説明

収納棚及び収納方法

【課題】パーティクル等を発生させることなく被搬送物を収納装置に収納する。
【解決手段】カセットを水平移動させる移送装置と、カセットを昇降させる荷台とを備えた搬出入装置によりカセットを搬入出可能に保管する棚ユニットにおいて、搬出入装置により載置位置の上方まで水平移動された後に下降されることによって、載置位置にカセットが載置される桟と、カセットを桟に下降して載置する際に、最初に当接する部分に設けられる、水平移動方向に移動自在なスライド部材20とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ガラス基板等の被搬送物を搬送する搬送工程において、被搬送物を一時的に収納する収納棚及び収納方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造、液晶製造、FA(Factory Automation)等において、液晶ガラス基板や半導体ウェハ等の被処理物(被搬送物)は、カセット内に複数枚収納され、カセット単位で一時的に保管する収納装置や各処理を施す処理装置等に搬送されるようになっている。なお、従来の収納装置として複数の収納部で構成される収納棚があり、各収納部は、カセットの左右両底面を、各収納部の左右の壁面に対向配置された一対の直状部材である桟で支持する構造となっている。特許文献1には、この被搬送物を搬送経路から収納装置や各処理装置等に移載する移載装置が開示されている。この特許文献1によると、回動する第1及び第2アームが回転することで、被搬送物を載置するフォーク装置が伸縮するようになっており、移載装置が下降することにより、被搬送物を収納装置や各処理装置等に載置している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−370184号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この特許文献1において、被搬送物が載置された状態でフォーク装置を伸長させた場合、被搬送物の重量によりフォーク装置が撓んでしまっていた。このため、被搬送物を載置する各処理装置の載置部に対して、被搬送物を平行に維持できなくなってしまう。そうすると、被搬送物を載置する際、被搬送物が載置部に対して斜めに降下するようになり、被搬送物の最下点だけが最初に載置部に当接してしまう。そして、そのまま載置動作を続けると、その当接部分が載置部を滑り、その結果、被搬送物と載置部との間にすべり磨耗が発生し、多量のパーティクル(微小塵埃)が発生してしまう。上記移載装置や処理装置が配置されている空間は、空気清浄が行われているが、このパーティクル等が気流にのり、他の被搬送物に付着したりしてしまうと、製品の品質が低下してしまうという問題が発生してしまう。
【0005】
そこで、本発明の目的は、パーティクル等を発生させることなく被搬送物を収納することができる収納棚及び収納方法を提案することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、被搬送物を水平移動させる水平アーム部と、該被搬送物を昇降させる昇降部とを備えた移載装置により前記被搬送物を搬入出可能に保管する収納棚において、前記移載装置により載置位置の上方まで水平移動された後に下降されることによって、前記載置位置に前記被搬送物が載置される載置部と、前記被搬送物を前記載置部に下降して載置する際に、最初に当接する部分に設けられる、前記水平移動方向に移動自在な移動部とを備えている。
【0007】
この構成によると、前記被搬送物を載せた前記移載装置の前記水平アーム部を水平移動させたとき、前記水平アーム部は前記被搬送物の重量により、水平移動方向先端に向かい撓む。この状態で前記移載装置の前記昇降部を下降させると、前記被搬送物が完全に載置位置に載置される前に、前記被搬送物の水平移動方向先端が前記移動部に当接する。その後、前記被搬送物の下降に従い、前記被搬送物の水平移動方向先端は水平移動方向に移動自在である前記移動部とともに水平移動方向に移動するので、前記被搬送物と前記載置部との間にすべり磨耗が発生しないようにすることができる。これにより、すべり磨耗により発生するパーティクル(微小塵埃)を発生させることなく前記載置部に前記被搬送物を載置して、前記被搬送物を収納することができるようになる。
【0008】
また、本発明は、前記載置部は、対向配置され、前記被搬送物の下面の両端部で前記被搬送物を支持する一対の直状支持部材と、直状支持部材に設けられた略直方体形状の切欠部とを有し、前記移動部は、回転軸が前記水平移動方向と直交するように、前記切欠部に配置された回転ローラと、回転ローラを回転自在に保持し、前記被搬送物を支持する移動支持部とを有しているものでもよい。
