説明

周囲温度硬化のための導電性プライマー組成物

本発明は、室温または低い焼付け温度硬化条件下で硬化して導電性材料を形成する、導電性で可撓性のプライマー組成物を提供する。そのプライマー組成物には、溶媒と、40〜75重量%のフィルム形成性バインダーおよび顔料とを含有し、全顔料のバインダーに対する重量比が約1:100から100:100までであり、ここで前記バインダーには、(A)可撓性のヒドロキシ含有ポリエステル樹脂と、(B)有機ポリイソシアネート架橋剤と、を含み;そしてここでその顔料には、導電性顔料を含み、顔料のバインダーに対する重量比が約1:100から130:100までであり、その導電性顔料が、グラファイトと導電性カーボンブラック顔料とから本質的になり、グラファイトのカーボンブラックに対する重量比は約120:1から1:1までであり、そして前記組成物が、室温または低い焼付け温度条件で硬化させたときに、少なくとも100ランズバーグ単位の表面導電性を有する、硬度が高く、可撓性のコーティングを形成する。このコーティング組成物は、金属またはプラスチック基材の上に使用して、その基材に導電性を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプライマー組成物に関し、さらに詳しくは、周囲温度またはやや高めの温度で硬化させることによって導電性材料を形成させることができる、導電性で可撓性のプライマー組成物に関し、また、1層または複数のそれらの導電性材料の層を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
プライマーおよび導電性プライマーは当業者には周知のものであって、乗用車およびトラックの製造においては広く使用されている。プラスチック部品の上に用いられるハイソリッド導電性プライマーも同様に公知で、たとえば、トレンパー(Tremper)による米国特許公報(特許文献1)(発行1988年4月26日);トレンパー(Tremper)による米国特許公報(特許文献2)(発行1988年4月26日);およびトレンパー(Tremper)による米国特許公報(特許文献3)(発行1991年11月26日)などが知られている。しかしながら、それらの組成物のいずれをとっても、周囲温度または低い焼付け温度で乾燥して、導電性材料を形成するような性能を有しているものは無い。
【0003】
最新の乗用車およびトラックの製造設備では、トップコートペイントは静電塗装によって塗布される。静電塗装は、ペイントのオーバースプレーが原因の、ペイントのロスおよび大気汚染を減少させる。ペイントを効果的に静電塗装するためには、その基材を導電性にしておかねばならない。多くの乗用車およびトラックには、可撓性プラスチック構成部品が用いられており、いくつかの乗用車のボディは、ガラス繊維強化ポリマーや、その他のプラスチックで構成されている。それらの構成部品は導電性ではなく、そのような基材に静電塗装することは困難である。さらに、それらの構成部品が可撓性であるので、プライマーやトップコートも可撓性であることが求められる。乗用車およびトラック製造が直面するまた別な大きな課題は、フロアスペース、フラッシュ時間(flash time)、フラッシュ乾燥および焼付けゾーンへの投資を最小限にしながら、いかにプライマーを高速で硬化させ、基材に導電性を与えるか、ということである。従来からのプライマーでは、低温短時間の硬化で充分な導電性のある状態にすることは不可能であり、その結果、現在のところ、塗装操作における生産性およびエネルギー効率が不充分である。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,740,426号明細書
【特許文献2】米国特許第4、740,566号明細書
【特許文献3】米国特許第5,068,063号明細書
【特許文献4】米国特許第4,442,269号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乗用車およびトラックの製造において、高性能なプライマーに対する大きなニーズが存在するが、そのようなプライマーとは、導電性があり、可撓性があり、基材に対して優れた接着性を有し、通常のコーティングが付着できる表面を与え、周囲温度またはやや高めの温度で急速に硬化して導電性の状態となるもので、それによって、エネルギーコストを抑制し、生産性を向上させることができる。
【0006】
本発明の新規なプライマー組成物は、上述の望ましい特性を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、周囲温度硬化性、導電性、可撓性のプライマー組成物を提供し、そのプライマー組成物には溶媒と40〜75重量%のフィルム形成性バインダーおよび顔料とを含むが、そこで全顔料のバインダーに対する重量比が約1:100から200:100までであり;前記バインダーには
(A)ヒドロキシ含有ポリエステル樹脂と
(B)有機ポリイソシアネート架橋剤と、を含み、そして
前記顔料には、導電性顔料を含むが、導電性顔料のバインダーに対する重量比が約1:100から130:100までであり、そして前記導電性顔料が、グラファイトとカーボンブラック顔料とから本質的になり、グラファイトのカーボンブラックに対する重量比が、約120:1から1:1までであり、そして前記組成物が、周囲温度またはやや高めの温度で硬化させたときに、少なくとも100ランズバーグ単位(Ransburg unit)の表面導電性を有するコーティングを形成する。このコーティング組成物は、プラスチック基材、またはプラスチックもしくは金属のいずれかで予めコーティングした基材の上で使用して、その基材に導電性を与えることができる。
