説明

圧力調整弁

【課題】本発明は、真空処理装置における真空処理室の排気側に設けられる圧力調整弁において、弁体を加熱するようにするとともに、弁体および弁体加熱手段の交換を容易にし、弁体および弁体ホルダ等からなる弁部の厚みをできるだけ小さくした圧力調整弁を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の圧力調整弁は、真空処理装置における真空処理室の排気側に設けられる圧力調整弁において、弁体加熱手段を装着した弁体を弁体ホルダに着脱可能に取付け、該弁体と弁体ホルダとの対向面に位置し、かつ、対向面に沿って平板状接続端子を弁体および弁体ホルダにそれぞれ設けることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、半導体装置の製造工程等に用いられる真空処理装置における真空処理室の排気側に設けられる圧力調整弁に関し、特に、弁体を加熱する弁体加熱装置を備えた圧力調整弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置の真空処理室の反応ガスを所要の圧力に維持するために、真空処理室と排気ポンプとの間に圧力調整弁を設けることが行われている。
この圧力調整弁は、ガス圧力検知装置からの信号を基に弁の開度を調整し、前記真空処理室のガス圧力を所要の値に調整する。
前記半導体製造装置における反応ガスは、真空処理室を出たあと、冷却表面上に凝固する排気ガス分により、流路壁面に固形膜を生成する性質がある。この為、狭小な間隙に生成した固形膜により弁体等の可動部と弁箱等の固定部が一体化し、圧力調整弁の作動抵抗が著しく増大し、アクチュエータであるモータが過負荷となって焼損することがある。
【0003】
この問題を解決するため、真空処理室と排気ポンプとの間に設けられる圧力調整弁の弁箱および弁体にヒータを設けた発明が知られている(例えば、特許文献1参照。以下、「従来技術1」という。)。
この従来技術1の圧力調整弁は、図11に示すように、バタフライバルブに属する形式の弁において、円筒中空部51を有する弁箱52にベアリング53を介して弁軸54、54を回転自在に設け、該弁軸54、54に周面を曲面仕上した円盤状の弁体55を固着し、該弁体55の両側の平面にはそれぞれ凹部56を形成し、該凹部56にドーナツ状に形成した弁体ヒータ57を収納させて蓋板58を嵌着して弁体ヒータ57を気密に保持し、右方の弁軸54の通孔59にリード線60を挿通して弁体ヒータ57に接続し、左方の弁軸54の通孔61に温度センサのリード線63を挿通して温度センサ62を設けるようにしたものである。
その他、真空処理室と排気ポンプとの間に設けられる圧力調整弁として、上記のバタフライバルブに限らず、振り子式ゲートバルブも用いられている(例えば、特許文献2参照。以下、「従来技術2」という。)。
【0004】
【特許文献1】特許第3521086号公報
【特許文献2】特開2007−278383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体製造装置等における真空処理室の排気側に設けられる圧力調整弁のヒータは、排気流路が大気圧から真空状態に変化してもその影響を受けないように弁体装置の内部に閉鎖状態で内蔵されるものであるが、弁体および加熱源としてのヒータを交換可能にしておき、弁体装置全体の長寿命化および経済性の向上を図りたいという要望がある。 また、取扱い性向上のための軽量化、熱容量の極小化によるヒータ出力(消費電力)の低減およびコンダクタンス向上のため、弁体および弁体ホルダからなる弁部の厚みをできるだけ薄くすることも望まれている。
【0006】
上記した特許文献1記載の従来技術1の圧力調整弁は、弁体55または加熱源としての弁体ヒータ57を交換するには弁全体を取り外す必要があり、弁体55自体を取り外すことができないため、現場での交換作業が無理であり、また、弁体ヒータ57の交換を行うには、蓋板58を取り外して弁体ヒータ57を取り出し、新しい弁体ヒータ57とリード線60を半田や溶接で接続し、弁体55の凹部56に弁体ヒータ57を収納した状態で蓋板58により密閉状態に被覆し、リード線60を通孔59から外に引き出し、大気側で接続を行う必要があるため、弁体ヒータ57の交換作業が煩雑になるという問題があった。
また、弁部の厚みが厚くならないような特段の配慮もされていないため弁部の厚みが相当厚くなっていた。
他方、上記した特許文献2の従来技術2の振り子式ゲートバルブタイプの圧力調整弁は、弁体を加熱するという技術手段を備えていないため、固形膜により弁体等の可動部と弁箱等の固定部が一体化し、圧力調整弁の作動抵抗が著しく増大し、アクチュエータであるモータが過負荷となって焼損するという問題があった。
