受信信号強度表示および信号伝搬時間を用いて、救助が必要な消防士がいるフロア番号を特定するシステムおよび方法
建築物のような三次元配備区域内に移動端末、ワイヤレス・ルータ、および少なくとも1つの制御コンソールを含む、ワイヤレス・デバイスのネットワークを配備し、建築物の構造に関わらず、移動端末を用いて、消防士のような要員の通信、特定、および位置計算を行うことができるシステムおよび方法を提供する。ワイヤレス・ルータは、安全プログラムの一部として前もって、または緊急時に消防士またはその他のチームの建築物への到着時に即座に、対象の建築物の階段室およびエレベータ・シャフトにほぼ垂直に配備する。ここに記載する本発明の実施形態によるシステムおよび方法は、移動端末とワイヤレス・ルータとの間のTOFおよびRSSI双方を用いて、消防士がいるフロアの番号を特定し、消防士の移動を追跡する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク、特に、アドホック・ワイヤレス移動通信ネットワークにおいて、受信信号強度表示および信号伝搬時間を用いて、ネットワークにおける移動ワイヤレス・デバイスの位置を正確に特定するシステムおよび方法に関する。更に特定すれば、本発明は、火事や救助の場面のような、現実の用途において、救助を必要とする消防士がいるフロア番号を素早くかつ正確に特定するための、このようなシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、U.S.C.§119(e)に基づいて、ジョン エム.ベルシーその他(John M.Belsea et al.)の「受信信号強度表示および信号伝搬時間を用いて、救助が必要な消防士がいるフロア番号を特定するシステムおよび方法」と題する、2004年2月24日出願の米国仮特許出願第60/549,942号、ジョン エム.ベルシーその他の「高層建築物内部においてワイヤレス・デバイスの位置を正確に計算するシステムおよび方法」と題する、2003年6月6日出願の米国仮特許出願第60/476,167号、およびジョン エム.ベルシーの「建築物内部においてワイヤレス・デバイスの位置を正確に計算するためのMACプロトコル」と題する、2003年6月6日出願の米国仮特許出願第60/476,232号についての優先権を主張する。各出願の内容全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。
【0003】
移動ワイヤレス電話ネットワークのようなワイヤレス通信ネットワークは、過去10年の間に増々普及してきている。これらのワイヤレス通信ネットワークは、一般に「セルラ・ネットワーク」と呼ばれている。何故なら、ネットワークの基盤構造が、サービス区域を「セル」と呼ばれる複数の領域に分割するように構成されているからである。地上セルラ・ネットワークは、複数の相互接続された基地局、即ち、基地ノードを含み、これらがサービス区域全域にわたって指定された場所に地理的に分散されている。各基地ノードは1つ以上のトランシーバを含み、無線周波数(RF)通信信号のような電磁信号を、カバレッジ区域内に位置するワイヤレス電話機のような移動ユーザ・ノードとの間で送受信することができる。通信信号は、例えば音声データを含み、これを所望の変調技法にしたがって変調し、データ・パケットとして送信する。当業者には認められようが、ネットワーク・ノードは、時分割多元接続(TDMA)フォーマット、符号分割多元接続(CDMA)フォーマット、または周波数分割多元接続(FDMA)フォーマットのような多重化したフォーマットでデータ・パケット通信を送受信しており、基地ノードにおける1台のトランシーバで、そのカバレッジ区域内にある数台の移動ノードと同時に通信することを可能にしている。
【0004】
近年、「アドホック・マルチ・ホッピング」(ad-hoc multi-hopping)ネットワークとして知られている一種の移動通信ネットワークが開発されている。この種のネットワークでは、各移動ノードは他の移動ノードに対してルータとして動作し、基地局の機能性の殆どを備えており、こうして非常に少ないコストでカバレッジ区域を広げることを可能にしている。アドホック・ネットワークの詳細は、メイヤー(Mayor)の特許文献1に明記されている。その内容全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。
【0005】
更に洗練されたアドホック・ネットワークも開発されつつあり、従来のアドホック・ネットワークにおけるように移動ノード同士が互いに通信できることに加えて、更に、移動ノードが固定ネットワークにアクセスし、こうして、公衆電話交換網(PSTN)、およびインターネットのようなその他のネットワーク上におけるような、その他の固定または移動ノードと通信することが可能となっている。これら発展型のアドホック・マルチ・ホッピング・ネットワークの詳細は、2001年6月29日に出願され「PSTNおよびセルラ・ネットワークにインターフェースするアドホック・ピア・ツー・ピア移動無線アクセス・システム」と題する特許文献2、2001年3月22日に出願され「別個の予約チャネルで共有並列データ・チャネルへのチャネル・アクセスを調整する、アドホック・ピア・ツー・ピア無線ネットワーク用時分割プロトコル」と題する特許文献3、および2001年3月22日に出願され「アドホック・ピア・ツー・ピア移動無線アクセス・システムのために優先した経路決定」と題する特許文献4に記載されており、各出願の内容全体は、ここで引用したことにより本願にも含まれるものとする。
【0006】
従来のワイヤレス通信ネットワーク、またはアドホック・ワイヤレス通信ネットワークのいずれにおいても、移動ノードが、相対的または絶対的な地理的場所または位置を把握または判断できることが必要または望ましい場合がある。当業者には周知であろうが、これは、多数の技術を用いることによって遂行することができる。これらの技術は、セルの識別を、往復時間(RTT)、タイミング進み(TA)および測定信号レベル(RXレベル)、到達時間差(TDOA)および到達角度(AOA)技法と組み合わせる必要がある。これらの詳細は、当業者であればよく理解できるはずである。他の利用可能な技術には、符号分割多元接続(CDMA)および広帯域符号分割多元接続(WCDMA)用のセルラ信号のタイミングに基づく方法を用いるものがある。更に別の技術には、全地球測位システム(GPS)技法を用いるものもある。これは、列記した他のあらゆる方法よりも精度が高いと一般に見なされている。
【0007】
GPS技法は相当な期間にわたって用いられており、世界のナビゲーションの殆どがこれを拠り所にしているという事実にも拘わらず、GPS技法は、ある特定の条件では大きな誤差を生じる可能性が非常に高い。これは、多数の衛星を伴って比較的多数の測定を行い、伝搬および方法誤差を除去した後でなければ、非常に高い精度で位置判定結果を得ることができない。GPSの欠点の説明は非特許文献1に明記されており、その内容全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。また、他のある検査でも、GPS技法は、地下トンネル、建築物内部、密集した樹木の下、都市の「谷間」(urban canyon)におけるような、高い精度を得るには見える衛星の数が少なすぎる環境で動作する地上系ネットワークには適していないことが実証されている。
【0008】
位置情報を判定する際に伴う前述の問題を克服するために、位置情報を判定する際に衛星の使用も集中計算設備も必要としない新たな技法が開発されている。アドホック・マルチ・ホッピング・ネットワークにおいて移動端末の位置を計算する新たな技法の更なる詳細は、「ワイヤレス通信ネットワークにおいて移動端末の位置を計算するシステムおよび方法」と題する特許文献5に記載されている。その内容全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。加えて、アドホック・ネットワークは、非固定的、即ち、可動基盤構造の構成要素を利用して開発することができる。可動アクセス・ポイントおよび中継器を用いてカバレッジおよび容量制約を最適化するネットワークの更なる詳細は、「ワイヤレス通信ネットワークにおいてカバレッジおよび容量の制約を最少に抑える可動アクセス・ポイントおよび中継器」と題し、2001年8月15日に出願された特許文献6に記載されている。その内容全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。
【0009】
これまでに論じた特許および特許出願は、総じて、位置情報が絶対位置として表される永続的固定ネットワークに接続する移動ネットワークに関するものである。しかしながら、先に引用した特許出願から認められるように、一時的なアドホック・マルチ・ホッピング・ネットワークが必ずしも同じ要件を有するとは限らない。したがって、緊急状態で作業する要員の居場所を突き止めることが欠くことができないような、相対的な位置検出が望まれる、携行可能で配備が容易な自己充足アドホック・マルチ・ホッピング・ネットワーク・システムが求められている。相対的な位置は、絶対的な地理的位置に加えて、またはその代わりに与えられるとよく、通例このような場所に存在する種々の送信障害物間で容易に伝達可能でなければならない。
【特許文献1】米国特許第5,943,322号明細書
【特許文献2】米国特許出願第09/897,790号明細書
【特許文献3】米国特許出願第09/815,157号明細書
【特許文献4】米国特許出願第09/815,164号明細書
【特許文献5】米国特許第6,728,545号明細書
【特許文献6】米国特許出願第09/929,303号明細書
【非特許文献1】「全地球測位システム(PGS)における数学的課題」、Institute For Mathematics and its Applications (IMA)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、配備したワイヤレス通信ネットワークにおいて移動ノードの絶対的および/または相対的位置を容易に判定し伝達するようにシステムおよび方法を改良する必要がある。
【0011】
本発明の目的は、ワイヤレス・デバイスのネットワーク、特に、移動端末、ワイヤレス・ルータ、および少なくとも1つのコントローラを含む、移動ワイヤレス・アドホック・ピア・ツー・ピア・ネットワークを、建築物のような三次元配備構造において、建築物の構造には関係なく、識別および測位計算を行うことができるように配備するシステムおよび方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、火事や救出場面のような現実の用途において、救出を必要とする消防士の居場所を突き止め、フロア番号を素早くしかも正確に特定する、かかるシステムを配備することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらおよびその他の目的は、複数の移動端末と、複数のワイヤレス・ルータと、少なくとも1つの制御コンソール端末とを有する、ワイヤレス・アドホック・ピア・ツー・ピア通信ネットワークを提供することによって、実質的に達成される。移動端末は、標準的機器の一部として消防士に支給される。ワイヤレス・ルータは、安全プログラムの一部として前もって(例えば、各フロアの「出口」標識に結び付けられ)、または緊急の際に建築物への到着時に即座に、対象の建築物の階段室およびエレベータ・シャフトにほぼ垂直に配備する。ここに記載する本発明の実施形態によるシステムおよび方法は、移動端末とワイヤレス・ルータとの間の飛行時間(TOF:Time Of Flight)および受信信号強度表示(RSSI)の双方を用い、消防士がいるフロアを特定し、消防士の移動を追跡する。全てのルータから受信したRSSIおよびTOF値は、フロア番号の評価に用いる前に、フィルタ処理される。RSSIおよびTOFデータは消防士までの正しい距離を示さないこともあり得るが、最も近いルータが最小のTOFおよび最良のRSSIを同時に与えるはずであることが分かっているので、フィルタ処理したデータを比較すれば、消防士がいる可能性が最も高いフロアを見つけ出すことができる。
【0014】
本発明のこれらおよびその他の目的、利点、ならびに新規な特徴は、以下の詳細な説明を、添付図面と関連付けて読解すれば、一層容易に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
先に注記したように、緊急状態において作業する要員の居場所を突き止めることは、多くの理由から非常に重要である。消防士のような要員を煙の中で見失い、彼らが作業していた現在または以前のフロア上で彼ら自身またはその他の者の実際の位置について混乱する事例があった。以下に説明するシステムおよび方法は、一実施形態として提示され、消防士の安全を確保するために構成されている。本発明の更に別の実施形態では、本システムおよび方法は、あらゆる数のその他の緊急時における活動または特殊部隊の配備を支援するように構成することができる。
【0016】
