説明

可変容量型ベーンポンプの制御装置

【課題】高圧域での流量調整が容易な可変容量型ベーンポンプの制御装置を提供。
【解決手段】カムリング5を挟んで最大流量調整部6の反対側にプランジャ8、低圧用スプリング9、ホルダ10、高圧用スプリング11、圧力調整部13を設ける。その外側に、ホルダのカムリング方向への移動を規制するスリーブ12を本体2に取り付け、ホルダをカムリングの許容偏心内eでスリーブ又はカムリングのいずれかと選択的に当接可能にし、スリーブのカムリング方向の位置を調整できるようにする。スリーブは外周に雄ねじが設けられた円筒状とし、一端に貫通穴12bを有する縮径部12cを設け、他端にねじ穴を有する外方縮径部12hを設ける。スリーブの円筒部中間部12gを溶接により結合し、ねじ穴に圧力調整用ねじを螺着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変容量型ベーンポンプの制御装置に関し、特に圧力及び流量の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械の油圧源として電動機で駆動される可変容量型ベーンポンプが用いられている。可変容量型ベーンポンプは、カムリングの内径側に作用し、吐出圧力に比例する油圧力と対抗する位置に配したばね力との釣り合いによって圧力を補償するポンプやカムリングの外周に吐出圧力に比例した油圧力をピストンにより与え、対抗するばね力や圧力補償制御弁(コンペンセータ)で制御された圧力で駆動されるコントロールシリンダとの釣り合いにより圧力を補償する等している。
【0003】
工作機械用の油圧ポンプは、一般的に7MPa以下の低圧で使用され、クランプやチャックなど圧力を保持する用途に用いられるため、ポンプが油を吐出している時間が極めて短く、ポンプ出力の最大値は駆動する電動機出力の150〜200%程度となることが通常であった。
【0004】
しかし、かかるポンプの出力トルクは吐出圧力−流量特性によって決定され、図5の点線60で示すような定吐出型特性では、電動機出力の150−200%以内に抑制するために電動機出力を決定するため、実際に圧力を保持する状態の出力に比してより大きめの出力の電動機を選定せざるを得なかった。そのため、使用状態のほとんどが、電動機の負荷率が低い状態で使用されるため、100%負荷率近辺での効率を向上させた電動機においては効率の低い部分で使用せざるを得ず、損失が大きくなっていた。
【0005】
かかる損失を低減し、コンパクトで低コストに工作機械用可変容量型ベーンポンプを提供することを目的として、特許文献1では弾性力の異なるばねを同軸線上に直列に設置し、カムリングと常に一端を接触するプランジャにばねの弾性力を作用させて吐出量を段階的に変化させ、図5の実線61に示すような定馬力型特性を得ている。また、特許文献2においては、2つの異なるばねとばねの反発力と同じ方向の力をカムリングに与えるピストンを収めたシリンダを設け、そのシリンダにポンプの吐出圧力側からシーケンス弁を介して導油し、圧力がシーケンス弁の設定圧に到達すると、シリンダの圧力をタンクに開放してフルカットオフとなる定馬力型特性としている。
【0006】
一方、特許文献3の可変容量型ベーンポンプは、定馬力制御ではなく、回転数が増加しても、最大吐出量を一定に制御するものであるが、二種の強さのスプリングを径方向に同心に配置して、それぞれのスプリングに圧力調整用ねじを作用させることにより、低圧及び高圧用それぞれの圧力を外部から調整できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭48−9203号公報
【特許文献2】特開昭55−66685号公報
【特許文献3】特公昭46−23691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のものでは、低圧大容量、すなわちポンプ最大吐出量の調整(図5符号41)はカムリングの一方に設けられた最大流量調整ねじ、最大圧力の調整(図5符号42)はカムリングを挟んで対抗する圧力調整用ねじで制御できる。しかし、定馬力特性の低圧圧力調整(図5符号43)及び高圧域での流量調整は選択するスプリング等の部品形状、寸法で決定され、外部からの調整はできない。また、特許文献2のものでは、かかる点については、開示も示唆もされていない。さらに、高圧域での流量調整は、これらの発明は極めて小さな変心量で容量を制御するベーンポンプにおける部品寸法のばらつきを吸収する手段がなく、量産時においては都度、部品の寸法調整を行い、ポンプの特性を修正することが必要になるなど、量産性に欠いていた。また、電源周波数が異なる場合に、60HZ地域では、50HZ地域より最高圧力を低くしなければならないという問題があった。
