説明

噴霧による薬剤送達のための方法およびキット

低容量単位用量バイアルが、単位用量バイアル、ネブライザー、およびデータキャリアを含むキットと共に、噴霧により薬剤を投与するために提供される。本発明は、薬剤の損失および不適切な使用を含む従来技術の単位用量バイアルが伴う問題を回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧によって薬剤を投与するための方法、該方法を行うためのキット、このようなキットの構成要素のセット、ならびに本発明の方法に使用および上記キットの構成要素として使用するための単位用量バイアルに関する。
【背景技術】
【0002】
吸入を介して患者の気道に薬剤を投与するためのネブライザーの使用は、例えば、喘息の治療で周知である。一般的に、標準的な容量の薬剤処方物がネブライザーのチャンバーに注がれる。ネブライザーは、使用時に、小滴のエアロゾルを発生させ、これらの小滴は、次いで吸入される。噴霧による送達のための薬剤は、事前混合された処方物または濃縮物として調製され得る。これらは、投与直前にネブライザーのチャンバー中で、生理食塩水のような希釈剤で所要の濃度に希釈される。
【0003】
事前混合された処方物を含有する単位用量バイアル(以下、「UDV」という)の使用により、所望される薬剤がより一貫して投与でき、そして薬剤の処方または正確な用量の投与における誤りが減少されることが知られている。例えば、アルブテロールおよび臭化イプラトロピウムの無菌の事前混合され、事前測定された単一の単位用量、ならびにそれらの投与方法が、米国特許出願公開2003/0191151号および2003/0203930号、ならびに米国特許第6,632,842号に記載されている。
【0004】
少なくとも1つのタイプのネブライザーに伴う不利点は、薬剤処方物のかなりの割合が無駄になり得ることである。典型的には、標準的なUDVは、ネブライザーのチャンバーが2〜3mlの処方物で満たされるという前提によって決定される量の薬剤を含有する。しかし、その薬剤処方物のうち0.7〜1.0mlの容量は、いずれの薬剤もが使用者に送達される前に、単にネブライザーのデッドスペースを満たすために要求され得る。これは、普遍的に認められている基準がないので、ネブライザーの設計的特徴には幅広い変化が少なくとも部分的にあり、現行のUDVで提供される2/3mlのアリコートは、この設計の変化に適合しているからである。さらに、ネブライザーは、一定の出力を有するので、薬剤処方物の重要な量が目的の器官まで吸入されず、そして呼吸周期の呼気相で吸収される前に大気中に失われるか、あるいは薬剤を含む小滴が嚥下される結果として失われる。
【0005】
公知の噴霧法のさらなる不利点は、投与される薬剤の不適切な用量を患者が受ける危険性である。この危険性は、不慣れな患者または無防備な患者においてより顕著である。これらの患者は、例えば、必要とされる口を介してではなく、鼻を介してのみ呼吸し得る。これは、子どもにおいては、マスクの使用によりある程度まで阻止し得るが、正しい技術を用いる補償にはならない。これらの問題は、特に、しばしば吸入を介して送達されるステロイド薬剤の場合に懸念されるが、その他の種類の薬剤にも関係がある。
【0006】
公知のUDVのさらなる不利点は、使用者が、UDV含有物の一部のみを使い、将来の使用の機会のために残りをおいておこうとすることである。UDVは、通常無菌であるが、保存されるものでなく、このためこの残りは、容易に汚染され得るので、このような実施は危険である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の目的によれば、噴霧によって薬剤を投与するためのキットが提供される。これにより、無駄を減らし、そして正確な薬剤用量の送達を確実にする。
【0008】
したがって、本発明は、薬剤を投与するためのキットを提供し、このキットは、薬剤送達を開始させるようにネブライザーを制御するための制御手段を含むネブライザー、および1以上のUDVを含み、該UDVが、事前混合された薬剤処方物を含有し、該処方物が1ml以下、好ましくは0.5〜1.0mlの容量を有し、そして、データ保存手段が備えられ、該データ保存手段が、該1以上のUDVに関連するデータを有し、そして該制御手段によって読み取り可能であり、それによって、使用時に、該制御手段によってデータが読み取られて薬剤送達の作動を可能にする。本発明によるキットの1つの実施態様では、上記データ保存手段は、上記ネブライザーの一部として組み込まれている(すなわち、CMOS RAMまたはその他のマイクロプロセッサー制御保存素子のような集積回路保存デバイス)。このようなキットの具体的な例としては、上記ネブライザーは、高効率ネブライザー(高効率薬量測定(dosometric)ネブライザーを含む)であり得る。
【0009】
