固形薬物送達装置、処方物および使用法
実施形態は、ペレットなどの固形薬剤を体内の様々な部位に送達するための装置および方法を提供する。一実施形態は、開口部を有する第1のチャンバと、この第1のチャンバを実質的に取り囲む第2のチャンバと、第1のチャンバ内に配設されたキャリッジと、薬剤ペレットを第1のチャンバから第2のチャンバに移送するための機構と、プッシャープレートとを備える、薬剤ペレットのin vivoでの送達用の装置を提供する。キャリッジは、複数の薬剤ペレットを保持し、ディスペンスすることができる。各ペレットは、状態を処置するために選択された用量の薬物を含む。カテーテルが、第2のチャンバ内に配設されている。カテーテルは、ペレットに合わせたサイズの管腔、チャンバ内の近位端部、およびペレットを送達部位に送達するためにチャンバの開口部を通って延在する遠位端部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
他の出願への関連
この出願は、2009年3月20日に出願された表題「Solid Drug Delivery Apparatus」の米国仮出願第61/210,554号(これは、全ての目的のためにその全体が参考として本明細書に援用される)への優先権の利益を主張する。この出願はまた、2009年3月20日に出願された表題「Methods of Solid Drug Delivery」の米国仮出願第61/210,579号(これは、全ての目的のためにその全体が参考として本明細書に完全に援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明の実施形態は、薬物送達装置およびその使用方法に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、固形薬物および他の治療薬の送達用の移植型薬物送達装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの医療処置における現在の傾向として、他の組織への毒性を回避するために特定の標的部位への薬物の送達、ならびに標的部位への薬物送達のタイミングおよび薬物の量のより正確な制御を必要とする。多くの場合、これは、移植型薬物ポンプを必要とし得る。しかしながら、現在利用可能なポンプは、そのサイズと出力要件から、全ての医療用途、特に、非常に厳格に制御された薬物用量を必要とし得る脳および他の組織への薬剤の送達に適していない。また、現行の装置は、制限されたレザバーのサイズおよび/または制限された薬物の貯蔵寿命により薬物の頻繁な補充を必要とし得る。したがって、in vivoでの薬物送達用の改善された移植型薬物送達装置およびこれに関連した方法が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本発明の実施形態は、固形の薬剤を体内の様々な部位に送達するための装置、システム、剤形、および方法を提供する。多くの実施形態は、固形の薬剤を送達するための移植型装置を提供し、この薬剤は、てんかんおよび糖尿病などの様々な医学的状態を処置するための1つ以上の固形薬物を含む。特定の実施形態は、長期間に亘って医学的状態を処置するために送達部位に要素(例えば、ペレット)などの固形薬剤を送達するための密閉移植型装置を提供する。実施形態は、装置または他の固形薬物送達装置の実施形態によって送達される1つ以上の薬物を含む様々な固形薬剤または剤形も提供する。
【0005】
一実施形態は、第1の開口部を有する第1のチャンバと、この第1のチャンバを実質的に取り囲む第2のチャンバと、第1のチャンバ内に配設されたキャリッジと、薬剤を第1のチャンバから第2のチャンバに移送するための機構と、プッシャープレートとを備える、固形薬剤または剤形のin vivoでの送達用の装置を提供する。この薬剤は、典型的には、ペレットに製剤されるが、他の固形剤形も考えられる(例えば、粉末)。各ペレットは、てんかんなどの特定の医学的状態を処置するために選択された用量の薬物を含む。この用量は、患者の体重および年齢に基づいて選択することができる。また、薬剤ペレットは、ペレットが制御されて崩壊して溶解し、状態の処置用の薬物の十分な濃度(組織部位、血漿、または他の組織の位置における)が達成されて維持されるように崩壊剤(disintegrant)を含む1つ以上の薬学的な賦形剤を用いて所望に製剤される。ペレットは、薬物がその効力および治療効果を維持するようにin vivoで数年以上の貯蔵寿命を有するように所望に製造される。ペレットは、状態の処置用の複数の薬物、例えば、HIV AIDSの処置用の抗ウイルス薬の混合物などを含み得る。
【0006】
キャリッジは、複数の薬剤ペレットを保持し、キャリッジの開口部を介してディスペンスするように構成されている。キャリッジは、ばね荷重するか、または他の前進手段を使用することができる。望ましくは、キャリッジは、長期間、例えば、2年以上に亘って状態を処置するために十分な補給用の薬剤ペレットを収容する。
【0007】
機構が、第1のチャンバ内に配設されており、この機構は、キャリッジから薬剤ペレットを受け取り、このペレットを第1の開口部を介して第1のチャンバの外部に移送し、次いで第1のチャンバ内に戻るように構成された運搬部材を備えている。典型的には、運搬部材は、ペレットを保持するためのスロットまたは他の開口部を備える。また、スライド可能な部材は、運搬部材の運動中にペレットを所定の位置に保持するように運搬部材上に配設することができる。運搬部材および/またはスライド可能な部材は、ばねなどの機械駆動源、またはリニア誘導電動機、ソレノイド、もしくは圧電トランスデューサなど電気駆動源によって前進させることができる。特定の実施形態では、駆動源は、電流による加熱に応じて長さが変化するニッケルチタンワイヤまたは他の形状記憶材料を含み得る。駆動源としての膨張性ガスの使用も考えられ、この場合、膨張性ガスは、抵抗加熱要素による加熱によって膨張することができる。膨張性ガスを使用して、運搬部材またはスライド可能な部材の1つ以上に係合するピストンまたは同様の駆動要素を延出させることができる。
【0008】
カテーテルなどの細長い部材が、第2のチャンバ内に配設されている。細長い部材は、薬剤ペレットを受け入れられるサイズの管腔、チャンバ内の近位端部、およびペレットを標的組織部位に送達するためにチャンバの開口部を通って延在する遠位端部または先端部を備えている。望ましくは、遠位先端部は、標的組織部位における長期間の移植を可能にするために非外傷性の構造を有する。プッシャープレートを用いて、ペレットを機構から係合解除し、ペレットを細長い部材の管腔内に押す、または前進させて標的組織部位に送達する。プッシャープレートは、本明細書に記載された1つ以上の駆動源に結合することができる。液体がペレットを細長い部材から運び出す、ポンプまたは他の圧力源に結合された液体の使用を含め、他の前進手段も考えられる。
【0009】
多くの実施形態では、装置は、薬剤ペレットを送達するための駆動源の作動および制御を含む薬剤送達過程の1つ以上の側面を制御するために制御装置に結合される。制御装置は、長期間に亘って薬剤が一定間隔(例えば、1日に1回または2回など)で送達される送達計画を含むようにプログラムすることができる。制御装置はまた、薬剤の送達を開始する、または送達計画を変更する(例えば、1日に1回から1日に2回へ)信号(例えば、無線または他の信号)を受信するように構成することもできる。この方法では、患者または医療スタッフが、特定の現象(例えば、アンギナの発症)または患者の状態もしくは診断における長期間の変化に応じて薬剤の送達を制御することができる。
【0010】
制御装置は、薬剤ペレット中の薬剤によって処置される状態、例えば、糖尿病性高血糖症(インスリンによる処置)を示す生理学的パラメータを検出するグルコースセンサなどの移植型センサに接続するか、または移植型センサからの入力を他の方法で受け取ることができる。制御装置は、状態を示すセンサからの入力を受け取ると、医学的状態を処置するように1つ以上の薬剤ペレットの標的組織部位への送達を開始する。センサからの最初の入力および後続の入力の両方を使用して、状態が消失する、または他の方法で処置されるまでは、長期間に亘って薬剤ペレットの送達を増減することができる。制御装置は、送達された薬物の血漿または他の組織における濃度を測定するように構成された他のセンサからの入力を受け取ることもできる。これらの入力を使用して、薬剤の送達を増減して薬物の選択された濃度(例えば、血漿中または組織中など)を達成することができる。薬物センサは、体内の複数の部位における薬物分布の薬物動態モデルを開発するために、標的組織部位、ならびに体内の他の部位(例えば、静脈または動脈)に配置することができる。装置は、薬剤ペレットがいつ使い果たされるか、および/または正確にいくつ残っているかを示す制御装置に接続されたセンサも備えることができる。そして、制御装置は、このデータを外部通信装置、例えば、携帯電話、携帯型モニタ、または遠隔モニタ(例えば、診療所にある)に信号を送ることができる。この方法では、患者および/または医療スタッフは、装置の薬剤が無くなる前に適切な行動をとることができる。
【0011】
ペレットまたは他の固形の薬剤は、皮下組織などの送達部位に送達され、標的組織部位で所望の薬物濃度となるように、そこで破壊され、崩壊し、そして体組織液によって吸収される。一部の適用例では、送達部位は、例えば、脳などの標的部位と同じにすることができる。他の適用例では、標的部位は、送達部位とは別にすることができる。例えば、送達部位を胸部の筋内組織として、標的部位を心臓または肝臓とすることができる。送達部位は、下層の筋組織に送達するために標的部位の近傍、例えば、脂肪としても良いし、あるいは、心臓の部位に達するように反対側ではない部位に配置する、例えば、筋内送達としても良い。いずれの場合も、薬剤ペレットは、選択された用量の薬物を含むことができ、標的組織部位で治療効果のある薬物濃度となるように、崩壊し、体組織液によって溶解されるように構成することができる。多くの適用例では、この場合、ペレットが、送達部位の体組織液(例えば、間質液)によって溶解され、次いで薬物が組織から血流に拡散し、薬物が標的組織部位に運ばれる。したがって、これらおよび他の適用例では、ペレット中の薬物の用量を増減して、ペレットの溶解の最中および後で選択された期間に亘って薬物の選択された血漿(または他の組織区画)の濃度(または濃度範囲)を達成することができる。
【0012】
一部の実施形態では、ペレット(薬物用量を含む)は、脳内の脳脊髄液(CSF)などの体内の区画内の組織液中で選択された濃度に達するように、崩壊し、その区画内の組織液によって溶解されるように構成されている。てんかんおよび他の発作などの様々な神経障害を処置するための特定の実施形態では、ペレットは、発作の再発を防止する、またはその期間および重症度を低減するために、迅速に崩壊してCSFに溶解され、脳を浸しているCSF中で選択された薬物濃度に迅速に達するように構成されている。これは、1つ以上の超崩壊剤(super disintegrant)、ならびにペレットの内部または表面の崩壊促進特徴(例えば、孔、割れ目、または他の貫入部)の使用によって達成することができる。これはまた、力学的なエネルギー、電磁エネルギー、音響エネルギー、または他のエネルギーを送達する前または後でペレットを処置して、ペレットの構造を弱める、体液の進入のための割れ目および他の構造的欠陥を形成する、またはペレットの小片への分解を開始することによって達成することもできる。他の実施形態では、患者の体内に送達するための固形薬剤であって、疾患または状態の処置のための少なくとも1つの薬物を含み、固形薬剤が、(i)固形薬剤に実質的な分解または有害作用をもたらすことなく長期間に亘って体内に移植された容器内に貯蔵され、(ii)送達部位に送達され、かつ(iii)送達部位で組織液に溶解して標的組織部位で治療効果をもたらして疾患または状態を処置するような形状および材料特性を有する、固形薬剤を提供する。
【0013】
様々な適用例では、本発明の実施形態を用いて固形薬物を送達し、てんかん性発作、高血圧症、高コレステロール症、糖尿病、冠動脈不整脈(心房および心室の両方の)、冠血管虚血(coronary ischemia)(例えば、心臓発作から)、脳虚血、脳卒中、貧血、または他の同様の状態を含む多数の医学的状態の処置を行うことができる。この装置は、標的組織部位(例えば、脳)もしくはその近傍、または離れた送達部位(例えば、胸部または大腿部の筋内)に移植することができる。本発明のさらなる実施形態を用いて、これらまたは他の状態の2つ以上を同時に処置して、患者が1日に複数の薬物の複数回の投与(例えば、経口または非経口手段)を受けなくても良いようにすることができる。これは、認知障害の患者を含む長期に亘る慢性状態の患者に特に有用である。
【0014】
本発明を使用する方法の例示的な実施形態では、処置すべきによって、本装置を、選択された送達部位(例えば、脳)に移植することができる。移植は、観血または低侵襲性外科手術によって行うことができる。長期間、例えば、数年に亘って送達部位にペレットを送達するために、移植の前に、選択された数のペレットをキャリッジに装着することができる。移植されたら、ペレットに分解または有害作用(例えば、薬物の効力または治療効果の低下)をもたらすことなく数年(例えば、1年、2年、または5年以上)の長期間、ペレットを装置内に貯蔵することができる。装置は、一定の間隔(例えば、1日に1回、1週間に1回、または1月に1回など)で、またはセンサからの入力に応答して送達部位に固形薬剤を送達することができる。後者の場合、この入力は、特定の医学的状態またはてんかん性発作もしくは発作前の現象などの現象を示すことができる。本明細書に記載された制御装置を用いて、センサの入力に基づいていつ送達を開始するべきか、および/または一定の間隔での送達を利用する実施形態の送達の時間間隔を決定することができる。いずれの場合も、制御装置は、信号を移送機構に送信して、ペレットをキャリッジおよび内側チャンバから外側チャンバに移送することができる。外側チャンバに達したら、プッシャープレートまたは他の前進手段が、ペレットを移送機構から移動させ、ペレットをカテーテルを介して前進させ、標的送達部位に送達する。そこで、ペレットが崩壊/分解し、局所組織液中に溶解して局所標的組織部位を処置する(例えば、CSF中に溶解して脳を処置する)、または溶解した後に血流に吸収されて、離れた標的組織部位(例えば、肝臓または心臓など)に運ばれる、あるいはこれらの両方である。さらに、ペレットは、医学的状態を示す生理学的データ(例えば、血糖)を提供するセンサ、または薬物の局所および/または血漿濃度を検出するように構成された別のセンサからの入力に基づいて送達することができる。一部の実施形態では、ペレットの送達は、前に送達されたペレットの崩壊の状態を検出することによって制御することができる。例えば、次のペレットは、前のペレットが特定の崩壊状態(例えば、ペレットが完全または実質的に崩壊した)であると決定したときに送達することができる。これは、光信号、超音波信号、または電気信号などの信号をペレットに対して送受信することによって達成することができる。例えば、光信号を使用する場合は、反射率測定を用いて崩壊の状態を決定することができる。特定の崩壊状態は、反射率信号が特定の閾値よりも低下したときに決定することができる。同様の手法を、反射された超音波またはインピーダンスの使用のために用いることができる。ペレットは、反射された超音波信号、光信号、または他の信号を強化するために様々なエコー源性または光学的に不透明もしくは他の作用物質さえも含み得る。ペレットは、その崩壊状態を示すように構成されたパターン、サイズ、形状の1つ以上を有する様々な光学指示手段(optical indicia)を含んでも良い。
【0015】
本発明のこれらおよび他の実施形態および態様のさらなる詳細を、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、固形薬物送達装置の実施形態を示す側面図である。
【図2a】図2aは、薬剤ペレットの実施形態を例示する側面図である。
【図2b】図2bは、体組織液による薬剤ペレットの分解および溶解を促進するための特徴を有する薬剤ペレットの実施形態を例示する側面図である。
【図2c】図2cは、体組織液による薬剤ペレットの分解/崩壊の測定用のコーティングおよび光学指示手段を有する薬剤ペレットの実施形態を例示する側面図である。
【図3a】図3aは、補給用の薬剤ペレットを保持するキャリッジの実施形態を示す側面図である。
【図3b】図3bは、補給用の薬剤ペレットを保持する積層されたキャリッジの実施形態を示す斜視図である。
【図4】図4は、装置の異なるチャンバ間で薬剤ペレットを移送するための機構の実施形態を示す側面図である。
【図5a】図5aは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5b】図5bは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5c】図5cは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5d】図5dは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5e】図5eは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5f】図5fは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5g】図5gは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図6a】図6aは、移送機構の形状記憶金属駆動源の動作を示す側面図である。
【図6b】図6bは、移送機構の形状記憶金属駆動源の動作を示す側面図である。
【図7a】図7aは、移送機構の加熱ガス/ピストン駆動源の動作を示す側面図である。図7aは、薬剤ペレットを装置の内部から送達部位へ移送するための機構の動作を例示する側面図である。
【図7b】図7bは、移送機構の加熱ガス/ピストン駆動源の動作を示す側面図である。図7bは、薬剤ペレットを装置の内部から送達部位へ移送するための機構の動作を例示する側面図である。
【図7c】図7cは、薬剤ペレットを装置の内部から送達部位へ移送するための機構の動作を例示する側面図である。
【図7d】図7dは、薬剤ペレットを装置の内部から送達部位へ移送するための機構の動作を例示する側面図である。
【図7e】図7eは、薬剤ペレットを装置の内部から送達部位へ移送するための機構の動作を例示する側面図である。
【図8a】図8aは、ペレットを標的組織部位に送達するために使用されるカテーテルの実施形態を例示する側面図である。
【図8b】図8bは、薬剤ペレットの崩壊状態を測定するためのセンサを有するカテーテルの実施形態の使用を例示する側面図である。
【図9a】図9aは、体内の異なる部位に配置される装置の実施形態を示す図であり、図9aは、脳組織の標的部位へ薬剤を送達するための装置全体の脳内への配置を示し、図9bは、送達カテーテルが脳内に延びている頭皮への装置の配置を示し、図9cは、2つの異なる送達部位に配置された2つの送達カテーテルを有する装置の実施形態を示している。図9dは、2つの送達カテーテルを備え、第1の送達カテーテルが膝関節の近傍または内部に配置され、第2の送達カテーテルが異なる部位に配置された装置の実施形態を示している。
【図9b】図9bは、体内の異なる部位に配置される装置の実施形態を示す図であり、図9aは、脳組織の標的部位へ薬剤を送達するための装置全体の脳内への配置を示し、図9bは、送達カテーテルが脳内に延びている頭皮への装置の配置を示し、図9cは、2つの異なる送達部位に配置された2つの送達カテーテルを有する装置の実施形態を示している。図9dは、2つの送達カテーテルを備え、第1の送達カテーテルが膝関節の近傍または内部に配置され、第2の送達カテーテルが異なる部位に配置された装置の実施形態を示している。
【図9c】図9cは、体内の異なる部位に配置される装置の実施形態を示す図であり、図9aは、脳組織の標的部位へ薬剤を送達するための装置全体の脳内への配置を示し、図9bは、送達カテーテルが脳内に延びている頭皮への装置の配置を示し、図9cは、2つの異なる送達部位に配置された2つの送達カテーテルを有する装置の実施形態を示している。図9dは、2つの送達カテーテルを備え、第1の送達カテーテルが膝関節の近傍または内部に配置され、第2の送達カテーテルが異なる部位に配置された装置の実施形態を示している。
【図9d】図9dは、体内の異なる部位に配置される装置の実施形態を示す図であり、図9aは、脳組織の標的部位へ薬剤を送達するための装置全体の脳内への配置を示し、図9bは、送達カテーテルが脳内に延びている頭皮への装置の配置を示し、図9cは、2つの異なる送達部位に配置された2つの送達カテーテルを有する装置の実施形態を示している。図9dは、2つの送達カテーテルを備え、第1の送達カテーテルが膝関節の近傍または内部に配置され、第2の送達カテーテルが異なる部位に配置された装置の実施形態を示している。
【図10a】図10aは、薬剤ペレットに係合して前進させるプッシャープレートの実施形態の動作を例示する側面図である。
