説明

取外し可能な記憶媒体のアドレス指定可能なユニットにデータ及び時間値を書き込むシステム及び方法

【課題】記憶媒体が取外し可能なコンピュータシステムにおいて、誤動作により誤った記憶媒体にデータが記録されることを防ぐ。
【解決手段】取外し可能な記憶媒体32を収容するように適合される記憶ドライブ30であって、取外し可能な記憶媒体32が個別にアドレス指定可能な複数のユニットを含むものである記憶ドライブ30と、データが書き込まれる記憶媒体32のアドレス指定可能な複数のユニットの各々に、データ及び時間値を書き込むように構成される中央処理装置24、36であって、時間値は、各アドレス指定可能なユニットに前記データが書き込まれた時間を示すものである。中央処理装置24、36とを含んでなる、取外し可能な記憶媒体32を使用することができるシステムおよび方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取外し可能な記憶媒体にデータを格納することができる記憶ドライブを有する電子システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子システムによっては、取外し可能な記憶媒体にデータを格納することができる記憶ドライブを有するものがある。記憶媒体は取外し可能であるため、同じか又は異なるコンピュータシステムにおいて1以上の記憶ドライブによって記憶媒体のデータを記録することができる。誤動作したドライブにより記憶媒体に記録がなされる可能性がある。別の問題は、法律調査員及び犯罪捜査員が、特定の記憶媒体の記録履歴を知る必要のある場合がある、ということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、記憶媒体が取外し可能なコンピュータシステムにおいて、誤動作により誤った記憶媒体にデータが記録されることを防ぐものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
具体的には、本発明は、取外し可能な記憶媒体を収容するように適合される記憶ドライブであって、該取外し可能な記憶媒体が個別にアドレス指定可能な複数のユニットを含むものである記憶ドライブと、データが書き込まれる記憶媒体の複数のアドレス指定可能なユニットの各々に、データ及び時間値を書き込むように構成される中央処理装置であって、該時間値は、各アドレス指定可能なユニットに前記データが書き込まれた時間を示すものである中央処理装置とを含んでなる、取外し可能な記憶媒体を使用することができるシステムを提供する。
ここで、前記時間値は、日付と時刻と連続番号からなるグループから選択される値を含むものである態様や、前記中央処理装置は、データが書き込まれる前記アドレス指定可能なユニットの各々にデータ及び時間値を書き込み、各時間値は、前記アドレス指定可能なユニットに前記データが書き込まれた時間を示すものである態様や、前記アドレス指定可能なユニットがセクタを含むものである態様や、前記中央処理装置は、データが書き込まれる前記アドレス指定可能なユニットの各々に識別値も書き込み、各識別値は、当該システム又は前記記憶ドライブを、前記記憶媒体と使用することができる他のシステム又は記憶ドライブから識別する、当該システム又は該記憶ドライブの識別を示すものである態様や、前記記憶媒体は、複数のドライブ識別子を含むように適合されるテーブルを格納し、各ドライブ識別子は、異なる記憶ドライブに関連するものである態様であることが好ましい。
さらに、前記中央処理装置は、前記アドレス指定可能なユニットの各々にインデックス値も書き込み、該インデックス値は、前記ドライブ識別子のうちの1つに対応するものであることがより好ましい。
また、本発明は、記憶ドライブにより、取外し可能な記憶媒体のセクタにデータを書き込むステップと、前記記憶ドライブにより、前記セクタに時間値を書き込むステップであって、該時間値は該セクタにデータが書き込まれた時間を示すものである、書き込むステップとを含んでなる方法も提供する。
ここで、前記時間値を書き込むステップは、時刻及び/又は日付を表す値を書き込むことを含むものである態様や、インデックス値を前記時間値とともに前記セクタに書き込むことをさらに含み、前記インデックス値は、前記記憶ドライブを一意に識別するものである態様であることが好ましい。
【0005】
本発明の例示的な実施形態を詳細に説明するために、ここで添付図面を参照する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、記憶媒体が取外し可能なコンピュータシステムにおいて、誤動作により誤った記憶媒体にデータが記録されることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の例示的な一実施形態によるシステムを示す図である。
