説明

双方向無線通信システム、制御装置、被制御装置、干渉回避方法

【課題】被制御装置に対して同じタイミングで複数の信号が送信されてしまうと、信号の衝突・混線や被制御装置の処理能力超過などの理由により受信処理が失敗してしまうという問題がある。
【解決手段】制御装置から通信データを送信する場合、当該制御装置の送信周期を同時に送信し、被制御装置は当該送信周期を基に通信データが衝突若しくは、混線する可能性があるかを判定する。通信データが衝突若しくは、混線する可能性がある場合は、制御装置に対して送信周期を変更する送信周期を変更する情報を送信し、通信データの衝突若しくは、混線を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の制御装置から送信される通信データを受信装置において受信する際の当該通信データの干渉回避を実現する双方向無線通信システム、制御装置、被制御装置、干渉回避方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の制御装置と、当該制御装置からの通信データを受信する被制御装置で構成される双方向無線通信システムにおいて、被制御装置は間歇的に受信動作を行なうことで低消費電力化を図り、電池の寿命の延長を可能としていた。
【0003】
このような双方向通信システムにおいては、例えば周期的な間隔で通信データを送信する制御装置と、この制御装置が送信動作を行なう周期の整数分の一倍の周期で、通信データの間欠受信処理を行なう被制御装置とを用い、制御装置からの信号が送信される可能性のあるときだけ受信回路の電源をオンにすることで、効率のよい低消費電力の待ち受け受信動作を行なう方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−292569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の間欠的に動作する被制御装置では、効果的な低消費電力化を図るために、被制御装置が受信待ち受け処理を行なう時間を短く設定している。このため、複数台の制御装置から通信データが受信装置に対して送信される場合、受信処理が可能な時間が限られてしまうために、同じタイミングを狙って被制御装置に対して送信処理を行なう機会が頻発する。このとき、被制御装置に対して同じタイミングで複数の信号が送信されてしまうと、信号の衝突・混線や被制御装置の処理能力超過などの理由により受信処理が失敗してしまうという問題がある。この問題は、制御装置から被制御装置に対して周期的に信号を送信する必要がある場合に頻発してしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に対し、複数の制御装置から通信データを送信する送信周期を被制御装置に送信し、当該送信周期に基づいて送信周期を変更するか否かを判定し、当該判定結果を制御装置に返信することで、効果的に受信処理の失敗を防止する双方向無線通信システム、制御装置、被制御装置、干渉回避方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、複数の制御装置と、被制御装置と、で構成され、当該制御装置が間歇的に通信データの送受信を行なう双方向無線通信システムであって、前記制御装置は、前記被制御装置と無線媒体を介して通信データの送受信を間歇的に行なう第1通信部と、自装置の制御を行なう第1制御部と、を備え、前記第1制御部は、前記被制御装置に対して自装置に設定された送信周期毎に通信データを送信する場合、自装置から送信する当該通信データに当該送信周期を含めて送信するように前記第1通信部を制御する特徴を有し、前記被制御装置は、前記制御装置と無線媒体を介して通信データの送受信を行なう第2通信部と、前記制御装置から送信される通信データを受信した場合、当該通信データから、前記送信周期を取得する第2取得部と、自装置の制御を行なう第2制御部と、を備え、前記第2制御部は、前記複数の制御装置から送信される通信データから複数の送信周期を取得するよう制御すると共に、取得した当該複数の送信周期を基に、当該複数の制御装置が先の時刻に送信する送信タイミングに重複があると判定した場合、送信タイミングの重複する制御装置に対し、当該送信周期を変更する送信周期変更信号を送信するよう前記第2通信部を制御する特徴を有し、前記第1制御部はさらに、前記第1通信部において受信を行なう前記被制御装置から送信される通信データに送信周期変更信号が含まれている場合、当該送信周期変更信号に応じて、前記送信周期の変更を行なう双方向無線通信システムである。
【0008】
また、複数の制御装置によって、無線媒体を介して操作される被制御装置であって、前記制御装置と無線媒体を介して通信データの送受信を行なう第2通信部と、前記制御装置から送信される通信データを受信した場合、当該通信データから、前記第1の無線通信装置が間歇的に送信する通信データの送信周期を取得する第2取得部と、自装置の制御を行なう第2制御部と、を備え、前記第2制御部は、前記複数の制御装置から送信される通信データから、複数の送信周期を取得するよう制御すると共に、取得した当該複数の送信周期を基に、当該複数の制御装置が先の時刻に送信する送信タイミングに重複があると判定した場合、送信タイミングの重複する制御装置に対し、当該送信周期を変更する送信周期変更信号を送信するよう前記第2通信部を制御することを特徴とする、被制御装置である。
