説明

同軸落射照明の光量設定方法およびラベルの位置ズレ検査方法

【課題】製品に貼着されたラベルの位置ズレ等を光学的に検出する際に、ラベルの印字パターンや製品の色、材質が異なる生産ロットで検査を行う場合にも、容易に照明レベルを適切に設定できる光量設定方法を提供する。
【解決手段】同軸落射照明22により、カメラ21のレンズと同軸上から光を照射し、カメラ21により、テープカートリッジ11上に貼着されたラベル12の貼着状態を検出する。光量設定部25は、同軸落射照明22の光量レベルを低光量レベルから高光量レベルに徐々に上昇させ、ラベル12の外縁と浅溝の縁端により生じる2つのエッジを検出し、全ての部分で2つのエッジが判定できなくなったら、このときの光量に、1以下の実験係数を乗算することで、同軸落射照明22の最適な光量を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に関連する2つのエッジを同時に画像認識する画像認識装置における同軸落射照明の光量設定方法およびラベルの位置ズレ検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の同軸落射照明の光量設定方法として、商品検査等において行われ、画像認識装置における照明レベルを適切に設定するものが知られている(特許文献1および2参照)。
光学的な検査を行う際に、照明レベルを適切に設定する方法として、例えば特許文献1のものは、照明レベルを段階的に変化させ、照明レベルの各段階毎に線幅を測定し、線幅、この線幅を測定したときの照明レベル、最大輝度および最小輝度をメモリに記憶し、記憶した測定値に基づいて線幅測定の安定領域を検出して、映像信号の輝度範囲を設定するようになっている。
また、特許文献2では、カメラからの画像信号から受光量の算出を行い、算出結果をメモリに記憶されている基準値と比較し、比較結果に基づいて、光量を設定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−175324号公報
【特許文献2】特開平9−189522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、製品に貼着するラベルには、製品種別に対応して各種の印刷パターンがあり、また、製品には、各種の色や材質のものがある。生産現場では、このような印刷パターンの異なるラベルや、色や材質の異なる製品ロットの検査が行われる。これに対して、ラベルの位置ズレを光学的な手法で検査する際の適切な照明レベルは、このようなラベルの印刷パターンや、製品の色、材質等により変化する。このため、生産現場では、適切な照明レベルを製品ロットが変わる毎に変更する必要がある。
【0005】
特許文献1に示されるものでは、照明レベルを段階的に変化させながら、線幅、この線幅を測定したときの照明レベル、最大輝度および最小輝度をメモリに記憶してから、照明レベルを設定する。このため、照明レベルの設定に時間を要し、ラベルの印刷パターンや、製品の色、材質等の変化に柔軟に対応できない問題があった。また、特許文献2に示されるものでは、カメラからの画像信号から受光量と基準値と比較して光量を設定しているため、製品ロットが変わる毎に、基準値を変更しなくてはならず、設定が煩雑になる問題があった。
【0006】
本発明は、被アライメント部材の性状およびアライメント部材の性状に対応して、第1エッジと第2エッジとを画像認識するための照明レベルを、簡単且つ適切に設定することができる同軸落射照明の光量設定方法およびラベルの位置ズレ検査方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に同軸落射照明の光量設定方法は、被アライメント部材の第1エッジと、所定の許容間隙幅を存して第1エッジに位置合わせされたアライメント部材の第2エッジと、を画像認識する画像認識装置おける同軸落射照明の光量設定方法であって、同軸落射照明の光量を低いレベルから高いレベルに光量アップしながら、第1エッジおよび第2エッジの画像認識を継続する継続認識工程と、光量アップの過程で、第1エッジおよび第2エッジの個々の画像認識が不能となったときの不能光量レベルを取得する不能レベル取得工程と、不能光量レベルに、1以下の実験値係数を乗算して適性光量レベルを求める適性レベル算出工程と、同軸落射照明の光量を、適性光量レベルに設定する光量設定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第1エッジおよび第2エッジの個々の画像認識が不能となったときの不能光量レベルに、実験値係数を乗算して適性光量レベルを求めるようにしている。このため、被アライメント部材の性状およびアライメント部材の性状を考慮して実験値係数を定めれば、第1エッジと第2エッジとを画像認識するための適切な照明レベルを、簡単に設定することができる。すなわち、被アライメント部材の性状およびアライメント部材の性状に対応して、同軸落射照明の光量レベルを簡単且つ適切に設定することができる。