【図2】記憶媒体にドライブ識別子テーブルが含まれる一実施形態を示す図である。
【図3】図2のドライブ識別子テーブルの例示的な一実施形態を示す図である。
【図4】個々の記憶デバイスを識別するインデックス値が媒体のアドレス指定可能なユニットに格納される記憶媒体の一部の一例を示す図である。
【図5】例示的な方法の一実施形態を示す図である。
【図6】記憶媒体から監査情報を読み出すようになっているコンピュータを示す図である。
【図7】取外し可能な記憶媒体から監査情報を読み出して処理する方法の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[表記及び命名法]
以下の説明及び特許請求の範囲を通して、特定のシステムコンポーネントを指すためにいくつかの用語を使用する。当業者は理解するように、コンピュータ会社は、1つのコンポーネントを異なる名称で呼ぶ場合がある。この文書は、名称は異なるが機能は異ならないコンポーネントを識別することを意図していない。以下の論考および特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「具備する、備える(comprising)」という用語は、限定的でない(open-ended)ように使用されており、そのため、「含むが、それに限定されない」を意味するように解釈されるべきである。また、「結合する(couple)」という用語は、間接的な電気接続又は直接的な電気接続のいずれかを意味するように意図される。このため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的な電気接続によってもよく、又は他のデバイス及び接続を介して間接的な電気接続によってもよい。「記録する」という動詞は、記憶媒体にデータを格納し、書き込み、又は他の方法で転送することを意味する。
【0009】
[詳細な説明]
図1は、本発明の例示的な一実施形態によって実施されるシステム20を示す。図示するように、システム20は、記憶ドライブ30に結合されたホスト22を備える。一般に、ホスト22は、記憶ドライブにデータを格納し、記憶ドライブからデータを読み出す。したがって、ホスト22は、記憶ドライブのためのデータ源を表し、及び/又は、ホスト22又は他のデバイスによって使用されるために記憶ドライブから読み出されるデータのコンシューマを表す。ホスト22を、コンピュータとして実施してもよく、記憶ドライブ30は、コンピュータの外付けであってもよく、又はコンピュータの内部に配置されるものであってもよい。ホスト22は、中央処理装置(以下、「CPU」とよぶ)24及びデバイスドライバ26を備える。デバイスドライバ26は、CPU24によって実行され、CPUに対し本明細書において説明する1以上の動作を実行させるソフトウェアを備える。ホストは、時間を受け取るか又は追跡する時間ロジック28も備える。時間ロジック28を、現在時刻でプログラムされることが可能であり、時間の進行を追跡するように機能することができる時刻回路として実施してもよい。CPU24は、時間ロジック28と対話することにより、時間を示す値を取得する。時間を示す値は、日付、時刻、又は、日付と時刻との両方を表してもよい。別法として、この値は、記憶ドライブ30に時間監査情報が記録される度など適当な方法により増加されうる連続番号を含みうる。「時間値」という用語は、広く、手法(時刻又は日付表現及び連続番号)と所定値(たとえば00h、FFh)とをともに含む。
【0010】
記憶ドライブ30は、取外し可能な記憶媒体32を受け入れるように適合される。記憶媒体32は、光ディスク、磁気ディスク又は固体メモリなどの任意の適当なタイプの媒体を含みうる。さらに、「追記型」媒体又は「書き換え可能な」記憶媒体として、記憶媒体を実施してもよい。「追記型」媒体には、データを2回以上記録することができるが、「追記型」媒体(たとえばCD−R)にデータが記録されると、その記録されたデータを上書きし又は消去することはできない。書き換え可能な記憶媒体のデータは、上書き又は消去することができる。
【0011】