【図10b】図10bは、薬剤ペレットに係合して前進させるプッシャープレートの実施形態の動作を例示する側面図である。
【図10c】図10cは、薬剤ペレットに係合して前進させるプッシャープレートの実施形態の動作を例示する側面図である。
【図10d】図10dは、薬剤ペレットに係合して前進させるプッシャープレートの実施形態の動作を例示する側面図である。
【図10e】図10eは、薬剤ペレットに係合して前進させる帯電プッシャープレートの実施形態の動作を例示する側面図である。
【図11】図11は、固形薬物送達装置の1つ以上の実施形態に使用される制御装置の実施形態を例示する簡易ブロック図である。
【図12a】図12aは、薬物の溶解および薬物の脳内の標的部位への送達のための薬剤ペレットの脳室内の配置を示す図である。
【図12b】図12bは、送達部位から離れた標的組織部位への薬物の輸送のための薬剤/薬物ペレットの送達部位における配置を示す図である。
【図13】図13aおよび図13bは、ペレットの溶解を促進するようにペレットの構造を分解するための力またはエネルギーの送達を例示するペレットの側面図である。図13aは、力/エネルギーの送達前のペレットを示し、図13bは、力/エネルギーの送達後のペレットを示している。
【図14】図14は、ペレットの溶解を促進するための機械的な力の薬剤ペレットへの送達を例示する側面図である。
【図15】図15は、ペレットの溶解を促進するための、送達前の薬剤ペレットへのエネルギーの送達を例示する側面図である。
【図16】図16は、ペレットの溶解を促進するための、ペレット送達部位へのエネルギーの送達を例示する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態は、体内の様々な部位に固形状で薬剤を送達するための装置、システム、剤形、および方法を提供する。多くの実施形態は、固形状の薬剤を送達するための移植型装置を提供し、この薬剤は、てんかん、糖尿病、高血圧症、および高コレステロール症などの様々な医学的状態を処置するための1つ以上の固形薬物または他の治療薬を含む。特定の実施形態は、長期間に亘って医学的状態を処置するために送達部位DS、最終的には脳などの標的組織部位TS(本明細書では標的部位TS)に固形薬剤を送達するための密閉移植型装置を提供する。実施形態はまた、本装置の実施形態または他の固形薬物送達装置によって送達される1つ以上の薬物を含む様々な固形薬剤または剤形も提供する。
【0018】
ここで、図1および図4を参照すると、固形薬剤100を送達部位DSへ送達するための装置10の実施形態は、第1のチャンバ開口部またはポート25を有する第1のチャンバ20、この第1のチャンバを実質的に取り囲み、第2のチャンバ開口部またはポート35を有する第2のチャンバ30(外側チャンバ30とも呼ばれる)、第1のチャンバ内に配設されたキャリッジ40、薬剤を第1のチャンバから第2のチャンバに移送するための機構50、および固形薬剤100を第2のチャンバからそのチャンバの外部に移送するためのプッシャープレートまたは他の移送要素70を備えている。本明細書に記載されるように、多くの実施形態では、ポート35は、管腔61、開口35に接続された近位端部62、および固形薬剤100の送達のために組織送達DSに配置される遠位端部63を有するカテーテル60などの細長い部材60に結合されている。
【0019】
ここで、図2aを参照すると、本明細書では剤形100としても記載される固形薬剤は、典型的にはペレットに製剤されるが、粉末および顆粒などの他の固形剤形も考えられる。説明を容易にするために、固形薬剤100は、以降は薬剤ペレット100および/またはペレット100と呼ぶことにするが、他の形態の固形薬剤100も等しく該当し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される場合、薬剤という用語は、薬物110または他の治療薬110および1つ以上の薬学的な賦形剤120を含む。他の治療薬110は、抗体、ワクチン、微量栄養素、および同様の作用物質を含み得る。したがって、各ペレット100は、てんかんの処置用のフロセミドなどの特定の医学的状態を処置するために選択された用量の薬物または他の治療薬110を含む。この用量は、患者の体重および年齢に基づいて選択することができる。また、多くの実施形態では、薬剤ペレット100は、1つ以上の薬学的な賦形剤120を使用して製剤することができる。適切な賦形剤120は、薬物を保存するための保存剤、薬物成分を互いに結合するための結合剤、および状態の処置のために薬物の十分な濃度(組織部位または他の組織位置のいずれかにおける)を達成して維持するように制御された方式でペレットを崩壊させて溶解するための崩壊剤を含む。本明細書に記載されているように、崩壊剤120は、当技術分野で周知の超崩壊剤を含み得る。超崩壊剤の例には、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ならびに関連する塩および同様の化合物が含まれる。
【0020】
ペレット100は、選択可能なサイズおよび形状100sを有することができ、任意の数の薬物または他の治療薬を含むことができ、かつ凍結乾燥法を含む様々な薬学的な製造方法を用いて製造することができる。特定の実施形態では、ペレット100は、円形、楕円形、または他の形状を有することができる。ペレット100のサイズおよび形状は、薬物の用量、崩壊速度、および送達部位の1つ以上の要件に基づいて選択することができる。形状は、キャリッジ40または他の同様の要素内への最適な詰め込みとなるように選択することができる。ペレット100の特定の実施形態は、50個、100個、または200個以上のペレットのキャリッジ40内への詰め込みを可能にする形状およびサイズにすることができる。ペレット100は、薬物の効力および治療効果が維持されるように、in vivoで貯蔵される場合に数年、例えば、2〜5年またはそれ以上の貯蔵寿命を有するように製造されることも望ましい。このような貯蔵寿命は、チャンバ20内に貯蔵されている間に薬物110を含むペレット100が実質的に分解したり、他の有害作用(例えば、薬物の効力または治療効果を低減する作用であり、例えば、薬物の効力または治療効果を10%未満、1%未満、または0.1%未満低減する)を受けないように、保存剤の使用およびペレット100を構成する1つ以上の化学成分の凍結乾燥の1つ以上によって達成することができる。再び図1を参照すると、貯蔵寿命は、水分、空気、またはペレット100の分解を引き起こし得る他の周囲条件への曝露によりペレット100の分解または他の有害作用が殆どまたは全く起こらないように、チャンバ20を実質的に密閉されるように形成することによって向上させることもできる。特定の実施形態では、部分51eおよびスリーブ52を含む機構50の部分は、開口部25を通る機構50の全てまたは一部の運動の最中に維持され得るシール51hを形成するように構成することができる。また、チャンバ20および30の一方または両方は、チャンバ内に侵入し得るあらゆる水蒸気を吸収し、かつ/またはチャンバ20内への水蒸気の侵入を防止するためにゼオライト乾燥剤などの乾燥剤を含み得る。チャンバ20用のシールの単独使用および/または乾燥剤との併用により、チャンバ20の内部20iを体内環境から実質的に隔離した状態を維持して、ペレット100の貯蔵寿命を延ばすことができる。
【0021】
様々な実施形態では、ペレット100は、1つまたは複数の薬物110を含み得る。特定の実施形態では、ペレット100は、1つまたは複数の状態の処置用の薬物の組み合わせ、例えば、HIV AIDSの処置用のプロテアーゼ阻害剤などの抗ウイルス薬と補助細菌感染症の処置用の抗生物質との混合を含み得る。
【0022】
ここで図2bおよび図2cを参照すると、様々な実施形態では、ペレット100は、ペレットの分解/崩壊を促進する他、崩壊の量および速度を定量する様々な特徴および化学物質を含み得る(ペレット100に対して使用される場合、分解または崩壊という用語は、本質的に同義的に使用される。様々な実施形態では、ペレットは、ペレット内部102への体組織液の進入(毛細管現象による)を促進して溶解によるペレットの崩壊を加速させるために多孔質とすることができ、または、かつ/またはペレット表面から内側に延びた1つ以上の溝101を含むことができる。特定の実施形態では、溝101は、図2bの実施形態に示されているように、体組織液がペレット外周104に沿って実質的に均一に進入するようにパターン103に配置することができる。
【0023】
また、様々な実施形態では、ペレット100は、ペレット100で反射される音響または光信号が反射されやすくするためにエコー源性または光反射物質100aを含み得る。本明細書に記載されるように、このような信号は、ペレットの崩壊の量を定量するために使用される。ペレット100はまた、ペレットの崩壊の状態を示すように構成されたパターン、サイズ、または形状の1つ以上を有する様々な光学指示手段100iも含み得る。パターンは、反射率(例えば、光または音響)を高める、または逆に散乱を強めるように構成することができる。異なるパターン(例えば、反射させる部分と散乱させる部分)を有する複数の指示手段を、ペレット表面のいくつかの位置に配置することができる。指示手段100iのサイズおよび形状を使用して、崩壊の総量、ならびに崩壊の速度を決定することができ、例えば、指示手段のサイズが小さければ小さいほど、崩壊が進んでおり、指示手段のサイズの縮小速度が、崩壊の速度に相関している。指示手段の減少速度とペレットの崩壊(例えば、1次崩壊、2次崩壊など)との間の正確な相関関係を定めるために様々な較正測定(例えば、崩壊の時間経過に対するペレット質量および指示手段のサイズの測定)を行うことができる。特定の実施形態では、指示手段100iは、図2bの実施形態に示されているようにペレット100の長さおよび幅の全てまたは一部に亘って延在する線、長方形、または楕円形を含み得る。指示手段100iの他の考えられる形状には、円形、および十字形などの様々な交差形状が含まれる。指示手段100iは、ペレット100の外周104に沿った様々な位置に配置することができる。
【0024】
再び図1および図4を参照すると、チャンバ20および30は、機械的(例えば、支柱、ボルト、スエージなど)接着手段または別の接合手段とすることができる1つ以上の接合部21によって接合することができる。接合部21は、外側チャンバ30が内側チャンバ20に対して捻れる、曲がる、または回転できるように可撓性にすることもできる。一方または両方のチャンバは、当技術分野で周知の様々な生体適合性金属およびプラスチック、例えば、PET、フルオロポリマー、PEBAX、ポリウレタン、チタン、およびステンレス鋼などから製造することができる。また、一方または両方のチャンバは、チャンバ20および/または30内への水蒸気の透過を最小限にするためにガス/水蒸気不透過性材料から製造するか、またはガス不透過性層を含むことができる。適切なガス/水不透過性材料には、イソブチルゴムが含まれる。外側チャンバ30は、ポリウレタン、シリコーン、フルオロポリマー、およびDACRONなどを含む当技術分野で周知の1つ以上の生体適合性コーティング31も含み得る。コーティング31は、チャンバに対する細胞接着および他の生体接着の量を低減するために心臓血管移植の分野で周知の様々なステロイドなどの様々な溶出薬物も含み得る。外側チャンバ30は、頭蓋骨および頭蓋腔、胸部、1つ以上の胃腸器官内、心臓、脈関係を含む体内の様々な部位、ならびに四肢および胴部を含む様々な皮下および筋内部位に適合するサイズおよび形状にすることができる。チャンバ30の全てまたは一部はまた、周囲の組織層および区画の形状、例えば、頭蓋骨内部の曲線または皮膚の輪郭に整合するように適合性材料(例えば、ポリウレタンシリコーンおよび他の弾性ポリマー)から形成することもできる。適合性材料を利用して、長期間の移植の間に周囲の体組織が外側チャンバの周りで成長してチャンバの変形を許容することもできる。この方法では、可撓性外側チャンバを有する実施形態は、周囲組織の成長および機能に対するチャンバの影響を最小限にするため、装置を、非常に長い期間に亘って移植することができ、例えば、装置を子供に植え込んで成人期まで維持することができる。様々な適合性材料を用いて、低侵襲法を用いた装置10の移植を容易にすることもできる。このような材料は、チャンバ30を含む装置を曲げる、捻る、または他の方法で適合させて外科ポートに挿入し、装置を案内して、目的の移植部位に配置したら元の形状に戻すことができる。特定の実施形態では、チャンバ30の曲げおよび捻りは、本明細書に記載される可撓性接合部21の使用によってさらに容易にすることができる。チャンバ30は、低侵襲性外科手術法による移植をさらに容易にするサイズおよび形状にすることもできる。例えば、装置は、様々な低侵襲性外科ポートに通して装置の案内をできるように、特定のサイズおよび円筒形などの形状を有することができる。
【0025】
ここで図1、図3a、および図3bを参照すると、キャリッジ40は、複数の薬剤ペレット100または他の固形薬剤100を保持し、ディスペンスするように構成されている。典型的には、これは、機構50の構成要素が個々のペレットに係合するように、機構50の1つ以上の構成要素に係合する、または他の方法でアクセスできるようにする開口部45を介して行われる。1つ以上の実施形態では、キャリッジ40は、機構50による係合のためのペレット100の排出のためにばね荷重することができる。他の実施形態では、キャリッジは、重力送りまたは関連手段によって機構50にペレットを供給するように構成することができる。液圧手段およびガス放出手段を含む他のペレット排出手段も考えられる。望ましくは、キャリッジ40は、長期間、例えば、2〜5年またはそれ以上に亘って特定の医学的状態の処置を行うために十分な補給用の薬剤ペレットを収容する。様々な実施形態では、キャリッジ40は、数百以上のペレットを保持するように構成することができ、残っているペレットの数を決定するためのセンサ41を含むことができる。キャリッジ40は、同時に2つ以上のペレット100を排出する、または他の方法で送達するように構成することもできる。複数のキャリッジ40を積層または他の同様の要領で利用して、スタック42を構成することもできる。図3bは、2つ以上の積層されたキャリッジ43を含むキャリッジスタック42を有する本発明の実施形態を例示している。キャリッジ40は、垂直方向または水平方向に積層することができる。このような実施形態では、キャリッジ40は、キャリッジを互いに連結するために1つ以上の嵌め合い特徴(不図示)を含み得る。複数のキャリッジ40を有する実施形態は、実質的に同時に複数のペレット100を送達するように構成することができる。
【0026】
様々な実施形態では、キャリッジ40は、可動式または固定式とすることができる。多くの実施形態では、キャリッジ40は、可動式であり、典型的には、中心軸を中心に回転式に運動するように構成されるが、線形または他の方式で運動しても良い。キャリッジは、様々な機械または電気機械手段、例えば、ばね、電気モータ、ソレノイドスイッチ、または圧電駆動源などによって回転または他の方法で前進させることができる。特定の実施形態では、キャリッジ40は、駆動機構(不図示)に係合する回転式または他の可動式のプラスチック製または金属製のカセットまたはベルトを含み得る。駆動源は、例えば、カセットを使用する実施形態では、キャリッジ内に組み入れることもできる。このような実施形態では、様々な微細機械加工およびMEM法を用いて駆動源を小型化することができる。キャリッジは、重力送りを利用した実施形態などでは固定したままに構成することもできる。このような実施形態では、キャリッジは、フィーダ40を含み得る。
【0027】
キャリッジ40は、正確に何個のペレット100が残っているかの信号を送り、かつ/またはペレットがいつ使い切られたかの信号を送るように構成された1つ以上のセンサ41も含み得る。センサ41はまた、典型的には、本明細書に記載される制御装置80に接続されるか、または他の方法で制御装置80に入力を提供する。次いで、制御装置は、このデータを外部通信装置、例えば、携帯電話、携帯型モニタ、または遠隔モニタ(例えば、診療所にある)に送信することができる。この方法では、患者および/または医療スタッフは、装置の薬剤が無くなる前に適切な行動をとることができる。典型的には、センサ41は、キャリッジ40に結合されるが、装置10の他の位置にも配置することができる。
【0028】
図1、図4、および図5a〜図5gを参照して、これから移送機構50、本明細書では機構50の説明を行う。多くの実施形態では、機構50は、第1のチャンバ20内に実質的に配設され、キャリッジ40から薬剤ペレット100を受け取り、薬剤ペレットをチャンバ開口部25を介して第1のチャンバの外部に移送し、次いで第1のチャンバ20内に戻るように構成された運搬部材51を備えている。運搬部材51は、典型的には、ペレット100を保持するためのスロット51sまたは他の開口部も備える。運搬部材の遠位部分51dp(開口部25に面した部分)は、フランジとして作用し、スライド可能な部材が外側(すなわち、遠位)方向に前進したときに開口部25を密閉し、したがってチャンバ25を密閉する拡大部分51eも含み得る。スライド可能な部材またはスリーブ52は、運搬部材51の運動中にペレット100を所定の位置に保持するように運搬部材に対して同軸的または他の方法で配置することができる。スリーブ52は、後述される駆動源54の様々な実施形態との係合を可能にする拡大部分52eを有し得る。一部の実施形態では、拡大部分52eは、スリーブ52の他の部分から独立して運動可能な構成要素を含むことができ、これによりスリーブ52が部材51に対してスライドし、部分52eがこれに続くことができる。1つ以上の軸受53を運搬部材51とスリーブ52との間に配置して、スリーブの部材51に対するスライドを可能にすることができる。スリーブ52は、ペレットがスロット51sの所定の位置に配置されると、スロットを含む運搬部材に対して前進し、次いで外側方向に運搬要素51と平行に運動し、次いで運搬部材と共にチャンバ20内に戻り、運搬部材がチャンバ20内に完全に引き戻されると、引き戻されてスロット51sを露出するように構成されている。この全過程が、新たなペレットをキャリッジから受け取ってチャンバ20の外部に送られる度に繰り返される。
【0029】
運搬部材51およびスリーブ52を含む機構50の1つ以上の構成要素は、金属またはポリマーを含んでも良く、当技術分野で周知の様々な機械加工(微細加工を含む)および/または成形法を用いて製造することができる。典型的には、運搬部材51およびスリーブ52は、チャンバ20に対して直線的に出入りするように構成されているが、他の形態の運動も考えられる(例えば、回転運動)。運搬部材51および/またはスリーブ52の運動は、駆動源54によって行うことができる。駆動源54は、ばねなどの機械駆動源、または電気モータ、ソレノイド、もしくは圧電モータなどの電気機械駆動源を含み得る。他の関連した実施形態では、運搬部材51およびスライド可能な部材52の一方または両方を電磁力によって前進させることができ、これらの部材は、リニア誘導電動機などの電子モータの一部を含む。
【0030】
多くの実施形態では、輸送機構50は、運搬部材51などのこの機構の一部を第1のチャンバに対して往復運動して出入りするように構成することができる。図5a〜図5gは、往復運動する機構50の実施形態の動作を例示している。この実施形態では、ペレット100がスロット51s内に配置されると、スリーブ52が部材51に対して前進し、次いで部材51および52の遠位部分が、チャンバ20から延出し、この時、スリーブ52が引き戻されてペレットが露出され、ペレットがプッシャープレート70に係合し、部材60内を前進する。次いで、部材51および52が、チャンバ20内に引き戻され、部材51が、次のペレットを受け取る準備が整う。
【0031】
上記の実施形態は、リニア誘導電動機などの電気機械駆動源54を利用している。しかしながら、他の駆動源を選択して、上記の実施形態で説明された運動を達成するように構成することもできる。他の適切な駆動源には、ばね手段、磁気手段、空気圧手段、流体手段、および当技術分野で周知の他の駆動源が含まれ得る。電気機械駆動源54を有する装置10の実施形態は、駆動源54に電力を供給するためのバッテリ55または他の電源も含み得る。適切なバッテリ55には、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、空気亜鉛電池、アルカリ電池、および電池分野で周知の他の化学電池が含まれる。
【0032】
ここで図6a〜図6bおよび図7a〜図7bを参照すると、図6aおよび図6bに示されている実施形態では、駆動源54は、例えば、バッテリ55または他の電源から供給され得る電流による加熱などに応答して長さを変えるニッケルチタンワイヤまたは他の形状記憶材料を含み得る。駆動源として膨張性ガス59の使用も考えられ、膨張性ガスは、図7aおよび図7bの実施形態に示されている抵抗加熱要素56による加熱によって膨張させることができる。このガスを使用して、シャフト58または他の連結部材によって運搬部材51またはスライド可能な部材52の1つ以上に係合するベローズ57を拡張させることができる。また、シャフト58を使用して、駆動源54の他の実施形態をスライド可能な部材52および/または運搬部材51の一方または両方に連結することもできる。
【0033】
