説明

可変渦巻タービン

可変吸気領域タービンは、タービン吸気領域へと渦巻内に運搬された排気ガスを流入させる排出領域を有する渦巻を用いる。端部を有する屈曲性の分割壁は、タービン吸気領域の近傍に規定され、渦巻の外壁へと滑らかな湾曲をもって移行する経路に沿って移動することができる。この分割壁は経路に沿って挿入したり引き込むことで選択的に配置することができ、排出領域を実質的な閉鎖型から実質的な開放型へと変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、本願と同一の発明者による2009年8月30日出願の仮特許出願第61238593号、名称Variable Volute Turbine(可変渦巻タービン)の優先権に基づくものである。
【0002】
本発明は概して内燃エンジン用のターボチャージャの分野に関し、より具体的には、屈曲性の分割壁を有するターボチャージャのタービン渦巻に関するものである。端部位置を変化させるように移動可能な壁を有する屈曲性の分割壁は、当該屈曲壁の端部において渦巻のスロート部を規定且つ制御し、その結果、タービンホイールへとフローを排出する渦巻の外周の範囲および割合を減少させる。
【背景技術】
【0003】
ターボチャージャは、自動車や他の輸送手段に使用する多くの形態をした内燃エンジンに利用されている。ターボチャージャは一般に、エンジンからの排気ガスを供給する吸気渦巻を用いて動作するラジアルタービンを利用し、エンジンへの吸気チャージのためにコンプレッサを駆動させる。ターボチャージャについて所望のパワーを得るためにタービンを制御することが多くの場合必要とされる。可変容量タービンの目的は、制御可能な可変タービンのパワー出力が生じるように一部の可動機構を作動できるようにすることである。図1に示す修正流量カーブでは、一定の物的流量を仮定して従来の可変ノズルタービンのベーンを閉鎖すると、作動点が低修正流量かつ高膨脹比へと移動し、その結果、更にパワーを生成している。
【0004】
可変容量タービンの問題点および制約事項はよく知られており、これらの問題点を克服すべく、より優れた機構について絶え間なく研究されている。一定および可変のノズルベーンを有するタービンが、多くの産業用の適用例、すなわち航空用ガスタービン、産業用ガスタービン、ターボ膨脹機、スチームタービン等において標準的である。固定式ノズルベーンは、限られた作動範囲、振動が誘発するタービンホイールの疲労破壊、およびノズルベーンを通過するタービンブレードにより生成される騒音のため、ターボチャージャにおいて従来は一般的でなかった。
【0005】
従来の適用例におけるノズルが成功し、ターボチャージャにおいては比較的不成功である理由は、ターボチャージャのタービンは非常に広い速度範囲にわたり、一般的に少なくとも10倍の範囲で動作するためである。殆どの産業用タービンの適用例では、タービンの速度範囲は通常、非常に限られている(2または3倍まで)。タービンが起動時および停止時の数秒間のみ共振して動作する場合、振動を誘発するノズルとタービンホイールの自然の振動モードの間の共振は、殆どの産業用の適用例では許容することができる。設計者にとって、これらの共振を最大速度以上、または通常の動作帯未満の何れかに近づけることは、ターボチャージャの広い速度範囲のために非常に難しい。
【0006】
従来のベーン付可変容量タービンにおけるベーンを閉鎖すると、ベーンによる膨脹は、フローが超音速になり衝撃波が下流に生じる臨界点に達する。各通路は特定の衝撃波(または複数の衝撃波)を作り出すため、各タービンブレードは1秒に数百または数千の衝撃波を通過する。この衝撃波を切断する周波数がタービンホイールの振動モードと一致した場合、タービンホイールは数分で故障してしまう。タービンホイールは多くのブレードおよびハブモードを有し、振動の次数も明らかにせねばならないため、非常に複雑な問題である。自動最適ルーチンを用いて有限要素の応力や振動解析とリンクした最も高機能の計算流体力学を実行するコンピュータの「クラスター」でさえ、解を集束させることは困難である。
【0007】
内燃エンジンのブーストおよび背圧について更に制御する必要性が高まるにつれて、可変容量タービンは最新型のエンジンに広く普及してきた。残念ながら、これによりブレードの振動破損による多くの現場での課題が生じ、解決策はないか解決策は厳しい結果、すなわち空気力学的に十分ではなく慣性が大きくなるという結果を有するというように、タービン設計者は設計の許容範囲が制限されていた。
【0008】
ノズルベーンを有しない多くの可変容量タービンが発明されてきたが、全動作範囲にわたる性能が一般的に不足しているため広く利用されていない。ターボチャージャにおける可変容量タービンの性能は、エンジン設計者にとって最も重要である。ターボチャージャは、低エンジン速度で性能が低く、増大するパワーのトランジェントに応じた遅れまたは遅延があるという既知の特徴を有している。ロータ群の慣性は重要な設計要素として広く認識されている。しかしながら、主な要因は、ベーンがかなり閉鎖された状態で動作した状態における低エンジン速度での可変容量タービンの効率である。
【0009】
