説明

固体撮像素子の試験装置

固体撮像素子に試験用光を照射する光学系を固体撮像素子へ位置決めするのが容易で、効率の高い試験を行うことができる試験装置を提供する。 光源からの光をピンホールを通じて固体撮像素子の受光面に照射する光学モジュール35と、固体撮像素子のパッドと接触する接触針を有するプローブカード20と、試験すべき固体撮像素子のパッドに接触針21が接触した状態にあるプローブカード20のもつ開口20hを通じて、光学モジュール35を試験すべき固体撮像素子に対して所定の位置に移動させるモータ30,保持アーム31を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、固体撮像素子の試験装置、固体撮像素子の試験に用いる中継装置および光学モジュールに関する。
【背景技術】
CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子の製造工程においては、固体撮像素子の光電変換特性を試験する必要があるが、この試験には、固体撮像素子が半導体ウェーハに形成されたチップ状態で行う前工程試験と、固体撮像素子が組み立てられパッケージングされた後に行う後工程試験とがある。
前工程試験では、たとえば、プローブカードを用いてテストヘッドと固体撮像素子とを電気的に接続した状態で、固体撮像素子の受光面にピンホールをもつ所定の光学系を通じて試験用光を照射する。
後工程試験では、たとえば、ハンドラによりパッケージされた固体撮像素子をソケットボードに装着することにより、テストヘッドと固体撮像素子とを電気的に接続し、この状態で固体撮像素子の受光面にピンホールをもつ所定の光学系を通じて試験用光を照射する。
上記の光学系は、F値が所定の値(あるいは、射出瞳距離が所定の距離)になるように設定されている。なお、F値はピンホールの直径と射出瞳距離の比で決まる。
ところで、固体撮像素子の仕様や種類によっては、所望のF値を得るためには、光を照射するための光学系を固体撮像素子の受光面に非常に接近させなければならない場合もある。
しかしながら、光学系と固体撮像素子との間には、プローブカードやソケットボードが介在するため、これらの存在により光学系と固体撮像素子との位置関係の自由度は制約を受ける。このため、試験効率を向上させることが難しい。
また、固体撮像素子は、ハンドラにより自動的に試験装置に装着されるが、ハンドラの位置決め精度はそれほど高くない。上記の光学系と固体撮像素子との位置が測定毎にばらつくと、固体撮像素子への光の入射角度が測定毎に変化し、固体撮像素子の出力がばらつき、正確な測定が困難となる。CCDやCMOS等の固体撮像素子では、各受光素子上にマイクロレンズを配置し、等価的な開口率を上げ、感度を向上させる技術が知られているが、このマイクロレンズを備えた固体撮像素子において、特に出力のばらつきが顕著となる。
【発明の開示】
本発明の目的は、固体撮像素子に光電変換特性を所定の光学系を通じて光を照射しながら試験する際に、固体撮像素子に試験用光を照射する光学系を固体撮像素子へ位置決めするのが容易で、効率の高い試験を行うことができる試験装置とこの試験装置に用いる中継装置および光学モジュールを提供することにある。
本発明の他の目的は、固体撮像素子にピンホールを通じて光を照射して特性を測定する試験において、試験効率を低下させることなく、ピンホールと固体撮像素子との間の位置関係のばらつきに起因する測定誤差を排除可能な試験装置を提供することにある。
本発明の光学モジュールは、固体撮像素子の光電変換特性を試験する際に、固体撮像素子の受光面に対向配置され、前記受光面へ向けて試験用光を照射するのに用いられる光学モジュールであって、光学レンズと、前記光学レンズを通過した光の強度分布を調整する拡散板と、前記拡散板からの光を通過させるピンホールと、前記光学レンズから前記ピンホールへ至る光路へ外部から光が入射するのを防ぐ遮光部とを有する。
本発明の中継装置は、固体撮像素子の光電変換特性を試験する際に、測定すべき固体撮像素子と電気的に接続されることによって、前記固体撮像素子の光電変換特性の測定に必要な信号を伝達する中継装置であって、固体撮像素子の光電変換特性を試験する際に、固体撮像素子の受光面に対向配置され、前記受光面へ向けて試験用光を照射するのに用いられる光学モジュールを備える。
本発明の第1の観点に係る固体撮像素子の試験装置は、固体撮像素子に光を照射し、当該固体撮像素子の光電変換特性を試験する試験装置であって、入射された光をピンホールを通じて試験用光として出射する光学モジュールと、前記固体撮像素子と電気的に接続されることによって当該固体撮像素子の光電変換特性の測定に必要な信号を伝達する中継手段と、前記光学モジュールを前記中継手段が前記固体撮像素子と電気的に接続された状態において、前記固体撮像素子に対して光を出射可能な位置に移勤させる移動位置決め手段とを有する。
