説明

喘息又は慢性閉塞性肺疾患を治療するための、デヒドロエピアンドロステロン又はデヒドロエピアンドロステロン・スルフェートとロイコトリエン受容体アンタゴニストとの組み合わせ

喘息、慢性閉塞性肺疾患、又はその他の呼吸器疾患を治療するためのデヒドロエピアンドロステロン及び/又はデヒドロエピアンドロステロン-スルフェート又はその塩から選定される第1の活性物質、並びにロイコトリエン受容体アンタゴニストを含む第2の活性物質を含んで成る医薬組成物又は獣医学組成物。当該組成物は多様な製剤、及びキットの形態において提供される。本特許の製品は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、又はその他の呼吸器疾患の予防及び治療に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、DHEA-スルフェート、又はその塩と、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)とを含む、非グルココルチコイド・ステロイドを含む組成物に関する。これらの組成物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又はその他の呼吸器疾患の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
種々の症状に関連する呼吸器疾患は、一般人口において極めて普遍的に見られる。いくつかの症例において、呼吸器疾患は、肺の症状を悪化させる炎症を伴う。呼吸器疾患は喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及びその他の上及び下気道呼吸器疾患、例えばアレルギー性鼻炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び肺線維症を含む。
【0003】
喘息は例えば、先進工業国における最も一般的な疾患のうちの1つである。米国内では、喘息は全ての医療コストの約1%を占める。過去10年間にわたる喘息の有病率及び死亡率双方の憂慮すべき増加が報告されており、また喘息は次の10年間で突出した職業性肺疾患となることが予測される。喘息は、可変の、多くの場合には可逆的な気道閉塞を特徴とする状態である。このプロセスは肺の炎症、及び幾つかの症例においては肺アレルギーに関連する。多くの患者は「喘息発作」と呼ばれる急性エピソードを有するが、慢性状態を患う他の患者もいる。喘息プロセスは、幾つかの症例において、過敏性患者が抗原を吸入することにより誘発されると考えられる。このような状態は一般に、「外因性喘息」と呼ばれる。他の喘息患者は、「内因性喘息」と呼ばれる状態になりやすい内在的な素因を有し、この状態は、アデノシン受容体によって媒介されるものを含む、異なる起源の状態、免疫IgE媒介型応答によって媒介されるアレルギー状態、及びその他の状態から成っていることがある。全ての喘息患者は、この状態の特徴を示す症状:一時的な気管支収縮、肺の炎症及び肺界面活性物質減少から成る群を有している。既存の気管支拡張薬及び抗炎症薬が目下商業的に入手可能であり、喘息の治療のために処方される。最も一般的な抗炎症薬、コルチコステロイドはかなりの副作用を有するが、しかしそれにもかかわらず広く処方されている。より重要なことは、喘息治療のために利用可能な薬物のほとんどが、数多くの患者において辛うじて効果的であるにすぎないことである。
【0004】
COPDは、慢性気管支炎、気腫又はその双方によって一般に引き起こされる気道閉塞を特徴とする。一般に、気道閉塞は不完全に可逆的であるが、しかし患者の10-20%は治療なしで気道閉塞の何らかの改善を示す。慢性気管支炎の場合、気道閉塞は、異常な気道粘液の慢性的で過剰な分泌、炎症、気管支けいれん、及び感染から生じる。慢性気管支炎はまた、慢性咳の他の原因が排除されている連続する2年以上において3か月以上にわたって生じる慢性咳、粘液生成、又はその両方を特徴とする。気腫の場合、終末細気管支内の構造要素(エラスチン)が破壊され、気道壁を潰し、そして「淀んだ」空気を吐き出せないようにする。気腫の場合、肺胞の破壊は永久的である。気腫は、終末細気管支に対する遠位側の空隙の異常な永久的な拡大を特徴とし、この拡大には終末細気管支の壁の破壊が伴い、そして明らかな線維形成は伴わない。COPDは、二次的な肺高血圧を生じさせるおそれもある。二次的な肺高血圧自体は、肺動脈内の血圧が異常に高い障害である。重症の場合には、心臓の右側は、高い圧力に対して血液をポンピングするように、普通よりも重労働しなければならない。これが長時間にわたって続くと、右心は拡大して機能が悪化し、体液がくるぶし(浮腫)及び腹部に集まる。最終的に左心が機能しなくなり始める。肺疾患による心不全は肺性心と呼ばれる。
【0005】
COPDは中高年がかかるのが特徴的であり、全世界における罹患及び死亡の原因の上位の1つである。米国内では約1400万人がこの病気に罹り、米国内の死因の第4位及び身体障害の原因の第3位である。しかも罹患率及び死亡率は両方とも高くなっている。米国内のこの疾患の推定有病率は、1982年以来41%上昇し、そして年齢調整死亡率は、1966年と1985年との間で71%上昇した。このことは、全ての原因による年齢調整死亡率(22%下降)、及び心臓血管疾患による年齢調整死亡率(45%だけ下降)が同じ期間にわたって減少しているのとは対照的である。1998年には、COPDは、米国内の112,584件の死亡事例の原因となった。
【0006】
とはいえ、COPDは予防可能である。それというのもCOPDは、その主な原因がたばこの煙に対する暴露であると考えられるからである。長期にわたる喫煙は、COPDの発生頻度の最も高い原因である。これは全ての症例の80〜90%を占める。喫煙者のCOPDによる死亡率は、非喫煙者よりもおそらく10倍高い。この疾患は、生涯にわたる非喫煙者においては稀である。このような非喫煙者においては、周囲のたばこの煙に対する暴露が、気道閉塞の少なくとも一部を説明することになる。提案された他の病因的ファクターは、気道の過剰反応及び過敏、大気汚染、及びアレルギーを含む。COPDにおける気道閉塞は、喫煙を続ける人々において通常は進行性である。その結果、早期に身体障害になり、寿命が縮まる。禁煙はその率を非喫煙者のものまで下落させるが、しかし喫煙による損傷は不可逆的である。他のリスク要因は:遺伝、受動喫煙、仕事時及び環境内の空気汚染に対する暴露、及び子供時代の呼吸器疾患の病歴を含む。COPDの症状は:慢性咳、胸苦しさ、休息時及び労作中の息切れ、息をしようという努力の増大、粘液生成の増大、及び喉の頻繁な障害物除去を含む。
【0007】
COPDの症状を緩和し、悪化を防止し、最適な肺機能を維持し、そして日常生活の活動性及び生活の質を高めるために利用可能なものは目下のところ、ほとんどない。多くの患者は残りの人生のために薬剤を慢性的に使用し、悪化中には投与量を増やし付加的な薬物を使用することを必要とする。COPD患者のために目下処方される薬剤は:即効型β2-アゴニスト、抗コリン作用性気管支拡張薬、長時間作用型気管支拡張薬、抗生物質及び去痰薬を含む。COPDの目下利用可能な治療の中では、抗コリン作用性薬、β2アドレナリン作用性アゴニスト、及び経口ステロイドの投与から、その進行に対して、短期の恩恵が見いだされるが、しかし長期効果は見いだされない。経口ステロイドは、急性の悪化のためにだけ推奨され、これを長期間使用することは超過の死亡率及び罹患率に関与する。
【0008】
短時間及び長時間作用型の吸入式β2アドレナリン作用性アゴニストは、短期の気管支拡張を達成し、またCOPD患者における何らかの症状緩和を可能にはするものの、疾患の進行に対する有意義な維持効果は示さない。短時間作用型β2アドレナリン作用性アゴニストは、COPD患者の症状を改善し、例えば運動能力を高め、そしてある程度の気管支拡張をもたらし、そして或る重症症例において肺機能をも高める。より新しい長時間作用型吸入式β2アドレナリン作用性アゴニストの最大効果は、短時間作用型β2アドレナリン作用性アゴニストのものと同等であることが判った。サルメテロールは、症状及び生活の質を改善することが判ったが、肺機能の変化はわずかしか又は全くもたらされなかった。β2-アゴニストの使用は、心臓血管効果、例えば脈拍数、血圧及び心電図の結果の変化をもたらすことがある。稀な症例において、β2-アゴニストの使用は、過敏症反応、例えばじんましん、血管浮腫、発疹、口腔咽頭浮腫をもたらすおそれがある。このような場合には、β2-アゴニストの使用は中断されるべきである。気管支拡張薬、臭化イプラトロピウム又はフェノテロールによる喘息患者及びCOPD患者の連続的な治療は、必要に応じた治療と比べて優れてはおらず、従ってこれらの気管支拡張薬が維持治療に適していないことを示している。他方において、β2アドレナリン作用性アゴニストの最も共通した即時性の副作用は、振戦である。β2アドレナリン作用性アゴニストは高投与量で血漿中カリウム濃度の降下、律動不整、及び動脈血酸素分圧の低下を引き起こすおそれがある。β2アドレナリン作用性アゴニストと抗コリン作用性薬との組み合わせは、それぞれの薬物単独と比較して、付加的な気管支拡張をほとんど可能にしない。しかし、約90日間にわたって吸入式β2アドレナリン作用性アゴニストの標準投与量にイプラトロピウムを添加すると、安定したCOPD患者を、それぞれの薬物単独の場合を凌いでいくらか改善する。全体として、β2アドレナリン作用性アゴニストによる副作用、例えば振戦や律動不整の発生は、抗コリン作用性薬よりも発生頻度が高い。従って、抗コリン作用性薬もβ2アドレナリン作用性アゴニストも、また2種の薬剤の組み合わせも、全てのCOPD患者に対する効果を有することはない。
【0009】
抗コリン作用性薬は短期の気管支拡張を達成し、COPD患者の何らかの症状緩和をもたらすが、長期予後の改善はもたらさない。ほとんどのCOPD患者は、臭化イプラトロピウムによっていくらか改善される或る程度の気道閉塞を有する。「The Lung Health Study」は、男女喫煙者における早期COPDの肺活量計による兆候を見いだし、そして5年間にわたって彼等を追跡した。5年間にわたって3種の治療が比較され、その結果、臭化イプラトロピウムは、患者の肺の機能的有効溶液の下落に対して有意な効果を有さないのに対して、禁煙は肺の機能的有効容積の下落を減速させることが判った。しかし、臭化イプラトロピウムは、副作用、例えば心臓症状、高血圧、皮膚発疹、及び尿閉をもたらした。
【0010】
テオフィリンは、COPD患者の穏やかな気管支拡張をもたらすが、頻繁に副作用を生じさせ、治療範囲が狭い。15-20 mg/lの血清中濃度が、最適な効果のために必要とされ、血清レベルは注意深くモニタリングされなければならない。副作用は治療範囲内であっても、著しく変わりやすい血中濃度で多くの患者において発生する吐き気、下痢、頭痛、興奮性、発作及び心不整脈を含む。テオフィリンの濃度は、喫煙習慣、感染及び他の治療に従って個別に調節しなければならず、厄介である。テオフィリンは、喘息の抗炎症性効果を特に低投与量で有することが主張されてはいるものの、COPDにおいては何も報告されていない。テオフィリンの副作用及び頻繁なモニタリングの必要性は、その有用性を制限する。
【0011】
経口コルチコステロイドは、COPDの急性悪化における短期の成果を改善することが判っているが、しかし経口ステロイドの長期投与は、骨粗鬆症を含み顕性糖尿病を誘発する深刻な副作用に関連している。吸入式コルチコステロイドは、ヒスタミンに対する気道過剰反応に対して真の短期効果を有していないことが判っている。吸入式フルチカゾンによる3年にわたる2種の治療研究において、中度及び重度の悪化が有意に低減され、また、肺機能に影響を及ぼすことなしに生活の質が穏やかに改善された。より可逆的な疾患を有するCOPD患者は、吸入式フルチカゾンによる治療から恩恵を一層受けるように見える。
【0012】
粘液溶解薬は、悪化の頻度及び継続時間に対する穏やかな有益な効果を有しているが、しかし肺機能に対しては副作用を有する。N-アセチルシステインも他の粘液溶解薬も、悪化頻度の大幅な低減を証明するにもかかわらず、重症COPD患者(機能的有効容積<50%)においては有意な効果を有さない。N-アセチルシステインは、胃腸に副作用をもたらした。低酸素性COPD及及び鬱血性心不全患者に投与される長期酸素治療は、最初の約500日間にわたる死亡率に対してはほとんど効果を有さないが、しかし男性の生存率は後になって高まり、そして次の5年間にわたっては一定であり続けた。しかし女性の場合、酸素は研究中一貫して死亡率を減少させた。19.3年間にわたる低酸素性COPD患者の連続的な酸素治療は、死亡のリスク全体を低下させた。しかし今日まで、生活様式の変化、禁煙及び長期酸素治療(低酸素症患者)だけが、COPDの長期経過を変化させることが判っている。
【0013】
呼吸器感染の第1の兆候において、疾患を有する肺の更なる損傷及び感染を防ぐために、抗生物質もしばしば投与される。去痰薬は、気道から粘液分泌を緩めて駆出するのを助け、呼吸しやすくするのを助けることができる。加えて、他の薬剤も、COPDに関連する状態を管理するために処方されることがある。これらは:利尿薬(右心不全に関連する過剰な水の保持を回避するための治療薬として与えられる)、ジギタリス(心臓の鼓動力を強化する)、及び鎮咳薬を含む。ここに挙げた薬剤は、COPDに関連する症状を緩和するのを助けるが、しかしCOPDを治療することはしない。従って、COPDの症状を軽減し、悪化を防止し、最適な肺機能を保ち、そして日常生活の活動性及び生活の質を高めるのに利用可能なものは、目下のところほとんどない。
【0014】
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、又は硬直肺、ショック肺、ポンプ肺及び鬱血性肺拡張不全は、肺内の体液蓄積によって引き起こされると考えられる。体液蓄積は肺を硬直させる。この状態は、肺を傷つける種々のプロセス、例えば外傷、頭部負傷、ショック、敗血症、複数回の輸血、投薬、肺塞栓、重症の肺炎、煙吸入、放射線、高地、及び溺水などによって、48時間以内にトリガーされる。一般に、ARDSは、医療緊急事態として発生し、直接的又は間接的に血管が体液を肺内に「漏らす」ようにする他の条件によって引き起こされることがある。ARDの場合、肺が拡張する能力は著しく減少させられ、肺の空気嚢及び内層又は内皮に広範囲な損傷を与える。ARDSの最も共通の症状は、苦しい切迫した呼吸、鼻腔の発赤、組織への酸素の欠乏によるチアノーゼの青い皮膚、唇及び爪、不安、及び一時的な無呼吸である。ARDSの予備的診断は、胸部X線及び動脈血ガス測定で確認することができる。いくつかの症例の場合、ARDSは、その他の疾患、例えば急性骨髄性白血病、例えばシトシンアラビノシドによる治療後に発生する急性腫瘍崩壊症候群(ATLS)に関連すると考えられる。しかし一般に、ARDSは、外傷、重症血液感染、例えば敗血症、又は他の全身性疾患、高線量放射線療法及び化学療法、及び多臓器不全に導く炎症応答、そして多くの場合、死に関連する。未熟児(早産児)の場合、肺組織も界面活性物質も完全には発達していない。呼吸窮迫症候群(RDS)が早産児に生じた場合には、これは極めて深刻な問題である。RDSを示す早産児は、現在のところ、換気、並びに酸素及び界面活性物質調製物の投与によって治療される。未熟児がRDSを生き延びた場合、早期幼児慢性肺疾患とも呼ばれる気管支肺異形成症(BPD)を頻繁に発生させる。これはしばしば致命的である。
【0015】
アレルギー性鼻炎は、米国人の5人に1人が罹患し、毎年推定40〜100億ドルの医療費を占め、全ての年代において発生する。多くの人々は、その症状を持続性の風邪又は鼻の病気という誤ったレッテルを貼るので、アレルギー性鼻炎はおそらく実際よりも少なく診断されている。典型的には、IgEが鼻内のアレルゲンと合体して化学メディエーターを産生し、細胞過程を誘発し、そして神経原性刺激をもたらして、基礎を成す炎症を引き起こす。症状は眼及び鼻の鬱血、鼻汁、くしゃみ及びかゆみを含む。時間経過後、アレルギー性鼻炎患者はしばしば、副鼻腔炎、滲出を伴う中耳炎、及び鼻ポリープ症を発生させる。アレルギー性鼻炎患者のほぼ60%が、喘息をも有し、アレルギー性鼻炎の拡大が喘息を悪化させる。マスト細胞が脱顆粒される結果、種々の細胞、血管及び粘液腺と相互作用する前形成されたメディエーターが放出されることにより、典型的な鼻炎症状が生じる。アレルゲン暴露後には、鼻腔にほとんどの早期及び晩期反応が発生する。晩期反応は慢性アレルギー性鼻炎に見られ、最も顕著な症状として過剰分泌及び鬱血を伴う。繰り返しの暴露により、1つ又は複数のアレルゲンに対する過敏反応を引き起こす。患者は非特異的トリガー、例えば冷気又は強い臭気に対して過剰反応性を有するようになるおそれもある。非アレルギー性鼻炎は、ウィルスのような感染によって誘発されるか、又はアスピリン過敏症患者において発生するような鼻ポリープと関連することがある。
【0016】
妊娠又は甲状腺機能低下症、及び職業的因子又は薬剤に対する暴露のような医学的状態が、鼻炎を引き起こすことがある。いわゆるNARES症候群(好酸球増加症候群を含む非アレルギー性鼻炎)は、鼻汁中の好酸球と関連する非アレルギー型鼻炎であり、これは典型的には中年期に発生し、そして何らかの臭覚損失を伴う。アレルギー性及び非アレルギー性鼻炎の治療は満足できるものではない。自己投与型生理食塩水は、鼻づまり、くしゃみ及び鬱血を改善し、そして通常は副作用を引き起こさず、ひいては、妊娠中の患者において試される最初の治療薬である。生理食塩水スプレーを一般に使用することにより、種々の鼻状態に関連する粘膜刺激又は乾燥を軽減し、粘膜委縮を最小化し、そして、痂皮で覆われた又は肥厚化した粘膜を除去する。鼻腔内コルチコステロイド投与直前に使用されると、生理食塩水スプレーは、薬物によって誘発される局所刺激を防止するのを助けることができる。また、抗ヒスタミン薬、例えばテルフェナジンやアステミゾールを採用することにより、アレルギー性鼻炎を治療するが、しかし抗ヒスタミン薬の使用は、通常の場合他の薬剤、例えばケトコナゾール及びエリスロマイシンと相互作用して、或いは基礎を成す心臓の問題に対して二次的に、トルサード・ド・ポワントとして知られる心室性不整脈に関連している。別の非鎮静性抗ヒスタミン薬であるロラタジン、及びセチリジンは、QT間隔に対する不都合な影響、又は深刻な不都合な心臓血管イベントとは関連していない。しかしセチリジンは、極端な眠気をもたらし、広くは処方されていない。非鎮静性抗ヒスタミン薬、例えばクラリチンは、くしゃみ、鼻水、及び鼻、眼及び口蓋のかゆみをいくらか軽減することができるが、しかし喘息又はその他の特異的状態に対しては試験されていない。他方において、テルフェナジン、ロラタジン及びアステミゾールは、極めて穏やかな気管支拡張効果、ヒスタミンに対する気管支過剰反応の低減、及び運動及び抗原によって誘発される気管支痙攣に対する保護を示す。しかしこれらの恩恵のいくつかは、現在推奨されているよりも多くの投与量を必要とする。鎮静型抗ヒスタミン薬は、夜の睡眠を誘発するのを助けるが、しかしこれらは、日中に服用すると、眠気を招き、仕事を犠牲にすることになる。抗ヒスタミン薬は採用されるときには、典型的には、鼻鬱血の軽減を助けるための充血除去剤と組み合わされる。血管収縮剤及び充血除去剤として、交感神経興奮様薬が使用される。一般に処方される3種の全身用充血除去剤である偽エフェドリン、フェニルプロパノールアミン及びフェニレフリンは、高血圧、動悸、情動不安、不眠及び頭痛を引き起こす。フェニルプロパノールアミンと、2〜3杯のコーヒー中のカフェインとの相互作用は、血圧を著しく高くするおそれがある。加えて、偽エフェドリンのような薬剤は、小児の活動過剰を引き起こすおそれがある。とはいうものの、局所用充血除去剤は限られた時間のためにしか指示されない。それというのも、これらは、過剰使用に伴うリバウンド鼻拡張と関連するからである。抗コリン作用性薬は、顕著な鼻汁患者に与えられるか、又は普通は香辛料のきいた食品の摂取によって引き起こされる「味覚鼻炎」のような特異的状態に対して与えられ、そして一般の風邪に対して何らかの有益な効果を有することができる。クロモリンは、例えば鼻腔スプレーとして予防的に使用される場合には、くしゃみ、鼻汁、及び鼻のかゆみを低減し、そして早期及び晩期双方の過敏反応をブロックするが、しかし、くしゃみ、一時的な頭痛、及び鼻の燃えるような痛みをもたらす。局所用コルチコステロイド、例えばバンセナーゼは、鼻炎の治療において、特にかゆみ、くしゃみ、鼻水の症状に対して効果的ではあるが、しかし鼻詰りに対してはさほど効果的ではない。他方において、調製いかんでは、コルチコステロイド鼻スプレーも、刺激、ヒリヒリとした痛み、燃えるような痛み、又はくしゃみを引き起こすことがある。特にエアロゾルが適正に向けられないと、局所的な出血及び鼻中隔穿孔が発生することもある。局所用ステロイドは一般に、アレルギー性鼻炎の治療においてクロモリンナトリウムよりも効果的である。免疫療法は高価でありまた不便ではあるが、特に他の薬剤の副作用を経験している入院患者に、しばしば恩恵をもたらす。いわゆる遮断抗体、及び細胞ヒスタミン放出を変化させる物質は、最終的な結果として、多くの他の有利な生理的変化とともに、IgEを低減させる。この効果は、IgE媒介型疾患、例えば再発性中耳感染を有するアトピー患者の過敏症に有用である。
【0017】
肺線維症、間質性肺炎(ILD)、又は間質性肺線維症は、肺組織を損傷することにより肺に影響を与える130種を上回る慢性肺疾患を含み、肺内の空気嚢壁内に炎症をもたらし、間質(又は空気嚢間の組織)内に瘢痕又は線維を形成し、そして肺を硬直させる。運動中の息切れは、これらの疾患の最初の症状の1つであり、乾性咳が存在する場合がある。症状もX線も、種々のタイプの肺線維症を区別するのにしばしば十分ではない。或る肺線維症患者は既知の原因を有しており、また或る患者は、未知又は突発性の原因を有している。この疾患の経過は、一般に予知不能であり、疾患は必然的に致死的である。その進行は、肺組織の肥厚化及び硬直、炎症及び呼吸困難を含む。ほとんどの患者は酸素療法を必要とし、唯一の治療は肺移植である。
【0018】
肺癌は世界において最も一般的な癌である。2003年中で、米国内だけで、新しい肺癌症例が約171,900件(男性が91,800件、女性が80,100件)あり、そしてヨーロッパではほぼ375,000件あった。肺癌は、男女とも、癌死の主な原因である。2003年における肺癌の死亡症例は推定157,200件(男性が88,400件、女性が68,800件)となり、米国内だけで全ての癌死の28%を占める。結腸癌、乳癌及び前立腺癌を合わせたものよりも多くの人々が、肺癌で死亡している(American Cancer Society Web site, 2003, Detailed Guide: Lung Cancer: What are the Key Statistics?)。タバコの喫煙は、肺癌の主な原因として十分に確立され、症例の約90%が、タバコに関連することが考えられる。肺癌のリスクと、1日当たり喫煙されたタバコの数、吸入度、及び喫煙開始時の年齢と間には、明らかな用量-応答の関係がある。生涯にわたる喫煙者は、非喫煙者よりも肺癌のリスクが20-30倍高い。しかし、禁煙してからは時間とともに肺癌のリスクが減少する。男性元喫煙者の相対リスクは、暴露終了以来、時間とともに著しく減少するが、しかし非喫煙者のリスクには達せず、また女性元喫煙者ほどは減少しない(Tyczynski他、Lancet Oncol. 4(1):45-55(2003))。
【0019】
COPDと肺癌とは、しばしば併存疾患であり、そして基礎となるCOPDの度合いは、特定の患者が手術の候補者かどうかを決定付ける。NSCLC(非小細胞肺癌)の場合、手術(放射線療法又はアジュバント化学療法の有無を問わず)だけが治癒的である。
【0020】
・肺癌の1年生存率(癌と診断されてから少なくとも1年後に生きている人々の数)は1998年では、主として外科技術の改善により42%であった。
【0021】
・非小細胞肺癌が併存する全ての段階に対する5年生存率は15%にすぎない。小細胞肺癌の場合、5年相対生存率は約6%である。
【0022】
・NSCLCが見いだされ、リンパ節又は他の器官に広がる前に手術で早期に治療される患者の場合、平均5年生存率は約50%である。しかし肺癌患者の15%しかこの早期の局在化段階では診断されない。
【0023】
明らかに、肺癌の化学予防並びに肺癌の治療には改善の大きな余地がある。
【0024】
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)(3β-ヒドロキシアンドロスト-5-エン-17-オン)は、明らかな化学防御特性を有する、副腎皮質によって分泌される自然発生型ステロイドである。疫学的研究が示したところによれば、低い内在レベルのDHEAは、癌のいくつかの形態、例えば女性の閉経前乳癌や男女双方の膀胱癌を発生させるリスクの増大と相関する。DHEA及びDHEA類似体、例えばDHEA-S(DHEA-スルフェート)の発癌阻害能力は、酵素グルコース-6-ホスフェート・デヒドロゲナーゼ(G6PDH)の活性を非競合的に阻害することから生じると考えられる。G6PDHは、ヘキソース・モノホスフェート経路の律速酵素であり、細胞内リボース-5-ホスフェート及びNADPHの主要な源である。リボソース-5-ホスフェートは、リボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチド双方の合成に必要な基質である。NADPHはまた、核酸生合成及びヒドロキシメチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ(HMG CoAレダクターゼ)の合成に関与する補因子である。HMG CoAレダクターゼは、生成された生成物メバロン酸塩の各モルに対して2モルずつのNADPHを必要とする例外的な酵素である。このように、HMG CoAレダクターゼは、DHEA媒介型NADPH減損に対して超敏感となること、そしてDHEAで処理された細胞が、メバロン酸塩の細胞内プールの減損を迅速に示すことになることが考えられる。メバロン酸塩は、DNA合成に必要であり、そして直接的なHMG CoAレダクターゼと酷似した様式で、細胞周期のG1相においてヒト細胞を捕捉する。G6PDHは、細胞処理、例えばタンパク質イソプレニル化及びドリコールの合成において使用されるメバロン酸を生成するために必要とされるので、糖タンパク質生合成のための前駆体DHEAは、メバロン酸を減損し、これにより、タンパク質をイソプレニル化し、糖タンパク質を合成することにより、発癌を阻害する。メバロン酸塩はコレステロール合成のための、並びに、ファルネシルピロホスフェート及びゲラニルピロホスフェートのようなタンパク質の翻訳後修飾に関与する種々の非ステロール化合物を合成するための、;及び、細胞間連通及び細胞構造に関与する糖タンパク質の合成に必要なドリオールのための中心前駆体である。副腎皮質起源のステロイド・ホルモンを薬理学的に適切な投与量で受容する患者が、感染性疾患の発生増大を示すことが以前から知られている。米国特許第5,527,789号明細書には、癌がDHEAに対して感受性である場合に、DHEA及びユビキノンを患者に投与することにより、癌と戦う方法が開示されている。
【0025】
DHEAは、量的に、哺乳動物に見いだされる主要な副腎皮質ステロイド・ホルモンの1つである17-ケトステロイドである。DHEAは、性腺ステロイド合成における中間体として役立つように見えるが、DHEAの主要な生理学的機能は完全には理解されていない。しかし、このホルモンのレベルは20歳代で下落し始めることが判っている(高齢者の場合には元のレベルの5%に達する)。臨床的に見て、DHEAは、乾癬、通風、高脂血症の患者を治療するのに全身的及び/又は局所的に使用されており、そして心臓発作後の患者に提供されている。哺乳動物の場合、DHEAは、体重最適化効果及び抗発癌効果を有していることが示されており、そしてヨーロッパにおいては、更年期症状を逆転するための薬剤として、エストロゲンとともに臨床的に使用されており、また、躁鬱病、統合失調症及びアルツハイマー病の治療にも使用されている。DHEAは進行した癌及び多発性硬化症の治療に際して、40 mg/kg/日で臨床的に使用されている。軽度の男性ホルモン作用、多毛、及び性欲亢進が観察される副作用であった。これらの副作用は、投与量をモニタリングすることにより、且つ/又は類似体を使用することにより、克服することができる。DHEAを送達するためにパッチを使用するように、感染に対する宿主の応答を改善するためにDHEAを皮下又は経口投与することが知られている。DHEAはまた、哺乳動物における免疫応答を高めるより強力な物質に最終的に導く、代謝経路内の前駆体として知られている。すなわち、DHEAはプロドラッグとして作用する。つまりDHEAは、アンドロステンジオール又はアンドロスト-5-エン-3β,17β-ジオール(βAED)、又はアンドロステントリオール又はアンドロスト-5-エン-3β,7β,17β-トリオール(βAET)に変換されると、免疫モジュレーターとして作用する。しかしin vitroDHEAは、βAED及び/又はβAETへの変換前には、細胞増殖に対して或る特定のリンパ毒性及び抑制効果を有する。従って、DHEAの投与によって得られる優れた免疫向上特性は、より活性の代謝への変換から生じると考えられる。
【0026】
アデノシンは中間代謝に関与するプリンであり、気管支喘息、COPD、CF、RDS、鼻炎、肺線維症及びその他を含む種々の疾患に対する肺内の重要なメディエーターを構成することができる。その受容体の潜在的な役割は、喘息患者が際立った気管支収縮を伴ってエアロゾル化アデノシンに対して応答し、これに対して正常な個体は応答しないという発見によって示唆された。ヒトの喘息に対するチリダニ・アレルギーウサギ・モデルである喘息ウサギ動物モデルも、際立った気管支収縮を伴って、エアロゾル化アデノシンに対して同様に応答し、これに対して非喘息ウサギは応答を示さなかった。この動物モデルを用いたより最近の研究が示唆したところによれば、喘息におけるアデノシン誘発型気管支収縮及び気管支過剰反応は、主としてアデノシン受容体の刺激を通して媒介することができる。アデノシンはまた、以前には過剰反応性気道と診断されなかった患者における他の疾患及び状態に対して治療のために投与されると、死を含む副作用を引き起こすことが判っている。アデノシンは、細胞代謝のレギュレーターとして体内で独自の役割を果たす。アデノシンは、細胞のエネルギー中間体であるAMP、ADP及びATPの細胞レベルを高めることができる。アデノシンはアデニル酸シクラーゼの活性を刺激又はダウンレギュレートし、ひいてはcAMPレベルを調節することができる。cAMPは神経伝達物質放出、細胞分裂及びホルモン放出における役割を演じる。アデノシンの主要な役割は、保護的損傷オータコイドとして作用するように見える。虚血、低酸素圧又は外傷が発生するいずれの状態においても、アデノシンは役割を演じるように見える。アデノシンの合成、放出、作用及び/又は分解の欠陥は、脳の興奮性アミノ酸神経伝達物質の過剰活性、ひいては種々の病理学的状態に関与することが仮定されている。アデノシンはまた、気管支喘息及びその他の呼吸器疾患の症状、気管支収縮の誘発、及び気道平滑筋の収縮の根底を成す主要決定因子として関与している。さらに、アデノシンは喘息患者において気管支収縮を引き起こすが、しかし非喘息患者にはこれを引き起こさない。他のデータは、アデノシン受容体が、中枢ドーパミン作用系の過剰活性を低減することにより、アレルギー及び炎症応答に関与することもできるという可能性を示唆している。炎症細胞の表面におけるシグナル伝達の調節が急性炎症に影響を与えることが仮定されている。アデノシンは、刺激された好中球によりスーパーオキシドの生成を阻害すると言われている。最近の証拠が示唆するところでは、アデノシンは、卒中、CNS外傷、てんかん、虚血性心臓疾患、冠状動脈バイパス、放射線暴露及び炎症において保護的な役割を演じることもできる。全体的に見て、アデノシンは、ATPを介して細胞代謝を調節し、メチオニンのためのキャリヤとして作用し、細胞酸素需要を減少させ、そして虚血性損傷から細胞を保護するように見える。アデノシンは、細胞が虚血、低酸素状態、細胞ストレス、作業負荷の増大に晒されると、且つ/又は、ATPの需要量がその供給量を上回ると放出される組織ホルモン、又は細胞間メッセンジャーである。アデノシンはプリンであり、その形成はATP異化に直接的に連関される。アデノシンは、血管緊張、ホルモン作用、ニュートラル機能、血小板凝集及びリンパ球分化を含む一連の生理学的プロセスを調節するように見える。アデノシンはDNA形成、ATP生合成及び一般的な中間代謝において役割を演じることもできる。アデノシンが脳内及び種々の末梢組織内でcAMPの形成を調節することが示唆されている。アデノシンは、2つの受容体A1及びA2を介してcMAP形成を調節する。A1受容体を介して、アデノシンはアデニル酸シクラーゼ活性を低減するが、A2受容体ではアデニル酸シクラーゼを刺激する。アデノシンA1受容体は、A2受容体よりもアデノシンに対する感受性が高い。アデノシンのCNS効果はA1受容体媒介型であると一般に考えられるが、低血圧、徐脈のような末梢効果はA2受容体媒介型であると言われている。
【0027】
呼吸器疾患及び状態の治療には、一握りの薬剤が使用されているが、一般にこれら全てには限度がある。これらの薬剤の中には、グルココルチコイド・ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、抗コリン作用薬、抗ヒスタミン薬、酸素治療薬、テオフィリン、及び粘液溶解薬がある。グルココルチコイド・ステロイドは、副作用が十分に記録されているにもかかわらず、最も幅広く使用されている。とはいえ、利用可能な薬物のほとんどは、少数の症例において効果的であり、そして喘息の治療となると全く効果的でない。他の呼吸器疾患の多くのために目下利用可能な治療薬はない。喘息の治療において重要な薬物であるテオフィリンは、既知のアデノシン受容体アンタゴニストであり、これは、喘息ウサギにおけるアデノシン媒介型気管支収縮を排除することが報告された。選択的アデノシンA1受容体アンタゴニスト、8-シクロペンチル-1,3-ジプロピルキサンチン(DPCPX)も、アデノシン媒介型気管支収縮及び気管支過剰応答を阻害することも報告された。とはいうものの、目下利用可能なアデノシンA1受容体特異的アンタゴニストの治療的及び予防的用途は、毒性によって制限される。テオフィリンは例えば喘息の治療に幅広く使用されているが、しかし、その狭い治療投与量範囲から頻繁に生じる著しい毒性(胃腸、心臓血管、神経及び生体の障害)と関連する。DPCPXはあまりにも毒性が強いので臨床的には有用ではない。数十年にわたって広範囲な研究が為されているにもかかわらず、臨床的な用途に利用可能な特異的アデノシン受容体アンタゴニストがないという事実が、これらの物質の全体的な毒性を立証する。
【0028】
成人及び12か月以上の小児の患者における喘息の予防及び長期治療、及び、成人及び2歳以上の小児の患者における季節性アレルギー性鼻炎の症状の軽減のために、目下、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)モンテルカストが、商業的に入手可能である。これは、Merck & Co, Inc.(Whitehouse Station, NJ)から、Singulair(登録商標)(モンテルカスト・ナトリウム)として市販されており、4 gmの顆粒及び4、5及び10 mgの錠剤が経口投与される。
【0029】
喘息の長期治療のために、目下、LTRAザフィルルカストが商業的に入手可能である。これは、AstraZeneca Pharmaceuticals LP(Wilmington, DE)からAccolate(登録商標)として市販されており、10 mg及び20 mgの錠剤が経口投与される。
【0030】
SmithKline Beechamのプランルカスト(Ultair)は、Ono Pharmaceuticalからライセンス所得されたロイコトリエン受容体アンタゴニストであり、日本国内での販売が承認されている。
【0031】
米国特許第5,660,835号明細書(及び対応する国際公開第96/25935号パンフレット)は、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)又はDHEA関連化合物を患者に投与することにより、患者における喘息又はアデノシン減損を治療する新規の方法を開示している。この特許明細書はまた、呼吸可能な粒子サイズを成すDHEA又はDHEA関連化合物を含む吸引可能又は呼吸可能な配合物に関する新規の医薬組成物を開示している。
【0032】
米国特許第5,527,789号明細書は、DHEA又はDHEA関連化合物、及びDHEA又はDHEA関連化合物によって誘発される心不全と戦うためのユビキノンを患者に投与することにより、患者における癌と戦う方法を開示している。
【0033】
米国特許第6,087,351号明細書は、DHEA又はDHEA関連化合物を患者に投与することにより、患者の組織内のアデノシンを低減又は減損するin vivo法を開示している。
【0034】
2003年6月3日付けで出願された米国特許出願第10/454,061号明細書は、DHEA又はDHEA関連化合物を患者に投与することにより、患者のCOPDを治療する方法を開示している。
【0035】
2003年6月17日付けで出願された米国特許出願第10/462,901号明細書は、容器内で密封された噴霧可能な形態のDHEAの安定的な乾燥粉末配合物を開示している。
【0036】
2003年6月17日付けで出願された米国特許出願第10/462,927号明細書は、喘息及びCOPDの治療に適したDHEA-Sの二水和物結晶の安定的な乾燥粉末配合物を開示している。
【0037】
上記特許明細書及び特許出願明細書全体を、参考のため本明細書中に引用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
現在のところ治療することができない、又は少なくとも顕著な有害副作用のない効果的な治療が利用できない、呼吸器、肺及び癌の疾患を治療するための新規の効果的な治療に対する明確な必要性が存在している。このことは呼吸管、より具体的には肺及び肺気道の疾患、例えば呼吸困難、喘息、気管支収縮、肺の炎症及びアレルギー、界面活性物質の減損又は分泌不足などに当てはまる。さらに、予防的及び治療的用途を有する治療であって、活性物質の所要量が低く、これにより、より低廉になり、また有害副作用を受けにくくなる治療が明確に必要である。
【0039】
さらに、薬剤を摂取する際の患者のコンプライアンスをより良好に保証する必要、及び、喘息、COPD又はその他の呼吸器疾患の予防又は治療に必要な複数の化合物を摂取するのを容易にする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0040】
発明の概要
本発明は、2種以上の活性物質を含む組成物を提供する。第1の活性物質は、非グルココルチコイド・ステロイド、例えばエピアンドロステロン(EA)又はその塩を含む。第2の活性物質は、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)を含む。組成物は、第1の活性物質と第2の活性物質との組み合わせを含む。組成物中の第1の活性物質の量と第2の活性物質の量とは、喘息、COPD又はその他の呼吸器疾患の患者、又はこれを患っている危険のある患者に組成物を投与すると、その患者を効果的に予防又は治療するのに十分な量である。組成物はさらにその他の生体活性物質及び配合物成分を含むことができる。組成物は被験者又は患者、例えばヒト又はヒト以外の動物(例えばヒト以外の哺乳動物)に投与するのに適した医薬組成物又は獣医学組成物である。
【0041】
組成物は、気管支収縮、界面活性物質減損及び/又はアレルギーと関連する状態を含む、喘息、COPD、又は炎症及びその続発症が所定の役割を演じるその他の呼吸器疾患を治療するのに有用である。
【0042】
本発明はまた、喘息、COPD又はその他の呼吸器疾患の治療方法であって、このような治療を必要とする患者に組成物を投与することを含む、治療方法を提供する。
【0043】
本発明はまた、喘息、COPD又は上記その他の呼吸器疾患の予防又は治療のための薬剤を製造する際の、第1の活性物質と第2の活性物質との使用を提供する。
【0044】
本発明はまた、組成物と送達装置とを含むキットを提供する。送達装置は、組成物を患者に送達することができる。好ましくは送達装置は、粒子を送達するエアロゾル又は噴霧を発生させる手段を備えた吸入器を含む。好ましくは、送達は患者の気道に対して行われる。より好ましくは、送達は患者の肺に対して行われる。好ましくは送達は所望の場所に対して直接的に行われる。
【0045】
組成物を使用することの主な利点は、このような予防又は治療を必要とする患者によるコンプライアンスである。喘息又はCOPDのような呼吸器疾患は多因子性であり、個々の患者の兆候又は症状の種々異なる発現を伴う。このようなものとして、ほとんどの患者は疾患の種々異なる面を緩和するために、複数の薬剤で治療される。第1の活性物質、例えばDHEA又はDHEA-Sと、第2の活性物質、例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト又はプランルカストとを固定的に組み合わせることにより、より便利でありながら、定義済の患者部分個体群にターゲットを定めた治療が可能になる。治療をシンプルにし、そしてそれぞれの患者の独自の疾患属性に焦点を当てて、これらの特異的症状に最も迅速に対処することにより、患者のコンプライアンスが改善されるはずである。さらに、第1及び第2双方の活性物質を1回で投与するので、便利であり又は時間の節約になるという付加的な利点も得られる。このことは、患者の気道に組成物が投与されるような、不快感をもたらすおそれのある患者の身体部位に組成物が投与される場合に特に当てはまる。このことはまた、患者への組成物投与が侵襲的である場合にも特に当てはまる。
【0046】
加えて、第1の活性物質、例えばDHEA又はDHEA-Sは、肺胞膜及び細気道における誘導気道ではなく、遠位側の末梢気道に送達又は堆積されると最も効果的な抗炎症薬である。喘息及び或るCOPD患者は、収縮された誘導気道を有し、このような気道は、(より低い粒子速度によって、より早い堆積が生じることにより)第1の活性物質、例えば遠位側の末梢気道に作用するDHEAの送達を制限する。この組み合わせを使用すると、持続的な薬理学的効果が改善され、このことは疾患管理を改善することになる。抗ロイコトリエンは、極めて小さな末梢気道における間質浮腫を低減する。このことはまた、末梢気道直径を増大させる効果を有し、そして第1の活性物質の送達を容易にすることになる。このことは、抗ヒスタミン薬にも当てはまる。抗ヒスタミン薬も末梢気道浮腫を低減し、第1の活性物質の遠位側気道への送達を容易にする。
【0047】
本明細書に添付の図面は本発明の開示部分を形成する。これらの図面により、本発明のいくつかの観点を下記のようにさらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
好ましい実施態様の詳細な説明
定義
この文脈において、「アデノシン」及び「界面活性物質」の減損という用語は、患者における以前のレベルと比較して、その患者において低下又は減損したレベル、及びその患者における以前のレベルと本質的に同じレベルを含むが、しかし、何らかの他の理由により、以前のレベルと比較してこれらの物質のレベルを変更することにより、患者において治療上の恩恵がもたらされることになる。
【0049】
本明細書中に使用される「気道」という用語は、空気に暴露される患者の呼吸器系の一部又は全体を意味する。気道は例えば特に、喉、気管支気管支樹、鼻道、副鼻腔を含む。気道はまた、気管、気管支、細気管支、終末細気管支、呼吸細気管支、肺胞管及び肺胞嚢を含む。
【0050】
本明細書中に使用される「気道炎症」という用語は、患者の気道上の炎症に関する疾患又は状態を意味する。気道炎症は、アレルギー、喘息、呼吸障害、嚢胞性線維症(CF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎(AR)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、細菌又はウィルス感染、肺高血圧、肺感染、気管支炎、癌、気道閉塞及び気管支収縮によって引き起こされるか、又はこれらを伴う場合がある。
【0051】
本明細書中に使用される「キャリヤ」という用語は、意図される種々異なる投与ルートに適した気体状、液状又は固形キャリヤ、及びこれらの混合物の形態の生物学的に許容可能なキャリヤを意味する。好ましくは、キャリヤは、医薬的に又は獣医学上許容可能である。
【0052】
本明細書中に使用される「有効な量」とは、治療上又は予防上の恩恵をもたらす量を意味する。
【0053】
「他の治療薬」とは、組成物の第1の活性物質又は第2の活性物質ではない任意の治療薬を意味する。
【0054】
本明細書中に使用される「予防」という用語は、患者が病気になる前、又は以前に診断された状態を悪化させる前に行われることにより、患者が疾患の症状又はこれに関連する状態を有する確率を回避、防止又は低減できるようにする予防的治療を意味する。患者は、罹患のリスク又は以前に診断された状態を悪化させるリスクが増大した患者であってよい。
【0055】
本明細書中に使用される「呼吸器疾患」という用語は、呼吸器系に関連する疾患又は状態を意味する。その例としては、気道炎症、アレルギー、呼吸障害、嚢胞性線維症(CF)、アレルギー性鼻炎(AR)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、癌、肺高血圧、肺炎、気管支炎、気道閉塞、気道収縮、微生物感染及びウィルス感染、例えばSARSが挙げられる。
【0056】
本明細書中に使用される「治療する」、「治療」又は「治療的」という用語は、このような治療を施された患者が、疾患の症状又はその他の症状を発現させる確率を減少させる治療を意味する。
【0057】
本発明は、非グルココルチコイド・ステロイド、例えばエピアンドロステロン(EA)、その類似体、又はその塩を含む第1の活性物質と、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)を含む第2の活性物質とを組み合わせた組成物を提供する。この組成物はさらに、医薬的に又は獣医学上許容可能なキャリヤ、希釈剤、賦形剤、生体活性物質又は成分を含むことができる。組成物は、喘息、COPD、又はその他の呼吸器疾患を治療するのに有用である。また、組成物が治療に有用な他の呼吸器疾患は、気管支収縮、肺炎及び/又はアレルギー、及び肺癌と関連する肺及び呼吸器の疾患及び状態である。
【0058】
第1の活性物質は、エピアンドロステロン、その類似体又は医薬的に又は獣医学上許容可能な塩である。エピアンドロステロン、その類似体又は医薬的に又は獣医学上許容可能な塩は、化学式:
【化1】