他の実施態様では、上記データ保存手段は、上記キットの別個の要素として備えられ、そして薬剤送達の作動を可能にするように前記ネブライザーに接続されるように適合されている。この実施態様では、データ保存手段は、取り外し可能なCMOS RAM、またはネブライザーに組み込まれた対応するカード読み取り機またはディスクドライブによって読み取られるように適合されたデータカードまたはコンピューターディスクであり得る。この実施態様では、UDVの委託物が、その特定の委託物に関連したデータがロードされているデータ保存手段と共に供給され得ることが想起される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のキットによれば、薬剤送達の効率を改善し、ネブライザー中のデッドスペースをより小さくするため、標準より小さい容量の薬剤処方物が安全に用いられる。これにより、薬剤の無駄が顕著に減少し、噴霧時間が短縮され、そしてコストが減少されるという有利な結果となる。本発明のキットにおいて提供されるUDVに含有される処方物の容量は、習慣的に用いられる容量よりも少ないが(2〜3mlに対して1.0ml)、一般的に、活性成分の濃度は、より大きな容量のUDVにおいて用いられていた濃度と同じままであると理解されるべきである。
【0011】
本発明のキットの構成要素として用いられるネブライザーの本質は重大ではない。
【0012】
しかし、ネブライザーは、薬剤の正確かつ再現可能な用量を過度の無駄なく送達する意味で、効率的な様式で作動するように設計されていることが好ましい。この点において、呼吸周期と同期されるタイミングで薬剤を送達するように適合されている。いわゆる「高効率ネブライザー」が好ましく用いられる。
【0013】
この点において、ネブライザーの公知の設計の多くの種類(適応エアロゾル送達ネブライザーおよび薬量測定ネブライザーを含む)が、本発明のキットの構成要素として組み込まれ得る。高効率薬量測定ネブライザーの1つの種類は、Profile Respiratory Systems Limitedの名義の国際特許出願WO004/045689および国際特許出願WO2004/045690に記載されている。これらのネブライザーは、使用者の呼吸パターンを連続的にモニターして予測し、そして使用者の呼吸周期の最適な相(すなわち、使用者が吸入しているとき)の間のみ薬剤処方物を放出することによって、より効率的に使用者に薬剤処方物を送達し得る。例えば、送達投与前に、ネブライザーで3つの連続する呼吸をモニターして、そして4番目の呼吸で薬剤処方物を送達し始め、その後呼吸ごとに行い得る。使用者の呼吸周期の最適部に対して薬剤送達の的を定めることによって、有意に少ない容量で薬剤溶液を噴霧しながらも使用者に薬剤の所望の用量を送達し得る。
【0014】
本発明のキットが、各呼吸周期間に放出される薬剤処方物の量を計算し、そして所望の薬剤用量が使用者の気道に送達されると薬剤送達を停止する能力を有するネブライザーを含むことが望ましい。これは、使用者が常に正しい用量を受け、過剰用量の危険性を取り除くことを確実にする。
【0015】
本発明で用いられるネブライザーは、好ましくは、制御手段を含み、該制御手段は、ネブライザーに薬剤送達を開始させ、そして薬剤送達を調整する。制御手段は、データキャリア(ネブライザーに合体され得るかあるいはネブライザーに取り付けられ得る)に存在するデータを読み取ってそのデータに応答し、使用時に薬剤処方物の正しい用量が使用者に送達されるようにすることができる。制御手段は、データキャリアに存在するデータまたはその他のデータを表示するディスプレイデバイスに連結され得る。
【0016】
示されるように、データキャリアは、ネブライザーに使用するためのUDVと共に供給され得、例えば、制御手段によって読み取り可能な任意のタイプのコンピューター読み取り可能なディスクであり得る。データキャリアの他の形態は、CMOS RAMを含む。好ましくは、データキャリアは、薬剤を確認するデータ、処方物データ(例えば、各UDVに存在する薬剤処方物の各成分の量または濃度)、バッチナンバーを確認するデータ、有効期限を確認するデータ、用量データ(例えば、各UDVに存在する用量)、有効性データ(すなわち、薬剤処方物の生理的効果、副作用、または禁忌に関する情報)、および投与データ(例えば、使用者に与える推奨用量または投与の推奨頻度)の1以上を有する。
【0017】
データキャリアは、薬剤送達を作動するためのプログラムを有することがまた好ましい。これは、セキュリティの尺度を導入している。すなわち、この実施態様では、別個のデータキャリアがない場合には、薬剤を投与するためにネブライザーを使用することができないが、これは逆に言えば、ネブライザーと共に使用することが承認されたUDVと共にのみ供給される。
【0018】