ここで図8aを参照すると、多くの実施形態では、装置10は、ペレット100を標的組織部位に送達するための、外側チャンバ30に取り付けられた細長い部材60を備えている。細長い部材60には、カテーテル、金属製ハイポチューブ、または他の管状構造が含まれ得る。説明を容易にするために、部材60は、送達カテーテル60またはカテーテル60と呼ぶが、上記の他の形態も等しく該当する。カテーテル60は、ポリエチレン、PET、ポリウレタン、およびシリコーンなどを含むカテーテル分野で周知の様々なポリマー材料から製造することができる。カテーテルはまた、ステンレス鋼を含む様々な金属材料、およびニッケルチタン合金などの様々な超弾性金属形状記憶材料(例にはニチノールが含まれる)から製造しても良い。カテーテル60は、薬剤ペレットを受け入れられるサイズの管腔61、チャンバ30の内部に配置される、または開口部35に結合される近位端部62、およびペレットを送達組織部位DSに送達するためにチャンバ30の外側に延びた遠位端部または先端部63を備えている。特定の実施形態では、カテーテル60は、装置10の位置とは異なる組織部位(例えば、装置10の残りの部分が頭蓋骨の外部に配置されているときは脳内)にペレット100を送達するのに十分な長さを有することができる。また、特定の実施形態では、カテーテル60は、ペレット100をチャンバ30から送達部材DSまで前進させるための駆動源を提供するように構成することができる。駆動力は、カテーテルの長手方向に沿って遠位側に移動する蠕動様波の収縮を含み得る。これは、カテーテル60を、圧電材料または同様の材料から形成して、これを電源に接続するか、または形状記憶材料から形成して、これを本明細書に記載されている熱出力源に接続して達成することができる。前者の場合は、電圧の印加により、カテーテル材料が収縮し、後者の場合は、熱の印加により、同様にカテーテル材料が収縮する。カテーテル60を介してペレット100を輸送するための代替の実施形態では、ペレット100を帯電させる、または帯電コーティングを含めて、ペレットが、カテーテルからカテーテル表面または本明細書に記載されているプッシャープレート70に対する電圧(反対の電荷を持つ)の印加によりはじかれるようにする。
【0034】
望ましくは、遠位カテーテル先端部63は、標的送達部位における長期間の移植を可能にする非外傷性構造を有する。これは、テーパ形状63tを有するように先端部を構成すること、ならびにシリコーンおよびポリウレタン、フルオロポリマー、および当技術分野で周知の他のポリマーを含む1つ以上の非外傷性可撓性ポリマー材料から先端部を形成することによって達成することができる。遠位先端部63を含むカテーテル60は、送達部位DSで様々な測定を行うための1つ以上のセンサ64も含み得る。このような測定には、薬物濃度、pH、グルコース、様々な代謝産物、ならびに組織PO2およびCO2などが含まれ得る。
【0035】
ここで図8bを参照すると、特定の実施形態では、センサ64は、ペレット100の分解/崩壊状態を決定するために様々な測定を行うセンサ65も含み得る。このような測定を行うのに適切なセンサ65には、光学センサ、インピーダンスセンサ、音響センサ、および化学センサが含まれ得る。センサ65には、エミッタ66eおよび検出器66dを含むアセンブリ66も含まれ得る。アセンブリ66は、反射率測定を行うための光エミッタおよび検出器、ならびに超音波測定を行うための超音波トランスデューサ(エミッタと検出器として構成されている)を含み得る。アセンブリ66は、ペレット100の分解/崩壊状態によって変調される、または他の方法で変更される信号67を送信または放出し、次いでペレット100によって信号68として反射され、次いでこの信号を分析してペレットの分解状態を決定することができる。例えば、光学系アセンブリ66を使用する場合は、信号67は、ペレットが体組織液によって分解され崩壊するにつれて振幅が徐々に減少する反射信号68として戻される。上記したように、様々な実施形態では、ペレット100は、ペレット100の分解状態の測定を容易にするために光学指示手段100iを備えることができる。
【0036】
センサ65および66を有する実施形態を用いて、前に送達されたペレットの崩壊状態を検出することによってペレットの送達の制御または調節を行うことができる。例えば、前のペレットが特定の崩壊状態(例えば、ペレットが完全または実質的に崩壊している)にあると決定されると、別のペレットを送達することができる。この決定は、本明細書に記載されている制御装置80を使用して達成することができ、この制御装置80は、ペレットの崩壊状態を分析してこの情報を使用して送達の決定を行う1つ以上のアルゴリズムを含み得る。特定の実施形態では、ペレットの崩壊状態についての情報は、各群のデータに割り当て可能な重み付けを用いてペレットの送達の決定を行うために他のデータと組み合わせることができる。このような追加のデータには、薬物の血中濃度、ならびに送達される薬物によって処置される医学的状態を示す生理学的データ、例えば、高血糖の指標である血糖、不整脈の指標であるEKG、またはてんかん性発作もしくは発作前の現象の指標である脳電気活性を含む様々な生理学的データ(例えば、温度、pH、血液ガスなど)が含まれ得る。
【0037】
ここで図9a〜図9dを参照すると、カテーテル60の長さは、装置10を送達部位DSの近傍または異なる位置に配置できる長さにすることができる。例えば、図9aに示されている一実施形態では、装置10は、カテーテル先端部63を少し離して配置して脳Bに配置することができる。図9bに示されている別の実施形態では、カテーテルは、装置10が頭皮または頭蓋骨外側の他の位置に配置されたときに、遠位先端部63を脳内に配置できる十分な長さを有することができる。
【0038】
一部の実施形態では、装置10は、1つの送達装置10を用いて複数の位置に薬剤ペレット100を送達できるように複数のカテーテル60を備えることができる。例えば、図9cに示されている一実施形態では、第1のカテーテル60’の遠位先端部63は、第1の送達部位DS1に配置することができ、第2のカテーテル60’’の遠位先端部63は、第2の送達部位DS2に配置することができる。図9dに示されている一実施形態では、第1の送達部位DS1は、関節炎の膝関節KJ(または他の関節炎の関節)などの最終標的部位TSへの薬剤の迅速な送達を可能にするためにこの部位を含むことができ、第2のカテーテルの遠位先端部は、薬物の長期間の制御された放出を可能にするために筋組織Mまたは他の皮下部位などの第1の部位DS1から少なくとも部分的に離隔した第2の部位DS2に配置することができる。
【0039】
ここで図10a〜図10dを参照すると、プッシャープレート70を用いてペレット100を機構50から係合解除し、ペレットをカテーテルの管腔61内に押す、または前進させて、送達部位DSに送達する。一実施形態では、プッシャープレート70は、シャフト72によって駆動源71に結合することができる。別の実施形態では、プッシャープレート70は、本明細書に記載されている1つ以上の駆動源54に結合しても良い。特定の実施形態では、プッシャープレート70は、電源55の電圧の使用によって機械的に作動可能な圧電プレートを含み得る。プッシャープレート70の代替として、またはプッシャープレート70と組み合わせでは、他のペレット前進手段は、液体がペレットを細長い部材から運搬するのに十分な圧力を生成する小型ポンプ(不図示)に結合された液体の使用を含み得る。この液体は、レザバー(不図示)から取り出す、または、一部の実施形態では、液体とは決して直接接触しない小型蠕動ポンプによって体自体(例えば、カテーテル60もしくは不図示の別個の吸込カテーテルによって吸引される周囲送達における間質液または血液から)から吸い取ることができる。吸込口としてカテーテル60を使用する実施形態では、ポンプは、ペレットを放出するための液体中に入れるために内側方向に引き込み、次いで送達部位にペレットを放出または排出するために外側方向に送り出すように構成することができる。1つ以上の弁をカテーテル60の近位部分に配置してこの過程を容易にすることができる。このような実施形態は、プッシャープレート70と組み合わせて使用することができ、プッシャープレートが、カテーテル60内にペレット100を前進させ、次いで加圧液体を使用してペレットをカテーテルから押し出す。
【0040】
なお他の代替の実施形態では、プッシャープレート70は、起電力を使用してペレット100を操作することができる。ここで図10eを参照すると、特定の実施形態では、プッシャープレート70は、電磁引力を使用して運搬部材51のペレット100に係合し、電磁反発力を使用してペレット100をカテーテルまたは他の細長い部材60から押し出すことができる。これは、電源54に接続された充電回路を使用して静電荷100esをペレット100に印加し、プッシャープレート70を電源54に接続してプレート70がペレット100の電荷と同じ極性を持つ電極70eとして機能するようにし、次いで極性を変更して(制御装置80内の回路を使用して)、カテーテル60からペレットを前進させるのに十分な起電力でペレットをプレート70から反発させることによって達成することができる。この過程は、反発電荷がプレート70からカテーテル管腔61の全てまたは一部を通るように導く役割を果たす生理食塩水または他の導電性溶液でカテーテル60を満たすことによって容易にすることができる。この方法では、カテーテル60の管腔全体が、反発電極として機能して、カテーテル60からペレット100を排出する反発力を強めるため、カテーテルの遠位先端部63から相当離れた送達部位にペレットを配置することができる。ペレット100の帯電は、ペレット表面に電荷を保持するようにペレットを電気絶縁材料でコーティングして達成することができる。ペレット100に電荷を印加する代替の手法では、ペレットは、その表面に共有結合した1つ以上のイオン種(リン酸基および硫酸基など)を含むコーティングなどの永久帯電コーティングを含み得る。ペレット100に加える反発力の量は、電源54からプレート70に印加される電圧の量によって制御することができる。電圧の量は、DC/DC変換器またはDC/AC変換器などの制御装置80に接続された、または制御装置80内の様々な出力制御回路55cによって制御することができる。
【0041】
ここで図11を参照すると、多くの実施形態では、装置10は、機構60の作動および制御を含む薬剤送達過程の1つ以上の局面を制御するための制御装置80を備えることができる。制御装置は、マイクロプロセッサ、状態デバイス、またはこれらの両方などの論理資源81、およびRAM、DRAM、ROMなどのメモリ資源82を含み得る。論理資源81および/またはメモリ資源82は、制御装置83の動作用の1つ以上のソフトウエアモジュール83を含み得る。モジュール83の使用によって、制御装置80は、薬剤送達計画を含むようにプログラムすることができ、薬剤は、長期間に亘って一定間隔(例えば、1日に1回または2回など)で送達される。制御装置は、薬剤の送達を開始する、または送達計画を変更する(例えば、1日に1回から2回へ)無線85信号(例えば、無線または他の信号)を受信するRF装置84も備えることができる。この方法では、患者または医療スタッフが、特定の現象(例えば、アンギナの発症)または患者の状態もしくは診断における長期的な変化に応じて薬剤の送達を制御することができる。
【0042】
制御装置80は、薬剤ペレット100によって処置される状態、例えば、糖尿病性高血糖症を示す生理学的パラメータを検出する装置センサ64または遠隔センサ64rからの入力86を受け取ることができる。制御装置80は、状態を示す入力86を受け取ると、標的組織部位への1つ以上の薬剤ペレット100の送達を開始する信号88を送信し、医学的状態が処置される。センサ64からの最初の入力およびそれに続く入力の両方を使用して、状態が消える、または選択された他の方式で処置されるまでは、長期間に亘って薬剤ペレットの送達を増減することもできる。制御装置80は、送達された薬物の血漿または他の組織における濃度を測定するように構成された他のセンサ69からの入力87を受け取ることもできる。これらの入力87を使用して、薬物の送達を増減して薬物の選択された濃度を達成することもできる。体内の複数の部位における薬物分布の薬物動態モデルを開発するために、濃度センサ69を、送達部位DSおよび標的部位TSの両方、ならびに体内の他の部位(例えば、静脈または動脈)に配置することができる。
【0043】
本発明の様々な方法の実施形態では、装置10を用いて、ペレットまたは他の固形薬剤100を皮下組織などの選択された送達部位DSに送達し、そこでペレットが崩壊し、体組織液(例えば、筋肉または真皮組織の間質液)によって吸収され、標的部位TSで薬物110が所望の濃度になる。一部の適用例では、送達部位DSは、標的部位TSと同じ器官および/または区画、例えば、図12aの実施形態に示されているように脳とすることができる。あるいは、標的部位は、図12bの実施形態に示されているように送達部位と異なるようにすることもできる。例えば、一実施形態では、送達部位は、胸部の筋内組織とすることができ、標的部位は、送達部位から離れた心臓などの器官とすることができる。送達部位は、標的部位の反対側、例えば、下層の筋組織の標的部位に到達させる真皮送達としても良いし、または反対側ではない部位に配置する、例えば、心臓の標的部位に到達させる筋内送達としても良い。いずれの場合も、薬剤ペレット100は、選択された用量の薬物を含むことができ、標的組織部位で治療効果のある薬物濃度となるように、崩壊して体組織液によって溶解されるように構成することができる。多くの適用例では、この場合、ペレットが、送達部位の体組織液(例えば、間質液)によって溶解され、次いで薬物が組織から血流に拡散して、標的組織部位に運ばれる。したがって、これらおよび他の適用例では、ペレット中の薬物の用量は、ペレットの溶解の最中および後の選択された期間に亘って薬物が選択された血漿濃度(または濃度範囲)に達するように増減することができる。
【0044】
一部の実施形態では、ペレット100は、崩壊して脳の脳脊髄液(CSF)などの身体区画内の組織液によって溶解され、図12aの実施形態に示されている区画内の組織液中で選択された濃度に達するように構成されている。てんかんおよび他の発作などの様々な神経障害を処置するための特定の実施形態では、ペレットは、発作の再発を防止する、または発作の期間および重症度を低減するために、迅速に崩壊してCSFに溶解されて、脳を浸しているCSF中で選択された薬物濃度に迅速に到達するように構成されている。これは、ペレット100を構成する1つ以上の超崩壊剤の使用によって達成することができる。
【0045】
ここで図13〜図16を参照すると、ペレット崩壊の促進は、送達の前または後で力学的なエネルギー、電磁エネルギー、音響エネルギー、または他のエネルギーでペレットを処置して、ペレットの構造を弱める、体液の進入のための割れ目を形成する、またはペレットの小片への分解を開始することによって達成することもできる。図13a〜図13bに示されているように、力およびエネルギーの送達により、組織液の進入のための割れ目105(または他の表面の欠陥)を形成すること、ならびにペレットを小片106に分解することができえる。一実施形態では、これは、図14の実施形態に示されている運搬部材および/またはスリーブ52によって加えられる機械的圧縮力CFによって達成することができる。
【0046】
他の実施形態では、図15に示されているように、ペレット100が装置10内にある間にエネルギーをペレットに送達して割れ目105を形成し、ペレットの構造を弱めることができる。エネルギーの送達は、超音波周波数がペレットの共振周波数に合わせられた超音波トランスデューサなどの音響エネルギー装置90の使用によって達成することができる。音響または他のエネルギー装置90は、エネルギー源91に接続することができ、エネルギー源は、様々な電源を含み得る。図16に示されている別の実施形態では、ペレットがカテーテル60から排出されて送達部位DSに送達されてからエネルギーをペレットに送達することができる。この実施形態では、エネルギーの送達は、カテーテルの遠位先端部63に配置された超音波トランスデューサまたは他のエネルギー送達装置90の使用によって達成することができる。超音波トランスデューサ90は、エネルギーのビーム93を放射し、このビームが、ペレット100に作用してペレットの構造に割れ目105および他の影響をもたらし、ペレットの小片106への分解および体組織液による溶解による崩壊を促進する。ペレット100の構造を破壊して崩壊/分解を促進するために使用できる他のエネルギーの形態には、光(例えば、レーザー)、RF、マイクロ波、熱、または医療装置の分野で周知の他の形態のエネルギーが含まれる。ペレットの構造を弱める(例えば、割れ目などをもたらす)ためのエネルギー送達計画(例えば、期間、周波数、およびエネルギーの量)は、制御装置80によって制御することができる。エネルギー送達計画は、ペレットのサイズおよび構造特性、ならびに特定の送達部位DSによって調節することができる。様々な実施形態では、エネルギー送達装置90は、電源54によって電力が供給されるか、または専用の電源を備えることができる。
【0047】
様々な適用例では、本発明の実施形態を使用してペレット100または固形薬剤を送達し、てんかん性発作(例えば、フロセミドの使用によって)、高血圧症(例えば、カルシウムチャネル遮断薬、CCBの使用によって)、高コレステロール症(例えば、LIPITORに使用によって)、糖尿病(例えば、インスリンの使用によって)、冠動脈不整脈(心房および心室の両方の、例えば、CCBの使用によって)、冠血管虚血(例えば、ニトログリセリンまたは他の血管拡張剤の使用によって)、または脳虚血、心臓発作、もしくは脳卒中(例えば、アスピリン、TPA、または他の溶血素の使用によって)、貧血症(例えば、ピロリン酸第2鉄の使用によって)、または他の同様の医学的状態を含む多数の状態の処置を行うことができる。本発明のさらなる実施形態を用いて、これらまたは他の状態の2つ以上を同時に処置して、患者が1日に異なる薬物の複数回の投与(例えば、経口または非経口手段)を受けなくても良いようにすることができる。これは、認知障害または身体障害の患者を含む長期に亘る慢性状態の患者に特に有用である。
【0048】
結論
本発明の様々な実施形態の上記説明は、例示と説明のために記載した。上記説明は、本発明を開示した精密な形態に限定するものではない。当業者には、多数の改良形態、変更形態、および改善形態が明らかであろう。例えば、装置の実施形態は、様々な小児および新生児の適用例に対してサイズを合わせる、または他の方法で適合させることができる。
【0049】
一実施形態の要素、特徴、または作用は、他の実施形態の1つ以上の要素、特徴、または作用と容易に組み合わせて、または置き換えて、本発明の範囲内で様々な追加の実施形態を形成することができる。さらに、他の要素と組み合わせられて示されている、または記載されている要素は、様々な実施形態では、独立した要素として存在することができる。したがって、本発明の範囲は、記載された実施形態の詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【技術分野】
【0001】
他の出願への関連
この出願は、2009年3月20日に出願された表題「Solid Drug Delivery Apparatus」の米国仮出願第61/210,554号(これは、全ての目的のためにその全体が参考として本明細書に援用される)への優先権の利益を主張する。この出願はまた、2009年3月20日に出願された表題「Methods of Solid Drug Delivery」の米国仮出願第61/210,579号(これは、全ての目的のためにその全体が参考として本明細書に完全に援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明の実施形態は、薬物送達装置およびその使用方法に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、固形薬物および他の治療薬の送達用の移植型薬物送達装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの医療処置における現在の傾向として、他の組織への毒性を回避するために特定の標的部位への薬物の送達、ならびに標的部位への薬物送達のタイミングおよび薬物の量のより正確な制御を必要とする。多くの場合、これは、移植型薬物ポンプを必要とし得る。しかしながら、現在利用可能なポンプは、そのサイズと出力要件から、全ての医療用途、特に、非常に厳格に制御された薬物用量を必要とし得る脳および他の組織への薬剤の送達に適していない。また、現行の装置は、制限されたレザバーのサイズおよび/または制限された薬物の貯蔵寿命により薬物の頻繁な補充を必要とし得る。したがって、in vivoでの薬物送達用の改善された移植型薬物送達装置およびこれに関連した方法が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本発明の実施形態は、固形の薬剤を体内の様々な部位に送達するための装置、システム、剤形、および方法を提供する。多くの実施形態は、固形の薬剤を送達するための移植型装置を提供し、この薬剤は、てんかんおよび糖尿病などの様々な医学的状態を処置するための1つ以上の固形薬物を含む。特定の実施形態は、長期間に亘って医学的状態を処置するために送達部位に要素(例えば、ペレット)などの固形薬剤を送達するための密閉移植型装置を提供する。実施形態は、装置または他の固形薬物送達装置の実施形態によって送達される1つ以上の薬物を含む様々な固形薬剤または剤形も提供する。
