説明

固体撮像装置

【課題】固体撮像装置の感度の低下を抑制しつつ、混色を低減させる。
【解決手段】赤色用イメージセンサ3rの光電変換部12rは、青色用イメージセンサ3bの光電変換部12bおよび緑色用イメージセンサ3gの光電変換部12gに対して光入射面から深い位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置では、入射光をRGBの3原色に分離し、各色に対応した信号を取り出すことで、撮像画像のカラー化が図られている。この時、混色を防止するには、フォトダイオードを浅く形成した方がよいが、フォトダイオードを浅く形成すると、特に波長の長い光に対しては感度の低下が大きかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−207285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの実施形態の目的は、感度の低下を抑制しつつ、混色を低減させることが可能な固体撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の固体撮像装置によれば、波長分離器と、第1のイメージセンサと、第2のイメージセンサとが設けられている。波長分離器は、入射光を色ごとに分離する。第1のイメージセンサは、第1の光電変換部が画素ごとに設けられ、前記波長分離器にて分離された第1色光の光電変換を画素ごとに行う。第2のイメージセンサは、前記第1の光電変換部よりも光入射面から深い位置に配置された第2の光電変換部が画素ごとに設けられ、前記波長分離器にて分離された第2色光の光電変換を前記画素ごとに行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、第1実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図2(a)は、図1の青色用イメージセンサ3bの概略構成を示す断面図、図2(b)は、図1の緑色用イメージセンサ3gの概略構成を示す断面図、図2(c)は、図1の赤色用イメージセンサ3rの概略構成を示す断面図である。
【図3】図3は、青色光B、緑色光Gおよび赤色光Rの波長と強度の関係を示す図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は、図2(a)の青色用イメージセンサ3bの製造方法を示す断面図である。
【図5】図5(a)および図5(b)は、図2(a)の青色用イメージセンサ3bの製造方法を示す断面図である。
【図6】図6(a)は、第2実施形態に係る固体撮像装置に適用される青色用イメージセンサの概略構成を示す断面図、図6(b)は、第2実施形態に係る固体撮像装置に適用される緑色用イメージセンサの概略構成を示す断面図、図6(c)は、第2実施形態に係る固体撮像装置に適用される赤色用イメージセンサの概略構成を示す断面図である。
【図7】図7は、半導体材料ごとの波長に対する吸収係数を示す図である。
【図8】図8(a)〜図8(c)は、図6(a)の青色用イメージセンサの製造方法を示す断面図である。
【図9】図9(a)および図9(b)は、図6(a)の青色用イメージセンサの製造方法を示す断面図である。
【図10】図10は、第3実施形態に係る固体撮像装置に適用されるイメージセンサの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態に係る固体撮像装置について図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す断面図である。なお、図1では、3板式固体撮像装置の例を示す。
図1において、この固体撮像装置には、入射光LHを集光するレンズ1、入射光LHを青色光B、緑色光Gおよび赤色光Rにそれぞれ分離するダイクロイックプリズム2b、2g、2r、青色光Bを画素ごとに光電変換する青色用イメージセンサ3b、緑色光Gを画素ごとに光電変換する緑色用イメージセンサ3g、赤色光Rを画素ごとに光電変換する赤色用イメージセンサ3rおよび青色画像信号SBと緑色画像信号SGと赤色画像信号SRを合成することでカラー画像信号SOを生成する信号処理部4が設けられている。
【0009】
