説明

回転式充填装置、液面レベル検出装置

【課題】 容器に充填される液体の液面レベルを安定かつ高精度に検知することができる回転式充填装置、液面レベル検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 飲料充填機10では、赤外線カメラ51を用いた液面検知部50により、容器100や液体の色、充填時に発生した泡等に関わらず、非接触で容器100への液体の充填レベルを検出する。その際、背面板53、遮蔽板54によって、周囲の熱の影響を受けるのを防止し、赤外線カメラ51における液面レベル検出を安定して行う。また、液晶パネル61からなるマスク部材60を用いることもでき、これによって周囲の外乱を受けず、所望の領域のみ赤外線カメラ51で撮影を行い、液面レベル検出の安定化を図ることができる。しかもこのマスク部材60は、容器100の種類が変わる場合にも光を透過する領域の位置を変更させるだけでよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水等の液体をPETボトルやガラス瓶、缶等の容器に充填する回転式充填装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水等の液体をPETボトルやガラス瓶、ボトル缶等の容器に充填する装置として、回転式充填装置が用いられている。この回転式充填装置は、回転する円板の外周部に複数の充填バルブを備えており、円板がほぼ1回転する間に、充填バルブから容器内への充填を行う。
【0003】
容器内に充填された液量を管理するため、容器内に充填された液量を検知する技術が種々提案されている。例えば、容器内にセンサ電極を挿入し、液体がセンサ電極に接触したことを検知することによって、容器内に所定量の液体が充填されたか否かを検出するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、近年、無菌充填方式等と称され、クリーンな環境下で液体を容器に充填することで、製品の安全性、品質等を担保する技術の採用が強く要求される傾向にある。このような要求に対し、飲料充填機の各部のサニタリー性を高めるための様々な工夫も行われている中で、センサ電極を液体に接触させることが歓迎されないのは、言うまでもなく明らかである。
そこで、容器への液体の充填量の検知を、非接触で行うことが要求される。
【0005】
これに対し、可視光や近赤外線光を用い、容器に充填された液体により透過光量が減衰することを利用し、非接触で充填量の検知を行うことも行われている。可視光や近赤外線光を用いる場合、充填する容器や液体の色等に応じ、検出感度が低くなることがあり、特に容器が不透明な場合等には、液体の検知自体ができないこともある。
【0006】
そこで、液体によって容器表面の温度が変化することを利用し、赤外放射エネルギを、赤外線カメラで撮影することによって、液体の充填量を検知する手法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−130714号公報
【特許文献2】特開2001−116611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、赤外放射エネルギを赤外線カメラで撮影する場合、画像処理を行うため、様々な不安定要因の影響を受けやすいという問題が存在する。
まず、容器に充填された液体の温度変化を赤外線カメラで捉えようとしても、周囲の各種熱源の影響を受けやすいという問題がある。これは、例えば高温の液体を充填する場合、周囲に位置する、液体充填中や液体充填後の容器や、各種装置の作動部が発する熱等を、赤外線カメラが捉えてしまうからである。また、このような充填装置は、ステンレス製で表面が鏡面仕上げであることも多く、前記したような熱が周囲で乱反射することもある。
【0009】
また、赤外線カメラで広い範囲を撮像すると、容器内に充填される液体の液面近傍だけでなく、その他の周囲の様々なものも撮像され、それを画像処理するには、余計な負荷もかかるうえ、本来求めたい液面近傍の温度変化を検出するのにノイズとなり、安定した検出の障害要素となり得る。
このため、図9に示すように、容器1と赤外線カメラの間に、スリット3を有したマスク板4をセットし、スリット3の部分を通して容器1に充填される液体の所定の液面レベル近傍のみを赤外線カメラで撮影することが考えられる。
しかし、容器1の種類が変わったりすると、検出すべき液面レベルの位置が変わることがあり、そのような場合にはマスク板4を交換する必要がある。このため、容器1の種類に応じて複数のマスク板4を用意しておかなければならず、それにはコストがかかるうえ、マスク板4の交換にも手間がかかる。
【0010】
