説明

回収容器、後処理装置、および画像形成装置

【課題】回収された廃材が回収容器の壁面に回収容器の内壁に張り付くのを防止する。
【解決手段】廃材と同系統の材質の材料で形成された回収容器51は、その上部に廃材を容器内部に投入する回収口と、その底部に容器内部の気体を吸引する吸引口と、を有し、吸引口には、フィルター53が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置から発生する廃材を回収する回収容器、特に、環境対応を図った回収容器およびその容器を備えた後処理装置、および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、画像形成動作を実施するに当り、画像を記録するための紙等からなるシートと、画像を前記シート上に描画するためのトナー等とを用いている。これらの材料を用いてシート上に画像を形成し、体裁を整えて画像形成物を仕上げる過程において、不必要となる廃材が発生する。このような廃材としては、画像形成部で使用され画像を形成するための像担持体上や転写担持体上に残留するトナー(廃トナー)や、画像形成装置に装着される後処理装置に備えられているパンチ装置からのパンチ屑等が一般的に挙げられる。
【0003】
画像形成装置において、これらの廃材は、回収容器にそれぞれ回収されるようになっている。そして、回収容器に回収された廃材は、通常その容器から廃棄処理装置やリサイクル装置に直接、あるいはさらに大きな中間搬送用の大容量の容器や袋に移し変えられて廃棄あるいはリサイクルされる。
【0004】
パンチ屑(廃材)の回収容器を備えた画像形成装置としては、例えば特許文献1に開示がある。ところが、この従来の画像形成装置では、廃トナーやパンチ屑等の廃材を回収する回収容器は、回収される廃材と異なる材質にて形成されたものが具備されている。そのため、回収された廃材を廃棄処理装置やリサイクル装置に直接、あるいはさらに大きな中間搬送用の大容量の容器や袋に移し変えるときに周辺部に撒き散らしてしまいやすい。そして、撒き散らしたものを体内に吸い込んでしまったり、周辺部に散らかってしまい清掃作業を行わなければならなかった。
【0005】
そこで、回収容器を廃材と同じ材質で形成した技術内容が特許文献2に開示されている。
【0006】
他方、回収容器の交換時期を検知するために、回収容器の上部付近にセンサを設けて回収容器がパンチ屑で満杯になる前に検知させる構成が、特許文献3,4に記載されている。
【特許文献1】特開平11−235699号公報(平成11年8月31日公開)
【特許文献2】特開2005−194044号公報(平成17年7月21日公開)
【特許文献3】特開昭63−212677号公報(昭和63年9月5日公開)
【特許文献4】特開平7−10353号公報(平成7年1月13日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、回収容器がパンチ屑で満杯になる前に検知するセンサが回収容器の上部付近に設けられていても、パンチ屑が静電気により回収容器の壁面にまとわりつくため、パンチ屑が満杯になる前に上記センサが誤検知するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回収された廃材が回収容器の内壁に張り付くのを防止することができ、回収された廃材を回収容器ごとリサイクルあるいは廃棄できる回収容器、その回収容器を備えた後処理装置、および画像形成装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る回収容器は、上記課題を解決するために、基材を加工する際に廃材が発生する本体装置から当該廃材を回収し、当該本体装置に対して着脱自在に備えられ、前記廃材と同系統の材質の材料で形成される回収容器であって、上部に前記廃材を容器内部に投入する回収口と、底部に前記廃材が吸引される吸引口とを有し、上記吸引口には、フィルターが設けられていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、吸引口から回収容器内部の気体が吸引され、廃材は、底部のフィルターにより容器外部に排出されることなく、回収容器の底部から上部へと容器内に溜まる。よって、廃材が静電気により回収容器の内壁に張り付くのを防止することができる。そのため、廃材の満杯を検知するセンサが回収容器の上部付近に設けられ設けられている場合であっても、廃材がセンサ付近に貼り付いてセンサが誤作動することがない。このことから、回収容器が廃材で満杯になった時期に交換を行うことができ、回収容器を無駄に交換することを防止できる。