説明

土石流の検知装置、地滑り等の検知装置、及びこれを用いた警報装置

【課題】誤検知を低減するとともに、検知感度の低下を抑える。
【解決手段】検知用電線11が、河川3を横断するように河床3a内に埋設される。切断検知部は、検知用電線11に常時ループ電流を流し、そのループ電流が流れなくなったときに、検知用電線11が切断された旨の切断検知信号を出力する。検知用電線11の複数箇所の各々が、河床3a内に埋設された埋設物12であって検知用電線11に比べて周囲の土砂等に対する固定力が大きい埋設物12に、固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土石流の検知装置及びこれを用いた警報装置、並びに、地滑り等の検知装置及びこれを用いた警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の土石流検知方法では、渓流等の河川を横断するように前記河川の水面から数十cm上に敷設した検知用電線が用いられていた。土石流が発生すると、河川の増水に伴う流木や土砂などが検知用電線に衝突することで、検知用電線が切断される。検知用電線に電流を流しておき、検知用電線の切断を当該電流が流れなくなったことにより検知し、これにより土石流を検知していた。
【0003】
また、下記特許文献1には、河川横断埋設管の近くの河床上流側位置に、前記埋設管と同等かそれより浅い埋設深さで河川を横断する検知ケーブルを予め敷設しておいて、洪水土石流等によって河床が埋設管近くまで掘り下げられたり押し流される危険状態を前記検知ケーブルで検知する河川横断埋設管の破断事故予知の方法が、開示されている。
【特許文献1】特開昭55−139600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の土石流検知方法では、検知用電線が水面から数十cm上に敷設されていたので、検知用電線は、狸、鹿、狐、猿などの小動物によって切断されたり、強風などによる風圧や強風により飛来する飛来物によって切断されたり、石・岩などの移動によって切断されたり、下流に影響がほとんどないごく小規模の土石流によって切断されたりしていた。すなわち、前記従来の土石流検知方法では、誤検知が非常に多かった。
【0005】
そこで、特許文献1の教示に従って検知用電線を河床内に埋設することが考えられる。このように、検知用電線を河床内に埋設すれば、前述したような誤検知は低減することができる。
【0006】
しかしながら、この場合には、周囲の土砂等に対する検知用電線自体の固定力はさほど大きくないため、比較的大きい規模の土石流が発生しても、検知用電線が切断され難くなってしまい、土石流に対する検知感度が低下してしまう。
【0007】
このような事情は、土石流の検知に限定されるものではなく、地滑り等(例えば、地震等による地滑り、山崩れ、崖崩れなど)の検知についても、検知用電線を用いて行う場合は同様であった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、誤検知を低減することができるとともに検知感度の低下を抑えることができる土石流の検知装置及び地滑り等の検知装置、並びに、このような検知装置を用いた警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による土石流の検知装置は、渓流等の河川を横断するように河床内に埋設された検知用電線と、該検知用電線の切断を検知する切断検知部とを備え、前記検知用電線の複数箇所の各々が、前記河床内に埋設された埋設物であって前記検知用電線に比べて周囲の土砂等に対する固定力が大きい埋設物に、固定されたものである。
【0010】
この第1の態様によれば、検知用電線が河床内に埋設されているので、検知用電線は、小動物によって切断されるおそれや、強風などによる風圧や強風により飛来する飛来物によって切断されるおそれや、石・岩などの移動によって切断されるおそれや、下流に影響がほとんどないごく小規模の土石流によって切断されるおそれがなくなる。したがって、この第1の態様によれば、誤検知を低減することができる。
【0011】
そして、河床をある程度えぐり取るような規模の土石流が発生すると、検知用電線11が切断され、その土石流が検知される。前記第1の態様によれば、検知用電線が単に埋設されるのではなく、検知用電線の複数箇所の各々が、前記河床内に埋設された埋設物であって前記検知用電線に比べて周囲の土砂等に対する固定力が大きい埋設物に、固定されている。したがって、検知用電線の複数箇所がより周囲の土砂等と一体化することになるので、土石流発生時に土砂等は通常は全体的に均等に移動するのではなく部分的に移動の仕方が異なることから、検知用電線を単に埋設した場合に比べて、ある規模以上の土石流が発生した際に一層確実に検知用電線が切断されることになり、ひいては、土石流等の検出感度の低下が抑えられる。
【0012】
本発明の第2の態様による土石流の検知装置は、前記第1の態様において、前記検知用電線を複数備え、当該複数の検知用電線の全てが切断された場合に土石流を検知するものである。
【0013】
この第2の態様によれば、複数の検知用電線の全てが切断された場合に土石流が検知されるので、何らかの原因で土石流によらずにある検知用電線が切断される可能性があっても、ある程度以上の規模の土石流が発生しない限り全ての検知用電線が切断される可能性は非常に低いことから、土石流の誤検知を一層低減することができる。