記憶ドライブ30はまた、CPU36と、CPU36が実行することができるコード38とを備えてもよい。コード38を実行する記憶ドライブのCPU36によって、本明細書において説明する1以上の行為を実行してもよい。記憶ドライブ30はまた、CPU36に結合されるか又は他の方法でCPU36がアクセス可能な時間ロジック40を含みうる。時間ロジック40は、現在時刻でプログラムされ、その後、進行する時間を追跡するように機能することができる。たとえば、ホスト22は、現在時刻を示す値をホストの時間ロジック28から記憶ドライブの時間ロジック40に提供することにより、記憶ドライブが時間の進行を追跡することができるようにしてもよい。このため、時間ロジック40は、たとえばCPU36による要求時に時間値を提供するように機能することができる。ロジック40からの時間値は、ホスト22の時間ロジック28によって提供される時間値に関して上で明確に示した「時間値」の定義のうちの任意のもの又はすべてを広く包含する。
【0012】
記憶ドライブ30はまた、関連するドライブを他のすべてのドライブから一意に識別することができるドライブ識別子(以下、「ドライブID」とよぶ)34を備える。たとえば、ドライブIDは、ドライブ製造業者によって割り当てられた通し番号を含みうる。他の実施形態では、ドライブID34は、少なくともいくつかではあるがすべてではない他のドライブに対して一意でありうる。本明細書において開示する主題の目的には、ドライブID34が、同じ記憶媒体32を同じドライブIDを有する2つ以上のドライブで使用し得る可能性が十分低いようなものであれば、概して十分である。(「一意の」ドライブIDなどの)「一意」という用語を、この開示において両方の文脈で使用する。ドライブID34を、記憶ドライブ30の不揮発性メモリに格納してもよく、又はドライブの回路に(たとえば、ドライブに含まれるプリント回路基板に形成されたトレースに対する一意のパターンで)ハードコードしてもよい。実施形態によっては、ドライブIDは永久的でありしたがって変更可能ではない。ドライブIDは、永久的でない場合には、専用機器又は専用プロセスなしには変更することが困難であることもまた適当である。他の実施形態では、ドライブIDは、ドライブの識別子の代わりに又はそれに加えてホスト22の識別子を含みうる。さらに、ドライブIDは、システム10又はシステム10のユーザに関する公的に入手可能な情報を含みうる。ドライブIDは、さらに又は別法として、システム10のユーザのプライバシを保護するために有効な法的手続き(たとえば捜査令状)に従って適法に回収可能な個人情報を含みうる。
【0013】
ドライブID34は、英数字文字及び/又は他のシンボルを含む値を含みうる。少なくとも1つの実施形態では、ドライブID34は、製造業者コード(16ビット)、モデルコード(16ビット)及び通し番号(32ビット)を含む64ビット値を含む。異なる記憶ドライブ製造業者の各々に、一意の製造業者コードを割り当ててもよく、16ビットの場合、65000を超える異なる製造業者コードがあり得る。記憶デバイスの、望ましい場合は改訂を含む異なるモデルの各々に、一意のモデルコードを割り当ててもよい。モデルコードに16ビットを使用する場合には、65000を超えるモデルコードが一意に利用可能である。通し番号は、一般に、各ドライブに一意である。したがって、同じモデルであり同じ製造業者によって提供される2つのドライブは、ドライブIDの通し番号要素が異なるため、依然として異なるドライブIDを有することになる。ドライブIDの3つの要素(製造業者コード、モデルコード及び通し番号)を、互いに連結してもよく、又はその他の任意の適当な方法で結合し又は合わせて使用してもよい。
【0014】
代替の一実施形態では、特定のモデルのすべてのドライブが、ドライブで実行するファームウェアで符号化されるドライブIDを有してもよい。この実施形態では、特定のモデルの各ドライブは、同じ32ビット通し番号を有する。ファームウェアがアップグレードされる場合には、ドライブ通し番号は変更されず依然として使用可能である。別の実施形態によれば、ドライブIDは、ホストによって(たとえば、デバイスドライバ26に従ってCPU24によって)生成される。ドライバは、ドライブがインストールされる時、オペレータに対し、たとえば、ドライブにプリントされているがドライブコントローラ電子機器では読み取ることができない、人間が読み取り可能な通し番号でありうる番号を入力するように促してもよい。別法として、製造業者番号及びモデル番号のみを手動で入力してもよく、デバイスドライバ26が、ランダムな32ビット通し番号を生成してもよい。別法として、デバイスドライバが、ホストのファームウェア(たとえばBIOS)の通し番号などの、ホストコンピュータに関連する一意の番号から通し番号を生成してもよい。デバイスドライバ26が通し番号を提供する場合には、デバイスドライバは、その番号を不揮発性メモリに保存すべきであり、又はドライバがロードされる度に常に同じ番号を作成し直す決定論的アルゴリズムを採用すべきである。デバイスドライバが通し番号を提供する場合には、ドライブは、デバイスドライバからドライブ識別を初期化時に取得してもよい。