ここで、赤色用イメージセンサ3rの光電変換部は、青色用イメージセンサ3bの光電変換部および緑色用イメージセンサ3gの光電変換部に対して光入射面から深い位置に配置することができる。
【0010】
図2(a)は、図1の青色用イメージセンサ3bの概略構成を示す断面図、図2(b)は、図1の緑色用イメージセンサ3gの概略構成を示す断面図、図2(c)は、図1の赤色用イメージセンサ3rの概略構成を示す断面図である。なお、図2(a)〜図2(c)では、裏面照射型イメージセンサを例にとった。
図2(a)において、青色用イメージセンサ3bには、半導体層11bが設けられている。半導体層11bの材料は、例えば、Siを用いることができる。また、半導体層11bとしては、P型エピタキシャル半導体を用いることができる。半導体層11bの表面側には光電変換層12bが画素ごとに形成されるとともに、半導体層11b上には層間絶縁層13bが形成されている。なお、光電変換層12bの導電型はN型に設定することができる。層間絶縁層13bの材料は、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。また、半導体層11bの厚さTbおよび光電変換層12bの光入射面Mbからの深さFbは、自画素の光電変換層12bの外側で光電変換された電荷が他画素の光電変換層12bに流れ込まないように設定することができる。層間絶縁層13bには配線層14bが埋め込まれている。なお、裏面照射型イメージセンサでは、光電変換層12b上に配線層14bを配置することができる。また、配線層14bの材料は、例えば、AlまたはCuなどの金属を用いることができる。また、配線層14bは、信号が読み出される画素を選択したり、画素から読み出された信号を伝送したりするのに用いることができる。層間絶縁層13b上には、半導体層11bを支持する支持基板15bが設けられている。支持基板15bは、Siなどの半導体基板を用いるようにしてもよいし、ガラス、セラミックまたは樹脂などの絶縁性基板を用いるようにしてもよい。
【0011】
一方、半導体層11bの裏面側には、ピンニング層16bが形成され、ピンニング層16b上には反射防止膜17bが形成されている。なお、ピンニング層16bは、半導体層11bに形成されたP型不純物層を用いることができる。反射防止膜17bは、屈折率が互いに異なるシリコン酸化膜の積層構造を用いることができる。反射防止膜17b上には、オンチップレンズ19bが画素ごとに形成されている。なお、オンチップレンズ19bの材料は、例えば、アクリルまたはポリカーボネートなどの透明有機化合物を用いることができる。
【0012】
図2(b)において、緑色用イメージセンサ3gには、半導体層11gが設けられている。半導体層11gの表面側には光電変換層12gが画素ごとに形成されるとともに、半導体層11g上には層間絶縁層13gが形成されている。なお、半導体層11gの厚さTgおよび光電変換層12gの光入射面Mgからの深さFgは、自画素の光電変換層12gの外側で光電変換された電荷が他画素の光電変換層12gに流れ込まないように設定することができる。層間絶縁層13gには配線層14gが埋め込まれている。層間絶縁層13g上には、半導体層11gを支持する支持基板15gが設けられている。
【0013】
一方、半導体層11gの裏面側には、ピンニング層16gが形成され、ピンニング層16g上には反射防止膜17gが形成されている。反射防止膜17g上には、オンチップレンズ19gが画素ごとに形成されている。
【0014】
なお、半導体層11g、光電変換層12g、層間絶縁層13g、配線層14g、支持基板15g、ピンニング層16g、反射防止膜17gおよびオンチップレンズ19gは、半導体層11b、光電変換層12b、層間絶縁層13b、配線層14b、支持基板15b、ピンニング層16b、反射防止膜17bおよびオンチップレンズ19bと同様の材料を用いることができる。
【0015】
図2(c)において、赤色用イメージセンサ3rには、半導体層11rが設けられている。半導体層11rの表面側には光電変換層12rが画素ごとに形成されるとともに、半導体層11r上には層間絶縁層13rが形成されている。なお、半導体層11rの厚さTrおよび光電変換層12rの光入射面Mrからの深さFrは、自画素の光電変換層12rの外側で光電変換された電荷が他画素の光電変換層12rに流れ込まないように設定することができる。層間絶縁層13rには配線層14rが埋め込まれている。層間絶縁層13r上には、半導体層11rを支持する支持基板15rが設けられている。
