説明

固体撮像装置とその製造方法

【課題】分光感度のバラツキや色滲みのなく高感度・高解像性であるとともに、隣接する画素部への光の混入を防ぐことができる構成の固体撮像装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板101の内部には、複数のフォトダイオード102が内部に形成されている。配線層103は、絶縁膜105と配線104との積層構造を有し、半導体基板101の上に形成されている。複数のカラーフィルタ106は、配線層103の上方において、複数のフォトダイオード102の各々に対応して形成されている。カラーフィルタ106の上には、平坦化膜107とマイクロレンズ108が順に積層されている。固体撮像装置1では、カラーフィルタ106の各々において、平坦化膜107よりも屈折率が高いとともに、Z軸方向の上面が凹形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置とその製造方法に関し、特にカラーフィルタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置は、ディジタルスティルカメラやビデオカメラなどの撮像デバイスとして用いられている。固体撮像装置は、例えば、半導体基板の一方の表層部分に複数のフォトダイオード(受光部)が形成され、各フォトダイオードで光電変換して画像信号を出力する構成となっている。ここで、複数のフォトダイオードの各上方には、R,G,Bのカラーフィルタが形成されており、フォトダイオードには、カラーフィルタを透過することで選択された波長域の光成分が入射する。一例として、特許文献1に開示された固体撮像装置の構成について、図11を用い説明する。
【0003】
図11に示すように、複数のフォトダイオード(受光部)901が形成された半導体基板の上には、平坦化膜902を介してカラーフィルタ903が積層されている。隣接するカラーフィルタ903同士は、互いの間に介挿された有機ケイ素材料層904により分離されている。そして、カラーフィルタ903および有機ケイ素材料層904の上には、保護層905が積層されている。
【0004】
特許文献1では、図11に示すようにカラーフィルタ903同士の間に有機ケイ素材料層904を介挿する構成を採用することにより、分光感度のバラツキや色滲みのない、高感度・高解像の固体撮像装置が提供できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平03−282403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案された固体撮像装置をはじめとする従来技術に係る固体撮像装置では、マイクロレンズを通過後、斜め方向に進む光が隣接する画素部に混入し、混色という問題を生じる場合がある。具体的には、固体撮像装置において、各画素部に設けられたマイクロレンズは、入射光を画素中心に集光するように形成されており、このため画素部における周辺部分に入射した光はマイクロレンズにより屈折されることで斜め方向に進む。
【0007】
斜め方向に進む光は、その一部が対応する画素部のフォトダイオードへと到達しないことになる場合が生じ得る。この場合には、感度の低下をもたらす。さらに、セルサイズの微細化に伴い、許容される光の進行角度が狭くなり、受光可能な範囲が狭くなる。
【0008】
ここで、マイクロレンズの曲率を変化させ、集光する位置をフォトダイオードから近い領域に設定した場合、光路のズレが大きくなる。このため、上記のような問題がさらに顕著となる。
【0009】
逆に、集光位置をマイクロレンズに近い領域に設定した場合には、レンズの曲率を大きくする必要があり、セルサイズの微細化により画素ピッチが小さくなってくると、レンズ周辺部で入射光が全反射してしまい、フォトダイオードへ光を導くことができなくなってしまう。
【0010】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、分光感度のバラツキや色滲みのなく高感度・高解像性であるとともに、隣接する画素部への光の混入を防ぐことができる構成の固体撮像装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、次の構成を採用することとする。
本発明に係る固体撮像装置は、半導体基板と、配線層と、複数のカラーフィルタと、上部層とを備える。
【0012】
半導体基板は、各々が光電変換機能を有する複数の受光部が内部に形成されている。配線層は、絶縁膜と配線との積層構造を有し、半導体基板上に形成されている。複数のカラーフィルタは、配線層上において、複数の受光部の各々に対応して形成されている。上部層は、複数のカラーフィルタ上に形成されており、複数の受光部の各々に対応して形成されたマイクロレンズを少なくとも含む。
【0013】
本発明に係る固体撮像装置は、上記において、カラーフィルタが、上部層におけるカラーフィルタの上面に接する部分よりも屈折率が高いとともに、積層方向の上面が凹形状である、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、(i)複数の受光部を形成する工程と、(ii)配線層を形成する工程と、(iii)複数のカラーフィルタを形成する工程と、(iv)上部層を形成する工程と、を備える。
【0015】
(i)複数の受光部を形成する工程では、半導体基板の内部に、各々が光電変換機能を有する複数の受光部を形成する。
(ii)配線層を形成する工程では、半導体基板上に、絶縁膜と配線との積層構造を有する配線層を形成する。
【0016】
(iii)複数のカラーフィルタを形成する工程では、配線層上に、複数の受光部の各々に対応して、複数のカラーフィルタを形成する。
(iv)上部層を形成する工程では、複数のカラーフィルタ上に、複数の受光部の各々に対応したマイクロレンズを少なくとも含む、上部層を形成る。
【0017】
本発明に係る固体撮像装置の製造方法では、(iii)カラーフィルタを形成する工程において、カラーフィルタを、上部層におけるカラーフィルタの上面に接する部分よりも屈折率を高くするとともに、積層方向における上面を凹形状とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る固体撮像装置では、カラーフィルタの屈折率が、その上の上部層の上面に接する部分よりも高くなっており、且つ、カラーフィルタの上面が凹形状となっているので、マイクロレンズで屈折され斜めに進行する光が、上部層とカラーフィルタとの境界面(上面)で積層方向下向きに進行方向が変化される。このため、分光感度のバラツキや色滲みのなく高感度・高解像性であるとともに、隣接する画素部への光の混入を防ぐことができる。