【0007】
本発明は、真空処理装置における真空処理室の排気側に設けられる圧力調整弁において、弁体を加熱するようにするとともに、弁体および弁体加熱手段の交換を容易にし、弁体および弁体ホルダ等からなる弁部の厚みをできるだけ小さくした圧力調整弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の圧力調整弁は、第1に、真空処理装置における真空処理室の排気側に設けられる圧力調整弁において、弁体加熱手段を装着した弁体を弁体ホルダに着脱可能に取付け、該弁体と弁体ホルダとの対向面に位置し、かつ、対向面に沿って平板状接続端子を弁体および弁体ホルダにそれぞれ設けることを特徴としている。
上記第1の特徴において、弁体加熱手段を装着した弁体を弁体ホルダに着脱可能に取付け、弁体と弁体ホルダとの対向面に位置し、かつ、対向面に沿って平板状接続端子を弁体および弁体ホルダにそれぞれ設けることにより、弁体装置全体の長寿命化および経済性の向上を図ることができるとともに、電気接点の奥行き寸法が短くなるため、弁体および弁体ホルダからなる弁部の厚みを薄くすることができ、さらに、弁体を弁体ホルダに着脱するだけで自動的に電気接点が接離されるため、弁体および加熱用ヒータの交換を容易にすることができる。
【0009】
また、本発明の圧力調整弁は、第2に、第1の特徴において、圧力調整弁の形式がバタフライバルブであることを特徴としている。
また、本発明の圧力調整弁は、第3に、第1の特徴において、圧力調整弁の形式が振り子式ゲートバルブであることを特徴としている。
これらの特徴により、本発明の圧力調整弁は、バタフライバルブあるいは振り子式ゲートバルブのいずれの形式の弁でも構成することができる。
【0010】
また、本発明の圧力調整弁は、第4に、第1ないし第3のいずれかの特徴において、平板状接続端子の間に導電性のスプリングを挟着することを特徴としている。
この構成により、平板状接続端子の間の接触をより確実なものとすることができる。
また、本発明の圧力調整弁は、第5に、第4の特徴において、導電性のスプリングが弁体側あるいは弁体ホルダ側のどちらか一方に保持されていることを特徴としている。
導電性のスプリングを弁体側あるいは弁体ホルダ側のどちらかに保持可能であるため、設計の自由度が増し、製品の多様化を図ることができる。
【0011】
また、本発明の圧力調整弁は、第6に、第4または第5の特徴において、導電性のスプリングが導電性材料からなるドーナツ状のコイルスプリングであることを特徴としている。
このため、平板状接続端子の間の接触をより確実なものとするとともに、電気接点がコンパクトに多点接触を形成するため電気伝導度が良く、他の電気接点と比較して、接点奥行き寸法を短くすることができる。
また、本発明の圧力調整弁は、第7に、第6の特徴において、平板状接続端子のうち、一方の平板状接続端子にドーナツ状のスプリングを収容する凹部を形成することを特徴としている。
この構成により、安定した電気接点を形成することができる。
また、本発明の圧力調整弁は、第8に、第1ないし第7のいずれかの特徴において、
複数の平板状接続端子が1つの絶縁スペーサに装着されてユニット体をなしていることを特徴としている。
この構成により、複数の接続端子を備えた電気接点を1つのユニット体として扱うことができるため、部品管理あるいは着脱作業を簡素化することができる。
【0012】
また、本発明の圧力調整弁は、第9に、第1ないし第8のいずれかの特徴において、平板状接続端子を押圧するバネ機構を弁体側あるいは弁体ホルダのどちら一方に設けることを特徴としている。
この構成により、常時、平板状接続端子が押圧されるため、長時間の使用による変形、および、圧力調整弁の開閉に伴う振動による平板状接続端子同士あるいは平板状接続端子と導電性スプリングとの接触不安定を完全に防止することができる。
【0013】
また、本発明の圧力調整弁は、第10に、第1ないし第9のいずれかの特徴において、弁体加熱手段および平板状接続端子が弁体および弁体ホルダの内部に設けられた連通路を介して大気に連通していることを特徴としている。
