説明

圧力調整器監視システム、ガスメータ及び携帯端末

【課題】ガス供給設備10の圧力調整器2の劣化の判断を行い、適正な時期にメンテナンスを行えるようにする。
【解決手段】ガスメータ3、携帯端末5をネットワーク7を介して集中監視装置6に接続する。ガスメータ3でガスの流量と使用時間を積算し、使用量流量値として定期的に携帯端末5及び集中監視装置6に送信する。携帯端末5及び集中監視装置6は使用量流量値を累算し、累算値がEEPROM等の記憶部内の使用量流量上限値に達すると、そのガスメータ3と圧力調整器2の利用者の利用者情報を表示部に表示する。また、ガスメータ3において、圧力調整器2の流量と調整圧力の特性曲線を記憶しておく。ガスの圧力と瞬時流量を検出する。瞬時流量に対応する調整圧力上限値と調整圧力下限値を特性曲線から求める。検出圧力、調整圧力上限値及び調整圧力下限値から圧力調整器2の劣化を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスボンベ等のガス供給源とガス燃焼機器等のガス消費源との間に設けられた圧力調整器の劣化を監視する圧力調整器監視システム、ガスメータ及び携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス供給設備は、ガス供給源であるプロパンガスボンベ、ガスボンベの下流側に接続された圧力調整器、圧力調整器の下流側に接続されたガスメータ、ガスメータの下流側に接続されたガス消費源であるガス燃焼機器等を含んでいる。
【0003】
圧力調整器は、上流側のガスボンベから供給される高圧ガスを流量値に対してほぼ一定の圧力に調整して下流側に出力するものである。このため、圧力調整器は内部にダイヤフラム、弁、スプリング等の要素を含んでおり、これらの要素が経時変化により劣化する。このため、従来、圧力調整器の定期点検として、各家庭ごとに、所定のメンテナンス時期をセンターのデータベースにオペレータが手入力でインプットし、一定期間ごとに、センターからの指示で、点検員が決められた点検を行い、現場(設置場所)で圧力調整器の劣化が見つかれば、部品交換や圧力調整器そのものの交換を行っていた。
【0004】
このメンテナンス時期は、圧力調整器が劣化する最短期間を想定して設定されているが、同じ圧力調整器でも、ほとんど使用していないと、所定のメンテナンス時期が来て点検を行ってもほとんど劣化しておらず交換をする必要はなく、その点検は無駄な工数となってしまう。そこで、この圧力調整器の劣化を監視する技術として、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【特許文献1】特開2006−153544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、圧力調整器が調整する圧力には2種類あり、ガス燃焼機器等がガスを消費しているときに調整された圧力を「調整圧力」と称し、前記特許文献1などでも、この調整圧力の変化により圧力調整器の劣化判断をおこなっている。なお、ガス燃焼機器等が全て使用されていないときに調整された圧力は「閉塞圧力」といわれる。
【0006】
圧力調整器の劣化により調整圧力異常、閉塞圧力異常が生じる。圧力調整器内部のダイヤフラムのゴムが経時劣化により硬くなると、調整圧力は高くなる。また、LPガスの中に含まれる不純物により、ダイヤフラムのゴムが膨潤すると、調整圧力は低くなる。さらに、圧力調整器内部のスプリングが錆びて劣化すると、調整圧力は低くなる。なお、圧力調整器内部の弁ゴムが摩耗してくると、その分ダイヤフラムの位置が変化してくるため、閉塞圧力は高くなる。
【0007】
このように、圧力調整器の劣化により圧力が高くなる場合と低くなる場合がある。このため、ガスメータで検出される圧力だけで圧力調整器の劣化の判定を行うものにあっては、依然と改良の余地を残している。
【0008】
本発明は、圧力調整器の劣化を適正な時期に判断しメンテナンスの効率化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の圧力調整器監視システムは、ガス供給源とガス消費源との間に設けられた圧力調整器と、該圧力調整器と該ガス消費源との間に設けられたガスメータとを有するガス供給設備について、前記圧力調整器の劣化を監視する圧力調整器監視システムであって、
前記ガスメータと通信を行う集中監視装置を備え、
前記ガスメータは、前記ガス消費源で使用されるガスの使用時間と、該ガス消費源に供給されるガスの現在流量とを積算する演算手段と、該演算手段で積算した使用時間流量値を前記集中監視装置に通知する通知手段とを有し、
