含フッ素重合性樹脂、それを用いた活性エネルギー線硬化性組成物及びその硬化物

【課題】活性エネルギー線硬化性組成物に添加することで、該組成物の硬化塗膜表面に強アルカリ等の薬品で処理しても低下しない優れた耐擦傷性を付与できる含フッ素重合性樹脂を提供する。また、該含フッ素重合性樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物、その硬化物及び該組成物の硬化塗膜を有する物品を提供する。
【解決手段】炭素原子数4〜6のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和単量体(A)と、シリコーン基を有する重合性不飽和単量体(B)と、特定の反応性官能基(c)を有する重合性不飽和単量体(C)とを必須の単量体成分として共重合させて得られる重合体(P)に、前記反応性官能基(c)に対して反応性を有する特定の官能基(d)及び重合性不飽和基を有する化合物(D)を反応させて得られる重合体であることを特徴とする含フッ素重合性樹脂を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物に添加することで、該組成物の硬化塗膜表面に優れた耐擦傷性を付与することができる含フッ素重合性樹脂に関する。また、該含フッ素重合性樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物、その硬化物及び該組成物の硬化塗膜を有する物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ(OELD)等のフラットパネルディスプレイ画面の最表面には、傷付きを防止するため、活性エネルギー線硬化性組成物からなるハードコート材を塗工・硬化させたハードコート層を設けている。
【0003】
上記のハードコート層を設けて耐擦傷性を向上させる方法としては、多官能(メタ)アクリレート等の多官能単量体を含有するハードコート材を偏光板の表層に塗工して硬化させた硬化塗膜が設ける方法が知られている。しかしながら、この硬化塗膜は、ある程度硬化塗膜の表面硬度は上げられるが、耐擦傷性が不十分であった。また、液晶ディスプレイの偏光板に用いられるトリアセチルセルロース(以下、「TAC」と略記する。)フィルムのように、ケン化処理(強アルカリ処理)される用途においては、ケン化処理後に硬化塗膜表面の耐擦傷性が大幅に低下する問題があった。
【0004】
そこで、活性エネルギー線硬化性組成物に、シリコーン系添加剤を添加したり、分子内にラジカル重合性不飽和基を有するシリコーン化合物を添加したりして硬化塗膜に滑り性を付与し、耐擦傷性を向上することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このシリコーン化合物を添加した活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜は、液晶ディスプレイの偏光板に用いられるTACフィルムのように、ケン化処理(強アルカリ処理)される用途においては、ケン化処理後に硬化塗膜表面の滑り性が大幅に低下し、十分な耐擦傷性が得られない問題があった。
【0005】
そこで、ケン化処理(強アルカリ処理)後も傷付きが防止できる優れた耐擦傷性を硬化塗膜表面に付与することができる材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−182765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、活性エネルギー線硬化性組成物に添加することで、該組成物の硬化塗膜表面に優れた耐擦傷性を付与することができ、さらに硬化塗膜表面を強アルカリ等の薬品で処理しても低下しない優れた耐擦傷性を付与できる含フッ素重合性樹脂を提供することである。また、該含フッ素重合性樹脂を用いた活性エネルギー線硬化性組成物、その硬化物及び該組成物の硬化塗膜を有する物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素原子数4〜6のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和単量体と、シリコーン基を有する重合性不飽和単量体と、反応性官能基を有する重合性不飽和単量体とを必須の単量体成分として共重合させて得られる重合体に、前記反応性官能基に対して反応性を有する官能基及び重合性不飽和基を有する化合物を反応させて得られる重合体からなるからなる含フッ素重合性樹脂を含有する活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜表面は、ケン化処理しても優れた耐擦傷性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、炭素原子数4〜6のフッ素化アルキル基(ただし、前記アルキル基は酸素原子によるエーテル結合を有するものも含む。)を有する重合性不飽和単量体(A)と、シリコーン基を有する重合性不飽和単量体(B)と、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応性官能基(c)を有する重合性不飽和単量体(C)とを必須の単量体成分として共重合させて得られる重合体(P)に、前記反応性官能基(c)に対して反応性を有し、かつ水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基(d)及び重合性不飽和基を有する化合物(D)を反応させて得られる重合体であることを特徴とする含フッ素重合性樹脂に関する。
【0010】
さらに、本発明は、前記含フッ素重合性樹脂又は活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させてなる硬化物、及び前記含フッ素重合性樹脂又は活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜を有する物品に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の含フッ素重合性樹脂は、環境及び生体への蓄積性が高いとされるパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)やパーフルオロオクタン酸(PFOA)を発生しない炭素原子数6のパーフルオロアルキル基を有する原料を用いていており、安全性が高い材料となっている。また、本発明の含フッ素重合性樹脂は、活性エネルギー線硬化性組成物に添加することで、その硬化塗膜表面に滑り性を付与して優れた耐擦傷性が得られる。また、この耐擦傷性は、ケン化処理(強アルカリ処理)された硬化塗膜でも発揮することができるため、液晶ディスプレイの偏光板に用いられるTACフィルムのハードコート材の材料としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1で得られた含フッ素重合性樹脂(1)のIRスペクトルのチャート図である。