【0009】
また、無線媒体を介して被制御装置の制御を行なう制御装置であって、前記制御装置と無線媒体を介して、予め設定された送信周期毎に通信データの送受信を行なう第1通信部と、自装置の制御を行なう第1制御部と、を備え、前記第1制御部は、前記被制御装置から前記送信周期を変更する送信周期変更信号を受信した場合、当該送信周期の変更を行なうことを特徴とする、制御装置である。
【0010】
さらに、複数の制御装置と、当該制御装置によって制御される被制御装置と、から構成される双方向無線通信システムにおける干渉回避方法であって、前記制御装置から前記被制御装置に対して、当該制御装置から送信される通信データの送信周期を送信する第1送信ステップと、前記複数の制御装置から送信される送信周期を基に、前記被制御装置が当該複数の制御装置における先の時刻に前記通信データを送信する送信タイミングの重複を判定する判定ステップと、判定ステップにおいて、送信タイミングが重複すると判定した場合、前記被制御装置が当該送信タイミングの重複する制御装置に対し、前記送信周期を変更する送信周期変更信号を送信する第2送信ステップと、前記被制御装置から送信される前記送信周期変更情報を受信した場合、前記制御装置は、自装置の前記送信周期を変更する変更ステップと、を備える干渉回避方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば複数台の制御装置からひとつの被制御装置に対して信号が送信される状況であっても、複数の送信信号が衝突することを防止することができるため、受信処理が失敗しないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態における双方向通信システムの構成を示すための図
【図2】本実施の形態における双方向の通信が可能な制御装置の模式図
【図3】本実施の形態における制御装置から送信される送信信号の構成例を示す図
【図4】本実施の形態における制御装置装置及び、被制御装置における動作タイミングを示す図
【図5】本実施の形態における双方向の通信が可能な被制御装置の模式図
【図6】本実施の形態における管理テーブルを示す図
【図7】本実施の形態における制御装置から送信される送信信号のタイミングの予測を示す図
【図8】本実施の形態における被制御装置から制御装置に対して送信を行なう送信信号の構成例を示す図
【図9】本実施の形態における制御装置及び、被制御装置における送信信号の送受信のタイミングを説明するための図
【図10】本実施の形態における制御装置における具体的動作を示すフローチャート
【図11】本実施の形態における被制御装置における具体的な動作内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態においては、複数の制御装置と、被制御装置と、で構成され、当該制御装置が間歇的に通信データの送受信を行なう双方向無線通信システムであって、前記制御装置は、前記被制御装置と無線媒体を介して通信データの送受信を間歇的に行なう第1通信部と、自装置の制御を行なう第1制御部と、を備え、前記第1制御部は、前記被制御装置に対して自装置に設定された送信周期毎に通信データを送信する場合、自装置から送信する当該通信データに当該送信周期を含めて送信するように前記第1通信部を制御する特徴を有し、前記被制御装置は、前記制御装置と無線媒体を介して通信データの送受信を行なう第2通信部と、前記制御装置から送信される通信データを受信した場合、当該通信データから、前記送信周期を取得する第2取得部と、自装置の制御を行なう第2制御部と、を備え、前記第2制御部は、前記複数の制御装置から送信される通信データから複数の送信周期を取得するよう制御すると共に、取得した当該複数の送信周期を基に、当該複数の制御装置が先の時刻に送信する送信タイミングに重複があると判定した場合、送信タイミングの重複する制御装置に対し、当該送信周期を変更する送信周期変更信号を送信するよう前記第2通信部を制御する特徴を有し、前記第1制御部はさらに、前記第1通信部において受信を行なう前記被制御装置から送信される通信データに送信周期変更信号が含まれている場合、当該送信周期変更信号に応じて、前記送信周期の変更を行なうことを特徴としている。
【0014】
また、複数の制御装置によって、無線媒体を介して操作される被制御装置であって、前記制御装置と無線媒体を介して通信データの送受信を行なう第2通信部と、前記制御装置から送信される通信データを受信した場合、当該通信データから、前記第1の無線通信装置が間歇的に送信する通信データの送信周期を取得する第2取得部と、自装置の制御を行なう第2制御部と、を備え、前記第2制御部は、前記複数の制御装置から送信される通信データから、複数の送信周期を取得するよう制御すると共に、取得した当該複数の送信周期を基に、当該複数の制御装置が先の時刻に送信する送信タイミングに重複があると判定した場合、送信タイミングの重複する制御装置に対し、当該送信周期を変更する送信周期変更信号を送信するよう前記第2通信部を制御することを特徴としている。