そして、回収容器は、廃材と同系統の材質の材料で形成されているので、回収された廃材を別の容器に移し替えることなくそのまま廃棄したりリサイクルしたりすることができ、分別回収が容易に行える。また、廃材をこぼして床や手を汚すことがない。なお、廃材と同系統の材質の材料とは、リサイクルあるいは廃品回収等における分類が、廃材と回収容器とで同じになるような材料であればよい。例えば、廃材が紙である場合、回収容器は、紙あるいは木材で形成されていてもよく、あるいは可燃物で形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明に係る回収容器では、上記構成に加え、前記フィルターは上記吸引口に着脱自在に設けられていてもよい。
【0012】
上記構成によると、フィルターは上記吸引口に着脱自在に設けられていることで、廃材回収後の(廃材で満杯になった)回収容器からフィルターを外すことで、フィルターを再利用することができる。
【0013】
また、本発明に係る回収容器では、上記構成に加え、前記フィルターは、廃材と同系統の材質で形成されていてもよい。
【0014】
上記構成によると、回収容器を、フィルターごと、廃棄、あるいはリサイクルすることができる。
【0015】
また、本発明に係る回収容器では、上記構成に加え、前記フィルターの中央部は、当該回収容器の内部に向かう凸形状となっていてもよい。
【0016】
上記構成によると、フィルターの中央部が、回収容器の内部に向かう凸形状となっていることで、気体の逃げ道を確保しやくすく、廃材がフィルターの目詰まりを起こすことを防止することができる。
【0017】
また、本願に係る回収容器では、上記本体装置は、基材であるシートに対してパンチ処理を行う装置であり、上記廃材は、パンチ屑であり、上記材料はシートであり、当該シートを円筒状にして形成されていてもよい。
【0018】
シートに対してパンチ処理を行うことのできる後処理装置においてはパンチ屑の回収部が存在する。通常、パンチ処理によって発生するパンチ屑は、回収部における回収容器に集められ、廃棄やリサイクルのために分別収集される。
【0019】
本願発明の構成によれば、パンチ処理されるシートを、円筒状に形成することで、回収容器と回収する廃材(パンチ屑)とが同一の材質となり、そのまま廃棄やリサイクルに回すことができる。また、パンチ処理されるシートは、紙のことが多く、それを円筒状にすることで回収容器を形成できるので、回収容器を低コストで簡易に形成することができる。また、回収容器として、画像が形成されたシートを用いると、古紙を利用することができ、より環境に配慮することができる。
【0020】
本発明に係る後処理装置は、上記課題を解決するために、上記何れか1つの回収容器を交換可能に装着でき、前記吸引口に連結し、前記回収容器内の気体を外部へ排出する排気部を備えたことを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、回収容器の吸引口から回収容器内の気体を外部へ排出する排気部を備えているため、交換可能な回収容器内の気体を排出して、効果的に廃材を吸引口に吸引させることができる。よって、廃材が静電気により回収容器の内壁に張り付くのを防止することができる。よって、廃材の満杯を検知するセンサが回収容器の壁面に設けられ設けられている場合であっても、廃材が壁面に貼り付いてセンサを誤作動させることがない。よって、回収容器の交換を適切な時期に行うことができる。
【0022】
また、本発明に係る後処理装置では、上記構成に加え、上記排気部にはファンが設けられていてもよい。
【0023】
上記構成によると、ファンにより、回収容器の吸引口から効率的に回収容器内の気体を排出でき、回収容器内の壁面への廃材の付着をより効果的に防ぐことができる。
【0024】
本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、上記何れかの後処理装置を備えたことを特徴としている。よって、本発明に係る画像形成装置では、上記何れかの後処理装置を有していることで、上記後処理装置と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る回収容器は、基材を加工する際に廃材が発生する本体装置から当該廃材を回収し、当該本体装置に対して着脱自在に備えられ、前記廃材と同系統の材質の材料で形成される回収容器であって、上部に前記廃材を容器内部に投入する回収口と、底部に前記廃材が吸引される吸引口とを有し、上記吸引口には、フィルターが設けられている。
【0026】
