説明

受信データ管理方法および装置

【課題】プロトコルリセットなどにより重複した受信データを受信した場合であっても不要な再送を抑制可能な受信データ管理方法および装置を提供する。
【解決手段】シーケンス番号で示される順番に従って次に受信することが期待されるデータのシーケンス番号を示す期待シーケンス番号を基準に、前記順番に従った順方向に設定した所定サイズの受信ウィンドウ外のシーケンス番号が付与されたデータを受信すると、再送要求を行うデータ伝送プロトコルの受信データ管理方法において、期待シーケンス番号を基準に、前記順番とは逆の方向に所定範囲で設定したデータ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与されたデータを受信した場合に、再送要求を行わないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レイヤ2などの低レイヤにおいてフロー制御を行う場合に用いて好適な通信プロトコルの受信データ管理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レイヤ2の通信プロトコルの一つであるサービス依存コネクション型プロトコル(SSCOP:Service Specific Connection Oriented protocol)やRLC(Radio Link Controlでは、伝送単位のデータに付与されたシーケンス番号に基づくフロー制御が行われる。
【0003】
SSCOPのフロー制御では、データを順序どおりに受信した際に更新され、次に受信することが期待されるシーケンス番号(以下、期待シーケンス番号と称する)VR(R)と、受信したデータの最大のシーケンス番号に基づいて予想される次に受信するデータのシーケンス番号(以下、予想シーケンス番号と称する)VR(H)と、受信可能な最大のシーケンス番号VR(MR)とを用いて、データ欠損を検出し、欠損したデータの再送を要求する処理を行っている(特許文献1、非特許文献1参照)。
【0004】
また、上述したフロー制御では、送信側によって最大Mまでのシーケンス番号がサイクリックに用いられており、上述した期待シーケンス番号VR(R)からこの期待シーケンス番号VR(R)に受信ウィンドウサイズ(例えば、数値「5」)を加えて得られる受信可能な最大のシーケンス番号値VR(MR)までが受信可能なシーケンス番号の範囲に設定されている。
【0005】
例えば、図3(a)、(b)に示すように、シーケンス番号0、1が付与されたデータを順序どおりに受信した場合に、上述した期待シーケンス番号VR(R)および予想シーケンス番号VR(H)はともに更新され、同一のシーケンス番号(例えば、シーケンス番号1のデータを受信した段階では、VR(R)=VR(H)=2)を示し、これにつれて、最大シーケンス番号VR(MR)の値も更新され、受信可能なシーケンス番号の範囲が更新されていく。
【0006】
一方、図3(c)に示したように、期待シーケンス番号VR(R)(例えば、シーケンス番号2)に先立ってシーケンス番号4のデータを受信すると、予想シーケンス番号VR(H)のみが更新されてVR(H)=5となる。このとき、期待シーケンス番号VR(R)と予想シーケンス番号VR(H)とが不一致となることからデータ欠損が発生したと判断して、これらの値から欠損したデータ(例えば、シーケンス番号2、3のデータ)について再送要求を送出する。
【0007】
このようにして送出された再送要求に応じて、図3(d)、(e)に示したように、送信側からシーケンス番号2、3が付与されたデータが順次に送信されると、これらのデータの受信に応じて順次に期待シーケンス番号VR(R)が更新される。ここで、予想シーケンス番号VR(H)によってシーケンス番号4のデータが受信済みであることが示されているので、シーケンス番号3が付与されたデータの受信に応じて、シーケンス番号0から4までのデータがすべて受信済みとなったと判断され、期待シーケンス番号VR(R)=5となり、これに応じて、受信可能なシーケンス番号の範囲もシーケンス番号5〜10までの範囲に更新される。
【特許文献1】特開平11−261593号公報
【非特許文献1】ITU-T Q.2140 “B-ISDN ATM ADAPTATION LAYER-SERVICE SPECIFIC CONNECTION ORIENTED PROTOCOL(SSCOP)”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、冗長構成の装置の切り替え時などに、同一のシーケンス番号が付与されたデータが重複して送信されてしまう場合がある。
【0009】
一方、上述した従来のフロー制御技術では、伝送中にデータが欠損した場合にシーケンス番号を指定して再送を要求することにより、データの確実な伝送を実現しているが、同一のシーケンス番号が付与されたデータが重複して受信される場合については想定されていなかった。
【0010】
