固体撮像装置
【課題】従来よりも光の透過率が高いカラーフィルタを備える固体撮像装置を提供する。
【解決手段】光電変換部103R,103G,103Bを有する半導体基板101と、半導体基板101上に配された誘電体膜104と、誘電体膜104上に配された半導体膜105とを備え、誘電体膜104のうちの各光電変換部に対応する各領域104R,104G,104Bは、それぞれ対応する光電変換部に入射させるべき光の波長域(中心波長610nm,530nm,450nm)に応じた膜厚200nm,170nm,140nmを有する。
【解決手段】光電変換部103R,103G,103Bを有する半導体基板101と、半導体基板101上に配された誘電体膜104と、誘電体膜104上に配された半導体膜105とを備え、誘電体膜104のうちの各光電変換部に対応する各領域104R,104G,104Bは、それぞれ対応する光電変換部に入射させるべき光の波長域(中心波長610nm,530nm,450nm)に応じた膜厚200nm,170nm,140nmを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等に用いられる固体撮像装置に関し、特に、カラーフィルタの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置では、有機材料を用いたカラーフィルタが広く利用されているが(例えば、特許文献1及び2参照)、最近では耐光性や耐熱性の観点から、無機材料を用いたカラーフィルタが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3は、アモルファスシリコンからなる単層膜をカラーフィルタとして用いる技術を開示している。特許文献3ではアモルファスシリコンの膜厚を光の波長の半波長程度に設定することにより、光の干渉効果を利用して膜厚に応じた波長域の光を透過させることとしている。このようにカラーフィルタにアモルファスシリコンを利用することで、耐光性及び耐熱性を向上させることができる。また、カラーフィルタに単層膜を利用しているので、多層膜を利用する場合に比べて製造工程数を削減することができる。
【特許文献1】特開平5-6986号公報
【特許文献2】特開平7-311310号公報
【特許文献3】WO2006/028128
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、画素の微細化に伴い、1画素当たりの入射光量が益々低下してきている。そのため光の透過率が高いカラーフィルタを用いることにより入射光量の損失を極力低減することが望まれる。しかしながら、特許文献3に係るカラーフィルタは、アモルファスシリコンの光の吸収係数が比較的大きいため、光の透過率が比較的低いという課題を有する。
そこで、本発明は従来よりも光の透過率が高いカラーフィルタを備える固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る固体撮像装置は、複数の光電変換部を有する半導体基板と、前記半導体基板上に配された誘電体膜と、前記誘電体膜上に配された半導体膜とを備え、前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ対応する光電変換部に入射させるべき光の波長域に応じた膜厚を有する。
【発明の効果】
【0005】
上記構成によれば、カラーフィルタ機能は、半導体基板と半導体膜とに挟まれた誘電体膜で光の干渉が生じることにより実現される。一般に誘電体の光の吸収係数は、アモルファスシリコンの光の吸収係数に比べて極めて小さい。したがって光の干渉を誘電体膜で生じさせることにより、従来よりも光の吸収を抑制することができ、その結果、光の透過率を高めることができる。
【0006】
また、前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ対応する光電変換部に入射させるべき光の波長域の中心波長をλ、前記誘電体膜を構成する材料の屈折率をnとしたとき、λ/(2n)で算出される膜厚を有することとしてもよい。
上記構成によれば、所定の膜厚を容易に設計することができる。
また、前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ複数種類の膜厚のうちのいずれかの膜厚を有することとしてもよい。
【0007】
上記構成によれば、各光電変換部には複数種類の光の波長域のうちのいずれかの波長域の光が入射される。したがって各光電変換部で生成された信号に基づいてカラー画像を得ることができる。
また、前記誘電体膜は、前記半導体基板に隣接する隣接層と当該隣接層上に配された非隣接層とからなり、前記隣接層における各光電変換部に対応する各領域は、いずれも同一の層厚を有し、前記非隣接層における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ異なる層厚を有し、前記隣接層を構成する材料のエッチングレートは、前記半導体基板を構成する材料のエッチングレート及び前記非隣接層を構成する材料のエッチングレートのいずれよりも小さいこととしてもよい。
【0008】
上記構成によれば、隣接層をエッチングストッパとして機能させることができる。したがって、エッチングを利用して非隣接層の層厚を領域毎に異ならせる場合に、層厚の制御性を高めることができる。
さらに、隣接層が保護膜となり、非隣接層の加工時にエッチングによる半導体基板へのダメージを少なくすることができる。
【0009】
また、前記隣接層は窒化シリコン又は酸化窒化シリコンからなり、前記非隣接層は二酸化シリコンからなることとしてもよい。
上記構成によれば、半導体プロセスを利用して誘電体膜を形成することができる。したがって、誘電体膜の形成を容易に行うことができる。
また、前記半導体膜における各光電変換部に対応する各領域は、いずれも同じ膜厚を有することとしてもよい。
【0010】
上記構成によれば、半導体膜を構成する材料を誘電体膜の全域に堆積させることにより半導体膜を成膜することができる。したがって、半導体膜の成膜を容易に行うことができる。
また、前記半導体膜は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、単結晶シリコン又はシリコンを主成分とする材料からなることとしてもよい。
【0011】
これらの材料の屈折率は、それぞれ5程度であり、一般の誘電体材料に比べて極めて大きい。したがって半導体膜と誘電体膜との境界面での反射率が高く、光の干渉効果を高めることができる。
また、前記半導体膜は、100nm以下の膜厚を有することとしてもよい。
上記構成によれば、半導体膜での光の吸収を低減することができる。したがって、固体撮像装置の感度を向上させることができる。
【0012】