ここに記載する本発明の一実施形態による事件および要員管理システムは、延焼中の建築物のような事件区域内において緊急要員を追跡する手段を提供するように設計されている。要員の居場所は、建築物のフロアおよび/またはセクタ区域別に報告される。また、このシステムは、リアル・タイム要員位置情報および警報ステータス表示にもアクセスすることができる。システムが管理する補助要員データは、部隊番号、名前、任務、および無線周波数を含む属性を含む。
【0017】
この種のシステムは、MEATMワイヤレス技術の使用を採用することによって可能となる。この技術は、MeshNetworksTM WMC6300ワイヤレス・トランシーバのような、複数のワイヤレス・トランシーバと、ワイヤレス・アドホック・スケーラブル・ルーティング技術を採用する。この例におけるトランシーバは、MeshNetworksTM QDMAモデムのようなモデムを利用し、厳しい条件のRF環境においても、ロバストな無線データ送信を容易にする。このトランシーバは、MeshNetworksTMスケーラブル・ルーチング(MSR)プロトコルおよび地理的位置解決法と結び付けられ、一点の障害もない高密度スケーラブル・アドホック・マルチ・ホッピング・ネットワークをユーザが瞬時に配備することを可能にする。要約すると、本システムは、音声、映像、およびデータを搬送可能であり、更にネットワーク境界内に位置するある種の要素の相対的な位置を計算することができるアドホック・ワイヤレス・マルチ・ホッピング通信組織(fabric)を含む。このシステムのアドホック性は、本システムの配備を容易にする様々な属性の1つであり、全てのネットワーク・ノード間に完全な接続性(connectivity)を設けて、過酷な条件または常に変化する物理的条件に晒されても、重大な情報のインターネットへの適時配信を保証することができる。
【0018】
以下で更に詳しく説明するが、本システムは、とりわけ、MEATM事件指令コンソール(ICC)、複数のフロア指示ルータ(FIR)、および少なくとも1つのMeshTrackerTM(MT)デバイスを更に備えている。MEATM事件指令コンソールは、Windowsを基本とするPCを含み、タッチ・スクリーン・ディスプレイを組み込んでいるので、単純なユーザ・インターフェースを備えている。事件管理アプリケーションはこのPC上で実行され、MEATMワイヤレス・ネットワーク・カードを介してMEATMネットワーク組織に接続されている。指令コンソールは完全に自己充足型であり、即時防災隊(RIC)のリーダのような、事件現場を管理する要員が監視することを想定している。事件管理アプリケーションは、リアル・タイムで要員の居場所および特定情報のグラフィック表示を行うためにある。具体的には、事件指令コンソールが報告するデータは、事件区域内における全ての要員の居場所、部隊番号、無線周波数の割り当て、最も近いFIR(通例、進入/出口点)および各個人までの距離、分隊別に(キャプテン/分隊のリーダを通じて)または個人毎に要員を表すことができるか否か、各個人の警報ステータス、およびある個人とのネットワーク通信の途絶またはFIRとの通信の途絶を含む。
【0019】
フロア指示ルータ(FIR)は、小型の携帯用デバイスであり、先に論じたように、FCC/ULが公認したMEATMワイヤレス・トランシーバ・カードの使用を採用している。これらのデバイスは、事件区域周囲に静止基準点として配備される。これらのデバイスは、RICのような現場要員によって、彼らが事件現場に到着した後に配備されるのが通例である。FIRは、階段室内のエレベータ・シャフト(elevator shaft)の近くに、即ち、進入および出口点に、縦列形態で配備される。多数のFIR縦列を必要に応じて配備すれば、無線カバレッジ区域を広げシステムの信頼性を高めることができる。この例におけるFIRデバイスは、携帯用であり、重量が約340グラム(12オンス)未満で、バッテリの寿命は5時間である。このデバイスは、第2 ISM帯域(2.40〜2.38GHz範囲)で動作し、送信出力は+25dbmである。
【0020】
MeshTrackerTM(MT)デバイスは、FIRと形状係数が類似しているが、これは移動デバイス、即ち、現場の要員が位置追跡および報告(accountability)のために携行する移動端末として採用することを意図している点で異なる。MeshTrackerは、MEATM位置解明(location)技術を利用して、事件現場内における相対的な位置を計算する。これは、事件区域内に配備されているFIRデバイスとのワイヤレス相互作用によって遂行される。これについては、以下で詳しく説明する。MTは、配備したFIRSおよびその他のMTをアドホック・ワイヤレス通信組織として利用し、不可欠な情報を指令コンソールに中継する。
【0021】
先に論じたように、本システムにおけるバックボーンおよびデータ配信機構として機能する基本的な技術は、MEATMである。これは、MeshNetworkTMのアドホック・マルチホッピング・ネットワーキング解決策であり、単純な配備指針を用いて、さほどの依存性もなく、迅速に配備を行うことを可能にする。ネットワークは、2つの方法の一方を用いて配備される。即ち、ネットワーク基盤構造の構成要素(FIR)を、建築物管理および安全システムの一部として(例えば、各フロアの「出口」標識に結び付けられて)前もって配備するか、あるいは事件が発生したときに配備することもできる。ネットワークをいつ配備するかには関わらず、配備指針は同一である。これについて以下に論ずる。
【0022】
最初に、コマンド・ポストを確立する。これは、コマンド・ポストを配備し、事件を事件指令コンソール(ICC)を通じて管理する場所である。この場所は、事件区域内で少なくとも2つのFIRへのワイヤレス接続性を可能にしなければならない。指令コンソールとFIRネットワークとの接続性は、数十〜数百メートル(数百〜数千フィート)の範囲で達成することができる。
【0023】
FIRを縦列状に、進入および出口点(通例、階段吹き抜けおよび/またはエレベータ・シャフト付近またはその内側)の外側に配備する。FIRは、資産を追跡するフロアおよび区域およびその周辺に配置される。これらは、通例、出火フロア(fire floor)および集結地(staging area)である。各FIRは、論理的にフロアおよび列に繋がれている。FIR毎のフロアおよび列情報は、予め指令コンソールにロードしておくことができ、または事件指揮官によってGUIを通じてリアル・タイムに構成することもできる。システムは、1つのFIRを配備しただけでも位置情報を提供することができるが、多数のFIR列を配備すると、位置解明精度が高まり、監視区域が広がり、熱や落下する残骸のためにデバイスのいずれかが欠損した場合に必要な冗長性を確保する。単一のFIR列は、通例、95パーセントよりも多い事例において精度の高い位置解明を行いつつ、典型的な高層構造では、フロア当たり約18,580平方メートル(約200,000平方フィート)の適用範囲(coverage)、または半径約76メートル(250フィート)の適用範囲が得られる。適用範囲の面積および突き止める位置の解明精度は、区分方法および各フロアに用いられる材料によって大きく影響される。FIRのネットワークを配備した後、事件区域内でMeshTrackerTMの使用を採用する要員からの位置更新は、自動的に事件指令コンソールに報告される。
【0024】
図1は、前述にようにFIR106を配備した、階段室102およびエレベータ・シャフト104を有する建築物100を示す概念的ブロック図である。図1における凡例は、消防士108、位置基準FIR106、データ・リンク、および前述の事件指令コンソール(ICC)111を配置した事件指揮官(通信指令装置)110のシンボルを示す。位置基準を設ける他に、FIR106は、フロア全体およびフロア間のネットワーク接続性を確保する。事件指揮官が事件区域から余りに遠くに位置すると、1つのネットワークにおける全てのワイヤレス構成要素を接続するために、補足のワイヤレス・ルータ(この図には示されていない)を配備しなければならない。これらは二重の機能性を備えているので、FIRを「ワイヤレス・ルータ」(WR)と呼ぶことも多い。
【0025】
図2は、FIR106内における構成要素の一例を示すブロック図である。図示のように、各FIR106は、少なくとも1つのモデム112と、モデムの受信および送信動作、ならびにメモリに対するデータ格納および読み出しを制御するコントローラ114とを含む。この例におけるモデム112は、MeshNetworksTM WMC6300ワイヤレス・トランシーバを採用したMeshNetworkTM QDMAモデムである。FIR106は、例えば、先に引用した特許出願において記載されているように、アドホック・ワイヤレス通信ネットワークにおいてはワイヤレス・ノードとして動作する。各FIR106または選択FIR106は、熱センサ、COセンサなどのようなセンサを含み、FIR106が配備されている環境に関する情報を指令コンソールに提供することができる。したがって、FIR106のセンサが、例えば過剰な熱のために特に危険であることを示す区域を避けるように、または十分に注意するように消防士に助言することができる。
【0026】
図3は、各消防士108が、彼または彼女の移動端末116を用いて、移動端末116のブロードキャスト範囲内にいる他の消防士と通信することができるように、そして消防士の移動を追跡できるように、各消防士108に支給することができるMeshTrackerTM移動端末116の一例を示すブロック図である。移動端末116は、ハンズフリー動作を確保するマイクロフォンおよびイヤホンを備えたヘッドセットを含むことができる。方位を知らせるためにディジタル・コンパスも含むことができ、消防士の動きが止まった場合に動作センサが報告することができる。これらのデバイスは全て、典型的な操作者の所持品の一部である、バッテリに接続することができる。
【0027】
移動端末116のマイクロフォンおよびイヤホンは、小型のトランシーバに接続することができる。このトランシーバは3つの主要構成要素を有し、モデム118、コントローラ120、および音声プロセッサ122を含む。コントローラ・メモリ内にプログラム・コードおよび動作パラメータとして格納されているソフトウェアが、移動端末の全構成要素のアクティビティ(activity)を制御する。
【0028】
モデム118は、送信機および受信機を用いて、ネットワークの他の構成要素と無線通信を行う。送信機および受信機の動作を制御するには、しかるべきデータおよびコードを、1組のレジスタとして編成されているメモリに格納する。受信機および送信機は、メモリ・レジスタを用いて、モデムのステータスおよび実行した機能の結果に関するフィードバックを与える。コントローラ120は、メモリ・バスを通じてモデム118に接続されている。コントローラ120は、CPUと、モデム機能を制御するプログラムのデータおよびコードを格納するメモリとを含む。これは、メモリ・バスを通じてデータをモデム・レジスタに書き込み、モデム・レジスタから読み出してモデムのステータスを見出すことによって、モデム118のアクティビティを制御する。この例におけるモデム118は、MeshNetworksTM WMC6300ワイヤレス・トランシーバを採用したMeshNetworksTM QDMAモデムである。移動端末116は、例えば、先に引用した特許出願に記載されているように、アドホック・ワイヤレス通信ネットワークにおいて移動ワイヤレス・ノードとして動作する。
【0029】
加えて、移動端末116の音声プロセッサ122がコントローラ120に接続されており、少なくとも2つの独立した構成要素、即ち、エンコーダおよびデコーダを含む。エンコーダは、マイクロフォンが受信した音を一連の数値に変換し、デコーダは一連の数値を逆に音に変換し、スピーカまたはイヤホンに送り出す。図3に示す実施形態では、音声プロセッサ122は、更に、メモリ・バスを通じてのコントローラ・メモリへのアクセスも含む。加えて、ヘッドセット内にディジタル・コンパスを組み込むこともでき、これは、適正に位置付けられたときに操作者の頭部の方位を示すので、操作者の現在の位置(即ち、「2時において約6.1メートル(20フィート)」に対する角度を用いて方向を特定することが可能となる。動作センサ(図示せず)も、トランシーバと共に組み込むことができる。これは、消防士がある期間にわたって移動しない場合に、自動的に報告することができる。押しボタンも組み込めば、動作センサと同じ効果を得ることができる。消防士は、彼または彼女が救助を必要とする場合、ボタンを押下することができる。ボタンを押下する動作は、トランシーバのソフトウェアに伝達され、1組のデータ・メッセージを主制御部、例えば、ICC111に対して発生する。これらのメッセージを受信すると、主制御部は、どの消防士が救助を求めているか、彼/彼女の現在の位置はどこかを示し、事件指揮官に警告する。
【0030】
緊急場面における、前述のシステムの動作の一例についてこれより説明する。
即時介入部隊(RIC:Rapid Intervention Crew)を各消火作業に配属する。消防士が消火している間、RICチームは、誰かを救出しなければいけない事態に備えて待機している。呼び出したときに、いずれかの消防士またはグループが回答しない場合、または彼らが救助を求めた場合、RICは行動を開始し、救出活動に乗り出す。最初に、彼らは、救助すべき消防士が現在どこにいるのか確認し、次いで彼らの救出に取り掛かる必要がある。現在実施されている手順では、RICが最初に、彼らが探索を開始した場所から、当該消防士がいたことが分かっている最後の場所に向かう。高層建築物において火災が発生した場合、成功の重要な要素の1つは、探索を開始すべき正しいフロアを迅速に特定できることである。