前記集中監視装置は、前記ガスメータの利用者情報を記憶する利用者情報記憶手段と、前記ガスメータから通信により通知される使用時間流量値の累算値が予め設定された使用時間流量上限値に達するのを監視する監視手段と、該ガスメータに対応する使用時間流量値の累算値が前記使用時間流量上限値に達すると、当該ガスメータに対応する前記利用者情報を提示する提示手段とを有する、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項2のガスメータは、ガス供給源に接続された圧力調整器とガス消費源との間に設けられたガスメータであって、前記ガス消費源で使用されるガスの使用時間と、該ガス消費源に供給されるガスの現在流量とを積算する演算手段と、該演算手段で積算した使用時間流量値を累算する累算手段と、該累算手段で累算した累算値が予め設定された使用時間流量上限値に達するのを監視する監視手段と、該使用時間流量値の累算値が使用時間流量上限値に達すると、前記圧力調整器が劣化状態であることを表示する表示手段とを有する、ことを特徴とするガスメータ。
【0011】
請求項3のガスメータは、請求項1の圧力調整器監視システムに用いるガスメータまたは請求項2に記載のガスメータであって、 前記圧力調整器から供給されるガスの調整圧力を検出する圧力センサと、前記圧力調整器から供給されるガスの瞬時流量を検出する流量力センサと、前記圧力調整器の前記ガス供給源側の入口圧力の最大圧力と最小圧力に対応する、前記ガスメータ側の流量に応じた調整圧力上限値曲線と調整圧力下限値曲線とからなる特性曲線のデータを記憶する特性曲線記憶手段と、を備え、前記流量センサで検出される瞬時流量に対応して、前記特性曲線記憶手段の特性曲線のデータから、該瞬時流量に対応する調整圧力上限値と調整圧力下限値とを読み出し、前記圧力センサで検出される調整圧力が上記調整圧力上限値と調整圧力下限値との範囲から外れたときに前記圧力調整器の劣化警報を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項4の携帯端末は、請求項1、2または3に記載されたガスメータと通信を行う携帯端末であって、前記ガスメータの利用者情報を記憶する利用者情報記憶手段と、前記ガスメータから通信により通知される使用時間流量値の累算値が予め設定された使用時間流量上限値に達するのを監視する監視手段と、該ガスメータに対応する使用時間流量値の累算値が前記使用時間流量上限値に達すると、当該ガスメータに対応する前記利用者情報を提示する提示手段とを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
圧力調整器は使用時間の経過とともに劣化する傾向にあるが、ガスの流量が多くなるとその劣化の傾向も強まる。したがって、請求項1の圧力調整器監視システムによれば、使用時間だけでなく現在流量も考慮して劣化の判断を行うので、劣化の適正な時期を判断できるとともに、集中監視装置でガス供給設備の圧力調整器の劣化の時期を判断できるので、メンテナンスの効率化を図ることができる。
【0014】
請求項2のガスメータによれば、請求項1の効果に加えて、瞬時流量に応じて変化する調整圧力に対して、この瞬時流量に応じた検出圧力から、圧力調整器の劣化の判断を行うようにしているので、この調整圧力異常による劣化判断の精度が高まる。
【0015】
請求項3のガスメータによれば、請求項1または2と同様な効果に加えて、使用時間だけでなく現在流量も考慮して劣化の判断を行うので、劣化の適正な時期を判断できる。
【0016】
請求項4の携帯端末によれば、請求項1と同様に、使用時間だけでなく現在流量も考慮して劣化の判断を行うので、劣化の適正な時期を判断できるとともに、携帯端末でガス供給設備の圧力調整器の劣化の時期を判断できるので、メンテナンスの効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態のガスメータ、携帯端末を用いた圧力調整器監視システムの概略構成図、図2は同実施形態のガスメータ、携帯端末を用いた圧力調整器監視システムのブロック図である。図1に示すように、複数の利用者宅には、それぞれガスを供給する複数のガス供給設備10を備えている。このガス供給設備10は、ガス供給源であるプロパンガスボンベ1と、圧力調整器2と、電子式のガスメータ3と、ガス消費源であるガス機器4とを含んでいる。圧力調整器2は、プロパンガスボンベ1とガス機器4との間に設けられ、ガスメータ3は圧力調整器2とガス機器4との間に設けられている。
【0018】