さらに、赤外線カメラで撮影を行う際には、画像をクリアに得るため、容器1の背面側等から照明を当てる。しかし、この照明は、点灯開始後の経過時間や、周囲温度等によって発光効率が変動し、これが赤外線カメラで撮影した画像を処理する際に影響し、これも安定した検出の障害の一因となり得る。
【0011】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、容器に充填される液体の液面レベルを安定かつ高精度に検知することができる回転式充填装置、液面レベル検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的のもと、本発明の回転式充填装置は、円板の外周に複数の充填バルブを備え、円板の回転中に、充填バルブに開口部があてがわれた容器内へ充填バルブから液体を注入するものである。そして、このような回転式充填装置において、液体が注入される容器から放射される赤外放射エネルギを撮影するカメラと、カメラで撮影した画像を画像処理し、容器に充填された液体の液面レベルを検出する画像処理部と、画像処理部での検出結果に基づき、充填バルブを制御して容器内への液体の注入を停止させるコントローラとを備え、さらに、カメラで撮影するときに外部の熱影響を低減する熱影響低減部材を備えることを特徴とする。このような熱影響低減部材で、カメラで撮影するときに外部の熱影響を低減することにより、画像処理部における画像処理による液体の液面レベルの検出を安定して行うことが可能となる。
このような熱影響低減部材は、所要の機能を果たすことができるのであればいかなる構成のものを採用しても良いが、例えば、カメラに対し、容器を挟んだ反対側に配置される第一のパネルと、カメラの撮影方向後方を囲うように配置される第二のパネルとから構成することができる。
【0013】
カメラと撮影対象の容器との間には、カメラで撮影すべき領域のみ光を透過し、他の領域は光を非透過とするマスク部材をさらに備えるのが好ましい。これにより、カメラで撮影すべき領域以外からの光を非透過とすることで、カメラで撮影する領域の画像処理を安定して行える。この場合、マスク部材は、光を透過する領域の位置が変更可能であるものを採用するのが好ましい。容器の種類が変わり、カメラで撮影すべき領域、つまり液面を検出する位置が変わった場合にも、これに対応して光を透過する領域を容易に変更できるからである。これにより、型替えを容易に行える。
このように、光を透過する領域の位置が変更可能であるマスク部材としては、2枚一対の基板間に液晶が充填され、液晶が電気的に駆動される液晶パネルを用いるのが好ましい。このとき、液晶パネルの駆動は、駆動制御部によって制御される。
【0014】
また、この回転式充填装置は、カメラに対し、容器を挟んだ反対側に設けられ、容器に向けて光を照射する光源をさらに備えることができる。このような光源は、光量の均一性を高めるため、面状光を発する面状光源、または2次元的に配列された複数の点状光源からなるものを用いるのが好ましい。
光源が、複数の点状光源からなる場合、カメラにおける容器の撮影範囲に対応した部分に位置する点状光源のみを点灯させることもできる。
また、カメラに対し、容器を挟んだ反対側に容器に向けて光を照射する光源を設ける場合、光源で発する光の光量を検出する光量センサと、光量センサで検出した光量に基づき、光源で発する光量を制御する光量制御部と、をさらに備えるのが好ましい。このように光量をフィードバック制御することで、光量の安定化を図ることができる。
【0015】
このような回転式充填装置は、所定以上のクリーン度の環境下で、常温以下の温度の液体を充填バルブから注入する、いわゆる無菌充填装置に適用することが可能である。もちろん、液体を高温のまま充填する、いわゆるホット充填方式の回転式充填装置に本発明を適用することも可能であるが、その場合、以下に示すような構成を適用するのが好ましい。
すなわち、ホット充填方式の回転式充填装置の場合、画像処理部では、容器から放射される赤外放射エネルギに基づき、容器内の液体の温度を検出するようにし、コントローラは、検出された容器内の液体の温度が予め決められた温度以上であるか否かを判定するようにするのである。
ホット充填方式の場合、回転式充填装置は、液体の注入が完了した容器を上下に反転させ、容器内の液体により容器のキャップ内面を殺菌する転倒殺菌機を後段にさらに備える。そこで、コントローラでは、検出された容器内の液体の温度が予め決められた温度以上であると判定されたものを転倒殺菌機で殺菌するようにできる。これにより、充填量制御だけでなく、転倒殺菌の可否の判定・制御までを、赤外線カメラで行うことができる。
【0016】