【0014】
本発明の第3の態様による土石流の検知装置は、前記第1又は第2の態様において、電波を受けて所定の情報を示す電波を送出する情報送出手段が、前記埋設物に設けられたものである。前記情報送出手段としては、例えば、市販のICタグやマイクロチップなどを用いることができる。前記所定の情報としては、当該埋設物の識別情報、当該埋設物の埋蔵位置情報、埋蔵年月日、管理者などを挙げることができる。
【0015】
この第3の態様によれば、地上から電波を発すると、河床内に埋設された埋設物に設けられた情報送出手段から前記所定の情報を示す電波が得られるので、当該検知用電線の設置時や保守時に当該検知用電線が適切に敷設されているか否かを確認したり、土石流が発生して流された後に、当該埋設物を探索することができる。土石流が発生して流された後に当該埋設物を探索することで、その移動状況(移動距離や移動経路など)を観測することができ、災害の規模を把握したり、堤防や砂防ダムの設置計画に活用することができる。
【0016】
本発明の第4の態様による土石流の検知装置は、渓流等の河川の流水により発電する水力発電機と、該水力発電機の出力の変化を監視する監視部とを備えたものである。前記水力発電機としては、例えば、市販の小型水力発電機を用いることができる。
【0017】
ところで、本発明の研究の結果、前記水力発電機の出力の変化を監視することで、土石流の発生又はその可能性の増大を検知することができることが、判明した。土石流が発生したりその可能性が高まる際には、河川の流量が急激に高まることから、前記水力発電機の出力は急激に増大する。また、河川の上流で自然ダムが発生した後にその自然ダムが決壊して土石流が発生する場合、自然ダムができたときに河川の流量が低下することから、前記水力発電機の出力が低下する。したがって、前記第4の態様のように、前記水力発電機の出力の変化を監視すれば、水力発電機の出力の急激な増大や水力発電機の出力の低下によって、土石流を検知することができる(すなわち、土石流の発生又はその可能性の増大を検知することができる)。
【0018】
この第4の態様は、このような原理に従って土石流を検知することができるので、従来の土石流検知方法のように検知用電線を河川の水面から数十cm上に敷設する場合に比べて、誤検知を低減することができる。
【0019】
本発明の第5の態様による土石流の検知装置は、前記第4の態様において、前記水力発電機で発電された電力を蓄電する蓄電池を備え、前記蓄電池の電力を前記監視部の作動に用いるものである。
【0020】
この第5の態様によれば、水力発電機を土石流検知のセンサとしてのみならず電力利用のためにも用いるので、商用電源の届かない山間部等にも容易に設置できるとともに、両者を兼用することでコストダウン等を図ることができる。
【0021】
本発明の第6の態様による土石流の警報装置は、前記第1乃至第5の態様による土石流の検知装置のうちのいずれか1つ以上の検知装置と、前記1つ以上の検知装置による検知結果に基づいて警報を発する警報手段とを備えたものである。前記警報手段としては、サイレン等の警報音を発生する発音手段や、赤色回転灯や警報表示板等の可視光による発光手段などを挙げることができる。
【0022】
この第6の態様によれば、警報手段を備えているので、土石流の危険を報知することができ、土石流災害を抑えることができる。
【0023】
本発明の第7の態様による土石流の警報装置は、前記第6の態様において、土石流の発生に関連する1種類以上の水文情報を観測する水文情報観測手段を備え、前記警報手段は、前記1つ以上の検知装置による検知結果と前記水文情報観測手段により観測された水文情報とに基づいて警報を発するものである。
【0024】
この第7の態様によれば、土石流の発生に関連する1種類以上の水文情報を観測してこれを用いるので、より的確に土石流を検知することができ、ひいては、より的確に土石流の危険を報知することができる。
【0025】
本発明の第8の態様による土石流の警報装置は、前記第7の態様において、前記1種類以上の水文情報は、前記河川付近の時間雨量、前記河川付近の連続時間雨量、前記河川の水位及び前記河川の流速のうちの少なくとも1つを含むものである。
【0026】
この第8の態様は水文情報の例を挙げたものであるが、前記第7の態様ではこれらに限定されるものではない。
【0027】
本発明の第9の態様による土石流の警報装置は、前記第7又は第8の態様において、前記警報手段が警報を発する際に得られる警報信号及び前記水文情報観測手段により観測された水文情報を、管理事務所に送信する送信手段を備えたものである。前記送信手段は、無線及び有線のいずれか一方のみ又は両方の併用によるものでもよいし、例えば、衛星回線を利用するものでもよい。
【0028】
この第9の態様によれば、管理事務所に警報信号及び水文情報が送信されるので、例えば、土石流災害からの流域の住民を安全かつ迅速に避難誘導することができる。
【0029】
本発明の第10の態様による土石流の警報装置は、前記第6乃至第9のいずれかの態様において、水力発電機、風力発電機及び太陽電池のうちの少なくとも1つの発電部と、当該少なくとも1つの発電部で発電された電力を蓄電する蓄電池を備え、前記蓄電池の電力を当該警報装置の作動に用いるものである。
【0030】
この第10の態様によれば、商用電源の届かない山間部等にも容易に設置できる。
【0031】
