説明

可変圧縮比式内燃機関の異常検出システム

【課題】本発明は、シリンダブロックとクランクケースとをシリンダ軸方向に相対変位させることにより圧縮比を変更する可変圧縮比式の内燃機関において、シリンダブロックとクランクケースとの隙間を密封するシール材の異常を検出することを課題とする。
【解決手段】本発明は、シリンダブロックとクランクケースとをシリンダ軸方向に相対変位させる可変圧縮比機構と、シリンダブロックとクランクケースとの隙間を密封するシール材と、を備えた可変圧縮比式内燃機関の異常検出システムにおいて、内燃機関の運転停止中にクランクケース内の圧力を変化させる圧力変更装置を設け、圧力変更装置の作動に伴う圧力変化速度に基づいてシール材の異常を検出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダブロックとクランクケースを相対変位させることにより圧縮比を変更可能な内燃機関の異常検出システムに関し、特にシリンダブロックとクランクケースとの隙間に配置されるシール材の異常を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の圧縮比を変更するシステムとしては、クランクケースの上部にシリンダブロックの下部をシリンダ軸方向へ変位自在に収容し、クランクケースに対するシリンダブロックの位置を変化させることにより、機械圧縮比(燃焼室容積と行程容積との総和に対する燃焼室容積の比)を変更するシステムが知られている。
【0003】
上記したシステムでは、圧縮比変更時のフリクションを低減するために、シリンダブロックの外壁面とクランクケースの内壁面との間にクリアランスを設け、該クリアランスに潤滑油を供給している。
【0004】
なお、上記したクリアランスは大気中に開口していると、潤滑油が外部に漏洩する可能性があるとともに、クランクケース内と大気中との間でガスが往き来する可能性がある。これに対し、前記クリアランスに変形自在なシール材を配置するとともに、該シール材に圧力をかける方法が提案されている(たとえば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−228671号公報
【特許文献2】特開2000−45746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したようなシール材に亀裂などが発生すると、亀裂部分から潤滑油が漏洩したり、クランクケース内のガス(たとえば、ブローバイガス)が亀裂部分から大気中へ漏洩する可能性がある。そのため、亀裂などに起因したシール性の低下を検出する必要がある。
【0007】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シリンダブロックとクランクケースとをシリンダ軸方向に相対変位させることにより圧縮比を変更する可変圧縮比式の内燃機関において、シリンダブロックとクランクケースとの隙間を密封するシール材の異常を検出可能な技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するために、シリンダブロックとクランクケースとをシリンダ軸方向に相対変位させる可変圧縮比機構と、シリンダブロックとクランクケースとの隙間を密封するシール材と、を備えた可変圧縮比式内燃機関の異常検出システムにおいて、内燃機関の運転停止中にクランクケース内の圧力を変化させた場合の圧力変化速度に基づいてシール材の異常を検出するようにした。
【0009】
詳細には、本発明の可変圧縮比式内燃機関の異常検出システムは、
シリンダブロックとクランクケースとをシリンダ軸方向に相対変位させることにより圧縮比を変更する可変圧縮比機構と、
シリンダブロックとクランクケースとの隙間を密封するシール材と、
内燃機関が運転停止状態にあるときに、クランクケース内の圧力を予め定められた目標圧力まで変化させる圧力変更装置と、
圧力変更装置の作動に伴うクランクケース内の圧力変化の速度と相関する物理量を検出する検出手段と、
検出手段により検出された物理量が正常な範囲から逸脱していることを条件に、シール材が異常であると判定する判定手段と、
を備えるようにした。
【0010】
ここでいうシール材の異常は、主として亀裂などの発生によりシール材のシール性が低下する異常をいうものとする。シール材のシール性が低下した場合は、クランクケースと外部(大気中)との間でガスが往き来するようになる。そのため、シール材が異常である場合と正常である場合とでは、圧力変更装置の作動に伴う圧力変化速度に差が表れる。
【0011】
たとえば、シール材が異常である場合は正常である場合に比べ、圧力変更装置の作動時における圧力変化速度が遅くなるとともに、圧力変更装置の作動後における圧力変化速度が速くなる。よって、圧力変更装置の作動に伴うクランクケース内の圧力変化速度が正常範囲より速い又は遅い場合は、シール材が異常であると判定することができる。
【0012】
