説明

吹付け断熱材

【課題】環境への負荷を低減し、低密度であり、かつ難燃性及び寸法安定性に優れる硬質ポリウレタンフォームからなる吹付け断熱材を提供すること。
【解決手段】(A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、(E)整泡剤、(F)難燃剤及び(G)粉体を含有する配合液を発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームからなり、前記ポリオール成分がポリエステルポリオールを20質量%以上含有し、前記配合液中の水の含有量がポリオール成分100質量部に対して10質量部以上13質量部以下であり、前記粉体の個数平均粒径が0.5μm以上50μm以下、前記配合液中の該粉体の含有量がポリオール成分100質量部に対して5質量部以上60質量部以下である吹付け断熱材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、水、触媒、整泡剤及び難燃剤を含有する配合液を混合し、ポリイソシアネートと水との反応で発生する炭酸ガスを発泡剤として発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームからなる吹付け断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅、冷蔵庫等の吹付け断熱材として、断熱性及び自己接着性に優れる硬質ポリウレタンフォームが広く利用されている。
硬質ポリウレタンフォームからなる吹付け断熱材は、一般にポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒、整泡剤などを混合した配合液をミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡で施工される。この方法であれば、施工対象物に直接吹き付け施工するという簡単な作業で、良好な硬質ポリウレタンフォームの断熱層を形成することができる。
【0003】
前記硬質ポリウレタンフォームにおいて、これまで主たる発泡剤として用いられてきたジクロロモノフルオロエタン(HCFC−141b)には、オゾン層破壊の問題がある。これに代る次世代の発泡剤として、オゾン層を破壊することのないハイドロフルオロカーボン(HFC)が候補に挙げられているが、該材料は強い地球温暖化作用が問題となる。
このようなことから、これらのフロン系発泡剤を用いることなく、発泡を行う技術の開発が一つの課題とされ、水とポリイソシアネートとの反応で生成する炭酸ガスを発泡剤として用いる完全水発泡による硬質ポリウレタンフォームが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、水発泡による硬質ポリウレタンフォームは、フロンを発泡剤として得られたポリウレタンフォームに比較して、軽量化という点で問題がある。そこで、発泡倍率を上げて低密度のポリウレタンフォームを得ることが行われているが、そのためには、水を多量に使用する必要がある。一方で水を多量に使用すると、ポリオール化合物と水との相溶性は、一般的にそれほど高くないため、水がポリオール化合物に十分分散せず、水とポリイソシアネート化合物の反応が十分に進行しない。その結果、製造された硬質ポリウレタンフォームは、密度の高いものとなる。
【0005】
これに対して、水酸基価が100〜700mgKOH/gである特定のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを発泡剤及び触媒の存在下で反応させて、硬質ポリウレタンフォームを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記文献に開示される硬質ポリウレタンフォームにおいても、実証されている水分含有量は、ポリオール成分100質量部に対して5質量部前後であり、発泡倍率は不十分であった。
また、水を多量に使用すると、発泡体が収縮しやすくなるため、寸法変化を抑制すること(以下、「寸法安定性」と称す)も同時に要求される。
【0006】
ところで、集合住宅用のウレタン断熱材に用いられる硬質ポリウレタンフォームに求められる重要な性能の一つとして、難燃性が挙げられる。従来、硬質ポリウレタンフォームの難燃性を高め、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法で難燃3級以上の難燃性を得るために、ポリオール成分としてフタル酸或いはフタル酸誘導体をエステル化反応させて得られるフタル酸系ポリエステルポリオールが用いられていた。
このような難燃性を付与し、かつ、上述の寸法安定性を考慮すると、その密度は34〜35kg/m3程度とすることが限界であり低密度化と寸法安定性の両立は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−256434号公報
【特許文献2】特開2004−137493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記水発泡による方法で、さらに密度を下げつつ寸法変化を抑制する方法として、発泡用の配合液に軟質または半硬質用のポリマーポリオールを使用してガス抜け(独立気泡率を適正な範囲に制御すること)を確保することが有効である。しかし、前記軟質または半硬質用のポリマーポリオールを使用すると、難燃性が低下してしまうという問題があった。