を有する非グルココルチコイド・ステロイド
(上記式中、破線は単結合又は二重結合を表し;Rは水素又はハロゲンであり;位置5のHはアルファ又はベータ形態で存在しており、或いは化学式Iの化合物が両形態のラセミ混合物を含み;そしてR1は、水素であるか又は該化合物に共有結合された多価の無機又は有機ジカルボン酸である);
【0059】
化学式:
【化2】

を有する非グルココルチコイド・ステロイド;又は、化学式:
【化3】

の非グルココルチコイド・ステロイド;又はこれらの組み合わせ
(上記式中、R1、R2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、R12、R13、R14及びR19はそれぞれ独立して、H、OR、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルコキシであり、R5及びR11は独立してOH、SH、H、ハロゲン、医薬的に許容可能なエステル、医薬的に許容可能なチオエステル、医薬的に許容可能なエーテル、医薬的に許容可能なチオエーテル、医薬的に許容可能な無機エステル、医薬的に許容可能な単糖、二糖又はオリゴ糖、スピロオキシラン、スピロチラン、-OSO2R20、-OPOR20R21、又は(C1-C10)アルキルであり、R5とR6とが一緒になって=Oを形成し、R10とR11とが一緒になって=Oを形成し;R15は(1)R16が-C(O)OR22である場合には、H、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルコキシであり、(2)R16がハロゲン、OH又は(C1-C10)アルキルである場合には、H、ハロゲン、OH又は(C1-C10)アルキルであり、(3)R16がOHである場合には、H、ハロゲン、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、ホルミル、(C1-C10)アルカノイル又はエポキシであり、(4)R16がHである場合には、OR、SH、H、ハロゲン、医薬的に許容可能なエステル、医薬的に許容可能なチオエステル、医薬的に許容可能なエーテル、医薬的に許容可能なチオエーテル、医薬的に許容可能な無機エステル、医薬的に許容可能な単糖、二糖又はオリゴ糖、スピロオキシラン、スピロチラン、-OSO2R20、又は-OPOR20R21であるか、又はR15とR16とが一緒になって=Oを形成し;R17及びR18は独立して、(1)R6がH、OR、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は-C(O)OR22である場合には、H、-OH、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は-(C1-C10)アルコキシであり;(2)R15とR16とが一緒になって=Oを形成する場合には、H、(C1-C10アルキル)アミノ、(C1-C10アルキル)n アミノ-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ、ヒドロキシ-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ-(C1-C10)アルキル、(ハロゲン)m(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルカノイル、ホルミル、(C1-C10)カルバルコキシ又は(C1-C10)アルカノイルであり、(3)R17とR18とが一緒になって=Oを形成し;(4)R17又はR18が、結合されている炭素と一緒に酸素原子数0又は1の3-6員環を形成し;又は(5)R15及びR17が、結合されている炭素と一緒にエポキシド環を形成し;R20及びR21はそれぞれ独立して、OH、医薬的に許容可能なエステル又は医薬的に許容可能なエーテルであり;R22は、H、(ハロゲン)m(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルキルであり;nは0、1又は2であり;そしてmは1、2又は3である)、又は医薬的に又は獣医学上許容可能なこれらの塩
から選択される。
【0060】
好ましくは、化学式(I)に関して、多価の有機ジカルボン酸は、SO2OM、ホスフェート又はカーボネートであり、Mは対イオンを含む。対イオンの例は、H、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、リチウム、アンモニウム、アミン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、トリエチルアミン、エタノールアミン、コリン、トリエタノールアミン、プロカイン、ベンザチン、トロメタニン、ピロリジン、ピペラジン、ジエチルアミン、スルファチド
【化4】