【0015】
一般に、記録されたデータは、種々の方法により参照することができるアドレス指定可能なユニットにフォーマットされる。アドレス指定可能なユニットの例には、セクタ、ブロック、クラスタ及びトラックがある。以下の論考では、「アドレス指定可能なユニット」という用語を、上に列挙した記憶装置のユニット又は記憶装置の他の既知のユニットのうちの任意のもの又はすべてを包括的に言及するために使用する。
【0016】
図2は、非ユーザデータエリア50及びユーザデータエリア54を含むものとしての記憶媒体32の一実施形態を示す。ユーザデータエリア54は、ホスト22で実行するアプリケーションのためにドライブ30によってデータが記録される場所である。たとえば、ユーザが記憶媒体に格納したい、文書又はスプレッドシート等のファイルは、ドライブ30によりユーザデータエリア54に格納される。非ユーザデータエリア50は、概してユーザデータを格納するためには使用できず、代わりに制御及び管理の目的で使用される。本発明の少なくともいくつかの実施形態によれば、非ユーザデータエリア50は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする米国特許第6,330,210号明細書に開示されているように、記憶媒体の「リードイン(lead-in)」エリアを含みうる。図2の実施形態では、非ユーザデータエリア50は、ドライブIDテーブル56を含む。ドライブIDテーブル56を、ドライブのCPU36がコード38の実行下で初期化してもよい。ドライブIDテーブルを初期化することは、テーブルを格納するために非ユーザデータエリア50の一部を予約することを含みうる。
【0017】
図3は、テーブル56の一実施形態を示す。テーブル56は、1以上のエントリ62を含むように構成される。図3に示すように、各エントリ62は、少なくともドライブIDフィールド58を含む。ドライブIDフィールド58は、記憶ドライブに関連するドライブID(上述したもの等)を格納するように適合される。各エントリ62はまた、インデックスフィールド60を含みうる。したがって、テーブル56の各エントリ62は、インデックス値及び対応するドライブIDを含みうる。たとえば、インデックス値01h(「h」は16進数を示す)は、ドライブ1のID(DRIVE 1 ID)に対応する。同様に、インデックス02h及び03hは、DRIVE 2 ID及びDRIVE 3 IDに対応する。ドライブIDを格納するために将来使用する目的で、少なくともいくつかのエントリ62を予約してもよい。図3に示す実施形態では、インデックス値を格納するテーブルは、インデックスフィールド60を含む。他の実施形態では、インデックスフィールド60は存在せず、代わりに、各ドライブIDのインデックス値は、参照されているドライブID値のテーブルの位置に基づいて計算される。
【0018】
本発明のさまざまな実施形態によれば、記憶媒体32のユーザデータエリア54におけるアドレス指定可能なユニットに記憶ドライブ30によってデータが書き込まれる度に、記憶ドライブのCPU36はまた、コード38の制御下で、データが書き込まれる同じアドレス指定可能なユニットにインデックス値も書き込む。記憶媒体32のアドレス指定可能なユニットに書き込まれるインデックス値は、書込み動作を実行している特定の記憶ドライブ30に対応する。アドレス指定可能なユニットに書き込まれるインデックス値は、非ユーザデータエリア50におけるドライブIDテーブル56によって反映されるようにドライブのIDに対応する。たとえば、ドライブ1は、記憶媒体のアドレス指定可能なユニットに書き込む場合には、データに加えて、アドレス指定可能なユニットにその対応するインデックス値も書き込む。さらに、データが書き込まれる記憶媒体32の各アドレス指定可能なユニットには、アドレス指定可能なユニットに書き込むために使用された特定の記憶ドライブ30を識別するインデックス値も書き込まれる。ドライブは、複数のアドレス指定可能なユニットにまたがってもよいデータ(たとえばファイル)を書き込んでもよい。本発明の実施形態によれば、ドライブのドライブIDは、データが書き込まれるアドレス指定可能なユニットの各々に書き込まれる。ドライブIDに加えて、各アドレス指定可能なユニットには時間値もまた書き込まれる。時間値は、アドレス指定可能なユニットにデータが記録された時間を示す。各アドレス指定可能なユニットに記録されたドライブID及び時間値は、後述するように、ドライブの問題を診断するか又は法的分析(forensic analysis)に役立つ情報を提供するために有用であり得る、監査情報を含む。