【0019】
また、本発明に係る固体撮像装置では、(iii)カラーフィルタを形成する工程において、カラーフィルタを、上部層におけるカラーフィルタの上面に接する部分よりも屈折率を高くするとともに、積層方向における上面を凹形状とするので、上述と同様の効果を有する固体撮像装置を形成することができる。
【0020】
本発明に係る固体撮像装置およびその製造方法では、例えば、次のようなバリエーション構成を採用することができる。
本発明に係る固体撮像装置は、上記構成において、隣接するカラーフィルタ同士の間に隔壁が挿設されており、カラーフィルタが、隔壁よりも屈折率が高い、という構成を採用することができる。このような構成を採用すれば、カラーフィルタから隣接するカラーフィルタの方に向けて進行する光が、カラーフィルタと隔壁との界面で反射されるので、更に隣接する画素部への光の混入を防止することができる。
【0021】
本発明に係る固体撮像装置は、上記構成において、隔壁の側面が斜面となっており、積層方向における上側から下側に向けて断面幅が漸増する、という構成を採用することができる。このような構成を採用することにより、マイクロレンズを通り進行する光が半導体基板における受光部へと効果的に集光されて行く。このため、高感度・高解像性である。
【0022】
本発明に係る固体撮像装置は、上記構成において、カラーフィルタにおける上面の最も凹んだ箇所が、隔壁の頂よりも積層方向下側に位置している、という構成を採用することができる。このような構成を採用すれば、カラーフィルタの上面で進行方向が変更された光が、隣接する画素部へと漏れ出し難くなり、隣接画素部への光の混入を防ぐという観点から優れる。
【0023】
本発明に係る固体撮像装置は、上記構成において、カラーフィルタにおける積層方向の下面も凹形状である、という構成を採用することもできる。このような構成を採用する場合には、カラーフィルタの下面でも光の屈折を生じさせ、受光部への集光という観点から更に優れる。
【0024】
本発明に係る固体撮像装置は、上記構成において、配線層における複数の受光部の各々の上方に相当する箇所に凹部が形成されており、凹部内に配線層における絶縁膜よりも屈折率が高い第2の絶縁膜が埋め込まれている、という構成を採用することができる。このような構成を採用すれば、第2の絶縁膜が光導波路のコア部となり、集光された光が配線層の絶縁膜へと漏れ出すことが防止され、確実に受光部へと導かれる。
【0025】
本発明に係る固体撮像装置は、上記構成において、カラーフィルタが少なくとも400nmの厚みを以って形成されている、という構成を採用することができる。また、本発明に係る固体撮像装置は、上記構成において、カラーフィルタにおける上面の凹み量が50[nm]以上200[nm]以下である、という構成を採用することもできる。
【0026】
本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、上記カラーフィルタを形成する工程において、積層方向における下面も凹形状とする、という構成を採用することができる。これにより、カラーフィルタの下面も凹形状となり、集光という観点から優れる。
【0027】
なお、上記のような効果については、カラーフィルタが、その下層である配線層の当該カラーフィルタの下面に接する部分の屈折率よりも高い屈折率を有する場合に得られる。逆に、互いの屈折率が逆の場合には、カラーフィルタの下面を凸形状とすることにより、同様の効果を得ることができる。
【0028】
本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、配線層を形成する工程の後であって、カラーフィルタを形成する工程の前に、配線層の上に複数の受光部の各々の上方に相当する箇所が開口された格子状の隔壁を形成する工程を備え、カラーフィルタを形成する工程において、隔壁に開けられた各開口内にカラーフィルタを形成する、という構成を採用することができる。このような構成を採用すれば、隣接するカラーフィルタ同士の間が隔壁で区切られることになり、隣接する画素部への光の混入防止という観点で優れた固体撮像装置を製造することができる。
【0029】
本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、配線層を形成する工程において、複数の受光部の各々の上方に相当する箇所に凹部を設け、配線層を形成する工程の後であって、カラーフィルタを形成する工程の前に、凹部内に、配線層における絶縁膜よりも屈折率が高い第2の絶縁層を埋め込む工程を備える、という構成を採用することができる。このような構成を採用すれば、第2の絶縁膜が光導波路のコア部となり、集光された光が配線層の絶縁膜へと漏れ出すことが防止され、確実に受光部へと導かれる固体撮像装置を確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置1の全体構成を示す模式ブロック図である。
【図2】固体撮像装置の画素部100における構成を示す模式断面図である。
【図3】固体撮像装置1における光の入射経路を示す模式断面図である。
【図4】固体撮像装置1の製造に係る工程での模式断面図である。
【図5】固体撮像装置1の製造に係る工程での模式断面図である。
【図6】固体撮像装置1の製造に係る工程での模式断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る固体撮像装置2の画素部200における構成を示す模式断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る固体撮像装置3の画素部300における構成を示す模式断面図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る固体撮像装置4の画素部400における構成を示す模式断面図である。
【図10】本発明の実施の形態5に係る固体撮像装置5の画素部500における構成を示す模式断面図である。