及びホスファチド
【化5】

であり、
上記式中、同じであるか異なるものであるR2及びR3は、直鎖状又は分枝鎖状(C1-C14)アルキル又はグルクロニド
【0061】
【化6】

である。
【0062】
化学式Iの位置5の水素原子は、アルファ又はベータ形態で存在してよく、或いはDHEA化合物は、両形態の化合物の混合物として提供することもできる。上記化学式Iの実例となる化合物は、例えばDHEA(R及びR1はそれぞれ水素であり、二重結合を含有する);16-アルファ-ブロモエピアンドロステロン(RはBrであり、R1はHであり、二重結合を含有する);16-アルファ-フルオロエピアンドロステロン(RはFであり、R1はHであり、二重結合を含有する);エチオコラノロン(R及びR1はそれぞれ水素であり、二重結合を欠く);及びデヒドロエピアンドロステロンスルフェート(RはHであり、R1はSO2OMであり、そしてMは上記のようなスルファチド基であり、二重結合を欠く)である。しかしその他のものも含まれる。また、式Iの好ましい化合物は、Rがハロゲン、例えばブロモ、クロロ、又はフルオロであり、そしてR1が水素であり、そして二重結合が存在する化合物である。式Iの最も好ましい化合物は、16-アルファ-フルオロエピアンドロステロンである。他の好ましい化合物は、DHEA及びDHEA塩、例えばスルフェート塩(DHEA-S)である。
【0063】
一般に、非グルココルチコイド・ステロイド、例えば式(I), (III)及び(IV)、これらの誘導体及びこれらの塩は、体重1 kg当たり約0.05、約0.1、約1、約5、約20〜約100、約500、約1000、約1500、約1800、約2500、約3000、約3600 mgの投与量で投与される。しかし他の投与量も適しており、本特許の範囲内で考えられる。式(I), (III)及び(IV)の第1の活性物質は、周知の手順、又は当業者に明らかとなるこれらの変更形に従って形成することができる。中でも、例えば米国特許第4,956,355号明細書;英国特許第2,240,472号明細書;欧州特許出願公開第429,187号、国際公開第91/04030号パンフレット;米国特許第5,859,000号明細書;Abou-Gharbia他、J. Pharm. Sci. 70: 1154-1157(1981); Merck Index Monograph No. 7710(第11版、1989) を参照。
【0064】
本発明の幾つかの実施態様の場合、第1の活性物質は、エピアンドロステロン類似体又はその誘導体であってよい。また、エピアンドロステロンのプロドラッグ又は活性代謝体も本発明に含まれる。当業者には明らかなように、本明細書中に記載された化合物は、互変異性、配座異性、幾何異性及び/又は光学異性の現象を示すことができる。言うまでもなく、本発明は、本明細書中に記載された有用性の1つ又は2つ以上を有する化合物の任意の互変異性形、配座異性形、光学異性形、及び/又は幾何異性形、並びにこれらの種々異なる形態の混合物を含む。
【0065】
下記参考文献に記載されているようなエピアンドロステロンの代謝体を、第1の活性物質として使用することができる-「テルブタリンで治療された喘息小児の尿中ステロイドの毛管ガスクロマトグラフィ」Chromatographia(1998), 48(1/2), 163-165; 「ヒトの肺線維芽細胞におけるアンドロステンジオン代謝」Journal of Steroid Biochemistry(1986), 24(4), 893-7; 培養中のヒト肺組織及び肺内皮細胞におけるアンドロステロン及び5α-アンドロスタン-3α,17β-ジオールの代謝」Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism(1985), 60(2), 244-50;「ヒト肺組織によるテストステロン代謝」Journal of Steroid Biochemistry (1978), 9(1), 29-32;培養中のヒト肺組織及び肺内皮細胞におけるアンドロステロン及び5α-アンドロスタン-3α,17β-ジオールの代謝」Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism(1985年2月), 60(2), 44-50;「培養中のヒト肺皮細胞におけるデヒドロイソアンドロステロン及びアンドロステンジオンの代謝」Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism(1983年3月), 56(5), 930-5;「in vitroのヒトの肺によるデヒドロイソアンドロステロン及びアンドロステンジオンの代謝」Journal of steroid biochemistry (1977年4月), 8(4), 277-84;及び「in vitroのイヌの肺におけるテストステロン代謝」Steroid and lipids research(1973), 4(1), 17-23。これらの参考文献の全体を参考のため本明細書中に引用する。
【0066】
第1の活性物質として使用できるDHEAのその他の好適な類似体を、本明細書中に記載する。図19は、式IA, IB, IC及びIDの化合物を含む、或る特定の好適なDHEA類似体を示す。本明細書中に好適なR基を示す際には、結合点はCH2基又はアスタリスクでマークされた原子によって示される。R1及びR3は、ベンジルを含む線状又は分枝状アルキル、及び任意には置換型アルキル、例えばアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、エーテル、及びカルボン酸、及び任意には置換型アリール及びヘテロアリールであってよい。R1及びR3は例えば
【化7】

であってよい。式IAの化合物の例は、
【0067】
【化8】

を含む。R2は好ましくは、潜在的にはクロロアセチル誘導体及びアクリレート誘導体を含む、二酸誘導型又はアミノ酸誘導型置換基、又は任意には置換型アリール、例えばベンジル及びヘテロベンゾイルである。式IBの化合物の例は、
【化9】

を含む。式ICの化合物の例は、
【化10】

を含む。R4は事実上芳香族であってよく、そして式IDの化合物の例は、
【化11】

を含む。
【0068】
その他の好適な類似体は、OHを維持するか又はOHをNHと置換することにより、C-3位置に改変が加えられている類似体を含む。これらの類似体は典型的には、図20に示されているように、C-17アセタールで保護されたアンドルスト-4-エン3,17-ジオンから出発することにより形成される。式IEの化合物は、グリニャール試薬及び可能な場合にはアリール-リチウム試薬、例えば事実上芳香族の試薬から誘導することができ、そしてアルキニル、アルケニル及びアルキルであってもよい。R5の例は
【化12】

である。
【0069】
式IEの化合物の例は
【化13】

を含む。R6及びR8はそれぞれ独立して種々のアミンであってよく、R1基に関して記載したような官能基を有するアミンを含むことができる。式IFの好適な化合物の例は、
【0070】
【化14】

を含む。好適なR7基は、グリニャール/有機リチウム試薬から誘導することができ、こうしてR5に関して記載した官能基を含むこともできる。式IGの化合物の例は、
【化15】

を含む。式IHの化合物の例は、
【0071】
【化16】

を含む。
【0072】
その他の好適な類似体は、DHEAのC-2位置が改変されている化合物を含む。好適な改変形が図21に示されている。R9は、アルキル化剤、例えばアルキル、ベンジル、ヘテロベンジル及びその他の活性化ハロゲン化物の誘導体から誘導することができる。R9の例は、
【化17】

を含む。式IJ化合物の例は、
【0073】
【化18】

を含む。R10は、アリール又はヘテロアリール環を有するような芳香族エステル、又はエノール化可能なアルキルエステルであってよい。式IKの化合物の例は、
【0074】
【化19】

を含む。R11は、芳香族及びヘテロ芳香族アルデヒドの系列、例えばベンゼンカルボキシアルデヒド及びその置換型変異形、ピリジンカルボキシアルデヒド、又はエノール化不能のアルデヒド、例えば(CH3)3CCH=Oである。式ILの化合物の例は、
【化20】

を含む。R12は、R6のようなアミンの部分集合であってよい。式INの化合物の例は、
【0075】
【化21】

を含む。
【0076】
DHEAのC-17の好適な改変形を図22に示す。図22に示された化合物を第1の活性物質として使用することもできる。
【0077】
他の好適なDHEA類似体は、米国特許第6,635,629号明細書;欧州特許第934745号明細書;「デヒドロエピアンドロステロン及び類似体が、AP-1のDNA結合及び気道平滑筋増殖を阻害する」(Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics(1998), 285(2), 876-883);及び「デヒドロエピアンドロステロン及び関連ステロイドが、in vitroのミトコンドリア呼吸を阻害する」(International Journal of Biochemistry(1989), 21(10), 1103-7)に記載されている。これら全ての全体を参考のため本明細書中に引用する。
【0078】
第2の活性物質は、気管支収縮を阻害することができるロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)である。本発明に含まれるLTRA化合物の範囲は、4,859,692; 5,294,636; 5,319,097; 5,482,963; 5,565,473; 5,583,152; 5,612,367;及び6,143,775(これらの開示内容を参考のため引用する)において定義された化合物を含む。好ましいLTRAは、モンテルカスト、ザフィルルカスト又はプランルカストである。
【0079】
LTRAは、化学式(V), (VI)及び(VIII)によって定義され、
【0080】
LTRAは、化学式(V):
【化22】

(上記式中:R1はH、ハロゲン、--CF3、--CN、--NO2、又はN3であり;R2は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、--CF3、--CH2F、--CHF2、CH2CF3、置換型又は無置換型フェニル、置換型又は無置換型ベンジル、置換型又は無置換型2-フェネチルであり、又は同じ炭素に結合された2つのR2基が、O, S及びNから選択されたヘテロ原子数0-2の最大8員から成る環を形成することができ;R3はH又はR2であり;CR3R22は、標準的なアミノ酸の基であってよく;R4はハロゲン、--NO2、--CN、--OR3、-SR3、NR3 R3、NR3 C(O)R7又はR3であり;R5はH、ハロゲン、--NO2、--N3、--CN、--SR2、--NR3 R3、--OR3、低級アルキル、又は--C(O)R3であり;R6は、(CH2)s--C(R7 R7)--(CH2)s--R8又は--CH2C(O)NR12 R12であり;
【0081】
R7は、H又はC1-4アルキルであり;R8は、A)核炭素原子数3-12及びN, S又はOから選択された核ヘテロ原子の数1又は2の単環式又は二環式複素環式基であって、複素環式基の各環が炭素数5又は6から形成されており、又はB)基W--R9であり;R9は、最大炭素原子数が20であり、そして(1)アルキル基又は(2)環内ヘテロ原子数1以下の有機アクリル酸又は単環式カルボン酸のアルキルカルボニル基であり;R10は、--SR11、--OR12、又は--NR12 R12であり;R11は低級アルキル、-C(O)R14、無置換型フェニル又は無置換型ベンジルであり;R12はH, R11であるか、又は、同じNに結合された2つのR12基が、O, S及びNから選択されたヘテロ原子数1-2の5又は6員環を形成することができ;R13は、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、--CF3、又は置換型又は無置換型フェニル、ベンジル、又は2-フェネチルであり;R14はH又はR13であり;R16はH、C1-C4アルキル、又はOHであり;R17は低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル又は置換型又は無置換型フェニル、ベンジル、又は2-フェネチルであり;R18は、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、--CF3、又は置換型又は無置換型フェニル、ベンジル、又は2-フェネチルであり;R19は、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、--CF3、又は置換型又は無置換型フェニル、ベンジル、又は2-フェネチルであり;R20は、H、C1-C4アルキル、置換型又は無置換型フェニル、ベンジル、フェネチル、又はピリジニルであるか、又は同じNに結合された2つのR20基が、O, S及びNから選択されたヘテロ原子数1-2の5又は6員飽和型環を形成することができ;R21は、H又はR17であり;R22は、R4、CHR7 OR3又はCHR7 SR2であり;m及びm'はそれぞれ独立して0-8であり;n及びn'はそれぞれ独立して0又は1であり;p及びp'はそれぞれ独立して0-8であり;m+n+pは、rが1でありX2がO, S, S(O)又はS(O)2であるときには1-10であり;m+n+pは、rが1でありX2がCR3 R16であるときには0-10であり;m+n+pは、rが0の時には0-10であり;m'+n'+p'は、0-10であり;r及びr'はそれぞれ独立して0又は1であり;sは0-3であり;Q1は--C(O)OR3、1H(又は2H)-テトラゾル-5-イル、--C(O)OR6、--C(O)NHS(O)2R13、--CN、--C(O)NR12 R12、--NR21 S(O)2 R13、--CN、--NR12 C(O)NR12 R12、--NR21 C(O)R18、--OC(O)NR12 R12、-C(O)R19、--S(O)R18、--S(O)2R18、--S(O)2NR12 R12、--NO2、--NR21 C(O)OR17、-C(NR12 R12)=NR12、--C(R13)=NOHであり;又はQ1が--C(O)OHでありR22が--OH、--SH、--CHR7 OH又は--NHR3である場合、Q1と、R22と、これらが結合される際に介在する炭素とが、水の損失により複素環を形成することができ;Q2は、OH又はNR20 R20であり;WはO、S又はNR3であり;X2及びX3はそれぞれ独立して、O、S、S(O)、S(O)2、又はCR3 R16であり;Yは--CR3=CR3--又は--C≡C--であり;Z1及びZ2はそれぞれ独立して--HET(--R3--R5)--であり;HETはベンゼン、ピリジン、フラン又はチオフェンのジラジカルである);及びこれら医薬的に許容可能な塩
によって定義される。
【0082】
定義
下記略語の意味を示す:
Et=エチル
Me=メチル
Bz=ベンジル
Ph=フェニル
t-Bu=tert-ブチル
i-Pr=イソプロピル
n-Pr=ノルマル・プロピル
c-Hex=シクロヘキシル
c-Pr=シクロプロピル
1,1-c-Bu=1,1-ビス-シクロブチル
1,1-c-Pr=1,1-ビス-シクロプロピル(例えば、HOCH2(1,1-c-Pr)CH2CO2Meはメチル1-(ヒドロキシメチル)シクロプロパンアセテートである)
c-=シクロ
Ac=アセチル
Tz=1H(又は2H)-テトラゾル-5-イル
Th=2-又は3-チエニル
C3H5=アリル
c-Pen=シクロペンチル
c-Bu=シクロブチル
phe=ベンゼンジイル
pye=ピリジンジイル
fur=フランジイル
thio=チオフェンジイル
DEAD=ジエチルアゾカルボキシレート
DHP=ジヒドロピラン
DIAD=ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
r.t.=室温
【0083】
アルキル、アルケニル及びアルキニルは、線状、分枝状及び環状構造及びこれらの組み合わせを含むものとする。
【0084】
「アルキル」は「低級アルキル」を含み、最大炭素原子数20の炭素フラグメントにまで及ぶ。アルキル基の例は、オクチル、ノニル、ノルボルニル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、エイコシル、3,7-ジエチル-2,2-ジメチル-4-プロピルノニル、2-(シクロドデシル)エチル、及びアダマンチルなどを含む。
【0085】
「低級アルキル」は、炭素原子数1〜7のアルキル基を意味する。低級アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2-メチルシクロプロピル、及びシクロプロピルメチルなどを含む。
【0086】
「低級アルケニル」基は、炭素原子数2〜7のアルケニル基を意味する。低級アルケニル基の例は、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、1-プロペニル、2-ブテニル、及び2-メチル-2-ブテニルなどを含む。
【0087】
「低級アルキニル」基は、炭素原子数2〜7のアルキニル基を意味する。低級アルキニルの例は、エチニル、プロパルギル、3-メチル-1-ペンチニル、及び2-ヘプチニルなどを含む。
【0088】
「アルキルカルボニル」は、直鎖状、分枝状又は環状形態の炭素原子数1〜20のアルキルカルボニル基を意味する。アルキルカルボニル基の例は、2-メチルブタノイル、オクタデカノイル、及び11-シクロヘキシルウンデカノイルなどである。従って、11-シクロヘキシルウンデカノイル基はc-Hex-(CH2)10--C(O)--である。
【0089】
置換型フェニル、ベンジル、2-フェネチル及びピリジニルは、低級アルキル、R10、NO2、SCF3、ハロゲン、--C(O)R7、--C(O)R10、CN、CF3及びCN4Hから選択された芳香族環上に1つ又は2つの置換基を有する構造を意味する。
【0090】
ハロゲンは、F、Cl、Br及びIを意味する。
【0091】
Q1のプロドラッグ・エステル(すなわちQ1=--C(O)OR6である場合)は、Saari他、J. Med. Chem., 21(8):746-753(1978)、Sakamoto他、Chem. Pharm. Bull., 32(6):2241-2248(1984)、及びBundgaard他、J. Med. Chem., 30(3):451-454(1987)によって記載されているようなエステルを意味する。R8の定義の中で、幾つかの代表的な単環式又は二環式複素環基は次の通りである:
2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル、
(3-ピリジニルカルボニル)アミノ、
1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-2H-イソインドル-2-イル、
1,3-ジヒドロ-2H-イソインドル-2-イル、
2,4-イミダゾリンジオン-1-イル、
2,6-ピペリジンジオン-1-イル、
2-イミダゾリル、
2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル、
ピペリジン-1-イル、
モルホリン-1-イル、及び
ピペラジン-1-イル。
Q1と、R22と、これらが結合される際に介在する炭素とが環を形成する場合、こうして形成された環は、ラクトン、ラクタム及びチオラクトンを含む。
【0092】
特定の分子内の任意の置換基(例えばR1、R2、m、Xなど)の定義は、その分子内の他の場所ではその定義とは独立しているものとする。従って、--NR3 R3は、-NHH、--NHCH3、--NHC6H5などを表す。
【0093】
2つのR3、R12又はR20基がNを介して結合するときに形成される複素環は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チアモルホリン、ピペラジン及びN-メチルピペラジンを含む。
【0094】
その基がCR3 R22であってよい「標準的なアミノ酸」は下記アミノ酸を意味する:アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、アルギニン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリン(F. H. C. Crick, Symposium of the Society of Experimental Biology, 12, 140(1958))。
【0095】
本明細書中に記載されている化合物のいくつかは、非対称の1つ又は2つ以上の中心を含有し、ひいてはジアステレオ異性体及び光学異性体を生じさせることができる。LTRAは、このような生じ得るジアステレオ異性体、並びにこれらのラセミ形態及び分割された光学活性形態を含む。光学活性の(R)及び(S)異性体は、コンベンショナルな技術を用いて分割することができる。
【0096】
本明細書中に記載されている化合物のいくつかは、オレフィン二重結合を含有し、そして特に断りのない限り、E及びZ双方の幾何異性体を含むものとする。
【0097】
化学式(V)の好ましい化合物は:
R1は、H、ハロゲン、CF3又は--CNであり;
R2は、C1-4アルキル、--CF3、--CF2、--CH2Fであるか、又は同じ炭素に結合される2つのR2基が、最大炭素数6の環を形成することができ;
R3は、H又はR2であり;
CR3 R22は、標準的なアミノ酸の基であってよく;
R4は、--OR3、--SR3、NR3 R3、NHC(O)CH3、又はR3であり;
R5は、H又はハロゲンであり;
R6は、(CH2)s--C(R7 R7)--(CH2)s--R8又は-- CH2 C(O)NR12 R12であり;
R7は、H又はC1-4アルキルであり;
R8は、A)核炭素原子数3-12及びN, S又はOから選択された核ヘテロ原子の数1又は2の単環式又は二環式複素環式基であって、複素環式基の各環が炭素数5又は6から形成されており、又はB)基W--R9であり;
R9は、最大炭素原子数が20であり、そして(1)アルキル基又は(2)アルキルカルボニル基であり;
R10は、--SR11、--OR12、又は--NR12 R12であり;
R11は、低級アルキル、-C(O)R14、無置換型フェニル又は無置換型ベンジルであり;
R12はH, R11であるか、又は、同じNに結合された2つのR12基が、O, S及びNから選択されたヘテロ原子数1-2の5又は6員環を形成することができ;
R13は、低級アルキル、--CF3、又は置換型又は無置換型フェニル、ベンジル、又は2-フェネチルであり;
R14は、H又はR13であり;
R16はH、C1-4アルキル、又はOHであり;
R22は、R4、--CH2 OR3又は--CH2 SR2であり;
m及びm'はそれぞれ独立して0-4であり;
n及びn'はそれぞれ独立して0又は1であり;
p及びp'はそれぞれ独立して0-4であり;
m+n+pは、rが1でありX2がO又はSであるときには1-9であり;
m+n+pは、rが1でありX2がCR3 R16であるときには0-9であり;
m+n+pは、rが0の時には0-9であり;
m'+n'+p'は、1-9であり;
r及びr'は、それぞれ独立して0又は1であり;
sは、0-3であり;
Q1は、--C(O)OR3、1H(又は2H)-テトラゾル-5-イル、--C(O)OR6、--C(O)NHS(O)2R13、--C(O)NR12 R12、--NHS(O)2 R13であり;又はQ1が--C(O)OHでありR22が--OH、--SH、--CH2OH又は--NHR3である場合、Q1と、R22と、これらが結合される際に介在する炭素とが、水の損失により複素環を形成することができ;
Q2は、OHであり;
Wは、O、S又はNHであり;
X2及びX3は、それぞれ独立して、O、S、又はCR3 R16であり;
Yは、(E)--CH=CH--;
Z1及びZ2はそれぞれ独立して--HET(--R3--R5)--であり;
HETはベンゼン、ピリジン、フラン又はチオフェンのジラジカルである
化合物及びこれらの医薬的に許容可能な塩である。
【0098】
好ましい化合物の別の群は、Q1に結合されたR22 αは低級アルキル、CF3、又は置換型又は無置換型フェニルである群である。
【0099】
化学式(V)のより好ましい化合物は、化学式(Va):
【0100】
【化23】

【0101】
(上記式中:R1は、H、ハロゲン、--CF3又はCNであり;
R22は、R3、-CH2 O3、又は--CH2 SR2であり;
Q1は、--C(O)OH、1H(又は2H)-テトラゾル-5-イル、--C(O)NHS(O)2R13、--C(O)NR12 R12、又は--NHS(O)2R13であり;
m'は、2又は3であり;
p'は、0又は1であり;
m+pは、1-5であり;
残りの定義は化学式(V)における通りである)
及びこれらの医薬的に許容可能な塩によって表される。
【0102】
より好ましい化合物の別の群は、
化学式(Va)における通りであり、上記式中:
m'は0であり;
そして残りの定義は化学式(Va)における通りである。
【0103】
化学式(Va)の最も好ましい化合物はまた、基Q1に結合された炭素α上に低級アルキルを有する。
【0104】
化学式(V)のより好ましい化合物の別の群は、化学式(Vb):
【化24】

(上記式中:R1は、H、ハロゲン、CF3又はCNであり;
R22は、R3、-CH2 O3、又は--CH2 SR2であり;
Q1は、--C(O)OH、1H(又は2H)-テトラゾル-5-イル、--C(O)NHS(O)2R13、--C(O)NR12 R12、又は--NHS(O)2R13であり;
mは、0, 2又は3であり;
pは、0又は1であり;
p'は、1-4であり;
m+pは、0-4であり;
残りの定義は化学式(V)における通りである)
及びこれらの医薬的に許容可能な塩によって表される。
【0105】
化学式(V)の代表的は化合物は、米国特許第5,565,473号明細書の表Iに見いだされる。これを参考のため本明細書中に引用する。
【0106】
化学式(V)の好ましい化合物は下記の通りである:
【化25】