上述した従来のフロー制御技術では、例えば、図4に示すように、受信ウィンドウがシーケンス番号2〜シーケンス番号7までの範囲に設定され、シーケンス番号2のデータの受信を待っている状態では、直前に受信したデータに付与されたシーケンス番号1は、受信ウィンドウ外のシーケンス番号として認識される。このため、図4に示すように、シーケンス番号1のデータを重複して受信した場合には、期待シーケンス番号VR(R)(=2)から重複受信したシーケンス番号までのデータがデータ欠損したとの誤った判断がなされてしまう。これに伴って、受信側のプロトコル処理部は、送信側において未送信であるか否かにかかわらず、上述した期待シーケンス番号VR(R)(=2)から最大シーケンス番号V(MR)(=7)までのデータについての再送要求を送出してしまう。
【0011】
このような再送要求がシーケンス番号1までの送信を完了した状態の送信側に到達すると、この再送要求が未送信のデータを対象としていることから、送信側のプロトコル処理部により、受信側でエラーが発生したと判断されてプロトコルリセットが行われてしまう。このようにしてプロトコルリセットが発生すると、プロトコルリセット期間中に上位レイヤのプロトコルから発行された送信データや対向プロトコルから受信したデータが欠損してしまう可能性がある。これによって欠損したデータが呼制御のためのデータあるいは他の装置を制御するためのデータであって上位レイヤによる再送がなされない場合には、呼接続ができなくなってしまう事態や、他の装置の制御が実行できなくなったことによるシステム停止が惹き起こされてしまう。
【0012】
このように、プロトコルリセットの影響は重大であるので、上述したような受信データの重複受信によって無用に発生することを極力防ぐ必要がある。
【0013】
本発明は、プロトコルリセットなどにより重複した受信データを受信した場合であっても不要な再送を抑制可能な受信データ管理方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかわる第1の受信データ管理方法は、シーケンス番号で示される順番に従って次に受信することが期待されるデータのシーケンス番号を示す期待シーケンス番号を基準に、前記順番に従った順方向に設定した所定サイズの受信ウィンドウ外のシーケンス番号が付与されたデータを受信すると、再送要求を行うデータ伝送プロトコルの受信データ管理方法において、期待シーケンス番号を基準に、前記順番とは逆の方向に所定範囲で設定したデータ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与されたデータを受信した場合に、再送要求を行わないように構成される。
【0015】
このように構成された第1の受信データ管理方法では、例えば、期待シーケンス番号VR(R)=2となっている状態で、既に受信したシーケンス番号1のデータが到来した場合に、シーケンス番号1は期待シーケンス番号を基準として設定したデータ廃棄範囲に含まれることから、上述したステップにより、再送要求を行わないようにする制御が行われ、このデータのように重複したデータの受信に応じた再送要求が抑止される。
【0016】
本発明にかかわる第2の受信データ管理方法は、上述した第1の受信データ管理方法において、データ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与された受信データを廃棄して、シーケンス番号に基づいて再送要求の必要性を判定する処理の対象から除外することを特徴とする。
【0017】
このように構成された第2の受信データ管理方法では、データ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与された受信データが廃棄され、再送要求の必要性を判定する処理の対象から除外されるので、図4に示したような重複受信による誤った判定を確実に防いで、無用な再送要求の送出を阻止することができる。
【0018】
本発明にかかわる第1の受信データ管理装置は、シーケンス番号で示される順番に従って次に受信することが期待されるデータのシーケンス番号を示す期待シーケンス番号を基準に、前記順番に従った順方向に設定した所定サイズの受信ウィンドウ外のシーケンス番号が付与されたデータを受信すると、再送要求を行うデータ伝送プロトコルの受信データ管理装置において、期待シーケンス番号を基準に、前記順番とは逆の方向に所定範囲で設定したデータ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与されたデータを受信した場合に、再送要求を行わないようにするマスク手段を備えて構成される。
【0019】
このように構成された第1の受信データ管理装置では、例えば、期待シーケンス番号VR(R)=2となっている状態で、既に受信したシーケンス番号1のデータが到来した場合に、シーケンス番号1は期待シーケンス番号を基準として設定したデータ廃棄範囲に含まれることから、このデータの受信に応じた再送要求はマスク手段によってマスクされる。