このため、弁体加熱手段を大気雰囲気中に置くことができるから、大気を媒体として熱を均等に伝達するすることができ、熱伝導効率を良好にし、弁体の加熱を効率的に行うことができる。さらに、弁体加熱手段のヒータエレメントおよび温度センサのためのリード線を連通路を介して外部の電源および制御装置に接続することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)弁体加熱手段を装着した弁体を弁体ホルダに着脱可能に取付け、弁体と弁体ホルダとの対向面に位置し、かつ、対向面に沿って平板状接続端子を弁体および弁体ホルダにそれぞれ設けることにより、弁体装置全体の長寿命化および経済性の向上を図ることができるとともに、電気接点の奥行き寸法が短くなるため、弁体および弁体ホルダからなる弁部の厚みを薄くすることができ、さらに、弁体を弁体ホルダに着脱するだけで自動的に電気接点が接離されるため、弁体および加熱用ヒータの交換を容易にすることができる。
(2)圧力調整弁の形式がバタフライバルブあるいは振り子式ゲートバルブであることを特徴としていることにより、本発明の圧力調整弁を、バタフライバルブあるいは振り子式ゲートバルブのいずれの形式の弁でも構成することができる。
(3)また、平板状接続端子の間に導電性のスプリングを挟着することにより、平板状接続端子の間の接触をより確実なものとすることができる。
(4)導電性のスプリングを弁体側あるいは弁体ホルダ側のどちらかに保持可能であるため、設計の自由度が増し、製品の多様化を図ることができる。
(5)導電性のスプリングが導電性材料からなるドーナツ状のコイルスプリングであるため、平板状接続端子の間の接触をより確実なものとするとともに、電気接点がコンパクトに多点接触を形成するため電気伝導度が良く、他の電気接点と比較して、接点奥行き寸法を短くすることができる。
(6)平板状接続端子のうち、一方の平板状接続端子にドーナツ状のスプリングを収容する凹部を形成することにより、安定した電気接点を形成することができる。
(7)複数の平板状接続端子を1つの絶縁スペーサに装着させてユニット体を形成していることにより、複数の接続端子を備えた電気接点を1つのユニット体として扱うことができるため、部品管理あるいは着脱作業を簡素化することができる。
【0015】
(8)平板状接続端子を押圧するバネ機構を弁体側あるいは弁体ホルダのどちら一方に設けることにより、常時、平板状接続端子が押圧されるため、長時間の使用による変形、および、圧力調整弁の開閉に伴う振動による平板状接続端子同士あるいは平板状接続端子と導電性スプリングとの接触不安定を完全に防止することができる。
(9)弁体加熱手段および平板状接続端子が弁体および弁体ホルダの内部に設けられた連通路を介して大気に連通していることにより、弁体加熱手段を大気雰囲気中に置くことができるから、大気を媒体として熱を均等に伝達するすることができ、熱伝導効率を良好にし、弁体の加熱を効率的に行うことができる。さらに、弁体加熱手段のヒータエレメントおよび温度センサのためのリード線を連通路を介して外部の電源および制御装置に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の圧力調整弁を実施するための最良の形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、改良を加えうるものである。
【0017】
〔実施の形態1〕
図1(a)は、本発明の実施の形態1に係る圧力調整弁の主要部を構成する弁部を示す断面図であり、駆動部等は省略している。また、図1(b)は、図1(a)のC−C断面図である。
図2は、図1(a)のA−A断面図、図3は、図1(a)のB−B断面図である。
【0018】
図1および図2に示す圧力調整弁は、バタフライバルブ形式の弁形状をしており、真空処理室の排気側に設けられるものである。
圧力調整弁の弁部1は、排気側の通路30を開閉する弁体2、該弁体を加熱するための弁体加熱手段3、弁体2を支持する弁体ホルダ4、弁体加熱手段3と外部の電源とを接続したり、弁体加熱手段3と外部の制御手段とを電気的に接続するための電気接点5、弁体2と弁体ホルダ4との間をシールするOリング6、弁体ホルダ4を通路30の壁に支持する軸受9および、弁体ホルダ4と通路30の壁との間をシールするOリング16とを備えている。
また、弁体2は弁体ホルダ4にボルト22等の固定手段により着脱自在に取付けられている。
弁部1は、図示されていない駆動源に駆動されて弁体ホルダ4の回転中心を中心として回転され、排気側の通路30を所望の角度位置に開閉するようになっている。
【0019】
弁体2は、Al合金やステンレス材等の金属材料から形成され、その裏面側には、弁体加熱手段3を収容し保持するための凹部10が形成され、図2に示すように、弁体2の広範囲にわたって弁体を加熱できるように弁体加熱手段3が収納されている。
凹部10に収容された弁体加熱手段3は、図1に示すように、弁体カバー11により弁体2に密着して保持されるようになっており、弁体カバー11は弁体2の裏面が面一になるようにして弁体2に溶接されている。
