固体撮像装置、および、その製造方法、電子機器
【課題】製造効率の向上、コストダウン、信頼性の向上、小型化を容易に実現させる。
【解決手段】ガラス基板301においてセンサ素子100に対面する側の面のうち、画素領域PAに対応する部分と、画素領域PAの周辺に位置する周辺領域SAの一部とを被覆するように、赤外カットフィルタ層311を形成する。そして、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分において、ガラス基板301にて赤外カットフィルタ層311で被覆されていない部分と、その赤外カットフィルタ層311の周辺部分とに接するように、接着層501を設ける。
【解決手段】ガラス基板301においてセンサ素子100に対面する側の面のうち、画素領域PAに対応する部分と、画素領域PAの周辺に位置する周辺領域SAの一部とを被覆するように、赤外カットフィルタ層311を形成する。そして、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分において、ガラス基板301にて赤外カットフィルタ層311で被覆されていない部分と、その赤外カットフィルタ層311の周辺部分とに接するように、接着層501を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、および、その製造方法に関する。また、本発明は、固体撮像装置を含むカメラ等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどの電子機器は、固体撮像装置を含む。たとえば、固体撮像装置として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサチップ、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサチップを含む。
【0003】
固体撮像装置は、複数の画素が撮像面にアレイ状に配列されている。各画素においては、光電変換部が設けられている。光電変換部は、たとえば、フォトダイオードであり、外付けの撮像レンズを含む光学系を介して入射する光を受光面で受光して光電変換することで、信号電荷を生成する。
【0004】
固体撮像装置は、たとえば、チップサイズパッケージの形態で製造されている。具体的には、複数の固体撮像素子(センサ素子)が設けられたシリコンウエハの一方の面に対面するように、ガラス基板を貼り合わせる。ここでは、隣接する固体撮像素子の間を接着材料で区画するように隔壁を設けて、この貼り合わせが行われる。そして、シリコンウエハにスルーシリコンビアを形成して、その一方の面と他方面との間を配線する。そして、その他方の面にバンプを形成後、ダイシングを実施してチップサイズにする。これにより、固体撮像装置がチップサイズパッケージの形態で製造される。
【0005】
また、固体撮像装置は、撮像画像の画像品質を向上させるために、外付けの撮像レンズと、撮像面との間に、光学フィルタが設けられている。たとえば、可視光以外の赤外光をカットする赤外カットフィルタが、光学フィルタとして配置されており、これにより、色再現性を向上することが可能となる。
【0006】
たとえば、チップサイズパッケージにおいて貼り合わされるガラス基板の一方の面に、多層膜を蒸着して赤外カットフィルタ層を設けることによって、そのガラス基板を赤外カットフィルタとして機能させている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−203913号公報(たとえば、段落[0014])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多層膜からなる赤外カットフィルタ層は、可視光の分光特性を満たすために、たとえば、30〜60の層をガラス基板の一方の面に蒸着して成膜することで形成される。よって、その成膜によるストレスによって、ガラス基板に反りが発生する場合がある。
【0009】
このため、この多層膜からなる赤外カットフィルタ層が設けられたガラス基板と、画素が設けられたシリコンウエハとを貼り合せることが、困難な場合がある。その他、スルーシリコンビアの形成の際の搬送やチャッキングにおいて、支障が生ずる場合がある。
【0010】
特に、8インチ以上の大型なガラス基板に、多層膜からなる赤外カットフィルタ層を設けたときには、大きな反りが発生しやすい。たとえば、12インチのガラス基板を用いたときには、数ミリの反りが発生する。このように、大型なガラス基板を用いたときには、上記のような不具合の発生が顕在化する。
【0011】
また、多層膜からなる赤外カットフィルタ層を設けたときには、製造工程における衝撃によって、赤外カットフィルタ層が剥離する場合がある。
【0012】
特に、ガラス基板においてシリコンウエハに貼り付ける面とは反対側の面に多層膜からなる赤外カットフィルタ層を設けた場合には、搬送やチャッキングにおいて、赤外カットフィルタ層にキズが発生する場合がある。また、チップサイズパッケージにレンズを接着する際には、その多層膜からなる赤外カットフィルタ層がガラス基板との界面から剥離する場合がある。また、赤外カットフィルタ層を設けた面で支持して搬送やチャッキングを行う際には、その赤外カットフィルタ層のパターンから、エアがリークする場合がある。このため、製造効率を向上させることが困難な場合がある。
【0013】
この他に、赤外カットフィルタを他の部品で構成する場合には、別の部品となるためにコストアップがされる場合がある。また、その全体の厚みが厚くなる場合がある。
【0014】
このように、多層膜からなる赤外カットフィルタ層が設けられたガラス基板を用いた場合には、装置の製造が容易でなく、製造効率の向上が困難な場合がある。また、装置の信頼性が低下する場合がある。その他、装置のコストダウンや、装置の小型化が困難な場合がある。
【0015】
したがって、本発明は、製造効率の向上、コストダウン、信頼性の向上、小型化の実現が可能な、固体撮像装置、および、その製造方法、電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の固体撮像装置は、透明基板にフィルタ層が形成されている光学フィルタと、前記光学フィルタに対面するように配置されており、前記フィルタ層を介して入射する光を受光する画素が半導体基板の画素領域に複数配列されている固体撮像素子と、前記光学フィルタと前記固体撮像素子との間に設けられており、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせている接着層とを有し、前記フィルタ層は、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜であって、前記透明基板において前記固体撮像素子に対面する側の面のうち、前記画素領域に対応する部分と、前記画素領域の周辺に位置する領域の一部とを被覆するように形成されており、前記接着層は、前記固体撮像素子と前記光学フィルタとが対面する面の周辺部分において、前記透明基板にて前記フィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに、少なくとも接するように設けられている。
【0017】
本発明の固体撮像装置の製造方法は、透明基板にフィルタ層を形成することで光学フィルタを形成する、光学フィルタ形成工程と、光を受光する画素を半導体基板の画素領域に複数設けることで固体撮像素子を形成する、固体撮像素子形成工程と、前記フィルタ層を介して入射する光を前記画素が受光するように前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを対面させた間に接着層を設けることによって、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせる、貼り合わせ工程とを有し、前記光学フィルタ形成工程では、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜を、前記透明基板において前記固体撮像素子に対面する側の面のうち、前記画素領域に対応する部分と、前記画素領域の周辺に位置する領域の一部とを被覆するように設けることによって、前記フィルタ層を形成し、前記貼り合わせ工程では、前記透明基板にて前記半導体基板に対面する面の周辺部分であって前記フィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに少なくとも接するように、前記接着層を設けることで、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせる。
【0018】
本発明では、透明基板において固体撮像素子に対面する側の面のうち、画素領域に対応する部分と、画素領域の周辺に位置する領域の一部とに誘電体多層膜を被覆させることで、フィルタ層を形成する。そして、透明基板にて半導体基板に対面する面の周辺部分であってフィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに少なくとも接するように、接着層を設けることで、光学フィルタと固体撮像素子とを貼り合わせる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、製造効率の向上、コストダウン、信頼性の向上、小型化の実現が可能な、半導体装置、および、その製造方法、電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態1において、カメラ40の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置1の要部構成を示す図である。
【図3】図3は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置1の要部構成を示す図である。
【図4】図4は、本発明にかかる実施形態1において、センサ素子100の全体構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明にかかる実施形態1において、センサ素子100の要部構成を示す図である。
【図6】図6は、本発明にかかる実施形態1において、画素Pを示す図である。
【図7】図7は、本発明にかかる実施形態1において、画素Pを示す図である。
【図8】図8は、本発明にかかる実施形態1において、カラーフィルタCFを示す図である。
【図9】図9は、本発明にかかる実施形態1において、画素Pから信号を読み出す際に、各部へ供給するパルス信号を示すタイミングチャートである。
【図10】図10は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【図11】図11は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【図12】図12は、本発明にかかる実施形態1において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。
【図13】図13は、本発明にかかる実施形態1において、ダイシング前における赤外カットフィルタ300の上面を示す図である。
【図14】図14は、本発明にかかる実施形態1の比較例の固体撮像装置を示す図である。
【図15】図15は、本発明にかかる実施形態2において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図16】図16は、本発明にかかる実施形態3において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。
【図17】図17は、本発明にかかる実施形態4において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図18】図18は、本発明にかかる実施形態4において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。
【図19】図19は、本発明にかかる実施形態5において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図20】図20は、本発明にかかる実施形態5において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図21】図21は、本発明にかかる実施形態5において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
なお、説明は、下記の順序で行う。
1.実施形態1(キャビティ構造の場合)
2.実施形態2(キャビティレス構造の場合)
3.実施形態3(複数のレジストパターンを積層させて、フィルタ層を形成する場合)
4.実施形態4(フィルタ層がテーパー形状の場合)
5.実施形態5(3次元実装構造の場合)
6.その他
【0023】
<1.実施形態1>
[1]装置構成
(1−1)カメラの要部構成
図1は、本発明にかかる実施形態1において、カメラ40の構成を示す構成図である。
【0024】
図1に示すように、カメラ40は、固体撮像装置1と、光学系42と、制御部43と、信号処理部44とを有する。各部について、順次、説明する。
【0025】
固体撮像装置1は、光学系42を介して被写体像として入射する入射光Hを、撮像面PSで受光して光電変換することによって、信号電荷を生成する。ここでは、固体撮像装置1は、制御部43から出力される制御信号に基づいて駆動する。そして、信号電荷を読み出し、電気信号として出力する。
【0026】
光学系42は、結像レンズや絞りなどの光学部材を含み、入射光Hを、固体撮像装置1の撮像面PSへ集光するように配置されている。
【0027】
制御部43は、各種の制御信号を固体撮像装置1と信号処理部44とに出力し、固体撮像装置1と信号処理部44とを制御して駆動させる。
【0028】
信号処理部44は、固体撮像装置1から出力された電気信号について信号処理を実施することによって、たとえば、カラーデジタル画像を生成する。
【0029】
(1−2)固体撮像装置の要部構成
固体撮像装置1の要部構成について説明する。
【0030】
図2,図3は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置1の要部構成を示す図である。
【0031】
ここで、図2は、斜視図であって、図3は、断面図であり、両者は、固体撮像装置1の構成を模式的に示している。
【0032】
本実施形態の固体撮像装置1は、図2,図3に示すように、センサ素子100と、赤外カットフィルタ300と、接着層501とを含む。
【0033】
図2,図3に示すように、センサ素子100と、赤外カットフィルタ300とは、互いに対面するように配置されている。
【0034】
ここでは、図3に示すように、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の中央部分には、空洞なキャビティ部600が設けられている。そして、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の周辺部分に、接着層501が設けられており、この接着層501によって両者が貼り合わされている。
【0035】
固体撮像装置1を構成する各部について順次説明する。
【0036】
(a)センサ素子100について
固体撮像装置1を構成するセンサ素子100について説明する。
【0037】
図2,図3に示すように、固体撮像装置1において、センサ素子100は、半導体基板101を含む。たとえば、半導体基板101は、単結晶シリコンで形成されており、赤外カットフィルタ300と対面する面に画素領域PAと周辺領域SAとが設けられている。センサ素子100は、上方から赤外カットフィルタ300とキャビティ部600とを介して入射する可視光域の入射光Hを、画素領域PAの各画素が受光し、電気信号として出力する。
【0038】
詳細については後述するが、画素領域PAの各画素には、図3に示すように、マイクロレンズMLが設けられている。そして、センサ素子100は、接着層501によって赤外カットフィルタ300と貼り合わされている。
【0039】
(a−1)センサ素子100の全体構成
図4は、本発明にかかる実施形態1において、センサ素子100の全体構成を示す図である。図4では、上面を示している。
【0040】
センサ素子100において、画素領域PAは、図4に示すように、半導体基板101の中央部分に設けられている。画素領域PAは、矩形形状であり、複数の画素Pが水平方向xと垂直方向yとのそれぞれに、配置されている。
【0041】
センサ素子100において、周辺領域SAは、図4に示すように、画素領域PAの周囲に位置している。そして、この周辺領域SAにおいては、周辺回路が設けられている。
【0042】
具体的には、図4に示すように、垂直駆動回路13と、カラム回路14と、水平駆動回路15と、外部出力回路17と、タイミングジェネレータ(TG)18と、シャッター駆動回路19とが、周辺回路として設けられている。各部は、制御部43(図1参照)から入力される制御信号に基づいて駆動し、撮像動作が実行される。
【0043】
垂直駆動回路13は、図4に示すように、周辺領域SAにおいて、画素領域PAの側部に設けられており、画素領域PAの画素Pを行単位で選択して駆動させる。
【0044】
カラム回路14は、図4に示すように、周辺領域SAにおいて、画素領域PAの下端部に設けられており、列単位で画素Pから出力される信号について信号処理を実施する。ここでは、カラム回路14は、CDS(Correlated Double Sampling;相関二重サンプリング)回路(図示なし)を含み、固定パターンノイズを除去する信号処理を実施する。
【0045】
水平駆動回路15は、図4に示すように、カラム回路14に電気的に接続されている。水平駆動回路15は、たとえば、シフトレジスタを含み、カラム回路14において画素Pの列ごとに保持されている信号を、順次、外部出力回路17へ出力させる。
【0046】
外部出力回路17は、図4に示すように、カラム回路14に電気的に接続されており、カラム回路14から出力された信号について信号処理を実施後、外部へ出力する。外部出力回路17は、AGC(Automatic Gain Control)回路17aとADC回路17bとを含む。外部出力回路17においては、AGC回路17aが信号にゲインをかけた後に、ADC回路17bがアナログ信号からデジタル信号へ変換して、外部へ出力する。
【0047】
タイミングジェネレータ18は、図4に示すように、垂直駆動回路13、カラム回路14、水平駆動回路15,外部出力回路17,シャッター駆動回路19のそれぞれに電気的に接続されている。タイミングジェネレータ18は、各種のタイミング信号を生成し、垂直駆動回路13、カラム回路14、水平駆動回路15,外部出力回路17,シャッター駆動回路19に出力することで、各部について駆動制御を行う。
【0048】
シャッター駆動回路19は、画素Pを行単位で選択して、画素Pにおける露光時間を調整するように構成されている。
【0049】
(a−2)センサ素子100の要部構成
図5は、本発明にかかる実施形態1において、センサ素子100の要部構成を示す図である。図5では、一部の断面を示している。
【0050】
センサ素子100において、半導体基板101の表面(上面)には、図5に示すように、配線層111が設けられている。配線層111は、多層配線層であって、複数の配線111hと絶縁層111zとを含む。配線層111は、配線111hと絶縁膜とが交互に積層されて形成されており、各配線111hが、絶縁層111zで覆われるように設けられている。また、配線層111中には、周辺領域SAにパッド電極PADが設けられている。
【0051】
センサ素子100において、半導体基板101の裏面(下面)には、図5に示すように、絶縁層400と導電層401とが順次設けられている。そして、その導電層401の下面に、バンプ402が設けられている。
【0052】