【0009】
この場合、実験値係数が、0.65から0.75であることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、例えば被アライメント部材がカートリッジで、アライメント部材がカートリッジに貼着するラベルである場合、ラベルの下地色や印刷パターン、およびカートリッジの色や材質等に対応して、照明レベルを簡単且つ適切に設定することができる。なお、上記の例では、実験値係数を0.7とすることが、より好ましい。
【0011】
また、継続認識工程では、複数箇所について第1エッジおよび第2エッジの画像認識を行い、不能レベル取得工程では、複数箇所のうち少なくとも1箇所について画像認識が不能となったときに、不能光量レベルを取得することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1エッジおよび第2エッジにおいて、検出に不向きな箇所があっても、照明レベルを適切に設定することができ、光量設定の信頼性を高めることができる。
【0013】
さらに、アライメント部材がラベルであると共に、第2エッジがラベルの縁端であり、被アライメント部材が、ラベルが貼着されるカートリッジであると共に、第1エッジが、ラベルが貼着される浅溝の縁端であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ラベルとこれが貼着されるカートリッジに関係において、照明レベルを適切に設定することができるため、カートリッジに貼着されるラベルの位置ズレ等を精度良く判定することができる。
【0015】
そして、同軸落射照明が、同軸面発光落射照明であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、カートリッジ上に貼着されたラベルの貼着状態の正反射画像の光量を最適に設定でき、両者のエッジ(縁端)に十分なコントラストを得ることができ、カートリッジに貼着されるラベルの位置ズレ等を精度良く判定することができる。
【0017】
本発明の位置ズレ検出方法は、上記した同軸落射照明の光量設定方法を実施すると共に、光量設定方法により設定された同軸落射照明を有する画像認識装置を用いて行うラベルの位置ズレ検査方法であって、光量設定工程の後、第1エッジおよび第2エッジを画像認識する画像認識工程と、画像認識の結果、第1エッジおよび第2エッジの間隙幅が、許容間隙幅から外れている場合に、ラベルの貼着不良と判定する判定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、カートリッジに貼着されたラベルの位置ズレを容易に、且つ精度良く検出することができる。
【0019】
この場合、ラベルの種別変更時、およびカートリッジの機種変更時に、光量設定方法を実施することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、ラベルの種別変更時やカートリッジの機種変更時に、光量を最適に設定して、ラベルの位置ズレを検出でき、検出の精度と、検出作業におけるタクトタイムの短縮とを同時に達成することができる。
【0021】
また、光量設定方法の継続認識工程において、併せて判定工程を実施し、当該判定工程により貼着不良と判定された場合に、不能レベル取得工程、適性レベル算出工程および光量設定工程の実施を中止し、同種のラベルおよび同種のカートリッジである次の検査対象物に対し、光量設定方法を実施することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、光量レベルの最適設定と、カートリッジに対するラベルの位置ズレ検出と、を一連の作業として実施することができ、タクトタイムの短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るラベルの位置ズレ検査方法で用いられるテープカートリッジの外観を示す斜視図である。
【図2】テープカートリッジにラベルを貼着するときの工程を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るラベル位置ズレ検査装置の概要を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るラベル位置ズレ検査装置における位置ズレ検出の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るラベル位置ズレ検査装置における光量設定部での処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るラベルの位置ズレ検査方法をテープカートリッジの生産工程で実現した場合の説明図である。