【0009】
そこで、特許文献3のように、それぞれのスプリングを外部から調整できるようにすることが考えられる。しかし、低圧圧力調整を外部から行えるようにしても、依然として、流量調整ができないので、量産性に欠け、高圧域での電動機の効率に合わせた適切な吐出量と最高圧力調整を行うことはできない。
【0010】
本発明の課題は、かかる問題点に鑑みて、可変容量型ベーンポンプの高圧域での流量調整が容易で量産性の高い、さらに、電源周波数の違い等による回転数が異なっても電動機効率を有効に活用できる可変容量型ベーンポンプの制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、断面四角形のカムリングの偏心量を負荷圧力に応じて変化させて作動に必要な吐出量を吐出するようにされた可変容量型ベーンポンプの圧力及び流量の制御装置において、前記カムリングの最大偏心量を規制する最大流量調整部と、前記最大流量調整部とは前記カムリングを挟んで反対側に設けられ前記カムリングを付勢する低圧用スプリングと、前記低圧用スプリングを内挿し前記カムリング側当接面を有するホルダと、前記ホルダを前記カムリング側に付勢する高圧用スプリングと、前記高圧用スプリング力を調整する圧力調整部と、前記カムリング側当接面に当接して前記ホルダのカムリング方向への移動を規制するスリーブと、を有し、前記ホルダは前記カムリングの許容偏心内で前記カムリング側当接面を前記スリーブ又は前記カムリングのいずれかと選択的に当接可能にされ、前記スリーブのカムリング方向の位置が調整可能にされている可変容量型ベーンポンプの制御装置を提供することにより、前述した課題を解決した。
【0012】
即ち、高圧用スプリングでカムリング側へ付勢されるホルダのカムリング側当接面を、カムリングの許容偏心内でスリーブ又はカムリングのいずれかと選択的に当接可能にさせたので、低圧時にはカムリングは低圧用スプリングで制御され、高圧時には高圧用スプリングで制御される。本発明では、ホルダのカムリング側当接面が当接するスリーブの位置を調整できるので、カムリングが低圧域から高圧域へ変わるときのカムリングの移動量を調整することができる。
【0013】
なお、ホルダは低圧用スプリングを内挿し、さらに、低圧用スプリングと高圧用スプリングで挟持するようにしてもよい。また、引用文献3の第1図と同様に、先端が低圧用スプリングに当接し、ホルダ、高圧用スプリング内側を貫通するねじ機構により外部から低圧用スプリングの調整をできるようにしてもよい。
【0014】
また、請求項2に記載の発明においては、前記ホルダは前記低圧用スプリングの前記反カムリング側を保持し、前記低圧用スプリングがプランジャを介して前記カムリングに当接するようにされ、前記スリーブは先端に縮径部を有する円筒状であって前記ポンプ本体に前記カムリングに向かって螺着されており、前記縮径部の貫通穴を通って前記プランジャを介して前記低圧用スプリングが前記カムリングに当接しており、前記ホルダのカムリング側当接面が前記縮径部の前記反カムリング側面又は前記プランジャの前記反カムリング側面に選択的に当接可能にされている可変容量型ベーンポンプの制御装置とした。
【0015】
ホルダの当接面はカムリングと直接ではなくプランジャを介してスリーブと離接するので、調整もし易く加工組立精度を良好にできる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明においては、前記ホルダは一端に鍔、他端に底を有する筒状であり、筒部外径が前記高圧用スプリング内径より小さく、前記筒内に前記低圧用スプリングの一部または全部が挿入され、前記鍔が前記スリーブの縮径部の前記反カムリング方向面に当接可能にされている可変容量型ベーンポンプの制御装置とした。
【0017】
低圧用スプリングは、使用にあたって調整することは少ない。したがって、筒状のホルダに内装することによって、部品及び構造を簡素化する。
【0018】
さらに、請求項4に記載の発明においては、前記スリーブは外周に雄ねじが設けられた円筒状であり、一端が前記貫通穴を有する前記縮径部を有し、他端がねじ穴を有する外方縮径部を有するようにされており、前記スリーブの円筒部中間部が溶接により結合され、前記ねじ穴に前記圧力調整部の圧力調整用ねじが螺着されている可変容量型ベーンポンプの制御装置とした。
