニット制御部は、単票の原稿を搬送の経路で送る単票モードと、中綴じ原稿を搬送の経路で送る中綴じモードとで制御が可能であり、単票モードでは、レジストユニットが原稿の搬送時に原稿を一時停止させ、中綴じモードでは、レジストユニットが原稿の搬送時に原稿を停止させないように制御する。
【0013】
好ましくは、搬送の経路は、原稿を第1の向きに送る第1の経路と、第1の経路に対する下流側であって、原稿を第1の向きと異なる第2の向きに送る第2の経路とを含み、第1の読取機構および第2の読取機構は、第2の経路上の原稿を読取り、原稿を、第1の経路を経ることなく第2の経路に送るための追加トレイと、単票の原稿を搬送の経路で送る単票モードと、中綴じ原稿を搬送の経路で送る中綴じモードとで制御を実行するための制御部とをさらに備え、制御部は、単票モードでは、第1の経路および第2の経路を通過するように原稿を搬送し、中綴じモードでは、追加トレイから第2の経路を通過するように原稿を搬送する。
【0014】
好ましくは、給紙トレイ上に載置された原稿を搬送の経路上に供給するためのピックアップローラと、給紙トレイ上にピックアップローラと対向して設けられた、回転体を有する搬送機構と、搬送機構を制御するための搬送制御部とをさらに備え、搬送制御部は、単票の原稿を搬送の経路で送る単票モードと、中綴じ原稿を搬送の経路で送る中綴じモードとで制御が可能であり、単票モードでは、搬送機構を停止状態に維持し、中綴じモードでは、搬送機構を搬送方向へ駆動する。
【0015】
好ましくは、搬送の経路上に設けられた1以上のローラ対と、ローラ対の双方を原稿搬送方向に回転駆動するためのローラ駆動部とを更に備える。
【0016】
本発明に従った画像形成装置は、上記したような原稿読取装置を備えている。
本発明に従った原稿読取装置の制御方法は、記憶部と、中綴じされた原稿が中綴じされたままの状態で載置される給紙トレイと、給紙トレイ上の載置された原稿を搬送するための搬送部と、搬送部による搬送の経路上で原稿の表面を読取る第1の読取機構および原稿の裏面を読取る第2の読取機構を備えた原稿読取装置のコンピュータによって実行される制御方法であって、給紙トレイ上に載置する中綴じ原稿の開き方を報知するステップと、第1の読取機構および第2の読取機構が読取った画像を記憶部に記憶するステップと、記憶部に記憶された中綴じ原稿の各ページ画像を、配列を並べ替えて再構成するステップとを備える。
【0017】
好ましくは、制御方法は、中綴じ原稿を構成する書類の枚数またはページ数を取得するステップと、中綴じ原稿を搬送の経路に搬送した回数をカウントするステップとを更に備え、報知するステップは、取得した枚数又はページ数、およびカウントされた搬送回数に基いて、搬送の経路を搬送される中綴じ原稿の開き方を更新して報知する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、中綴じ原稿について、第1の読取機構によって第1の面が読取られ、第2の読取機構によって第2の面を読取られ、そして、それらの画像が、取得手段によって取得された枚数および開き方に基いて、当該中綴じ原稿におけるページ順に並べ替えられる。
【0019】
したがって、ユーザは、中綴じ原稿の綴じを解消することなく、かつ、中綴じされたままの状態の原稿をADFにセットする回数を、各ページを開いて原稿ガラス上の読み取り位置にセットする場合に比べ少ない回数で、当該中綴じ原稿におけるページ順に並べられた画像を取得できる。
【0020】
これにより、中綴じされた原稿の読取を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態にかかる原稿読取装置の装置構成の具体例を示す図である。
【図2】本実施の形態にかかる原稿読取装置の制御構成の具体例を示すブロック図である。
【図3】図1の原稿読取装置における、中綴じ原稿から読み取られた画像の再構成を説明するための図である。
【図4】図1の原稿読取装置における、中綴じ原稿から読み取られた画像の再構成を説明するための図である。
【図5】図1の原稿読取装置における、中綴じ原稿から読み取られた画像の再構成を説明するための図である。
【図6】図1の原稿読取装置における、中綴じ原稿から読み取られた画像の再構成を説明するための図である。
【図7】図1の原稿読取装置における、中綴じ原稿から読み取られた画像の再構成を説明するための図である。
【図8】図1の原稿読取装置における、中綴じ原稿から読み取られた画像の再構成を説明するための図である。
【図9】図1の原稿読取装置のトレイ近傍の拡大図である。
【図10】図1の原稿読取装置のトレイ近傍において原稿を搬送経路に送り出す際の各ローラの駆動態様を説明するための図である。
【図11】図1の原稿読取装置のトレイ近傍の拡大図である。
【図12】図1の原稿読取装置において実行される原稿読取処理のフローチャートである。
【図13】原稿読取処理において表示パネルに表示される画面の一例を示す図である。
【図14】原稿読取処理において表示パネルに表示される画面の他の例を示す図である。
【図15】図1の原稿読取装置におけるローラの動作を説明するための図である。
【図16】図1の原稿読取装置におけるローラの動作を説明するための図である。
【図17】図1の原稿読取装置におけるローラの動作を説明するための図である。
【図18】図1の原稿読取装置の変形例の制御構成の具体例を示すブロック図である。
【図19】図12の原稿搬送処理の変形例のフローチャートである。
【図20】図1の原稿読取装置の変形例を示す図である。