【0107】
組成物は、第2の活性物質としての化学式(V)の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含む。「医薬的に許容可能な塩」という用語は、無機塩基及び有機塩基を含む医薬的に許容可能な非毒性塩基から調製された塩を意味する。無機塩基に由来する塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛などを含む。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウム塩である。医薬的に許容可能な有機非毒性塩基に由来する塩は、第一級、第二級、第三級アミン、自然発生型置換型アミンを含む置換型アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、及びトロメタミンなどを含む。
【0108】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸及び有機酸を含む医薬的に許容可能な非毒性酸から調製することができる。このような酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、及びp-トルエンスルホン酸などを含む。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
【0109】
言うまでもなく、下記治療方法の論議において、化学式(V)の化合物に言及する場合には、医薬的に許容可能な塩も含まれるものとする。
【0110】
ロイコトリエンの作用に拮抗する化学式(V)の化合物の能力により、これらの化合物は、ヒトの患者においてロイコトリエンによって誘発される症状を防止又は逆転するのに有用になる。ロイコトリエンの作用に対する拮抗作用は、哺乳動物、及び特にヒトにおいて、1)喘息、慢性気管支炎、及び関連閉塞性気道疾患のような疾患を含む肺障害、2)アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、及びアレルギー性結膜炎などのようなアレルギー及びアレルギー反応、3)関節炎又は炎症性腸疾患のような炎症、4)疼痛、5)乾癬及びアトピー性湿疹のような皮膚障害、6)狭心症、心筋虚血、高血圧及び血小板凝集などのような心臓疾患障害、7)免疫学的又は化学的(サイクロスポリン)病因によって誘発される虚血から生じる腎不全、8)片頭痛又は群発頭痛、9)ブドウ膜炎のような眼の状態、10)化学的、免疫学的、又は感染性の刺激から生じる肝炎、11)火傷、及び内毒素血などのような外傷又はショック状態、12)同種移植の拒絶反応、13)サイトカイン、例えばインターロイキンII及び腫瘍壊死因子の治療投与と関連する副作用の防止、14)嚢胞性線維症、気管支炎、及び大小の気道のその他の疾患、及び15)胆嚢炎、を治療、予防、又は改善するのに有用であることを示す。
【0111】
化学式(V)の化合物の予防的又は治療的な投与量の規模は、治療されるべき状態の重症性の性質とともに、また化学式(V)の特定の化合物及びその投与ルートとともに変化することになる。投与量の規模はまた、個々の患者の年齢、重量及び応答に従って変化することになる。一般に、抗喘息、抗アレルギー又は抗炎症用途の一日投与量範囲は、単回投与量又は分割投与量において、哺乳動物の体重1kg当たり約0.001 mg〜約100 mg、好ましくは1kg当たり約0.01 mg〜約10 mg、及び最も好ましくは1kg当たり約0.1 mg〜約1 mgである。他方において、幾つかの症例ではこれらの制限外の投与量を使用することが必要である場合がある。
【0112】
静脈内投与のための組成物を採用する場合、抗喘息、抗炎症又は抗アレルギー用途の化学式(V)化合物の好適な1日投与範囲は、体重1kg当たり約0.001 mg〜約25 mg(好ましくは0.01 mg〜約1 mg)である。
【0113】
経口組成物を採用する場合、抗喘息、抗炎症又は抗アレルギー用途の化学式(V)化合物の好適な1日投与範囲は、体重1kg当たり約0.01 mg〜約100 mg、好ましくは0.1 mg〜約10 mgである。
【0114】
上述の一般的な投与形態に加えて、化学式(V)の化合物は、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;同第3,630,200号及び同第4,008,719号の各明細書に記載されたような制御放出手段及び/又は送達装置によって投与することもできる。これらの開示内容を参考のため本明細書中に引用する。
【0115】
化学式(V)の化合物を含む組成物は、欧州特許第138,481号、同第115,394号、同第136,893号及び同第140,709号明細書(参考のため本明細書中に引用する)に開示されているようなロイコトリエンの生合成のインヒビターを含むこともできる。化学式(V)の化合物を含む組成物はさらに、(1)ロイコトリエンの生合成のインヒビター;(2)プロスタグランジン・アンタゴニスト;(3)ヒスチジンデカルボキシラーゼ・インヒビター;(4)ロコトリエン・アンタゴニスト;(5)H1又はH2-受容体アンタゴニスト;(6)K+/H+ATPaseインヒビター;(7)マスト細胞安定剤;(8)セロトニン・アンタゴニスト、及び/又は(9)抗コリン作用薬を含むこともできる(米国特許第4,208,423号;同第5,603,918号;同第5,955,058号;同第6,299,861号;同第6,455,524号明細書に開示されている)。
【0116】
好ましい第2の活性物質はモンテルカスト・ナトリウムである。モンテルカスト・ナトリウムは、システイニル・ロイコトリエンCysLT1受容体を阻害する選択的経口活性LTRAである。モンテルカスト・ナトリウムは、[R-(E)]-1-[[[1-[3-[2-(7-クロロ-2-キノリニル)エテニル]フェニル]-3-[2-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニル]プロピル]チオ]メチル]シクロプロパン酢酸、モノナトリウム塩と化学的に記述される。
【0117】
モンテルカスト・ナトリウムは、白色からオフホワイトの吸湿性光学活性粉末である。これはエタノール、メタノール及び水中に溶けやすく、アセトニトリル中には事実上不溶性である。これは商業的に入手可能である。膜コーティングされたそれぞれ10 mgのSingulair(登録商標)錠剤は、10.0 mgの遊離酸とモル当量の10.4 mgのモンテルカスト・ナトリウムと、種々の不活性成分とを含有する。それぞれ5 mgのチュアブルSingulair(登録商標)は、5.0 mgの遊離酸とモル当量の5.2 mgのモンテルカスト・ナトリウムと、種々の不活性成分とを含有する。
【0118】
LTRAはまた、化学式(VI):
【化26】

【0119】
(上記式中、基>X--Y--Z--は
(a) >CRc--CraRb--NRd-
(b) >C=N--Za-
(c) >C=CRa--Zb-
(d) >N--CRa=N-
(e) >N--CRbRe--CRcRf--Zb-
(f) >N--N=N-
(g) >N--NRg--CO-
(h) >N--N=C.ORd-
から成る群から選択され、
「>」は2つの別個の結合の手であり、
Raは、水素又は(1-4C)アルキルであり;
Rb及びRcはそれぞれ水素であり、又は既存の炭素-炭素結合と結合して不飽和型結合を形成し;
Rdは、水素、又は、1つ又は2つ以上の二重結合又は三重結合を任意に含有する (1-10C)アルキルであり、(1-10C)アルキルにおいて、炭素原子が任意には水素又は硫黄によって置換されていてもよく、前記(1-10C)アルキルは加えて、任意には(1-4C)アルコキシ、シアノ、カルボキシ、1H-テトラゾル-5-イル、カルバモイル、N-(1-4C)カルバモイル、N,N-ジ[(1-4C)アルキル]カルバモイル及び(1-4C)アルコキシカルバモイルから成る群から選択された置換基を担持しており、又は、Rdは、(3-8C)シクロアルキル、(3-8C)シクロアルキル-(1-4C)アルキル、(2-6C)アルカノイル又はフェニル-(1-4C)アルキルであり、該フェニル-(1-4C)アルキルのフェニル部分が、シアノ、ハロゲノ、(1-4C)アルキル、(1-4C)アルコキシ及びトリフルオロメチルから成る群から選択された置換基を担持しており;
【0120】
Re及びRfはそれぞれ独立して水素又は(1-4C)アルキルであり;
【0121】
Rgは(1-4C)アルキルであり;
【0122】
Zaはオキシ、チオ、又は式--N(Rd)--の置換型イミノであり、Rdは、上に定義された意味のいずれかを有しており;
【0123】
Zbはオキシ又はチオであり;
【0124】
基R1.L--は、式:R1.W.CO.NH--又はR1.W.CS.NH--のアミド基を意味し、R1は、1つ又は2つ以上のフッ素置換基を任意に含有する(2-10C)アルキルであり;又はR1は、フェニル-(1-6C)アルキルであり、(1-6C)アルキル部分は任意には、フルオロ又は(1-4C)アルコキシ置換基を担持することができ、そしてフェニル部分は任意には、ハロゲノ、(1-4C)アルキル、(1-4C)アルコキシ及びトリフルオロメチルから成る群から選択された置換基を担持することができ;又はR1は、(3-8C)シクロアルキル又は(3-8C)シクロアルキル-(1-6C)アルキルであり、これらのうちのいずれかの環状部分は任意には、1つの不飽和型結合を含有することができ、そして任意には、1つ又は2つの(1-4C)アルキル置換基を担持することができ;
【0125】
Wはオキシ、チオ、イミノ又はR1との直接的な結合であり;
【0126】
R2は、水素、ハロゲノ、(1-4C)アルキル又は(1-4C)アルコキシであり;
【0127】
Qは、ハロゲノ、ヒドロキシ、(1-4C)アルキル、(1-4C)アルコキシ及びトリフルオロメチルから成る群から選択された基からそれぞれ独立して選択された1つ又は2つ以上の置換基を任意に担持するフェニレンであり;
【0128】
A1は、(1-2C)アルキレン又はビニレンであり;
【0129】
A2は、メチレン、ビニレン、又はMとの直接的な結合であり;そして、
【0130】
Mは、カルボキシ、式--CO.NH.SOm R3のアシルスルホンアミド残基及び1H-テトラゾル-5-イルから成る群から選択された酸性基であり、mは整数1又は2であり、そしてR3は、(1-6C)アルキル、(3-8C)シクロアルキル、(6-12C)アリール、原子数5-12(原子のうちの1つ以上が炭素であり、そして1つ以上が酸素、硫黄及び窒素から選択される)のヘテロアリール、(6-12C)アリール-(1-4C)アルキルであり、これらのうちのいずれかにおいて、芳香族部分又は複素環式芳香族部分が、ハロゲノ、(1-4C)アルキル、(1-4C)アルコキシ、トリフルオロメチル、ニトロ及びアミノから成る群から選択された1つ又は2つ以上の置換基を担持することができる);
【0131】
又はこれらの医薬的に許容可能な塩
によって定義される。
【0132】
化学式(VI)化合物のうちの特定のもの、例えばR1が不斉置換型炭素原子を含有する化合物が、光学活性形態及びラセミ形態を成して存在し、分離されていてよい。加えて、式Iの或る特定の化合物、例えばRd又は結合--A1.Q.A2--がビニレン基を含有する化合物が、その基を中心とした別個の立体異性形態(E及びZ)を成して存在し、分離されていてよいことは明らかである。いくつかの化合物は、2つ以上の互変異性形態を成して存在してよい。いくつかの化合物は多形を示すことができる。言うまでもなく、本発明は、任意のラセミ、光学活性、互変異性、多形又は立体異性の形態、又はこれらの混合物を含む。この形態は、ロイコトリエン・アンタゴニスト特性を有する。光学活性形態をいかにして調製するか(例えばラセミ形態の分割、又は光学活性出発材料からの合成による)、そして個々のE及びZ立体異性体をいかにして調製するか(例えばその混合物のクロマトグラフィ分離による)、そして、後で説明する標準試験によりロイコトリエン・アンタゴニスト特性をいかにして見極めるかは、当業者によく知られている。
【0133】
本明細書中、Ra、Rb、Rcなどは、総称的な基を意味し、他の意味を有さない。言うまでもなく、総称的な用語「(1-6C)アルキル」は、直鎖状及び分枝鎖状の両方のアルキル基を含むが、個々のアルキル基、例えば「プロピル」に言及するときには、直鎖(「ノルマル」)基だけを含み、分枝鎖状異性体、例えば「イソプロピル」は特定して言及される。同様の慣習が他の総称群、例えば「アルキレン」及び「アルケニレン」などに当てはまる。
【0134】
Ra, Rb, Rcなどにおいて上記範囲を有するものとして記載された総称的な基の具体的な値は、下記の通りである:
【0135】
Ra, Re, Rf, Rg又はR2の、これが(1-4C)アルキルである場合の具体的な値は、例えばメチル、エチル、又はプロピルである。
【0136】
R2の、これが(1-4C)アルコキシである場合の具体的な値は、例えばメトキシ又はエトキシであり;そしてこれがハロゲノである場合の具体的な値は、例えばフルオロ、クロロ又はブロモである。
【0137】
Rdの、これが(1-10C)アルキルである場合の具体的な値は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、3-メチルブチル、ペンチル又はヘキシルであり;そしてこれが1つ又は2つの二重又は三重結合である場合の具体的な値は、例えばビニル、アリル、1-プロペニル、2-メチルアリル、3-メチルブト-2-エニル、1,3-ペンタジエニル、2-プロピニル又は3-ブチニルであり;そして、1つ又は2つの炭素原子が酸素又は硫黄によって置換されたアルキルである場合の具体的な値は、例えば2-メトキシエチル又は2-メチルチオエチルである。
【0138】
Rd上の任意の置換基の具体的な値は、例えば:(1-4C)アルコキシの場合、メトキシ又はエトキシであり;N-(1-4C)アルキルカルバモイルの場合、N-メチル-又はN-エチルカルバモイルであり;N,N-ジ(1-4C)アルキルカルバモイルの場合、N,N-ジメチルカルバモイルであり;(1-4C)アルコキシカルバモイルの場合、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はt-ブトキシカルボニルである。
【0139】
Rdの、これが(3-8C)シクロアルキルである場合の具体的な値は、例えばシクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり;これが(3-8C)シクロアルキル-(1-4C)アルキルである場合の具体的な値は、例えばシクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル又はシクロヘキシルメチルであり;これが(2-6C)アルカノイルである場合の具体的な値は、例えばアセチル又はプロピオニルであり;そしてこれがフェニル-(1-4C)アルキルである場合の具体的な値は、例えばベンジル、1-フェニルエチル又は2-フェニルエチルである。
【0140】
R1の、これが(2-10C)アルキルである場合の具体的な値は、例えばエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、1-エチルペンチル又はノニルであり;そしてこれが1つ又は2つ以上のフッ素置換基を含有している場合の具体的な値は、例えば2,2,2-トリフルオロエチル又はヘプタフルオロプロピルである。
【0141】
R1の、これがフェニル-(1-6C)アルキルである場合の具体的な値は、例えばベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-メチル-1-フェニルエチル、1-フェニルブチル及び1-フェニルペンチルを含み;そして(1-6C)アルキル部分上の任意の(1-4C)アルコキシ置換基の具体的な値は、例えばメトキシ又はエトキシである。
【0142】
上に定義されたR1又はRdのフェニル部分上に存在し得る或る任意の置換基、又はその一部の具体的な値は、例えば:ハロゲンの場合:フルオロ、クロロ及びブロモから成る群から選択された員;(1-4C)アルキルの場合:メチル及びエチルから成る群から選択された員;及び(1-4C)アルコキシの場合:メトキシ及びエトキシから成る群から選択された員を含む。
【0143】
R1の、これが(3-8C)シクロアルキルである場合の具体的な値は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルであり;これが(3-8C)シクロアルキル-(1-6C)アルキルである場合の具体的な値は、例えばシクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、1-シクロペンチルエチル、2-シクロペンチルエチル、1-シクロペンチルプロピル、1-シクロヘキシルプロピル、1-シクロペンチルブチル、1-シクロヘキシルブチルであり;そしてシクロアルキル環内に不飽和型結合を含有する基の具体的な値は、例えばシクロヘキセニル又はシクロヘキセニル-(1-6C)アルキル(例えばシクロヘキセニルメチル又は1-(シクロヘキセニル)ブチル)であり;そしてこのような基の環状部分上の任意の(1-4C)アルキル置換基の具体的な値は、例えばメチル、エチル又はイソプロピルである。
【0144】
Qの具体的な値は、好ましくはフルオロ、クロロ、(1-4C)アルキル、(1-4C)アルコキシ又はトリフルオロメチル置換基を担持するm-フェニレン又はp-フェニレンである。
【0145】
A1の、これが(1-2C)アルキレンである場合の具体的な値は、例えばメチレン、エチレン又はエチリデンである。
【0146】
R3の、これが(1-6C)アルキルである場合の具体的な値は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はブチルであり;これが(3-8C)シクロアルキルである場合の具体的な値は、例えばシクロペンチル又はシクロヘキシルであり;これが(6-12C)アリールである場合の具体的な値は、例えばフェニル、1-ナフチル又は2-ナフチルであり;これがヘテロアリールである場合の具体的な値は、例えばフリル、チエニル又はピリジルであり;そしてこれが(6-12C)アリール-(1-4C)アルキルである場合の具体的な値は、例えばベンジル、1-ナフチルメチル、又は2-ナフチルメチル又はピリジルメチルである。
【0147】
R3の芳香族部分又は複素環式芳香族部分上に存在し得る任意の置換基の具体的な値は、R1内のフェニル部分に関連して上に定義された置換基を含む。
【0148】
上記基のより具体的な値は、例えば下記のものから成る群から選択された値を含む:
【0149】
R1の場合:エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、1-エチルペンチル、ノニル、ヘプタフルオロプロピル、ベンジル、4-クロロベンジル、4-トリフルオロメチルベンジル、4-メチルベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-メチル-1-フェニルエチル、1-フェニルプロピル、1-フェニルペンチル、アルファ-フルオロベンジル、アルファ-メトキシベンジル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、2-シクロペンチルエチル、1-シクロペンチルブチル、1-シクロヘキシルプロピル、1-シクロヘキシルブチル、5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキシル及び1-シクロヘキセン-4-イル;
【0150】
R2の場合:水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル及びメトキシ;
【0151】
R3の場合:メチル、イソプロピル、ブチル、シクロペンチル、フェニル、4-クロロフェニル、4-メチルフェニル、2-メチルフェニル、ナフチル、チエン-2-イル及び6-クロロピリド-3-イル;
【0152】
Raの場合:水素及びメチル;
【0153】
Rb及びRcの場合:水素、Rb及びRcが既存の炭素-炭素結合と一緒になって不飽和型結合を形成;
【0154】
Rdの場合:水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アリル、プロパルギル、3-メチルブチル、3-メチルブト-2-エニル、2-カルバモイルエチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、N-エチルカルバモイルメチル、N,N-ジメチルカルバモイルメチル、2-カルボキシビニル、2-(メトキシカルボニル)ビニル、2-メトキシエチル、3-メトキシプロピル、シクロペンチル、シクロプロピルメチル、アセチル、ベンジル、3-シアノベンジル及び4-クロロベンジル;
【0155】
Re及びRfの場合:水素、メチル及びエチル;
【0156】
Rgの場合:メチル、エチル及びプロピル;
【0157】
A1の場合:メチレン及びエチレン;
【0158】
A2の場合:直接的な結合及びメチレン;
【0159】
Qの場合:m-フェニレン及びp-フェニレン(任意にはフルオロ、クロロ、ヒドロキシ、メチル、メトキシ又はトリフルオロメチル置換基を担持する);及び
【0160】
Wの場合:オキシ、イミノ、チオ及び直接的な結合。
【0161】
特に重要な特定の基の例は、下記のものから成る群から選択された基を含む:
【0162】
R1の場合:ブチル、ペンチル、1-エチルペンチル、1-フェニルプロピル、アルファ-フルオロベンジル、アルファ-メトキシベンジル、シクロペンチル、及びシクロペンチルメチル;
【0163】
R2の場合:水素;
【0164】
R3の場合:フェニル及び2-メチルフェニル;
【0165】
Raの場合:水素;
【0166】
Rb及びRcの場合:水素、並びに、Rb及びRcが既存の炭素-炭素結合と一緒になって不飽和型結合を形成;
【0167】
Rdの場合:水素、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、アリル、プロパルギル、3-メチルブチル、3-メチルブト-2-エニル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、N-エチルカルバモイルメチル、N,N-ジメチルカルバモイルメチル、2-メトキシエチル、シクロペンチル、シクロプロピルメチル、アセチル、ベンジル、及び3-シアノベンジル;
Re及びRfの場合:水素;
Rgの場合:プロピル;
A1の場合:メチレン;
A2の場合:直接的な結合;
Qの場合:m-フェニレン及びp-フェニレン(任意にはヒドロキシ又はメトキシ置換基を担持する);及び
Wの場合:オキシ、イミノ、チオ及び直接的な結合。
【0168】
上記定義の範囲内には、式(VI)化合物の中から、多数の化合物部分群、例えば:
(i)化学式(VIa)
【化27】

のインドール及びインドリン;
(ii)化学式(VIb)
【0169】
【化28】

のベンゾイソキサゾール、ベンゾイソチアゾール及びインダゾール;
(iii)化学式(VIc)
【0170】
【化29】

のベンゾ[b]フラン及びベンゾ[b]チオフェン;
(iv)化学式(VId)
【0171】
【化30】

のベンゾイミダゾール;
(v)化学式(VIe)
【0172】
【化31】

の1,4-ベンゾオキサジン及び1,4-ベンゾチアジン;
(vi)化学式(VIf)
【0173】
【化32】

のベンゾトリアゾール;
(vii)化学式(VIg)
【0174】
【化33】

のインダゾロン;
(viii)化学式(VIh)
【0175】
【化34】

のインダゾール
が、これらの医薬的に許容可能な塩と一緒に含まれ、そして各部分群においてm, R1, R3, Ra-Rg, Za, Zb, A1, A2, Q, W及びMは、上に定義された意味のいずれかを有する。
【0176】
上記部分群の中には、本発明のさらに別の化合物部分群が下記のもの:
【0177】
(ix)Rb及びRcが既存の炭素-炭素結合と一緒になって不飽和型結合を形成する化学式(VIa)化合物;
【0178】
(x)Zbがオキシ又はチオであり、Rb及びRcが水素である化学式(VIe)化合物
を、これらの医薬的に許容可能な塩と一緒に含み;
【0179】
そしてそれぞれの部分群(ix)及び(x)において、残りの総称的な基は、上に定義された意味のいずれかを有する。
【0180】
上記部分群において、A1の好ましい値は例えばメチレンであり;A2の好ましい値は、例えばMとの直接的な結合であり;Qの好ましい値は例えばp-フェニレン(任意にはメトキシ、特にA1に対してオルトの位置のメトキシと置換されている)であり;及びMの好ましい値は、カルボキシ、1H-テトラゾル-5-イル又は式--CO.NH.SO2 R4の基(R4はフェニルであり、R3、例えば2-メチルフェニルに関して上に定義されたように置換されている)である。一般に、基R1.L--がベンゼン部分に結合されることにより、この基が基Xに対してメタの関係を担持するがしかし基Zに対するオルトの関係を担持することはないようにするのが好ましい。R1.L--の好ましい値は例えばR1.W.CO.NH--であり;Wの好ましい値は例えばオキシ、イミノ又は直接的な結合であり;Wがオキシ又はイミノである場合のR1の好ましい値は、例えばシクロペンチルであり;そしてWが直接的な結合である場合のR1の好ましい値は、例えばシクロペンチルメチルである。
【0181】
本発明の化合物の好ましい基は、
下記化学式(VIIa)
【化35】

