説明

回転検出装置

【課題】倍信号異常が生じている場合であれ、欠歯部の通過の有無を的確に判定することができる。
【解決手段】クランクポジションセンサ42は、シグナルロータ51の歯52が通過する毎にパルス状の信号を出力するメインセンサ61、サブセンサ62を有し、これらは互いに位相のずれた信号を出力する。サブセンサ62のサブ信号がハイレベルであり且つメインセンサ61のメイン信号が変化したとの条件が成立したときに同条件の成立時におけるメイン信号の変化方向に応じて異なるパルス幅のクランク信号を出力する。ECU41は、クランク信号間の時間間隔に基づいて欠歯部通過判定を行なう。また、一つの歯52が通過する毎にクランクポジションセンサ42から二つの信号が出力される倍信号異常が生じているか否かを判定し、欠歯通過判定に際して、倍信号異常が生じている旨判定された場合とそうでない場合とで、欠歯部通過判定の判定態様を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の正回転及び逆回転の双方を検出する回転センサを備える回転検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の回転検出装置としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。特許文献1に記載の回転検出装置も含め従来一般の回転検出装置では、内燃機関の出力軸であるクランクシャフトに円板状のシグナルロータが取り付けられており、このシグナルロータに対向してクランクポジションセンサが配置されている。シグナルロータは、その外周に沿って、すなわちその回転方向に沿って所定角度(例えば10度)毎に設けられる複数の歯と、上記回転方向において隣り合う歯の間に設けられてこれら歯の間隔を不等間隔とする欠歯部とを有している。
【0003】
クランクポジションセンサは、その近傍を歯が通過する毎にパルス状の信号を出力するセンサ部であって、互いに位相のずれた信号を出力する第1センサ部及び第2センサ部を有している。ここで、クランクシャフトが正回転した場合には、第1センサ部の出力信号がハイレベルであり且つ第2センサ部の出力信号がハイレベルからローレベルに変化する、すなわち立ち下がるように構成されている。そして、各センサ部から出力される信号の出力態様のこうした組み合わせが成立すると、クランクポジションセンサからパルス幅の短いパルス信号が出力されるようになっている。
【0004】
一方、クランクシャフトが逆回転した場合には、第1センサ部の出力信号がハイレベルであり且つ第2センサ部の出力信号がローレベルからハイレベルに変化する、すなわち立ち上がるように構成されている。そして、各センサ部から出力される信号の出力態様のこうした組み合わせが成立すると、クランクポジションセンサからパルス幅の長いパルス信号が出力されるようになっている。
【0005】
このようなクランクポジションセンサによれば、出力されるパルス信号を計数することによってクランクシャフトの回転の変化量の絶対値を把握することができるとともに、同パルス信号のパルス幅に基づいてクランクシャフトの回転方向を把握することができる。従って、クランクシャフトの逆回転を考慮した上でクランクシャフトの回転角を精度良く求めることが可能となる。
【0006】
また、こうした回転検出装置において、クランクポジションセンサから出力されるパルス信号間の時間間隔に基づいて欠歯部の通過の有無の判定を行なうことが考えられる。具体的には、連続して計測した二つの時間間隔のうち後に計測した時間間隔を前に計測した時間間隔にて除算した除算値と判定値とを比較することにより、欠歯部の通過の有無を精度良く判定することが可能となる。これは、等間隔に設けられた歯と歯との間が通過したときと、欠歯部が通過したとき、すなわち不等間隔に設けられた歯と歯との間が通過したときとで、クランクポジションセンサから出力されるパルス信号間の時間間隔が異なることに着目することによるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005―233622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記クランクポジションセンサでは、第1センサ部の出力信号がハイレベルから変化しなくなる異常が生じることがある。この場合には、一つの歯が通過する毎にクランクポジションセンサから二つのパルス信号が出力される異常(以下、倍信号異常)が生じることとなる。そのため、こうした倍信号異常が生じた場合には、クランクポジションセンサから出力されるパルス信号の信頼性が低いために、パルス信号間の時間間隔に基づいて欠歯部の通過の有無の判定をしても、これを精度良く行なうことができなくなるといった問題が生じる。
【0009】
尚、このような問題は、クランクシャフトの回転方向に応じて異なるパルス幅のパルス信号を出力するクランクポジションセンサに限らず、例えば信号の出力回数等、その他の出力態様を異なるものとするクランクポジションセンサであっても、同様にして生じ得る。また、内燃機関のクランクシャフトの回転を検出するためのクランクポジションセンサに限らず、任意の回転体の回転を検出する回転センサを備えるものであれば、上述した問題は概ね共通して生じ得る。
【0010】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、倍信号異常が生じている場合であれ、欠歯部の通過の有無を的確に判定することのできる回転検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、回転体の回転方向に沿って所定角度毎に設けられる複数の歯と、前記回転方向において隣り合う前記歯の間に設けられてこれら歯の間隔を不等間隔とする欠歯部とを有する被検出体に対向して配置されるセンサであって、前記歯が通過する毎にパルス状の信号を出力するセンサ部を有し、前記センサ部は互いに位相のずれた信号を出力する第1センサ部及び第2センサ部を含み、前記第1センサ部の出力信号が所定レベルであり且つ前記第2センサ部の出力信号が変化したとの条件が成立したときに同条件の成立時における前記第2センサ部の出力信号の変化方向に応じて異なる出力態様にて信号を出力する回転センサと、前記回転センサから出力される信号間の時間間隔に基づいて前記欠歯部の通過の有無を判定する欠歯通過判定部とを備える回転検出装置において、一つの歯が通過する毎に前記回転センサから二つの信号が出力される異常が生じているか否かを判定する異常判定部と、前記欠歯通過判定部による前記欠歯部の通過の有無の判定に際して、前記異常判定部により前記異常が生じている旨判定された場合とそうでない場合とで、前記回転センサから出力される信号間の時間間隔に基づく判定態様を変更する判定態様変更部と、を備えることをその要旨としている。
【0012】
回転センサが正常であれば一つの歯が通過する毎に回転センサから一つの信号が出力されるところ、回転体の回転中に第1センサ部の出力信号が所定レベルから変化しなくなる異常が生じると、一つの歯が通過する毎に回転センサから二つの信号が出力される、換言すれば、一つの歯が通過する毎に回転センサから異なる出力態様の信号が交互に出力される異常(以下、倍信号異常)が生じる。
【0013】
