説明

受信制御装置

【課題】外部ノイズによる通信性能の低下を抑制することができる受信制御装置を提供する。
【解決手段】車載の電子制御装置は、受信回路から出力される受信信号強度が所定値に達しているか否かの判定結果に基づき当該受信回路から出力される復調信号の受信処理を行うか否かを判断し、当該受信処理を行う旨判断したときには復調信号の受信処理を行い当該復調信号に基づきドア錠の施解錠を制御する。この構成を前提として、電子制御装置は、復調信号の受信処理を開始した後にあっては受信回路から出力される受信信号強度の判定結果にかかわらず前記受信処理を継続して行うようにした。このため、外部ノイズの影響により、受信される信号の強度が所定値を下回った旨検出された場合であれ、受信処理が中止されることはない。したがって、外部ノイズによる通信性能の低下が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、無線信号の受信強度が所定値を超えたときに復調信号の受信を開始するようにした受信制御装置が知られている。また、例えば特許文献2に示されるように、消費電力の節約の観点から、無線信号の受信強度が所定値以下となったときに復調信号の受信を中止するようにした受信制御装置もある。このような受信制御装置は、例えば特許文献3に示されるような車両の電子キーシステムへの適用も想定される。この場合、受信制御制置は、ユーザに所持される携帯機との無線通信を通じてドアの施解錠を制御する。すなわち、受信強度が所定値を超えたときには無線信号の受信処理を開始し、その後受信信号強度の低下が検出されたときには前記受信処理を中止する。
【特許文献1】特開2004−289459号公報
【特許文献2】特開平10−32504号公報
【特許文献3】特開2004−343294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、前記従来の受信制御装置には、次のような問題があった。すなわち、近年では、無線ネットワークが急速に拡大しつつあり、これに伴って、いわゆる外部ノイズ(環境ノイズ)も増大する傾向にある。そして、外部ノイズが前述した受信制御装置の通信特性に及ぼす影響は無視できないものとなりつつある。このような現状にあって、受信制御装置は、無線信号の受信処理中において、検出される信号強度が外部ノイズの影響を受けて無線信号の受信が無い旨判定するおそれがある。すると、受信制御装置は、携帯機から送信された正規の無線信号を受信しているにもかかわらず、当該無線信号の受信処理を中止する。このように、外部ノイズによる受信制御装置の通信性能(受信性能)の低下のおそれがあった。特に、電子キーシステムの搭載車両に前述のような受信制御装置を適用した場合には、携帯機との間の無線通信に基づくドアの施解錠に対する応答性の低下が懸念されていた。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、外部ノイズによる通信性能の低下を抑制することができる受信制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、受信回路から出力される、受信信号強度が所定値に達しているか否かの判定結果に基づき当該受信回路から出力される復調信号の受信処理を行うか否かを判断し、当該受信処理を行う旨判断したときには前記復調信号の受信処理を行い当該受信した復調信号に基づき所定の制御対象を制御する受信制御装置において、前記復調信号の受信処理を開始した後にあっては前記受信信号強度の判定結果にかかわらず前記受信処理を継続して行うことをその要旨とする。
【0006】
本発明によれば、復調信号の受信処理が一旦開始されれば、その後受信される信号の受信信号強度にかかわらず復調信号の受信処理が継続して行われる。この受信処理の最中において、外部ノイズの影響により、受信信号強度が所定値を下回った旨示す判定結果が入力された場合であれ、復調信号の受信処理が中止されることはない。したがって、外部ノイズによる通信性能の低下が抑制される。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の受信制御装置において、前記復調信号は固有の識別情報を含み、前記復調信号の受信処理の最中に前記識別情報が正常であるか否かを判断し、正常である旨判断した場合には、前記受信信号強度の判定結果にかかわらず前記受信処理を継続して行い、正常ではない旨判断した場合には、前記受信処理を中止することをその要旨とする。