【0016】
一方、半導体層11rの裏面側には、ピンニング層16rが形成され、ピンニング層16r上には反射防止膜17rが形成されている。反射防止膜17r上には、オンチップレンズ19rが画素ごとに形成されている。
【0017】
なお、半導体層11r、光電変換層12r、層間絶縁層13r、配線層14r、支持基板15r、ピンニング層16r、反射防止膜17rおよびオンチップレンズ19rは、半導体層11b、光電変換層12b、層間絶縁層13b、配線層14b、支持基板15b、ピンニング層16b、反射防止膜17bおよびオンチップレンズ19bと同様の材料を用いることができる。
【0018】
ここで、光電変換部12rが光電変換部12b、12gに対して各光入射面Mrから深い位置に配置されるようにするために、各半導体層11b、11g、11rの厚さTb、Tg、Trは、Tb≦Tg<Trとなるように設定することができる。また、各光電変換層12b、12g、12rの光入射面Mb、Mg、Mrからの深さFb、Fg、Frは、Fb≦Fg≦Frとなるように設定することができる。
【0019】
図3は、青色光B、緑色光Gおよび赤色光Rの波長と強度の関係を示す図である。
図3において、青色光Bは、波長450nm付近に強度のピークを有している。緑色光Gは、波長530nm付近に強度のピークを有している。赤色光Rは、波長600nm付近に強度のピークを有している。このため、赤色光Rは光電変換層12rの深くまで届くのに対して、青色光Bおよび緑色光Gは光電変換層12bおよび光電変換層12gの深くまで届かない。
【0020】
そして、図1において、入射光LHがレンズ1を介してダイクロイックプリズム2b、2g、2rに入射されると、青色光B、緑色光Gおよび赤色光Rに分離される。そして、青色光Bは青色用イメージセンサ3bに入射され、緑色光Gは緑色用イメージセンサ3gに入射され、赤色光Rは赤色用イメージセンサ3rに入射される。青色用イメージセンサ3bにおいて、青色光Bが画素ごとに光電変換されることで青色画像信号SBが生成され、信号処理部4に送られる。また、緑色用イメージセンサ3gにおいて、緑色光Gが画素ごとに光電変換されることで緑色画像信号SGが生成され、信号処理部4に送られる。また、赤色用イメージセンサ3rにおいて、赤色光Rが画素ごとに光電変換されることで赤色画像信号SRが生成され、信号処理部4に送られる。そして、信号処理部4において、青色画像信号SBと緑色画像信号SGと赤色画像信号SRが合成されることでカラー画像信号SOが出力される。
【0021】
ここで、光電変換部12b、12gに対して光入射面Mrから深い位置に光電変換部12rを配置することにより、光電変換層12bおよび光電変換層12gの深さを深くすることなく、光電変換層12rの深さを深くすることができる。このため、青色用イメージセンサ3bおよび緑色用イメージセンサ3gの感度の低下を抑制しつつ、自画素の光電変換層12rに斜めに入射した赤色光Rが他画素の光電変換層12rに侵入するのを抑制することが可能となり、解像度の低下を抑制することができる。
【0022】
なお、図2(a)〜図2(c)の実施形態では、青色用イメージセンサ3b、緑色用イメージセンサ3gおよび赤色用イメージセンサ3rに青色光B、緑色光Gおよび赤色光Rをそれぞれ入射する方法について説明したが、青色用イメージセンサ3b、緑色用イメージセンサ3gおよび赤色用イメージセンサ3rに入射光LHを3分割して入射するようにしてもよい。この場合、青色光B、緑色光Gおよび赤色光Rを入射光LHから抽出するために、青色用イメージセンサ3b、緑色用イメージセンサ3gおよび赤色用イメージセンサ3rには、青色透過フィルタ、緑色透過フィルタおよび赤色透過フィルタをそれぞれ設けることができる。
【0023】
図4(a)〜図4(c)、図5(a)および図5(b)は、図2(a)の青色用イメージセンサ3bの製造方法を示す断面図である。なお、この説明では、ゲート電極形成工程は省略した。