【図11】従来技術に係る固体撮像装置の画素部における構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明を実施するための形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下の各実施の形態は、本発明の構成およびそこから奏される作用・効果を分かりやすく説明するために用いる例であって、本発明は、その本質的な特徴部分以外に何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0032】
[実施の形態1]
1.固体撮像装置1の全体構成
実施の形態1に係る固体撮像装置1の全体構成について、図1を用い説明する。
【0033】
図1に示すように、実施の形態1に係る固体撮像装置1では、複数の画素部100がX−Y面に沿ってマトリクス状(行列状)に配列され、これより画素領域10が構成されている。画素領域10に対しては、その周辺に配されたパルス発生回路21、水平シフトレジスタ22、および垂直シフトレジスタ23が接続されている。水平シフトレジスタ22および垂直シフトレジスタ23は、パルス発生回路21からのタイミングパルスの印加に呼応して、各画素部100に対して、順次、駆動パルスを出力する。
【0034】
2.固体撮像装置1の画素部100における構成
固体撮像装置1の画素部100における構成について、図2を用い説明する。
図2に示すように、固体撮像装置1では、半導体基板101の一方の主面側表層に複数のフォトダイオード102が形成されている。各フォトダイオード102は、画素部100にそれぞれ対応して設けられている。なお、受光部としてのフォトダイオード102は、電荷蓄積層と表面層とのpn接合により構成されているが、詳細構成については図示を省略する。また、固体撮像装置1では、半導体基板101内にフローティングディフュージョン(FD)やトランジスタ素子も形成されているが、その図示も省略している。
【0035】
半導体基板101上には、配線層103が形成されている。配線層103は、複数層の絶縁膜105と複数層の配線104との積層構造を有する。配線層103における配線104は、例えば、ダマシンプロセスを経て形成されたものであって、例えば、銅(Cu)配線である。配線104は、例えば、80[nm]〜130[nm]程度の微細配線である。なお、半導体基板101と配線層103との間には、ゲート絶縁膜が形成されているが、図2では、図示を省略している。
【0036】
配線層103における絶縁膜105は、例えば、酸化シリコン(SiO)から形成され、例えば、1層あたりの膜厚が300[nm]程度である。また、絶縁膜105の屈折率は、例えば、1.45程度である。
【0037】
配線層103上には、画素部100毎にカラーフィルタ106が形成されている。カラーフィルタ106は、R,G,B各色が交互に配置されている(所謂、ベイヤ配列)。
カラーフィルタ106のZ軸方向上側の面(上面)106ufは、各画素部100の中央が最も凹んだ凹形状をしている。カラーフィルタ106の最大厚みは、例えば、500[nm]〜700[nm]程度であって、上面106ufの凹み量は、例えば、50[nm]〜200[nm]である。また、カラーフィルタ106は、例えば、顔料分散型レジストを用い形成されており、屈折率が1.6〜1.7程度である。
【0038】
カラーフィルタ106上には、平坦化膜107を介してマイクロレンズ108が形成されている。平坦化膜107は、その下面107bfでカラーフィルタ106の上面106ufと接している。平坦化膜107は、例えば、アクリル系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂からなり、膜厚が200[nm]〜600[nm]程度である。また、平坦化膜107の屈折率は、例えば、1.5程度である。
【0039】
マイクロレンズ108も、アクリル系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂からなり、最大膜厚が400[nm]〜600[nm]程度である。マイクロレンズ108についても、その屈折率は1.5程度である。
【0040】
なお、図2に示すように、本実施の形態に係る固体撮像装置1では、配線層103の上にカラーフィルタ106を直接形成した構成としたが、配線素103とカラーフィルタ106との間に、光学的に透過率の高い透明平坦化膜を介挿する構成とすることもできる。
【0041】
3.固体撮像装置1における光の入射経路
固体撮像装置1における光の入射経路について、図3を用い説明する。
先ず、図3に示すように、本実施の形態に係る固体撮像装置1では、カラーフィルタ106の上面106ufが凹形状となっているが、その曲率中心は、マイクロレンズ108の上面108ufの曲率中心と同軸(中心軸Ax)上に設定されている。
【0042】
中心軸AxからX軸方向に距離xだけ離れた位置に入射した光Lは、マイクロレンズ108の上面108ufで、その曲率とマイクロレンズ108の屈折率により進行角度が変化する(光L)。ここで、マイクロレンズ108は、マイクロレンズ108から一定の距離に焦点を結ぶように設計されているため、光Lは、マイクロレンズ108の上面108ufの曲率中心の方向へと進む。
【0043】
光Lは、平坦化膜107内を進み、平坦化膜107の下面107bfとカラーフィルタ106の上面106ufの境界面へと到達する。このとき、カラーフィルタ106の上面が凹形状になっている。また、平坦化膜107の屈折率をλ107とし、カラーフィルタ106の屈折率をλ106とするとき、次の関係を満たす。
【0044】
[数1]λ107<λ106
以上の関係より、光Lは、カラーフィルタ106の上面106ufで進行方向がZ軸方向下向きとなる(光L)。即ち、光Lは、光Lよりも中心軸Axとなす角度が小さくなる方向へ進行する。ここで、カラーフィルタ106の上面106ufの曲率については、カラーフィルタ106と平坦化膜107の屈折率の差を考慮し、光LがZ軸方向下向きに進行するように設定することが望ましい。ただし、完全にZ軸と平行としなくても、最終的に集光された光がフォトダイオード102へと入射されるようにすればよい。
【0045】