図2は1982年、MacMillan Press Ltdによって公表されたNeil WatsonおよびMarian Janotaの「Turbocharging the Internal Combustion Engine(内燃エンジンのターボチャージ)」を再現しており、タービン速度Uと等エントロピー気体速度Cの比に対するラジアルタービン効率の典型的なグラフを示している。基本的に、このグラフは低エンジン速度で動作しているラジアルタービンの限界を示している。この動作条件ではU/Cは非常に低く、パワーが増大するエンジンのトランジェントが行われた場合には、ベーンは更に閉鎖される。これにより気体速度が上げる一方、タービン速度は低いままの状態となる。U/Cパラメータは多くの場合、定常状態では0.3まで、トランジェント条件では0.2以下まで低下し、極端に低いタービン効率ひいては応答性の低下が生じる。
【0010】
数年間にわたるターボチャージャ技術者による多くの研究はこの課題を解決しようとしてきた。残念ながら、これはラジアルタービンの基礎物理学によって制御されている。従って、この可変容量タービン設計の他の目的は、ラジアルタービンの基礎物理学における「盲点」を発見し、低いブレード速度比でのタービン効率を改善することである。
【0011】
図3は、ベーン付可変容量タービンの典型的な特徴を示す汎用グラフである。効率の特徴を観察してみると、最大効率が一定の修正流量で発生することが分かる。各ブレード通路が理想的な修正流量を有するときに高効率が得られるという推測がこのデータから得られる。低流量で高い効率を得るために明らかな解決策は、小型タービンを使用することである。タービンホイールは最大秒速500メートルの先端速度で回転するため、可変サイズのタービンホイールを作ることは非現実的である
【0012】
従って、可変機構から誘発される振動によるタービンホイールの破損をなくすことが望ましい。低いタービン速度と気体速度の速度比(U/C)でのタービン性能を高めることが更に望ましい。さらに、タービンホイールの破損が減少する結果として生じる影響として騒音が低減することが望ましい。
【0013】
多くの一定容量ターボチャージャは分割されたタービンハウジングを利用しており、シリンダからの排気ガスが2(またはそれ以上)の通路へと送られ、これらのシリンダからの排気ガスはタービンホイール入口まで分かれている。この目的は、「パルス過給(pulse charging)」を活用し、高圧パルスが近接するシリンダの上流に移動するのを防ぐことでシリンダの排気洗浄作用を向上させることである。従来の可変容量タービンは、ベーンの制約がパルスを減少させる上流の背圧を生成し、幾何学的な制約がベーンを通るフローのメリジオナル分離を妨げるため、「パルス過給」を利用することができなかった。従って、可変容量タービンが有する、効果的に「パルス過給」を利用することへの制約を取り除くことがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0014】
本願の実施形態は、タービン吸気領域へと渦巻内に運搬された排気ガスを流入させる排出領域を有する渦巻を有している可変吸気領域タービンを記載している。端部を有する屈曲性の分割壁は、タービン吸気領域の近傍に規定され、渦巻の外壁へと滑らかな湾曲をもって移行する経路に沿って移動することができる。この分割壁は経路に沿って挿入したり引き込むことで選択的に配置することができ、排出領域を実質的な閉鎖型から実質的な開放型へと変化させる。
【0015】
第1の実施形態では、屈曲性の分割壁は経路を制限している軌道を通るリンクトレーンである。第2の実施形態では、屈曲性の分割壁はダブルディスクアセンブリに保持された屈曲バンドであり、このダブルディスクアセンブリはタービン吸気領域を取り囲み、ダブルディスクアセンブリを介して渦巻の排出領域を開くために渦巻の外壁のスロットへと徐々に引き込む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、添付の図面と併せて検討すると、以下の詳述を参照することでよりよく理解されるであろう。
【図1】図1は、可変ノズルを有するタービンの修正流量および膨脹比のグラフである。
【図2】図2は、タービン速度と等エントロピー気体速度の比に対する効率のグラフである。
【図3】図3は、可変容量タービンの特性を示す、膨脹比に対する修正流量のグラフである。
【図4】図4は、第1の実施形態の可変排出領域を利用するタービンの渦巻の上部断面図であり、屈曲性の分割壁はタービン吸気部を実質的に閉じた状態である。
【図5】図5は、第1の実施形態の可変排出領域を利用するタービンの渦巻の上部断面図であり、屈曲性の分割壁はタービン吸気領域全体を実質的に開いた状態である。
【図6A】図6Aは、図5の線6A−6Aに沿った側断面図である。
【図6B】図6Bは、図4の線6B−6Bに沿った側断面図である。
【図6C】図6Cは、明確にするために渦巻の一部を表した、第1の実施形態の屈曲性の分割壁のリンクの詳細図である。
【図7】図7は、第2の実施形態の可変排出領域を利用するタービンの渦巻の上部断面図であり、屈曲性の分割壁はタービン吸気部を実質的に閉じた状態である。
【図8】図8は、図7の第2の実施形態の渦巻の側断面図である。
