説明

回路基板及びその製造方法

【課題】絶縁体を増加することなく高密度回路パターンを有する回路基板を製造できる回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】印刷回路基板は、(a)シード層が積層されたキャリアのシード層に、第1回路パターンに対応するように第1メッキ層、第1金属層及び第2メッキ層が順に積層された導電性凸状パターンを形成する段階と、(b)導電性凸状パターンが形成されるキャリアの一面と絶縁体とが対向するように積層し圧着する段階と、(c)キャリアを除去して導電性凸状パターンを絶縁体に転写する段階と、(d)導電性凸状パターンが転写された絶縁体の一面に第2回路パターンに対応するように第3メッキ層及び第2金属層が順に積層される導電パターンを形成する段階と、(e)第1メッキ層及びシード層を除去する段階と、(f)第1金属層及び第2金属層を除去する段階と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品が小型化、薄板化、高密度化、パッケージ(Package)化になることにつれ、回路基板も微細パターン化、小型化及びパッケージ化が共に進行されている。これにより、回路基板の微細回路パターンの形成、信頼性及び設計密度を高めるために原資材を変更するとともに回路の層構成を複合化する構造に変化する趨勢であり、部品もDIP(Dual In−Line Package)タイプからSMT(Surface Mount Technology)タイプに変更されてその実装密度も高くなっている。
【0003】
回路の複雑度が増加し、高密度及び微細回路パターンへの要求が増加することにより配線領域を拡大するための多様な形態の多層回路基板が提示されているが、従来多層回路基板の製造工程は作業工程が複雑であり、イオンマイグレーション(ion−migration)のため、隣接回路間に最小ピッチ(pitch)を維持しなくてはならないので微細回路パターンの形成に限界があるという問題点がある。
【0004】
また、多層回路基板の厚みが全体的に厚くなり基板の薄型化を実現し難く、回路と基板との接合部分にアンダーカット(under cut)が発生して回路が基板から剥離するという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前述した問題点を解決するために案出されたもので、本発明の目的は微細回路パターンを具現することにおいて、絶縁体が増加することなく絶縁体に埋め込まれる回路パターン及び絶縁体の外層に形成される回路パターンの2重回路パターンを形成し、高密度回路パターンを有する回路基板及びその製造方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は絶縁体に埋め込まれる回路パターンと外層に形成される回路パターンとの間に段差を形成することにより隣接回路間のピッチ(pitch)を減らして高密度の微細回路パターンを形成できる回路基板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、(a)シード層が積層されたキャリアのシード層に、第1回路パターンに対応するように第1メッキ層、第1金属層及び第2メッキ層が順に積層される導電性凸状パターンを形成する段階と、(b)導電性凸状パターンが形成されるキャリアの一面と絶縁体が対向するように積層し圧着する段階と、(c)キャリアを除去して導電性凸状パターンを絶縁体に転写する段階と、(d)導電性凸状パターンが転写された絶縁体の一面に、第2回路パターンに対応するように第3メッキ層及び第2金属層が順に積層される導電パターンを形成する段階と、(e)第1メッキ層及びシード層を除去する段階と、(f)第1金属層及び第2金属層を除去する段階と、を含む回路基板の製造方法が提供される。
【0008】
第1メッキ層、第2メッキ層及び第3メッキ層はシード層と同一な金属材質から形成されることができ、第1金属層及び第2金属層はシード層と異なる金属材質から形成される。この場合、シード層は銅(Cu)を含むことができ、第1金属層及び第2金属層は錫(Sn)及びニッケル(Ni)の中の少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0009】
段階(a)は、(a1)シード層に選択的にメッキレジストを形成し、第1回路パターンに対応する凹状パターンを形成する段階と、(a2)電解メッキをそれぞれ行い、凹状パターンに第1メッキ層、第1金属層及び第2メッキ層を順に積層する段階と、(a3)メッキレジストを除去する段階と、を含むことができる。
【0010】
キャリアは金属板であってもよく、この場合、段階(c)は、金属板をエッチングすることにより行われることができる。