上記構成によれば、欠歯部の通過の有無の判定に際して、倍信号異常が生じている場合とそうでない場合とで回転センサから出力される信号間の時間間隔に基づく判定態様が同一とされる従来技術とは異なり、倍信号異常が生じている旨判定された場合には、倍信号異常が生じていない場合、すなわち正常な場合に対応した判定態様から、倍信号異常が生じている場合に対応した判定態様に変更される。従って、倍信号異常が生じている場合であれ、欠歯部の通過の有無を的確に判定することができるようになる。
【0014】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転検出装置において、前記欠歯通過判定部は、前記回転センサから出力される信号間の時間間隔及び判定値に基づいて前記欠歯部の通過の有無を判定するものであり、前記判定態様変更部は、前記欠歯部の通過の有無の判定に際して、前記異常判定部により前記異常が生じている旨判定された場合とそうでない場合とで前記判定値を変更することをその要旨としている。
【0015】
例えば回転体の回転速度が一定であるとき、回転センサから出力される信号間の時間間隔は、等間隔に設けられた歯と歯との間が通過したときには短くなる一方、不等間隔に設けられた歯と歯との間、すなわち欠歯部が通過したときには長くなる。そのため、上記構成によるように、回転センサから出力される信号間の時間間隔及び判定値に基づき欠歯部の通過の有無を判定することとすれば、これを簡易且つ的確に判定することができる。また、欠歯部の通過の有無の判定に際して、倍信号異常が生じている旨判定された場合には、倍信号異常が生じていない場合に対応した判定値から、倍信号異常が生じている場合に対応した判定値に変更される。これにより、倍信号異常が生じている場合であれ、欠歯部の通過の有無を簡易且つ的確に判定することができるようになる。
【0016】
(3)請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の発明によるように、前記欠歯通過判定部は、前記回転センサから連続して出力される信号間の時間間隔を計測するとともに、連続して計測した二つの時間間隔の乖離度合と判定値との比較に基づいて前記欠歯部の通過の有無を判定するといった態様をもって具体化することができる。この場合、連続して計測した二つの時間間隔の乖離度合としては、例えば、これら二つの時間間隔の比を採用することができる。
【0017】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の回転検出装置において、前記欠歯通過判定部は、連続して計測した二つの時間間隔のうち後に計測した時間間隔を前に計測した時間間隔にて除算した除算値と判定値との比較に基づいて前記欠歯部の通過の有無を判定するものであり、前記除算値が、前記連続して計測した二つの時間間隔のうち前に計測した時間間隔が等間隔に設けられた歯と歯との間が通過したことに対応する間隔であり、後に計測した時間間隔が前記欠歯部が通過したことに対応する間隔であるときの当該除算値の取り得る範囲の下限値よりも小さい下限判定値以上であるとの条件が成立したときに仮判定をする仮判定部と、前記仮判定部により仮判定がなされているときに、前記除算値が、当該除算値の取り得る範囲の上限値よりも大きい上限判定値未満であるとの条件が成立したときに本判定をする本判定部とを備え、前記本判定部により本判定がなされたことをもって前記欠歯部が通過した旨判定することをその要旨としている。
【0018】
同構成によれば、仮判定部により仮判定がされただけで欠歯部が通過した旨判定されるのではなく、仮判定がなされているときに、更に本判定がされたことをもって欠歯部が通過した旨判定される。これにより、仮判定がされただけで欠歯部が通過した旨判定する構成に比べて、欠歯部が通過していないにも拘わらず通過した旨の誤判定がされることを抑制することができるようになる。
【0019】
(5)請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明は、請求項5に記載の発明によるように、回転検出装置において、前記異常判定部は、前記回転体が所定方向へのみ回転する判定期間内において前記回転センサから連続して出力された二つの信号の一方の出力態様と他方の出力態様とが異なることをもって前記異常が生じている旨判定するといった態様をもって具体化することができる。この場合、倍信号異常が生じている場合には、こうした状況を、上記判定期間内において回転センサから連続して出力された二つの信号の一方の出力態様と他方の出力態様とが異なることをもって的確に判定することができる。
【0020】
(6)請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明は、請求項6に記載の発明によるように、前記回転体は内燃機関の出力軸であり、前記被検出体は前記出力軸と一体に回転するシグナルロータであるといった態様をもって具体化することができる。この場合、倍信号異常が生じている場合には、こうした状況を、内燃機関の出力軸が所定方向、例えば正回転方向のみに回転する判定期間内において、回転センサから連続して出力された二つの信号が正回転を示す出力態様と逆回転を示す出力態様との双方を含むことをもって的確に判定することができる。尚、内燃機関の出力軸が正回転方向のみに回転する判定期間としては、例えば機関回転速度が、内燃機関の始動完了を判定する判定回転速度以上である期間とすることが望ましい。
【0021】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の回転検出装置において、内燃機関は前記出力軸の回転に伴い回転するカムシャフトと同カムシャフトと一体に回転して機関バルブを開閉駆動するカムとを備え、前記シグナルロータの前記欠歯部が前記回転センサを通過したときに少なくとも前記カムシャフトの基準回転角の通過に対応した信号を出力するカム回転センサを備え、前記欠歯通過判定部は、前記回転センサから連続して出力される信号間の時間間隔を計測するとともに、連続して計測した二つの時間間隔のうち後に計測した時間間隔を前に計測した時間間隔にて除算した除算値と判定値との比較に基づいて前記欠歯部の通過の有無を判定するものであり、前記除算値が、前記連続して計測した二つの時間間隔のうち前に計測した時間間隔が等間隔に設けられた歯と歯との間が通過したことに対応する間隔であり、後に計測した時間間隔が前記欠歯部が通過したことに対応する間隔であるときの当該除算値の取り得る範囲の下限値よりも小さい下限判定値以上であるとの条件が成立したときに仮判定をする仮判定部と、前記仮判定部により仮判定がなされているときに、前記除算値が、当該除算値の取り得る範囲の上限値よりも大きい上限判定値未満であるとの条件が成立したときに本判定をする本判定部とを備え、前記本判定部により本判定がなされたことをもって前記欠歯部が通過した旨判定する一方、前記仮判定部により仮判定がなされているときに、前記カム回転センサから前記信号が出力されたときには前記本判定部による判定によることなく前記欠歯部が通過した旨判定することをその要旨としている。
【0022】
仮判定部により仮判定がなされているときに、本判定部により本判定がなされたことをもって欠歯部が通過した旨判定する構成によれば、欠歯部が通過していないにも拘わらず通過した旨の誤判定がされることを抑制することができる。しかしながら、実際には欠歯部が通過しているにも拘わらず、何等かの原因により本判定がなされない場合には、欠歯部の通過を早期に判定することができない。
【0023】