本発明は、容器に充填された液体の液面レベルを検出する液面レベル検出装置とすることもできる。この液面レベル検出装置は、液体が注入される容器から放射される赤外放射エネルギを撮影するカメラと、カメラで撮影した画像を画像処理し、容器に充填された液体の液面レベルを検出する画像処理部と、カメラで撮影するときに外部の熱影響を低減する熱影響低減部材と、を備えることを特徴とする。このような液面レベル検出装置は、回転式充填装置における充填量制御のためでなく、充填量のチェック用途等においても用いることができる。
また、カメラと撮影対象の容器との間に設けられ、カメラで撮影すべき領域のみ光を透過し、他の領域は光を非透過とするマスク部材をさらに備え、マスク部材は、光を透過する領域の位置が変更可能であることを特徴とすることができる。
さらに、カメラに対し、容器を挟んだ反対側に設けられ、容器に向けて光を照射する光源を備えることもでき、このような光源としては、面状光を発する面状光源、または2次元的に配列された複数の点状光源からなるものを用いるのが好ましい。
【0017】
本発明は 液体が注入される容器から放射される赤外放射エネルギを撮影するカメラと、カメラで撮影した画像を画像処理し、容器に充填された液体の液面レベルを検出する画像処理部と、カメラと撮影対象の容器との間に設けられ、2枚一対の基板間に充填された液晶を電気的に駆動させることで、カメラに向けて光を透過する領域と、光を透過しない領域とを形成するマスク部材と、を備えることを特徴とすることもできる。このようなマスク部材では、液晶を電気的に駆動させることで、光を透過する領域の位置や数、大きさ等を容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、容器や液体の色、充填時に発生した泡等に関わらず、非接触で容器への液体の充填レベルを検出することができる。このとき、熱影響低減部材や、面状光や多数の点状光を用いることで、カメラによる赤外放射エネルギを用いた液面レベル検出の安定性を高めることができる。
また、カメラと容器の間に、液晶パネル方式のマスク部材を用いることで、マスク位置を容易に変更することができ、型替え作業の効率化を図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における飲料充填機10の全体構成を説明するための図である。
図1に示すように、飲料充填機10は、容器をすすぐすすぎリンサ20、容器に液体を充填するフィラ(回転式充填装置)30、液体が充填された容器にキャップを装着するキャッパ40を主に備えている。
これらすすぎリンサ20、フィラ30、キャッパ40間には、搬送スターホイール45等が設けられ、これによって、容器の受け渡し等が行われるようになっている。
【0020】
図2に示すように、フィラ30は、図示しない駆動モータによって一方向に回転駆動される回転テーブル(円板)31を備えている。回転テーブル31には、その外周に円周方向に沿って多数の充填バルブ32が備えられている。各充填バルブ32では、容器100を保持した状態で、容器100内に液体を充填できるようになっている。充填バルブ32に対しては、回転テーブル31の上方に配置されたタンク33から、液体供給管34を介して液体が供給される。各充填バルブ32は、コントローラ35によりその作動が制御され、液体の供給開始・供給停止が行われるようになっている。
【0021】
このようなフィラ30において、回転テーブル31は回転し、所定の位置にて、すすぎリンサ20側から供給された容器100が充填バルブ32に保持され、容器100の開口部が充填バルブ32のノズルにあてがわれる。容器100を保持した充填バルブ32は、回転テーブル31がほぼ1回転する間に、タンク33から供給された液体を容器100に充填し、所定の位置にて、液体が充填された容器100を解放する。充填バルブ32から解放された容器100は、後工程のキャッパ40側に送り出され、キャップが装着される。
【0022】
さて、フィラ30においては、容器100に充填された液の量(レベル)を検知するための液面検知部(液面レベル検出装置)50を備えている。
この液面検知部50は、主に、液体が充填される容器100を撮影する赤外線カメラ(カメラ)51と、その画像処理制御部(画像処理部)52とから構成される。赤外線カメラ51は、液体が充填される容器100から放射される赤外放射エネルギを撮影し、その画像データを画像処理制御部52に送る。
【0023】
画像処理制御部52では、赤外線カメラ51から得た画像データに基づき、容器100中の液体の液面レベルの位置を画像処理によって特定する。容器100に液体が充填されると、液体の温度によって容器100の表面も変化する。一般に、液体の充填時、無菌充填方式の場合、液体は5℃以下、ホット充填方式の場合概ね80℃以上であり、常温(概ね20℃前後)とは15℃以上の隔たりがある。したがって、容器100の所定位置において赤外放射エネルギを赤外線カメラ51で撮影し、それを画像処理制御部52で画像処理することで、液体の液面レベルの位置を特定することができる。