プロパンガスボンベ1には、高圧プロパンガスが充填されており、図示しない元栓が開放されると、高圧ガスが配管部を介して圧力調整器2に供給される。圧力調整器2は、プロパンガスボンベ1から供給される高圧ガスを流量値に対してほぼ一定の圧力に調整して下流側に出力する。圧力調整器2は、例えば調整ばね等から構成される圧力調整手段を有し、ガス機器4は、例えば、ガス湯沸かし器、ガスオーブン、ガス冷暖房機等のようなガスをエネルギーとして消費する機器である。
【0019】
電子式のガスメータ3、携帯端末5及び集中監視装置6は、それぞれ通信機能を有しており、ネットワーク7を介して、各ガスメータ3,3,…、携帯端末5及び集中監視装置6は通信を行ってデータの授受を行う。
【0020】
図2に示すように、ガスメータ3は、演算手段及び表示手段としての制御部31、圧力センサ32、流量センサ33、特性曲線記憶手段としてのEEPROM34、表示手段としての表示部35及び通信部36を含んで構成される。制御部31は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイコンで構成されており、CPUがROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより、後述の各種の処理を行う。圧力センサ32は、ガスメータ3内に設けられた流路を通過するガスの圧力を検出する周知の検出素子である。流量センサ33は、ガスメータ3内に設けられた流路を通過するガスの流量を検出するための検出素子であり、例えば、マイクロフローセンサや超音波ソナーが用いられる。なお、実際には、流量センサ33で検出されたガスの瞬時流速に基づいて、制御部31にて、瞬時流量、積算流量が計算される。また、EEPROM34には、圧力調整器2の性能曲線を示す性能曲線テーブルが記憶されている。
【0021】
ここで、ガスメータ3は、流量センサ33によりガスの瞬間瞬間の流量(瞬時流量)を検出することができるが、この瞬時流量は調整圧力及び閉塞圧力による圧力調整器2の劣化の判断を行う。一方、ガスメータ3は、ガス機器4(複数のガス機器)の使用状態に応じてガスの流量を、所定の範囲毎に区分して認識する。この流量のことを「現在流量」とし、現在流量とその使用時間の積を演算(積算)して使用時間流量値を求める。また、この使用時間流量値を積算するときの現在流量は、流量の区分が変化する毎に更新する。そして、一定期間毎に(例えば1日毎に)、使用時間流量値(積算値の累算値)を監視センターに送信する。監視センターでは、各ガスメータ3(及び圧力調整器2)に対応して、使用時間流量上限値(利用者情報の一部)を記憶しており、ガスメータ3(及びコントローラ5)から送信される使用時間流量値を累算していき、この累算値がそのガスメータ3に対応する使用時間流量上限値を超えると、圧力調整器2が劣化の時期であると判断する。
【0022】
携帯端末5は、監視手段及び提示手段としての制御部51、利用者情報記憶手段としてのEEPROM52、提示手段としての表示部53及び通信部54を含んで構成される。制御部51は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイコンで構成されており、CPUがROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより、後述の各種の処理を行う。なお、この携帯端末5は、設定器、ハンディターミナル、携帯電話機等であり、ガスの検針員が所持するものである。
【0023】
集中監視装置6は、監視手段及び提示手段としての制御部61、利用者情報記憶手段としてのEEPROM62、提示手段としての表示部63及び通信部64を含んで構成される。制御部61は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイコンで構成されており、CPUがROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより、後述の各種の処理を行う。この集中監視装置6は所定の監視センターに設置されている。
【0024】
携帯端末5のEEPROM52、集中監視装置6のEEPROM62には、各ガスメータ3,3,…の利用者に関する利用者情報等が記憶されている。この利用者情報は、利用者に対応するガスメータ3の機器番号、利用者の圧力調整器2に対応する使用時間流量上限値、利用者の住所、氏名、電話番号等である。そして、携帯端末5、集中監視装置6で、各ガスメータ3から送信されてくる後述の使用時間流量値のデータに基づいて、対応する圧力調整器2の劣化の判断を行い、劣化時期と判断された圧力調整器2に対応する利用者情報を表示部53,63に表示する。また、各ガスメータ3の判断による劣化警報が発生している場合も、その劣化時期と判断された圧力調整器2に対応する利用者情報を表示部53,63に表示する。