【図2】図2は、実施例1で得られた含フッ素重合性樹脂(1)の13C−NMRスペクトルのチャート図である。
【図3】図3は、実施例1で得られた含フッ素重合性樹脂(1)のGPCのチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の含フッ素重合性樹脂は、炭素原子数4〜6のフッ素化アルキル基(ただし、前記アルキル基は酸素原子によるエーテル結合を有するものも含む。)を有する重合性不飽和単量体(A)と、シリコーン基を有する重合性不飽和単量体(B)と、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応性官能基(c)を有する重合性不飽和単量体(C)とを必須の単量体成分として共重合させて得られる重合体(P)に、前記反応性官能基(c)に対して反応性を有し、かつ水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基(d)及び重合性不飽和基を有する化合物(D)を反応させて得られる重合体である。
【0014】
上記の本発明の含フッ素重合性樹脂の製造に用いる各原料について説明する。
【0015】
本発明の含フッ素重合性樹脂の原料となる前記単量体(A)について説明する。この単量体(A)は、炭素原子数4〜6のフッ素化アルキル基(ただし、前記アルキル基は酸素原子によるエーテル結合を有するものも含む。)を有する単量体である。また、前記単量体(A)が有する重合性不飽和基としては、ラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和二重結合が好ましく、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、マレイミド基等が挙げられる。これらの中でも、原料の入手容易性、後述する活性エネルギー線硬化性組成物中の各配合成分に対する相溶性を制御することの容易性、あるいは重合反応性が良好であることから、(メタ)アクリロイル基が好ましい。この単量体(A)としては、例えば、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
【0016】
【化1】

(上記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは、下記式(L−1)〜(L−10)のいずれか1つの基を表し、Rfは下記式(Rf−1)〜(Rf−7)のいずれか1つの基を表す。)
【0017】
【化2】

(上記式(L−1)、(L−3)、(L−5)、(L−6)及び(L−7)中のnは1〜8の整数を表す。上記式(L−8)、(L−9)及び(L−10)中のmは1〜8の整数を表し、nは0〜8の整数を表す。上記式(L−6)及び(L−7)中のRf’’は下記式(Rf−1)〜(Rf−7)のいずれか1つの基を表す。)
【0018】
【化3】

(上記式(Rf−1)〜(Rf−4)中のnは4〜6の整数を表す。上記式(Rf−5)中のmは1〜5の整数であり、nは0〜4の整数であり、かつm及びnの合計は4〜5である。上記式(Rf−6)中のmは0〜4の整数であり、nは1〜4の整数であり、pは0〜4の整数であり、かつm、n及びpの合計は4〜5である。)
【0019】
また、前記単量体(A)の具体的な例として、下記の単量体(A−1)〜(A−11)等が挙げられる。なお、これらの単量体(A)は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
【0020】
【化4】

(式中のnは3〜5の整数を表す。)
【0021】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル基」とは、メタクリロイル基とアクリロイル基の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいう。
【0022】
次に、前記単量体(B)について説明する。前記単量体(B)が有するシリコーン基としては、例えば、下記一般式(2)又は(3)で表されるものが挙げられる。
【0023】
【化5】

(式中、R、R’、R’’及びR’’’は、それぞれ独立に炭素原子数1〜18のアルキル基又はフェニル基を表し、また、nは繰り返し単位数であり、1〜200の整数を表す。)
【0024】
また、前記単量体(B)が有する重合性不飽和基としては、ラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和二重結合が好ましく、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、マレイミド基等が挙げられる。これらの中でも、原料の入手容易性、後述する活性エネルギー線硬化性組成物中の各配合成分に対する相溶性を制御することの容易性、あるいは重合反応性が良好であることから、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0025】
前記単量体(B)の具体的な例として、下記の一般式(B1)〜(B3)で表される単量体が挙げられる。また、これらの単量体(B)は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
【0026】
【化6】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R〜R及びR10〜R12はそれぞれ独立に炭素原子数1〜18のアルキル基又はフェニル基を表し、R及びR〜Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜8のアルキル基又はフェニル基を表す。また、mは1〜6の整数を表し、nは0〜200の整数を表し、r、s及びtは、それぞれ独立に1〜200の整数を表す。)
【0027】
次に、前記単量体(C)について説明する。前記単量体(C)が有する反応性官能基(C)としては、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、酸無水物基等が挙げられる。また、前記単量体(C)が有する重合性不飽和基は、ラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和二重結合が好ましく、より具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基等が挙げられ、重合が容易な点から(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
【0028】
前記単量体(C)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、末端に水酸基を有するラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基を有する不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基含有不飽和単量体;グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和二重結合を有する酸無水物などが挙げられる。これらの単量体(C)は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