本発明の第11の態様による地滑り等の検知装置は、傾斜地等の地面に埋設された検知用電線と、該検知用電線の切断を検知する切断検知部とを備え、前記検知用電線の複数箇所の各々が、前記検知用電線の地面に埋設された埋設物であって前記検知用電線に比べて周囲の土砂等に対する固定力が大きい埋設物に、固定されたものである。
【0032】
この第11の態様によれば、検知用電線が傾斜地等の地面に埋設されているので、検知用電線は、小動物によって切断されるおそれや、強風などによる風圧や強風により飛来する飛来物によって切断されるおそれや、石・岩などの移動によって切断されるおそれがなくなる。したがって、この第11の態様によれば、検知用電線を地上に敷設する場合に比べて、誤検知を低減することができる。
【0033】
そして、前記第11の態様によれば、検知用電線が単に埋設されるのではなく、検知用電線の複数箇所の各々が、傾斜地等の地面に埋設された埋設物であって前記検知用電線に比べて周囲の土砂等に対する固定力が大きい埋設物に、固定されている。したがって、検知用電線の複数箇所がより周囲の土砂等と一体化することになるので、地滑り等の発生時に土砂等は通常は全体的に均等に移動するのではなく部分的に移動の仕方が異なることから、検知用電線を単に埋設した場合に比べて、地滑り等が発生した際に一層確実に検知用電線が切断されることになり、ひいては、地滑り等の検出感度の低下が抑えられる。
【0034】
なお、第11の態様では、検知用電線は、最も速く崩れると予想される場所に設置すると、より早い段階で地滑り等を検知することができるので、好ましい。
【0035】
本発明の第12の態様による地滑り等の検知装置は、前記第11の態様において、前記検知用電線を複数備え、当該複数の検知用電線の全てが切断された場合に地滑り等を検知するものである。
【0036】
この第12の態様によれば、複数の検知用電線の全てが切断された場合に地滑り等が検知されるので、何らかの原因で地滑り等によらずにある検知用電線が切断される可能性があっても、地滑り等が発生しない限り全ての検知用電線が切断される可能性は非常に低いので、土石流の誤検知を一層低減することができる。
【0037】
本発明の第13の態様による地滑り等の検知装置は、前記第11又は第12の態様において、電波を受けて所定の情報を示す電波を送出する情報送出手段が、前記埋設物に設けられたものである。前記情報送出手段としては、例えば、市販のICタグやマイクロチップなどを用いることができる。前記所定の情報としては、当該埋設物の識別情報、当該埋設物の埋蔵位置情報、埋蔵年月日、管理者などを挙げることができる。
【0038】
この第13の態様によれば、地上から電波を発すると、傾斜地等の地面に埋設された埋設物に設けられた情報送出手段から前記所定の情報を示す電波が得られるので、当該検知用電線の設置時や保守時に当該検知用電線が適切に敷設されているか否かを確認したり、地滑り等が発生して流された後に、当該埋設物を探索することができる。地滑り等が発生して流された後に当該埋設物を探索することで、その移動状況(移動距離や移動経路など)を観測することができ、災害の規模を把握したり、地滑り等の防止工事の計画に活用することができる。
【0039】
本発明の第14の態様による地滑り等の警報装置は、前記第11乃至第13のいずれかの地滑り等の検知装置のうちのいずれか1つ以上の検知装置と当該検知装置による検知結果に基づいて警報を発する警報手段とを備えたものである。前記警報手段としては、サイレン等の可聴音を発生する発音手段や、赤色回転灯等の可視光を発生する発光手段などを挙げることができる。
【0040】
この第14の態様によれば、警報手段を備えているので、地滑り等の危険を報知することができ、地滑り等の災害を抑えることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、誤検知を低減することができるとともに検知感度の低下を抑えることができる土石流の検知装置及び地滑り等の検知装置、並びに、このような検知装置を用いた警報装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明による土石流の検知装置及び地滑り等の検知装置、並びに、このような検知装置を用いた警報装置について、図面を参照して説明する。
【0043】
[第1の実施の形態]
【0044】
図1は、本発明の第1の実施の形態による土石流警報装置1,2を用いた土石流警報システムを模式的に示す概略配置図である。
【0045】
本例では、この土石流警報システムは、渓谷等の河川3の所望箇所に設置された1つの土石流警報装置1と、他の所望箇所に設置された複数の土石流警報装置2とを備えている。後に詳述するが、土石流警報装置1は、自身の警報信号を管理事務所へ送信する機能を有する他に、各土石流警報装置2からの警報信号等を無線で受信して管理事務所へ送信する中継機能を併有している。一方、各土石流警報装置2は、自身の警報信号等を管理事務所へ直接に送信する機能は持たずに自身の警報信号等を無線で土石流警報装置1に送信して土石流警報装置1を経由して管理事務所へ送信するようになっている。
【0046】
図2は、図1中の土石流警報装置1の構成を示す概略ブロック図である。図3は、図2中の主な要素の配置を模式的に示す図であり、図3(a)は河川3の川幅方向に沿った断面を模式的に示す図、図3(b)は図3(a)中のA矢視図である。ただし、図3(b)は、検知用電線11及び埋設物12のみを示している。