【0025】
図3は圧力調整器2の性能曲線の例を示す図であり、圧力調整器2からガスメータ3に流れるガスに関して、その流量に対する調整圧力(出口圧力)の関係を示している。調整圧力上限値ULの曲線は、圧力調整器2の入口圧力が1.56MPa(メガパスカル)のときの流量と圧力の関係であり、調整圧力下限値ULの曲線は、圧力調整器2の入口圧力が0.07MPaのときの流量と圧力の関係である。 そして、この調整圧力上限値ULの曲線と調整圧力下限値DLの曲線のデータがテーブルとしてEEPROM34に記憶されている。なお、この性能曲線は個々の圧力調整器2に対応するものであり、当然にガスメータ3にはその下流の圧力調整器2にういての性能曲線のデータが記憶されている。
【0026】
この性能曲線で示すように、圧力調整器2からガスメータ3に流れるガスの調整圧力は、そのガスの瞬時流量に応じて変化する。そこで、この瞬時流量に対応する調整圧力上限値ULと調整圧力下限値DLを求め、圧力センサ32で検出される圧力が調整圧力上限値ULと調整圧力下限値DLの範囲から外れると圧力調整器2の劣化の時期と判断する。なお、現状では、図3に破線で示したように圧力に関係なく2.3〜3.3kPaの一定の範囲を判定基準としているが、この実施例によれば、より正確な判断が可能となる。
【0027】
図4は実施形態におけるガスメータ3の制御部31(マイコン)の制御プログラムの要部フローチャート、図5は同制御部31の割込処理のフローチャートであり、同図に基づいてガスメータ3の動作を説明する。図4のの処理では、まず、ステップS1で、流量センサ33で瞬時流量の流量データを取得し、ステップS2で流量区分に変化が有るかを判定する。変化がなければステップS5に進み、変化があればステップS3で、現在の流量区分に対応する現在流量を設定する。そして、ステップS4で使用時間の計時を開始して、ステップS5に進む。ステップS5では、使用時間と現在流量の積を演算し、それまでの積に加算(累算)する。なお、ガスの利用開始前は、使用時間流量値は0のままであるが、ガスの使用が開始されると、流量区分が変化するので、その時点から使用時間流量値の積算が開始される。
【0028】
次に、ステップS6でその他の処理を行い、ステップS7に進む。ステップS7では携帯端末5及び集中監視装置6へ通信する通信時刻であるかを判定する。この通信時刻は例えば1日に一回所定の時刻に設定されるなど、予め決められた時刻である。そして、通信時刻でなければステップS1に戻り、通信時刻であれば、ステップS8で、それまで積算及び累算した使用時間流量値のデータを通信部36から携帯端末5と集中監視装置6に通信する。そして、ステップS9で、通信済みの使用時間流量値をリセットしてステップS1に戻る。なお、この通信時の送信データには、当該ガスメータ3の機器番号等が含まれている。
【0029】
以上の処理により、例えば1日1回、その日に積算した使用時間流量値のデータが携帯端末5と集中監視装置6に送信される。
【0030】
図5の処理は、例えばタイマ割込等により一定間隔(例えば数分間隔)で起動される。先ず、ステップS11で、流量センサ33で瞬時流量の流量データPを取得し、ステップS12、圧力センサ32で圧力データPを取得する。次に、ステップS13で、流量データに基づいて現在流量が「0」であるかを判定し、現在流量が「0」でなければ、ステップS14でEEPROM34から、瞬時流量に対応する圧力の圧力上限値ULと圧力下限値DLを取得する。次に、ステップS15で、圧力データPが圧力上限値ULと圧力下限値DLの範囲内で有るかを判定し、範囲内であればそのまま元のルーチンに復帰し、範囲内でなければ、ステップS16で表示部35の表示ランプ等により劣化警報を行い、ステップS17で劣化警報が発生したことを通信部36から携帯端末5及び集中監視装置6に通信し、元のルーチンに復帰する。
【0031】
なお、ステップS13で、現在流量が「0」であればガス機器4(複数の機器の全て)が停止時であるので、ステップS18で閉塞圧力異常の判断処理を行う。そして、ステップS19で異常であるかを判定し、異常でなければそのまま元のルーチンに復帰し、異常でればステップS16,S17で上記同様の処理を行う。
【0032】
