説明

可撓性管継手

【課題】簡単に曲げて施工することができ、螺旋状の補強部材を設けるとともに、硬度差のある材料を用いても成形後の変形を防止でき、反発力を利用することで施工も容易な可撓性管継手を提供する。
【解決手段】両端部に連結部11aを有する管本体11と、この管本体11の外周に螺旋状に設けられる補強部材12とからなる可撓性管継手10で、管本体11と補強部材12とを硬度が異なる合成樹脂とし、補強部材12の各螺旋の間の管本体11の表面を、中央部11bが低くなる傾斜面11c,11cに形成し、両端部を環状に連結したリング部12aを有する螺旋状に形成し、螺旋12bの間隔Dを10〜25mmとする。管本体11の傾斜面11c,11cにより、曲げ易くし、施工を容易にする。螺旋の両端部のリング部12aで、剛性を高めて、硬度差による成形後の変形を防止し、押し縮めても引き伸ばし方向に反発力を生じさせ、配管への取付を容易とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は住宅用の排水管などの接続に使用される可撓性管継手に関し、簡単に曲げて施工できるとともに、成形時の変形を防止できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
マンションなどの集合住宅や一個建て住宅などの住宅用の雑排水用の配管の継手として可撓性管継手が用いられており、配管同士の芯ずれの吸収や曲がり部分の接続、あるいは地震時の破損防止や免震のために用いられている。
【0003】
従来、可撓性管継手としては、蛇腹構造とされ、管の内外壁面を凹凸状にすることで、可撓性を持たせるようにしたものが一般的であり、内壁面の凹凸により内径がその分小さくなるとともに、排水の流量が少ない場合に排水や固形物等が凹部に溜まりやすく、悪臭などが発生し易いものであった。
【0004】
そこで、内壁面を平滑にして排水の滞留などを防止できる可撓管継手が種々提案されており、例えば、図4に示すように、低弾性樹脂からなる管状体1に、ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材2を管状体1に対して螺旋状に設けて一体化して構成した可撓性管状体も提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、 内壁面を平滑にした軟質筒状本体と、この筒状本体の外周面に硬質リングを軸方向に離間して一体に形成した可撓管継手が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−241574号公報
【特許文献2】特開2005−172186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような可撓管継手では、90度の曲がり部分に使用する場合に、螺旋状の補強部材間や硬質リング間の管状体が曲がり部分の内側では押し縮められる一方、曲がり部分の外側では引き伸ばされることになるが、管状体が均一な肉厚のため曲げ難く、施工がやり難いという問題がある。
【0007】
また、軟質の筒状本体の外周に螺旋状や硬質のリングの補強部材を一体に成形すると、樹脂などの材料の硬度差によって成形後に変形が生じ易く、特に硬質リングを平行に設ける場合には、一本に繋がっている螺旋状の補強部材に比べてリング同士が独立し連結されていないことから一層変形が生じ易いという問題がある。
【0008】
さらに、硬質リングを平行に配置した可撓管継手では、配管同士を接続する場合、一旦押し縮めて配管の間に入れた後、両端部の連結部をそれぞれ配管に挿入するが、引き伸ばし方向には軟質の筒状本体の弾性による反発力が作用するだけであり、作業者が引き伸ばしながら取り付けなければならないという問題もある。
【0009】
この発明は、かかる従来技術の課題に鑑みてなされたもので、簡単に曲げて施工することができ、螺旋状の補強部材を設けるとともに、硬度差のある材料を用いても成形後の変形を防止でき、反発力を利用することで施工も容易な可撓性管継手を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、可撓性管継手について鋭意検討を重ねた結果、管本体と螺旋状の補強部材との硬度差、螺旋の間隔および管本体の縦断面形状などによって、曲げ易く、螺旋状の補強部材であっても硬度差による成形後の変形も防止できる構造があることを見出し本願発明を完成したもので、その具体的な構成は、以下の通りである。
【0011】
すなわち、上記従来技術の課題を解決するためこの発明の請求項1記載の可撓性管継手は、 両端部に連結部を有して内外面がほぼ平滑な管本体と、この管本体の外周に螺旋状に設けられる補強部材とからなる可撓性管継手であって、
前記管本体と前記補強部材とを硬度が異なる合成樹脂で構成し、
前記管本体の硬度を70〜30(JISK6253タイプAデュロメータ)とする一方、前記補強部材の各螺旋の間の当該管本体の表面を、中央部が低くなる傾斜面に形成するとともに、当該傾斜面の基端肉厚を1〜3mmとし、