本発明の第2の観点に係る固体撮像素子の試験装置は、固体撮像素子の受光面に光を照射し特性を測定する固体撮像素子の試験装置であって、光源から所定の光路を通じて導かれた光をピンホールを通じて前記固体撮像素子に照射する光学モジュールと、前記光学モジュールの光軸に垂直な平面内で前記固体撮像素子を移動可能に保持する移動テーブルと、前記光学モジュールを前記所定の光路外に移動させる移動手段と、前記光学モジュールが前記所定の光路外に移動した状態で前記所定の光路に挿入され、前記固体撮像素子へ向かう前記光源からの光を透過し、かつ、光が照射された前記固体撮像素子の像を反射するハーフミラーと、前記ハーフミラーによって反射された像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像した前記受光面の画像データに基づいて、前記光学モジュールの光軸が前記受光面の所定位置に位置するように前記移動テーブルを制御する制御手段とを有する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の試験装置の構成図であり、
図2は、光学モジュールの構造を示す断面図であり、
図3は、プローブカードと光学モジュールをウェーハに位置決めした状態を示す図であり、
図4は、本発明の第2の実施形態に係るプローブカードの構成を示す図であり、
図5は、本発明の他の実施形態に係る中継装置としてのプローブカードの構成を示す図であり、
図6は、図5のA−A線方向の断面図であり、
図7は、光学モジュールが取り外された状態のカード本体の平面図であり、
図8は、光学モジュールのカード本体へ搭載される面側の図であり、
図9は、ピンホールを通じて試験用光が各固体撮像素子へ照射される状態を示す図であり、
図10は、本発明のさらに他の実施形態に係る中継装置としてのプローブカードの構成を示す図であり、
図11は、本発明のさらに他の実施形態に係る中継装置としてのプローブカードの構成を示す図であり、
図12は、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の検査装置の構成図であり、
図13は、タレットの構成を示す平面図であり、
図14は、固体撮像素子の検査前の検査装置の状態を示す図であり、
図15は、固体撮像素子の撮像画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。
第1の実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の試験装置の構成図である。
図1において、試験装置1は、光照射部2と、ウェーハテーブル50と、測定部70とを有する。
光照射部2は、光源3と、コンデンスレンズ4と、メカニカルスリット5と、NDフィルタータレット6と、カラーフィルタータレット7と、ホモゲナイザー9と、反射ミラー10と、ホモゲナイザー11と、光学モジュール35と、モータ30と、保持アーム31とを有する。
光学モジュール35は本発明の光学モジュールの一実施態様であり、モータ30と保持アーム31とは本発明のモジュール移動手段の一実施態様を構成している。
光源3は、たとえば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。この光源3は、発光した光を所定の方向に反射集光する。
コンデンスレンズ4は、光源2からの光束をメカニカルスリット5の方向に集中させる。
メカニカルスリット5は、図1に示すように、2枚の可動板5A,5Bから構成され、可動板5A,5Bの移動調整により、これらの間に形成される開口5Cの面積が調整される。開口5Cの面積を調整することにより、コンデンスレンズ4で集光された光の光量を調整する。
NDフィルタータレット6は、支持軸8を中心に回転可能に支持されている。このNDフィルタータレット6は、周方向に沿って複数種のND(Neutral Density)フィルターを保持している。NDフィルターは、メカニカルスリット5を透過した光源3からの光を分光組成を変えないで所定の割合で減光する。NDフィルタータレット6を回転させて割り出すことにより、所望の減光量のNDフィルクーが選択される。なお、NDフィルタータレット6は単なる開口も備えており、減光しない場合には、この開口をそのまま通過させる。
カラーフィルタータレット7は、支持軸8を中心に回転可能に支持されている。この、カラーフィルタータレット7は周方向に沿って複数種のカラーフィルターを保持している。光源3からの光は、カラーフィルターを通過することにより、カラーフィルターの色に応じた波長の光が生成される。カラーフィルタータレット7を回転させて割り出すことにより、所望のカラーフィルタが選択される。なお、カラーフィルタータレット7は光が通過する単なる開口も備えており、波長を選択しない場合には、この開口をそのまま通過させる。