弁体カバー11には、電気接点5を収容するための凹部12および弁体加熱手段3を大気と連通させるための連通路13が形成されている。
【0020】
弁体ホルダ4は、熱絶縁性材料から形成されるのが好ましいが、加工性および強度の面から総合的に材質が決定されるものであるため、特に、熱絶縁性材料に限定されるものではない。また、図3に示すように、その形状は、通路30の壁に係合する上下部分が円筒形、弁体2を支持する中央部分は、ほぼ円形断面をしており、弁体2の接する側が平面上に一部切り欠かかれた切欠き円形断面をしている。
図1に示すように、弁体ホルダ4の弁体2の裏面と対向する側には、電気接点5を収容するための凹部14およびOリングを装着するOリング溝15が形成されている。
【0021】
弁体加熱手段3は、図2に示すように、面状のヒータであることが好ましく、弁体の形状や大きさによりヒータの種類を変えることができる。
面状の弁体加熱手段3について、マイカヒータ、シースヒータ、ポリイミドヒータ、PTCヒータなどの発熱体であればよい。
弁体加熱手段3には、発熱体としてのヒータエレメント17があり、該ヒータエレメント17の両端には接続端子部18、18が連続して形成されており、この接続端子部18、18に接続するヒータリード線19を介して所定の電圧を印加することによってヒータエレメント17が発熱する。図2に示す例では、接続端子部18、18は、ヒータエレメント17の中央部に配置されている。
ヒータエレメント17の全体と接続端子部18、18の一部は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド等の有機高分子材料やマイカ材等の無機材料などからなる耐熱性の絶縁材で覆われるが、説明の都合上、透明なものとし、図示していない。
【0022】
弁体加熱手段3には、弁体2の温度を計測して制御するための温度センサ20が設けられ、センサリード線21を介して外部の制御手段と接続されている。本例では、温度センサ20は弁体のほぼ中央部に配置されている。温度センサ20としては、白金測温抵抗体が用いられているが、これに限らず、熱電対を用いても良い。
なお、面状の発熱体として、温度センサを必要としない正の温度係数を有するPTC面状発熱体を用いたような場合は、温度センサを設ける必要はない。
【0023】
弁体ホルダ4内部には、図1に示すように、その中心部に大気に連通する連通路8が形成されている。連通路8は、弁体加熱手段3に電力を供給するためのヒータリード線19および温度センサ20に接続されるセンサリード線21を通すとともに加熱手段3を大気に連通させるための機能を有している。
【0024】
弁体加熱手段3のヒータエレメント17と外部の電源とを接続したり、弁体加熱手段3の温度センサ20と外部の制御手段とを電気的に接続するための電気接点5は、図1および図3に示すように、弁体2側および弁体ホルダ4側にそれぞれ、円形状の複数の導電性を有する平板状接続端子26、該平板状接続端子26を周囲と絶縁するとともにこれらを保持する絶縁スペーサ27を備え、これらが対向して配置されている。
図1および図3に示した例では、平板状接続端子26はヒータエレメント17用に2個、温度センサ20用に2個の合計4個が装着された構成となっている。また、平板状接続端子26の形状は円形に限らず矩形等、任意の形状を採用することができる。
【0025】
平板状接続端子26、26は、電気伝導度の良い板状部材からなり、弁体2側の平板状接続端子26は、弁体カバー11の面と同一面かあるいは僅かに突出するように凹部12に配置される。一方、弁体ホルダ4側の平板状接続端子26は、弁体ホルダ4の面と同一面かあるいは僅かに突出するように凹部14に配置される。そのため、弁体2を弁体ホルダ4に固定した際、両側の平板状接続端子26、26は確実に接触する。
また、平板状接続端子26、26には、ヒータリード線19およびセンサリード線21がカシメ、ロウ付け、溶接等の方法で接続される。
【0026】
平板状接続端子26、26を周囲から絶縁し、これらを保持する絶縁スペーサ27、27は、公知の電気絶縁材料から形成されており、図1および図3からわかるように、平板状接続端子26を収容する凹部を有し、図5および6に示されている固定部材7により弁体カバー11および弁体ホルダ4にそれぞれ固定される。平板状接続端子26を収容する凹部の深さは平板状接続端子26の厚さと同一かあるいは僅かに浅く形成されている。
また、1つの絶縁スペーサ27に平板状接続端子26を収容する凹部を複数形成し、平板状接続端子26とでユニット体を形成するようにしておくと、装着および配線等が容易になる。