【図9】図9は、屈曲性の分割壁用のバンドの代替的な実施形態の詳細な断面図である。
【図10】図10は、バンドを保持し、作動させるダブルディスクアセンブリの等角図である。
【図11A】図11Aは、変更されたリンクの分割壁を有する第2の代替的な実施形態の左上部等角図である。
【図11B】図11Bは、図11Aの第2の代替的な実施形態の右上部等角図である。
【図11C】図11Cは、図11Aの第2の代替的な実施形態の右底部等角図である。
【図12】図12Aおよび12Bは、屈曲リンクの分割壁を組み込んだ、分割型渦巻の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本書に記載された実施形態は、タービンホイールの360度の外周全体ではなく渦巻に囲まれたホイールの一部にのみ流入させることにより、タービンホイールの一部のみを利用している。ブレード通路によるゼロフロー時に関連する損失はあるが、この損失は合計フローの高効率と比較すると小さい。さらに、フローが最大限の速度で多数の小さい通路に分割されるのではなく1つの通路に集束した場合、フローの摩擦損失は実質的に低下するであろう。従来、タービン渦巻は0度で設計上のスロート部が始まり、360度に移行するにつれてゼロ領域へと縮小する。運動量保存の法則によると、スロート部(A)をこの部分の中心の半径(r)で割った値がホイールへのフローベクトルを制御する。限られた方法でスロート部を変化させるような可動フラップまたはレバーを有する多くの可変容量タービンのデザインがある。本書に開示された実施形態は、A/rおよびホイールへの渦巻排出部の割合を滑らか且つ連続的に変化させて、非常に高い領域ターンダウン(最大排出領域と最小排出領域の比)を実現する方法を提供する。一実施形態は、完全に閉鎖して無限大のターンダウン比を実現するよう設計することもできるが、実際の実施例は10/1乃至20/1のターンダウン比を有する。
【0018】
図面を参照すると、図4および5は、図示された実施形態についてはリンクトレーンであって、リンクトレーンを軌道に沿って挿入あるいは引き込むことにより選択的に配置される屈曲性の分割壁14用の滑らか且つ連続的な通路または軌道12を有する渦巻10を図示している。これにより、渦巻排出領域16のスロート部15は屈曲性の分割壁の端部18に従動し、渦巻内に運搬された排気ガスのフローをタービン吸気領域19を通してタービンホイールへと排出する渦巻の外周の範囲および割合を減少させ、タービン吸気領域19は分割壁が完全に引き込まれた状態で渦巻排出領域の全体を構成する。図面に示すように、分割壁は、軌道部20におけるタービン吸気部の直径(渦巻の内側)周囲の軌道から、末端の軌道部22における渦巻の外側の軌道まで移行する。図4は、大部分が閉じた位置にあるリンクトレーンの分割壁14が渦巻排出領域16’をタービン吸気領域全体の狭い部分19’のみとする機構を図示しており、図5は、渦巻排出領域16”をタービン吸気領域全体の広い部分19”とする、大部分が開いたか引き込まれた位置にあるリンクトレーンの分割壁を図示している。
【0019】
渦巻10はらせん形状を有し、その湾曲部は、渦巻が渦巻吸気部24の完全に開いた設計領域から渦巻後部26のゼロ領域に移行するにつれて連続的に減少する。最後の湾曲部はタービンホイール28の直径の一定湾曲部よりも僅かに大きく、既定のクリアランスを有している。滑らかな数学的曲線はホイール周囲の一定半径から移行する軌道12に沿った経路を規定し、渦巻の外壁30(図6Aおよび6Bに最もよく見られる)へと一体化させることができる。図4および5に見られるように、これは、屈曲性の分割壁として機能するリンクトレーンまたは屈曲バンドが従動できる滑らかで連続的な曲線である。図4、5および6A/Bの実施形態について、リンクトレーンの分割壁12が渦巻後部26に達するまで、渦巻の外壁周囲の空洞31に含まれる軌道部22は、渦巻排出領域とタービン吸気領域の間に分割面を与えないリンクの収納空間として機能する。4の異なる半径方向における切断部の渦巻断面を示す図6Aおよび6Bでは、ホイールから渦巻を分割する有効位置と、渦巻外側の空洞部の収納位置の双方にあるリンクトレーンの屈曲性の壁14を見ることができる。
【0020】
屈曲壁を形成するリンクの一形態がこの実施形態の図面に示されているが、リンクまたは連続的な屈曲バンドの異なる形態も可能である。以下に図示し、説明するようなデザインの利点もある。
【0021】
渦巻スロートが下流の渦巻排出領域に向けて連続的にサイズ変更されるにつれて、結果として、渦巻入口から渦巻排出部およびタービン吸気部に流れる排気ガスは更に接線方向のフローとなり、矢印29に表すような瞬間的な流量は、たとえタービンの一部にのみ連続的であったとしても一定レベルでタービンへと保持される。タービンを通る排気フローの圧力低下により、(渦巻と流体連通している)屈曲性の分割壁リンクの外側領域と、(タービンと流体連通している)屈曲性の分割壁リンクの内側領域の間には圧力差が生じる。これにより、リンクにはタービンホイールの方向へと半径方向の力が生じる。かなりの領域に圧力が作用するため、この力は相当大きくなることがある。従って、屈曲性の分割壁14のリンクと渦巻ハウジングの内壁の軌道12の間の干渉を低摩擦にすることは不可欠である。図示された実施形態について、それぞれのリンク33を互いに連結するピン32はさらに、この機構の摩擦を低下させるローラとしても機能する。図6Cは、屈曲性の分割壁14について記載された実施形態のリンク33を詳しく図示している。