【0031】
建築物の構造では周知であるが、最新の高層建築物では、フロアは鋼鉄で補強したコンクリート製であり、一方、その他の建築物のフロアは木材のような他の材料で作られている場合もある。無線波がコンクリートを通過するとき、無線エネルギの吸収が多くなるが、木製パネルを通過するときはさほど多くない。その結果、フロアがコンクリートの建築物では無線波は数フロアを通過できるに過ぎないのに対して、フロアが木製の建築物では多くのフロアの通過が可能である。
【0032】
先に端的に論じたように、図1は、RIC要員が階段室102(右)およびエレベータ104(左)に進んで行くのに伴って進行する救助活動を示す。状況に応じて、RICは階段やエレベータを用いて建築物の多くのフロアに到達することができる。図示のように、ワイヤレス・フロア指示ルータ(FIR)106が各フロアの階段室102内およびエレベータ・シャフト104の近くにある。信号はフロアおよび壁を通過するとエネルギを失うので、FIR106は、当該FIR106と同じフロアにはいない消防士とは通信できない可能性もある。
【0033】
RIC救助チームは、RICが最初に火災の現場に到着したときに、各フロアに1つルータを配備する。これによって、RICは、緊急事態が宣告された時点から僅か数秒の内に、個々の消防士がいるフロアの番号を見出すことが可能となる。全てのFIR106は、できるだけ垂直線に近く位置付けなければならない。これは、木製フロアの建築物では、階段室の同じ角にルータを配置することによって、金属またはコンクリート製フロアの建築物では階段レール上にルータを吊すことによって、実現することができる。高層建築物で1つ以上のエレベータ・シャフトを有する場合、エレベータが上昇するにつれて、これらから配備することができる。即ち、エレベータが各フロアにおいて停止したときに、FIR106をエレベータ・ドアに接近して配備すれば、全てのFIR106をできるだけ真っ直ぐな垂直線状に位置付ける確証を得ることができる。
【0034】
これより論ずるが、本発明の一実施形態にしたがって、飛行時間(TOF:Time of Flight)および受信信号強度表示(RSSI)データを用いて、フロア番号を見つける。
【0035】
建築物内部における無線信号の伝搬は、多数の反射による影響を受け、ワイヤレスFIR106と、MTを用いている消防士との間の正しい距離を判定することは殆ど不可能になる。また、建築物内部における無線信号の伝搬は、無線信号がフロアや壁を通過するときの高いエネルギ吸収によっても影響を受ける。吸収度は、障害物の厚さおよび組成によって異なる。鋼鉄で補強したコンクリート製の壁およびフロアは吸収度が高く、一方、木製または乾燥した壁が無線波のエネルギに及ぼす影響は小さい。媒体は均質ではないので、消防士とワイヤレス・ルータとの間の正確な距離を、RSSIに基づいて計算することは、殆ど不可能である。
【0036】
ここに記載する本発明の本実施形態によるシステムおよび方法は、消防士がいるフロアを特定するために、TOFおよびRSSI双方を用いる。全てのルータから受信したRSSIおよびTOFの値をフィルタ処理した後、フロア番号の評価のために用いる。RSSIおよびTOFデータは消防士までの正確な距離を示さない場合もあるが、フィルタ処理したデータを比較すれば、最も小さいTOFおよび最良のRSSIを目標の移動デバイスに同時に供給したFIRがあるフロアを見つけることができる。
【0037】
図4から図7に明記したフローチャートに示す動作により、各フロアにスコアを設定し、最良のスコアを得たフロアを選択する技法が得られる。同じ技法は、TOFおよびRSSIデータに応じたスコアを設定するためにも用いられる。即ち、この技法は、最初に、移動端末116と、移動端末116が受信することができる信号を発信するFIRとの間で行われた測定の回数でTOFを除算して最も小さな値(または、RSSIの最も小さい絶対値)を求める。重み付けしたTOFの最小値を与えるFIR106は、MT116が位置する可能性が最も高いフロアを表し、そのスコアを最大値に設定する。再度、残りのフロアから、測定回数で除算したTOFの最小値を探索することによって、次に可能性が高いフロアを求める。全てのフロアを探索し終え、各フロアにスコアを割り当て終えるまで、この方法を適用する。2つのフロア上で得られた探索値がほぼ等しい場合(例えば、値が互いに5%以内の差である場合)、2つのフロアのスコアを等しく設定する。RSSIおよびTOFに基づいて各フロアのスコアを計算した後、RSSIおよびTOFスコア双方を加算することにより、総合スコアを計算する。最も大きなスコアと一致するフロアを、消防士がいるフロアとして指定する。
【0038】
図4から図7に示すフロア特定アルゴリズムは、リアル・タイムで動作する。先に論じたように、各消防士は、彼または彼女の所持品の一部として、加入者デバイス(即ち、MT116)を有する。事件指揮官、例えば、上級消防監督または隊長は、前述のようなMEATM事件指令コンソール111のようなコンピュータを有し、例えば、図8から図19に示すように、各消防士の位置を連続的に表示する。
【0039】
尚、各MT116は、それが通信できる全てのワイヤレス・ルータ(即ち、FIR106)と距離メッセージを交換することを注記しておく。MT116が、FIR106のリストがそのブロードキャスト範囲内にあると判断した場合、MT116は情報(例えば、データ・パケット)を事件指揮官コンピュータ(ICC)111に送信する。この情報には、FIR106のリスト、それらの各々に対するTOF、伝搬範囲内において各FIR106から受信した信号のRSSIが含まれる。ICC111は、先に論じた指令コンソール110内に配置することができる。ICC111は、FIR106およびMT116からのデータを、アドホック・ネットワークのマルチ・ホッピング機能を通じて受信し、フロア番号の計算を行い、各消防士がいるフロア番号を表示する。GUI出力を用いるリアル・タイム処理には、3つの異なる構成要素、即ち、初期化、データ収集、およびGUI更新に伴う計算が必要となる。
【0040】
初期化動作は、ICC111を起動するときに実行する。初期化動作の一例を図4に示す。
初期化の一部として、ステップ1000において建築物100内にあるフロア数(nFloors)、および階段室の数(nStairs)を確定する。また、フロア番号の計算とは厳密には関係しない他の情報はここには示さない。ステップ1010、1020、1030および1040において、変数Count、TOF、RSSIおよびFIRIDの値を全て消去する(即ち、0に設定するが、FIRIDは空白に設定する。何故なら、これはテキスト変数であるからである)。初期化処理は、ステップ1050において終了する。
【0041】
MT116が利用可能なデータを有する場合、これらはデータ・パケットをICC111に転送する。したがって、図5に示すデータ収集タスクは、データを受信するときに活性化される。ICC GUIは、動作の進展についてICに知らせ続けるために、周期的に更新しなければならない。したがって、GUIの更新は、フロア番号の計算よりも前に行わなければならず、周期的なタイマによって活性化される。アプリケーションは、それ自体のデータ構造を維持する。このデータ構造は、4つの構成要素を有し、その各々がnFloorsと同じ数の行、およびnStairsと同じ数の列を有する。
【0042】
図4から図7に表す変数およびアレイについてここで簡単に説明する。
FIRID(FIR Identificationを表す)は、各FIR106の識別子を有するアレイである。各FIR識別は、FIRを配備したフロアの番号と関連付けられている。これが意味するのは、同じフロアに配備されたFIRは全て、フロア上の位置には関わらず、マトリクスの同じ行上にあるということである。MT116は無線エネルギ吸収のために同じフロア上にある全てのFIRと通信できない場合もあるので、FIRIDテーブルにおける位置の一部が使用されないままになることもある。消防士が建築物中を移動するに連れて、新たなFIR識別子がテーブルに追加されるが、古いFIRは除去されない。
【0043】
Countマトリクスは、SDがFIR毎に報告する距離メッセージの数のカウントを収容する。
RSSIおよびTOFテーブルは、FIRIDと同じ構造を有する。これらは、FIR毎に記録されたRSSIおよびTOFをフィルタ処理した値を収容する。
【0044】
図5のフローチャートは、データ収集関数を示す。関数名はNewDataであり、新たな1組のデータをMTから受信する毎に、ステップ1100において活性化され開始する。NewData関数は、4つのパラメータを有し、これらは、データを収集した元であるFIRの識別を表すFIR、FIRに対する最後のTOFを表すFIR_TOF、最後に受信したメッセージに対するRSSIの絶対値を表すFIR_RSSI、およびFIRを配備してあるフロアの番号を表すFLOORである。
【0045】
データ収集関数は、FIRIDテーブルのFLOOR行において、FIR識別の位置を見出す。これが新しい識別であるとステップ1110において判定した場合、ステップ1120において、新たなFIR識別を、テーブルの最初の空欄位置に追加する。FIRjは、ステップ1130において示すように、FLOOR行上でのFIR識別の列である。
【0046】
ステップ1140および1150に示すように、サイズがCountである可変サイズ・ウィンドウを用いて、最初にTOFおよびRSSI値をフィルタ処理する。MTとFIRとの間で交換したメッセージの数が既定値MAX_ITよりも大きくなったとき、フィルタは、1/(MAX_IT+1)の比率を有する無限入力フィルタに変化する。その効果は、ステップ1160および1170によって示すように、Countテーブルの値がMAX_ITよりも大きくなるのを制限することによって達成する。
【0047】
フローチャートのステップ1180は、アルゴリズムが収集した古すぎるデータを確実に「忘却」させる。このような「忘却」が必要なのは、消防士は1つのFIRから遠ざかるように移動して別のFIRに接近する可能性があるので、収集したTOFおよびRSSIの値を消防士の新たな位置に応じて変化させるためである。アルゴリズムは、FORGET係数の値に応じて、忘却を早めたりまたは遅くしたりする。FORGET係数の値は、常に0と1の間の数値である。これが0の場合、アルゴリズムは何も覚えていない。係数が1の場合、アルゴリズムは全てを覚えている。この用途では、最も慣例的な値は、FIRからデータを収集する頻度に応じて、0.99または0.999である。次いで、データ収集処理は、ステップ1190において終了する。
【0048】
図6におけるフローチャートは、消防士のフロア番号を計算する関数GetFloorNumberを示す。この関数は、ステップ1200において開始し、フロア数nFloorsと同じ要素を有する2つのローカル整数アレイを用いる。この関数は、ステップ1210においてRSSIscoreを計算し、ステップ1220においてTOFscoreを計算するために、2回GetScore関数を呼び出す。スコアを組み合わせることによって、それぞれ独立した判断基準よりも、確かなフロアを推定する精度を高めることができる。建築物内部の反射のために、TOFには30メートルもの長さの誤差が生ずることが測定された。フロア間の距離は3および6メートルの間であることを顧慮すると、30メートルの誤差は、5および10フロア間のフロア番号推定値の誤差を示唆する。RSSIは、MTがFIRから受信する信号の強度を示す。全てのFIRは同じ電力で送信しているが、各階の区分が異なるため、そしてフロアの吸収が壁の吸収とは非常に異なるために、各信号の経路長が異なる。更に、MTとこれが通信するFIRとの間にある壁の数は、各フロアの区分法によって異なり、したがって、FIR毎に異なる。この理由のため、フロア数を見つけるためには、RSSI情報そのものを用いることはできない。したがって、本アルゴリズムは、各フロアに対するスコアを計算し、双方の判断基準を用いて最も高い加算スコアを得たフロアを選択する。検査では、その結果が例外的に正確であることが示された。フローチャートのステップ1230は、フロア毎にRSSIscoreをTOFscoreと加算することによって計算した最大スコアに基づいて、フロア番号を求める。この処理は、ステップ1240において終了する。
【0049】
図7は、GetScore関数のフローチャートの一例を示す。この関数は、図6において先に論じたステップ1210および1220によって、RSSIおよびRSSIscoreをパラメータとして、次いでTOFおよびTOFscoreをパラメータとして呼び出される。この関数は、各判断基準にしたがって、各フロアのスコアを計算する。
【0050】
ステップ1300における開始後、この関数は起動して、ステップ1310において全てのScore値を0に設定し、次いでステップ1320においてデータ(RSSIまたはTOF)のコピーを作成し、一時的記憶部tempに格納する。ステップ1330において、lastValおよびLevelも初期化する。Level変数の値は重要ではないが、RSSIおよびTOF双方に対して同一でなければならない。