【0019】
図4は、ユーザデータエリア54(図2)の一部を含む記憶媒体32のアドレス指定可能なユニットの一部を示す。図4に示す部分は、アドレス指定可能なユニット1、2、3、4及び5を含む。各アドレス指定可能なユニットは、第1の部分70及び第2の部分72を含む。第1の部分70は、たとえばホスト22のために、データが記録されるデータ部分を含みうる。第2の部分72は、インデックス値73及び時間値75を記録するために使用される。第2の部分72は、各アドレス指定可能なユニットに関連するヘッダを含みうる。実施形態によっては、アドレス指定可能なユニットヘッダは、アドレス、制御情報及び他の情報とともに、1つ又は複数の予約済みフィールドを含みうる。予約済みフィールドのうちの1つを使用して、インデックス及び時間値を格納してもよい。図4の例では、ドライブ1を使用してアドレス指定可能なユニット1、2及び5にデータが書き込まれており、ドライブ2及び3を使用して、それぞれアドレス指定可能なユニット3及び4にデータが書き込まれている。また、ドライブ1を使用して、アドレス指定可能なユニット3及び4にデータを書き込まれた可能性があるが、後にドライブ2及び3が、アドレス指定可能なユニット2及び3に格納された可能性のあるデータに上書きし、それに従って関連するインデックス値を更新した。インデックス値73は、アドレス指定可能なユニットに直前に書き込んでおり図3のインデックス値60に対応するドライブを識別する。時間値75は、関連するインデックス値によって識別されるドライブがその特定のアドレス指定可能なユニットに最後に書き込んだ時(時刻及び/又は日付)を示す。
【0020】
記憶媒体32を、「レガシドライブ(legacy drive)」とともに使用してもよい。レガシドライブは、本明細書において説明するように、記憶媒体にドライブID及び/又は時間値を書き込むように備えられていないドライブである。代わりに、レガシドライブは、アドレス指定可能なユニットにおいて、本明細書において説明するようにドライブによりドライブID及び/又は時間値が書き込まれるはずである位置に、00hなどの所定値が書き込まれるようにしてもよい。
【0021】
ドライブID及びテーブルにおいて実施される場合には、ドライブIDテーブル56のエントリのすべてにインデックス値が書き込まれる場合もある。このような場合には、少なくともいくつかの実施形態によれば、アドレス指定可能なユニットにデータを書き込むように試みる新たな記憶ドライブ(すなわち、ドライブIDがまだテーブル56に格納されていないドライブ)により、ドライブIDの代わりに00h又はFFhなどの予約された値がアドレス指定可能なユニット(複数可)に書き込まれてもよい。他の実施形態では、テーブル56がいっぱいになると、ユーザが開始する保守手続きによりテーブルのドライブIDを消去することができる。そして、テーブルの一部として又は記憶媒体の別の場所にオフセット値を格納することができる。このオフセット値は、テーブル56のエントリの数を表し、追加のドライブに対する新たなインデックスを計算するために使用される。たとえば、テーブル56が32のエントリを有し32のエントリすべてがドライブID(すなわち、32の異なるドライブの32のドライブID)によって占められる場合には、32のすべてのドライブIDをテーブルから消去することができる。この例では、オフセット値は32となる。ドライブが後にアドレス指定可能なユニットに書き込むように試みる場合には、テーブル56の消去に続いて記憶媒体に書き込む最初のドライブである新たなドライブに、32のオフセット値に1の初期インデック値を加算することによって計算される33というインデックス値が割り当てられる。同様にして、記憶媒体に書き込む次のドライブに、33というインデックス値が割り当てられる。実際にテーブル56に格納されるインデックス値は、1、2、3のようになるが、テーブル56にアクセスされる時にオフセット値32に加算される。
【0022】
図5は、行為80〜86を含む対応する方法実施形態を示す。図5に示す1以上の行為を同時に又は逐次実行することができ、1以上の行為を必要に応じて省略することができる。さらに、これらの行為を、図5に示すものとは異なる順序で実行することができる。80において、ユーザは、記憶ドライブ30に記憶媒体32を挿入する。82において、アドレス指定可能なユニットにデータが書き込まれる。記憶ドライブ30が、その特定の記憶媒体32にデータを書き込んだことがない場合には、その記憶ドライブ30のドライブIDは記憶媒体のテーブル56に存在しない。しかしながら、記憶ドライブ30が先に記憶媒体32にデータを書き込んだことがある場合には、テーブル56に記憶ドライブ30のドライブIDが存在する。