データ(ネブライザーから別個の完全なものとして提供される場合)キャリアは、好ましくは、そのデータキャリアと共に供給されたUDVの数を確認するデータを有する。制御手段は、ネブライザーが使用されると、このデータを読み取り、そして補正するように適合され得、このような使用の後、データキャリアは、残りのUDV(すなわち、データキャリアと共に供給された未使用のUDV)の数を確認するデータを有するようになる。より好ましくは、制御手段は、残りのUDVの数を確認するデータが、供給されたUDVの全てが使用されたことに該当すると、薬剤送達を作動させないように設計されている。これは、ネブライザーが、有効なデータキャリアと関連しないUDVを分配するために用いられることを防ぐ。したがって、制御手段およびデータキャリアは相互作用して、データキャリアと共に供給された残りのUDVの数をカウントダウンし、最後のUDVの使用後には、薬剤送達を行わないようにする。またこれによって、より大容量、より強力、または異なる薬剤を含むその他のUDVが、ネブライザーに使用され得ないようにすることができる。
【0019】
他の局面では、本発明は、1以上のUDVおよびデータキャリアを含む本発明のキットに使用するための構成要素のセットを提供し、該UDVが、1ml以下の容量を有する事前混合された薬剤処方物を含有し、そして該データキャリアが、1以上の該UDVに関連するデータを有する。
【0020】
本発明のさらなる局面は、本発明のキットに使用するためのデータキャリアを提供し、該データキャリアは、薬剤を確認するデータ、処方物データ、バッチナンバーを確認するデータ、有効期限を確認するデータ、用量データ、有効性データ、および投与データの1以上を有する。
【0021】
本発明のさらなる局面は、本発明のキットに使用するためのUDVを提供し、該UDVは、1ml以下、好ましくは0.5〜1.0mlの容量を有する事前混合された薬剤処方物を含有し、そして該薬剤処方物は、ブデソニドを含む。
【0022】
本発明による使用のためのUDVは、事前混合された薬剤処方物の保存に適した任意の適切な容器を含み得る。UDVは、任意の公知のタイプであり得、薬剤処方物の所要の容量、好ましくは事前混合および事前測定された単一の単位用量を含有するのに適した大きさである。本発明によるUDVは、任意の適切な材料、典型的には、ガラスまたはプラスチック材料で作製され得る。
【0023】
UDVは、好ましくは、事前混合された薬剤処方物、典型的には、水溶液または懸濁液の容量を含有する。薬剤処方物は、エアロゾルとしての投与に適した任意の薬剤を含み得る。適切な薬剤としては、β2アゴニスト、ステロイド、抗喘息薬、または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に使用される薬剤が挙げられる。したがって、薬剤処方物は、ブデソニド、アルブテロール(サルブタモールともいう)、レバルブテロール、イプラトロピウム、オキシトロピウム、トリオトロピウム(triotropium)、フェノテロール、テルブタリン、バンブテロール、フォルモテロール、サルメテロール、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、クロモグリケート(クロモリンともいう)、ネドクロミル(およびそれら全ての塩)の1種以上を、単独であるいはそれぞれの任意の組み合わせのいずれかで含み得る。好ましい薬剤処方物は、サルブタモール(アルブテロール)および臭化イプラトロピウムの組み合わせを含む。薬剤処方物は、好ましくは無菌である。
【0024】
以下の表は、典型的に処方される活性成分の特定の濃度を示すが、他の濃度も知られており、処方される。
【0025】
【表1】

【0026】
本発明のUDVは、一般的に、1ml以下の薬剤処方物の容量を含有する。容量は、例えば、0.5mlから1.0mlまでであり得る。典型的には、本発明によるUDVは、従来のUDVの容量の約4分の1を含有する。したがって、薬剤および材料の節約となる。UDVは、主として、高効率ネブライザーと共に使用するため、従来のネブライザーで使用された比較的高容量の薬剤処方物を含有する必要がない。本発明のUDVは、ネブライザーの内部容量におけるデッドスペースを満たすために十分な容量のみを含有し、所望の用量を提供することを必要とする。ネブライザーの効率のため、薬剤処方物の大気中への損失、嚥下、またはその他の損失に対する許容量は、最小限である必要がある。
【0027】
本発明はさらに、ネブライザーを使用する方法を提供し、この方法は、
事前混合された薬剤処方物を含有するUDVを提供する工程;
いずれの順序でもいいが、該ネブライザーのチャンバーへの該薬剤処方物の移動および該ネブライザーへのデータキャリアの取り付けの工程;および
該ネブライザーから薬剤送達を開始させる工程を包含し、
該ネブライザーが、薬剤送達を開始させるように該ネブライザーを制御するための制御手段を含み、そして該データキャリアが該UDVに関連するデータを有し、それによって、使用時に、該制御手段によってデータが読み取られて薬剤送達の作動を可能にする。
【0028】