【0005】
一実施形態は、第1の開口部を有する第1のチャンバと、この第1のチャンバを実質的に取り囲む第2のチャンバと、第1のチャンバ内に配設されたキャリッジと、薬剤を第1のチャンバから第2のチャンバに移送するための機構と、プッシャープレートとを備える、固形薬剤または剤形のin vivoでの送達用の装置を提供する。この薬剤は、典型的には、ペレットに製剤されるが、他の固形剤形も考えられる(例えば、粉末)。各ペレットは、てんかんなどの特定の医学的状態を処置するために選択された用量の薬物を含む。この用量は、患者の体重および年齢に基づいて選択することができる。また、薬剤ペレットは、ペレットが制御されて崩壊して溶解し、状態の処置用の薬物の十分な濃度(組織部位、血漿、または他の組織の位置における)が達成されて維持されるように崩壊剤(disintegrant)を含む1つ以上の薬学的な賦形剤を用いて所望に製剤される。ペレットは、薬物がその効力および治療効果を維持するようにin vivoで数年以上の貯蔵寿命を有するように所望に製造される。ペレットは、状態の処置用の複数の薬物、例えば、HIV AIDSの処置用の抗ウイルス薬の混合物などを含み得る。
【0006】
キャリッジは、複数の薬剤ペレットを保持し、キャリッジの開口部を介してディスペンスするように構成されている。キャリッジは、ばね荷重するか、または他の前進手段を使用することができる。望ましくは、キャリッジは、長期間、例えば、2年以上に亘って状態を処置するために十分な補給用の薬剤ペレットを収容する。
【0007】
機構が、第1のチャンバ内に配設されており、この機構は、キャリッジから薬剤ペレットを受け取り、このペレットを第1の開口部を介して第1のチャンバの外部に移送し、次いで第1のチャンバ内に戻るように構成された運搬部材を備えている。典型的には、運搬部材は、ペレットを保持するためのスロットまたは他の開口部を備える。また、スライド可能な部材は、運搬部材の運動中にペレットを所定の位置に保持するように運搬部材上に配設することができる。運搬部材および/またはスライド可能な部材は、ばねなどの機械駆動源、またはリニア誘導電動機、ソレノイド、もしくは圧電トランスデューサなど電気駆動源によって前進させることができる。特定の実施形態では、駆動源は、電流による加熱に応じて長さが変化するニッケルチタンワイヤまたは他の形状記憶材料を含み得る。駆動源としての膨張性ガスの使用も考えられ、この場合、膨張性ガスは、抵抗加熱要素による加熱によって膨張することができる。膨張性ガスを使用して、運搬部材またはスライド可能な部材の1つ以上に係合するピストンまたは同様の駆動要素を延出させることができる。
【0008】
カテーテルなどの細長い部材が、第2のチャンバ内に配設されている。細長い部材は、薬剤ペレットを受け入れられるサイズの管腔、チャンバ内の近位端部、およびペレットを標的組織部位に送達するためにチャンバの開口部を通って延在する遠位端部または先端部を備えている。望ましくは、遠位先端部は、標的組織部位における長期間の移植を可能にするために非外傷性の構造を有する。プッシャープレートを用いて、ペレットを機構から係合解除し、ペレットを細長い部材の管腔内に押す、または前進させて標的組織部位に送達する。プッシャープレートは、本明細書に記載された1つ以上の駆動源に結合することができる。液体がペレットを細長い部材から運び出す、ポンプまたは他の圧力源に結合された液体の使用を含め、他の前進手段も考えられる。
【0009】
多くの実施形態では、装置は、薬剤ペレットを送達するための駆動源の作動および制御を含む薬剤送達過程の1つ以上の側面を制御するために制御装置に結合される。制御装置は、長期間に亘って薬剤が一定間隔(例えば、1日に1回または2回など)で送達される送達計画を含むようにプログラムすることができる。制御装置はまた、薬剤の送達を開始する、または送達計画を変更する(例えば、1日に1回から1日に2回へ)信号(例えば、無線または他の信号)を受信するように構成することもできる。この方法では、患者または医療スタッフが、特定の現象(例えば、アンギナの発症)または患者の状態もしくは診断における長期間の変化に応じて薬剤の送達を制御することができる。
【0010】
制御装置は、薬剤ペレット中の薬剤によって処置される状態、例えば、糖尿病性高血糖症(インスリンによる処置)を示す生理学的パラメータを検出するグルコースセンサなどの移植型センサに接続するか、または移植型センサからの入力を他の方法で受け取ることができる。制御装置は、状態を示すセンサからの入力を受け取ると、医学的状態を処置するように1つ以上の薬剤ペレットの標的組織部位への送達を開始する。センサからの最初の入力および後続の入力の両方を使用して、状態が消失する、または他の方法で処置されるまでは、長期間に亘って薬剤ペレットの送達を増減することができる。制御装置は、送達された薬物の血漿または他の組織における濃度を測定するように構成された他のセンサからの入力を受け取ることもできる。これらの入力を使用して、薬剤の送達を増減して薬物の選択された濃度(例えば、血漿中または組織中など)を達成することができる。薬物センサは、体内の複数の部位における薬物分布の薬物動態モデルを開発するために、標的組織部位、ならびに体内の他の部位(例えば、静脈または動脈)に配置することができる。装置は、薬剤ペレットがいつ使い果たされるか、および/または正確にいくつ残っているかを示す制御装置に接続されたセンサも備えることができる。そして、制御装置は、このデータを外部通信装置、例えば、携帯電話、携帯型モニタ、または遠隔モニタ(例えば、診療所にある)に信号を送ることができる。この方法では、患者および/または医療スタッフは、装置の薬剤が無くなる前に適切な行動をとることができる。
【0011】
ペレットまたは他の固形の薬剤は、皮下組織などの送達部位に送達され、標的組織部位で所望の薬物濃度となるように、そこで破壊され、崩壊し、そして体組織液によって吸収される。一部の適用例では、送達部位は、例えば、脳などの標的部位と同じにすることができる。他の適用例では、標的部位は、送達部位とは別にすることができる。例えば、送達部位を胸部の筋内組織として、標的部位を心臓または肝臓とすることができる。送達部位は、下層の筋組織に送達するために標的部位の近傍、例えば、脂肪としても良いし、あるいは、心臓の部位に達するように反対側ではない部位に配置する、例えば、筋内送達としても良い。いずれの場合も、薬剤ペレットは、選択された用量の薬物を含むことができ、標的組織部位で治療効果のある薬物濃度となるように、崩壊し、体組織液によって溶解されるように構成することができる。多くの適用例では、この場合、ペレットが、送達部位の体組織液(例えば、間質液)によって溶解され、次いで薬物が組織から血流に拡散し、薬物が標的組織部位に運ばれる。したがって、これらおよび他の適用例では、ペレット中の薬物の用量を増減して、ペレットの溶解の最中および後で選択された期間に亘って薬物の選択された血漿(または他の組織区画)の濃度(または濃度範囲)を達成することができる。
【0012】
一部の実施形態では、ペレット(薬物用量を含む)は、脳内の脳脊髄液(CSF)などの体内の区画内の組織液中で選択された濃度に達するように、崩壊し、その区画内の組織液によって溶解されるように構成されている。てんかんおよび他の発作などの様々な神経障害を処置するための特定の実施形態では、ペレットは、発作の再発を防止する、またはその期間および重症度を低減するために、迅速に崩壊してCSFに溶解され、脳を浸しているCSF中で選択された薬物濃度に迅速に達するように構成されている。これは、1つ以上の超崩壊剤(super disintegrant)、ならびにペレットの内部または表面の崩壊促進特徴(例えば、孔、割れ目、または他の貫入部)の使用によって達成することができる。これはまた、力学的なエネルギー、電磁エネルギー、音響エネルギー、または他のエネルギーを送達する前または後でペレットを処置して、ペレットの構造を弱める、体液の進入のための割れ目および他の構造的欠陥を形成する、またはペレットの小片への分解を開始することによって達成することもできる。他の実施形態では、患者の体内に送達するための固形薬剤であって、疾患または状態の処置のための少なくとも1つの薬物を含み、固形薬剤が、(i)固形薬剤に実質的な分解または有害作用をもたらすことなく長期間に亘って体内に移植された容器内に貯蔵され、(ii)送達部位に送達され、かつ(iii)送達部位で組織液に溶解して標的組織部位で治療効果をもたらして疾患または状態を処置するような形状および材料特性を有する、固形薬剤を提供する。
【0013】
様々な適用例では、本発明の実施形態を用いて固形薬物を送達し、てんかん性発作、高血圧症、高コレステロール症、糖尿病、冠動脈不整脈(心房および心室の両方の)、冠血管虚血(coronary ischemia)(例えば、心臓発作から)、脳虚血、脳卒中、貧血、または他の同様の状態を含む多数の医学的状態の処置を行うことができる。この装置は、標的組織部位(例えば、脳)もしくはその近傍、または離れた送達部位(例えば、胸部または大腿部の筋内)に移植することができる。本発明のさらなる実施形態を用いて、これらまたは他の状態の2つ以上を同時に処置して、患者が1日に複数の薬物の複数回の投与(例えば、経口または非経口手段)を受けなくても良いようにすることができる。これは、認知障害の患者を含む長期に亘る慢性状態の患者に特に有用である。
【0014】
本発明を使用する方法の例示的な実施形態では、処置すべきによって、本装置を、選択された送達部位(例えば、脳)に移植することができる。移植は、観血または低侵襲性外科手術によって行うことができる。長期間、例えば、数年に亘って送達部位にペレットを送達するために、移植の前に、選択された数のペレットをキャリッジに装着することができる。移植されたら、ペレットに分解または有害作用(例えば、薬物の効力または治療効果の低下)をもたらすことなく数年(例えば、1年、2年、または5年以上)の長期間、ペレットを装置内に貯蔵することができる。装置は、一定の間隔(例えば、1日に1回、1週間に1回、または1月に1回など)で、またはセンサからの入力に応答して送達部位に固形薬剤を送達することができる。後者の場合、この入力は、特定の医学的状態またはてんかん性発作もしくは発作前の現象などの現象を示すことができる。本明細書に記載された制御装置を用いて、センサの入力に基づいていつ送達を開始するべきか、および/または一定の間隔での送達を利用する実施形態の送達の時間間隔を決定することができる。いずれの場合も、制御装置は、信号を移送機構に送信して、ペレットをキャリッジおよび内側チャンバから外側チャンバに移送することができる。外側チャンバに達したら、プッシャープレートまたは他の前進手段が、ペレットを移送機構から移動させ、ペレットをカテーテルを介して前進させ、標的送達部位に送達する。そこで、ペレットが崩壊/分解し、局所組織液中に溶解して局所標的組織部位を処置する(例えば、CSF中に溶解して脳を処置する)、または溶解した後に血流に吸収されて、離れた標的組織部位(例えば、肝臓または心臓など)に運ばれる、あるいはこれらの両方である。さらに、ペレットは、医学的状態を示す生理学的データ(例えば、血糖)を提供するセンサ、または薬物の局所および/または血漿濃度を検出するように構成された別のセンサからの入力に基づいて送達することができる。一部の実施形態では、ペレットの送達は、前に送達されたペレットの崩壊の状態を検出することによって制御することができる。例えば、次のペレットは、前のペレットが特定の崩壊状態(例えば、ペレットが完全または実質的に崩壊した)であると決定したときに送達することができる。これは、光信号、超音波信号、または電気信号などの信号をペレットに対して送受信することによって達成することができる。例えば、光信号を使用する場合は、反射率測定を用いて崩壊の状態を決定することができる。特定の崩壊状態は、反射率信号が特定の閾値よりも低下したときに決定することができる。同様の手法を、反射された超音波またはインピーダンスの使用のために用いることができる。ペレットは、反射された超音波信号、光信号、または他の信号を強化するために様々なエコー源性または光学的に不透明もしくは他の作用物質さえも含み得る。ペレットは、その崩壊状態を示すように構成されたパターン、サイズ、形状の1つ以上を有する様々な光学指示手段(optical indicia)を含んでも良い。
【0015】
本発明のこれらおよび他の実施形態および態様のさらなる詳細を、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、固形薬物送達装置の実施形態を示す側面図である。
【図2a】図2aは、薬剤ペレットの実施形態を例示する側面図である。
【図2b】図2bは、体組織液による薬剤ペレットの分解および溶解を促進するための特徴を有する薬剤ペレットの実施形態を例示する側面図である。
【図2c】図2cは、体組織液による薬剤ペレットの分解/崩壊の測定用のコーティングおよび光学指示手段を有する薬剤ペレットの実施形態を例示する側面図である。
【図3a】図3aは、補給用の薬剤ペレットを保持するキャリッジの実施形態を示す側面図である。
【図3b】図3bは、補給用の薬剤ペレットを保持する積層されたキャリッジの実施形態を示す斜視図である。
【図4】図4は、装置の異なるチャンバ間で薬剤ペレットを移送するための機構の実施形態を示す側面図である。
【図5a】図5aは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5b】図5bは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5c】図5cは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5d】図5dは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5e】図5eは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5f】図5fは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図5g】図5gは、往復運動をする移送機構の実施形態の動作を示す側面図である。
【図6a】図6aは、移送機構の形状記憶金属駆動源の動作を示す側面図である。
【図6b】図6bは、移送機構の形状記憶金属駆動源の動作を示す側面図である。
【図7a】図7aは、移送機構の加熱ガス/ピストン駆動源の動作を示す側面図である。図7aは、薬剤ペレットを装置の内部から送達部位へ移送するための機構の動作を例示する側面図である。
【図7b】図7bは、移送機構の加熱ガス/ピストン駆動源の動作を示す側面図である。図7bは、薬剤ペレットを装置の内部から送達部位へ移送するための機構の動作を例示する側面図である。
【図7c】図7cは、薬剤ペレットを装置の内部から送達部位へ移送するための機構の動作を例示する側面図である。
【図7d】図7dは、薬剤ペレットを装置の内部から送達部位へ移送するための機構の動作を例示する側面図である。
【図7e】図7eは、薬剤ペレットを装置の内部から送達部位へ移送するための機構の動作を例示する側面図である。
【図8a】図8aは、ペレットを標的組織部位に送達するために使用されるカテーテルの実施形態を例示する側面図である。
【図8b】図8bは、薬剤ペレットの崩壊状態を測定するためのセンサを有するカテーテルの実施形態の使用を例示する側面図である。
【図9a】図9aは、体内の異なる部位に配置される装置の実施形態を示す図であり、図9aは、脳組織の標的部位へ薬剤を送達するための装置全体の脳内への配置を示し、図9bは、送達カテーテルが脳内に延びている頭皮への装置の配置を示し、図9cは、2つの異なる送達部位に配置された2つの送達カテーテルを有する装置の実施形態を示している。図9dは、2つの送達カテーテルを備え、第1の送達カテーテルが膝関節の近傍または内部に配置され、第2の送達カテーテルが異なる部位に配置された装置の実施形態を示している。
【図9b】図9bは、体内の異なる部位に配置される装置の実施形態を示す図であり、図9aは、脳組織の標的部位へ薬剤を送達するための装置全体の脳内への配置を示し、図9bは、送達カテーテルが脳内に延びている頭皮への装置の配置を示し、図9cは、2つの異なる送達部位に配置された2つの送達カテーテルを有する装置の実施形態を示している。図9dは、2つの送達カテーテルを備え、第1の送達カテーテルが膝関節の近傍または内部に配置され、第2の送達カテーテルが異なる部位に配置された装置の実施形態を示している。
【図9c】図9cは、体内の異なる部位に配置される装置の実施形態を示す図であり、図9aは、脳組織の標的部位へ薬剤を送達するための装置全体の脳内への配置を示し、図9bは、送達カテーテルが脳内に延びている頭皮への装置の配置を示し、図9cは、2つの異なる送達部位に配置された2つの送達カテーテルを有する装置の実施形態を示している。図9dは、2つの送達カテーテルを備え、第1の送達カテーテルが膝関節の近傍または内部に配置され、第2の送達カテーテルが異なる部位に配置された装置の実施形態を示している。
【図9d】図9dは、体内の異なる部位に配置される装置の実施形態を示す図であり、図9aは、脳組織の標的部位へ薬剤を送達するための装置全体の脳内への配置を示し、図9bは、送達カテーテルが脳内に延びている頭皮への装置の配置を示し、図9cは、2つの異なる送達部位に配置された2つの送達カテーテルを有する装置の実施形態を示している。図9dは、2つの送達カテーテルを備え、第1の送達カテーテルが膝関節の近傍または内部に配置され、第2の送達カテーテルが異なる部位に配置された装置の実施形態を示している。
【図10a】図10aは、薬剤ペレットに係合して前進させるプッシャープレートの実施形態の動作を例示する側面図である。
【図10b】図10bは、薬剤ペレットに係合して前進させるプッシャープレートの実施形態の動作を例示する側面図である。
【図10c】図10cは、薬剤ペレットに係合して前進させるプッシャープレートの実施形態の動作を例示する側面図である。
【図10d】図10dは、薬剤ペレットに係合して前進させるプッシャープレートの実施形態の動作を例示する側面図である。
【図10e】図10eは、薬剤ペレットに係合して前進させる帯電プッシャープレートの実施形態の動作を例示する側面図である。
【図11】図11は、固形薬物送達装置の1つ以上の実施形態に使用される制御装置の実施形態を例示する簡易ブロック図である。
【図12a】図12aは、薬物の溶解および薬物の脳内の標的部位への送達のための薬剤ペレットの脳室内の配置を示す図である。
【図12b】図12bは、送達部位から離れた標的組織部位への薬物の輸送のための薬剤/薬物ペレットの送達部位における配置を示す図である。
【図13】図13aおよび図13bは、ペレットの溶解を促進するようにペレットの構造を分解するための力またはエネルギーの送達を例示するペレットの側面図である。図13aは、力/エネルギーの送達前のペレットを示し、図13bは、力/エネルギーの送達後のペレットを示している。
【図14】図14は、ペレットの溶解を促進するための機械的な力の薬剤ペレットへの送達を例示する側面図である。
【図15】図15は、ペレットの溶解を促進するための、送達前の薬剤ペレットへのエネルギーの送達を例示する側面図である。
【図16】図16は、ペレットの溶解を促進するための、ペレット送達部位へのエネルギーの送達を例示する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態は、体内の様々な部位に固形状で薬剤を送達するための装置、システム、剤形、および方法を提供する。多くの実施形態は、固形状の薬剤を送達するための移植型装置を提供し、この薬剤は、てんかん、糖尿病、高血圧症、および高コレステロール症などの様々な医学的状態を処置するための1つ以上の固形薬物または他の治療薬を含む。特定の実施形態は、長期間に亘って医学的状態を処置するために送達部位DS、最終的には脳などの標的組織部位TS(本明細書では標的部位TS)に固形薬剤を送達するための密閉移植型装置を提供する。実施形態はまた、本装置の実施形態または他の固形薬物送達装置によって送達される1つ以上の薬物を含む様々な固形薬剤または剤形も提供する。
【0018】
ここで、図1および図4を参照すると、固形薬剤100を送達部位DSへ送達するための装置10の実施形態は、第1のチャンバ開口部またはポート25を有する第1のチャンバ20、この第1のチャンバを実質的に取り囲み、第2のチャンバ開口部またはポート35を有する第2のチャンバ30(外側チャンバ30とも呼ばれる)、第1のチャンバ内に配設されたキャリッジ40、薬剤を第1のチャンバから第2のチャンバに移送するための機構50、および固形薬剤100を第2のチャンバからそのチャンバの外部に移送するためのプッシャープレートまたは他の移送要素70を備えている。本明細書に記載されるように、多くの実施形態では、ポート35は、管腔61、開口35に接続された近位端部62、および固形薬剤100の送達のために組織送達DSに配置される遠位端部63を有するカテーテル60などの細長い部材60に結合されている。