【図21】本発明の画像形成装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では同一の部品は同一の符号が付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0023】
<装置構成>
図1は、本実施の形態にかかる原稿読取装置の装置構成の具体例を示す図である。図2は、本実施の形態にかかる原稿読取装置の制御構成の具体例を示すブロック図である。
【0024】
図1および図2を参照して、実施の形態にかかる原稿読取装置は、シートスルータイプのADF(Auto Document Feeder)部1Aと読取部1Bとを含む。
【0025】
ADF部1Aは読取部1Bで原稿の一方の面を読取るための読取位置211に原稿を搬送すると共に、ADF部1A内に設けられた、原稿の他方の面を読取るための読取部110に原稿を搬送する。
【0026】
ADF部1Aは、搬送前の原稿を積載するためのトレイ101と搬送後の原稿を排紙するためのトレイ113とを有し、トレイ101とトレイ113との間に原稿の搬送経路が構成されている。
【0027】
トレイ101と搬送経路との境界位置には、ピックアップローラ102と給紙ローラ103と、サバキローラ115が備えられる。トレイ101に積載された原稿束112は、ピックアップローラ102により給紙され、給紙ローラ103とサバキローラ115によって1枚ずつ分離されて、搬送経路に送り出される。
【0028】
以降の説明において、搬送経路の搬送方向、つまりトレイ101からトレイ113に向かう方向のトレイ101側を「搬送方向の上流側」といい、トレイ113側を「搬送方向の下流側」ということもある。また、搬送経路の上流側を「前」、下流側を「後」ということもある。
【0029】
搬送経路には、搬送方向に沿って搬送経路を挟む一対の中間ローラ104およびレジストローラ105が備えられる。中間ローラ104によって搬送経路上をレジストローラ105まで送り出された原稿は、図16に示されるように、レジストローラ105によってスキュー補正される。なお、図16において、R21〜R23は、それぞれ、ピックアップローラ102、給紙ローラ103、サバキローラ115、および、中間ローラ104の回転方向を示している。そして、スキュー補正された後の原稿が読取部1Bの読取位置211へ搬送される。
【0030】
搬送経路の、読取部1Bの読取位置211に対応する位置の上流側および下流側に、それぞれ一対の読取ローラ106,107が備えられる。これらローラ対の回転により、搬送されてきた原稿は読取部1Bの読取位置211を通過して下流側に搬送される。これにより、原稿の、読取部1Bに向く面が、読取部1Bによって読み取られる。以降の説明において、搬送された原稿の読取部1Bに向く面を「表面」とも称し、その反対面を「裏面」とも称する。
【0031】
搬送経路の、読取ローラ107よりも下流側に、読取部110が配される。読取部110は、搬送される原稿の裏面に撮像部を向けている。読取部110の下流側に、一対の読取ローラ108が備えられる。読取ローラ107,108の回転により、搬送されてきた原稿は読取部110を通過して下流側に搬送される。
【0032】
ADF部1A内に設けられた読取部110は、一例として、、CIS(Contact Image Sensor)を採用した読取機構である。詳しくは、読取部110には、図示しない光源とCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサとが、搬送される原稿の裏面に相対して配置される。光源からの照射光のうちの読取位置を通過する原稿の当該光源に向く面からの反射光がCMOSセンサで受光され、R,G,Bそれぞれの受光信号がRGBデータに変換される。これにより、原稿の裏面が読取部110によって読み取られる。読取部110は後述する読取部1Bの制御装置250と電気的に接続され、RGBデータを読取結果として制御装置250に対して出力する。なお、以降の説明において、読取部110はCIS110とも称する。また、以降の説明において、読取ローラ106,107,108を、それぞれ、R1ローラ,R2ローラ,R3ローラとも称する。
【0033】
搬送経路とトレイ113との境界位置には排紙ローラ109が備えられる。この排紙ローラ109の回転により、搬送され裏面がCIS110によって読み取られた後の原稿がトレイ113へ排出される。
【0034】
ADF部1Aは、さらに、各ローラを駆動するためのモータとして、給紙モータ301、読取モータ302、レジストモータ303、および排紙モータ304を備える。以降の説明において、給紙モータ301、読取モータ302、レジストモータ303、および排紙モータ304を、それぞれ、モータM1,M2,M3,M4とも称する。
【0035】
給紙モータ301は図示しない給紙クラッチを経てピックアップローラ102および給紙ローラ103に接続され、これらローラを駆動する。
【0036】
給紙モータ301は、一対の中間ローラ104の一方にも接続されて該ローラを駆動し、他方の中間ローラ104は、該ローラに従動回転する。
【0037】
レジストモータ303は、一対のレジストローラ105の一方に接続されて該ローラを駆動し、他方のレジストローラ105は、該ローラに従動回転する。
【0038】
読取モータ302は、一対の読取ローラ106,107,108の各一方に接続されてこれらローラを駆動する。読取りローラ106,107,108の他方は、上記のように駆動されたそれぞれの一方のローラに従動回転する。
【0039】
排紙モータ304は、一対の排紙ローラ109の一方に接続されて該ローラを駆動する。排紙ローラ109の他方は、上記のように駆動された排紙ローラ109の一方に従動回転する。
【0040】
