圧縮機の制御装置
【課題】 圧縮機の運転頻度が一定となるように制御し、消費電力を低減する。
【解決手段】 制御回路9は、運転中の空気圧縮機1を停止した場合に、タンク5内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下して運転を再開するまでの停止時間Tbを予測する。そして、制御回路9は、現在までの運転時間Taと予測した停止時間Tbとを加算し、この加算時間が時間しきい値Tsよりも大きいときには、圧縮機本体3を停止する。また、制御回路9は、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との間に誤差時間Erが生じたときには、この誤差時間Erに基づいて次回の時間しきい値Tsを補正する。
【解決手段】 制御回路9は、運転中の空気圧縮機1を停止した場合に、タンク5内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下して運転を再開するまでの停止時間Tbを予測する。そして、制御回路9は、現在までの運転時間Taと予測した停止時間Tbとを加算し、この加算時間が時間しきい値Tsよりも大きいときには、圧縮機本体3を停止する。また、制御回路9は、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との間に誤差時間Erが生じたときには、この誤差時間Erに基づいて次回の時間しきい値Tsを補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタンクに対して圧縮空気等の圧縮流体を供給する圧縮機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧縮機による圧縮空気を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を計測する圧力センサと、圧力センサによる圧力検出値に基づいて圧縮機を制御する制御回路を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、制御回路は、圧力検出値が圧力上限値よりも高くなったときに圧縮機の圧縮運転を停止(圧縮停止)し、圧力検出値が圧力下限値よりも低くなったときに圧縮機の圧縮運転を再開する構成となっていた。これにより、タンク内の圧力に応じて圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換えて、タンク内の圧力を調整していた。
【0003】
【特許文献1】特開2007-120497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来技術では、タンク内の圧力検出値と制御圧力値(圧力上限値、圧力下限値)とを比較して圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを制御していた。このため、例えば圧縮空気の消費流量が非常に少ないにも拘らず、検出圧力値が圧力下限値まで低下すると、圧力上限値に到達するまで圧縮運転を行うことになり、無駄な電力を消費していた。
【0005】
また、特許文献1には、タンク内の圧力変化に基づいて圧力検出値が圧力上限値に到達するまでの時間を予測すると共に、この予測した時間と予め設定された時間しきい値とを比較して、圧縮機の運転/停止を制御する構成が開示されている。しかし、この従来技術では、圧縮空気の消費流量と圧縮機が供給する供給流量とが近い場合には、タンク内の圧力変化が小さくなることから、圧力検出値が圧力上限値付近に到達するまで圧縮機を停止することができず、消費電力を低減する効果(省エネ効果)が得られないという問題がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、圧縮機の運転頻度が一定となるように制御し、消費電力を低減することができる圧縮機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、流体を圧縮して吐出する圧縮機と、該圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、前記圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換え制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、前記制御手段は、前記圧縮機の稼動時間内で複数回繰り返される圧縮運転と圧縮停止の運転周期の平均周期が所定の時間しきい値に収束するように制御することを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、流体を圧縮して吐出する圧縮機と、該圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、前記圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換え制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、前記制御手段は、前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力が所定の圧力下限値まで低下したときに、前記圧縮機の圧縮運転を開始する圧縮運転開始手段と、前記圧縮機の圧縮運転中に前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力の単位時間当たりの増加率を演算する圧力増加率演算手段と、該圧力増加率演算手段によって演算した圧力の増加率に基づいて、現在の前記圧縮機を圧縮停止に切換