図6は携帯端末5及び集中監視装置6における制御部51,61の処理の要部フローチャートである。まず、制御部51,61のCPUは、ステップS21で各ガスメータ3,3,…から新規の受信が有るかを判定し、新規受信がなければステップS26でその他の処理を行ってステップS21に戻る。新規の受信があれば、ステップS22で、受信したデータが使用時間流量値のデータであるかを判定し、判定がYESであれば、ステップS23で、その受信したデータに対応するガスメータの使用時間流量値を積算し、更新する。すなわち、EEPROM52,62には、各ガスメータ3,3,…毎にそれまでに受信した使用時間流量値の積算値が記憶されており、受信する毎にその使用時間流量値を積算して更新する。
【0033】
次に、ステップS24で、その更新した使用時間流量値が、対応するガスメータ3に対してEEPROM52,62に記憶してある(設定してある)使用時間流量上限値を越えたかを判定し、越えていなければステップS26に進み、越えていれば、ステップS25で、対応するガスメータ3の利用者情報と劣化警報を表示部53,63に表示(提示)し、ステップS26に進む。また、ステップS22で、受信したデータが使用時間流量値でなければ、ステップS27で、受信したデータが劣化警報であるかを判定し、劣化警報であればステップS25で上記同様の処理を行い、劣化警報でもなければステップS26に進む。
【0034】
以上の処理により、携帯端末5または集中監視装置6において、圧力調整器2,2,…で劣化の時期となったものがあると、その圧力調整器2の利用者の利用者情報(住所、氏名等)が表示されるので、利用者に連絡したり点検員が点検を行うなどでき、メンテナンスの効率化が図れる。
【0035】
図7は本発明の他の実施形態のガスメータのブロック図であり、図2のガスメータと同様な要素には同符号を付記して詳細な説明は省略する。このガスメータはEEPROM34′を備えており、このEEPROM34′には当該ガスメータにおける使用時間流量上限値と、図3と及び前記実施例と同様な、調整圧力上限値ULの曲線と調整圧力下限値DLの曲線のデータがテーブルとしてEEPROM34に記憶されている。
【0036】
図8はこの実施形態におけるガスメータの制御部31′の制御プログラムの要部フローチャートであり、同図に基づいて動作を説明する。まず、ステップS31で、流量センサ33で瞬時流量の流量データを取得し、ステップS32で流量区分に変化が有るかを判定する。変化がなければステップS35に進み、変化があればステップS33で、現在の流量区分に対応する現在流量を設定する。そして、ステップS34で使用時間の計時を開始して、ステップS35に進む。ステップS35では、使用時間と現在流量の積を演算し、それまでの積に加算(累算)する。
【0037】
次に、ステップS36で、流量センサ33で瞬時流量の流量データPを取得し、ステップS37で、圧力センサ32で圧力データPを取得する。次に、ステップS38で、流量データに基づいて現在流量が「0」であるかを判定し、現在流量が「0」でなければ、ステップS34でEEPROM34から、瞬時流量に対応する圧力の圧力上限値ULと圧力下限値DLを取得する。次に、ステップS35で、圧力データPが圧力上限値ULと圧力下限値DLの範囲内で有るかを判定し、範囲内であればステップS39に進み、範囲内でなければ、ステップS36で表示部35の表示ランプ等により劣化警報表示を行い、ステップS31に戻る。
【0038】
なお、ステップS33で、現在流量が「0」であればガス機器4(複数の機器の全て)が停止時であるので、ステップS37で閉塞圧力異常の判断処理を行う。そして、ステップS38で異常であるかを判定し、異常でなければステップS31に戻り、異常でればステップS36で劣化警報表示を行う。
【0039】
ステップS39では、使用時間流量値を累算して更新する。次に、ステップS40で、その更新した使用時間流量値が、EEPROM34′に記憶してある使用時間流量上限値を越えたかを判定し、越えていなければステップS41に進み、越えていれば、ステップS36で、劣化警報表示を行ってステップS31に戻る。
【0040】
以上の処理により、前記携帯端末5または集中監視装置6と同様に、圧力調整器2で劣化の時期となったものがあると、その圧力調整器2に対応するガスメータで劣化警報表示が行われる。したがって、点検員に連絡して点検を行うなどでき、メンテナンスの効率化が図れる。
【0041】
以上の実施形態では、ガスメータ3は瞬時流量に応じた検出圧力から、圧力調整器2の劣化の判断を行うようにしているので、調整圧力異常による劣化判断の精度が高まるが、請求項4に対応する実施形態として、この調整圧力異常の検出は、必ずしも行わなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態の圧力調整器監視システムの概略構成図である。
【図2】同圧力調整器監視システムのブロック図である。