【0051】
この関数は、判断基準(RSSIまたはTOF)が最良の値を有するフロアを特定するループを有する。一旦ステップ1340においてフロアを見つけ出したなら、同じフロアからの他のデータを全て無視し、次のフロアを特定する。識別を必要とするフロアが残っているとステップ1350において判断される限り、この関数は継続する。しかしながら、そのようなフロアが残っていなければ、関数はステップ1360において終了する。
【0052】
前述のアルゴリズムの実行中、tempの内容をステップ1370において削除する。この理由のため、ステップ1320においてデータの内容をtempにコピーしたのである。
【0053】
2つのフロアの値に、5%よりも小さい値の差がある場合、これらは、ステップ1380、1390および1400において示すように、LEVEL変数に対して同じ値を維持することによって、同じScoreを受ける。値が異なる場合、各フロアに対するスコアは異なる。何故なら、ステップ1420においてフロアを見つけ出す毎にLevelの値を減らすからである。ステップ1410において、lastValは、minVal、即ち、判断基準の直前値最小値を示す。フロア毎に最小値を求めこれら最小値をソートした結果にしたがってスコアを設定すれば、同じ結果を得ることができる。
【0054】
前述のように、図8から図19は、先に論じたように決定した消防士の居場所に基づいてICCが生成した表示画面の例を示す。例えば、図8は、消防士が建築物に入る前における初期表示ウィンドウを示し、図9は、「凡例タブ」を拡大して初期表示ウィンドウを示し、異なる種類の要員および条件を表すことができるシンボルを表示ウィンドウ上に表示できることを示す。図10は、各フロアにFIRを配備した建築物の4つの階段の表示を示し、図11は、大部隊の指揮官が結集フロアに入ったことを示すシンボル(キャプテンの階級章)を示す。そのフロアは、建築物の1階、またはヨーロッパのフロア階数慣例を用いると「フロア0」である。図12は、梯子部隊が建築物のフロア2に入ったことを示し、図13は、フロア2におけるその梯子部隊の3人の要員の詳細を示す(即ち、一人のキャプテンおよび二人の消防士)。図14は、フロア2の拡大表示図を示す。図15は、フロア2の警報状態を示し、図16は、警報が承認されたことを示す。図17は、選択された要員(この例では、監督)の詳細、および監督から最も近いFIR106までの距離を示す。この例では、監督は、「A」で示すFIR106から約0.9メートル(2.9フィート)のところにいる。図18は、FIR(この場合、2Cで示すFIR)が信号を失い、これが損傷を受けたかまたは破壊されたことを意味する表示の一例を示す。図19は、多数のフロアの表示、および各フロアにおける要員の一例を示す。当然のことながら、本システムは、いずれの所望のフォーマットでも情報を表示するように修正することができる。
【0055】
前述した本発明の実施形態では、本システムおよび方法は、移動ネットワーク部材の正確な位置を与え、作業に従事するチームの構成員間での音声交換を可能にする。以上、本発明の実施形態例を少数だけ詳細に説明したが、本発明の新規な教示および利点から著しく逸脱することなく、実施形態例には多くの変更が可能であることは、当業者には容易に認められよう。したがって、このような変更は全て、本発明の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態によるシステムのワイヤレス・ルータを内部に配備した建築物の概念図。
【図2】図1に示したシステムに用いられているワイヤレス・ルータの構成要素の一例を示すブロック図。
【図3】図1に示した建築物において消防士が用いることができる移動端末の構成要素の一例を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施形態にしたがって、図1に示したシステムにおいて移動端末の位置を特定するために実行する初期化動作の一例を示すフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態にしたがって、図1に示したシステムにおいて、移動端末の位置を特定するために実行するデータ収集動作の一例を示すフローチャート。
【図6】本発明の一実施形態にしたがって、図1に示したシステムにおいて移動端末の位置を特定するために実行するフロア番号計算動作の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明の一実施形態にしたがって、図1に示したシステムにおいて移動端末の位置を特定するために実行するフロア・スコアリング動作の一例を示すフローチャート。
【図8】図1ないし図7に例証した本発明の実施形態にしたがって判定した消防士の居場所に基づいて、事件指揮官コンソール(ICC)が生成する表示画面の例を示す。
【図9】図8と同様の図。
【図10】図8と同様の図。
【図11】図8と同様の図。
【図12】図8と同様の図。
【図13】図8と同様の図。
【図14】図8と同様の図。
【図15】図8と同様の図。
【図16】図8と同様の図。
【図17】図8と同様の図。
【図18】図8と同様の図。
【図19】図8と同様の図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク、特に、アドホック・ワイヤレス移動通信ネットワークにおいて、受信信号強度表示および信号伝搬時間を用いて、ネットワークにおける移動ワイヤレス・デバイスの位置を正確に特定するシステムおよび方法に関する。更に特定すれば、本発明は、火事や救助の場面のような、現実の用途において、救助を必要とする消防士がいるフロア番号を素早くかつ正確に特定するための、このようなシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、U.S.C.§119(e)に基づいて、ジョン エム.ベルシーその他(John M.Belsea et al.)の「受信信号強度表示および信号伝搬時間を用いて、救助が必要な消防士がいるフロア番号を特定するシステムおよび方法」と題する、2004年2月24日出願の米国仮特許出願第60/549,942号、ジョン エム.ベルシーその他の「高層建築物内部においてワイヤレス・デバイスの位置を正確に計算するシステムおよび方法」と題する、2003年6月6日出願の米国仮特許出願第60/476,167号、およびジョン エム.ベルシーの「建築物内部においてワイヤレス・デバイスの位置を正確に計算するためのMACプロトコル」と題する、2003年6月6日出願の米国仮特許出願第60/476,232号についての優先権を主張する。各出願の内容全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。
【0003】
移動ワイヤレス電話ネットワークのようなワイヤレス通信ネットワークは、過去10年の間に増々普及してきている。これらのワイヤレス通信ネットワークは、一般に「セルラ・ネットワーク」と呼ばれている。何故なら、ネットワークの基盤構造が、サービス区域を「セル」と呼ばれる複数の領域に分割するように構成されているからである。地上セルラ・ネットワークは、複数の相互接続された基地局、即ち、基地ノードを含み、これらがサービス区域全域にわたって指定された場所に地理的に分散されている。各基地ノードは1つ以上のトランシーバを含み、無線周波数(RF)通信信号のような電磁信号を、カバレッジ区域内に位置するワイヤレス電話機のような移動ユーザ・ノードとの間で送受信することができる。通信信号は、例えば音声データを含み、これを所望の変調技法にしたがって変調し、データ・パケットとして送信する。当業者には認められようが、ネットワーク・ノードは、時分割多元接続(TDMA)フォーマット、符号分割多元接続(CDMA)フォーマット、または周波数分割多元接続(FDMA)フォーマットのような多重化したフォーマットでデータ・パケット通信を送受信しており、基地ノードにおける1台のトランシーバで、そのカバレッジ区域内にある数台の移動ノードと同時に通信することを可能にしている。
【0004】
近年、「アドホック・マルチ・ホッピング」(ad-hoc multi-hopping)ネットワークとして知られている一種の移動通信ネットワークが開発されている。この種のネットワークでは、各移動ノードは他の移動ノードに対してルータとして動作し、基地局の機能性の殆どを備えており、こうして非常に少ないコストでカバレッジ区域を広げることを可能にしている。アドホック・ネットワークの詳細は、メイヤー(Mayor)の特許文献1に明記されている。その内容全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。
【0005】
更に洗練されたアドホック・ネットワークも開発されつつあり、従来のアドホック・ネットワークにおけるように移動ノード同士が互いに通信できることに加えて、更に、移動ノードが固定ネットワークにアクセスし、こうして、公衆電話交換網(PSTN)、およびインターネットのようなその他のネットワーク上におけるような、その他の固定または移動ノードと通信することが可能となっている。これら発展型のアドホック・マルチ・ホッピング・ネットワークの詳細は、2001年6月29日に出願され「PSTNおよびセルラ・ネットワークにインターフェースするアドホック・ピア・ツー・ピア移動無線アクセス・システム」と題する特許文献2、2001年3月22日に出願され「別個の予約チャネルで共有並列データ・チャネルへのチャネル・アクセスを調整する、アドホック・ピア・ツー・ピア無線ネットワーク用時分割プロトコル」と題する特許文献3、および2001年3月22日に出願され「アドホック・ピア・ツー・ピア移動無線アクセス・システムのために優先した経路決定」と題する特許文献4に記載されており、各出願の内容全体は、ここで引用したことにより本願にも含まれるものとする。
【0006】
従来のワイヤレス通信ネットワーク、またはアドホック・ワイヤレス通信ネットワークのいずれにおいても、移動ノードが、相対的または絶対的な地理的場所または位置を把握または判断できることが必要または望ましい場合がある。当業者には周知であろうが、これは、多数の技術を用いることによって遂行することができる。これらの技術は、セルの識別を、往復時間(RTT)、タイミング進み(TA)および測定信号レベル(RXレベル)、到達時間差(TDOA)および到達角度(AOA)技法と組み合わせる必要がある。これらの詳細は、当業者であればよく理解できるはずである。他の利用可能な技術には、符号分割多元接続(CDMA)および広帯域符号分割多元接続(WCDMA)用のセルラ信号のタイミングに基づく方法を用いるものがある。更に別の技術には、全地球測位システム(GPS)技法を用いるものもある。これは、列記した他のあらゆる方法よりも精度が高いと一般に見なされている。
【0007】
GPS技法は相当な期間にわたって用いられており、世界のナビゲーションの殆どがこれを拠り所にしているという事実にも拘わらず、GPS技法は、ある特定の条件では大きな誤差を生じる可能性が非常に高い。これは、多数の衛星を伴って比較的多数の測定を行い、伝搬および方法誤差を除去した後でなければ、非常に高い精度で位置判定結果を得ることができない。GPSの欠点の説明は非特許文献1に明記されており、その内容全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。また、他のある検査でも、GPS技法は、地下トンネル、建築物内部、密集した樹木の下、都市の「谷間」(urban canyon)におけるような、高い精度を得るには見える衛星の数が少なすぎる環境で動作する地上系ネットワークには適していないことが実証されている。
【0008】
位置情報を判定する際に伴う前述の問題を克服するために、位置情報を判定する際に衛星の使用も集中計算設備も必要としない新たな技法が開発されている。アドホック・マルチ・ホッピング・ネットワークにおいて移動端末の位置を計算する新たな技法の更なる詳細は、「ワイヤレス通信ネットワークにおいて移動端末の位置を計算するシステムおよび方法」と題する特許文献5に記載されている。その内容全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。加えて、アドホック・ネットワークは、非固定的、即ち、可動基盤構造の構成要素を利用して開発することができる。可動アクセス・ポイントおよび中継器を用いてカバレッジおよび容量制約を最適化するネットワークの更なる詳細は、「ワイヤレス通信ネットワークにおいてカバレッジおよび容量の制約を最少に抑える可動アクセス・ポイントおよび中継器」と題し、2001年8月15日に出願された特許文献6に記載されている。その内容全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。
【0009】