【0008】
「周囲温度硬化性(ambient−cure)」という用語は、そのコーティングが、周囲温度(15〜30℃)の開放空気中で硬化することができ、塗布後少なくとも4〜8時間以内に少なくとも100ランズバーグ単位の、所望の表面導電性を有するコーティングを形成することを意味している。
【0009】
「やや高めの温度」または「低い焼付け温度」という用語は、そのコーティングが、60℃以下、典型的には50℃以下の低温焼付け条件で硬化して、30分以内に少なくとも100ランズバーグ単位の所望の表面導電性を有するコーティングを形成することが可能であることを意味している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のプライマー組成物は、周囲温度または低温焼付け条件(最高60℃までで、30分以内)で硬化して、硬度が高く、可撓性で、導電性がある仕上がりを与え、たとえば、冷間圧延鋼、リン酸塩処理鋼、プレコートメタル、ガラス繊維強化ポリエステル、反応射出成形ウレタン、部分結晶化ポリアミド、プレコートプラスチック、およびその他のプラスチック基材などの、各種の基材に対して優れた接着性を示し、それらに通常のトップコートが接着するような表面を与える。このプライマーは、上述のプラスチック基材において特に有用であるが、その理由は、得られる仕上がり面が導電性であるために、多くの乗用車およびトラック製造設備で近年使用されている、静電塗装によって、トップコートを塗布することが可能となるからである。本発明のプライマー組成物はさらに、良好な保存安定性(すなわち、少なくとも1〜2年は充分な導電性を維持している)を有する仕上がり表面を与え、また、塗装後に、小さな欠陥を除くための作業をして、迅速に補修することができる。
【0011】
このプライマー組成物では、導電性顔料の組合せ、特に導電性グラファイトとカーボンブラック顔料との組合せを使用するが、それによって、室温または低い焼付け温度の硬化条件下で、導電性プライマーコーティングを形成させることが可能となる。具体的には、導電性顔料のバインダーに対する比と、グラファイトのカーボンブラックに対する比とを慎重に選択することによって、室温乾燥条件下で導電性表面を形成させることができる。
【0012】
このプライマー組成物には、導電性顔料と着色顔料の両方を含めて、顔料が含まれるが、全顔料のバインダーに対する重量比は、約1:100から200:100までである。使用する顔料の量は、好ましくは、顔料のバインダーに対する重量比が約50:100から150:100まで、より好ましくは、約80:100から150:100までである。さらに厳密に言えば、プライマー組成物には、上述の導電性顔料を、顔料のバインダーに対する重量比が約1:100から130:100までになるように含む。使用する導電性顔料は、好ましくは顔料のバインダーに対する比が約5:100から100:100まで、より好ましくはその比が約10:100から80:100までになるようにする。使用する具体的な、導電性グラファイトの導電性カーボンブラックに対する比もまた慎重に選択して、その組成物に所望の空気乾燥導電性を与えるようにする。一般に、グラファイトのカーボンブラックに対する重量比は、約120:1から1:1までの範囲である。グラファイトのカーボンブラックに対する重量比は好ましくは約80:1から20:1まで、さらに好ましくは約40:1から3:1までである。
【0013】
上で規定したような範囲を選択することによって、室温乾燥条件下で硬化させた後で、少なくとも100ランズバーグ単位、好ましくは125ランズバーグ単位以上の表面導電性を有するコーティングが得られる。コーティング組成物の表面導電性は、インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis,Indiana)のランズバーグ・エレクトロコーティング・コーポレーション(Ransburg Electrocoating Corporation)によって製造されている、スプレイアビリティ・メーター(Sprayability Meter)を使用して、測定する。
【0014】
上述の成分に加えて、導電性本発明のプライマー組成物には、フィルム形成性バインダー成分および通常はバインダーの溶媒として働く、液状キャリヤーが含まれる。本発明は、現行の汚染規制に適合する、ハイソリッドで、低VOC組成物を目標としているので、その組成物には、フィルム形成性バインダー含量が約40〜75重量%、それに対応して液状キャリヤーが約25〜60重量%含まれているのが好ましい。
【0015】
その組成物のフィルム形成性バインダーには、約50〜80重量%のポリエステルコポリマーと、約20〜50重量%の有機ポリイソシアネート架橋剤とを含んでいるのが好ましい。特に好ましい組成物では、約60〜70重量%のポリエステルコポリマーと30〜40%の架橋剤とを含み、それを使用して、高品質の組成物を形成させる。
【0016】