【0009】
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、環境への負荷を低減し、低密度であり、かつ難燃性及び寸法安定性に優れる硬質ポリウレタンフォームからなる吹付け断熱材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、下記本発明により解決される。すなわち、本発明は、
<1> (A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、(E)整泡剤、(F)難燃剤及び(G)粉体を含有する配合液を発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームからなり、
前記ポリオール成分がポリエステルポリオールを20質量%以上含有し、前記配合液中の水の含有量がポリオール成分100質量部に対して10質量部以上13質量部以下であり、前記粉体の個数平均粒径が0.5μm以上50μm以下、前記配合液中の該粉体の含有量がポリオール成分100質量部に対して1質量部以上60質量部以下である吹付け断熱材である。
【0011】
<2> 前記硬質ポリウレタンフォームのコア密度が、22kg/m3以上30kg/m3以下である<1>に記載の吹付け断熱材である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、環境への負荷を低減し、低密度であり、かつ難燃性及び寸法安定性に優れる硬質ポリウレタンフォームからなる吹付け断熱材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施形態により説明する。
本実施形態の吹付け断熱材は、(A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、(E)整泡剤、(F)難燃剤及び(G)粉体を含有する配合液を発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームからなり、前記ポリオール成分がポリエステルポリオールを20質量%以上含有し、前記配合液中の水の含有量がポリオール成分100質量部に対して10質量部以上13質量部以下であり、前記粉体の個数平均粒径が0.5μm以上50μm以下、前記配合液中の該粉体の含有量がポリオール成分100質量部に対して1質量部以上60質量部以下であることを特徴とする。
ここで、前記硬質ポリウレタンフォームとは、ポリウレタンフォームのうち変形に対する抵抗が大きいものをいい、一般には一度変形を起こすと外力を除いても元に戻らないものを意味する。
【0014】
前述のように、ポリウレタンフォームの難燃性を確保するためにポリオール成分としてポリエステルポリオールを使用した場合、さらなる低密度化(コア密度として約30kg/m3以下)を行おうとすると寸法安定性(特に高温高質環境下での寸法変化)が問題となる。これに対して、ポリウレタンの発泡反応時にある程度のガス抜けを起こさせることが有効である。
しかし、従来は上記ガス抜けを起こさせるためには、難燃性を低下させる軟質または半硬質用のポリマーポリオールを使用する以外に有効な手段はなかった。
【0015】
本発明者らは、上記問題に対し、ポリマーポリオールに代わりガス抜けに効果のある材料等の検討を行った。その結果、ポリオール成分として難燃性に効果のあるポリエステルポリオールをある程度以上含む場合であっても、特定の粒径範囲の粉体を発泡させるための配合液に一定量の範囲で含ませることにより、難燃性を低下させることなく寸法安定性を確保できることが見出された。
【0016】
本実施形態の吹付け断熱材を構成する硬質ポリウレタンフォームは、(A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、(E)整泡剤、(F)難燃剤及び(G)粉体を含有する配合液を発泡させて得られる。以下、成分ごとに詳細に説明する。
【0017】
<(A)ポリイソシアネート成分>
ポリイソシアネート成分としては、公知の各種多官能性の脂肪族、脂環族および芳香族のイソシアネートを用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を挙げることができ、これらは1種を単独で、または2種以上を併用しても良い。
中でも、本実施形態においては反応性、物性、安全性の観点から、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含むことが好適である。
【0018】
ここで、(A)成分の配合量は特に制限されるものではないが、全ポリオール成分100質量部に対して、90〜120質量部の範囲であることが好ましい。(A)成分の配合量が、90質量部以上であると、強度不足や発泡不良という問題がなく、また寸法安定性も良好となる。一方、120質量部以下であると、低密度のポリウレタンフォームが得られ、低温下での脆性が良好となる上に、冬期低温下での施工性に対して有利である。以上の観点から、(A)成分の配合量は全ポリオール成分100質量部に対して、100〜115質量部の範囲がより好ましい。
【0019】