センサ素子100において、画素領域PAには、図5に示すように、フォトダイオード21が半導体基板101の内部に設けられている。また、画素領域PAには、配線層111の上面に、カラーフィルタCFとマイクロレンズMLとが順次設けられている。フォトダイオード21とカラーフィルタCFとマイクロレンズMLとのそれぞれは、画素領域PAに設けられる複数の画素Pのそれぞれに設けられている。フォトダイオード21は、半導体基板101の表面側から、マイクロレンズMLとカラーフィルタCFと配線層111とを介して入射する入射光Hを受光する。つまり、本実施形態の固体撮像装置は、「表面照射型」のイメージセンサチップである。画素Pの詳細については後述する。
【0053】
センサ素子100において、周辺領域SAには、図5に示すように、半導体基板101を貫通するビアホールVHが設けられている。つまり、スルーシリコンビアが設けられている。このビアホールVHは、配線層111に設けられたパッド電極PADの下面を露出するように形成されている。そして、そのビアホールVHの内部には、絶縁層400を介して導電層401が被覆されている。絶縁層400には、パッド電極PADの下面の一部を露出させるように開口が形成されている。そして、導電層401は、その絶縁層400の開口を埋め込むように形成されており、パッド電極PADと電気的に接続されている。なお、周辺領域SAには、図4に示した周辺回路を構成する半導体素子が、半導体基板101に形成されているが、図5では、図示を省略している。
【0054】
(a−3)画素Pの構成
図6,図7は、本発明にかかる実施形態1において、画素Pを示す図である。
【0055】
ここで、図6は、画素Pの平面図である。また、図7は、画素Pの回路構成を示す図である。
【0056】
図6,図7に示すように、画素Pは、図5で示したフォトダイオード21の他に、画素トランジスタTrを含む。ここでは、画素トランジスタTrは、転送トランジスタ22と、増幅トランジスタ23と、選択トランジスタ24と、リセットトランジスタ25とを含み、フォトダイオード21から信号電荷を読み出す動作を実施するように構成されている。
【0057】
画素Pにおいて、フォトダイオード21は、図4に示した複数の画素Pに対応するように複数が配置されている。つまり、撮像面(xy面)において、水平方向xと、この水平方向xに対して直交する垂直方向yとのそれぞれに並んで設けられている。たとえば、フォトダイオード21は、半導体基板101の内部において、n型の不純物が拡散された電荷蓄積領域(図示なし)を含む。そして、そのn型の電荷蓄積領域の上面側と下面側との各界面において、暗電流が発生することを抑制するように、p型の不純物が拡散されたホール蓄積領域(図示なし)が形成されている。
【0058】
図6に示すように、画素Pの周囲には複数の画素Pの間を電気的に分離する画素分離部PBが設けられており、この画素分離部PBで区画された領域に、フォトダイオード21が設けられている。たとえば、画素分離部PBは、半導体基板101(図4,図5など参照)中にp型の不純物を拡散されることで形成されている。
【0059】
図7に示すように、フォトダイオード21は、アノードが接地されており、蓄積した信号電荷(ここでは、電子)が、画素トランジスタTrによって読み出され、電気信号として垂直信号線27へ出力される。具体的には、フォトダイオード21は、図6に示すように、転送トランジスタ22を介して、増幅トランジスタ23のゲートに接続されている。そして、フォトダイオード21においては、増幅トランジスタ23のゲートに接続されているフローティングディフュージョンFDへ、その蓄積した信号電荷が、転送トランジスタ22によって出力信号として転送される。
【0060】
画素Pにおいて、画素トランジスタTrは、図4に示した複数の画素Pに対応するように複数が配置されている。画素トランジスタTrは、たとえば、図6に示すように、半導体基板101において画素Pの間を分離する画素分離部PBに形成されている。
【0061】
なお、画素トランジスタTrは、図4では図示していないが、半導体基板101において配線層111が被覆する表面に設けられている。たとえば、画素トランジスタTrを構成する各トランジスタ22〜25は、NチャネルのMOSトランジスタであって、各ゲートが、たとえば、ポリシリコンを用いて形成されている。そして、各トランジスタ22〜25は、配線層111で被覆されている。
【0062】
画素トランジスタTrにおいて、転送トランジスタ22は、フォトダイオード21で生成された信号電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送するように構成されている。具体的には、転送トランジスタ22は、図7に示すように、フォトダイオード21とフローティングディフュージョンFDとの間において介在するように設けられている。そして、転送トランジスタ22は、転送線26からゲートに転送信号TGが送信されてオン状態にされた際に、フォトダイオード21が蓄積した信号電荷を、フローティングディフュージョンFDに転送する。
【0063】
画素トランジスタTrにおいて、増幅トランジスタ23は、転送トランジスタ22が転送した信号電荷による信号を増幅して出力するように構成されている。具体的には、増幅トランジスタ23は、図7に示すように、ゲートがフローティングディフュージョンFDに接続されている。また、増幅トランジスタ23は、ドレインが電源電位供給線Vddに接続され、ソースが選択トランジスタ24に接続されている。増幅トランジスタ23は、選択トランジスタ24がオン状態になるように選択されたときには、定電流源Iから定電流が供給されて、ソースフォロアとして動作する。このため、増幅トランジスタ23では、選択トランジスタ24に選択信号SELが供給されることによって、転送された信号電荷による信号が増幅される。
【0064】
画素トランジスタTrにおいて、選択トランジスタ24は、選択信号SELに基づいて、画素Pから電気信号を垂直信号線27へ出力するように構成されている。具体的には、選択トランジスタ24は、図7に示すように、選択信号SELが供給されるアドレス線28にゲートが接続されている。そして、選択トランジスタ24は、選択信号SELが供給されてオン状態になった際には、上記のように増幅トランジスタ23によって増幅された出力信号を、垂直信号線27に出力する。
【0065】
画素トランジスタTrにおいて、リセットトランジスタ25は、増幅トランジスタ23のゲート電位をリセットするように構成されている。具体的には、リセットトランジスタ25は、図7に示すように、リセット信号RSTが供給されるリセット線29にゲートが接続されている。また、リセットトランジスタ25は、ドレインが電源電位供給線Vddに接続され、ソースがフローティングディフュージョンFDに接続されている。そして、リセットトランジスタ25は、リセット線29からリセット信号がゲートに供給されてオン状態になった際に、フローティングディフュージョンFDを介して、増幅トランジスタ23のゲート電位を、電源電位にリセットする。
【0066】
なお、図7で示した、転送線26,アドレス線28,垂直信号線27,リセット線29などの各配線は、図5で示した配線層111を構成する配線111hに相当する。
【0067】
前述したように、各画素Pには、カラーフィルタCFとマイクロレンズMLとのそれぞれが設けられている。
【0068】
画素Pにおいて、カラーフィルタCFは、入射光Hを着色して、半導体基板101の受光面JSへ透過するように構成されている。たとえば、カラーフィルタCFは、着色顔料とフォトレジスト樹脂とを含む塗布液を、スピンコート法などのコーティング方法によって塗布して塗膜を形成後、リソグラフィ技術によって、その塗膜をパターン加工して形成される。
【0069】
図8は、本発明にかかる実施形態1において、カラーフィルタCFを示す図である。図8においては、カラーフィルタCFの上面を示している。
【0070】
図8に示すように、カラーフィルタCFは、レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとを含む。レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとのそれぞれは、隣接しており、いずれかが、複数の画素Pのそれぞれに対応して設けられている。
【0071】
ここでは、図8に示すように、レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとのそれぞれが、ベイヤー配列BHで並ぶように配置されている。すなわち、複数のグリーンフィルタ層CFGが市松状になるように、対角方向へ並んで配置されている。そして、レッドフィルタ層CFRとブルーフィルタ層CFBとが、複数のグリーンフィルタ層CFGにおいて、対角方向に並ぶように配置されている。
【0072】
画素Pにおいて、マイクロレンズMLは、図5に示したように、カラーフィルタCFの上面に設けられている。マイクロレンズMLは、受光面JSの上方において、中心が縁よりも厚く形成された凸型レンズであり、入射光Hをフォトダイオード21の受光面JSへ集光するように構成されている。たとえば、マイクロレンズMLは、屈折率が1.6程度の有機樹脂材料を用いて形成されている。このマイクロレンズMLは、感光性樹脂膜をフォトリソグラフィ技術でパターン加工した後に、リフロー処理でレンズ形状に変形させることで形成される。この他に、レンズ材膜上にレンズ形状のレジスト膜を形成後、エッチバック処理を実施することで、マイクロレンズMLを形成しても良い。
【0073】
図9は、本発明にかかる実施形態1において、画素Pから信号を読み出す際に、各部へ供給するパルス信号を示すタイミングチャートである。ここでは、(a)が選択信号SELを示し、(b)がリセット信号RSTを示し、(c)が転送信号TGを示している(図7参照)。
【0074】
まず、図9に示すように、第1の時点t1において、選択トランジスタ24を導通状態にするように、選択信号をハイレベルとする。そして、第2の時点t2において、リセットトランジスタ25を導通状態にするように、リセット信号をハイレベルとする。これにより、増幅トランジスタ23のゲート電位をリセットする。
【0075】
つぎに、第3の時点t3において、リセットトランジスタ25を非導通状態にするようにリセット信号をローレベルにする。そして、この後、そのリセットレベルに対応した電圧を、カラム回路14へ読み出す。
【0076】
つぎに、第4の時点t4において、転送トランジスタ22を導通状態にするように転送信号をハイレベルにして、フォトダイオード21で蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する。
【0077】
つぎに、第5の時点t5において、転送トランジスタ22を非導通状態にするように、転送信号をローレベルにする。この後、その蓄積された信号電荷の量に応じた信号レベルの電圧を、カラム回路14へ読み出す。
【0078】
カラム回路14においては、先に読み出したリセットレベルと、後に読み出した信号レベルとを差分処理して、信号を蓄積する。これにより、画素Pごとに設けられた各トランジスタのVthのバラツキ等によって発生する固定的なパターンノイズが、キャンセルされる。
【0079】
上記のように画素を駆動する動作は、各トランジスタ22,24,25の各ゲートが、水平方向xに並ぶ複数の画素Pからなる行単位で接続されていることから、その行単位で並ぶ複数の画素Pについて同時に行われる。具体的には、上述した垂直駆動回路13によって供給される選択信号によって、水平ライン(画素行)単位で垂直な方向に順次選択される。そして、タイミングジェネレータ18から出力される各種タイミング信号によって各画素のトランジスタが制御される。これにより、各画素Pにおける出力信号が垂直信号線27を通して画素列毎にカラム回路14に読み出される。
【0080】
そして、カラム回路14で蓄積された信号が、水平駆動回路15によって選択されて、外部出力回路17へ順次出力される。
【0081】
(b)赤外カットフィルタ300について
固体撮像装置1を構成する赤外カットフィルタ300について説明する。
【0082】
図2,図3に示すように、固体撮像装置1において、赤外カットフィルタ300は、ガラス基板301を含む。ガラス基板301は、センサ素子100と対面する面に赤外カットフィルタ層311が設けられている。
【0083】
赤外カットフィルタ層311は、図2,図3に示すように、ガラス基板301の中央部分に設けられている。赤外カットフィルタ層311は、平面形状が矩形であり、ガラス基板301において、センサ素子100の画素領域PAに対応する領域の全てを被覆するように形成されている。これと共に、赤外カットフィルタ層311は、ガラス基板301において、センサ素子100の周辺領域SAに対応する領域の一部を被覆するように形成されている。
【0084】
つまり、赤外カットフィルタ層311は、ガラス基板301において、センサ素子100の画素領域PAに対応する領域よりも広い領域を被覆するように形成されている。また、赤外カットフィルタ層311は、ガラス基板301において、センサ素子100に対面する領域の全体を被覆せずに、その対面する領域よりも狭い領域を被覆するように形成されている。
【0085】
赤外カットフィルタ層311は、誘電体多層膜である。つまり、赤外カットフィルタ層311は、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に積層されており、各層の干渉作用によって赤外領域の光を反射してカットし、可視領域の光を選択的に透過するように構成されている。
【0086】
(c)接着層501について
固体撮像装置1を構成する接着層501について説明する。
【0087】
接着層501は、図3に示すように、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分に設けられている。つまり、接着層501は、センサ素子100と赤外カットフィルタ300との間においてキャビティ部600の周辺に設けられており、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とを貼り合わせている。
【0088】
本実施形態においては、接着層501は、赤外カットフィルタ300のガラス基板301において赤外カットフィルタ層311で被覆されていない周辺部分に接するように設けられている。これと共に、接着層501は、赤外カットフィルタ300において赤外カットフィルタ層311の周辺部分に接するように設けられている。具体的には、接着層501は、赤外カットフィルタ層311の側端面と、赤外カットフィルタ層311においてセンサ素子100の対面する面の側端部とに接するように設けられている。
【0089】
(2)製造方法
以下より、上記の固体撮像装置1を製造する製造方法の要部について説明する。
【0090】
図10,図11は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【0091】
ここで、図10,図11は、固体撮像装置を製造する各工程を順次示している。
【0092】
本実施形態においては、図10,図11に示すように、(a)〜(f)の各工程を経て、複数の固体撮像装置1が設けられた大判な円盤状のウエハを分割することによって、一の固体撮像装置1を製造する。
【0093】
各工程の詳細について説明する。
【0094】
(a)センサ素子100の形成
まず、図10(a)に示すように、センサ素子100を形成する。
【0095】
ここでは、図10(a)に示すように、大判の半導体ウエハ101W(シリコンウエハ)に複数のセンサ素子100を設ける。
【0096】
具体的には、半導体ウエハ101Wにおいて複数の固体撮像装置を設ける領域CAのそれぞれに、画素Pなどの各部を適宜設けることで、複数のセンサ素子100を設ける。
【0097】
(b)赤外カットフィルタ300の形成
つぎに、図10(b)に示すように、赤外カットフィルタ300を形成する。
【0098】
ここでは、図10(b)に示すように、大判のガラスウエハ301Wに、複数の赤外カットフィルタ300を形成する。
【0099】
具体的には、ガラスウエハ301Wにてセンサ素子100に対面させる面において、複数の固体撮像装置を設ける領域CAのそれぞれに、赤外カットフィルタ層311を設けることで、複数の赤外カットフィルタ300を形成する。
【0100】
たとえば、半導体ウエハ101Wと線膨張係数が同様なものを、ガラスウエハ301Wとして用いる。たとえば、半導体ウエハ101Wと線膨張係数が同じ値(CTE=3.2ppm)であって、厚みが500μmのものを、ガラスウエハ301Wとして用いる。この他に、線膨張係数が近い値(CTE=2.9〜3.5ppm)のものを用いても好適である。
【0101】
そして、そのガラスウエハ301Wにおいてセンサ素子100に対面させる面とは反対側の面で、ガラスウエハ301Wを製造装置に支持させた状態で、赤外カットフィルタ層311を設ける。つまり、ガラスウエハ301Wにおいて赤外カットフィルタ層311を設ける面とは反対側の面で、ガラスウエハ301Wが支持される。たとえば、バキュームチャック,静電チャック,メカニカルなチャックによって、ガラスウエハ301Wが支持される。そして、その面で支持されて、搬送が行われる。
【0102】
図12は、本発明にかかる実施形態1において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。
【0103】
ここで、図12は、赤外カットフィルタ300する各工程を順次示している。
【0104】
本実施形態においては、図12に示すように、(a1)〜(a3)の各工程を経て、ガラスウエハ301Wに赤外カットフィルタ層311を形成する。つまり、リフトオフ法によって、赤外カットフィルタ層311を形成する。
【0105】
具体的には、まず、図12(a1)に示すように、フォトレジストパターンPRを設ける。
【0106】
ここでは、ガラスウエハ301Wの上面において、赤外カットフィルタ層311を形成する領域以外の領域の上方に位置するように、フォトレジストパターンPRを形成する。
【0107】
たとえば、ガラスウエハ301Wの上面に感光性樹脂膜(図示無し)を成膜後、フォトリソグラフィ技術によって、その感光性樹脂膜(図示無し)をパターン加工することで、フォトレジストパターンPRを形成する。
【0108】
本実施形態では、ガラスウエハ301Wに近い側が狭い幅であって、ガラスウエハ301Wから離れるに伴って幅が広がった断面形状になるように、フォトレジストパターンPRを形成する。つまり、断面が逆テーパー形状になるように、フォトレジストパターンPRを形成する。
【0109】
たとえば、下記の条件になるように、フォトレジストパターンPRを形成する。
[フォトレジストパターンPRの条件]
・厚み:6.5〜11μm(赤外カットフィルタ層311として、30〜60層を積層して形成する誘電体多層膜よりも厚くする必要がある。誘電体多層膜の各層は、1/4λの厚みが必要なので、平均すると、厚みが150nmである(600nm/4)。よって、誘電体多層膜は、厚みが、4.5〜9μmであり、フォトレジストパターンPRについては、これよりも、2μ程度厚くすることが好適である。)
・傾斜角度:87〜89°
・材料:リフトオフ用レジスト
・各フォトレジストパターンPRの間の距離:50〜800μm(ダイシング後の残り幅が接着強度で必要なため。ダイシング前は、ダイシングストリート幅30〜100μm+(min50〜300×2)となる)
【0110】
つぎに、図12(a2)に示すように、赤外カットフィルタ層311を成膜する。
【0111】
ここでは、フォトレジストパターンPRが形成されたガラスウエハ301Wの上面を被覆するように、赤外カットフィルタ層311を成膜する。これにより、ガラスウエハ301Wの上面と共に、フォトレジストパターンPRの上面に、赤外カットフィルタ層311が成膜される。
【0112】
具体的には、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することで、赤外カットフィルタ層311を成膜する。
【0113】
たとえば、TiO2、Ta2O5、Nb2O5等などの材料を用いて、高屈折率層を形成する。そして、SiO2、MgF2などの材料を用いて、低屈折率層を形成する。そして、高屈折率層と低屈折率層とについて、たとえば、30〜60の層を積層することで、赤外カットフィルタ層311を形成する。たとえば、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着、イオンプレーティング法、スパッタ法などの物理的成膜法で高屈折率層と低屈折率層を成膜する。