【0019】
スリーブは両側の縮径部で閉じられたようにされるので、加工がしにくく、部品点数が多くなる。そこで、円筒部中間部を溶接により接合することにより、部品点数を減らす。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ホルダのカムリング側当接面が当接するスリーブの位置を調整することにより、低圧域から高圧域へ変わるときのカムリングの移動位置を調整できるので、高圧域での流量調整が可能となった。また、外部で調整できるので、流量調整が容易で量産性が高く、さらには、使用地での電源周波数の違いでも、高圧側流量を調整可能とし、取り扱いの調整の容易な、また、回転数に応じで電動機効率を有効に活用できる可変容量型ベーンポンプの制御装置となった。
【0021】
また、請求項2に記載の発明においては、ホルダはプランジャを介してスリーブと離接させ、調整もし易く加工組立精度を良好にできので、量産性が高い。スリーブを本体に螺着させ、スリーブ内でホルダのカムリング側当接面がスリーブの縮径部又はプランジャと選択的に当接するようにさせたので、構造も簡単で組立も容易である。
【0022】
また、請求項3に記載の発明においては、ホルダを鍔付き有底筒状とし、高圧用スプリング内側に内装し、さらに、低圧用スプリングを内挿し、部品及び構造を簡素化したので、可変容量型ベーンポンプの制御部の本体からの飛び出しを小さくするものとなった。
【0023】
さらに、請求項4に記載の発明においては、スリーブの円筒部中間部を溶接により結合し、部品点数を減らしたので、管理、構造が容易である。このように、本発明によれば、部品の加工ばらつきを工場出荷段階で容易に調整することができ、出荷検査における検査時間や調整の為の分解、組立に要する時間が短くなり、さらには現地での調整が容易になり、低コストに省エネルギのポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の可変容量型ベーンポンプの制御装置の第一の実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の可変容量型ベーンポンプの制御装置の第二の実施の形態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の可変容量型ベーンポンプの制御装置の第三の実施の形態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の可変容量型ベーンポンプの(a)は、吐出圧力−流量特性を示す図、(b)は吐出圧力と軸入力の関係を示す特性図である。
【図5】従来の可変容量型ベーンポンプの(a)は、吐出圧力−流量特性を示す図、(b)は吐出圧力と軸入力の関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第一の実施の形態について図1を参照して説明する。図1に示すように、本発明の可変容量型ベーンポンプ1は、ポンプ本体2と、ポンプ本体に軸支され放射状にベーン溝3aが設けられたロータ3と、ロータのベーン溝に出入り可能にされた複数のベーン4と、複数のベーンが内径側5aを摺接する断面四角形のカムリング5とが設けられている。そして、ロータ3に対するカムリング5の偏心量eを負荷圧力に応じて変化させて作動に必要な吐出量を吐出する。本体2の図で見て右側には、カムリング5の最大偏心量を規制する最大流量調整部6が設けられ、本体2に螺着されたねじ6aの先端6bにより、カムリングの図でみて右方向への移動を規制するようにされている。ねじ6aはロックナット6cにより本体に固定される。図で見てカムリング5上部にはカムリングの高さを調整し、偏心方向の挙動を調整するねじ7が設けられている。かかる可変容量型ベーンポンプの構造、原理は従来と同様であるので説明を省略する。
【0026】
本発明の第一の実施の形態においては、最大流量調整部6と反対側に外周に設けられた雄ねじ12aにより円筒状のスリーブ12が本体2の雌ねじ2aに螺着され、ロックナット15で本体に固定されている。スリーブの先端には貫通穴12bを有する縮径部12cが設けられている。スリーブの他端にはねじ穴12dを有する蓋12eが螺着され外方縮径部12hを形成する。ねじ穴12dには圧力調整用ねじ13が設けられている。スリーブ12内には圧力調整用ねじ13の先端13aが当接する圧力調整用ねじ受け(ピストン)14がスリーブ内径12fとシールかつ摺動可能に設けられている。さらに、高圧用スプリング11、ホルダ10の鍔10aが順に設けられている。鍔の外径は貫通穴12bの内径より大きくされており、圧力調整用ねじ13と縮径部間12cにピストン14、高圧用スプリング11、鍔10aが挟持され、鍔のカムリング側当接面10cが縮径部12cの反カムリング側面12gに当接可能に付勢されている。