また、前記固体撮像装置は、さらに、前記半導体膜上に配された反射防止膜を備えることとしてもよい。
上記構成によれば、入射光の反射を防止することができる。したがって、固体撮像装置の感度を向上させることができる。
また、前記反防止膜は窒化シリコン又は酸化窒化シリコンからなることとしてもよい。
【0013】
上記構成によれば、半導体プロセスを利用して誘電体膜を形成することができる。したがって、誘電体膜の形成を容易に行うことができる。
また、前記窒化シリコン又は酸化窒化シリコンは減圧CVDを用いて形成されていることとしてもよい。
上記構成によれば、窒化シリコン又は酸化窒化シリコンの密度を高くすることができる。したがって、これらを保護膜として機能させることができる。
【0014】
本発明に係る固体撮像装置は、複数の光電変換部を有する半導体基板と、前記半導体基板上に配された誘電体膜と、前記誘電体膜上に配された半導体膜とを備え、前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ複数種類の膜厚のうちのいずれかの膜厚を有する。
上記構成によれば、カラーフィルタ機能は、半導体基板と半導体膜とに挟まれた誘電体膜で光の干渉が生じることにより実現される。一般に誘電体の光の吸収係数は、アモルファスシリコンの光の吸収係数に比べて極めて小さい。したがって光の干渉を誘電体膜で生じさせることにより、従来よりも光の吸収を抑制することができ、その結果、光の透過率を高めることができる。また、上記構成によれば、各光電変換部には複数種類の光の波長域のうちのいずれかの波長域の光が入射される。したがって各光電変換部で生成された信号に基づいてカラー画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る固体撮像装置の概略構成を示す図である。
固体撮像装置1は、画素2、垂直シフトレジスタ3、水平シフトレジスタ4及び駆動回路5を備える。画素2は、二次元配列されており、このうちの垂直シフトレジスタ3及び水平シフトレジスタ4により選択された画素のみが画素信号を出力する。垂直シフトレジスタ3及び水平シフトレジスタ4は駆動回路5により駆動される。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置の断面模式図である。
固体撮像装置1は、主な構成要素として、半導体基板101、誘電体膜104、半導体膜105を備える。半導体膜105上には、層間絶縁膜106、遮光膜107、マイクロレンズ108が配されている。
半導体基板101は、ウェル102を有し、ウェル102内に光電変換部103R,103G,103Bを有する。
【0017】
誘電体膜104は、二酸化シリコンからなり、光電変換部103R,103G,103Bのそれぞれに対応する領域104R,104G,104B毎に異なる膜厚を有する。具体的には、領域104R,104G,104Bの膜厚は、それぞれ200nm、170nm、140nmである。
半導体膜105は、アモルファスシリコンからなり、光電変換部103R,103G,103Bのそれぞれに対応する領域のいずれにおいても同じ膜厚を有する。具体的には、半導体膜105の膜厚は30nmである。
【0018】
このような構成によれば、カラーフィルタ機能は、半導体基板101と半導体膜105とに挟まれた誘電体膜104で光の干渉が生じることにより実現される。光の干渉を利用しているので、光の透過波長域の中心波長λ、誘電体膜104を構成する材料の屈折率n、誘電体膜104の膜厚dは、nd=λ/2の関係式を満たす。したがって、中心波長λを610nm、530nm、450nmとしたい場合には、二酸化シリコンの屈折率が各波長で1.47、1.50、1.55であることから、領域104R,104G,104Bの膜厚が、それぞれ200nm、170nm、140nmとなる。
【0019】
図3は、本発明の実施の形態1に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
ここに現された透過率は、フレネル係数を用いたマトリクス法により導き出されたものである。透過率曲線10R,10G,10Bは、それぞれ誘電体膜104のうちの光電変換部103Rに対応する領域104R、光電変換部103Gに対応する領域104G、光電変換部103Bに対応する領域104Bの透過率を表している。これによれば、誘電体膜104のうちの領域104R,104G,104Bは、それぞれ約610nm(曲線10R参照)、約530nm(曲線10G参照)、約450nm(曲線10B参照)を中心波長とする波長域の光を透過させる。なお誘電体膜104のうちの領域104R,104G,104Bの透過率のピークは、それぞれ約80%、約70%、約60%と、比較的高い値を示す。これは、二酸化シリコンの光の吸収係数が極めて小さく、光の吸収が抑制されるからである。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態1に係るカラーフィルタの製造過程を示す図である。
まず、半導体基板101(図4では、ウェル102及び光電変換部103R,103G,103Bが示されている)上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて二酸化シリコンを堆積することにより層104aを積層する(図4(a))。層104aの厚みは30nmとする。
【0021】
次に、層104aのうち残留させる領域をマスク110で覆い(図4(b))、ドライエッチングを施して、不要領域を除去する(図4(c))。
次に、マスク110を剥離してから(図4(d))、半導体基板101上に、CVD法を用いて二酸化シリコンを堆積することにより層104bを積層する(図4(e))。層104bの厚みは30nmとする。
【0022】
次に、層104bのうち残留させる領域をマスク111で覆い(図4(f))、ドライエッチングを施して、不要領域を除去する(図4(g))。
次に、マスク111を剥離してから(図4(h))、半導体基板101上に、CVD法を用いて二酸化シリコンを堆積することにより層104cを積層する(図4(i))。層104cの厚みは140nmとする。
【0023】
次に、半導体基板101上にアモルファスシリコンを堆積することにより半導体膜105を成膜する(図4(j))。半導体膜105の膜厚は30nmとする。
このように形成された層104a,104b,104cが誘電体膜104となる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【0024】
実施の形態2では、半導体層205上に反射防止膜209が配されている点が実施の形態1と異なる。これ以外の点は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