【0029】
また、本発明の含フッ素重合性樹脂の中間体である前記重合体(P)を製造する際に、前記化合物(A)、単量体(B)、単量体(C)の他に、これらと共重合し得るその他の重合性不飽和単量体を用いても構わない。このようなその他の重合性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル類;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類などが挙げられる。
【0030】
次に、前記化合物(D)について説明する。前記化合物(D)が有する官能基(d)としては、例えば、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、酸無水物基等が挙げられる。前記単量体(C)が有する反応性官能基(c)が水酸基である場合には、官能基(d)としてイソシアネート基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、エポキシ基が挙げられ、反応性官能基(c)がイソシアネート基である場合には、官能基(d)として水酸基が挙げられ、反応性官能基(c)がエポキシ基である場合には、官能基(d)としてカルボキシル基、水酸基が挙げられ、反応性官能基(c)がカルボキシル基である場合には、官能基(d)としてエポキシ基、水酸基が挙げられる。これらは、複数の官能基の組み合わせとしても構わない。また、これらの組み合わせの中でも、前記反応性官能基(c)が水酸基で前記官能基(d)がイソシアネート基の組み合わせ、前記反応性官能基(c)がエポキシ基で前記官能基(d)がカルボキシル基の組み合わせが好ましい。
【0031】
前記化合物(D)が有する重合性不飽和基は、ラジカル重合性を有する炭素−炭素不飽和二重結合が好ましく、より具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基等が挙げられ、後述する活性エネルギー線硬化性組成物での硬化性が良好な点から(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
【0032】
前記化合物(D)の具体的としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、末端に水酸基を有するラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基を有する不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する不飽和単量体;グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する不飽和単量体;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和二重結合を有する酸無水物などが挙げられる。また、複数の重合性不飽和基を有するものとして、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を用いることもできる。これらの化合物(D)は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
【0033】
上記の化合物(D)の具体的の中でも特に紫外線照射での重合硬化性が好ましい点から、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、アクリル酸が好ましい。
【0034】
次に、上記で挙げた原料を用いて本発明の含フッ素重合性樹脂のより具体的な製造方法について説明する。
【0035】
本発明の含フッ素重合性樹脂の中間体である前記重合体(P)を製造する方法は、前記化合物(A)、単量体(B)及び前記単量体(C)、さらに必要に応じてその他の重合性不飽和単量体を、有機溶剤中、重合開始剤を使用して重合させる方法が挙げられる。ここで用いる有機溶媒としては、ケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性、重合性を考慮して適宜選択される。重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が例示できる。さらに必要に応じてラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノ−ル、チオグリセロール、エチルチオグリコ−ル酸、オクチルチオグリコ−ル酸等の連鎖移動剤を使用することができる。
【0036】
上記のようにして得られる重合体(P)に、前記反応性官能基(c)に対して反応性を有する官能基(d)及び重合性不飽和基を有する化合物(D)を反応させることにより、本発明の含フッ素重合性樹脂が得られる。
【0037】
前記重合体(P)に、前記化合物(D)を反応させる方法は、化合物(D)等が有する重合性不飽和基が重合しない条件で行えば良く、例えば、温度条件を30〜120℃の範囲に調節して反応させることが好ましい。この反応は触媒や重合禁止剤の存在下、必要により有機溶剤の存在下に行うことが好ましい。
【0038】
例えば、前記反応性官能基(c)が水酸基であって、前記官能基(d)がイソシアネート基である場合は、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等を使用し、ウレタン化反応触媒としてジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛等を使用し、反応温度40〜120℃、特に60〜90℃で反応させる方法が好ましい。また、前記反応性官能基(c)がエポキシ基であって、前記官能基(d)がカルボキシル基である場合、又は、前記反応性官能基(c)がカルボキシル基であって、前記官能基(d)がエポキシ基である場合は、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等を使用し、エステル化反応触媒としてトリエチルアミン等の第3級アミン類、塩化テトラメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、トリフェニルホスフィン等の第3級ホスフィン類、塩化テトラブチルホスホニウム等の第4級ホスホニウム類等を使用し、反応温度80〜130℃、特に100〜120℃で反応させることが好ましい。
【0039】
上記反応で用いられる有機溶媒はケトン類、エステル類、アミド類、スルホキシド類、エーテル類、炭化水素類が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、沸点、相溶性を考慮して適宜選択すればよい。
【0040】