この点、上記構成によれば、本判定部により本判定がなされたことをもって欠歯部が通過した旨判定される一方、仮判定部により仮判定がなされているときに、カム回転センサからカムシャフトの基準回転角の通過に対応した信号が出力されたときには本判定部による判定によることなく欠歯部が通過した旨判定される。これにより、実際には欠歯部が通過しているにも拘わらず、何等かの原因により本判定がなされない場合に、欠歯部の通過を早期に判定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る回転検出装置の一実施形態について、同装置が適用される車載多気筒内燃機関及びその周辺構成を示す概略図。
【図2】同実施形態のクランクポジションセンサ及びその周辺構成を示す概略図。
【図3】同実施形態におけるメインセンサから出力されるメイン信号の変化態様と、サブセンサから出力されるサブ信号のレベルと、クランクシャフトの回転方向との関係を示す表。
【図4】同実施形態のクランクシャフトの正回転時におけるメイン信号、サブ信号、及びクランク信号の推移を併せ示すタイミングチャート。
【図5】同実施形態のクランクシャフトの逆回転時におけるメイン信号、サブ信号、及びクランク信号の推移を併せ示すタイミングチャート。
【図6】同実施形態のクランクポジションセンサが正常である場合におけるクランク信号、仮判定条件の成否、及び本判定条件の成否の推移を併せ示すタイミングチャート。
【図7】同実施形態のクランクシャフトの正回転時であって、倍信号異常時におけるメイン信号、サブ信号、及びクランク信号の推移を併せ示すタイミングチャート。
【図8】同実施形態における欠歯通過判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図9】同実施形態における仮判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図10】同実施形態における本判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図11】同実施形態のクランクポジションセンサに倍信号異常が生じた場合におけるクランク信号、仮判定条件の成否、及び本判定条件の成否の推移を併せ示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1〜図11を参照して、本発明に係る回転検出装置を車載多気筒内燃機関に適用される回転検出装置として具体化した一実施形態について詳細に説明する。
図1に、本発明に係る多気筒内燃機関(以下、内燃機関11)及びその周辺構成を模式的に示す。尚、図1では、複数の気筒12のうちの一つを模式的に示している。
【0026】
図1に示すように、内燃機関11の各気筒12内にはピストン13が往復動可能に設けられている。各気筒12には、このピストン13の頂面と気筒12の内周面とによって燃焼室14が区画形成されている。
【0027】
また、内燃機関11には、各気筒12に対応して各別に、燃料を噴射する燃料噴射弁15が設けられている。そして、各燃焼室14では、吸入空気と噴射燃料とからなる混合気に対して点火プラグ16による点火が行われ、これによって同混合気が燃焼してピストン13が往復移動し、出力軸としてのクランクシャフト31が回転する。このクランクシャフト31の駆動力は、変速機32を介して駆動輪(図示略)へ伝達される。尚、内燃機関11の出力によりクランクシャフト31が回転する方向を正回転方向とし、その反対方向を逆回転方向とする。また、このクランクシャフト31は、機関始動時にスタータモータ33で回転駆動されることによりクランキングされる。
【0028】
上記内燃機関11は、吸気通路21と燃焼室14との間が吸気バルブ22の開閉動作によって連通・遮断され、燃焼室14と排気通路23との間が排気バルブ24の開閉動作によって連通・遮断される。これら吸気バルブ22及び排気バルブ24はクランクシャフト31の回転が伝達される吸気カムシャフト26及び排気カムシャフト27の回転に伴ってそれぞれ開閉動作する。
【0029】
こうした内燃機関11の各種制御は、車両に搭載された電子制御装置(以下、ECU41)によって行われる。ECU41は、内燃機関11の制御に係る演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果が一時的に記憶されるRAM、外部からの信号を入力するための入力ポート及び外部に信号を出力するための出力ポート等から構成されている。
【0030】
ECU41の入力ポートには、内燃機関11や車両の状態を検出する各種センサが接続されている。この各種センサとしては、クランクシャフト31の回転角であるクランク角CA及びクランクシャフト31の回転速度である機関回転速度NEを検出するためのクランクポジションセンサ42や吸気カムシャフト26の回転角を検出するためのカムポジションセンサ43が挙げられる。また、上記センサ以外には、運転者により操作されるシフトレバー(図示略)のシフト位置を検出するためのシフトポジションセンサ44、アクセル踏込み量を検出するためのアクセルポジションセンサ45、ブレーキペダルの操作状態を検出するためのブレーキセンサ46、及び車両走行速度を検出するための車速センサ47等のセンサが挙げられる。
【0031】
一方、ECU41の出力ポートには、燃料噴射弁15やスタータモータ33等がそれぞれ電気的に接続されている。そして、ECU41は、これら各種センサの検出結果に基づいて燃料噴射や機関始動時におけるクランキング等の各種制御を行う。
【0032】
具体的には、クランクポジションセンサ42及びカムポジションセンサ43から出力される信号に基づき気筒判別を実行するとともに、クランク角CAに基づいて各気筒12に対する燃料噴射時期及び点火時期を設定する。
【0033】
また、ECU41は、所定の停止条件が成立した場合に、内燃機関11を自動停止する一方、所定の再始動条件が成立した場合に内燃機関11を自動始動する自動停止再始動制御を実行する。
【0034】
自動停止再始動制御では、例えばブレーキが踏み込まれており、且つ車両が停止している状態が所定期間継続しているといった所定の停止条件が成立したときに、燃料噴射を停止して内燃機関11を自動的に停止させる。また、ECU41は、内燃機関11が自動停止されているときに、例えばブレーキの踏み込みが解除されたといった所定の再始動条件が成立したときには、内燃機関11に対して機関始動指令が出力されたとしてスタータモータ33を駆動して内燃機関11を自動的に再始動させる。
【0035】
そして、ECU41は、内燃機関11が自動停止する際のクランク角CAを記憶しておき、そのクランク角CAに基づいて再始動時の燃料噴射を実行することにより、再始動時の始動時間を短縮するようにしている。
【0036】
ここで、内燃機関11の停止時において、クランクシャフト31は正回転及び逆回転を繰り返した後に完全に停止するため、上記クランクポジションセンサ42は、クランクシャフト31の正逆両方向の回転を検出可能なものが用いられている。
【0037】
次に、図2を参照して、回転センサとしてのクランクポジションセンサ42及びその周辺構成について説明する。
図2に示すように、クランクシャフト31の端部には、被検出体としての円板状のシグナルロータ51が同クランクシャフト31と一体回転可能に設けられている。このシグナルロータ51の外周には、その回転方向に沿って複数の歯52が所定角度(10度)毎に設けられるとともに、その一部には、基準角度を検知するべく2枚の歯52を欠損させた欠歯部53が形成されている。すなわち、欠歯部53は、回転方向において隣り合う歯52の間に設けられてこれら歯52の間隔を不等間隔としている。そして、クランクポジションセンサ42は、このシグナルロータ51の上記歯52と対向する位置に配置されて、クランクシャフト31の回転位置(以下、クランク角CA)及び回転速度(以下、機関回転速度NE)を検出する。