【0047】
本実施の形態では、土石流警報装置1は、図2及び図3に示すように、河川3を横断するように河床3a内に埋設された検知用電線11と、検知用電線11の切断を検知する切断検知部13とを備えており、これらが1つの土石流検知装置を構成している。
【0048】
図面には示していないが、検知用電線11としては、例えば、2芯の被覆電線においてその一端部(図3の右端部)で2芯間を電気的に接続して電流ループをなすように構成したものを用いることができる。
【0049】
図3に示すように、検知用電線11の複数箇所の各々が、河床3a内に埋設された埋設物12に、固定されている。埋設物12は、検知用電線11に比べて周囲の土砂等に対して大きい固定力を持つように、その形状や大きさが定められている。例えば、埋設物12として、強度の高い合成樹脂等で構成した外形約3cmで長さが約30cmの円筒体を用いることができる。検知用電線11と埋設物12との間は任意の固定方法で固定されるが、その間は強固に固定される。埋設物12の間隔は例えば数m程度とされる。検知用電線11の河床3aからの埋設深さは、検知用電線11の埋設深さは検知しようとする土石流の規模に合わせて適宜設定され、例えば数十cm程度とされる。なお、検知用電線11の川幅の両側部分は、土石流の通過予想域から外れた箇所に設置された杭14に固定されている。
【0050】
本実施の形態では、図3に示すように、埋設物12には、電波を受けて所定の情報を示す電波を送出する情報送出部15が設けられている。本実施の形態では、埋設物12が土石流により流されても、破損したり埋設物12から外れたりしないように、埋設物12に内蔵されている。ただし、情報送出部15は、必ずしも埋設物12に内蔵する必要はない。情報送出部15としては、具体的には、市販のICタグやマイクロチップなどを用いることができる。ただし、情報送出部15に電波を与えて情報送出部15からの電波を受信してその情報を読み取る読み取り器と、情報送出部15との間の、読み取り可能距離が比較的長いものを用いることが、好ましい。前記所定の情報としては、当該埋設物12の識別情報、当該埋設物12の埋蔵位置情報、埋蔵年月日、管理者などを挙げることができる。
【0051】
切断検知部13は、検知用電線11に常時ループ電流を流し、そのループ電流が流れなくなったときに、検知用電線11が切断された旨の切断検知信号を土石流検知信号として出力し、この土石流検知信号を処理部16へ供給する。
【0052】
また、本実施の形態では、土石流警報装置1は、図2に示すように、検知用電線11及び切断検知部13の他に、処理部16と、検知用電線11の敷設箇所付近の時間雨量及び連続雨量を計測する転倒桝式雨量計などの雨量計17と、検知用電線11の敷設箇所付近の河川3の水位を計測する水位計18、検知用電線11の敷設箇所付近の河川3の流速を計測する流速計19と、太陽電池20と、風力発電機21と、河川3の流水3bにより発電する水力発電機22と、蓄電池23と、水力発電機22の出力を監視する出力監視部24と、通信装置25と、サイレン26と、赤色回転灯27と、LED等を用いて文字等の表示が可能な表示パネルからなる警報表示板28と、無線受信機29とを備えている。
【0053】
本実施の形態では、図2に示すように、水位計18として超音波式水位計が用いられ、水位計18は、超音波送受信器18aと、超音波送受信器18aからの信号に基づいて河川3の水位を計測する水位計測部18bとを有している。流速計19として超音波式流速計が用いられ、流速計19は、超音波送受信器19aと、超音波送受信器19aからの信号に基づいて河川3の流速を計測する流速計測部19bとを有している。図3に示すように、超音波送受信器18a,19aは、河川3の流水3b上に突き出すように設けられている。河川3の水位及び流速、並びに、連続雨量及び時間雨量はそれぞれ水文情報の一種であり、本実施の形態では、雨量計17、水位計18及び流速計19は、水文情報観測手段を構成している。
【0054】
水力発電機22として水中浸漬型の小型水力発電機が用いられ、水力発電機22は、図3に示すように、検知用電線11の敷設箇所付近の河川3の流水3b内に設置されている。
【0055】
図3(a)においては、図2中の要素のうち検知用電線11、超音波送受信器18a,19a及び水力発電機22を除く要素を、まとめて、符号100で示している。これらの要素100は、土石流の通過予想域から外れた安全な場所に配置されている。なお、必要に応じて、警報手段となるサイレン26、赤色回転灯27及び警報表示板28は、処理部16等から離れた適当な場所に設置してもよい。
【0056】
蓄電池23は、太陽電池20、風力発電機21及び水力発電機22でそれぞれ発電された電力を蓄電する。蓄電池23の電力が、当該土石流警報装置1における電力が必要な各部(処理部16、切断検知部13、出力監視部24等を含む)に供給されるようになっている。
【0057】
出力監視部24は、水力発電機22の出力の変化を監視し、その出力が急激に増大した場合及びその出力が所定値より低下した場合に、その旨を示す信号を出力する。
【0058】
処理部16は、CPU等を用いて構成され、以下に説明する動作を行うように構成されている。
【0059】
処理部16は、切断検知部13からの検知信号に基づいて検知用電線11が切断された場合に、警報信号を生成する。
【0060】