【0015】
また、無線媒体を介して被制御装置の制御を行なう制御装置であって、前記制御装置と無線媒体を介して、予め設定された送信周期毎に通信データの送受信を行なう第1通信部と、自装置の制御を行なう第1制御部と、を備え、前記第1制御部は、前記被制御装置から前記送信周期を変更する送信周期変更信号を受信した場合、当該送信周期の変更を行なうことを特徴としている。
【0016】
さらに、複数の制御装置と、当該制御装置によって制御される被制御装置と、から構成される双方向無線通信システムにおける干渉回避方法であって、前記制御装置から前記被制御装置に対して、当該制御装置から送信される通信データの送信周期を送信する第1送信ステップと、前記複数の制御装置から送信される送信周期を基に、前記被制御装置が当該複数の制御装置における先の時刻に前記通信データを送信する送信タイミングの重複を判定する判定ステップと、判定ステップにおいて、送信タイミングが重複すると判定した場合、前記被制御装置が当該送信タイミングの重複する制御装置に対し、前記送信周期を変更する送信周期変更信号を送信する第2送信ステップと、前記被制御装置から送信される前記送信周期変更情報を受信した場合、前記制御装置は、自装置の前記送信周期を変更する変更ステップと、を備える特徴を備える干渉回避方法である。
【0017】
上記の構成によって、例えば複数台の制御装置からひとつの被制御装置に対して信号が送信される状況であっても、複数の送信信号が衝突することを防止することができるため、受信処理が失敗しないようにすることが可能となる効果を奏する。
【0018】
また、前記第1制御部は、当該送信周期変更信号を受信した後、次に通信データを送信するまでの送信周期のみを、当該送信周期変更信号に応じて変更することを特徴とする構成にしても構わない。
【0019】
また、前記第2制御部は、前記複数の制御装置から送信される通信データの送信タイミングを管理する管理テーブルを有し、当該管理テーブルを基に当該送信タイミングの重複を判定することを特徴とする構成にしても構わない。
【0020】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における双方向通信システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態における双方向通信システムの構成を示すための図である。
【0022】
双方通信システム100は、複数の制御装置300−a、300−b、300−cと、被制御装置400で構成される。
【0023】
制御装置300は、被制御装置400と無線通信媒体を介して通信データの送受信が可能な構成となっている。具体的な構成及び、動作内容に関しては後述する。
【0024】
被制御装置400は、複数の制御装置300と無線通信媒体を介して通信データの送受信が可能な構成となっている。具体的な構成及び、動作内容については後述する。
【0025】
次に制御装置300の具体的な構成に関して図面を参照しながら説明する。
【0026】
図2は双方向の通信が可能な制御装置300の模式図である。制御装置300は、ボタン302、アンテナ303、タイマー304、送信制御部305、送信回路306、電源制御部307、タイマー制御部308、受信制御部309、受信回路310、ブザー311から構成される。
【0027】
ボタン302は、制御装置300に設けられた操作キーであり、ユーザーによる操作を検知した場合、操作キーに対応した操作信号の生成を行い、生成した操作信号を送信制御部305へ出力する。なお、操作キーに対応した操作信号は、単純な信号のONとOFFの情報でもかまわないし、記憶メモリなどに蓄積された操作コードや、複数の制御用コマンドの組み合わせでもかまわないし、操作キーに関する情報のデータ処理結果を利用してもかまわない。
【0028】
アンテナ303は、無線通信媒体を介して通信データの送受信を行なうデバイスであって、送信回路306から出力される送信信号を被制御装置400に送信する。また、被制御装置400からの受信信号を受信し、受信した受信信号を受信回路310に出力する。アンテナ303は単一のアンテナでも構わないし、送信用と受信用と別々のアンテナを組み合わせたものでも構わない。無線通信媒体としては、例えばIEEE802.11に策定される通信規格に基づく電波や、IEEE802.15.1に策定される通信規格に基づくBluetooth等の通信媒体を利用しても構わない。
【0029】
タイマー304は、特定の周期的なタイミングでトリガーを生成する。そして、生成したトリガーを送信制御部305に出力する。タイマー304は、タイマー制御部308からの制御信号に基づき、トリガーを発生させる周期を変更することが可能である。タイマー304は、発振回路等で構成されており、精度を補償するため内部に補正値を保存してもよい。タイマー304は周期を変更でき、特定の周期でトリガーを発生し続けることができるものならばよく、複数の水晶振動子を入れ替えるような構成でも構わない。