以上を纏めると、マイクロレンズ108へ入射した光Lは、マイクロレンズ108の上面108ufで斜め方向に進行方向が変化し、マイクロレンズ108内および平坦化膜107内を通過する(光L)。その後、カラーフィルタ106の上面106ufと平坦化膜107の下面107bfとの界面に到達した光Lは、中心軸Axとのなす角度が小さくなる方向(Z軸方向下向き)へと方向が変更され(光L)、フォトダイオード102へと入射される。このため、本実施の形態に係る固体撮像装置1では、図11に示す従来技術に係る固体撮像装置よりも安定してフォトダイオード102に光を入射させることができ、感度特性の向上を図ることができる。即ち、製造時におけるバラツキなどにより、配線層103の膜厚バラツキや、その他の構成要素の寸法や膜質などのバラツキなどに対しても、フォトダイオード102へ確実に光を入射させることが可能となる。
【0046】
4.製造方法
本実施の形態に係る固体撮像装置1の製造方法について、図4から図6を用い説明する。なお、以下では、本実施の形態に係る固体撮像装置1で特徴部分となる画素領域10の部分についてのみ説明する。
【0047】
先ず、図4(a)に示すように、半導体基板101の一方の主面(上面)101uf側の表層内部に、複数のフォトダイオード102を形成する。半導体基板101は、例えば、シリコン基板であって、フォトダイオード102は、半導体基板101の上面101uf側からボロン(B)などの不純物をイオン注入することにより形成される。なお、フォトダイオード102は、n型の電荷注入層とp+型の表面層とのpn接合により構成され(詳細な図示を省略)、例えば、セルサイズを1.4[μm]とするとき、フォトダイオード102の幅が0.7[μm]である。
【0048】
複数のフォトダイオード102は、半導体基板101をZ軸方向上方より平面視する場合、例えば、マトリクス状に配置されている。
この後、ゲート絶縁膜を形成した後、電荷転送のためのゲート電極などを形成する(図示を省略)。これらフォトダイオード102やゲート電極などの形成は、一般的なフォトリソグラフィ工程、イオン注入工程、成膜工程および熱拡散工程を適宜用いることでなされる。
【0049】
図4(b)に示すように、半導体基板101上に対して、絶縁膜1051を積層し、当該絶縁膜1051の上面1051ufから内部(Z軸方向下側)に向けて配線104を形成する。配線104の形成は、一般的なダマシン配線工程の実行による場合、絶縁膜1051を積層した後、配線104を形成しようとする部分をリソグラフィ工程およびエッチング工程を実行して溝を形成し、当該溝内に銅(Cu)を埋め込んでCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程などを実行することによりなされる。
【0050】
図4(c)に示すように、上記のような工程を繰り返すことにより、複数の絶縁膜105と複数の配線104との積層構造を有する配線層103を形成することができる。なお、配線層103を形成した後、カラーフィルタ106を形成する前に、透明樹脂を用いて下地を平坦にする処理を施す場合もある。この処理を施す場合には、透明樹脂からなる膜は下地の平坦化という効果の他、配線層103とカラーフィルタ106との密着性を強固にするという効果も奏される。このような効果を考慮する場合、透明樹脂からなる膜としては、例えば、エポキシ樹脂やHMDS(ヘキサメチルジシラザン)などを蒸着することで形成することも可能である。
【0051】
次に、図5(a)に示すように、配線層103上にカラーフィルタ準備膜1060を積層する。カラーフィルタ準備膜1060は、配線層103上に顔料分散型レジストを塗布することで形成できる。
【0052】
その後、カラーフィルタ準備膜1060に対してフォトマスクを介して紫外線照射を行い、これによりレジストを選択的に露光する。この場合、レジストを残そうとする部分のマスクの紫外線透過率が、一つのフィルタ内で異なるマスク、所謂、グレースケールマスクを用いることによりカラーフィルタ106の上面106ufを凹形状とすることができる(図5(b)を参照)。具体的には、ネガ型のレジストを用いる場合、マスクにおけるカラーフィルタ106の中心部に相当する部分の紫外線透過率が周辺部よりも低く、周辺部に向けて紫外線透過率が徐々に高くなるようにすることで、図5(b)のようなカラーフィルタ106の上面106ufの形状を実現することができる。
【0053】
図6(a)に示すように、上記のネガ型レジスト塗布、およびグレースケールマスクを介しての露光を繰り返すことで、全ての画素部100に対応したカラーフィルタ106を形成することができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、全ての画素部100におけるカラーフィルタ106の上面106ufの曲率を同一としているが、カラーフィルタ106の色毎や、チップ内の領域毎(例えば、チップ中央部とチップ外縁部)などで曲率を変えることもできる。
【0055】
この後、図6(b)に示すように、カラーフィルタ106上に、アクリル系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂を用いて平坦化膜107を形成し、さらに、同じくアクリル系樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂を用いてマイクロレンズを形成する(図示を省略)。
【0056】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る固体撮像装置2の構成について、図7を用い説明する。なお、図7では、固体撮像装置2の構成の内、画素領域における一部の画素部200を抜き出して示しており、画素領域以外の構成については、上記実施の形態1と同様である。また、以下の説明においても、上記実施の形態1と同様の構成部分については、その説明を省略する。
【0057】
図7に示すように、本実施の形態に係る固体撮像装置2では、隣接する画素部200同士において、カラーフィルタ207間に隔壁209が介在した構成となっている。そして、カラーフィルタ206は、隣接する隔壁209同士の間に形成されており、上記実施の形態1と同様に、その上面206ufが凹形状となっている。
【0058】
カラーフィルタ206上の平坦化膜207は、その下面207bfがカラーフィルタ206の上面206ufに接している点は、上記同様であるが、隔壁209の頂面209ufにも隙間なく接している。
【0059】
ここで、隔壁209は、Z軸方向上方からこれを平面視する場合、格子状になっている。そして、隔壁209は、例えば、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原料としたCVD膜(TEOS膜)であって、屈折率がカラーフィルタ206よりも小さい1.4〜1.5程度である。
【0060】