反射防止膜209は、窒化シリコンからなり、光電変換部103R,103G,103Bのそれぞれに対応する領域のいずれにおいても同じ膜厚を有する。具体的には、反射防止膜209の膜厚は50nmである。
【0025】
層間絶縁膜206は、二酸化シリコンからなる。
一般に媒質Aから媒質Bに光が入射するとき、媒質Aと媒質Bとの境界面における反射率Rは、媒質Aの屈折率をna、媒質Bの屈折率をnbとすれば、R=((na-nb)/(na+nb))2の関係式を満たす。
この関係式を用いて層間絶縁膜206、反射防止膜209、半導体膜205を通過する光の反射率を評価すれば、反射防止膜209が存在しない場合に比べて光の反射を低減できることがわかる。ここで、二酸化シリコン、窒化シリコン及びアモルファスシリコンの屈折率をそれぞれ1.55、2.00、4.77とする。このように、反射防止膜209を設けることにより、光の透過率を高めることができる。
【0026】
図6は、本発明の実施の形態2に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
透過率曲線20R,20G,20Bは、それぞれ誘電体膜204のうちの光電変換部203Rに対応する領域204R、光電変換部203Gに対応する領域204G、光電変換部203Bに対応する領域204Bの透過率を表している。これによれば、誘電体膜204のうちの領域204R,204G,204Bの透過率のピークは、それぞれ約90%、約85%、約65%と、実施の形態1よりも高い値を示す。これは、反射防止膜209を設けたことによる効果である。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【0027】
実施の形態3では、誘電体膜304が2層からなる点が実施の形態1と異なる。これ以外の点は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
誘電体膜304は、層304u,304vからなる。
層304uは、窒化シリコンからなり、光電変換部303R,303G,303Bのそれぞれに対応する領域304uR,304uG,304uBのいずれにおいても同じ膜厚を有する。具体的には、層304uの各領域304uR,304uG,304uBの膜厚は50nmである。
【0028】
層304vは、二酸化シリコンからなり、光電変換部303R,303G,303Bのそれぞれに対応する領域304vR,304vG,304vB毎に異なる膜厚を有する。具体的には、領域304vR,304vG,304vBの膜厚は、それぞれ140nm、100nm、70nmである。
誘電体膜304の各領域304R,304G,304Bの膜厚は、いずれも2層を合わせてnd=λ/2の関係式を満たすように設計されている。
【0029】
このような構成によれば、エッチングガスを適切に選択することにより、層304uをエッチングストッパとして機能させることができる。したがって、エッチングを利用して層304vの層厚を領域毎に異ならせる場合に、層厚の制御性を高めることができる。ここで、エッチングガスとしては、例えば、C5F8+O2又はC4F6+O2を利用することができる。エッチングガスとしてこれらを採用すれば、窒化シリコンと二酸化シリコンとの選択比が1:20程度であるので、窒化シリコンがエッチングストッパとして十分に機能する。さらに、窒化シリコンが保護膜となり、層304vの加工時にエッチングによる半導体基板301へのダメージを少なくすることができる。
【0030】
なお、窒化シリコンは、特にLPCVD(Low Pressure CVD)法を用いて堆積するのがPECVE(Plasma Enhanced CVD)法を用いて堆積するよりも望ましい。LPCVD法を用いれば、層304uの密度を高めることができ、層304uを保護膜として機能させる観点から好ましいためである。また、ここでは窒化シリコンを例としてあげているが、酸化窒化シリコンでも構わない。
【0031】
図8は、本発明の実施の形態3に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
透過率曲線30R,30G,30Bは、それぞれ誘電体膜304のうちの光電変換部303Rに対応する領域304R、光電変換部303Gに対応する領域304G、光電変換部303Bに対応する領域304Bの透過率を表している。これによれば、誘電体膜304のうちの領域304R,304G,304Bの透過率のピークは、それぞれ約75%、約60%、約55%を示している。
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【0032】
実施の形態4では、層404vのうちの光電変換部403Bに対応する領域404vBの層厚が0nmである点が実施の形態3と異なる。これ以外の点は実施の形態3と同様であるので、説明を省略する。
誘電体膜404は、層404u,404vからなる。
層404uは、窒化シリコンからなり、光電変換部403R,403G,403Bのそれぞれに対応する領域404uR,404uG,404uBのいずれにおいても同じ膜厚を有する。具体的には、層404uの各領域404uR,404uG,404uBの膜厚は100nmである。
【0033】
層404vは、二酸化シリコンからなり、光電変換部403R,403G,403Bのそれぞれに対応する領域404vR,404vG,404vB毎に異なる膜厚を有する。具体的には、領域404vR,404vG,404vBの膜厚は、それぞれ40nm、20nm、0nmである。
誘電体膜404の各領域404R,404G,404Bの膜厚は、いずれも2層を合わせてnd=λ/2の関係式を満たすように設計されている。
【0034】
図10は、本発明の実施の形態4に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
透過率曲線40R,40G,40Bは、それぞれ誘電体膜404のうちの光電変換部403Rに対応する領域404R、光電変換部403Gに対応する領域404G、光電変換部403Bに対応する領域404Bの透過率を表している。これによれば、誘電体膜404のうちの領域404R,404G,404Bの透過率のピークは、それぞれ約75%、約70%、約65%を示している。
【0035】
図11は、本発明の実施の形態4に係るカラーフィルタの製造過程を示す図である。
まず、半導体基板401(図11では、ウェル402及び光電変換部403R,403G,403Bが示されている)上に、LPCVD法を用いて窒化シリコンを堆積することにより層404uを積層し、さらに、層404u上にCVD法を用いて二酸化シリコンを堆積することにより層404aを積層する(図11(a))。層404aの厚みは20nmとする。
【0036】