この組成物に使用されるポリエステルコポリマーは、約15〜300のヒドロキシル価および約300〜3,000の数平均分子量を持つヒドロキシル基を有する直鎖状のポリエステルセグメントと、分岐状のポリエステルセグメントとを有している。それらの分岐状のセグメントには、ヒドロキシル基を含み、約175〜300のヒドロキシル価および約500〜2,000の数平均分子量を持ち、直鎖状のセグメントとは、これら2種のセグメントのヒドロキシル基を、二酸または酸無水物を用いてエステル化させることによって、結合されている。このポリエステルコポリマーは、約800〜3,500の数平均分子量および約50〜170のヒドロキシル価を持つ。
【0017】
本明細書における分子量はすべて、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定し、標準としてポリメタクリル酸メチルを用いる。
【0018】
ゾンマーフェルド(Sommerfeld)らの米国特許公報(特許文献4)(発行1984年4月10日)には、本明細書において使用するポリエステルコポリマーを製造するための方法が記載されている(この特許を、参照することにより、本明細書に援用する)。さらに、好適なポリエステル組成物も開示されている。
【0019】
直鎖状のセグメントは、直鎖のジオールとジカルボン酸とから形成される。有用なジオールの典型的なものは、2〜10個の炭素原子を有するもので、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、エステルジオール(Esterdiol)204(ユニオン・カーバイド(Union Carbide)により製造販売されているジオール)などが挙げられる。好ましいジオールはネオペンチルグリコールと1,6−ヘキサンジオールであって、これらのジオールからは高品質のポリエステルが得られる。
【0020】
使用可能なジカルボン酸の典型的なものとしては、芳香族酸たとえばフタル酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、および脂肪族酸たとえばアジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
【0021】
分岐状のセグメントは、直鎖ジオール、分岐状鎖ポリオールおよびジカルボン酸から形成される。上に挙げた直鎖ジオールとジカルボン酸が使用される。使用可能な典型的な分岐状鎖ポリオールとしては、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0022】
直鎖状のセグメントと分岐状のセグメントとは、二酸または酸無水物を用いて、それぞれのセグメントのヒドロキシル基をエステル化することによって結合される。上述の酸を使用することもできるが、酸無水物を用いるのが好ましい。典型的な酸無水物としては、オルト無水フタル酸、コハク酸無水物、グルタル酸無水物などが挙げられる。
【0023】
好適なポリエステルコポリマーの1例は、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、イソフタル酸およびアゼライン酸からのポリエステルの直鎖状鎖セグメントと、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、イソフタル酸およびアゼライン酸とからのポリエステルの分岐状鎖セグメントとを有し、オルト無水フタル酸を用いてエステル化されている。直鎖状鎖セグメント/酸無水物/分岐状鎖セグメントのモル比は、1/1/1で、コポリマーの数平均分子量は約800〜1,500、ヒドロキシル価は125〜155である。
【0024】
ポリエステルセグメントおよびポリエステルコポリマーは、通常のエステル化方法を用いて製造するが、その方法では、成分を、溶媒および通常はエステル化触媒と共に重合反応器の中に仕込み、約100〜200℃で、約30分〜5時間、重合の際に形成される水を除去しながら加熱する。
【0025】
組成物の中で使用する架橋剤は、有機ポリイソシアネート架橋樹脂であって、周囲温度での硬化を可能とする。常用されている各種の芳香族、脂肪族、脂環族のイソシアネート、3官能イソシアネート、およびポリオールとジイソシアネートからのイソシアネート官能性アダクトが使用できる。有用なジイソシアネートで典型的なものとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ビスシクロヘキシルジイソシアネート、テトラメチレンキシレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、2,3−ジメチルエチレンジイソシアネート、1−メチルトリメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0026】
使用可能な3官能イソシアネートの典型的なものとしては、トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3,5−ベンゼントリイソシアネート、2,4,6−トルエントリイソシアネートなどが挙げられる。ジイソシアネートの三量体もまた使用できるが、たとえば、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体で、商標「デスモジュール(Desmodur)」N−3390として販売されているものがある。
【0027】