【0009】
この構成によると、前記被搬送物を前記移載装置により前記載置部に載置する際に、最初に前記被搬送物が当接する部分に、水平移動方向に回動する回転ローラと、前記被搬送物を支持する移動支持部を有する移動部が設けられている。これにより、前記被搬送物が斜めに前記載置部に当接後、載置されるような場合であっても、前記移動支持部材で支持された前記被搬送物は前記移動部とともに前記回転ローラを介して水平移動方向に回動するため、前記被搬送物と前記直状支持部材との間に摩擦等が発生するおそれを低減できる。
【0010】
また、本発明は、前記水平移動方向と平行に伸縮する弾性体が、前記移動体と前記載置部を弾性体の夫々両端で固定されているものでもよい。
【0011】
この構成によると、前記被搬送物を前記載置部に載置し、前記被搬送物によって前記移動部が水平移動方向に移動した場合、前記弾性体が前記移動部の前記水平移動方向にある場合は前記弾性体は移動した分だけ縮み、前記弾性体が前記水平移動方向と反対方向にある場合は前記弾性体は移動した分だけ伸びる。その後、前記載置部から前記被搬送物を取り去ると、前記弾性体は伸縮力により前記被搬送物を前記載置部に載置する前の状態に戻るため、前記弾性体に固定された前記移動部は前記被搬送物を前記載置部に載置する前の位置に戻る。これにより、前記被搬送物を前記載置部に載置する際に、前記移動体を前記被搬送物が前記載置部の最初に当接する位置に配置する制御を省くことができる。
【0012】
また、本発明は、被搬送物が載置部方向に下降されることによって、該被搬送物の一部が最初に前記載置部に当接した後、該被搬送物の一部が前記載置部に対して摺接しながら最終的に該被搬送物の全体が載置されるときに、前記載置部における前記被搬送物の一部が最初に当接する部位を前記摺接する方向に移動させる。
【0013】
この方法によると、前記被搬送物の一部が最初に当接する前記載置部の部位を、摺接する方向に移動させることで、当接した位置から最終的に前記被搬送物の全体が載置する位置まで移動する間において、前記被搬送物の摺動による前記被搬送物と前記載置部の摩擦の発生を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。本実施の形態に係る収納棚1は、搬送される被搬送物を一時的に保管する所謂「ストッカ」であり、図4(b)に示すように、被搬送物を収納する1以上の棚ユニット1aから構成されている。棚ユニット1aに対して被搬送物は搬出入装置3によって出し入れされる。
【0015】
なお、本実施の形態において、被搬送物とは、例えば複数枚のガラス基板や半導体ウェハ等を収容する立方体又は直方体の形状を有したカセットである。以下の説明で、被搬送物をカセットと称する。
【0016】
(機械的構成:棚ユニット1a)
図4(b)に示すように、収納棚1には鉛直方向に4段の棚ユニット1aが設けられており、棚ユニット1aにはカセット10の底面でカセット10を支持する桟2(載置部)が配置されている。そして、後述の搬出入装置3(移載装置)により、カセット10を水平移動および降下をさせて、棚ユニット1aの桟2にカセット10を載置する。
【0017】
(機械的構成:桟2)
図4(a)に示すように、桟2は、カセット10の底面の両端を支持する、対向配置された一対の直状の支持部2a(直状支持部材)から構成されている。さらに、図3で示される、A−A’面の断面を表す図1(a)に示すように、支持部2aの一部には略直方体の底面を有する切欠部2bが形成されているため、支持部2aは断面が略コの字形状を有している。さらに、図1(a)及び、図3で示される、B−B’面の断面を表す図1(b)に示すように、切欠部2bには、水平移動方向と平行に、2つのスライド部材20(移動部)が切欠部2bの長さを略3等分する位置に夫々配置されており、支持部2aの両外面側において、バネ24で接続されている。なお、2つ配置されたスライド部材20は水平方向順にスライド部材20b、スライド部材20aとする。具体的には、図2及び図3に示すように、水平移動方向順に見ると、支持部2aとスライド部材20bの間、スライド部材20bとスライド部材20aの間、そしてスライド部材20aと支持部2aの間が、支持部2aの両外面側において、夫々バネ24で接続されている。このときバネ24は自然長を維持している。さらに、切欠部2bの底面にはベース板21が配設され、スライド部材20はこのベース板21上を水平移動方向に往復動する。このベース板21は、図1(b)に示すように、幅が支持部2a(切欠部2b)の幅よりも多少長く、両端部がL字型に折れ曲がっており、このL字部分で支持部2aを挟み込むように支持部2aに嵌合している。
【0018】