排紙モータ304は、回転方向切替機構117を経てサバキローラ115にも接続されている。また、サバキローラ115には、図示しないトルクリミッタが備えられ、用紙を一枚ずつ搬送するサバキ機能が備えられている。
【0041】
トルクリミッタは、サバキローラ115とその駆動軸とを連結する図示しない筒状の部品である。サバキローラ115のトルクが設定より重い場合、すなわち1枚の用紙が給紙ローラ103とサバキローラ115との間に挟み込まれた場合は、駆動軸とサバキローラ115との連結が解除され、サバキローラ115が給紙ローラ103に従動回転するように構成されている。そして、サバキローラ115のトルクが設定より軽い場合、すなわち2枚以上の用紙が給紙ローラ103とサバキローラ115との間に挟み込まれた場合には、駆動軸とサバキローラ115が連結され、サバキローラ115が給紙ローラ103に従動回転せず、用紙を押し戻す方向に回転するように構成されている。
【0042】
搬送経路のいずれかの位置に、原稿の有無を検知するためのセンサ111が配される。センサ111の配される位置は、好ましくは読取位置211よりも上流側であり、一例として、読取ローラ106の近傍(図1では、読取ローラ106の下流側)が挙げられる。
【0043】
他の例として、読取ローラ106の上流側であってもよい。センサ111は、たとえば透過式のセンサが該当する。センサ111は後述する読取部1Bの制御装置250と電気的に接続され、センシング範囲に原稿が存在する場合にセンサ信号を制御装置250に対して出力する。
【0044】
ADF部1Aは、さらに、制御装置150およびメモリ160を備える。制御装置150に含まれるCPU(Central Processing Unit)151はメモリ160に記憶されるプログラムを読み出して実行する。モータM1乃至M4は制御装置150に電気的に接続されて、制御装置150からの制御信号に従って回転が制御される。
【0045】
読取部1Bは一例としてCCD(Charged Coupled Device)を含む。この場合、読取部1Bは、露光ランプ(L)201と、複数のミラーからなるミラー群202と、読取部としてのCCDセンサ203と、制御装置250と、メモリ260とを備える。
【0046】
原稿が読取位置211を通過すると、露光ランプ(L)201が、原稿の表面を照射する。照射光によって原稿の表面から反射された光はミラー群202に反射されてCCDセンサ203まで導かれ、CCDセンサ203によって受光される。
【0047】
制御装置250は、CPU251を含み、メモリ260に記憶されるプログラムを読み出して実行することで、画像処理部としての機能を発揮する。CCDセンサ203は、光電変換により、受光信号をRGBデータに変換して制御装置250に対して出力する。画像処理部として機能する制御装置250は、CIS110およびCCDセンサ203から出力されたRGBデータに基づいて画像データを生成し、生成された画像データをメモリ260へ記憶させる。
【0048】
トレイ101の給紙ローラ103と近接する部分には、ドラム191,192が設けられている。
【0049】
図9は、図1の原稿読取装置のトレイ101近傍の拡大図である。また、図10は、トレイ101近傍において原稿を搬送経路に送り出す際の各ローラの駆動態様を説明するための図である。そして、図11は、図1の原稿読取装置のトレイ101近傍の拡大図である。
【0050】
図9〜図11をさらに参照して、トレイ101には、当該トレイ101の給紙面からわずかに飛び出す位置に、ベルト193が設けられている。ベルト193は、ドラム191とドラム192に張架されている。また、図9および図10には、ピックアップローラ102を支持する支持部102Aが示されている。
【0051】
ピックアップローラ102は、原稿を搬送経路に送り出すために、矢印R1の向きに回転する。
【0052】
本実施の形態の原稿読取装置は、後述するように、単票の原稿の読取を行なう単票原稿モードと、中綴じされた原稿の読取を行なう中綴じ原稿モードとで、動作する。
【0053】
そして、中綴じ原稿モードの際には、ベルト193は、中綴じされた原稿をスムーズに搬送経路へと送り出すために、ピックアップローラ102と連動するように、原稿搬送方向(矢印R2の向き)に回転する。一方、ベルト193は、単票原稿モードでは回転せず、停止状態に維持される。単票の原稿に対してベルト193が回転すると、却って原稿を傷める事態が想定されるからである。なお、ベルト193は、ドラム191,192が図示せぬモータの駆動により回転することにより、回転する。ベルト193の材料は、ゴム材等の、或る程度原稿に対して摩擦を生じる材料が好ましい。なお、ベルト193の代わりに、原稿と接する面が同様の材料からなるローラが備えられていても良い。ただし、ベルトが備えられることにより原稿との接触面積をより大きくし、これにより、より確実に原稿を搬送経路に送ることができる。
【0054】
このようなピックアップローラ102およびベルト193(ドラム191,192)の回転動作は、CPU151により制御される。
【0055】
図2を参照して、ADF部1Aの制御装置150および読取部1Bの制御装置250は、それぞれ、CPU151,251を含み、メモリ160,260に記憶されているプログラムを実行する。ADF部1AのCPU151と読取部1BのCPU251とは電気的に接続され、原稿のサイズ情報や動作モードや原稿を読み取るタイミング情報などの制御情報を互いに通信する。
【0056】
ADF部1AのCPU151は、給紙モータ(M1)301を駆動するためのモータ駆動IC152、読取モータ(M2)302を駆動するためのモータ駆動IC153、レジストモータ(M3)303を駆動するためのモータ駆動IC154、および排紙モータ(M4)304を駆動するためのモータ駆動IC155と接続される。CPU151は、励磁信号をモータ駆動ICに対して入力することにより、モータの回転を制御する。