図4(a)において、エピタキシャル成長にて半導体基板10b上に半導体層11bを形成する。なお、半導体層11bがSiの場合、半導体基板10bはSiを用いることが好ましい。この時、BなどのP型不純物を半導体層11bにドーピングすることができる。
【0024】
そして、フォトリソグラフィー技術およびイオン注入技術を用いて半導体層11bに不純物を画素ごとに選択的に注入することにより、半導体層11bの表面側に光電変換層12bを画素ごとに形成する。なお、この時の不純物は、例えば、PまたはAsなどのN型不純物を用いることができる。
【0025】
次に、図4(b)に示すように、層間絶縁層13bに埋め込まれた配線層14bを半導体層11b上に形成する。
【0026】
次に、図4(c)に示すように、層間絶縁層13b上に支持基板15bを貼り付ける。なお、支持基板15bを層間絶縁層13b上に貼り付ける方法としては、例えば、SiO直接接合を用いることができる。
【0027】
次に、図5(a)に示すように、CMPまたはエッチバックなどの方法を用いることにより、半導体基板10bを薄膜化し、半導体層11bの裏面から半導体基板10bを除去する。
【0028】
次に、図5(b)に示すように、半導体層11bの裏面側に不純物を高濃度にイオン注入することにより、半導体層11bの裏面側にピンニング層16bを形成する。なお、この時の不純物は、例えば、BなどのP型不純物を用いることができる。また、P型不純物が高濃度にドープされたエピタキシャル成長にてピンニング層16bを半導体層11bの裏面側に形成するようにしてもよい。
【0029】
次に、図2(a)に示すように、ピンニング層16b上に反射防止膜17bを形成した後、オンチップレンズ19bを画素ごとに形成する。
【0030】
なお、図2(b)の緑色用イメージセンサ3gおよび図2(c)の赤色用イメージセンサ3rの製造方法は、図2(a)の青色用イメージセンサ3bの製造方法と同様である。
【0031】
(第2実施形態)
図6(a)は、第2実施形態に係る固体撮像装置に適用される青色用イメージセンサの概略構成を示す断面図、図6(b)は、第2実施形態に係る固体撮像装置に適用される緑色用イメージセンサの概略構成を示す断面図、図6(c)は、第2実施形態に係る固体撮像装置に適用される赤色用イメージセンサの概略構成を示す断面図である。
図6(a)において、青色用イメージセンサ3bには、半導体層21bが設けられ、半導体層21b上には半導体層21b´が積層されている。半導体層21bの材料は、例えば、Siを用いることができる。また、半導体層21bとしては、P型エピタキシャル半導体を用いることができる。半導体層21b´は、半導体層21bよりも光の吸収係数が大きな材料を用いることができ、例えば、SiGeを用いることができる。なお、SiとSiGeとの間で格子整合をとるために、SiGe中のGeの含有量は0%より大きく、30%以下であることが好ましい。また、半導体層21b´としては、P型エピタキシャル半導体を用いることができる。半導体層21b´の表面側には光電変換層22bが画素ごとに形成されるとともに、半導体層21b´上には層間絶縁層23bが形成されている。なお、光電変換層22bの導電型はN型に設定することができる。層間絶縁層23bの材料は、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。また、半導体層21b、21b´全体の厚さTbおよび光電変換層22bの光入射面Mbからの深さFbは、自画素の光電変換層22bの外側で光電変換された電荷が他画素の光電変換層22bに流れ込まないように設定することができる。層間絶縁層23bには配線層24bが埋め込まれている。なお、配線層24bの材料は、例えば、AlまたはCuなどの金属を用いることができる。また、配線層24bは、信号が読み出される画素を選択したり、画素から読み出された信号を伝送したりするのに用いることができる。層間絶縁層23b上には、半導体層21bを支持する支持基板25bが設けられている。支持基板25bは、Siなどの半導体基板を用いるようにしてもよいし、ガラス、セラミックまたは樹脂などの絶縁性基板を用いるようにしてもよい。
【0032】