【図7】2つの光学系をシーケンシャルに用いて位置ズレ検出を行う場合の処理の説明に用いるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施の形態に係る同軸落射照明の光量設定方法およびラベルの位置ズレ検査方法をついて説明する。この同軸落射照明の光量設定方法およびラベルの位置ズレ検査方法は、テープカートリッジにラベルを貼着し、このラベルの位置ズレを検出し、製品として出荷する一連の作業工程において実施されるものである。
【0025】
図1は、ラベル12の位置ズレ検査方法で用いられるテープカートリッジ11の外観を示すものである。このテープカートリッジ11は、サーマルヘッドにより文字等を印刷するラベル印刷装置に装着して用いられる。テープカートリッジ11内には、図示していないが、印刷テープと、インクリボンと、プラテンが収容されている。テープカートリッジ11がラベル印刷装置に装着されると、テープカートリッジ11内において、印刷テープとインクリボンとが重ね合わされ、サーマルヘッドによりインクリボンに塗布されたインクが熱で溶融され、印刷テープに情報が熱転写される。
【0026】
このようなテープカートリッジ11を製品化して販売する場合、テープカートリッジ11には、メーカー名や印刷テープの種類、品質等の情報を表示するためのラベル12が貼着される。
【0027】
図2は、テープカートリッジ11にラベル12を貼着するときの工程を示すものである。図2(A)に示すように、テープカートリッジ11の筐体(上ケースと下ケースとを接合して成る)には、上面および左右側面を囲むように、浅溝15が配設されている。この浅溝15の形状はラベル12に対応しており、その大きさは、幅および長さにおいて、ラベル12より僅かに大きく形成されている。テープカートリッジ11にラベル12を貼着する場合、図2(A)に示すように、テープカートリッジ11の上面の浅溝15に対向して、ラベル12が配置される。この場合、ラベル12の裏面には、接着剤が塗布されており、テープカートリッジ11の上面の浅溝15内に、ラベル12が押し当てられて、貼着される。次に、図2(B)に示すように、ラベル12の両端がテープカートリッジ11の両側面に沿って折り曲げられ、テープカートリッジ11の両側面に押し当てられて、浅溝15内に貼着される。
【0028】
上述のようにして、テープカートリッジ11にラベル12が貼着されたら、ラベル12の位置ズレ検査が行われる。すなわち、ラベル12をアライメント部材とし、テープカートリッジ11を被アライメント部材として、ラベル12の位置ズレ検査が行われる。ラベル12の位置ズレ検査は、ラベル12の貼着状態をカメラ21で撮影し、この撮影画像を画像認識するような、光学的な手法により行われる。そして、検査の結果、ラベル12の位置ズレが発生しているものは、不良品として排出される。
【0029】
次に、本発明の第1の実施形態に係わるラベル12の位置ズレ検査方法について、詳細に説明する。
図3は、ラベル12の位置ズレ検査装置の概要を示すものである。図3において、カメラ21は、テープカートリッジ11上に貼着されたラベル12の貼着結果を撮影するものである。具体的には、浅溝15の縁端と、これに対峙するラベル12の縁端とを複数箇所に亘って撮像する。
【0030】
カメラ21とテープカートリッジ11との間には、同軸落射照明22が設けられる。同軸落射照明22としては、例えば、面発光LED(Light
Emitting Diode)を光源として、鏡筒内にハーフミラーを置き、レンズ光軸に沿って光を反射させるような同軸面発光落射照明が用いられる。この同軸落射照明22により、カメラ21のレンズと同軸上から光が照射される。これにより、カメラ21からは、テープカートリッジ11上に貼着されたラベル12の貼着状態の正反射画像が得られる。
【0031】
カメラ21の撮像信号は、カメラ制御部23に送られる。カメラ制御部23は、カメラ21に対する同期信号の制御を行うと共に、カメラ21からの撮像信号の処理を行う。カメラ制御部23の出力は、良否判定部24に送られると共に、光量設定部25に送られる。良否判定部24は、カメラ制御部23を介して送られてきたカメラ21の撮影画像を認識して、ラベル貼着位置の良否を判定する。光量設定部25は、カメラ制御部23を介して送られてきたカメラ21の撮影画像に基づいて、同軸落射照明22の光量制御を行う。なお、請求項に言う「画像認識装置」は、カメラ21、同軸落射照明22、カメラ制御部23、良否判定部24および光量設定部25で構成されている。また、図示では、ラベル12の貼着結果を複数箇所に亘って撮像するために、テープカートリッジ11を移動させる移動機構は、省略されている。
【0032】