【0008】
本発明によれば、受信処理中の復調信号に含まれる識別情報が正常である旨判断された場合には、外部ノイズの影響は無いとして、受信信号強度にかかわらず復調信号の受信処理が継続して行われる。一方、受信処理中の復調信号に含まれる識別情報が正常ではない旨判断された場合には外部ノイズの影響を受けているとして当該受信処理が中止される。このため、例えば外部ノイズの影響を受けた正常ではない無線信号が継続して受信されることがなく、無駄な受信処理が抑制される。ひいては消費電力が節約される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の受信制御装置において、前記受信回路は、前記制御対象を遠隔制御するべくユーザに所持される携帯機から発信される無線信号を受信するものであることをその要旨とする。
【0010】
本発明によれば、外部ノイズによる通信性能の低下が抑制されることから、携帯機からの無線信号に基づく制御対象の制御が円滑に行われる。すなわち、携帯機との無線通信に基づく制御対象の制御に対する応答性が確保される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部ノイズによる通信性能の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を車両の電子キーシステムに具体化した一実施の形態を図1〜図4(a),(b)に基づいて説明する。
<電子キーシステムの概要>
まず、電子キーシステムの概要を説明する。図1に示すように、電子キーシステム11は、車両12に搭載される電子制御装置13、及びユーザにより所持される携帯機(電子キー)14を備えてなる。電子制御装置13には、車両12に固有の携帯機14との間で相互無線通信を行うための送信回路15及び受信回路16が接続されるとともに、当該電子制御装置13の制御対象としてのドア錠17が接続されている。送信回路15は送信アンテナ15aを、また受信回路16は受信アンテナ16aを備えて構成されている。送信アンテナ15aは例えば車両12のドアハンドルに、また受信アンテナ16aは車室内に設けられる。なお、受信回路16については、後に詳述する。
【0013】
さて、ユーザが車両12に乗り込むべく携帯機14を携帯して当該車両12に接近するに際して、電子制御装置13は、送信アンテナ15a及び受信アンテナ16aを通じて携帯機14との間で相互無線通信を行い、当該通信を通じて携帯機14の妥当性を判断する。すなわち、電子制御装置13は、携帯機14に応答を要求する室外照合用の応答要求信号Sreqを生成するとともに、当該信号を所定の制御周期で送信アンテナ15aを通じて車外に発信する。これにより、車両12のドアの周辺には、図示しない室外照合用の検知領域が形成される。
【0014】
そして、ユーザが携帯機14を所持して施錠状態の車両12に接近して前記室外照合用の検知領域内に入ると、携帯機14は前記応答要求信号Sreqを受信するとともに、所定の識別コード(識別情報)を含む室外照合用の応答信号Srepを返信する。この返信された応答信号Srepが車両12側の受信アンテナ16aを通じて電子制御装置13に受信されると、当該電子制御装置13は、当該受信した応答信号Srepに含まれる所定の識別コードの妥当性を判断し、妥当である旨判断したときには、ドア錠17を電子的に解錠又は解錠を許可する。なお、前記識別コードの妥当性は、当該識別コードと車両(正確には、電子制御装置13)に登録された識別コードとが一致するかどうかにより判断される。
【0015】
<受信回路>
次に、受信回路16の構成を図2に基づき詳細に説明する。図2に示すように、受信回路16は、フィルタ回路21、増幅回路22、復調回路23及び信号強度測定回路24を備えてなる。フィルタ回路21の入力側には、受信アンテナ16aが接続されている。また、フィルタ回路21の出力側には増幅回路22が接続されるとともに、当該増幅回路22には、復調回路23及び信号強度測定回路24がそれぞれ接続されている。これら復調回路23及び信号強度測定回路24は、電子制御装置13を構成するマイクロコンピュータ25に接続されている。なお、フィルタ回路21、増幅回路22、復調回路23及び信号強度測定回路24は、単一のICチップとして集積化されてなる。