【0027】
鍔10aを一端に有するホルダ10は、他端に底部10bを有する有底筒状であり、筒部外径10dは高圧用スプリング11の内径より小径とされ、鍔10aに当接する状態で高圧用スプリングが外挿されている。また、ホルダ10の筒部内には、低圧用スプリング9が内装され、低圧用スプリングの反カムリング側面9bが当接している。低圧用スプリングのカムリング側面9aにはプランジャ8が当接し、さらにプランジャはカムリング5に当接している。プランジャ8は、カムリングに端部が当接する当接円筒部8a、鍔部8b、小径部8cからなる段付きの円筒形状である。小径部8cに低圧用スプリング9が外装され、低圧用スプリングのカムリング側面9aが鍔部8bの反カムリング側面8eに当接している。鍔部8eの外径8dは、スリーブ12の貫通穴12bの径より小さくされ、かつ、ホルダ10の鍔10aの外径10eより小さく、内径10fより大きくされている。
【0028】
したがって、最大吐出量時又は無負荷時において、高圧用スプリング11は低圧用スプリング9より強いので、ホルダの鍔10aは縮径部12cの反カムリング側面12gに当接し、カムリング5は低圧用スプリングのみで付勢される。一方、高圧域では、カムリング5は低圧用スプリング9力に打ち勝ちプランジャ8の鍔部8bを直接ホルダ10の鍔10aに接触させ、ホルダを介して高圧用スプリング11に作用し、高圧用スプリングにより圧力制御が行われる。また、スリーブの縮径部12cの反カムリング側面12gとプランジャ8の鍔部8bの反カムリング側面8eとの距離Stは、カムリングの偏心量eより小さくなるように調整する。また、距離Stはスリーブ12のねじ込み量により調整することができる。
【0029】
これにより、ホルダ10はカムリング5の許容偏心e内で(ホルダの鍔10aのカムリング側当接面10cを)スリーブ12(の縮径部12cの反カムリング側面12g)又は(プランジャ8を介して)カムリング5のいずれかと選択的に当接可能にされる。
【0030】
かかる可変容量型ベーンポンプの圧力流量特性について説明する。ポンプ特性は、図4及び5の(a)の実線50、図4及び5の(b)の実線51に示すような圧力流量特性及び圧力軸入力特性となる。低圧時においては、最大吐出量は点線及び矢印41に示すように上下方向に最大流量調整部6で調整される。最高圧力は点線及び矢印42に示すように圧力調整用ねじ13により高圧スプリング11で調整される。低圧側の圧力調整は考慮されていない。これらは従来と同じである。本実施の形態においては、スリーブ12の位置をねじ12aで調整することにより、高圧域での吐出量を図4(a)の点線で示すように上下方向矢印45に調整できるようにされる。さらに、かかる場合の圧力−軸入力特性は、図4(b)の点線に示すように高圧域での軸入力を上下矢印46に調整できる。
【0031】
これにより、例えば50Hz、60Hz地区の違いによって回転数が異なっても、最大吐出量及び高圧時の吐出量を調整でき、軸入力をそれぞれ上下させることができるので、電動機効率を有効に作用させることができる。また、電動機の出力サイズを小さくすることができる。電動機出力を小さくすることによって、ポンプの圧力保持状態における電動機の負荷率が上昇し、より効率のよい状態で運転することができ省エネである。また、電動機出力サイズの低減に伴い、装置の電源容量をも低減することが可能となる。なお、低圧域の圧力を調整するようにした場合は、図5(a)、(b)の矢印43の点線に示すように、図の左右方向に変化するだけであり、異なる回転数に対し、効率的な軸入力特性とすることはできない。
【0032】
次に本発明の第二の実施の形態について図2を参照して説明する。なお、前述した第一の実施の形態と同様のものについては、同符号を付し、又は省略し、説明の一部又は全部を省略する。第二の実施の形態の可変容量型ベーンポンプの制御装置は、スリーブを一体にしたものである。図2に示すように、スリーブの円筒部中間部12iを溶接により結合し、スリーブの他端に外方縮径部12hを設け、ねじ穴12dが直接設けられている。この場合、溶接前に、円筒部内にピストン14、高圧用スプリング11、ホルダ10を順に組み付けておく。