上記のようにして得られる本発明の含フッ素重合性樹脂は、製造時のゲル化を防止でき、防汚性が優れることから、その数平均分子量(Mn)が1,000〜10,000の範囲であることが好ましく、1,500〜8,000の範囲であることがより好ましい。また、重量平均分子量(Mw)が2,000〜50,000の範囲であることが好ましく、3,000〜20,000の範囲であることがより好ましい。
【0041】
ここで、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
【0042】
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテックジャパン株式会社製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(5μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
【0043】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
【0044】
さらに、本発明の含フッ素重合性樹脂中の重合性不飽和基当量は、重合性不飽和基当量が200〜1,500g/eq.となる割合であることが、硬化塗膜の防汚性に優れる点から好ましく、とりわけ300〜700g/eq.の範囲であることがより好ましい。
【0045】
本発明の含フッ素重合性樹脂は、それ自体を活性エネルギー線硬化性組成物の主剤として用いることができるが、極めて優れた表面改質性能を有しているため、活性エネルギー線硬化性組成物に表面改質剤として添加することで、硬化塗膜に優れた耐擦傷性を付与できる。
【0046】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、本発明の含フッ素重合性樹脂を配合したものであるが、その主成分しては、活性エネルギー線硬化性樹脂(E)又は活性エネルギー線硬化性単量体(F)を含有する。なお、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物において、活性エネルギー線硬化性樹脂(E)と活性エネルギー線硬化性単量体(F)とは、それぞれ単独で用いてもよいが、併用しても構わない。また、本発明の含フッ素重合性樹脂は、当該活性エネルギー線硬化性組成物において、表面改質剤として用いることが好ましい。
【0047】
前記活性エネルギー線硬化性樹脂(E)は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、アクリル(メタ)アクリレート樹脂、マレイミド基含有樹脂等が挙げられるが、本発明では、特に透明性や低収縮性等の点からウレタン(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。
【0048】
ここで用いるウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、脂肪族ポリイソシアネート化合物又は芳香族ポリイソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるウレタン結合と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂が挙げられる。
【0049】
前記脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられ、また、芳香族ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0050】
一方、水酸基を有するアクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基を有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1官能の水酸基と3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、該化合物をさらにε−カプロラクトンで変性した水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0051】
上記した脂肪族ポリイソシアネート化合物又は芳香族ポリイソシアネート化合物と水酸基を有するアクリレート化合物との反応は、ウレタン化触媒の存在下、常法により行うことができる。ここで使用し得るウレタン化触媒は、具体的には、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン類、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのホフィン類、ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫などの有機錫化合物、オクチル酸亜鉛などの有機金属化合物が挙げられる。
【0052】
これらのウレタンアクリレート樹脂の中でも特に脂肪族ポリイソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とを反応させて得られるものが硬化塗膜の透明性に優れ、かつ、活性エネルギー線に対する感度が良好で硬化性に優れる点から好ましい。
【0053】
次に、不飽和ポリエステル樹脂は、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物、芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物、及び、グリコール類の重縮合によって得られる硬化性樹脂であり、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸、及びこれらのエステル等が挙げられる。芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。脂肪族あるいは脂環族飽和二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられ、その他にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の酸化物も同様に使用できる。
【0054】
次に、エポキシビニルエステル樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる。
【0055】
また、マレイミド基含有樹脂としては、N−ヒドロキシエチルマレイミドとイソホロンジイソシアネートとをウレタン化して得られる2官能マレイミドウレタン化合物、マレイミド酢酸とポリテトラメチレングリコールとをエステル化して得られる2官能マレイミドエステル化合物、マレイミドカプロン酸とペンタエリスリトールのテトラエチレンオキサイド付加物とをエステル化して得られる4官能マレイミドエステル化合物、マレイミド酢酸と多価アルコール化合物とをエステル化して得られる多官能マレイミドエステル化合物等が挙げられる。これらの活性エネルギー線硬化性樹脂(E)は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