【0011】
段階(d)は、(d1)絶縁体の一面に選択的にメッキレジストを形成し、第2回路パターンに対応する凹状パターンを形成する段階と、(d2)電解メッキをそれぞれ行い、凹状パターンに第3メッキ層及び第2金属層を順に積層する段階と、(d3)メッキレジストを除去する段階と、を含むことができる。
【0012】
段階(a)は、(f)二つのキャリアのシード層のそれぞれに導電性凸状パターンを形成する段階を含み、段階(b)は(g)絶縁体の両面に、導電性凸状パターンが形成された二つのキャリアの一面がそれぞれ対向するように積層し圧着する段階を含み、段階(c)は(h)二つのキャリアを除去する段階を含み、段階(d)は(i)絶縁体の両面に導電パターンを形成する段階を含むことができる。
【0013】
段階(i)の前に、(j)絶縁体にビアホール(via hall)を形成する段階と、(k)ビアホールにシード層を形成する段階とをさらに含み、段階(i)の後に、(l)絶縁体に選択的にソルダレジストを塗布する段階をさらに含むことができる。
【0014】
また、本発明の他の実施形態によれば、トレンチ(trench)を含む絶縁体と、トレンチの一部を埋め込むことにより形成される第1回路パターン及びトレンチが形成された絶縁体の一面に形成される第2回路パターンとを含む回路基板が提供される。
【0015】
第1回路パターン及び第2回路パターンは絶縁体の両面にそれぞれ形成されることができる。
【0016】
絶縁体の両面にそれぞれ形成される第1回路パターンを電気的に接続するビアホールをさらに含むことができる。
【0017】
第2回路パターンの一部は第1回路パターンの一部に重なるように形成されることができる。
【0018】
前述した以外の他の実施形態、特徴、利点が以下の図面、本発明の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明から明らかになるだろう。
【発明の効果】
【0019】
本発明の好ましい実施例によれば、絶縁体が増加することなく絶縁体に埋め込まれる回路パターン及び絶縁体の外層に形成される回路パターンの2重回路パターンを形成して高密度回路パターンを有する回路基板を製造することができる。
【0020】
また、絶縁体が増加することなく多層構造の回路基板が形成できるので、回路基板の全体的な厚みを減らすだけではなく、原資材も節減できる。
【0021】
また、回路が基板の内部に形成されることにより回路と基板との間の接着力が高いので回路の剥離することが少なく、基板の熱放出が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明による回路基板及びその製造方法の好ましい実施例を添付図面を参照して詳しく説明し、添付図面を参照して説明することにおいて、同一かつ対応する構成要素は同一の図面番号を付与し、これに対する重複される説明は省略する。
【0023】
図1は本発明の好ましい一実施例による回路基板の断面図である。図1を参照すると、絶縁体24、第1回路パターン30、第2回路パターン32、ビア36が示されている。
【0024】
電子製品の小型化、薄板化、高密度化に従い、回路基板も小型化、微細パターン化が共に進行されている。このような回路基板上の回路パターンの高密度化及び微細パターン化により回路間の隣接距離(回路の中心と隣接回路の中心との間の距離を'ピッチ(pitch)'という)が近くなることによりイオンなどの移動による回路の漏電や回路間の絶縁欠陷が発生する。よって、微細回路パターンの製作において、このような回路の漏電や絶縁欠陷の防止のめに隣接回路間の最小ピッチ(pitch)を維持しなくてはならないが、これのため、微細回路パターンの形成には限界がある。
【0025】
本実施例は、絶縁体24が増加することなく、絶縁体24に埋め込まれる第1回路パターン30及び絶縁体24の外層に形成する第2回路パターン32の2重回路パターンを形成して高密度回路パターンを有する回路基板を提供する。すなわち、絶縁体24に埋め込まれる第1回路パターン30と絶縁体24の外層に形成される第2回路パターン32との間に段差を形成することで隣接回路間の相互距離を減らして高密度の微細回路パターンが形成できる回路基板を提供する。この際、絶縁体24に埋め込まれる第1回路パターン30と絶縁体24の外層に形成される第2回路パターン32との間の段差を所定距離以上に形成して電気的短絡が発生しないようにする。
【0026】
本実施例による回路基板は、第1回路パターン30に対応するトレンチ(trench)が形成されている絶縁体24と、トレンチの一部を埋め込んで形成する第1回路パターン30及びトレンチが形成された絶縁体24の一面に形成される第2回路パターン32とを主要構成要素とし、第1回路パターン30と第2回路パターン32との間には一定距離以上の段差が形成される。