本発明のこの局面によると、UDVは、薬剤処方物の任意の適切な容量を含有し得る。好ましくは、上記容量は、本発明の他の局面について記載したように、1ml以下である。
【0029】
典型的には、本発明のこの局面での使用のためのUDVは、本発明の他の局面について記載したようなデータを有するデータキャリアと共に供給される。使用時に、ネブライザーのチャンバーは、例えば、マウスピースを取り外すことによって開けられるが、これは、使用されるネブライザーのタイプおよび型により変化し得る。次いで、UDVを開け、UDV内の薬剤処方物をチャンバー内に移す。次いで、チャンバーを閉じる。使用前に、データキャリアがネブライザーに取り付けられるが、取り付けは、チャンバーに薬剤処方物を満たす前または後のいずれでもいい。次いで、ネブライザーを作動させ、薬剤処方物を放出させる。使用者は、典型的には、口の中にマウスピースを入れてネブライザーを支えるか、または鼻および口を覆うようにつながったマスクをつけて、呼吸を開始する。ネブライザーの制御手段は、使用者の呼吸パターンをモニターし、例えば、使用者の4番目の吸入と同時になるように、エアロゾルとして薬剤処方物を放出し始める。薬剤の送達は、所望の用量が使用者に送達されるまで続き、そして終了する。
【0030】
別の局面では、本発明は、ネブライザーを使用する方法を提供し、この方法は、
事前混合された薬剤処方物を含有するUDVを提供する工程;
該ネブライザーのチャンバーに該薬剤処方物を移す工程;
該ネブライザーから薬剤送達を開始させる工程を包含し、
該薬剤処方物が、1ml以下、好ましくは0.5〜1.0mlの容量を有する。
【0031】
本発明のこの局面によれば、ネブライザーのチャンバーを開け、UDVを開封し、そして薬剤処方物をUDVからチャンバーに移す。次いで、チャンバーを閉じ、薬剤送達を開始させる。さらに、ネブライザーは、使用者の呼吸パターンをモニターし、薬剤の放出が使用者による吸入と同時になるように合わせられ、そして所望の用量が送達されたら終了する。
【0032】
本発明の方法は、本発明の全ての他の局面について記載したような、任意の1種以上のキット、セット、ネブライザー、制御手段、データキャリア、UDV、および薬剤処方物を使用し得る。
【0033】
本発明を、以下の実施例により、特定の実施態様で説明する。
【0034】
これらの実施例では、UDVは、無菌条件下で製造充填され、従来用いられている吸入用の溶液および懸濁液と同様(または同一)の処方物および強度(または2種以上のこのような処方物の任意の組み合わせ)を提供する。これらは、英国のMIMS(Monthly Index of Medicinal Specialities)および米国の「Orange Book」の両方に時々公表されている処方物を含む。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
本発明によるキットに使用するための処方物は、0.083%の濃度でサルブタモール(アルブテロール硫酸塩)、張度を調節するために塩化ナトリウム、およびpHを3.3から4.5の間に調節するために硫酸を含む。
【0036】
得られた溶液をろ過滅菌し、次いで、形成したばかりの無菌ポリエチレンUDVに充填し、次いで、これらのUDVを直ちに密閉し、これらは一連の操作で行う。この工程は、一般にBlow Fill Sealとして知られ、単位用量無菌液体製品の製造について認可されている製薬産業規格である。各UDVは、1mlの溶液を含有した。
【0037】
プログラム可能なマイクロプロセッサーからなるデータキャリア(記録可能なCMOS RAMまたはディスクの形態で)を準備し、サルブタモール溶液の製造バッチに関するデータをロードする。ロードされるデータは、薬剤の名称、各成分の濃度、最終容量、処方物のバッチナンバー、有効期限、推奨用量、およびデータキャリアと共に供給されるUDVの数を含む。また、薬剤の名称、バッチナンバー、および有効期限の詳細を、適切なネブライザーにデータキャリアを取付けることによる以外に、データキャリアを確認できるようにデータキャリアの片側に印刷する。
【0038】
次いで、データキャリアおよび20個のUDVを、配布および販売用に一緒に梱包する。
【0039】
(実施例2〜8)
薬剤処方物の成分を以下の表に示すようにし、そしてデータキャリアに記録するデータを各実施例に詳述される処方物に関することとする以外は、実施例1に詳述されるようにして、さらなるUDVを調製する。
【0040】
【表2】

【0041】
(実施例9)
高効率薬量測定ネブライザー、実施例1〜9の薬剤処方物を含有するUDVのパック、および付随するデータキャリアを組み立てて用い、使用者に薬剤処方物を送達する。
【0042】