本実施の形態に係る固体撮像装置2では、画素領域において、上記実施の形態1に係る固体撮像装置1の構成に加えて、カラーフィルタ206間に隔壁209が介在している。この構成を採用することにより、本実施の形態に係る固体撮像装置2では、マイクロレンズ108で集光された光の一部が、カラーフィルタ206の側面から隣接する画素部200のカラーフィルタ206へ漏れ出そうとしても、カラーフィルタ206と隔壁209との界面で反射される。これは、カラーフィルタ206の屈折率が隔壁209の屈折率よりも大きいことに起因する。
【0061】
より具体的には、各画素部200の中心から離れた位置に入射した光が、マイクロレンズ108およびカラーフィルタ206の上面206ufで回折される際に、その角度にバラツキを生じ、フォトダイオード102へと入射できない角度で進行した場合においても、カラーフィルタ206同士の間に挿設された隔壁209との界面で反射、あるいは多重反射されてフォトダイオード102へと入射されることになる。
【0062】
また、半導体基板101の表面に対して垂直な方向に入射した光だけでなく、斜め方向に入射した光が、画素部200の中心から離れた位置に入射した場合、マイクロレンズ108およびカラーフィルタ206の上面206ufで十分に回折されずに、隣接する画素部200のカラーフィルタ206へ侵入しようとした場合にあっても、隔壁209との界面での反射により、確実に所定の画素部200におけるフォトダイオード102へと入射させることができる。
【0063】
以上のように、本実施の形態に係る固体撮像装置2では、上記実施の形態1に係る固体撮像装置1が有する効果に加えて、隔壁209をカラーフィルタ206同士の間に創設することにより、隣接画素部200への光の漏れ出しを更に確実に防止することができる。
【0064】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る固体撮像装置3の構成について、図8を用い説明する。なお、図8では、固体撮像装置3の構成の内、画素領域における一部の画素部300を抜き出して示しており、画素領域以外の構成については、上記実施の形態1,2と同様である。また、以下の説明においても、上記実施の形態1,2と同様の構成部分については、その説明を省略する。
【0065】
図8に示すように、本実施の形態に係る固体撮像装置3では、各画素部300において、配線層303における絶縁膜305のフォトダイオード102の上方に相当する箇所に凹部が形成されている。そして、配線層303の絶縁膜305に開けられた凹部には、絶縁膜(コア部)310が埋め込まれている。コア部310は、例えば、窒化シリコン(SiN)からなり、屈折率は、配線層303における絶縁膜305よりも高い1.9〜2.0程度である。このように配線層303の絶縁膜305に開けた凹部にコア部310を埋め込み形成することにより、カラーフィルタ206と半導体基板101との間に、光導波路を形成した構成としている。
【0066】
本実施の形態に係る固体撮像装置3では、上記のような構成を採用することにより、入射光がカラーフィルタ206を通過してフォトダイオード102に対して光が進むときに、バラツキにより入射角がフォトダイオード102に対して垂直以外の角度となったような場合においても、コア部310とその周囲の絶縁膜305とで構成される光導波路により、フォトダイオード102に対して光が導かれる。よって、本実施の形態に係る固体撮像装置3では、上記実施の形態1,2に係る固体撮像装置1,2が奏する効果に加えて、さらに感度特性が高いという効果を得ることができる。
【0067】
なお、本実施の形態に係る固体撮像装置3においても、カラーフィルタ206の色毎、あるいはチップ内の領域毎にカラーフィルタ206の上面206ufの凹形状の曲率を変えることができる。これにより、色毎あるいは領域毎での特性を同一にすることができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る固体撮像装置3においても、マイクロレンズ108の上面の曲率中心と、マイクロレンズ206の上面206ufの曲率中心とが、同軸(画素部300の中心線Ax)上に設定されている構成を一例としているが、互いの曲率中心をZ軸方向に交差する方向にずらすことも可能である。例えば、チップの中央部と周辺部とでは、光の入射角がずれることがあるが、このような場合においても、上記曲率中心を互いにずらすことにより、入射角特性を変化させ、チップ中央部と周辺部との入射角特性を揃えることが可能となる。
【0069】
[実施の形態4]
実施の形態4に係る固体撮像装置4の構成について、図9を用い説明する。なお、図9では、固体撮像装置4の構成の内、画素領域における一部の画素部400を抜き出して示しており、画素領域以外の構成については、上記実施の形態1,2,3と同様である。また、以下の説明においても、上記実施の形態1,2,3と同様の構成部分については、その説明を省略する。
【0070】
図9に示すように、本実施の形態に係る固体撮像装置4では、各画素部400において、カラーフィルタ406の下面406bfについても、凹形状となっている。そして、カラーフィルタ406の下方には、上記実施の形態3に係る固体撮像装置3と同様に、コア部410が形成されているが、本実施の形態に係る固体撮像装置4では、コア部410の上面410ufが上凸形状となっており、その頂が配線層403における絶縁膜405の上面403ufよりもZ軸方向上方に位置している。
【0071】
また、図9に示すように、固体撮像装置4では、隔壁409は、その断面形状が台形となっており、Z軸方向上側から下側に向けて徐々に幅広となっている。
隔壁409、コア部410などの構成材料などについては、上記実施の形態3と同様である。
【0072】
以上のような構成を備える固体撮像装置4では、上記実施の形態1,2,3に係る固体撮像装置1,2,3が奏する効果に加えて、隔壁409の側面が斜面になっていることから、当該隔壁409の側面で反射される光が、より画素部400の中心側へと導かれる。
【0073】
また、コア部410の上面410ufが上凸形状となっており、コア部410の屈折率がカラーフィルタ406の屈折率よりも高いことから、当該界面においても集光レンズとして機能する。よって、本実施の形態に係る固体撮像装置4では、更なる感度特性の向上を図ることが可能である。
【0074】