上記の構成によれば、吸引口から回収容器内部の気体が吸引され、廃材は、底部のフィルターにより容器外部に排出されることなく、回収容器の底部から上部へと容器内に溜まる。よって、廃材が静電気により回収容器の内壁に張り付くのを防止することができる。そのため、廃材の満杯を検知するセンサが回収容器の上部付近に設けられ設けられている場合であっても、廃材がセンサ付近に貼り付いてセンサが誤作動することがない。このことから、回収容器が廃材で満杯になった時期に交換を行うことができ、回収容器を無駄に交換することを防止できる。そして、回収容器は、廃材と同系統の材質の材料で形成されているので、回収された廃材を別の容器に移し替えることなくそのまま廃棄したりリサイクルしたりすることができ、分別回収が容易に行える。また、廃材をこぼして床や手を汚すことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の一実施形態について図1ないし図9に基づいて説明すると以下の通りである。
【0028】
〔画像形成装置〕
先ず、本発明の回収容器が適用される本発明に係る画像形成装置の構成例を、図2および図3を参照して説明する。
【0029】
図2に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、プリンタ部(画像形成部)2と、プリンタ部2の下に配置された給紙ユニット部3とを備えている。プリンタ部2の略中央の位置には、感光体4を中心とする電子写真プロセス部が配置されている。この電子写真プロセス部は、感光体4を中心として、その周囲に帯電ユニット5、光走査ユニット6、現像ユニット7、転写ユニット8、およびクリーニングユニット9を配置した構成となっている。
【0030】
帯電ユニット5は、感光体4の表面を均一に帯電させる。光走査ユニット6は、均一に帯電された感光体4上に光像を走査して静電潜像を書き込む。現像ユニット7は、光走査ユニット6により書き込まれた静電潜像を現像剤により顕像化する。転写ユニット8は、感光体4上に記録再現された画像を記録媒体上に転写する。クリーニングユニット9は、感光体4上に残留した現像剤を除去して、感光体4上に新たな画像を記録することができるようにする。
【0031】
なお、クリーニングユニット9により除去された残留現像剤は、回収経路を介して後述する回収容器に送られ、該回収容器内に回収される。回収容器内に回収された残留現像剤は、後に廃棄あるいは別の製品などにリサイクルすることができる。この残留現像剤の回収容器も、後述するパンチ屑の回収容器51と同様に、回収する廃材、ここでは現像剤と同系統の材質の材料、で形成されていてもよい。つまり、残留現像剤の回収容器は、残留現像剤や現像剤の製造過程において発生する製品規格外の微粉トナー等を原料とするリサイクル製品として製造されるものとすることができる。なお、残留現像剤や製品規格外の微粉トナー等を原料として樹脂成形品を製造する方法については、公知の技術を用いればよい。また、残留現像剤の回収容器は、必ずしも残留現像剤や製品規格外の微粉トナーと原料とする必要は無く、少なくとも残留現像剤を同時にリサイクルできるように、現像剤と同系統の材質の材料が用いられていればよい。
【0032】
また、残留現像剤の回収容器は、回収した残留現像剤ごと廃棄する際、回収した残留現像剤が容器外部に飛散しないように蓋部(残留現像剤の回収容器を画像形成装置1にセットする際には取り外されている)を有するのがよい。この蓋部も、現像剤と同系統の材質の材料にて形成されるのが好ましい。
【0033】
プリンタ部2の内部の上部には、定着装置20が配置されている。定着装置20は、画像が転写されたシートを順次受け入れて、定着ローラと加圧ローラ等により、熱と圧力によりシート上に転写された現像画像を定着するものである。これにより、シート上に画像が記録される。
【0034】
画像が記録されたシートは、搬送ローラによりさらに上方搬送され、排紙部21から排紙トレイ22に排出されるか、あるいは排紙部21で反転し最上部に位置する搬送経路を介して排紙トレイとは反対側に搬送され、上部トレイ32と下部トレイ33とを備えている後処理装置30に送られ後処理の有無に応じて後処理がなされて上部トレイ32あるいは下部トレイ33に排出される。
【0035】
一方、両面画像形成が指定されている場合には、最上部に位置する搬送経路の途中から、反転搬送経路23を通って再び電子写真プロセス部に送られ、両面に画像が形成される。
【0036】
次に、給紙ユニット部3について説明する。給紙ユニット部3は、複数の給紙トレイ(記録媒体供給部)11〜14を備えている。これらの給紙トレイ11〜14を備えていることにより、給紙ユニット部3は、記録媒体としての多彩なシートを例えばサイズ毎に分別して収容することができる。