【0016】
フィルタ回路21は、受信アンテナ16aを通じて受信した無線信号に含まれる雑音(隣接する周波数を有する不要信号である、いわゆる外部ノイズ)を除去するとともに、当該雑音を除去した後の信号を増幅回路22へ出力する。
【0017】
増幅回路22は、フィルタ回路21により雑音が除去された信号、すなわち受信アンテナ16aの出力電圧を復調可能なレベルに増幅し、当該増幅信号を復調回路23及び信号強度測定回路24へ出力する。
【0018】
復調回路23は、受信アンテナ16aを通じて受信した信号(正確には、増幅回路22により増幅された増幅信号)を復調し、当該復調信号Sdemをマイクロコンピュータ25へ出力する。
【0019】
信号強度測定回路24は、受信アンテナ16aを通じて受信される信号(正確には、増幅回路22により増幅された増幅信号)の強度を検出して、当該信号の強度に応じた検出信号Spowをマイクロコンピュータ25へ出力する。信号強度測定回路24は、図示しないRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路を備えてなる。そして、このRSSI回路は、受信した無線信号の信号強度(電界強度)を表すRSSI値を前記検出信号Spowとして出力する。すなわち、RSSI回路は、予め設定された信号強度判定閾値と増幅回路22からの増幅信号の信号強度(信号レベル)とを比較して当該増幅信号が判定閾値以上である旨判定したときには、前記RSSI値としてローレベルの検出信号Spowを出力する。また、RSSI回路は、増幅回路22からの増幅信号が判定閾値未満である旨判定したときには、前記RSSI値としてハイレベルの検出信号Spowを出力する。なお、前述の信号強度判定閾値は、復調回路23により復調可能な信号レベル以上の値に設定される。
【0020】
マイクロコンピュータ25は、EEPROM及びフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ並びに揮発性メモリからなる記憶部25aを備えてなる。当該記憶部25aには、施解錠制御プログラム及び通信制御プログラム等の各種の制御プログラム並びに携帯機14に固有の識別コードに対応する車両側の識別コード等の各種のデータが格納されている。
【0021】
マイクロコンピュータ25は、記憶部25aに格納されている通信制御プログラムに基づき、信号強度測定回路24からの検出信号Spowに基づき復調回路23からの復調信号の受信を行うか否かを判定する。すなわち、マイクロコンピュータ25は、信号強度測定回路24からハイレベルの検出信号Spowが入力されたときには、無線信号(キャリア)が無い旨判定して復調回路23からの復調信号Sdemの受信処理を行わない。また、マイクロコンピュータ25は、信号強度測定回路24からローレベルの検出信号Spowが入力されたときには、無線信号(キャリア)が有る旨判定して復調回路23からの復調信号Sdemの受信処理を行う。
【0022】
また、マイクロコンピュータ25は、記憶部25aに格納されている施解錠プログラムに基づき、復調回路23からの復調信号Sdemに含まれる携帯機14に固有の識別コードと記憶部25aに格納されている車両側の識別コードとを照合し、照合一致した場合にはドア錠17を解錠又は解錠を許可する。
【0023】
なお、本実施の形態において、ドア錠17は本発明の制御対象に、また電子制御装置13は本発明の受信制御装置に相当する。
<電子キーシステムの動作>
次に、前述のように構成した電子キーシステムの動作ついて説明する。
【0024】
前述したように、車両12のドアの周辺に形成された室外照合用の検知領域内に携帯機14を所持したユーザが進入した場合、当該携帯機14は応答要求信号Sreqに対する応答信号Srepを返信する。この応答信号Srepは、フィルタ回路21を通じて雑音が除去された後、増幅回路22により所定の増幅率で増幅されて復調回路23及び信号強度測定回路24へ送られる。
【0025】