【0057】
読取部1BのCPU251はセンサ111に接続され、センサ111からのセンサ信号が入力される。読取部1BのCPU251は、さらに、CIS110およびCCDセンサ203に接続される。CPU251は、後述する処理を行なうことでセンサ111からのセンサ信号に基づいて原稿の搬送経路上の位置を特定し、当該位置を用いてCIS110およびCCDセンサ203での読み取りのタイミングを決定する。そして、CIS110およびCCDセンサ203での読み取りのタイミングを制御する。
【0058】
なお、本明細書では、適宜、CCDセンサ203を第1読取部といい、CIS110を第2読取部という。
【0059】
また、読取部1BのCPU251は、メモリ260に記憶されるプログラムを読み出して実行することで画像処理部として機能する。画像処理部としてのCPU251は、CIS110からのRGBデータおよびCCDセンサ203からのRGBデータの入力を受付け、当該RGBデータを処理して画像データを生成し、生成された画像データをメモリ260へ記憶させる。
【0060】
また、上記したように、原稿読取装置では、ドラム191,192を回転させるためのモータが設けられている。CPU151は、駆動回路を介して、当該モータを適宜駆動させる。
【0061】
また、原稿読取装置には、液晶表示装置等からなる表示パネル170と、各種のボタン等からなる入力部171とが含まれる。CPU251には、入力部171に対して操作がなされた場合、当該操作に対応した情報が入力される。また、CPU251は、表示パネル170の表示態様を制御する。なお、本実施の形態では、入力部171は、表示パネル170に表示されるソフトウェアキーとして実現される。つまり、本実施の形態では、表示パネル170と入力部171の一例として、原稿読取装置にはタッチパネルが設けられている。
【0062】
<中綴じ原稿の読取と再構成>
図3〜図8を参照して、中綴じ原稿から読み取られた画像の再構成を行うプログラムについて説明する。かかるプログラムはメモリ260に記憶されており、CPU251により実行される。なお、再構成とは、中綴じ原稿を構成する全ての用紙について、各用紙の両面のそれぞれに含まれる2ページ分ずつの画像データが全て読み取られてメモリ260に記憶された後に、CPU251が、メモリ260に記憶された各ページの画像を、閲覧または印刷するために配列を並べ替えることをいう。
【0063】
例えば、ユーザが、図3に示されたような2枚の中綴じされた用紙からなる原稿112の画像を原稿読取装置に読み取らせたい場合、図4の(A)に示されるように、当該原稿の、第3頁と第4頁が上面に、表紙と裏表紙が下面に向くように、原稿112をトレイ101にセットする。原稿112は、搬送経路を送られて、1回目の読取が行なわれる。ユーザは、次に、図4の(B)に示されるように、当該原稿の、第5頁と第6頁が上面に、第2頁と第1頁が下面に向くように、原稿112をトレイ101にセットする。原稿112は、搬送経路を送られて、2回目の読取が行なわれる。
【0064】
図5は、綴じ枚数2枚の場合に、第1読取部及び第2読取部で読み取った画像データを再構成するための、メモリ260に記憶されているプログラムの一部をなす、対応ページ番号テーブルを示している。「●読取」テーブルには、1回目と2回目のそれぞれの読取で、第1読取部と第2読取部のそれぞれに読み取られる画像に対応する頁番号がまとめられている。
【0065】
図5の「●再構成データ」テーブルには、上記のように読み取られた画像が再構成された後の頁番号に対応する画像データの配列がまとめられている。このように再構成された後の画像データによれば、1枚目の記録用紙の表面には、左側に第1頁の画像が、右側に第6頁の画像が、そして、裏面には、左側に表紙の画像が、右側に裏表紙の画像が、それぞれ形成(印刷)される。また、2枚目の記録用紙の表面には、左側に第3頁の画像が、右側に第4頁の画像が、そして、裏面には、左側に第2頁の画像が、右側に第5頁の画像が、それぞれ形成(印刷)される。
【0066】
例えば、ユーザが、図6に示されたような3枚の中綴じされた用紙からなる原稿112の画像を原稿読取装置に読み取らせたい場合、図7の(A)に示されるように、当該原稿の、第5頁と第6頁が上面に、表紙と裏表紙が下面に向くように、原稿112をトレイ101にセットする。原稿112は、搬送経路を送られて、1回目の読取が行なわれる。ユーザは、次に、図7の(B)に示されるように、当該原稿の、第3頁と第4頁が上面に、第10頁と第9頁が下面に向くように、原稿112をトレイ101にセットする。原稿112は、搬送経路を送られて、2回目の読取が行なわれる。ユーザは、次に、図7の(C)に示されるように、当該原稿の、第7頁と第8頁が上面に、第2頁と第1頁が下面に向くように、原稿112をトレイ101にセットする。原稿112は、搬送経路を送られて、3回目の読取が行なわれる。
【0067】
図8は、綴じ枚数3枚の場合に、第1読取部及び第2読取部で読み取った画像データを再構成するための、メモリ260に記憶されているプログラムの一部をなす、対応ページ番号テーブルを示している。「●読取」テーブルには、1回目〜3回目のそれぞれの読取で、第1読取部と第2読取部のそれぞれに読み取られる画像に対応する頁番号がまとめられている。
【0068】