【0027】
同一平面上に形成する回路間には所定距離以上のピッチを維持しなくてはならないが、本実施例による回路基板は第1回路パターン30及び第2回路パターン32のそれぞれを所定距離以上の段差をなす二つの平面上に形成することにより一定距離以上のピッチを形成することと同じ効果を得ることができる。このように構成して高密度の回路パターンを有した回路基板を提供することができる。
【0028】
一方、図1に示されているように、第1回路パターン30及び第2回路パターン32を絶縁体24の両面にそれぞれ形成し、一つの絶縁体24に4層の回路パターンを形成することも可能である。この場合、絶縁体24の両面にそれぞれ形成される第1回路パターン30をビア36で連結して電気的導通が可能となるようにすることができる。
【0029】
また、第1回路パターン30の一部に第2回路パターン32の一部が重なるように形成することで(図1のビア36の形成部分参照)絶縁体24の一面に形成される第1回路パターン30及び第2回路パターン32の間を電気的接続することができる。
【0030】
図2は本発明の好ましい一実施例による回路基板の製造方法を示す工程図である。図2を参照すると、キャリア12、シード層14、メッキレジスト16、第1メッキ層18、第1金属層20、第2メッキ層22、導電性凸状パターン21、絶縁体24、第3メッキ層26、第2金属層28、導電パターン27、第1回路パターン30、第2回路パターン32が示されている。
【0031】
本実施例は絶縁体24が増加することなく絶縁体24に埋め込まれる第1回路パターン30及び絶縁体24の外層に形成される第2回路パターン32の2重回路パターンを形成することにより高密度回路パターンを有した回路基板の製造方法を提供する。
【0032】
すなわち、シード層14が積層されたキャリア12のシード層14に、第1回路パターン30に対応するように第1メッキ層18、第1金属層20及び第2メッキ層22が順に積層された導電性凸状パターン21を形成し、導電性凸状パターン21が形成されるキャリア12の一面と絶縁体24とが対向するように積層して圧着した後キャリア12を除去すると、導電性凸状パターン21が絶縁体24の一面に転写される。
【0033】
次に、導電性凸状パターン21が転写された絶縁体24の一面に第2回路パターン32に対応するように第3メッキ層26及び第2金属層28が順に積層された導電パターン27を形成した後、第1メッキ層18及びシード層14を除去する。
【0034】
以後、第1金属層20及び第2金属層28を除去すれば、絶縁体24の一面に所定深さで埋め込まれた第1回路パターン30及び絶縁体24の一面に形成された第2回路パターン32を有する回路基板を製造することができる。
【0035】
図2の(a)、(b)及び(c)を参照すると、シード層14が積層されたキャリア12のシード層14に、第1回路パターン30に対応するように第1メッキ層18、第1金属層20及び第2メッキ層22が順に積層された導電性凸状パターン21を形成するために、シード層14に選択的にメッキレジスト16を形成して第1回路パターン30に対応する凹状パターンを形成し(図2の(a))、シード層14を電極として電解メッキをそれぞれ行い、凹状パターンに第1メッキ層18、第1金属層20及び第2メッキ層22を順に積層した後(図2の(b))、メッキレジスト16を除去すれば、第1回路パターン30に対応する導電性凸状パターン21を形成することができる(図2の(c))。
【0036】
キャリア12のシード層14に第1回路パターン30に対応するように導電性凸状パターン21を形成する方法には、キャリア12のシード層14に感光性材料を塗布し、第1回路パターン30に対応するようにフォトマスクを製作した後、これを感光性材料を塗布したシード層14に積層して、紫外線に露光する。露光の後に感光性材料の非硬化部分を現像液を用いて現像することによりシード層14に第1回路パターン30に対応する凹状パターンを形成する(図2の(a))。
【0037】
キャリア12のシード層14上に積層された感光性フィルム層を選択的に露光、現像するとキャリア12のシード層14の上のフォトマスクのために露光されなかった非硬化感光性フィルム層が除去され、露光により硬化された感光性フィルム層は残留するので第1回路パターン30に対応する凹状パターンを形成できるようになる。
【0038】
感光性材料として感光性フィルム層、例えば、ドライフィルムなどを用いてキャリア12のシード層14に積層し、これをアートワークフィルムなどのフォトマスクを使用して選択的に露光、現像し、所望する第1回路パターン30に対応する凹状パターンを形成する。一方、液状の感光性材料をキャリア12のシード層14にコーティングし感光性フィルム層を形成することも可能である。