次に、良否判定部24での処理について説明する。前述したように、テープカートリッジ11の浅溝15の形状はラベル12の形状に対応しており、浅溝15の大きさはラベル12の大きさより大きい。よって、テープカートリッジ11にラベル12が正確に貼着されていれば、図4に示すように、上下左右の部分P1〜P6のどの部分でも、ラベル12は浅溝15内に収まり、ラベル12の外縁と浅溝15の縁端との間に所定の幅の間隙が生じ、各部分P1〜P6において、ラベル12の縁端の部分と、ラベル12が貼着される浅溝15の縁端の部分とにより、2つのエッジE1およびE2が検出できる。
【0033】
これに対して、図4におけるラベル12の貼着位置が上側に偏っている場合には、上側の部分P1およびP2では2つのエッジE1およびE2の間隙が所定の間隙幅より小さくなり、下側の部分P5およびP6では2つのエッジE1およびE2の間隙が所定の間隙幅より大きくなる。ラベル12の貼着位置が更に上側に大きく偏っている場合には、ラベル12の外縁と浅溝15の縁端とが重なるため、上側部分P1およびP2で、2つのエッジE1およびE2が検出できなくなる。
【0034】
また、図4におけるラベル12の貼着位置が下側に偏っている場合には、下側の部分P5およびP6では2つのエッジE1およびE2の間隙が所定の間隙幅より小さくなり、上側の部分P1およびP2では2つのエッジE1およびE2の間隙が所定の間隙幅より大きくなる。ラベル12の貼着位置が更に下側に偏っている場合には、下側の部分P5およびP6では、ラベル12の外縁と浅溝15の縁端とが重なるため、下側部分P5およびP6で、2つのエッジE1およびE2が検出できなくなる。また、ラベル12の貼着角度に誤差が生じている場合には、部分P1〜P6の中で、2つのエッジE1およびE2の間隙にバラツキが生じる。ラベル12の貼着角度に更に誤差が生じている場合には、部分P1〜P6の中で、2つのエッジE1およびE2が検出できる部分と、検出できない部分が生じてくる。
【0035】
このように、テープカートリッジ11にラベル12が正確に貼着されていれば、上下左右の全ての部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が検出でき、全ての部分P1〜P6におけるラベル12の外縁と浅溝15の縁端との間の間隙幅は所定の大きさとなる。このことから、カメラ21の撮影画像から、部分P1〜P6に相当する部分をウィンドウ抽出処理により抜き取り、部分P1〜P6のどの部分でも2つのエッジE1およびE2が検出できたかどうかを判定し、このエッジE1およびE2の幅が所定の許容値以内かどうかを判断することで、ラベル貼着位置の良否を判定することができる。
【0036】
良否判定部24は、上述のように、カメラ21の撮影画像から部分P1〜P6の部分を抽出するウィンドウ抽出処理と、部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が検出できたかどうかを判定するエッジ判定処理と、2つのエッジE1およびE2の幅が所定の許容値以内かどうかを判断する間隙判定処理を行って、ラベル貼着位置の良否を判定している。
【0037】
次に、光量設定部25での処理について説明する。上述のように、ラベル12の位置ズレ検査装置では、同軸落射照明22によりラベル12が貼着されたテープカートリッジ11の正反射画像をカメラ21により撮像し、カメラ21の撮影画像の各部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2を検出して、ラベル貼着位置の良否を判定している。同軸落射照明22によりテープカートリッジ11を照射してカメラ21で撮影すると、ラベル12の外縁と浅溝15の縁端との間隙部分で輝度が変化し(コントラスト)、2つのエッジE1およびE2が検出できる。光量設定部25は、2つのエッジE1およびE2を確実に検出できるように、同軸落射照明22の光量を最適に設定する。
【0038】
光量設定部25では、同軸落射照明22の光量を低いレベルから高いレベルに徐々に光量アップしながら、カメラ21の撮影画像から、部分P1〜P6をウィンドウ抽出処理により抜き取り、部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が検出可能かどうかを判定し、このうちの1箇所において、エッジE1およびE2が検出できなくなった光量レベルに、1以下の所定の実験値係数を乗算して、適性光量レベルを求めている。
【0039】
図5は、光量設定部25での処理を示すフローチャートである。図5において、光量設定部25は、部分P1〜P6を抜き取るためのウィンドウの位置とサイズを初期設定した後(ステップS1)、同軸落射照明22の光量を低光量レベルに初期設定する(ステップS2)。同軸落射照明22の光量が低光量レベルに初期設定されたら、光量設定部25は、設定された光量で同軸落射照明22から光を照射し(ステップS3)、ウィンドウ設定された部分P1〜P6でエッジの検出を行い(ステップS4)、全ての部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が検出可能かどうかを判定する(ステップS5)。