【0030】
送信制御部305は、ボタン302より操作信号が入力された場合、該操作信号から要求コマンドを生成する。そして、生成した要求コマンド及び、タイマー304の周期を示す送信周期情報を含めた送信信号を生成して送信回路306に出力する。なお、送信周期情報はタイマー304から入力されるトリガーを基に生成される情報である。また、要求コマンドが生成されない場合であっても送信制御部305は、タイマー304が出力するトリガーと同期して、送信信号を生成し、送信回路306へ出力する。送信制御部305は、送信回路306へ信号を出力する際、同時に電源制御部307に対して電源供給の要求を行なう。これにより、送信した信号に対する応答を受信回路310において受信することが可能となる。なお、送信周期情報については後述する。
【0031】
送信回路306は、送信制御部305より、送信信号が入力された場合、アンテナ303を介して送信信号の送信を行なう。
【0032】
電源制御部307は、送信制御部305より電源供給の要求を受けると、受信回路310に対して電源の供給を開始し、一定時間経過すると電源の供給を停止する。電源制御部307は、一定期間電源を供給することができればよく、充放電を繰り返すコンデンサー等によって実現しても構わないし、タイマーに同期したリレースイッチで構成されても構わない。
【0033】
タイマー制御部308は、受信制御部309より送信周期変更要求情報が入力された場合、タイマー304を制御し、タイマー304が発生させるトリガーの周期を変更する。タイマー制御部308は、タイマー304における設定パラメータでも構わないし、複数のタイマーを置き換えるスイッチでも構わない。
【0034】
受信制御部309は、受信回路310より入力される受信信号に要求コマンドが含まれているか否かを判定する。例えば、ブザー311を鳴らす要求コマンドが含まれている場合、ブザー311に対して要求コマンドを出力する。また、受信信号に送信周期変更要求情報が含まれている場合、タイマー制御部308に送信周期変更要求情報を出力する。
【0035】
受信回路310は、電源制御部307より電源を供給されており、間欠的に受信待ち処理を行なう。また、電源供給時間内にアンテナ303を介して受信信号を受信した場合、受信制御部309に対して受信信号を出力する。
【0036】
ブザー311は、受信制御部309より信号が入力されると音が発生するデバイスである。ブザー311は、音が発生するデバイスに限らず、LEDなどの光を発生するデバイスでも構わない。
【0037】
ここで、制御装置300から送信される送信信号の構成例を図3に示す。本実施の形態における送信信号801は、IDコード802、要求コマンド803、送信周期情報804、エラーチェックコード805で構成されている。
【0038】
IDコード802は、制御装置300を識別するための情報であり、少なくとも送信周期の変更に対応した制御装置なのかを示す情報を含む。IDコードには、企業コード、端末コード、MACアドレスなど、機器をある程度特定できる情報ならばどのような情報でも構わない。
【0039】
要求コマンド803は、ボタン302をユーザーが操作を行ったのを検知した場合に生成されるコマンドであり、単純な信号のONとOFFの情報でもかまわないし、記憶メモリなどに蓄積された操作コードや、複数の制御用コマンドの組み合わせでもかまわないし、操作キーに関する情報のデータ処理結果を利用してもかまわない。
【0040】
送信周期情報804は、周期的に動作しているタイマー304の動作周期の情報であり、被制御装置400との間で同期することができればどのような情報でもよく、時間でも構わないし、サイクル数といった情報でも構わない。具体的には、送信周期情報が「3」と記載されている場合、図4に示すような被制御装置400において設定される受信周期に関して、3周期毎に制御装置300から送信されることを示す。また、送信周期情報が時間によって設定され、「0.1ms」と記載されている場合、制御装置300は0.1ms毎に送信信号を送信することを示す。
【0041】
エラーチェックコード805は、送信信号は正しいデータか否かを判断するデータであり、例えばIDコード802と要求コマンド803と送信周期情報804からなるデータに対するCRC(巡回冗長検査)などの誤りを検出するための符号である。
【0042】
なお、要求コマンド803が生成されない場合は、送信信号が含む構成のうち、要求コマンド803が削除された構成となる。
【0043】
次に、被制御装置400の具体的な構成に関して図面を参照しながら説明する。
【0044】
図5は、双方向の通信が可能な被制御装置400の模式図である。被制御装置400は、ボタン401、送信タイミング予測部402、送信制御部403、送信回路404、アンテナ405、タイマー406、電源制御部407、受信制御部408、ディスプレイ409、受信回路410、チューナー411から構成されている。