【0019】
ここで、図2aを参照すると、本明細書では剤形100としても記載される固形薬剤は、典型的にはペレットに製剤されるが、粉末および顆粒などの他の固形剤形も考えられる。説明を容易にするために、固形薬剤100は、以降は薬剤ペレット100および/またはペレット100と呼ぶことにするが、他の形態の固形薬剤100も等しく該当し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される場合、薬剤という用語は、薬物110または他の治療薬110および1つ以上の薬学的な賦形剤120を含む。他の治療薬110は、抗体、ワクチン、微量栄養素、および同様の作用物質を含み得る。したがって、各ペレット100は、てんかんの処置用のフロセミドなどの特定の医学的状態を処置するために選択された用量の薬物または他の治療薬110を含む。この用量は、患者の体重および年齢に基づいて選択することができる。また、多くの実施形態では、薬剤ペレット100は、1つ以上の薬学的な賦形剤120を使用して製剤することができる。適切な賦形剤120は、薬物を保存するための保存剤、薬物成分を互いに結合するための結合剤、および状態の処置のために薬物の十分な濃度(組織部位または他の組織位置のいずれかにおける)を達成して維持するように制御された方式でペレットを崩壊させて溶解するための崩壊剤を含む。本明細書に記載されているように、崩壊剤120は、当技術分野で周知の超崩壊剤を含み得る。超崩壊剤の例には、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ならびに関連する塩および同様の化合物が含まれる。
【0020】
ペレット100は、選択可能なサイズおよび形状100sを有することができ、任意の数の薬物または他の治療薬を含むことができ、かつ凍結乾燥法を含む様々な薬学的な製造方法を用いて製造することができる。特定の実施形態では、ペレット100は、円形、楕円形、または他の形状を有することができる。ペレット100のサイズおよび形状は、薬物の用量、崩壊速度、および送達部位の1つ以上の要件に基づいて選択することができる。形状は、キャリッジ40または他の同様の要素内への最適な詰め込みとなるように選択することができる。ペレット100の特定の実施形態は、50個、100個、または200個以上のペレットのキャリッジ40内への詰め込みを可能にする形状およびサイズにすることができる。ペレット100は、薬物の効力および治療効果が維持されるように、in vivoで貯蔵される場合に数年、例えば、2〜5年またはそれ以上の貯蔵寿命を有するように製造されることも望ましい。このような貯蔵寿命は、チャンバ20内に貯蔵されている間に薬物110を含むペレット100が実質的に分解したり、他の有害作用(例えば、薬物の効力または治療効果を低減する作用であり、例えば、薬物の効力または治療効果を10%未満、1%未満、または0.1%未満低減する)を受けないように、保存剤の使用およびペレット100を構成する1つ以上の化学成分の凍結乾燥の1つ以上によって達成することができる。再び図1を参照すると、貯蔵寿命は、水分、空気、またはペレット100の分解を引き起こし得る他の周囲条件への曝露によりペレット100の分解または他の有害作用が殆どまたは全く起こらないように、チャンバ20を実質的に密閉されるように形成することによって向上させることもできる。特定の実施形態では、部分51eおよびスリーブ52を含む機構50の部分は、開口部25を通る機構50の全てまたは一部の運動の最中に維持され得るシール51hを形成するように構成することができる。また、チャンバ20および30の一方または両方は、チャンバ内に侵入し得るあらゆる水蒸気を吸収し、かつ/またはチャンバ20内への水蒸気の侵入を防止するためにゼオライト乾燥剤などの乾燥剤を含み得る。チャンバ20用のシールの単独使用および/または乾燥剤との併用により、チャンバ20の内部20iを体内環境から実質的に隔離した状態を維持して、ペレット100の貯蔵寿命を延ばすことができる。
【0021】
様々な実施形態では、ペレット100は、1つまたは複数の薬物110を含み得る。特定の実施形態では、ペレット100は、1つまたは複数の状態の処置用の薬物の組み合わせ、例えば、HIV AIDSの処置用のプロテアーゼ阻害剤などの抗ウイルス薬と補助細菌感染症の処置用の抗生物質との混合を含み得る。
【0022】
ここで図2bおよび図2cを参照すると、様々な実施形態では、ペレット100は、ペレットの分解/崩壊を促進する他、崩壊の量および速度を定量する様々な特徴および化学物質を含み得る(ペレット100に対して使用される場合、分解または崩壊という用語は、本質的に同義的に使用される。様々な実施形態では、ペレットは、ペレット内部102への体組織液の進入(毛細管現象による)を促進して溶解によるペレットの崩壊を加速させるために多孔質とすることができ、または、かつ/またはペレット表面から内側に延びた1つ以上の溝101を含むことができる。特定の実施形態では、溝101は、図2bの実施形態に示されているように、体組織液がペレット外周104に沿って実質的に均一に進入するようにパターン103に配置することができる。
【0023】
また、様々な実施形態では、ペレット100は、ペレット100で反射される音響または光信号が反射されやすくするためにエコー源性または光反射物質100aを含み得る。本明細書に記載されるように、このような信号は、ペレットの崩壊の量を定量するために使用される。ペレット100はまた、ペレットの崩壊の状態を示すように構成されたパターン、サイズ、または形状の1つ以上を有する様々な光学指示手段100iも含み得る。パターンは、反射率(例えば、光または音響)を高める、または逆に散乱を強めるように構成することができる。異なるパターン(例えば、反射させる部分と散乱させる部分)を有する複数の指示手段を、ペレット表面のいくつかの位置に配置することができる。指示手段100iのサイズおよび形状を使用して、崩壊の総量、ならびに崩壊の速度を決定することができ、例えば、指示手段のサイズが小さければ小さいほど、崩壊が進んでおり、指示手段のサイズの縮小速度が、崩壊の速度に相関している。指示手段の減少速度とペレットの崩壊(例えば、1次崩壊、2次崩壊など)との間の正確な相関関係を定めるために様々な較正測定(例えば、崩壊の時間経過に対するペレット質量および指示手段のサイズの測定)を行うことができる。特定の実施形態では、指示手段100iは、図2bの実施形態に示されているようにペレット100の長さおよび幅の全てまたは一部に亘って延在する線、長方形、または楕円形を含み得る。指示手段100iの他の考えられる形状には、円形、および十字形などの様々な交差形状が含まれる。指示手段100iは、ペレット100の外周104に沿った様々な位置に配置することができる。
【0024】
再び図1および図4を参照すると、チャンバ20および30は、機械的(例えば、支柱、ボルト、スエージなど)接着手段または別の接合手段とすることができる1つ以上の接合部21によって接合することができる。接合部21は、外側チャンバ30が内側チャンバ20に対して捻れる、曲がる、または回転できるように可撓性にすることもできる。一方または両方のチャンバは、当技術分野で周知の様々な生体適合性金属およびプラスチック、例えば、PET、フルオロポリマー、PEBAX、ポリウレタン、チタン、およびステンレス鋼などから製造することができる。また、一方または両方のチャンバは、チャンバ20および/または30内への水蒸気の透過を最小限にするためにガス/水蒸気不透過性材料から製造するか、またはガス不透過性層を含むことができる。適切なガス/水不透過性材料には、イソブチルゴムが含まれる。外側チャンバ30は、ポリウレタン、シリコーン、フルオロポリマー、およびDACRONなどを含む当技術分野で周知の1つ以上の生体適合性コーティング31も含み得る。コーティング31は、チャンバに対する細胞接着および他の生体接着の量を低減するために心臓血管移植の分野で周知の様々なステロイドなどの様々な溶出薬物も含み得る。外側チャンバ30は、頭蓋骨および頭蓋腔、胸部、1つ以上の胃腸器官内、心臓、脈関係を含む体内の様々な部位、ならびに四肢および胴部を含む様々な皮下および筋内部位に適合するサイズおよび形状にすることができる。チャンバ30の全てまたは一部はまた、周囲の組織層および区画の形状、例えば、頭蓋骨内部の曲線または皮膚の輪郭に整合するように適合性材料(例えば、ポリウレタンシリコーンおよび他の弾性ポリマー)から形成することもできる。適合性材料を利用して、長期間の移植の間に周囲の体組織が外側チャンバの周りで成長してチャンバの変形を許容することもできる。この方法では、可撓性外側チャンバを有する実施形態は、周囲組織の成長および機能に対するチャンバの影響を最小限にするため、装置を、非常に長い期間に亘って移植することができ、例えば、装置を子供に植え込んで成人期まで維持することができる。様々な適合性材料を用いて、低侵襲法を用いた装置10の移植を容易にすることもできる。このような材料は、チャンバ30を含む装置を曲げる、捻る、または他の方法で適合させて外科ポートに挿入し、装置を案内して、目的の移植部位に配置したら元の形状に戻すことができる。特定の実施形態では、チャンバ30の曲げおよび捻りは、本明細書に記載される可撓性接合部21の使用によってさらに容易にすることができる。チャンバ30は、低侵襲性外科手術法による移植をさらに容易にするサイズおよび形状にすることもできる。例えば、装置は、様々な低侵襲性外科ポートに通して装置の案内をできるように、特定のサイズおよび円筒形などの形状を有することができる。
【0025】
ここで図1、図3a、および図3bを参照すると、キャリッジ40は、複数の薬剤ペレット100または他の固形薬剤100を保持し、ディスペンスするように構成されている。典型的には、これは、機構50の構成要素が個々のペレットに係合するように、機構50の1つ以上の構成要素に係合する、または他の方法でアクセスできるようにする開口部45を介して行われる。1つ以上の実施形態では、キャリッジ40は、機構50による係合のためのペレット100の排出のためにばね荷重することができる。他の実施形態では、キャリッジは、重力送りまたは関連手段によって機構50にペレットを供給するように構成することができる。液圧手段およびガス放出手段を含む他のペレット排出手段も考えられる。望ましくは、キャリッジ40は、長期間、例えば、2〜5年またはそれ以上に亘って特定の医学的状態の処置を行うために十分な補給用の薬剤ペレットを収容する。様々な実施形態では、キャリッジ40は、数百以上のペレットを保持するように構成することができ、残っているペレットの数を決定するためのセンサ41を含むことができる。キャリッジ40は、同時に2つ以上のペレット100を排出する、または他の方法で送達するように構成することもできる。複数のキャリッジ40を積層または他の同様の要領で利用して、スタック42を構成することもできる。図3bは、2つ以上の積層されたキャリッジ43を含むキャリッジスタック42を有する本発明の実施形態を例示している。キャリッジ40は、垂直方向または水平方向に積層することができる。このような実施形態では、キャリッジ40は、キャリッジを互いに連結するために1つ以上の嵌め合い特徴(不図示)を含み得る。複数のキャリッジ40を有する実施形態は、実質的に同時に複数のペレット100を送達するように構成することができる。
【0026】
様々な実施形態では、キャリッジ40は、可動式または固定式とすることができる。多くの実施形態では、キャリッジ40は、可動式であり、典型的には、中心軸を中心に回転式に運動するように構成されるが、線形または他の方式で運動しても良い。キャリッジは、様々な機械または電気機械手段、例えば、ばね、電気モータ、ソレノイドスイッチ、または圧電駆動源などによって回転または他の方法で前進させることができる。特定の実施形態では、キャリッジ40は、駆動機構(不図示)に係合する回転式または他の可動式のプラスチック製または金属製のカセットまたはベルトを含み得る。駆動源は、例えば、カセットを使用する実施形態では、キャリッジ内に組み入れることもできる。このような実施形態では、様々な微細機械加工およびMEM法を用いて駆動源を小型化することができる。キャリッジは、重力送りを利用した実施形態などでは固定したままに構成することもできる。このような実施形態では、キャリッジは、フィーダ40を含み得る。
【0027】
キャリッジ40は、正確に何個のペレット100が残っているかの信号を送り、かつ/またはペレットがいつ使い切られたかの信号を送るように構成された1つ以上のセンサ41も含み得る。センサ41はまた、典型的には、本明細書に記載される制御装置80に接続されるか、または他の方法で制御装置80に入力を提供する。次いで、制御装置は、このデータを外部通信装置、例えば、携帯電話、携帯型モニタ、または遠隔モニタ(例えば、診療所にある)に送信することができる。この方法では、患者および/または医療スタッフは、装置の薬剤が無くなる前に適切な行動をとることができる。典型的には、センサ41は、キャリッジ40に結合されるが、装置10の他の位置にも配置することができる。
【0028】
図1、図4、および図5a〜図5gを参照して、これから移送機構50、本明細書では機構50の説明を行う。多くの実施形態では、機構50は、第1のチャンバ20内に実質的に配設され、キャリッジ40から薬剤ペレット100を受け取り、薬剤ペレットをチャンバ開口部25を介して第1のチャンバの外部に移送し、次いで第1のチャンバ20内に戻るように構成された運搬部材51を備えている。運搬部材51は、典型的には、ペレット100を保持するためのスロット51sまたは他の開口部も備える。運搬部材の遠位部分51dp(開口部25に面した部分)は、フランジとして作用し、スライド可能な部材が外側(すなわち、遠位)方向に前進したときに開口部25を密閉し、したがってチャンバ25を密閉する拡大部分51eも含み得る。スライド可能な部材またはスリーブ52は、運搬部材51の運動中にペレット100を所定の位置に保持するように運搬部材に対して同軸的または他の方法で配置することができる。スリーブ52は、後述される駆動源54の様々な実施形態との係合を可能にする拡大部分52eを有し得る。一部の実施形態では、拡大部分52eは、スリーブ52の他の部分から独立して運動可能な構成要素を含むことができ、これによりスリーブ52が部材51に対してスライドし、部分52eがこれに続くことができる。1つ以上の軸受53を運搬部材51とスリーブ52との間に配置して、スリーブの部材51に対するスライドを可能にすることができる。スリーブ52は、ペレットがスロット51sの所定の位置に配置されると、スロットを含む運搬部材に対して前進し、次いで外側方向に運搬要素51と平行に運動し、次いで運搬部材と共にチャンバ20内に戻り、運搬部材がチャンバ20内に完全に引き戻されると、引き戻されてスロット51sを露出するように構成されている。この全過程が、新たなペレットをキャリッジから受け取ってチャンバ20の外部に送られる度に繰り返される。
【0029】
運搬部材51およびスリーブ52を含む機構50の1つ以上の構成要素は、金属またはポリマーを含んでも良く、当技術分野で周知の様々な機械加工(微細加工を含む)および/または成形法を用いて製造することができる。典型的には、運搬部材51およびスリーブ52は、チャンバ20に対して直線的に出入りするように構成されているが、他の形態の運動も考えられる(例えば、回転運動)。運搬部材51および/またはスリーブ52の運動は、駆動源54によって行うことができる。駆動源54は、ばねなどの機械駆動源、または電気モータ、ソレノイド、もしくは圧電モータなどの電気機械駆動源を含み得る。他の関連した実施形態では、運搬部材51およびスライド可能な部材52の一方または両方を電磁力によって前進させることができ、これらの部材は、リニア誘導電動機などの電子モータの一部を含む。
【0030】
多くの実施形態では、輸送機構50は、運搬部材51などのこの機構の一部を第1のチャンバに対して往復運動して出入りするように構成することができる。図5a〜図5gは、往復運動する機構50の実施形態の動作を例示している。この実施形態では、ペレット100がスロット51s内に配置されると、スリーブ52が部材51に対して前進し、次いで部材51および52の遠位部分が、チャンバ20から延出し、この時、スリーブ52が引き戻されてペレットが露出され、ペレットがプッシャープレート70に係合し、部材60内を前進する。次いで、部材51および52が、チャンバ20内に引き戻され、部材51が、次のペレットを受け取る準備が整う。
【0031】
上記の実施形態は、リニア誘導電動機などの電気機械駆動源54を利用している。しかしながら、他の駆動源を選択して、上記の実施形態で説明された運動を達成するように構成することもできる。他の適切な駆動源には、ばね手段、磁気手段、空気圧手段、流体手段、および当技術分野で周知の他の駆動源が含まれ得る。電気機械駆動源54を有する装置10の実施形態は、駆動源54に電力を供給するためのバッテリ55または他の電源も含み得る。適切なバッテリ55には、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、空気亜鉛電池、アルカリ電池、および電池分野で周知の他の化学電池が含まれる。
【0032】
ここで図6a〜図6bおよび図7a〜図7bを参照すると、図6aおよび図6bに示されている実施形態では、駆動源54は、例えば、バッテリ55または他の電源から供給され得る電流による加熱などに応答して長さを変えるニッケルチタンワイヤまたは他の形状記憶材料を含み得る。駆動源として膨張性ガス59の使用も考えられ、膨張性ガスは、図7aおよび図7bの実施形態に示されている抵抗加熱要素56による加熱によって膨張させることができる。このガスを使用して、シャフト58または他の連結部材によって運搬部材51またはスライド可能な部材52の1つ以上に係合するベローズ57を拡張させることができる。また、シャフト58を使用して、駆動源54の他の実施形態をスライド可能な部材52および/または運搬部材51の一方または両方に連結することもできる。
【0033】
ここで図8aを参照すると、多くの実施形態では、装置10は、ペレット100を標的組織部位に送達するための、外側チャンバ30に取り付けられた細長い部材60を備えている。細長い部材60には、カテーテル、金属製ハイポチューブ、または他の管状構造が含まれ得る。説明を容易にするために、部材60は、送達カテーテル60またはカテーテル60と呼ぶが、上記の他の形態も等しく該当する。カテーテル60は、ポリエチレン、PET、ポリウレタン、およびシリコーンなどを含むカテーテル分野で周知の様々なポリマー材料から製造することができる。カテーテルはまた、ステンレス鋼を含む様々な金属材料、およびニッケルチタン合金などの様々な超弾性金属形状記憶材料(例にはニチノールが含まれる)から製造しても良い。カテーテル60は、薬剤ペレットを受け入れられるサイズの管腔61、チャンバ30の内部に配置される、または開口部35に結合される近位端部62、およびペレットを送達組織部位DSに送達するためにチャンバ30の外側に延びた遠位端部または先端部63を備えている。特定の実施形態では、カテーテル60は、装置10の位置とは異なる組織部位(例えば、装置10の残りの部分が頭蓋骨の外部に配置されているときは脳内)にペレット100を送達するのに十分な長さを有することができる。また、特定の実施形態では、カテーテル60は、ペレット100をチャンバ30から送達部材DSまで前進させるための駆動源を提供するように構成することができる。駆動力は、カテーテルの長手方向に沿って遠位側に移動する蠕動様波の収縮を含み得る。これは、カテーテル60を、圧電材料または同様の材料から形成して、これを電源に接続するか、または形状記憶材料から形成して、これを本明細書に記載されている熱出力源に接続して達成することができる。前者の場合は、電圧の印加により、カテーテル材料が収縮し、後者の場合は、熱の印加により、同様にカテーテル材料が収縮する。カテーテル60を介してペレット100を輸送するための代替の実施形態では、ペレット100を帯電させる、または帯電コーティングを含めて、ペレットが、カテーテルからカテーテル表面または本明細書に記載されているプッシャープレート70に対する電圧(反対の電荷を持つ)の印加によりはじかれるようにする。
【0034】
望ましくは、遠位カテーテル先端部63は、標的送達部位における長期間の移植を可能にする非外傷性構造を有する。これは、テーパ形状63tを有するように先端部を構成すること、ならびにシリコーンおよびポリウレタン、フルオロポリマー、および当技術分野で周知の他のポリマーを含む1つ以上の非外傷性可撓性ポリマー材料から先端部を形成することによって達成することができる。遠位先端部63を含むカテーテル60は、送達部位DSで様々な測定を行うための1つ以上のセンサ64も含み得る。このような測定には、薬物濃度、pH、グルコース、様々な代謝産物、ならびに組織PO2およびCO2などが含まれ得る。
【0035】