図8の「●再構成データ」テーブルには、上記のように読み取られた画像を、記録用紙に印刷するために、再構成された後の頁番号に対応する画像データの配列がまとめられている。このように再構成された後の画像データによれば、1枚目の記録用紙の表面には、左側に第1頁の画像が、右側に第10頁の画像が、そして、裏面には、左側に表紙の画像が、右側に裏表紙の画像が、それぞれ形成(印刷)される。また、2枚目の記録用紙の表面には、左側に第3頁の画像が、右側に第8頁の画像が、そして、裏面には、左側に第2頁の画像が、右側に第9頁の画像が、それぞれ形成(印刷)される。また、3枚目の記録用紙の表面には、左側に第5頁の画像が、右側に第6頁の画像が、そして、裏面には、左側に第4頁の画像が、右側に第7頁の画像が、それぞれ形成(印刷)される。
【0069】
以上、図3〜図8を参照して説明したように、原稿において中綴じされる枚数に応じて異なる態様で再構成が行なわれるように、メモリ260にプログラムが記憶されている。
【0070】
原稿読取装置では、中綴じ原稿モードにおいて、原稿において中綴じされている用紙の枚数を特定する情報の入力を、入力部171より受付ける。CPU251は、当該枚数に応じて、メモリ260に記憶された原稿の各ページ画像の再構成を行なう。なお、中綴じされた用紙の数は、2、3枚に限られず、複数枚であれば良い。また、用紙の枚数を特定する情報を入力するのに代えて、表表紙、裏表紙も含めた総ページ数を入力するようにしても良い。
【0071】
<原稿読取処理>
図12は、本実施の形態の原稿読取装置において実行される原稿読取処理のフローチャートである。この原稿読取処理は、CPU251とCPU151が共働して行う。
【0072】
図12を参照して、CPU251は、ステップS10で、表示パネル170がタッチ操作されることにより、中綴じ原稿モードが選択されたか否かを判断し、選択されたと判断するとステップS20へ処理を進める。一方、中綴じ原稿モードではなく単票原稿モードが選択されたと判断すると、CPU251は、単票原稿モードで原稿の画像を読取る処理を実行する。なお、単票原稿モードで原稿の画像を読取る処理については、公知の技術を利用することができるため、本明細書では、当該処理の説明を繰り返さない。
【0073】
ステップS20では、CPU251は、表示パネル170に、見開きで開くページを指示する情報を表示して、ステップS21へ処理を進める。
【0074】
図13は、このときの表示パネル170の表示態様の一例を示す図である。
図13の画面701には、中綴じ原稿をどのように開いてトレイ101にセットするべきかを説明するための図が示されている。具体的には、原稿を開くページを指定する画像が示されている。なお、画面701には、原稿の開き方とともに、その左下に、これから画像を読み取られる原稿において中綴じされている用紙の枚数が表示されている。CPU251は、たとえば、ステップS10の後、ステップS20を実行する前に、中綴じされている用紙の枚数を指定する情報の入力を受付ける。なお、中綴じされている用紙の枚数を指定する情報は、デフォルトでメモリ260に記憶されていても良い。そして、当該記憶されている枚数に対して変更が必要な場合(変更が必要である旨の情報が入力部171に入力された場合)にのみ、上記情報の入力を受付けても良い。また、用紙の枚数を特定する情報を入力するのに代えて、表表紙、裏表紙も含めた総ページ数を入力するようにしても良い。
【0075】
原稿の開き方を指定する画面は、ステップS20の他に、後述するステップS80でも、表示パネル170に表示される。表示される内容、つまり、原稿の開き方は、中綴じされている用紙の枚数およびこれから行なわれる読取が何回目であるかによって異なる。すなわち、表示パネル170には、中綴じされている用紙の枚数および搬送回数に基いて、トレイ101にセットする中綴じ原稿の開き方が更新して表示される。
【0076】
たとえば、原稿の中綴じ枚数が2枚である場合には、図5の「●読取」テーブルに記載されている各読取回数に応じて、「第1読取部」の欄に記載された各ページを上面に、「第2読取部」の欄に記載された各ページを下面に開くように表示される。
【0077】
原稿の中綴じ枚数が3枚である場合には、図8の「●読取」テーブルに記載されている各読取回数に応じて、「第1読取部」の欄に記載された各ページを上面に、「第2読取部」の欄に記載された各ページを下面に開くように表示される。
【0078】
なお、中綴じされた用紙の数は、2、3枚に限られず、複数枚であれば良い。
CPU251は、原稿の綴じ枚数と、読取の回数とに基づいて、メモリ260から、原稿の開き方を示す表示内容(画面データ)を取得し表示パネル170に表示する。
【0079】
図12に戻って、CPU251は、ステップS21において、表示パネル170の入力部171により中綴じ原稿の読取りを開始する旨の情報の入力がされたか否かを判断し、入力されたと判断するとステップS30へ処理を進める。一方、読取り開始の情報が入力されなかったと判断すると、ステップS21で待機する。
【0080】
本実施の形態では、単票原稿モードでは、トルクリミッタを内包したサバキローラ115が原稿の搬送方向とは逆向きに回転するよう駆動されており、中綴じ原稿モードでは、サバキローラ115は、原稿を搬送する方向に回転するよう駆動される。ステップS30で、サバキローラ115の回転の向きを原稿搬送の向きとするべく回転方向切替機構117を切り替える。これにより、ステップS43における原稿の搬送では、図15に示されるように、サバキローラ115は、給紙ローラ103と同じように、原稿を搬送経路へと送る向きに回転する。
【0081】