【0045】
ボタン401は、被制御装置400に設けられた操作キーであり、ユーザーによる操作を検知した場合、操作キーに対応した操作信号の生成を行い、生成した操作信号を送信制御部403へ出力する。なお、操作キーに対応した操作信号は、単純な信号のONとOFFの情報でもかまわないし、記憶メモリなどに蓄積された操作コードや、複数の制御用コマンドの組み合わせでもかまわないし、操作キーに関する情報のデータ処理結果を利用してもかまわない。
【0046】
送信タイミング予測部402は、受信制御部408から入力される送信周期情報より、制御装置300が送信する送信信号の送信タイミングを算出する。そして、送信タイミング予測部402は、算出した送信タイミングを基に、制御装置300の送信周期を変更する必要があると判断した場合、送信周期変更要求情報を生成し送信制御部403へ出力する。また、変更する必要がないと判断した場合は、何も動作を行わなくても構わないし、送信周期変更要求情報として、変更不要という情報を送信する構成にしても構わない。さらに、送信タイミング予測部402は、内部に蓄積手段を備え、制御装置300から送信される送信信号の受信タイミングを管理する管理テーブルを保持している。送信タイミング予測部402は、管理テーブルに保持されているデータと制御装置300から受け取った送信周期情報とを比較することで制御装置300の送信周期を変更する必要があるか否かを判断する。
【0047】
ここで、図6を用いて管理テーブルの構成について説明する。
【0048】
図6に示す管理テーブルは、サイクル数と、信号受信予測フラグとが対応したテーブルとなっている。ここで、サイクル数は、現在を0(ゼロ)とした場合におけるタイマー406がトリガーを生成する回数と定義する。さらに、信号受信予測フラグは、信号を受信すると予測される場合、信号受信予測フラグをT(True)と定義し、信号を受信しないと予測される場合、信号受信予測フラグをF(False)と定義する。
【0049】
なお、サイクル数は、タイマー406がトリガーを発生させるごとに管理テーブルの0(ゼロ)サイクルのデータを削除し、全てのデータのサイクル数を1つ減らすという更新処理を行っている。
【0050】
例えば、図6に示される管理テーブルの場合、図7に示すように被制御装置400は、制御装置300から送信される送信信号のタイミングを予測することになる。
【0051】
管理テーブルは情報の蓄積と読み書き可能なものであればどのようなもので構成してもよく、記憶メモリ等に蓄積してもよいし、蓄積媒体に保存しても構わない。また、送信タイミング予測手段から読み書きすることができれば媒体そのものは被制御装置400の外部にあっても構わない。また、管理テーブルは、データベースなどで構成されていてもよいし、配列的に並ぶ変数や、変数データのビット演算で行ってもよい。
【0052】
送信制御部403は、ボタン401より操作キーに対応した信号から要求コマンドを生成し、要求コマンドを含む送信信号を生成して送信回路404に出力する。また、送信タイミング予測部402より送信周期変更要求情報を受け取り、送信周期変更要求情報を含めた送信信号を生成し、送信回路404に出力する。
【0053】
送信回路404は、送信制御部403より送信信号が入力された場合、アンテナ405を介して制御装置300に対して送信信号の送信を行なう。
【0054】
アンテナ405は、無線通信媒体を介して通信データの送受信を行なうデバイスであって、送信回路404から出力される送信信号を被制御装置400に送信する。また、被制御装置400からの受信信号を受信し、受信した受信信号を受信回路410に出力する。アンテナ405は単一のアンテナでも構わないし、送信用と受信用と別々のアンテナを組み合わせたものでも構わない。無線通信媒体としては、例えばIEEE802.11に策定される通信規格に基づく電波や、IEEE802.15.1に策定される通信規格に基づくBluetooth等の通信媒体を利用しても構わない。
【0055】
タイマー406は、一定の周期的なタイミングでトリガーを発生させ、電源制御部407に出力する。タイマー406は、発振回路等で構成されており、精度を補償するため内部に補正値を保存してもよい。タイマー406は一定の周期でトリガーを発生し続けることができるものならばよく、周期を変更できてもできなくても構わない。
【0056】
電源制御部407は、タイマー406よりトリガーを受けると、受信回路410に対して電源の供給を開始し、一定時間経過すると電源の供給を停止する。電源制御部407は、一定期間電源を供給することができればよく、充放電を繰り返すコンデンサー等によって実現しても構わないし、タイマーに同期したリレースイッチで構成されても構わない。
【0057】
受信制御部408は、受信回路410より制御装置300から送信される送信信号を受信し、送信信号の内容に要求コマンドがあるか否かを判定し、要求コマンドがある場合に、チューナー411に対して要求コマンドを出力することができる。また、送信信号の内容より送信周期情報を抽出し、送信タイミング予測部402に対して送信周期情報を出力する。