ここで、圧力変更装置の作動時におけるクランクケース内の圧力変化速度と相関する物理量としては、クランクケース内の圧力が圧力変更装置の作動前の圧力(以下、「初期圧力」と称する)から目標圧力に到達するまでに要する時間、或いはクランクケース内の圧力が初期圧力から目標圧力に到達するまでに圧力変更装置が消費した駆動エネルギの量、などを用いることができる。
【0013】
また、圧力変更装置の作動後におけるクランクケース内の圧力変化速度と相関する物理量としては、クランクケース内の圧力が目標圧力から初期圧力と同等の圧力に戻るまでに要する時間を用いることができる。
【0014】
本発明の可変圧縮比式内燃機関の異常検出システムは、上記した判定手段によりシール材が異常であると判定された場合に、内燃機関の運転時におけるスロットル弁の開度を所定の範囲に制限する制限手段をさらに備えるようにしてもよい。ここでいう所定の範囲は、クランクケース内の圧力が負圧となる範囲であり、予め実験的に求めておくことができる。
【0015】
一般に、車輌用の内燃機関は、ブローバイガス還元装置を備えている。ブローバイガス還元装置は、スロットル弁上流の吸気通路からクランクケースへ新気を導くとともに、クランクケース内のガスをスロットル弁下流の吸気通路へ導くように構成される。そのため、スロットル弁の開度が絞られると、クランクケース内を負圧に保つことができる。クランクケース内が負圧に保たれると、クランクケース内のブローバイガスが大気中へ排出される事態を回避することができる。
【0016】
また、本発明の可変圧縮比式内燃機関の異常検出システムは、上記した判定手段によりシール材が異常であると判定された場合に、内燃機関の運転時における圧縮比が最低値に固定されるように可変圧縮比機構を制御する制御手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0017】
本発明の可変圧縮比機構は、シリンダブロックとクランクケースとをシリンダ軸方向に相対変位させることにより内燃機関の圧縮比を変更するように構成されている。そのため、圧縮比が低いときは高いときに比べ、燃焼室容積およびクランクケース内の容積が大きくなる。
【0018】
燃焼室容積が大きいときは小さいときに比べ、燃焼室内の圧力が低くなる。その結果、燃焼室からクランクケースへ吹き抜けるブローバイガスの量が減少する。また、クランクケース内の容積が大きいときは小さいときに比べ、クランクケース内の圧力が低くなる。その結果、クランクケース内から大気中へ排出されるブローバイガスの量が減少する。
【0019】
なお、本発明のシール材として蛇腹状に形成されたシール材が使用される場合は、圧縮比が高いときは低いときに比べ、シール材の屈曲率が大きくなる。シール材の屈曲率が高くなると、亀裂の開口面積が拡がる可能性がある。
【0020】
よって、シール材として蛇腹状に形成されたシール材が使用される場合に内燃機関の圧縮比が最低値に固定されると、亀裂の開口面積が拡大する事態を回避することができる。その結果、クランクケース内から大気中へ漏洩するブローバイガスの量を減少させることができる。
【0021】
本発明の可変圧縮比式内燃機関の異常検出システムは、シリンダブロックとクランクケースの何れか一方に取り付けられ、内燃機関の圧縮比が所定の圧縮比以上となるときにシリンダブロックとクランクケースの何れか他方と当接することによりシリンダブロックとクランクケースとの隙間を密封する補助シール材をさらに備えるようにしてもよい。
【0022】
上記したような補助シールを備えた構成においては、判定手段によりシール材が異常であると判定された場合に、制御手段は、内燃機関の運転時における圧縮比が前記所定圧縮比以上となるように可変圧縮比機構を制御してもよい。その場合、補助シール材がシリンダブロックとクランクケースとの隙間を密封するため、ブローバイガスが大気中へ漏洩する事態を回避することができる。
【0023】
なお、本発明の圧力変更装置としては、クランクケース内のガスを吸い出す電動ポンプ(バキュームポンプ)を用いることができる。電動ポンプによれば、内燃機関の運転停止中においてもクランクケース内のガスを吸い出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、シリンダブロックとクランクケースとをシリンダ軸方向に相対変位させることにより圧縮比を変更する可変圧縮比式の内燃機関において、シリンダブロックとクランクケースとの隙間を密封するシール材の異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施例において本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】シール材の構成を示す図である。
【図3】バキュームポンプの作動時におけるクランクケース内圧力の変化を示す図である。
【図4】第1の実施例における異常検出処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】圧縮比が高いときのシール材の亀裂の状態を示す図である。
【図6】圧縮比が低いときのシール材の亀裂の状態を示す図である。
【図7】バキュームポンプの作動後におけるクランクケース内圧力の変化を示す図である。