上記切欠部2b及びスライド部材20は、カセット10が桟2に載置される際に、最初にカセット10と接触する部分に設けられている。詳しくは後述するが、カセット10を桟2に載置する際、カセット10は水平移動方向に向かって垂直下方向に撓んでしまう。そのため、後述の図7(a)に示すようにカセット10を桟2に載置するために垂直下方向に降下させた場合、最初にカセット10の水平移動方向先端が桟2に当接する。さらに後述の図7(b)に示すようにカセット10は垂直下方向への降下に伴って、桟2に対して水平移動方向先端から水平移動方向とは逆方向に徐々に当接して行き、カセット10の当接した全面が水平移動方向に摺動する。従って、カセット10がスライド部材20に当接されるようにスライド部材20を設けることで、カセット10を水平方向に摺動させることができる。本実施の形態では、スライド部材20を2つ設けているが、スライド部材20を1つ設けた場合との対比において、広い範囲でスライド部材20を受け止めることができる。なお、スライド部材20の大きさや個数に関しては、適宜変更可能である。また、最初にカセット10と接触する部分については後に詳述する。
【0019】
(機械的構成:スライド部材20)
図1(a)(b)に示すように、スライド部材20はスライド板22と、ローラ23とを有している。 スライド板22は、カセット10を支持する天板22aと、その天板22aの両端部に設けられた、ローラ23を回転自在に支持するL字型の軸受け22bとからなり、水平移動方向に往復動する。軸受け22bのL字部分は、上記ベース板21のL字型に折れ曲がった部分と係合するようになっており、かかる係合部分が水平移動方向に往復動するスライド板22のガイドの役割を果たしている。また、軸受け22bには、図示しない孔が設けられており、ローラ23の回転軸23aが緩挿され、天板22aとベース板21との間にローラ23が介在するようになっている。これにより、スライド部材20は、ローラ23がベース板21上を回転することで、ベース板21上を水平移動方向に往復動するようになっている。
【0020】
上記したように、切欠部2b及びスライド部材20は、カセット10が桟2に載置される際に、最初にカセット10と接触する部分に設けられている。より具体的に説明すると、後述の搬出入装置3の第1アーム30及び第2アーム31が水平移動している状態において、カセット10を支持したフォーク本体32は、図6の矢印に示すように、カセット10の重量により先端にかけて下方に撓んでしまう。このため、フォーク本体32に載置されるカセット10も先端にかけて斜めになる。従って、この状態でカセット10を載置部方向へ下降させると、カセット10は桟2の支持部2aに対して斜めに載置されることになる。この際に、支持部2aにおいて、カセット10の先端部分が最初に当接する部分に切欠部2b及びスライド部材20が設けられるようになっている。
【0021】
なお、切欠部2b及びスライド部材20を配設する位置は、カセットサイズや第1及び第2アーム30・31の長さ等によって適宜変更可能である。
【0022】
(機械的構成:搬出入装置3)
搬出入装置3は、図4(a)(b)及び図5に示すように、対面に平行配置された収納棚1間に形成された通路6内の走行レール6aに支持案内されて走行経路上を走行する走行体(図示せず)と、走行体に立設された一対の支柱3aと、支柱3aに支持案内されて昇降する荷台3bと、上記荷台3bに設けられかつ棚ユニット1aとの間でカセット10を移送する移送装置3cとで構成されている。
【0023】
上記移送装置3cは、第1アーム30及び第2アーム31が回転して、フォーク本体32が一直線上に移動する。なお、この実施例では詳細を記述しないが、第1アーム30、第2アーム31及びフォーク本体32は、荷台3bに回転可能に設けられた回転盤34に設けられ、回転することで、通路6に面する、何れの棚ユニット1aに対してもカセット10を搬出入できるようになっている。
【0024】
また、フォーク本体32は、カセット10の底面中央を支持し、図4(a)に示すように、対向する支持部2a間を通り抜け可能となっている。即ち、カセット10を支持したフォーク本体32が桟2の上方から下方に移動すると、フォーク本体32は一対の支持部2a間を通り抜けるが、カセット10は、底面両端部が支持部2aに引っかかる。これにより、カセット10がフォーク本体32から離脱すると共に桟2に載置されるようになる。また、第1及び第2アーム30・31が伸縮(回転)することで、フォーク本体32を退入位置と突出位置との間で一定の速度で水平移動することができる。なお、退入位置とは、第1及び第2アーム30・31を折り曲げ、フォーク本体32が棚ユニット1a外に位置していることを意味し、突入位置とは、第1及び第2アーム30・31を伸長し、フォーク本体32が棚ユニット1a内に位置していることを意味している。