データキャリアを、ネブライザーの前表面に存在するデータキャリアを入れるためのスロットに、その印刷面が外側に面するようにして挿入する。ネブライザーのマウスピースを取り外し、ネブライザーの充填チャンバーおよびそのカバーを外に出す。カバーを保持するクリップを外し、充填の準備のためカバーを取り外す。パックからUDVを1つ取り、頂部をひねり取ることにより開け、中身を充填チャンバーに移す。次いで、充填チャンバーのカバーを戻し、カバーをクリップで留め、マウスピースを戻す。
【0043】
組み立て後、ネブライザーのスイッチを入れると、スクリーンディスプレイは、ネブライザーが使用の準備ができたことを表示する。
【0044】
使用者は、マウスピースを口にくわえてネブライザーを支え、呼吸を始める。ネブライザーは、使用者の最初の3呼吸をモニターし、使用者の4番目の吸入を予測し、その間で、薬剤処方物の送達が開始する。使用者が推奨用量を受容するまで、ネブライザーは、先の3呼吸に基づいて各々の続く呼吸を予測し、各々の続く吸入の間に薬剤を放出し続ける。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を投与するためのキットであって、該キットが、
薬剤送達を開始させるようにネブライザーを制御するための制御手段を含む、ネブライザー、および
1以上の単位用量バイアル(UDV)、
を含み、
該UDVが、事前混合された薬剤処方物を含有し、該処方物が、1ml以下の容量を有し、そして、データ保存手段が備えられ、該データ保存手段が、該1以上のUDVに関連するデータを有し、そして該制御手段によって読み取り可能であり、それによって、使用時に、該制御手段によってデータが読み取られて薬剤送達の作動を可能にする、キット。
【請求項2】
前記データ保存手段が、薬剤送達を作動するためのプログラムを有する、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記データ保存手段が、薬剤を確認するデータ、処方物データ、バッチナンバーを確認するデータ、有効期限を確認するデータ、用量データ、有効性データ、および投与データの1以上を有する、請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
前記データ保存手段が、該データ保存手段と共に供給されたUDVの数を確認するデータを有し、そして使用時、前記制御手段が、UDVが使用されるとこのデータを補正し、このような使用の後に、該データ保存手段が、残りのUDVの数を確認するデータを有するようにする、請求項1から3のいずれかの項に記載のキット。
【請求項5】
前記制御手段が、前記残りのUDVの数を確認するデータが0になると薬剤送達を作動させないように設計されている、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
前記データ保存手段が、前記ネブライザーの一部として組み込まれている、前記のいずれかの項に記載のキット。
【請求項7】
前記データ保存手段が、前記ネブライザーとは別個に、前記キットの要素として備えられている、請求項1から5のいずれかの項に記載のキット。
【請求項8】
前記データ保存手段が、前記ネブライザーに接続されるように適合されており、薬剤送達の作動を可能にする、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記薬剤処方物が、β2アゴニスト、ステロイド、抗喘息薬、または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に使用される薬剤を含む、請求項1から8のいずれかの項に記載のキット。
【請求項10】
前記薬剤処方物が、サルブタモール(アルブテロール)、ブデソニド、臭化イプラトロピウム、またはクロモグリク酸ナトリウムを含む、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
前記薬剤処方物が、コルチコステロイドを含む、請求項9に記載のキット。
【請求項12】
前記薬剤処方物が、ブデソニドを含む、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記薬剤処方物が、フルチカゾンを含む、請求項11に記載のキット。
【請求項14】
前記薬剤処方物が、2以上の活性成分の組み合わせを含む、請求項9から13のいずれかの項に記載のキット。
【請求項15】
前記薬剤処方物が、サルブタモール(アルブテロール)および臭化イプラトロピウムの組み合わせを含む、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記薬剤処方物が、水溶液または懸濁液である、請求項1から15のいずれかの項に記載のキット。
【請求項17】
以下に示した濃度の以下の活性成分の1種を含む、請求項1から9のいずれかの項に記載のキット。
【表1】

【請求項18】
前記薬剤処方物が、0.5〜1.0mlの容量を有する、請求項1から17のいずれかの項に記載のキット。
【請求項19】