【0038】
クランクポジションセンサ42は、歯52と対向するメインセンサ61と、同メインセンサ61から上記シグナルロータ51の回転方向に所定間隔を空けて配置されるサブセンサ62と、これらメインセンサ61から出力されるメイン信号Sm及びサブセンサ62から出力されるサブ信号Ssに応じたパルス信号であるクランク信号ScをECU41に出力する処理装置63を備えている。メインセンサ61及びサブセンサ62は共に、クランクシャフト31の回転に伴いシグナルロータ51の一つの歯52が近傍を通過する度にパルス状の信号を出力するものであり、互いに所定角度(5度)だけ位相のずれた信号を出力する位置にそれぞれ配置されている。尚、処理装置63には、クランク信号Scのパルス幅を制御するためのタイマ64が設けられている。そして、クランクポジションセンサ42は、クランクシャフト31が所定角度回転する毎に、その回転方向に応じて異なるパルス幅のクランク信号Scを出力する。また、メインセンサ61が本発明に係る第2センサ部として機能し、サブセンサ62が本発明に係る第1センサ部として機能する。
【0039】
クランク信号Scは以下のような考えのもとに生成される。
図3に、メインセンサ61から出力されるメイン信号Smの変化態様と、サブセンサ62から出力されるサブ信号Ssのレベルと、クランクシャフト31の回転方向との関係を示す。
【0040】
図3の[条件A]に示すように、クランクシャフト31が正回転した場合には、メインセンサ61から出力されるメイン信号Smのハイレベルからローレベルへの変化(以下、立ち下がり)時においてサブセンサ62から出力されるサブ信号Ssがハイレベルとなるように構成されている。すなわち、サブセンサ62から出力されるサブ信号Ssがハイレベルであり且つメインセンサ61から出力されるメイン信号Smがハイレベルからローレベルに変化するといった[条件A]が成立すると、クランクシャフト31が正回転しているといえる。そしてこの場合、クランクポジションセンサ42からパルス幅の短いクランク信号Scが出力されるようになっている。
【0041】
また図3の[条件B]に示すように、クランクシャフト31が逆回転した場合には、メインセンサ61から出力されるメイン信号Smのローレベルからハイレベルへの変化(以下、立ち上がり)時においてサブセンサ62から出力されるサブ信号Ssがハイレベルとなるように構成されている。すなわち、サブセンサ62からのサブ信号Ssがハイレベルであり且つメインセンサ61から出力されるメイン信号Smがローレベルからハイレベルに変化するといった[条件B]が成立すると、クランクシャフト31が逆回転しているといえる。そしてこの場合、クランクポジションセンサ42からパルス幅の長いクランク信号Scが出力されるようになっている。
【0042】
このように本実施形態では、サブセンサ62から出力されるサブ信号Ssがハイレベルであり且つメインセンサ61から出力されるメイン信号Smが変化したとの条件が成立したときにクランクシャフト31が所定角度だけ回転したことが検出され、同条件の成立時におけるメイン信号Smの変化方向(立ち下がり、或いは立ち上がり)に基づいてクランクシャフト31の回転方向(正回転、或いは逆回転)が検出される。
【0043】
そして、これらの情報に基づいてクランク信号Scが以下のように生成されて出力される。
図4に、クランクシャフト31の正回転時におけるメインセンサ61から出力されるメイン信号Sm、サブセンサ62から出力されるサブ信号Ss、及びクランク信号Scの関係を併せ示す。
【0044】
図4に示すように、ハイレベルになっているクランク信号Scは、上記[条件A](図3参照)の成立したタイミングから、予め定められた所定時間Δt1(例えば、数十ミリ秒)が経過するまでの間(時刻t11〜t12,t13〜t14,t15〜t16)においてローレベルに変更される。ここで、ローレベルに設定されている所定時間Δt1が、クランク信号Scのパルス幅に相当する。
【0045】
ECU41は、このクランク信号Scのパルス数を計数してクランク角に相当する値(詳しくは、図4に併せ示すクランクカウンタ)を求めることにより同クランク角を検出する。この場合、クランク信号Scがハイレベルからローレベルに変化する度に、クランクカウンタのカウント値に、「1」がインクリメントされる(時刻t11,t13,t15)。尚、クランクカウンタのカウント値は、大きい値になるほどクランク角が大きいことを示す値であり、720°CA、すなわち0°CAに相当する値になると、再び0°CAにリセットされる。
【0046】
また、後に詳述するように、ECU41により、連続して出力されるクランク信号Sc間の時間間隔に基づいて基準角度としての欠歯部53の通過の有無を判定する欠歯通過判定を行なうことにより、クランク角が基準角度(0°CA)になったと判断されて、クランクカウンタのカウント値が同基準角度に対応する値に初期化される。
【0047】
図5に、クランクシャフト31の逆回転時におけるメインセンサ61から出力されるメイン信号Sm、サブセンサ62から出力されるサブ信号Ss、及びクランク信号Scの関係を併せ示す。
【0048】
図5に示すように、ハイレベルになっているクランク信号Scは、上記[条件B](図3参照)の成立したタイミングから、予め定められた所定時間Δt2(例えば、数百ミリ秒)が経過するまでの間(時刻t21〜t23,t24〜t26,t27〜t29)においてローレベルに変更される。ここで、ローレベルに設定されている所定時間Δ2が、クランク信号Scのパルス幅に相当する。ここで、所定時間Δt2は、クランクシャフト31の正回転時における所定時間Δt1(図5参照)よりも長い時間に設定されている。
【0049】
ECU41は、次のようにしてクランクカウンタを求める。すなわち先ず、クランク信号Scがハイレベルからローレベルに変化する度に、クランクカウンタのカウント値に、「1」がインクリメントされる(時刻t21,t24,t27)。また、その後においてクランク信号Scがローレベルになっている期間が判定時間(ただし、所定時間Δt1<判定時間<所定時間Δt2)以上になると(時刻t22,t25,t28)、同クランク信号Scのパルス幅がクランクシャフト31の逆回転を示す値になっているとして、クランクカウンタのカウント値から「2」がデクリメントされる。これら一連の操作を通じてクランクカウンタのカウント値がデクリメントされる。
【0050】
このようなクランクポジションセンサ42を採用することにより、出力されるクランク信号Scを計数することを通じてクランクシャフト31の回転の変化量の絶対値を把握することができるとともに、同クランク信号Scのパルス幅(所定時間Δt1,Δt2)に基づいてクランクシャフト31の回転方向を把握することができる。従って、クランクシャフト31の逆回転を考慮した上でクランク角を精度良く求めることが可能となる。
【0051】
ここで、図6を参照して、欠歯通過判定の判定態様について詳細に説明する。
図6に、クランクポジションセンサ42が正常である場合におけるクランク信号Sc、仮判定条件の成否、及び本判定条件の成否の推移を併せ示す。
【0052】