【0025】
次に、上記のように構成される搬出入装置3による、カセット10の収納時の動作、及びカセット10の載置時におけるスライド部材20の動作について説明する。
【0026】
(カセット10の動作:棚ユニット1aへのカセット10の搬入)
フォーク本体32にカセット10を載置している搬出入装置3は、図示しない制御コントローラ等からの指令信号を受けて、走行レールを走行し、目的の収納棚1の前まで移動する。その後、荷台3bを昇降し、目的の棚ユニット1aまで移動する。そして、第1アーム30及び第2アーム31が回転することで、フォーク本体32が退入位置から突出位置に水平移動する。また、突出位置にあるカセット10及びフォーク本体32は、少なくとも目的の棚ユニット1aの桟2よりも上方に位置するようになっている。
【0027】
次に、その状態を保持しながら、荷台3bが降下する。この荷台3bの降下に伴い、フォーク本体32も降下する。このフォーク本体32は、対向する支持部2aの間を通り抜けるようになっており、その通り抜けの際に、フォーク本体32上のカセット10は、底面両端部が支持部2aに引っかかり、これにより、カセット10が桟2上に載置されるようになる。
【0028】
(収納棚の動作:スライド部材20)
また、上記したようにフォーク本体32はカセット10の重量により、先端部が重力方向に撓んでいるため、降下する途中でまず、図7(a)に示すように、カセット10の先端部がスライド部材20aに当接する。この当接部分には、スライド板22が設けられており、カセット10はスライド部材20aのスライド板22で支持されるようになる。そして、カセット10の降下に伴い、スライド部材20aは、ローラ23が回転することでベース板21上を図7(b)の水平移動方向の矢印が示す方向に移動を開始する。さらに、カセット10の降下が進行すると、カセット10の底面はスライド部材20bにも当接し、スライド部材20bはスライド部材20aと同様に、カセット10と当接した状態で矢印方向に移動を開始する。従って、スライド部材20及びベース板21との間に磨耗によるパーティクルが発生することはない。また、カセット10は、スライド部材20のスライド板22で支持されているため、カセット10と桟2との間にも磨耗によるパーティクルが発生することはない。そして、そのままフォーク本体32が降下すると、図7(c)に示すように、カセット10が桟2に載置されるようになる。
【0029】
なお、スライド部材20は、バネ24が配設されているため、カセット10が桟2から取り除かれると、バネ24の伸縮力により、バネ24の自然長である元の位置に戻る。また、図7において、説明の都合上カセット10を支持するフォーク本体32は省略している。
【0030】
(カセット10の収納方法)
次に、上記のように構成した収納棚に、カセット10を収納する収納方法について説明する。
【0031】
まず、カセット10を桟2方向に下降させる。そして、それによって、カセット10の先端部が最初に桟2に当接した後、カセット10の先端部を桟2に対して摺接させ、最終的にカセット10の全体を載置させる。この際に、桟2におけるカセット10の先端部が最初に当接する部位を摺接する方向に移動させる。より具体的には、カセット10の先端部を桟2のスライド部材20に当接させると、先端部がスライド部材20を摺接方向に移動させる。そして、先端部が摺接方向に移動しながら、最終的にカセット10を桟2に載置できるようになる。これにより、カセット10を、微小塵埃を発生させることなく桟2に載置できるようになる。
【0032】
(本実施の形態の概要)
以上のように、本実施形態は、カセット10を水平移動させる移送装置3cと、カセット10を昇降させる荷台3bとを備えた搬出入装置3によりカセット10を搬入出可能に保管する棚ユニット1aにおいて、搬出入装置3により載置位置の上方まで水平移動された後に下降されることによって、載置位置にカセット10が載置される桟2と、カセット10を桟2に下降して載置する際に、最初に当接する部分に設けられる、水平移動方向に移動自在なスライド部材20とを備えている構成にされている。
【0033】
この構成によると、カセット10を載せた搬出入装置3の移送装置3cを水平移動させたとき、移送装置3cはカセット10の重量により、水平移動方向先端に向かい撓む。この状態で搬出入装置3の荷台3bを下降させると、カセット10が完全に載置位置に載置される前に、カセット10の水平移動方向先端がスライド部材20に当接する。その後、カセット10の下降に従い、カセット10の水平移動方向先端は水平移動方向に移動自在であるスライド部材20とともに水平移動方向に移動するので、カセット10と桟2との間にすべり磨耗が発生しないようにすることができる。これにより、すべり磨耗により発生するパーティクル(微小塵埃)を発生させることなく桟2にカセット10を載置して、カセット10を収納することができるようになる。