【0114】
つぎに、図12(a3)に示すように、フォトレジストパターンPRを除去する。
【0115】
ここでは、上記のように、赤外カットフィルタ層311が上面に成膜されたフォトレジストパターンPRを除去する。これにより、ガラスウエハ301Wの上面に、赤外カットフィルタ層311が所望のパターンで形成される。すなわち、図3に示したように、ガラス基板301がセンサ素子100に貼り付けられたときに、ガラス基板301が対面する面のうち、画素領域PAに対応する部分と周辺領域SAの一部とを被覆するように、赤外カットフィルタ層311が形成される。
【0116】
図13は、本発明にかかる実施形態1において、赤外カットフィルタ層311が形成されたガラスウエハの上面を示す図である。つまり、図13は、ダイシング前における赤外カットフィルタ300の上面を示している。図13では、赤外カットフィルタ層311が形成された部分を黒色で示しており、赤外カットフィルタ層311を形成しない部分を白色で示している。
【0117】
図13に示すように、ガラスウエハ301Wの上面において、複数の固体撮像装置を設ける領域CAのそれぞれに、赤外カットフィルタ層311が設けられる。複数の赤外カットフィルタ層311のそれぞれは、間にギャップを介在するように形成される。
【0118】
このとき、図13に示すように、ガラスウエハ301Wの周辺においては、位置合わせのためのノッチパターンNCを形成しても良い。たとえば、センサ素子100を形成するためのシリコンウエハと同じ形状でノッチパターンNCを形成することが好適である。これにより、両者の位置合わせにおいて、特別なマーク検出が不要となる。つまり、装置のアライメント機構を外形の位置決めと回転による検出によって、両者の位置合わせが可能となり、機種ごとにアライメント方法を変えることなく、廉価な装置構成で位置合わせが可能となる。
【0119】
(c)センサ素子100と赤外カットフィルタ300との貼り合わせ
つぎに、図10(c)に示すように、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とを貼り合わせる。
【0120】
ここでは、赤外カットフィルタ300が設けられたガラスウエハ301Wの上下を反転させる。その後、支持された半導体ウエハ101Wの上面と、ガラスウエハ301Wにおいて赤外カットフィルタ層311を設けられた下面とを対面させる。そして、両者を位置合わせして貼り合わせる。すなわち、複数の赤外カットフィルタ300のそれぞれと複数のセンサ素子100とのそれぞれが対応するように、ガラス基板301と半導体基板101とを位置合わせして貼り合わせる。
【0121】
具体的には、複数の固体撮像装置を設ける領域CAのそれぞれにおいて、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の中央部分に、空洞なキャビティ部600が設けられるように、両者を貼り合わせる。
【0122】
また、複数の固体撮像装置を設ける領域CAのそれぞれにおいて、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分に、接着層501を設けることで、両者を貼り合わせる。
【0123】
たとえば、半導体ウエハ101Wの面において、複数の固体撮像装置を設ける領域CAを区画するように、接着層501を格子状に形成した後に、ガラスウエハ301Wを位置合わせして貼り合わせる。
【0124】
たとえば、下記の条件になるように、接着層501を形成する。
[接着層501の条件]
・厚み:10〜70μm(実際には50μm。薄いと回折による干渉縞が出る場合があるため)
・幅:少なくても200μm程度
・材料:感光性のアクリル系エポキシ接着剤
【0125】
これにより、図3に示したように、貼り合わされた状態において、赤外カットフィルタ層311とキャビティ部600とを介して入射する光を画素が受光するように、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とを対面させた間に、接着層501を設けられる。つまり、この工程では、ガラス基板301にて半導体基板101に対面する面の周辺部分であって赤外カットフィルタ層311で被覆されていない部分と、赤外カットフィルタ層311の周辺部分とに接着層501を接するように設けて、両者を貼り合わせる。
【0126】
(d)反転
つぎに、図11(d)に示すように、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とを貼り合わせたものの上下を反転させる。
【0127】
ここでは、センサ素子100において赤外カットフィルタ300に対面する面に対して反対側の面が上方へ向くように、この反転が行われる。そして、赤外カットフィルタ300において赤外カットフィルタ層311が設けられた面とは反対側の面で、この貼り合わせたものが製造装置に支持される。つまり、ガラスウエハ301Wの下面で支持される。
【0128】
(e)バンプ402の形成
つぎに、図11(e)に示すように、バンプ402を形成する。
【0129】
ここでは、センサ素子100において赤外カットフィルタ300に対面する面に対して反対側の面に、バンプ402を形成する。つまり、半導体ウエハ101Wにおいてガラスウエハ301Wに対面する面に対して反対の面に、バンプ402を形成する。
【0130】
具体的には、バンプ402の形成に先立って、センサ素子100を構成する半導体基板101にビアホールVHを形成し、パッド電極PADの表面を露出させる。そして、絶縁層400,導電層401を設けた後に、金属材料を用いてバンプ402を形成する(図5参照)。
【0131】
(f)ダイシング
つぎに、図11(f)に示すように、ダイシングを実施して、複数の固体撮像装置1に分割する。
【0132】
ここでは、複数の固体撮像装置1の間のスクライブ領域においてダイシング加工を実施することで、固体撮像装置1が複数設けられているウエハ状態のものを、一の固体撮像装置1ごとに分割する。つまり、ガラスウエハ301Wと半導体ウエハ101Wとが貼り合わされた状態のものについてダイシング加工を実施することで、複数の固体撮像装置1に分割する。
【0133】
このように、半導体ウエハ101Wを複数の半導体基板101に分割し、ガラスウエハ301Wを複数のガラス基板301に分割するように、ダイシングを行って、固体撮像装置1を完成させる。
【0134】
(3)まとめ
以上のように、本実施形態の固体撮像装置においては、赤外カットフィルタ300は、ガラス基板301に赤外カットフィルタ層311が形成されている。そして、センサ素子100は、その赤外カットフィルタ300に対面するように配置されており、赤外カットフィルタ層311を介して入射する光を受光する画素が、半導体基板101の画素領域PAに複数配列されている。そして、この赤外カットフィルタ300とセンサ素子100との間には、接着層501が設けられており、両者を貼り合わせている。
【0135】
ここでは、赤外カットフィルタ層311は、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜である。そして、赤外カットフィルタ層311は、ガラス基板301においてセンサ素子100に対面する側の面のうち、画素領域PAに対応する部分と、画素領域PAの周辺に位置する周辺領域SAの一部とを被覆するように形成されている。また、接着層501は、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分において、ガラス基板301にて赤外カットフィルタ層311で被覆されていない部分と、その赤外カットフィルタ層311の周辺部分とに接している。
【0136】
図14は、本発明にかかる実施形態1の比較例の固体撮像装置を示す図である。ここで、図14は、図3と同様に、断面図であり、固体撮像装置の構成を模式的に示している。
【0137】
図14に示すように、比較例では、赤外カットフィルタ300の赤外カットフィルタ層311は、上記と同様に、ガラス基板301の中央部分に設けられている。そして、接着層501は、ガラス基板301において赤外カットフィルタ層311で被覆されていない周辺部分に接するように設けられている。しかしながら、上記と異なり、接着層501は、赤外カットフィルタ層311の周辺部分に接するように設けられていない。すなわち、接着層501は、赤外カットフィルタ層311の側端面と、赤外カットフィルタ層311においてセンサ素子100の対面する面の側端部とに接するように設けられていない。
【0138】
このため、比較例においては、赤外カットフィルタ層311は、接着層501によってガラス基板301に固定されていないので、ガラス基板301から剥離する場合がある。そして、剥離した赤外カットフィルタ層311によって、撮像画像の画像品質が低下する場合がある。特に、画素サイズが微細化された場合(たとえば、□1.4μm)においては、影響が大きく、上記の不具合が発生しやすい。
【0139】
これに対して、本実施形態においては、図3に示したように、接着層501は、赤外カットフィルタ層311の周辺部分に接するように設けられており、赤外カットフィルタ層311をガラス基板301に固定している。
【0140】
よって、本実施形態は、赤外カットフィルタ層311がガラス基板301から剥離することを好適に防止することができる。
【0141】
この他に、赤外カットフィルタ層311の側端部が露出された状態にないため、外気に含まれる水分の影響を受けにくい。よって、剥離を好適に防止することができる。
【0142】
また、本実施形態において、赤外カットフィルタ300を形成する工程では、リフトオフ法によって、ガラス基板301に赤外カットフィルタ層311を形成する。このため、本実施形態では、図12(a2)に示したように、赤外カットフィルタ層311は、ガラスウエハ301Wの面に非連続的に成膜され、ガラスウエハ301Wの全面を連続的に被覆していない。よって、ガラス基板301に反りが発生することを抑制可能である。
【0143】
また、本実施形態では、ガラス基板301において半導体基板101に対面する側に赤外カットフィルタ層311を形成している。このため、ガラス基板301において赤外カットフィルタ層311が形成された面が露出し、赤外カットフィルタ層311が形成された面が露出されない。よって、製造プロセスにおけるハンドリングによって、赤外カットフィルタ層311に傷が発生することを防止できる。
【0144】
さらに、本実施形態において、赤外カットフィルタ300を形成する工程では、半導体基板101に形成されたノッチ形状(図示無し)と同じノッチパターンを、赤外カットフィルタ層311の形成と同時に、ガラス基板301に形成する。そして、貼り合わせ工程では、半導体基板101のノッチ形状と、ガラス基板301のノッチパターンとを用いて、両者を位置合わせする。
【0145】
したがって、本実施形態は、製造効率の向上、コストダウン、信頼性の向上、小型化を容易に実現できる。
【0146】
<2.実施形態2>
(1)装置構成など
図15は、本発明にかかる実施形態2において、固体撮像装置の要部を示す図である。図15は、図3と同様に、断面を示している。
【0147】
図15に示すように、本実施形態においては、接着層501bの構成が、実施形態1と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0148】
接着層501bは、図15に示すように、実施形態1の場合と同様に、センサ素子100と、赤外カットフィルタ300との間に設けられている。
【0149】
しかし、本実施形態においては、実施形態1と異なり、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の中央部分には、キャビティ部600(図3参照)が設けられていない。また、本実施形態においては、マイクロレンズMLを被覆するように、低屈折率層110が設けられている。低屈折率層110は、マイクロレンズMLの上を覆って平坦になる部分の厚みが、たとえば、0.3〜5μm程度になるように形成されている。
【0150】
そして、センサ素子100は、その低屈折率層110の上面において、赤外カットフィルタ300と、接着層501で貼り合わされている。ここでは、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の全面に接着層501が設けられており、この接着層501によって、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが貼り合わされている。つまり、接着層501bは、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分以外に、その面の中央部分にも設けられている。
【0151】
具体的には、接着層501は、赤外カットフィルタ300のガラス基板301において赤外カットフィルタ層311で被覆されていない面と、赤外カットフィルタ層311においてセンサ素子100に対面する面との両者に接するように設けられている。
【0152】
たとえば、接着層501は、シロキサン系、エポキシ系、アクリル系接着剤を用いることが好適である。特に、シロキサン系接着剤は、製造プロセスにおける耐熱性、耐薬品性に優れると共に、固体撮像装置として使用したときの透明性、耐光性に優れるため、好適である。
【0153】
なお、本実施形態は、キャビティ部600(図3参照)が無い構造であり、実施形態1でキャビティ部600が設けられた部分には、空気よりも屈折率が高い接着層501(たとえば、n=1.4〜1.6)が設けられている。このため、マイクロレンズMLについては、この接着層501よりも屈折率が高い材料を用いて集光効率を向上させることが好適である。たとえば、SiN(n=2.1)などの高屈折率材料を用いて、マイクロレンズMLを形成することが好適である。
キャビティ部600がある場合、マイクロレンズMLの屈折率(たとえば、1.6前後)と空気の屈折率(1)との差によるレンズ効果によって、集光が生ずる。しかし、全体を接着剤で埋めると、接着剤の屈折率(1.5前後)とマイクロレンズML(たとえば、屈折率1.6前後)との間の屈折率差が小さいため、集光効率が落ちる。このため、マイクロレンズMLについては、屈折率が高い材料(たとえば、1.8〜2.2)を用いて形成し、低屈折率層110については、小さな屈折率(たとえば、1.33〜1.45)の材料を用いて形成している。これにより、屈折率差が0.6前後と大きくなり、集光効率を向上できる。
【0154】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態の赤外カットフィルタ層311は、実施形態1と同様に、ガラス基板301においてセンサ素子100に対面する側の面のうち、画素領域PAに対応する部分と、周辺領域SAの一部とを被覆するように形成されている。また、接着層501bは、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分において、ガラス基板301にて赤外カットフィルタ層311で被覆されていない部分と、その赤外カットフィルタ層311の周辺部分とに少なくとも接している。
【0155】
本実施形態では、実施形態1と異なり、接着層501bは、赤外カットフィルタ300とセンサ素子100とが対面する面の全面に設けられている。つまり、キャビティレス構造である。
【0156】
このため、本実施形態においては、さらに好適に、剥離発生を防止できる。特に、ヒートサイクルによる剥離の発生を好適に防止できる。
【0157】
<3.実施形態3>
(1)製造方法など
図16は、本発明にかかる実施形態3において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。図16は、図12と同様に、断面を示している。
【0158】
図16に示すように、本実施形態では、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法が、実施形態1と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0159】
本実施形態においては、図16に示すように、(a1)〜(a3)の各工程を経て、ガラスウエハ301Wに赤外カットフィルタ層311を形成する。本実施形態においても、リフトオフ法によって、赤外カットフィルタ層311を形成する。
【0160】
赤外カットフィルタ300の形成においては、まず、図16(a1)に示すように、フォトレジストパターンPRを設ける。
【0161】
ここでは、ガラスウエハ301Wの上面において、赤外カットフィルタ層311を形成する領域以外の領域の上方に位置するように、フォトレジストパターンPRを形成する。
【0162】
本実施形態においては、第1フォトレジストパターンPR1と、この第1フォトレジストパターンPR1よりも幅が広い第2フォトレジストパターンPR2とを順次積層させることによって、フォトレジストパターンPRを設ける。
【0163】
たとえば、第1フォトレジストパターンPR1が第2フォトレジストパターンPR2よりも、0.5〜5μm程度、狭い幅になるように形成することが好適である。また、第1フォトレジストパターンPR1については、赤外カットフィルタ層311として成膜する、30〜60層の誘電体多層膜よりも、厚い方が好適である。誘電体多層膜の各層は、1/4λの厚みが必要なので、平均すると、厚みが150nmである(600nm/4)。よって、誘電体多層膜は、厚みが、4.5〜9μmである。このため、第1フォトレジストパターンPR1と第2フォトレジストパターンPR2とを合わせた厚みが、この厚みよりも、2μm程度、厚くすることが好適である。
【0164】
つぎに、図16(a2)に示すように、赤外カットフィルタ層311を成膜する。
【0165】
ここでは、実施形態1の場合と同様に、フォトレジストパターンPRが形成されたガラスウエハ301Wの上面を被覆するように、赤外カットフィルタ層311を成膜する。これにより、ガラスウエハ301Wの上面と共に、フォトレジストパターンPRの上面に、赤外カットフィルタ層311が成膜される。
【0166】
つぎに、図16(a3)に示すように、フォトレジストパターンPRを除去する。
【0167】
ここでは、上記のように、赤外カットフィルタ層311が上面に成膜されたフォトレジストパターンPRを除去する。これにより、ガラスウエハ301Wの上面に、赤外カットフィルタ層311が所望のパターンで形成される。
【0168】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態において、固体撮像装置は、実施形態1と同様に構成されている。
【0169】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、製造効率の向上、コストダウン、信頼性の向上、小型化を容易に実現できる。
【0170】
<4.実施形態4>
(1)装置構成など
図17は、本発明にかかる実施形態4において、固体撮像装置の要部を示す図である。図17は、図3と同様に、断面を示している。
【0171】
図17に示すように、本実施形態においては、赤外カットフィルタ層311dの構成が、実施形態1と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0172】
図17に示すように、赤外カットフィルタ層311dは、実施形態1の場合と同様に、ガラス基板301において、センサ素子100と対面する面に設けられている。
【0173】
ここでは、赤外カットフィルタ層311dは、図17に示すように、実施形態1の場合(図3参照)と異なり、断面がテーパー形状になるように設けられている。
【0174】
具体的には、赤外カットフィルタ層311dは、ガラス基板301の側からセンサ素子100の側へ向かって幅が狭くなるように、側端面が傾斜している。
【0175】