図6に示すように、連続して出力されるクランク信号Sc間の時間間隔Tm(m=−1,0,1,2,3,4)は、クランクポジションセンサ42近傍を、等間隔に設けられた歯52と歯52との間が通過する間隔T−1(時刻t31〜t32),T0(時刻t32〜t33),T2(時刻t34〜t35),T3(時刻t35〜t36),T4(時刻t36〜t37))と、不等間隔に設けられた歯52と歯52との間が通過する間隔T1(時刻t33〜t34)とで異なる。
【0053】
このことに着目することで、連続して計測した二つの時間間隔のうち後に計測した時間間隔を前に計測した時間間隔にて除算した除算値(T0/(T−1),T1/T0,T2/T1,T3/T2,T4/T3)と判定値Knとを比較することにより、欠歯部53の通過の有無を判定することが可能となる。
【0054】
具体的には、以下の2つの条件(a)、(b)が共に成立した場合に、仮判定が成立した旨判定するようにしている。

(a)T0/(T−1) ≧ K1

(b)T1/T0 ≧ K2

ここで、除算値(T0/(T−1))は、通常であれば、「1」となるが、実際にはクランクシャフト31の回転変動等に起因して「1」よりも小さい下限値から「1」よりも大きい上限値までの範囲内の値となる。そこで、除算値の算出され得る範囲を考慮することで、第1判定値K1は、上記下限値よりも僅かに小さい値に設定されている。
【0055】
また、除算値(T1/T0)は、通常であれば、「3」となるが、実際にはクランクシャフト31の回転変動等に起因して「3」よりも小さい下限値から「3」よりも大きい上限値までの範囲内の値となる。そこで、除算値の算出され得る範囲を考慮することで、第2判定値K2は、上記下限値よりも僅かに小さい値に設定されている。
【0056】
尚、第2判定値K2は、第1判定値K1よりも大きい値とされており(K2>K1)、本発明に係る下限判定値に相当する。また、これら判定値K1,K2は予め実験やシミュレーション等を通じて設定されている。
【0057】
また、仮判定条件が成立しているとき、すなわち上記2つの条件(a)、(b)が共に成立している場合に、更に、以下の条件(c)〜(g)の全てが成立した場合に、本判定を行なうようにしている。

(c)T1/T0 < K3

(d)T3/T2 ≧ K4

(e)T4/T3 ≧ K4

(f)T0/(T−1) ≧ K1

(g)T2/T1 < K5

ここで、機関始動開始直後のようにクランクシャフト31の回転速度の変化速度が大きいときには、クランクポジションセンサ42の近傍を、等間隔に設けられた歯52と歯52との間が通過した場合であっても、連続して計測される時間間隔(例えばT3,T4)のうち前に計測した時間間隔T3が後に計測した時間間隔T4よりも大きくなることがある。そしてこの場合、仮判定がなされたことをもって欠歯部53が通過した旨判定することとすると、実際には欠歯部53が通過していないにも拘わらず、後に計測した時間間隔T3を前に計測した時間間隔T2にて除算した除算値(T4/T3)が上記第2判定値K2以上となることに起因して仮判定がなされることで、欠歯部53が通過した旨の誤判定がなされるおそれがある。
【0058】
そこで、第3判定値K3は、上記除算値(T1/T0)の算出され得る範囲の上限値よりも大きく、且つクランクシャフト31の回転速度の変化速度が大きいときに、クランクポジションセンサ42の近傍を、等間隔に設けられた歯52と歯52との間が通過した場合に、連続して計測される時間間隔の除算値(例えばT4/T3)が取り得る範囲の下限値よりも小さい値に設定されている。
【0059】
尚、第3判定値K3は、第2判定値K2よりも大きい値とされており(K3>K2)、本発明に係る上限判定値に相当する。
また、第4判定値K4は、除算値(T3/T2、T4/T3)が異常値でないことを保証するための判定値であり、第2判定値K2よりも小さい値とされている(K4<K2)。
【0060】
また、除算値(T2/T1)は、通常であれば、約「0.33」となるが、実際にはクランクシャフト31の回転変動等に起因して「0.33」よりも小さい下限値から「0.33」よりも大きい上限値までの範囲内の値となる。そこで、除算値の算出され得る範囲を考慮して、第5判定値K5は、上記上限値よりも大きい値に設定されている。
【0061】
尚、これら判定値K3〜K5は予め実験やシミュレーション等を通じて設定されている。
そして、本判定がなされたことをもって欠歯部53が通過した旨判定するようにしている。こうした欠歯通過判定を行なうことにより、欠歯部53の通過の有無を精度良く判定することが可能となる。
【0062】
ところで、図7に示すように、クランクポジションセンサ42では、サブセンサ62から出力されるサブ信号Ssがハイレベルから変化しなくなる異常が生じることがある。この場合、クランクシャフト31の正回転時に、クランク信号Scとして正回転したことを示すパルス幅の短い信号と、逆回転したことを示すパルス幅の長い信号とが交互に出力されることとなり、一つの歯52が通過する毎に二つのクランク信号Scが出力される異常(以下、倍信号異常)が生じることとなる。そのため、こうした倍信号異常が生じた場合には、クランクポジションセンサ42から出力されるクランク信号Scの信頼性が低いために、上記欠歯通過判定において、実際には欠歯部53が通過したにも拘わらず条件(c)が成立しなくなることで、欠歯部53の通過の有無の判定を精度良く行なうことができなくなるといった問題が生じる。
【0063】
そこで、本実施形態では、ECU41により、倍信号異常が生じているか否かを判定するとともに、欠歯通過判定に際して、倍信号異常が生じている旨判定された場合とそうでない場合とで、クランクポジションセンサ42から出力されるクランク信号Sc間の時間間隔Tmに基づく判定態様を変更するようにしている。具体的には、欠歯通過判定に際して、上記倍信号異常が生じている旨判定された場合には上記判定値Kn(n=1,2,3,4,5)として異常時用判定値Dn(n=1,2,3,4,5)を設定する一方、上記異常が生じていない場合には上記判定値Knとして正常時用判定値Cn(n=1,2,3,4,5)を設定するようにしている。
【0064】
次に、図8〜図10を参照して、本実施形態における欠歯通過判定の処理手順について説明する。尚、図8は、欠歯通過判定の処理手順を示すフローチャートであり、内燃機関11の運転中において所定期間毎に繰り返し実行される。また、図9は、欠歯通過判定における仮判定処理の処理手順を示すフローチャートであり、図8に示すフローチャートにおいてステップS4に移行したときに実行される。また、図10は、欠歯通過判定における本判定処理の処理手順を示すフローチャートであり、図8に示すフローチャートにおいてステップS6に移行したときに実行される。
【0065】
図8に示すように、この一連の処理では、まず、ステップS1において、倍信号異常が生じているか否かを判断する。ここでは、例えばクランクシャフト31が正回転方向へのみ回転する判定期間内においてクランクポジションセンサ42から連続して出力された二つのクランク信号Scの一方のパルス幅と他方のパルス幅とが異なることをもって倍信号異常が生じている旨判断するようにしている。具体的には、クランクシャフト31が正回転方向のみに回転する判定期間として、機関回転速度NEが、内燃機関11の始動完了を判定する判定回転速度(例えば400rpm)以上である期間を採用している。そして、機関回転速度NEが判定回転速度以上であるときに、クランク信号Scとして正回転したことを示すパルス幅の短い信号と、逆回転したことを示すパルス幅の長い信号とが交互に出力されることが所定回数継続した場合に倍信号異常が生じていると判断している。