これまでに論じた特許および特許出願は、総じて、位置情報が絶対位置として表される永続的固定ネットワークに接続する移動ネットワークに関するものである。しかしながら、先に引用した特許出願から認められるように、一時的なアドホック・マルチ・ホッピング・ネットワークが必ずしも同じ要件を有するとは限らない。したがって、緊急状態で作業する要員の居場所を突き止めることが欠くことができないような、相対的な位置検出が望まれる、携行可能で配備が容易な自己充足アドホック・マルチ・ホッピング・ネットワーク・システムが求められている。相対的な位置は、絶対的な地理的位置に加えて、またはその代わりに与えられるとよく、通例このような場所に存在する種々の送信障害物間で容易に伝達可能でなければならない。
【特許文献1】米国特許第5,943,322号明細書
【特許文献2】米国特許出願第09/897,790号明細書
【特許文献3】米国特許出願第09/815,157号明細書
【特許文献4】米国特許出願第09/815,164号明細書
【特許文献5】米国特許第6,728,545号明細書
【特許文献6】米国特許出願第09/929,303号明細書
【非特許文献1】「全地球測位システム(PGS)における数学的課題」、Institute For Mathematics and its Applications (IMA)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、配備したワイヤレス通信ネットワークにおいて移動ノードの絶対的および/または相対的位置を容易に判定し伝達するようにシステムおよび方法を改良する必要がある。
【0011】
本発明の目的は、ワイヤレス・デバイスのネットワーク、特に、移動端末、ワイヤレス・ルータ、および少なくとも1つのコントローラを含む、移動ワイヤレス・アドホック・ピア・ツー・ピア・ネットワークを、建築物のような三次元配備構造において、建築物の構造には関係なく、識別および測位計算を行うことができるように配備するシステムおよび方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、火事や救出場面のような現実の用途において、救出を必要とする消防士の居場所を突き止め、フロア番号を素早くしかも正確に特定する、かかるシステムを配備することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらおよびその他の目的は、複数の移動端末と、複数のワイヤレス・ルータと、少なくとも1つの制御コンソール端末とを有する、ワイヤレス・アドホック・ピア・ツー・ピア通信ネットワークを提供することによって、実質的に達成される。移動端末は、標準的機器の一部として消防士に支給される。ワイヤレス・ルータは、安全プログラムの一部として前もって(例えば、各フロアの「出口」標識に結び付けられ)、または緊急の際に建築物への到着時に即座に、対象の建築物の階段室およびエレベータ・シャフトにほぼ垂直に配備する。ここに記載する本発明の実施形態によるシステムおよび方法は、移動端末とワイヤレス・ルータとの間の飛行時間(TOF:Time Of Flight)および受信信号強度表示(RSSI)の双方を用い、消防士がいるフロアを特定し、消防士の移動を追跡する。全てのルータから受信したRSSIおよびTOF値は、フロア番号の評価に用いる前に、フィルタ処理される。RSSIおよびTOFデータは消防士までの正しい距離を示さないこともあり得るが、最も近いルータが最小のTOFおよび最良のRSSIを同時に与えるはずであることが分かっているので、フィルタ処理したデータを比較すれば、消防士がいる可能性が最も高いフロアを見つけ出すことができる。
【0014】
本発明のこれらおよびその他の目的、利点、ならびに新規な特徴は、以下の詳細な説明を、添付図面と関連付けて読解すれば、一層容易に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
先に注記したように、緊急状態において作業する要員の居場所を突き止めることは、多くの理由から非常に重要である。消防士のような要員を煙の中で見失い、彼らが作業していた現在または以前のフロア上で彼ら自身またはその他の者の実際の位置について混乱する事例があった。以下に説明するシステムおよび方法は、一実施形態として提示され、消防士の安全を確保するために構成されている。本発明の更に別の実施形態では、本システムおよび方法は、あらゆる数のその他の緊急時における活動または特殊部隊の配備を支援するように構成することができる。
【0016】
ここに記載する本発明の一実施形態による事件および要員管理システムは、延焼中の建築物のような事件区域内において緊急要員を追跡する手段を提供するように設計されている。要員の居場所は、建築物のフロアおよび/またはセクタ区域別に報告される。また、このシステムは、リアル・タイム要員位置情報および警報ステータス表示にもアクセスすることができる。システムが管理する補助要員データは、部隊番号、名前、任務、および無線周波数を含む属性を含む。
【0017】
この種のシステムは、MEATMワイヤレス技術の使用を採用することによって可能となる。この技術は、MeshNetworksTM WMC6300ワイヤレス・トランシーバのような、複数のワイヤレス・トランシーバと、ワイヤレス・アドホック・スケーラブル・ルーティング技術を採用する。この例におけるトランシーバは、MeshNetworksTM QDMAモデムのようなモデムを利用し、厳しい条件のRF環境においても、ロバストな無線データ送信を容易にする。このトランシーバは、MeshNetworksTMスケーラブル・ルーチング(MSR)プロトコルおよび地理的位置解決法と結び付けられ、一点の障害もない高密度スケーラブル・アドホック・マルチ・ホッピング・ネットワークをユーザが瞬時に配備することを可能にする。要約すると、本システムは、音声、映像、およびデータを搬送可能であり、更にネットワーク境界内に位置するある種の要素の相対的な位置を計算することができるアドホック・ワイヤレス・マルチ・ホッピング通信組織(fabric)を含む。このシステムのアドホック性は、本システムの配備を容易にする様々な属性の1つであり、全てのネットワーク・ノード間に完全な接続性(connectivity)を設けて、過酷な条件または常に変化する物理的条件に晒されても、重大な情報のインターネットへの適時配信を保証することができる。
【0018】
以下で更に詳しく説明するが、本システムは、とりわけ、MEATM事件指令コンソール(ICC)、複数のフロア指示ルータ(FIR)、および少なくとも1つのMeshTrackerTM(MT)デバイスを更に備えている。MEATM事件指令コンソールは、Windowsを基本とするPCを含み、タッチ・スクリーン・ディスプレイを組み込んでいるので、単純なユーザ・インターフェースを備えている。事件管理アプリケーションはこのPC上で実行され、MEATMワイヤレス・ネットワーク・カードを介してMEATMネットワーク組織に接続されている。指令コンソールは完全に自己充足型であり、即時防災隊(RIC)のリーダのような、事件現場を管理する要員が監視することを想定している。事件管理アプリケーションは、リアル・タイムで要員の居場所および特定情報のグラフィック表示を行うためにある。具体的には、事件指令コンソールが報告するデータは、事件区域内における全ての要員の居場所、部隊番号、無線周波数の割り当て、最も近いFIR(通例、進入/出口点)および各個人までの距離、分隊別に(キャプテン/分隊のリーダを通じて)または個人毎に要員を表すことができるか否か、各個人の警報ステータス、およびある個人とのネットワーク通信の途絶またはFIRとの通信の途絶を含む。
【0019】
フロア指示ルータ(FIR)は、小型の携帯用デバイスであり、先に論じたように、FCC/ULが公認したMEATMワイヤレス・トランシーバ・カードの使用を採用している。これらのデバイスは、事件区域周囲に静止基準点として配備される。これらのデバイスは、RICのような現場要員によって、彼らが事件現場に到着した後に配備されるのが通例である。FIRは、階段室内のエレベータ・シャフト(elevator shaft)の近くに、即ち、進入および出口点に、縦列形態で配備される。多数のFIR縦列を必要に応じて配備すれば、無線カバレッジ区域を広げシステムの信頼性を高めることができる。この例におけるFIRデバイスは、携帯用であり、重量が約340グラム(12オンス)未満で、バッテリの寿命は5時間である。このデバイスは、第2 ISM帯域(2.40〜2.38GHz範囲)で動作し、送信出力は+25dbmである。
【0020】
MeshTrackerTM(MT)デバイスは、FIRと形状係数が類似しているが、これは移動デバイス、即ち、現場の要員が位置追跡および報告(accountability)のために携行する移動端末として採用することを意図している点で異なる。MeshTrackerは、MEATM位置解明(location)技術を利用して、事件現場内における相対的な位置を計算する。これは、事件区域内に配備されているFIRデバイスとのワイヤレス相互作用によって遂行される。これについては、以下で詳しく説明する。MTは、配備したFIRSおよびその他のMTをアドホック・ワイヤレス通信組織として利用し、不可欠な情報を指令コンソールに中継する。
【0021】
先に論じたように、本システムにおけるバックボーンおよびデータ配信機構として機能する基本的な技術は、MEATMである。これは、MeshNetworkTMのアドホック・マルチホッピング・ネットワーキング解決策であり、単純な配備指針を用いて、さほどの依存性もなく、迅速に配備を行うことを可能にする。ネットワークは、2つの方法の一方を用いて配備される。即ち、ネットワーク基盤構造の構成要素(FIR)を、建築物管理および安全システムの一部として(例えば、各フロアの「出口」標識に結び付けられて)前もって配備するか、あるいは事件が発生したときに配備することもできる。ネットワークをいつ配備するかには関わらず、配備指針は同一である。これについて以下に論ずる。
【0022】
最初に、コマンド・ポストを確立する。これは、コマンド・ポストを配備し、事件を事件指令コンソール(ICC)を通じて管理する場所である。この場所は、事件区域内で少なくとも2つのFIRへのワイヤレス接続性を可能にしなければならない。指令コンソールとFIRネットワークとの接続性は、数十〜数百メートル(数百〜数千フィート)の範囲で達成することができる。
【0023】
FIRを縦列状に、進入および出口点(通例、階段吹き抜けおよび/またはエレベータ・シャフト付近またはその内側)の外側に配備する。FIRは、資産を追跡するフロアおよび区域およびその周辺に配置される。これらは、通例、出火フロア(fire floor)および集結地(staging area)である。各FIRは、論理的にフロアおよび列に繋がれている。FIR毎のフロアおよび列情報は、予め指令コンソールにロードしておくことができ、または事件指揮官によってGUIを通じてリアル・タイムに構成することもできる。システムは、1つのFIRを配備しただけでも位置情報を提供することができるが、多数のFIR列を配備すると、位置解明精度が高まり、監視区域が広がり、熱や落下する残骸のためにデバイスのいずれかが欠損した場合に必要な冗長性を確保する。単一のFIR列は、通例、95パーセントよりも多い事例において精度の高い位置解明を行いつつ、典型的な高層構造では、フロア当たり約18,580平方メートル(約200,000平方フィート)の適用範囲(coverage)、または半径約76メートル(250フィート)の適用範囲が得られる。適用範囲の面積および突き止める位置の解明精度は、区分方法および各フロアに用いられる材料によって大きく影響される。FIRのネットワークを配備した後、事件区域内でMeshTrackerTMの使用を採用する要員からの位置更新は、自動的に事件指令コンソールに報告される。
【0024】
図1は、前述にようにFIR106を配備した、階段室102およびエレベータ・シャフト104を有する建築物100を示す概念的ブロック図である。図1における凡例は、消防士108、位置基準FIR106、データ・リンク、および前述の事件指令コンソール(ICC)111を配置した事件指揮官(通信指令装置)110のシンボルを示す。位置基準を設ける他に、FIR106は、フロア全体およびフロア間のネットワーク接続性を確保する。事件指揮官が事件区域から余りに遠くに位置すると、1つのネットワークにおける全てのワイヤレス構成要素を接続するために、補足のワイヤレス・ルータ(この図には示されていない)を配備しなければならない。これらは二重の機能性を備えているので、FIRを「ワイヤレス・ルータ」(WR)と呼ぶことも多い。
【0025】
図2は、FIR106内における構成要素の一例を示すブロック図である。図示のように、各FIR106は、少なくとも1つのモデム112と、モデムの受信および送信動作、ならびにメモリに対するデータ格納および読み出しを制御するコントローラ114とを含む。この例におけるモデム112は、MeshNetworksTM WMC6300ワイヤレス・トランシーバを採用したMeshNetworkTM QDMAモデムである。FIR106は、例えば、先に引用した特許出願において記載されているように、アドホック・ワイヤレス通信ネットワークにおいてはワイヤレス・ノードとして動作する。各FIR106または選択FIR106は、熱センサ、COセンサなどのようなセンサを含み、FIR106が配備されている環境に関する情報を指令コンソールに提供することができる。したがって、FIR106のセンサが、例えば過剰な熱のために特に危険であることを示す区域を避けるように、または十分に注意するように消防士に助言することができる。