【図8】第2の実施例における異常検出処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】バキュームポンプの作動時における消費電力を示す図である。
【図10】第3の実施例における異常検出処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】シリンダブロックとクランクケースが重なり合う部分の構成を示す断面図である。
【図12】圧縮比が所定圧縮比以上となるときの補助シール材の状態を示す図である。
【図13】補助シール材の他の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、相対配置等は、特に記載がない限り発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
<実施例1>
先ず、本発明の第1の実施例について図1乃至図6に基づいて説明する。図1は、本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、シリンダブロック2とクランクケース3とがシリンダ軸方向へ相対変位することにより機械圧縮比(燃焼室容積)が変更される火花点火式の内燃機関(ガソリンエンジン)である。なお、内燃機関1は、圧縮着火式の内燃機関(ディーゼルエンジン)であってもよい。
【0028】
内燃機関1は、シリンダブロック2と、クランクケース3と、シリンダヘッド4を備えている。シリンダブロック2の下部(シリンダ軸方向の下死点側に位置する部分)は、クランクケース3の上部(シリンダ軸方向の上死点側に位置する部分)に包囲され、シリンダブロック2がクランクケース3に対してシリンダ軸方向へ摺動自在になっている。シリンダヘッド4は、シリンダブロック2の上部に固定されている。
【0029】
シリンダブロック2には、気筒(シリンダ)5が形成されている。気筒5内には、ピストン6がシリンダ軸方向に摺動自在に装填されている。クランクケース3には、クランクシャフト7が回転自在に支持されている。ピストン6とクランクシャフト7は、コネクティングロッド8を介して連結されている。
【0030】
シリンダヘッド4には、気筒5内に連通する吸気ポート9と排気ポート10が設けられている。気筒5内における吸気ポート9の開口端と排気ポート10の開口端は、吸気バルブ11と排気バルブ12によりそれぞれ開閉されるようになっている。吸気バルブ11と排気バルブ12は、シリンダヘッド4に回転自在に支持された吸気カム13と排気カム14によりそれぞれ駆動されるようになっている。
【0031】
また、シリンダヘッド4には、吸気ポート9内へ燃料を噴射する燃料噴射弁15と、気筒5内に火花を発生させる点火プラグ16とが取り付けられている。さらに、シリンダヘッド4には、吸気ポート9へ新気(空気)を導く吸気通路90が接続されている。吸気通路90の途中には、該吸気通路90の通路断面積を変更するスロットル弁90が設けられている。
【0032】
次に、シリンダブロック2とクランクケース3とが重複する部分には、クランクケース3に対してシリンダブロック2をシリンダ軸方向へ変位させるための可変圧縮比機構100が設けられている。可変圧縮比機構100としては、電動モータ等のアクチュエータが偏心カムを回転させることによりシリンダブロック2をシリンダ軸方向へ変位させる機構を用いることができる。
【0033】
可変圧縮比機構100によれば、シリンダ軸方向においてシリンダブロック2をクランクケース3から遠ざけることにより、燃焼室容積を大きくすることができる。その結果、機械圧縮比(行程容積と燃焼室容積との総和を燃焼室容積で除算した値)が低くなる。
【0034】
また、上記した可変圧縮比機構100によれば、シリンダ軸方向においてシリンダブロック2をクランクケース3に近づけることにより、燃焼室容積を小さくすることができる。その結果、内燃機関1の機械圧縮比が高くなる。
【0035】
なお、シリンダブロック2とクランクケース3とが重複する部分において、シリンダブロック2の外壁面とクランクケース3の内壁面との間には内燃機関1の全周にわたって隙間が設けられている。この隙間は、圧縮比の変更時におけるシリンダブロック2とクランクケース3との摺動抵抗を低減するための隙間であり、潤滑油が供給されるようになっている。
【0036】
さらに、シリンダブロック2とクランクケース3との間には、前記隙間に供給された潤滑油が外部へ漏洩したり、クランクケース3内のガスが前記隙間を介して大気中へ漏洩したりする事態を防止するために、環状のシール材200が設けられている。
【0037】
シール材200は、図2に示すように、断面が蛇腹形状をなす弾性体で構成され、シリンダ軸方向の上死点側に位置する開口端がシリンダブロック2に固定され、シリンダ軸方向の下死点側に位置する開口端がクランクケースに固定されている。
【0038】
このように構成されたシール材200は、シリンダブロック2とクランクケース3とが相対的に近づいたとき(圧縮比が高くなったとき)に収縮(屈曲)し、シリンダブロック2とクランクケース3とが相対的に遠ざかったとき(圧縮比が低くなったとき)に伸長する。その結果、シリンダブロック2とクランクケース3との相対位置に関わらず、クランクケース3内の気密性を保つことが可能となる。