【0066】
ステップS1において、倍信号異常が生じている旨判断した場合には(ステップS1:「YES」)、次に、ステップS2に進み、判定値Kn(n=1,2,3,4,5)として異常時用判定値Dn(n=1,2,3,4,5)を設定し、次に、ステップS4に進む。
【0067】
一方、倍信号異常が生じていない、すなわち正常である旨判断した場合には(ステップS1:「NO」)、次に、ステップS3に進み、判定値Kn(n=1,2,3,4,5)として正常時用判定値Cn(n=1,2,3,4,5)を設定し、次に、ステップS4に進む。
【0068】
ここで、異常時用判定値Dnはそれぞれ正常時用判定値Cnとは異なる値に設定されている。図11に示すように、時刻t53において倍信号異常が生じたとする。倍信号異常が生じた場合には、倍信号異常が生じていない場合に比べて、同異常の発生以降における時間間隔T0(時刻t54〜t55)、T2(時刻t56〜t57)に対する時間間隔T1(=t56−t55)の乖離度合が大きくなる。そのため、これら時間間隔T0,T1の除算値T1/T0の算出され得る範囲の上限値及び下限値はそれぞれ、正常時に比べて大きくなる。一方、これら時間間隔T2,T1の除算値T2/T1の算出され得る範囲の上限値及び下限値はそれぞれ、正常時に比べて小さくなる。
【0069】
そこで、本実施形態では、これらのことを考慮して、例えば、異常時用の第2判定値D2を正常時用の第2判定値C2よりも大きい値に設定している(D2>C2)。また、異常時用の第3判定値D3を正常時用の第3判定値C3よりも大きい値に設定している(D3>C2)。一方、異常時用の第5判定値D5を正常時用の第5判定値C5よりも小さい値に設定している(D5<C5)。またこれら以外の判定値についても、実験等を通じて、倍信号異常が生じているときと倍信号異常が生じていないときとにそれぞれ対応した値に設定されている。
【0070】
そして、ステップS4に進むと、図9に示す仮判定処理を実行する。
図9に示すように、この一連の処理では、まず、ステップS11において、クランク信号Sc間の時間間隔Tm(m=−1,0,1)を読み込む。そして、次に、ステップS12に進み、上記条件(a)が成立しているか否かを判断する。ここで、条件(a)が成立している場合、すなわち除算値T0/(T−1)が第1判定値K1以上である場合には(ステップS12:「YES」)、次に、ステップS13に進み、上記条件(b)が成立しているか否かを判断する。そしてこの結果、条件(b)が成立している場合、すなわち除算値T1/T0が第2判定値K2以上である場合には(ステップS13:「YES」)、次に、ステップS14に進み、仮判定条件が成立したとして、この一連の処理を終了する。
【0071】
一方、条件(a)が不成立の場合(ステップS12:「NO」)や、条件(b)が不成立の場合(ステップS13:「NO」)には、次に、ステップ15に進み、仮判定条件が不成立であるとして、この一連の処理を終了する。
【0072】
こうして仮判定処理が完了すると、先の図8に示すように、次に、ステップS5に進み、仮判定条件が成立しているか否かを判断する。ここで、仮判定条件が成立している場合には(ステップS5:「YES」)、次に、ステップS6に進み、本判定処理を実行する。
【0073】
一方、ステップS5において、仮判定条件が成立していない場合には(ステップS5:「NO」)、この一連の処理を一旦終了する。
ステップS6に進むと、図10に示す本判定処理を実行する。
【0074】
図10に示すように、この一連の処理では、まず、ステップS21において、クランク信号Sc間の時間間隔Tm(m=−1,0,・・・,4)を読み込む。そして、次に、ステップS22に進み、上記条件(c)が成立しているか否かを判断する。ここで、条件(c)が成立している場合、すなわち除算値T1/T0が第3判定値K3未満である場合には(ステップS22:「YES」)、次に、ステップS23に進み、上記条件(d)が成立しているか否かを判断する。そしてこの結果、条件(d)が成立している場合、すなわち除算値T3/T2が第4判定値以上である場合には(ステップS23:「YES」)、次に、ステップS24に進み、上記条件(e)が成立しているか否かを判断する。そしてこの結果、条件(e)が成立している場合、すなわち除算値T4/T3が第4判定値以上である場合には(ステップS24:「YES」)、次に、ステップS25に進み、上記条件(f)が成立しているか否かを判断する。そしてこの結果、条件(f)が成立している場合、すなわち除算値T0/(T−1)には(ステップS25:「YES」)、次に、ステップS26に進み、上記条件(g)が成立しているか否かを判断する。そしてこの結果、条件(g)が成立している場合、すなわち除算値T2/T1が第5判定値K5未満である場合には(ステップS26:「YES」)、次に、ステップS27に進み、本判定条件が成立したとして、この一連の処理を終了する。
【0075】
一方、条件(c)〜(g)のいずれか一つが不成立の場合(ステップS22:「NO」、或いはステップS23:「NO」、或いはステップS24:「NO」、或いはステップS25:「NO」、或いはステップS26:「NO」)、には、次に、ステップ28に進み、仮判定条件が不成立であるとして、この一連の処理を終了する。
【0076】
こうして仮判定処理が完了すると、先の図8に示すように、次に、ステップS7に進み、本判定条件が成立しているか否かを判断する。ここで、本判定条件が成立している場合には(ステップS7:「YES」)、次に、ステップS8に進み、欠歯部53の通過有りと判定して、この一連の処理を一旦終了する。
【0077】
一方、ステップS7において、本判定条件が成立していない場合には(ステップS7:「NO」)、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態に係る回転検出装置によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
【0078】
(1)本実施形態では、ECU41により、歯52が通過する毎にクランクポジションセンサ42から二つの信号が出力される倍信号異常が生じているか否かを判定するようにしている。そして、欠歯通過判定に際して、上記倍信号異常が生じている旨判定された場合とそうでない場合とで、クランクポジションセンサ42から出力されるクランク信号Sc間の時間間隔に基づく判定態様を変更するようにしている。具体的には、欠歯通過判定では、クランクポジションセンサ42から連続して出力されるクランク信号Sc間の時間間隔Tm(m=−1,0,・・・,4)を計測するとともに、連続して計測した二つの時間間隔(例えば(T−1)及びT0、T0及びT1、・・・)の比と判定値Kn(n=1,2,・・・)との比較に基づいて欠歯部53の通過の有無を判定するようにしている。そして、欠歯通過判定に際して、上記倍信号異常が生じている旨判定された場合には上記判定値Knとして異常時用判定値Dnを設定する一方、上記異常が生じていない場合には上記判定値Knとして正常時用判定値Cnを設定するようにしている。これにより、欠歯通過判定に際して、倍信号異常が生じている場合とそうでない場合とで上記判定値が同一とされる従来技術とは異なり、倍信号異常が生じている旨判定された場合には、倍信号異常が生じていない場合、すなわち正常な場合に対応した判定値Cnから、倍信号異常が生じている場合に対応した判定値Dnに変更される。従って、倍信号異常が生じている場合であれ、欠歯部53の通過の有無を的確に判定することができるようになる。