イソシアネート官能性アダクトも使用できるが、これは、有機ポリイソシアネートとポリオールから形成させることができる。上述の各種ポリイソシアネートをポリオールと共に使用して、アダクトを形成させることができる。ポリオールたとえば、トリメチロールプロパンまたはトリメチロールエタンのようなトリメチロールアルカンが使用できる。有用なアダクトの1つは、テトラメチルキシリデンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応生成物で、「サイテン(Cythane)」3160の商品名で販売されているものである。
【0028】
1つの好ましい組合せは、50〜60重量%のポリエステルと40〜50重量%のジイソシアネートをブレンドしたもので、それは最終の仕上げ品での可撓性を犠牲にすることなく、周囲温度で急速な硬化をさせることを可能とする。
【0029】
このプライマー組成物から形成して得られる仕上げ品は、可撓性のあるプラスチック基材の上で使用できるような、可撓性を有しているべきである。仕上げ品の可撓性は、マンドレル曲げ試験によって測定することができるが、この試験は、コーティング組成物を完全に硬化させて得られる厚み約1.0ミルの膜でコーティングしたパネルを、−29℃に保ち、次いでそれを直径1/2インチの鋼製マンドレルの周りで曲げるが、その際、パネルのコーティングした側を外側に向ける。コーティングが破損したり、クラックが入ってはいけない。
【0030】
先に述べたように、この組成物にはさらに、導電性のグラファイトとカーボンブラック顔料を組み合わせたものを含む。本発明を実施する際に使用するのに適したグラファイトは、天然品でも合成品でもよいが、合成品であるのが好ましい。そのようなグラファイトの例としては、導電性グレードたとえばM440、M450、M490、M850、M890および4934(ニュージャージー州アズベリー(Asbury,NJ)のアズベリー・グラファイト・ミルズ・インコーポレーテッド(Asbury Graphite Mills,Inc.)から販売)などが挙げられる。グラファイトの平均粒径は、約1〜15ミクロン、好ましくは約3〜9ミクロンの範囲である。グラファイトの平均粒径が5ミクロンであるのが、最も好ましい。
【0031】
本発明を実施するのに適したカーボンブラック顔料の例としては、導電性グレードのもので、たとえば、コンダクテックス・975・ウルトラ(CONDUCTEX 975 ULTRA)(ジョージア州アトランタ(Atlanta,GA)のコロンビアン・ケミカル・カンパニー(Columbian Chemical Company)から販売)、プリンテックス(Printex)XE−2(独国フランクフルト(Frankfurt,Republic of Germany)のデグッサ(Degussa)から販売)、ブラック・パールス(BLACK PEARLS)2000(マサチューセッツ州ボストン(Boston,MA)のキャボット・コーポレーション(Cabot Corporation)から販売)などが挙げられる。導電性のファーネスブラックも使用することができ、たとえば、表面処理をしていない、バルカン(Vulcan)XC72−Rファーネスブラック顔料などが挙げられる。
【0032】
上述の導電性顔料に加えて、各種の顔料、有機染料およびレーキもこの組成物において使用できるが、ただし、所定の硬化条件下で、少なくとも100ランズバーグ単位の導電性を維持しなければならない。本発明の導電性コーティングは、色がグレーであるのが好ましいので、黒色のコーティングを、二酸化チタンを添加することによって、変化させるのが好ましい。導電性コーティングに二酸化チタンを添加することによって、コーティングの色に明度が加わる。この導電性コーティングに別な着色用の有機または無機顔料を添加して、コーティングの色を変化させることも可能である。体質顔料、たとえば硫酸バリウム、チャイナクレー、および/またはタルクを、本発明の組成物に添加することも可能ではあるが、一般的にはそれらは好ましくない。
【0033】
顔料をプライマー組成物の中へ組み入れるためには、まず、ポリエステルコポリマーまたは、他の相溶性のあるポリマーもしくは分散剤と組み合わせてミルベースを形成させるが、それには慣用されている方法、たとえば、サンドグラインド法、ボールミル法、アトリターグラインド法、2本ロールミル法などが使用できる。そのミルベースを、組成物中に使用されるその他の成分とブレンドする。
【0034】
各種の慣用されている溶媒または溶媒ブレンド物を使用してプライマー組成物を形成させることができるが、ただし、ポリマーバインダー成分が相溶し、高品質のプライマーが得られるような溶媒を選択する必要がある。以下に、組成物を製造する際に使用できる溶媒の例を挙げる:メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、アセトン、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、および慣用されているその他のエステル、エーテル、ケトン、脂肪族および芳香族炭化水素溶媒など。
【0035】
本発明の組成物にはさらに、その組成物を周囲温度で硬化させるために充分な量の触媒を含んでいるのが好ましい。一般には、バインダーの重量を基準にして約0.01〜2重量%の触媒を使用する。一般的には酸触媒が好ましい。本発明を実施する際に使用可能な酸触媒の一部を挙げれば、パラ−トルエンスルホン酸(ナキュア(Nacure)2500)、フェニル酸ホスフェート(phenyl acid phosphate)(ナキュア(Nacure)4575)、ドデシルベンゼンスルホン酸(ナキュア(Nacure)XP−221)、ジノニルナフタレンジスルホン酸、またはそれらの組合せなどが挙げられる。ナキュア(Nacure)は、コネチカット州ノーウォーク(Norwalk,CT)のキング・インダストリーズ(King Industries)から販売されている。ヒドロキシル官能性ポリエステルとイソシアネートとの間の架橋を促進させるために通常採用されているその他の各種触媒を用いても良い。