前記補強部材の硬度を100〜80とするとともに、前記補強部材の両端部を環状に連結したリング部を有する螺旋状に形成し、当該螺旋の間隔を10〜25mmとしたことを特徴とするものである。
この可撓性管継手によれば、管本体の硬度および肉厚をこれらの値とするとともに、管本体の螺旋の間の表面を中央部が低い傾斜面とし、補強部材の硬度および螺旋の間隔をこれらの値とすることで、曲がり部分の内外の変形を促して曲げ易くして施工を容易とし、しかも螺旋の両端部を環状のリング部とすることで、補強部材の剛性を高めて硬度差による成形後の変形を防止できるようにするとともに、押し縮めても引き伸ばし方向に補強部材による反発力が生じるようにし、配管への取付を容易とし施工性を向上するようにしている。
【0012】
また、この発明の請求項2記載の可撓性管継手は、請求項1記載の構成に加え、前記管本体と前記補強部材とを同一合成樹脂で構成してなることを特徴とするものである。
この可撓性管継手によれば、前記管本体と前記補強部材とを同一合成樹脂で構成することで、管本体と補強部材との接着性を高め一体化できるようにしている。
【0013】
さらに、この発明の請求項3記載の可撓性管継手は、請求項1または2記載の構成に加え、前記管本体を、透明樹脂または着色透明樹脂で構成したことを特徴とするものである。
この可撓性管継手によれば、前記管本体を、透明樹脂または着色透明樹脂で構成することで、施工の際の取付状態を確認できるとともに、汚れなどの視認性を向上できるようにしている。
【0014】
また、この発明の請求項4記載の可撓性管継手は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記補強部材の螺旋の横断面形状を、台形状としたことを特徴とするものである。
この可撓性管継手によれば、前記補強部材の螺旋の横断面形状を、台形状とすることで、曲げた状態にする場合の補強部材の先端部同士の干渉を防止するとともに、最小限の材料の使用量で必要な強度や剛性を確保できるようにしている。
【発明の効果】
【0015】
この発明の請求項1記載の可撓性管継手によれば、両端部に連結部を有して内外面がほぼ平滑な管本体と、この管本体の外周に螺旋状に設けられる補強部材とからなる可撓性管継手であって、前記管本体と前記補強部材とを硬度が異なる合成樹脂で構成し、前記管本体の硬度を70〜30(JISK6253タイプAデュロメータ)とする一方、前記補強部材の各螺旋の間の当該管本体の表面を、中央部が低くなる傾斜面に形成するとともに、当該傾斜面の基端肉厚を1〜3mmとし、 前記補強部材の硬度を100〜80とするとともに、前記補強部材の両端部を環状に連結したリング部を有する螺旋状に形成し、当該螺旋の間隔を10〜25mmとしたので、管本体の硬度および肉厚をこれらの値とするとともに、管本体の螺旋の間の表面を中央部が低い傾斜面とし、補強部材の硬度および螺旋の間隔をこれらの値とすることで、管本体の傾斜面による縦断面形状により、曲がり部分の内外の変形を促して曲げ易くすることができ、施工を容易にすることができる。また、螺旋の両端部を環状のリング部とすることで、補強部材の剛性を高めることで、硬度差による成形後の変形を防止することができるとともに、押し縮めても引き伸ばし方向に補強部材による反発力を生じさせることができ、配管への取付を容易とし施工性を向上することができる。
【0016】
また、この発明の請求項2記載の可撓性管継手によれば、前記管本体と前記補強部材とを同一合成樹脂で構成したので、管本体と補強部材との接着性を高めて一体化することができる。これにより、成形後の変形を一層防止できるとともに、補強部材による反発力を有効に作用させることができる。
【0017】
さらに、この発明の請求項3記載の可撓性管継手によれば、前記管本体を、透明樹脂または着色透明樹脂で構成したので、施工の際に固定管などへの取付状態を確認することができるとともに、汚れなどの視認性を向上することができ、保守管理などを適切に行うことが可能となる。
【0018】
また、この発明の請求項4記載の可撓性管継手によれば、前記補強部材の螺旋の横断面形状を、台形状としたので、曲げた状態にする場合の補強部材の先端部同士の干渉を防止することができ、曲げ角度を大きくできるとともに、最小限の材料の使用量で必要な強度や剛性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の可撓性管継手の一実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1〜図3は、この発明の可撓性管継手の一実施の形態にかかり、図1は一部分を切り欠いて示す正面図、側面図および部分拡大断面図、図2は補強部材のみの正面図、図3は90度に曲げた状態の一部分を切り欠いて示す断面図である。
【0020】
この発明の可撓性管継手10は、例えば住宅用の排水管同士の継手や排水管と器具などの継手として用いられるもので、通常口径が30〜100mmの範囲の配管などに用いられる。
この可撓性管継手10は、管本体11とこれを補強する補強部材12とで構成され、管本体11の両端部には、配管Pとの連結部11aが設けられ、例えば配管Pの外側に装着してバンドで固定するように配管Pより僅かに大径に形成してある。