【0056】
前記活性エネルギー線硬化性単量体(F)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1000の範囲にあるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1000の範囲にあるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族アルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングルリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリスチリルエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、2−マレイミドエチル−エチルカーボネート、2−マレイミドエチル−プロピルカーボネート、N−エチル−(2−マレイミドエチル)カーバメート、N,N−ヘキサメチレンビスマレイミド、ポリプロピレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、ビス(2−マレイミドエチル)カーボネート、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等のマレイミド類などが挙げられる。
【0057】
これらのなかでも特に硬化塗膜の硬度に優れる点からトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートが好ましい。これらの活性エネルギー線硬化性単量体(F)は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
【0058】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物において、本発明の含フッ素重合性樹脂を表面改質剤として使用する場合、その使用量は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂(E)及び活性エネルギー線硬化性単量体(F)の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。本発明の含フッ素重合性樹脂の使用量がこの範囲であれば、レベリング性、撥水撥油性、防汚性を十分なものにすることができ、該組成物の硬化後の硬度や透明性も十分なものとすることができる。
【0059】
本発明の含フッ素重合性樹脂又は活性エネルギー線硬化性組成物は、基材に塗布後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。この活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線をいう。活性エネルギー線として紫外線を照射して硬化塗膜とする場合には、該含フッ素重合性樹脂又は活性エネルギー線硬化性組成物中に光重合開始剤(G)を添加し、硬化性を向上することが好ましい。また、必要であればさらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することもできる。一方、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線を用いる場合には、光重合開始剤や光増感剤を用いなくても速やかに硬化するので、特に光重合開始剤(G)や光増感剤を添加する必要はない。
【0060】
前記光重合開始剤(G)としては、分子内開裂型光重合開始剤及び水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられる。分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
【0061】
一方、水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
【0062】
上記の光重合開始剤(G)の中でも、活性エネルギー線硬化性組成物中の前記活性エネルギー線硬化性樹脂(E)及び活性エネルギー線硬化性単量体(F)との相溶性に優れる点から、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及びベンゾフェノンが好ましく、特に、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。これらの光重合開始剤(G)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0063】
また、前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン類、o−トリルチオ尿素等の尿素類、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
【0064】
これらの光重合開始剤及び光増感剤の使用量は、活性エネルギー線硬化性組成物中の不揮発成分100質量部に対し、各々0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.3〜7質量部がさらに好ましい。
【0065】
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、用途、特性等の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、粘度や屈折率の調整、あるいは、塗膜の色調の調整やその他の塗料性状や塗膜物性の調整を目的に各種の配合材料、例えば、各種有機溶剤、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油樹脂、フッ素樹脂等の各種樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、カーボン、酸化チタン、アルミナ、銅、シリカ微粒子等の各種の有機又は無機粒子、重合開始剤、重合禁止剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、防錆剤、スリップ剤、ワックス、艶調整剤、離型剤、相溶化剤、導電調整剤、顔料、染料、分散剤、分散安定剤、シリコーン系、炭化水素系界面活性剤等を併用することができる。
【0066】
上記の各配合成分中、有機溶媒は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の溶液粘度を適宜調整する上で有用であり、特に薄膜コーティングを行うためには、膜厚を調整することが容易となる。ここで使用できる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0067】
ここで有機溶媒の使用量は、用途や目的とする膜厚や粘度によって異なるが、硬化成分の全質量に対して、質量基準で、0.5〜50倍量の範囲であることが好ましい。