次に、層404aのうち残留させる領域をマスク410で覆い(図11(b))、ドライエッチングを施して、不要領域を除去する(図11(c))。
次に、マスク410を剥離してから(図11(d))、半導体基板401上に、CVD法を用いて二酸化シリコンを堆積することにより層404bを積層する(図11(e))。層404bの厚みは20nmとする。
【0037】
次に、層404bのうち残留させる領域をマスク411で覆い(図11(f))、ドライエッチングを施して、不要領域を除去する(図11(g))。
次に、マスク411を剥離してから(図11(h))、半導体基板401上にアモルファスシリコンを堆積することにより半導体膜405を成膜する(図11(i))。半導体膜405の膜厚は30nmとする。
【0038】
層404a,404bが層404vとなる。このように、領域404vBの層厚を0nmとすることにより、製造工程数を削減することができる。
以上、本発明に係る固体撮像装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
(1)実施の形態では、誘電体膜の膜厚の種類を3種類(R,G,B)としているが、本発明はこれに限らない。例えば、1種類、2種類、あるいは4種類以上でも構わない。
(2)実施の形態では、透過波長域の中心波長が610nm、530nm、450nmとなるように誘電体膜の膜厚を設定しているが、本発明はこれに限らない。例えば、透過波長域の中心波長が赤外領域や紫外領域であっても構わない。
(3)実施の形態では、誘電体膜を構成する材料として、二酸化シリコン及び窒化シリコンを挙げているが、本発明はこれに限らない。誘電体膜を構成する材料として、例えば、二酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO3)、酸化マグネシウム(MgO2)、フッ化マグネシウム(MgF2)等を採用することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、デジタルカメラに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る固体撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るカラーフィルタの製造過程を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係るカラーフィルタの製造過程を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 固体撮像装置
2 画素
3 垂直シフトレジスタ
4 水平シフトレジスタ
5 駆動回路
101、201、301、401 半導体基板
102、202、302、402 ウェル
103、203、303、403 光電変換部
104、204、304、404 誘電体膜
105、205、305、405 半導体膜
106、206、306、406 層間絶縁膜
107、207、307、407 遮光膜
108、208、308、408 マイクロレンズ
110、111、410、411 マスク
209 反射防止膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等に用いられる固体撮像装置に関し、特に、カラーフィルタの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置では、有機材料を用いたカラーフィルタが広く利用されているが(例えば、特許文献1及び2参照)、最近では耐光性や耐熱性の観点から、無機材料を用いたカラーフィルタが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3は、アモルファスシリコンからなる単層膜をカラーフィルタとして用いる技術を開示している。特許文献3ではアモルファスシリコンの膜厚を光の波長の半波長程度に設定することにより、光の干渉効果を利用して膜厚に応じた波長域の光を透過させることとしている。このようにカラーフィルタにアモルファスシリコンを利用することで、耐光性及び耐熱性を向上させることができる。また、カラーフィルタに単層膜を利用しているので、多層膜を利用する場合に比べて製造工程数を削減することができる。
【特許文献1】特開平5-6986号公報
【特許文献2】特開平7-311310号公報
【特許文献3】WO2006/028128
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、画素の微細化に伴い、1画素当たりの入射光量が益々低下してきている。そのため光の透過率が高いカラーフィルタを用いることにより入射光量の損失を極力低減することが望まれる。しかしながら、特許文献3に係るカラーフィルタは、アモルファスシリコンの光の吸収係数が比較的大きいため、光の透過率が比較的低いという課題を有する。
そこで、本発明は従来よりも光の透過率が高いカラーフィルタを備える固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る固体撮像装置は、複数の光電変換部を有する半導体基板と、前記半導体基板上に配された誘電体膜と、前記誘電体膜上に配された半導体膜とを備え、前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ対応する光電変換部に入射させるべき光の波長域に応じた膜厚を有する。
【発明の効果】
【0005】
上記構成によれば、カラーフィルタ機能は、半導体基板と半導体膜とに挟まれた誘電体膜で光の干渉が生じることにより実現される。一般に誘電体の光の吸収係数は、アモルファスシリコンの光の吸収係数に比べて極めて小さい。したがって光の干渉を誘電体膜で生じさせることにより、従来よりも光の吸収を抑制することができ、その結果、光の透過率を高めることができる。
【0006】
また、前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ対応する光電変換部に入射させるべき光の波長域の中心波長をλ、前記誘電体膜を構成する材料の屈折率をnとしたとき、λ/(2n)で算出される膜厚を有することとしてもよい。
上記構成によれば、所定の膜厚を容易に設計することができる。
また、前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ複数種類の膜厚のうちのいずれかの膜厚を有することとしてもよい。
【0007】
上記構成によれば、各光電変換部には複数種類の光の波長域のうちのいずれかの波長域の光が入射される。したがって各光電変換部で生成された信号に基づいてカラー画像を得ることができる。