一方、半導体層21bの裏面側には、ピンニング層26bが形成され、ピンニング層26b上には反射防止膜27bが形成されている。なお、ピンニング層26bは、半導体層21bに形成されたP型不純物層を用いることができる。反射防止膜27bは、屈折率が互いに異なるシリコン酸化膜の積層構造を用いることができる。反射防止膜27b上には、オンチップレンズ29bが画素ごとに形成されている。なお、オンチップレンズ29bの材料は、例えば、アクリルまたはポリカーポネートなどの透明有機化合物を用いることができる。
【0033】
図6(b)において、緑色用イメージセンサ3gには、半導体層21gが設けられ、半導体層21g上には半導体層21g´が積層されている。半導体層21g´の表面側には光電変換層22gが画素ごとに形成されるとともに、半導体層21g´上には層間絶縁層23gが形成されている。なお、半導体層21g、21g´全体の厚さTgおよび光電変換層22gの光入射面Mgからの深さFgは、自画素の光電変換層22gの外側で光電変換された電荷が他画素の光電変換22gに流れ込まないように設定することができる。層間絶縁層23gには配線層24gが埋め込まれている。層間絶縁層23g上には、半導体層21gを支持する支持基板25gが設けられている。
【0034】
一方、半導体層21gの裏面側には、ピンニング層26gが形成され、ピンニング層26g上には反射防止膜27gが形成されている。反射防止膜27g上には、オンチップレンズ29gが画素ごとに形成されている。
【0035】
なお、半導体層21g、21g´、光電変換層22g、層間絶縁層23g、配線層24g、支持基板25g、ピンニング層26g、反射防止膜27gおよびオンチップレンズ29gは、半導体層21b、21b´、光電変換層22b、層間絶縁層23b、配線層24b、支持基板25b、ピンニング層26b、反射防止膜27bおよびオンチップレンズ29bと同様の材料を用いることができる。
【0036】
図6(c)において、赤色用イメージセンサ3rには、半導体層21rが設けられ、半導体層21r上には半導体層21r´が積層されている。半導体層21r´の表面側には光電変換層22rが画素ごとに形成されるとともに、半導体層21r´上には層間絶縁層23rが形成されている。なお、半導体層21r、21r´全体の厚さTrおよび光電変換層22rの光入射面Mrからの深さFrは、自画素の光電変換層22rの外側で光電変換された電荷が他画素の光電変換層22rに流れ込まないように設定することができる。層間絶縁層23rには配線層24rが埋め込まれている。層間絶縁層23r上には、半導体層21rを支持する支持基板25rが設けられている。
【0037】
一方、半導体層21rの裏面側には、ピンニング層26rが形成され、ピンニング層26r上には反射防止膜27rが形成されている。反射防止膜27r上には、オンチップレンズ29rが画素ごとに形成されている。
【0038】
なお、半導体層21r、21r´、光電変換層22r、層間絶縁層23r、配線層24r、支持基板25r、ピンニング層26r、反射防止膜27rおよびオンチップレンズ29rは、半導体層21b、21b´、光電変換層22b、層間絶縁層23b、配線層24b、支持基板25b、ピンニング層26b、反射防止膜27bおよびオンチップレンズ29bと同様の材料を用いることができる。
【0039】
ここで、光電変換部22rが光電変換部22b、22gに対して光入射面Mrから深い位置に配置されるようにするために、半導体層21b、21b´全体の厚さTb、半導体層21g、21g´全体の厚さTgおよび半導体層21r、21r´全体の厚さTrは、Tb≦Tg<Trとなるように設定することができる。また、各光電変換層22b、22g、22rの光入射面Mb、Mg、Mrからの深さFb、Fg、Frは、Fb≦Fg≦Frとなるように設定することができる。
【0040】
図7は、半導体材料ごとの波長に対する吸収係数を示す図である。
図7において、GeはSiよりも光の吸収係数が高い。このため、Siの代わりにGeを用いることで光電変換効率を向上させることができる。
【0041】