のインドール誘導体、
下記化学式(VIIb)
【化36】

のインドール誘導体、
下記化学式(VIIc)
【化37】

のベンゾ[b]チオフェン誘導体、
下記化学式(VIId)
【化38】

のベンズイミダゾール誘導体、
下記化学式(VIIe)
【化39】

の2,3-ジヒドロベンズ-1,4-オキサジン誘導体、
下記化学式(VIIf)
【化40】

のベンゾトリアゾール誘導体、
及び下記化学式(VIIg)
【化41】

のインダゾール誘導体
を、これらの医薬的に許容可能な塩と一緒に含み、
【0182】
上記式中、R1, R2, Ra, Rd, Re, Rf, W, Q, A2及びMは、前に定義された意味のいずれかを有する。Mがカルボキシル基である場合の化学式(VIIa)及び(VIIb)の誘導体に対応するRdの特に好ましい値は、メチル、プロピル、2-メトキシエチル、N-エチルカルバモイルメチル、及びシクロペンチルを含む。Mが式--CO.NH SO2 R4の基(R4はフェニルである)である場合の誘導体(VIIa)及び(VIIb)のRdの特に好ましい値は、水素、メチル、2-メトキシエチル、及びN-エチルカルバモイルメチルである。Mが式--CO.NH.SO2 R4の基(R4は2-メチルフェニルである)である場合の誘導体(VIIa)及び(VIIb)のRdの特に好ましい値は、メチル及びN,N-ジメチルカルバモイルメチルである。R1.L--がR1.W.CO.NH--(R1.W--はシクロペンチルオキシである)であり、Mがカルボキシ又は式--CO.NH.SO2 R4の基(R4はフェニルである)である場合の誘導体(VIIg)に関して、Rdの特に好ましい値は、メチルである。R1.L--がR1.W.CO.NH--(R1はシクロペンチルメチルであり、そしてW--は直接的な結合である)であり、Mがカルボキシ又は式--CO.NH SO2 R4の基(R4は2-メチルフェニルである)である場合の誘導体(VIIg)に関して、Rdの特に好ましい値は、N-エチルカルバモイルメチルである。
【0183】
本発明の特定の化合物が添付の例において記載されている。しかしこれらの化合物N-[4-(5-(シクロペンチルオキシカルボニル)アミノ-1-メチルインドル-3-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4-[5-(シクロペンチルオキシカルボニル)アミノ-1-(N-エチルカルバモイルメチル)インドル-3-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4-[5-(シクロペンチルオキシカルボニル)アミノ-1-メチルインダゾル-3-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4-[5-(シクロペンチルオキシカルボニル)アミノ-1-メチルインドル-3-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]-2-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[4-[5-(2-シクロペンチルアセトアミド)-1-(N,N-ジメチルカルバモイルメチル)インドル-3-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]-2-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[4-[6-(シクロペンチルオキシカルボニル)アミノ-2,3-ジヒドロベンズ-1,4-オキサジン-4-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4-[6-(2-シクロペンチルアセトアミド)-2,3-ジヒドロベンズ-1,4-オキサジン-4-イルメチル1]-3-メトキシベンゾイル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4-(5-(シクロペンチルオキシカルボニル)アミノベンゾ[b]チエン-3-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4-[6-(2-シクロペンチルアセトアミド)ベンズイミダゾル-1-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]-ベンゼンスルホンアミド、N-[4-[6-(2-シクロペンチルアセトアミド)-2,3-ジヒドロベンズ-1,4-オキサジン-4-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]-2-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[4-[6-(シクロペンチルオキシカルボニル)アミノ-3-メトキシインダゾル-1-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4-[5-(N'-シクロペンチルウレイド)-1-メチルインドル-3-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]-2-メチルベンゼンスルホンアミド、N-[4-[6-(2-シクロペンチルアセトアミド)ベンゾトリアゾル-1-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4-[5-(シクロペンチルオキシカルボニル)アミノインドル-3-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]ベンゼンスルホンアミド、N-[4-[5-(シクロペンチルオキシカルボニル)アミノ-1-(2-メトキシエチル)インドル-3-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]-ベンゼンスルホンアミド、N-[4-[5-(2-シクロペンチルアセトアミド)-1-メチルインドル-3-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]-ベンゼンスルホンアミド、N-[4-[6-(2-シクロペンチルアセトアミド)-3-(N-エチルカルバモイルメトキシ)インダゾル-1-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]-2-メチルベンゼンスルホンアミド、及びN-[4-[6-(シクロペンチルオキシカルボニル)アミノベンズイミダゾル-1-イルメチル]-3-メトキシベンゾイル]-ベンゼンスルホンアミドが特に好ましくは、遊離酸形態で、又は対応する医薬的に許容可能な塩として使用することができる。
【0184】
好適な医薬的に許容可能な塩の例は、生理学的に許容可能なカチオンを形成する塩基で形成された塩、例えばアルカリ金属(特にナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属(特にカルシウム及びマグネシウム)、アルミニウム及びアンモニウム塩、並びに、適切な有機塩基、例えばトリエチルアミン、ホルホリン、ピペリジン及びトリエタノールアミンで形成された塩である。十分に塩基性である塩Iのこれらの化合物の場合、好適な医薬的に許容可能な塩の例は、酸付加塩、例えば強酸、例えば塩酸、硫酸又はリン酸で形成された塩を含む。
【0185】
化学式(VI)のよりより好ましい化合物は、下記化学式:
【化42】

を有するザフィルルカストである。
【0186】
ザフィルルカストは、化学名4(5-シクロペンチルオキシ-カルボニルアミノ-1-メチル-インドル-3イルメチル)-3メトキシ-N-o-トリルスルホニルベンズアミドを有するLTRAである。ザフィルルカストは、事実上水不溶性の白から黄白色の非晶質微粉末である。これはメタノール中に僅かに可溶性であり、そしてテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、及びアセトン中に溶けやすい。ザフィルルカストは商業的に入手可能であり、Accolate(登録商標)が、経口投与用の20 mg錠剤として供給されている(AstraZeneca Pharmaceuticals LP, Wilmington, DE)。
【0187】
LTRAはまた、化学式(VIII)
【化43】

【0188】
(上記式中、Aは、単結合、又は炭素原子数1-10の直鎖状又は分枝状アルキル基及び/又はフェニル基のうちの1つ、2つ又は3つによって任意に置換されているメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレン又はエチニレン基を表し;
【0189】
Bは、
(i)置換されていないか、又は任意の炭素原子のうちの1つ、2つ又は3つが酸素、窒素及び/又は硫黄原子によって置換されている4-8員炭素環(環は任意には、オキソ、チオキソ、及び/又はヒドロキシ基によって置換されていてよい)、又は、
(ii)式:
【化44】

の二価基を表し、
【0190】
Tは、酸素原子又は硫黄原子であり;
【0191】
R1は、一般式:
【化45】

(iv)最大炭素原子数20の直鎖状又は分枝状アルキル、アルケニル又はアルキニル基
の基を表し;
【0192】
上記式中、R5及びR6はそれぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子、又は最大炭素原子数20の直鎖状又は分枝状アルキル、アルケニル又はアルキニル基であって、該炭素原子が置換されていないか、又は任意の炭素原子のうちの1つ、2つ3つ、4つ又は5つが酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、窒素原子、ベンゼン環、チオフェン環、ナフタレン環、炭素原子数4-7の炭素環、カルボニル基、カルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アジド基及び/又はニトロ基によって置換されており、
【0193】
R2は、水素原子、又は炭素原子数1-6の直鎖状又は分枝状アルキル基を表し;
【0194】
R3は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、一般式:--COOR7(R7は水素原子、又は炭素原子数1-6の直鎖状又は分枝状アルキル基を表す)、又は炭素原子数1-6の直鎖状又は分枝状アルキル、アルコキシ又はアルキルチオ基を表し;
【0195】
R4は、
(i)Bが閉じた環を表す場合には、一般式:
【化46】

の基(Uは、酸素原子又は硫黄原子を表し;R8は水素原子、又は炭素原子数1-6の直鎖状又は分枝状アルキル基を表し、n及びmはそれぞれ整数1-10を表し、p及びqはそれぞれ整数1-10を表す)を表し、又は、
(ii)Bが環を表さない場合には、一般式:
【化47】

の基(R8、p及びqは、前述のものと同じ意味を表すが、但し、Bが式:
【化48】

の基を表す場合には、pはゼロを表さないものとする)
及びこれらの非毒性塩、これらの製造方法、及び活性成分としてこれを含む薬剤
によって定義される。
【0196】
一般式(IB)の化合物は新規の化合物であり、そしてロイコトリエンのアンタゴニスト活性の他に、5α-レダクターゼ、リポキシゲナーゼ及びアルドース・レダクターゼに対して阻害活性を有することが初めて判った。
【0197】
一般式(VIII)において、R5及びR6によって表される基の例は、下記の通りである:
水素原子、ハロゲン原子
炭素原子数1-20のアルキル基
炭素原子数2-20のアルケニル又はアルキニル基
炭素原子数1-19のアルコキシ又はアルキルチオ基
炭素原子数3-19のアルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルキニルオキシ又はアルキニルチオ基
ハロゲン原子及び/又はヒドロキシ基によって置換された炭素原子数1-19のアルキル基
ハロゲン原子及び/又はヒドロキシ基によって置換された炭素原子数2-19のアルケニル又はアルキニル基
ハロゲン原子及び/又はヒドロキシ基によって置換された炭素原子数1-18のアルコキシ又はアルキルチオ基
ハロゲン原子及び/又はヒドロキシ基によって置換された炭素原子数3-18のアルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルキニルチオ又はアルキニルオキシ基
【0198】
最大炭素原子数19のアルキルオキシアルキル、アルケニルオキシアルキル又はアルキルオキシアルケニル基
【0199】
炭素原子数4-7のシクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルキルチオ基
【0200】
フェニル、フェノキシ又はフェニルチオ基
【0201】
炭素原子数4-7の炭素環、ベンゼン環、ナフタレン環又はチオフェン環を中央又は末端に有する、炭素原子数1-19のアルキル基
【0202】
炭素原子数4-7の炭素環、ベンゼン環、ナフタレン環又はチオフェン環を中央又は末端に有する、最大炭素原子数18のアルコキシ、アルキルチオ、アルケニルオキシ、アルケニルチオ、アルキニルオキシ又はアルキニルチオ基
【0203】
フェニルチオアルコキシ又はフェニルオキシアルキルオキシ基(アルキル部分は、炭素原子数1-17の基である)
【0204】
最大炭素原子数19のカルボキシアルコキシ又はアルコキシカルボニルアルキルオキシ基
【0205】
炭素原子数3-19のアルコキシカルボニルオキシアルキルオキシ基
【0206】
炭素原子数3-20のアルケニルカルボニルオキシ基
【0207】
炭素原子数2-20のアルキルカルボニル基
【0208】
最大炭素原子数19のアジドアルキル、ニトロアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル基
【0209】
最大炭素原子数18のアジドアルキルオキシ、ニトロアルキルオキシ、アミノアルキルオキシ、アルキルアミノアルキルオキシ、ジアルキルアミノアルキルオキシ基、
【0210】
炭素原子数3-19のアルケニルカルボニルアミノ基
【0211】
炭素原子数1-19のアルキルアミノ基
【0212】
ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アジド基、ニトロ基及び/又はカルボキシ基によってさらに置換された上述の基。
【0213】
上記の基の中で、R5及びR6として好ましい基は、下記の基である:
水素原子
ハロゲン原子
炭素原子数1-20の直鎖状又は分枝状アルキル基
炭素原子数1-19の直鎖状又は分枝状アルコキシ基
炭素原子数3-19の直鎖状又は分枝状アルケニルオキシ基
炭素原子数3-19の直鎖状又は分枝状アルキニルオキシ基
炭素原子数1-19の直鎖状又は分枝状アルキルチオ基
ハロゲン原子によって置換された炭素原子数1-18の直鎖状又は分枝状アルキル基
炭素原子数2-19の直鎖状又は分枝状アルキルオキシアルキル基
炭素原子数1-8の直鎖状又は分枝状アルキル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子及び/又はニトロ基によって任意に置換された、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル(アルキル部分は炭素原子1-8の基である)又はシクロアルキルアルキルオキシ(アルキル部分は炭素原子1-8の基である)
【0214】
炭素原子数1-8の直鎖状又は分枝状アルキル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子及び/又はニトロ基によって任意に置換された、フェニル、フェニルアルキル(アルキル部分は炭素原子1-8の基である)、フェニルアルキルオキシ(アルキル部分は炭素原子1-8の基である)、又はフェニルアルケニルオキシ(アルケニル部分は炭素原子2-8の基である)基
【0215】
直鎖状又は分枝状アルキル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子及び/又はニトロ基によって任意に置換された、ナフチル、ナフチルアルキル(アルキル部分は炭素原子1-8の基である)、ナフチルアルコキシ(アルキル部分は炭素原子1-8の基である)、又はナフチルアルケニルオキシ(アルケニル部分は炭素原子2-8の基である)基
【0216】
カルボニル、カルボニルオキシ及び/又はヒドロキシ基によって置換された最大炭素原子数18の直鎖状又は分枝状アルコキシ、アルケニルオキシ又はアルキルオキシアルキルオキシ基
【0217】
フェノキシ又はフェニルチオ基によって置換された炭素原子数1-17の直鎖状又は分枝状アルコキシ基
【0218】
チオフェン環によって置換された炭素原子数1-18の直鎖状又は分枝状アルコキシ基
【0219】
炭素原子数1-6のアルキル基(ジアルキルアミノ基を含む)によって任意に置換されたアジド又はニトロ基又はアミノ基によって置換された最大炭素原子数18の直鎖状又は分枝状アルキル、アルケニル、アルコキシ又はアルケニルオキシ基
【0220】
カルボニル基及びアミノ基である2種の基によって置換された最大炭素原子数18の直鎖状又は分枝状アルキル、アルケニル、アルコキシ又はアルケニルオキシ基
【0221】
本発明における炭素原子数1-20のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル基、及びこれらの異性体基を意味する。
【0222】
炭素原子数2-20のアルケニル及びアルキニル基は、上記の対応基を意味する。
【0223】
本発明における炭素原子数1-6のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル基、又はこれらの異性体基を意味する。
【0224】
本発明における炭素原子数4-7のシクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルを意味する。
【0225】
本発明におけるハロゲン原子は、塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素原子を意味する。
【0226】
化学式(VIII)の化合物に関して、或る特定の炭素原子が別の原子、環又は基によって置換される場合、その置換自体が化学的又は物理的に許容可能である限り、任意の炭素原子を置換することができる。例えば「中央又は末端でベンゼン環によって置換されたイソブチル基」は、イソプロピルフェニル、ジメチルフェニルメチル又は2-フェニルプロピル基を意味する。炭素原子が置換される場合、水素原子を好適に付加又は除去することができる。例えば「第2位置で窒素原子によって置換されたペンチル基」は、N-プロピルアミノメチル基を意味する。
【0227】
そして例えば、2-(フェノキシ)エトキシ基及び5-(2-クロロ-4-ニトロフェニルチオ)-5-メチルペント-2-エニルオキシ基は、それぞれペンチル基及び6,8-ジメチルノン-3-エニル基の任意の炭素原子のうちの1つ、2つ、3つ、4つ又は5つが置換されており、従って、これらは本発明に含まれる。
【0228】
置換されていないか、又は酸素、窒素及び/又は硫黄原子によって任意の炭素原子のうちの1つ、2つ又は3つが置換されている4-8員炭素環(環は、一般式(VIII)におけるBによって表されるオキソ、チオキソ及び/又はヒドロキシ基によって任意に置換することができる)の例は、下記の通りである:
【化49】

(上記環は任意にはヒドロキシ基によって置換することができる)。
上記炭素環は、飽和型環又は不飽和型環、又は芳香族環又は非芳香族環であってよい。
上記任意の環が好ましい。そして環がベンゼン環と縮合される場合、下記縮合ベンゼン環が特に好ましく、すなわち一般式
【化50】

の環は下記の環である:
【化51】

【0229】
そしてBが式:
【化52】

の開いた基である化合物も好ましい。
【0230】
化学式(VIII)のより好ましい化合物は、下記化学式:
【化53】

を有するプランルカストである。
【0231】
プランルカストは、化学名4-オキソ-8-[4-(4-フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]-2-(テトラゾル-5-イル)-4H-1-ベンゾピラン半水化物を有するLTRAである。プランルカストは、日本国内で商業的に入手可能である(Ono Pharmaceutical Co, Ltd.日本国大阪)。
【0232】
呼吸器及び肺の疾患を治療するために、第1の活性物質及び第2の活性物質が使用され、そして下記付加的な物質のいずれかをそのままで、又は上述のような医薬的に許容可能な塩の形態で投与することができる。これらすべてを「活性化合物又は活性物質」と呼ぶ。第1及び第2の活性物質は互いに組み合わせて、又は別個の医薬的に又は獣医学上許容可能な配合物の形態で、又はこのような形態において一緒に投与することもできる。活性化合物又はこれらの塩は、下で論議するように、全身的又は局所的に投与することができる。
【0233】
本発明はまた、喘息、COPD又はその他の呼吸器疾患を治療する方法であって、このような治療を必要とする患者に、組成物を投与することを含む方法を提供する。この方法は予防又は治療を目的とする。この方法はin vivo法を含む。この方法は、ステロイド投与、アデノシン又はアデノシン受容体代謝又は合成の異常、又はその他の原因を含め、疾患の原因が何であれ、複数の疾患を治療するのに効果的である。この方法は、アデノシン又はアデノシン受容体のレベルを低減することによって、また特に肺、肝臓、心臓及び脳、又はこのような治療を必要とする任意の器官におけるアデノシンに対する過敏症又はその他のメカニズムを低減することによって、呼吸器及び肺の疾患を治療することを含む。本明細書において言及される他の呼吸器疾患は、特に、嚢胞性線維症(CF)、呼吸困難、気腫、喘鳴、肺高血圧、肺線維症、肺癌、過反応性気道、特に感染疾患と関連する、アデノシン又はアデノシンのレベル増大、肺気管支収縮、肺炎、肺アレルギー、界面活性物質の減損、慢性気管支炎、気管支収縮、呼吸困難、肺気道の障害又は閉塞、心臓機能のためのアデノシン試験、肺血管収縮、呼吸障害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、或る特定の薬物、例えばアデノシン又はアデノシン受容体のレベルを増大させる薬物、及び、例えば上室頻拍症(SVT)の治療のための他の薬物の投与、アデノシン・ストレス試験の管理、小児呼吸窮迫症候群(小児RDS)、疼痛、アレルギー性鼻炎、肺界面活性物質の減少、重症急性呼吸器症候群(SARS)を含む。
【0234】
1実施態様の場合、本発明は、喘息を予防又は治療する方法であって、このような治療を必要とする患者に、患者の喘息を予防又は治療するのに十分な量の組成物を投与することを含む方法である。
【0235】
1実施態様の場合、本発明は、COPDを予防又は治療する方法であって、このような治療を必要とする患者に、患者のCOPDを予防又は治療するのに十分な量の組成物を投与することを含む方法である。
【0236】
1実施態様の場合、本発明は、気管支収縮、肺炎又は肺アレルギーを予防又は治療する方法であって、このような治療を必要とする患者に、患者の気管支収縮、肺炎又は肺アレルギーを予防又は治療するのに十分な量の組成物を投与することを含む方法である。
【0237】
1実施態様の場合、本発明は、患者組織内のアデノシンを低減又は減損させる方法であって、このような治療を必要とする患者に、患者組織内のアデノシンを低減又は減損させるのに十分な量の組成物を投与することを含む方法である。
【0238】
本発明はまた、喘息、COPD又は肺癌を含むその他の呼吸器疾患の治療のための薬剤を製造する際の、第1の活性物質と第2の活性物質との使用を提供する。薬剤はこの開示全体にわたって記載された組成物を含む。
【0239】
第1の活性物質及び第2の活性物質の患者に対する1日投与量は、プログラムされた全体的な治療、採用されるべき第1の活性物質と第2の活性物質、配合物のタイプ、投与ルート及び患者の状態とともに変化することになる。実施例11〜18は、呼吸器又は鼻腔投与用、又は吸入による投与用の装置で送達するための、本発明によるエアロゾル化された調製物を示す。肺内投与のためには、液体調製物が好ましい。他の生体活性物質の場合には、ビタミンやミネラルにおけるように、人の食物摂取に付加的な生体活性物質を補うためのFDA推奨量が存在する。しかし、特定の状態を治療し、又は患者の免疫応答を改善するために採用される場合、生体活性物質は、何百倍及び何千倍高い投与量で利用することができる。たいていの場合、薬局方の推奨は、極めて広い投与量範囲に及んでいる。この範囲から、当業者は指針を引き出すことができる。本明細書中に記載された薬剤例の量は、1日消費量として現在推奨されている量の範囲内にあってよく、又はこれらのレベルを上下してもよい。治療は典型的には、非グルココルチコイド・ステロイド、又は必要に応じて他の生体活性物質との組み合わせで、低投与量の気管支拡張剤で開始し、次いで各患者に合わせて投与量を徐々に増量してゆくことができる。しかし、初期量を含む、より多くの量及びより少ない量を本発明の範囲内で投与することもできる。
【0240】
ここで採用される第1及び第2の活性物質、又は任意のその他の治療薬の好ましい範囲は、当業者には明らかであるように、また、既知の手順及び成分に従って当業者によって製造されるように、採用される投与ルート及び調製タイプに応じて変化することになる。活性化合物は単回投与(1日1回)又は数回投与(1日数回)投与することができる。呼吸器、心臓及び心臓血管の疾患を予防して治療する組成物及び方法を用いて、成人及び小児、並びに上記状態を患うヒト以外の動物を治療することができる。本発明は主としてヒト患者の治療に関するが、しかしヒト以外の哺乳動物患者、例えばイヌ及びネコ、並びに大型家畜及び野生動物を治療する獣医学的な目的で採用することもできる。「高」及び「低」レベルの「アデノシン」及び「アデノシン受容体」並びに「アデノシン減損」という用語は、アデノシン・レベルが同じ患者における以前のアデノシン・レベルよりも高いまたは低い(減損させられていることもある)状態、及びアデノシン・レベルは正常な範囲にあるが、しかしその患者の何らかの他の状態又は変化の理由から、アデノシン又はアデノシン受容体レベル又は過敏性を増減することにより、治療上の恩恵がその患者に得られるような状態、の両方を含むものとする。こうして、この治療は、特別注文式にその患者を調節(投与量滴定)するのを助ける。第1の活性物質の投与が、治療前に正常レベル又は高レベルを有する患者においてアデノシン・レベルを減少又は減損させることができるのに対して、第2の活性物質の更なる投与は、患者の呼吸を短時間で改善する。他の治療薬をさらに添加すると、望ましくないほど低いレベルのアデノシンを滴定するのを助ける。このことは、この治療薬の投与時に、特に適切な投与量の最適な滴定が達成されるまで観察することができる。
【0241】
本発明の組成物中に組み込むことができるその他の治療薬は、ヒト及び動物に投与される種々の治療薬のうちの1種又は2種以上である。
【0242】
この組成物はさらに、第1及び第2の活性物質に加えて、ユビキノン及び/又はフォリン酸を含む。ユビキノンは式:
【化54】