ホモゲナイザー9および11は、単レンズを縦横にマトリクス状に配列したフライアイレンズ等から構成され、光源3からの光の照度分布を均一化するために設けられている。
なお、コンデンスレンズ4、メカニカルスリット5、NDフィルタータレット6、カラーフィルタータレット7、ホモゲナイザー9、反射ミラー10、ホモゲナイザー11等から構成される光学系は、光源3からの光束の光量、照度、照度分布、波長等を調整する機能を有する。
モータ30は、保持アーム31を旋回可能に保持している。
保持アーム31は、一端がモータ30の駆動軸に接続され、他端部に光学モジュール35を保持している。
保持アーム31が矢印A2の向きに旋回され、所定の位置に位置決めされると、光学モジュール35が光照射部2の光学系の光路に挿入され、ウェーハWに対して位置決めされる。すなわち、光学モジュール35は光照射部2の光学系の光路に挿抜可能に配置されている。
光学モジュール35は、ホモゲナイザー11から出力された光線Lが入射され、この光線LをウェーハWにピンホールを通じて照射する。なお、光学モジュール35の具体的な構成については、後述する。
ウェーハテーブル50は、試験すべきウェーハWが搭載される搭載面50aを備えている。この搭載面50aは、光照射部2の光学系の光路に垂直となっている。
ウェーハテーブル50は、搭載面50aに搭載されたウェーハWを光照射部2の光学系の光路に垂直なウェーハ平面内で位置決めする。
光照射部2の光学系の光路の方向をz方向、z方向に垂直な平面内の互いに直交する方向をx,y方向、ウェーハテーブル50を回転する方向をθ方向とすると、搭載面50aは、x,y,zおよびθ方向に位置決め可能となっている。
プローブカード20は、ウェーハWに形成されたCCD等の固体撮像素子のパッドに接触する接触針21を備えている。
また、プローブカード20は、ポゴタワー22を介してマザーボード23に保持されている。
接触針21を固体撮像素子のパッドに接触させることにより、マザーボード23はウェーハWに形成された固体撮像素子と電気的に接続される。
測定部70は、ウェーハWに形成された固体撮像素子とマザーボード23とが電気的に接続されることにより、固体撮像素子へ電力を供給し、固体撮像素子の出力信号を受けて解析等を行う。
図2は、光学モジュール35の構造を示す断面図である。
光学モジュール35は、図2に示すように、レンズ36と、拡散板37と、筒部材38と、ピンホール板39と、押えリング40とを備えている。
レンズ36は、上記構成の光照射部2のホモゲナイザー11から導かれた光源3からの光を集光する。このレンズ36は、たとえば、BK7、石英ガラス等の材料で形成されている。このレンズ36の口径Hは、たとえば、本実施形態では、30mm程度である。
拡散板37は、レンズ36によって集光された光の強度分布が、たとえば、均一となるように、光を拡散させ、光量、照度および照度分布を制御する。この拡散板37は、たとえば、ガラス、アクリル等の樹脂によって形成されている。
拡散板37は、照度分布の制御を最適化するために3次元曲面を備えている。この拡散板37は、ボールエンドミルによって切削加工したり、あるいは、樹脂を射出成形することによって得られる。切削加工あるいは射出成形により所定の形状が得られたのち、サンドブラストにより表面を粗面化することにより、拡散板として機能する。
筒部材38は、円筒状の部材からなり、内周にレンズ36、拡散板37およびピンホール板39を保持している。
筒部材38は、ポリカーボネート等の樹脂、あるいは、アルミニウム合金等の金属で形成されており、光を遮断する。すなわち、筒部材38は、外側から入射する光を遮断する。
ピンホール板39は、厚さが30μm〜1mm程度の板からなり、所定の直径のピンホール39pを光軸上に備えている。ピンホール板39は、リン青銅、アルミニウム合金、ステンレス等の金属材料で形成されている。ピンホール39pの直径は、本実施形態では、たとえば、0.1mm〜10mm程度である。
押えリング40は、図示しないビスによって筒部材38の上端に固定されており、レンズ36と拡散板37の光軸方向の移動を規制する。
上記構成の光学モジュール35では、ウェーハWの形成された固体撮像素子の受光面60の幅h、受光面60とピンホール板39との距離L2、拡散板37の下面とピンホール板39との距離L1、レンズ36の口径Hとすると、
h/H = L2/L1
の関係がほぼ成立するように設計される。
L2,hおよびHが既定されているとすると、拡散板37の下面での光の分布が受光面60の全面に投影され、光の強度分布が、たとえば、均一となるようにL1と拡散板37の3次元曲面形状とが決定される。
次に、上記構成の試験装置1を用いた固体撮像素子の試験手順の一例について図3を参照して説明する。