【0037】
画像形成装置1は、これらの給紙トレイ11〜14の中から1つのトレイを選択する。さらに、画像形成装置1は、選択されたトレイからシートを1枚ずつ分離し、感光体4と転写ユニット8との間に供給する。そして、転写ユニット8は、供給された用紙に、感光体上に記録再現された画像を転写する。
【0038】
ここで、給紙トレイ11〜14について、例を挙げてより具体的に説明する。給紙トレイ11と給紙トレイ12とは、互いに並列配置されている。そして、給紙トレイ11および給紙トレイ12の下側に給紙トレイ13が配置されており、さらに給紙トレイ13の下側に給紙トレイ14が配置されている。
【0039】
また、給紙トレイ13および給紙トレイ14の容量は、同程度の容量とされている。さらに、給紙トレイ11および給紙トレイ12の容量は、給紙トレイ13あるいは給紙トレイ14の容量よりも大きく設定されている。
【0040】
そして、給紙ユニット部3は、給紙トレイ11〜14に収容された用紙をプリンタ部2に向かって搬送するために、第1搬送経路15と第2搬送経路16とを備えている。なお、第1搬送経路15は、給紙トレイ11・13・14に収容された用紙をプリンタ部2に向かって搬送するものであり、第2搬送経路16は、給紙トレイ12に収容された用紙をプリンタ部2に向かって搬送するための経路である。
【0041】
また、第1搬送経路15は、給紙ユニット部3のフレーム17に沿って鉛直方向に延びている。一方、第2搬送経路16は、フレーム17に沿って水平方向に延びている。
【0042】
したがって、給紙ユニット部3の内部では、給紙トレイ11〜14と、第1搬送経路15と、第2搬送経路16とが効率よく配置されており、給紙ユニット部3の省スペース化が実現されている。
【0043】
なお、各給紙トレイ11〜14にシートをセットする場合は、画像形成装置1本体の前面側方向に目的の給紙トレイ11〜14を引き出してシートの補給を行う。
【0044】
第1搬送経路15中にて用紙が詰まった場合は、第1搬送経路15を構成するガイド15a(図中斜線部で示す)を、給紙ユニット部3の奥側を支点としてユーザの手前側に回動する。これにより、第1搬送経路15中で詰まった用紙を取り除くことができる。なお、この除去操作は、第1搬送経路15とフレーム17との間に予め確保されている作業空間を用いて行う。
【0045】
また、第2搬送経路16中にて用紙が詰まった場合も、第2搬送経路16を構成するガイド16a(図中斜線部で示す)を、給紙ユニット部3の奥側を支点として手前側に回動する。これにより、第2搬送経路16中で詰まった用紙を取り除くことができる。なお、この除去操作は、並列配置された給紙トレイ11および給紙トレイ12をユーザの手前側に引き出すことにより、第2搬送経路16の下方に作業空間を確保した上で行うこととなる。
【0046】
第2搬送経路16の下流側には、比較的少量のシートがセットされる手差し給紙ユニット18を設けている。この手差し給紙ユニット18には、どちらかというと特殊なシートがセットされる可能性が高い。これは、手差し給紙ユニット18に対しては、手軽にシートの交換あるいはセットができるためである。手差し給紙ユニット18からは第3搬送路21を介して第2搬送経路16にシートを供給できるようになっている。
【0047】
画像形成装置1は、さらに図2,3に示す後処理装置30、大容量給紙ユニット60、および図3に示す画像読取装置70等のオプション装置を連結することでシステムを追加することが可能である。後処理装置30については後述する。
【0048】
大容量給紙ユニット60は、給紙ユニット部3の右側にオプション装置として連結できるようになっている。この大容量給紙ユニット60は、その他の給紙トレイ11〜14に比べて、大きな容量に設定される。この場合には、大容量給紙ユニット60から給紙された用紙は、第4搬送経路19から第2搬送経路16を経てプリンタ部2へと導かれるようになっている。
【0049】
画像読取装置70は、プリンタ部2の上方に配置され、自動又は手動にて原稿の読取りを行い、読み取った原稿の画像データをプリンタ部2に送るものである。自動読取りの際には、原稿供給トレイ71から原稿のシートが順次送られる。
【0050】
上記構成の画像形成装置1は、プリンタ部2に装着された画像読取装置70にて読み込まれた画像や、画像形成装置1に外部から接続された機器(例えばパーソナルコンピュータなどの画像処理装置)からのデータを画像として記録出力することができる。
【0051】