また、前記誘電体膜は、前記半導体基板に隣接する隣接層と当該隣接層上に配された非隣接層とからなり、前記隣接層における各光電変換部に対応する各領域は、いずれも同一の層厚を有し、前記非隣接層における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ異なる層厚を有し、前記隣接層を構成する材料のエッチングレートは、前記半導体基板を構成する材料のエッチングレート及び前記非隣接層を構成する材料のエッチングレートのいずれよりも小さいこととしてもよい。
【0008】
上記構成によれば、隣接層をエッチングストッパとして機能させることができる。したがって、エッチングを利用して非隣接層の層厚を領域毎に異ならせる場合に、層厚の制御性を高めることができる。
さらに、隣接層が保護膜となり、非隣接層の加工時にエッチングによる半導体基板へのダメージを少なくすることができる。
【0009】
また、前記隣接層は窒化シリコン又は酸化窒化シリコンからなり、前記非隣接層は二酸化シリコンからなることとしてもよい。
上記構成によれば、半導体プロセスを利用して誘電体膜を形成することができる。したがって、誘電体膜の形成を容易に行うことができる。
また、前記半導体膜における各光電変換部に対応する各領域は、いずれも同じ膜厚を有することとしてもよい。
【0010】
上記構成によれば、半導体膜を構成する材料を誘電体膜の全域に堆積させることにより半導体膜を成膜することができる。したがって、半導体膜の成膜を容易に行うことができる。
また、前記半導体膜は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、単結晶シリコン又はシリコンを主成分とする材料からなることとしてもよい。
【0011】
これらの材料の屈折率は、それぞれ5程度であり、一般の誘電体材料に比べて極めて大きい。したがって半導体膜と誘電体膜との境界面での反射率が高く、光の干渉効果を高めることができる。
また、前記半導体膜は、100nm以下の膜厚を有することとしてもよい。
上記構成によれば、半導体膜での光の吸収を低減することができる。したがって、固体撮像装置の感度を向上させることができる。
【0012】
また、前記固体撮像装置は、さらに、前記半導体膜上に配された反射防止膜を備えることとしてもよい。
上記構成によれば、入射光の反射を防止することができる。したがって、固体撮像装置の感度を向上させることができる。
また、前記反防止膜は窒化シリコン又は酸化窒化シリコンからなることとしてもよい。
【0013】
上記構成によれば、半導体プロセスを利用して誘電体膜を形成することができる。したがって、誘電体膜の形成を容易に行うことができる。
また、前記窒化シリコン又は酸化窒化シリコンは減圧CVDを用いて形成されていることとしてもよい。
上記構成によれば、窒化シリコン又は酸化窒化シリコンの密度を高くすることができる。したがって、これらを保護膜として機能させることができる。
【0014】
本発明に係る固体撮像装置は、複数の光電変換部を有する半導体基板と、前記半導体基板上に配された誘電体膜と、前記誘電体膜上に配された半導体膜とを備え、前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ複数種類の膜厚のうちのいずれかの膜厚を有する。
上記構成によれば、カラーフィルタ機能は、半導体基板と半導体膜とに挟まれた誘電体膜で光の干渉が生じることにより実現される。一般に誘電体の光の吸収係数は、アモルファスシリコンの光の吸収係数に比べて極めて小さい。したがって光の干渉を誘電体膜で生じさせることにより、従来よりも光の吸収を抑制することができ、その結果、光の透過率を高めることができる。また、上記構成によれば、各光電変換部には複数種類の光の波長域のうちのいずれかの波長域の光が入射される。したがって各光電変換部で生成された信号に基づいてカラー画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る固体撮像装置の概略構成を示す図である。
固体撮像装置1は、画素2、垂直シフトレジスタ3、水平シフトレジスタ4及び駆動回路5を備える。画素2は、二次元配列されており、このうちの垂直シフトレジスタ3及び水平シフトレジスタ4により選択された画素のみが画素信号を出力する。垂直シフトレジスタ3及び水平シフトレジスタ4は駆動回路5により駆動される。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置の断面模式図である。
固体撮像装置1は、主な構成要素として、半導体基板101、誘電体膜104、半導体膜105を備える。半導体膜105上には、層間絶縁膜106、遮光膜107、マイクロレンズ108が配されている。
半導体基板101は、ウェル102を有し、ウェル102内に光電変換部103R,103G,103Bを有する。
【0017】
誘電体膜104は、二酸化シリコンからなり、光電変換部103R,103G,103Bのそれぞれに対応する領域104R,104G,104B毎に異なる膜厚を有する。具体的には、領域104R,104G,104Bの膜厚は、それぞれ200nm、170nm、140nmである。
半導体膜105は、アモルファスシリコンからなり、光電変換部103R,103G,103Bのそれぞれに対応する領域のいずれにおいても同じ膜厚を有する。具体的には、半導体膜105の膜厚は30nmである。
【0018】
このような構成によれば、カラーフィルタ機能は、半導体基板101と半導体膜105とに挟まれた誘電体膜104で光の干渉が生じることにより実現される。光の干渉を利用しているので、光の透過波長域の中心波長λ、誘電体膜104を構成する材料の屈折率n、誘電体膜104の膜厚dは、nd=λ/2の関係式を満たす。したがって、中心波長λを610nm、530nm、450nmとしたい場合には、二酸化シリコンの屈折率が各波長で1.47、1.50、1.55であることから、領域104R,104G,104Bの膜厚が、それぞれ200nm、170nm、140nmとなる。
【0019】
図3は、本発明の実施の形態1に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
ここに現された透過率は、フレネル係数を用いたマトリクス法により導き出されたものである。透過率曲線10R,10G,10Bは、それぞれ誘電体膜104のうちの光電変換部103Rに対応する領域104R、光電変換部103Gに対応する領域104G、光電変換部103Bに対応する領域104Bの透過率を表している。これによれば、誘電体膜104のうちの領域104R,104G,104Bは、それぞれ約610nm(曲線10R参照)、約530nm(曲線10G参照)、約450nm(曲線10B参照)を中心波長とする波長域の光を透過させる。なお誘電体膜104のうちの領域104R,104G,104Bの透過率のピークは、それぞれ約80%、約70%、約60%と、比較的高い値を示す。これは、二酸化シリコンの光の吸収係数が極めて小さく、光の吸収が抑制されるからである。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態1に係るカラーフィルタの製造過程を示す図である。
