説明

可変比率ベルト伝動システム

第1無端部材(16)により第1従動部材(13、15、17、18、19)に回転自在に連結される原動部材(CRK)と、原動部材と第2従動部材の間で回転自在に連結される第2無端部材(12)と、第1無端部材から第2無端部材へとトルクを選択的に伝達するために第1無端部材と第2無端部材との間に介装される第1クラッチ(57、SO)と、第2無端部材を原動部材から選択的に切り離すために第2無端部材と原動部材との間に介装される第2クラッチ(42、82)とを備えるベルト伝動システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年3月24日に出願された係属中の米国非仮出願番号第10/807,937号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、乗り物用のエンジン補機を第1速度比と第2速度比において駆動するための2段比率ベルト伝動システムに関する。
【背景技術】
【0003】
乗り物用のエンジンは、一般的にエンジンと乗り物の運転に使用される補機を備える。このような補機には、パワーステアリングポンプ、エアコン用コンプレッサ、オルタネータ、オイルポンプ、燃料ポンプなどが含まれ得る。これらの補機は、一般に多軸掛けベルトによって駆動される。多軸掛けベルトは、エンジンクランクシャフトはもちろんのこと、各補機に設けられたプーリに係合される。エンジンクランクシャフトは、これらの補機を駆動するトルクを提供する。
【0004】
クランクシャフトによりベルトが駆動されると、ベルトは否応なく乗り物の加速や減速におけるエンジン速度の変化を受ける。言い換えれば、補機の運転速度は、エンジンの速度に直接比例する。
【0005】
エンジン速度の変化は、特にアイドル時よりも速いエンジン速度で、補機を非効率に運転させることとなる。これは全てのエンジン速度範囲に渡って、各補機が要求に適った作動を行うように設計される必要があるためである。これは必然的に、殆どのエンジン速度範囲において効率が最適ではないことを意味する。また、高いエンジン速度では、より大きな出力が補機を駆動するのに要求され、燃料効率を悪化させ、利用可能なトルクが低下する。したがって、補機の幾つか、あるいは全てを、それらがより低く狭い最適速度範囲において駆動されるように、エンジンクランクシャフトから切り離すことが望ましい。
【0006】
この技術の代表は、メックストロース(Meckstroth)の米国特許第5,700,121号(1997)であり、回転する様々な車両用補機に動力を与えるためのシステムを開示する。
【0007】
従来技術では、最小化されたスタータを「補助」する目的のために、エンジン始動時に補機をエンジンから切り離す必要がある。また、従来技術は、エンジンの振動の伝達を低減するためにクランクシャフトダンパと結合されたクラッチユニットについて教示しない。
【0008】
必要とされているのは、乗り物のエンジン補機を第1速度比および第2速度比で駆動するための2段比率ベルト伝動システムである。本発明はこの要求に合致する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、乗り物のエンジン補機を第1速度比および第2速度比で駆動する2段比率ベルト伝動システムを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、以下における本発明の詳細な説明と図面とによって指摘され明らかとされる。
【0011】
本発明は、第1無端部材により第1従動部材に回転自在に連結される原動部材と、原動部材と第2従動部材との間で回転自在に連結される第2無端部材と、第1無端部材と第2無端部材との間に、第1無端部材から第2無端部材へとトルクを選択的に伝達するために配置された第1クラッチと、第2無端部材と原動部材との間に、第2無端部材を原動部材から選択的に切り離すために配置された第2クラッチとを備えるベルト伝動システムを備える。
【0012】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を図解し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
2段比率ベルト伝動システムが図1に示される。本発明のシステムは、クラッチユニット11を介して選択される第1または第2プーリ駆動比率により運転される。第1エンジン速度においては、第1プーリ比率が用いられる。第2エンジン速度においては、第2プーリ比率が用いられる。
【0014】
システムは、2本のベルトを備える。トルク伝達のために使用されるベルトは、クラッチユニットの状態によって決定される。第1プーリ比率、あるいは第2プーリ比率は、電磁クラッチ11を連結または非連結とすることにより選択される。クラッチユニットを連結すると、システムはクラッチユニットに設けられた第1プーリにベルトが連動された状態で駆動される。
【0015】
第1モード(エンジンスピードが略アイドル時)では、システムの第2ベルトはエンジンクランクシャフトから直接トルクを伝達していないが、トルクは第1ベルトとも係合する2段式プーリからエンジン補機へと伝達されている。
【0016】
第2モード(エンジン速度がアイドルよりも速いとき)では、クラッチは非連結状態され、これは第1プーリと第1ベルトをシステムから切り離す。補機はその後、クランクシャフトへの一方向クラッチに係合された第2ベルトにより駆動される。第2モードでは、第2原動プーリの比率が第1原動プーリの比率よりも小さいことから、補機は第1ベルトによって得られる速度よりも相対的遅い速度で駆動される。これは第2モードの第2プーリが第1モードの第1プーリよりも小さい直径を有することによる。