マイクロコンピュータ25は、信号強度測定回路24からの検出信号Spowに基づき復調回路23からの復調信号Sdemの受信を行うか否かを判定する。すなわち、マイクロコンピュータ25は、図3(a),(b)のタイムチャートに示されるように、信号強度測定回路24からローレベルの検出信号Spowが入力されたときには、所定の信号レベルを有する無線信号(キャリア)が有る旨判定して復調回路23からの復調信号Sdemの受信処理を行う。
【0026】
ここで、復調信号Sdemの受信中において、外部ノイズの影響を受けて、無線信号の信号強度が不安定になることが想定される。例えば図3(a)のタイムチャートに示されるように、信号強度測定回路24からの検出信号Spowの信号レベルが一時的にローレベルからハイレベルになる。このとき、マイクロコンピュータ25は、受信処理中の復調信号Sdemに含まれる識別コードが正常であるか否かを判定する。この識別コードが正常であるか否かの判定は、当該識別コードのコード体系、具体的には当該識別コードのコード幅に基づき行われる。
【0027】
例えば図4(a)のタイムチャートに示されるように、正規の識別コードが「0101010」である場合、当該識別コードを構成する「1」及び「0」の各コード幅(符号長)は、予め決められたコード幅Waに設定されている。この正常なコード幅Waを有する複数のビットからなる正規の識別コードが外部ノイズの影響を受けて、図4(b)のタイムチャートに示されるように、「0」及び「1」の各コード幅が本来あり得ない異常なコード幅Wbを持って受信される場合がある。この場合にマイクロコンピュータ25は前記識別コードが正常ではない旨判定する。そして、マイクロコンピュータ25は、前記識別コードが正常ではない旨判定したときには、外部ノイズの影響があるとして、復調信号Sdemの受信処理を中止する。これにより、無駄な受信処理が回避され、ひいては当該無駄な受信処理に係る消費電力の節約が図られる。
【0028】
一方、マイクロコンピュータ25は、前記識別コードが妥当である旨判定したときには、信号強度測定回路24からの検出信号Spowの信号レベルにかかわらず、そのまま受信処理を継続する。そして、マイクロコンピュータ25は、復調回路23からの復調信号Sdem、正確には当該信号に含まれる車両側の識別コードの妥当性を判断し、妥当である旨判断したときには、ドア錠17の解錠又は解錠を許可する。一方、マイクロコンピュータ25は、復調信号Sdemが妥当でない旨判断したときには、ドア錠17の解錠又は解錠を許可することなく処理を終了する。
【0029】
このように、携帯機14からの応答信号Srep、正確にはその復調信号Sdemの正常な受信処理が一旦開始されれば、その後の受信信号強度にかかわらず復調信号Sdemの受信処理が継続される。このため、携帯機14から送信された正規の応答信号Srepを正常に受信しているにもかかわらず、当該受信処理が中止されることはない。したがって、図3(a)のタイムチャートに示されるように、信号強度測定回路24からの検出信号Spowの信号レベルが一時的にローレベルからハイレベルになった場合に直ちに復調信号Sdemの受信処理を中止するようにした場合と異なり、外部ノイズによる携帯機14と電子制御装置13との通信性能の低下が抑制される。
【0030】
<実施の形態の効果>
従って、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)電子制御装置13は、受信回路16から出力される受信信号強度が所定値に達しているか否かの判定結果に基づき当該受信回路16から出力される復調信号Sdemの受信処理を行うか否かを判断し、当該受信処理を行う旨判断したときには復調信号Sdemの受信処理を行い当該復調信号Sdemに基づきドア錠17の施解錠を制御する。こうした電子制御装置13を前提として、電子制御装置13は、前記復調信号Sdemの受信処理を正常に開始した後にあっては受信回路16から出力される受信信号強度の判定結果にかかわらず前記受信処理を継続して行うようにした。このため、復調信号Sdemの受信処理の最中において、外部ノイズの影響により、受信信号強度が所定値を下回った旨検出された場合であれ、当該受信処理が中止されることはない。したがって、外部ノイズによる通信性能(受信性能)の低下が抑制される。
【0031】