前記ネブライザーが、適応エアロゾル送達ネブライザーである、請求項1から18のいずれかの項に記載のキット。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかの項に記載のキットに使用するための構成要素のセットであって、1以上のUDVおよびデータキャリアを含み、該UDVが、1ml以下の容量を有する事前混合された薬剤処方物を含有し、そして該データキャリアが、該1以上のUDVに関連するデータを有する、セット。
【請求項21】
請求項1から9に記載のキットに使用するためのUDVであって、該UDVが、1ml以下の容量を有する事前混合された薬剤処方物を含有し、そして該薬剤処方物が、ブデソニドを含む、UDV。
【請求項22】
請求項1から9に記載のキットに使用するためのUDVであって、該UDVが、1ml以下の容量を有する事前混合された薬剤処方物を含有し、そして該薬剤処方物が、クロモグリク酸ナトリウムを含む、UDV。
【請求項23】
前記容量が、0.5から1.0mlである、請求項21または22に記載のUDV。
【請求項24】
ネブライザーを使用する方法であって、該方法が、
事前混合された薬剤処方物を含むUDVを提供する工程;
該ネブライザーのチャンバーに該薬剤処方物を移す工程;
該ネブライザーから薬剤送達を開始させる工程を包含し、
該ネブライザーが、薬剤送達を開始させるように該ネブライザーを制御するための制御手段を含み、そしてデータ保存手段が備えられ、該データ保存手段が、該UDVに関連するデータを有し、それによって、使用時に、該制御手段によってデータが読み取られて薬剤送達の作動を可能にする、方法。
【請求項25】
前記薬剤処方物が、1ml以下の容量を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記データ保存手段が、薬剤送達を作動するためのプログラム、または薬剤送達を作動するためのプログラムと相互作用するように適合されたデータを有する、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記データ保存手段が、薬剤を確認するデータ、処方物データ、バッチナンバーを確認するデータ、有効期限を確認するデータ、用量データ、有効性データ、および投与データの1以上を有する、請求項24から26のいずれかの項に記載の方法。
【請求項28】
ネブライザーを使用する方法であって、
事前混合された薬剤処方物を含むUDVを提供する工程;
該ネブライザーのチャンバーに該薬剤処方物を移す工程;
該ネブライザーから薬剤送達を開始させる工程を包含し、
該薬剤処方物が、1ml以下の容量を有する、方法。
【請求項29】
前記薬剤処方物が、β2アゴニスト、ステロイド、抗喘息薬、または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に使用される薬剤を含む、請求項24から28のいずれかの項に記載の方法。
【請求項30】
前記薬剤処方物が、サルブタモール(アルブテロール)、ブデソニド、臭化イプラトロピウム、またはクロモグリク酸ナトリウムを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記薬剤処方物が、サルブタモール(アルブテロール)および臭化イプラトロピウムの組み合わせを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記薬剤処方物が、水溶液または懸濁液である、請求項24から30のいずれかの項に記載の方法。
【請求項33】
前記薬剤処方物が、以下に示した濃度の以下の活性成分の1種を含む、請求項24から32のいずれかの項に記載の方法。
【表2】

【請求項34】
前記薬剤処方物が、0.5〜1.0mlの容量を有する、請求項24から33のいずれかの項に記載の方法。
【請求項35】
請求項1のキットに使用するためのデータキャリアであって、該データキャリアが、薬剤を確認するデータ、処方物データ、バッチナンバーを確認するデータ、有効期限を確認するデータ、用量データ、有効性データ、および投与データの1以上を有する、データキャリア。
【請求項36】
前記データキャリアが、薬剤送達を作動するためのプログラム、または薬剤送達を作動するためのプログラムと相互作用するように適合されたデータを有する、請求項35に記載のデータキャリア。

【公表番号】特表2008−515508(P2008−515508A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535227(P2007−535227)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003645
【国際公開番号】WO2006/037948
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(503183455)ブレス リミテッド (11)
【Fターム(参考)】