【0017】
システムは、エンジンクランクシャフト(CRK)などの原動回転シャフトに取り付けられたクラッチユニット11を備える。
【0018】
クラッチユニット11は、クランクシャフトダンパやアイソレータ、あるいはその両方、更に電磁クラッチを備えるとともに、第1および第2プーリを備える。またユニット11は、一方向クラッチを備える。
【0019】
クラッチユニット11は、多軸掛けマルチリブドベルト16によって、複数の補機、ウォーターポンプW_P(プーリ17)、パワーステアリングポンプP_S(プーリ13)、オルタネータALT(プーリ15)、アイドラプーリIDL(プーリ18)、エアコン用コンプレッサA_C(プーリ19)に動力を伝達できる状態で連結される。テンショナTEN(プーリ14)は、クランクシャフトからの時計回りの移動に対してパワーステアリングポンプの2段式プーリ13の後に配置される。ベルト16は、従来周知のマルチリブドベルトである。
【0020】
第2マルチリブドベルト12は、クラッチユニット11をパワーステアリングポンプP_Sに連結された2段式プーリ13に連結する。この実施形態では、ベルト12は、2点伝動装置(ツーポイントドライブ)に取り付けられる。図2に示されるように、ベルト16は、エンジンとベルト12の間に物理的に配置される。
【0021】
図3に示されるクラッチユニット11は、ハブ40と、それに取り付けられた一方向クラッチ42とを備える。図3には断面図の上半分のみが描かれ、下半分は鏡像であり上半分と対称である。この実施形態では、ハブ40はエンジンクランクシャフト(CRK)に直接連結される。プーリ66は、内側ハブ44、ベルトベアリング外側部660、およびハブ44と外側部660との間に配置されたダンピング部材68を備える。内側ハブ44は、一方向クラッチ42に係合される。ダンピング部材68は、クランクシャフトダンパの技術において知られたエラストマ部材からなる。部分660はマルチリブド形状を有するが、プーリ技術において知られた如何なる形状であってもよい。
【0022】
第2プーリ62は、電磁クラッチ60のロータ48に連結される。ロータ48、すなわちプーリ62は、ベアリング46によりハブ40に回転自在に係合される。ベアリング46は従来知られたものからなり、ボール、スリーブ、ニードル、あるいはその他の使用に適した何れのものであってもよい。電磁クラッチ60のコイル50は、バックプレート64によりエンジンブロックに取り付けられる。
【0023】
ハブ40は、ハブ拡張部52とスプリングプレート54を介してクラッチプレート56に連結される。クラッチユニット11は、ユニットへの埃や異物の挿入を防ぐカバー58により覆われる。クラッチプレート56は、コイル50の通電状態に応じてロータ48と連結される。コイル50は、エンジンの電気システムに接続される。コイル50がプーリ62の幅内に収められることからクラッチが小型であることが理解されるであろう。
【0024】
図2に示されるように、クラッチユニット11のプーリ66は、ベルト16を用いて、パワーステアリングポンプに設けられた2段式プーリ13の第1プーリ49に連結されている。図4は、2段式プーリ13の断面図である。図4は、断面図の上半分を描き、下半分は鏡像であり上半分と対称である。2段式プーリ13は、プーリ45とプーリ49を備え、各々はウェブ41により連結されている。クラッチユニット11のプーリ62は、2段式プーリ13のプーリ45にベルト12を用いて連結されている。
【0025】
以下の実施形態の各々における本発明のシステムは、2つのモードで作動する。モード1は、アイドリングを含む比較的低いエンジン速度に対応する。モード2は、他の全ての運転速度、すなわちアイドリングよりも速い運転速度に対応する。
【0026】
モード1では、電磁クラッチ60のコイル50は通電され、それによりクラッチはエンジン始動時にロックされ、ベルト12により、エンジンと一緒に補機の始動が可能となる。この方法は、クラッチが係合され、補機がエンジン始動後の速さに達するときに、エンジン速度が急減速する問題を回避する。モード1においては、電磁プレート56がクラッチ60と係合されており、これにより、ハブ40に対してプーリ63が回転しながらロックされることから、プーリ62とハブ40は一緒に回転する。プレート56は、ハブ拡張部52を通してハブ40に直接連結され、これによりクランクシャフトCRKに直接連結される。
【0027】
プーリ62は、クランクシャフトからベルト12を介してトルクをパワーステアリングポンプP_Sに取り付けられたプーリ45へと伝達する。図4は、2段式プーリの断面図である。プーリ49は、プーリ45と同じ速度で回転する。プーリ49は、ベルト16を介して他のすべての補機にトルクを伝達する。
【0028】
モード1において、プーリ66は、ベルト16によりプーリ62の回転速度よりも速い回転速度で駆動され、これにより、一方向クラッチ42は非連結状態とされる。モード1では、プーリ66からハブ40へとトルクは全く伝達されないものの、パワーステアリングポンプを除く全ての補機がベルト12および16により順次駆動される。
【0029】
例えば、5.3LのV8エンジンの場合、発明のシステムのプーリにおける直径の実施例は、mm単位で以下の通りである。
【表1】

【0030】
表1のシステムにおけるクランクシャフト/パワーステアリングプーリの比率は以下の通りである。
165/140=1.17 (モード1[第1]比率)
128/163=0.78 (モード2[第2]比率)
【0031】
モード1では、補機は、従来の直接連結された補機伝動システムにおけるのと相対的に同じ速度で回転される。
【0032】