【0039】
ここで図1に戻り、内燃機関1には、燃料噴射弁15、点火プラグ16、スロットル弁90、可変圧縮比機構100などの各種機器を電気的に制御するための電子制御ユニット(ECU)17が併設されている。ECU17は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどから構成されるユニットである。
【0040】
ECU17には、クランクポジションセンサ18や、アクセルポジションセンサ19などの各種センサの電気信号が入力されるようになっている。クランクポジションセンサ18は、クランクシャフト7近傍に配置され、クランクシャフト7の回転位置に相関するパルス信号を出力するセンサである。アクセルポジションセンサ19は、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)に相関する信号を出力するセンサである。
【0041】
ECU17は、上記した各種センサの電気信号に従って内燃機関1の運転状態(機関運転状態)を判別し、その判別結果に従って上記した各種機器を制御する。たとえば、ECU17は、クランクポジションセンサ18やアクセルポジションセンサ19の出力信号から判別される機関回転数および機関負荷に基づいて、可変圧縮比機構100を制御する。
【0042】
その際、機関回転数および機関負荷が予め定められた低負荷・低回転運転領域にあるときは、ECU17は、内燃機関1の圧縮比が高くなるように可変圧縮比機構100を制御する。詳細には、ECU17は、シリンダブロック2がクランクケース3に近づく(シリンダ軸方向の下死点側へ変位する)ように可変圧縮比機構100を制御する。
【0043】
また、機関回転数および機関負荷が上記した低負荷・低回転運転領域から逸脱したときは、ECU17は、シリンダブロック2がクランクシャフト7から遠ざかる(シリンダ軸方向の上死点側へ変位する)ように可変圧縮比機構100を制御することにより、内燃機関1の圧縮比を低下させる。
【0044】
なお、内燃機関1の圧縮比は、上記したように2段階に切り換えられてもよいが、機関回転数および機関負荷に応じて無段階に切り換えられてもよい。
【0045】
このように内燃機関1の圧縮比が変更されると、低負荷・低回転運転領域における燃焼効率の向上と、高負荷・高回転運転領域におけるノッキングの抑制と、を両立することができる。
【0046】
ところで、前記したシール材200に亀裂などが発生すると、シール材200のシール性が低下する。その結果、前記した隙間に供給された潤滑油が外部に漏洩したり、クランクケース3内のブローバイガスが大気中に排出されたりする事態が発生する。
【0047】
そこで、本実施例の内燃機関1は、クランクケース3内の圧力変化速度に基づいて、シール材200の異常を検出するようにした。以下、シール材200の異常を検出するための構成について説明する。
【0048】
図1において、内燃機関1には、電動式のバキュームポンプ300が併設されている。バキュームポンプ300の吸込口は、通路301を介してクランクケース3内に連通している。また、クランクケース3には、該クランクケース3内の圧力を検出する圧力センサ302が取り付けられている。なお、バキュームポンプ300は、本発明に係わる圧力変更装置の一実施態様である。
【0049】
ECU17は、内燃機関1の運転停止中(たとえば、内燃機関1の始動前や運転停止後)に、前記バキュームポンプ300を作動させ、その際のクランクケース内圧力の変化速度に基づいてシール材200の異常を検出する。
【0050】
詳細には、ECU17は、バキュームポンプ300の作動開始時点からクランクケース内圧力Pが目標値Ptrgと等しくなる時点までに要する時間(以下、「圧力低下時間」と称する)を測定する。なお、目標値Ptrgは、バキュームポンプ300の作動開始時のクランクケース内圧力(以下、「初期値」と称する)Pdftから一定量ΔPを減算した値である。
【0051】
シール材200に亀裂などの異常が発生している場合にバキュームポンプ300が作動させられると、大気中のガスがクランクケース3内へ吸い込まれることになるため、クランクケース3内の圧力低下速度が正常時より遅くなる。
【0052】
図3は、バキュームポンプ300の作動時におけるクランクケース3内の圧力変化を示す図である。図3中の実線はシール材200に異常が発生している場合の圧力変化を示し、図3中の一点鎖線はシール材200が正常である場合の圧力変化を示している。
【0053】
図3において、バキュームポンプ300の作動開始時(図3中のtd0)からクランクケース内圧力Pが目標値Ptrgと等しくなるまでに要する時間(圧力低下時間)は、シール材200が正常である場合(図3中のtd0からtdnmlまでの所要時間Ldnml)に比べ、シール材200が異常である場合(図3中のtd0からtd1までの所要時間Ld)の方が長くなる。
【0054】