画像処理制御部52では、特定した液面レベルの位置のデータを、飲料充填機10のコントローラ35に送る。これを受けたコントローラ35では、得られた液面レベルの位置のデータに基づき、充填バルブ32の作動を制御し、液体の充填を停止させるタイミングを制御する。
【0024】
ここで、図1に示したように、赤外線カメラ51は、回転テーブル31の外周側に、各充填バルブ32に保持される容器100から所定寸法離間した位置に設けられている。
図2に示したように、赤外線カメラ51に対し、充填バルブ32に保持される容器100の反対側、つまり、赤外線カメラ51で容器100を撮影するときの背景側には、周囲の熱が容器100側に輻射するのを防ぐ背面板(熱影響低減部材、第一のパネル)53が設けられている。この背面板53は、表面反射率が低いものとするのが好ましく、例えば樹脂板や、つや消しの黒色等に塗装した金属板等によって形成することができる。背面板53は、赤外線カメラ51に対向した位置のみに固定状態(つまり、回転テーブル31と一体に回転しない)に設けてもよいし、回転テーブル31の周方向に連続するリング状とし、これを回転テーブル31の下面に取り付けて、回転テーブル31と一体に回転するようにしても良い。
【0025】
また、赤外線カメラ51の後方には、飲料充填機10の周囲からの熱を遮蔽する遮蔽板(熱影響低減部材、第二のパネル)54が設けられている。この遮蔽板54は、その目的からして、赤外線カメラ51の後方や上方、側方を囲うように設けるのが好ましい。この遮蔽板54は、樹脂板、金属板等によって形成することができ、さらに断熱材等で断熱効果を持たせるようにしても良い。この遮蔽板54も、赤外線カメラ51に対向する側は、表面反射率が低くなるように、つや消しの黒色等に塗装するのが好ましい。
【0026】
また、赤外線カメラ51と、赤外線カメラ51によって撮影される容器100との間には、液面レベルを撮影する位置近傍のみを赤外線カメラ51で撮影するためのマスク部材60を設けるのが好ましい。
このマスク部材60としては、従来と同様、撮影すべき位置にスリット60aが形成されたマスク板を用いることもできるが、これでは液体を充填する容器100が変更となったときに、型替えに手間がかかるため、以下に示すような構成のものを用いるのが好ましい。
すなわち、図3に示すように、マスク部材60としては、液晶パネル61を用いるのが好ましい。液晶パネル61は、ガラス系材料からなる2枚一対の基板間に、データ線と走査線がマトリクス状に設けられた駆動回路が設けられるとともに、これら駆動回路に電圧を印加することによって駆動される液晶が充填されている。この駆動回路を、外部に設けた駆動制御部62でコントロールすることで液晶の向きを変え、光を透過/非透過の切替ができるようになっている。
【0027】
図4に示すように、このような液晶パネル61を用い、赤外線カメラ51で撮影すべき位置、つまり容器100に充填される液体の液面レベルを撮影する位置近傍の所定範囲に対応した領域(以下、透過領域)Atで光を透過し、他の領域(以下、非透過領域)Amでは光を非透過とするように、駆動制御部62で液晶パネル61の駆動回路を制御するのである。
【0028】
このような液晶パネル61を用いたマスク部材60では、容器100の種類に応じた透過領域Atの位置を予めプログラムしておき、このプログラムに基づいて駆動制御部62が液晶パネル61の駆動回路を制御することで、図4(a)や(b)に示すように、飲料充填機10で液体を充填する容器100の種類に応じて透過領域Atの位置を自動的に変更することができる。これにより、型替えの際に従来のスリットが物理的に形成されたマスク部材60を用いるときのような交換作業が不要となり、作業効率を大幅に向上できる。
【0029】
マスク部材60を用いる場合、容器100の背面側には光を照射する光源装置70を配する。液晶パネル61では、光源装置70から照射された光が容器100を透過し、液晶パネル61の透過領域Atを通り、赤外線カメラ51へと至る。
これにより、赤外線カメラ51では、透過領域Atに対応した領域において、容器100内の液面レベルを検出する。
【0030】
ところで、上記のような光源装置70としては、光源71で発した光を光ファイバ72を通して導き、容器100の背面側から照射するものを用いることができる。この場合、光の均一化を図るため、光ファイバ72の先端の発光部分と、容器100との間に、光拡散板73を設けるのが好ましい。
【0031】