なお、本実施の形態においても、カラーフィルタ406の色毎、あるいはチップ内の領域毎にカラーフィルタ406の上面406ufの凹形状の曲率、およびコア部410の上面410ufの曲率を変えることができる。これにより、色毎あるいは領域毎での特性を同一にすることができる。
【0075】
また、本実施の形態においても、マイクロレンズ108の上面の曲率中心と、マイクロレンズ406の上面406ufの曲率中心、およびコア部410の上面410ufの曲率中心とが、同軸(画素部400の中心線Ax)上に設定されている構成を一例としているが、互いの曲率中心をZ軸方向に交差する方向にずらすことも可能である。
【0076】
[実施の形態5]
実施の形態5に係る固体撮像装置5の構成について、図10を用い説明する。なお、図10では、固体撮像装置5の構成の内、画素領域における一の画素部500を抜き出して示しており、画素領域以外の構成については、上記実施の形態1,2,3,4と同様である。また、以下の説明においても、上記実施の形態1,2,3,4と同様の構成部分については、その説明を省略する。
【0077】
図10に示すように、本実施の形態に係る固体撮像装置5では、半導体基板501の主面上にゲート絶縁膜511が形成されている。ゲート絶縁膜511は、例えば、酸化シリコン(SiO)膜である。半導体基板501内には、ゲート絶縁膜511との界面部分から内方に向けてフォトダイオード502が形成されている。フォトダイオード502は、上述のように、n型の電荷蓄積層502aとp型の表面層502bとのpn接合により構成されている。
【0078】
半導体基板501の表層部には、フォトダイオード502の他に、素子分離領域512等が形成されている。素子分領域512は、半導体基板501の該当部分に、ボロンなどの不純物をイオン注入することにより形成されている。なお、固体撮像装置5においても、各画素部500にフローティングディフュージョン(FD)やトランジスタ素子も有しているが、その図示を省略する。
【0079】
ゲート絶縁膜511上におけるフォトダイオード502の上方に相当する部分には、反射防止膜513およびゲート電極514が形成されている。反射防止膜513は、例えば、窒化シリコン(SiN)または酸窒化シリコン(SiON)から形成されており、フォトダイオード502に入射する光が半導体基板101の表面で反射されることを抑制するために設けられている。ゲート電極514は、例えば、ポリシリコンまたはタングステンシリサイドから形成されている。
【0080】
次に、ゲート絶縁膜511の上には、上記同様に、配線層503が形成されている。本実施の形態に係る固体撮像装置5では、配線層503が、Z軸方向下側から順に、絶縁膜505a、エッチングストップ層516、絶縁膜505b、拡散防止膜517a、絶縁膜505c、拡散防止膜517b、絶縁膜505dを有し構成されている。また、絶縁膜505b,505cには、配線504a,504bも形成されている。
【0081】
絶縁膜505aは、例えば、酸化シリコン(SiO)から形成され、膜厚が400[nm]である。エッチングストップ層516は、例えば、炭化シリコン、酸化炭化シリコン、酸化窒化シリコン、または窒化シリコンから形成され、膜厚が50[nm]である。
【0082】
絶縁膜505b,505cは、例えば、酸化シリコン(SiO)から形成され、膜厚は300[nm]であり、屈折率が、例えば、1.45である。
拡散防止膜517a,517bは、例えば、炭化シリコン、酸化炭化シリコン、酸化窒化シリコン、または窒化シリコンから形成され、膜厚が50[nm]であり、屈折率は、例えば、1.9〜2.0である。拡散防止膜517a,517bは、配線504a,504bを形成する際に、その材料である銅原子が絶縁膜505c,505dに対し拡散することを防止する役割を果たす。
【0083】
配線504a,504bは、上記同様に、絶縁膜505b,505cに予め形成された溝に、銅(Cu)あるいはその合金が埋め込まれることで形成されている。このとき、例えば、ダマシンプロセスで形成されたタンタル/窒化タンタルからなるバリアメタル層が銅配線の外周に形成されるという構成を採用することもできる。バリアメタル層は、銅原子が絶縁膜505b,505cに対し拡散することを防止する。
【0084】
固体撮像装置5においても、配線層503におけるフォトダイオード502の上方に相当する箇所に凹部が開けられており、コア部510として3層の絶縁膜510a,510b,510cが埋め込み形成されている。
【0085】
配線層503における凹部は、アスペクト比が1、あるいはそれ以下である。凹部の深さについては、600[nm]程度、あるいはそれ以下とすることが望ましい。これは、仮に凹部の深さを600[nm]よりも大きくした場合には、通常のCVD法を用い絶縁膜505b,505c,505dを形成する場合に、凹部内にボイド(空孔)が生じることが考えられるためである。凹部内にボイドが発生した場合には、当該ボイドが光の散乱の原因となり、感度が大幅に低下する。このため、凹部の深さを600[nm]程度、あるいはそれ以下とすることが望ましい。
【0086】
コア部510を構成する3層の絶縁膜(第2絶縁膜510a、第3絶縁膜510b、第4絶縁膜510c)が、凹部の側面および底面に対して順に積層形成されている。第4絶縁膜510cについては、第3絶縁膜510bの側面および底面で構成される凹部を埋め込むように形成され、上面510cufが、上記実施の形態4と同様に、上凸形状となっている。
【0087】
第2絶縁膜510aは、例えば、窒化シリコン(SiN)からなり、凹部を臨む底面(エッチングストップ層516表面)からの膜厚が300[nm]程度である。窒化シリコン(SiN)からなる第2絶縁膜510aの屈折率は、絶縁膜510b,510c,510dよりも高い1.9〜2.0である。
【0088】
第3絶縁膜510bは、例えば、酸窒化シリコン(SiON)からなり、膜厚が10[nm]〜100[nm]程度である。酸窒化シリコン(SiON)からなる第3絶縁膜510bの屈折率は、第2絶縁膜510aよりも低い1.6〜1.8である。
【0089】
第4絶縁膜510cは、例えば、窒化シリコン(SiN)からなり、Z軸方向における第3絶縁膜510bの底面からの膜厚が300[nm]程度である。第4絶縁膜510cの屈折率は、第3絶縁膜510bよりも高い1.9〜2.0である。
【0090】
絶縁膜505b,505c,505dと絶縁膜510a,510b,510cとの屈折率について整理すると、次のようになる。