【0068】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる活性エネルギー線としては、上記の通り、紫外線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線であるが、具体的なエネルギー源又は硬化装置としては、例えば、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。
【0069】
これらの中でも特に紫外線であることが好ましく、酸素等による硬化阻害を避けるため、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で、紫外線を照射することが好ましい。また、必要に応じて熱をエネルギー源として併用し、紫外線にて硬化した後、熱処理を行ってもよい。
【0070】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の塗工方法は用途により異なるが、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キスコーター、シャワーコーター、ホイーラーコーター、スピンコーター、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、アプリケーター、バーコーター等を用いた塗布方法、あるいは各種金型を用いた成形方法等が挙げられる。
【0071】
本発明の含フッ素重合性樹脂の硬化塗膜は、耐擦傷性等を有するため、物品の表面に塗布・硬化することで、物品の表面に耐擦傷性を付与することができる。また、本発明の含フッ素重合性樹脂は、塗材に添加することで、その塗材にレベリング性を付与することもできるため、本発明の活性エネルギー線硬化料組成物は、高いレベリング性を有する。
【0072】
本発明の含フッ素重合性樹脂又は活性エネルギー線硬化性組成物を用いて、その表面に耐擦傷性を付与して傷付きを防止できる物品としては、TACフィルム等の液晶ディスプレイ(LCD)の偏光板用フィルム;LCDのバックライト部材であるプリズムシート又は拡散シート;プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ画面(ハードコート層、反射防止層);タッチパネル;携帯電話等の電子端末の筐体又画面;液晶ディスプレイ用カラーフィルター(以下、「CF」という。)用透明保護膜;液晶TFTアレイ用有機絶縁膜;電子回路形成用インクジェットインク;CD、DVD、ブルーレイディスク等の光学記録媒体;インサートモールド(IMD、IMF)用転写フィルム;コピー機、プリンター等のOA機器用ゴムローラー;コピー機、スキャナー等のOA機器の読み取り部のガラス面;カメラ、ビデオカメラ、メガネ等の光学レンズ;腕時計等の時計の風防、ガラス面;自動車、鉄道車輌等の各種車輌のウインドウ;太陽電池用カバーガラス又はフィルム;化粧板等の各種建材;住宅の窓ガラス;家具等の木工材料、人工・合成皮革、家電の筐体等の各種プラスチック成形品、FRP浴槽などが挙げられる。これらの物品表面に本発明の含フッ素重合性樹脂又は活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し、紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化塗膜を形成することで、物品表面に耐擦傷性を付与することができる。また、本発明の含フッ素重合性樹脂を各物品に適した各種塗料に添加し、塗布・乾燥することで、物品表面に耐擦傷性を付与することも可能である。
【実施例】
【0073】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。なお、得られた含フッ素重合性樹脂のIRスペクトル、13C−NMRスペクトル及びGPCの測定条件は下記の通りである。
【0074】
[IRスペクトル測定条件]
装置:株式会社島津製作所製「IRPrestige−21」
実施例で得られた樹脂をKBr法にて測定した。
【0075】
13C−NMRスペクトル測定条件]
装置:日本電子株式会社製「JNM−ECA500」
溶媒:アセトン−d
【0076】
[GPC測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HHR−H」(6.0mmI.D.×4cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
+東ソー株式会社製「TSK−GEL GMHHR−N」(7.8mmI.D.×30cm)
検出器:ELSD(オルテックジャパン株式会社製「ELSD2000」)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン(THF)
流速 1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(5μl)。
標準試料:前記「GPC−8020モデルIIデータ解析バージョン4.30」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
【0077】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
東ソー株式会社製「F−288」
東ソー株式会社製「F−550」
【0078】
(実施例1)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン72.8質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら90℃に昇温した。次いで、トリデカフルオロヘキシルエチルメタクリレート35質量部と、下記式(B1−1)で表されるシリコーン基を有する重合性不飽和単量体(以下、「単量体(B1−1)」と略記する。)10質量部及び3−ヒドロキシプロピルメタクリレート(以下、「HPMA」と略記する。)27.8質量部をメチルイソブチルケトン131.9質量部に溶解したモノマー溶液と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート4.4質量部をメチルイソブチルケトン12.3質量部に溶解した重合開始剤溶液との2種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を90℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃で13時間攪拌して、重合体(P1)の溶液を得た。
【0079】
【化7】

(式中、nは平均65である。)
【0080】