(2)復調信号Sdemは携帯機14に固有の識別情報を含む。そして、電子制御装置13は、復調信号Sdemの受信処理の最中に当該復調信号Sdemに含まれる識別情報が正常であるか否かを判断する。そして電子制御装置13は、復調信号Sdemに含まれる識別情報が正常である旨判断した場合には、受信回路16から出力される受信信号強度の判定結果にかかわらず復調信号Sdemの受信処理を継続して行い、正常ではない旨判断した場合には、外部ノイズの影響を受けているとして、復調信号Sdemの受信処理を中止するようにした。このため、無駄な受信処理が抑制される。ひいては消費電力が節約される。
【0032】
(3)受信回路16は、車両12のドア錠17を遠隔制御するべくユーザに所持される携帯機14から発信される無線信号(ここでは、応答信号Srep)を受信するものとした。電子制御装置13によれば、外部ノイズによる通信性能の低下が抑制されることから、携帯機14からの無線信号に基づくドア錠17の制御も円滑に行われる。すなわち、携帯機14からの無線信号に対するドア錠17の応答性が確保される。
【0033】
<他の実施の形態>
なお、本実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・1チップ化された送信回路15及び受信回路16は、電子制御装置13に組み込むことも可能である。
【0034】
・本実施の形態では、携帯機14との間の相互無線通信を通じて車両12のドア錠17の施解錠を制御するようにしたが、携帯機14から送信される解錠信号又は施錠信号に基づきドア錠17の解錠又は施錠を行うようにしてもよい。すなわち、携帯機14から車両12への単方向通信に基づきドア錠の施解錠を制御する電子キーシステムに適用する。
【0035】
・本実施の形態では、電子制御装置13は、携帯機14との無線通信に基づき車両12のドア錠17の施解錠を制御するようにしたが、例えば車両12の駆動源である図示しないエンジンの始動許可制御を行ったり、車両12の図示しない防犯装置の設定及び解除を行ったりするようにしてもよい。また、本実施の形態では、電子制御装置13は、車両12のドア錠17の施解錠を制御する車両用の電子キーシステムの構成要素としたが、住宅等の建物におけるドア錠の施解錠を制御したり、当該建物の防犯装置の設定及び解除を行ったりする建物用の電子キーシステムの構成要素としてもよい。このように、電子制御装置13は、受信回路16を通じて受信される無線信号に基づき何らかの制御対象の制御を行うシステム全般に適用することができる。
【0036】
・本実施の形態では、携帯機14との通信制御機能及びドア錠17に対する施解錠制御機能を単一の電子制御装置13に持たせるようにしたが、携帯機14との通信制御機能を有する第1の電子制御装置と、ドア錠17に対する施解錠制御機能を有する第2の電子制御装置との2つに分けて構成するようにしてもよい。この場合、第1及び第2の電子制御装置は電気的に相互に接続する。
【0037】
・本実施の形態では、電子制御装置13(正確には、マイクロコンピュータ25)は、復調信号Sdemの受信処理の最中にハイレベルの検出信号Spowが入力された場合には、復調信号Sdemに含まれる識別情報が正常か否かの判断結果に基づき外部ノイズの影響の有無を判断するようにしたが、次のようにすることも可能である。すなわち、図3(a)のタイムチャートに示されるように、復調信号Sdemの受信処理の最中において、信号強度測定回路24からハイレベルの検出信号Spowが入力された場合に、当該ハイレベルの検出信号Spowの入力が所定時間だけ継続したとき、電子制御装置13は外部ノイズの影響があるとして復調信号Sdemの受信処理を中止する。なお、所定時間は、復調信号に含まれる正規の識別情報の理論上の受信時間よりも短い時間に設定される。また、電子制御装置13にはハイレベルの検出信号Spowの検出時間を計測するべく図示しないタイマを設ける。このようにすれば、瞬間的に発生する外部ノイズについては無視しつつ、継続的に発生する外部ノイズに対しては好適に受信処理を中止することができる。
【0038】
・本実施の形態では、マイクロコンピュータ25は、復調信号Sdemの受信処理の最中に検出信号Spowの信号レベルがローレベルからハイレベルになったときに、受信処理中の復調信号Sdemに含まれる識別コードが正常であるか否かを判定するようにしたが、当該判定は、復調信号Sdemの受信処理の開始時から行うようにしてもよい。
【0039】