【図3】実施形態における圧力調整器の性能曲線の例を示す図である。
【図4】実施形態におけるガスメータの制御部の制御プログラムの要部フローチャートである。
【図5】実施形態におけるガスメータの制御部の割込処理のフローチャートである。
【図6】実施形態における携帯端末及び集中監視装置の制御部の処理の要部フローチャートである。
【図7】他の実施形態におけるガスメータのブロック図である。
【図8】他の実施形態におけるガスメータの制御部の処理の要部フローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
10 ガス供給設備
1 プロパンガスボンベ(ガス供給源)
2 圧力調整器
3 ガスメータ
4 ガス機器(ガス消費源)
5 携帯端末
6 集中監視装置
51,61 制御部(監視手段、提示手段)
52,62 EEPROM(利用者情報記憶手段)
53,63 表示部(提示手段)
31 制御部(演算手段)
32 圧力センサ
33 流量センサ
34 EEPROM(特性曲線記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給源とガス消費源との間に設けられた圧力調整器と、該圧力調整器と該ガス消費源との間に設けられたガスメータとを有するガス供給設備について、前記圧力調整器の劣化を監視する圧力調整器監視システムであって、
前記ガスメータと通信を行う集中監視装置を備え、
前記ガスメータは、前記ガス消費源で使用されるガスの使用時間と、該ガス消費源に供給されるガスの現在流量とを積算する演算手段と、該演算手段で積算した使用時間流量値を前記集中監視装置に通知する通知手段とを有し、
前記集中監視装置は、前記ガスメータの利用者情報を記憶する利用者情報記憶手段と、前記ガスメータから通信により通知される使用時間流量値の累算値が予め設定された使用時間流量上限値に達するのを監視する監視手段と、該ガスメータに対応する使用時間流量値の累算値が前記使用時間流量上限値に達すると、当該ガスメータに対応する前記利用者情報を提示する提示手段とを有する、
ことを特徴とする圧力調整器監視システム。
【請求項2】
ガス供給源に接続された圧力調整器とガス消費源との間に設けられたガスメータであって、
前記ガス消費源で使用されるガスの使用時間と、該ガス消費源に供給されるガスの現在流量とを積算する演算手段と、
該演算手段で積算した使用時間流量値を累算する累算手段と、
該累算手段で累算した累算値が予め設定された使用時間流量上限値に達するのを監視する監視手段と、
該使用時間流量値の累算値が使用時間流量上限値に達すると、前記圧力調整器が劣化状態であることを表示する表示手段とを有する、
ことを特徴とするガスメータ。
【請求項3】
前記圧力調整器から供給されるガスの調整圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力調整器から供給されるガスの瞬時流量を検出する流量力センサと、
前記圧力調整器の前記ガス供給源側の入口圧力の最大圧力と最小圧力に対応する、前記ガスメータ側の流量に応じた調整圧力上限値曲線と調整圧力下限値曲線とからなる特性曲線のデータを記憶する特性曲線記憶手段と、
を備え、
前記流量センサで検出される瞬時流量に対応して、前記特性曲線記憶手段の特性曲線のデータから、該瞬時流量に対応する調整圧力上限値と調整圧力下限値とを読み出し、前記圧力センサで検出される調整圧力が上記調整圧力上限値と調整圧力下限値との範囲から外れたときに前記圧力調整器の劣化警報を行うことを特徴とする請求項1の圧力調整器監視システムに用いるガスメータまたは請求項2に記載のガスメータ。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載されたガスメータと通信を行う携帯端末であって、
前記ガスメータの利用者情報を記憶する利用者情報記憶手段と、
前記ガスメータから通信により通知される使用時間流量値の累算値が予め設定された使用時間流量上限値に達するのを監視する監視手段と、
該ガスメータに対応する使用時間流量値の累算値が前記使用時間流量上限値に達すると、当該ガスメータに対応する前記利用者情報を提示する提示手段とを有する、
ことを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−192397(P2009−192397A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34076(P2008−34076)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】