まず、半導体基板101(図4では、ウェル102及び光電変換部103R,103G,103Bが示されている)上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて二酸化シリコンを堆積することにより層104aを積層する(図4(a))。層104aの厚みは30nmとする。
【0021】
次に、層104aのうち残留させる領域をマスク110で覆い(図4(b))、ドライエッチングを施して、不要領域を除去する(図4(c))。
次に、マスク110を剥離してから(図4(d))、半導体基板101上に、CVD法を用いて二酸化シリコンを堆積することにより層104bを積層する(図4(e))。層104bの厚みは30nmとする。
【0022】
次に、層104bのうち残留させる領域をマスク111で覆い(図4(f))、ドライエッチングを施して、不要領域を除去する(図4(g))。
次に、マスク111を剥離してから(図4(h))、半導体基板101上に、CVD法を用いて二酸化シリコンを堆積することにより層104cを積層する(図4(i))。層104cの厚みは140nmとする。
【0023】
次に、半導体基板101上にアモルファスシリコンを堆積することにより半導体膜105を成膜する(図4(j))。半導体膜105の膜厚は30nmとする。
このように形成された層104a,104b,104cが誘電体膜104となる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【0024】
実施の形態2では、半導体層205上に反射防止膜209が配されている点が実施の形態1と異なる。これ以外の点は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
反射防止膜209は、窒化シリコンからなり、光電変換部103R,103G,103Bのそれぞれに対応する領域のいずれにおいても同じ膜厚を有する。具体的には、反射防止膜209の膜厚は50nmである。
【0025】
層間絶縁膜206は、二酸化シリコンからなる。
一般に媒質Aから媒質Bに光が入射するとき、媒質Aと媒質Bとの境界面における反射率Rは、媒質Aの屈折率をna、媒質Bの屈折率をnbとすれば、R=((na-nb)/(na+nb))2の関係式を満たす。
この関係式を用いて層間絶縁膜206、反射防止膜209、半導体膜205を通過する光の反射率を評価すれば、反射防止膜209が存在しない場合に比べて光の反射を低減できることがわかる。ここで、二酸化シリコン、窒化シリコン及びアモルファスシリコンの屈折率をそれぞれ1.55、2.00、4.77とする。このように、反射防止膜209を設けることにより、光の透過率を高めることができる。
【0026】
図6は、本発明の実施の形態2に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
透過率曲線20R,20G,20Bは、それぞれ誘電体膜204のうちの光電変換部203Rに対応する領域204R、光電変換部203Gに対応する領域204G、光電変換部203Bに対応する領域204Bの透過率を表している。これによれば、誘電体膜204のうちの領域204R,204G,204Bの透過率のピークは、それぞれ約90%、約85%、約65%と、実施の形態1よりも高い値を示す。これは、反射防止膜209を設けたことによる効果である。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【0027】
実施の形態3では、誘電体膜304が2層からなる点が実施の形態1と異なる。これ以外の点は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
誘電体膜304は、層304u,304vからなる。
層304uは、窒化シリコンからなり、光電変換部303R,303G,303Bのそれぞれに対応する領域304uR,304uG,304uBのいずれにおいても同じ膜厚を有する。具体的には、層304uの各領域304uR,304uG,304uBの膜厚は50nmである。
【0028】
層304vは、二酸化シリコンからなり、光電変換部303R,303G,303Bのそれぞれに対応する領域304vR,304vG,304vB毎に異なる膜厚を有する。具体的には、領域304vR,304vG,304vBの膜厚は、それぞれ140nm、100nm、70nmである。
誘電体膜304の各領域304R,304G,304Bの膜厚は、いずれも2層を合わせてnd=λ/2の関係式を満たすように設計されている。
【0029】
このような構成によれば、エッチングガスを適切に選択することにより、層304uをエッチングストッパとして機能させることができる。したがって、エッチングを利用して層304vの層厚を領域毎に異ならせる場合に、層厚の制御性を高めることができる。ここで、エッチングガスとしては、例えば、C5F8+O2又はC4F6+O2を利用することができる。エッチングガスとしてこれらを採用すれば、窒化シリコンと二酸化シリコンとの選択比が1:20程度であるので、窒化シリコンがエッチングストッパとして十分に機能する。さらに、窒化シリコンが保護膜となり、層304vの加工時にエッチングによる半導体基板301へのダメージを少なくすることができる。
【0030】
なお、窒化シリコンは、特にLPCVD(Low Pressure CVD)法を用いて堆積するのがPECVE(Plasma Enhanced CVD)法を用いて堆積するよりも望ましい。LPCVD法を用いれば、層304uの密度を高めることができ、層304uを保護膜として機能させる観点から好ましいためである。また、ここでは窒化シリコンを例としてあげているが、酸化窒化シリコンでも構わない。
【0031】
図8は、本発明の実施の形態3に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
透過率曲線30R,30G,30Bは、それぞれ誘電体膜304のうちの光電変換部303Rに対応する領域304R、光電変換部303Gに対応する領域304G、光電変換部303Bに対応する領域304Bの透過率を表している。これによれば、誘電体膜304のうちの領域304R,304G,304Bの透過率のピークは、それぞれ約75%、約60%、約55%を示している。
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【0032】