絶縁膜505b,505c,505dの屈折率をnとし、第2絶縁膜510aの屈折率をnとし、第3絶縁膜510bの屈折率をnとし、第4絶縁膜510cの屈折率をnとするとき、次の関係を満たす。
【0091】
[数1]n>n
[数2]n<n
[数3]n>n
続いて、図10に示すように、第4絶縁膜510c上には、カラーフィルタ506が形成されているが、上記実施の形態2,3,4と同様に、隣接する画素部500のカラーフィルタ506同士の間を区画するように隔壁509が挿設されている。隔壁509の断面形状については、上記実施の形態4と同様に台形をしている。
【0092】
本実施の形態に係る固体撮像装置5では、隔壁509が下部層509aと上部層509bとの積層構造を有し、下部層509aおよび上部層509bは、ともにTEOS膜であって、屈折率が1.4〜1.5程度である。また、隔壁509においては、下部層509aと上部層509bとの間に、異なる材料あるいは膜質が異なる界面が存在し、当該界面でZ軸方向上側から下向きに隔壁509内を進む光を反射し、下方への侵入を防止する役割を果たす。
【0093】
隔壁509は、高さが600[nm]〜800[nm]、上部の幅が150[nm]〜250[nm]、下部の幅が200[nm]〜400[nm]に設定されている。より具体的には、高さが700[nm]、上部の幅が200[nm]、下部の幅が300[nm]に設定されている。
【0094】
また、本実施の形態に係る固体撮像装置5では、隔壁509の下端における開口幅Wと、光導波路の上端における開口幅Wとは、隔壁509の内側斜面をZ軸方向下側に向けて延長したと仮定した場合、その仮想線が光導波路の上端よりも内側を通過するように設定されている。これにより、カラーフィルタ506を通過した光が、漏れなく光導波路へと導かれる。
【0095】
ここで、画素部500のセルサイズを1.4[μm]とするとき、幅Wは、1000[nm]〜1200[nm]、幅Wは、900[nm]〜1200[nm]となっている。より具体的には、幅Wおよび幅Wは、ともに1100[nm]である。
【0096】
また、図10に示すように、第4絶縁膜510cにおける隔壁509間の上凸形状部分の上面、および隔壁509の外面には、密着層515が形成されている。密着層515は、例えば、エポキシ樹脂などの有機材料から構成されており、膜厚は、例えば、1[nm]程度である。密着層515は、無機材料からなる(TEOS膜である)隔壁509と、有機材料からなるカラーフィルタ506との密着性を高くするために、介挿されている。なお、密着層515は、エポキシ樹脂の他に、例えば、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)からなることとしてもよい。
【0097】
隣接する隔壁509間に形成されるカラーフィルタ506は、上記実施の形態1,2,3,4と同様に、その上面506ufが凹形状となっており、その上に積層される平坦化膜507との界面に凹レンズが形成された構成となっている。これにより更なる集光率の向上を図ることができる。
【0098】
なお、図10に示すように、固体撮像装置5においては、カラーフィルタ506の一部が隔壁509の頂面上に乗り上げた状態となっている(B部、B部)。ただし、隣接する画素部500のカラーフィルタ506とは、互いに離間しており、接触していない。
【0099】
以上の構成を備える固体撮像装置4では、上記実施の形態1,2,3,4の各固体撮像装置1,2,3,4が奏する効果を全て奏することができるとともに、幅W,Wの関係により、カラーフィルタ506から光導波路へ入射光を確実に導くことができる。
【0100】
[その他の事項]
上記において、カラーフィルタ106,206,406,506の上面106uf,206uf,406uf,506ufの凹形状の深さは、カラーフィルタ106,206,406,506の膜厚や、その上の平坦化膜107,207,507の膜厚、およびマイクロレンズ108との関係で規定される。凹形状であるカラーフィルタ106,206,406,506の上面106uf,206uf,406uf,506ufは、カラーフィルタ106,206,406,506の最も薄くなる部分であるため、この部分の膜厚がカラーフィルタとしての機能を確保することができる膜厚以上であることが必要となる。当該部分の膜厚は、期待されるカラーフィルタとしての機能にもよるが、例えば、400[nm]程度以上とすることが望ましい。
【0101】
また、入射した光がカラーフィルタ106,206,406,506の上面106uf,206uf,406uf,506ufで回折する角度は、マイクロレンズ108や平坦化膜107,207,507との屈折率の関係で規定される。また、カラーフィルタ106,206,406,506の屈折率は、色毎に異なっている。このため、カラーフィルタ106,206,406,506の上面106uf,206uf,406uf,506ufの凹形状を色毎に最適設計することにより、入射角特性を更に向上させることが可能となる。なお、上記実施の形態の説明で参酌した図では、詳細な図示をしていないが、カラーフィルタ106,206,406,506の上面106uf,206uf,406uf,506ufにおける凹形状の深さは、色毎に異なっている。
【0102】
また、上記実施の形態1,2,3,4,5では、マイクロレンズ108の上面108ufの曲率中心とカラーフィルタ106,206,406,506の上面106uf,206uf,406uf,506ufの曲率中心とが、同軸上に配された構成を採用したが、互いの曲率中心をZ軸方向に交差する方向にずらすことも可能である。例えば、チップの中央部と周辺部とでは、光の入射角がずれることがあるが、このような場合においても、上記曲率中心を互いにずらすことにより、入射角特性を変化させ、チップ中央部と周辺部との入射角特性を揃えることが可能となる。
【0103】
さらに、図1においては、画素領域10において複数の画素部100がマトリクス状に配列された形態を示したが、複数の画素部の配列形態は、マトリクス状以外にも、ハニカム状などとすることもできる。
【0104】
また、上記実施の形態5では、配線層503に開けられた凹部に3層の絶縁膜510a,510b,510cを積層形成することとしたが、4層以上の絶縁層を積層形成することとしてもよい。さらに、上記実施の形態5において、凹部を臨む配線層503の底面(図10におけるエッチングストップ層516の上面)にも第2絶縁膜510a、第3絶縁膜510b、第4絶縁膜510cを順に積層することとしたが、当該底面へのこれら第2絶縁膜、第3絶縁膜、第4絶縁膜の積層は必須のものではない。