【0036】
耐候性を改良する目的で、その組成物に、バインダーの重量を基準にして約0.01〜2重量%の紫外光安定剤を加えてもよいが、この紫外光安定剤という用語には、紫外光吸収剤、遮蔽剤、失活剤および抗酸化剤が含まれる。典型的な紫外光安定剤としては、ベンゾフェノン、トリアジン、トリアゾール、ベンゾエート、ヒンダードアミン、およびそれらのブレンド物が挙げられる。
【0037】
場合によっては本発明の組成物に加えることができるその他の添加剤としては、表面張力調節剤、レオロジー調節剤、アンチポッピング添加剤、ポリアクリレート、アリールアクリレート、変性ポリシロキサン、またはそれらの組合せなどが挙げられる。
【0038】
本発明の組成物は、イソシアネート成分とヒドロキシルポリエステル成分とを別々に保存しておいて、使用の直前に混合する、二液型コーティングとして処方するのが好ましい。典型的には、その他の成分はヒドロキシルポリエステル成分に予めブレンドしておいて、それと同一の容器に貯蔵する。
【0039】
このプライマー組成物は可撓性または剛直な基材に塗布することができるが、そのための方法としては、たとえばスプレー法、静電塗装法、浸漬法、はけ塗り法、フローコーティング法などがある。先にも述べたように、好ましい方法は静電塗装法である。塗布した後で、その組成物を周囲温度で少なくとも約4〜8時間、あるいは約50℃までの少し高目の温度で30分空気乾燥させると、厚みが約0.1〜2.0ミルの導電性プライマーコーティング層が形成される。一般にそのプライマー層の厚みは約0.5〜1.5ミルである。したがって、本発明においては、プライマーを焼付ける必要はない。仕上げが完了して、所望の導電性が得られたら、その車両にトップコートを塗布することができる。一般に使用される溶媒系または水系のトップコート、たとえばアクリルエナメルまたはラッカー、アクリルポリウレタンコーティング、ポリエステルウレタンコーティング、アルキドエナメルなどや、粉体トップコートを塗布することが可能であり、次いで焼付けを行って、その基材の上に乗用車またはトラック用の耐久仕上げを形成させる。
【0040】
以下に、実施例を用いて本発明を説明する。特に断らない限り、すべての部およびパーセントは重量基準である。分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定し、標準にポリメタクリル酸メチルを用いる。
【実施例】
【0041】
(ポリエステル樹脂1)
ポリエステルポリオール樹脂溶液を製造するために、以下の成分を、機械的撹拌装置、電気式マントルヒーター、窒素注入管、水分離器、温度計、添加ロート、水冷の還流コンデンサーを取り付けた、重合反応器に仕込み、後述のようにして製造した。
【0042】
【表1】

【0043】
成分1を重合反応器の中に仕込み、撹拌しながら125〜150℃で、約1時間加熱した。次いで成分2を添加し、温度約220〜225℃で水を留去させた。その後で成分3を添加し、さらに成分4を添加してから、その組成物を冷却して室温とした。こうして得られたポリエステル溶液の固形分含量は約80%で、そのポリエステルのヒドロキシル価は約120〜150、数平均分子量は約1,200であり、分岐状のポリエステル/オルト無水フタル酸/直鎖状のポリエステルのモル比は1:1:1であった。
【0044】
(ポリエステル樹脂2)
第2のポリエステルポリオール樹脂溶液を製造するために、上述の設備を備えた重合反応器に、以下の成分を仕込み、後述のようにして製造した。
【0045】
【表2】

【0046】
成分1を重合反応器の中に仕込み、撹拌しながら200℃で3時間加熱蒸煮すると、酸価が10〜15、容器内固形分(kettle solids)=100%となった。次いで成分2を添加して、その組成物を冷却して室温とした。こうして得られたポリエステル溶液の固形分含量は約80%、ヒドロキシル価は160〜185、数平均分子量は約2,100であった。
【0047】
(導電性顔料分散体1)
顔料分散体(すなわちミルベース)を以下のようにして製造した。
【0048】
【表3】

【0049】
上記の成分をデュアル・ブレード・インペラー(Dual Blade Impeller,DBI)の中に仕込んで、3時間磨砕させた。
【0050】
(導電性顔料分散体2)
第2の顔料分散体(すなわちミルベース)を以下のようにして製造した。
【0051】
【表4】

【0052】
上述の成分を合わせて、約30分間混合した。次いでその混合物を、0.6〜0.8mmのジルコニアメディアを含む2リットルのネッチュ(Netsch)LMZメディアミルの中に仕込んで、チップスピード14m/秒、流速=14秒/0.5パイントで1時間、1タンク再循環法で磨砕させた。
【0053】
(顔料分散体3)
第3の顔料分散体(すなわちミルベース)を以下のようにして製造した。
【0054】
【表5】

【0055】