まず、プローブカード20の接触針21を対応する固体撮像素子のパッドPdに接触させる。プローブカード20の接触針21を固体撮像素子のパッドPdに接触させるには、ウェーハステージ50の位置制御を行う。
次いで、光照射部2の光路外に配置されていた光学モジュール35を移動させて、光照射部2の光路内に挿入する。
図3に示すように、光学モジュール35は、プローブカード20に形成された開口部20hを通じて試験すべき固体撮像素子の受光面60に位置決めされる。
これにより、光照射部2の光源3からの光Lは、光学モジュール35を通じて、受光面60に照射される。
この状態において、プローブカード20は固体撮像素子のパッドPdと電気的に接続されており、固体撮像素子の光電変換特性がマザーボード23および測定部70によって測定される。
次の固体撮像素子を試験する場合には、ウェーハWとプローブカード20との位置を変更して新たな固体撮像素子のパッドPdに接触針21を接触させる。以上のように、本実施形態によれば、ウェーハWに形成された固体撮像素子に照射するための均一な光を生成する光学モジュール35を移動可能にし、この光学モジュール35をプローブカード20の開口部20hを通じて固体撮像素子に対して位置決めする。このため、光学モジュール35をプローブカード20と干渉することなくウェーハWに形成された固体撮像素子に近づけることができる。この結果、種々の固体撮像素子の試験に容易に対応することができる。
第2の実施形態
図4は、本発明の他の実施形態に係る中継装置としてのプローブカードの構成を示す図である。なお、図4において、第1の実施形態と同一の構成部分については同一の符号を使用している。
図4において、本実施形態に係るプローブカード20Aは、開口部20h上に第1の実施形態と同一の構成の光学モジュール35が固定されている。
光学モジュール35は、固定部材70によって固定されている。
光学モジュール35の受光面60に対する位置は、試験する固体撮像素子に応じて適宜調整される。
プローブカード20Aは、上記したポゴタワー22を介してマザーボード23に保持される。
本実施形態によれば、ウェーハWに形成された固体撮像素子の光電変換特性を試験するのに、第1の実施形態にように、光学モジュール35を移動させる必要がない。このため、試験効率を大幅に向上させることができる。
第3の実施形態
図5は、本発明の他の実施形態に係る中継装置としてのプローブカードの構成を示す図であり、図6は図5のA−A線方向の断面図である。
図5に示すプローブカード200は、カード本体201と、光学モジュール300とを有する。
プローブカード200のカード本体201は、上述した実施形態に係るプローブカードと基本的な機能は同じであるが、複数(4個)の固体撮像素子の試験を同時にできる点で異なる。
プローブカード200は、上記したポゴタワー22を介してマザーボード23に保持される。
光学モジュール300は、円盤状のカード本体201の中央部に設けられている。
図6に示すように、光学モジュール300は、保持部材301、光学レンズ302、拡散板303、ピンホール304、カバー部材305を備えている。
保持部材301には、光路を形成するための複数の穴301hが形成されており、この穴301hの底部にピンホール304が形成されている。
保持部材301の穴301hの内周には、光学レンズ302および拡散板303が保持されている。光学レンズ302は、穴301hの上端側に保持され、拡散板303はこの光学レンズ302に隣接して保持され、ピンホール304からは離隔している。
保持部材301は、光を透過しない材料で形成されている。保持部材301は本発明の遮光部の一実施態様である。
また、光学レンズ302、拡散板303、ピンホール304等は、上述した実施形態の光学モジュール35のものと同様の機能を有する。
カバー部材305は、光学レンズ302上に設けられ、光学レンズ302や拡散板303が保持部材301から脱落するのを防ぐ。カバー部材305には、各光学レンズ302に対応して、光を通過させるための開口部305hが形成されている。
カード本体200は、接触針205を複数の固体撮像素子に対応して備えている。
図7は光学モジュール300が取り外された状態のカード本体の平面図であり、図8は光学モジュール300のカード本体へ搭載される面側の図である。
図7に示すように、カード本体200は、搭載部202の内側に矩形状の開口部203を備えている。
搭載部202には、光学モジュール300を搭載部202に固定するためのボルト310が螺合する螺子穴202hが形成されている。
また、搭載部202には、2か所に円柱状の位置決めピン202p1,202p2が設けられている。
一方、光学モジュール300には、位置決めピン202p1,202p2が嵌まる位置決め用穴302p1,302p2が形成されている。位置決め用穴302p1は円形穴であり、位置決め用穴302p2は長穴である。