【0026】
図3は、各消防士108が、彼または彼女の移動端末116を用いて、移動端末116のブロードキャスト範囲内にいる他の消防士と通信することができるように、そして消防士の移動を追跡できるように、各消防士108に支給することができるMeshTrackerTM移動端末116の一例を示すブロック図である。移動端末116は、ハンズフリー動作を確保するマイクロフォンおよびイヤホンを備えたヘッドセットを含むことができる。方位を知らせるためにディジタル・コンパスも含むことができ、消防士の動きが止まった場合に動作センサが報告することができる。これらのデバイスは全て、典型的な操作者の所持品の一部である、バッテリに接続することができる。
【0027】
移動端末116のマイクロフォンおよびイヤホンは、小型のトランシーバに接続することができる。このトランシーバは3つの主要構成要素を有し、モデム118、コントローラ120、および音声プロセッサ122を含む。コントローラ・メモリ内にプログラム・コードおよび動作パラメータとして格納されているソフトウェアが、移動端末の全構成要素のアクティビティ(activity)を制御する。
【0028】
モデム118は、送信機および受信機を用いて、ネットワークの他の構成要素と無線通信を行う。送信機および受信機の動作を制御するには、しかるべきデータおよびコードを、1組のレジスタとして編成されているメモリに格納する。受信機および送信機は、メモリ・レジスタを用いて、モデムのステータスおよび実行した機能の結果に関するフィードバックを与える。コントローラ120は、メモリ・バスを通じてモデム118に接続されている。コントローラ120は、CPUと、モデム機能を制御するプログラムのデータおよびコードを格納するメモリとを含む。これは、メモリ・バスを通じてデータをモデム・レジスタに書き込み、モデム・レジスタから読み出してモデムのステータスを見出すことによって、モデム118のアクティビティを制御する。この例におけるモデム118は、MeshNetworksTM WMC6300ワイヤレス・トランシーバを採用したMeshNetworksTM QDMAモデムである。移動端末116は、例えば、先に引用した特許出願に記載されているように、アドホック・ワイヤレス通信ネットワークにおいて移動ワイヤレス・ノードとして動作する。
【0029】
加えて、移動端末116の音声プロセッサ122がコントローラ120に接続されており、少なくとも2つの独立した構成要素、即ち、エンコーダおよびデコーダを含む。エンコーダは、マイクロフォンが受信した音を一連の数値に変換し、デコーダは一連の数値を逆に音に変換し、スピーカまたはイヤホンに送り出す。図3に示す実施形態では、音声プロセッサ122は、更に、メモリ・バスを通じてのコントローラ・メモリへのアクセスも含む。加えて、ヘッドセット内にディジタル・コンパスを組み込むこともでき、これは、適正に位置付けられたときに操作者の頭部の方位を示すので、操作者の現在の位置(即ち、「2時において約6.1メートル(20フィート)」に対する角度を用いて方向を特定することが可能となる。動作センサ(図示せず)も、トランシーバと共に組み込むことができる。これは、消防士がある期間にわたって移動しない場合に、自動的に報告することができる。押しボタンも組み込めば、動作センサと同じ効果を得ることができる。消防士は、彼または彼女が救助を必要とする場合、ボタンを押下することができる。ボタンを押下する動作は、トランシーバのソフトウェアに伝達され、1組のデータ・メッセージを主制御部、例えば、ICC111に対して発生する。これらのメッセージを受信すると、主制御部は、どの消防士が救助を求めているか、彼/彼女の現在の位置はどこかを示し、事件指揮官に警告する。
【0030】
緊急場面における、前述のシステムの動作の一例についてこれより説明する。
即時介入部隊(RIC:Rapid Intervention Crew)を各消火作業に配属する。消防士が消火している間、RICチームは、誰かを救出しなければいけない事態に備えて待機している。呼び出したときに、いずれかの消防士またはグループが回答しない場合、または彼らが救助を求めた場合、RICは行動を開始し、救出活動に乗り出す。最初に、彼らは、救助すべき消防士が現在どこにいるのか確認し、次いで彼らの救出に取り掛かる必要がある。現在実施されている手順では、RICが最初に、彼らが探索を開始した場所から、当該消防士がいたことが分かっている最後の場所に向かう。高層建築物において火災が発生した場合、成功の重要な要素の1つは、探索を開始すべき正しいフロアを迅速に特定できることである。
【0031】
建築物の構造では周知であるが、最新の高層建築物では、フロアは鋼鉄で補強したコンクリート製であり、一方、その他の建築物のフロアは木材のような他の材料で作られている場合もある。無線波がコンクリートを通過するとき、無線エネルギの吸収が多くなるが、木製パネルを通過するときはさほど多くない。その結果、フロアがコンクリートの建築物では無線波は数フロアを通過できるに過ぎないのに対して、フロアが木製の建築物では多くのフロアの通過が可能である。
【0032】
先に端的に論じたように、図1は、RIC要員が階段室102(右)およびエレベータ104(左)に進んで行くのに伴って進行する救助活動を示す。状況に応じて、RICは階段やエレベータを用いて建築物の多くのフロアに到達することができる。図示のように、ワイヤレス・フロア指示ルータ(FIR)106が各フロアの階段室102内およびエレベータ・シャフト104の近くにある。信号はフロアおよび壁を通過するとエネルギを失うので、FIR106は、当該FIR106と同じフロアにはいない消防士とは通信できない可能性もある。
【0033】
RIC救助チームは、RICが最初に火災の現場に到着したときに、各フロアに1つルータを配備する。これによって、RICは、緊急事態が宣告された時点から僅か数秒の内に、個々の消防士がいるフロアの番号を見出すことが可能となる。全てのFIR106は、できるだけ垂直線に近く位置付けなければならない。これは、木製フロアの建築物では、階段室の同じ角にルータを配置することによって、金属またはコンクリート製フロアの建築物では階段レール上にルータを吊すことによって、実現することができる。高層建築物で1つ以上のエレベータ・シャフトを有する場合、エレベータが上昇するにつれて、これらから配備することができる。即ち、エレベータが各フロアにおいて停止したときに、FIR106をエレベータ・ドアに接近して配備すれば、全てのFIR106をできるだけ真っ直ぐな垂直線状に位置付ける確証を得ることができる。
【0034】
これより論ずるが、本発明の一実施形態にしたがって、飛行時間(TOF:Time of Flight)および受信信号強度表示(RSSI)データを用いて、フロア番号を見つける。
【0035】
建築物内部における無線信号の伝搬は、多数の反射による影響を受け、ワイヤレスFIR106と、MTを用いている消防士との間の正しい距離を判定することは殆ど不可能になる。また、建築物内部における無線信号の伝搬は、無線信号がフロアや壁を通過するときの高いエネルギ吸収によっても影響を受ける。吸収度は、障害物の厚さおよび組成によって異なる。鋼鉄で補強したコンクリート製の壁およびフロアは吸収度が高く、一方、木製または乾燥した壁が無線波のエネルギに及ぼす影響は小さい。媒体は均質ではないので、消防士とワイヤレス・ルータとの間の正確な距離を、RSSIに基づいて計算することは、殆ど不可能である。
【0036】
ここに記載する本発明の本実施形態によるシステムおよび方法は、消防士がいるフロアを特定するために、TOFおよびRSSI双方を用いる。全てのルータから受信したRSSIおよびTOFの値をフィルタ処理した後、フロア番号の評価のために用いる。RSSIおよびTOFデータは消防士までの正確な距離を示さない場合もあるが、フィルタ処理したデータを比較すれば、最も小さいTOFおよび最良のRSSIを目標の移動デバイスに同時に供給したFIRがあるフロアを見つけることができる。
【0037】
図4から図7に明記したフローチャートに示す動作により、各フロアにスコアを設定し、最良のスコアを得たフロアを選択する技法が得られる。同じ技法は、TOFおよびRSSIデータに応じたスコアを設定するためにも用いられる。即ち、この技法は、最初に、移動端末116と、移動端末116が受信することができる信号を発信するFIRとの間で行われた測定の回数でTOFを除算して最も小さな値(または、RSSIの最も小さい絶対値)を求める。重み付けしたTOFの最小値を与えるFIR106は、MT116が位置する可能性が最も高いフロアを表し、そのスコアを最大値に設定する。再度、残りのフロアから、測定回数で除算したTOFの最小値を探索することによって、次に可能性が高いフロアを求める。全てのフロアを探索し終え、各フロアにスコアを割り当て終えるまで、この方法を適用する。2つのフロア上で得られた探索値がほぼ等しい場合(例えば、値が互いに5%以内の差である場合)、2つのフロアのスコアを等しく設定する。RSSIおよびTOFに基づいて各フロアのスコアを計算した後、RSSIおよびTOFスコア双方を加算することにより、総合スコアを計算する。最も大きなスコアと一致するフロアを、消防士がいるフロアとして指定する。
【0038】
図4から図7に示すフロア特定アルゴリズムは、リアル・タイムで動作する。先に論じたように、各消防士は、彼または彼女の所持品の一部として、加入者デバイス(即ち、MT116)を有する。事件指揮官、例えば、上級消防監督または隊長は、前述のようなMEATM事件指令コンソール111のようなコンピュータを有し、例えば、図8から図19に示すように、各消防士の位置を連続的に表示する。
【0039】
尚、各MT116は、それが通信できる全てのワイヤレス・ルータ(即ち、FIR106)と距離メッセージを交換することを注記しておく。MT116が、FIR106のリストがそのブロードキャスト範囲内にあると判断した場合、MT116は情報(例えば、データ・パケット)を事件指揮官コンピュータ(ICC)111に送信する。この情報には、FIR106のリスト、それらの各々に対するTOF、伝搬範囲内において各FIR106から受信した信号のRSSIが含まれる。ICC111は、先に論じた指令コンソール110内に配置することができる。ICC111は、FIR106およびMT116からのデータを、アドホック・ネットワークのマルチ・ホッピング機能を通じて受信し、フロア番号の計算を行い、各消防士がいるフロア番号を表示する。GUI出力を用いるリアル・タイム処理には、3つの異なる構成要素、即ち、初期化、データ収集、およびGUI更新に伴う計算が必要となる。
【0040】
初期化動作は、ICC111を起動するときに実行する。初期化動作の一例を図4に示す。
初期化の一部として、ステップ1000において建築物100内にあるフロア数(nFloors)、および階段室の数(nStairs)を確定する。また、フロア番号の計算とは厳密には関係しない他の情報はここには示さない。ステップ1010、1020、1030および1040において、変数Count、TOF、RSSIおよびFIRIDの値を全て消去する(即ち、0に設定するが、FIRIDは空白に設定する。何故なら、これはテキスト変数であるからである)。初期化処理は、ステップ1050において終了する。
【0041】
MT116が利用可能なデータを有する場合、これらはデータ・パケットをICC111に転送する。したがって、図5に示すデータ収集タスクは、データを受信するときに活性化される。ICC GUIは、動作の進展についてICに知らせ続けるために、周期的に更新しなければならない。したがって、GUIの更新は、フロア番号の計算よりも前に行わなければならず、周期的なタイマによって活性化される。アプリケーションは、それ自体のデータ構造を維持する。このデータ構造は、4つの構成要素を有し、その各々がnFloorsと同じ数の行、およびnStairsと同じ数の列を有する。
【0042】
図4から図7に表す変数およびアレイについてここで簡単に説明する。
FIRID(FIR Identificationを表す)は、各FIR106の識別子を有するアレイである。各FIR識別は、FIRを配備したフロアの番号と関連付けられている。これが意味するのは、同じフロアに配備されたFIRは全て、フロア上の位置には関わらず、マトリクスの同じ行上にあるということである。MT116は無線エネルギ吸収のために同じフロア上にある全てのFIRと通信できない場合もあるので、FIRIDテーブルにおける位置の一部が使用されないままになることもある。消防士が建築物中を移動するに連れて、新たなFIR識別子がテーブルに追加されるが、古いFIRは除去されない。
【0043】
Countマトリクスは、SDがFIR毎に報告する距離メッセージの数のカウントを収容する。
RSSIおよびTOFテーブルは、FIRIDと同じ構造を有する。これらは、FIR毎に記録されたRSSIおよびTOFをフィルタ処理した値を収容する。
【0044】