なお、図3において、二点鎖線で示す部分23がOリング6のシール面であり、平板状接続端子26を収容する絶縁スペーサ27の周囲を囲むように弁体2と弁体ホルダ4の対向面のシールをしている。
【0027】
〔実施の形態2〕
図4は、本発明の実施の形態2に係る圧力調整弁の主要部を構成する弁部を示す断面図であり、駆動部等は省略している。
実施の形態2は、平板状接続端子を押圧するバネ機構を弁体ホルダ側に設けた以外は、実施の形態1と同じであり、相違する点のみを説明することとする。
なお、実施の形態1の部材の符号と同じ符号は同じ部材を意味している。
【0028】
図4に示すように、平板状接続端子26を押圧するバネ機構33が弁体ホルダ4側の絶縁スペーサ27と弁体ホルダ4との間に設けられている。このため、弁体ホルダ4側の平板状接続端子26は絶縁スペーサ27を介して、常時、弁体2側の平板状接続端子に押圧される。このように、バネ機構33により、常時、平板状接続端子26、26が押圧された状態となるため、圧力調整弁の開閉に伴う振動による平板状接続端子26、26の接触不安定は完全に防止される。
【0029】
〔実施の形態3〕
図5(a)および図6(a)は、本発明の実施の形態3に係る圧力調整弁の主要部であるところの電気接点を構成する平板状接続端子および絶縁スペーサ等を示す平面図であり、図5(b)および図6(b)は、正面断面図、図5(c)および図6(c)は、個々の平板状接続端子を示す正面図および側面断面図である。
実施の形態3は、電気接点の構成以外は、実施の形態1または2と同じであり、電気接点を構成する部材以外を省略している。
【0030】
図5および図6において、電気接点を構成する部材は、雄・雌構造を有し、図5に示す雄の接続端子は、導電性を有するドーナツ状のコイルスプリング25を凹溝28内に収容する導電性の平板状接続端子26、該平板状接続端子26を周囲と絶縁するとともにこれを保持する絶縁スペーサ27を備えている。凹溝28は、ドーナツ状をしており、ドーナツ状のコイルスプリング25を収容した状態においてコイルスプリング25の一部が平板状接続端子26の表面からわずかに突出するような深さを有している。
一方、図6に示す雌の接続端子は、前記ドーナツ状のコイルスプリング25の外径とほぼ同じ外径を有する円形の平板状接続端子26および該平板状接続端子26を周囲と絶縁するとともにこれを保持する絶縁スペーサ27を備えている。絶縁スペーサ27は、ボルト等の固定部材7で弁体ホルダ4または弁体カバー11に固定されている。
図5および図6においては、雄および雌の接続端子を4個備えるようになっており、そのうち、2個はヒータエレメント用、2個は温度センサ用となっている。
雄および雌の絶縁スペーサ27にそれぞれの平板状接続端子26が4個装着された状態で、図5の雄の接続端子と図6の雌の接続端子とが図1および2に示すように対向接触するように配置されることにより電気接点5が構成される。
なお、雄および雌の接続端子は、弁体2あるいは弁体ホルダ4のどちらに装着されてもよい。
【0031】
ドーナツ状のコイルスプリング25は、ベリリウム銅、SUS、インコネルあるいはチタン等の材質から形成され、該コイルスプリング25を用いた電気接点は、耐熱性を有し、電気伝導度が良く、コイルひとつひとつが電気接点になって多点接触を形成しており、他の電気接点と比較して、接点奥行き寸法が短いという特徴を有している。この特徴を生かすように、ドーナツ状のコイルスプリング25は、平板状接続端子26に沿うように配設される。
【0032】
〔実施の形態4〕
図7(a)は、本発明の実施の形態4に係る圧力調整弁の主要部を構成する弁部を示す断面図であり、駆動部等は省略している。また、図7(b)は、図7(a)のD−D断面図である。また、図8は、図7(a)において弁部1を90°回転させた状態を示す断面図である。
実施の形態4は、弁体ホルダ4の構造および電気接点5の配置構成以外は、実施の形態1ないし実施の形態3とほぼ同様であり、実施の形態1ないし実施の形態3と同じ符号は同じ部材を意味している。
【0033】
図7および図8において、弁体ホルダ4は上下2つに分割され、上側の弁体ホルダ4は、弁体2の上部とボルト22により固定されている。また、下側の弁体ホルダ4は、通路30の壁に回転支持される円筒部4−1に続いてその上部が弁体2の下部外径に沿うように水平方向に広がったほぼ三日月状部4−2に形成され、弁体2の下部とボルト22、22により固定されている。
【0034】