〔後処理装置〕
次に、本発明に係る後処理装置について、図2,3を用いて説明する。図2に示す後処理装置30は、画像形成装置1のシート排出側に配置され、ユーザが図示しない操作部より入力設定する処理要求を画像形成装置1の図示しない制御部にて判断することにより、排出されたシートに対して要求に応じた所定の後処理を施して排出する。ここで、後処理装置30にて実施可能な後処理としては、ステープル処理やパンチ処理等が一般的であるが、本発明に係る後処理装置では、少なくともパンチ機能が備えられている。
【0052】
パンチ機能を有する後処理装置30では、排出するシートに対してパンチ処理を実行することで必ずパンチ屑(廃材)が発生する。発生したパンチ屑は、後処理装置30内で散乱しないように、図1に示すファンを有する排気部54から吸引されて回収部50にて回収される。回収容器51内に回収されたパンチ屑は、後に廃棄あるいはリサイクルに回される。このパンチ屑の回収部50については後述する。
【0053】
後処理装置30内に具備されるパンチ装置は、図4に示すように、ダイス35,36の間を通過するシートに対してパンチ処理を施すものであり、ダイス35,36にはパンチ用孔37が設けられており、各パンチ用孔37に対してパンチ38が設けられている。つまり、ダイス35,36の間にシートが存在している状態でパンチ38を下降させることで、該シートに対してパンチ処理を施すことができる。
【0054】
パンチ38を上下動させる構成としては、偏心カム39が用いられる。つまり、パンチ38の上端に直接に接触あるいはスリーブ等を介して接触する偏心カム39を一回転させることで、パンチ38を上下に1往復させることができる。なお、図示はしていないが、パンチ38はバネ等により上方に(偏心カム39に接触する側に)付勢されている。偏心カム39の回転駆動力はモータ40によって与えられ、偏心カム39の回転量はタイミング円盤41およびセンサ42によって検出される。
【0055】
なお、使用されるパンチ装置の構成は、上記例に限定されるものではなく、回転ダイスと回転パンチを用いシートの搬送動作に合わせてダイスとパンチを回転させながらパンチ穴を形成する構成のものなども使用できる。また、パンチ装置におけるパンチ可能な穴数も限定されるものでない。また、パンチ穴形成位置をシートのセンター以外の位置にも設定できるものでは、沢山のパンチとダイスをシートの搬送方向に対して直行する方向に配置したり、移動可能としたりして使用者の要望に応えることができるようになっている。
【0056】
上記パンチ装置において、シートに対してパンチ処理が施されるとパンチ屑が発生し、発生したパンチ屑はダイス35のパンチ用孔37から下方に落下される。このため、上記パンチでは、落下するパンチ屑を受け止めて回収するための回収容器51が該パンチ装置の下方にセットされている。
【0057】
後処理装置30には、ロックツメ31が設けられており、プリンタ部2の係合部72に嵌め込まれる。また、プリンタ部2と後処理装置30との位置合わせのために、プリンタ部2には位置決め部材73が設けられている。
【0058】
〔回収容器〕
次に、本発明に係る回収容器について、図1、5を用いて説明する。ここでは、前記後処理装置30のパンチ装置により発生するパンチ屑の回収容器51が設けられた回収部50について説明する。回収部50は、回収容器51とダストボックス52とを有している。
【0059】
ダストボックス52は、上記パンチ装置のパンチ38のパンチ用孔37から落下してくるパンチ屑を回収容器51に導くものである。
【0060】
回収容器51は、パンチ屑を回収し、上記パンチ装置に対して着脱自在に備えられ、パンチ屑と同系統の材質の材料で、ここでは、用紙で、形成される回収容器である。回収容器51の、上部には前記廃材を容器内部に投入する回収口、底部には容器内部の気体を吸引する吸引口とが設けられている。また、この吸引口には、フィルター53が設けられている。また、回収容器51の下方には、回収容器51の吸引口に連結し、回収容器51内の気体を外部へ排出する排気部54が設けられている。この排気部54にはファンが設けられており、回収容器51の吸引口から効率的に回収容器51内の気体を排出でき、回収容器51内の壁面への廃材の付着をより効果的に防ぐことができる。
【0061】
回収容器51としては、画像形成装置1で画像が形成される用紙(シート)を利用する。このように、回収容器51には、画像形成装置用いる用紙を使い、図5に示すように、円筒又は円錐にして形成することで、誰でも、簡単にまたコストをかけず回収容器51作ることができる。なお、回収容器51の材料として、画像が形成された用紙を用いてもよく、この場合、古紙を利用することができ、より環境に配慮することができる。