また、上記(A)成分が、配合液中に占める割合(2種以上のイソシアネートを併用する場合には、その総量が配合液中に占める割合)としては、イソシアネート当量(配合液中の活性水素量(モル)を100とした時の、配合液中のイソシアネ−ト基のモル比)値として、25〜250の範囲が好ましい。イソシアネート当量が25以上であると、発泡及び硬化が行われ、250以下であると低密度化が実現できる。以上の観点から、イソシアネート当量は、50〜120の範囲がより好ましい。
【0020】
<(B)ポリオール成分>
ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール等が挙げられる。本実施形態では、得られる硬質ポリウレタンフォームの難燃性を確保するため、ポリオール成分としてポリエステルポリオール成分を20質量%以上含むことが必要である。また、ポリエステルポリオール成分を30質量%以上含むことが好ましく、40質量%以上含むことがより好ましい。
なお、上記必要とされる難燃性については後述する。
【0021】
上記ポリエステルポリオールとしては、例えばアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ブラシル酸等の炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸などを酸成分とし、エチレングリコール等の炭素数1〜6の脂肪族ジオール、ジエチレングリコール及びジプロピレングリコール等のエーテルグリコールなどをポリオール成分(アルコール成分)とするポリエステルポリオールを挙げることができる。これらのポリエステルポリオールは1種を単独で、または2種以上を併用してもよい。
特に、無水フタル酸(o−フタル酸)以外のフタル酸、すなわち、m−フタル酸(イソフタル酸)及び/またはp−フタル酸(テレフタル酸)並びにこれらの誘導体を主成分とするフタル酸系ポリエステルポリオールを用いることが、難燃性を向上させ得るとの観点から好ましい。これは、より凝集エネルギーの高いフタル酸(m,p−フタル酸)を用いたポリオールから得られたフォームは燃焼し難いからである。
【0022】
このようなフタル酸系ポリエステルポリオール、好ましくはm,p−フタル酸系ポリエステルポリオールの好ましい水酸基価は、100〜400mgKOH/gの範囲であり、粘度は500〜1500mPa・sの範囲である。このフタル酸系ポリエステルポリオールは、p−フタル酸含量が40〜80質量%であることが好ましい。フタル酸系ポリエステルポリオール中のp−フタル酸含量が40質量%以上であると十分な難燃性が得られ、80質量%以下であると十分なポットライフが得られる。
【0023】
次に、前記ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、反応性の観点からアルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好適である。このようなアルキレンオキシドとしてはプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)等が挙げられ、これらは1種を単独で、または2種以上を併用してもよい。
また、上記ポリエーテルポリオールとしては、上記POの単独重合体、上記EOの単独重合体、及びPOとEOとを共重合して得られたポリエーテルポリオールを用いることができる。なお、共重合は、ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよい。
【0024】
上記ポリエーテルポリオールとしては、フェノール及び/またはその誘導体をマンニッヒ変性して得られたポリエーテルポリオール(以下「マンニッヒ変性ポリオール」と称す。)、すなわち、フェノール、或いはノニルフェノール、アルキルフェノール等のフェノール誘導体を、ホルムアルデヒドとジエタノールアミン等の2級アミンやアンモニア、1級アミン等とを用いてマンニッヒ変性し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるポリエーテルポリオールを好適に用いることができる。このようなマンニッヒ変性ポリオールは、自己反応活性が高く、かつ難燃性も比較的高いため、マンニッヒ変性ポリオールを用いることにより、例えば、エアレススプレー発泡型硬質ポリウレタンフォームにおいて、吹き付け発泡時に難燃性能を著しく損なうことなく、速やかに反応を進めることができる。
【0025】
さらに、前記マンニッヒ変性ポリオールの他、エチレンジアミン、トリレンジアミン、シュークロース、アミノアルコール、ジエチレングリコール等のマンニッヒ変性ポリオールとは異なる開始剤のポリオール化合物を併用してもよい。
特に本実施形態において、後述する粉体とともに用いるポリオール成分としては、フタル酸系ポリエステルポリオール30〜60質量%と、マンニッヒ変性ポリエーテルポリオール10〜40質量%及び/または該マンニッヒ変性ポリエーテルポリオール以外のポリエーテルポリオール5〜20質量%とを含むことが好ましい。
ポリオール成分が、上記フタル酸系ポリエステルポリオールとマンニッヒ変性ポリエーテルポリオール及び/またはマンニッヒ変性ポリエーテルポリオール以外のポリエーテルポリオールとを、前記組成割合の範囲で含むことにより、特に難燃性及び寸法安定性と施工性とを同時に実現するという効果が奏される。
【0026】