ここで、半導体層21b´、21g´、21r´をそれぞれ用いて光電変換層22b、22g、22rを形成することにより、半導体層21b、21g、21rのみをそれぞれ用いて光電変換層22b、22g、22rを形成した場合に比べて、光電変換層22b、22g、22rの光電変換効率を向上させることができる。このため、青色用イメージセンサ3b、緑色用イメージセンサ3gおよび赤色用イメージセンサ3rの感度の低下を抑制しつつ、光電変換層22b、22g、22rの深さを浅くすることができ、自画素に斜めに入射した光が隣接画素に侵入するのを抑制することが可能となることから、解像度の低下を抑制することができる。
【0042】
例えば、SiGeはSiよりも光吸収係数が大きい。このため、半導体層21b´、21g´、21r´としてSiGeを用いることにより、イメージセンサ全体として接合の浅いフォトダイオードを形成することができる。すなわち、イメージセンサ全体としてのフォトダイオードの接合の深さは、赤色光RのSiに対する侵入長(約3.0μm)で決めるとすると、SiGeを用いた時に同等の感度を達成するには、フォトダイオードの接合の深さは約1.5μmにすることができる。このため、自画素に斜めに入射した赤色光Rが隣接画素に侵入するのを抑制することが可能となり、解像度の低下を抑制することができる。
【0043】
なお、図6(a)〜図6(c)の構成では、光電変換層22b、22g、22rを形成するために、半導体層21b、21b´の2層構造、半導体層21g、21g´の2層構造および半導体層21r、21r´の2層構造をそれぞれ用いる方法について説明したが、半導体層21b´、21g´、21r´のみの1層構造をそれぞれ用いるようにしてもよい。
【0044】
図8(a)〜図8(c)、図9(a)および図9(b)は、図6(a)の青色用イメージセンサの製造方法を示す断面図である。なお、この説明では、ゲート電極形成工程は省略した。
図8(a)において、エピタキシャル成長にて半導体基板20b上に半導体層21b、21b´を順次形成する。なお、半導体層21bがSiの場合、半導体基板20bはSiを用いることが好ましい。この時、BなどのP型不純物を半導体層21b、21b´にドーピングすることができる。また、半導体層21bを省略し、半導体基板20b上に半導体層21b´を直接形成するようにしてもよい。
【0045】
そして、フォトリソグラフィー技術およびイオン注入技術を用いて半導体層21b´に不純物を画素ごとに選択的に注入することにより、半導体層21b´に光電変換層22bを画素ごとに形成する。なお、この時の不純物は、例えば、PまたはAsなどのN型不純物を用いることができる。
【0046】
次に、図8(b)に示すように、層間絶縁層23bに埋め込まれた配線層24bを半導体層21b´上に形成する。
【0047】
次に、図8(c)に示すように、層間絶縁層23b上に支持基板25bを貼り付ける。なお、支持基板25bを層間絶縁層23b上に貼り付ける方法としては、例えば、SiO直接接合を用いることができる。
【0048】
次に、図9(a)に示すように、CMPまたはエッチバックなどの方法を用いることにより、半導体基板20bを薄膜化し、半導体層21bの裏面から半導体基板20bを除去する。
【0049】
次に、図9(b)に示すように、半導体層21bの裏面側に不純物を高濃度にイオン注入することにより、半導体層21bの裏面側にピンニング層26bを形成する。なお、この時の不純物は、例えば、BなどのP型不純物を用いることができる。また、P型不純物が高濃度にドープされたエピタキシャル成長にてピンニング層26bを半導体層21bの裏面側に形成するようにしてもよい。
【0050】
次に、図6(a)に示すように、ピンニング層26b上に反射防止膜27bを形成した後、オンチップレンズ29bを画素ごとに形成する。
【0051】
なお、図6(b)の緑色用イメージセンサ3gおよび図6(c)の赤色用イメージセンサ3rの製造方法は、図6(a)の青色用イメージセンサ3bの製造方法と同様である。
【0052】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係る固体撮像装置に適用されるイメージセンサの概略構成を示す断面図である。なお、上述した第1実施形態では、裏面照射型イメージセンサを3板式固体撮像装置に適用した例を示したが、この第3実施形態は、表面照射型イメージセンサを1板式固体撮像装置に適用する例を示す。