【0022】
エンジンの種類によっては温度が600−1000℃を越えることもあるため、この機構への注油は不可能である。一実施例では、セラミックのピンおよびリンクを利用して、耐摩耗性かつ耐振動性の低摩擦、高硬度、低質量の機構を提供する。この機構はニッケルおよび/またはコバルト合金を用いて金属に設計することもできる。
【0023】
図示された実施形態について、図4に示すようなリンクの上部および底部の回転ピン32と係合するギア歯36を有するダブルギア34を用いて、リンクトレーンを動作させる。機構のコストを削減するため、この機構はできる限り少ないリンクで設計されるべきであり、これはリンクができる限りそのように設計されるべきであることを意味している。この結果、直径が大きいギアを利用しない限り、ダブルギアを動作させる歯の間隔は大きくなりすぎる。しかしながら、連結ピンを模した、固定の円形突出部38をリンクの壁に有することもできる。溝の高摩擦を防ぐため、これらのピンは回転ピンよりも小さくてもよく、あるいは、溝と摩擦するのを防ぎ、更にダブルギアと係合するのに適した表面を与える、底面に成形された僅かな平面を有していてもよい。代替的な実施形態は、各セグメントが複数の歯を有して多数の延在ピンと同時に係合する回転セグメントラックを利用してもよい。
【0024】
図7および8は、屈曲性の分割壁として弾性バンド40を利用する代替的な実施形態を示している。図示された実施形態について、約1.5mmの厚さのインコネルのような耐熱性の金属片が、タービンホイールよりも僅かに大きい円形に形成されて丸くなっている。バンド40は、第1端部41においてタービン28と同心のダブルディスクアセンブリ42(図10に示す)に取り付ける。ダブルディスクアセンブリを回転させると、タービンの外周を覆う、あるいは外周を露わにする。このバンドは、バンドの第2端部50に取り付けられたローラ48およびダブルディスクと渦巻先端56の間の支持されていない空間にわたってバンドをガイドする2のガイドローラ52、54を用いて、渦巻10の外壁46のスロット44内にガイドされる。このバンドは、端部ローラ48’がスロット端部にある完全に格納された位置の想像線40’に示されている。これは、湾曲部の半径の変化が最小限となるような設計であり、バンドの屈曲性により、ディスクアセンブリの小さい直径から渦巻外壁の拡張したらせん形状まで移行する形状の要求事項を満たすように変形することが可能となる。
【0025】
図8および10に見られるように、ダブルディスクアセンブリ42は間隔を開けて配置されたリブ64に連結された外側ディスク62と内側ディスク60を包含しており、バンドが引き込まれたときに、渦巻排出領域16とタービン吸気領域19の間に開いたフロー経路を提供する。内側ディスク60は、スロット内にバンドを挿入する、あるいはそこからバンドを引き込むためにアセンブリを回転させる摩擦ホイールまたはギアドライブ69を有するベアリング68と係合するフランジ66を具えている。
【0026】
図9に示すように、代替的な実施形態について、バンドの断面は、当該バンドの構造的特性を高める縦方向のディンプルまたは縦溝70を有しうる。
【0027】
第2の代替的な実施形態が図11A、11Bおよび11Cに図示されており、最初の2つの実施形態のバンドおよびリンクの屈曲分割壁の機構のデザインが組み合わされている。ドライブディスク72(図示のような片側要素、または図8、9および10の屈曲バンドと共に用いられるようなダブルディスクであってもよい)は、リンク74で形成された屈曲性の分割壁と係合するための内側軌道を提供している。これらのリンクは、平坦な壁面76と、リンクの関節接合ジョイントを提供する係合端面78を有している。従リンク80は、バンドの実施形態について図8に示すような渦巻外壁の収納スロット44内に残る。先導リンク82はドライブディスク72に取り付けられ、ドライブディスクの回転によって、ドライブディスクに巻き付けられる、あるいはそこから伸長する。リンクが従動する経路は、経路線83として想像線に示されている。駆動ギア84は、駆動のために駆動スプロケットと係合している。リンク間の係合面78の自ら関節接合する特性は、スロットと摺動係合して保持される係合面および平坦な壁面を用いて、バンドの態様で特定された先端ローラの必要性を解消する。
【0028】
図12Aおよび12Bに示すように、分割されたタービンは、タービン渦巻ハウジングに従来のメリジオナル分割部86を用いることによって実現し、タービンホイールに入るまで分割された2つのフローの流れを保持することができる。メリジオナル分割部によって、タービンは「パルス過給」を活用し、高圧パルスが近接するシリンダの上流に移動するのを防ぐことでシリンダの排気洗浄作用を向上させることが可能となる。図12Aおよび12Bに示す分割された渦巻の他の要素及び機能は、図6Aおよび6Bに示す分割されていない渦巻と同等である。
【0029】