上述の成分を合わせて、DBI混合装置を使用して高速で約6時間かけて混合し、次いで、16ガロンのサンドミル(0.8mmガラス製メディア)の中に仕込み、45ガロン/時間で、2パスさせることにより磨砕させた。磨砕が完了したら、その分散体を、下記の追加の樹脂と溶媒を用いて、さらに希釈した。
【0056】
【表6】

【0057】
上述の成分を合わせて、DBI混合装置を使用して1時間混合した。
【0058】
(顔料分散体4)
第4の顔料分散体(すなわちミルベース)を以下のようにして製造した。
【0059】
【表7】

【0060】
上記の成分を合わせて、その分散混合物をDBI混合装置を使用して高速で30分間混合し、次いで、25ガロンのショルドミル(Sholdmill)(0.8mmステンレス鋼)の中に仕込み、100ガロン/時間の速度で、8パスさせることにより磨砕させた。磨砕が完了したら、その分散体を、下記の追加の樹脂と溶媒の混合物を用いて、さらに希釈した。
【0061】
【表8】

【0062】
上述の成分を合わせて、DBI混合装置を使用して1時間混合した。
【0063】
(導電性プライマー組成物)
以下に記載する導電性プライマー組成物は、空気乾燥または低温焼付け条件で硬化させると導電性となるコーティングの1例であるが、静電的にトップコートを塗布するための表面を発生させる。
【0064】
本発明のライトグレー色の導電性コーティング組成物を、以下の成分を合わせて予備ブレンドすることにより製造した。
【0065】
【表9】

【0066】
以下の成分を、上で製造した予備ブレンド物と組み合わせた。
【0067】
【表10】

【0068】
こうして得られたプライマー組成物の固形分含量は53.96%、全顔料/バインダーの比は95.4/100で、色はグレーであった。
【0069】
固形分含量が75%の、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート系のポリイソシアネート架橋剤/活性化剤溶液(バイエル・コーポレーション(Bayer Corporation)の「デスモジュール(Desmodur)」XP−7124E)1部を、4部のプライマーに添加することによって、このプライマーを活性化させた(部は容量基準)。次いでそのプライマーの粘度を、メチルアミルケトンを用い、No.3のザーンカップ(Zahn cup)を用い25℃で測定したときに、11〜15”となるような粘度まで下げた。これにより、固形分含量が58.08%、顔料のバインダーに対する比が57.4/100、VOCが3.413ポンド/ガロンであるような、プライマーが得られた。
【0070】
次いでそのプライマーを、通常のスプレー装置を用いて、ガラス繊維強化ポリエステルパネル、反応射出成形ウレタンパネル、および部分結晶化ポリアミドパネルの上にスプレー塗布した。それらのパネルは、約120゜Fで30分間焼きけるか、または室温で少なくとも8時間空気乾燥させるかのいずれかの後で、プライマー表面について乾燥導電性の試験を行った。それらのパネルの色はグレーで、乾燥後の膜の厚みが約1.2〜1.4ミル、60度グロスで測定したグロスが10〜30の範囲であった。
【0071】
プライマー仕上げをしたものそれぞれの導電率は、少なくとも120ランズバーグ単位であった。
【0072】
次いで、上記のようにして調製したパネルから、実験室評価のための試験パネルを調製した。そのパネルは、トップコート無しのまま(パネル1)か、または、静電塗装を用いて、慣用されているハイソリッドアクリルウレタンである、本願特許出願人製のシングルステージ「イムロン(Imron)」5000トップコーティング(3.5#/ガロンVOC)でトップコートしたもの(パネル2)であった。トップコートしたパネルは、180゜F(83℃)で30分間の焼付けを行った。得られた乾燥膜の厚みは、約1.8〜2.2ミルであった。
【0073】
さらに、対照のパネル3および4を、大型トラック産業で使用されている市販の導電性プライマー(下記参照)を用いて、それぞれのパネルにスプレー塗布することにより調製した。それらのパネルは30’×180゜Fで焼付けた。それらのパネルの色は黒色で、乾燥後の膜の厚みが約1.2〜1.4ミル、60度グロスで測定したグロスが12〜20の範囲であった。プライマー仕上げをしたものそれぞれの導電率は、少なくとも120ランズバーグ単位であった。
【0074】
対照として用いた市販の導電性プライマーは、本願特許出願人の373P24816(顔料入り成分)と本願特許出願人の193S(架橋剤/活性化剤)との4/1(容積比)(重量比では350gの373P24816に対して100gの193S)を混合させることによって配合したが、それによって、全固形分含量が53.93%、バインダー固形分が40.91%、顔料とバインダーの重量比が32/100、VOC(#/ガロン)が3.485、およびガロン重量(#/ガロン)が8.47の、組成物が得られた。このプライマーのバインダーは、ポリエステルポリオール樹脂の溶液である。373P24816プライマーの顔料部分には、導電性カーボンブラック顔料を全配合組成物の1.66重量%の量で含み、グラファイトは含んでいない。活性化剤/架橋剤(193S)には1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート系のポリイソシアネート溶液を含み、その固形分含量は75%である(バイエル・コーポレーション(Bayer Corporation)の「デスモジュール(Desmodur)」XP−7124E)。
【0075】