によって表される化合物、又は医薬的に許容可能なその塩である。
【0243】
好ましくは、ユビキノンは、上記化学式に基づく化合物であり、n=1-10(コエンザイムQ1-10)、より好ましくはn=6-10(コエンザイムQ6-10)、及び最も好ましくはn=10(コエンザイムQ10)である。ユビキノンは、ターゲットとなる疾患又は状態を治療する治療量で投与され、その投与量は、患者の状態、投与される他の薬剤、採用される配合物のタイプ、及び投与ルートに応じて変化する。ユビキノンの1日総投与量は、体重1kg当たり約0.1、約1、約3、約5、約10、約15、約30、約50、約100、約150、約300、約600、約900、約1200 mg/kgが好ましい。より好ましい1日総投与量は、約1〜約150 mg/kg、約30〜約100 mg/kgであり、最も好ましい1日総投与量は、約5〜約50 mg/kgである。ユビキノンは自然発生型物質であり、商業的に入手可能である。
【0244】
本発明の活性物質は、広範囲の組成物量範囲内で提供される。例えば、活性物質は組成物中に、組成物の約0.001%、約1%、約2%、約5%、約10%、約20%、約40%、約90%、約98%、約99.999%の量で含有されていてよい。各活性物質の量は、本明細書中で論議されているように、活性がオーバーラップする付加的な物質が含まれる場合には調節することができる。しかし、活性化合物の投与量は、患者の年齢、体重及び状態に応じて変化し得る。治療は本発明の第1の活性物質の僅かな投与量、例えば最適投与量未満で開始することができる。このことは、第2の活性物質に関しても、所望のレベルが得られるまで同様に行うことができる。または逆に、例えばマルチビタミン及び/又はミネラルの場合、患者を所望のレベルのこれらの生成物で安定化し、次いで第1の活性物質を投与することができる。その環境において所望の且つ/又は最適な効果に達するまで、投与量を増大することができる。一般に、活性剤は、過度に有害な副作用を引き起こすことなしに、効果的な結果をもたらす濃度で投与されるのが好ましく、そして単一ユニット投与量として投与するか、又は所望の場合には、好都合なサブユニットとして、1日全体にわたって適当な回数で投与することができる。第2の治療薬又は診断薬は、意図される用途にとって効果的であることが当業者に知られている量で投与される。第2の薬剤が主要薬とオーバーラップする活性を有している場合、一方又は両方の薬剤の投与量を調節して、不都合な副作用を回避する投与量範囲を上回ることなしに、所望の効果を得ることができる。こうして、例えば、組成物に他の鎮痛薬及び抗炎症薬が添加されるときには、これらの薬剤は、意図された用途に関して当業者に知られている量で、又は単独で投与されるときよりも若干低い投与量で添加することができる。
【0245】
医薬的に許容可能な塩は、薬理学的且つ薬学的に、又は獣医学的に許容可能であるべきであり、アルカリ金属塩又はアルカリ土類塩、例えばナトリウム、カリウム、又はカルシウム塩として調製することができる。有機塩及びエステルも、本発明とともに使用するのに適している。活性化合物は好ましくは、医薬組成物又は獣医学的組成物として患者に投与される。この組成物は全身用及び局所用配合物を含む。これらの中で好ましいのは、特に、吸入に適した配合物、又は呼吸に適した配合物、又はバッカル、経口、直腸、膣、鼻腔、肺内、眼、眼科用、腔内、気管内、器官内、局所(バッカル、舌下、皮膚及び眼内を含む)、非経口(皮下、皮内、筋内、静脈内及び関節内)、及び経皮投与に適した配合物である。
【0246】
本発明はまた、組成物及び送達装置を含むキットを提供する。組成物は、単一又は複数単位投与形態で、並びにバルクで好都合に提供することができ、また、調剤当業者によく知られた方法のいずれかによって調製することができる。キット内に見いだされる組成物は、既に一緒に調製されているか、又は第1の活性物質と第2の活性物質とが、他の成分、及びその調製及び投与計画のための指示書とともに、別個に提供される。キットは、本明細書中に記載されているような他の薬剤を含有することもでき、例えば非経口投与の場合には、これらの薬剤は別個の容器内にキャリヤと一緒に提供することができる。キャリヤは滅菌されていてよい。この組成物は凍結乾燥形態を成して、投与前に液体キャリヤを添加するための、滅菌されていてよい別個の容器内で提供することができる。例えば米国特許第4,956,355号明細書;英国特許第2,240,472号明細書;欧州特許出願公開第429,187号明細書;国際公開第91/04030号パンフレット;Mortensen, S. A.他、Int. J. Tiss. Reac. XII(3):155-162(1990);Greenberg, S.他、J. Clin. Pharm. 30:597-608(1990);Folkers, K.他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8931-8934(1990)を参照されたい。これらの該当する調製及び化合物の部分を参考のため本明細書中に引用する。
【0247】
本発明の組成物は、種々の全身用及び局所用配合物中で提供される。本発明の全身用又は局所用配合物は、経口用、バッカル内用、肺内用、直腸用、子宮内用、皮内用、局所用、皮膚用、非経口用、腫瘍内用、頭蓋内用、肺内用、バッカル用、舌下用、鼻腔用、皮下用、血管内用、くも膜下用、吸入用、呼吸用、関節内用、腔内用、インプラント用、経皮用、イオン導入用、眼内用、眼用、膣用、眼科用、静脈内用、筋内用、腺内用、器官内用、リンパ腺内用、徐放性及び腸溶性コーティング配合物から成る群から選択される。これらの種々異なる配合物の実際の調製及び配合は、当業者に知られており、ここで詳細に述べる必要はない。組成物は1日に1回又は数回にわたって投与することができる。
【0248】
呼吸器、鼻腔、肺内及び吸入投与に適した配合物が、局所、経口及び非経口用配合物と同様に好ましい。全ての調製方法は、活性化合物と、1種又は2種以上の付属成分を構成するキャリヤとを組み合わせる工程を含む。一般に、配合物は活性化合物を、液体キャリヤ、微粉砕された固形キャリヤ、又はその両方と均一且つ密接に組み合わせ、そして次いで必要な場合には、生成物を所望の配合物に成形することによって調製される。
【0249】
経口投与に適した組成物が不連続的な単位、例えば、それぞれが所定量の活性化合物を含有するカプセル剤、カシェ剤、トローチ剤、又は錠剤の形態で;粉剤又は顆粒剤として;水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液として;水中油又は油中水エマルジョンとして提供することができる。
【0250】
非経口投与に適した組成物は、活性化合物の滅菌水性及び非水性注射溶液を含む。この調製物は好ましくは、所期レシピエントの血液と等張性である。これらの調製物は抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、及び、組成物を所期レシピエントの血液と等張性にする溶質を含有することができる。水性及び非水性滅菌懸濁液は、懸濁剤及び増粘剤を含むことができる。組成物は、単位投与又は複数回投与用容器内、例えば密封されたアンプル及びバイアル内で提供することができ、そしてフリーズドライ又は凍結乾燥状態で貯蔵することができ、使用直前に滅菌液体キャリヤ、例えば食塩水又は注射用水を添加するだけでよい。
【0251】
鼻腔及び点滴用配合物は、保存剤及び等張剤を有する活性化合物の精製水性溶液を含む。このような配合物は好ましくは、鼻粘膜と適合可能なpH及び等張状態に調節される。
【0252】
直腸又は膣投与用配合物は、好適なキャリヤ、例えばカカオバター、又は水素化脂肪又は水素化脂肪カルボン酸を有する坐剤として提供することができる。
【0253】
眼科用配合物は鼻腔スプレーと同様の方法により調製されるが、この場合にはpH及び等張ファクターは好ましくは眼のものと一致するように調節される。眼用配合物は一般に、粘性キャリヤ、例えば当業者に知られているような油中などで調製されるので、こぼれることなしに眼に容易に投与することができる。
【0254】
皮膚への局所塗布に適した組成物は、好ましくは軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、又は油の形態を成している。使用することができるキャリヤは、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮エンハンサー、及びこれらのうちの2種又は3種以上の組み合わせを含む。経皮投与に適した組成物は、不連続的なパッチとして提供することができ、これらのパッチは、長時間にわたってレシピエントの表皮と密に接触し続けるように適合されている。
【0255】
本明細書中に開示された第1及び第2の活性物質は、任意の好適な手段を用いた患者の吸入、呼吸、鼻腔投与又は肺内点滴注入(肺内への)により投与することができ、そして好ましくは、粉末状又は液状の鼻腔用、肺内用、呼吸用又は吸入用粒子から成るエアロゾル又はスプレーを発生させることによって投与される。活性化合物を含む呼吸用又は吸入用粒子は、患者によって、すなわち、吸入によって、又は鼻腔投与によって、又は呼吸器管又は肺自体内への点滴注入によって吸入される。配合物は、活性化合物の呼吸可能又は吸入可能な液状又は固形粒子を含んでよく、これらの粒子は、本発明に基づいて、吸入時に口及び喉頭を通り、続いて気管支及び肺胞内に入るのに十分に小さなサイズを有する、呼吸可能又は吸入可能な液状又は固形粒子を有している。一般に粒子の直径は、約0.05、約0.1、約0.5、約1、約2-約4、約6、約8、約10ミクロンである。より好ましくは約0.5-約5 μm未満の直径を呼吸又は吸入することができる。エアロゾル又はスプレー中に含まれる呼吸不能なサイズの粒子は、喉内に堆積して飲み込まれる傾向がある。従って、エアロゾル中の呼吸不能な粒子の量を最小化することが好ましい。鼻腔投与又は肺内点滴注入の場合、鼻腔内での保持、又は肺内への直接的な堆積を保証するために、粒子サイズの範囲は約8、約10、約20、約25-約35、約50、約100、約150、約250、約500 μm(直径)であることが好ましい。液体配合物は、特に新生児及び小児に投与される場合には、呼吸管(鼻)及び肺内に注入することができる。
【0256】
エアロゾルを生成するための活性化合物の液状医薬組成物は、活性化合物と、安定的なビヒクル、例えば発熱物質なしの滅菌水と合体させることにより調製することができる。ミクロン粉砕型活性化合物の呼吸用乾燥粒子を含有する固形粒状組成物は、乳鉢及び乳棒で乾燥活性化合物を粉砕し、次いで、ミクロン粉砕された組成物を400メッシュ・スクリーンに通して大きな凝集体を崩壊又は分離することにより調製することができる。活性化合物から成る固形粒状組成物は、任意には、エアロゾル形成を容易にするのに役立つ分散剤を含有することができる。好適な分散体はラクトースであり、このラクトースは、任意の好適な比、例えば1:1の重量比で活性化合物とブレンドすることができる。米国特許出願第10/462,901号明細書及び同第10/462,927号明細書には、それぞれ、噴霧可能な形態のDHEAの安定的な乾燥粉末配合物、及びDHEA-Sの二水和物結晶形の安定的な乾燥粉末配合物が開示されている(これらの特許出願明細書全体を参考のため本明細書中に引用する)。
【0257】
活性化合物を含む液状粒子のエアロゾルは、任意の好適な手段、例えばネブライザーによって生成することができる。例えば米国特許第4,501,729号明細書(この開示内容を参考のため本明細書中に引用する)。ネブライザーは、活性成分の溶液又は懸濁液を、圧縮ガス、例えば空気又は酸素を狭いベンチュリ・オリフィスを通して加速することによって、又は超音波撹拌によって、治療用エアロゾル・ミストに変化させる商業的に入手可能な装置である。ネブライザー内で使用するのに好適な組成物は、液状キャリヤ中の活性成分から成っており、活性成分は組成物の最大40重量 %を形成するが、しかし好ましくは20重量%のキャリヤは典型的には水、又は例えば塩化ナトリウムを添加することにより体液と等張にされた希釈水性アルコール溶液である。任意の添加剤は、組成物が滅菌調製されていない場合には保存剤、例えばメチルヒドロキシベンゾエート、抗酸化剤、矯味剤、揮発性油、緩衝剤及び界面活性剤を含む。活性化合物を含む固形粒子のエアロゾルは、市販されている任意の粒状薬剤エアロゾル発生器で生成することもできる。固形粒状薬剤を患者に投与するためのエアロゾル発生器は、上述のような呼吸用粒子を生成し、そして、ヒトへの投与に適した速度で、定量の薬剤を含有するエアロゾル容積を発生させる。このようなエアロゾル発生器の例は定量吸入器及び吹入れ器を含む。
【0258】
組成物は、液状又は固形粒状エアロゾルを発生させる任意の送達装置、例えばエアロゾル発生器又はスプレー発生器を用いて送達することができる。これらの装置は、上述の呼吸用粒子を生成し、そしてヒト又は動物への投与に適した速度で、定量の薬剤を含有するエアロゾル又はスプレー溶液を発生させる。固形粒状エアロゾル又はスプレー発生器のタイプの一例は、微粉砕された粉末の投与に適した吹入れ器である。吹入れ器において、粉末、例えば本明細書中に記載された治療を行うのに効果的な定量の組成物がカプセル又はカートリッジ内に含有される。これらのカプセル又はカートリッジは典型的には、ゼラチン、フォイル又はプラスチックから形成されており、そしてin situで穿孔又は開放することができ、吸入時に又は手動式ポンプによって装置を通して引き込まれた空気によって粉末が送達される。吹入れ器内に採用される組成物は、第1及び第2の活性物質単独から成っているか、又は、典型的には組成物の0.01〜100重量%を形成する第1及び第2の活性物質を含む粉末ブレンドから成っていてよい。組成物は一般に、約0.01重量%、約1重量%、約5重量%、約20重量%、約40重量%、約99.99重量%の量の1及び第2の活性物質を含有する。しかし他の成分、及び他の量の活性物質も本発明の範囲内で好適である。
【0259】
1実施態様の場合、組成物はネブライザーによって送達される。この手段は、自身の努力で組成物を吸入又は呼吸することができない患者又は被験者にとって特に有用である。重症の場合には、患者又は被験者は、人工呼吸器によって生かし続けられる。ネブライザーは任意の医薬的に又は獣医学上許容可能なキャリヤ、例えば弱生理食塩水を使用することができる。ネブライザーは、気道内で患者又は被験者のターゲットに粉末医薬組成物を送達する手段である。
【0260】
組成物はまた、種々異なる投与方法及び送達ルートに合わされた種々の形態を成して提供される。1実施態様の場合、組成物は呼吸用配合物、例えばエアロゾル又はスプレーを含む。本発明の組成物はバルクで、そしてユニット形態で、並びに、当業者には知られているように開放可能又は穿孔可能であってよいインプラント、カプセル、ブリスター又はカートリッジの形態で提供される。また、送達装置と、別個の容器内に本発明の組成物と、任意には他の賦形剤と、治療薬と、キット成分を使用するための指示書とを含むキットが提供される。
【0261】
1実施態様の場合、組成物は、懸濁液定量吸入(MDI)配合物を使用して送達される。このようなMDI配合物は、駆出剤、例えばヒドロフルオロアルカン(HFA)を使用して送達装置によって送達することができる。好ましくは、HFA駆出剤は、100万分の100(PPM)未満の水を含有する。
【0262】
1実施態様の場合、送達装置は、組成物の単回投与量又は複数投与量を送達する乾燥粉末吸入器(DPI)を含む。単回投与用吸入器は、1回の使用に十分な配合物を滅菌状態で前負荷された使い捨てキットとして提供することができる。吸入器は加圧型吸入器として提供することができ、そして配合物は、穿孔可能又は開放可能なカプセル又はカートリッジ内で提供することができる。キットは任意には別個の容器内に薬剤、例えば種々異なる配合物に好適な添加物の中でも、その他の治療化合物、賦形剤、界面活性剤(治療薬並びに配合物成分として意図される)、抗酸化剤、矯味剤及び着色剤、充填剤、揮発性油、緩衝剤、分散剤、界面活性剤、抗酸化剤、矯味剤、増量剤、駆出剤及び保存剤を含んでもよい。
【0263】
本発明を全体的に説明してきたが、或る特定の実施例を参照するとよりよく理解できる。実施例は、例示のためだけに本明細書中に含まれ、特に断りのない限り、本発明又は本発明の実施態様を限定しようと意図されるものではない。
【実施例】
【0264】
実施例1及び2:アデノシン・レベルに対するフォリン酸及びDHEAのin vivo効果
【0265】
若い成熟した雄Fischer 344ラット(120グラム)に、14日間にわたって毎日1回、強制飼養によって、カルボキシメチルセルロース中のデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)(300 mg/kg)又はメチルテストステロン(40 mg/kg)を投与した。14日間にわたって毎日1回、フォリン酸(50 mg/kg)を腹腔内投与した。15日目に、頭蓋にマイクロ波パルス(1.33キロワット、2450メガヘルツ、6.5秒)を当てることによって動物を犠牲にした。このことは、全ての脳タンパク質を即座に変性させ、アデノシンの更なる代謝を防止する。動物から心臓を取り出し、そしてこれを死亡から10秒で液体窒素中で急速冷凍させた。肝臓及び肺をまとめて取り出し、死亡から30秒で急速冷凍させた。続いて脳組織を解剖した。組織のアデノシンを抽出し、1,N6-エテノアデノシンに誘導体化し、そして、Clark及びDarの方法に従って(J. of Neuroscience Methods 25:243(1988))、分光蛍光検出を用いて高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)によって分析した。これらの試験の結果を下記表1に要約する。結果は平均±SEMとして表され、対照群と比較してκp<0.05であり、DHEA又はメチルテストステロン処理群と比較してψp<0.05である。
【0266】
【表1】

これらの試験の結果から、2週間にわたって毎日、DHEA又はメチルテストステロンで投与されたラットが、多器官におけるアデノシン現存を示したことが判る。現存は脳(DHEAに対して60%の減損、高投与量メチルテストステロンに対して34%)及び心臓(DHEAに対して37%の減損、高投与量メチルテストステロンに対して22%)において劇的であった。フォリン酸の同時投与は、ステロイドで媒介されるアデノシン減損を完全に排した。単独で投与されたフォリン酸は、全ての被験器官のアデノシン・レベルの増大を誘発する。
【0267】
実施例3:無水DHEA-Sの空気ジェット・ミル及び呼吸用投与量の決定
【0268】
DHEA-Sを喘息治療薬として評価する。ナトリウム・デヒドロエピアンドロステロン・スルフェート(NaDHEA-S)の固体安定性を、バルク及びミル済材料の両方に関して研究した(Nakagawa, H., Yoshiteru, T.及びFujimoto, Y.(1981)Chem. Pharm. Bull. 29(5)1466-1469; Nakagawa, H., Yoshiteru, T.及びSugimoto, I.(1982) Chem. Pharm. Bull. 30(1)242-248)。DHEA-Sは二水和物形態として最も安定であり結晶性である。DHEA-S無水形態は低結晶化度を有し、極めて吸湿性である。DHEA-S無水形態は、貯蔵時に水を捉えなければ安定的である。湿分のない部分結晶性材料を保つために、専門的な製造・包装技術が必要となる。丈夫な生成物を得るためには、湿分に対する感受性を最小限にすることが、発生プロセス中において必須である。
【0269】
(1)DHEA-Sのミクロン粉砕
ジェット・ミル(Jet-O-Mizer Series #00, 100-120 PSI窒素)を用いて、無水DHEA-Sをミクロン粉砕した。ほぼ1 gの試料をジェット・ミルに1度通し、そしてほぼ2gの試料をジェット・ミルに2度通した。各ミル運転から得られた粒子を、DHEA-Sが不溶性であるヘキサン中に懸濁させ、そしてSpa84界面活性剤を添加することにより、凝塊形成を防止した。結果として生じた溶液を3分間にわたって超音波処理し、そして完全に分散されたように見えた。分散された溶液を、Small Volume Sampler(SVS)アタッチメントを備えたMalvern Mastersizer X上で試験した。分散された材料の1試料を5回試験した。ミルされていない材料のメディアン粒子サイズ又はD(v, 0.5)は、52.56 μmであり、%RSD(相対標準偏差)は5つの値に関して7.61であった。ジェット・ミルを通るシングル・パスのD(v, 0.5)は3.90 μmであり、%RSDは1.27である。そしてジェット・ミルを通るダブル・パスのD(v, 0.5)は3.25 μmであり、%RSDは3.10である。このことはDHEA-Sが、吸入に適したサイズの粒子にジェット・ミルできることを実証する。
【0270】
(2)HPLC分析
ジェット・ミル・ミクロン粉砕中の薬物分解を決定するために、ミクロン粉砕された薬物の2つのバイアル(A;シングルパス; 150 mg)及び(B;ダブルパス; 600 mg)が利用可能であった。バイアルA及びBのDHEA-Sの計量されたアリコートを、アセトニトリル-水溶液(1:1)中のミルされていないDHEA-S(10 mg/ml)の標準溶液と比較した。ミルされていない薬物の標準溶液(10 mg/ml)のHPLCアッセイに対応するクロマトグラフィ・ピーク面積は、23,427の値をもたらした。バイアルA及びB(5 mg/ml)のミクロン粉砕型DHEA-Sの計量済アリコートをアセトニトリル-水溶液(1:1)中で調製した。バイアルA及びBのクロマトグラフィ・ピーク面積はそれぞれ11,979及び11.677であった。明らかに、ジェット・ミル・ミクロン粉砕プロセス中の薬物には検出可能な分解はなかった。
【0271】
(3)放出投与量の研究
DHEA-S粉末をNephele管内に捕集し、そしてHPLCによってアッセイした。3部から成る試験を、3つの被験乾燥粉末吸入器(Rotahaler, Diskhaler及びIDLのDPI装置)のそれぞれに関して、各空気流量で実施した。Nephele管の一方の端部に、ガラス・フィルター(Gelman Sciences, Type A/E, 25μm)を装着し、このガラス・フィルターを空気流ラインに接続することにより、それぞれの被験乾燥粉末吸入器からの薬物の放出投与量を捕集した。Nephele管の他方の端部に、それぞれの被験乾燥粉末吸入器のマウスピースを受容するための開口を有するシリコーン・アダプターを固定した。所望の空気流30, 60, 又は90 L/分を、Nephele管を通して達成した。次いで、乾燥粉末吸入器のそれぞれのマウスピースを、シリコーン・ゴム・アダプター内に挿入し、そして空気流を約4秒間にわたって持続させた。その後、管を取り出し、各管の端部にエンドキャップを螺合させた。フィルターを含有しない管のエンドキャップを取り除き、そしてHPLC等級の水-アセトニトリル溶液(1:1)10 mlを管に添加し、エンドキャップを再装着し、そして管を1-2分間にわたって震盪させた。次いでエンドキャップを管から取り除き、そして溶液を、フィルター(Cameo 13N Syringe Filter, Nylon, 0.22μm)を備えた10 mlプラスチック・シリンジに移した。溶液のアリコートを、後でHPLCを介して行われる薬物アッセイのために、HPLCバイアル内に直接的に濾過した。ミクロン粉砕されたDHEA-S(約12.5又は25 mg)がゼラチン・カプセル(Rotahaler)又はVentodisk ブリスター(Diskhaler及び単回投与用DPI(IDL))内に配置された状態で、放出投与量試験を実施した。ゼラチン・カプセル又はブリスター内に配置するためにミクロン粉砕されたDHEA-S(バイアルBだけを使用)を計量したときには、ミクロン粉砕された粉末の凝集体がいくつかあるように見えた。空気流量30, 60, 87.8 L/分で行われた放出投与量試験の結果を表2に表示する。表2は、3つの異なる流量におけるRotahaler試験、3つの異なる流量におけるDiskhaler試験、3つの異なる流量における複数回投与用試験の結果を要約する。
【0272】
【表2】

【0273】
(4)呼吸用投与量研究
呼吸用投与量(呼吸用画分)研究を、標準サンプラー・カスケード・インパクター(Andersen)を使用して行った。このインパクターは、入口コーン(ここではインパクター・プレセパレーターと置き換えた)、9つの段、8つの捕集プレート、及び、3つのばねクランプとOリング・シールとによって一緒に保持された8つのアルミニウム段内部のバックアップ・フィルターから成る。それぞれのインパクター段は、複数の精密穿孔オリフィスを含有する。空気がサンプラーを通って引き込まれると、各段における複数の空気ジェットが、その段に対応する捕集プレートの表面に向かって、空気で運ばれる任意の粒子を案内する。ジェットのサイズは段毎に一定であるが、それぞれ後続の段で小さくなる。粒子が任意の所与の段で衝撃を与えられるかどうかは、その空気力学的な直径に依存する。各段で捕集された粒子サイズの範囲は、段のジェット速度及び前の段のカットオフ・ポイントに依存する。第1段で捕集されないどの粒子も、プレートのエッジの周りの空気流に、次の段に向かって追従し、その場所で衝撃を与えられるか、又は後続段に向かって通り過ぎ、以下同様にして、ジェット速度が衝撃を与えるに十分になるまでこれが行われる。カスケード・インパクター試験中の粒子の跳ね返りを防止するために、個々のインパクター・プレートにヘキサン・グリース(高真空)溶液(100:1比)をコーティングした。上述のように、インパクター・プレート上の粒子サイズ・カットオフ・ポイントは、異なる空気流量において変化した。例えば、段2は、60 L/分で6.2μm粒子よりも大きなカットオフ値に相当し、そして30 L/分で5.8μm粒子よりも大きなカットオフ値に相当し、段3は、90 L/分で5.6 μmよりも大きな粒子サイズカットオフ値を有した。こうして、同様の、すなわち5.6〜6.2 μmのカットオフ粒子値が、同等の空気流量で優先的に採用される。乾燥粉末吸入器を試験するための米国薬局方によって推奨される装備は、ガラス喉(50ml丸底フラスコを改変)及びガラス遠位咽頭(誘導ポート)に取り付けられ、プレセパレーター及びAndersenサンプラーにつながるマウスピース・アダプター(この場合シリコーン)から成る。プレセパレーター試料は、マウスピース・アダプター、ガラス喉、ガラス遠位咽頭及びプレセパレーターからの洗液を含む。プレセパレーター内に5ml アセトニトリル:水(1:1比)溶剤を入れてから、カスケード・インパクター試験を実施した。この試験は、3つの異なる乾燥粉末吸入器及び3種の空気流量30, 60及び90L/分で2部ずつ行った。カスケード・インパクター・プレート上で捕集された薬物を、HPLCによってアッセイし、そして薬物マスバランスをそれぞれのDiskhaler及び複数回投与用吸入器に関して測定した。カスケード・インパクター試験は、ブリスター内に残された薬物の量、装置内に残る薬物の量(Diskhalerのみ)、シリコーンゴム・マウスピース・アダプター、ガラス喉、ガラス遠位咽頭、及びプレセパレーター上に保持された呼吸不能の投与量(すべて1つの試料に組み合わされる)を測定することから成る。すなわち、30及び60L/分の空気流量でフィルター・インパクト・プレートを通して段2を、また、90L/分でフィルター・インパクト・プレートを通して段1を試験する。
【0274】
【表3】