よって、ECU17は、圧力低下時間の測定値(以下、「実圧力低下時間」と称する)Ldが正常時の圧力低下時間(以下、「基準圧力低下時間」と称する)Ldnmlより長い場合には、シール材200が異常であると判定することができる。なお、圧力低下時間は温度条件などによってばらつく可能性がある。そこで、ECU17は、基準圧力低下時
間LdnmlにマージンΔldを付加した範囲(=Ldnml±Δld)から実圧力低下時間Ldが逸脱していることを条件に、シール材200に異常が発生していると判定するようにした。
【0055】
以下、シール材200の異常を検出する手順について図4に沿って説明する。図4は、異常検出処理ルーチンを示すフローチャートである。図4の異常検出処理ルーチンは、予めECU17のROMなどに記憶されており、ECU17によって周期的に実行される。
【0056】
図4の異常検出処理ルーチンでは、ECU17は、先ずS101において内燃機関1が運転停止状態にあるか否かを判別する。S101において否定判定された場合は、ECU17は、本ルーチンの実行を終了する。一方、S101において肯定判定された場合は、ECU17は、S102へ進む。
【0057】
S102では、ECU17は、圧力センサ302の検出信号(初期値)Pdftを読み込む。続いて、ECU17は、S103へ進み、前記初期値Pdftから一定量ΔPを減算して目標値Ptrg(=Pdft−ΔP)を設定する。
【0058】
S104では、ECU17は、バキュームポンプ300の作動を開始する。続いて、ECU17は、S105においてカウンタを起動させる。カウンタは、バキュームポンプ300の作動開始時点からの経過時間Ldを計測するカウンタである。
【0059】
S106では、ECU17は、圧力センサ302の検出信号(クランクケース内圧力)Pを読み込む。S107では、ECU17は、前記S106で読み込まれたクランクケース内圧力Pが前記S103で設定された目標値Ptrgまで低下したか否かを判別する。S107において否定判定された場合は、ECU17は、S106へ戻る。一方、S107において肯定判定された場合は、ECU17は、S108へ進む。
【0060】
S108では、ECU17は、クランクケース内圧力が目標値Ptrgと等しくなった時点におけるカウンタの計測時間(実圧力低下時間)Ldを読み込む。ECU17がS105からS106の処理を実行することにより、本発明に係わる検出手段が実現される。
【0061】
S109では、ECU17は、前記S108で読み込まれた実圧力低下時間Ldが正常な範囲((Ldnml−Δld)≦Ld≦(Ldnml+Δld))にあるか否かを判別する。S109において肯定判定された場合は、ECU17は、S110へ進み、シール材200が正常であると判定する。一方、S109において否定判定された場合は、ECU17は、S111へ進み、シール材200が異常であると判定する。ECU17がS109からS111の処理を実行することにより、本発明に係わる判定手段が実現される。
【0062】
前記S111においてシール材200が異常であると判定された場合に、ECU17は、S112においてフェイルセーフ処理を実行する。フェイルセーフ処理では、ECU17は、内燃機関1の運転時における圧縮比が最低値に固定されるように可変圧縮比機構100を制御する。
【0063】
内燃機関1の圧縮比が低い場合は高い場合に比べ、燃焼室内の圧力(燃料が燃焼したときの筒内圧)が低くなるとともにクランクケース内圧力が低くなる。燃焼室内の圧力が低くなると、燃焼室からクランクケース3内へ吹き抜けるブローバイガスの量が減少する。また、クランクケース内圧力が低くなると、クランクケース3内のガスがシール材200から大気中へ漏洩し難くなる。
【0064】
なお、ECU17は、上記したフェイルセーフ処理において、スロットル弁90の開度
(スロットル開度)を所定開度以下に制限するようにしてもよい。その場合、気筒5内に供給されるガス量が少なくなるため、燃焼室からクランクケース3内へ吹き抜けるブローバイガスの量を一層低減させることが可能になる。
【0065】
また、内燃機関1がブローバイガス還元装置を備えている場合には、クランクケース3内の圧力が負圧となる範囲内にスロットル開度を制限することも可能である。その際、ECU17は、圧力センサ302の検出値が負圧となるようにスロットル弁90の開度をフィードバック制御してもよい。
【0066】
ところで、本実施例のシール材200は蛇腹状に形成されるため、内燃機関1の圧縮比が高いときは低いときよりシール材200の屈曲率(歪み)が大きくなる。よって、シール材200に亀裂が発生している場合に圧縮比が高くされると、図5に示すように亀裂の開口面積が拡がる可能性がある。これに対し、圧縮比が低くされると、図6に示すように亀裂の開口面積が縮まる可能性がある。その結果、シール材200から漏洩するブローバイガスの量を低減することができる。
【0067】
ECU17が上記したようなフェイルセーフ処理を実行することにより、ブローバイガスの排出量を最小限に抑えつつ、内燃機関1を退避走行運転させることができる。なお、ECU17がS112の処理を実行することにより、本発明に係わる制御手段が実現される。