前記マンニッヒ変性ポリエーテルポリオール以外のポリエーテルポリオールとしては、エチレンジアミンにプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを開環付加重合させて得られるエチレンジアミン系ポリエーテルポリオール、グリセリンにプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを開環付加重合させて得られるグリセリン系ポリエーテルポリオール、ソルビトールにプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを開環付加重合させて得られるソルビトール系ポリエーテルポリオール、及びトリレンジアミンにプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを開環付加重合させて得られるトリレンジアミン系ポリエーテルポリオール、ピペラジンをアミノメチル化してプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを開環付加重合させて得られるピペラジン系ポリエーテルポリオールよりなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
【0027】
本実施形態におけるポリオール成分としては、ウレタン発泡の反応速度、及び発泡体の力学特性の両立の観点から、全ポリオール成分における水酸基価が84〜1000の範囲、好ましくは100〜700の範囲であり、かつ全ポリオール成分における数平均分子量が200〜2000の範囲、好ましくは200〜1000の範囲であるポリオールを含むことが好適である。なお、上記数平均分子量とは、GPC法によりポリスチレン換算値として算出した値であり、上記水酸基価とはJIS K1557に準拠して測定した値である。
【0028】
<(C)水>
本実施形態においては、配合液中の水の含有量をポリオール成分100質量部に対して10質量部以上13質量部以下とすることを必須とする。水の含有量を上記範囲とすることにより、ポリウレタンフォームとして十分な発泡倍率、寸法安定性を得ることができる。なお、メチレンクロライド、モノフッ化トリ塩化メタンなどの低沸点の化合物を水と併用することも可能である。
前記水の割合は、10質量部以上12質量部以下とすることが好ましく、10.5質量部以上11.5質量部以下とすることがより好ましい。
【0029】
<(D)触媒>
本実施形態において、前記触媒としては、有機酸ビスマス塩及び/またはアミン系化合物が好適に用いられる。なお、本実施形態においては、触媒として鉛を使用しないことが好ましい。鉛を使用しないことにより、ポリエステルポリオールの加水分解を防止して、配合液の貯蔵安定性を高めることができる。
また、有機酸ビスマス塩及び/またはアミン系化合物と併用し得る他の触媒として、カリウム塩触媒、ピペラジン系触媒などを用いることができる。これらの併用し得る触媒成分は、1種を単独で、または2種以上を併用することもできる。
【0030】
上記有機酸ビスマス塩としては、例えばアビエチン酸、ネオアビエチン酸,d−ピマル酸、イソ−d−ピマル酸、ポドカルプ酸などの脂環族系有機酸のビスマス塩;安息香酸、ケイ皮酸、p−オキシケイ皮酸などの芳香族系有機酸のビスマス塩;オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ネオデカン酸、ネオドデカン酸などの炭素原子数8〜20の脂肪酸ビスマス塩、等が挙げられる。中でも反応性維持の観点からオクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ネオデカン酸が好適に用いられる。なお、これら有機酸ビスマス塩は1種を単独で、または2種以上を併用しても良い。
有機酸ビスマス塩の配合量としては特に限定されるものではないが、全ポリオール成分100質量部に対して0.1〜5質量部の範囲であることが好ましい。0.1質量部以上であると十分な反応活性があり、発泡が十分に行われるとともに、スプレー発泡をスムーズに行うことができる。一方、5質量部以下であると、反応が早すぎることに起因するスプレー発泡ができないということがない。以上の点から、全ポリオール100質量部に対する有機酸ビスマス塩の配合量は、0.5〜3質量部の範囲がより好ましい。
【0031】
次に、上記アミン系化合物としては、例えばビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジメチルプロパンアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス−(ジメチルアミノエチル)エーテル、テトラメチルプロピレンジアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、メチルモルフォリン、エチルモルフォリン、トリエチレンジアミン、1−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、等が挙げられる。中でも反応活性(樹脂化と泡化とのバランス)の観点から、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジメチルプロパンアミンなどが好適に用いられる。なお、これらアミン系化合物は1種を単独で、または2種以上を併用してもよい。
アミン系化合物の配合量としては、全ポリオール成分100質量部に対して0.5〜5質量部の範囲であることが好ましい。0.5質量部以上であると十分な反応速度が得られ、発泡が十分に行われるとともに、スプレー発泡をスムーズに行うことができる。一方、5質量部以下であると、反応が早すぎることに起因するスプレー発泡ができないということがない。以上の点から、全ポリオール成分100質量部に対するアミン系化合物の配合量は、より好ましくは1〜4質量部の範囲、さらに好ましくは3〜4質量部の範囲である。