・本実施の形態では、電子制御装置13(正確には、マイクロコンピュータ25)は、復調信号Sdemの受信処理の最中にハイレベルの検出信号Spowが入力された場合に、当該復調信号Sdemの受信処理が正常に行われていない旨判断した場合には、当該受信処理を中止するようにしたが、次のようにすることも可能である。すなわち、復調信号Sdemの受信処理が一旦開始された後にあっては、信号強度測定回路24により測定される受信信号強度、換言すれば当該信号強度測定回路24から入力される検出信号Spowがローレベル及びハイレベルのいずれの場合であれ、一律に復調信号Sdemの受信処理を継続して行う。すなわち、この場合には前述した識別コードに基づく正常な受信状態か否かの判定は行われない。このようにしても、受信信号強度が所定値を下回った旨検出された場合であれ、受信処理が中止されることはないことから、外部ノイズによる通信性能の低下が抑制される。
【0040】
<他の技術的思想>
次に、前記実施の形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ユーザに所持される携帯機との無線通信を通じて特定の錠を施解錠する請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の受信制御装置を備えてなる電子キーシステム。この構成によれば、外部ノイズによる携帯機と受信制御装置との間の通信性能の低下が抑制される。
【0041】
・請求項2又は請求項3に記載の受信制御装置において、前記識別情報は、前記制御対象に対応する所定のコード体系を有してなり、前記復調信号の受信処理の最中にあっては前記コード体系に基づき当該識別情報が正常であるか否かの判断を行う受信制御装置。これによれば、識別情報のコード体系に基づき復調信号を正常に受信しているか否かを好適に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施の形態の電子キーシステムの概略的な構成を示すブロック図。
【図2】同じく受信回路及び電子制御装置の概略的な構成を示すブロック図。
【図3】(a)は、同じく信号強度測定回路からの検出信号を示すタイムチャート、(b)は、復調信号の受信状態を示すタイムチャート。
【図4】(a)は、正常時の識別コードを示す波形図、(b)は、異常時の識別コードを示す波形図。
【符号の説明】
【0043】
11…電子キーシステム、13…電子制御装置(受信制御装置)、14…携帯機、16…受信回路、17…ドア錠(制御対象)、Sdem…復調信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信回路から出力される、受信信号強度が所定値に達しているか否かの判定結果に基づき当該受信回路から出力される復調信号の受信処理を行うか否かを判断し、当該受信処理を行う旨判断したときには前記復調信号の受信処理を行い当該受信した復調信号に基づき所定の制御対象を制御する受信制御装置において、
前記復調信号の受信処理を開始した後にあっては前記受信信号強度の判定結果にかかわらず前記受信処理を継続して行う受信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受信制御装置において、
前記復調信号は固有の識別情報を含み、
前記復調信号の受信処理の最中に前記識別情報が正常であるか否かを判断し、正常である旨判断した場合には、前記受信信号強度の判定結果にかかわらず前記受信処理を継続して行い、正常ではない旨判断した場合には、前記受信処理を中止する受信制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の受信制御装置において、
前記受信回路は、前記制御対象を遠隔制御するべくユーザに所持される携帯機から発信される無線信号を受信するものである受信制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−19399(P2009−19399A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182185(P2007−182185)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】