【0079】
(2)本実施形態では、連続して計測した二つの時間間隔(例えば、(T−1)及びT0、T0及びT1、・・・)のうち後に計測した時間間隔を前に計測した時間間隔にて除算した除算値(例えば、T0/(T−1)、T1/T0等)と判定値Knとの比較に基づいて欠歯通過判定を行うようにしている。また、除算値が、連続して計測した二つの時間間隔のうち前に計測した時間間隔が等間隔に設けられた歯52と歯52との間が通過したことに対応する間隔であり、後に計測した時間間隔が欠歯部53が通過したことに対応する間隔であるときの当該除算値の取り得る範囲の下限値よりも小さい下限判定値である第2判定値K2以上であるとの条件が成立したときに仮判定をするようにしている。また、また、仮判定がなされているときに、除算値が、当該除算値の取り得る範囲の上限値よりも大きい上限判定値である第3判定値K3未満であるとの条件が成立したときに本判定をするようにしている。そして、本判定がなされたことをもって欠歯部53が通過した旨判定するようにしている。これにより、仮判定部により仮判定がされただけで欠歯部53が通過した旨判定されるのではなく、仮判定がなされているときに、更に本判定がされたことをもって欠歯部53が通過した旨判定される。これにより、仮判定がされただけで欠歯部53が通過した旨判定する構成に比べて、欠歯部53が通過していないにも拘わらず通過した旨の誤判定がされることを抑制することができるようになる。
【0080】
(3)本実施形態では、ECU41により、クランクシャフト31が正回転方向へのみ回転する判定期間内においてクランクポジションセンサ42から連続して出力された二つのクランク信号Scの一方のパルス幅と他方のパルス幅とが異なることをもって倍信号異常が生じている旨判定するようにしている。これにより、倍信号異常が生じている場合には、こうした状況を、クランクシャフト31が正回転方向へのみ回転する判定期間内においてクランクポジションセンサ42から連続して出力された二つのクランク信号Scが正回転を示す短いパルス幅であることと逆回転を示す長いパルス幅であることとの双方を含むことをもって的確に判定することができる。
【0081】
尚、本発明に係る回転検出装置は、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施形態では、欠歯部53が通過していないにも拘わらず通過した旨の誤判定がされることを抑制すべく、仮判定がなされているときに、本判定がなされたことをもって欠歯部53が通過した旨判定するようにした。しかしながら、実際には欠歯部53が通過しているにも拘わらず、何等かの原因により本判定がなされない場合があり、この場合には、欠歯部53の通過を早期に判定することができないおそれがある。そこで、仮判定がなされているときに、以下の条件が成立した場合には、本判定によることなく欠歯部53が通過した旨判定するようにすればよい。すなわち、カムポジションセンサ43を、欠歯部53がクランクポジションセンサ42を通過したときに少なくとも吸気カムシャフト26の基準回転角の通過に対応した信号Gを出力する構成とする。そして、ECU41により、本判定がなされたことをもって欠歯部53が通過した旨判定する一方、仮判定がなされているときに、カムポジションセンサ43から信号Gが出力されたときには本判定部による判定によることなく欠歯部53が通過した旨判定するようにすればよい。これにより、実際には欠歯部53が通過しているにも拘わらず、何等かの原因により本判定がなされない場合に、欠歯部53の通過を早期に判定することができるようになる。
【0082】
・上記実施形態では、クランクポジションセンサ42から連続して出力されるクランク信号Sc間の時間間隔Tmを計測するとともに、連続して計測した二つの時間間隔のうち後に計測した時間間隔を前に計測した時間間隔にて除算した除算値と判定値との比較に基づいて欠歯部53の通過の有無を判定するようにした。しかしながら、本発明に係る欠歯通過判定の判定態様はこれに限られるものではない。他に例えば、上記連続して計測した二つの時間間隔のうち前に計測した時間間隔を後に計測した時間間隔にて除算した除算値と判定値との比較に基づいて欠歯通過判定を行うようにしてもよい。この場合、仮判定の判定態様や本判定の判定態様を適宜変更すればよい。
【0083】
・上記実施形態では、クランクシャフト31が正回転方向のみに回転する期間である判定期間を、機関始動時において機関回転速度NEが判定回転速度以上となった後の期間としたが、本発明に係る判定期間はこれに限られるものではない。要するに、クランクシャフト31が正回転方向のみに回転する期間であればよく、上記判定回転速度よりも低い回転速度範囲を含めるようにしてもよい。
【0084】
・上記実施形態では、回転検出装置の回転体としてクランクシャフト31について例示したが、本発明はこれに限られるものではなく、他に例えば本発明を電動機の出力軸に対して適用することもできる。
【0085】
・上記実施形態では、サブセンサ62から出力されるサブ信号Ssがハイレベルであり且つメインセンサ61から出力されるメイン信号Smが変化したとの条件が成立したときに同条件の成立時におけるサブセンサ62の出力信号(サブ信号Ss)の変化方向に応じて異なるパルス幅のパルス信号(クランク信号Sc)を出力する回転センサ(クランクポジションセンサ42)について例示した。そして、所定方向へのみ回転する判定期間内において回転センサから連続して出力された二つのクランク信号Scの一方のパルス幅と他方のパルス幅とが異なることをもって倍信号異常が生じている旨判定するようにした。しかしながら、倍信号異常の判定態様はこれに限られるものではなく、他に例えば、サブセンサ62の出力信号が所定レベルであり且つメインセンサ61の出力信号が変化したとの条件が成立したときに同条件の成立時におけるサブセンサ62の出力信号の変化方向に応じて異なる電圧レベルの信号を出力する回転センサを採用することもできる。またこの場合には、所定方向へのみ回転する判定期間内において回転センサから連続して出力された二つの信号の一方の電圧レベルと他方の電圧レベルとが異なることをもって倍信号異常が生じている旨判定するようにすればよい。
【0086】
・上記実施形態では、仮判定と本判定とを各別に行なうようにしているが、これに代えて、仮判定と本判定とを統合してもよい。
・上記実施形態では、回転センサから連続して出力される信号間の時間間隔を計測するとともに、連続して計測した二つの時間間隔の比と判定値との比較に基づいて欠歯部通過判定を行なうようにしているが、これに代えて、連続して計測した二つの時間間隔の差と判定値との比較に基づいて欠歯部通過判定を行なうようにしてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、回転センサから連続して出力される信号間の時間間隔を計測するとともに、連続して計測した二つの時間間隔の乖離度合と判定値との比較に基づいて欠歯部通過判定を行なうようにした。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、他に例えば、回転センサから連続して出力される三つの信号のうち最初の信号と最後の信号との間の時間間隔及び判定値に基づいて欠歯部通過判定を行なうようにしてもよい。