【0039】
キャリア12のシード層14に、第1回路パターン30に対応する凹状パターンが形成されると、先ず、凹状パターンにシード層14を電極として電解メッキを行い第1メッキ層18を形成する。第1メッキ層18が積層されると、第1金属層20を電解メッキを用いて積層する。
【0040】
第1金属層20としては、錫及びニッケルの中の少なくとも一つ以上を含むことができる。この際、第1メッキ層18及び第1金属層20は凹状パターンの一部のみに形成する。凹状パターンに積層される第1メッキ層18及び第1金属層20の高さは、以後の工程で第1メッキ層18及び第1金属層20が除去されることにより第1回路パターン30と第2回路パターン32との間に所定距離を持つ段差が形成されるので、電気的短絡が発生しない程度の高さで第1メッキ層18及び第1金属層20を積層することにする。
【0041】
所定深さの第1メッキ層18及び第1金属層20が凹状パターンに積層されたら、その上にさらに第2メッキ層22を積層する。第2メッキ層22は、後で、第1メッキ層18及び第1金属層20が除去されると第1回路パターン30を形成する(図2の(b))。
【0042】
第1メッキ層18及び第2メッキ層22としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、クロム(Cr)など当業者に自明な導電性物質を用いることができる。例えば、シード層14として銅(Cu)を用いることができ、これを電極にして銅電解メッキを行い第1メッキ層18及び第2メッキ層22を凹状パターンに積層することができる。
【0043】
第1金属層20及び第2金属層28は第1ないし第3メッキ層26とは異なる金属から形成し、後述する第1メッキ層18及びシード層14を除去する際にエッチングレジストの役目を果たすようにする。
【0044】
第1金属層20及び第2金属層28は錫(Sn)及びニッケル(Ni)の中の少なくとも一つ以上を含むことができる。すなわち、錫(Sn)またはニッケル(Ni)を用いて金属層を形成することができ、錫(Sn)を形成した後その上にさらにニッケル(Ni)を形成することもでき、ニッケル(Ni)を形成した後その上にさらに錫(Sn)を形成することもできる。勿論、第1金属層20と第2金属層28とをそれぞれ異なる金属から形成することも可能である。
【0045】
凹状パターンに第1メッキ層18、第1金属層20及び第2メッキ層22を順に積層した後、メッキレジスト16を除去すれば、キャリア12のシード層14に第1回路パターン30に対応する導電性凸状パターン21を形成することができる(図2の(c))。
【0046】
キャリア12のシード層14に導電性凸状パターン21が形成されたら、導電性凸状パターン21が形成されたキャリア12の一面と絶縁体24とが対向するように積層して圧着することにより導電性凸状パターン21を絶縁体24に圧入させた後(図2の(d)及び(e))、キャリア12を除去すると、導電性凸状パターン21が絶縁体24の一面に埋め込まれ転写される。この際、キャリア12の一面に積層されていたシード層14も共に移転された結果となる(図2の(f))。
【0047】
絶縁体24は熱可塑性樹脂及びガラスエポキシ樹脂の中の少なくともいずれか一つを含み、導電性凸状パターン21を絶縁体24に埋め込む際の絶縁体24は軟化状態にある。すなわち、熱可塑性または/及びガラスエポキシ樹脂を軟化温度以上に加熱して絶縁体24を軟化状態にさせた後、キャリア12のシード層14に凸状で形成された導電性凸状パターン21を軟化状態の絶縁体24に圧入することになる。一方、ガラス纎維に熱硬化性樹脂を浸透させ、半硬化状態にしたプリプレグ(prepreg)を絶縁体24として用いることも可能である。
【0048】
キャリア12を除去する方法としては、キャリア12が金属板からなった場合には金属板をエッチングすることで除去することができ、キャリア12が樹脂などのフィルムからなり、熱可塑性接着剤で絶縁層に接着されている場合には一定温度を加えて接着剤の接着力を減少させてキャリア12を分離することも可能である。
【0049】
導電性凸状パターン21が絶縁体24の一面に転写されたら、絶縁体24の一面に第2回路パターン32に対応するように第3メッキ層26及び第2金属層28が順に積層される導電パターン27を形成する。
【0050】
すなわち、絶縁体24の一面に選択的にメッキレジスト16を形成して第2回路パターン32に対応する凹状パターンを形成し(図2の(g))、電解メッキを行い第3メッキ層26及び第2金属層28を順に積層した後(図2の(h))、メッキレジスト16を除去し絶縁体24の一面に第2回路パターン32に対応する導電パターン27を形成する(図2の(i))。
【0051】