比較の目的で、以下に典型的な従来技術のプーリの直径をmm単位で示す。
【表2】

【0033】
表2の従来のシステムにおけるクランクシャフト/パワーステアリングポンプの比率は以下の通りである。
193/163=1.18
【0034】
この比率は、上記表1に対して計算されたモード1[第1]比率と実質的に同じである。これは、表1、2のシステムの間において、補機駆動比率が実質的に同じであることを示す。しかし、相対的な補機プーリの直径は、重量、製造コスト、速度や、他のシステムの要求に応じて本発明のシステムにおいて異なってもよい。
【0035】
表1におけるクランクシャフトプーリ(66)と、表2におけるクランクシャフトの直径の比較は、
193/128=1.5
である。
【0036】
これは、本発明のシステムによる補機速度全体の低減が、アイドル速度よりも速いエンジン速度において、従来技術のシステムを上回っていることを示す。
【0037】
プーリ62は、165mmの代わりに、従来のシステムの直径である193mmであってもよい。本発明のシステムにおいては、プーリ62の直径は、プーリ45がより小さい直径を有することから、すなわち163mmではなく140mmであることから、165mmまで縮小できる。モード1では、クランクシャフトとパワーステアリングポンプの間の比率は、同じ値に維持される:193/163=165/140=1.17。
【0038】
モード2では、電磁クラッチ60が非連結状態とされ、クラッチ42が連結状態とされる。モード1からモード2へと遷移するとき、ベルトとシステムへの衝撃を低減するために、クラッチはある期間に渡って、例えば3秒、非連結状態とされる。コイル50は、乗り物のバッテリやオルタネータなどの電源に電気的に接続され、エンジンのCPUによって制御される。CPUは、コンピュータ、メモリ、連結用バス構造、および配線を備える。CPUは所定のエンジンの運転状態(変数)を検知し、CPUは、検知された複数の運転状態(変数)の少なくとも1つに基づいてクラッチユニットを連結状態あるいは非連結状態にするための所定値を計算し、上記検知された運転状態(変数)には、補機の負荷、エンジン速度、バッテリ充電状態、スロットルポジション、エンジン冷媒温度、乗り物のギア選択、乗り物の速さ、マニホルドの絶対圧力、外気温度、空気流量、アクセルポジションが含まれる。選択された運転状態がエンジンの加速や減速の何れかにより変動すると、クラッチはそれに従って通電状態とされるか非通電状態とされる。
【0039】
モード2では、第2プーリ62は、ボールベアリング46に取り付けられたロータ48により自由に動き、これにより、ハブ40とプーリ62の間でトルクは伝達されない。プーリ45とプーリ62の間でベルト12によるトルクの伝達はない。クラッチ42が非連結状態にあることから、補機はベルト16単独で駆動される。クラッチ42は、ハブ40によりプーリ66を駆動させる。エンジンは、プーリ66を介して補機へとトルクを伝達する。
【0040】
自身の慣性により補機がエンジンに向けてトルクを伝達するかもしれない急激なエンジンの減速状態においては、クラッチ42は非連結状態となり、エンジンの減速率よりも低い速さで補機が回転を落とすことを可能にする。これはベルト16における磨耗を低減する。
【0041】
プーリ66の直径は、プーリ62の直径よりも相対的に小さい。例えば、プーリ66の直径は165mmではなく128mmである。この低減されたプーリ比率は、係数1.5を因子として、駆動される補機の全ての相対速度を低減する。
【0042】
ここで説明された第1実施形態は、最小の軸方向スペースしかベルト伝動システムに要求しないが、それでもユニット11は、電磁クラッチ50のための幾らか余分な軸方向スペースを必要とする。これは約20〜25mmとなる。
【0043】
図4Aは別の実施形態の2段式プーリの断面図である。図4Aには、断面図の上半分が描かれ、下半分は鏡像であり上半分と対称である。この実施形態では、エラストマ部材226がウェブ41とプーリ45の間に配置される。2段式プーリ13は、補機に連結されるが、この事例では、パワーステアリングポンプP_Sである。エラストマ部材226は、それがなければベルト12を介してクランクシャフトから補機に伝達されるであろうエンジンの振動の振幅を低減する振動アイソレータとして作用する。アイドル状態よりも高い速度では、クラッチ11がプーリ45をクランクシャフトから受け取るトルクから切り離すことから、アイソレータはエンジンアイドル状態において主に機能する。エラストマ部材には、従来知られているあらゆる天然または合成ゴム、あるいは天然ゴムと合成ゴムの組み合わせが用いられる。
【0044】
図5、6は、クラッチユニット11駆動装置が、エアコン用コンプレッサに連結された2段式プーリ組立体29を備える第1の代替的実施形態を示す。
【0045】
この事例では、各プーリの直径は以下の通りである。
【表3】

【0046】
表3のシステムにおけるクランクシャフト/A_Cプーリ比率は以下の通りである。
193/112=1.72 (モード1[第1]比率)
128/112=1.14 (モード2[第2]比率)
【0047】
システムの運転は、図1、2の実施形態で説明されたものと同じである。エアコン用コンプレッサに2段式プーリを取り付けたことの利点は、利用可能なスペースを活用することであり、これはエアコン用コンプレエアプーリには通常電磁クラッチが一体化されているためである。
【0048】
運用上の関心の1つはベルトの交換である。しかし、ベルト12が全体の5〜10%の時間しか使用されず、ベルト16は常時使用されていることを考えると、エンジンに対して最も内側に配置されたベルト16に対して交換がより求められると考えられる。説明された実施形態では、1本のみの交換が必要なときにも両方のベルトを取り外さなければならない可能性がある。