図10において、この表面照射型イメージセンサには、半導体基板30が設けられ、半導体基板30にはウェル層31が設けられている。なお、半導体基板30およびウェル層31の材料は、例えば、Siを用いることができる。また、半導体基板30の導電型はN型に設定することができる。また、ウェル層31としては、半導体基板30に形成されたP型不純物拡散層であってもよいし、半導体基板30上に形成されたP型エピタキシャル半導体層であってもよい。
【0053】
ウェル層31の表面側には光電変換層32b、32g、32rが画素ごとに形成されている。なお、光電変換層32b、32g、32rの導電型はN型に設定することができる。また、光電変換部32rは光電変換部32b、32gに対して光入射面Mから深い位置に配置することができる。ここで、光電変換部32rが光電変換部32b、32gに対して光入射面Mから深い位置に配置されるようにするために、各光電変換層32b、32g、32rの光入射面Mからの深さFb、Fg、Frは、Fb≦Fg<Frとなるように設定することができる。また、ウェル層31は、光電変換層32rの外側で光電変換された電荷が光電変換層32b、32gに流れ込まないようにするポテンシャルを形成することができる。光電変換層32b、32g、32r上にはピンニング層36b、36g、3
6rがそれぞれ形成されている。なお、ピンニング層36b、36g、36rは、光電変換層32b、32g、32rに形成されたP型不純物層を用いることができる。ピンニング層36b、36g、36r上には層間絶縁層33が形成されている。層間絶縁層33の材料は、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。層間絶縁層33には配線層34が埋め込まれている。なお、配線層34の材料は、例えば、AlまたはCuなどの金属を用いることができる。また、配線層34は、信号が読み出される画素を選択したり、画素から読み出された信号を伝送したりするのに用いることができる。
【0054】
層間絶縁層33上には、青色透過フィルタ38b、緑色透過フィルタ38gおよび赤色透過フィルタ38rが形成されている。青色透過フィルタ38bは光電変換層32b上に配置し、緑色透過フィルタ38gは光電変換層32g上に配置し、赤色透過フィルタ38rは光電変換層32r上に配置することができる。青色透過フィルタ38b、緑色透過フィルタ38gおよび赤色透過フィルタ38r上には、オンチップレンズ39が画素ごとに形成されている。なお、オンチップレンズ39の材料は、例えば、アクリルまたはポリカーポネートなどの透明有機化合物を用いることができる。
【0055】
ここで、光電変換部32b、32gに対して光入射面Mから深い位置に光電変換部32rを配置することにより、光電変換層32b、32gの深さを深くすることなく、光電変換層32rの深さを深くすることができる。一方、赤色光Rは光電変換層32rの深くまで届くのに対して、青色光Bおよび緑色光Gは光電変換層32b、32gの深くまで届かない。このため、光電変換層32b、32gの感度の低下を抑制しつつ、光電変換層32rに斜めに入射した赤色光Rが光電変換層32b、32gに侵入するのを抑制することが可能となり、混色を抑制することができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 レンズ、2b、2g、2r ダイクロイックプリズム、3b 青色用イメージセンサ、3g 緑色用イメージセンサ、3r 赤色用イメージセンサ、4 信号処理部、11b、11g、11r、21b、21g、21r、21b´、21g´、21r´ 半導体層、12b、12g、12r、22b、22g、22r、32b、32g、32r 光電変換層、13b、13g、13r、23b、23g、23r、33 層間絶縁層、14b、14g、14r、24b、24g、24r、34 配線層、15b、15g、15r 25b、25g、25r 支持基板、16b、16g、16r、26b、26g、26r、36b、36g、36r ピンニング層、17b、17g、17r、27b、27g、27r 反射防止膜、19b、19g、19r、29b、29g、29r、39 オンチップレンズ、10b、20b、30 半導体基板、31 ウェル層、38b 青色透過フィルタ、38g 緑色透過フィルタ、38r 赤色透過フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を青色光、緑色光および赤色光に分離する波長分離器と、