ここで図8bを参照すると、特定の実施形態では、センサ64は、ペレット100の分解/崩壊状態を決定するために様々な測定を行うセンサ65も含み得る。このような測定を行うのに適切なセンサ65には、光学センサ、インピーダンスセンサ、音響センサ、および化学センサが含まれ得る。センサ65には、エミッタ66eおよび検出器66dを含むアセンブリ66も含まれ得る。アセンブリ66は、反射率測定を行うための光エミッタおよび検出器、ならびに超音波測定を行うための超音波トランスデューサ(エミッタと検出器として構成されている)を含み得る。アセンブリ66は、ペレット100の分解/崩壊状態によって変調される、または他の方法で変更される信号67を送信または放出し、次いでペレット100によって信号68として反射され、次いでこの信号を分析してペレットの分解状態を決定することができる。例えば、光学系アセンブリ66を使用する場合は、信号67は、ペレットが体組織液によって分解され崩壊するにつれて振幅が徐々に減少する反射信号68として戻される。上記したように、様々な実施形態では、ペレット100は、ペレット100の分解状態の測定を容易にするために光学指示手段100iを備えることができる。
【0036】
センサ65および66を有する実施形態を用いて、前に送達されたペレットの崩壊状態を検出することによってペレットの送達の制御または調節を行うことができる。例えば、前のペレットが特定の崩壊状態(例えば、ペレットが完全または実質的に崩壊している)にあると決定されると、別のペレットを送達することができる。この決定は、本明細書に記載されている制御装置80を使用して達成することができ、この制御装置80は、ペレットの崩壊状態を分析してこの情報を使用して送達の決定を行う1つ以上のアルゴリズムを含み得る。特定の実施形態では、ペレットの崩壊状態についての情報は、各群のデータに割り当て可能な重み付けを用いてペレットの送達の決定を行うために他のデータと組み合わせることができる。このような追加のデータには、薬物の血中濃度、ならびに送達される薬物によって処置される医学的状態を示す生理学的データ、例えば、高血糖の指標である血糖、不整脈の指標であるEKG、またはてんかん性発作もしくは発作前の現象の指標である脳電気活性を含む様々な生理学的データ(例えば、温度、pH、血液ガスなど)が含まれ得る。
【0037】
ここで図9a〜図9dを参照すると、カテーテル60の長さは、装置10を送達部位DSの近傍または異なる位置に配置できる長さにすることができる。例えば、図9aに示されている一実施形態では、装置10は、カテーテル先端部63を少し離して配置して脳Bに配置することができる。図9bに示されている別の実施形態では、カテーテルは、装置10が頭皮または頭蓋骨外側の他の位置に配置されたときに、遠位先端部63を脳内に配置できる十分な長さを有することができる。
【0038】
一部の実施形態では、装置10は、1つの送達装置10を用いて複数の位置に薬剤ペレット100を送達できるように複数のカテーテル60を備えることができる。例えば、図9cに示されている一実施形態では、第1のカテーテル60’の遠位先端部63は、第1の送達部位DS1に配置することができ、第2のカテーテル60’’の遠位先端部63は、第2の送達部位DS2に配置することができる。図9dに示されている一実施形態では、第1の送達部位DS1は、関節炎の膝関節KJ(または他の関節炎の関節)などの最終標的部位TSへの薬剤の迅速な送達を可能にするためにこの部位を含むことができ、第2のカテーテルの遠位先端部は、薬物の長期間の制御された放出を可能にするために筋組織Mまたは他の皮下部位などの第1の部位DS1から少なくとも部分的に離隔した第2の部位DS2に配置することができる。
【0039】
ここで図10a〜図10dを参照すると、プッシャープレート70を用いてペレット100を機構50から係合解除し、ペレットをカテーテルの管腔61内に押す、または前進させて、送達部位DSに送達する。一実施形態では、プッシャープレート70は、シャフト72によって駆動源71に結合することができる。別の実施形態では、プッシャープレート70は、本明細書に記載されている1つ以上の駆動源54に結合しても良い。特定の実施形態では、プッシャープレート70は、電源55の電圧の使用によって機械的に作動可能な圧電プレートを含み得る。プッシャープレート70の代替として、またはプッシャープレート70と組み合わせでは、他のペレット前進手段は、液体がペレットを細長い部材から運搬するのに十分な圧力を生成する小型ポンプ(不図示)に結合された液体の使用を含み得る。この液体は、レザバー(不図示)から取り出す、または、一部の実施形態では、液体とは決して直接接触しない小型蠕動ポンプによって体自体(例えば、カテーテル60もしくは不図示の別個の吸込カテーテルによって吸引される周囲送達における間質液または血液から)から吸い取ることができる。吸込口としてカテーテル60を使用する実施形態では、ポンプは、ペレットを放出するための液体中に入れるために内側方向に引き込み、次いで送達部位にペレットを放出または排出するために外側方向に送り出すように構成することができる。1つ以上の弁をカテーテル60の近位部分に配置してこの過程を容易にすることができる。このような実施形態は、プッシャープレート70と組み合わせて使用することができ、プッシャープレートが、カテーテル60内にペレット100を前進させ、次いで加圧液体を使用してペレットをカテーテルから押し出す。
【0040】
なお他の代替の実施形態では、プッシャープレート70は、起電力を使用してペレット100を操作することができる。ここで図10eを参照すると、特定の実施形態では、プッシャープレート70は、電磁引力を使用して運搬部材51のペレット100に係合し、電磁反発力を使用してペレット100をカテーテルまたは他の細長い部材60から押し出すことができる。これは、電源54に接続された充電回路を使用して静電荷100esをペレット100に印加し、プッシャープレート70を電源54に接続してプレート70がペレット100の電荷と同じ極性を持つ電極70eとして機能するようにし、次いで極性を変更して(制御装置80内の回路を使用して)、カテーテル60からペレットを前進させるのに十分な起電力でペレットをプレート70から反発させることによって達成することができる。この過程は、反発電荷がプレート70からカテーテル管腔61の全てまたは一部を通るように導く役割を果たす生理食塩水または他の導電性溶液でカテーテル60を満たすことによって容易にすることができる。この方法では、カテーテル60の管腔全体が、反発電極として機能して、カテーテル60からペレット100を排出する反発力を強めるため、カテーテルの遠位先端部63から相当離れた送達部位にペレットを配置することができる。ペレット100の帯電は、ペレット表面に電荷を保持するようにペレットを電気絶縁材料でコーティングして達成することができる。ペレット100に電荷を印加する代替の手法では、ペレットは、その表面に共有結合した1つ以上のイオン種(リン酸基および硫酸基など)を含むコーティングなどの永久帯電コーティングを含み得る。ペレット100に加える反発力の量は、電源54からプレート70に印加される電圧の量によって制御することができる。電圧の量は、DC/DC変換器またはDC/AC変換器などの制御装置80に接続された、または制御装置80内の様々な出力制御回路55cによって制御することができる。
【0041】
ここで図11を参照すると、多くの実施形態では、装置10は、機構60の作動および制御を含む薬剤送達過程の1つ以上の局面を制御するための制御装置80を備えることができる。制御装置は、マイクロプロセッサ、状態デバイス、またはこれらの両方などの論理資源81、およびRAM、DRAM、ROMなどのメモリ資源82を含み得る。論理資源81および/またはメモリ資源82は、制御装置83の動作用の1つ以上のソフトウエアモジュール83を含み得る。モジュール83の使用によって、制御装置80は、薬剤送達計画を含むようにプログラムすることができ、薬剤は、長期間に亘って一定間隔(例えば、1日に1回または2回など)で送達される。制御装置は、薬剤の送達を開始する、または送達計画を変更する(例えば、1日に1回から2回へ)無線85信号(例えば、無線または他の信号)を受信するRF装置84も備えることができる。この方法では、患者または医療スタッフが、特定の現象(例えば、アンギナの発症)または患者の状態もしくは診断における長期的な変化に応じて薬剤の送達を制御することができる。
【0042】
制御装置80は、薬剤ペレット100によって処置される状態、例えば、糖尿病性高血糖症を示す生理学的パラメータを検出する装置センサ64または遠隔センサ64rからの入力86を受け取ることができる。制御装置80は、状態を示す入力86を受け取ると、標的組織部位への1つ以上の薬剤ペレット100の送達を開始する信号88を送信し、医学的状態が処置される。センサ64からの最初の入力およびそれに続く入力の両方を使用して、状態が消える、または選択された他の方式で処置されるまでは、長期間に亘って薬剤ペレットの送達を増減することもできる。制御装置80は、送達された薬物の血漿または他の組織における濃度を測定するように構成された他のセンサ69からの入力87を受け取ることもできる。これらの入力87を使用して、薬物の送達を増減して薬物の選択された濃度を達成することもできる。体内の複数の部位における薬物分布の薬物動態モデルを開発するために、濃度センサ69を、送達部位DSおよび標的部位TSの両方、ならびに体内の他の部位(例えば、静脈または動脈)に配置することができる。
【0043】
本発明の様々な方法の実施形態では、装置10を用いて、ペレットまたは他の固形薬剤100を皮下組織などの選択された送達部位DSに送達し、そこでペレットが崩壊し、体組織液(例えば、筋肉または真皮組織の間質液)によって吸収され、標的部位TSで薬物110が所望の濃度になる。一部の適用例では、送達部位DSは、標的部位TSと同じ器官および/または区画、例えば、図12aの実施形態に示されているように脳とすることができる。あるいは、標的部位は、図12bの実施形態に示されているように送達部位と異なるようにすることもできる。例えば、一実施形態では、送達部位は、胸部の筋内組織とすることができ、標的部位は、送達部位から離れた心臓などの器官とすることができる。送達部位は、標的部位の反対側、例えば、下層の筋組織の標的部位に到達させる真皮送達としても良いし、または反対側ではない部位に配置する、例えば、心臓の標的部位に到達させる筋内送達としても良い。いずれの場合も、薬剤ペレット100は、選択された用量の薬物を含むことができ、標的組織部位で治療効果のある薬物濃度となるように、崩壊して体組織液によって溶解されるように構成することができる。多くの適用例では、この場合、ペレットが、送達部位の体組織液(例えば、間質液)によって溶解され、次いで薬物が組織から血流に拡散して、標的組織部位に運ばれる。したがって、これらおよび他の適用例では、ペレット中の薬物の用量は、ペレットの溶解の最中および後の選択された期間に亘って薬物が選択された血漿濃度(または濃度範囲)に達するように増減することができる。
【0044】
一部の実施形態では、ペレット100は、崩壊して脳の脳脊髄液(CSF)などの身体区画内の組織液によって溶解され、図12aの実施形態に示されている区画内の組織液中で選択された濃度に達するように構成されている。てんかんおよび他の発作などの様々な神経障害を処置するための特定の実施形態では、ペレットは、発作の再発を防止する、または発作の期間および重症度を低減するために、迅速に崩壊してCSFに溶解されて、脳を浸しているCSF中で選択された薬物濃度に迅速に到達するように構成されている。これは、ペレット100を構成する1つ以上の超崩壊剤の使用によって達成することができる。
【0045】
ここで図13〜図16を参照すると、ペレット崩壊の促進は、送達の前または後で力学的なエネルギー、電磁エネルギー、音響エネルギー、または他のエネルギーでペレットを処置して、ペレットの構造を弱める、体液の進入のための割れ目を形成する、またはペレットの小片への分解を開始することによって達成することもできる。図13a〜図13bに示されているように、力およびエネルギーの送達により、組織液の進入のための割れ目105(または他の表面の欠陥)を形成すること、ならびにペレットを小片106に分解することができえる。一実施形態では、これは、図14の実施形態に示されている運搬部材および/またはスリーブ52によって加えられる機械的圧縮力CFによって達成することができる。
【0046】
他の実施形態では、図15に示されているように、ペレット100が装置10内にある間にエネルギーをペレットに送達して割れ目105を形成し、ペレットの構造を弱めることができる。エネルギーの送達は、超音波周波数がペレットの共振周波数に合わせられた超音波トランスデューサなどの音響エネルギー装置90の使用によって達成することができる。音響または他のエネルギー装置90は、エネルギー源91に接続することができ、エネルギー源は、様々な電源を含み得る。図16に示されている別の実施形態では、ペレットがカテーテル60から排出されて送達部位DSに送達されてからエネルギーをペレットに送達することができる。この実施形態では、エネルギーの送達は、カテーテルの遠位先端部63に配置された超音波トランスデューサまたは他のエネルギー送達装置90の使用によって達成することができる。超音波トランスデューサ90は、エネルギーのビーム93を放射し、このビームが、ペレット100に作用してペレットの構造に割れ目105および他の影響をもたらし、ペレットの小片106への分解および体組織液による溶解による崩壊を促進する。ペレット100の構造を破壊して崩壊/分解を促進するために使用できる他のエネルギーの形態には、光(例えば、レーザー)、RF、マイクロ波、熱、または医療装置の分野で周知の他の形態のエネルギーが含まれる。ペレットの構造を弱める(例えば、割れ目などをもたらす)ためのエネルギー送達計画(例えば、期間、周波数、およびエネルギーの量)は、制御装置80によって制御することができる。エネルギー送達計画は、ペレットのサイズおよび構造特性、ならびに特定の送達部位DSによって調節することができる。様々な実施形態では、エネルギー送達装置90は、電源54によって電力が供給されるか、または専用の電源を備えることができる。
【0047】
様々な適用例では、本発明の実施形態を使用してペレット100または固形薬剤を送達し、てんかん性発作(例えば、フロセミドの使用によって)、高血圧症(例えば、カルシウムチャネル遮断薬、CCBの使用によって)、高コレステロール症(例えば、LIPITORに使用によって)、糖尿病(例えば、インスリンの使用によって)、冠動脈不整脈(心房および心室の両方の、例えば、CCBの使用によって)、冠血管虚血(例えば、ニトログリセリンまたは他の血管拡張剤の使用によって)、または脳虚血、心臓発作、もしくは脳卒中(例えば、アスピリン、TPA、または他の溶血素の使用によって)、貧血症(例えば、ピロリン酸第2鉄の使用によって)、または他の同様の医学的状態を含む多数の状態の処置を行うことができる。本発明のさらなる実施形態を用いて、これらまたは他の状態の2つ以上を同時に処置して、患者が1日に異なる薬物の複数回の投与(例えば、経口または非経口手段)を受けなくても良いようにすることができる。これは、認知障害または身体障害の患者を含む長期に亘る慢性状態の患者に特に有用である。
【0048】
結論
本発明の様々な実施形態の上記説明は、例示と説明のために記載した。上記説明は、本発明を開示した精密な形態に限定するものではない。当業者には、多数の改良形態、変更形態、および改善形態が明らかであろう。例えば、装置の実施形態は、様々な小児および新生児の適用例に対してサイズを合わせる、または他の方法で適合させることができる。
【0049】
一実施形態の要素、特徴、または作用は、他の実施形態の1つ以上の要素、特徴、または作用と容易に組み合わせて、または置き換えて、本発明の範囲内で様々な追加の実施形態を形成することができる。さらに、他の要素と組み合わせられて示されている、または記載されている要素は、様々な実施形態では、独立した要素として存在することができる。したがって、本発明の範囲は、記載された実施形態の詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物を含む固形薬剤を送達するための方法であって、
疾患または状態を処置するための薬物を含む固形薬剤に実質的な分解または有害作用をもたらすことなく長期間に亘って患者の体内の容器内に前記固形薬剤を貯蔵するステップと、
前記疾患または前記状態の処置のために標的組織部位に治療効果をもたらすように前記固形薬剤を前記容器から前記体内の送達部位に送達するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記有害作用は、前記薬物の効力または治療効果の低下を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記薬剤がペレット形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
送達された前記固形薬剤を前記送達部位で溶解して、前記標的組織部位で治療有効量の前記薬物を得るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記送達部位における前記固形薬剤の崩壊速度が、前記固形薬剤の内部または表面の崩壊促進特徴の使用によって促進される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
送達された前記固形薬剤の分解状態を決定するステップと、
決定した前記分解状態に応じて別の用量の固形薬剤を送達するステップと、をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記分解状態が、光学センサ、音響センサ、またはインピーダンスセンサの1つを用いて決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記分解状態が、送達された前記固形薬剤からの信号を送信および受信することによって決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記信号が、光信号、音響信号、または電気信号の1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記分解状態が、別の用量の薬剤を送達するべきか否かの決定で別のパラメータと組み合わせられる、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記他のパラメータが、前記薬物のin vivoでの濃度である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記in vivoでの濃度が、前記送達部位、標的部位、血中、または脳髄液中の濃度である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記他のパラメータが、投薬回数、生理学的パラメータ、または医学的状態もしくは医学的状態の発症を示す生理学的パラメータである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記薬剤が、薬学的な賦形剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記賦形剤が、前記送達部位における前記固形薬剤の崩壊速度を制御するように構成された崩壊剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記賦形剤が、前記送達部位における前記固形薬剤の崩壊速度を加速するように構成された超崩壊剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記固形薬剤にエネルギーを送達して前記送達部位における前記固形薬剤の崩壊速度を増すステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギーが、熱エネルギー、電磁エネルギー、高周波エネルギー、音響エネルギー、または光エネルギーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記送達されたエネルギーが、体組織液の前記固形薬剤への進入を促進する構造的欠陥を前記固形薬剤に生成する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記エネルギーが、前記固形薬剤が前記送達部位に送達された後で送達される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記標的組織部位が、前記送達部位とは異なる位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記標的組織部位が、前記送達部位に並置されていない、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記送達組織部位が、脳、脊髄、骨格筋、心臓、肺、肝臓、子宮、卵巣、睾丸、動脈、静脈、前立腺、血液、皮膚、甲状腺、骨髄、または腎臓である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記長期間が、最大約1年である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記長期間が、最大約5年である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記固形薬剤を前記送達部位に送達するステップが、前記固形薬剤を前記容器から外側チャンバに移送し、次いで前記外側チャンバの開口部に通すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記開口部が、細長い部材の管腔を含み、前記固形薬剤を前記送達部位へ送達するステップが、前記固形薬剤を前記細長い部材の管腔を介して前記送達部位に送達するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記細長い部材が、前記固形薬剤を前記容器の位置とは異なる組織部位に送達するのに十分な長さを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記固形薬剤が、駆動源を用いて前記容器から前記外側チャンバに送達される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記駆動源は、線形インダクタンスモータ(linear inductance motor)、圧電材料、ソレノイド、形状記憶ワイヤ、流体駆動源、または熱駆動源を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記固形薬剤が、一定間隔で送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記間隔が、日単位の間隔、週単位の間隔、または月単位の間隔である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記固形薬剤が、感知された生物学的パラメータに応答して送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記感知された生物学的パラメータが、医学的状態、神経性発作、またはてんかん性発作の前兆となる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記容器の内部が、前記長期間に亘って前記体内の環境から実質的に隔離され続ける、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記容器を前記体内の前記送達部位に移植するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記容器の少なくとも一部が、適合性であり、前記方法が、