【0032】
次に、上記ピペラジン系触媒としては、ピペラジン、N,N,N−トリメチルアミノエチルピペラジン(TOYOCAT−NP,カオーライザーNo.8)等を用いることができる。カリウム塩触媒としては、オクチル酸カリウム、酢酸カリウム等を用いることができる。これらの触媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0033】
<(E)整泡剤>
本実施形態における配合液として用いられる整泡剤としては、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるものはすべて使用でき、例として、ジメチルシロキサン系整泡剤、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤等のシリコーン整泡剤が挙げられる。
【0034】
本実施形態においては、整泡剤として下記一般式(I)で示される枝分かれ型ポリエーテル変性シリコーンを用いることが好ましく、さらにこの枝分かれ型ポリエーテル変性シリコーンと下記一般式(II)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンとを組み合わせて用いることがより好ましい。
【0035】
【化1】

【0036】
ここで、m1+m2は10〜50の整数、好ましくは20〜40の整数である。また、n1、n2及びn3はそれぞれ1〜10の整数であり、(a1+a2+a3)/(b1+b2+b3)は50/50〜90/10である。さらに、ポリエーテル鎖の末端であるRは、水素又はメチル基である。なお、複数あるRは、同一でも異なっていてもよい。また式中、「EO」はエチレンオキサイド、「PO」はプロピレンオキサイドの略である。
【0037】
【化2】

【0038】
ここで、mは1〜20の整数、好ましくは5〜15の整数である。また、nは1〜10の整数、好ましくは、2〜5の整数である。mとnの比(m/n)は1〜10の範囲、好ましくは2〜6の範囲である。aは10〜50の整数、好ましくは20〜40の整数である。なお、式中「EO」はエチレンオキサイドの略であり、一般式(II)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーンにおいて末端EO組成は100質量%で、一級OH量が90〜100%であることが好ましい。
整泡剤の使用量は、ポリオール成分100質量部に対して、好ましくは4質量部以下であり、さらに好ましくは0.2〜3質量部の範囲、特に好ましくは0.5〜2質量部の範囲である。
【0039】
<(F)難燃剤>
本実施形態における配合液には、(F)成分として、難燃剤が含有される。
難燃剤としては、汎用の難燃剤を使用することができ、例えば非ハロゲン系リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、非ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等を挙げることができる。これらのうち、非ハロゲン系リン酸エステルを主成分とする難燃剤を使用することが、配合液の粘度を低く抑え、攪拌効率の向上や得られる成形体の均質性向上、スプレー工法への適用をより容易に行なう等の観点から好適である。
【0040】
上記非ハロゲン系リン酸エステルとしては、例えばトリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリイソブチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルフォスフェート等が挙げられる。また、上記含ハロゲンリン酸エステルとしては、例えばトリス(クロロプロピル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)フォスフェート等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用してもよい。
また、難燃剤の配合量としては、全ポリオール成分100質量部に対して、5〜50質量部の範囲が好ましく、より好ましくは10〜40質量部の範囲である。
【0041】
<(G)粉体>
本実施形態における配合液に添加される粉体としては、個数平均粒径が0.5μm以上50μm以下のものを使用する。これにより、発泡時において十分なガス抜け効果が得られるだけでなく、後述するスプレー発泡に使用した場合にマシンのフィルタ詰まり等を回避し、粉体粒子の沈降を遅くすることができるので、量産性を高めることができる。
【0042】
上記粉体の個数平均粒径は0.5μm以上40μm以下であることが好ましく、0.5μm以上20μm以下であることがより好ましい。
なお、粉体の個数平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により測定される個数50%粒子径である。
【0043】
また、前記平均粒径を有する粉体の含有量は、ポリオール成分100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下である。これにより、ポリオール成分に混合したときの分散性低下や増粘を防止することができ、発泡時において十分なガス抜け効果が得られるだけでなく、実質的なポリウレタンフォームの密度上昇も回避することができる。