【0049】
これらの懸念に対処するために更に別の実施形態が説明される。
【0050】
図7、8は第2の代替的実施形態を示す。2点伝動ベルト32は多軸掛けベルト36よりもエンジンよりに配置される。ベルト36は、ベルト32から外側に向けてエンジンから離れて配置される。
【0051】
この実施形態の全構成要素のコンセプトおよび機能は、これまでの実施形態と同様ではあるが、構成部のデザインと配置は多少異なる。この第2の代替実施形態における主な違いは、電磁クラッチユニット33が、クランクシャフトの代わりに、パワーステアリングユニットP_Sに搭載されたことである(図9参照)。この実施形態では、2段式ユニット31はクランクシャフトに搭載される(図10参照)。
【0052】
再び図9を参照すると、クラッチユニット33は、コイル57を有する電磁クラッチを備える。図9には、断面図の上半分が示され、下半分は鏡像で上半分と対称である。コイル57は、バックプレート75を介して固定ハウジング77に取り付けられる。ハウジング77は回転せず、クラッチを例えばエンジン表面などの面に取り付けるために用いられる。プーリ71を備えたロータ73は、ハウジング77に設けられたボールベアリング55に回転自在に取り付けられる。ベアリング55には、ボールベアリングが含まれるが、従来周知の適切な如何なるベアリングであってもよい。クラッチプレート61は、シャフト67、例えばプーリ69の周りに対称に一定間隔を置いて配置された3個のシャフト67を備えた第2プーリ69に可動な状態で取り付けられる。ゴムパッド65は、コイル57が通電されていないとき、プレート61をロータ73から遠ざけるように付勢する。この取り付け方法は、コイル57が通電されたときに、プレート61がプーリ69からロータ73に向けて軸方向に移動することを可能にし、これによりクラッチは連結状態とされる。またプーリ69は、パワーステアリングポンプのシャフトなど、補機にプーリ69を直接連結させるハブ53を備える。コイル57がプーリ71の幅内に収められ、プレート61がプーリ69の幅内に収められることから、クラッチが小型であることが理解されるであろう。
【0053】
図8を再び参照すると、この第2代替実施形態では、モード1において、電磁クラッチ57が連結状態とされる。プレート61はロータ73と摩擦係合し、これによりプーリ71、69を一体的に回転させる。クランクシャフトに固定的に連結されたプーリ90は、トルクをプーリ71に伝達する。ベルト32は負荷が掛かった状態にある。プーリ69はトルクをプーリ86を含む全ての補機に伝達しているが、一方向クラッチ82は非連結状態にあるためプーリ86からハブ80へはトルクは伝達されない。このモードでは、一方向クラッチは非連結状態にある。全てのトルクはプーリ90からベルト32を介して伝達される。
【0054】
モード2では、コイル57に通電がなされず、プーリ71は自由に回転し、ベルト32がシステムから切り離されていることからトルクは伝達されない。クラッチ82は連結状態にあり、補機にトルクを伝達する。プーリ69は、補機シャフトに直接連結されたハブ53に連結されていることからトルクを伝達する。
【0055】
上述された全てのプーリのmm単位での直径は、以下の通りである。
【表4】

【0056】
表4のシステムにおけるクランクシャフト/パワーステアリングプーリ比率は以下の通りである。
165/140=1.18 (モード1[第1]比率)
128/163=0.78 (モード2[第2]比率)
【0057】
第1プーリ86の直径は、第1実施形態において説明されたのと同様の方法で決定される。このモードにおける全補機の速さは、直接連結された従来システムに比べて約1/1.5倍遅い。
【0058】
この実施形態では、電磁クラッチ33により要求される軸方向スペースは、パワーステアリングポンプとその二段式プーリ組立体の間に配置される。この余分な長さを融通するには、パワーステアリングポンプをエンジンの長手方向軸に沿ってエンジンのフライホイール側へ移動する必要があるかもしれない。
【0059】
開示された全ての実施形態の構成部品は、従来この技術において知られている構成部品である。例えば、一方向クラッチは、フォームスプラグ(Formsprag)から得ることができる。電磁クラッチは、オグラ(Ogura)から得ることができる。例えば、図3、9はスタンダードなクラッチ、6 5576162型、トルク容量128Nm(図3)と10 515376型、トルク容量120Nmを示す。
【0060】
図9Aは、図9におけるクラッチユニットの別の実施形態である。図9Aには、断面図の上半分のみが描かれ、下半分は鏡像であり上半分と対称である。この実施形態では、エラストマ部材246はプーリ71とロータ73の間に配置される。エラストマ部材246は、ユニット33が直接クランクシャフトに連結されるときにダンパを構成する。この実施形態では、部材246は図8に示されるようにクラッチユニット33が直接補機シャフトに連結されるとき振動アイソレータを構成する。弾性部材246には、従来知られているあらゆる天然または合成ゴム、あるいは天然ゴムと合成ゴムの組み合わせが含まれる。
【0061】