記憶媒体のテーブル56を検査することによって確かめられるように、これが、この特定の記憶ドライブ30が初めてこの特定の記憶媒体にデータを書き込んだ時である場合には、ドライブのCPU36は、ドライブのID値を先に使用されていないインデックス値に対応するテーブルに加算することにより記憶媒体のドライブIDテーブル56を変更する。このようなドライブは、たとえば、先に「予約済み(reserved)」としてマークされたインデックス値04h(図3)に対応するテーブルのエントリに、そのドライブIDを追加してもよい。ドライブがすでに記憶媒体32に書き込んでいる場合には、記憶媒体のドライブIDテーブルは、ドライブのIDを列挙するエントリをすでに含んでいるはずである。したがって、この場合には、ドライブIDテーブルのいかなる変更も行われない。86において、ドライブ30は、データが書き込まれているアドレス指定可能なユニットに、そのインデックス値と、時間ロジック28又は40から取得された時間値とを書き込む。実施形態によっては、行為82及び86は1つの行為として実行され、すなわち、データ及びドライブIDは、1つの書込みトランザクションでアドレス指定可能なユニットに書き込まれる。アドレス指定可能なユニットにデータを書き込む前、データを書込み中、又はデータを書き込んだ後、記憶ドライブから媒体を排出する前に、ドライブIDテーブル56が書き込まれる。
【0023】
上述した実施形態によれば、インデックス及び時間値はアドレス指定可能なユニットに格納される。識別する値は、アドレス指定可能なユニットに書き込むドライブを識別し、時間値は、書込みトランザクションの関連する時間を指定する。テーブル56を使用して、関連するインデックス値が与えられるアドレス指定可能なユニットに書き込んだ特定のドライブを識別することができる。別の実施形態では、ドライブID自体(又はシステム識別子)を、対応するインデックス値ではなく識別する値としてアドレス指定可能なユニットに書き込んでもよい。この後者の実施形態では、ドライブIDテーブル(インデックス値とドライブIDとの変換を容易にする)は使用されない。
【0024】
上述した実施形態では、記憶媒体は、記憶媒体の特定のアドレス指定可能なユニットにいずれのドライブが書き込んだことと、書込みトランザクションが発生した時間とを識別するために使用することができる監査情報を含む。この監査情報を種々の方法により使用することができる。たとえば、記憶媒体32のアドレス指定可能なユニットに欠陥があると判断され、そのアドレス指定可能なユニットに書き込まれたインデック値を特定することができる場合には、ドライブIDテーブルを検査することにより、その特定のアドレス指定可能なユニットにいずれのドライブが最後に書き込んだかを判断することができる。そのアドレス指定可能なユニットに関連する時間値を検査することにより、そのアドレス指定可能なユニットにドライブが書き込んだ時間に関する追加の情報が提供される。欠陥のあるアドレス指定可能なユニットは、記憶ドライブによって書き込まれたアドレス指定可能なユニット(複数可)及び媒体のドライブIDテーブルにおける情報から一意に識別することができる特定の記憶デバイスの問題によってもたらされる可能性がある。時間値は、ドライブの寿命の指示を提供してもよい。さらに、ドライブID及び時間値を使用することにより、記憶媒体に対して法的分析を行ってもよい。
【0025】
実施形態によっては、コンピュータを使用して、取外し可能な記憶媒体から監査情報を読み出してそれを処理する方法を実施することができる。図6に、本方法を実施するために適したソフトウェア104を実行するプロセッサ102を備えるものとして、例示的なコンピュータ100を示す。コンピュータ100は、取外し可能な記憶媒体を受け入れるようになっているドライブ106も備える。コンピュータ100が実行することができる方法を図7に示す。本方法は、行為90及び行為92を含む。行為90は、ドライブ106に挿入された取外し可能な記憶媒体から監査情報を読み出すことを含む。本方法は、さらに、92において、監査情報に基づいて、特定のアドレス指定可能なユニット(又は特定の複数のアドレス指定可能なユニット)に最後に書き込んだドライブと、最後の書込みの時間とを確定することを含む。監査情報を読み出す行為は、たとえば、取外し可能な記憶媒体からテーブル56を読み出すことを含む。情報を読み出す行為は、取外し可能な記憶媒体の、先にデータが書き込まれたアドレス指定可能なユニットに格納された任意のインデックス値を読み出すことと、関連する時間値を読み出すことをさらに含む。本方法は、記憶媒体のテーブル56を検査することと、記憶媒体のアドレス指定可能なユニットのうちの任意のものから読み出される任意のインデックス値(複数可)が、テーブルに含まれる任意のインデックス値との一致を含むか否かを判断することをさらに含む。テーブルに格納されたドライブIDは、記憶媒体のアドレス指定可能なユニットに先にデータを書き込み、このようなアドレス指定可能なユニットにインデックス値が格納された任意のドライブの識別を確かめることができる機構を提供する。