そして、赤外カットフィルタ層311dにおいて傾斜する側端面を被覆するように接着層501が設けられている。
【0176】
図18は、本発明にかかる実施形態4において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。図18は、図12と同様に、断面を示している。
【0177】
本実施形態においては、図18に示すように、(a1)〜(a3)の各工程を経て、ガラスウエハ301Wに赤外カットフィルタ層311dを形成する。
【0178】
まず、図18(a1)に示すように、赤外カットフィルタ層311dを成膜する。
【0179】
ここでは、実施形態1の場合と同様な条件で、ガラスウエハ301Wの上面全体を被覆するように、赤外カットフィルタ層311dを成膜する。
【0180】
つぎに、図18(a2)に示すように、赤外カットフィルタ層311dについてパターン加工をする。
【0181】
ここでは、ガラスウエハ301Wの上面全体に成膜された赤外カットフィルタ層311dの上面に、フォトレジストパターンPRdを形成する。そして、そのフォトレジストパターンPRdをマスクとして用いて、赤外カットフィルタ層311dについて等方性のエッチング処理を実施する。これにより、断面がテーパー形状になるように赤外カットフィルタ層311dがパターン加工される。
【0182】
たとえば、テーパー形状の傾斜角度が、45°に近い角度になるように、赤外カットフィルタ層311dが形成される。その他、ドライエッチング処理でパターン加工をした場合には、側面が垂直になるように形成される。
【0183】
つぎに、図18(a3)に示すように、フォトレジストパターンPRdを除去する。
【0184】
ここでは、上記のように、赤外カットフィルタ層311の上面に形成されたフォトレジストパターンPRdを除去する。これにより、ガラスウエハ301Wの上面に、赤外カットフィルタ層311が所望のパターンで形成される。
【0185】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態の赤外カットフィルタ層311dは、実施形態1と同様に、ガラス基板301においてセンサ素子100に対面する側の面のうち、画素領域PAに対応する部分と、周辺領域SAの一部とを被覆するように形成されている。また、接着層501は、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分において、ガラス基板301にて赤外カットフィルタ層311dで被覆されていない部分と、その赤外カットフィルタ層311dの周辺部分とに接している。
【0186】
本実施形態では、実施形態1と異なり、赤外カットフィルタ層311dは、ガラス基板301の側からセンサ素子100の側へ向かって幅が狭くなるように、側端面が傾斜している。そして、接着層501は、この赤外カットフィルタ層311dにおいて傾斜する側端面を被覆するように設けられている。
【0187】
このため、本実施形態においては、さらに好適に、剥離発生を防止できる。
【0188】
<5.実施形態5>
(1)装置構成など
図19,図20,図21は、本発明にかかる実施形態5において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【0189】
ここで、図19は、図2と同様に、斜視図である。図20は、図3と同様に、断面図であり、両者は、固体撮像装置の構成を模式的に示している。図21は、図5と同様に、一部の断面を示している。
【0190】
本実施形態の固体撮像装置は、図19,図20,図21に示すように、実施形態1と異なり、ロジック回路素子200を含む。また、図21に示すように、センサ素子100eの形態が実施形態1と異なる。さらに、接着層501eの構成が、実施形態1と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0191】
図19,図20に示すように、センサ素子100eと、赤外カットフィルタ300とは、実施形態1の場合と同様に、互いに対面するように配置されている。
【0192】
ここでは、図20に示すように、実施形態1の場合と異なり、センサ素子100eと赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の中央部分には、空洞なキャビティ部600(図3参照)が設けられていない。また、実施形態2と同様に、マイクロレンズMLを被覆するように、低屈折率層110が設けられている。そして、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の全体に接着層501eが設けられており、この接着層501eによって、センサ素子100eと赤外カットフィルタ300とが貼り合わされている。接着層501eは、実施形態1と異なり、赤外カットフィルタ300とセンサ素子100eとが対面する面の全面に設けられている。つまり、実施形態2と同様に、キャビティレス構造である。
【0193】
センサ素子100eは、図19,図20に示すように、実施形態1と同様に、画素領域PAと、その周囲に位置する周辺領域SAとが設けられている。画素領域PAは、実施形態1と同様に、矩形形状であり、複数の画素(図示無し)が水平方向xと垂直方向yとのそれぞれに、配置されている。しかし、周辺領域SAにおいては、実施形態1と異なり、周辺回路の一部または全部が設けられていない。本実施形態では、センサ素子100eの周辺領域SAに設けられなかった周辺回路の一部または全部は、ロジック回路素子200に設けられている。たとえば、センサ素子100eの周辺領域SAにおいては、上述の図4で示した垂直駆動回路13とタイミングジェネレータ18とが設けられている。そして、ロジック回路素子200においては、たとえば、上述の図4で示したカラム回路14と、水平駆動回路15と、外部出力回路17とが設けられている。
【0194】
図21に示すように、センサ素子100eにおいては、半導体基板101の表面(下面)に、配線層111が設けられている。そして、センサ素子100eにおいて、画素領域PAには、半導体基板101の内部にフォトダイオード21が設けられている。実施形態1と異なり、画素領域PAには、半導体基板101の裏面(上面)に、カラーフィルタCFとマイクロレンズMLとが順次設けられている。フォトダイオード21は、半導体基板101の裏面側から、マイクロレンズMLとカラーフィルタCFと配線層111とを介して入射する入射光Hを受光する。つまり、本実施形態の固体撮像装置は、「裏面照射型」のイメージセンサチップである。
【0195】
ロジック回路素子200は、図19,図20に示すように、センサ素子100eにおいて、赤外カットフィルタ300が配置された面に対して、反対の面の側に配置されている。ロジック回路素子200は、センサ素子100と電気的に接続されている。
【0196】
図21に示すように、ロジック回路素子200は、半導体基板201を含む。たとえば、半導体基板201は、単結晶シリコンで形成されており、センサ素子100eと対面するように配置されている。
【0197】
ロジック回路素子200において、半導体基板201は、センサ素子100eの側の表面に、半導体素子220が設けられている。半導体素子220は、たとえば、MOSトランジスタであり、図示を省略しているが、図4で示した周辺回路を構成するように、複数が設けられている。この半導体基板201の表面(上面)を被覆するように、配線層211が設けられている。配線層211は、多層配線層であって、複数の配線211hと絶縁層211zとを含む。配線層211は、配線211hと絶縁膜とが交互に積層されて形成されており、各配線211hが、絶縁層211zで覆われるように設けられている。また、配線層211中には、パッド電極PADが設けられている。
【0198】
ロジック回路素子200において、半導体基板101の裏面(下面)には、図21に示すように、絶縁層400と導電層401とが順次設けられている。そして、その導電層401の下面に、バンプ402が設けられている。
【0199】
ロジック回路素子200においては、図21に示すように、半導体基板201を貫通するビアホールVHが設けられている。つまり、スルーシリコンビアが設けられている。このビアホールVHは、配線層211に設けられたパッド電極PADの下面を露出するように形成されている。そして、そのビアホールVHの内部には、絶縁層400を介して導電層401が被覆されている。絶縁層400には、パッド電極PADの下面の一部を露出させるように開口が形成されている。そして、導電層401は、その絶縁層400の開口を埋め込むように形成されており、パッド電極PADと電気的に接続されている。
【0200】
センサ素子100eとロジック回路素子200は、図20に示すように、接合されている。ここでは、図21に示すように、センサ素子100eの配線層111とロジック回路素子200の配線層211とが接合されており、各配線層111,211の間が配線で電気的に接続されている。
【0201】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態の赤外カットフィルタ層311は、実施形態1と同様に、ガラス基板301においてセンサ素子100eに対面する側の面のうち、画素領域PAに対応する部分と、周辺領域SAの一部とを被覆するように形成されている。また、接着層501eは、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分において、ガラス基板301にて赤外カットフィルタ層311で被覆されていない部分と、その赤外カットフィルタ層311の周辺部分とに少なくとも接している。
【0202】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、製造効率の向上、コストダウン、信頼性の向上、小型化を容易に実現できる。
なお、本実施形態においては、センサ素子100の周辺領域SAに周辺回路の一部を設ける場合について説明したが、これに限定されない。センサ素子100の周辺領域SAに周辺回路を設けず、ロジック回路素子200に、図4で示した周辺回路の全てを設けるように、構成しても良い。その他、ロジック回路素子200に代えて、配線基板を設けても良い。すなわち、機能が異なる複数の半導体チップを積み重ねて、固体撮像装置を構成しても良い。
【0203】
<6.その他>
本発明の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例を採用することができる。
【0204】
上記の実施形態においては、半導体装置が固体撮像装置である場合、その固体撮像装置をカメラに適用する場合について説明したが、これに限定されない。スキャナーやコピー機などのように、固体撮像装置を備える他の電子機器に適用しても良い。
【0205】
また、上記の実施形態においては、2つまたは3つの半導体チップを積層する場合について説明したが、これに限定されない。4つ以上の半導体チップを積層する場合において、本発明を適用しても良い。
【0206】
その他、上記の各実施形態を、適宜、組み合わせても良い。
【0207】
なお、上記の実施形態において、固体撮像装置1は、本発明の固体撮像装置に相当する。また、上記の実施形態において、カメラ40は、本発明の電子機器に相当する。また、上記の実施形態において、センサ素子100,100eは、本発明の固体撮像素子に相当する。また、上記の実施形態において、半導体基板101,半導体ウエハ101Wは、本発明の半導体基板に相当する。また、上記の実施形態において、赤外カットフィルタ300は、本発明の光学フィルタに相当する。また、上記の実施形態において、ガラス基板301,ガラスウエハ301Wは、本発明の透明基板に相当する。また、上記の実施形態において、赤外カットフィルタ層311,311dは、本発明のフィルタ層に相当する。また、上記の実施形態において、接着層501,501b,501eは、本発明の接着層に相当する。また、上記の実施形態において、キャビティ部600は、本発明のキャビティ部に相当する。また、上記の実施形態において、画素Pは、本発明の画素に相当する。また、上記の実施形態において、画素領域PAは、本発明の画素領域に相当する。
【符号の説明】
【0208】
1・・・固体撮像装置、13・・・垂直駆動回路、14・・・カラム回路、15・・・水平駆動回路、17・・・外部出力回路、17a・・・AGC回路、17b・・・ADC回路、18・・・タイミングジェネレータ、19・・・シャッター駆動回路、21・・・フォトダイオード、22・・・転送トランジスタ、23・・・増幅トランジスタ、24・・・選択トランジスタ、25・・・リセットトランジスタ、26・・・転送線、27・・・垂直信号線、28・・・アドレス線、29・・・リセット線、40・・・カメラ、43・・・制御部、44・・・信号処理部、100,100e・・・センサ素子、101・・・半導体基板、101W・・・半導体ウエハ、200・・・ロジック回路素子、220・・・半導体素子、300・・・赤外カットフィルタ、301・・・ガラス基板、301W・・・ガラスウエハ、311,311d・・・赤外カットフィルタ層、400・・・絶縁層、401・・・導電層、402・・・バンプ、501,501b,501e・・・接着層、600・・・キャビティ部、CF・・・カラーフィルタ、JS・・・受光面、ML・・・マイクロレンズ、NC・・・ノッチパターン、P・・・画素、PA・・・画素領域、PB・・・画素分離部、PR,PRd・・・フォトレジストパターン、PR1・・・第1フォトレジストパターン、PR2・・・第2フォトレジストパターン、VH・・・ビアホール
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、および、その製造方法に関する。また、本発明は、固体撮像装置を含むカメラ等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどの電子機器は、固体撮像装置を含む。たとえば、固体撮像装置として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサチップ、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサチップを含む。
【0003】
固体撮像装置は、複数の画素が撮像面にアレイ状に配列されている。各画素においては、光電変換部が設けられている。光電変換部は、たとえば、フォトダイオードであり、外付けの撮像レンズを含む光学系を介して入射する光を受光面で受光して光電変換することで、信号電荷を生成する。
【0004】
固体撮像装置は、たとえば、チップサイズパッケージの形態で製造されている。具体的には、複数の固体撮像素子(センサ素子)が設けられたシリコンウエハの一方の面に対面するように、ガラス基板を貼り合わせる。ここでは、隣接する固体撮像素子の間を接着材料で区画するように隔壁を設けて、この貼り合わせが行われる。そして、シリコンウエハにスルーシリコンビアを形成して、その一方の面と他方面との間を配線する。そして、その他方の面にバンプを形成後、ダイシングを実施してチップサイズにする。これにより、固体撮像装置がチップサイズパッケージの形態で製造される。
【0005】
また、固体撮像装置は、撮像画像の画像品質を向上させるために、外付けの撮像レンズと、撮像面との間に、光学フィルタが設けられている。たとえば、可視光以外の赤外光をカットする赤外カットフィルタが、光学フィルタとして配置されており、これにより、色再現性を向上することが可能となる。
【0006】
たとえば、チップサイズパッケージにおいて貼り合わされるガラス基板の一方の面に、多層膜を蒸着して赤外カットフィルタ層を設けることによって、そのガラス基板を赤外カットフィルタとして機能させている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−203913号公報(たとえば、段落[0014])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多層膜からなる赤外カットフィルタ層は、可視光の分光特性を満たすために、たとえば、30〜60の層をガラス基板の一方の面に蒸着して成膜することで形成される。よって、その成膜によるストレスによって、ガラス基板に反りが発生する場合がある。
【0009】
このため、この多層膜からなる赤外カットフィルタ層が設けられたガラス基板と、画素が設けられたシリコンウエハとを貼り合せることが、困難な場合がある。その他、スルーシリコンビアの形成の際の搬送やチャッキングにおいて、支障が生ずる場合がある。
【0010】
特に、8インチ以上の大型なガラス基板に、多層膜からなる赤外カットフィルタ層を設けたときには、大きな反りが発生しやすい。たとえば、12インチのガラス基板を用いたときには、数ミリの反りが発生する。このように、大型なガラス基板を用いたときには、上記のような不具合の発生が顕在化する。
【0011】
また、多層膜からなる赤外カットフィルタ層を設けたときには、製造工程における衝撃によって、赤外カットフィルタ層が剥離する場合がある。
【0012】
特に、ガラス基板においてシリコンウエハに貼り付ける面とは反対側の面に多層膜からなる赤外カットフィルタ層を設けた場合には、搬送やチャッキングにおいて、赤外カットフィルタ層にキズが発生する場合がある。また、チップサイズパッケージにレンズを接着する際には、その多層膜からなる赤外カットフィルタ層がガラス基板との界面から剥離する場合がある。また、赤外カットフィルタ層を設けた面で支持して搬送やチャッキングを行う際には、その赤外カットフィルタ層のパターンから、エアがリークする場合がある。このため、製造効率を向上させることが困難な場合がある。
【0013】
この他に、赤外カットフィルタを他の部品で構成する場合には、別の部品となるためにコストアップがされる場合がある。また、その全体の厚みが厚くなる場合がある。
【0014】
このように、多層膜からなる赤外カットフィルタ層が設けられたガラス基板を用いた場合には、装置の製造が容易でなく、製造効率の向上が困難な場合がある。また、装置の信頼性が低下する場合がある。その他、装置のコストダウンや、装置の小型化が困難な場合がある。
【0015】
したがって、本発明は、製造効率の向上、コストダウン、信頼性の向上、小型化の実現が可能な、固体撮像装置、および、その製造方法、電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の固体撮像装置は、透明基板にフィルタ層が形成されている光学フィルタと、前記光学フィルタに対面するように配置されており、前記フィルタ層を介して入射する光を受光する画素が半導体基板の画素領域に複数配列されている固体撮像素子と、前記光学フィルタと前記固体撮像素子との間に設けられており、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせている接着層とを有し、前記フィルタ層は、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜であって、前記透明基板において前記固体撮像素子に対面する側の面のうち、前記画素領域に対応する部分と、前記画素領域の周辺に位置する領域の一部とを被覆するように形成されており、前記接着層は、前記固体撮像素子と前記光学フィルタとが対面する面の周辺部分において、前記透明基板にて前記フィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに、少なくとも接するように設けられている。
【0017】