【0058】
ディスプレイ409は、チューナー411から受け取った映像等の情報を表示する表示デバイスである。ディスプレイ409は映像等の情報を表示する表示デバイスであればよく、ブラウン管パネル、液晶パネル、プラズマパネル等の表示デバイスなどを利用しても構わない。
【0059】
受信回路410は、電源制御部407より電源を供給されており、間欠的に受信待ち処理を行なう。また、電源供給時間内にアンテナ405より信号を受信した場合に、受信制御部408に受信した信号を出力することができる。
【0060】
チューナー411は、選局されている放送などの映像等をディスプレイ409に対して出力する。また、チューナー411は、受信制御部408から要求コマンドを受け取ると、要求コマンドの処理を行なう。チューナー411は、選局されている放送波やケーブルテレビなどの放送、DVDレコーダなどの外部入力を制御するものでもよい。
【0061】
ここで、被制御装置400から制御装置に対して送信を行なう送信信号の構成例を図8に示す。送信信号901は、IDコード902、要求コマンド903、送信周期変更要求情報904、エラーチェックコード905で構成されている。
【0062】
IDコード902は、被制御装置400を識別するための情報である。
【0063】
要求コマンド903は、ボタン401をユーザーが操作を行ったのを検知した場合に生成されるコマンドであり、単純な信号のONとOFFの情報でもかまわないし、記憶メモリなどに蓄積された操作コードや、複数の制御用コマンドの組み合わせでもかまわないし、操作キーに関する情報のデータ処理結果を利用してもかまわない。
【0064】
送信周期変更要求情報904は、送信タイミング予測部402が制御装置300の送信周期を変更する必要があると判断した場合に生成される。変更する必要がない場合は、変更の必要がないことを示すデータにする構成でも構わないし、送信周期変更要求情報の項目を削除する構成にしても構わない。
【0065】
エラーチェックコード905は、送信信号は正しいデータか否かを判断するデータであり、例えばIDコード902と要求コマンド903と送信周期変更要求情報904からなるデータに対するCRC(巡回冗長検査)などの誤りを検出するための符号である。
【0066】
次に、本実施の形態における双方向通信システムの動作について図面を参照しながら説明する。
【0067】
図9は、制御装置300及び、被制御装置400における送信信号の送受信のタイミングを説明するための図である。
【0068】
図9(a)は、被制御装置400において間欠的に受信処理期間が設定されていることを説明するための図である。図9(a)の場合、周期T3毎に設定された受信処理期間a(1)からa(11)だけ、受信回路410に対して電源が供給されており、受信待ち処理を行っている時間である。これ以外の時間には、電源の供給が絶たれており、受信処理を行っていない。
【0069】
図9(b)は、制御装置300−aから送信信号が送信されるタイミングを示す図である。図9(b)の場合、制御装置300−aから周期T1毎に送信信号b(1)、b(2)、b(3)、b(4)を送信している。
【0070】
図9(c)は、制御装置300−bから送信信号が送信されるタイミングを示す図である。図9(c)の場合、制御装置300−bから周期T2毎に送信信号c(1)、c(2)、c(3)を送信している。このとき、被制御装置400の受信期間a(10)において、送信信号b(4)と送信信号c(3)が時間的に衝突をおこしてしまう可能性が予測される。
【0071】
この場合、被制御装置400は、制御装置300−bに対して、送信周期変更要求情報を含む送信信号を送信し、c(2)からc(3)までの送信周期T2を、図9(d)に示すように、T2aに変更する動作を行なう。上記のように動作することで、送信信号b(4)との時間的な衝突を防止することができる。
【0072】
以下、本発明の実施の形態1における双方向通信システムにおいて使用される制御装置と被制御装置の動作について図面を参照しながら説明する。
【0073】
図10は、制御装置300における具体的動作を示すフローチャートである。
【0074】
まず、タイマー304は、トリガーを生成した場合、送信制御部305に対してトリガーを出力する(S602)。
【0075】
このとき、送信制御部305は、ユーザーがボタン302の操作が行われたかを検知し判断する(S603)。
【0076】
もしユーザーの操作が行われた場合、送信制御部305は、ボタン302から出力される操作信号を基に、要求コマンドを生成する(S609)。
【0077】
送信制御部305は、送信周期情報を含む送信信号を生成し、送信回路306へ出力する。さらに、送信制御部305は、電源制御部307に対して電源供給の要求を行なう(S604)。
【0078】
送信回路306は、送信制御部305より送信信号を受信し、アンテナ303を介して被制御装置400に対して送信信号を送信する(S605)。
【0079】