第2回路パターン32に対応する凹状パターンを形成する方法はシード層14に第1回路パターン30に対応する凹状パターンを形成する方法と同様であるのでこれに関する説明は省略する。
【0052】
第2回路パターン32に対応する凹状パターンが形成されたら、凹状パターンに第3メッキ層26及び第2金属層28を順に積層するが、前述したように、絶縁体24からキャリア12を除去するとキャリア12の一面に形成されていたシード層14も共に絶縁体24に移転されたので、これを電極として電解メッキを行い第3メッキ層26を積層した後、その上に、さらに第2金属層28を積層する。
【0053】
第3メッキ層26としてはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、クロム(Cr)など当業者に自明な導電性物質を用いることができる。例えば、シード層14として銅(Cu)を用いることができ、これを電極として銅電解メッキを行い第3メッキ層26を凹状パターンに積層することができる。後の工程で第1金属層20及び第2金属層28を除去すると第3メッキ層26は絶縁体24の一面に形成される第2回路パターン32となる。
【0054】
第2金属層28は、後工程の第1及び第2金属層28を除去する段階で一度のエッチングにより第1金属層20と第2金属層28とを共に除去できるように第1金属層20と同一の材料を用いて形成することがよい。
【0055】
導電パターン27は絶縁体24の一面に圧入され形成された導電性凸状パターン21と一部重なるように形成することができる。このように導電性凸状パターンと一部が重なると、後の工程で形成される第1回路パターン30と第2回路パターン32とを電気的に接続することができる。すなわち、導電パターン27の一部と絶縁体24の一面に圧入され形成された導電性凸状パターン21の一部とが重なるようにするために、第2回路パターン32に対応する凹状パターンの一部が導電性凸状パターン21の上に形成されるようにし、凹状パターンに第3メッキ層26及び第2金属層28を積層すれば、導電性凸状パターン21の一部と導電パターン27の一部とが重なって電気的に接続することができる。
【0056】
絶縁体24の一面に、第2回路パターン32に対応するように第3メッキ層26及び第2金属層28が順に積層された導電パターン27を形成した後、第1メッキ層18とシード層14とを除去する。第1メッキ層18はシード層14を電極にして電解メッキを行うことにより形成され、第1メッキ層18とシード層14とは同一の金属から形成して一度のエッチングにより同時に除去できるようにすることがよい。この際、第1金属層20及び第2金属層28はシード層14と異なる金属材質から形成することにより第1メッキ層18及びシード層14をエッチングする際にレジスト(resist)として作用させ、第1金属層20が形成されている領域及び第2金属層28が形成されている領域はエッチングされないようにする(図2の(j))。
【0057】
第1メッキ層18及びシード層14が除去されたら、第1金属層20及び第2金属層28を除去する。第1金属層20と第2金属層28とが互いに異なる金属材質である場合にはそれぞれの金属に合わせてエッチングできるエッチング液を塗布してそれぞれ除去することができ、第1金属層20と第2金属層28とが同じ材質の金属である場合には一度のエッチングにより共に除去することができる。エッチング工程の時間を短縮するためには同一材質の金属を用いて形成することがよい(図2の(k))。
【0058】
第1メッキ層18、シード層14及び第1金属層20の除去により、第1メッキ層18及び第1金属層20が形成された高さ分の段差が形成され、第2メッキ層22が絶縁体24に所定深さで埋め込まれ第1回路パターン30が形成される。また、第2金属層28を除去することにより第3メッキ層26が絶縁体24の一面に形成され第2回路パターン32を形成する。
【0059】
第1回路パターン30と第2回路パターン32とが所定距離の段差を有して形成されると、第1回路パターン30にすぐ隣接して第2回路パターン32を形成しても電気的短絡が発生しないため、高密度の回路パターンが形成された回路基板を製造することができる。
【0060】
図3は本発明の好ましい他の実施例による回路基板の製造方法を示す工程図である。図3を参照すると、キャリア12、シード層14、メッキレジスト16、導電性凸状パターン21、絶縁体24、第3メッキ層26、第2金属層28、導電パターン27、第1回路パターン30、第2回路パターン32、ビアホール34、ビア36が示されている。
【0061】
本実施例は、二つのキャリア12を使用して絶縁体24の両面にそれぞれ2層の回路パターンを形成し、4層構造の回路基板が製造できる方法を提供する。
【0062】