【0026】
上記の開示を完全に理解した当業者には、多数の変形及び変更が明らかとなるであろう。たとえば、本明細書において提供する教示は、コンピュータシステムとともに、光ディスクビデオレコーダなどのスタンドアロン記憶デバイスにも適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取外し可能な記憶媒体を収容することができる記憶ドライブであって、該取外し可能な記憶媒体が個別にアドレス指定可能な複数のユニットを含むものである記憶ドライブと、
データが書き込まれる記憶媒体のアドレス指定可能な複数のユニットの各々に、データ及び時間値を書き込むように構成される中央処理装置であって、該時間値は、各アドレス指定可能なユニットに前記データが書き込まれた時間を示すものである中央処理装置と
を含んでなる、取外し可能な記憶媒体を使用することができるシステム。
【請求項2】
前記時間値は、日付と時刻と連続番号からなるグループから選択される値を含むものである請求項1に記載の取外し可能な記憶媒体を使用することができるシステム。
【請求項3】
前記中央処理装置は、データが書き込まれる前記アドレス指定可能なユニットの各々にデータ及び時間値を書き込み、各時間値は、前記アドレス指定可能なユニットに前記データが書き込まれた時間を示すものである請求項1に記載の取外し可能な記憶媒体を使用することができるシステム。
【請求項4】
前記アドレス指定可能なユニットがセクタを含むものである請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記中央処理装置は、データが書き込まれる前記アドレス指定可能なユニットの各々に識別値も書き込み、各識別値は、当該システム又は前記記憶ドライブを、前記記憶媒体と使用することができる他のシステム又は記憶ドライブから識別する、当該システム又は該記憶ドライブの識別を示すものである請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記記憶媒体は、複数のドライブ識別子を含むように適合されるテーブルを格納し、各ドライブ識別子は、異なる記憶ドライブに関連するものである請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記中央処理装置は、前記アドレス指定可能なユニットの各々にインデックス値も書き込み、該インデックス値は、前記ドライブ識別子のうちの1つに対応するものである請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
記憶ドライブにより、取外し可能な記憶媒体のセクタにデータを書き込むステップと、
前記記憶ドライブにより、前記セクタに時間値を書き込むステップであって、該時間値は該セクタにデータが書き込まれた時間を示すものである、書き込むステップと
を含んでなる方法。
【請求項9】
前記時間値を書き込むステップは、時刻及び/又は日付を表す値を書き込むことを含むものである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
インデックス値を前記時間値とともに前記セクタに書き込むことをさらに含み、前記インデックス値は、前記記憶ドライブを一意に識別するものである請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−211804(P2010−211804A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68563(P2010−68563)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【分割の表示】特願2005−350506(P2005−350506)の分割
【原出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【出願人】(500391866)デル・プロダクツ・エル・ピー (46)
【氏名又は名称原語表記】Dell Products, L.P.
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】