受信回路310は、電源制御部307より電源を供給されている間は受信待ち処理を行い、受信した受信信号を受信制御部309へ出力する(S606)。
【0080】
受信制御部309は、受信信号に含まれる要求コマンドを確認し、ブザーを鳴らす必要があるかどうかを判定する(S607)。
【0081】
もし、ブザーを鳴らす必要があれば、ブザー311に対して音を発生させるよう要求する(S610)。
【0082】
さらに、受信制御部309は、受信した信号に含まれる送信周期変更要求情報を確認し、送信周期を変更する必要があるかを判定する(S608)。
【0083】
もし、送信周期を変更する必要があれば、送信周期変更要求情報をタイマー制御部308に出力し、タイマー304に対してトリガーの発生周期の変更を行なう(S611)。以後、S602に戻り同様の動作を繰り返す。
【0084】
図11は、被制御装置400における具体的な動作内容を示すフローチャートである。
【0085】
まず、制御装置400におけるタイマー406からのトリガーが発生した場合に電源制御部407に対してトリガーを出力する(S501)。
【0086】
このとき、受信回路410は、電源制御部407より電源を供給されている間は受信待ち処理を行なう(S502)。
【0087】
もし、受信回路410が制御装置300からの送信信号を受信した場合、受信した送信信号を受信制御部408に出力する(S503)。電源供給が絶たれるまでに受信がない場合は、タイマー406からのトリガーの発生を待つ状態にもどる。
【0088】
受信制御部408は、受信した信号に含まれる要求コマンドを確認し、チューナーを操作する必要があるかどうかを判定する(S504)。
【0089】
もし、チューナーを操作する必要があれば、チューナー411に対して要求コマンドを送信し、要求コマンドを処理する(S509)。
【0090】
次に、受信制御部408は、受信した送信信号に含まれる送信周期情報を送信タイミング予測部402に出力する。さらに、送信タイミング予測部402は、送信周期情報を基に、次に制御装置300が送信信号を送信するタイミングを算出する。そして、送信タイミング予測部402は、算出したタイミングを基に管理テーブルを更新する。そして、更新した管理テーブルに基づいて、複数の制御装置からの送信信号の送信タイミングを時間的に衝突することのないタイミングであるかを判定し、衝突しそうな場合には、衝突しない別の送信周期に変更するよう送信周期変更要求情報を生成する(S505)。
【0091】
このとき、ボタン401においてユーザーによって操作キーの操作が行われたかを検知し判断する(S506)。
【0092】
もしユーザーの操作が行われていたのであれば、要求コマンドを生成する(S510)。
【0093】
送信制御部403は、要求コマンドの有無にかかわらず、制御装置300に送信する送信信号を生成し、送信回路404へ出力する(S507)。
【0094】
送信回路404は、送信制御部403より送信信号を受け取り、アンテナ405を用いた通信路を介して制御装置300に対して送信信号を送信する(S508)。以後、S501に戻り、同様の動作を繰り返す。
【0095】
本発明の実施の形態によれば、低消費電力化のために間欠的に受信処理を行っているテレビ等の被制御装置において、被制御装置に備わったボタンが押下された場合に、たとえ複数台の制御装置が周期的な送信処理を繰り返し、信号の衝突が頻繁に起き易い状況であっても、正確に要求コマンドを返信することができる。また、低消費電力化の妨げとなる送受信処理の遅延処理やリトライ処理、被制御装置とすべての制御装置とのタイミング調整などの処理をする必要がなく、これらの処理のために必要となる電力が不要になるため、効果的な低消費電力化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の双方向無線通信システム、制御装置、被制御装置、干渉回避方法は、被制御装置が制御装置における送信周期と同じタイミングで送信処理を行わないように調整された送信周期を、制御装置に対して通知することで、被制御装置に対して同じタイミングで信号が送信されることがなくなり、信号の衝突を防止し、受信処理の失敗をなくすることが可能となる。これにより、間欠的に受信処理を行っている被制御装置であっても、複数台の送信可能な装置からの信号に対しても受信処理を失敗なく処理することが可能となる効果がある。そのため、無線リモコンで操作可能なテレビ、DVDレコーダ等の遠隔操作を受け付けることが可能な電子機器等に用いることができる。
【符号の説明】
【0097】
300−a、300−b、300−c 制御装置
302 ボタン
303 アンテナ
304 タイマー
305 送信制御部
306 送信回路
307 電源制御部
308 タイマー制御部
309 受信制御部
310 受信回路
311 ブザー
400 被制御装置
401 ボタン
402 送信タイミング予測部
403 送信制御部
404 送信回路
405 アンテナ
406 タイマー
407 電源制御部
408 受信制御部
409 ディスプレイ
410 受信回路
411 チューナー
801、901 送信信号