【0068】
以上述べた実施例によれば、亀裂などの発生によるシール材200のシール性低下を検出することができる。さらに、シール材200のシール性が低下した場合に、クランクケース3内から大気中へ漏洩するブローバイガスの量を最小限に抑えつつ、内燃機関1を退避走行運転させることができる。
【0069】
なお、本実施例では、本発明の圧力変更装置としてバキュームポンプ300を用いる例を述べたが、クランクケース3内を加圧する加圧ポンプを用いることもできる。ただし、シール材200に異常が発生しているときにクランクケース3内が加圧されると、クランクケース3内のガスが大気中へ漏洩する可能性がある。これに対し、バキュームポンプ300を用いた場合は、クランクケース3内のガスを大気中へ漏洩させることなく、異常検出処理を実施することができる。
【0070】
<実施例2>
次に、本発明の第2の実施例について図7、図8に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0071】
前述した第1の実施例ではバキュームポンプ300の作動時におけるクランクケース内圧力の変化速度に基づいてシール材200の異常を検出する例について述べたが、本実施例ではバキュームポンプ300の作動後におけるクランクケース内圧力の変化速度に基づいてシール材200の異常を検出する例について述べる。
【0072】
図7は、バキュームポンプ300の作動後におけるクランクケース3内の圧力変化を示す図である。図7中の実線はシール材200に異常が発生している場合の圧力変化を示し、図7中の一点鎖線はシール材200が正常である場合の圧力変化を示している。なお、バキュームポンプ300は、クランクケース内圧力Pが目標値Ptrgに達した時点で停止されるものとする。
【0073】
図7において、バキュームポンプ300の作動停止時(図7中のtu0)からクランクケース内圧力Pが初期値Pdftと等しくなるまでに要する時間(以下、「圧力上昇時間
」と称する)は、シール材200が正常である場合(図7中のtu0からtunmlまでの所要時間Lunml)に比べ、シール材200が異常である場合(図7中のtu0からtu1までの所要時間Lu)の方が短くなる。
【0074】
よって、ECU17は、圧力上昇時間の測定値(以下、「実圧力上昇時間」と称する)Luが正常時の圧力上昇時間(以下、「基準圧力上昇時間」と称する)Lunmlより短い場合には、シール材200が異常であると判定することができる。なお、圧力上昇時間は、前述した圧力低下時間と同様に、温度条件などによってばらつく可能性がある。そこで、ECU17は、基準圧力上昇時間LunmlにマージンΔluを付加した範囲(=Lunml±Δlu)から実圧力上昇時間Luが逸脱していることを条件に、シール材200に異常が発生していると判定するようにした。
【0075】
以下、本実施例における異常検出処理の実行手順について図8に沿って説明する。図8は、本実施例における異常検出処理ルーチンを示すフローチャートである。図8において、前述した第1の実施例の異常検出処理ルーチン(図4を参照)と同等の処理には、同一の符号が付されている。
【0076】
図8の異常検出処理ルーチンにおいて、ECU17は、S104の処理を実行した後にS106およびS107の処理を実行する。そして、S107において肯定判定された場合に、ECU17は、S201からS206の処理を順次実行する。
【0077】
S201では、ECU17は、バキュームポンプ300の作動を停止させる。続いて、ECU17は、S202においてカウンタを起動させる。ここでいうカウンタは、バキュームポンプ300の作動停止時点からの経過時間Luを計測するカウンタである。
【0078】
S203では、ECU17は、圧力センサ302の検出信号(クランクケース内圧力)Pを読み込む。S204では、ECU17は、前記S203で読み込まれたクランクケース内圧力Pが前記S102で読み込まれた初期値Pdftと等しいか否かを判別する。
【0079】
前記S204において否定判定された場合は、ECU17はS203へ戻る。一方、前記S204において肯定判定された場合は、ECU17は、S205へ進み、カウンタの計測時間(実圧力上昇時間)Luを読み込む。
【0080】
S206では、ECU17は、前記S205で読み込まれた実圧力上昇時間Luが正常な範囲((Lunml−Δlu)≦Lu≦(Lunml+Δlu))にあるか否かを判別する。S206において肯定判定された場合は、ECU17は、S110へ進む。一方、S206において否定判定された場合は、ECU17は、S111へ進む。
【0081】
以上述べた実施例によれば、前述した第1の実施例と同様に、亀裂などの発生によるシール材200のシール性低下を検出することができる。
【0082】
<実施例3>
次に、本発明の第3の実施例について図9、図10に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0083】