【0040】
ここで、全ての部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が検出可能と判定されると(ステップS5 Yes)、光量設定部25は、同軸落射照明22の光量を低光量レベルから所定の増加分だけアップする(ステップS6)。そして、光量設定部25は、光量の上限に達したかどうかを判定し(ステップS7)、光量の上限に達していなければ、ステップS3にリターンし、新たに設定された光量で、同軸落射照明22から光を照射し(ステップS3)、ウィンドウ設定された部分P1〜P6でエッジの検出を行い(ステップS4)、全ての部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が検出可能かどうかを判定する(ステップS5)。
【0041】
ステップS3からステップS7の処理を繰り返すことで、同軸落射照明22の光量は、初期設定された低光量レベルから、徐々に上昇していく。光量レベルを低光量レベルから高光量レベルに徐々に上昇させていき、光量が過剰になると、2つのエッジE1およびE2が判定できなくなり、ステップS5で、全ての部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が検出可能でないと判定されることになる。ステップS5で、全ての部分P1〜P6のうちの1箇所でも2つのエッジE1およびE2が検出不能になったと判定されると(ステップS5 No)、光量設定部25は、このときの光量レベルに、1以下の実験値係数を乗算して(ステップS8)、適性光量レベルとして設定する(ステップS9)。
【0042】
つまり、ステップS5で、全ての部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が検出可能でないと判定されたということは、この光量レベルでは、光量を大きく設定し過ぎたことを意味する。そこで、ステップS8の処理において、全ての部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が検出可能でないと判定されたときの光量レベルに1以下の実験値係数を乗算することで、適性光量レベルを求めている。より具体的には、この実験値係数は、0.65から0.75であり、実施形態のもの0.7としている。なお、ステップS7で、光量の上限に達したと判定された場合には、ステップS8に処理を進め、上限値の光量レベルに1以下の実験値係数を乗算して(ステップS8)、適性光量レベルとして設定する(ステップS9)。
【0043】
このように、本発明の第1の実施形態に係るラベル12の位置ズレ検査方法では、同軸落射照明22の光量レベルを低光量レベルから高光量レベルに徐々に上昇させていき、全ての部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が判定できなくなったときの光量に、1以下の実験係数を乗算することで、同軸落射照明22の最適な光量を設定している。
【0044】
このような光量設定方法では、同軸落射照明22の光量レベルを低光量レベルから高光量レベルに徐々に上昇させながら、カメラ21の画像から2つのエッジE1およびE2が検出できるかどうかを判定するだけで、同軸落射照明22の光量設定が行える。また、このような光量設定方法では、基準となるサンプルが不要である。このため、ラベル12の印字パターンや、テープカートリッジ11の色や材質が変わっても、容易に対応できる。
【0045】
更に、このような光量設定方法では、カメラ21の撮影画像から部分P1〜P6を抽出するウィンドウ抽出処理や、部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が検出できたかどうかを判定するエッジ判定処理は、良否判定部24での処理と同様である。このため、ラベル12の種別変更時、およびテープカートリッジ11の機種変更時に、ラベル位置ズレの判定処理と、光量設定処理とを併せて行うことができる。そして、ラベル12の位置ズレ判定処理で、不良と判定された場合には、その検査対象での光量レベルの設定を中止し、次の検査対象に移って、光量レベルの設定を行うことができる。
【0046】
図6は、本発明の第1の実施形態に係わるラベル12の位置ズレ検査方法を、テープカートリッジ11の生産工程で実現した場合の説明図である。なお、この例では、ラベル12の位置ズレ検査するための光学系を二方向に設けている。
図6において、搬送部101には、生産された複数のテープカートリッジ11(11a、11b、11c、…)が搬送されていく。ここでは、テープカートリッジ11aは位置ズレ検査工程部104の位置にあり、テープカートリッジ11bは側面ラベル貼着工程部103の位置にあり、テープカートリッジ11cは上面ラベル貼着工程部102の位置にある。