802、902 IDコード
803、903 要求コマンド
804 送信周期情報
805、905 エラーチェックコード
904 送信周期変更要求情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の制御装置と、被制御装置と、で構成され、当該制御装置が間歇的に通信データの送受信を行なう双方向無線通信システムであって、
前記制御装置は、
前記被制御装置と無線媒体を介して通信データの送受信を間歇的に行なう第1通信部と、
自装置の制御を行なう第1制御部と、を備え、
前記第1制御部は、前記被制御装置に対して自装置に設定された送信周期毎に通信データを送信する場合、自装置から送信する当該通信データに当該送信周期を含めて送信するように前記第1通信部を制御する特徴を有し、
前記被制御装置は、
前記制御装置と無線媒体を介して通信データの送受信を行なう第2通信部と、
前記制御装置から送信される通信データを受信した場合、当該通信データから、前記送信周期を取得する第2取得部と、
自装置の制御を行なう第2制御部と、を備え、
前記第2制御部は、前記複数の制御装置から送信される通信データから複数の送信周期を取得するよう制御すると共に、取得した当該複数の送信周期を基に、当該複数の制御装置が先の時刻に送信する送信タイミングに重複があると判定した場合、送信タイミングの重複する制御装置に対し、当該送信周期を変更する送信周期変更信号を送信するよう前記第2通信部を制御する特徴を有し、
前記第1制御部はさらに、前記第1通信部において受信を行なう前記被制御装置から送信される通信データに送信周期変更信号が含まれている場合、当該送信周期変更信号に応じて、前記送信周期の変更を行なう双方向無線通信システム。
【請求項2】
複数の制御装置によって、無線媒体を介して操作される被制御装置であって、
前記制御装置と無線媒体を介して通信データの送受信を行なう第2通信部と、
前記制御装置から送信される通信データを受信した場合、当該通信データから、前記第1の無線通信装置が間歇的に送信する通信データの送信周期を取得する第2取得部と、
自装置の制御を行なう第2制御部と、を備え、
前記第2制御部は、前記複数の制御装置から送信される通信データから、複数の送信周期を取得するよう制御すると共に、取得した当該複数の送信周期を基に、当該複数の制御装置が先の時刻に送信する送信タイミングに重複があると判定した場合、送信タイミングの重複する制御装置に対し、当該送信周期を変更する送信周期変更信号を送信するよう前記第2通信部を制御することを特徴とする、
被制御装置。
【請求項3】
無線媒体を介して被制御装置の制御を行なう制御装置であって、
前記制御装置と無線媒体を介して、予め設定された送信周期毎に通信データの送受信を行なう第1通信部と、
自装置の制御を行なう第1制御部と、を備え、
前記第1制御部は、前記被制御装置から前記送信周期を変更する送信周期変更信号を受信した場合、当該送信周期の変更を行なうことを特徴とする、
制御装置。
【請求項4】
前記第1制御部は、当該送信周期変更信号を受信した後、次に通信データを送信するまでの送信周期のみを、当該送信周期変更信号に応じて変更することを特徴とする請求項1に記載の双方向無線通信システム。
【請求項5】
前記第1制御部は、当該送信周期変更信号を受信した後、次に通信データを送信するまでの送信周期のみを、当該送信周期変更信号に応じて変更することを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第2制御部は、前記複数の制御装置から送信される通信データの送信タイミングを管理する管理テーブルを有し、当該管理テーブルを基に当該送信タイミングの重複を判定することを特徴とする請求項1に記載の双方向無線通信システム。
【請求項7】
複数の制御装置と、当該制御装置によって制御される被制御装置と、から構成される双方向無線通信システムにおける干渉回避方法であって、
前記制御装置から前記被制御装置に対して、当該制御装置から送信される通信データの送信周期を送信する第1送信ステップと、
前記複数の制御装置から送信される送信周期を基に、前記被制御装置が当該複数の制御装置における先の時刻に前記通信データを送信する送信タイミングの重複を判定する判定ステップと、
判定ステップにおいて、送信タイミングが重複すると判定した場合、前記被制御装置が当該送信タイミングの重複する制御装置に対し、前記送信周期を変更する送信周期変更信号を送信する第2送信ステップと、
前記被制御装置から送信される前記送信周期変更情報を受信した場合、前記制御装置は、自装置の前記送信周期を変更する変更ステップと、
を備える干渉回避方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−251887(P2010−251887A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96822(P2009−96822)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】