上記含有量は8質量部以上50質量部以下とすることが好ましく、10質量部以上30質量部以下とすることがより好ましい。
【0044】
本実施形態で使用できる粉体の材質としては、上述した平均粒径を有し、ポリオール成分との混合で性状が維持されるものであれば特に制限されず、例えば炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ベントナイトなどの無機化合物;鉄、アルミニウムなどの金属;更にポリアミド、ポリ塩化ビニル、メラミン樹脂、スチレン系樹脂等の有機物が挙げられ、これらの1種を単独または2種以上を併用して使用することができる。
【0045】
本実施形態における粉体には、ポリオール成分中への分散性を向上させること等を目的として、表面処理を行ってもよい。
表面処理に用いる表面処理剤としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどの各種のシリコーンオイル、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルジメチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライドなどの各種のアルキルシラン;トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランなどの各種のフルオロアルキルシラン;特にビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤に代表される、シラン系・チタン系・アルミ系・アルミナ−ジルコニア系などの各金属系カップリング剤、イソステアリン酸、ステアリン酸などの脂肪酸やそれらの金属塩など、さらに界面活性剤などいずれの処理剤も使用可能であり、これらを単独、または二種以上を混合して用いることができる。
【0046】
表面処理は、ボールミル等による乾式処理、スプレードライヤー等による湿式処理のいずれによっても行うことが可能である。
表面処理量は、粉体100質量部に対し、表面処理剤0.1〜50質量部の範囲とすることが好ましく、より好ましくは1〜30質量部の範囲である。
【0047】
上記粉体の配合液への分散は、予めポリオール成分に添加、混合することにより行うことが好ましく、混合・攪拌はプロペラ式攪拌機やホモジナイザー等により行うことができる。また、上記混合・攪拌時には、必要により加熱を行ってもよい。
【0048】
<その他の成分>
また、本実施形態における配合液には、必要に応じて、架橋剤、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンブラック等の導電性物質、抗菌剤などを適宜配合することができる。
【0049】
本実施形態における配合液の配合方法としては、特に限定されるものではないが、前記(A)ポリイソシアネート成分以外の各成分よりなるポリオール組成物を調製し、その後(A)成分と混合する。この場合、前記のように粉体の分散性向上の観点から、(B)ポリオールにはまず(G)粉体を添加して混合することが好ましい。
上記ポリオール組成物の調製は、水と触媒とをなるべく接触させないとの観点から、上記(B)ポリオール成分と(G)粉体の混合物に対して、上記(D)触媒を配合し、次いで上記(E)整泡剤、(F)難燃剤、及びその他の成分を配合し、最後に発泡成分である上記(C)水を配合することが好適である。
【0050】
本実施形態において、前記ポリオール組成物の溶液粘度としては、JIS K1557に準拠して測定した粘度(液温25℃)として100〜500mPa・sの範囲が好ましく、より好ましくは150〜450mPa・sの範囲である。溶液粘度が上記範囲を逸脱すると、従来のポリウレタン配合液をスプレー工法に用いる際に用いていた装置をそのまま転用できない場合がある。また、粘度が高すぎることは作業性の悪化、攪拌効率の悪化、ひいては得られる発泡成形体の均質性の低下につながる傾向となり好ましくない。
【0051】
本実施形態における配合液を用いて、ミキシングヘッドを用いたエアレススプレー発泡にて、硬質ポリウレタンフォームを製造する場合には、上記(A)ポリイソシアネート成分と、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、(E)整泡剤、(F)難燃剤、(G)粉体及びその他の助剤を混合したポリオール組成物とを、30〜50℃でミキシングヘッドを用いて混合し、施工対象面に吐出圧力3.9〜7.8MPaで吹き付け、所定の厚さとなるまで吹き付けを繰り返して発泡させることにより製造することができる。
【0052】
なお、発泡硬化時の硬化条件としては、適宜設定し得るが、発泡液温としては10〜50℃の範囲とすることが好ましく、発泡雰囲気温度としては0〜35℃の範囲とすることが好ましい。
【0053】
こうして得られる本実施形態の硬質ポリウレタンフォームからなる吹付け断熱材においては、構成する硬質ポリウレタンフォームのコア密度が、JIS A9526に規定される方法において、22kg/m3以上30kg/m3以下であることが好ましい。コア密度(心密度)が22kg/m3以上であると強度が著しく低下することがなく、収縮も抑制される。一方、コア密度(心密度)が30kg/m3以下であると、少ない材料で所望の性能が得られる。従って、コア密度は24kg/m3以上30kg/m3以下がより好ましく、26kg/m3以上28kg/m3以下がさらに好ましい。