本発明の固体撮像装置の製造方法は、透明基板にフィルタ層を形成することで光学フィルタを形成する、光学フィルタ形成工程と、光を受光する画素を半導体基板の画素領域に複数設けることで固体撮像素子を形成する、固体撮像素子形成工程と、前記フィルタ層を介して入射する光を前記画素が受光するように前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを対面させた間に接着層を設けることによって、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせる、貼り合わせ工程とを有し、前記光学フィルタ形成工程では、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜を、前記透明基板において前記固体撮像素子に対面する側の面のうち、前記画素領域に対応する部分と、前記画素領域の周辺に位置する領域の一部とを被覆するように設けることによって、前記フィルタ層を形成し、前記貼り合わせ工程では、前記透明基板にて前記半導体基板に対面する面の周辺部分であって前記フィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに少なくとも接するように、前記接着層を設けることで、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせる。
【0018】
本発明では、透明基板において固体撮像素子に対面する側の面のうち、画素領域に対応する部分と、画素領域の周辺に位置する領域の一部とに誘電体多層膜を被覆させることで、フィルタ層を形成する。そして、透明基板にて半導体基板に対面する面の周辺部分であってフィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに少なくとも接するように、接着層を設けることで、光学フィルタと固体撮像素子とを貼り合わせる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、製造効率の向上、コストダウン、信頼性の向上、小型化の実現が可能な、半導体装置、および、その製造方法、電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態1において、カメラ40の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置1の要部構成を示す図である。
【図3】図3は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置1の要部構成を示す図である。
【図4】図4は、本発明にかかる実施形態1において、センサ素子100の全体構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明にかかる実施形態1において、センサ素子100の要部構成を示す図である。
【図6】図6は、本発明にかかる実施形態1において、画素Pを示す図である。
【図7】図7は、本発明にかかる実施形態1において、画素Pを示す図である。
【図8】図8は、本発明にかかる実施形態1において、カラーフィルタCFを示す図である。
【図9】図9は、本発明にかかる実施形態1において、画素Pから信号を読み出す際に、各部へ供給するパルス信号を示すタイミングチャートである。
【図10】図10は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【図11】図11は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【図12】図12は、本発明にかかる実施形態1において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。
【図13】図13は、本発明にかかる実施形態1において、ダイシング前における赤外カットフィルタ300の上面を示す図である。
【図14】図14は、本発明にかかる実施形態1の比較例の固体撮像装置を示す図である。
【図15】図15は、本発明にかかる実施形態2において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図16】図16は、本発明にかかる実施形態3において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。
【図17】図17は、本発明にかかる実施形態4において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図18】図18は、本発明にかかる実施形態4において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。
【図19】図19は、本発明にかかる実施形態5において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図20】図20は、本発明にかかる実施形態5において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図21】図21は、本発明にかかる実施形態5において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
なお、説明は、下記の順序で行う。
1.実施形態1(キャビティ構造の場合)
2.実施形態2(キャビティレス構造の場合)
3.実施形態3(複数のレジストパターンを積層させて、フィルタ層を形成する場合)
4.実施形態4(フィルタ層がテーパー形状の場合)
5.実施形態5(3次元実装構造の場合)
6.その他
【0023】
<1.実施形態1>
[1]装置構成
(1−1)カメラの要部構成
図1は、本発明にかかる実施形態1において、カメラ40の構成を示す構成図である。
【0024】
図1に示すように、カメラ40は、固体撮像装置1と、光学系42と、制御部43と、信号処理部44とを有する。各部について、順次、説明する。
【0025】
固体撮像装置1は、光学系42を介して被写体像として入射する入射光Hを、撮像面PSで受光して光電変換することによって、信号電荷を生成する。ここでは、固体撮像装置1は、制御部43から出力される制御信号に基づいて駆動する。そして、信号電荷を読み出し、電気信号として出力する。
【0026】
光学系42は、結像レンズや絞りなどの光学部材を含み、入射光Hを、固体撮像装置1の撮像面PSへ集光するように配置されている。
【0027】
制御部43は、各種の制御信号を固体撮像装置1と信号処理部44とに出力し、固体撮像装置1と信号処理部44とを制御して駆動させる。
【0028】
信号処理部44は、固体撮像装置1から出力された電気信号について信号処理を実施することによって、たとえば、カラーデジタル画像を生成する。
【0029】
(1−2)固体撮像装置の要部構成
固体撮像装置1の要部構成について説明する。
【0030】
図2,図3は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置1の要部構成を示す図である。
【0031】
ここで、図2は、斜視図であって、図3は、断面図であり、両者は、固体撮像装置1の構成を模式的に示している。
【0032】
本実施形態の固体撮像装置1は、図2,図3に示すように、センサ素子100と、赤外カットフィルタ300と、接着層501とを含む。
【0033】
図2,図3に示すように、センサ素子100と、赤外カットフィルタ300とは、互いに対面するように配置されている。
【0034】
ここでは、図3に示すように、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の中央部分には、空洞なキャビティ部600が設けられている。そして、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の周辺部分に、接着層501が設けられており、この接着層501によって両者が貼り合わされている。
【0035】
固体撮像装置1を構成する各部について順次説明する。
【0036】
(a)センサ素子100について
固体撮像装置1を構成するセンサ素子100について説明する。
【0037】
図2,図3に示すように、固体撮像装置1において、センサ素子100は、半導体基板101を含む。たとえば、半導体基板101は、単結晶シリコンで形成されており、赤外カットフィルタ300と対面する面に画素領域PAと周辺領域SAとが設けられている。センサ素子100は、上方から赤外カットフィルタ300とキャビティ部600とを介して入射する可視光域の入射光Hを、画素領域PAの各画素が受光し、電気信号として出力する。
【0038】
詳細については後述するが、画素領域PAの各画素には、図3に示すように、マイクロレンズMLが設けられている。そして、センサ素子100は、接着層501によって赤外カットフィルタ300と貼り合わされている。
【0039】
(a−1)センサ素子100の全体構成
図4は、本発明にかかる実施形態1において、センサ素子100の全体構成を示す図である。図4では、上面を示している。
【0040】
センサ素子100において、画素領域PAは、図4に示すように、半導体基板101の中央部分に設けられている。画素領域PAは、矩形形状であり、複数の画素Pが水平方向xと垂直方向yとのそれぞれに、配置されている。
【0041】
センサ素子100において、周辺領域SAは、図4に示すように、画素領域PAの周囲に位置している。そして、この周辺領域SAにおいては、周辺回路が設けられている。
【0042】
具体的には、図4に示すように、垂直駆動回路13と、カラム回路14と、水平駆動回路15と、外部出力回路17と、タイミングジェネレータ(TG)18と、シャッター駆動回路19とが、周辺回路として設けられている。各部は、制御部43(図1参照)から入力される制御信号に基づいて駆動し、撮像動作が実行される。
【0043】
垂直駆動回路13は、図4に示すように、周辺領域SAにおいて、画素領域PAの側部に設けられており、画素領域PAの画素Pを行単位で選択して駆動させる。
【0044】
カラム回路14は、図4に示すように、周辺領域SAにおいて、画素領域PAの下端部に設けられており、列単位で画素Pから出力される信号について信号処理を実施する。ここでは、カラム回路14は、CDS(Correlated Double Sampling;相関二重サンプリング)回路(図示なし)を含み、固定パターンノイズを除去する信号処理を実施する。
【0045】
水平駆動回路15は、図4に示すように、カラム回路14に電気的に接続されている。水平駆動回路15は、たとえば、シフトレジスタを含み、カラム回路14において画素Pの列ごとに保持されている信号を、順次、外部出力回路17へ出力させる。
【0046】
外部出力回路17は、図4に示すように、カラム回路14に電気的に接続されており、カラム回路14から出力された信号について信号処理を実施後、外部へ出力する。外部出力回路17は、AGC(Automatic Gain Control)回路17aとADC回路17bとを含む。外部出力回路17においては、AGC回路17aが信号にゲインをかけた後に、ADC回路17bがアナログ信号からデジタル信号へ変換して、外部へ出力する。
【0047】
タイミングジェネレータ18は、図4に示すように、垂直駆動回路13、カラム回路14、水平駆動回路15,外部出力回路17,シャッター駆動回路19のそれぞれに電気的に接続されている。タイミングジェネレータ18は、各種のタイミング信号を生成し、垂直駆動回路13、カラム回路14、水平駆動回路15,外部出力回路17,シャッター駆動回路19に出力することで、各部について駆動制御を行う。
【0048】
シャッター駆動回路19は、画素Pを行単位で選択して、画素Pにおける露光時間を調整するように構成されている。
【0049】
(a−2)センサ素子100の要部構成
図5は、本発明にかかる実施形態1において、センサ素子100の要部構成を示す図である。図5では、一部の断面を示している。
【0050】
センサ素子100において、半導体基板101の表面(上面)には、図5に示すように、配線層111が設けられている。配線層111は、多層配線層であって、複数の配線111hと絶縁層111zとを含む。配線層111は、配線111hと絶縁膜とが交互に積層されて形成されており、各配線111hが、絶縁層111zで覆われるように設けられている。また、配線層111中には、周辺領域SAにパッド電極PADが設けられている。
【0051】
センサ素子100において、半導体基板101の裏面(下面)には、図5に示すように、絶縁層400と導電層401とが順次設けられている。そして、その導電層401の下面に、バンプ402が設けられている。
【0052】
センサ素子100において、画素領域PAには、図5に示すように、フォトダイオード21が半導体基板101の内部に設けられている。また、画素領域PAには、配線層111の上面に、カラーフィルタCFとマイクロレンズMLとが順次設けられている。フォトダイオード21とカラーフィルタCFとマイクロレンズMLとのそれぞれは、画素領域PAに設けられる複数の画素Pのそれぞれに設けられている。フォトダイオード21は、半導体基板101の表面側から、マイクロレンズMLとカラーフィルタCFと配線層111とを介して入射する入射光Hを受光する。つまり、本実施形態の固体撮像装置は、「表面照射型」のイメージセンサチップである。画素Pの詳細については後述する。
【0053】
センサ素子100において、周辺領域SAには、図5に示すように、半導体基板101を貫通するビアホールVHが設けられている。つまり、スルーシリコンビアが設けられている。このビアホールVHは、配線層111に設けられたパッド電極PADの下面を露出するように形成されている。そして、そのビアホールVHの内部には、絶縁層400を介して導電層401が被覆されている。絶縁層400には、パッド電極PADの下面の一部を露出させるように開口が形成されている。そして、導電層401は、その絶縁層400の開口を埋め込むように形成されており、パッド電極PADと電気的に接続されている。なお、周辺領域SAには、図4に示した周辺回路を構成する半導体素子が、半導体基板101に形成されているが、図5では、図示を省略している。
【0054】
(a−3)画素Pの構成
図6,図7は、本発明にかかる実施形態1において、画素Pを示す図である。
【0055】
ここで、図6は、画素Pの平面図である。また、図7は、画素Pの回路構成を示す図である。
【0056】
図6,図7に示すように、画素Pは、図5で示したフォトダイオード21の他に、画素トランジスタTrを含む。ここでは、画素トランジスタTrは、転送トランジスタ22と、増幅トランジスタ23と、選択トランジスタ24と、リセットトランジスタ25とを含み、フォトダイオード21から信号電荷を読み出す動作を実施するように構成されている。
【0057】
画素Pにおいて、フォトダイオード21は、図4に示した複数の画素Pに対応するように複数が配置されている。つまり、撮像面(xy面)において、水平方向xと、この水平方向xに対して直交する垂直方向yとのそれぞれに並んで設けられている。たとえば、フォトダイオード21は、半導体基板101の内部において、n型の不純物が拡散された電荷蓄積領域(図示なし)を含む。そして、そのn型の電荷蓄積領域の上面側と下面側との各界面において、暗電流が発生することを抑制するように、p型の不純物が拡散されたホール蓄積領域(図示なし)が形成されている。
【0058】
図6に示すように、画素Pの周囲には複数の画素Pの間を電気的に分離する画素分離部PBが設けられており、この画素分離部PBで区画された領域に、フォトダイオード21が設けられている。たとえば、画素分離部PBは、半導体基板101(図4,図5など参照)中にp型の不純物を拡散されることで形成されている。
【0059】
図7に示すように、フォトダイオード21は、アノードが接地されており、蓄積した信号電荷(ここでは、電子)が、画素トランジスタTrによって読み出され、電気信号として垂直信号線27へ出力される。具体的には、フォトダイオード21は、図6に示すように、転送トランジスタ22を介して、増幅トランジスタ23のゲートに接続されている。そして、フォトダイオード21においては、増幅トランジスタ23のゲートに接続されているフローティングディフュージョンFDへ、その蓄積した信号電荷が、転送トランジスタ22によって出力信号として転送される。
【0060】
画素Pにおいて、画素トランジスタTrは、図4に示した複数の画素Pに対応するように複数が配置されている。画素トランジスタTrは、たとえば、図6に示すように、半導体基板101において画素Pの間を分離する画素分離部PBに形成されている。
【0061】
なお、画素トランジスタTrは、図4では図示していないが、半導体基板101において配線層111が被覆する表面に設けられている。たとえば、画素トランジスタTrを構成する各トランジスタ22〜25は、NチャネルのMOSトランジスタであって、各ゲートが、たとえば、ポリシリコンを用いて形成されている。そして、各トランジスタ22〜25は、配線層111で被覆されている。
【0062】
画素トランジスタTrにおいて、転送トランジスタ22は、フォトダイオード21で生成された信号電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送するように構成されている。具体的には、転送トランジスタ22は、図7に示すように、フォトダイオード21とフローティングディフュージョンFDとの間において介在するように設けられている。そして、転送トランジスタ22は、転送線26からゲートに転送信号TGが送信されてオン状態にされた際に、フォトダイオード21が蓄積した信号電荷を、フローティングディフュージョンFDに転送する。
【0063】
画素トランジスタTrにおいて、増幅トランジスタ23は、転送トランジスタ22が転送した信号電荷による信号を増幅して出力するように構成されている。具体的には、増幅トランジスタ23は、図7に示すように、ゲートがフローティングディフュージョンFDに接続されている。また、増幅トランジスタ23は、ドレインが電源電位供給線Vddに接続され、ソースが選択トランジスタ24に接続されている。増幅トランジスタ23は、選択トランジスタ24がオン状態になるように選択されたときには、定電流源Iから定電流が供給されて、ソースフォロアとして動作する。このため、増幅トランジスタ23では、選択トランジスタ24に選択信号SELが供給されることによって、転送された信号電荷による信号が増幅される。
【0064】
画素トランジスタTrにおいて、選択トランジスタ24は、選択信号SELに基づいて、画素Pから電気信号を垂直信号線27へ出力するように構成されている。具体的には、選択トランジスタ24は、図7に示すように、選択信号SELが供給されるアドレス線28にゲートが接続されている。そして、選択トランジスタ24は、選択信号SELが供給されてオン状態になった際には、上記のように増幅トランジスタ23によって増幅された出力信号を、垂直信号線27に出力する。
【0065】
画素トランジスタTrにおいて、リセットトランジスタ25は、増幅トランジスタ23のゲート電位をリセットするように構成されている。具体的には、リセットトランジスタ25は、図7に示すように、リセット信号RSTが供給されるリセット線29にゲートが接続されている。また、リセットトランジスタ25は、ドレインが電源電位供給線Vddに接続され、ソースがフローティングディフュージョンFDに接続されている。そして、リセットトランジスタ25は、リセット線29からリセット信号がゲートに供給されてオン状態になった際に、フローティングディフュージョンFDを介して、増幅トランジスタ23のゲート電位を、電源電位にリセットする。
【0066】
なお、図7で示した、転送線26,アドレス線28,垂直信号線27,リセット線29などの各配線は、図5で示した配線層111を構成する配線111hに相当する。
【0067】
前述したように、各画素Pには、カラーフィルタCFとマイクロレンズMLとのそれぞれが設けられている。
【0068】
画素Pにおいて、カラーフィルタCFは、入射光Hを着色して、半導体基板101の受光面JSへ透過するように構成されている。たとえば、カラーフィルタCFは、着色顔料とフォトレジスト樹脂とを含む塗布液を、スピンコート法などのコーティング方法によって塗布して塗膜を形成後、リソグラフィ技術によって、その塗膜をパターン加工して形成される。
【0069】
図8は、本発明にかかる実施形態1において、カラーフィルタCFを示す図である。図8においては、カラーフィルタCFの上面を示している。
【0070】
図8に示すように、カラーフィルタCFは、レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとを含む。レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとのそれぞれは、隣接しており、いずれかが、複数の画素Pのそれぞれに対応して設けられている。