前記容器を前記送達部位の形状に適合させるステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記容器が、低侵襲性の方法によって移植される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記薬物がフロセミドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記薬物がインスリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記薬物が血管拡張剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
てんかん性発作の処置用の薬物を含む固形薬剤を送達するための方法であって、
固形薬剤に実質的な分解または有害作用をもたらすことなく長期間に亘って患者の頭蓋内に移植された容器内に前記固形薬剤を貯蔵するステップであって、前記薬剤が、てんかん性発作の処置用の薬物を含む、ステップと、
前記固形薬剤を前記容器から脳組織内の送達部位に送達して、てんかん性発作を防止する、またはてんかん性発作の重症度または持続時間を低減するステップと、を含む、方法。
【請求項43】
前記薬剤がペレット形態である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記薬物はフロセミドを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記脳の脳脊髄液(CSF)内に送達された前記固形薬剤を迅速に溶解して、前記CSF中の前記薬物を選択された濃度にして、前記てんかん性発作を防止する、または前記てんかん性発作の重症度または持続時間を低減するステップをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記固形薬剤が、てんかん性発作の前兆となる、感知された生物学的パラメータに応答して送達される、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
患者の体内の標的組織部位に固形薬物を送達するための装置であって、
第1の開口部を有する第1のチャンバと、
前記第1のチャンバを実質的に取り囲み、第2の開口部を有する第2のチャンバと、
前記第1のチャンバ内に配設されたキャリッジであって、複数の薬剤要素を保持するように構成され、前記薬剤要素が、少なくとも1つの薬物を含む、キャリッジと、
前記キャリッジから薬剤要素を受け取り、前記要素を前記第1の開口部を介して前記第1のチャンバの外部に移送し、そして前記第1のチャンバ内に戻るように構成された運搬部材を含む機構と、
管腔、近位端部、および遠位端部を有する細長い部材であって、前記管腔が、前記薬剤要素を受け入れられるサイズであり、前記細長い部材の少なくとも一部が前記第2のチャンバ内に位置決めされる、細長い部材と、
前記要素を前記機構から係合解除し、前記要素を前記細長い部材の前記管腔を通って押すプッシャープレートと、を備える、装置。
【請求項48】
前記薬剤要素はペレットを含む、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記装置の少なくとも一部が、生体適合性コーティングを備える、請求項47に記載の装置。
【請求項50】
前記少なくとも一部が、前記第2のチャンバの表面を含む、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記生体適合性コーティングが、シリコーン、ポリウレタン、またはフルオロポリマーを含む、請求項49に記載の装置。
【請求項52】
前記管腔の前記遠位端部が、前記第2のチャンバの前記開口部を通って延在する、請求項47に記載の装置。
【請求項53】
前記運搬部材が、前記薬剤要素を保持するためのスロットを備えている、請求項47に記載の装置。
【請求項54】
スロットが、前記薬剤要素が排出される前記キャリッジの開口部に実質的に整合する、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記プッシャープレートが、前進可能なシャフトを備えている、請求項47に記載の装置。
【請求項56】
前記キャリッジがばね荷重されている、請求項47に記載の装置。
【請求項57】
前記プッシャープレートに結合された駆動源をさらに備える、請求項47に記載の装置。
【請求項58】
前記駆動源が、電気駆動源、リニア誘導電動機、またはソレノイドを含む、請求項57に記載の装置。
【請求項59】
前記駆動源が、形状記憶ワイヤまたは熱作動性形状記憶ワイヤを含む、請求項57に記載の装置。
【請求項60】
前記機構が、前記運搬部材上に配設されたスライド可能な部材をさらに含み、前記スライド可能な部材が、前記要素を所定の位置に保持するために前記運搬部材上をスライドするように構成されている、請求項47に記載の装置。
【請求項61】
前記運搬部材と前記スライド可能な部材との間に位置決めされた少なくとも1つの軸受をさらに備える、請求項60に記載の装置。
【請求項62】
前記スライド可能な部材が、前記運搬部材に対して同軸上に配設されている、請求項60に記載の装置。
【請求項63】
前記スライド可能な部材または前記運搬部材の少なくとも一方が、電磁力によって駆動される、請求項60に記載の装置。
【請求項64】
前記運搬部材または前記スライド可能な部材の少なくとも一方に結合された駆動源をさらに備え、前記駆動源が、前記運搬部材または前記スライド可能な部材の少なくとも一方を前進させるように構成されている、請求項60に記載の装置。
【請求項65】
前記駆動源が、電気機械駆動源、リニア誘導電動機、ソレノイド、または形状記憶ワイヤを含む、請求項64に記載の装置。
【請求項66】
前記駆動源が、形状記憶ワイヤまたは熱作動性形状記憶ワイヤを含む、請求項64に記載の装置。
【請求項67】
前記駆動源が、機械駆動源またはばねを含む、請求項64に記載の装置。
【請求項68】
前記駆動源が膨張性ガスを含む、請求項64に記載の装置。
【請求項69】
前記細長い部材が、前記薬剤要素を受け入れられるサイズの管腔を有するカテーテルである、請求項47に記載の装置。
【請求項70】
前記カテーテルが、非外傷性遠位先端部を備えている、請求項69に記載の装置。
【請求項71】
前記第2のチャンバまたは前記細長い部材に結合されたエネルギー送達装置をさらに備え、前記エネルギー送達装置が、エネルギーを前記薬剤要素に送達して体組織液による前記薬剤要素の崩壊速度を増すように構成されている、請求項47に記載の装置。
【請求項72】
前記エネルギーが、熱エネルギー、電磁エネルギー、高周波エネルギー、音響エネルギー、または光エネルギーを含む、請求項71に記載の装置。
【請求項73】
前記エネルギー送達装置が、前記細長い部材の前記遠位端部に近接して位置決めされている、請求項71に記載の装置。
【請求項74】
前記機構が、前記第1の開口部のシールを形成して前記第1のチャンバを前記体内の環境から隔離している、請求項47に記載の装置。
【請求項75】
前記シールが、前記機構の動作中に実質的に維持される、請求項74に記載の装置。
【請求項76】
標的組織部位に固形薬物を送達するための装置であって、
第1の開口部を有する第1のチャンバと、
前記第1のチャンバを実質的に取り囲み、第2の開口部を有する第2のチャンバと、
前記第1のチャンバ内に配設されたキャリッジであって、複数の固形薬剤要素を保持するように構成され、前記薬剤要素が、少なくとも1つの薬物を含む、キャリッジと、
薬剤要素を前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに移送するように構成された機構と、
管腔、近位端部、および遠位端部を有する細長い部材であって、前記管腔が、前記薬剤要素を受け入れられるサイズであり、前記細長い部材の少なくとも一部が前記第2のチャンバ内に位置決めされる、細長い部材と、
前記薬剤要素を前記機構から係合解除し、前記薬剤要素を前記細長い部材の前記管腔を通って前進させる手段と、を備える、装置。
【請求項77】
前記機構が、前記キャリッジから前記薬剤要素を受け取り、前記薬剤要素を前記第1の開口部を介して前記第1のチャンバの外部に移送し、次いで前記第1のチャンバ内に戻るように構成されている、請求項76に記載の装置。
【請求項78】
前記機構が、前記薬剤要素を受け取って移送するための運搬部材を備えている、請求項77に記載の装置。
【請求項79】
前記固形薬剤要素がペレットを含む、請求項76に記載の装置。
【請求項80】
前記細長い部材の管腔の前記遠位端部が、前記第2のチャンバの前記開口部を通って延在する、請求項76に記載の装置。
【請求項81】
前記第2のチャンバが、長期間の移植後に、体組織による前記第2のチャンバの表面の変形を許容する十分に適合性の適合性材料を含む、請求項76に記載の装置。
【請求項82】
前記薬剤要素に係合して前進させる前記手段が、機械的に前進可能なプレートを含む、請求項76に記載の装置。
【請求項83】
前記薬剤要素に係合して前進させる前記手段が、極性可逆電極(reversable polarity electrode)を含む、請求項76に記載の装置。
【請求項84】
前記極性可逆電極が、プレートまたは前記細長い部材の少なくとも一部の少なくとも一方を構成する、請求項83に記載の装置。
【請求項85】
前記薬剤要素に係合して前進させる前記手段が、請求項76に記載の細長い部材を含み、前記細長い部材が、電圧が印加されると蠕動収縮するようにさらに構成されている、請求項76に記載の装置。
【請求項86】
前記薬剤要素に係合して前進させる前記手段が、請求項76に記載の細長い部材を含み、前記細長い部材が、熱が加えられると蠕動収縮するようにさらに構成されている、請求項76に記載の装置。
【請求項87】
外側チャンバが、長期間の移植後に、体組織による前記外側チャンバの表面の変形を許容する十分に適合性の適合性材料を含む、請求項76に記載の装置。
【請求項88】
患者の体内に送達するための固形薬剤であって、疾患または状態の処置用の少なくとも1つの薬物を含み、前記薬剤が、(i)前記薬剤に実質的な分解または有害作用をもたらすことなく長期間に亘って前記体内に移植された容器内に貯蔵され、(ii)送達部位に送達され、かつ(iii)前記送達部位で組織液に溶解して標的組織部位で治療効果をもたらして前記疾患または状態を処置するような形状および材料特性を有する、固形薬剤。
【請求項89】
前記薬剤が、請求項47に記載の装置によって送達されるように構成されている、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項90】
前記薬剤が、請求項76に記載の装置によって送達されるように構成されている、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項91】
前記薬剤がペレットを含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項92】
前記薬剤が複数の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項93】
前記複数の薬物が、複数の状態の処置用である、請求項92に記載の固形薬剤。
【請求項94】
前記複数の薬物が、HIV AIDSの処置用である、請求項92に記載の固形薬剤。
【請求項95】
前記薬剤が、崩壊剤または超崩壊剤の少なくとも一方を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項96】
前記薬剤が、前記送達部位での前記薬剤の崩壊速度を増す特徴を備える、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項97】
前記薬剤が、送達された前記薬剤の分解状態を決定するための指示手段を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項98】
前記指示手段が、光学指示手段を含む、請求項97に記載の固形薬剤。
【請求項99】
前記指示手段が、パターンまたは交差パターンを含む、請求項98に記載の固形薬剤。
【請求項100】
前記指示手段が、光反射コーティングを含む、請求項98に記載の固形薬剤。
【請求項101】
前記指示手段が、音響反射コーティングを含む、請求項97に記載の固形薬剤。
【請求項102】
前記薬剤が、前記送達部位での前記薬剤の崩壊速度が前記薬剤へのエネルギーの適用によって増すように構成されている、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項103】
前記エネルギーが、力学的なエネルギー、熱エネルギー、電磁エネルギー、高周波エネルギー、音響エネルギー、または光エネルギーを含む、請求項102に記載の固形薬剤。
【請求項104】
適用された前記エネルギーが、体組織液の前記固形薬剤への進入を促進する構造的欠陥を前記薬剤に生成する、請求項102に記載の固形薬剤。
【請求項105】
前記薬物が、神経性発作またはてんかんの処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項106】
前記薬物がフロセミドを含む、請求項105に記載の固形薬剤。
【請求項107】
前記薬物が、糖尿病の処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項108】
前記薬物がインスリンを含む、請求項107に記載の固形薬剤。
【請求項109】
前記薬物が、高血圧の処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項110】
前記薬物が、冠血管虚血または心臓発作の処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項111】
前記薬物が、不整脈の処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項112】
前記薬物が、高コレステロールの処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項113】
前記薬物が、脳卒中または脳虚血の処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項114】
前記薬物が抗生物質を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項115】
前記薬物が、抗ウイルス化合物、HIV aidsの処置用の抗ウイルス化合物、またはプロテアーゼ阻害剤を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項116】
前記薬物が、ワクチンまたは抗体を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項117】
前記薬剤が、その表面が静電荷を獲得して保持できるように構成された電気絶縁コーティングを含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項118】
前記薬剤が、帯電コーティングを含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項119】
前記コーティングが、イオン種、イオン性硫酸基、またはイオン性リン酸基の1つを含む、請求項118に記載の固形薬剤。
【請求項1】
薬物を含む固形薬剤を送達するための方法であって、
疾患または状態を処置するための薬物を含む固形薬剤に実質的な分解または有害作用をもたらすことなく長期間に亘って患者の体内の容器内に前記固形薬剤を貯蔵するステップと、
前記疾患または前記状態の処置のために標的組織部位に治療効果をもたらすように前記固形薬剤を前記容器から前記体内の送達部位に送達するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記有害作用は、前記薬物の効力または治療効果の低下を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記薬剤がペレット形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
送達された前記固形薬剤を前記送達部位で溶解して、前記標的組織部位で治療有効量の前記薬物を得るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記送達部位における前記固形薬剤の崩壊速度が、前記固形薬剤の内部または表面の崩壊促進特徴の使用によって促進される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
送達された前記固形薬剤の分解状態を決定するステップと、