上記の重合体(P1)の溶液に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.1質量部、ウレタン化触媒としてオクチル酸錫0.03質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「AOI」と略記する。)27.2質量部を1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌した後、80℃に昇温して10時間攪拌することにより、IRスペクトル測定でイソシアネート基の消失を確認された。次いで、メチルイソブチルケトンを加え、含フッ素重合性樹脂(1)を30質量%含有するメチルイソブチルケトン溶液を得た。得られた含フッ素重合性樹脂(1)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量5,000、重量平均分子量12,000であり、重合性不飽和基当量は710g/eq.であった。
【0081】
(実施例2)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン66.7質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら90℃に昇温した。次いで、トリデカフルオロヘキシルエチルメタクリレート18質量部と、単量体(B1−1)18質量部及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、「HEMA」と略記する。)30.7質量部をメチルイソブチルケトン120.1質量部に溶解したモノマー溶液と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート6質量部をメチルイソブチルケトン13.3質量部に溶解した重合開始剤溶液との2種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を90℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃で13時間攪拌して、重合体(P2)の溶液を得た。
【0082】
上記の重合体(P2)の溶液に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.1質量部、ウレタン化触媒としてオクチル酸錫0.03質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、60℃を保ちながら、AOI33.3質量部を1時間で滴下した。滴下終了後、60℃で2時間攪拌した後、80℃に昇温して10時間攪拌することにより、IRスペクトル測定でイソシアネート基の消失を確認された。次いで、メチルイソブチルケトンを加え、含フッ素重合性樹脂(2)を20質量%含有するメチルイソブチルケトン溶液を得た。得られた含フッ素重合性樹脂(2)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量2,900、重量平均分子量7,500であり、重合性不飽和基当量は423g/eq.であった。
【0083】
(実施例3)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン78.7質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら90℃に昇温した。次いで、トリデカフルオロヘキシルエチルメタクリレート18質量部と、単量体(B1−1)18質量部及びグリシジルメタクリレート42.7質量部をメチルイソブチルケトン140.2質量部に溶解したモノマー溶液と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート9質量部をメチルイソブチルケトン17.2質量部に溶解した重合開始剤溶液との2種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を90℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃で13時間攪拌した後、メチルイソブチルケトン202.4質量部を留去することによって、重合体(P3)の溶液を得た。
【0084】
上記の重合体(P3)の溶液に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.1質量部を仕込み、空気気流下で攪拌を開始し、80℃を保ちながら、アクリル酸21.3質量部を仕込み、触媒としてトリフェニルホスフィン0.5質量部を仕込んだ。仕込み後、80℃から120℃まで1時間で昇温し、120℃を保ったまま10時間攪拌することにより、酸価測定でカルボン酸基の消失を確認された。次いで、メチルイソブチルケトンを加え、含フッ素重合性樹脂(3)を40質量%含有するメチルイソブチルケトン溶液を得た。得られた含フッ素重合性樹脂(3)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量4,700、重量平均分子量15,000であり、重合性不飽和基当量は345g/eq.であった。
【0085】
(比較例1)
撹拌装置、温度計、冷却管、滴下装置を備えたガラスフラスコに、溶媒としてメチルイソブチルケトン72.8質量部を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら90℃に昇温した。次いで、トリデカフルオロヘキシルエチルメタクリレート35質量部と、単量体(B1−1)35質量部及びHPMA27.8質量部をメチルイソブチルケトン131.9質量部に溶解したモノマー溶液と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート4.4質量部をメチルイソブチルケトン12.3質量部に溶解した重合開始剤溶液との2種類の滴下液をそれぞれ別々の滴下装置にセットし、フラスコ内を90℃に保ちながら同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃で13時間攪拌して、含フッ素樹脂(1)の溶液を得た。この溶液にメチルイソブチルケトンを加え、含フッ素樹脂(1)を20質量%含有するメチルイソブチルケトン溶液を得た。得られた含フッ素樹脂(1)の分子量をGPC(ポリスチレン換算分子量)で測定した結果、数平均分子量5,300、重量平均分子量11,000であった。
【0086】
(実施例4)
[活性エネルギー線硬化性組成物のベース樹脂組成物の調製]
5官能無黄変型ウレタンアクリレート50質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、酢酸ブチル25質量部、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)5質量部、トルエン54質量部、2−プロパノール28質量部、酢酸エチル28質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル28質量部を混合し溶解させて、活性エネルギー線硬化性組成物のベース樹脂組成物268質量部を得た。
【0087】
[活性エネルギー線硬化性組成物の調製及び硬化塗膜の作製]