前述した第1の実施例ではバキュームポンプ300の作動時におけるクランクケース内圧力の変化速度に基づいてシール材200の異常を検出する例について述べたが、本実施例ではバキュームポンプ300の作動後におけるバキュームポンプ300の消費電力量に基づいてシール材200の異常を検出する例について述べる。
【0084】
図9は、バキュームポンプ300の作動時におけるバキュームポンプ300の消費電力量を示す図である。図9中の実線はシール材200に異常が発生している場合の消費電力を示し、図9中の一点鎖線はシール材200が正常である場合の消費電力を示している。
【0085】
図9において、バキュームポンプ300の作動開始からクランクケース内圧力Pが目標値Ptrgと等しくなるまでに要する消費電力Caは、シール材200が正常である場合(図9中のCanml)に比べ、シール材200が異常である場合(図9中のCa)の方が多くなる。これは、前述した第1の実施例で述べたように、シール材200が異常である場合はシール材200が異常である場合に比べ、圧力低下時間が長くなるからである。
【0086】
よって、ECU17は、消費電力(以下、「実消費電力」と称する)Caが正常時の消費電力(以下、「基準消費電力」と称する)Canmlより多い場合は、シール材200が異常であると判定することができる。なお、消費電力は、前述した圧力低下時間や圧力上昇時間と同様に、温度条件などによってばらつく可能性がある。そこで、ECU17は、基準消費電力CanmlにマージンΔcaを付加した範囲(=Canml±Δca)から実消費電力Caが逸脱していることを条件に、シール材200に異常が発生していると判定するようにした。
【0087】
以下、本実施例における異常検出処理の実行手順について図10に沿って説明する。図10は、本実施例における異常検出処理ルーチンを示すフローチャートである。図10において、前述した第1の実施例の異常検出処理ルーチン(図4を参照)と同等の処理には、同一の符号が付されている。
【0088】
図10の異常検出処理ルーチンにおいて、ECU17は、S104の処理を実行した後
にS105の変わりにS301の処理を実行する。S301では、ECU17は、電力カウンタを起動させる。電力カウンタは、バキュームポンプ300の作動開始時点からの消費電力量を計測するカウンタである。ECU17は、S301の処理を実行した後に、S106,S107を順次実行する。
【0089】
ECU17は、S107の処理を実行した後に、S108,S109の代わりに、S302,S303の処理を実行する。先ずS302では、ECU17は、電力カウンタの計測値(実消費電力)Caを読み込む。
【0090】
S303では、ECU17は、前記S302で読み込まれた実消費電力Caが正常な範囲((Canml−Δca)≦Ca≦(Canml+Δca))にあるか否かを判別する。S303において肯定判定された場合は、ECU17は、S110へ進む。一方、S303において否定判定された場合は、ECU17は、S111へ進む。
【0091】
以上述べた実施例によれば、前述した第1の実施例と同様に、亀裂などの発生によるシール材200のシール性低下を検出することができる。
【0092】
<実施例4>
次に、本実施例の第4の実施例について図11に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0093】
前述した第1の実施例ではフェイルセーフ処理において圧縮比を最低値に固定する例について述べたが、本実施例ではフェイルセーフ処理において圧縮比を所定の圧縮比以上に固定する例について述べる。
【0094】
図11は、シリンダブロック2とクランクケース3とが重なり合う部分の断面図である。なお、図11において前述した第1の実施例と同様の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0095】
シリンダブロック2の外壁面において、シール材200の上部開口端より下方かつクランクケース3の上端より上方に位置する部分には、クランクケース3の内壁面へ向かって突出した突起部2aが設けられている。一方、クランクケース3の内壁面において、シール材200の下部開口端より下方の部分には、シリンダブロック2の外壁面へ向かって突出した突起部3aが設けられている。
【0096】
前記突起部3aの上面において、前記突起部2aの下面と対向する部位には、補助シール材3bが設けられている。補助シール材3bは、収縮自在な部材(たとえば、ゴムなどの弾性部材)で形成されている。なお、補助シール材3bの寸法は、内燃機関1の圧縮比が所定の圧縮比以上となったときに、図12に示すように、該補助シール材3bの上部が前記突起部2aの下面と密接するように定められている。
【0097】
このような構成によれば、シール材200の異常が検出された後のフェイルセーフ処理において、ECU17は、圧縮比を上記した所定圧縮比以上に固定する。その場合、補助シール材3bが突起部2aの下面と密着するため、シリンダブロック2の外壁面とクランクケース3の内壁面との隙間が補助シール材3bによって密封される。その結果、シール材200のシール性が低下していても、クランクケース3内のブローバイガスが大気中に排出される事態が回避される。