実施の形態4では、層404vのうちの光電変換部403Bに対応する領域404vBの層厚が0nmである点が実施の形態3と異なる。これ以外の点は実施の形態3と同様であるので、説明を省略する。
誘電体膜404は、層404u,404vからなる。
層404uは、窒化シリコンからなり、光電変換部403R,403G,403Bのそれぞれに対応する領域404uR,404uG,404uBのいずれにおいても同じ膜厚を有する。具体的には、層404uの各領域404uR,404uG,404uBの膜厚は100nmである。
【0033】
層404vは、二酸化シリコンからなり、光電変換部403R,403G,403Bのそれぞれに対応する領域404vR,404vG,404vB毎に異なる膜厚を有する。具体的には、領域404vR,404vG,404vBの膜厚は、それぞれ40nm、20nm、0nmである。
誘電体膜404の各領域404R,404G,404Bの膜厚は、いずれも2層を合わせてnd=λ/2の関係式を満たすように設計されている。
【0034】
図10は、本発明の実施の形態4に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
透過率曲線40R,40G,40Bは、それぞれ誘電体膜404のうちの光電変換部403Rに対応する領域404R、光電変換部403Gに対応する領域404G、光電変換部403Bに対応する領域404Bの透過率を表している。これによれば、誘電体膜404のうちの領域404R,404G,404Bの透過率のピークは、それぞれ約75%、約70%、約65%を示している。
【0035】
図11は、本発明の実施の形態4に係るカラーフィルタの製造過程を示す図である。
まず、半導体基板401(図11では、ウェル402及び光電変換部403R,403G,403Bが示されている)上に、LPCVD法を用いて窒化シリコンを堆積することにより層404uを積層し、さらに、層404u上にCVD法を用いて二酸化シリコンを堆積することにより層404aを積層する(図11(a))。層404aの厚みは20nmとする。
【0036】
次に、層404aのうち残留させる領域をマスク410で覆い(図11(b))、ドライエッチングを施して、不要領域を除去する(図11(c))。
次に、マスク410を剥離してから(図11(d))、半導体基板401上に、CVD法を用いて二酸化シリコンを堆積することにより層404bを積層する(図11(e))。層404bの厚みは20nmとする。
【0037】
次に、層404bのうち残留させる領域をマスク411で覆い(図11(f))、ドライエッチングを施して、不要領域を除去する(図11(g))。
次に、マスク411を剥離してから(図11(h))、半導体基板401上にアモルファスシリコンを堆積することにより半導体膜405を成膜する(図11(i))。半導体膜405の膜厚は30nmとする。
【0038】
層404a,404bが層404vとなる。このように、領域404vBの層厚を0nmとすることにより、製造工程数を削減することができる。
以上、本発明に係る固体撮像装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
(1)実施の形態では、誘電体膜の膜厚の種類を3種類(R,G,B)としているが、本発明はこれに限らない。例えば、1種類、2種類、あるいは4種類以上でも構わない。
(2)実施の形態では、透過波長域の中心波長が610nm、530nm、450nmとなるように誘電体膜の膜厚を設定しているが、本発明はこれに限らない。例えば、透過波長域の中心波長が赤外領域や紫外領域であっても構わない。
(3)実施の形態では、誘電体膜を構成する材料として、二酸化シリコン及び窒化シリコンを挙げているが、本発明はこれに限らない。誘電体膜を構成する材料として、例えば、二酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO3)、酸化マグネシウム(MgO2)、フッ化マグネシウム(MgF2)等を採用することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、デジタルカメラに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る固体撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るカラーフィルタの製造過程を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る固体撮像装置の断面模式図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係るカラーフィルタの透過特性を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係るカラーフィルタの製造過程を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 固体撮像装置
2 画素
3 垂直シフトレジスタ
4 水平シフトレジスタ
5 駆動回路
101、201、301、401 半導体基板
102、202、302、402 ウェル
103、203、303、403 光電変換部
104、204、304、404 誘電体膜
105、205、305、405 半導体膜
106、206、306、406 層間絶縁膜
107、207、307、407 遮光膜
108、208、308、408 マイクロレンズ
110、111、410、411 マスク
209 反射防止膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換部を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に配された誘電体膜と、
前記誘電体膜上に配された半導体膜とを備え、
前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ対応する光電変換部に入射させるべき光の波長域に応じた膜厚を有すること
を特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ対応する光電変換部に入射させるべき光の波長域の中心波長をλ、前記誘電体膜を構成する材料の屈折率をnとしたとき、λ/(2n)で算出される膜厚を有すること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ複数種類の膜厚のうちのいずれかの膜厚を有すること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記誘電体膜は、前記半導体基板に隣接する隣接層と当該隣接層上に配された非隣接層とからなり、
前記隣接層における各光電変換部に対応する各領域は、いずれも同一の層厚を有し、