上記で得られたベース樹脂組成物268質量部に、実施例1で得られた含フッ素重合性樹脂(1)の40質量%含有溶液2.5質量部(樹脂分1質量部)を加えて均一に混合して、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。この活性エネルギー線硬化型組成物をバーコーターNo.13を用いて、厚さ2mmのアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂板に塗布した後、60℃の乾燥機に5分間入れて溶剤を揮発させた。次いで、乾燥した塗膜に紫外線硬化装置(窒素雰囲気下、高圧水銀灯、紫外線照射量2kJ/m)で紫外線を照射して硬化塗膜を得た。
【0088】
[硬化塗膜の強アルカリ処理]
上記で得られた硬化した塗膜を、70℃に加温した2.0mol/Lの水酸化カリウム水溶液に1分間浸漬させ、水洗後、100℃で3分間乾燥させて、強アルカリ処理を行った。
【0089】
[耐擦傷性試験]
トライボギア HEIDON 往復磨耗試験機 TYPE:30S(新東科学株式会社製)を用いて、直径27mmの円形の治具にボンスター No,0000(日本スチールウール株式会社製)を取り付けた磨耗試験機(500g/cm荷重)にて、30往復磨耗させて試験を行った。試験後の塗膜表面に付いた傷の本数を数えて、下記の基準によって耐擦傷性を評価した。
◎:傷の本数が5本未満である。
○:傷の本数が5本以上10本未満である。
△:傷の本数が10本以上50本未満である。
×:傷の本数が50本以上である。
【0090】
(実施例5及び6)
実施例4で用いた含フッ素重合性樹脂(1)に代えて、実施例2及び3で得られた含フッ素重合性樹脂(2)及び(3)をそれぞれ樹脂分として1質量部用いた以外は実施例4と同様に操作して、耐擦傷性試験を行った。
【0091】
(比較例2)
実施例4で用いた含フッ素重合性樹脂(1)に代えて、比較例1で得られた含フッ素樹脂(1)を樹脂分として1質量部用いた以外は実施例4と同様に操作して、耐擦傷性試験を行った。
【0092】
(比較例3)
実施例4で用いた含フッ素重合性樹脂(1)に代えて、シリコーンオイル(チッソ株式会社製「サイラプレーンFM−4421」、ポリジメチルシロキサン鎖の両末端に−COCOHを有するもの)(以下、「FM−4421」と略記する。)を樹脂分として1質量部用いた以外は実施例4と同様に操作して、耐擦傷性試験を行った。
【0093】
(比較例4)
実施例4で用いた含フッ素重合性樹脂(1)に代えて、単量体(B1−1)を1質量部用いた以外は実施例4と同様に操作して、耐擦傷性試験を行った。
【0094】
(比較例5)
実施例4で用いた含フッ素重合性樹脂(1)に代えて、ジメチルシロキサン鎖を有する4官能アクリレート(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK−UV3570」)(以下、「BYK−UV3570」と略記する。)を樹脂分として1質量部用いた以外は実施例4と同様に操作して、耐擦傷性試験を行った。
【0095】
(比較例6)
実施例4で用いた含フッ素重合性樹脂(1)に代えて、トリデカフルオロヘキシルエチルメタクリレートを1質量部用いた以外は実施例4と同様に操作して、耐擦傷性試験を行った。
【0096】
(比較例7)
実施例4で調製した活性エネルギー線硬化性組成物のベース樹脂組成物に、何も添加せずに実施例4と同様に操作して、耐擦傷性試験を行った。
【0097】
実施例4〜6及び比較例2〜7の耐擦傷性試験の評価結果を表1に示す。
【0098】
【表1】

【0099】
本発明の含フッ素重合性樹脂である実施例1〜3で得られた含フッ素重合性樹脂(1)〜(3)を添加した実施例4〜6の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜は、強アルカリ処理しても、優れた耐擦傷性を有することが分かった。
【0100】
一方、比較例2は、重合性不飽和基を有さない含フッ素樹脂(1)を添加した例であるが、塗膜表面への傷付きが比較的多く、強アルカリ処理後の耐擦傷性は不十分であることが分かった。
【0101】
比較例3は、重合性不飽和基を有しないシリコーンオイルを用いた例であるが、塗膜表面に傷が付きやすく、強アルカリ処理後の耐擦傷性は不十分であることが分かった。
【0102】
比較例4は、重合性不飽和基を1つ有するシリコーン化合物を用いた例であるが、塗膜表面に傷が付きやすく、強アルカリ処理後の耐擦傷性は不十分であることが分かった。
【0103】
比較例5は、重合性不飽和基を複数有するシリコーン化合物を用いた例であるが、塗膜表面に傷が付きやすく、強アルカリ処理後の耐擦傷性は不十分であることが分かった。
【0104】
比較例6は、フッ素化アルキル基を有する単量体を用いた例であるが、塗膜表面に傷が付きやすく、強アルカリ処理後の耐擦傷性は不十分であることが分かった。
【0105】
比較例7は、何も添加剤を加えず、活性エネルギー線硬化性組成物のみの例であるが、塗膜表面に傷が付きやすく、強アルカリ処理後の耐擦傷性は不十分であることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素原子数4〜6のフッ素化アルキル基(ただし、前記アルキル基は酸素原子によるエーテル結合を有するものも含む。)を有する重合性不飽和単量体(A)と、シリコーン基を有する重合性不飽和単量体(B)と、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1つの反応性官能基(c)を有する重合性不飽和単量体(C)とを必須の単量体成分として共重合させて得られる重合体(P)に、前記反応性官能基(c)に対して反応性を有し、かつ水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸ハライド基、酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基(d)及び重合性不飽和基を有する化合物(D)を反応させて得られる重合体であることを特徴とする含フッ素重合性樹脂。
【請求項2】
請求項1記載の含フッ素重合性樹脂、及び、活性エネルギー線硬化性樹脂(E)又は活性エネルギー線硬化性単量体(F)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
請求項1記載の含フッ素重合性樹脂又は請求項2記載の活性エネルギー線硬化性組成物を、基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させてなることを特徴とする硬化物。
【請求項4】
請求項1記載の含フッ素重合性樹脂又は請求項2記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜を有することを特徴とする物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−87213(P2013−87213A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229670(P2011−229670)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】