えたときに、前記タンク内の圧力が前記圧力下限値まで低下するまでの停止時間を予測する停止時間予測手段と、該停止時間予測手段によって予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、前記圧縮機を圧縮停止に切換える圧縮停止切換手段と、前記停止時間予測手段によって予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、該誤差時間を用いて次回の時間しきい値を補正する時間しきい値補正手段とを備える構成としたことを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、流体を圧縮して吐出する複数台の圧縮機と、該複数台の圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、圧縮運転する前記圧縮機の台数を増加、減少させて運転台数を制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、前記制御手段は、前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力が所定の圧力下限値まで低下したときに、圧縮運転する圧縮機の台数を増加させる運転台数増加手段と、前記圧縮機の圧縮運転中に前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力の単位時間当たりの増加率を演算する圧力増加率演算手段と、該圧力増加率演算手段によって演算した圧力の増加率に基づいて、現在の圧縮運転する圧縮機の台数を減少させたときに、前記タンク内の圧力が前記圧力下限値まで低下するまでの停止時間を予測する停止時間予測手段と、該停止時間予測手段によって予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、圧縮運転する圧縮機の台数を減少させる運転台数減少手段と、前記停止時間予測手段によって予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、該誤差時間を用いて次回の時間しきい値を補正する時間しきい値補正手段とを備える構成としたことを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明では、前記圧縮機は、駆動源となる電動モータと、該電動モータの運転と停止を切換える電磁開閉器とを備え、前記時間しきい値は、該電磁開閉器の切換え回数に基づいて決定する構成としている。
【0011】
請求項5の発明では、前記圧縮停止切換手段は、前記時間しきい値よりも短時間の規定時間と前記運転時間とを比較し、前記運転時間が規定時間よりも短いときには前記圧縮機の圧縮運転を継続し、前記運転時間が規定時間を越えたときには前記加算時間に基づいて前記圧縮機を圧縮停止に切換える構成としている。
【0012】
請求項6の発明では、前記運転台数減少手段は、前記時間しきい値よりも短時間の規定時間と前記運転時間とを比較し、前記運転時間が規定時間よりも短いときには圧縮運転する圧縮機の台数を維持し、前記運転時間が規定時間を越えたときには前記加算時間に基づいて圧縮運転する圧縮機の台数を減少させる構成としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、制御手段は、圧縮機の稼動時間内で圧縮運転と圧縮停止とが複数回繰り返されるときには、圧縮運転と圧縮停止からなる運転周期の平均周期(平均時間)が所定の時間しきい値に収束するように制御する。これにより、例えば圧縮流体の消費流量が非常に少ない場合や圧縮流体の消費流量が圧縮機の供給流量に近い場合でも、検出圧力値が圧力上限値に到達する前に圧縮機を圧縮停止に切換えることができる。この結果、タンク内の圧力が圧力上限値付近となった状態で圧縮運転を行う時間を短縮することができ、圧縮機の負荷を軽減して消費電力を低減することができる。また、運転周期(運転頻度)の平均値をほぼ一定にすることができるから、圧縮機の運転頻度に基づいて、圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を容易に判別することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、停止時間予測手段は、圧力の増加率に基づいて、運転中の圧縮機を圧縮停止に切換えたときに、タンク内の圧力が圧力下限値(運転再開する圧力値)まで低下するまでの停止時間を予測する。そして、圧縮停止切換手段は、予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、圧縮機を圧縮停止に切換える。このため、運転時間と停止時間とを加算した加算時間が一定となるように圧縮機を制御することができる。これにより、例えば圧縮流体の消費流量が非常に少ない場合や圧縮流体の消費流量が圧縮機の供給流量に近い場合でも、検出圧力値が圧力上限値に到達する前に圧縮機を圧縮停止に切換えることができる。この結果、タンク内の圧力が圧力上限値付近となった状態で圧縮運転を行う時間を短縮することができ、圧縮機の負荷を軽減して消費電力を低減することができる。
【0015】
また、本発明では、圧縮流体の消費流量によらず、圧縮機が圧縮運転を開始した後に、再度圧縮運転を開始するまでの運転周期(運転頻度)をほぼ一定にすることができる。このため、圧縮機の運転頻度に基づいて、圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を容易に判別することができる。
【0016】