前記非隣接層における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ異なる層厚を有し、
前記隣接層を構成する材料のエッチングレートは、前記半導体基板を構成する材料のエッチングレート及び前記非隣接層を構成する材料のエッチングレートのいずれよりも小さいこと
を特徴とする請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記隣接層は窒化シリコン又は酸化窒化シリコンからなり、
前記非隣接層は二酸化シリコンからなること
を特徴とする請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記半導体膜における各光電変換部に対応する各領域は、いずれも同じ膜厚を有すること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記半導体膜は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、単結晶シリコン又はシリコンを主成分とする材料からなること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記半導体膜は、100nm以下の膜厚を有すること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記固体撮像装置は、さらに、
前記半導体膜上に配された反射防止膜を備えること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記反射防止膜は窒化シリコン又は酸化窒化シリコンからなること
を特徴とする請求項9に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記窒化シリコン又は酸化窒化シリコンは減圧CVDを用いて形成されていること
を特徴とする請求項5又は10に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
複数の光電変換部を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に配された誘電体膜と、
前記誘電体膜上に配された半導体膜とを備え、
前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ複数種類の膜厚のうちのいずれかの膜厚を有すること
を特徴とする固体撮像装置。
【請求項1】
複数の光電変換部を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に配された誘電体膜と、
前記誘電体膜上に配された半導体膜とを備え、
前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ対応する光電変換部に入射させるべき光の波長域に応じた膜厚を有すること
を特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ対応する光電変換部に入射させるべき光の波長域の中心波長をλ、前記誘電体膜を構成する材料の屈折率をnとしたとき、λ/(2n)で算出される膜厚を有すること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ複数種類の膜厚のうちのいずれかの膜厚を有すること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記誘電体膜は、前記半導体基板に隣接する隣接層と当該隣接層上に配された非隣接層とからなり、
前記隣接層における各光電変換部に対応する各領域は、いずれも同一の層厚を有し、
前記非隣接層における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ異なる層厚を有し、
前記隣接層を構成する材料のエッチングレートは、前記半導体基板を構成する材料のエッチングレート及び前記非隣接層を構成する材料のエッチングレートのいずれよりも小さいこと
を特徴とする請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記隣接層は窒化シリコン又は酸化窒化シリコンからなり、
前記非隣接層は二酸化シリコンからなること
を特徴とする請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記半導体膜における各光電変換部に対応する各領域は、いずれも同じ膜厚を有すること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記半導体膜は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、単結晶シリコン又はシリコンを主成分とする材料からなること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記半導体膜は、100nm以下の膜厚を有すること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記固体撮像装置は、さらに、
前記半導体膜上に配された反射防止膜を備えること
を特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記反射防止膜は窒化シリコン又は酸化窒化シリコンからなること
を特徴とする請求項9に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記窒化シリコン又は酸化窒化シリコンは減圧CVDを用いて形成されていること
を特徴とする請求項5又は10に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
複数の光電変換部を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に配された誘電体膜と、
前記誘電体膜上に配された半導体膜とを備え、
前記誘電体膜における各光電変換部に対応する各領域は、それぞれ複数種類の膜厚のうちのいずれかの膜厚を有すること
を特徴とする固体撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−41779(P2008−41779A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211296(P2006−211296)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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