【0088】
・上記実施形態では、回転センサから出力される信号間の時間間隔及び判定値に基づいて欠歯部通過判定を行なうようにしたが、欠歯通過判定の判定態様はこれに限られるものではなく、回転センサから出力される信号間の時間間隔に基づいて欠歯部の通過の有無を判定するものであれば、これを任意の態様に変更することができる。そして、欠歯部の通過の有無の判定に際して、倍信号異常が生じている旨判定された場合とそうでない場合とで、回転センサから出力される信号間の時間間隔に基づく判定態様を変更するものであればよい。
【符号の説明】
【0089】
11…内燃機関、12…気筒、13…ピストン、14…燃焼室、15…燃料噴射弁、16…点火プラグ、21…吸気通路、22…吸気バルブ、23…排気通路、24…排気バルブ、26…吸気カムシャフト、27…排気カムシャフト、31…クランクシャフト(回転体、内燃機関の出力軸)、32…変速機、33…スタータモータ、41…ECU(電子制御装置、欠歯通過判定部、異常判定部、仮判定部、本判定部、判定態様変更部、機関制御部)、42…クランクポジションセンサ、43…カムポジションセンサ、44…シフトポジションセンサ、45…アクセルポジションセンサ、46…ブレーキセンサ、47…車速センサ、51…シグナルロータ、52…歯、53…欠歯部、61…メインセンサ、62…サブセンサ、63…処理装置、64…タイマ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転方向に沿って所定角度毎に設けられる複数の歯と、前記回転方向において隣り合う前記歯の間に設けられてこれら歯の間隔を不等間隔とする欠歯部とを有する被検出体に対向して配置されるセンサであって、前記歯が通過する毎にパルス状の信号を出力するセンサ部を有し、前記センサ部は互いに位相のずれた信号を出力する第1センサ部及び第2センサ部を含み、前記第1センサ部の出力信号が所定レベルであり且つ前記第2センサ部の出力信号が変化したとの条件が成立したときに同条件の成立時における前記第2センサ部の出力信号の変化方向に応じて異なる出力態様にて信号を出力する回転センサと、前記回転センサから出力される信号間の時間間隔に基づいて前記欠歯部の通過の有無を判定する欠歯通過判定部とを備える回転検出装置において、
一つの歯が通過する毎に前記回転センサから二つの信号が出力される異常が生じているか否かを判定する異常判定部と、
前記欠歯通過判定部による前記欠歯部の通過の有無の判定に際して、前記異常判定部により前記異常が生じている旨判定された場合とそうでない場合とで、前記回転センサから出力される信号間の時間間隔に基づく判定態様を変更する判定態様変更部と、を備える
ことを特徴とする回転検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転検出装置において、
前記欠歯通過判定部は、前記回転センサから出力される信号間の時間間隔及び判定値に基づいて前記欠歯部の通過の有無を判定するものであり、
前記判定態様変更部は、前記欠歯部の通過の有無の判定に際して、前記異常判定部により前記異常が生じている旨判定された場合とそうでない場合とで前記判定値を変更する
ことを特徴とする回転検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の回転検出装置において、
前記欠歯通過判定部は、前記回転センサから連続して出力される信号間の時間間隔を計測するとともに、連続して計測した二つの時間間隔の乖離度合と判定値との比較に基づいて前記欠歯部の通過の有無を判定する
ことを特徴とする回転検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の回転検出装置において、
前記欠歯通過判定部は、連続して計測した二つの時間間隔のうち後に計測した時間間隔を前に計測した時間間隔にて除算した除算値と判定値との比較に基づいて前記欠歯部の通過の有無を判定するものであり、
前記除算値が、前記連続して計測した二つの時間間隔のうち前に計測した時間間隔が等間隔に設けられた歯と歯との間が通過したことに対応する間隔であり、後に計測した時間間隔が前記欠歯部が通過したことに対応する間隔であるときの当該除算値の取り得る範囲の下限値よりも小さい下限判定値以上であるとの条件が成立したときに仮判定をする仮判定部と、
前記仮判定部により仮判定がなされているときに、前記除算値が、当該除算値の取り得る範囲の上限値よりも大きい上限判定値未満であるとの条件が成立したときに本判定をする本判定部とを備え、
前記本判定部により本判定がなされたことをもって前記欠歯部が通過した旨判定する
ことを特徴とする回転検出装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の回転検出装置において、
前記異常判定部は、前記回転体が所定方向へのみ回転する判定期間内において前記回転センサから連続して出力された二つの信号の一方の出力態様と他方の出力態様とが異なることをもって前記異常が生じている旨判定する
ことを特徴とする回転検出装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の回転検出装置において、
前記回転体は内燃機関の出力軸であり、
前記被検出体は前記出力軸と一体に回転するシグナルロータである
ことを特徴とする回転検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の回転検出装置において、
内燃機関は前記出力軸の回転に伴い回転するカムシャフトと同カムシャフトと一体に回転して機関バルブを開閉駆動するカムとを備え、
前記シグナルロータの前記欠歯部が前記回転センサを通過したときに少なくとも前記カムシャフトの基準回転角の通過に対応した信号を出力するカム回転センサを備え、
前記欠歯通過判定部は、前記回転センサから連続して出力される信号間の時間間隔を計測するとともに、連続して計測した二つの時間間隔のうち後に計測した時間間隔を前に計測した時間間隔にて除算した除算値と判定値との比較に基づいて前記欠歯部の通過の有無を判定するものであり、
前記除算値が、前記連続して計測した二つの時間間隔のうち前に計測した時間間隔が等間隔に設けられた歯と歯との間が通過したことに対応する間隔であり、後に計測した時間間隔が前記欠歯部が通過したことに対応する間隔であるときの当該除算値の取り得る範囲の下限値よりも小さい下限判定値以上であるとの条件が成立したときに仮判定をする仮判定部と、
前記仮判定部により仮判定がなされているときに、前記除算値が、当該除算値の取り得る範囲の上限値よりも大きい上限判定値未満であるとの条件が成立したときに本判定をする本判定部とを備え、
前記本判定部により本判定がなされたことをもって前記欠歯部が通過した旨判定する一方、前記仮判定部により仮判定がなされているときに、前記カム回転センサから前記信号が出力されたときには前記本判定部による判定によることなく前記欠歯部が通過した旨判定する
ことを特徴とする回転検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−37357(P2012−37357A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177231(P2010−177231)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】