図5のフローチャートは、データ収集関数を示す。関数名はNewDataであり、新たな1組のデータをMTから受信する毎に、ステップ1100において活性化され開始する。NewData関数は、4つのパラメータを有し、これらは、データを収集した元であるFIRの識別を表すFIR、FIRに対する最後のTOFを表すFIR_TOF、最後に受信したメッセージに対するRSSIの絶対値を表すFIR_RSSI、およびFIRを配備してあるフロアの番号を表すFLOORである。
【0045】
データ収集関数は、FIRIDテーブルのFLOOR行において、FIR識別の位置を見出す。これが新しい識別であるとステップ1110において判定した場合、ステップ1120において、新たなFIR識別を、テーブルの最初の空欄位置に追加する。FIRjは、ステップ1130において示すように、FLOOR行上でのFIR識別の列である。
【0046】
ステップ1140および1150に示すように、サイズがCountである可変サイズ・ウィンドウを用いて、最初にTOFおよびRSSI値をフィルタ処理する。MTとFIRとの間で交換したメッセージの数が既定値MAX_ITよりも大きくなったとき、フィルタは、1/(MAX_IT+1)の比率を有する無限入力フィルタに変化する。その効果は、ステップ1160および1170によって示すように、Countテーブルの値がMAX_ITよりも大きくなるのを制限することによって達成する。
【0047】
フローチャートのステップ1180は、アルゴリズムが収集した古すぎるデータを確実に「忘却」させる。このような「忘却」が必要なのは、消防士は1つのFIRから遠ざかるように移動して別のFIRに接近する可能性があるので、収集したTOFおよびRSSIの値を消防士の新たな位置に応じて変化させるためである。アルゴリズムは、FORGET係数の値に応じて、忘却を早めたりまたは遅くしたりする。FORGET係数の値は、常に0と1の間の数値である。これが0の場合、アルゴリズムは何も覚えていない。係数が1の場合、アルゴリズムは全てを覚えている。この用途では、最も慣例的な値は、FIRからデータを収集する頻度に応じて、0.99または0.999である。次いで、データ収集処理は、ステップ1190において終了する。
【0048】
図6におけるフローチャートは、消防士のフロア番号を計算する関数GetFloorNumberを示す。この関数は、ステップ1200において開始し、フロア数nFloorsと同じ要素を有する2つのローカル整数アレイを用いる。この関数は、ステップ1210においてRSSIscoreを計算し、ステップ1220においてTOFscoreを計算するために、2回GetScore関数を呼び出す。スコアを組み合わせることによって、それぞれ独立した判断基準よりも、確かなフロアを推定する精度を高めることができる。建築物内部の反射のために、TOFには30メートルもの長さの誤差が生ずることが測定された。フロア間の距離は3および6メートルの間であることを顧慮すると、30メートルの誤差は、5および10フロア間のフロア番号推定値の誤差を示唆する。RSSIは、MTがFIRから受信する信号の強度を示す。全てのFIRは同じ電力で送信しているが、各階の区分が異なるため、そしてフロアの吸収が壁の吸収とは非常に異なるために、各信号の経路長が異なる。更に、MTとこれが通信するFIRとの間にある壁の数は、各フロアの区分法によって異なり、したがって、FIR毎に異なる。この理由のため、フロア数を見つけるためには、RSSI情報そのものを用いることはできない。したがって、本アルゴリズムは、各フロアに対するスコアを計算し、双方の判断基準を用いて最も高い加算スコアを得たフロアを選択する。検査では、その結果が例外的に正確であることが示された。フローチャートのステップ1230は、フロア毎にRSSIscoreをTOFscoreと加算することによって計算した最大スコアに基づいて、フロア番号を求める。この処理は、ステップ1240において終了する。
【0049】
図7は、GetScore関数のフローチャートの一例を示す。この関数は、図6において先に論じたステップ1210および1220によって、RSSIおよびRSSIscoreをパラメータとして、次いでTOFおよびTOFscoreをパラメータとして呼び出される。この関数は、各判断基準にしたがって、各フロアのスコアを計算する。
【0050】
ステップ1300における開始後、この関数は起動して、ステップ1310において全てのScore値を0に設定し、次いでステップ1320においてデータ(RSSIまたはTOF)のコピーを作成し、一時的記憶部tempに格納する。ステップ1330において、lastValおよびLevelも初期化する。Level変数の値は重要ではないが、RSSIおよびTOF双方に対して同一でなければならない。
【0051】
この関数は、判断基準(RSSIまたはTOF)が最良の値を有するフロアを特定するループを有する。一旦ステップ1340においてフロアを見つけ出したなら、同じフロアからの他のデータを全て無視し、次のフロアを特定する。識別を必要とするフロアが残っているとステップ1350において判断される限り、この関数は継続する。しかしながら、そのようなフロアが残っていなければ、関数はステップ1360において終了する。
【0052】
前述のアルゴリズムの実行中、tempの内容をステップ1370において削除する。この理由のため、ステップ1320においてデータの内容をtempにコピーしたのである。
【0053】
2つのフロアの値に、5%よりも小さい値の差がある場合、これらは、ステップ1380、1390および1400において示すように、LEVEL変数に対して同じ値を維持することによって、同じScoreを受ける。値が異なる場合、各フロアに対するスコアは異なる。何故なら、ステップ1420においてフロアを見つけ出す毎にLevelの値を減らすからである。ステップ1410において、lastValは、minVal、即ち、判断基準の直前値最小値を示す。フロア毎に最小値を求めこれら最小値をソートした結果にしたがってスコアを設定すれば、同じ結果を得ることができる。
【0054】
前述のように、図8から図19は、先に論じたように決定した消防士の居場所に基づいてICCが生成した表示画面の例を示す。例えば、図8は、消防士が建築物に入る前における初期表示ウィンドウを示し、図9は、「凡例タブ」を拡大して初期表示ウィンドウを示し、異なる種類の要員および条件を表すことができるシンボルを表示ウィンドウ上に表示できることを示す。図10は、各フロアにFIRを配備した建築物の4つの階段の表示を示し、図11は、大部隊の指揮官が結集フロアに入ったことを示すシンボル(キャプテンの階級章)を示す。そのフロアは、建築物の1階、またはヨーロッパのフロア階数慣例を用いると「フロア0」である。図12は、梯子部隊が建築物のフロア2に入ったことを示し、図13は、フロア2におけるその梯子部隊の3人の要員の詳細を示す(即ち、一人のキャプテンおよび二人の消防士)。図14は、フロア2の拡大表示図を示す。図15は、フロア2の警報状態を示し、図16は、警報が承認されたことを示す。図17は、選択された要員(この例では、監督)の詳細、および監督から最も近いFIR106までの距離を示す。この例では、監督は、「A」で示すFIR106から約0.9メートル(2.9フィート)のところにいる。図18は、FIR(この場合、2Cで示すFIR)が信号を失い、これが損傷を受けたかまたは破壊されたことを意味する表示の一例を示す。図19は、多数のフロアの表示、および各フロアにおける要員の一例を示す。当然のことながら、本システムは、いずれの所望のフォーマットでも情報を表示するように修正することができる。
【0055】
前述した本発明の実施形態では、本システムおよび方法は、移動ネットワーク部材の正確な位置を与え、作業に従事するチームの構成員間での音声交換を可能にする。以上、本発明の実施形態例を少数だけ詳細に説明したが、本発明の新規な教示および利点から著しく逸脱することなく、実施形態例には多くの変更が可能であることは、当業者には容易に認められよう。したがって、このような変更は全て、本発明の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態によるシステムのワイヤレス・ルータを内部に配備した建築物の概念図。
【図2】図1に示したシステムに用いられているワイヤレス・ルータの構成要素の一例を示すブロック図。
【図3】図1に示した建築物において消防士が用いることができる移動端末の構成要素の一例を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施形態にしたがって、図1に示したシステムにおいて移動端末の位置を特定するために実行する初期化動作の一例を示すフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態にしたがって、図1に示したシステムにおいて、移動端末の位置を特定するために実行するデータ収集動作の一例を示すフローチャート。
【図6】本発明の一実施形態にしたがって、図1に示したシステムにおいて移動端末の位置を特定するために実行するフロア番号計算動作の一例を示すフローチャート。
【図7】本発明の一実施形態にしたがって、図1に示したシステムにおいて移動端末の位置を特定するために実行するフロア・スコアリング動作の一例を示すフローチャート。
【図8】図1ないし図7に例証した本発明の実施形態にしたがって判定した消防士の居場所に基づいて、事件指揮官コンソール(ICC)が生成する表示画面の例を示す。
【図9】図8と同様の図。
【図10】図8と同様の図。
【図11】図8と同様の図。
【図12】図8と同様の図。
【図13】図8と同様の図。
【図14】図8と同様の図。
【図15】図8と同様の図。
【図16】図8と同様の図。
【図17】図8と同様の図。
【図18】図8と同様の図。
【図19】図8と同様の図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元多層構造における移動を監視するシステムであって、
ワイヤレス・アドホック・マルチホッピングおよびピア・ツー・ピア通信ネットワークにおいて通信するように構成された、複数の移動ワイヤレス遠隔端末と、
三次元区域内に配備可能であり、前記ワイヤレス・アドホック・マルチホッピングおよびピア・ツー・ピア通信ネットワークにおいて通信するように構成されている複数のワイヤレス・ルータと、
を備えており、
前記移動ワイヤレス遠隔端末の各々は、そのブロードキャスト範囲において前記ルータのいずれとでも信号を交換するように構成され、前記信号に基づいて前記三次元構造におけるその位置を判定するように構成されている、システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、
前記各移動ワイヤレス遠隔端末は、前記ブロードキャスト範囲内にあるルータの前記いずれかから受信した信号に関する飛行時間(TOF)データと、受信信号強度表示(RSSI)データとを用いて、前記三次元構造におけるその位置を判定する、システム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムにおいて、
前記三次元構造は建築物であり、前記ルータは前記建築物のそれぞれのフロア上に配備されており、
前記各移動ワイヤレス遠隔端末は、前記信号に関するTOFデータおよびRSSIデータに基づいて各フロアにそれぞれのスコアを割り当て、該スコアに基づいてその位置をそれが存在するフロアとして判定する、システム。
【請求項4】
請求項3記載のシステムにおいて、
前記各移動端末は、それが存在するフロアを、最も低いスコアを有するフロアとして特定する、システム。
【請求項5】
請求項2記載のシステムにおいて、
前記各移動ワイヤレス遠隔端末は、前記TOFデータおよびRSSIデータに基づいてその位置を判定した時点に近いある時間内において、前記ルータから受信する信号に関する前記TOFデータおよびRSSIデータを用い、前記ある時間よりも前に受信した信号に関する前記TOFデータおよびRSSIデータを用いるのを控える、システム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムであって、更に、
前記移動端末のそれぞれについて判定した位置に関する情報を当該移動端末から受信し、前記三次元位置における前記移動端末の位置を示す表示を生成するように構成されている制御コンソールを備えている、システム。
【請求項7】
請求項6記載のシステムにおいて、
前記三次元位置は建築物であり、前記ルータは前記建築物のそれぞれのフロアに配備されており、
前記制御コンソールは、前記建築物のフロア上にある前記移動端末の位置を示す表示を生成するように構成されている、システム。
【請求項8】
請求項6記載のシステムにおいて、
前記各移動端末はそれぞれの動作センサを含み、前記各移動端末はそのそれぞれの動作センサから受信したデータを前記制御コンソールに送信し、
前記制御コンソールは、特定の移動端末と連動する動作センサから受信したデータが、当該移動端末がある時間期間移動していないことを示す場合、当該移動端末を特定する警報状態を生成するように構成されている、
システム。
【請求項9】
請求項6記載のシステムにおいて、
前記各移動端末は、音声およびビデオ・データの少なくとも1つを前記制御コンソールに送信するように構成されている、システム。