【0062】
回収容器51は、用紙を筒状あるいは円錐状(紙パック)にして、筒あるいは円錐の上下をテープ51aで止めて、形成する。ここで、回収容器51の底部の内径は、パンチ屑径より大きく、フィルター径より小さいものとする。回収されたパンチ屑は、フィルター53を外し、回収容器51と共に廃棄あるいはリサイクルされる。
【0063】
回収容器51は、回収したパンチ屑によって満杯になると該回収容器51ごと廃棄あるいはリサイクルされ、新たな回収容器51と交換されることが使用における前提となっている。このため、ユーザ側で、交換用の回収容器51を保管しておくことが考えられる。この回収容器51を使用時の形状(筒状)で保管使用とすると大きな保管スペースを要する。しかし、上記のように、回収容器51は、用紙を用いて容易に形成することができるため、形成せず、用紙のまま保管しておくことができる。例えば、画像形成装置1の給紙カセットから取り出して作成することもできる。
【0064】
また、ダストボックス52には回収容器がパンチ屑で満杯になったかを検知するセンサが設けられる。用いるセンサの種類は特に限定されない。センサは、ダストボックス52と回収容器51との接続部あたりに設けられている。
【0065】
ここで、フィルター53の構造について図6を用いて説明する。図6(a)に示すフィルター53は、その底部が、図6(b)に示すように、パンチ屑がこぼれないように網状になっており、この網の目は、屑漏れを防止するため、パンチ屑の径より小さくなっている。フィルター53は、回収容器51の底部に着脱可能となっていてもよい。この場合、フィルターは、回収容器51と共に廃棄せずに使い回すようになっていてもよい。あるいは、フィルターがパンチ屑と同系統の材質(例えば厚紙)で形成されており、回収容器51と共に廃棄あるいはリサイクルするようになっていてもよい。この場合には、回収容器51の底部から外れないようになっていてもよい。または、回収容器の底部が閉じられており、その底部の切り目等を入れることで、回収容器とフィルターとを一体的に設ける構成でもよい。
【0066】
また、フィルター53は、パンチ屑による目詰まりを防止するため、パンチ屑がフィルター53の網に吸着しない様に、フラットでなく、図6(c)に示すように、回収容器の内部に向かう凸形状になっているのが好ましい。このような形状であると、空気の逃げが設けられた構造となる。
【0067】
本実施形態の回収容器51によれば、吸引口から回収容器内部の気体が吸引され、廃材は、底部のフィルター53により容器外部に排出されることなく、回収容器51の底部から上部へと容器内に溜まる。よって、パンチ屑が静電気により回収容器51の内壁に張り付くのを防止することができる。そのため、パンチ屑の満杯を検知するセンサが回収容器51の上部付近に設けられ設けられていても、パンチ屑がセンサ付近に貼り付いてセンサが誤作動することがない。このことから、回収容器51がパンチ屑で満杯になった時期に交換を行うことができ、回収容器51を無駄に交換することを防止できる。そして、回収容器51は、パンチ屑と同系統の材質の材料で形成されているので、回収されたパンチ屑を別の容器に移し替えることなくそのまま廃棄したりリサイクルしたりすることができ、分別回収が容易に行える。また、パンチ屑をこぼして床や手を汚すことがない。
【0068】
なお、本発明に係る回収容器は、図1、5に示す構造に限定するものではなく、図7〜図9のような形状にしても良い。その場合でも、回収容器の底部には、上記と同様のフィルターを設ける構成とする。
【0069】
図7に示す回収容器は、鉛直方向に延びた容積を有し、容量に対して開口面積の小さい袋状になっている。このような袋状の回収容器は、満杯状態となって廃棄される時、上部開口付近を捻って閉じる、あるいは複数回折りたたむ等の簡単な作業で、容易に密閉状態を得ることができる。このため、回収容器廃棄時のユーザの手間を低減できる。
【0070】
図8に示す回収容器は、回収する廃材であるパンチ屑と同質の材料である紙材にて形成されている。この回収容器は、上面部が開放された直方体の箱型形状となっており、さらに蓋部を有している。この蓋部は、パンチ屑回収後の回収容器を廃棄あるいはリサイクルに出す際に、開放されていた容器上面を閉じて密閉し、回収物であるパンチ屑が飛散するのを防止するために設けられている。
【0071】