処理部16は、雨量計17からの信号に基づいて、時間雨量が所定値以上(例えば、20mm)となった場合及び連続雨量が所定値以上(例えば、100mm以上)となった場合に注意信号を生成するとともに、時間雨量が所定値以上(例えば、40mm)となった場合及び連続雨量が所定値以上(例えば、150mm以上)となった場合に、警報信号を生成する。
【0061】
処理部16は、水位計18からの信号に基づいて、河川3の水位が所定の注意水位以上となった場合に注意信号を生成するとともに、河川3の水位が所定の警戒水位以上となった場合に警報信号を生成する。
【0062】
処理部16は、流速計19からの信号に基づいて、河川3の流速が所定の注意流速以上(例えば、3m/s以上)となった場合に注意信号を生成するとともに、河川3の流速が所定の警戒流速以上(例えば、4m/s以上)となった場合に警報信号を生成する。
【0063】
処理部16は、出力監視部24からの信号に基づいて、水力発電機の出力が急激に増大した場合及びその出力が所定値より低下した場合に、警報信号を生成する。
【0064】
そして、処理部16は、前述したように注意信号を生成した場合は、サイレン26及び赤色回転灯27を作動させることなく、警報表示板28に土石流に注意する旨の表示(注意表示)を行わせる。また、処理部16は、前述したように注意信号を生成した場合は、自己の警報装置1の注意信号(必要に応じて、注意信号の生成理由も)を通信装置25によって管理事務所に送信させる。
【0065】
また、処理部16は、前述したように警報信号を生成した場合は、サイレン26及び赤色回転灯27を作動させるとともに、警報表示板28に土石流を警報する旨の表示(警報表示)を行わせる。また、処理部16は、前述したように警報信号を生成した場合は、自己の警報装置1の警報信号(必要に応じて、警報信号の生成理由も)を通信装置25によって有線又は無線(必要に応じて衛星通信等も含む)で管理事務所に送信させる。
【0066】
また、処理部16は、定期的に、前述の観測した水文情報(雨量計17からの時間雨量及び連続雨量、水位計17からの水位、及び流速計19からの流速)、及び、必要に応じて水力発電機22の出力を、通信装置25によって管理事務所に送信させる。
【0067】
さらに、無線受信機29は各土石流警報装置2からの警報信号、注意信号及び水文情報を受信し、処理部16は、それらを通信装置25によって管理事務所に送信させる。これにより、警報装置1は、土石流警報装置2の警報信号等を管理事務所に対して中継する中継機能を果たす。
【0068】
図4は、図1中の土石流警報装置2の構成を示す概略ブロック図である。図4において、図2中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0069】
土石流警報装置2が土石流警報装置1と異なる所は、通信装置25及び無線受信機29が除去され、その代わりに無線送信機39が設けられている点と、処理部16は、自己の注意信号及び警報信号並びに観測した水文情報を、無線送信機39によって土石流警報装置1の無線受信機29に送信させる点のみである。
【0070】
本実施の形態によれば、検知用電線11が河床3a内に埋設されているので、検知用電線11は、小動物によって切断されるおそれや、強風などによる風圧や強風により飛来する飛来物によって切断されるおそれや、石・岩などの移動によって切断されるおそれや、下流に影響がほとんどないごく小規模の土石流によって切断されるおそれがなくなる。したがって、本実施の形態によれば、誤検知を低減することができる。
【0071】
そして、河床3aをある程度えぐり取るような規模の土石流が発生すると、検知用電線11が切断され、その土石流が検知される。本実施の形態によれば、検知用電線11が単に埋設されるのではなく、検知用電線11の複数箇所の各々が、河床3a内に埋設された埋設物であって前記検知用電線に比べて周囲の土砂等に対する固定力が大きい埋設物12に、固定されている。したがって、検知用電線11の複数箇所がより周囲の土砂等と一体化することになるので、土石流発生時に土砂等は通常は全体的に均等に移動するのではなく部分的に移動の仕方が異なることから、検知用電線11を単に埋設した場合に比べて、ある規模以上の土石流が発生した際に一層確実に検知用電線11が切断されることになり、ひいては、土石流の検出感度の低下が抑えられる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、埋設物12に情報送出部15が設けられているので、前述した読み取り器を用いて電波を発し情報送出部15からの電波を受信してその情報を読み取ることで、検知用電線11の設置時や保守時に検知用電線11が適切に敷設されているか否かを確認したり、土石流が発生して流された後に、埋設物12を探索することができる。土石流が発生して流された後に埋設物12を探索することで、その移動状況(移動距離や移動経路など)を観測することができ、災害の規模を把握したり、堤防や砂防ダムの設置計画に活用することができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、出力監視部24によって水力発電機22の出力が監視され、その出力が急激に増大した場合及びその出力が所定値より低下した場合に、その旨を示す信号が出力され、それにより処理部16が警報信号を生成する。したがって、河川3の流量の急激な増大や河川3の流量低下によっても、土石流の可能性が検知されるので、より確実に土石流の可能性が検知され、安全性が高まる。また、水力発電機22は、このような土石流検知のセンサとしてのみならず、電力利用のためにも用いられているので、両者を兼用することでコストダウン等を図ることができる。