【0020】
本発明にかかわる第2の受信データ管理装置は、上述した第1の受信データ管理装置において、マスク手段に、データ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与された受信データを廃棄し、廃棄されずに残された受信データをシーケンス番号に基づいて再送要求の必要性を判定する処理に供する廃棄手段を備えて構成される。
【0021】
このように構成された第2の受信データ管理装置の動作では、上述した廃棄手段によって廃棄されずに残された受信データが再送要求の必要性を判定する処理に供される。つまり、重複受信した受信データは、再送要求の必要性を判定する処理の対象から除外されるので、上述したような重複受信による誤った判定を確実に防いで、無用な再送要求の送出を阻止することができる。
【0022】
本発明にかかわる第3の受信データ管理装置は、上述した第1の受信データ管理装置において、データ廃棄範囲が、前記期待シーケンス番号を基準として、前記順番とは逆の方向に受信ウィンドウサイズ分の幅の範囲を持つように構成される。
【0023】
このように構成された第3の受信データ管理装置の動作では、期待シーケンス番号を基準として受信ウィンドウサイズ分だけ順番を遡ったシーケンス番号までのデータ廃棄範囲が設定されるので、最近に受信したデータに重複する受信データと受信可能範囲外の受信データとを確実に弁別し、適切な再送制御を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
上述したように、本発明にかかわる受信データ管理方法および装置によれば、受信済みのデータを重複して受信した場合であっても不要な再送要求を防ぐことができる。ひいては、プロトコルリセットの無用な発生を防止することができる。
【0025】
これにより、呼制御用のデータや他の装置制御に用いられるデータのような重要なデータが無用に欠損することを極力防ぐことができるので、伝送システムの信頼性をより向上することができる。
【0026】
また、本発明にかかわる受信データ管理方法および装置では、重複受信したデータであるか否かをシーケンス番号のみに基づいて判定して廃棄するので、データ相互の称号によって重複受信したデータを検出する場合に比べて、処理が格段に簡単であり、高速な処理が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本発明にかかわる受信データ管理装置の第1の実施形態を示す。
図1に示した伝送システムにおいて、伝送路を介して他のシステムから受信したデータは、伝送路インタフェース201、ATM伝送処理部などの下位プロトコル処理部202、下位プロトコルインタフェース203、SSCOP機能処理部204および上位プロトコルインタフェース205を介して上位プロトコル処理部206に渡される。一方、この上位プロトコル処理部206から発行される送信データは、上述した各部を逆に辿って転送されていき、伝送路インタフェース201によって伝送路に送出される。
【0028】
図1に示したSSCOP機能処理部204において、受信データ管理装置210は、下位プロトコルインタフェース203から渡された受信データに対して、シーケンス番号に基づくフロー制御を行い、上位プロトコルインタフェース205を介して上位プロトコル処理部206に受信データを渡す役割を果たしている。
【0029】
図1に示した受信データ管理装置210において、シーケンス番号管理部211は、受信データに付与されたシーケンス番号に基づいて、従来と同様の受信ウィンドウ管理処理を行って決定した受信ウィンドウに関する情報を再送制御部212の処理に供するとともに、期待シーケンス番号VR(R)に基づいて後述するデータ廃棄範囲を決定して重複データ廃棄部213に通知する。
【0030】
再送制御部212は、シーケンス番号管理部211から受け取った受信ウィンドウおよび予想シーケンス番号に基づいて、従来と同様の再送制御を行い、適切なシーケンス番号範囲についての再送要求を、下位プロトコルインタフェース203を介して送出する。
【0031】
図1に示した下位プロトコルインタフェース203からSSCOP機能処理部204に渡された受信データは、重複データ廃棄部213を介して受信バッファ214に渡される。このとき、重複データ廃棄部213により、シーケンス番号管理部211から受け取ったデータ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与された受信データが選択的に廃棄され、他の受信データはそのまま受信バッファ214に渡される。また、この重複データ廃棄部213から受信バッファ214に渡される受信データのシーケンス番号が、シーケンス番号管理部211および再送制御部212に渡され、それぞれ受信ウィンドウ管理処理および再送制御処理に供される。
以下、本発明にかかわる受信データ管理動作について詳細に説明する。