図9に示す回収容器は、回収する廃材であるパンチ屑と同質の材料である紙材にて形成されている。この回収容器は、上面部が開放された筒形状となっており、さらに蓋部を有している。この蓋部は、パンチ屑回収後の回収容器を廃棄あるいはリサイクルに出す際に、開放されていた容器上面を閉じて密閉し、回収物であるパンチ屑が飛散するのを防止するために設けられている。
【0072】
なお、上記では、本発明の回収容器をパンチ屑を回収する容器、本体装置をパンチ機能を有する後処理装置として説明したが、これらに限定されることない。本体装置は、基材を加工する際に廃材が発生する装置であればよく、また、回収容器は、本体装置からの廃材を回収し、本体装置に着脱自在に備えられ、廃材と同系統の材質の材料で形成される容器であればよい。なお、廃材と同系統の材質の材料とは、リサイクルあるいは廃品回収等における分類が、廃材と回収容器とで同じになるような材料であればよい。例えば、廃材が紙である場合、回収容器は、紙あるいは木材で形成されていてもよく、あるいは可燃物で形成されていてもよい。
【0073】
このように、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
基材を加工する際に廃材が発生する装置に着脱自在に備えられ、例えば、パンチ処理により発生するパンチ屑の回収に用いられる回収容器等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係る回収容器が備えられた回収部を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図3】上記画像形成装置の構成を示す斜視図である。
【図4】上記画像形成装置が有するパンチ処理装置の構成を示す図である。回収容器を示す斜視図である。
【図5】(a),(b)は、上記回収容器を示す斜視図である。
【図6】(a)〜(c)は、回収容器の底部に設けられるフィルターの構成を示す図である。
【図7】回収容器の他の例を示す斜視図である。
【図8】回収容器のさらに別の例を示す斜視図である。
【図9】回収容器のさらに別の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
2 プリント部
25 回収容器
30 後処理装置
50 回収部
51 回収容器
52 ダストボックス
53 フィルター
54 ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を加工する際に廃材が発生する本体装置から当該廃材を回収し、当該本体装置に着脱自在に備えられ、前記廃材と同系統の材質の材料で形成される回収容器であって、
上部に前記廃材を容器内部に投入する回収口と、
底部に容器内部の気体を吸引する吸引口と、を有し、
上記吸引口には、フィルターが設けられていることを特徴とする回収容器。
【請求項2】
前記フィルターは、上記吸引口に着脱自在に設けられていることを特徴する請求項1に記載の回収容器。
【請求項3】
前記フィルターは、廃材と同系統の材質で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の回収容器。
【請求項4】
前記フィルターの中央部は、当該回収容器の内部に向かう凸形状となっていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の回収容器。
【請求項5】
上記本体装置は、基材であるシートに対してパンチ処理を行う装置であり、
上記廃材は、パンチ屑であり、
上記材料はシートであり、当該シートを円筒状にして形成されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の回収容器。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の回収容器を交換可能に装着でき、
前記吸引口に連結し、前記回収容器内の気体を外部へ排出する排気部を備えたことを特徴とする後処理装置。
【請求項7】
上記排気部にはファンが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の後処理装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の後処理装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−184747(P2009−184747A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23108(P2008−23108)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】