【0034】
また、本実施形態は、桟2は、対向配置され、カセット10の下面の両端部でカセット10を支持する一対の支持部2aと、支持部2aに設けられた略直方体形状の切欠部2bとを有し、スライド部材20は、回転軸が水平移動方向と直交するように、切欠部2bに配置されたローラ23と、ローラ23を回転自在に保持し、カセット10を支持するスライド板22とを有している構成にされている。
【0035】
この構成によると、カセット10を搬出入装置3により桟2に載置する際に、最初にカセット10が当接する部分に、水平移動方向に回動するローラ23と、カセット10を支持するスライド板22を有するスライド部材20が設けられている。これにより、カセット10が斜めに桟2に当接後、載置されるような場合であっても、スライド板22で支持されたカセット10はスライド部材20とともに回転ローラを介して水平移動方向に移動するため、カセット10と桟2との間に摩擦等が発生するおそれを低減できる。
【0036】
また、本実施形態は、水平移動方向と平行に伸縮するバネ24と桟2をバネ24の夫々両端で固定されているものでもよい。
【0037】
この構成によると、カセット10を桟2に載置して、カセット10によってスライド部材20が水平移動方向に移動した場合、バネ24がスライド部材20の水平移動方向にある場合はバネ24は移動した分だけ縮み、バネ24が水平移動方向と反対方向にある場合はバネ24は移動した分だけ伸びる。その後、桟2からカセット10を取り去ると、バネ24は伸縮力によりカセット10を桟2に載置する前の状態に戻るため、バネ24を固定した桟2はカセット10を桟2に載置する前の位置に戻る。これにより、カセット10を桟2に載置する際に、スライド部材20をカセット10が桟2の最初に当接する位置に配置する制御を省くことができる。
【0038】
また、本実施形態は、カセット10が桟2方向に下降されることによって、カセット10の水平移動方向先端部が最初に桟2に当接した後、カセット10の水平移動方向先端部が桟2に対して摺接しながら最終的にカセット10の全体が載置されるときに、桟2におけるカセット10の水平移動方向先端部が最初に当接するスライド部材20を前記摺接する方向に移動させる方法となっている。
【0039】
この方法によると、カセット10の一部が最初に当接する桟2の部位を、摺接する方向に移動させることで、当接した位置から最終的にカセット10の全体が載置する位置まで移動する間において、カセット10の摺動によるカセット10と桟2の摩擦の発生を回避することができる。
【0040】
(本実施の形態の変形例)
本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の趣旨と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【0041】
例えば、上述の実施形態では、載置方向に往復動する移動部を、スライド板22及びローラ23等で構成されたスライド部材20としているが、これに限定されることはない。例えば、図8に示すように、ローラ51を支持部2aに直接取り付けた構成にしてもよい(変形例1)。具体的には、支持部2aのカセット10が載置される面に開口部を設ける。そして、4つのローラ51を並列配置し、各ローラ51の回転軸51aが支持部2aの側面に回転自在に緩挿されるようになっている。このとき、ローラ51の上面が支持部2aよりも僅かに突出するようになっている。また、ローラ51の下面側に、ローラ51を支持する支持板52を設けるようにしてもよい。
【0042】
また、図9に示すように、ローラ61を支持部2aに直接取り付け、その上に被せるようにスライド板62を設置する構成にしてもよい(変形例2)。具体的には、支持部2aのカセット10が載置される面に開口部を設ける。そして、3つのローラ61を並列配置し、各ローラ61の回転軸61aが支持部2aの側面に回転自在に緩挿されるようになっている。スライド板62の断面は略コの字形状で、3つのローラ61に被せるように設置されている。このとき、スライド板62の上部が支持部2aよりも僅かに突出するようになっている。また、スライド板62の両側面は支持部2aと内部でバネ63によって接続されている。このとき、バネ63は自然長の状態を維持しており、スライド板62がいずれかの方向に移動しても、バネ63により元の位置に戻るようになっている。また、ローラ61の下面側に、ローラ61を支持する支持板64を設けるようにしてもよい。