【0054】
本実施形態の硬質ウレタンフォームからなる吹付け断熱材は、好ましくは難燃性能がJIS A1321に規定される難燃3級以上、及び/または、建築基準法施行令第一条第六号で示される難燃材料である
【0055】
また、本実施形態の硬質ポリウレタンフォームからなる吹付け断熱材は、雰囲気温度及び躯体面の温度0〜10℃において成型された吹付け断熱材の自己接着強度が、JIS A9526に規定される方法において10N/cm2以上であることが好ましい。
また、前記硬質ポリウレタンフォームは、独立気泡率が10〜50体積%の範囲であることが好ましい。独立気泡率が10体積%以上であると、フォームの十分な強度が得られ、JIS A9526に示される規格値を満足することができる。一方、50体積%以下であると、フォームの寸法安定性が損なわれることがなく、収縮が抑制される。
【0056】
本実施形態の吹付け断熱材は、戸建家屋用の断熱材として従来用いられていたグラスウールやスチレンボードの代替品として非常に好適である。
【実施例】
【0057】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<評価方法>
各実施例及び比較例にて製造された硬質ポリウレタンフォーム(吹付け断熱材)に関し、製造時の作業性やフォームの特性について、以下の方法にて評価した。
(1)マシン施工性
以下の条件によりスプレー施工を行い、スプレーパターン及びフィルター詰まりについて評価した。
・スプレー発泡機:ガスマー社製「H−2000」「FF−1600」(混合容積比100:100)(ミキシングヘッド:Dガン)
・ホースヒーター設定温度:30〜45℃
・メインヒーター設定温度:30〜45℃
【0058】
(スプレーパターン)
躯体から1m離れた地点からガンで吹付けた際の円状の液の広がりを、以下の基準により評価した。
○:円状の広がりの直径が25cm以上。
△:円状の広がりの直径が15cm以上25cm未満。
×:円状の広がりの直径が15cm未満。
【0059】
(フィルター詰まり)
スプレー発泡を連続して480分間行ったときのフィルターの詰まりを、以下の基準により評価した。
○:マシン本体のポリオール成分の圧力計表示の上昇が、開始時対比50mmHg/cm2未満。
△:マシン本体のポリオール成分の圧力計表示の上昇が、開始時対比50mmHg/cm2以上100mmHg/cm2未満。
×:マシン本体のポリオール成分の圧力計表示の上昇が、開始時対比100mmHg/cm2以上。
【0060】
(2)寸法変化率(%)
コア部分を寸法100mm×100mm×30mmに裁断して採取したものを、JIS A9526に準拠して、高湿熱環境下(温度:50℃、湿度:95%RH)に24時間投入し、前後の寸法変化率を、縦、横、及び厚さについて、それぞれ測定した。なお、寸法変化率がすべて±5%以下であれば合格とする。
(3)コア密度(kg/m3
サンプルを寸法50mm×50mm×30mmに裁断して採取したものについて、JIS A9526に準じて測定した。
(4)独立気泡率(%)
ASTM D2856に準拠して測定した。
(5)難燃性
JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法に従って、東洋精機製作所製燃焼性試験機による表面試験を実施した。なお、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法による難燃3級規格は次の通りである。
・排気温度時間≧180sec
・発煙係数≦120
・温度時間面積≦350(℃・min)
・残炎時間≦30sec
・試験体に著しい溶融・亀裂・変形のないこと。
【0061】
<実施例1〜15及び比較例1〜12>
表1乃至表4に示した配合処方に従って、配合液を調製した。調製に際しては、(A)ポリイソシアネート成分以外の各成分からなるポリオール組成物を調製し、別途、所定量の(A)ポリイソシアネート成分を用意した。ポリオール組成物は、まず(D)触媒を混合し、次いで(E)整泡剤、続いて(F)難燃剤を配合し、さらに(C)水を混合して一旦攪拌した後、(G)粉体(含む場合)を添加、混合することにより調製した。
得られたポリオール組成物と上記(A)ポリイソシアネート成分とを用い、前記スプレー施工条件(混合容積比100:100)でエアレススプレー発泡を行って、硬質ポリウレタンフォームを得た。得られたフォームを前記方法にて評価した。評価結果を表1乃至表4に示す。なお、比較例5、6、10、11については、マシン施工性に問題があり良好な硬質ポリウレタンフォームが得られなかったため、難燃性の評価を行っていない。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
【表4】

【0066】
*1 ポリオールA;マンニッヒ変性ポリマーポリオール(旭硝子ポリウレタン(株)製「XR7202」、水酸基価380mgKOH/g、粘度1400mPa・s(25℃)、アクリロニトリルと酢酸ビニルとを共重合させて得られる粉体成分を1.4質量%含む、アクリロニトリルと酢酸ビニルの構成比率は1:3)
*2 ポリオールB;p−フタル酸ベースポリエステルポリオール(日立化成工業(株)製「SV165」、水酸基価200mgKOH/g、粘度820mPa・s(25℃)、p−フタル酸含量;62.5質量%)