図10は、2段比率ベルト伝動システムにおけるクラッチユニットの第2の代替的な実施形態における2段式プーリの断面図である。図10には、断面図の上半分のみが描かれ、下半分は鏡像であり上半分と対称である。2段式プーリ31は、図8のシステムに示される。プーリ90はハブ80に連結される。プーリ86は、一方向クラッチ82を介して回転自在にハブ80に係合される。エラストマダンピング部材330は、プーリ86とロータ84の間に配置される。部材330は、クランクシャフトの捻り振動を減衰する。エラストマダンピング部材には、従来知られているあらゆる天然または合成ゴム、あるいは天然ゴムと合成ゴムの組み合わせが含まれる。ロータ84は一方向クラッチ82と係合される。プーリ86は、エンジン点火により発生する速度と捻りの過渡現象を低減することに貢献する慣性部材88を更に備える。またそれは、クラッチ82が切られているときには補機の慣性を利用する。慣性部材88は、エンジンクランクシャフトの振動および慣性に係わる特性と、システムのダンピングへの要求から選択される大きさの質量を備える。
【0062】
図10Aは、図10における2段式プーリの別の実施形態の断面図である。図10Aには、断面図の上半分のみが描かれ、下半分は鏡像であり上半分と対称である。この実施形態では、エラストマダンピング部材302はプーリ90とハブ80の間に介装される。この実施形態では、2段式プーリ31はエンジンクランクシャフトに連結される。部材302は、さもなければベルト16を介して補機に伝達されるクランクシャフトの振動を遮断するダンパとして機能する。アイドル速度よりも高いエンジン速度ではクラッチ60が切られていることから、ダンパ302の寄与は、エンジンアイドル速度よりも高い速度で最大となり、このときダンパ302はトルクによる負荷ではなく慣性による負荷を吸収する。エラストマ部材には、従来知られているあらゆる天然または合成ゴム、あるいは天然ゴムと合成ゴムの組み合わせが用いられる。
【0063】
これまでの実施形態の何れにおいても、ベルト12またはベルト16、あるいは両者は、例えば従来周知の弾性率が低いベルトである。低弾性ベルトは、ナイロン4.6やナイロン6.6、あるいは両者の組み合わせなどからなる心線を備えるベルトである。ベルトの弾性率は、約1500N/mmから約3000N/mmの範囲にある。低弾性ベルトの特徴は、テンショナや、シャフトが可動な補機を用いなくともそれがベルト伝動システムに取り付け可能なことである。低弾性ベルトは、周知のベルト取付工具を用いて簡単に取り付けられる。工具は、ベルトを横方向に押し出し、トランスミッション(変速)プーリあるいは補機プーリのエッジを乗り越えさせるのに用いられ、工具を用いないときのようにプーリシャフトの中心位置を調整する必要がない。低弾性ベルトは、特に2点ベルト、すなわちベルト12、32に適している。これは変速機(トランスミッション)を、ベルト12、32の取り付け及び調整を可能にするため可動とする方法で装備することが、変速機を単純にエンジンブロックなどエンジンの取り付け面に直接連結するように設計する場合よりもコスト高となる可能性があるからである。更に、クランクシャフトに対して変速機のシャフト位置を調整するには、より長い組立時間を必要とするであろう。
【0064】
別の実施形態では、本発明のシステムは、補機と連携するモータジェネレータを備える。図11は、モータジェネレータを備えた別の実施形態の模式図である。モータジェネレータM/Gは、ベルト16と係合するプーリ150を介してベルト16に係合する。モータジェネレータM/Gがジェネレータを含むことから、図1の実施形態で備えられたオルタネータは省略される。更に、この別の実施形態では、適正なベルト張力を保証するためテンショナTen(プーリ20)が備えられる。テンショナTENは、従来周知である。図12に示されるものを除いて、図11に示されるシステムは、図1に示されたものと同様である。
【0065】
図12は、モータジェネレータを含むこの代替的な実施形態の平面的な模式図である。この代替的なシステムは2つのモードで運転される。
【0066】
始め、第1モードにおいて、エンジンが停止した状態でモータジェネレータM/Gがモータとして作動される。エンジンが停止した状態で、モータとして作動されると、M/Gは、例えばパワーステアリングポンプ(P_S)やエアコン用コンプレッサ(A_C)などの補機を駆動する。このモードでは、M/Gは要求に応じてエンジンを始動するのに用いられる。エンジン始動後、M/Gは第2モードにおいて、乗り物の補機に電力を供給しバッテリ800を充電するために電気エネルギを供給するための発電機として機能する。
【0067】
乗り物が停止した状態からエンジンが始動されるとき、モータモードにあるM/Gはエンジンを回転(クランク)する。クラッチ60はON状態に切り替えられ、これによりベルト12とプーリ62を係合させ、これによりトルクをM/Gからベルト16を介してプーリ13へと伝達し、更にベルト12へ、プーリ62へ、そしてクランクシャフトへと伝達する。
【0068】
エンジン始動過程において、コントローラ500はM/Gの速度を検出する。コントローラ500は、インバータ400にエンジンを始動するのに要求されるトルクと速度を達成するためのスイッチング動作を実行させる。例えば、もしエアコンA/Cのスイッチを入れるための信号がエンジン始動時にON状態に切り替えられると、A/CがOFF状態のときに比べてより大きなトルクが必要とされる。したがって、コントローラ500は、M/Gがより速い速度の大きなトルクで回転するようにインバータ400にスイッチング制御信号を印加する。
【0069】
スイッチング制御信号は例えば、コントローラ500に与えられるエンジンと乗り物の様々なステータス信号によって規定され、メモリに記憶されたマップメモリと照合される。あるいはスイッチング制御信号は、コントローラ500内に設けられたプロセッサユニット(CPU)による計算によって決定されてもよい。
【0070】