ステップS40では、CPU151は、スキュー補正の設定をOFFする。これにより、単票原稿モードにおける原稿搬送の際には行なわれるレジストローラ105によるスキュー補正(図16)が、中綴じ原稿モードでは行なわれない。中綴じされた原稿の先端が、レジストローラ105で一時停止し、中間ローラ104の回転によりループが形成される際に、ダメージを受けることを回避するためである。中綴じ原稿モードでは、図17に示されるように、レジストローラ105も一時停止を行わず、中間ローラ104等と同様のタイミングで原稿を搬送するように回転する。R24は、レジストローラ105の回転の向きを示している。
【0082】
次に、ステップS41で、CPU151は、図15に示されるように、ベルト193がピックアップローラ102に圧接されるようにピックアップローラ102を下降させて、ステップS42に処理を進める。
【0083】
ステップS42では、CPU151は、ピックアップローラ102とともに、ベルト193を、原稿を搬送経路へ送る向きに回転させて、原稿の給紙を開始し、ステップS43へ処理を進める。
【0084】
ステップS43では、CPU151は、給紙ローラ103、サバキローラ115、その他の原稿搬送方向下流側のローラを回転させて原稿の搬送を開始し、ステップS50へ処理を進める。なお、サバキローラ115は、図15に示されるように、原稿が搬送される向きに回転する。
【0085】
次に、ステップS50で、CPU151およびCPU251は、搬送経路上の各ローラを駆動することにより原稿を搬送し、該搬送経路において当該原稿の表裏の画像を第1読取部および第2読取部で読み取ってメモリ260に記憶させ、原稿をトレイ113へ排紙する。そして、ステップS51へ処理を進める。
【0086】
ステップS51では、CPU251は、カウンタを1つ加算更新することにより、処理対象となっている原稿に対する第1読取部および第2読取部による読取回数、すなわち搬送回数をカウントアップし、ステップS60へ処理を進める。
【0087】
ステップS60では、CPU251は、ステップS50で読み取った画像を表示パネル170に表示する。このとき表示される画面の一例を図14に示す。図14の画面702は、表面および裏面として読取った画像、OKボタン702A、および、やり直しボタン702Bを含む。なお、画面702では、読取った画像とともに、「7ページ」「8ページ」等で表示されているように、読み取られた画像がどの頁として扱われるかを示す頁番号情報も合わせて表示される。
【0088】
そして、ステップS61へ処理を進める。ステップS61では、CPU251は、入力部171に対して当該画像に間違いがない旨を確認する操作がなされたか否か、すなわち、OKボタン702Aに対するタッチ操作が行なわれたか、やり直しボタン702Bに対するタッチ操作が行われたかを判断する。そして、OKボタン702Aに対するタッチ操作が行なわれ、間違いでない旨が確認されたと判断すると、ステップS70へ処理を進める。一方、やり直しボタン702Bに対するタッチ操作が行なわれ、間違いである旨の操作がなされたと判断すると、ステップS62へ処理を進めて、搬送回数をカウントしたカウントを一つ減算する。そして、ステップS20へ処理を戻す。
【0089】
ステップS70では、CPU251は、処理対象の中綴じ原稿の全てのページの読取が完了したか否かを判断する。この判断は、例えば、上記搬送回数が、原稿の綴じ枚数に応じて行なわれるべき搬送回数に達したか否かを判断することにより、実現される。そして、全て完了したと判断するとステップS90へ処理を進める。一方、完了していないと判断すると、ステップS80へ処理を進める。
【0090】
ステップS80では、CPU251は、次回の読取のためにセットされる原稿の開き方を指定する画面を表示パネル170に表示させて、ステップS21へ処理を戻す。
【0091】
一方、ステップS90では、ステップS10〜ステップS80の処理における、複数回の読取によって取得された画像を、メモリ260において再構成して、印刷用または閲覧用の電子データを生成して、原稿読取処理を終了させる。
【0092】
以上説明した本実施の形態では、中綴じ原稿モードにおいて、レジストループ作成機能がOFFされる等、原稿へのダメージを回避するための種々の調整がなされている。これにより、中綴じ原稿の綴じを外すことなくその表裏両面の画像を同時に読取る装置において特別に想定される悪影響が極力排除される。
【0093】
<変形例(1)>
次に、以上説明した実施の形態の変形例(1)について説明する。
【0094】
本変形例(1)では、サバキローラ115の回転方向を切り替える回転方向切替機構117に代えて、モータ304からサバキローラ115への駆動力の伝達を解除するクラッチが設けられている。
【0095】
図18は、本変形例の原稿読取装置の制御構成の具体例を示すブロック図である。図18では、図2に示されたブロック図に対して、クラッチ119が追加されている。クラッチ119は、上記の、モータ304からサバキローラ115への駆動力の伝達を解除するクラッチである。
【0096】
中綴じ原稿モードでは、このクラッチ119によりサバキローラ115とモータ304との連結を解除し、モータ304からの駆動力がサバキローラ115に伝達されず、サバキローラ115が常に給紙ローラ103に従動回転されるように構成されている。なお、クラッチ119を設けることなく、モータ304をオフのままにしておき、サバキローラ115が駆動されないようにすることで、給紙ローラ103に従動回転されるようにしても良い。
【0097】
図19は、このような変形例における原稿搬送処理のフローチャートである。
図19を参照して、本変形例では、図12のフローチャートと比較して、ステップS30に代えてステップS31が設けられている点のみが異なる。同じステップ番号の処理は図12のフローチャートと同じであるので、図12のフローチャートと異なる点のみ説明する。