*3 ポリオールC;ポリエーテルポリオール(三井化学(株)製「GR−11」、EO/PO=100/0、水酸基価450mgKOH/g、粘度1200mPa・s(25℃))
*4 ポリオールD;エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール(旭硝子ポリウレタン(株)製「600ED」、水酸基価650mgKOH/g、粘度7000mPa・s(25℃))
*5 ポリオールE;メラミン系ポリマーポリオール(旭硝子ポリウレタン(株)製「M950」、固形分濃度:25質量%、固形分平均粒子径:0.3〜0.5μm、ベースのポリエーテルポリオール:平均官能基数=3、重量平均分子量:5000、水酸基価26mgKOH/g)
*6 ポリオールF;ポリエーテルポリオール(三井化学(株)製「NF−04」、水酸基価360mgKOH/g、粘度540mPa・s(25℃))
【0067】
*7 粉体A;炭酸カルシウム(個数平均粒径:3μm)
*8 粉体B;メラミン樹脂粒子(三菱化学(株)製、製品名「メラミン」、個数平均粒径:1.2μm)
*9 粉体C;スチレン系樹脂粒子(三洋化成工業(株)製、製品名「スチレン」、個数平均粒径:0.8μm)
*10 粉体D;ベントナイト(有機化表面処理、個数平均粒径:10μm)
*11 粉体E;ベントナイト(表面処理なし、個数平均粒径:10μm)
*12 粉体F;水酸化マグネシウム(個数平均粒径:10μm)
*13 粉体G;炭酸カルシウム(個数平均粒径:10μm)
*14 粉体H;炭酸カルシウム(個数平均粒径:50μm)
*15 粉体I;炭酸カルシウム(個数平均粒径:100μm)
*16 粉体J;炭酸カルシウム(個数平均粒径:300μm)
【0068】
*17 難燃剤A;トリスモノクロロプロピルフォスフェート(大八化学(株)製「TMCPP」)
*18 難燃剤B;トリエチルフォスフェート(大八化学(株)製「TEP」)
*19 触媒A;N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン(花王(株)製「カオーライザーNo.1」)
*20 触媒B;N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(花王(株)製「カオーライザーNo.3」)
*21 触媒C;日本化学産業(株)製「プキャット25」(2−エチルヘキシル酸ビスマス(ビスマス量として25質量%)とオクチル酸ビスマス(ビスマス量として20質量%)の混合物)
*22 触媒D;日本化学産業(株)製「プキャット15G」(オクチル酸カリウムのジエチレングリコール溶液、カリウム濃度;15質量%)
【0069】
*23 整泡剤A;式(II)で示されるペンダント型ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製「SH193」、ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー、m=11、n=3、a=29、GPC法(ポリスチレン換算)による重量平均分子量:5100、HLB:19)
*24 整泡剤B;式(I)で示される枝分かれ型ポリエーテル変性シリコーン(東レダウコーニング(株)製「SF2937」、ジメチルシロキサンとポリエーテルのブロックコポリマー、m1+m2=30、n1=n2=n3=1、(a1+a2+a3)/(b1+b2+b3)=75/25、GPC法(ポリスチレン換算)による重量平均分子量:8900、HLB:13)
*25 MDI;ジフェニルメタンジイソシアネート(住友バイエルウレタン(株)「44V20」)
【0070】
表1乃至表4に示す結果から明らかなように、実施例の硬質ポリウレタンフォームからなる吹付け断熱材では、製造時のマシン施工性に問題がなく、低密度、難燃性を維持しつつ高温高湿での寸法変化を抑制することができた。
一方、特定粒径範囲の粉体を含まないか、水やポリエステルポリオール含有量が特定範囲を外れる配合液を用いた比較例では、前記いずれかの特性・性能において問題が発生した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリイソシアネート成分、(B)ポリオール成分、(C)水、(D)触媒、(E)整泡剤、(F)難燃剤及び(G)粉体を含有する配合液を発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームからなり、
前記ポリオール成分がポリエステルポリオールを20質量%以上含有し、前記配合液中の水の含有量がポリオール成分100質量部に対して10質量部以上13質量部以下であり、前記粉体の個数平均粒径が0.5μm以上50μm以下、前記配合液中の該粉体の含有量がポリオール成分100質量部に対して5質量部以上60質量部以下である吹付け断熱材。
【請求項2】
前記硬質ポリウレタンフォームのコア密度が、22kg/m3以上30kg/m3以下である請求項1に記載の吹付け断熱材。

【公開番号】特開2010−270877(P2010−270877A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125066(P2009−125066)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】