【0071】
ここでは、図8に示すように、レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとのそれぞれが、ベイヤー配列BHで並ぶように配置されている。すなわち、複数のグリーンフィルタ層CFGが市松状になるように、対角方向へ並んで配置されている。そして、レッドフィルタ層CFRとブルーフィルタ層CFBとが、複数のグリーンフィルタ層CFGにおいて、対角方向に並ぶように配置されている。
【0072】
画素Pにおいて、マイクロレンズMLは、図5に示したように、カラーフィルタCFの上面に設けられている。マイクロレンズMLは、受光面JSの上方において、中心が縁よりも厚く形成された凸型レンズであり、入射光Hをフォトダイオード21の受光面JSへ集光するように構成されている。たとえば、マイクロレンズMLは、屈折率が1.6程度の有機樹脂材料を用いて形成されている。このマイクロレンズMLは、感光性樹脂膜をフォトリソグラフィ技術でパターン加工した後に、リフロー処理でレンズ形状に変形させることで形成される。この他に、レンズ材膜上にレンズ形状のレジスト膜を形成後、エッチバック処理を実施することで、マイクロレンズMLを形成しても良い。
【0073】
図9は、本発明にかかる実施形態1において、画素Pから信号を読み出す際に、各部へ供給するパルス信号を示すタイミングチャートである。ここでは、(a)が選択信号SELを示し、(b)がリセット信号RSTを示し、(c)が転送信号TGを示している(図7参照)。
【0074】
まず、図9に示すように、第1の時点t1において、選択トランジスタ24を導通状態にするように、選択信号をハイレベルとする。そして、第2の時点t2において、リセットトランジスタ25を導通状態にするように、リセット信号をハイレベルとする。これにより、増幅トランジスタ23のゲート電位をリセットする。
【0075】
つぎに、第3の時点t3において、リセットトランジスタ25を非導通状態にするようにリセット信号をローレベルにする。そして、この後、そのリセットレベルに対応した電圧を、カラム回路14へ読み出す。
【0076】
つぎに、第4の時点t4において、転送トランジスタ22を導通状態にするように転送信号をハイレベルにして、フォトダイオード21で蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョンFDへ転送する。
【0077】
つぎに、第5の時点t5において、転送トランジスタ22を非導通状態にするように、転送信号をローレベルにする。この後、その蓄積された信号電荷の量に応じた信号レベルの電圧を、カラム回路14へ読み出す。
【0078】
カラム回路14においては、先に読み出したリセットレベルと、後に読み出した信号レベルとを差分処理して、信号を蓄積する。これにより、画素Pごとに設けられた各トランジスタのVthのバラツキ等によって発生する固定的なパターンノイズが、キャンセルされる。
【0079】
上記のように画素を駆動する動作は、各トランジスタ22,24,25の各ゲートが、水平方向xに並ぶ複数の画素Pからなる行単位で接続されていることから、その行単位で並ぶ複数の画素Pについて同時に行われる。具体的には、上述した垂直駆動回路13によって供給される選択信号によって、水平ライン(画素行)単位で垂直な方向に順次選択される。そして、タイミングジェネレータ18から出力される各種タイミング信号によって各画素のトランジスタが制御される。これにより、各画素Pにおける出力信号が垂直信号線27を通して画素列毎にカラム回路14に読み出される。
【0080】
そして、カラム回路14で蓄積された信号が、水平駆動回路15によって選択されて、外部出力回路17へ順次出力される。
【0081】
(b)赤外カットフィルタ300について
固体撮像装置1を構成する赤外カットフィルタ300について説明する。
【0082】
図2,図3に示すように、固体撮像装置1において、赤外カットフィルタ300は、ガラス基板301を含む。ガラス基板301は、センサ素子100と対面する面に赤外カットフィルタ層311が設けられている。
【0083】
赤外カットフィルタ層311は、図2,図3に示すように、ガラス基板301の中央部分に設けられている。赤外カットフィルタ層311は、平面形状が矩形であり、ガラス基板301において、センサ素子100の画素領域PAに対応する領域の全てを被覆するように形成されている。これと共に、赤外カットフィルタ層311は、ガラス基板301において、センサ素子100の周辺領域SAに対応する領域の一部を被覆するように形成されている。
【0084】
つまり、赤外カットフィルタ層311は、ガラス基板301において、センサ素子100の画素領域PAに対応する領域よりも広い領域を被覆するように形成されている。また、赤外カットフィルタ層311は、ガラス基板301において、センサ素子100に対面する領域の全体を被覆せずに、その対面する領域よりも狭い領域を被覆するように形成されている。
【0085】
赤外カットフィルタ層311は、誘電体多層膜である。つまり、赤外カットフィルタ層311は、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に積層されており、各層の干渉作用によって赤外領域の光を反射してカットし、可視領域の光を選択的に透過するように構成されている。
【0086】
(c)接着層501について
固体撮像装置1を構成する接着層501について説明する。
【0087】
接着層501は、図3に示すように、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分に設けられている。つまり、接着層501は、センサ素子100と赤外カットフィルタ300との間においてキャビティ部600の周辺に設けられており、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とを貼り合わせている。
【0088】
本実施形態においては、接着層501は、赤外カットフィルタ300のガラス基板301において赤外カットフィルタ層311で被覆されていない周辺部分に接するように設けられている。これと共に、接着層501は、赤外カットフィルタ300において赤外カットフィルタ層311の周辺部分に接するように設けられている。具体的には、接着層501は、赤外カットフィルタ層311の側端面と、赤外カットフィルタ層311においてセンサ素子100の対面する面の側端部とに接するように設けられている。
【0089】
(2)製造方法
以下より、上記の固体撮像装置1を製造する製造方法の要部について説明する。
【0090】
図10,図11は、本発明にかかる実施形態1において、固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【0091】
ここで、図10,図11は、固体撮像装置を製造する各工程を順次示している。
【0092】
本実施形態においては、図10,図11に示すように、(a)〜(f)の各工程を経て、複数の固体撮像装置1が設けられた大判な円盤状のウエハを分割することによって、一の固体撮像装置1を製造する。
【0093】
各工程の詳細について説明する。
【0094】
(a)センサ素子100の形成
まず、図10(a)に示すように、センサ素子100を形成する。
【0095】
ここでは、図10(a)に示すように、大判の半導体ウエハ101W(シリコンウエハ)に複数のセンサ素子100を設ける。
【0096】
具体的には、半導体ウエハ101Wにおいて複数の固体撮像装置を設ける領域CAのそれぞれに、画素Pなどの各部を適宜設けることで、複数のセンサ素子100を設ける。
【0097】
(b)赤外カットフィルタ300の形成
つぎに、図10(b)に示すように、赤外カットフィルタ300を形成する。
【0098】
ここでは、図10(b)に示すように、大判のガラスウエハ301Wに、複数の赤外カットフィルタ300を形成する。
【0099】
具体的には、ガラスウエハ301Wにてセンサ素子100に対面させる面において、複数の固体撮像装置を設ける領域CAのそれぞれに、赤外カットフィルタ層311を設けることで、複数の赤外カットフィルタ300を形成する。
【0100】
たとえば、半導体ウエハ101Wと線膨張係数が同様なものを、ガラスウエハ301Wとして用いる。たとえば、半導体ウエハ101Wと線膨張係数が同じ値(CTE=3.2ppm)であって、厚みが500μmのものを、ガラスウエハ301Wとして用いる。この他に、線膨張係数が近い値(CTE=2.9〜3.5ppm)のものを用いても好適である。
【0101】
そして、そのガラスウエハ301Wにおいてセンサ素子100に対面させる面とは反対側の面で、ガラスウエハ301Wを製造装置に支持させた状態で、赤外カットフィルタ層311を設ける。つまり、ガラスウエハ301Wにおいて赤外カットフィルタ層311を設ける面とは反対側の面で、ガラスウエハ301Wが支持される。たとえば、バキュームチャック,静電チャック,メカニカルなチャックによって、ガラスウエハ301Wが支持される。そして、その面で支持されて、搬送が行われる。
【0102】
図12は、本発明にかかる実施形態1において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。
【0103】
ここで、図12は、赤外カットフィルタ300する各工程を順次示している。
【0104】
本実施形態においては、図12に示すように、(a1)〜(a3)の各工程を経て、ガラスウエハ301Wに赤外カットフィルタ層311を形成する。つまり、リフトオフ法によって、赤外カットフィルタ層311を形成する。
【0105】
具体的には、まず、図12(a1)に示すように、フォトレジストパターンPRを設ける。
【0106】
ここでは、ガラスウエハ301Wの上面において、赤外カットフィルタ層311を形成する領域以外の領域の上方に位置するように、フォトレジストパターンPRを形成する。
【0107】
たとえば、ガラスウエハ301Wの上面に感光性樹脂膜(図示無し)を成膜後、フォトリソグラフィ技術によって、その感光性樹脂膜(図示無し)をパターン加工することで、フォトレジストパターンPRを形成する。
【0108】
本実施形態では、ガラスウエハ301Wに近い側が狭い幅であって、ガラスウエハ301Wから離れるに伴って幅が広がった断面形状になるように、フォトレジストパターンPRを形成する。つまり、断面が逆テーパー形状になるように、フォトレジストパターンPRを形成する。
【0109】
たとえば、下記の条件になるように、フォトレジストパターンPRを形成する。
[フォトレジストパターンPRの条件]
・厚み:6.5〜11μm(赤外カットフィルタ層311として、30〜60層を積層して形成する誘電体多層膜よりも厚くする必要がある。誘電体多層膜の各層は、1/4λの厚みが必要なので、平均すると、厚みが150nmである(600nm/4)。よって、誘電体多層膜は、厚みが、4.5〜9μmであり、フォトレジストパターンPRについては、これよりも、2μ程度厚くすることが好適である。)
・傾斜角度:87〜89°
・材料:リフトオフ用レジスト
・各フォトレジストパターンPRの間の距離:50〜800μm(ダイシング後の残り幅が接着強度で必要なため。ダイシング前は、ダイシングストリート幅30〜100μm+(min50〜300×2)となる)
【0110】
つぎに、図12(a2)に示すように、赤外カットフィルタ層311を成膜する。
【0111】
ここでは、フォトレジストパターンPRが形成されたガラスウエハ301Wの上面を被覆するように、赤外カットフィルタ層311を成膜する。これにより、ガラスウエハ301Wの上面と共に、フォトレジストパターンPRの上面に、赤外カットフィルタ層311が成膜される。
【0112】
具体的には、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することで、赤外カットフィルタ層311を成膜する。
【0113】
たとえば、TiO2、Ta2O5、Nb2O5等などの材料を用いて、高屈折率層を形成する。そして、SiO2、MgF2などの材料を用いて、低屈折率層を形成する。そして、高屈折率層と低屈折率層とについて、たとえば、30〜60の層を積層することで、赤外カットフィルタ層311を形成する。たとえば、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着、イオンプレーティング法、スパッタ法などの物理的成膜法で高屈折率層と低屈折率層を成膜する。
【0114】
つぎに、図12(a3)に示すように、フォトレジストパターンPRを除去する。
【0115】
ここでは、上記のように、赤外カットフィルタ層311が上面に成膜されたフォトレジストパターンPRを除去する。これにより、ガラスウエハ301Wの上面に、赤外カットフィルタ層311が所望のパターンで形成される。すなわち、図3に示したように、ガラス基板301がセンサ素子100に貼り付けられたときに、ガラス基板301が対面する面のうち、画素領域PAに対応する部分と周辺領域SAの一部とを被覆するように、赤外カットフィルタ層311が形成される。
【0116】
図13は、本発明にかかる実施形態1において、赤外カットフィルタ層311が形成されたガラスウエハの上面を示す図である。つまり、図13は、ダイシング前における赤外カットフィルタ300の上面を示している。図13では、赤外カットフィルタ層311が形成された部分を黒色で示しており、赤外カットフィルタ層311を形成しない部分を白色で示している。
【0117】
図13に示すように、ガラスウエハ301Wの上面において、複数の固体撮像装置を設ける領域CAのそれぞれに、赤外カットフィルタ層311が設けられる。複数の赤外カットフィルタ層311のそれぞれは、間にギャップを介在するように形成される。
【0118】
このとき、図13に示すように、ガラスウエハ301Wの周辺においては、位置合わせのためのノッチパターンNCを形成しても良い。たとえば、センサ素子100を形成するためのシリコンウエハと同じ形状でノッチパターンNCを形成することが好適である。これにより、両者の位置合わせにおいて、特別なマーク検出が不要となる。つまり、装置のアライメント機構を外形の位置決めと回転による検出によって、両者の位置合わせが可能となり、機種ごとにアライメント方法を変えることなく、廉価な装置構成で位置合わせが可能となる。
【0119】
(c)センサ素子100と赤外カットフィルタ300との貼り合わせ
つぎに、図10(c)に示すように、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とを貼り合わせる。
【0120】
ここでは、赤外カットフィルタ300が設けられたガラスウエハ301Wの上下を反転させる。その後、支持された半導体ウエハ101Wの上面と、ガラスウエハ301Wにおいて赤外カットフィルタ層311を設けられた下面とを対面させる。そして、両者を位置合わせして貼り合わせる。すなわち、複数の赤外カットフィルタ300のそれぞれと複数のセンサ素子100とのそれぞれが対応するように、ガラス基板301と半導体基板101とを位置合わせして貼り合わせる。
【0121】
具体的には、複数の固体撮像装置を設ける領域CAのそれぞれにおいて、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の中央部分に、空洞なキャビティ部600が設けられるように、両者を貼り合わせる。
【0122】
また、複数の固体撮像装置を設ける領域CAのそれぞれにおいて、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分に、接着層501を設けることで、両者を貼り合わせる。
【0123】
たとえば、半導体ウエハ101Wの面において、複数の固体撮像装置を設ける領域CAを区画するように、接着層501を格子状に形成した後に、ガラスウエハ301Wを位置合わせして貼り合わせる。
【0124】
たとえば、下記の条件になるように、接着層501を形成する。
[接着層501の条件]
・厚み:10〜70μm(実際には50μm。薄いと回折による干渉縞が出る場合があるため)
・幅:少なくても200μm程度
・材料:感光性のアクリル系エポキシ接着剤
【0125】
これにより、図3に示したように、貼り合わされた状態において、赤外カットフィルタ層311とキャビティ部600とを介して入射する光を画素が受光するように、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とを対面させた間に、接着層501を設けられる。つまり、この工程では、ガラス基板301にて半導体基板101に対面する面の周辺部分であって赤外カットフィルタ層311で被覆されていない部分と、赤外カットフィルタ層311の周辺部分とに接着層501を接するように設けて、両者を貼り合わせる。
【0126】
(d)反転
つぎに、図11(d)に示すように、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とを貼り合わせたものの上下を反転させる。
【0127】
ここでは、センサ素子100において赤外カットフィルタ300に対面する面に対して反対側の面が上方へ向くように、この反転が行われる。そして、赤外カットフィルタ300において赤外カットフィルタ層311が設けられた面とは反対側の面で、この貼り合わせたものが製造装置に支持される。つまり、ガラスウエハ301Wの下面で支持される。
【0128】
(e)バンプ402の形成
つぎに、図11(e)に示すように、バンプ402を形成する。
【0129】
ここでは、センサ素子100において赤外カットフィルタ300に対面する面に対して反対側の面に、バンプ402を形成する。つまり、半導体ウエハ101Wにおいてガラスウエハ301Wに対面する面に対して反対の面に、バンプ402を形成する。
【0130】
具体的には、バンプ402の形成に先立って、センサ素子100を構成する半導体基板101にビアホールVHを形成し、パッド電極PADの表面を露出させる。そして、絶縁層400,導電層401を設けた後に、金属材料を用いてバンプ402を形成する(図5参照)。
【0131】
(f)ダイシング
つぎに、図11(f)に示すように、ダイシングを実施して、複数の固体撮像装置1に分割する。
【0132】
ここでは、複数の固体撮像装置1の間のスクライブ領域においてダイシング加工を実施することで、固体撮像装置1が複数設けられているウエハ状態のものを、一の固体撮像装置1ごとに分割する。つまり、ガラスウエハ301Wと半導体ウエハ101Wとが貼り合わされた状態のものについてダイシング加工を実施することで、複数の固体撮像装置1に分割する。
【0133】
このように、半導体ウエハ101Wを複数の半導体基板101に分割し、ガラスウエハ301Wを複数のガラス基板301に分割するように、ダイシングを行って、固体撮像装置1を完成させる。
【0134】
(3)まとめ
以上のように、本実施形態の固体撮像装置においては、赤外カットフィルタ300は、ガラス基板301に赤外カットフィルタ層311が形成されている。そして、センサ素子100は、その赤外カットフィルタ300に対面するように配置されており、赤外カットフィルタ層311を介して入射する光を受光する画素が、半導体基板101の画素領域PAに複数配列されている。そして、この赤外カットフィルタ300とセンサ素子100との間には、接着層501が設けられており、両者を貼り合わせている。
【0135】
ここでは、赤外カットフィルタ層311は、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜である。そして、赤外カットフィルタ層311は、ガラス基板301においてセンサ素子100に対面する側の面のうち、画素領域PAに対応する部分と、画素領域PAの周辺に位置する周辺領域SAの一部とを被覆するように形成されている。また、接着層501は、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分において、ガラス基板301にて赤外カットフィルタ層311で被覆されていない部分と、その赤外カットフィルタ層311の周辺部分とに接している。