【0033】
次に本発明の第三の実施の形態について図3を参照して説明する。なお、前述した第一の実施の形態と同様のものについては、同符号を付し又は省略し、説明の一部又は全部を省略する。第三の実施の形態の可変容量型ベーンポンプの制御装置は、スリーブの円筒部中間部の溶接をやめ、スリーブの縮径部12cを分解組立可能にしたものである。図3に示すように、スリーブ12の他端に外方縮径部12hを設け、ねじ穴12dを直接設ける。スリーブの内径12fの貫通穴12b側はそのまま開口とされ、内径12fの開口端に設けられたスナップリング溝20にスナップリング21が嵌着されている。スナップリングとホルダ10の鍔10aとの間にワッシャ12′が挟持され、貫通穴12bを有する縮径部12cを形成する。これにより、第一の実施の形態に比べ外形形状を小型としながら、第二の実施の形態に比べ分解組み付けを可能とした。
【符号の説明】
【0034】
1 可変容量型ベーンポンプ
2 ポンプ本体
5 カムリング
6 最大流量調整部
8 プランジャ
8e プランジャの反カムリング側面
9 低圧用スプリング
9a 低圧用スプリングのカムリング側
9b 低圧用スプリングの反カムリング側
10 ホルダ
10a ホルダの鍔
10b ホルダの底部
10c ホルダのカムリング側当接面
10d 筒部外径
10e 鍔外径
11 高圧用スプリング
12 スリーブ
12a スリーブ外周の雄ねじ
12b 貫通穴
12c スリーブの縮径部
12d ねじ穴
12g 縮径部の反カムリング側面
12h 外方縮径部
12i 円筒部中間部
13 圧力調整部(圧力調整用ねじ)
e 偏心量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面四角形のカムリングの偏心量を負荷圧力に応じて変化させて作動に必要な吐出量を吐出するようにされた可変容量型ベーンポンプの圧力及び流量の制御装置において、前記カムリングの最大偏心量を規制する最大流量調整部と、前記最大流量調整部とは前記カムリングを挟んで反対側に設けられ前記カムリングを付勢する低圧用スプリングと、前記低圧用スプリングを内挿し前記カムリング側当接面を有するホルダと、前記ホルダを前記カムリング側に付勢する高圧用スプリングと、前記高圧用スプリング力を調整する圧力調整部と、前記カムリング側当接面に当接して前記ホルダのカムリング方向への移動を規制するスリーブと、を有し、前記ホルダは前記カムリングの許容偏心内で前記カムリング側当接面を前記スリーブ又は前記カムリングのいずれかと選択的に当接可能にされ、前記スリーブのカムリング方向の位置が調整可能にされていることを特徴とする可変容量型ベーンポンプの制御装置。
【請求項2】
前記ホルダは前記低圧用スプリングの前記反カムリング側を保持し、前記低圧用スプリングがプランジャを介して前記カムリングに当接するようにされ、前記スリーブは先端に縮径部を有する円筒状であって前記ポンプ本体に前記カムリングに向かって螺着されており、前記縮径部の貫通穴を通って前記プランジャを介して前記低圧用スプリングが前記カムリングに当接しており、前記ホルダのカムリング側当接面が前記縮径部の前記反カムリング側面又は前記プランジャの前記反カムリング側面に選択的に当接可能にされていることを特徴とする請求項1記載の可変容量型ベーンポンプの制御装置。
【請求項3】
前記ホルダは一端に鍔、他端に底を有する筒状であり、筒部外径が前記高圧用スプリング内径より小さく、前記低圧用スプリングの一部または全部が挿入され、前記鍔が前記スリーブの縮径部の前記反カムリング方向面に当接可能にされていることを特徴とする請求項2記載の可変容量型ベーンポンプの制御装置。
【請求項4】
前記スリーブは外周に雄ねじが設けられた円筒状であり、一端が前記貫通穴を有する前記縮径部を有し、他端がねじ穴を有する外方縮径部を有するようにされており、前記スリーブの円筒部中間部が溶接により結合され、前記ねじ穴に前記圧力調整部の圧力調整用ねじが螺着されていることを特徴とする請求項3記載の可変容量型ベーンポンプの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−174375(P2011−174375A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36905(P2010−36905)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【Fターム(参考)】