【0074】
さらに、本実施の形態によれば、太陽電池20、風力発電機21及び水力発電機22により発電された電力によって当該土石流警報装置1,2が作動するので、商用電源の届かない山間部等にも容易に設置できる。
【0075】
さらにまた、本実施の形態によれば、土石流の発生に関連する水文情報としての時間雨量、連続雨量、河川3の水位及び流速を観測し、これに基づいても警報信号を生成するので、より的確に土石流を検知することができ、ひいては、より的確に土石流の危険を報知することができる。
【0076】
また、本実施の形態によれば、土石流警報装置1,2からの警報信号等が管理事務所にも送信されるので、土石流災害からの流域の住民を安全かつ迅速に避難誘導することが可能となる。また、本実施の形態では、土石流警報装置2からの警報信号等は、土石流警報装置1に中継されて管理事務所に送信されるので、全ての土石流警報装置2から警報信号等を直接に管理事務所に送信するように構成する場合に比べて、有線の場合には管理事務所に対する通信線の敷設を低減することができ、無線の場合には電波強度を低減することができるなどの利点が得られる。もっとも、全ての土石流警報装置1,2から警報信号等を直接に管理事務所に送信するように構成してもよい。
【0077】
なお、本発明では、本実施の形態における土石流警報装置1,2から雨量計17,水位計18、流速計19及び出力監視部24のうちの任意の1つ以上を取り除いてもよい。また、本発明では、本実施の形態における土石流警報装置1,2から検知用電線11、雨量計17,水位計18及び流速計19のうちの任意の1つ以上を取り除いてもよい。
【0078】
[第2の実施の形態]
【0079】
図5は、本発明の第2の実施の形態による土石流警報装置31の構成を示す概略ブロック図である。図6は、図5中の検知用電線11及び埋設物12の配置を模式的に示す概略平面図であり、図3(b)に対応している。図5及び図6において、図2及び図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0080】
本実施の形態による土石流警報装置31は、図1に示す土石流警報システムにおいて、土石流警報装置1の代わりに用いられるものである。
【0081】
本実施の形態による土石流警報装置31が図2に示す土石流警報装置1と異なる所は、図5及び図6に示すように、検知用電線11及び切断検知部13の組が3組設けられ、3本の検知用電線11は、河川3の流れの方向に適当な間隔L(例えば、数m程度)をあけて配置され、処理部16は、3つの切断検知部13からの検知信号に基づいて3本の検知用電線11の全てが切断された場合に、警報信号を生成する点のみである。
【0082】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる他、次の利点も得られる。すなわち、本実施の形態によれば、3本の検知用電線11の全てが切断された場合に土石流が検知されるので、何らかの原因で土石流によらずにある検知用電線11が切断される可能性があっても、ある程度以上の規模の土石流が発生しない限り全ての検知用電線11が切断される可能性は非常に低いことから、土石流の誤検知を一層低減することができる。
【0083】
なお、本実施の形態では、検知用電線11を3本設けたが、検知用電線11を2本又は4本以上設けてもよい。
【0084】
また、図4に示す土石流警報装置2も、本実施の形態による土石流警報装置31と同様に、検知用電線11及び切断検知部13の組を3組設けるように、変形してもよい。
【0085】
[第3の実施の形態]
【0086】
図7は、本発明の第3の実施の形態による地滑り等の警報装置41の構成を示す概略ブロック図である。図8は、図7中の主な要素の配置を模式的に示す図であり、図8(a)は傾斜地42の縦断面を模式的に示す図、図8(b)は図8(a)中のB矢視図である。ただし、図8(b)は、検知用電線11及び埋設物12のみを示している。
【0087】
本実施の形態では、地滑り等の警報装置41は、図7及び図8に示すように、傾斜地42の地面に埋設された検知用電線51と、検知用電線51の切断を検知する切断検知部53とを備えており、これらが地滑り等の検知装置を構成している。
【0088】
図面には示していないが、検知用電線51としては、前述した検知用電線11と同様に、例えば、2芯の被覆電線においてその一端部(図3の右端部)で2芯間を電気的に接続して電流ループをなすように構成したものを用いることができる。
【0089】
図8に示すように、検知用電線51の複数箇所の各々が、傾斜地42の地面に埋設された埋設物52に、固定されている。埋設物52は、検知用電線51に比べて周囲の土砂等に対して大きい固定力を持つように、その形状や大きさが定められている。例えば、埋設物52として、強度の高い合成樹脂等で構成した外形約3cmで長さが約30cmの円筒体を用いることができる。検知用電線51と埋設物52との間は任意の固定方法で固定されるが、その間は強固に固定される。埋設物52の間隔は例えば数m程度とされる。検知用電線51の地面からの埋設深さは、例えば数十cm程度とされる。本実施の形態では、検知用電線51は、傾斜地42の等高線方向に沿って延びて、地滑り等の予想領域42aを横断するように配置されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、検知用電線51は等高線方向に対して斜めの方向に配置してもよい。なお、検知用電線51における地滑り等の予想領域42aの両側部分は、地滑り等の予想領域42aから外れた箇所に設置された杭54に固定されている。