前述した方法により二つのキャリア12のシード層14のそれぞれに、第1回路パターン30に対応するように第1メッキ層、第1金属層及び第2メッキ層が順に積層された導電性凸状パターン21を形成し、絶縁体24の両面に、導電性凸状パターン21がそれぞれ形成された二つのキャリア12の一面がそれぞれ対向するように積層し圧着した後、二つのキャリア12を除去すると、導電性凸状パターン21が絶縁体24の両面にそれぞれ埋め込まれる(図3の(a)、(b)、(c))。
【0063】
導電性凸状パターン21が絶縁体24の両面に転写されたら、絶縁体24の両面に、第2回路パターン32に対応するように第3メッキ層26及び第2金属層28が順に積層された導電パターン27を形成する。
【0064】
すなわち、絶縁体24の両面に選択的にメッキレジスト16を形成して第2回路パターン32に対応する凹状パターンを形成し(図3の(d))、電解メッキを行い第3メッキ層26及び第2金属層28を順に積層した後(図3の(e))、メッキレジスト16を除去して絶縁体24の一面に第2回路パターン32に対応する導電パターン27を形成する(図3の(f))。
【0065】
以後、第1メッキ層18、シード層14を除去し(図3の(g))、第1金属層20及び第2金属層28を除去すると、第1回路パターン30が絶縁体24の両面に所定深さで埋め込まれ、第2回路パターン32が絶縁体24の両面に形成された回路基板を製造することができる(図3の(h))。
【0066】
一方、キャリア12を除去し、導電性凸状パターン21を絶縁体24の両面に埋め込んだ後、絶縁体24の両面に導電パターン27を形成する前に絶縁体24にビアホール34を加工した後、ビアホール34をメッキするためにビアホール34内にシード層14を形成する段階を行うことができる。この場合、絶縁体24の両面にそれぞれ埋め込まれる二つの導電性凸状パターン21の端部が互いに向い合うように第1回路パターン30を設計してビアホール34の加工を容易にすることができる。
【0067】
シード層14が形成されたビアホール34を加工した後に、ビア36の形成領域を含んで第2回路パターン32に対応する凹状パターンを形成する。ビア36の形成領域を含む凹状パターンを形成した後、凹状パターンに第3メッキ層26と第2金属層28とを積層すると、全層の層間導通が容易になる。
【0068】
以後、基板の表面及び外層に露出した回路を保護するためにソルダレジストを塗布する。また、半導体チップなどが結合されるパッド部分は金メッキ工程を行うことができる。
【0069】
図4は本発明の好ましい一実施例による回路基板の製造方法を示すフローチャートである。図4を参照すると、S100段階で、シード層が積層されたキャリアのシード層に、第1回路パターンに対応するように第1メッキ層、第1金属層及び第2メッキ層が順に積層される導電性凸状パターンを形成する。
【0070】
シード層が積層されたキャリアのシード層に第1回路パターンに対応するように第1メッキ層、第1金属層及び第2メッキ層が順に積層された導電性凸状パターンを形成するために、シード層に選択的にメッキレジストを形成して第1回路パターンに対応する凹状パターンを形成し、シード層を電極として電解メッキをそれぞれ行い凹状パターンに第1メッキ層、第1金属層及び第2メッキ層を順に積層した後、メッキレジストを除去すれば、第1回路パターンに対応する導電性凸状パターンを形成することができる。
【0071】
先ず、キャリアのシード層に感光性材料を塗布し、第1回路パターンに対応するフォトマスクを製作した後、これを感光性材料が塗布されたシード層に積層した後に紫外線に露光する。露光の後に感光性材料の非硬化部分を現像液で現像し、シード層に第1回路パターンに対応する凹状パターンを形成する。(S110)
【0072】
キャリアのシード層上に積層された感光性フィルム層を選択的に露光、現像すると、キャリアのシード層上のフォトマスクにより露光されなかった非硬化感光性フィルム層は除去され、露光により硬化された感光性フィルム層は残留するので第1回路パターンに対応する凹状パターンを形成することができる。
【0073】
キャリアのシード層に第1回路パターンに対応する凹状パターンが形成されたら、 シード層を電極として電解メッキを行い凹状パターンに第1メッキ層を形成する。第1メッキ層が積層されると、第1金属層を電解メッキを用いて積層する。第1金属層としては、錫及びニッケルの中の少なくともいずれか一つ以上を含むことができる。この際、第1メッキ層及び第1金属層は凹状パターンの一部のみに形成する。所定深さの第1メッキ層及び第1金属層が凹状パターンに積層されると、その上にさらに第2メッキ層を積層する。第2メッキ層は後で第1メッキ層及び第1金属層が除去されると第1回路パターンになる(S120)。
【0074】