決定した前記分解状態に応じて別の用量の固形薬剤を送達するステップと、をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記分解状態が、光学センサ、音響センサ、またはインピーダンスセンサの1つを用いて決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記分解状態が、送達された前記固形薬剤からの信号を送信および受信することによって決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記信号が、光信号、音響信号、または電気信号の1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記分解状態が、別の用量の薬剤を送達するべきか否かの決定で別のパラメータと組み合わせられる、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記他のパラメータが、前記薬物のin vivoでの濃度である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記in vivoでの濃度が、前記送達部位、標的部位、血中、または脳髄液中の濃度である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記他のパラメータが、投薬回数、生理学的パラメータ、または医学的状態もしくは医学的状態の発症を示す生理学的パラメータである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記薬剤が、薬学的な賦形剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記賦形剤が、前記送達部位における前記固形薬剤の崩壊速度を制御するように構成された崩壊剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記賦形剤が、前記送達部位における前記固形薬剤の崩壊速度を加速するように構成された超崩壊剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記固形薬剤にエネルギーを送達して前記送達部位における前記固形薬剤の崩壊速度を増すステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギーが、熱エネルギー、電磁エネルギー、高周波エネルギー、音響エネルギー、または光エネルギーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記送達されたエネルギーが、体組織液の前記固形薬剤への進入を促進する構造的欠陥を前記固形薬剤に生成する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記エネルギーが、前記固形薬剤が前記送達部位に送達された後で送達される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記標的組織部位が、前記送達部位とは異なる位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記標的組織部位が、前記送達部位に並置されていない、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記送達組織部位が、脳、脊髄、骨格筋、心臓、肺、肝臓、子宮、卵巣、睾丸、動脈、静脈、前立腺、血液、皮膚、甲状腺、骨髄、または腎臓である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記長期間が、最大約1年である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記長期間が、最大約5年である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記固形薬剤を前記送達部位に送達するステップが、前記固形薬剤を前記容器から外側チャンバに移送し、次いで前記外側チャンバの開口部に通すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記開口部が、細長い部材の管腔を含み、前記固形薬剤を前記送達部位へ送達するステップが、前記固形薬剤を前記細長い部材の管腔を介して前記送達部位に送達するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記細長い部材が、前記固形薬剤を前記容器の位置とは異なる組織部位に送達するのに十分な長さを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記固形薬剤が、駆動源を用いて前記容器から前記外側チャンバに送達される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記駆動源は、線形インダクタンスモータ(linear inductance motor)、圧電材料、ソレノイド、形状記憶ワイヤ、流体駆動源、または熱駆動源を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記固形薬剤が、一定間隔で送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記間隔が、日単位の間隔、週単位の間隔、または月単位の間隔である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記固形薬剤が、感知された生物学的パラメータに応答して送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記感知された生物学的パラメータが、医学的状態、神経性発作、またはてんかん性発作の前兆となる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記容器の内部が、前記長期間に亘って前記体内の環境から実質的に隔離され続ける、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記容器を前記体内の前記送達部位に移植するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記容器の少なくとも一部が、適合性であり、前記方法が、
前記容器を前記送達部位の形状に適合させるステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記容器が、低侵襲性の方法によって移植される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記薬物がフロセミドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記薬物がインスリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記薬物が血管拡張剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
てんかん性発作の処置用の薬物を含む固形薬剤を送達するための方法であって、
固形薬剤に実質的な分解または有害作用をもたらすことなく長期間に亘って患者の頭蓋内に移植された容器内に前記固形薬剤を貯蔵するステップであって、前記薬剤が、てんかん性発作の処置用の薬物を含む、ステップと、
前記固形薬剤を前記容器から脳組織内の送達部位に送達して、てんかん性発作を防止する、またはてんかん性発作の重症度または持続時間を低減するステップと、を含む、方法。
【請求項43】
前記薬剤がペレット形態である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記薬物はフロセミドを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記脳の脳脊髄液(CSF)内に送達された前記固形薬剤を迅速に溶解して、前記CSF中の前記薬物を選択された濃度にして、前記てんかん性発作を防止する、または前記てんかん性発作の重症度または持続時間を低減するステップをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記固形薬剤が、てんかん性発作の前兆となる、感知された生物学的パラメータに応答して送達される、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
患者の体内の標的組織部位に固形薬物を送達するための装置であって、
第1の開口部を有する第1のチャンバと、
前記第1のチャンバを実質的に取り囲み、第2の開口部を有する第2のチャンバと、
前記第1のチャンバ内に配設されたキャリッジであって、複数の薬剤要素を保持するように構成され、前記薬剤要素が、少なくとも1つの薬物を含む、キャリッジと、
前記キャリッジから薬剤要素を受け取り、前記要素を前記第1の開口部を介して前記第1のチャンバの外部に移送し、そして前記第1のチャンバ内に戻るように構成された運搬部材を含む機構と、
管腔、近位端部、および遠位端部を有する細長い部材であって、前記管腔が、前記薬剤要素を受け入れられるサイズであり、前記細長い部材の少なくとも一部が前記第2のチャンバ内に位置決めされる、細長い部材と、
前記要素を前記機構から係合解除し、前記要素を前記細長い部材の前記管腔を通って押すプッシャープレートと、を備える、装置。
【請求項48】
前記薬剤要素はペレットを含む、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記装置の少なくとも一部が、生体適合性コーティングを備える、請求項47に記載の装置。
【請求項50】
前記少なくとも一部が、前記第2のチャンバの表面を含む、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記生体適合性コーティングが、シリコーン、ポリウレタン、またはフルオロポリマーを含む、請求項49に記載の装置。
【請求項52】
前記管腔の前記遠位端部が、前記第2のチャンバの前記開口部を通って延在する、請求項47に記載の装置。
【請求項53】
前記運搬部材が、前記薬剤要素を保持するためのスロットを備えている、請求項47に記載の装置。
【請求項54】
スロットが、前記薬剤要素が排出される前記キャリッジの開口部に実質的に整合する、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記プッシャープレートが、前進可能なシャフトを備えている、請求項47に記載の装置。
【請求項56】
前記キャリッジがばね荷重されている、請求項47に記載の装置。
【請求項57】
前記プッシャープレートに結合された駆動源をさらに備える、請求項47に記載の装置。
【請求項58】
前記駆動源が、電気駆動源、リニア誘導電動機、またはソレノイドを含む、請求項57に記載の装置。
【請求項59】
前記駆動源が、形状記憶ワイヤまたは熱作動性形状記憶ワイヤを含む、請求項57に記載の装置。
【請求項60】
前記機構が、前記運搬部材上に配設されたスライド可能な部材をさらに含み、前記スライド可能な部材が、前記要素を所定の位置に保持するために前記運搬部材上をスライドするように構成されている、請求項47に記載の装置。
【請求項61】
前記運搬部材と前記スライド可能な部材との間に位置決めされた少なくとも1つの軸受をさらに備える、請求項60に記載の装置。
【請求項62】
前記スライド可能な部材が、前記運搬部材に対して同軸上に配設されている、請求項60に記載の装置。
【請求項63】
前記スライド可能な部材または前記運搬部材の少なくとも一方が、電磁力によって駆動される、請求項60に記載の装置。
【請求項64】
前記運搬部材または前記スライド可能な部材の少なくとも一方に結合された駆動源をさらに備え、前記駆動源が、前記運搬部材または前記スライド可能な部材の少なくとも一方を前進させるように構成されている、請求項60に記載の装置。
【請求項65】
前記駆動源が、電気機械駆動源、リニア誘導電動機、ソレノイド、または形状記憶ワイヤを含む、請求項64に記載の装置。
【請求項66】
前記駆動源が、形状記憶ワイヤまたは熱作動性形状記憶ワイヤを含む、請求項64に記載の装置。
【請求項67】
前記駆動源が、機械駆動源またはばねを含む、請求項64に記載の装置。
【請求項68】
前記駆動源が膨張性ガスを含む、請求項64に記載の装置。
【請求項69】
前記細長い部材が、前記薬剤要素を受け入れられるサイズの管腔を有するカテーテルである、請求項47に記載の装置。
【請求項70】
前記カテーテルが、非外傷性遠位先端部を備えている、請求項69に記載の装置。
【請求項71】
前記第2のチャンバまたは前記細長い部材に結合されたエネルギー送達装置をさらに備え、前記エネルギー送達装置が、エネルギーを前記薬剤要素に送達して体組織液による前記薬剤要素の崩壊速度を増すように構成されている、請求項47に記載の装置。
【請求項72】
前記エネルギーが、熱エネルギー、電磁エネルギー、高周波エネルギー、音響エネルギー、または光エネルギーを含む、請求項71に記載の装置。
【請求項73】
前記エネルギー送達装置が、前記細長い部材の前記遠位端部に近接して位置決めされている、請求項71に記載の装置。
【請求項74】
前記機構が、前記第1の開口部のシールを形成して前記第1のチャンバを前記体内の環境から隔離している、請求項47に記載の装置。
【請求項75】
前記シールが、前記機構の動作中に実質的に維持される、請求項74に記載の装置。
【請求項76】
標的組織部位に固形薬物を送達するための装置であって、
第1の開口部を有する第1のチャンバと、
前記第1のチャンバを実質的に取り囲み、第2の開口部を有する第2のチャンバと、
前記第1のチャンバ内に配設されたキャリッジであって、複数の固形薬剤要素を保持するように構成され、前記薬剤要素が、少なくとも1つの薬物を含む、キャリッジと、
薬剤要素を前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに移送するように構成された機構と、
管腔、近位端部、および遠位端部を有する細長い部材であって、前記管腔が、前記薬剤要素を受け入れられるサイズであり、前記細長い部材の少なくとも一部が前記第2のチャンバ内に位置決めされる、細長い部材と、
前記薬剤要素を前記機構から係合解除し、前記薬剤要素を前記細長い部材の前記管腔を通って前進させる手段と、を備える、装置。
【請求項77】
前記機構が、前記キャリッジから前記薬剤要素を受け取り、前記薬剤要素を前記第1の開口部を介して前記第1のチャンバの外部に移送し、次いで前記第1のチャンバ内に戻るように構成されている、請求項76に記載の装置。
【請求項78】
前記機構が、前記薬剤要素を受け取って移送するための運搬部材を備えている、請求項77に記載の装置。
【請求項79】
前記固形薬剤要素がペレットを含む、請求項76に記載の装置。
【請求項80】
前記細長い部材の管腔の前記遠位端部が、前記第2のチャンバの前記開口部を通って延在する、請求項76に記載の装置。
【請求項81】
前記第2のチャンバが、長期間の移植後に、体組織による前記第2のチャンバの表面の変形を許容する十分に適合性の適合性材料を含む、請求項76に記載の装置。
【請求項82】
前記薬剤要素に係合して前進させる前記手段が、機械的に前進可能なプレートを含む、請求項76に記載の装置。
【請求項83】
前記薬剤要素に係合して前進させる前記手段が、極性可逆電極(reversable polarity electrode)を含む、請求項76に記載の装置。
【請求項84】
前記極性可逆電極が、プレートまたは前記細長い部材の少なくとも一部の少なくとも一方を構成する、請求項83に記載の装置。
【請求項85】
前記薬剤要素に係合して前進させる前記手段が、請求項76に記載の細長い部材を含み、前記細長い部材が、電圧が印加されると蠕動収縮するようにさらに構成されている、請求項76に記載の装置。
【請求項86】
前記薬剤要素に係合して前進させる前記手段が、請求項76に記載の細長い部材を含み、前記細長い部材が、熱が加えられると蠕動収縮するようにさらに構成されている、請求項76に記載の装置。
【請求項87】
外側チャンバが、長期間の移植後に、体組織による前記外側チャンバの表面の変形を許容する十分に適合性の適合性材料を含む、請求項76に記載の装置。
【請求項88】
患者の体内に送達するための固形薬剤であって、疾患または状態の処置用の少なくとも1つの薬物を含み、前記薬剤が、(i)前記薬剤に実質的な分解または有害作用をもたらすことなく長期間に亘って前記体内に移植された容器内に貯蔵され、(ii)送達部位に送達され、かつ(iii)前記送達部位で組織液に溶解して標的組織部位で治療効果をもたらして前記疾患または状態を処置するような形状および材料特性を有する、固形薬剤。
【請求項89】
前記薬剤が、請求項47に記載の装置によって送達されるように構成されている、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項90】
前記薬剤が、請求項76に記載の装置によって送達されるように構成されている、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項91】
前記薬剤がペレットを含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項92】
前記薬剤が複数の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項93】
前記複数の薬物が、複数の状態の処置用である、請求項92に記載の固形薬剤。
【請求項94】
前記複数の薬物が、HIV AIDSの処置用である、請求項92に記載の固形薬剤。
【請求項95】
前記薬剤が、崩壊剤または超崩壊剤の少なくとも一方を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項96】
前記薬剤が、前記送達部位での前記薬剤の崩壊速度を増す特徴を備える、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項97】
前記薬剤が、送達された前記薬剤の分解状態を決定するための指示手段を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項98】
前記指示手段が、光学指示手段を含む、請求項97に記載の固形薬剤。
【請求項99】
前記指示手段が、パターンまたは交差パターンを含む、請求項98に記載の固形薬剤。
【請求項100】
前記指示手段が、光反射コーティングを含む、請求項98に記載の固形薬剤。
【請求項101】
前記指示手段が、音響反射コーティングを含む、請求項97に記載の固形薬剤。
【請求項102】
前記薬剤が、前記送達部位での前記薬剤の崩壊速度が前記薬剤へのエネルギーの適用によって増すように構成されている、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項103】
前記エネルギーが、力学的なエネルギー、熱エネルギー、電磁エネルギー、高周波エネルギー、音響エネルギー、または光エネルギーを含む、請求項102に記載の固形薬剤。
【請求項104】
適用された前記エネルギーが、体組織液の前記固形薬剤への進入を促進する構造的欠陥を前記薬剤に生成する、請求項102に記載の固形薬剤。
【請求項105】
前記薬物が、神経性発作またはてんかんの処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項106】
前記薬物がフロセミドを含む、請求項105に記載の固形薬剤。
【請求項107】
前記薬物が、糖尿病の処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項108】
前記薬物がインスリンを含む、請求項107に記載の固形薬剤。
【請求項109】
前記薬物が、高血圧の処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項110】
前記薬物が、冠血管虚血または心臓発作の処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項111】
前記薬物が、不整脈の処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項112】
前記薬物が、高コレステロールの処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項113】
前記薬物が、脳卒中または脳虚血の処置用の薬物を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項114】
前記薬物が抗生物質を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項115】
前記薬物が、抗ウイルス化合物、HIV aidsの処置用の抗ウイルス化合物、またはプロテアーゼ阻害剤を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項116】
前記薬物が、ワクチンまたは抗体を含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項117】
前記薬剤が、その表面が静電荷を獲得して保持できるように構成された電気絶縁コーティングを含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項118】
前記薬剤が、帯電コーティングを含む、請求項88に記載の固形薬剤。
【請求項119】
前記コーティングが、イオン種、イオン性硫酸基、またはイオン性リン酸基の1つを含む、請求項118に記載の固形薬剤。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−520731(P2012−520731A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500792(P2012−500792)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/000851
【国際公開番号】WO2010/107507
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511227440)インキューブ ラブズ, エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/000851
【国際公開番号】WO2010/107507
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511227440)インキューブ ラブズ, エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】
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