【0090】
本実施の形態では、図8に示すように、埋設物52には、前述した埋設物12の情報送出部15と同様に、電波を受けて所定の情報を示す電波を送出する情報送出部55が設けられている。前記所定の情報としては、当該埋設物12の識別情報、当該埋設物12の埋蔵位置情報、埋蔵年月日、管理者などを挙げることができる。
【0091】
切断検知部53は、検知用電線51に常時ループ電流を流し、そのループ電流が流れなくなったときに、検知用電線51が切断された旨の切断検知信号を地滑り等の検知信号として出力し、この検知信号を処理部56へ供給する。
【0092】
また、本実施の形態では、地滑り等の警報装置41は、図7に示すように、検知用電線51及び切断検知部53の他に、処理部56と、太陽電池20と、風力発電機61と、蓄電池63と、通信装置65と、サイレン66と、赤色回転灯67と、LED等を用いて文字等の表示が可能な表示パネルからなる警報表示板68とを備えている。
【0093】
図面には示していないが、図7中の要素のうち検知用電線51を除く要素は、地滑り等の予想領域42aから外れた安全な場所に配置されている。なお、必要に応じて、警報手段となるサイレン56、赤色回転灯57及び警報表示板58は、処理部56等から離れた適当な場所に設置してもよい。
【0094】
蓄電池63は、太陽電池60及び風力発電機61でそれぞれ発電された電力を蓄電する。蓄電池63の電力が、当該地滑り等の警報装置51における電力が必要な各部(処理部16、切断検知部13、出力監視部24等を含む)に供給されるようになっている。
【0095】
処理部16は、CPU等を用いて構成され、切断検知部53からの検知信号に基づいて検知用電線51が切断された場合に警報信号を生成し、サイレン66及び赤色回転灯67を作動させるとともに、警報表示板68に地滑り等を警報する旨の表示(警報表示)を行わせ、警報信号を通信装置65によって有線又は無線(必要に応じて衛星通信等も含む)で管理事務所に送信させる。
【0096】
本実施の形態によれば、検知用電線51が傾斜地42の地面に埋設されているので、検知用電線51は、小動物によって切断されるおそれや、強風などによる風圧や強風により飛来する飛来物によって切断されるおそれや、石・岩などの移動によって切断されるおそれがなくなる。したがって、本実施の形態によれば、検知用電線51を地上に敷設する場合に比べて、誤検知を低減することができる。
【0097】
そして、地滑り等が発生すると、検知用電線51が切断され、その地滑り等が検知される。本実施の形態によれば、検知用電線51が単に埋設されるのではなく、検知用電線51の複数箇所の各々が、傾斜地42の地面に埋設された埋設物52であって検知用電線51に比べて周囲の土砂等に対する固定力が大きい埋設物52に、固定されている。したがって、検知用電線51の複数箇所がより周囲の土砂等と一体化することになるので、地滑り等の発生時に土砂等は通常は全体的に均等に移動するのではなく部分的に移動の仕方が異なることから、検知用電線を単に埋設した場合に比べて、地滑り等が発生した際に一層確実に検知用電線51が切断されることになり、ひいては、地滑り等の検出感度の低下が抑えられる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、埋設物52に情報送出部55が設けられているので、読み取り器を用いて電波を発し情報送出部55からの電波を受信してその情報を読み取ることで、検知用電線51の設置時や保守時に検知用電線51が適切に敷設されているか否かを確認したり、地滑り等が発生して流された後に、埋設物52を探索することができる。地滑り等が発生して流された後に埋設物52を探索することで、その移動状況(移動距離や移動経路など)を観測することができ、災害の規模を把握したり、地滑り等の防止工事の計画に活用することができる。
【0099】
さらに、本実施の形態によれば、太陽電池20及び風力発電機21により発電された電力によって当該地滑り等の警報装置41が作動するので、商用電源の届かない山間部等にも容易に設置できる。
【0100】
なお、本実施の形態による地滑り等の警報装置を変形して、前述した図5及び図6に示す土石流警報装置31と同様に、検知用電線51及び切断検知部53の組を2組以上設け、処理部56は、全ての検知用電線11が切断された場合に、警報信号を生成するようにしてもよい。
【0101】
以上、本発明の各実施の形態及びその変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施の形態による土石流警報装置を用いた土石流警報システムを模式的に示す概略配置図である。
【図2】図1中の中継機能を有する土石流警報装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】図2中の主な要素の配置を模式的に示す図である。