電気接点5は、弁体2の下部において水平方向に配置された形をしており、平板状接続端子26を収容する絶縁スペーサ27の周囲を囲むようにOリング6が配置され、弁体2と弁体ホルダ4の三日月状部4−2との対向面がシールされている。平板状接続端子26を押圧するバネ機構を弁体2あるいは弁体ホルダ4のどちらか一方の側に設けてもよい。
本例において、弁体加熱手段3に接続されるヒータリード線19および温度センサ20のセンサリード線21は、加熱手段3の下方に形成された連通路13を介して電気接点5と接続されている。
【0035】
〔実施の形態5〕
図9は、本発明の実施の形態5に係る圧力調整弁の主要部を構成する弁部を示す断面図であり、また、図10は、図9のE−E断面図である。
実施の形態5は、弁形式が実施の形態1および実施の形態2と相違するが、実施の形態1ないし実施の形態4と共通する部分があり、実施の形態1ないし実施の形態4と同じ符号は同じ部材を意味している。
【0036】
図9および図10に示す圧力調整弁は、振り子式ゲートバルブ形式の弁形状をしており、真空処理室の排気側に設けられるものである。
圧力調整弁の弁部31は、排気側の通路30を開閉する弁体32、該弁体32を加熱するための弁体加熱手段3、弁体32を支持する弁体ホルダ34、弁体加熱手段3と外部の電源とを接続したり、弁体加熱手段3と外部の制御手段とを電気的に接続するための電気接点5、弁体2と弁体ホルダ34との間をシールするOリング6、および、弁体ホルダ34と通路30の壁との間をシールするOリング16とを備えている。
また、弁体2は弁体ホルダ34にボルト22等の固定手段により着脱自在に取付けられている。
【0037】
弁部31は、駆動源35に駆動されて、通路30と平行な弁体ホルダ34の回転中心Oを中心として通路30に直交する方向に揺動され、排気側の通路30を所望の開閉状態に制御するようになっている。また、通路30を完全に密閉する必要のある場合は、弁部31を通路30の方向と平行に微動させて、弁体32が通路30側の弁座部に密着するような構造を採用するものであるが、図9においてはその構造を省略している。
【0038】
弁部31を設置する個所には、通路30は所定の幅にわたり径方向外側に一部が膨出された膨出部36を有しており、膨出部36の側壁37を貫通するようにして弁体ホルダ34の中空筒部38が設置されている。図9に示すように、弁体ホルダ34は、弁体32に接合する平板状部39とこれに直交する方向に突出する前記中空筒部38からなり、平板状部39の弁体32の裏面と対向する側には、電気接点5を収容するための凹部14およびOリング6を装着するOリング溝15が形成されており、中空筒部38の
中心部に大気に連通する連通路8が形成され、該連通路8は、弁体加熱手段3に電力を供給するためのヒータリード線19および温度センサ20に接続されるセンサリード線21を通すとともに加熱手段3を大気に連通させるための機能を有している。
【0039】
弁体32の裏面側には、弁体加熱手段3を収容し保持するための凹部10が形成され、図10に示すように、弁体32の広範囲にわたって弁体を加熱できるように弁体加熱手段3が収納されている。
凹部10に収容された弁体加熱手段3は、図9に示すように、弁体カバー11により弁体2に密着して保持されるようになっている。
また、弁体32の裏面側には、弁体ホルダ34の凹部14と対向する位置に電気接点5を収容するための凹部12が形成されており、該凹部12と加熱手段3とを連通して弁体加熱手段3を大気と連通させるための連通路13が形成されている。
【0040】
本実施の形態5において、加熱手段3および電気接点5は、それらの配置以外の基本構造は実施の形態1ないし実施の形態3と同様であるのでその説明は省略する。
本例において、弁体加熱手段3に接続されるヒータリード線19および温度センサ20のセンサリード線21は、加熱手段3の上方に形成された連通路13を介して電気接点5と接続される。また、平板状接続端子26を押圧するバネ機構を弁体32あるいは弁体ホルダ34のどちらか一方の側に設けてもよい
【0041】
本発明において、電気接点の構成としては、上記したドーナツ状コイルスプリングに代えて公知のコンタクトバンドを採用することも可能である。
また、弁体と弁体ホルダとを断熱用リブを介して固定することも可能であり、この場合、弁体に設けられた加熱手段からの熱が弁体ホルダに伝わるのを小さくでき、加熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1に係る圧力調整弁の主要部を構成する弁部を示す断面図である。
【図2】図2は、図1(a)のA−A断面図である。