図1に示したシーケンス番号管理部211は、期待シーケンス番号VR(R)からシーケンス番号順を受信ウィンドウサイズだけ遡ったシーケンス番号までの範囲をデータ廃棄範囲として設定する。
【0032】
例えば、シーケンス番号0が付与された最初の受信データが到来する以前の初期状態においては、図2(a)に示すように、期待シーケンス番号VR(R)および予想シーケンス番号VR(H)に初期値「0」が設定され、シーケンス番号0〜5までが受信可能な受信ウィンドウとして設定される。また、このとき、シーケンス番号20からシーケンス番号15までの範囲がデータ廃棄範囲として設定される。
【0033】
この初期状態において、シーケンス番号0が付与されたデータ(図2において符号D(0)として示す)を受信した場合に、このシーケンス番号0は、上述したデータ廃棄範囲内に含まれていないので、図1に示した重複データ廃棄部213は、この受信データをそのまま受信バッファ214に転送する。このとき、この受信データに付与されているシーケンス番号0に基づいて、シーケンス番号管理部211により、期待シーケンス番号VR(R)および予想シーケンス番号VR(H)がともに数値「1」に更新され、これに伴って、データ廃棄範囲もシーケンス番号0からシーケンス番号16までの範囲に更新される(図2(b)参照)。このように、シーケンス番号の順序に従って受信されたデータは、上述した受信バッファ214からそのまま上位プロトコルインタフェース205を介して上位プロトコル処理部206に渡される。
【0034】
上述したようにして受信ウィンドウおよびデータ廃棄範囲が更新された状態で、シーケンス番号順に従って次のデータ(図2において、符号D(1)として示す)を受信した場合は、同様にして、期待シーケンス番号VR(R)、予想シーケンス番号VR(H)およびデータ廃棄範囲が更新され、図1に示したシーケンス番号管理部211により、シーケンス番号2から7までの範囲が受信ウィンドウとして設定され、受信データのシーケンス番号1〜17までの範囲がデータ廃棄範囲に設定される。
【0035】
このようにして、シーケンス番号1を含むデータ廃棄範囲が設定された後に、シーケンス番号1が付与されたデータ(図2(c)において、符号D(1)´で示す)を重複して受信した場合に、この受信データは、図1に示した重複データ廃棄部213により、受信済みのデータと重複していると判断されて廃棄される。したがって、この場合は、受信バッファ214に受信データが渡されないので、シーケンス番号管理部211による受信ウィンドウの更新処理および再送制御部212によるデータ欠損判定処理は行われない。
【0036】
このように、本発明にかかわる受信データ管理装置によれば、重複受信したデータは、受信ウィンドウの更新処理およびデータ欠損判定処理にかかる前に廃棄されるので、重複受信したデータのために、誤ったデータ欠損判定がなされることを防ぎ、無用な再送要求を確実に阻止することができる。
【0037】
即ち、シーケンス番号で示される順番に従って次に受信することが期待されるデータのシーケンス番号を示す期待シーケンス番号を基準に、順番に従った正の順方向に設定した所定サイズの受信ウィンドウ外のシーケンス番号が付与されたデータを受信すると再送要求を行うデータ伝送プロトコルの受信データ管理装置において、期待シーケンス番号を基準に、順番とは逆の方向に所定範囲で設定したデータ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与されたデータを受信した場合に再送要求を行わないように、重複データ廃棄部213がマスク手段の一部として機能する。
【0038】
一方、図2(d)に示すように、シーケンス番号3が付与されたデータ(図2(d)において、符号D(3)で示す)を受信した場合には、シーケンス番号がデータ廃棄範囲に含まれていないので、重複データ廃棄部213による廃棄は行われない。この場合に、上述した受信データは、そのまま図1に示した受信バッファ214に送られて保持され、また、この受信データに付与されたシーケンス番号3に基づいて、シーケンス番号管理部211により、予想シーケンス番号V(H)のみが数値「4」に更新される。このとき、再送制御部212により、シーケンス番号2のデータが欠損したと判定され、このデータについての再送要求が下位プロトコルインタフェース203を介して対向するシステムに送出される。
【0039】
また、この再送要求に応じて、対向するシステムによって再送されたシーケンス番号2のデータは、図1に示した重複データ廃棄部213によって廃棄されることなく受信バッファ214に渡される。このとき、シーケンス管理部211は、この受信データのシーケンス番号(シーケンス番号2)と上述した期待シーケンス番号VR(R)(=2)および予想シーケンス番号VR(H)(=4)に基づいて、シーケンス番号3までのデータを欠損無く受け取ったと判断し、受信バッファ214に保持しているデータの転送を指示する。これに応じて、受信バッファ214に保持されたシーケンス番号3のデータとともに新たに受け取ったシーケンス番号2のデータが、上位プロトコルインタフェース205を介して上位プロトコル処理部206に渡される。