*a:溶剤がSLA成分を攻撃するため、複数回投与用装置は洗浄しなかった。複数回投与用装置の保持パーセンテージは差によって得られる。
*b:80分間にわたってオーブン乾燥させられた薬物
*c:20時間にわたってオーブン乾燥させられた薬物
【0275】
放出された投与量及びカスケード・インパクター試験の結果に基づいて、カスケード・インパクター試験において達成される呼吸可能な投与量値が低いのは、薬物粒子の凝塊が形成されることによる。この凝塊は、試験空気流量が極めて高くても分離することができなかった。薬物粒子の凝塊形成は、粒子サイズ低減のために用いられる機械ミル・プロセス中に静電荷が形成される結果である。このような状況は、後で生じる粒子の湿分吸収によってさらに悪化する。静電荷がより少ない、又は吸湿性がより低い、完全に水和されたDHEA-Sの結晶形態(すなわち二水和形態)を生成するミクロン粉砕方法によって、凝塊形成の可能性が低減されたより自由に流動する粉末を提供すべきである。
【0276】
実施例4:無水DHEA-Sの噴霧乾燥、及び呼吸用投与量の決定
(1)薬物のミクロン粉砕
無水DHEA-S 1.5gを100 mlの50 %エタノール:水に溶解することにより、1.5%溶液を生成した。溶液をB-191 Mini Spray-Drier(Buchi, Flawil, Switzerland)で噴霧乾燥させ、この場合、100%吸引装置、10%ポンプ、40mbarの窒素流及び600単位の噴霧流において、入口温度は55℃、出口温度は40℃であった。噴霧乾燥させられた生成物をヘキサン中に懸濁し、Span85界面活性剤を添加することにより、凝塊形成を低減した。分散体を、完全な分散のために3-5分間にわたって冷却しながら超音波処理し、そして分散された溶液を、Small Volume Sampler(SVS) アタッチメントを備えたMalvern Mastersizer X上で試験した。噴霧乾燥済の2つのバッチは、平均粒子サイズが5.07±0.70 μm及び6.06±0.91 μmであることが見いだされた。各バッチの分散体を光学顕微鏡によって視覚的に試験することにより、噴霧乾燥が小さな呼吸可能なサイズの粒子を生成することが確認された。平均粒子サイズは各バッチでそれぞれ2.4 μm及び2.0 μmであった。このことは、吸入に適した粒子サイズまでDHEA-Sを噴霧乾燥できることを実証する。
【0277】
(2)呼吸用投与量研究
カスケード・インパクター試験を実施例3に記載されているように行った。4種のカスケード・インパクター試験を、3種はIDL複数回投与用容器で、1種はDiskhalerで、全て90 L/分で行った。カスケード・インパクター試験の結果を、下記表4に示す。これらの試験における噴霧乾燥済材料は、ミクロン粉砕された無水DHEA-Sと比較して、呼吸用投与量の2倍の増大をもたらした。噴霧乾燥は、ジェット・ミルと比較して高い呼吸用投与量を得たように思われる。しかし、%呼吸用投与量はまだ低かった。このことは、おそらく無水形態の吸湿の結果であった。
【0278】
【表4】

【0279】
実施例5: DHEA-S二水和物(DHEA-S・2H2O)の空気ジェット・ミル及び呼吸用投与量の決定
【0280】
(1)DHEA-S二水和物の再結晶化
無水DHEA-Sを、90%エタノール/水の沸騰混合物中に溶解する。この溶液を、ドライアイス/メタノール浴内で急冷することにより、DHEA-Sを再結晶化する。結晶を濾過し、低温エタノールで2回洗浄し、次いで36時間にわたってRTで真空デシケーター内で乾燥させる。乾燥プロセス中、材料をスパチュラで定期的に混合することにより、大きな凝塊を破壊する。乾燥後、材料を500 μm篩に通す。
【0281】
(2)ミクロン粉砕及び生理化学的試験
40 PSIのベンチュリ圧、ミル圧80 PSI、フィード設定値25、及び生成物フィード速度約120-175 g/時間で、DHEA-S二水和物をジェットミル内の窒素ガスでミクロン粉砕する。Micrometritics TriStar表面積分析装置を用いて、吸着ガス(P/P0=0.05-0.30)として窒素を使用して、表面積を5点PET分析によって測定した。Micrometritics Saturn Digisizerを使用したレーザー回折によって、粒子サイズ分布を測定する。この測定において、粒子は、分散剤としてジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウムを有する鉱物油中に懸濁される。Karl Fischer滴定(Schott Titroline KF)によって、薬物物質含水量を測定する。標準として純水を使用し、3部の全ての相対標準偏差は1%未満である。滴定媒質に粉末を直接的に添加する。ミクロン粉砕の前後におけるDHEA-S二水和物の物理化学特性を、表5に要約する。
【0282】
【表5】

【0283】
唯一の有意な変化は粒子サイズである。水の顕著な損失又は不純物の増大はない。ミクロン粉砕された材料の表面積は、メディアンサイズ3-4ミクロンの不規則に成形された粒子と一致する。ミクロン粉砕は、吸入に適した範囲まで粒子サイズを低減し、しかも固体化学特性の変化は測定されない。
【0284】
(3)DHEA-S二水和物のエアロゾル化
DHEA-2二水和物を評価するために、単回投与用Acu-Breathe装置を使用した。フォイル・ブリスター内に、ほぼ10 mgのニートDHEA-S二水和物を満たし、密封する。ガラス・ツイン・インピンジャー喉を有する、流量30-75 L/分のAndersen 8段カスケード・インパクター内に、これらのブリスターを作動させる。Andersenインパクターの段1-5を一緒にすすぐことにより、微粒子画分の概算を得る。複数の段から1アッセイに捕集された薬物をプールすることにより、この方法を著しく高感度にする。この一連の試験の結果を図1に示す。全ての流量において、二水和物は、事実上無水の材料よりも高い微粒子画分をもたらす。二水和物粉末は単回投与用吸入器を使用してエアロゾル化されるので、そのエアロゾル特性が事実上無水の材料よりも著しく良好であると結論付けるのは、極めて妥当である。より高い結晶化度及び安定した含水量が、二水和物の優れたエアロゾル特性に関与する可能性の最も高い要因である。DHEA-S二水和物のこのような独自の特徴は、以前の文献には報告されていない。DHEA-Sの二水和物形態によるエアロゾル性能の改善は有意であるのに対して、ニート薬物物質は最適な配合物ではあり得ない。より大きな粒子サイズを有するキャリヤを使用することにより、典型的には、ミクロン粉砕された薬物物質のエアロゾル特性が改善される。
【0285】
実施例6:ラクトースを有する状態及び有しない状態における無水DHEA-S及びDHEA-S二水和物の安定性
【0286】
高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)によって、無水DHEA-S及びDHEA-S二水和物の初期純度(時間=0)を測定した。次いでDHEA-Sの両形態を、比50:50でラクトースとブレンドし、又は、ニート粉末として使用して、そして開いたガラス・バイアル内に入れ、そして最大4週間にわたって50℃で保持した。これらの条件を用いて配合物を負荷することにより、その長期間安定性の結果を予測した。DHEA-Sだけ(無水物又は二水和物)を含有する対照バイアルを密封し、そして最大4週間にわたって24℃で保持した。試料を取り出し、0, 1, 2及び4週目にもHPLCによって分析することにより、DHEAの形成によって見極められるように、分解量を見極めた。1週間後、密封ガラス・バイアル内で50℃で貯蔵されたラクトース(50重量%、公称)とブレンドされた事実上無水のDHEA-Sは、茶色を帯びる。この色はラクトース・ブレンドにしては暗い。この色の変化には、図1に示すクロマトグラムの有意な変化が伴う。主な分解物質はDHEAである。図2から質的に見て、ブレンド中のDHEAの量は、他の2つの試料よりも多い。試料中の% DHEAを定量的に見積もるために、DHEAピークの面積を、DHEA-S及びDHEAピークの総面積で割算する(表6参照)。ブレンドの分解速度がより高いことは、ラクトースと事実上無水のDHEA-Sとの間の特異的な相互作用を示す。DHEAの増大と並行して、促進貯蔵時の粉末の茶色は時間とともに増大した。促進貯蔵時の材料は、時間とともに結合力が高くなる。このことは、化学分析のための試料計量中に生じる凝集により証明された通りである。これらの結果に基づいて、事実上無水のDHEA-Sをラクトースと一緒に調製することは可能ではない。このことはかなり不都合である。それというのも、ラクトースは、乾燥粉末配合物のために最も一般的に使用される吸入賦形剤であるからである。事実上無水の形態にこだわるのならば、このことは配合物をニート粉末に限定することを意味するか、又は新規の賦形剤を使用するための、より包括的な安全性試験を行うことを意味する。
【0287】
【表6】

【0288】
図2とは対照的に、50℃で1週間にわたって貯蔵したあとで発生したDHEAは事実上ない(図3参照)。さらに、材料は色の変化を示さない。DHEA-S二水和物の含水量は、50℃で1週間後に事実上不変のままである。促進貯蔵後の含水率は、初期値8.8%に対して8.66%である。この安定性プログラムの経過中に測定された%DHEAは、表7に示される。
【0289】
【表7】

【0290】
図1と図2、並びに表6と表7とを比較することにより明らかなように、DHEA-Sの二水和物形態は、更なる研究に進むほど、より安定的な形態となる。事実上無水の材料を上回る、DHEA-S二水和物とラクトースとの優れた適合性は、特許明細書又は研究文献において報告されていない。この物質の可溶性に関しては、ネブライザー溶液の開発作業の一部として、次の項で報告する。
【0291】
実施例7:DHEA-S二水和物/ラクトース・ブレンド、呼吸用投与量の決定、及び安定性
【0292】
(1)DHEA-S二水和物/ラクトース・ブレンド
【0293】
等しい重量のDHEA-Sと吸入等級ラクトース(Foremost Aero Flo 95)とを、手で混ぜ合わせ、次いでこれを500 μmスクリーンに通すことにより、プレブレンドを調製する。次いで、プレブレンドをBelArt-Mill内に、残りのラクトースとともに入れることにより、DHEA-Sの10重量%ブレンドを産出する。ブレンダーを可変電圧源に配線することにより、インペラー速度を調節する。ブレンダー電圧を、それぞれ1, 3, 1.5及び1.5分間にわたって、全電圧の30%, 40%, 45%及び30%のサイクルで供給する。ブレンドの含量均一性をHPLC分析によって見極めた。表8は、このブレンドの含量均一性試料の結果を示す。目標値は、10重量% DHEA-Sである。ブレンド含量は、目標値に対する近似及び含量均一性に関して申し分がない。
【0294】
【表8】

【0295】
(2)DHEA-S二水和物/ラクトース・ブレンドのエアロゾル化
【0296】
約25 mgのこの粉末をフォイル・ブリスター内に充填して密封し、そして単回投与用装置を60 L/分で使用してエアロゾル化する。2つのブリスターを各試験のために使用し、微粒子画分(段1-5における材料)の結果を表9に示す。この予備的な粉末ブレンドは、呼吸用薬物送達系にとって申し分がない。粉末ブレンド及びブリスター/デバイス形態を最適化することにより、微粒子画分を多くすることが可能である。試験2の粒子サイズ分布全体を表10に示す。このエアロゾルのDHEA-Sのメディアン直径は〜2.5 μmである。この直径は、レーザー回折によって測定されたミクロン粉砕型DHEA-S二水和物のメディアン直径よりも小さい。不規則的な形状を有する粒子は空気力学的により小さな粒子として挙動することができる。それというのも、これらの最長寸法は空気流フィールドと整列する傾向があるからである。従って、2つの方法間の差を見ることが一般的である。回折測定は入力材料の品質管理試験であるのに対して、カスケード・インパクトは、完成品の品質管理試験である。
【0297】
【表9】

【0298】
【表10】

【0299】
(3)DHEA-S二水和物/ラクトース・ブレンドの安定性
また、このラクトース配合物に対して、50℃の促進安定性プログラムを実施した。DHEA-S含量の結果を表11に記載する。対照はRTで保存されたブレンドである。いずれの状態でも時間経過後のDHEA-S含量の動向はなく、結果全ては、含量均一性試験のために捕集された試料の範囲に含まれる(表11参照)。さらに、クロマトグラムにおいて観察された色変化又は不ぞろいもない。ブレンドは化学的に安定であるように見える。
【0300】
【表11】

【0301】
実施例8:DHEA-Sのネブライザー配合物
【0302】
DHEA-Sの溶解度
「DHEA-S二水和物の再結晶化(実施例5)」に従って調製された過剰のDHEA-S二水和物を、溶媒に添加し、そして定期的に浸透させながら14時間以上にわたって平衡させておく、次いで懸濁液を0.2ミクロン・シリンジ・フィルターを通して濾過し、そしてすぐにHPLC分析のために希釈する。冷却された試料を準備するために、シリンジ及びフィルターを使用前1時間以上にわたって冷蔵庫内に貯蔵する。純水の吸入は咳刺激を引き起こすおそれがある。従って、ハロゲン化物イオンをネブライザー配合物に添加することが重要である。NaClが最も一般に使用される塩である。DHEA-Sがナトリウム塩であるので、NaClは一般的なイオン効果により、溶解度を下げることがある。NaCl濃度の関数としての、RT(24-26℃)及び冷却(7-8℃)におけるDHEA-Sの溶解度を図4に示す。DHEA-Sの溶解度は、NaCl濃度に伴って減少する。貯蔵温度が低下すると、全てのNaCl濃度において溶解度が減少する。温度効果は、高いNaCl濃度において弱くなる。3部に関して、〜25℃及び0% NaClにおける溶解度は、16.5-17.4 mg/mLであり、相対標準偏差は2.7 %である。冷却された0.9%NaClにおける3部の範囲は、1.1-1.3 mg/mLであり、相対標準偏差は8.3 %である。
【0303】
固体状態のDHEA-Sと溶液状態のDHEA-Sとの平衡は:
【0304】
NaDHEA-Ssolid⇔DHEA-S-+Na+
【0305】
K=[DHEA-S-][Na+]/[NaDHEA-S] solid
【0306】
固形におけるDHEA-Sの濃度は一定である(すなわち物理的に安定の二水和物)ので、平衡の表現は単純化される:
【0307】
Ksp=[DHEA-S-][Na+]
【0308】
推測に基づいて、総ナトリウム・カチオン濃度の逆数に対するDHEA-S溶解度のプロットが、Kspと等しい勾配を有して線形である。このことは、それぞれRT及び冷却温度における平衡に関して、図5及び図6に示されている。相関係数に基づいて、モデルは、室温及び冷却温度の両方におけるデータとかなりフィットする。データにおいて平衡定数はそれぞれ2236及び665 mM2であった。溶解度を最大化するために、NaClレベルは、できる限り低い必要がある。ネブライザー溶液の最小ハロゲン化物イオン含量は、20mM又は0.12% NaClであるべきである。
【0309】
溶液のDHEA-Sの濃度を概算するために、使用中のネブライザーにおける10℃の降下を想定する(すなわち15℃)。絶対温度の逆数に対する平衡定数間の補間により、15℃におけるKspは、〜1316 mM2となる。DHEA-Sの各モルは、ナトリウム・カチオンのモルを溶液に与え、従って:
Ksp=[DHEA-S-][Na+]=[DHEA-S-][Na++DHEA-S-]
=[DHEA-S-]2+[Na+][DHEA-S-]
であり、これは、二次方程式を使用した[DHEA-S-]の解である。Kspが1316 mM2の20mM Na+の溶液は、27.5mM DHEA-S-又は10.7mMである。従って、0.12% NaCl中の10 mg/mL DHEA-Sの溶液が、付加的な試験に進むための良好な候補配合物として選択される。この式の見積もりは、ネブライザーの水蒸気による濃度効果を計上しない。0.12% NaClを有する10 mg/mL DHEA-S溶液のpHは、4.7-5.6である。これは吸入配合物にとって許容可能なpHレベルとなるが、20 mMリン酸緩衝液の使用効果を評価する。緩衝溶液及び非緩衝溶液に対するRTにおける溶解度の結果を図7に示す。配合物中の緩衝液の存在は、特に低NaClレベルで、溶解度を抑制する。図8に示すように、緩衝溶液の溶解度データは、非緩衝溶液と同じ平衡ライン上にある。緩衝液との溶解度の減少は、付加的なナトリウム・カチオン含量によるものである。溶解度の最大化が重要な目標であり、配合物を緩衝することは溶解度を低減する。さらに、Ishihara及びSugimoto((1979)Drug Dev. Indust. Pharm. 5(3)263-275)は、中性pHにおけるNaDHEA-S安定性の有意な改善を示さなかった。
【0310】
安定性研究
短期溶液安定性プログラムのために、10 mg/mL DHEA-S配合物を0.12% NaCl中に調製する。この溶液のアリコートを透明ガラス・バイアル内に充填し、RT(24-26℃)及び40℃で貯蔵する。試料のDHEA-S含量、DHEA含量及び外観を毎日チェックする。各時点毎に、それぞれのバイアルから2部の試料を回収し希釈する。この研究時間全体にわたるDHEA-S含量を図9及び10に示す。促進状態において、溶液はより速い分解速度を示し、2日の貯蔵後に曇ってきた。RTにおいて貯蔵された溶液はより安定であり、僅かな析出物が3日目に観察される。研究を3日目に停止する。DHEA-S分解には、図10に示すようなDHEAの増大が伴う。DHEAは水中に不溶性であるので、曇った溶液(促進貯蔵)又は結晶性析出物(室内貯蔵)を形成するのに、配合物中の少量しか必要としない。このことは、なぜDHEA-S溶解度の以前の視覚評価が、化合物の溶解度を著しく過小評価するのかに対する説明になる。すなわち少量のDHEAによって、試験者は、DHEA-Sの溶解度限界を上回ったと結論づけてしまう。溶液は、臨床試験において元に戻す日のために容易に安定的であるべきである。以下の項は、この配合物のエアロゾル特性について説明する。
【0311】
ネブライザー研究
Pari ProNeb Ultraコンプレッサー及びLC Plus ネブライザーを使用して、DHEA-S溶液を噴霧する。試験の装備を図11に概略的に示す。ネブライザーに5 mLの溶液を充填し、そして出力が視覚的に有意でなくなるまで(4.5〜5分)、噴霧を続ける。USP喉を有するCalifornia Instruments AS-66-段インパクターを使用して、ネブライザー溶液を試験する。インパクターを8秒間にわたって30 L/分で運転させることにより、1分間の噴霧時間後に試料を捕集する。試験中の全ての他の時間には、エアロゾルをほぼ33 L/分でバイパス捕集器を通して引き込む。捕集装置、ネブライザー及びインパクターを移動相ですすぎ、そしてHPLCによってアッセイする。0.12 % NaCl中のDHEA-S 5mLをネブライザー内に使用する。この容積は、臨床研究における使用のための実際の条件として選択される。最初の5つの噴霧試験の結果を下に示す:
【0312】
【表12】

*はネブライザーから注がれた液体だけをアッセイし;エアロゾル化又はユニット全体のすすぎの前と後の計量を行わなかった。
【0313】
ネブライザー#1は、約5分で乾燥するのに対して、ネブライザー#2は、4.5分をわずかに下回る時間を必要とする。それぞれの場合、ネブライザー内に残る液体容積は、ほぼ2mLである。この液体は、ネブライザーから取り出した後、最初は曇っており、次いで3-5分以内で透明になる。その後でさえ、10 mg/mL溶液は、少量の粗い析出物を有するように見える。液体中の微細な気泡が、最初の曇りを引き起こすと思われる。DHEA-Sは界面活性であるように見え(発泡促進)、このことは、液体中の気泡を安定化させる。10 mg/mL溶液中の析出物は、ネブライザー環境において薬物物質の溶解度を上回ることを示す。従って、表13の付加的な噴霧試験は、より低い濃度で行う。表13は、溶液濃度に対する「投与量」の線形性の付加的なデータを示す。
【0314】
【表13】