【0098】
なお、本実施例では、補助シール材3bが突起部3aの上面に取り付けられる例について述べたが、図13に示すように突起部2aの下面に取り付けられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 内燃機関
2 シリンダブロック
2a 突起部
3 クランクケース
3a 突起部
3b 補助シール材
4 シリンダヘッド
5 気筒
6 ピストン
7 クランクシャフト
8 コネクティングロッド
9 吸気ポート
10 排気ポート
11 吸気バルブ
12 排気バルブ
13 吸気カム
14 排気カム
15 燃料噴射弁
16 点火プラグ
17 ECU
18 クランクポジションセンサ
19 アクセルポジションセンサ
90 吸気通路
90 スロットル弁
100 可変圧縮比機構
200 シール材
300 バキュームポンプ
301 通路
302 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダブロックとクランクケースとをシリンダ軸方向に相対変位させることにより圧縮比を変更する可変圧縮比機構と、
前記シリンダブロックと前記クランクケースとの隙間を密封するシール材と、
内燃機関が運転停止状態にあるときに、前記クランクケース内の圧力を予め定められた目標圧力まで変化させる圧力変更装置と、
前記圧力変更装置の作動に伴う前記クランクケース内の圧力変化の速度と相関する物理量を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された物理量が正常な範囲から逸脱していることを条件に、前記シール材が異常であると判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする可変圧縮比式内燃機関の異常検出システム。
【請求項2】
請求項1において、前記検出手段は、前記クランクケース内の圧力変化速度と相関する物理量として、前記クランクケース内の圧力が前記圧力変更装置の作動前の圧力から前記目標圧力に到達するまでの時間を検出することを特徴とする可変圧縮比式内燃機関の異常検出システム。
【請求項3】
請求項1において、前記検出手段は、前記クランクケース内の圧力変化速度と相関する物理量として、前記クランクケース内の圧力が前記圧力変更装置の作動前の圧力から前記目標圧力に到達するまでに前記圧力変更装置が消費した駆動エネルギを検出することを特徴とする可変圧縮比式内燃機関の異常検出システム。
【請求項4】
請求項1において、前記検出手段は、前記クランクケース内の圧力変化速度と相関する物理量として、前記クランクケース内の圧力が前記目標圧力から前記圧力変更装置の作動前の圧力に到達するまでの時間を検出することを特徴とする可変圧縮比式内燃機関の異常検出システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項において、前記判定手段によりシール材が異常であると判定された場合は、内燃機関の運転時におけるスロットル弁の開度を、前記クランクケース内の圧力が負圧となる範囲に制限する制限手段をさらに備えることを特徴とする可変圧縮比式内燃機関の異常検出システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項において、前記判定手段によりシール材が異常であると判定された場合は、内燃機関の運転時における圧縮比が最低値に固定されるように前記可変圧縮比機構を制御する制御手段をさらに備えることを特徴とする可変圧縮比式内燃機関の異常検出システム。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか1項において、前記シリンダブロックと前記クランクケースの何れか一方に取り付けられ、内燃機関の圧縮比が所定の圧縮比以上となるときに前記シリンダブロックと前記クランクケースの何れか他方と当接することにより前記シリンダブロックと前記クランクケースとの隙間を密封する補助シール材と、
前記判定手段によりシール材が異常であると判定された場合に、内燃機関の運転時における圧縮比が前記所定圧縮比以上となるように前記可変圧縮比機構を制御する制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする可変圧縮比式内燃機関の異常検出システム。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項において、前記圧力変更装置は、前記クランクケース内のガスを吸い出す電動ポンプであることを特徴とする可変圧縮比式内燃機関の異常検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−149285(P2011−149285A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9024(P2010−9024)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】