エンジンが一旦運転されると、M/Gはジェネレータとして作動し、本明細書のここ以外の場所において説明された2段比率プーリの運転モードが実行される。すなわち、クラッチ60は、エンジン始動および第1運転速度範囲(略アイドル速度)においてON状態とされる。またクラッチ60は、本明細書で説明されるように、略アイドル速度よりも速い第2運転速度範囲においてOFF状態、すなわち非連結状態とされる。補機はクラッチユニットそして一方向クラッチに連結され、エンジンが運転されているとき、第1速度比では補機はクラッチユニットにより駆動され、第2速度比では一方向クラッチにより駆動される。第1速度比と第2速度比はエンジン運転状態に基づいて選択される。
【0071】
システムにおけるM/Gの利用は、二重の燃費向上を実現する。第1には、燃費向上は、アイドル状態よりも速い速度において補機を低減された速度比で運転することにより実現される。第2には、燃費向上は、モータジェネレータの作動により所定の車両運転状況、例えば信号停止におけるエンジン停止を可能にすることにより実現される。
【0072】
より具体的には、M/Gがジェネレータとして使用されエンジンが略アイドル速度で運転されるとき、クラッチ60は図1に対して説明されたようにON状態とされる。アイドル状態よりも大きいエンジン速度において、クラッチ60はOFF状態とされ、一方向クラッチ42は連結状態とされる。これによりトルクは、プーリ66、ベルト16を介してクランクシャフトから補機に伝達される。
【0073】
エンジンとクランクシャフトが停止されている間に、モータモードで補機がM/Gにより作動されると、クラッチ60はOFF状態とされる。クラッチ60がOFF状態であることから、この構成はクラッチユニット11が「ニュートラル」ギアであるかのように事実上動作し、これによりプーリ150とベルト12からクランクシャフトへのトルクの伝達を防止する。更に、このモードでは、一方向クラッチ42はオーバーランモードにあり、ベルト16からクランクシャフトにトルクは伝達されない。このため、クランクシャフトを回転させることなく補機はM/Gによって駆動される。この場合、コントローラ500は、必要とされる補機の負荷に対応する速度とトルクでM/Gを回転するようにスイッチング制御信号をインバータ400に印加する。もちろん、クラッチ60は、図1及び2に対して説明されたように、アイドル状態よりも速いエンジン速度では非連結状態とされる。
【0074】
エンジン停止信号を受信すると、コントローラ500は、エンジンへの燃料供給を中断する信号を例えば電気燃量ポンプ(図示せず)に送信することによりエンジンを停止する。エンジン停止動作は、例えば、車両速度が0、ブレーキが部分的あるいはフルに掛けられる、シフトレバーがDまたはNに設定されているなどの条件の下で実行され得る。エンジンを停止する信号は、クラッチ60を非連結状態とするのに用いられ、これによりベルトをクランクシャフトから切り離す。
【0075】
図13は、2段比率ベルト伝動システムにおける代替的な配置の模式図である。本発明のシステムは、エンジン補機をエンジンアイドル状態において1:1よりも大きい速度比で運転する手段を提供する。すなわち補機は、エンジンアイドル状態で実現されたであろう速度よりも速い速度で駆動可能であり、事実上補機から見た見かけのエンジンアイドル速度を増大する。
【0076】
通常エンジンのオルタネータは、アイドル状態よりも速いエンジン速度、例えば、通常運転すなわち巡航速度に合わせた最適な寸法で作られることが知られている。それらは一般にエンジン速度がアイドル状態まで低減すると十分な充電能力をもたない。エンジンアイドル状態における充電能力不足の問題は、オルタネータをより速い速度、すなわち、エンジンがアイドル状態のときに、アイドル状態よりも速いエンジン速度にとなる速度、で作動することにより解決できる。
【0077】
発明のシステムは、2段階の速度でオルタネータを運転する能力を実現し、それぞれ所定の比率で、エンジンアイドル状態でのオルタネータの速度は実質的に増大され、アイドル状態よりも速いエンジン速度でのオルタネータの速度は低減される。
【0078】
補機駆動システムは、第1ベルト駆動経路500と、第2ベルト駆動経路701とを備える。第1ベルト駆動経路500は、オルタネータALTを含まない。その代わりに、オルタネータALTは、第2ベルト駆動経路701に含まれる。
【0079】
第1ベルト駆動経路500に関して、クランクシャフトプーリ202は原動部、すなわちエンジンクランクシャフト801に取り付けられ直接駆動される。無端部材、すなわちベルト1000は、クランクシャフトプーリ202、ウオーターポンププーリ801、エアコン用コンプレッサプーリ201、パワーステアリングポンププーリ801の間で回転自在に連結される。ベルト1000は、またアイドルプーリ1200とも係合される。ベルト1000は、原動クランクシャフトプーリ202から各々のプーリ801、1800、201、1200へとトルクを伝達する。テンショナTENとアイドラIDLは、ベルト張力を制御し、エンジン上でのベルトのルートを規定するのに用いられる。プーリ402の直径は、クランクシャフトプーリ202と同じであってもよい。
【0080】
第2ベルト駆動経路701は、一方向クラッチ601を介して原動クランクシャフト801に連結されるクランクシャフトプーリ402を備える。無端部材、すなわちベルト260は、クランクシャフトプーリ402、オルタネータプーリ240、プーリ1400の間で連結される。
【0081】
プーリ1200、1400は、シャフトにより補機などの負荷に直接連結されていないことから「アイドラ」とみなされる。補機は、必要であればプーリ1200に直接連結されてもよい。プーリ1200と1400の直径間の比率は、エンジンのアイドル状態におけるオルタネータ(ALT)の速度を決定する一因となる。
【0082】