光の均一性を向上するため、このような構成に代えて、光源装置70を、液晶表示装置に用いられるバックライトと同様、面状光を発する面状光源や、多数の点状光源を配列したものとするのが好ましい。
【0032】
図5に示すように、光源装置70は、多数のLED(light-emitting diode)等の点状光源74を、2次元的にマトリクス状に配列したもので、個々の点状光源74は、光源制御部75によって、点灯/非点灯を切り替えられるようになっている。
図6に示すようにこのような点状光源74を用いた光源装置70では、容器100の種類に応じ、赤外線カメラ51で撮影すべき位置、つまり容器100に充填される液体の液面レベルを撮影する位置に対応した領域のみ点状光源74を点灯させるようにすることができる(図6において、実線は点灯、点線は非点灯を示している)。また、液面レベルを検出するタイミング、つまり赤外線カメラ51に対し、充填バルブ32に保持された容器100が予め決められた所定の場所に位置した時点で、点状光源74を点灯させるようにすることもできる。
【0033】
また、図2、図3に示すように、光源装置70は、照射した光の光量を検出する光量センサ76を設け、光量センサ76で検出した光量に基づき、光源制御部75で、光源71や点状光源74で発する光の光量をフィードバック制御するようにしても良い。これにより、光量の安定化を図ることができる。
【0034】
ところで、このような赤外線カメラ51は、図1に示すように、例えば、飲料充填機10の外周側の例えば2箇所に設けられる。そして、個々の赤外線カメラ51では、図4に示したように、複数の充填バルブ32に保持された複数の容器100を同一の視野角内で撮影するのが好ましい。
そして、このようにして撮影した画像を、所定間隔毎に画像処理制御部52で制御することで、一つの容器100が回転テーブル31とともに回転しながら、液体が充填される過程で、その液面レベルの上昇を複数のタイミングで検出するのである。これにより、個々の容器100における液面の上昇速度、所定の液面レベルに到達するタイミングを画像処理制御部52で予測することができる。その予測に基づき、飲料充填機10のコントローラ35では、個々の容器100に対する液体の充填終了時間を決定し、それぞれの容器100を保持した充填バルブ32の作動を制御する。
【0035】
このとき、赤外線カメラ51では、同一視野角内に複数、例えば4個の容器100を撮影するため、および画像処理の精度確保のために十分な被写界深度を得るため、容器100との間に十分な距離、例えば1.5〜2mを確保する必要がある。しかし、赤外線カメラ51と容器100をこのように離間させると、上記したような対策を採用したとしても周囲の熱の影響を受けやすくなり、また、赤外線カメラ51と容器100の間を作業者等が通って撮影を妨げる可能性もあり、さらに、飲料充填機10の周囲に赤外線カメラ51の設置のために大きなスペースが必要となって空間有効利用の妨げになるという問題も生じる。
このため、本実施の形態においては、図7に示すように、赤外線カメラ51と容器100の間に、容器100から赤外線カメラ51へと至る光路長を稼ぐ光路装置80を設けるのが好ましい。光路装置80は、ケース81内に複数の反射鏡82等が配置され、ケース81内で光路を屈曲させることで光路長を稼ぐようになっている。このような光路装置80は、ケース81に形成された開口部81aを容器100に対向させ、赤外線カメラ51をケース81内、あるいはケース81に形成された他の開口部81bに対向した位置に配置して用いる。
これにより、赤外線カメラ51と容器100との間で、光路装置80によって、実際の距離以上の光学的距離が確保することができ、同一視野角内で所定数の容器100を撮影すること、画像処理の精度確保のために十分な被写界深度を得ることが可能となる。
【0036】
上述したようにして、飲料充填機10では、赤外線カメラ51を用いた液面検知部50により、容器100や液体の色、充填時に発生した泡等に関わらず、非接触で容器100への液体の充填レベルを検出することができ、液体充填環境のクリーン化にも寄与することができる。その際、背面板53、遮蔽板54によって、周囲の熱の影響を受けるのを防止でき、赤外線カメラ51における液面レベル検出を安定して行うことができる。
また、マスク部材60を用いることで、周囲の外乱を受けず、所望の領域のみ赤外線カメラ51で撮影を行うことで、液面レベル検出の安定化を図ることができる。しかもこのマスク部材60として液晶パネル61を用いることで、容器100の種類が変わる場合にも透過領域Atを変更させるだけでよく、実際の交換作業等が不要であり、型替え作業の効率化を図ることができる。
さらに、光源装置70として、面状光を発する面状光源や、多数の点状光源74を配列した構成とすることで、照明光の均一化を図ることができ、これによっても赤外線カメラ51における液面レベル検出の安定化に寄与できる。