なお、連結部11aとしては、配管Pの外側に挿入してバンドなどで押える形式に限らず、一端部を細径のテーパ状とし、他端部を太径のテーパ状として互いを嵌合・接着する形式など他の形式であっても良い。
【0021】
管本体11は、図1(c)に示すように、内面が平滑とされ、外面は螺旋状の補強部材12の螺旋間の中央部11bが低い2つの傾斜面11c,11cとされており、中央部11bの低い部分は、補強部材12の間を螺旋状に連続している。
【0022】
この管本体11は、例えば軟質塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、エラストマー樹脂等で形成され、硬度が70〜30(JISK6253タイプAデュロメータ)としてあり、両端部の連結部11aとともに一体成形される。そして、この管本体11は、傾斜面11cの基端部である最も厚い部分の肉厚が1〜3mmとされるとともに、中央部11bは基端部に比べて0.5mm程度薄い肉厚としてある。
この管本体11の傾斜面11cの基端部の厚みが1mm未満であると、傾斜中央部11bで破れたりするなどの破損の可能性があるとともに、耐久性が劣る。一方、傾斜面11cの基端部の厚みが3mを超えて厚くなると、可撓性が低下して曲げ難くなってしまう。また、管本体11の硬度が30未満であると、変形し易く、耐圧性が不足し、補強部材12の圧力に耐えられなくなるおそれがある。一方、硬度が70を越えると、可撓性が低下し、曲げ難くなる。
【0023】
このように管本体11の螺旋間を管軸方向の中央部11bの外表面が低く、螺旋間の両側が高く傾斜する2つの傾斜面11c,11cとすることで、傾斜基端部の肉厚に比べて中央部11bの肉厚が薄くなっている分だけ伸縮性を大きくすることができ、これによって管本体11を曲げ易くすることができる。
【0024】
螺旋状の補強部材12は、管本体11の外周に設けられており、管本体11に比べ硬度が高い材料で形成されて可撓性管継手10が構成されている。
この管本体11の外周に設けられる補強部材12は、軟質塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、エラストマー樹脂等で形成され、硬度が100〜80(JISK6253タイプAデュロメータ)とされるとともに、両端部を環状に連結したリング部12aを有する螺旋状に形成してある。
【0025】
この補強部材12の両端部に環状に連結したリング部12aを形成することで、螺旋状であっても中心軸方向の剛性や中心軸に対する捩じれ方向の剛性を高めることができ、これによって硬度の異なる管本体11と補強部材12とを一体にした成形後の変形を有効に防止して設計通りの形状にすることが容易となる。
【0026】
そして、螺旋状の補強部材12の螺旋12bの間隔Dが10〜25mmとされ、この間隔Dの部分の管本体11の壁面が外周側に露出した状態とされ、2つの傾斜面11c、11cが形成されている。
【0027】
また、この補強部材12の螺旋12bの横断面形状が台形状とされて底部が広幅で頂部が狭くしてあり、これによって曲げた状態にする場合の補強部材12の先端部同士の干渉を防止するようにするとともに、最小限の材料の使用量で必要な強度や剛性を確保するようにしている。この螺旋12bの横断面形状は、例えば底部の幅が6〜10mm、頂部の幅が2〜4mmの範囲としてあり、高さとしては、3〜8mm程度が好ましい。高さが3mm未満であると強度が不足し、8mmを越えると先端部同士が干渉してしまい、曲げるのに支障をきたし好ましくない。
【0028】
この補強部材12では、硬度が100を越えると、もろく可撓性を確保することができなくなる一方、硬度が80未満であると、管本体11の形状を保持することができなくなるおそれがある。また、補強部材12の螺旋の間隔Dが10mm未満であると、曲げる場合に螺旋12b、12b同士が干渉するおそれがあり、螺旋の間隔Dが25mmを越えた場合には、管本体11を補強する補強機能が低下するおそれがある。
【0029】
このように構成した可撓性管継手10は、例えば図3に示すように、直角に配置された配管P、P間に設けられ、管本体11及び補強部材12を軸方向に押し縮めるようにして、両端部の連結部11aを配管P、Pに被せるように挿入し、外周にバンドを巻き掛けて締め付けて固定することで使用する。
【0030】
こうして可撓性管継手10を直角の曲がり部分に取り付けた状態では、曲がり部分の内側の補強部材12の螺旋12bの間隔Dが狭くなる一方、外側の螺旋12bの間隔Dが広がるように変形するが、この可撓性管継手10では、管本体11と補強部材12とが硬度が異なる材料で成形され、管本体11が柔らかく、補強部材12が硬くしてあり、しかもその硬度が管本体で70〜30(JISK6253タイプAデュロメータ)とし、補強部材12で100〜80とするとともに、螺旋12bの間隔を10〜25mmとし、螺旋12b、12b間の管本体11を中央部11bが低い2つの傾斜面11c、11cにしてあるので、管本体11が2つの傾斜面11c,11cによって伸縮し易く、簡単に曲がった状態にすることができる。