【図3】図1(a)のB−B断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る圧力調整弁の主要部を構成する弁部を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る圧力調整弁の主要部であるところの電気接点を構成する平板状接続端子(雄の接続端子)および絶縁スペーサ等を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る圧力調整弁の主要部であるところの電気接点を構成する平板状接続端子(雌の接続端子)および絶縁スペーサ等を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る圧力調整弁の主要部を構成する弁部を示す断面図である。
【図8】図7において弁部1を90°回転させた状態を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態5に係る圧力調整弁の主要部を構成する弁部を示す断面図である。
【図10】図9のE−E断面図である。
【図11】従来技術1の圧力調整弁を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 圧力調整弁の弁部
2 弁体
3 弁体加熱手段
4 弁体ホルダ
5 電気接点
6 Oリング
7 固定部材
8 連通路
9 軸受
10 凹部
11 弁体カバー
12 凹部
13 連通路
14 凹部
15 Oリング溝
16 Oリング
17 ヒータエレメント
18 接続端子部
19 ヒータリード線
20 温度センサ
21 センサリード線
22 ボルト
23 Oリングのシール面
25 ドーナツ状コイルスプリング
26 平板状接続端子
27 絶縁スペーサ
28 凹溝
30 通路
31 弁部
32 弁体
33 バネ機構
34 弁体ホルダ
35 駆動源
36 膨出部
37 側壁
38 中空筒部
39 平板状部





















【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空処理装置における真空処理室の排気側に設けられる圧力調整弁において、弁体加熱手段を装着した弁体を弁体ホルダに着脱可能に取付け、該弁体と弁体ホルダとの対向面に位置し、かつ、対向面に沿って平板状接続端子を弁体および弁体ホルダにそれぞれ設けることを特徴とする圧力調整弁。
【請求項2】
圧力調整弁の形式がバタフライバルブであることを特徴とする請求項1記載の圧力調整弁。
【請求項3】
圧力調整弁の形式が振り子式ゲートバルブであることを特徴とする請求項1記載の圧力調整弁。
【請求項4】
平板状接続端子の間に導電性のスプリングを挟着することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の圧力調整弁。
【請求項5】
導電性のスプリングが弁体側あるいは弁体ホルダ側のどちらか一方に保持されていることを特徴とする請求項4記載の圧力調整弁。
【請求項6】
導電性のスプリングが導電性材料からなるドーナツ状のコイルスプリングであることを特徴とする請求項4または請求項5記載の圧力調整弁。
【請求項7】
平板状接続端子のうち、一方の平板状接続端子にドーナツ状のスプリングを収容する凹部を形成することを特徴とする請求項6記載の圧力調整弁。
【請求項8】
複数の平板状接続端子が1つの絶縁スペーサに装着されてユニット体をなしていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の圧力調整弁。
【請求項9】
平板状接続端子を押圧するバネ機構を弁体あるいは弁体ホルダのどちらか一方の側に設けることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の圧力調整弁。
【請求項10】
弁体加熱手段および平板状接続端子が弁体および弁体ホルダの内部に設けられた連通路を介して大気に連通していることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の圧力調整弁。

























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−112388(P2010−112388A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282705(P2008−282705)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000101879)イーグル工業株式会社 (119)
【Fターム(参考)】