【0098】
本変形例では、CPU251は、ステップS20で画面表示を行なった後、ステップS21で中綴じ原稿の読取りを開始する旨の情報の入力を入力部171から受付けると、ステップS31で、クラッチ119をオンすることにより、サバキローラ115とモータ304との連結を解除する。そして、ステップ40へ処理を進める。
【0099】
<変形例(2)>
次に、変形例(2)について説明する。
【0100】
本変形例(2)では、各一対のローラの一方が駆動されることにより他方が従動回転するという構成に代えて、双方のローラが駆動される点のみが、前述の実施の形態と異なっている。具体的には、給紙モータ301は一対の中間ローラ104の双方に接続され、レジストモータ303は一対のレジストローラ105の双方に接続され、読取モータ302は一対の読取ローラ106,107,108のそれぞれ双方に接続され、排紙モータ304は、一対の排紙ローラ109の双方に接続されている。各モータは、接続された各一対のローラの双方を原稿搬送方向に駆動する。
【0101】
これにより、より強力な力で原稿を搬送することができるので、複数枚の用紙を搬送する中綴じ原稿モードにおいても、確実に搬送を行う事ができる。
【0102】
<変形例(3)>
図20は、変形例(3)を示す図である。
【0103】
図20の装置では、図1の装置に対して、追加トレイユニット180が設けられている。追加トレイユニット180は、トレイ181と、ローラ182,183とを含む。
【0104】
ローラ182,183は、トレイ181にセットされた原稿を読取ローラ106へ送る。トレイ181から読取ローラ106へ送られた原稿は、読取ローラ107、読取ローラ108、排紙ローラ109を経て、トレイ113に排出される。この搬送経路は、原稿を搬送する向きが常に図の右向きである。
【0105】
本変形例(3)では、単票原稿モードでは、トレイ101からピックアップローラ102,給紙ローラ103等を経てトレイ113に送られる搬送経路で原稿が搬送される。この搬送経路では、まず左向きに原稿が搬送された後、途中で搬送の向きが右向きに変えられる。装置の右側からセットされた原稿が、装置の右側に排出される。したがって、原稿をセットしたユーザが排出された当該原稿を受け取るのに要する移動距離を極力少なくできる。
【0106】
一方、上記したようなトレイ181から読取ローラ107へと原稿が送られる搬送経路は、原稿の搬送の向きを変更しない。したがって、搬送途中で搬送の向きが変わる搬送経路と比較して、原稿にかかる負担を抑えることができる。本変形例(3)では、中綴じ原稿モードでは、トレイ181から読取ローラ107へと原稿が送られる搬送経路で、原稿が搬送される。
【0107】
<変形例(4)>
図21は、本発明の画像形成装置の一例を示す図である。
【0108】
上記したような画像読取装置がプリンタ部1000に接続されることにより、画像読取装置で生成された画像をプリンタ部で形成する画像形成装置が実現される。
【0109】
本発明の画像形成装置には、複写機、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ送受信機、またはこれら装置のうちのいずれか2以上の装置の機能を備えた複合機であるMFP(Multi Function Peripheral)などが該当する。なお、プリンタ部1000は、汎用のプリンタに備えられた画像形成機能と同様に、画像読取装置において生成(取得)された画像を、記録用紙等の記録媒体上に形成(印刷)する機能を有する。
【0110】
今回開示された実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することを意図される。
【符号の説明】
【0111】
1A ADF部、1B 読取部、101,113,181 トレイ、102 ピックアップローラ、103 給紙ローラ、104 中間ローラ、105 レジストローラ、115 サバキローラ、117 回転方向切替機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿読取装置であって、
中綴じされた原稿が中綴じされたままの状態で載置される給紙トレイと、
前記給紙トレイ上の載置された原稿を搬送するための搬送部と、
前記搬送部による搬送の経路上で原稿の表面を読取る第1の読取機構と、
前記搬送部による搬送の経路上で原稿の裏面を読取る第2の読取機構と、
前記給紙トレイ上に載置する中綴じ原稿の開き方を報知するための報知部と、
前記第1の読取機構および前記第2の読取機構が読取った画像を記憶するための記憶部と、
前記記憶部に記憶された中綴じ原稿の各ページ画像を、配列を並べ替えて再構成するための再構成部とを備える、原稿読取装置。
【請求項2】
前記中綴じ原稿を構成する書類の枚数またはページ数を取得するための取得部と、
前記中綴じ原稿を前記搬送の経路に搬送した回数をカウントするためのカウント部と、を更に備え、
前記報知部は、前記取得部が取得した枚数又はページ数、および前記カウント部によりカウントされた搬送回数に基いて、前記搬送の経路を搬送される中綴じ原稿の開き方を更新して報知する、請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
原稿を前記搬送の経路上に供給するための給紙ローラと、
原稿を1枚ずつ分離させるサバキ機能を有し、前記給紙ローラとの間で原稿をニップするためのサバキローラと、
前記サバキローラを制御するためのサバキローラ制御部とをさらに備え、
前記サバキローラ制御部は、
単票の原稿を前記搬送の経路で送る単票モードと、中綴じ原稿を前記搬送の経路で送る中綴じモードとで制御が可能であり、