【0047】
上面ラベル貼着工程部102は、フープ状のラベル紙からラベル12を分離し、テープカートリッジ11cに対して、その上面にラベル12を貼着する処理を行っている。続く、側面ラベル貼着工程部103は、テープカートリッジ11bの側面から突出したラベル12をローラーで押し当て、テープカートリッジ11bの側面に、ラベル12を貼着する処理を行っている。そして、位置ズレ検査工程部104は、左右に設けられたカメラ21aおよび21bと、同軸落射照明22aおよび22bと、制御部110とからなり、テープカートリッジ11cのラベル12の位置ズレを検査している。ここで、制御部110は、図3におけるカメラ制御部23、良否判定部24、光量設定部25の処理を行う。
【0048】
位置ズレ検査工程部104では、前述したように、カメラ21a、21bの撮影画像から、部分P1〜P6に相当する部分をウィンドウ抽出処理により抜き取り、部分P1〜P6のどの部分でも2つのエッジE1およびE2が検出できたかどうかを判定し、このエッジE1およびE2の幅が所定の許容値以内かどうかを判断することで、ラベル貼着位置の良否を判定する。また、位置ズレ検査工程部104では、前述したように、同軸落射照明22a、22bの光量レベルを低光量レベルから高光量レベルに徐々に上昇させていき、全ての部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が判定できなくなったときの光量に、1以下の実験係数を乗算することで、同軸落射照明22a、22bの最適な光量を設定する。
【0049】
不良品排出工程部105は、位置ズレ検査工程部104での検査結果に基づいて、ラベル12の位置ズレが発生しているものを不良品として排出する処理を行う。
上述のように、この例における位置ズレ検査工程部104では、搬送部101に対して左右にカメラ21aおよび21bと、同軸落射照明22aおよび22bとからなる2つの光学系が設けられている。このように2つの光学系を有する構成では、2つの光学系をシーケンシャルに用いて位置ズレ検出を行える。
【0050】
図7のフローチャートに示すように、位置ズレ検査を行う場合、制御部110は、位置ズレ検査工程部104の所定の位置にテープカートリッジ11aを位置決めし(ステップS101)、左側の同軸落射照明22aを点灯させ(ステップS102)、左側のカメラ21aの撮像信号により、テープカートリッジ11aの左側のラベル12の位置ズレ検出を行う(ステップS103)。次に、制御部110は、左側の同軸落射照明22aを消灯させ、右側の同軸落射照明22bを点灯させて(ステップS104)、右側のカメラ21bの撮像信号により、テープカートリッジ11aの右側のラベル12の位置ズレ検出を行う(ステップS105)。そして、制御部110は、右側の同軸落射照明22bを消灯させ(ステップS106)、ラベル12の位置ズレ検査の総合判定を行う(ステップS107)。
【0051】
ステップS103およびステップS105の位置ズレ検出処理は、前述したように、カメラ21a、21bの撮影画像から、部分P1〜P6に相当する部分をウィンドウ抽出処理により抜き取り、部分P1〜P6のどの部分でも2つのエッジE1およびE2が検出できたかどうかを判定し、このエッジE1およびE2の幅が所定の許容値以内かどうかを判断することにより行われる。
【0052】
また、このような生産工程で、ラベル12の種別や、テープカートリッジ11の機種変更があったとする。この場合、ラベル12の印字パターンや、テープカートリッジ11の色や材質の変更に伴い、同軸落射照明22a、22bの最適な光量が変わってくるため、光量の再設定が必要になる。
この場合には、図5にフローチャートで示したような処理を行うことで、同軸落射照明22a、22bの光量を最適に設定できる。このとき、併せて、位置ズレ検査の判定を実施し、この判定工程により貼着不良と判定された場合には、その検査対象物での光量設定処理は終了して、光量設定処理の検査対象を、同種のラベルおよび同種のテープカートリッジである次のものに検査対象を移す処理が行われる。
【0053】
すなわち、図6において、例えば、テープカートリッジ11aから、ラベル12の種別やテープカートリッジ11の機種変更があったとする。そして、以後のテープカートリッジ11b、11c、…は、ラベル12の種別やテープカートリッジ11の機種はテープカートリッジ11aと同一であったとする。この場合、制御部110は、先ず、テープカートリッジ11aにより、同軸落射照明22a、22bの光量設定を行うと共に、位置ズレ検査の判定を行う。ここで、テープカートリッジ11aの位置ズレ検査の判定により、貼着不良と判定された場合には、制御部110は、以降の処理(図5におけるステップS4での部分P1〜P6でエッジの検出を行う処理、ステップS5での全ての部分P1〜P6で2つのエッジE1およびE2が検出可能かどうかを判定する処理、ステップS6およびステップS7での光量を徐々にアップする処理、ステップS8での1以下の実験係数を乗算する処理、ステップS9の同軸落射照明22a、22bの最適な光量を設定する処理)を中止し、同種のラベル12が貼着された同種のテープカートリッジ11bに検査対象を移し、テープカートリッジ11bに対して、図5に示す処理を行って光量設定を行う。