【0136】
図14は、本発明にかかる実施形態1の比較例の固体撮像装置を示す図である。ここで、図14は、図3と同様に、断面図であり、固体撮像装置の構成を模式的に示している。
【0137】
図14に示すように、比較例では、赤外カットフィルタ300の赤外カットフィルタ層311は、上記と同様に、ガラス基板301の中央部分に設けられている。そして、接着層501は、ガラス基板301において赤外カットフィルタ層311で被覆されていない周辺部分に接するように設けられている。しかしながら、上記と異なり、接着層501は、赤外カットフィルタ層311の周辺部分に接するように設けられていない。すなわち、接着層501は、赤外カットフィルタ層311の側端面と、赤外カットフィルタ層311においてセンサ素子100の対面する面の側端部とに接するように設けられていない。
【0138】
このため、比較例においては、赤外カットフィルタ層311は、接着層501によってガラス基板301に固定されていないので、ガラス基板301から剥離する場合がある。そして、剥離した赤外カットフィルタ層311によって、撮像画像の画像品質が低下する場合がある。特に、画素サイズが微細化された場合(たとえば、□1.4μm)においては、影響が大きく、上記の不具合が発生しやすい。
【0139】
これに対して、本実施形態においては、図3に示したように、接着層501は、赤外カットフィルタ層311の周辺部分に接するように設けられており、赤外カットフィルタ層311をガラス基板301に固定している。
【0140】
よって、本実施形態は、赤外カットフィルタ層311がガラス基板301から剥離することを好適に防止することができる。
【0141】
この他に、赤外カットフィルタ層311の側端部が露出された状態にないため、外気に含まれる水分の影響を受けにくい。よって、剥離を好適に防止することができる。
【0142】
また、本実施形態において、赤外カットフィルタ300を形成する工程では、リフトオフ法によって、ガラス基板301に赤外カットフィルタ層311を形成する。このため、本実施形態では、図12(a2)に示したように、赤外カットフィルタ層311は、ガラスウエハ301Wの面に非連続的に成膜され、ガラスウエハ301Wの全面を連続的に被覆していない。よって、ガラス基板301に反りが発生することを抑制可能である。
【0143】
また、本実施形態では、ガラス基板301において半導体基板101に対面する側に赤外カットフィルタ層311を形成している。このため、ガラス基板301において赤外カットフィルタ層311が形成された面が露出し、赤外カットフィルタ層311が形成された面が露出されない。よって、製造プロセスにおけるハンドリングによって、赤外カットフィルタ層311に傷が発生することを防止できる。
【0144】
さらに、本実施形態において、赤外カットフィルタ300を形成する工程では、半導体基板101に形成されたノッチ形状(図示無し)と同じノッチパターンを、赤外カットフィルタ層311の形成と同時に、ガラス基板301に形成する。そして、貼り合わせ工程では、半導体基板101のノッチ形状と、ガラス基板301のノッチパターンとを用いて、両者を位置合わせする。
【0145】
したがって、本実施形態は、製造効率の向上、コストダウン、信頼性の向上、小型化を容易に実現できる。
【0146】
<2.実施形態2>
(1)装置構成など
図15は、本発明にかかる実施形態2において、固体撮像装置の要部を示す図である。図15は、図3と同様に、断面を示している。
【0147】
図15に示すように、本実施形態においては、接着層501bの構成が、実施形態1と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0148】
接着層501bは、図15に示すように、実施形態1の場合と同様に、センサ素子100と、赤外カットフィルタ300との間に設けられている。
【0149】
しかし、本実施形態においては、実施形態1と異なり、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の中央部分には、キャビティ部600(図3参照)が設けられていない。また、本実施形態においては、マイクロレンズMLを被覆するように、低屈折率層110が設けられている。低屈折率層110は、マイクロレンズMLの上を覆って平坦になる部分の厚みが、たとえば、0.3〜5μm程度になるように形成されている。
【0150】
そして、センサ素子100は、その低屈折率層110の上面において、赤外カットフィルタ300と、接着層501で貼り合わされている。ここでは、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の全面に接着層501が設けられており、この接着層501によって、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが貼り合わされている。つまり、接着層501bは、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分以外に、その面の中央部分にも設けられている。
【0151】
具体的には、接着層501は、赤外カットフィルタ300のガラス基板301において赤外カットフィルタ層311で被覆されていない面と、赤外カットフィルタ層311においてセンサ素子100に対面する面との両者に接するように設けられている。
【0152】
たとえば、接着層501は、シロキサン系、エポキシ系、アクリル系接着剤を用いることが好適である。特に、シロキサン系接着剤は、製造プロセスにおける耐熱性、耐薬品性に優れると共に、固体撮像装置として使用したときの透明性、耐光性に優れるため、好適である。
【0153】
なお、本実施形態は、キャビティ部600(図3参照)が無い構造であり、実施形態1でキャビティ部600が設けられた部分には、空気よりも屈折率が高い接着層501(たとえば、n=1.4〜1.6)が設けられている。このため、マイクロレンズMLについては、この接着層501よりも屈折率が高い材料を用いて集光効率を向上させることが好適である。たとえば、SiN(n=2.1)などの高屈折率材料を用いて、マイクロレンズMLを形成することが好適である。
キャビティ部600がある場合、マイクロレンズMLの屈折率(たとえば、1.6前後)と空気の屈折率(1)との差によるレンズ効果によって、集光が生ずる。しかし、全体を接着剤で埋めると、接着剤の屈折率(1.5前後)とマイクロレンズML(たとえば、屈折率1.6前後)との間の屈折率差が小さいため、集光効率が落ちる。このため、マイクロレンズMLについては、屈折率が高い材料(たとえば、1.8〜2.2)を用いて形成し、低屈折率層110については、小さな屈折率(たとえば、1.33〜1.45)の材料を用いて形成している。これにより、屈折率差が0.6前後と大きくなり、集光効率を向上できる。
【0154】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態の赤外カットフィルタ層311は、実施形態1と同様に、ガラス基板301においてセンサ素子100に対面する側の面のうち、画素領域PAに対応する部分と、周辺領域SAの一部とを被覆するように形成されている。また、接着層501bは、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分において、ガラス基板301にて赤外カットフィルタ層311で被覆されていない部分と、その赤外カットフィルタ層311の周辺部分とに少なくとも接している。
【0155】
本実施形態では、実施形態1と異なり、接着層501bは、赤外カットフィルタ300とセンサ素子100とが対面する面の全面に設けられている。つまり、キャビティレス構造である。
【0156】
このため、本実施形態においては、さらに好適に、剥離発生を防止できる。特に、ヒートサイクルによる剥離の発生を好適に防止できる。
【0157】
<3.実施形態3>
(1)製造方法など
図16は、本発明にかかる実施形態3において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。図16は、図12と同様に、断面を示している。
【0158】
図16に示すように、本実施形態では、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法が、実施形態1と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0159】
本実施形態においては、図16に示すように、(a1)〜(a3)の各工程を経て、ガラスウエハ301Wに赤外カットフィルタ層311を形成する。本実施形態においても、リフトオフ法によって、赤外カットフィルタ層311を形成する。
【0160】
赤外カットフィルタ300の形成においては、まず、図16(a1)に示すように、フォトレジストパターンPRを設ける。
【0161】
ここでは、ガラスウエハ301Wの上面において、赤外カットフィルタ層311を形成する領域以外の領域の上方に位置するように、フォトレジストパターンPRを形成する。
【0162】
本実施形態においては、第1フォトレジストパターンPR1と、この第1フォトレジストパターンPR1よりも幅が広い第2フォトレジストパターンPR2とを順次積層させることによって、フォトレジストパターンPRを設ける。
【0163】
たとえば、第1フォトレジストパターンPR1が第2フォトレジストパターンPR2よりも、0.5〜5μm程度、狭い幅になるように形成することが好適である。また、第1フォトレジストパターンPR1については、赤外カットフィルタ層311として成膜する、30〜60層の誘電体多層膜よりも、厚い方が好適である。誘電体多層膜の各層は、1/4λの厚みが必要なので、平均すると、厚みが150nmである(600nm/4)。よって、誘電体多層膜は、厚みが、4.5〜9μmである。このため、第1フォトレジストパターンPR1と第2フォトレジストパターンPR2とを合わせた厚みが、この厚みよりも、2μm程度、厚くすることが好適である。
【0164】
つぎに、図16(a2)に示すように、赤外カットフィルタ層311を成膜する。
【0165】
ここでは、実施形態1の場合と同様に、フォトレジストパターンPRが形成されたガラスウエハ301Wの上面を被覆するように、赤外カットフィルタ層311を成膜する。これにより、ガラスウエハ301Wの上面と共に、フォトレジストパターンPRの上面に、赤外カットフィルタ層311が成膜される。
【0166】
つぎに、図16(a3)に示すように、フォトレジストパターンPRを除去する。
【0167】
ここでは、上記のように、赤外カットフィルタ層311が上面に成膜されたフォトレジストパターンPRを除去する。これにより、ガラスウエハ301Wの上面に、赤外カットフィルタ層311が所望のパターンで形成される。
【0168】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態において、固体撮像装置は、実施形態1と同様に構成されている。
【0169】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、製造効率の向上、コストダウン、信頼性の向上、小型化を容易に実現できる。
【0170】
<4.実施形態4>
(1)装置構成など
図17は、本発明にかかる実施形態4において、固体撮像装置の要部を示す図である。図17は、図3と同様に、断面を示している。
【0171】
図17に示すように、本実施形態においては、赤外カットフィルタ層311dの構成が、実施形態1と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0172】
図17に示すように、赤外カットフィルタ層311dは、実施形態1の場合と同様に、ガラス基板301において、センサ素子100と対面する面に設けられている。
【0173】
ここでは、赤外カットフィルタ層311dは、図17に示すように、実施形態1の場合(図3参照)と異なり、断面がテーパー形状になるように設けられている。
【0174】
具体的には、赤外カットフィルタ層311dは、ガラス基板301の側からセンサ素子100の側へ向かって幅が狭くなるように、側端面が傾斜している。
【0175】
そして、赤外カットフィルタ層311dにおいて傾斜する側端面を被覆するように接着層501が設けられている。
【0176】
図18は、本発明にかかる実施形態4において、赤外カットフィルタ300を形成する製造方法を示す図である。図18は、図12と同様に、断面を示している。
【0177】
本実施形態においては、図18に示すように、(a1)〜(a3)の各工程を経て、ガラスウエハ301Wに赤外カットフィルタ層311dを形成する。
【0178】
まず、図18(a1)に示すように、赤外カットフィルタ層311dを成膜する。
【0179】
ここでは、実施形態1の場合と同様な条件で、ガラスウエハ301Wの上面全体を被覆するように、赤外カットフィルタ層311dを成膜する。
【0180】
つぎに、図18(a2)に示すように、赤外カットフィルタ層311dについてパターン加工をする。
【0181】
ここでは、ガラスウエハ301Wの上面全体に成膜された赤外カットフィルタ層311dの上面に、フォトレジストパターンPRdを形成する。そして、そのフォトレジストパターンPRdをマスクとして用いて、赤外カットフィルタ層311dについて等方性のエッチング処理を実施する。これにより、断面がテーパー形状になるように赤外カットフィルタ層311dがパターン加工される。
【0182】
たとえば、テーパー形状の傾斜角度が、45°に近い角度になるように、赤外カットフィルタ層311dが形成される。その他、ドライエッチング処理でパターン加工をした場合には、側面が垂直になるように形成される。
【0183】
つぎに、図18(a3)に示すように、フォトレジストパターンPRdを除去する。
【0184】
ここでは、上記のように、赤外カットフィルタ層311の上面に形成されたフォトレジストパターンPRdを除去する。これにより、ガラスウエハ301Wの上面に、赤外カットフィルタ層311が所望のパターンで形成される。
【0185】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態の赤外カットフィルタ層311dは、実施形態1と同様に、ガラス基板301においてセンサ素子100に対面する側の面のうち、画素領域PAに対応する部分と、周辺領域SAの一部とを被覆するように形成されている。また、接着層501は、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分において、ガラス基板301にて赤外カットフィルタ層311dで被覆されていない部分と、その赤外カットフィルタ層311dの周辺部分とに接している。
【0186】
本実施形態では、実施形態1と異なり、赤外カットフィルタ層311dは、ガラス基板301の側からセンサ素子100の側へ向かって幅が狭くなるように、側端面が傾斜している。そして、接着層501は、この赤外カットフィルタ層311dにおいて傾斜する側端面を被覆するように設けられている。
【0187】
このため、本実施形態においては、さらに好適に、剥離発生を防止できる。
【0188】
<5.実施形態5>
(1)装置構成など
図19,図20,図21は、本発明にかかる実施形態5において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【0189】
ここで、図19は、図2と同様に、斜視図である。図20は、図3と同様に、断面図であり、両者は、固体撮像装置の構成を模式的に示している。図21は、図5と同様に、一部の断面を示している。
【0190】
本実施形態の固体撮像装置は、図19,図20,図21に示すように、実施形態1と異なり、ロジック回路素子200を含む。また、図21に示すように、センサ素子100eの形態が実施形態1と異なる。さらに、接着層501eの構成が、実施形態1と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0191】
図19,図20に示すように、センサ素子100eと、赤外カットフィルタ300とは、実施形態1の場合と同様に、互いに対面するように配置されている。
【0192】
ここでは、図20に示すように、実施形態1の場合と異なり、センサ素子100eと赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の中央部分には、空洞なキャビティ部600(図3参照)が設けられていない。また、実施形態2と同様に、マイクロレンズMLを被覆するように、低屈折率層110が設けられている。そして、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とにおいて対面する面の全体に接着層501eが設けられており、この接着層501eによって、センサ素子100eと赤外カットフィルタ300とが貼り合わされている。接着層501eは、実施形態1と異なり、赤外カットフィルタ300とセンサ素子100eとが対面する面の全面に設けられている。つまり、実施形態2と同様に、キャビティレス構造である。
【0193】
センサ素子100eは、図19,図20に示すように、実施形態1と同様に、画素領域PAと、その周囲に位置する周辺領域SAとが設けられている。画素領域PAは、実施形態1と同様に、矩形形状であり、複数の画素(図示無し)が水平方向xと垂直方向yとのそれぞれに、配置されている。しかし、周辺領域SAにおいては、実施形態1と異なり、周辺回路の一部または全部が設けられていない。本実施形態では、センサ素子100eの周辺領域SAに設けられなかった周辺回路の一部または全部は、ロジック回路素子200に設けられている。たとえば、センサ素子100eの周辺領域SAにおいては、上述の図4で示した垂直駆動回路13とタイミングジェネレータ18とが設けられている。そして、ロジック回路素子200においては、たとえば、上述の図4で示したカラム回路14と、水平駆動回路15と、外部出力回路17とが設けられている。
【0194】
図21に示すように、センサ素子100eにおいては、半導体基板101の表面(下面)に、配線層111が設けられている。そして、センサ素子100eにおいて、画素領域PAには、半導体基板101の内部にフォトダイオード21が設けられている。実施形態1と異なり、画素領域PAには、半導体基板101の裏面(上面)に、カラーフィルタCFとマイクロレンズMLとが順次設けられている。フォトダイオード21は、半導体基板101の裏面側から、マイクロレンズMLとカラーフィルタCFと配線層111とを介して入射する入射光Hを受光する。つまり、本実施形態の固体撮像装置は、「裏面照射型」のイメージセンサチップである。
【0195】
ロジック回路素子200は、図19,図20に示すように、センサ素子100eにおいて、赤外カットフィルタ300が配置された面に対して、反対の面の側に配置されている。ロジック回路素子200は、センサ素子100と電気的に接続されている。
【0196】
図21に示すように、ロジック回路素子200は、半導体基板201を含む。たとえば、半導体基板201は、単結晶シリコンで形成されており、センサ素子100eと対面するように配置されている。
【0197】
ロジック回路素子200において、半導体基板201は、センサ素子100eの側の表面に、半導体素子220が設けられている。半導体素子220は、たとえば、MOSトランジスタであり、図示を省略しているが、図4で示した周辺回路を構成するように、複数が設けられている。この半導体基板201の表面(上面)を被覆するように、配線層211が設けられている。配線層211は、多層配線層であって、複数の配線211hと絶縁層211zとを含む。配線層211は、配線211hと絶縁膜とが交互に積層されて形成されており、各配線211hが、絶縁層211zで覆われるように設けられている。また、配線層211中には、パッド電極PADが設けられている。
【0198】
ロジック回路素子200において、半導体基板101の裏面(下面)には、図21に示すように、絶縁層400と導電層401とが順次設けられている。そして、その導電層401の下面に、バンプ402が設けられている。