前記単票モードでは、前記サバキローラのサバキ機能を作動させ、
前記中綴じモードでは、前記サバキローラのサバキ機能を作動させない、請求項1または請求項2に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記サバキローラを駆動するためのサバキローラ駆動部と、
前記サバキローラ駆動部から前記サバキローラへ伝達される回転方向を切り替える駆動切替部と、を更に備え、
前記サバキローラ制御部は、
前記単票モードでは、前記サバキローラが前記搬送の経路に原稿を送る向きとは逆向きに回転され、
前記中綴じモードでは、前記サバキローラが前記搬送の経路に原稿を送る向きに回転されるように前記駆動切替部を制御する、請求項3に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
前記サバキローラを駆動するためのサバキローラ駆動部と、
前記サバキローラ駆動部から前記サバキローラへの駆動力の伝達を解除するための解除部と、を更に備え、
前記サバキローラ制御部は、
前記単票モードでは、前記サバキローラが前記サバキローラ駆動部により駆動され、
前記中綴じモードでは、前記サバキローラが前記サバキローラ駆動部により駆動されないように前記解除部を制御する、請求項3に記載の原稿読取装置。
【請求項6】
前記搬送の経路上に設けられ、タイミングをとって原稿を搬送するためのレジストユニットと、
前記レジストユニットを制御するためのレジストユニット制御部とをさらに備え、
前記レジストユニット制御部は、
単票の原稿を前記搬送の経路で送る単票モードと、中綴じ原稿を前記搬送の経路で送る中綴じモードとで制御が可能であり、
前記単票モードでは、前記レジストユニットが原稿の搬送時に原稿を一時停止させ、
前記中綴じモードでは、前記レジストユニットが原稿の搬送時に原稿を停止させないように制御する、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の原稿読取装置。
【請求項7】
前記搬送の経路は、
原稿を第1の向きに送る第1の経路と、
前記第1の経路に対する下流側であって、原稿を前記第1の向きと異なる第2の向きに送る第2の経路とを含み、
前記第1の読取機構および前記第2の読取機構は、前記第2の経路上の原稿を読取り、
前記原稿を、前記第1の経路を経ることなく前記第2の経路に送るための追加トレイと、
単票の原稿を前記搬送の経路で送る単票モードと、中綴じ原稿を前記搬送の経路で送る中綴じモードとで制御を実行するための制御部とをさらに備え、
前記制御部は、
前記単票モードでは、前記第1の経路および前記第2の経路を通過するように原稿を搬送し、
前記中綴じモードでは、前記追加トレイから前記第2の経路を通過するように原稿を搬送する、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の原稿読取装置。
【請求項8】
前記給紙トレイ上に載置された原稿を前記搬送の経路上に供給するためのピックアップローラと、
前記給紙トレイ上に前記ピックアップローラと対向して設けられた、回転体を有する搬送機構と、
前記搬送機構を制御するための搬送制御部とをさらに備え、
前記搬送制御部は、
単票の原稿を前記搬送の経路で送る単票モードと、中綴じ原稿を前記搬送の経路で送る中綴じモードとで制御が可能であり、
前記単票モードでは、前記搬送機構を停止状態に維持し、
前記中綴じモードでは、前記搬送機構を搬送方向へ駆動する、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の原稿読取装置。
【請求項9】
前記搬送の経路上に設けられた1以上のローラ対と、
前記ローラ対の双方を原稿搬送方向に回転駆動するためのローラ駆動部とを更に備えた、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の原稿読取装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載の原稿読取装置を備えた、画像形成装置。
【請求項11】
記憶部と、中綴じされた原稿が中綴じされたままの状態で載置される給紙トレイと、前記給紙トレイ上の載置された原稿を搬送するための搬送部と、前記搬送部による搬送の経路上で原稿の表面を読取る第1の読取機構および原稿の裏面を読取る第2の読取機構を備えた原稿読取装置のコンピュータによって実行される制御方法であって、
前記給紙トレイ上に載置する中綴じ原稿の開き方を報知するステップと、
前記第1の読取機構および前記第2の読取機構が読取った画像を前記記憶部に記憶するステップと、
前記記憶部に記憶された中綴じ原稿の各ページ画像を、配列を並べ替えて再構成するステップとを備える、原稿読取装置の制御方法。
【請求項12】
前記制御方法は、
前記中綴じ原稿を構成する書類の枚数またはページ数を取得するステップと、
前記中綴じ原稿を前記搬送の経路に搬送した回数をカウントするステップとを更に備え、
前記報知するステップは、取得した前記枚数又は前記ページ数、およびカウントされた前記搬送回数に基いて、前記搬送の経路を搬送される中綴じ原稿の開き方を更新して報知する、請求項11に記載の原稿読取装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2012−217147(P2012−217147A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−46446(P2012−46446)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】