位置決めピン202p1,202p2と位置決め用穴302p1,302p2とが嵌合することにより、光学モジュール300はカード本体200の所定位置に正確に位置決めされる。
なお、位置決めピン202p1,202p2を光学モジュール300側に設け、位置決め用穴302p1,302p2を搭載部202に形成してもよい。
図9に示すように、上記構成のプローブカード200の接触針205をウェーハW上の各固体撮像素子60のパッドに接触させた状態で、各光学レンズ302へ光Lを照射すると、各ピンホール304を通じて試験用光が各固体撮像素子60へ照射される。
このとき、各拡散板303は、光学レンズ302寄りに配置され、ピンホール304からは離隔しているため、各ピンホール304から照射される光が側方へ拡がらず、隣合う試験用光が干渉しない。
すなわち、拡散板303をピンホール304側に近づけるほど、拡散板303の作用により試験用光が拡がり、隣合うピンホール304からの試験用光が相互に干渉しやすいが、拡散板303を光学レンズ302寄りに配置し、ピンホール304から離隔させることで試験用光の拡がりを抑えることができる。
第4の実施形態
図10は、本発明のさらに他の実施形態に係る中継装置としてのプローブカードの構成を示す図である。
図10に示すプローブカード200Aは、基本的な構成は、第3の実施形態で説明したプローブカード200と同様であるが、遮光板350を備えている点で異なる。遮光板350は本発明の遮光手段の一実施態様である。
遮光板350は、光学モジュール300Aの保持部材301の下面に設けられており、隣り合うピンホール304から照射される試験用光が相互に干渉するのを防ぐために設けられている。
なお、遮光板350は、保持部材301に一体に形成してもよい。
本実施形態では、遮光板350を設けることで、拡散板303をピンホール304側に近づけたとしても、隣り合うピンホール304から照射される試験用光が相互に干渉するのを防ぐことができ、設計の自由度を拡大することができる。
第5の実施形態
図11は、本発明のさらに他の実施形態に係る中継装置としてのプローブカードの構成を示す図である。
図11に示すプローブカード200Bは、基本的な構成は、第3の実施形態で説明したプローブカード200と同様であるが、共通拡散板360を備えている点で異なる。遮光板350は本発明の遮光手段の一実施態様である。
共通拡散板360は、複数の光学レンズ302上に共通して配置され、各光学レンズ302に入射する光の入射角を均一化するために設けられている。
たとえば、図11に示すように、光源400を光学モジュール300B上に配置して光を照射すると、各光学レンズ302の位置によって光の入射角度が変わる。このため、各ピンホール304から出射される試験用光の強度分布にむらが発生しやすくなり、試験用光の条件にばらつきが発生しやすくなる。
共通拡散板360を設けることにより、各光学レンズ302に入射する光の入射角が均一化され、各ピンホール304から出射される試験用光の条件が均一化される。
この結果、複数の固体撮像素子を同時に同じ条件の試験用光で試験することが可能となる。
第6の実施形態
図12は、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の試験装置の構成図である。なお、図12において、第1の実施形態と同一構成部分については同一の符号を使用している。
図12において、試験装置140は、光照射部2と、X−Yテーブル30と、制御装置150と、測定装置160とを有する。なお、X−Yテーブル30は本発明の移動テーブルの一実施態様であり、制御装置150は本発明の制御手段の一実施態様である。
光照射部2は、光源3と、コンデンスレンズ4と、メカニカルスリット5と、NDフィルタータレット6と、カラーフィルタータレット7と、ホモゲナイザー9と、反射ミラー10と、ホモゲナイザー11と、光学モジュール35と、タレット16と、ハーフミラー12と、CCDカメラ15とを有する。
光源3、光学モジュール35、ハーフミラー12およびCCDカメラ15は、それぞれ本発明の光源、光学モジュール、ハーフミラーおよび撮像手段の一実施態様である。
ここで、図13はタレット16の構成を示す平面図である。
図13に示すように、タレット16は、同一円周上に複数の光学モジュール35が等間隔で設けられている。また、光学モジュール35が設けられた円周上には、開口16aが形成されている。
タレット16の光学モジュール35が設けられた位置には、開口16aよりも直径の小さい開口16bがそれぞれ形成されている。
タレット16は、図12に示したように、割り出し機構18によって回転可能に支持されている。割り出し機構18によってタレット16を所望の回転角度に割り出すことにより、任意の光学モジュール35あるいは開口16aが上記した光学系の光路に配置される。