電磁クラッチ1600は、プーリ1400と1200の間に機械的に配置される。クラッチ1600が連結されると、プーリ1200と1400は同じ回転速度で回転する。クラッチ1600が一方向クラッチでないことから、クラッチ1600が非連結状態とされると、プーリ1200と1400は機械的に連結されず、プーリ1200とプーリ1400の間ではトルクや動力は伝達されない。
【0083】
例えば900RPMなどのエンジンアイドル速度では、クラッチ1600は連結される。ベルト1000はプーリ1200を駆動する。プーリ1200は、連結されたクラッチ1600を介してプーリ1400に直接連結される。プーリ1400の直径に、プーリ1200の直径よりも大きい値が設定されることから、第2駆動系701のベルト260は、ベルト1000のよりも速いベルト線速度で駆動される。したがって、オルタネータALTは、ベルト100のベルト線速度で直接オルタネータALTを駆動したときよりも相対的に速く回転する。ベルト260がベルト1000の線速度よりも速く駆動されることから、この運転モードでは、プーリ402は一方向クラッチ601の作動により経路500が経路701から切り離されるオーバーランニングモードにある。このモードでは、トルクは、クラッチ1600を介してベルト1000を通してのみクランクシャフトプーリ202からベルト260へと伝達される。
【0084】
アイドル状態よりも速いエンジン速度では、クラッチ1600は、エンジンECUなどの動作により自動的に非連結状態とされる。エンジンECUは従来周知である。このモードでは、プーリ402が係合された一方向クラッチ601により駆動されると、オルタネータプーリ240は、プーリ402を介して伝達されるトルクにより駆動される。オルタネータALTの速度は、オルタネータプーリ240に所与の直径を仮定すると、プーリ402の直径によって決定される。プーリ402の直径が、プーリ202の直径と同じであれば、オルタネータALTの速度はどちらの運転モードでも変わらない。
【0085】
しかし、オルタネータの効率を高めるためにプーリ402の直径を小さくして、例えば巡航速度などの非アイドル状態のエンジン速度においてオルタネータALTの回転速度を低減することもできる。
【0086】
例えば、エンジンアイドル状態におけるオルタネータALTの速度を1.6倍に増大し、非アイドル状態のエンジン速度におけるオルタネータALTの速度を1/1.25倍に低減する場合の計算の実施例は以下の通りである。クラッチ1600を作動させ、それによりオルタネータの速度を変更する切替点は、エンジン速度が例えば約2,000RPMときである。
エンジンアイドル状態におけるオルタネータ速度の増大(SI):
SI=(Z1400/Z1200)
エンジンの非アイドル状態におけるオルタネータ速度の低減(SD):
SD=(Z402/Z202)
ここで“Z”はプーリの直径を示す。
SI=1.6
SD=1/1.25=0.8
これらの条件を満たすプーリの直径は:
Z1400=96mm
Z1200=60mm
Z402=(0.8×Z202)mm
ここで、Z202は、クランクシャフトプーリ202の独自の直径であり、この計算では単位として利用される。
【0087】
図14は、図13の別の実施形態の模式的な平面図である。第1ベルト駆動経路500にそれぞれが含まれることから、パワーステアリングポンプ、ウォーターポンプ、エアコン用コンプレッサは、クランクシャフトプーリ202によって、エンジン速度に対し1:1の比率で駆動される。
【0088】
図15は、多段比率ベルト伝動システムの代替的な配置の模式図である。図15、16に示される本実施形態は、プーリ1200、1400、及びクラッチ1600と同様な第2プーリ/クラッチ組立品、すなわちプーリ1201、1401、クラッチ1601、が追加されたこと以外、図13と同じである。
【0089】
プーリ1401は、ベルト260と係合される。プーリ1201は、ベルト1000と係合される。クラッチ1601は、プーリ1201とプーリ1401との間に機械的に配置される。第2プーリクラッチ組立体の利用は、オルタネータALTを駆動できる速度比の範囲を拡大する。
【0090】
この実施形態を用いて多くの運転モードを作ることができる。例えば、モード2では、クラッチ1601が係合される。ベルト1000はプーリ1201を駆動する。プーリ1201は、電磁クラッチ1601を介してプーリ1401に連結される。電磁クラッチ1601は、周知のエンジンECUにより運転される。
【0091】
このモードに対しては、プーリ1401の直径はプーリ1201の直径よりも大きいと仮定され、第2ベルト駆動経路701のベルト260は、より速い線速度を有し、オルタネータALTはより速く回転する。一方向クラッチ601は、オーバーランニングモードにある。このモードでは、オルタネータの速度は、図13の示されたモードの速度よりも遅い。
【0092】
モード3では、クラッチ1600とクラッチ1601が、双方とも非連結状態とされる。プーリ1400と1401は、それぞれアイドラとして作動する。一方向クラッチ601は連結され、プーリ402を介してベルト260にトルクを伝達する。オルタネータALTは、プーリ402によって駆動される。このモードにおけるオルタネータALTの速度は、プーリ402の直径によって決定される(プーリ240の直径は図14から変更されていないものと仮定する)。もし、プーリ402の直径がプーリ202の直径と同じであれば、オルタネータALTの速度は変わらない。しかし、オルタネータALTの速度は、プーリ402の直径を小さくしてオルタネータの効率を高めるために低減されてもよく、この場合、オルタネータの速度は、エンジンアイドル状態での従来のシステムの速度よりも低くなる。
【0093】
実施例:
モード1においてオルタネータALTの速度を2.0倍に増大し、モード2において1.2倍に増大し、モード3においてオルタネータALTの速度を1/1.25倍に低減する必要があると仮定する。
この場合:
S1=2.0
S2=1.2
S3=1/1.25=0.8
【0094】
図13からの式を用いると、これらの条件を満たすプーリ径の実施例は:
Z1400=1200mm
Z1200=60mm
Z1401=96mm
Z1201=80mm
Z402=0.8×Z202
ここで、先の実施例からZ202はクランクシャフトプーリ202の独自の直径である。
【0095】
図16は、図15の別の実施形態の模式的な平面図である。
【0096】
これまでの説明は、本発明のシステムに対するアプリケーションの限定を意図するものではない。上述の実施形態の各々において、システムにおける各プーリの直径は、要求される駆動比率を提供するために選択可能である。
【0097】
本発明の幾つかの方式がここで説明されたが、当業者であれば、ここで説明された本発明の精神と範囲から外れることなく、その構成やパート同士の関係を様々に変形できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】2段比率ベルト伝動システムの模式図である。
【図2】2段比率ベルト伝動システムの平面模式図である。
【図3】クラッチユニットの半断面図である。
【図4】2段式プーリの半断面図である。
【図4A】2段式プーリの別の実施形態の半断面図である。
【図5】2段比率ベルト伝動システムの第1の代替的な実施形態の模式図である。
【図6】2段比率ベルト伝動システムの第1の代替的な実施形態の平面模式図である。
【図7】2段比率ベルト伝動システムの第2の代替的な実施形態の模式図である。
【図8】2段比率ベルト伝動システムの第2の代替的な実施形態の平面模式図である。
【図9】2段比率ベルト伝動システムにおけるクラッチユニットの第2の代替的な実施形態の半断面図である。
【図9A】図9のクラッチユニットの別の実施形態である。
【図10】2段比率ベルト伝動システムのクラッチユニットの第2の代替的な実施形態における2段式プーリの半断面図である。
【図10A】図10の2段式プーリの別の実施形態の半断面図である。
【図11】2段比率ベルト伝動システムにおけるモータジェネレータを備えた代替的な配置の模式図である。
【図12】図11におけるモータジェネレータを備えた別の実施形態の平面模式図である。
【図13】2段比率ベルト伝動システムの代替的な配置の模式図である。
【図14】図13の別の実施形態の平面模式図である。
【図15】多段比率ベルト伝動システムの代替的な配置の模式図である。
【図16】図15の別の実施形態の平面模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無端部材により第1従動部材に回転自在に連結される原動部材と、
前記原動部材と第2従動部材との間で回転自在に連結される第2無端部材と、
前記第1無端部材から前記第2無端部材へとトルクを選択的に伝達するために前記第1無端部材と前記第2無端部材との間に配置される第1クラッチと、
前記第2無端部材を前記原動部材から選択的に切り離すために前記第2無端部材と前記原動部材との間に配置される第2クラッチと
を備えることを特徴とするベルト伝動システム。
【請求項2】
前記第1クラッチが、第1プーリと第2プーリを更に備え、前記第1プーリと前記第2プーリが異なる直径を有し、
前記第2クラッチが一方向クラッチを備えることを特徴とする請求項1に記載のベルト伝動システム。
【請求項3】
前記第2従動部材がオルタネータであることを特徴とする請求項1に記載のベルト伝動システム。
【請求項4】
前記第1クラッチが電磁クラッチであることを特徴とする請求項1に記載のベルト伝動システム。
【請求項5】
前記第1クラッチが所定のアイドル速度において連結されるとともに、トルクを伝達するために前記第2クラッチが連結されないことを特徴とする請求項1に記載のベルト伝動システム。
【請求項6】
前記第1クラッチが連結されていないときに、トルクを前記第2従動部材に伝達するため前記第2クラッチが連結されることを特徴とする請求項1に記載のベルト伝動システム。
【請求項7】
前記第1無端部材から前記第2無端部材へとトルクを選択的に伝達するために前記第1無端部材と前記第2無端部材との間に配置される第3クラッチを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のベルト伝動システム。
【請求項8】
前記第3クラッチが電磁クラッチであることを特徴とする請求項7に記載のベルト伝動システム。
【請求項9】
前記第3クラッチが連結されていないときに、前記第2クラッチが前記第2従動部材にトルクを伝達するために連結されることを特徴とする請求項7に記載のベルト伝動システム。
【請求項10】
前記第1クラッチが連結されていないときに、前記第2クラッチが前記第2従動部材にトルクを伝達するために連結されることを特徴とする請求項7に記載のベルト伝動システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−530551(P2009−530551A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500362(P2009−500362)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/004551
【国際公開番号】WO2007/108887
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】