【0105】
また、マイクロレンズとカラーフィルタとの間に、層内レンズを設けることもできる。この場合には、集光率を更に高くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、ディジタルスティルカメラやビデオカメラなどに搭載される撮像デバイスとしての固体撮像装置を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0107】
1,2,3,4,5.固体撮像装置
10.画素領域
21.パルス発生回路
22.水平シフトレジスタ
23.垂直シフトレジスタ
100,200,300,400,500.画素部
101,501.半導体基板
102,502.フォトダイオード
103,303,403,503.配線層
104,504a,504b.配線
105,305,405,505a,505b,505c,505d,1051.絶縁膜
106,206,406,506.カラーフィルタ
107,207,507.平坦化膜
108,508.マイクロレンズ
209,409,509.隔壁
310,410,510.コア部
502a.電荷蓄積層
502b.表面層
510a.第2絶縁膜
510b.第3絶縁膜
510c.第4絶縁膜
511.ゲート絶縁膜
512.素子分離領域
513.反射防止膜
514.ゲート電極
515.密着層
516.エッチングストップ層
517a,517b.拡散防止膜
1060.カラーフィルタ準備膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が光電変換機能を有する複数の受光部が内部に形成されてなる半導体基板と、
絶縁膜と配線との積層構造を有し、前記半導体基板上に形成された配線層と、
前記配線層上において、前記複数の受光部の各々に対応して形成された複数のカラーフィルタと、
前記複数のカラーフィルタ上に形成され、前記複数の受光部の各々に対応して形成されたマイクロレンズを少なくとも含む上部層と、
を備え、
前記カラーフィルタは、前記上部層における前記カラーフィルタの上面に接する部分よりも屈折率が高いとともに、積層方向における上面が凹形状である
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
隣接する前記カラーフィルタ同士の間には、隔壁が挿設されており、
前記カラーフィルタは、前記隔壁よりも屈折率が高い
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記隔壁は、積層方向における上側から下側に向けて断面幅が漸増するように、側面が斜面となっている
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記カラーフィルタは、前記上面の最も凹んだ箇所が、前記隔壁の頂よりも、積層方向下側に位置している
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記カラーフィルタは、積層方向の下面も凹形状である
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記配線層は、前記複数の受光部の各々の上方に相当する箇所に凹部が形成されており、
前記凹部内には、前記配線層における絶縁膜よりも屈折率が高い第2の絶縁膜が埋め込まれている
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記カラーフィルタは、少なくとも400nmの厚みを以って形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記カラーフィルタにおける前記上面の凹み量は、50nm以上200nm以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の固体撮像装置。
【請求項9】
半導体基板の内部に、各々が光電変換機能を有する複数の受光部を形成する工程と、
前記半導体基板上に、絶縁膜と配線との積層構造を有する配線層を形成する工程と、
前記配線層上に、前記複数の受光部の各々に対応して、複数のカラーフィルタを形成する工程と、
前記複数のカラーフィルタ上に、前記複数の受光部の各々に対応したマイクロレンズを少なくとも含む上部層を形成する工程と、
を備え、
前記カラーフィルタを形成する工程では、前記複数のカラーフィルタを、前記上部層における前記カラーフィルタの上面に接する部分よりも屈折率を高くするとともに、積層方向における上面を凹形状とする
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項10】
前記カラーフィルタを形成する工程では、積層方向における下面も凹形状とする
ことを特徴とする請求項9に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項11】
前記配線層を形成する工程の後であって、前記カラーフィルタを形成する工程の前に、前記配線層上に、前記複数の受光部の各々の上方に相当する箇所が開口された格子状の隔壁を形成する工程を備え、
前記カラーフィルタを形成する工程では、前記隔壁に開けられた各開口内に前記カラーフィルタを形成する
ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項12】
前記配線層を形成する工程では、前記複数の受光部の各々の上方に相当する箇所に凹部を設け、
前記配線層を形成する工程の後であって、前記カラーフィルタを形成する工程の前に、前記凹部内に、前記配線層における絶縁膜よりも屈折率が高い第2の絶縁膜を埋め込む工程を備える
ことを特徴とする請求項9から請求項11の何れかに記載の固体撮像装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−227477(P2012−227477A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96169(P2011−96169)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【特許番号】特許第4880794号(P4880794)
【特許公報発行日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】