なお、光学モジュール35は上述した第1の実施形態と同様の構成であるが、複数の光学モジュール35は、それぞれ光学特性が異なる。
図12に戻って、ハーフミラー12は、移動機構13によって支持されており、この移動機構13によって光照射部2の光学系の光路中(ホモゲナイザー11と光学モジュール35との間)に挿入可能となっている。
このハーフミラー12は、上記の光路中において、ホモゲナイザー11側からの光を透過するとともに、光学モジュール35側の像を光路に直交する方向に反射する。
CCDカメラ15は、ハーフミラー12の反射する像を撮像可能な位置に配置されている。このCCDカメラ15は、撮像した画像データを制御装置150に出力する。
制御装置150は、X−Yテーブル30から得られる位置情報Psに基づいて、X−Yテーブル30を駆動制御する。位置情報Psは、たとえば、X−Yテーブル30のX軸およびY軸方向に設けられたリニアスケール等の位置検出器により検出される。
また、制御装置150は、後述するように、上記した光学系の光路に配置された光学モジュール35の光軸の位置データを保持しており、この光学モジュール35の光軸の位置データに基づいて、X−Yテーブル30の移動させるべき目標位置を決定する。
X−Yテーブル30は、試験すべき固体撮像素子170が搭載される搭載面30aを備えている。この搭載面30aは、光照射部2の光学系の光路に垂直となっている。
X−Yテーブル30は、搭載面30aに搭載された固体撮像素子170を光照射部2の光学系の光路に垂直なX−Y平面内で位置決めする。
また、X−Yテーブル30の搭載面30aの所定の位置に搭載された固体撮像素子170は、測定装置160と電気的に接続される。
測定装置160は、固体撮像素子170と電気的に接続されることにより、固体撮像素子170へ電力を供給し、固体撮像素子170の出力信号を受けて解析等を行う。
次に、上記構成の試験装置140を用いた固体撮像素子の試験手順の一例について図14を参照して説明する。
図14は、固体撮像素子の試験前の試験装置140の状態を示す図である。
まず、ハンドラによって、試験すべき固体撮像素子170をX−Yテーブル30の搭載面30aの所定の位置(光照射部2から光を照射可能な位置)に位置決めする。
このとき、通常、ハンドラの位置決め精度は、固体撮像素子170のもつ各受光素子間のピッチほど高くはない。
この状態から、図14に示すように、移動機構13を駆動して光照射部2の光学系の光路中にハーフミラー12を挿入する。
また、タレット16の開口16aが光照射部2の光学系の光路中に配置されるように、タレット16を割り出す。さらに、光源3から光を照射する。
光源3からの光は、所定の光路を案内され、ハーフミラー12を透過し、タレット16の開口16aを通じて、固体撮像素子170に照射される。
このとき、固体撮像素子170の外形よりも十分広い範囲で光が照射される。これにより、固体撮像素子170の全体の像がハーフミラー12で反射され、CCDカメラ15により固体撮像素子170の全体の像が撮像される。撮像された画像データは制御装置150に入力される。
ここで、図15は、CCDカメラ15により撮像された固体撮像素子170の全体像の一例を示す図である。
図15に示すように、固体撮像素子170は、多数の受光素子が縦横に配列された矩形状の受光部170aと、受光部170aを囲む周辺部170bとを有する。
固体撮像素子170の全体に光を照射した状態で、CCDカメラ15により固体撮像素子170の全体の像を撮像すると、受光部170aと周辺部170bの画像は、濃淡が異なる。たとえば、受光部170aが明るく、周辺部170bが暗い画像となる。このため、画像データには、受光部170aと周辺部170bの境界がはっきりと現れる。
制御装置150は、上記の画像データから受光部170aを抽出し、抽出した受光部170aの重心位置GのX−Y座標を算出する。この重心位置GのX−Y座標の算出は、周知の画像処理技術により行われる。
次いで、制御装置150は、算出した受光部170aの重心位置GのX−Y座標と、予め記憶した上記した光学系の光路に配置された光学モジュール35の光軸の位置PのX−Y座標とを比較する。この位置PのX−Y座標は、光学モジュール35のピンホールの中心軸の座標である。この重心位置Gと位置Pとの位置偏差Eを算出する。
次いで、制御装置150は、位置偏差Eを打ち消すように、X−Yテーブル30を駆動する。これにより、予め記憶した光学モジュール17の光軸の位置Pに固体撮像素子170の重心位置Gが略一致する。
次いで、図13に示したように、ハーフミラー12を光路外へ移動し、さらに、試験に用いる光学モジュール35の割り出しを行う。
これにより、光源3からの光は、光学モジュール35のピンホールを通じて、固体撮像素子170に照射される。
光学モジュール35のピンホールを通じて固体撮像素子170に光を照射すると、固体撮像素子170の各受光素子において光電変換され、電気信号が測定装置160に入力される。