【0199】
ロジック回路素子200においては、図21に示すように、半導体基板201を貫通するビアホールVHが設けられている。つまり、スルーシリコンビアが設けられている。このビアホールVHは、配線層211に設けられたパッド電極PADの下面を露出するように形成されている。そして、そのビアホールVHの内部には、絶縁層400を介して導電層401が被覆されている。絶縁層400には、パッド電極PADの下面の一部を露出させるように開口が形成されている。そして、導電層401は、その絶縁層400の開口を埋め込むように形成されており、パッド電極PADと電気的に接続されている。
【0200】
センサ素子100eとロジック回路素子200は、図20に示すように、接合されている。ここでは、図21に示すように、センサ素子100eの配線層111とロジック回路素子200の配線層211とが接合されており、各配線層111,211の間が配線で電気的に接続されている。
【0201】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態の赤外カットフィルタ層311は、実施形態1と同様に、ガラス基板301においてセンサ素子100eに対面する側の面のうち、画素領域PAに対応する部分と、周辺領域SAの一部とを被覆するように形成されている。また、接着層501eは、センサ素子100と赤外カットフィルタ300とが対面する面の周辺部分において、ガラス基板301にて赤外カットフィルタ層311で被覆されていない部分と、その赤外カットフィルタ層311の周辺部分とに少なくとも接している。
【0202】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、製造効率の向上、コストダウン、信頼性の向上、小型化を容易に実現できる。
なお、本実施形態においては、センサ素子100の周辺領域SAに周辺回路の一部を設ける場合について説明したが、これに限定されない。センサ素子100の周辺領域SAに周辺回路を設けず、ロジック回路素子200に、図4で示した周辺回路の全てを設けるように、構成しても良い。その他、ロジック回路素子200に代えて、配線基板を設けても良い。すなわち、機能が異なる複数の半導体チップを積み重ねて、固体撮像装置を構成しても良い。
【0203】
<6.その他>
本発明の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例を採用することができる。
【0204】
上記の実施形態においては、半導体装置が固体撮像装置である場合、その固体撮像装置をカメラに適用する場合について説明したが、これに限定されない。スキャナーやコピー機などのように、固体撮像装置を備える他の電子機器に適用しても良い。
【0205】
また、上記の実施形態においては、2つまたは3つの半導体チップを積層する場合について説明したが、これに限定されない。4つ以上の半導体チップを積層する場合において、本発明を適用しても良い。
【0206】
その他、上記の各実施形態を、適宜、組み合わせても良い。
【0207】
なお、上記の実施形態において、固体撮像装置1は、本発明の固体撮像装置に相当する。また、上記の実施形態において、カメラ40は、本発明の電子機器に相当する。また、上記の実施形態において、センサ素子100,100eは、本発明の固体撮像素子に相当する。また、上記の実施形態において、半導体基板101,半導体ウエハ101Wは、本発明の半導体基板に相当する。また、上記の実施形態において、赤外カットフィルタ300は、本発明の光学フィルタに相当する。また、上記の実施形態において、ガラス基板301,ガラスウエハ301Wは、本発明の透明基板に相当する。また、上記の実施形態において、赤外カットフィルタ層311,311dは、本発明のフィルタ層に相当する。また、上記の実施形態において、接着層501,501b,501eは、本発明の接着層に相当する。また、上記の実施形態において、キャビティ部600は、本発明のキャビティ部に相当する。また、上記の実施形態において、画素Pは、本発明の画素に相当する。また、上記の実施形態において、画素領域PAは、本発明の画素領域に相当する。
【符号の説明】
【0208】
1・・・固体撮像装置、13・・・垂直駆動回路、14・・・カラム回路、15・・・水平駆動回路、17・・・外部出力回路、17a・・・AGC回路、17b・・・ADC回路、18・・・タイミングジェネレータ、19・・・シャッター駆動回路、21・・・フォトダイオード、22・・・転送トランジスタ、23・・・増幅トランジスタ、24・・・選択トランジスタ、25・・・リセットトランジスタ、26・・・転送線、27・・・垂直信号線、28・・・アドレス線、29・・・リセット線、40・・・カメラ、43・・・制御部、44・・・信号処理部、100,100e・・・センサ素子、101・・・半導体基板、101W・・・半導体ウエハ、200・・・ロジック回路素子、220・・・半導体素子、300・・・赤外カットフィルタ、301・・・ガラス基板、301W・・・ガラスウエハ、311,311d・・・赤外カットフィルタ層、400・・・絶縁層、401・・・導電層、402・・・バンプ、501,501b,501e・・・接着層、600・・・キャビティ部、CF・・・カラーフィルタ、JS・・・受光面、ML・・・マイクロレンズ、NC・・・ノッチパターン、P・・・画素、PA・・・画素領域、PB・・・画素分離部、PR,PRd・・・フォトレジストパターン、PR1・・・第1フォトレジストパターン、PR2・・・第2フォトレジストパターン、VH・・・ビアホール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板にフィルタ層が形成されている光学フィルタと、
前記光学フィルタに対面するように配置されており、前記フィルタ層を介して入射する光を受光する画素が半導体基板の画素領域に複数配列されている固体撮像素子と、
前記光学フィルタと前記固体撮像素子との間に設けられており、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせている接着層と
を有し、
前記フィルタ層は、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜であって、前記透明基板において前記固体撮像素子に対面する側の面のうち、前記画素領域に対応する部分と、前記画素領域の周辺に位置する領域の一部とを被覆するように形成されており、
前記接着層は、前記固体撮像素子と前記光学フィルタとが対面する面の周辺部分において、前記透明基板にて前記フィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに、少なくとも接するように設けられている、
固体撮像装置。
【請求項2】
前記光学フィルタと前記固体撮像素子とが対面する間にはキャビティ部が設けられており、
前記固体撮像素子は、前記キャビティ部を介して入射する光を前記画素が受光するように前記画素領域が設けられており、
前記接着層は、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とが対面する間において、前記キャビティ部の周辺を囲うように設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記接着層は、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とが対面する面の全面に設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記フィルタ層は、前記透明基板の側から前記固体撮像素子の側へ向かって幅が狭くなるように、側端面が傾斜しており、
前記接着層は、前記フィルタ層において傾斜する側端面を被覆するように設けられている、
請求項2または3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
透明基板にフィルタ層を形成することで光学フィルタを形成する、光学フィルタ形成工程と、
光を受光する画素を半導体基板の画素領域に複数設けることで固体撮像素子を形成する、固体撮像素子形成工程と、
前記フィルタ層を介して入射する光を前記画素が受光するように前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを対面させた間に接着層を設けることによって、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせる、貼り合わせ工程と
を有し、
前記光学フィルタ形成工程では、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜を、前記透明基板において前記固体撮像素子に対面する側の面のうち、前記画素領域に対応する部分と、前記画素領域の周辺に位置する領域の一部とを被覆するように設けることによって、前記フィルタ層を形成し、
前記貼り合わせ工程では、前記透明基板にて前記半導体基板に対面する面の周辺部分であって前記フィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに少なくとも接するように、前記接着層を設けることで、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせる、
固体撮像装置の製造方法。
【請求項6】
前記光学フィルタ形成工程では、前記透明基板に前記光学フィルタを複数形成し、
前記固体撮像素子形成工程では、前記半導体基板に前記固体撮像素子を複数形成し、
前記貼り合わせ工程では、前記複数の光学フィルタのそれぞれと前記複数の固体撮像素子とのそれぞれが対応するように、前記透明基板と前記半導体基板とを位置合わせして貼り合わせ、
前記透明基板と前記半導体基板とが貼り合わされた状態のものについてダイシング加工を実施することで、複数の固体撮像装置に分割する、
請求項5に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項7】
前記光学フィルタ形成工程では、リフトオフ法によって前記透明基板に前記フィルタ層を形成する、
請求項6に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項8】
前記光学フィルタ形成工程は、
前記透明基板の面において前記フィルタ層を形成する領域以外の領域の上方に位置するように、フォトレジストパターンを形成する、フォトレジストパターン形成ステップと、
前記透明基板の上面と前記フォトレジストパターンの上面とを被覆するように、前記フォトレジストパターンが形成された前記透明基板の面にフィルタ層を成膜する、フィルタ層成膜ステップと、
前記フィルタ層が上面に被覆されたフォトレジストパターンを除去する、フォトレジストパターン除去ステップと
を含み、
前記フォトレジストパターン形成ステップでは、前記透明基板に近い側が狭い幅であって、前記透明基板から離れるに伴って幅が広がった断面形状になるように、前記フォトレジストパターンを形成する、
請求項7に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項9】
前記光学フィルタ形成工程では、前記半導体基板に形成されたノッチ形状と同じノッチパターンを、前記フィルタ層の形成と同時に、前記透明基板に形成し、
前記貼り合わせ工程では、前記半導体基板のノッチ形状と、前記透明基板のノッチパターンとを用いて、前記半導体基板と前記透明基板とを位置合わせする、
請求項7に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項10】
透明基板にフィルタ層が形成されている光学フィルタと、
前記光学フィルタに対面するように配置されており、前記フィルタ層を介して入射する光を受光する画素が半導体基板の画素領域に複数配列されている固体撮像素子と、
前記光学フィルタと前記固体撮像素子との間に設けられており、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせている接着層と
を有し、
前記フィルタ層は、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜であって、前記透明基板において前記固体撮像素子に対面する側の面のうち、前記画素領域に対応する部分と、前記画素領域の周辺に位置する領域の一部とを被覆するように形成されており、
前記接着層は、前記固体撮像素子と前記光学フィルタとが対面する面の周辺部分において、前記透明基板にて前記フィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに、少なくとも接するように設けられている、
電子機器。
【請求項1】
透明基板にフィルタ層が形成されている光学フィルタと、
前記光学フィルタに対面するように配置されており、前記フィルタ層を介して入射する光を受光する画素が半導体基板の画素領域に複数配列されている固体撮像素子と、
前記光学フィルタと前記固体撮像素子との間に設けられており、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせている接着層と
を有し、
前記フィルタ層は、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜であって、前記透明基板において前記固体撮像素子に対面する側の面のうち、前記画素領域に対応する部分と、前記画素領域の周辺に位置する領域の一部とを被覆するように形成されており、
前記接着層は、前記固体撮像素子と前記光学フィルタとが対面する面の周辺部分において、前記透明基板にて前記フィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに、少なくとも接するように設けられている、
固体撮像装置。
【請求項2】
前記光学フィルタと前記固体撮像素子とが対面する間にはキャビティ部が設けられており、
前記固体撮像素子は、前記キャビティ部を介して入射する光を前記画素が受光するように前記画素領域が設けられており、
前記接着層は、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とが対面する間において、前記キャビティ部の周辺を囲うように設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記接着層は、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とが対面する面の全面に設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記フィルタ層は、前記透明基板の側から前記固体撮像素子の側へ向かって幅が狭くなるように、側端面が傾斜しており、
前記接着層は、前記フィルタ層において傾斜する側端面を被覆するように設けられている、
請求項2または3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
透明基板にフィルタ層を形成することで光学フィルタを形成する、光学フィルタ形成工程と、
光を受光する画素を半導体基板の画素領域に複数設けることで固体撮像素子を形成する、固体撮像素子形成工程と、
前記フィルタ層を介して入射する光を前記画素が受光するように前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを対面させた間に接着層を設けることによって、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせる、貼り合わせ工程と
を有し、
前記光学フィルタ形成工程では、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜を、前記透明基板において前記固体撮像素子に対面する側の面のうち、前記画素領域に対応する部分と、前記画素領域の周辺に位置する領域の一部とを被覆するように設けることによって、前記フィルタ層を形成し、
前記貼り合わせ工程では、前記透明基板にて前記半導体基板に対面する面の周辺部分であって前記フィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに少なくとも接するように、前記接着層を設けることで、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせる、
固体撮像装置の製造方法。
【請求項6】
前記光学フィルタ形成工程では、前記透明基板に前記光学フィルタを複数形成し、
前記固体撮像素子形成工程では、前記半導体基板に前記固体撮像素子を複数形成し、
前記貼り合わせ工程では、前記複数の光学フィルタのそれぞれと前記複数の固体撮像素子とのそれぞれが対応するように、前記透明基板と前記半導体基板とを位置合わせして貼り合わせ、
前記透明基板と前記半導体基板とが貼り合わされた状態のものについてダイシング加工を実施することで、複数の固体撮像装置に分割する、
請求項5に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項7】
前記光学フィルタ形成工程では、リフトオフ法によって前記透明基板に前記フィルタ層を形成する、
請求項6に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項8】
前記光学フィルタ形成工程は、
前記透明基板の面において前記フィルタ層を形成する領域以外の領域の上方に位置するように、フォトレジストパターンを形成する、フォトレジストパターン形成ステップと、
前記透明基板の上面と前記フォトレジストパターンの上面とを被覆するように、前記フォトレジストパターンが形成された前記透明基板の面にフィルタ層を成膜する、フィルタ層成膜ステップと、
前記フィルタ層が上面に被覆されたフォトレジストパターンを除去する、フォトレジストパターン除去ステップと
を含み、
前記フォトレジストパターン形成ステップでは、前記透明基板に近い側が狭い幅であって、前記透明基板から離れるに伴って幅が広がった断面形状になるように、前記フォトレジストパターンを形成する、
請求項7に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項9】
前記光学フィルタ形成工程では、前記半導体基板に形成されたノッチ形状と同じノッチパターンを、前記フィルタ層の形成と同時に、前記透明基板に形成し、
前記貼り合わせ工程では、前記半導体基板のノッチ形状と、前記透明基板のノッチパターンとを用いて、前記半導体基板と前記透明基板とを位置合わせする、
請求項7に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項10】
透明基板にフィルタ層が形成されている光学フィルタと、
前記光学フィルタに対面するように配置されており、前記フィルタ層を介して入射する光を受光する画素が半導体基板の画素領域に複数配列されている固体撮像素子と、
前記光学フィルタと前記固体撮像素子との間に設けられており、前記光学フィルタと前記固体撮像素子とを貼り合わせている接着層と
を有し、
前記フィルタ層は、高屈折率の誘電体層と低屈折率の誘電体層とが交互に複数積層された誘電体多層膜であって、前記透明基板において前記固体撮像素子に対面する側の面のうち、前記画素領域に対応する部分と、前記画素領域の周辺に位置する領域の一部とを被覆するように形成されており、
前記接着層は、前記固体撮像素子と前記光学フィルタとが対面する面の周辺部分において、前記透明基板にて前記フィルタ層で被覆されていない部分と、前記フィルタ層の周辺部分とに、少なくとも接するように設けられている、
電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−169489(P2012−169489A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29966(P2011−29966)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]