【0031】
また、この可撓性管継手10によれば、螺旋12bの両端部を環状のリング部12aとすることで、補強部材12の剛性を高めることができ、管継手を取り付けの際に押し縮めても引き伸ばし方向に管本体11の弾性による反発力とともに、補強部材12による反発力が生じ、これらを全て利用して管継手を引き伸ばすようにすることができ、配管P,Pへの可撓性管継手10の取付を容易とし施工性を向上することができる。
【0032】
さらに、このような可撓性管継手10は、例えば予め補強部材12を射出成形した後、これを成形型内に設置し、管本体11を射出成形することで、補強部材12と管本体11とを一体にすることで成形されるが、管本体11の射出成形後、成形型から取り出した場合に、管本体11と補強部材12との硬度差によって変形することがあるが、この可撓成管継手10では、補強部材12を両端部を環状に連結したリング部12aを有する螺旋状に形成したので、補強部材12の剛性を高めることができ、硬度差による成形後の変形を防止することができ、所定の形状に成形することができる。
【0033】
また、この可撓性管継手10によれば、補強部材12の螺旋12bの横断面形状を台形状としたので、曲げた状態にする場合の補強部材12の先端部同士の干渉を防止することができるとともに、底部の幅の矩形断面とする場合などに比べて最小限の材料の使用量で必要な強度や剛性を確保することができる。
【0034】
次ぎに、この可撓性管継手10では、管本体11と補強部材12とを同一の合成樹脂とし、可塑剤等の添加剤を加えることで硬度差を持たせるように構成してあるので、管本体11と補強部材12との接着性を高めて一体化することができる。これにより、補強部材12の剛性を有効に利用して成形後の変形を一層防止できるとともに、補強部材12による反発力を施工の際に有効に作用させて施工を容易にすることができ、接着剤等を使用することなく一体化することも可能となる。
【0035】
さらに、この可撓性管継手10では、管本体11を塩化ビニル樹脂などの透明樹脂または着色透明樹脂で構成するようにすれば、施工の際に配管Pへの差し込み状態が外から分かり、適切に施工することが簡単にできるとともに、汚れなどを外部から簡単に視認することができ、保守管理などを適切に行うことが可能となる。
【0036】
なお、この可撓性管継手10は、同一合成樹脂により硬度差を持たせて管本体11および補強部材12を構成する場合に限らず、管本体11と補強部材12とを異なる合成樹脂で構成したり、ゴムやエラストマーなどの他の素材を用いるようにしても良い。
【実施例】
【0037】
以下、この発明の実施例について説明するが、本発明は、この実施例に限定するものでない。
【0038】
(実施例1)
可撓性管継手の管本体を軟質塩化ビニル樹脂で、硬度を70(JISK6253タイプAデュロメータ)とし、傾斜面の基端部の最も厚い部分の肉厚を2.0mmとし、傾斜面の中央部の肉厚を1.5mmとして0.5mm低くした。
補強部材を硬質塩化ビニル樹脂で、硬度を100とし、螺旋の間隔を15mmとし、螺旋の底部の幅を8mm、螺旋頂部の幅を3.0mm、螺旋の高さを5.0mmとした。
予め補強部材を射出成形して成形した。この後、補強部材を成形型にセットした後、管本体の樹脂を射出し、一体として可撓性管継手を得た。
得られた可撓性管継手を90度の角度に曲げた状態とし、そのときの状態を目視観察し、4段階に評価し、◎:非常に良好、○:良好、△:やや良好、×:不良とした。
その結果は表1に示すように、良好であり、管本体の強度はあったが、施工に支障なく曲げることができた。
【0039】
(実施例2)
管本体の硬度を50とした以外、実施例1と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、非常に良好であり、螺旋部の変形もなく、よく曲がり、管本体の強度も十分であった。
【0040】
(実施例3)
管本体の硬度を30とした以外、実施例1と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、良好であり、螺旋部の変形もなく、簡単に曲がり、管本体の強度は低下したが、十分であった。
【0041】
(実施例4)
補強部材の硬度を80とした以外、実施例2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、良好であり、螺旋部にわずかな変形があり、強度も低下したが、十分であった。
【0042】
(実施例5)
管本体の傾斜基端部の厚みを1mmとした以外、実施例2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、良好であり、簡単に曲げることができ、管本体の強度は低下したが十分であった。
【0043】
(実施例6)
管本体の厚みを3mmとした以外、実施例2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、良好であり、管本体の強度があったが、支障なく曲げることができた。
【0044】