凹状パターンに第1メッキ層、第1金属層及び第2メッキ層を順に積層した後、メッキレジストを除去すると、キャリアのシード層に第1回路パターンに対応する導電性凸状パターンを形成することができる。(S130)
【0075】
S200段階で、導電性凸状パターンが形成されるキャリアの一面と絶縁体とが対向するように積層し圧着して、導電性凸状パターンを絶縁体24に圧入させる。
【0076】
S300段階で、キャリアを除去して絶縁体に圧入された導電性凸状パターンが絶縁体の一面に転写される。この際、キャリアの一面に積層されていたシード層も共に移転される。
【0077】
S400段階で、導電性凸状パターンが転写された絶縁体の一面に第2回路パターンに対応するように第3メッキ層及び第2金属層が順に積層された導電パターンを形成する。
【0078】
絶縁体の一面に選択的にメッキレジストを形成して第2回路パターンに対応する凹状パターンを形成し(S410)、電解メッキを行い第3メッキ層及び第2金属層を順に積層した後(S420)、メッキレジストを除去して絶縁体の一面に第2回路パターンに対応する導電パターンを形成する(S430)。導電パターンは絶縁体の一面に圧入され形成された導電性凸状パターンと一部重なるように形成することができる。このように導電性凸状パターンと一部が重なるようにすることで、以後の工程で形成される第1回路パターンと第2回路パターンとを電気的に接続することができる。すなわち、導電パターンの一部と絶縁体の一面に圧入され形成された導電性凸状パターンの一部とが重なるようにするために、第2回路パターンに対応する凹状パターンの一部を導電性凸状パターンの上に形成し、凹状パターンに第3メッキ層及び第2金属層とを積層して、導電性凸状パターンの一部と導電パターンの一部とが重なって電気的に接続するようにできる。
【0079】
S500段階で、第1メッキ層及びシード層を除去する。第1メッキ層はシード層を電極として電解メッキを行うことにより形成され、第1メッキ層とシード層とは同じ金属から形成して一度のエッチングにより同時に除去できるようにすることがよい。この際、第1金属層及び第2金属層はシード層と異なる金属材質から形成して、第1メッキ層及びシード層のエッチングに対してレジスト(resist)として作用することになるので第1金属層が形成されている領域及び第2金属層が形成されている領域はエッチングされない。
【0080】
S600段階で、第1金属層及び第2金属層を除去する。第1金属層と第2金属層とが互いに異なる金属材質である場合にはそれぞれの金属に合わせてエッチングできるエッチング液を塗布することでそれぞれ除去することができ、第1金属層と第2金属層とが同じ材質の金属である場合には一度のエッチングにより共に除去するようにする。エッチング工程の時間を短縮するために同じ材質の金属を用いて形成することがよい。
【0081】
第1メッキ層、シード層及び第1金属層の除去により第1メッキ層及び第1金属層が形成された高さ分だけの段差が形成され、第2メッキ層が絶縁体に所定深さで埋め込まれ第1回路パターンが形成される。また、第2金属層を除去することにより第3メッキ層が絶縁体の一面に形成され第2回路パターンが形成される。
【0082】
第1回路パターンと第2回路パターンが所定距離の段差を有して形成されると、第1回路パターンとすぐ隣接して第2回路パターンを形成しても電気的短絡が発生しない高密度の回路パターンが形成された回路基板を製造することができる。
【0083】
前述した実施例以外の多くの実施例が本発明の特許請求の範囲内に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の好ましい一実施例による回路基板の断面図である。
【図2】本発明の好ましい一実施例による回路基板の製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の好ましい他の実施例による回路基板の製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の好ましい一実施例による回路基板の製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
12 キャリア
14 シード層
16 メッキレジスト
18 第1メッキ層
20 第1金属層
21 導電性凸状パターン
22 第2メッキ層
24 絶縁体
26 第3メッキ層
27 導電パターン
28 第2金属層
30 第1回路パターン
32 第2回路パターン
34 ビアホール
36 ビア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シード層が積層されたキャリアの前記シード層に、第1回路パターンに対応するように第1メッキ層、第1金属層及び第2メッキ層が順に積層される導電性凸状パターンを形成する段階と、