【0040】
このように、本発明にかかわる受信データ管理装置によれば、データの重複受信とデータの欠損とを確実に判別し、従来と同様の再送制御を維持しつつ、データの重複受信による無用な再送要求を阻止することができる。
【0041】
なお、図1に示した受信データ管理装置210を形成する各部は、コンピュータプログラムによって実現することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上述したように、本発明にかかわる受信データ管理方法および装置によれば、SSCOPなどの低レイヤのプロトコルによってフロー制御を行っている伝送システムにおいて、従来と同等の再送制御を維持しつつ、データの重複受信による無用な再送要求を阻止し、プロトコルリセットの無用な発生を確実に防ぐことができる。これにより、伝送システムの信頼性の向上を図ることができるので、SSCOPなどの低レイヤのプロトコルによってフロー制御を行っている様々な伝送システムにおいて、本発明にかかわる受信データ管理方法および装置は極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明にかかわる受信データ管理装置の実施形態を示す図である。
【図2】受信データ管理動作を説明する図である。
【図3】従来の受信データ管理動作を説明する図である。
【図4】重複受信によるデータ欠損の誤判定を説明する図である。
【符号の説明】
【0044】
201 伝送路インタフェース
202 下位プロトコル処理部
203 下位プロトコルインタフェース
204 SSCOP機能処理部
205 上位プロトコルインタフェース
206 上位プロトコル処理部
210 受信データ管理装置
211 シーケンス番号管理部
212 再送制御部
213 重複データ廃棄部
214 受信バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーケンス番号で示される順番に従って次に受信することが期待されるデータのシーケンス番号を示す期待シーケンス番号を基準に、前記順番に従った順方向に設定した所定サイズの受信ウィンドウ外のシーケンス番号が付与されたデータを受信すると、再送要求を行うデータ伝送プロトコルの受信データ管理方法において、
前記期待シーケンス番号を基準に、前記順番とは逆の方向に所定範囲で設定したデータ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与されたデータを受信した場合に、前記再送要求を行わないようにする
ことを特徴とする受信データ管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の受信データ管理方法において、
前記データ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与された受信データを廃棄して、シーケンス番号に基づいて再送要求の必要性を判定する処理の対象から除外する
ことを特徴とする受信データ管理方法。
【請求項3】
シーケンス番号で示される順番に従って次に受信することが期待されるデータのシーケンス番号を示す期待シーケンス番号を基準に、前記順番に従った順方向に設定した所定サイズの受信ウィンドウ外のシーケンス番号が付与されたデータを受信すると、再送要求を行うデータ伝送プロトコルの受信データ管理装置において、
前記期待シーケンス番号を基準に、前記順番とは逆の方向に所定範囲で設定したデータ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与されたデータを受信した場合に、前記再送要求を行わないようにするマスク手段を備えた
ことを特徴とする受信データ管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の受信データ管理装置において、
前記マスク手段は、前記データ廃棄範囲に含まれるシーケンス番号が付与された受信データを廃棄し、廃棄されずに残された受信データをシーケンス番号に基づいて再送要求の必要性を判定する処理に供する廃棄手段を備えた
ことを特徴とする受信データ管理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の受信データ管理装置において、
前記データ廃棄範囲が、前記期待シーケンス番号を基準として、前記順番とは逆の方向に前記受信ウィンドウサイズ分の幅の範囲を持つ
ことを特徴とする受信データ管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−10894(P2009−10894A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172763(P2007−172763)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】