測定装置160は、固体撮像素子170からの電気信号に基づいて、固体撮像素子170の光電変換特性を測定する。
以上のように、本実施形態では、光学モジュール35のピンホールを通じて固体撮像素子170に光を照射し当該固体撮像素子170の光電変換特性を測定する毎に、まず、光照射部2の光源3の光を利用して固体撮像素子170の受光面170aの画像データを取得する。この画像データから受光面170aの基準となる位置、たとえば、重心位置を算出する。
算出した重心位置が、予め記憶したピンホールの中心軸(光軸)に一致していない場合には、X−Yテーブル30を駆動し、一致させる。
これにより、光学モジュール35のピンホールを通じて固体撮像素子170に光を照射したときには、ピンホールと受光面170aは常に一定の位置関係となる。
この結果、固体撮像素子170への光の入射角度が測定毎に一定し、固体撮像素子170の出力がばらつかず、固体撮像素子170の光電変換特性の正確な測定が可能となる。特に、各受光素子上にマイクロレンズを配置し、等価的な開口率を上げ、感度を向上させた固体撮像素子の測定精度を大幅に向上させることができる。
また、本実施形態によれば、光照射部2の光源3の光を利用し、光照射部2の光路中にハーフミラーを挿入し、予め光照射部2に設置されたCCDカメラ15により固体撮像素子170の受光面170aの画像を撮像する。このため、固体撮像素子170の一連の試験作業の中に、光学モジュール35のピンホールと固体撮像素子170との位置合わせ作業を組み込むことができ、試験効率の低下を最小限に抑えることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。
上述した実施形態では、固体撮像素子170をX−Yテーブル30上に搭載し、X−Yテーブル30を駆動することにより、光照射部2の光軸と固体撮像素子170の受光面200aの重心位置Gを一致させる構成とした。一方、光照射部2側を可動とし、固体撮像素子170を固定テーブルに搭載する構成とすることも可能である。
また、第1の実施形態では、本発明の移動位置決め手段として、モータと保持アームを使用した場合について説明したが、プローブカード20と干渉せずに移動、位置決めできる手段であればこれに限定されない。このような構成とすることにより、さらに試験効率を高めることができる。
上述した第1〜第5実施形態では、本発明の中継手段および中継装置として、プローブカードの場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。
たとえば、ソケットボード等のパッケージングされた固体撮像素子を検査する際に用いられるものや、プローブカードやソケットボードと接続されるマザーボードも中継手段および中継装置に含まれる。また、プローブカードやソケットボードとマザーボードとを接続した状態のものを中継手段および中継装置とすることができる。これらのボード類に開口部を形成するとともに、本発明の光学モジュールを設ければよい。また、光学モジュールの設置場所もボード以外に、ソケット等とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
本発明は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子の試験に利用することができる。
【符号の説明】
1…試験装置
3…光源
4…コンデンサレンズ
5…メカニカルスリット
6…NDフィルタータレット
7…カラーフィルタータレット
9,11…ホモゲナイザー
12…ハーフミラー
20…プローブカード
21…接触針
22…ポゴタワー
23…マザーボード
30…モータ
31…保持アーム
35…光学モジュール
36…レンズ
37…拡散板
38…筒部材
39…ピンホール板
40…押えリング
50…ウェーハテーブル
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子の光電変換特性を試験する際に、固体撮像素子の受光面に対向配置され、前記受光面へ向けて試験用光を照射するのに用いられる光学モジュールであって、
光学レンズと、
前記光学レンズを通過した光の強度分布を調整する拡散板と、
前記拡散板からの光を通過させるピンホールと、
前記光学レンズから前記ピンホールへ至る光路へ外部から光が入射するのを防ぐ遮光部と
を有する光学モジュール。
【請求項2】
前記光学レンズ、前記拡散板および前記ピンホールの対を複数有する
請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項3】
隣り合う前記ピンホールから出射される光が相互干渉するのを防止するための遮光手段をさらに有する
請求項2に記載の光学モジュール。
【請求項4】
前記拡散板は、光の強度分布を調整するための三次元曲面を備える