このようにして、赤外線カメラ51における液面レベル検出の安定性を向上することで、液面レベルを確実かつ安定して行うことが可能となるのである。
【0037】
ところで、上記したような構成の飲料充填機10は、所定以上のクリーン度の環境下で常温以下の液体を容器100に充填する無菌充填方式、高温(例えば概ね85℃以上)の液体を容器100に充填するホット充填方式のどちらにも適用することができる。
【0038】
ホット充填方式に上記構成を適用する場合、以下のような構成を備えることもできる。
ホット充填方式の場合、フィラ30にて所定以上の温度の液体を容器100に充填した後、図8に示したような転倒殺菌機90にて、容器100に装着されたキャップの内面を、高温の液体で殺菌する工程が加わる。転倒殺菌機90は、フィラ30で液体が充填され、キャッパ40でキャップが装着された容器100を受け取り、これを搬送する過程で、容器100の上下を反転させる。これにより、容器100内の液体がキャップの裏側に接触し、殺菌が行われるようになっている。
【0039】
この場合、上記液面検知部50では、容器100から放射される赤外放射エネルギを赤外線カメラ51で撮影し、その画像を画像処理制御部52で画像処理することによって、容器100内の液体の温度を検出することもできる。その検出タイミングは、特に限定する意図はないが、例えば、液体が容器100の所定レベルまで充填されたと判定されたタイミングとすることができる。
そして、飲料充填機10のコントローラ35では、容器100内の液体の温度が、予め定めた所定以上の温度であるか否かを判定し、所定以上の温度であるときには、正常であるとして、後工程のキャッパ40に向けて容器100を搬送する。一方、容器100内の液体の温度が、予め定めた所定以上の温度では無かった場合は、この容器100を、不良品として適宜タイミングで排出するように制御する。これは、容器100内の温度が規定値よりも低いと、後工程の転倒殺菌機90にて容器100を反転して容器100内の液体をキャップの内面に接触させても、所定の殺菌効果が得られず、品質を保証できないからである。
【0040】
このように液面検知部50で、容器100内の液体の温度を検知することで、転倒殺菌機90で所定の殺菌を行えるか否かを判定することも可能となる。この場合、液面検知部50は、液量検知と、液体の温度検知の2つの機能を兼ねるものとなるので、コストを低減する効果も得られる。
【0041】
なお、上記実施の形態において、飲料充填機10について説明したが、装置各部の詳細な構成については、上記実施形態に示したものに限らず、適宜他の構成を採用することが可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態における充填装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】充填装置の断面図である。
【図3】充填装置の他の例を示す断面図である。
【図4】液晶パネルからなるマスク部材を用いた撮影画像の例を示す図である。
【図5】点状光源を用いた光源を示す図である。
【図6】点状光源を用いた光源で、液面を検出する領域に対応した部分のみ点状光源を点灯させた状態を示す図である。
【図7】光路長を稼ぐ光路装置を備えた例を示す図である。
【図8】転倒殺菌機の構成を示す図である。
【図9】従来用いていたマスク部材を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
10…飲料充填機、30…フィラ(回転式充填装置)、31…回転テーブル(円板)、32…充填バルブ、35…コントローラ、50…液面検知部(液面レベル検出装置)、51…赤外線カメラ(カメラ)、52…画像処理制御部(画像処理部)、53…背面板(熱影響低減部材、第一のパネル)、54…遮蔽板(熱影響低減部材、第二のパネル)、60…マスク部材、61…液晶パネル、62…駆動制御部、70…光源装置、71…光源、74…点状光源、75…光源制御部、76…光量センサ、80…光路装置、82…反射鏡、90…転倒殺菌機、100…容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板の外周に複数の充填バルブを備え、前記円板の回転中に、前記充填バルブに開口部があてがわれた容器内へ前記充填バルブから液体を注入する回転式充填装置であって、
液体が注入される前記容器から放射される赤外放射エネルギを撮影するカメラと、
前記カメラで撮影した画像を画像処理し、前記容器に充填された液体の液面レベルを検出する画像処理部と、
前記画像処理部での検出結果に基づき、前記充填バルブを制御して前記容器内への液体の注入を停止させるコントローラと、