特許法に規定されるように本発明を詳しく記載してきたが、当該技術分野の当業者は本書に開示された特定の実施形態を改変および置換することを認識するであろう。このような改変は、以下の特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲および意図する範囲内となる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦巻(10)であって、タービン吸気領域(19)へと当該渦巻内に運搬された排気ガスを流入させる排出領域(16)を有する渦巻と;
端部(18)を有し、前記タービン吸気領域の近傍に規定され前記渦巻の外壁(30)内へと滑らかな曲線で移行する経路(12)に沿って移動することができる屈曲性の分割壁(14)とを具える可変吸気領域タービンにおいて、前記分割壁は、前記排出領域を実質的な閉鎖型から実質的な開放型へと変化させるべく、前記経路に沿って挿入したり引き込むことで選択的に配置できることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項2】
請求項1に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記屈曲性の分割壁がリンクトレーン(14)を具え、前記経路は前記タービン吸気領域を実質的に取り囲み、前記渦巻の外壁へと移行する軌道(20、22)を具えており、前記リンクトレーンは、前記排出領域を開放すべく前記外壁(30)の前記軌道に沿って引き込まれることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項3】
請求項2に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記リンクトレーンは、リンクを連結し前記軌道へと延在するピン(32)を組み込んでおり、前記ピンと係合し前記軌道に沿って前記リンクトレーンを挿入したり引き込むように回転するギア(34)をさらに具えることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項4】
請求項3に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記リンクトレーンがさらに、前記ギア(34)と係合するため、前記ピンの中間の前記リンク上に突出部(38)を組み込んでいることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項5】
請求項3に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記ピン(32)が、前記軌道(20、22)と低摩擦係合するように回転することを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項6】
請求項1に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記屈曲性の分割壁が屈曲バンド(40)を具え、さらに:
前記タービン吸気領域を取り囲み、前記バンドの第1の端部(41)が取り付けられた回転可能なダブルディスクアセンブリ(42)であって、前記経路の第1の部分を具えている回転可能なダブルディスクアセンブリと;
前記経路の第2の部分として前記バンドを収容するスロット(44)を有する外壁を有している渦巻とを具えることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項7】
請求項6に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記屈曲バンドがさらに、前記スロット(44)内に収容されるローラ(48)を有する第2の端部(50)を有していることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項8】
請求項6に記載の可変吸気領域タービンがさらに、前記渦巻の先端(56)に配置されたローラセット(52、54)を具え、前記第1および第2の部分の中間の前記経路の支持されていない第3の部分にわたって構造的に支持するため前記バンド(40)と係合することを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項9】
請求項6に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記ダブルディスクアセンブリは間隔を空けて配置されたリブにより保持された内側ディスク(60)と外側ディスク(62)を具え、前記内側ディスクはさらに、ベアリングシステム(68)によって支持されたフランジ(66)を有することを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項10】
請求項9に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記ベアリングシステムが、前記ダブルディスクアセンブリを回転させるための駆動ホイール(69)を有することを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項11】