次いで、上記のようにして調製したパネルから、実験室評価のための対照試験パネルを調製した。それらのパネルは、トップコート無しのまま(対照パネル3)か、または、上述と同じ本願特許出願人の「イムロン(Imron)」トップコートペイントを用い、同一の塗布方法によりトップコートしたパネル(対照パネル4)であった。
【0076】
それぞれのトップコートパネルに対するトップコートペイントの塗着効率は、導電性基材に期待される通りの、優れたもので、トップコートのプライマーコートに対する接着性にも優れており、乗用車レベルのグロスと、画像鮮鋭性を有していた。
【0077】
コーティングしたパネルはすべて、−29℃における1/2インチマンドレル曲げ試験に合格したが、この試験では、1/2インチのマンドレルの周りに、コーティング面を外側にして、パネルを180度曲げて実施する。
【0078】
その他の試験結果を、表1と、表の後の「導電性に関する安定性試験」と題するセクションに示す。
【0079】
【表11】

【0080】
(導電性に関する保存安定性試験)
既存の商品化されている配合に比較して、本発明の新規なコーティング組成物が特に優れているのは、それが低温焼付けまたは空気乾燥条件下でも良好な表面導電性を与えるという事実だけではなく、かってない程長い貯蔵安定性を有するプライマーを与えているという事実にもある。市販されている373P24816プライマーの貯蔵寿命は非常に短い。この材料は、3ヶ月も経つと導電性を失う。これは経済的には不利なことで、製造業者、使用者にいずれにとっても、マイナスの影響を与える。試験結果からは、この新規なコーティング組成物は、18ヶ月を超える貯蔵の後でも、優れた導電性を与える。
【0081】
(実施例において使用した試験手順)
60度グロス:試験法ASTM D523:プライマーでは、10〜30の範囲のグロスが得られた。
乾燥膜厚み:試験法ASTM D4138:プライマーでは1.2〜1.4ミル(30.0〜35ミクロン)、トップコートでは1.8〜2.2ミル(45〜55ミクロン)
碁盤目テープ接着試験:試験法ASTM D3359:方法Bを用いて、初期接着性/碁盤目試験を行った(0〜5で評価し、0はコーティングの接着性が完全に失格のもの、5は接着性が全く失われていないもの)。受容可能な最低の接着性は3である。
コーティングの乾時導電性:インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis,IN)のランズバーグ・コーポレーション(Ransburg Corporation)から販売されている、スプレイアビリティ・メーター(Sprayability Meter)モデル8333−00を使用して測定。メーカーの操作マニュアルに従って測定した。RUは、ランズバーグ単位の略称である。
湿時試験:500時間の湿時接着性と、250時間のブリスターの評価:試験法、ASTM D2247、D3359、D1654、D714。評価付けにはASTM D1654を使用。8Aが接着性の下限、9Bがブリスターの下限。
耐溶媒性:トルエンを使用し、最低で5往復のラビング:試験法ASTM D5402。評点0:ペイント表面に変化無し、5:ペイント表面に、著しい/非常に顕著な変化が観察される。
可撓耐衝撃性:直径5/8の圧子を使用、アルミニウムパネルに対しては、30インチ・ポンド、スチールパネルに対しては60インチ・ポンド:試験法ASTM D2794。ペイントは、クラックを生じてはならない。
グラベロメーター:試験法ASTM SALJ400/D3170:試験の前にパネルを−17.8℃で1時間コンディショニングしておく(評点は1〜10で、ここで1は、ペイントが完全に剥がれ落ちたもの、10はチッピングが認められないもの:チップのサイズは以下に従って評価付けをする:A<1mm、B1〜3mm、D>6mm)。パネルが受容可能とされるには、評点が5A/6Bとなる必要がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒と、40〜75重量%のフィルム形成性バインダーおよび顔料とを含有し、全顔料のバインダーに対する重量比が約1:100から200:100までである、導電性のプライマーコーティング組成物であって;前記バインダーが、
(A)ヒドロキシ含有バインダー樹脂と、
(B)有機ポリイソシアネート架橋剤とを含み、そして
前記顔料が、導電性顔料を含み、顔料のバインダーに対する重量比が約1:100から130:100までであり、そして前記導電性顔料が、グラファイトとカーボンブラック顔料との組合せから本質的になり、グラファイトのカーボンブラックに対する重量比が、約120:1から1:1までであり、そして前記組成物が、周囲温度または低い焼付け温度で硬化させたときに、少なくとも100ランズバーグ単位の表面導電性を有するコーティングを形成することを特徴とするプライマーコーティング組成物。
【請求項2】
前記フィルム形成性バインダーが、
(A)バインダーの重量を基準にして、約40〜70重量%のポリエステルコポリマーであって、約15〜300のヒドロキシル価および約300〜3,000の数平均分子量を持つヒドロキシル基を有する直鎖状のセグメントと、約175〜300のヒドロキシル価および約500〜2,000の数平均分子量を持つヒドロキシル基を有する分岐状のセグメントであり、二酸または酸無水物を用いてヒドロキシル基をエステル化することによって直鎖状のセグメントと結合されている分岐状のセグメントとを有する、ポリエステルコポリマー、および、