【図4】図1中の中継機能を有しない土石流警報装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態による土石流警報装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】図5中の検知用電線及び埋設物の配置を模式的に示す概略平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態による地滑り等の警報装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図8】図7中の主な要素の配置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0103】
1,2 土石流警報装置
3 河川
3a 河床
11,51 検知用電線
12,52 埋設物
13,53 切断検知部
15,55 情報送出部
16,56 処理部
17 雨量計
18 水位計
19 流速計
20,60 太陽電池
21,61 風量発電機
22 水力発電機
23,63 蓄電池
24 出力監視部
25,65 通信装置
26,66 サイレン
27,67 赤色回転灯
28,68 警報表示板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
渓流等の河川を横断するように河床内に埋設された検知用電線と、該検知用電線の切断を検知する切断検知部とを備え、前記検知用電線の複数箇所の各々が、前記河床内に埋設された埋設物であって前記検知用電線に比べて周囲の土砂等に対する固定力が大きい埋設物に、固定されたことを特徴とする土石流の検知装置。
【請求項2】
前記検知用電線を複数備え、当該複数の検知用電線の全てが切断された場合に土石流を検知することを特徴とする請求項1記載の土石流の検知装置。
【請求項3】
電波を受けて所定の情報を示す電波を送出する情報送出手段が、前記埋設物に設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の土石流の検知装置。
【請求項4】
渓流等の河川の流水により発電する水力発電機と、該水力発電機の出力の変化を監視する監視部とを備えたことを特徴とする土石流の検知装置。
【請求項5】
前記水力発電機で発電された電力を蓄電する蓄電池を備え、前記蓄電池の電力を前記監視部の作動に用いることを特徴とする請求項4記載の土石流の検知装置。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載の土石流の検知装置のうちのいずれか1つ以上の検知装置と、前記1つ以上の検知装置による検知結果に基づいて警報を発する警報手段とを備えたことを特徴とする土石流の警報装置。
【請求項7】
土石流の発生に関連する1種類以上の水文情報を観測する水文情報観測手段を備え、前記警報手段は、前記1つ以上の検知装置による検知結果と前記水文情報観測手段により観測された水文情報とに基づいて警報を発することを特徴とする請求項6記載の土石流の警報装置。
【請求項8】
前記1種類以上の水文情報は、前記河川付近の時間雨量、前記河川付近の連続時間雨量、前記河川の水位及び前記河川の流速のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7記載の土石流の警報装置。
【請求項9】
前記警報手段が警報を発する際に得られる警報信号及び前記水文情報観測手段により観測された水文情報を、管理事務所に送信する送信手段を備えたことを特徴とする請求項7又は8記載の土石流の警報装置。
【請求項10】
水力発電機、風力発電機及び太陽電池のうちの少なくとも1つの発電部と、当該少なくとも1つの発電部で発電された電力を蓄電する蓄電池を備え、前記蓄電池の電力を当該警報装置の作動に用いることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の土石流の警報装置。
【請求項11】
傾斜地等の地面に埋設された検知用電線と、該検知用電線の切断を検知する切断検知部とを備え、前記検知用電線の複数箇所の各々が、前記検知用電線の地面に埋設された埋設物であって前記検知用電線に比べて周囲の土砂等に対する固定力が大きい埋設物に、固定されたことを特徴とする地滑り等の検知装置。
【請求項12】
前記検知用電線を複数備え、当該複数の検知用電線の全てが切断された場合に地滑り等を検知することを特徴とする請求項11記載の地滑り等の検知装置。
【請求項13】
電波を受けて所定の情報を示す電波を送出する情報送出手段が、前記埋設物に設けられたことを特徴とする請求項11又は12記載の地滑り等の検知装置。
【請求項14】
請求項11乃至13に記載の地滑り等の検知装置のうちのいずれか1つ以上の検知装置と当該検知装置による検知結果に基づいて警報を発する警報手段とを備えたことを特徴とする地滑り等の警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−178222(P2007−178222A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375904(P2005−375904)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(506001365)株式会社メティック (2)
【出願人】(506001376)エフコム株式会社 (2)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】