【0043】
また、上述の実施形態では、カセット10が最初に桟2に当接する位置をカセット10の先端と限定していたが、カセット10が桟2に載置される面の全体であってもよい。具体的には、カセット10を桟2に対して斜め上方から載置されるような場合、カセット10の載置面全体が桟2に対して摺接するようになる。このため、カセット10の載置面全体が摺動するようにスライド部材20等を設けるようにすることで、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、カセット10を桟2に載置する方法としては、上方からカセット10を把持して、懸吊状態で桟2に載置するようにしてもよく、この際に、カセット10の先端部又は載置面全体が摺動するような構成としてもよい。
【0045】
さらに、上述の実施の形態では、被搬送物をカセット10、載置部を桟2としているが、これらに限定されず、上述の実施形態で説明した構成などは適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態の収納棚において、載置部と、被搬送物を載置部に下降して載置する際に、最初に当接する部分に設けられる水平移動方向に移動自在な移動部とを示す断面図であり、(a)は図3におけるA−A’面での断面図を示し、(b)は図3におけるB−B’面での断面図を示す。
【図2】本実施形態における収納棚の載置部及び移動部を示す斜視図。
【図3】本実施形態における収納棚の載置部及び移動部を示す上面図。
【図4】移載装置と載置部の構成を説明するための概観図であり、(a)は上面図を示し、(b)は側面図を示す。
【図5】被搬送物を載置部に載置する動作を説明するための図。
【図6】本発明が解決する問題点を示した移載装置の側面図。
【図7】本発明が解決する問題点の解決方法を説明するための被搬送物および載置部の側面図であり、(a)は被搬送物の水平移動方向先端部が載置部に当接した図を示し、(b)は被搬送物の下降に従い、被搬送物の水平移動方向先端部が移動部とともに水平移動方向に移動していることを示し、そして(c)は被搬送物の全体が載置部に完全に載置していることを示す。
【図8】本発明の第1の変形例を示す斜視図。
【図9】本発明の第2の変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0047】
1 収納棚
1a 棚ユニット
2 桟(載置部)
2a 支持部(直状支持部材)
2b 切欠部
3 搬出入装置(移載装置)
10 カセット(被搬送物)
20 スライド部材(移動部)
22 スライド板(移動支持部)
23 ローラ(回転ローラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を水平移動させる水平アーム部と、該被搬送物を昇降させる昇降部と
を備えた移載装置により前記被搬送物を搬入出可能に保管する収納棚において、
前記移載装置により載置位置の上方まで水平移動された後に下降されることによって、前記載置位置に前記被搬送物が載置される載置部と、
前記被搬送物を前記載置部に下降して載置する際に、最初に当接する部分に設けられる、前記水平移動方向に移動自在な移動部と
を備えていることを特徴とする収納棚。
【請求項2】
前記載置部は、
対向配置され、前記被搬送物の下面の両端部で前記被搬送物を支持する一対の直状支持部材と、前記直状支持部材に設けられた略直方体形状の切欠部とを有し、
前記移動部は、
回転軸が前記水平移動方向と直交するように、前記切欠部に配置された回転ローラと、 前記回転ローラを回転自在に保持し、前記被搬送物を支持する移動支持部とを有していること
を特徴とする請求項1に記載の収納棚。
【請求項3】
前記水平移動方向と平行に伸縮する弾性体が、
前記移動体と前記載置部を弾性体の夫々両端で固定されていることを特徴とする請求項1、請求項2に記載の収納棚。
【請求項4】
被搬送物が載置部方向に下降されることによって、該被搬送物の一部が最初に前記載置部に当接した後、該被搬送物の一部が前記載置部に対して摺接しながら最終的に該被搬送物の全体が載置されるときに、
前記載置部における前記被搬送物の一部が最初に当接する部位を前記摺接する方向に移動させることを特徴とする収納方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−13268(P2008−13268A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183262(P2006−183262)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】