【請求項10】
三次元多層構造において移動を監視する方法であって、
前記三次元構造内に複数の移動ワイヤレス遠隔端末を配備するステップであって、前記移動ワイヤレス遠隔端末の各々は、ワイヤレス・アドホック・ピア・ツー・ピア通信ネットワークにおいて通信するように構成されていることと、
前記三次元構造内に複数のワイヤレス・ルータを配備するステップであって、前記ワイヤレス・ルータの各々は、前記ワイヤレス・アドホック・ピア・ツー・ピア通信ネットワークにおいて通信するように構成されていることと、
そのブロードキャスト範囲内において前記ルータのいずれとも信号を交換するように前記移動ワイヤレス遠隔端末の各々を制御し、これらの信号に基づいて、前記三次元構造におけるその位置を判定するステップと、
を備えている、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、
前記各移動ワイヤレス遠隔端末は、そのブロードキャスト範囲内にある前記ルータの前記いずれかから受信した信号に関する飛行時間(TOF)データおよび受信信号強度表示(RSSI)データを用いて、前記三次元構造におけるその位置を判定する、方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、
前記三次元構造は建築物であり、前記ルータを配備するステップは、前記建築物のそれぞれのフロア上に前記ルータを配備し、
前記制御するステップは、前記信号に関するTOFデータおよびRSSIデータに基づいて各フロアにそれぞれのスコアを割り当て、該スコアに基づいてその位置をそれが存在するフロアとして判定するように、前記各移動ワイヤレス遠隔端末を制御することを含む、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、
前記各移動端末は、それが存在するフロアを、最も低いスコアを有するフロアとして特定する、方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法において、
前記制御するステップは、前記TOFデータおよびRSSIデータに基づいてその位置を判定した時点に近いある時間内において、前記ルータから受信する信号に関する前記TOFデータおよびRSSIデータを用い、前記ある時間よりも前に受信した信号に関する前記TOFデータおよびRSSIデータを用いるのを控えるように前記各移動ワイヤレス遠隔端末を制御することを含む、方法。
【請求項15】
請求項10記載の方法であって、更に、
前記移動端末のそれぞれについて判定した位置に関する情報を当該移動端末から受信し、前記三次元位置における前記移動端末の位置を示す表示を生成するように構成されている制御コンソールを配備するステップを含む、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、
前記三次元位置は建築物であり、前記ルータは、前記建築物のそれぞれのフロアに配備されており、
前記制御コンソールは、前記建築物のフロア上にある前記移動端末の位置を示す表示を生成するように構成されている、方法。
【請求項17】
請求項15記載の方法において、
前記各移動端末はそれぞれの動作センサを含み、前記各移動端末は、そのそれぞれの動作センサから受信したデータを前記制御コンソールに送信し、
前記制御コンソールは、特定の移動端末と連動する動作センサから受信したデータが、当該移動端末がある時間期間移動していないことを示す場合、当該移動端末を特定する警報状態を生成するように構成されている、
方法。
【請求項18】
請求項15記載の方法において、
前記各移動端末は、音声およびビデオ・データの少なくとも1つを前記制御コンソールに送信するように構成されている、方法。
【請求項19】
請求項10記載の方法において、
前記ルータを配備するステップは、前記移動端末を前記三次元構造内に配備する前に、前記ルータを前記三次元構造内に配備する、方法。
【請求項20】
請求項10記載の方法において、
前記ルータを配備するステップは、前記移動端末を前記三次元構造内に配備している間に、前記三次元構造内に前ルータを配備する、方法。
【請求項1】
三次元多層構造における移動を監視するシステムであって、
ワイヤレス・アドホック・マルチホッピングおよびピア・ツー・ピア通信ネットワークにおいて通信するように構成された、複数の移動ワイヤレス遠隔端末と、
三次元区域内に配備可能であり、前記ワイヤレス・アドホック・マルチホッピングおよびピア・ツー・ピア通信ネットワークにおいて通信するように構成されている複数のワイヤレス・ルータと、
を備えており、
前記移動ワイヤレス遠隔端末の各々は、そのブロードキャスト範囲において前記ルータのいずれとでも信号を交換するように構成され、前記信号に基づいて前記三次元構造におけるその位置を判定するように構成されている、システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、
前記各移動ワイヤレス遠隔端末は、前記ブロードキャスト範囲内にあるルータの前記いずれかから受信した信号に関する飛行時間(TOF)データと、受信信号強度表示(RSSI)データとを用いて、前記三次元構造におけるその位置を判定する、システム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムにおいて、
前記三次元構造は建築物であり、前記ルータは前記建築物のそれぞれのフロア上に配備されており、
前記各移動ワイヤレス遠隔端末は、前記信号に関するTOFデータおよびRSSIデータに基づいて各フロアにそれぞれのスコアを割り当て、該スコアに基づいてその位置をそれが存在するフロアとして判定する、システム。
【請求項4】
請求項3記載のシステムにおいて、
前記各移動端末は、それが存在するフロアを、最も低いスコアを有するフロアとして特定する、システム。
【請求項5】
請求項2記載のシステムにおいて、
前記各移動ワイヤレス遠隔端末は、前記TOFデータおよびRSSIデータに基づいてその位置を判定した時点に近いある時間内において、前記ルータから受信する信号に関する前記TOFデータおよびRSSIデータを用い、前記ある時間よりも前に受信した信号に関する前記TOFデータおよびRSSIデータを用いるのを控える、システム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムであって、更に、
前記移動端末のそれぞれについて判定した位置に関する情報を当該移動端末から受信し、前記三次元位置における前記移動端末の位置を示す表示を生成するように構成されている制御コンソールを備えている、システム。
【請求項7】
請求項6記載のシステムにおいて、
前記三次元位置は建築物であり、前記ルータは前記建築物のそれぞれのフロアに配備されており、
前記制御コンソールは、前記建築物のフロア上にある前記移動端末の位置を示す表示を生成するように構成されている、システム。
【請求項8】
請求項6記載のシステムにおいて、
前記各移動端末はそれぞれの動作センサを含み、前記各移動端末はそのそれぞれの動作センサから受信したデータを前記制御コンソールに送信し、
前記制御コンソールは、特定の移動端末と連動する動作センサから受信したデータが、当該移動端末がある時間期間移動していないことを示す場合、当該移動端末を特定する警報状態を生成するように構成されている、
システム。
【請求項9】
請求項6記載のシステムにおいて、
前記各移動端末は、音声およびビデオ・データの少なくとも1つを前記制御コンソールに送信するように構成されている、システム。
【請求項10】
三次元多層構造において移動を監視する方法であって、
前記三次元構造内に複数の移動ワイヤレス遠隔端末を配備するステップであって、前記移動ワイヤレス遠隔端末の各々は、ワイヤレス・アドホック・ピア・ツー・ピア通信ネットワークにおいて通信するように構成されていることと、
前記三次元構造内に複数のワイヤレス・ルータを配備するステップであって、前記ワイヤレス・ルータの各々は、前記ワイヤレス・アドホック・ピア・ツー・ピア通信ネットワークにおいて通信するように構成されていることと、
そのブロードキャスト範囲内において前記ルータのいずれとも信号を交換するように前記移動ワイヤレス遠隔端末の各々を制御し、これらの信号に基づいて、前記三次元構造におけるその位置を判定するステップと、
を備えている、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、
前記各移動ワイヤレス遠隔端末は、そのブロードキャスト範囲内にある前記ルータの前記いずれかから受信した信号に関する飛行時間(TOF)データおよび受信信号強度表示(RSSI)データを用いて、前記三次元構造におけるその位置を判定する、方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、
前記三次元構造は建築物であり、前記ルータを配備するステップは、前記建築物のそれぞれのフロア上に前記ルータを配備し、
前記制御するステップは、前記信号に関するTOFデータおよびRSSIデータに基づいて各フロアにそれぞれのスコアを割り当て、該スコアに基づいてその位置をそれが存在するフロアとして判定するように、前記各移動ワイヤレス遠隔端末を制御することを含む、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、
前記各移動端末は、それが存在するフロアを、最も低いスコアを有するフロアとして特定する、方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法において、
前記制御するステップは、前記TOFデータおよびRSSIデータに基づいてその位置を判定した時点に近いある時間内において、前記ルータから受信する信号に関する前記TOFデータおよびRSSIデータを用い、前記ある時間よりも前に受信した信号に関する前記TOFデータおよびRSSIデータを用いるのを控えるように前記各移動ワイヤレス遠隔端末を制御することを含む、方法。
【請求項15】
請求項10記載の方法であって、更に、
前記移動端末のそれぞれについて判定した位置に関する情報を当該移動端末から受信し、前記三次元位置における前記移動端末の位置を示す表示を生成するように構成されている制御コンソールを配備するステップを含む、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、
前記三次元位置は建築物であり、前記ルータは、前記建築物のそれぞれのフロアに配備されており、
前記制御コンソールは、前記建築物のフロア上にある前記移動端末の位置を示す表示を生成するように構成されている、方法。
【請求項17】
請求項15記載の方法において、
前記各移動端末はそれぞれの動作センサを含み、前記各移動端末は、そのそれぞれの動作センサから受信したデータを前記制御コンソールに送信し、
前記制御コンソールは、特定の移動端末と連動する動作センサから受信したデータが、当該移動端末がある時間期間移動していないことを示す場合、当該移動端末を特定する警報状態を生成するように構成されている、
方法。
【請求項18】
請求項15記載の方法において、
前記各移動端末は、音声およびビデオ・データの少なくとも1つを前記制御コンソールに送信するように構成されている、方法。
【請求項19】
請求項10記載の方法において、
前記ルータを配備するステップは、前記移動端末を前記三次元構造内に配備する前に、前記ルータを前記三次元構造内に配備する、方法。
【請求項20】
請求項10記載の方法において、
前記ルータを配備するステップは、前記移動端末を前記三次元構造内に配備している間に、前記三次元構造内に前ルータを配備する、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2007−526445(P2007−526445A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515189(P2006−515189)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/017720
【国際公開番号】WO2004/111776
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(505448981)メッシュネットワークス インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】MESHNETWORKS,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/017720
【国際公開番号】WO2004/111776
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(505448981)メッシュネットワークス インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】MESHNETWORKS,INC.
【Fターム(参考)】
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