【0315】
ネブライザー#3は、乾燥に達するまで4.5分をわずかに下回る時間を必要とする。図12において、バイパス捕集器内の質量を初期溶液濃度に対してプロットする。0-7.5 mg/mLには良好な線形性があり、次いで、捕集された量は、レベルオフし始めるように見える。冷却による溶解度低減が10 mg/ml溶液の計算に含まれるのに対して、薬物及びNaCl含量に対する濃度効果は無視された。従って、ネブライザー液の過飽和を介して析出物が形成されることが可能である。図12におけるデータ、及び噴霧後の10 mg/ml溶液中のいくつかの粒子の観察によって、コンセプト上の臨床試験配合物を裏付けするための最高溶液濃度は、ほぼ7.5 mg/mLである。エアロゾル試料を、粒子サイズ分析のためのカスケード・インパクター内に引き込む。溶液濃度又はネブライザー数に伴う、粒子サイズの検出可能な動向はない。全ての噴霧試験に対応する平均粒子サイズ分布を図13に示す。エアロゾル粒子サイズ測定値は、このネブライザーの発行/広告された結果と合致する(すなわちメディアン直径〜2μm)。in vivo試験は、ネブライザー配合物が呼吸用DHEA-Sエアロゾルを送達することができる一方、配合物は不安定であり、4-5分の連続噴霧を必要とすることを実証する。従って、安定的なDPI配合が極めて有利である。DPI配合物にとって最も安定的な固体として、DHEA-S二水和物が同定される。最適なネブライザー配合物はDHEA-Sのための臨床試験に用いられる、0.12% NaCl中のDHEA-S 7.5 mg/mLである。配合物のpHは緩衝液系なしで許容可能である。DHEA-Sの水溶性は、ナトリウム・カチオン濃度を最小限にすることにより最大化される。緩衝液なしの最小塩化ナトリウムがこの目標を達成する。これは、噴霧中に析出することのない、20mMのCl-を有する最高薬物濃度である。この配合物はRTで1日以上にわたって安定的である。
【0316】
実施例9:試験モデルの調製
HY-29細胞(ATCC, Rockvill, Md.)のサブラインを表し、また完全に定義された無血清PC-1培地(Ventrex, Portland, ME)内の成長に適合されたHT-29 SF細胞の細胞培養を得た。この培地内に37℃で保存培養を維持した(5% CO2を含有する加湿雰囲気中)。密集時には、トリプシン/EDTA(Gibco, Grand Island, NY)を使用して解離した後に培養を再び平板培養し、24時間毎にリフィードした。これらの条件下で、対数増殖中のHT-29細胞の倍増時間は24時間であった。
【0317】
フローサイトメトリー
細胞を105/60-mm皿に2部で平板培養した。細胞周期分布を分析するために、培養を0, 25, 50又は200 μM DHEAに暴露した。DHEAの細胞周期効果の逆転を分析するために、培養を0又は25 μM DHEAに暴露し、そして培地に、MVA, CH, RA, MVAプラスCH, 又はMVAプラスCHプラスRNを補充するか又は補充しなかった。0, 24, 48又は74時間後に培養をトリプシン処理し、固定し、そしてBauer他、Cancer Res. 46, 3137-3178(1986)の手順の改変形を用いて染色した。手短かに言えば、遠心分離により細胞を捕集し、これらを低温のリン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁した。細胞を70%エタノール中に固定し、洗浄し、そしてリン酸緩衝食塩水中に再懸濁した。次いで、1mlの低張性染色溶液(50 μg/mlのヨウ化プロピジウム(Sigma Chemical Co.)、20 μg/mlのRnase A(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)、30mg/mlのポリエチレングリコール、5mMクエン酸緩衝液中の0.1% Triton X-100を添加し、そして室温で10分後に、1mlの等張性染色溶液(ヨウ化プロピジウム、ポリエチレングリコール、0.4M NaCl中のTriton X-100)を添加し、そしてパルス幅/パルス域ダブレット識別装置を備えたフローサイトメーター(Becton Dickinson Immunocytometry Systems, San Jose, CA)を使用して、細胞を分析した。蛍光ビードで校正した後、最小2 x 104個の細胞/試料を分析し、データは、蛍光強度が増大する1024チャネルのそれぞれにおける細胞の総数を示し、そしてCellfit分析プログラム(Becton Dickinson)を使用して、結果として得られたヒストグラムを分析した。
【0318】
細胞成長に対するDHEA効果
細胞を25,000細胞/30mm皿に4部で平板培養し、そして2日後、0, 12.5, 25, 50又は200μM DHEAを受容した。0, 24, 48及び72時間後にCoulter カウンター(モデルZ、Coulter Electronics, Inc. Hialeah, FL)を使用して、細胞数を測定した。DHEA(AKZO, Basel, Switherland)をジメチルスルホキシド中に溶解し、濾過滅菌し、そして使用するまで-20℃で保存した。
【0319】
図14は、DHEAによるHT-29細胞の成長の阻害を示す。ポイントは細胞の数を意味し、そしてバーはSEMを意味する。各データ・ポイントは4部で実施し、試験を3回繰り返した。SEMバーが明らかでない場合、SEMは記号よりも小さかった。DHEAに対する暴露の結果、12.5μM DHEA中で72時間後、25又は50μM DHEA中で48時間後、200 μM DHEA中で24時間後に対照と比較して、細胞数が低減する。このことは、DHEAが時間及び投与量に依存して成長を阻害することを示す。
【0320】
細胞周期に対するDHEAの効果
細胞周期分布に対するDHEAの効果を試験するために、HT-29 SF細胞を平板培養(105細胞/60mm皿)し、そして48時間後、0, 25, 50又は200μM DHEAで処理した。図15は、HT-29 SF細胞における細胞周期分布に対するDHEAの効果を示す。24, 48及び72時間後に、細胞を収穫し、エタノール中に固定し、そしてヨウ化プロピジウムで染色し、そしてDNA含量/細胞をフローサイトメトリー分析によって測定した。G1、S及びG2M期における細胞のパーセンテージを、Cellfit細胞周期分析プログラムを使用して計算した。S期を判りやすさのために四角によってマーキングする。2部の測定から得られた代表的なヒストグラムが示される。試験を3回繰り返した。
【0321】
25又は50 μM DHEAで処理された培養における細胞周期分布は、最初の24時間後には不変であった。しかし、DHEAに対する暴露時間が増大するにつれて、S期における細胞の比率は漸減し、G1、S及びG2M期における細胞のパーセンテージを、Cellfit細胞周期分析プログラムを使用して計算した。S期を判りやすさのために四角によってマーキングする。2部の測定から得られた代表的なヒストグラムが示される。試験を3回繰り返した。
【0322】
25又は50 μM DHEAで処理された培養における細胞周期分布は、最初の24時間後には不変であった。しかし、DHEAに対する暴露時間が増大するにつれて、S期における細胞の比率は漸減し、G1期における細胞のパーセンテージを72時間後に増大させた。G2M期の細胞における一時的な増大が48時後に明らかであった。200 μM DHEAに対する暴露は、24時間後に、G1期における細胞のパーセンテージを同様に、しかしより急速に増大させ、そして、S期における細胞の比率を減少させ、これは処理全体を通して続いた。このことは、DHEAがHT-29 SF細胞のG1ブロックを、時間及び投与量に依存してもたらしたことを示す。
【0323】
実施例10:成長及び細胞周期に対する、DHEAによって媒介される効果の逆転、DHEAによって媒介される成長阻害の逆転
【0324】
細胞を上述のように平板培養し、そして2日後に0又は25 μM DHEA含有培地を受容した。この培地には、メバロン酸(「MVA」;mM)、スクアレン(SQ; 80 μM)、コレステロール(CH; 15μg/ml)、MVAプラスCH、リボヌクレオシド(RN;最終濃度がそれぞれ30 μM のウリジン、シチジン、アデノシン及びグアノシン)、デオキシリボヌクレオシド(DN; 最終濃度がそれぞれ20 μM のチミジン、デオキシシチジン、デオキシアデノシン及びデオキシグアノシン)、RNプラスDN、又はMVAプラスCHプラスRNが補充されるか、又は補充されなかった。全ての化合物は、Sigma Chemical Co.(St. Louis, MO)から入手した。コレステロールを使用直前にエタノール中に可溶化した。RN及びDNは、DHEAの不存在において成長に対して効果を有さないことが判っている最大濃度で使用した。
【0325】
図16は、HT-29 SF細胞におけるDHEA誘発型成長阻害の逆転を示す。Aにおいて、培地には、2 μM MVA、8 μM SQ、15μg/mlのCH、又はMVAプラスCH(MVA + CH)が補充されるか、又は補充されなかった(CON)。Bにおいて、培地には、最終濃度が30 μMのウリジン、シチジン、アデノシン及びグアノシンを含有するRNの混合物;最終濃度がそれぞれ20 μM のチミジン、デオキシシチジン、デオキシアデノシン及びデオキシグアノシンを含有するDN);PNプラスDN(RN+DN);又はMVAプラスCHプラスRN(MVA+CH+RN)を補充した。48時間の治療時間の前後に、細胞数を評価し、そして、48時間の処理時間中の細胞数の増大として、培養成長を計算した。カラムは、未処理対照の細胞成長パーセンテージを示し;バーはSEMを表す。未処理対照の細胞数の増大は173,370''6518であった。各データポイントは、4つの独立した試験の4部の皿を表す。スチューデント検定κp<0.01;ψp<0.001を用いて、統計学的な分析を行い、処理済対照と比較した。なお、補充物は、DHEAの不存在において培養成長に対する効果をほとんど有しなかった。
【0326】
これらの条件下で、DHEA誘発型成長阻害は、MVAの添加並びにMVAプラスCHの添加によって部分的に克服される。SQ又はCHの単独の添加は、このような効果を有さなかった。このことは、DHEAの細胞増殖抑制活性が、内在的なメバロン酸塩を減損させ、そしてこれに続いて細胞成長に必須のコレステロール経路内の初期中間体の生合成を阻害することによって一部媒介されたことを示唆する。さらに、成長の部分再構成が、RNの添加後、並びにRNプラスDNの添加後に見いだされたが、しかしDNの添加後には見いだされなかった。このことは、メバロン酸塩及びヌクレオチド双方のプールの減損が、DHEAの成長阻害作用に関与することを示す。しかし、MVA、CH及びRNを組み合わせて添加することを含む再構成状態のうち、DHEAの阻害作用を完全に克服したものはない。このことは、細胞毒性、又は場合によっては、付加的な生化学経路が関与していることを示唆する。
【0327】
細胞周期に対するDHEA効果の逆転
MVA、CH又はRNを含む多数の化合物との組み合わせにおいて25 FM DHEAで、HT-29 SF細胞を処理することにより、DHEAの細胞周期特異的効果を防止するこれらの化合物の能力を試験する。
【0328】
図17は、HT-29 SF細胞におけるDHEA誘発型抑止の逆転を示す。細胞を平板培養(105細胞/60mm皿)し、そして48時間後、0又は25FM DHEAで処理した。培地には、2FM MVA; 15 Fg/ml CH; 最終濃度が30 FMのウリジン、シチジン、アデノシン及びグアノシンを含有するRNの混合物;MVAプラスCH(MVA+CH);又はMVAプラスCHプラスRN(MVA+CH+RN)を補充するか、又は補充しなかった。48及び72時間後に、細胞を収穫し、エタノール中に固定し、そしてヨウ化プロピジウムで染色し、そして1細胞当たりのDNA含量をフローサイトメトリー分析によって測定した。G1、S及びG2M期における細胞のパーセンテージを、Cellfit細胞周期分析プログラムを使用して計算した。S期を判りやすさのために四角によってマーキングする。2部の測定から得られた代表的なヒストグラムが示される。試験を2回繰り返した。なお、補充物は、DHEAの不存在において細胞周期進行に対する効果をほとんど有しなかった。
【0329】
暴露時間が増大するのに伴って、DHEAはS期における細胞の比率を漸減させた。MVAを含むことは、最初の24時間ではこの効果を部分的に阻止するが、しかし72時間後には阻止しないのに対して、MVAプラスCHの添加は、72時間目でS期減損を部分的に阻止することもでき、このことは、長時間の暴露中の細胞発達にはMVA及びCHの両方が必要であることを示唆する。MVA、CH及びRNの添加は、見たところでは再構成時に最も効果的であるが、しかし、S期細胞のパーセンテージを、未処理対照培養内に見られる値まで修復することはまだしなかった。CH又はRNは単独では、48時間目には極めて僅かな効果しか有さず、72時間目には効果を全く有さなかった。形態学的には、細胞が丸みを帯びた形状を獲得することにより、DHEAに応答した。この形状は、培地にMVAを添加することによってのみ阻止された。図4に示した72時間のDHEA暴露後のDNAヒストグラムのいくつかは、見たところ低減されたDNA含有量を有する細胞の部分個体群の存在を示す。HT-29細胞系は、種々の数の染色体(68-72;ATCC)を含有する細胞の個体群を担持することが知られており、このことは、より少ない染色体を担持する細胞の部分集合が分離していることを意味することができる。
【0330】
結論
上記実施例9-10は、HT-29 SFヒト結腸腺癌細胞を、内在的メバロン酸を減損させることが知られている濃度のDHEAにin vitro暴露する結果、成長阻害及びG1抑止が生じること、また、培地にMVAを添加すると、これらの効果が部分的に阻止されることを実証する。DHEAは、タンパク質イソプレニル化に対する効果をもたらした。これらの効果は、特異的3-ヒドロキシ-3-メチル-グルタリル-CoAレダクターゼ・インヒビター、例えばロバスタチン及びコンパクチンに関して観察されるものと多くの点で類似している。しかし、メバロン酸塩生合成の直接的なインヒビターとは異なり、DHEAは、リボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチド生合成及び場合によっては他のファクターにも関与する多面発現的な様式で、細胞周期進行及び細胞成長に対するその効果を媒介する。
【0331】
【表14】

【0332】
下記実施例15-18において、第1及び第2の活性物質をミクロン粉砕し、そして上記比率でラクトースとバルク・ブレンドする。ブレンドを硬質ゼラチン・カプセル又はカートリッジ内、又は、特異的に構成された二重フォイル・ブリスター・パック(Rotahaler吸入器(Glaxo(登録商標))のような吸入器によって、又はブリスター・パックの場合にDiskhaler吸入器(Glaxo(登録商標))によって投与するためのRotadisksブリスター・パック、Glaxo(登録商標))内に充填する。
【0333】
【表15】

【0334】
実施例19:DHEA-Sスルフェートとロイコトリエン・アンタゴニストとの組み合わせ
ロイコトリエンをマスト細胞内部で合成する(Gilchrist, M, McCauley, S.D., & Befus, A.D.(2004)、ヒト・マスト細胞系におけるNOSの発現、局在化及び調節:ロイコトリエン生成に対する効果、Blood 104, 462-469)が、この合成はマスト細胞によるものとは限らない。我々は、ラット腹膜マスト細胞において化合物48/80で刺激した後、DHEAスルフェートがマスト細胞の脱顆粒を低減するかどうかを見極めた。マスト細胞の分泌顆粒内に含有される別の物質であるヒスタミンを測定することにより、マスト細胞脱顆粒を定量化した。放出されたヒスタミンのシンプルな測定を、ロイコトリエンの放出のための便利な代理マーカーとして使用する。
【0335】
ラット腹膜マスト細胞
分離したばかりのラット腹膜マスト細胞(細胞数2 x 105)を、平衡塩類溶液中で5分間にわたって37℃で前インキュベートした。平衡塩類溶液は、150 mM NaCl(pH 7.4)、2.7 mM KCl、0.9 mMのCaCl2、4mM Na2HPO4、2.7mM KH2PO4、1.75 mg/ml BSA及び0.1 μg/mlの化合物48/80を含有する。その後、DHEA-S又は水(対照)を添加し、そして混合物を37℃で2分間にわたってインキュベートする。
【0336】
インキュベーションに続いて、混合物を4℃まで冷却し、次いで5分間にわたって4500 rpmで遠心分離する。上澄みを捕集し、そして4℃で30分間にわたって、5% TCA(トリクロロ酢酸)と混合することにより、タンパク質を析出させる。9500 x gで15分間にわたって遠心分離した後、上澄みを捕集し、そして0.25M HClと混合する。その後、試料を2M NaOHと混合し、0.2% OPT(オルト-フタルアルデヒド)と混合し、そして暗所内で30分間にわたって4℃でインキュベートし、その後、0.5 M H2SO4を加えることによって反応を停止させる。
【0337】
分泌されたヒスタミンの量を、分光蛍光計(GeminiXS, Molecular Devices)を用いてλex=360nm及びλem=450nmで蛍光強度を測定することにより、分泌されたヒスタミンの量を定量化する。その結果を、制御ヒスタミン分泌の阻害率パーセントとして表す。
【0338】
図18は、DHEAスルフェートをインキュベーションすることにより、ラットのマスト細胞のマスト細胞脱顆粒が濃度に応じて阻害され、0.1 μMにおける最大効果が69.9%であることを示している。なお、現行のアッセイ条件を用いると、10-4MのDHEA-Sの溶解度は高く制限され、このことは、この濃度における「フラグされた」偽生物学的効果の原因となる。
【0339】
LTRAは、呼吸器疾患の治療において極めて効果的であり、これらは、マスト細胞からの放出に続く、ターゲット組織に対するLTの作用をブロックすることにより、部分的に作用する。このことは、DHEAスルフェートとLTRAとの組み合わせが乗法的又は相乗的に作用するという上記発見から得られる。すなわち、DHEA-Sがヒスタミン及びロイコトリエンの放出を低減するとともにマスト細胞脱顆粒を低減し、そして次いでLTRAが、放出されたロイコトリエンの薬理学的効果をブロックする。従って、患者はこれら2種の薬物の組み合わせから、臨床的な恩恵を得ることになる。
【0340】
DHEAスルフェートに加えて、第1の活性物質として、エピアンドロステロン及びその誘導体、類似体、及び医薬的に許容可能な塩を含む、他の好適な非グルココルチコイド・ステロイド、例えば、本明細書中の式I、III、及びIVによって示された化合物を使用することができる。
【0341】
本発明を好ましい実施態様を参照しながら説明してきたが、言うまでもなく、本発明の範囲を逸脱することなしに種々の改変形を形成することができる。
【0342】
全ての刊行物、特許明細書、特許出願明細書、及びウェブサイト全体を、これらのそれぞれが全体を引用されるように具体的に且つ独立して示されるのと同じ程度に、本明細書中に参考のため引用する。
【図面の簡単な説明】
【0343】
【図1】図1は、単回投与用Acu-Breathe吸入器から送達された、ミクロン粉砕型ニートDHEA-S・2H2Oの微粒子画分を、流量の関数として示す。結果はDHEA-Sとして表す。事実上無水のミクロン粉砕型DHEA-Sに関するIDLデータもこの図において示す。インパクターに入る検出可能な質量がなかったので、30L/分の結果をゼロに設定した。
【0344】
【図2】図2は、50℃で1週間にわたってニート及びラクトースのブレンドとして貯蔵した後の、事実上無水のDHEA-SバルクのHPLCクロマトグラムを示す。対照は、室温(RT)で貯蔵されたニートDHEA-Sであった。
【0345】
【図3】図3は、50℃で1週間にわたってニート及びラクトースのブレンドとして貯蔵した後の、DHEA-S・2H2OバルクのHPLCクロマトグラムを示す。対照は、RTで貯蔵されたDHEA-S・2H2Oであった。
【0346】
【図4】図4は、DHEA-Sの溶解度を2種の温度におけるNaCl濃度の関数として示す。
【0347】
【図5】図5は、DHEA-Sの溶解度を、24-25℃における逆数ナトリウム・カチオン濃度の関数として示す。
【0348】
【図6】図6は、DHEA-Sの溶解度を、7-8℃における逆数ナトリウム・カチオン濃度の関数として示す。
【0349】
【図7】図7は、DHEA-Sの溶解度を、緩衝液を有する又は有しない状態におけるRTのNaCL濃度の関数として示す。
【0350】
【図8】図8は、DHEA-Sの溶解度を、緩衝液を有する又は有しない状態における24-25℃のナトリウム・カチオン濃度の逆数の関数として示す。
【0351】
【図9】図9は、2つの貯蔵条件におけるDHEA-Sの溶液濃度対時間を示す。
【0352】
【図10】図10は、2つの貯蔵条件におけるDHEAの溶液濃度対時間を示す。
【0353】
【図11】図11は、噴霧試験の概略を示す。
【0354】
【図12】図12は、バイバス捕集器内にデポジットされたDHEA-Sの質量を、ネブライザー内の初期溶液濃度の関数として示す。
【0355】
【図13】図13は、DHEA-Sネブライザー溶液のためのカスケード・インパクションによる粒子サイズを示す。示されたデータは、7つの全ての噴霧試験の平均である。
【0356】
【図14】図14は、DHEAによるHT-29 SF細胞の阻害を示す。
【0357】
【図15A】図15は、HT-29 SF細胞における細胞周期分布に対するDHEAの効果を示す。
【0358】
【図15B】図15は、HT-29 SF細胞における細胞周期分布に対するDHEAの効果を示す。
【0359】
【図16A】図16aは、HT-29細胞におけるDHEA誘発型成長阻害の逆転を示す。
【0360】
【図16B】図16bは、HT-29細胞におけるDHEA誘発型成長阻害の逆転を示す。
【0361】
【図17A】図17は、HT-29 SF細胞におけるDHEA誘発型のG1抑止の逆転を示す。
【0362】
【図17B】図17は、HT-29 SF細胞におけるDHEA誘発型のG1抑止の逆転を示す。
【0363】
【図17C】図17は、HT-29 SF細胞におけるDHEA誘発型のG1抑止の逆転を示す。
【0364】
【図17D】図17は、HT-29 SF細胞におけるDHEA誘発型のG1抑止の逆転を示す。
【0365】
【図18】図18は、マスト細胞顆粒化に対するDHEA-Sの効果を示す。
【0366】
【図19】図19は、DHEAの或る特定の好適な類似体を示す。
【0367】
【図20】図20は、DHEAの或る特定の好適な類似体を示す。
【0368】
【図21】図21は、DHEAの或る特定の好適な類似体を示す。
【0369】
【図22】図22は、DHEAのC-17ケトンの好適な修飾を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬的に又は獣医学上許容可能なキャリヤと、喘息、慢性閉塞性肺疾患、或いは呼吸器又は肺の疾患を治療するのに効果的な第1の活性物質及び第2の活性物質とを含む医薬組成物であって、
(a)該第1の活性物質は、化学式:
【化1】

を有する非グルココルチコイド・ステロイド、及び、化学式:
【化2】

の非グルココルチコイド・ステロイド
(上記式中、R1、R2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、R12、R13、R14及びR19はそれぞれ独立して、H、OR、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルコキシであり、R5及びR11は独立してOH、SH、H、ハロゲン、医薬的に許容可能なエステル、医薬的に許容可能なチオエステル、医薬的に許容可能なエーテル、医薬的に許容可能なチオエーテル、医薬的に許容可能な無機エステル、医薬的に許容可能な単糖、二糖又はオリゴ糖、スピロオキシラン、スピロチラン、-OSO2R20、-OPOR20R21、又は(C1-C10)アルキルであり、R5とR6とが一緒になって=Oを形成し、R10とR11とが一緒になって=Oを形成し;R15は(1)R16が-C(O)OR22である場合には、H、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルコキシであり、(2)R16がハロゲン、OH又は(C1-C10)アルキルである場合には、H、ハロゲン、OH又は(C1-C10)アルキルであり、(3)R16がOHである場合には、H、ハロゲン、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、ホルミル、(C1-C10)アルカノイル又はエポキシであり、(4)R16がHである場合には、OR、SH、H、ハロゲン、医薬的に許容可能なエステル、医薬的に許容可能なチオエステル、医薬的に許容可能なエーテル、医薬的に許容可能なチオエーテル、医薬的に許容可能な無機エステル、医薬的に許容可能な単糖、二糖又はオリゴ糖、スピロオキシラン、スピロチラン、-OSO2R20、又は-OPOR20R21であるか、或いはR15とR16とが一緒になって=Oを形成し;R17及びR18は独立して、(1)R6がH、OR、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は-C(O)OR22である場合には、H、-OH、ハロゲン、(C1-C10)アルキル又は-(C1-C10)アルコキシであり;(2)R15とR16とが一緒になって=Oを形成する場合には、H、(C1-C10アルキル)アミノ、((C1-C10)アルキル)n アミノ-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ、ヒドロキシ-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ-(C1-C10)アルキル、(ハロゲン)m(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルカノイル、ホルミル、(C1-C10)カルバルコキシ又は(C1-C10)アルカノイルであり、(3)R17とR18とが一緒になって=Oを形成し;(4)R17又はR18が、結合されている炭素と一緒に酸素原子数0又は1の3-6員環を形成し;或いは(5)R15及びR17が、結合されている炭素と一緒にエポキシド環を形成し;R20及びR21はそれぞれ独立して、OH、医薬的に許容可能なエステル又は医薬的に許容可能なエーテルであり;R22は、H、(ハロゲン)m(C1-C10)アルキル又は(C1-C10)アルキルであり;nは0、1又は2であり;そしてmは1、2又は3である)、或いは医薬的に又は獣医学上許容可能なこれらの塩
から選択された非グルココルチコイド・ステロイドの1種以上であり;そして
(b)該第2の活性物質は、ロイコトリエン受容体アンタゴニストである、
医薬組成物。
【請求項2】
前記第1の活性物質が、化学式:
【化3】

を有する非グルココルチコイド・ステロイドであり、
上記式中、破線は単結合又は二重結合を表し;Rは水素又はハロゲンであり;位置5のHはアルファ又はベータ形態で存在しており、或いは化学式Iの化合物が両形態のラセミ混合物を含み;そしてR1は、水素であるか又は該化合物に共有結合された多価の無機又は有機ジカルボン酸である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
該第1の活性物質が、該化学式(I)を有する非グルココルチコイド・ステロイドであり、前記多価の有機ジカルボン酸は、SO2OM、ホスフェート又はカーボネートであり、Mは対イオンを含み、前記対イオンは、H、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、リチウム、アンモニウム、アミン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、トリエチルアミン、エタノールアミン、コリン、トリエタノールアミン、プロカイン、ベンザチン、トロメタニン、ピロリジン、ピペラジン、ジエチルアミン、スルファチド
【化4】

又はホスファチド
【化5】

であり、
上記式中、同じであるか異なるものであるR2及びR3は、直鎖状又は分枝鎖状(C1-C14)アルキル又はグルクロニド
【化6】

である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記第1の活性物質が、デヒドロエピアンドロステロンである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記第1の活性物質が、デヒドロエピアンドロステロン・スルフェートである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ロイコトリエン受容体アンタゴニストが、モンテルカスト、ザフィルルカスト又はプランルカストである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
さらに、ユビキノン、又は医薬的に又は獣医学上許容可能なその塩を含み、該ユビキノンが化学式
【化7】

を有し、
前記nが1〜12である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
該医薬組成物が吸入可能又は呼吸可能なサイズの粒子を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
該粒子のサイズが約0.01 μm〜約10 μmである、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
該粒子のサイズが約10 μm〜約100 μmである、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
送達装置と、請求項1に記載の医薬組成物とを含む、キット。
【請求項12】
該送達装置がエアロゾル発生器又はスプレー発生器である、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
該エアロゾル発生器が吸入器を含む、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
該吸入器が、予め計量された個々の投与量の配合物を送達する、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
該吸入器がネブライザー又は吹入れ器を含む、請求項13に記載のキット。
【請求項16】
患者における喘息の確率を低減するか、又は喘息を治療する方法であって、請求項1に記載の医薬組成物の予防上又は治療上有効な量を、このような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項17】
患者における慢性閉塞性肺疾患の確率を低減するか、又は慢性閉塞性肺疾患を治療する方法であって、請求項1に記載の医薬組成物の予防上又は治療上有効な量を、このような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項18】
呼吸器、肺又は悪性疾患又は状態を治療するか、或いは患者におけるアデノシン又はアデノシン受容体のレベル、又はアデノシン又はアデノシン受容体に対する感受性を低減する方法であって、請求項1に記載の医薬組成物の予防上又は治療上有効な量を、このような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項19】
該障害又は状態が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、呼吸困難、気腫、喘鳴、肺高血圧、肺線維症、過反応性気道、アデノシン又はアデノシン受容体のレベル上昇、アデノシン過敏症、感染症、肺気管支収縮、呼吸管炎症又はアレルギー、肺界面活性物質又はユビキノンの減損、慢性気管支炎、気管支収縮、呼吸困難、肺気道の障害又は閉塞、心臓機能のためのアデノシン試験、肺血管収縮、呼吸障害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、アデノシン又はアデノシンのレベルを高める薬物の投与、小児呼吸窮迫症候群(小児RDS)、疼痛、アレルギー性鼻炎、癌又は慢性気管支炎を含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2007−518691(P2007−518691A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522102(P2006−522102)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/024709
【国際公開番号】WO2005/011595
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(504453258)エピジェネシス ファーマシューティカルズ リミティド ライアビリティー カンパニー (6)
【Fターム(参考)】