前記カメラで撮影するときに外部の熱影響を低減する熱影響低減部材と、
を備えることを特徴とする回転式充填装置。
【請求項2】
前記熱影響低減部材は、前記カメラに対し、前記容器を挟んだ反対側に配置される第一のパネルと、前記カメラの撮影方向後方を囲うように配置される第二のパネルとから構成されることを特徴とする請求項1に記載の回転式充填装置。
【請求項3】
前記カメラと撮影対象の前記容器との間に設けられ、前記カメラで撮影すべき領域のみ光を透過し、他の領域は光を非透過とするマスク部材をさらに備え、
前記マスク部材は、光を透過する前記領域の位置が変更可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の回転式充填装置。
【請求項4】
前記マスク部材は、2枚一対の基板間に液晶が充填され、前記液晶が電気的に駆動される液晶パネルと、前記液晶パネルの駆動を制御する駆動制御部とから構成されることを特徴とする請求項3に記載の回転式充填装置。
【請求項5】
前記カメラに対し、前記容器を挟んだ反対側に設けられ、前記容器に向けて光を照射する光源をさらに備え、
前記光源は、面状光を発する面状光源、または2次元的に配列された複数の点状光源からなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の回転式充填装置。
【請求項6】
前記光源は、複数の前記点状光源からなり、前記カメラにおける前記容器の撮影範囲に対応した部分に位置する前記点状光源のみを点灯させることを特徴とする請求項5に記載の回転式充填装置。
【請求項7】
前記カメラに対し、前記容器を挟んだ反対側に設けられ、前記容器に向けて光を照射する光源と、
前記光源で発する光の光量を検出する光量センサと、
前記光量センサで検出した光量に基づき、前記光源で発する光量を制御する光源制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の回転式充填装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記カメラで撮影した画像を画像処理することで、前記容器に充填された液体の温度を検出し、
前記コントローラは、検出された前記容器内の液体の温度が予め決められた温度以上であるか否かを判定することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の回転式充填装置。
【請求項9】
液体の注入が完了した前記容器を上下に反転させ、前記容器内の液体により前記容器のキャップ内面を殺菌する転倒殺菌機を後段にさらに備え、
前記コントローラは、検出された前記容器内の液体の温度が予め決められた温度以上であるものを前記転倒殺菌機で殺菌することを特徴とする請求項8に記載の回転式充填装置。
【請求項10】
液体が注入される容器から放射される赤外放射エネルギを撮影するカメラと、
前記カメラで撮影した画像を画像処理し、前記容器に充填された液体の液面レベルを検出する画像処理部と、
前記カメラで撮影するときに外部の熱影響を低減する熱影響低減部材と、
を備えることを特徴とする液面レベル検出装置。
【請求項11】
前記カメラと撮影対象の前記容器との間に設けられ、前記カメラで撮影すべき領域のみ光を透過し、他の領域は光を非透過とするマスク部材をさらに備え、
前記マスク部材は、光を透過する前記領域の位置が変更可能であることを特徴とする請求項10に記載の液面レベル検出装置。
【請求項12】
前記カメラに対し、前記容器を挟んだ反対側に設けられ、前記容器に向けて光を照射する光源をさらに備え、
前記光源は、面状光を発する面状光源、または2次元的に配列された複数の点状光源からなることを特徴とする請求項10または11に記載の液面レベル検出装置。
【請求項13】
液体が注入される容器から放射される赤外放射エネルギを撮影するカメラと、
前記カメラで撮影した画像を画像処理し、前記容器に充填された液体の液面レベルを検出する画像処理部と、
前記カメラと撮影対象の前記容器との間に設けられ、2枚一対の基板間に充填された液晶を電気的に駆動させることで、前記カメラに向けて光を透過する領域と、光を透過しない領域とを形成するマスク部材と、
を備えることを特徴とする液面レベル検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−240659(P2006−240659A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57474(P2005−57474)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】