請求項1に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記渦巻が、メリジオナル分割部(86)を組み込んでいることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項12】
渦巻(10)であって、タービン吸気領域(19)へと前記渦巻内に運搬された排気ガスを流入させる排出領域(16)を有する渦巻と;
前記渦巻の排出領域とタービン吸気領域の間の経路を制限し、前記タービン吸気領域を実質的に取り囲み、前記渦巻の外壁(30)の空洞(22)内へと延在している軌道(20、22)と;
前記軌道に保持され、前記タービン吸気領域を取り囲む第1の実質的な閉鎖位置から、前記リンクトレーンが前記空洞内に引き込まれた第2の実質的な開放位置まで配置することができるリンクトレーン(14)とを具えることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項13】
請求項12に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記リンクトレーンが、リンク(33)を連結し前記軌道へと延在するピンを組み込んでおり、前記ピン(32)と係合し前記軌道に沿って前記リンクトレーンを挿入したり引き込むように回転するギア(34)をさらに具えることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項14】
請求項13に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記リンクトレーンがさらに、前記ギアと係合するため、前記ピンの中間の前記リンク上に突出部(38)を組み込んでいることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項15】
請求項13に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記ピンが、前記軌道と低摩擦係合するように回転することを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項16】
渦巻(10)であって、タービン吸気領域へと前記渦巻内に運搬された排気ガスを流入させる排出領域を有する渦巻と;
前記タービン吸気領域を取り囲む回転可能なダブルディスク(43)アセンブリによって着脱可能に保持された屈曲壁(40、74)であって、当該壁の第1の端部は前記回転可能なダブルディスクアセンブリに取り付けられている屈曲壁とを具える可変吸気領域タービンにおいて:
前記渦巻は前記壁を収容するスロット付きの外壁を有し、前記壁は、前記タービン吸気領域を取り囲む前記ダブルディスクアセンブリ上の第1の実質的な閉鎖位置から、前記壁が前記スロット内に引き込まれた第2の実質的な開放位置まで配置できることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項17】
請求項16に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記屈曲壁はバンド(40)であって、当該バンドは更に、前記スロット内に収容されるローラ(48)を有する第2の端部を有していることを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項18】
請求項16に記載の可変吸気領域タービンがさらに、前記渦巻の先端(56)に配置されたローラセット(52、54)を具え、第1および第2の部分の中間の経路の支持されていない第3の部分のわたって構造的に支持するために前記バンドと係合することを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項19】
請求項16に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記ダブルディスクアセンブリが、間隔を空けて配置されたリブ(64)により保持された内側ディスク(60)と外側ディスク(62)を具え、前記内側ディスクはさらに、ベアリングシステムによって支持されたフランジ(66)を有することを特徴とする可変吸気領域タービン。
【請求項20】
請求項16に記載の可変吸気領域タービンにおいて、前記屈曲壁が、接合リンク(76)アセンブリであることを特徴とする可変吸気領域タービン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2013−503301(P2013−503301A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527063(P2012−527063)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/047112
【国際公開番号】WO2011/026018
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(511286366)
【氏名又は名称原語表記】ARNOLD,Steven,Don
【Fターム(参考)】