(b)前記導電性凸状パターンが形成される前記キャリアの一面と絶縁体が対向するように積層し圧着する段階と、
(c)前記キャリアを除去して前記導電性凸状パターンを前記絶縁体に転写する段階と、
(d)前記導電性凸状パターンが転写された前記絶縁体の一面に、第2回路パターンに対応するように第3メッキ層及び第2金属層が順に積層される導電パターンを形成する段階と、
(e)前記第1メッキ層及び前記シード層を除去する段階と、
(f)前記第1金属層及び前記第2金属層を除去する段階と、
を含む回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1メッキ層、前記第2メッキ層、及び前記第3メッキ層が、前記シード層と同じ金属材質から形成され、
前記第1金属層及び前記第2金属層が、前記シード層と異なる金属材質から形成されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記シード層が、銅(Cu)を含み、前記第1金属層及び前記第2金属層が錫(Sn)及びニッケル(Ni)の中の少なくともいずれか一つ以上を含むことを特徴とする請求項2に記載の回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記段階(a)が、
(a1)前記シード層に選択的にメッキレジストを形成し前記第1回路パターンに対応する凹状パターンを形成する段階と、
(a2)電解メッキをそれぞれ行って前記凹状パターンに前記第1メッキ層、前記第1金属層及び前記第2メッキ層を順に積層する段階と、
(a3)前記メッキレジストを除去する段階と、
を含む請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記キャリアが、金属板であり、
前記段階(c)が、
前記金属板をエッチングすることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記段階(d)が、
(d1)前記絶縁体の一面に選択的にメッキレジストを形成して前記第2回路パターンに対応する凹状パターンを形成する段階と、
(d2)電解メッキをそれぞれ行って前記凹状パターンに前記第3メッキ層及び前記第2金属層を順に積層する段階と、
(d3)前記メッキレジストを除去する段階と、
を含む請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記段階(a)が、
(f)二つのキャリアの前記シード層のそれぞれに導電性凸状パターンを形成する段階を含み、
前記段階(b)が、
(g)前記絶縁体の両面に、前記導電性凸状パターンが形成された二つのキャリアの一面がそれぞれ対向するように積層し圧着する段階を含み、
前記段階(c)が、
(h)前記二つのキャリアを除去する段階を含み、
前記段階(d)が、
(i)前記絶縁体の両面に導電パターンを形成する段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記段階(i)の前に、
(j)前記絶縁体にビアホール(via hall)を形成する段階と、
(k)前記ビアホールにシード層を形成する段階と、をさらに含み、
前記段階(i)の後に、
(l)前記絶縁体に選択的にソルダレジストを塗布する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項9】
トレンチ(trench)を含む絶縁体と、
前記トレンチの一部を埋め込んで形成する第1回路パターンと、
前記トレンチが形成された前記絶縁体の一面に形成される第2回路パターンと、
を備える回路基板。
【請求項10】
前記第1回路パターン及び前記第2回路パターンが、前記絶縁体の両面にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項9に記載の回路基板。
【請求項11】
前記絶縁体の両面にそれぞれ形成される前記第1回路パターンを電気的に接続するビアホールをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の回路基板。
【請求項12】
前記第2回路パターンの一部は前記第1回路パターンの一部と重なるように形成されることを特徴とする請求項9に記載の回路基板。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−109140(P2008−109140A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276875(P2007−276875)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】