請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項5】
複数の前記光学レンズに入射する光の入射角を均一化するための共通の拡散板をさらに有する
請求項2に記載の光学モジュール。
【請求項6】
前記拡散板は、前記光学レンズ寄りに配置され、前記ピンホールから離隔している
請求項2に記載の光学モジュール。
【請求項7】
固体撮像素子の光電変換特性を試験する際に、測定すべき固体撮像素子と電気的に接続されることによって、前記固体撮像素子の光電変換特性の測定に必要な信号を伝達する中継装置であって、
固体撮像素子の光電変換特性を試験する際に、固体撮像素子の受光面に対向配置され、前記受光面へ向けて試験用光を照射するのに用いられる光学モジュールを備える
中継装置。
【請求項8】
前記光学モジュールが搭載される搭載部と、
前記搭載部と前記光学モジュールとを位置決めする位置決め手段と
を有する請求項7に記載の中継装置。
【請求項9】
前記位置決め手段は、前記光学モジュール側に設けられた、位置決めピンとこれが嵌合挿入される位置決め穴を有する
請求項8に記載の中継装置。
【請求項10】
前記搭載部は、前記光学モジュールを通じて出射され、固体撮像素子の受光面へ向かう光を通過させる開口を有する
請求項8に記載の中継装置。
【請求項11】
前記光学モジュールは、光学レンズと、
前記光学レンズを通過した光の強度分布を調整する拡散板と、
前記拡散板からの光を通過させるピンホールと、
前記光学レンズから前記ピンホールへ至る光路へ外部から光が入射するのを防ぐ遮光部と
を有する請求項7に記載の中継装置。
【請求項12】
固体撮像素子に光を照射し、当該固体撮像素子の光電変換特性を試験する試験装置であって、
入射された光をピンホールを通じて試験用光として出射する光学モジュールと、
前記固体撮像素子と電気的に接続されることによって当該固体撮像素子の光電変換特性の測定に必要な信号を伝達する中継手段と、
前記光学モジュールを前記中継手段が前記固体撮像素子と電気的に接続された状態において、前記固体撮像素子に対して光を出射可能な位置に移動させる移動位置決め手段と
を有する試験装置。
【請求項13】
前記中継手段は、前記光学モジュールを前記固体撮像素子の受光面と対向させるための開口部を有し、
前記位置決め手段は、前記光学モジュールを前記開口部を通じて前記固体撮像素子の受光面に照射可能な位置に位置決めする
請求項12に記載の試験装置。
【請求項14】
前記光学モジュールは、光学レンズと、
前記光学レンズを通過した光の強度分布を調整する拡散板と、
前記拡散板からの光を通過させるピンホールと、
前記光学レンズから前記ピンホールへ至る光路へ外部から光が入射するのを防ぐ遮光部と
を有する請求項12に記載の試験装置。
【請求項15】
固体撮像素子の受光面に光を照射し特性を測定する固体撮像素子の試験装置であって、
光源から所定の光路を通じて導かれた光をピンホールを通じて前記固体撮像素子に照射する光学モジュールと、
前記光学モジュールの光軸に垂直な平面内で前記固体撮像素子を移動可能に保持する移動テーブルと、
前記光学モジュールを前記所定の光路外に移動させる移動手段と、
前記光学モジュールが前記所定の光路外に移動した状態で前記所定の光路に挿入され、前記固体撮像素子へ向かう前記光源からの光を透過し、かつ、光が照射された前記固体撮像素子の像を反射するハーフミラーと、
前記ハーフミラーによって反射された像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の撮像した前記受光面の画像データに基づいて、前記光学モジュールの光軸が前記受光面の所定位置に位置するように前記移動テーブルを制御する制御手段と
を有する固体撮像素子の試験装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記画像データから前記受光面の重心位置を算出し、この重心位置と予め記憶した前記光学モジュールの光軸の位置データとに基づいて、前記移動テーブルを制御する
請求項15に記載の固体撮像素子の試験装置。

【国際公開番号】WO2004/053451
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【発行日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502352(P2005−502352)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015258
【国際出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【出願人】(596090742)株式会社インターアクション (8)
【Fターム(参考)】