【0054】
このように、ラベル12の印字パターンや、テープカートリッジ11の色や材質等が異なる生産ロットで検査を行う場合に、同軸落射照明光量を設定と併せて、位置ズレ検査の判定を実施して、照明レベルを適切に設定できる。
【0055】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0056】
11,11a,11b,11c:テープカートリッジ、12:ラベル、15:浅溝、21,21a,21b:カメラ、22,22a,22b:同軸落射照明、23:カメラ制御部、24:良否判定部、25:光量設定部、101:搬送部、102: 上面ラベル貼着工程部、103:側面ラベル貼着工程部、104:位置ズレ検査工程部、105:不良品排出工程部、110:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被アライメント部材の第1エッジと、所定の許容間隙幅を存して第1エッジに位置合わせされたアライメント部材の第2エッジと、を画像認識する画像認識装置おける同軸落射照明の光量設定方法であって、
前記同軸落射照明の光量を低いレベルから高いレベルに光量アップしながら、前記第1エッジおよび前記第2エッジの画像認識を継続する継続認識工程と、
前記光量アップの過程で、前記第1エッジおよび前記第2エッジの個々の画像認識が不能となったときの不能光量レベルを取得する不能レベル取得工程と、
前記不能光量レベルに、1以下の実験値係数を乗算して適性光量レベルを求める適性レベル算出工程と、
前記同軸落射照明の光量を、前記適性光量レベルに設定する光量設定工程と、を備えたことを特徴とする同軸落射照明の光量設定方法。
【請求項2】
前記実験値係数が、0.65から0.75であることを特徴とする請求項1に記載の同軸落射照明の光量設定方法。
【請求項3】
前記継続認識工程では、複数箇所について前記第1エッジおよび前記第2エッジの画像認識を行い、
前記不能レベル取得工程では、前記複数箇所のうち少なくとも1箇所について前記画像認識が不能となったときに、前記不能光量レベルを取得することを特徴とする請求項1または2に記載の同軸落射照明の光量設定方法。
【請求項4】
前記アライメント部材がラベルであると共に、前記第2エッジがラベルの縁端であり、
前記被アライメント部材が、前記ラベルが貼着されるカートリッジであると共に、前記第1エッジが、前記ラベルが貼着される浅溝の縁端であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の同軸落射照明の光量設定方法。
【請求項5】
前記同軸落射照明が、同軸面発光落射照明であることを特徴とする請求項4に記載の同軸落射照明の光量設定方法。
【請求項6】
請求項4または5の同軸落射照明の光量設定方法を実施すると共に、前記光量設定方法により設定された前記同軸落射照明を有する画像認識装置を用いて行うラベルの位置ズレ検査方法であって、
前記光量設定工程の後、
前記第1エッジおよび前記第2エッジを画像認識する画像認識工程と、
前記画像認識の結果、前記第1エッジおよび前記第2エッジの間隙幅が、前記許容間隙幅から外れている場合に、前記ラベルの貼着不良と判定する判定工程と、を備えたことを特徴とするラベルの位置ズレ検査方法。
【請求項7】
前記ラベルの種別変更時、および前記カートリッジの機種変更時に、前記光量設定方法を実施することを特徴とする請求項6に記載のラベルの位置ズレ検査方法。
【請求項8】
前記光量設定方法の前記継続認識工程において、併せて前記判定工程を実施し、
当該判定工程により貼着不良と判定された場合に、前記不能レベル取得工程、前記適性レベル算出工程および前記光量設定工程の実施を中止し、
同種の前記ラベルおよび同種の前記カートリッジである次の検査対象物に対し、前記光量設定方法を実施することを特徴とする請求項7に記載のラベルの位置ズレ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−96878(P2013−96878A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240729(P2011−240729)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】