(B)約30〜60重量%の有機ポリイソシアネート架橋剤、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記組成物が基材の上に導電性で可撓性のコーティングを形成し、それにより、前記コーティングした基材が、前記コーティング表面を外側にして、−29℃で試験して、1/2インチのマンドレルのまわりに180度曲げることが可能であり、かつ、前記コーティングが少なくとも125ランズバーグ単位の表面導電性を有することを特徴とする請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記有機ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記組成物が、バインダーの約0.1〜2重量%の触媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
溶媒と、約40〜75重量%のフィルム形成性バインダーおよび顔料とを含み、顔料のバインダーに対する比が約1:100から200:100までである、プライマー組成物であって;前記顔料が、導電性のグラファイトとカーボンブラック顔料との組合せを含み、グラファイトのカーボンブラックに対する重量比が、約120:1から1:1までであり、そして前記バインダーが、
(1)バインダーの重量を基準にして、約40〜70重量%のポリエステルコポリマーであって、2〜10個の炭素原子を有する直鎖ジオールと、脂肪族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸または前記ジカルボン酸の混合物とのエステル化生成物から本質的になる、ヒドロキシル基を有し、前記直鎖状のセグメントが約15〜300のヒドロキシル価と、約300〜3,000の数平均分子量を有する直鎖状のセグメント、および2〜10個の炭素原子を有する直鎖ジオールと、分岐状鎖ポリオールと、脂肪族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸または前記ジカルボン酸の混合物とのエステル化生成物から本質的になるヒドロキシル基を有し、前記分岐状のセグメントが約175〜300のヒドロキシル価と、約500〜2000の数平均分子量を有し、かつ、二酸または酸無水物を用いてヒドロキシル基をエステル化することによって直鎖状のセグメントと結合されている、分岐状のセグメントとを有し、ここで、直鎖状のセグメント/二酸または酸無水物/分岐状のセグメントのモル比が約1/1/1である、ポリエステルコポリマーと;
(2)約30〜60重量%の、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体から本質的になる有機ポリイソシアネート架橋剤と、
から本質的になり;
ここで前記組成物が、プラスチック基材の上に硬い可撓性を有する導電性コーティングを形成し、それによって、前記コーティングされたプラスチックが、そのコーティングした表面を外側にして、1/2インチのマンドレルの周りに180度曲げることが可能であり、そのコーティングが−29℃で試験した場合でも、何の破損もクラックも実質的に示さず、かつ、前記コーティングが、周囲温度または50℃までの低い焼付け温度で硬化させたときに、前記コーティングが少なくとも125ランズバーグ単位の表面導電性を有することを特徴とするプライマー組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物の乾燥および硬化させた層でコーティングされた可撓性プラスチック基材。
【請求項8】
請求項6に記載の組成物の乾燥および硬化させた層でコーティングされた可撓性プラスチック基材。
【請求項9】
前記基材が乗用車の外装材料であることを特徴とする請求項8に記載のコーティングされた基材。
【請求項10】
乗用車またはトラックの組立ラインにおける、可撓性プラスチックの乗用車またはトラックのボディまたはそれらの部品を、導電性プライマー組成物でコーティングするための方法であって:
(A)前記ボディまたは部品に請求項1に記載の導電性プライマーを塗布する工程;
(B)前記プライマーを、周囲温度または50℃までの低い焼付け温度で乾燥させ、前記ボディまたは部品の上に導電性材料の硬化層を形成させる工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
プライマーの焼付け工程を必要としないことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティングされた部品に、乗用車またはトラックのトップコート仕上げを静電的に塗布する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2006−518001(P2006−518001A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503319(P2006−503319)
【出願日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/003196
【国際公開番号】WO2004/069942
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】