(実施例7)
螺旋の間隔を10mmとした以外、実施例2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、非常に良好であり、螺旋部に変形もなく良く簡単に曲げることができた。
【0045】
(実施例8)
螺旋の間隔を25mmとした以外、実施例2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、良好であり、簡単に曲げることができた。
【0046】
(実施例9)
螺旋の頂部の幅を8mmとした以外、実施例2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、やや良好であり、わずかに曲げ難くなったが、施工には支障がない程度であった。
【0047】
(比較例1)
補強部材の硬度を70とした以外、実施例2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、不良であり、螺旋部の強度がなく、曲げた際に座屈した。
【0048】
(比較例2)
管本体の硬度を80とした以外、実施例1、2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、不良であり、曲げようとしても曲げることが困難であった。
【0049】
(比較例3)
管本体の硬度を20とした以外、実施例1、2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、不良であり、管本体の強度が不足した。
【0050】
(比較例4)
管本体の肉厚を5.0mmとした以外、実施例2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、不良であり、管本体の強度があり、曲げることができなかった。
【0051】
(比較例5)
管本体の肉厚を0.5mmとした以外、実施例2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、不良であり、管本体を曲げた際に破れてしまった。
【0052】
(比較例6)
螺旋の間隔を8mmとした以外、実施例2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、不良であり、曲げ角度に制限があり、使用に支障をきたした。
【0053】
(比較例7)
螺旋の間隔を30mmとした以外、実施例2と同一にして可撓性管継手を得た。
その結果は表1に示すように、不良であり、曲げた際に、管本体の螺旋間の補強がなされなくなった。
【0054】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の可撓性管継手の一実施の形態にかかる一部分を切り欠いて示す正面図、側面図および部分拡大断面図である。
【図2】この発明の可撓性管継手の一実施の形態にかかる補強部材のみの正面図である。
【図3】この発明の可撓性管継手の一実施の形態にかかる90度に曲げた状態の一部分を切り欠いて示す断面図である。
【図4】従来の可撓性管継手の一部分を切り欠いた断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 可撓性管継手
11 管本体
11a 連結部
11b 中央部
11c 傾斜面
12 補強部材
12a リング部
12b 螺旋
D 螺旋の間隔
P,P 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部に連結部を有して内外面がほぼ平滑な管本体と、この管本体の外周に螺旋状に設けられる補強部材とからなる可撓性管継手であって、
前記管本体と前記補強部材とを硬度が異なる合成樹脂で構成し、
前記管本体の硬度を70〜30(JISK6253タイプAデュロメータ)とする一方、前記補強部材の各螺旋の間の当該管本体の表面を、中央部が低くなる傾斜面に形成するとともに、当該傾斜面の基端肉厚を1〜3mmとし、
前記補強部材の硬度を100〜80とするとともに、前記補強部材の両端部を環状に連結したリング部を有する螺旋状に形成し、当該螺旋の間隔を10〜25mmとしたことを特徴とする可撓性管継手。
【請求項2】
前記管本体と前記補強部材とを同一合成樹脂で構成してなることを特徴とする請求項1記載の可撓性管継手。
【請求項3】
前記管本体を、透明樹脂または着色透明樹脂で構成したことを特徴とする請求項1または2記載の可撓性管継手。
【請求項4】
前記補強部材の螺旋の横断面形状を、台形状としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可撓性管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−144760(P2009−144760A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320504(P2007−320504)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】