第1の光電変換部が画素ごとに設けられ、前記波長分離器にて分離された青色光の光電変換を画素ごとに行う青色用イメージセンサと、
前記第1の光電変換部よりも光入射面から深い位置に配置された第2の光電変換部が画素ごとに設けられ、前記波長分離器にて分離された緑色光の光電変換を画素ごとに行う緑色用イメージセンサと、
前記第2の光電変換部よりも光入射面から深い位置に配置された第3の光電変換部が画素ごとに設けられ、前記波長分離器にて分離された赤色光の光電変換を画素ごとに行う赤色用イメージセンサとを備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
入射光を色ごとに分離する波長分離器と、
第1の光電変換部が画素ごとに設けられ、前記波長分離器にて分離された第1色光の光電変換を画素ごとに行う第1のイメージセンサと、
前記第1の光電変換部よりも光入射面から深い位置に配置された第2の光電変換部が画素ごとに設けられ、前記波長分離器にて分離された第2色光の光電変換を前記画素ごとに行う第2のイメージセンサとを備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1のイメージセンサには、自画素の第1の光電変換部の外側で光電変換された電荷が他画素の第1の光電変換部に流れ込まないようにする第1のポテンシャルが形成され、
前記第2のイメージセンサには、自画素の第2の光電変換部の外側で光電変換された電荷が他画素の第2の光電変換部に流れ込まないようにする第2のポテンシャルが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第1の光電変換部が形成された第1の半導体層と、
前記第2の光電変換部が形成された第2の半導体層とを備え、
前記第1の半導体層のエッチング量に基づいて、前記第1のイメージセンサの光入射面からの前記第1の光電変換部の位置が設定され、
前記第2の半導体層のエッチング量に基づいて、前記第2のイメージセンサの光入射面からの前記第2の光電変換部の位置が設定されることを特徴とする請求項2または3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記第1の半導体層および前記第2の半導体層はSiとSiGeとの積層構造にて構成されることを特徴とする請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
半導体層に画素ごとに形成された第1の光電変換部と、
前記第1の光電変換部よりも光入射面から深い位置に配置されるようにして前記半導体層に画素ごとに形成された第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部に第1色光を入射させる第1のカラーフィルタと、
前記第2の光電変換部に第2色光を入射させる第2のカラーフィルタとを備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項7】
Si層と、
前記Si層に画素ごとに形成された第1の光電変換部と、
前記第1の光電変換部よりも光入射面から深い位置に配置されるようにして前記Si層に画素ごとに形成された第2の光電変換部と、
前記第2の光電変換部よりも光入射面から深い位置に配置されるようにして前記Si層に画素ごとに形成された第3の光電変換部と、
前記第1の光電変換部上に配置され、青色光を透過させる青色透過フィルタと、
前記第2の光電変換部上に配置され、緑色光を透過させる緑色透過フィルタと、
前記第3の光電変換部上に配置され、赤色光を透過させる赤色透過フィルタとを備えることを特徴とする固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−115101(P2013−115101A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257442(P2011−257442)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】