また、例えば圧縮停止切換手段によって圧縮機を圧縮停止に切換えた後に圧縮流体の消費量が増えたとき等には、予測した停止時間が経過するよりも前にタンク内の圧力が圧力下限値まで低下することがある。この場合、時間しきい値補正手段は、予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、例えば誤差時間を加算して次回の時間しきい値を補正することができる。これにより、停止時間の予測誤差が生じても、圧縮機の圧縮運転と圧縮停止の頻度がばらつくことがなく、運転頻度を一定にすることができる。このため、圧縮機の運転頻度に基づいて圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を判別するときでも、高精度にメンテナンス時期等を判別することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、停止時間予測手段は、圧力の増加率に基づいて、圧縮運転する圧縮機の台数を減少させたときに、タンク内の圧力が圧力下限値(運転再開する圧力値)まで低下するまでの停止時間を予測する。そして、運転台数減少手段は、予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、圧縮運転する圧縮機の台数を減少させる。このため、運転時間と停止時間とを加算した加算時間が一定となるように、圧縮運転する圧縮機の台数を制御することができる。
【0018】
これにより、例えば圧縮流体の消費流量が非常に少ない場合や圧縮流体の消費流量が圧縮機の供給流量に近い場合でも、検出圧力値が圧力上限値に到達する前に圧縮運転する圧縮機の台数を減少させることができる。この結果、タンク内の圧力が圧力上限値付近となった状態で圧縮運転を行う時間を短縮することができ、圧縮機の負荷を軽減して消費電力を低減することができる。また、圧縮機の運転台数を増減させることによって、複数台の圧縮機による吐出容量の時間平均値を制御することができる。
【0019】
また、本発明では、圧縮流体の消費流量によらず、圧縮機が圧縮運転を開始した後に、再度圧縮運転を開始するまでの運転周期(運転頻度)をほぼ一定にすることができる。このため、圧縮機の運転頻度に基づいて、圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を容易に判別することができる。
【0020】
また、例えば運転台数減少手段によって圧縮運転する圧縮機の台数を減少させた後に圧縮流体の消費量が増えたとき等には、予測した停止時間が経過するよりも前にタンク内の圧力が圧力下限値まで低下することがある。この場合、時間しきい値補正手段は、予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、例えば誤差時間を加算して次回の時間しきい値を補正することができる。これにより、停止時間の予測誤差が生じても、圧縮機の圧縮運転と圧縮停止の頻度がばらつくことがなく、運転頻度を一定にすることができる。このため、圧縮機の運転頻度に基づいて圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を判別するときでも、高精度にメンテナンス時期等を判別することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、時間しきい値は電磁開閉器の切換え回数に基づいて決定している。ここで、本発明では、圧縮流体の消費流量によらず、圧縮機が圧縮運転を開始した後に、再度圧縮運転を開始するまでの運転周期(起動頻度)をほぼ一定にする。一方、電磁開閉器の電気的または機械的な寿命は、一般的に電磁開閉器の切換え回数によって決まる。このため、例えば圧縮機のメンテナンス時間が予め決められているときには、メンテナンス時間を寿命までの切換え回数で割った値よりも圧縮機の運転周期を長くするのが好ましい。これにより、電磁開閉器が寿命となる前に圧縮機のメンテナンスを行うことができ、電磁開閉器の損傷や故障を未然に防止することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、圧縮停止切換手段は、運転時間と規定時間とを比較して圧縮機の圧縮運転を継続するか否かを決定する。ここで、電磁開閉器による給電の切換えに基づいて圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換える場合には、圧縮機の起動時(圧縮停止から圧縮運転への切換時)に突入電流が発生すると共に、この突入電流は通常(定常時)の駆動電流よりも大きくなる傾向がある。このため、例えば圧縮流体の消費流量が非常に少ないときのように、圧縮機の運転時間が短時間となる場合には、時間しきい値のみに基づいて圧縮機を圧縮停止に切換えると、突入電流の影響によって消費電力の増大や電磁開閉器の損傷が生じることがある。これに対し、本発明では、圧縮停止切換手段は、運転時間が規定時間よりも短いときには圧縮機の圧縮運転を継続する。これにより、運転時間と停止時間との加算時間(圧縮機の運転周期)は時間しきい値よりも長くなるものの、突入電流による消費電力の増大や電磁開閉器の損傷を防止することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、運転台数減少手段は、運転時間と規定時間とを比較して圧縮運転する圧縮機の台数を維持するか否かを決定する。ここで、電磁開閉器による給電の切換えに基づいて圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換えて、圧縮機の運転台数を増加、減少させる場合には、圧縮機の起動時(圧縮停止から圧縮運転への切換時)に突入電流が発生すると共に、この突入電流は通常(定常時)の駆動電流よりも大きくなる傾向がある。このため、例えば圧縮流体の消費流量が非常に少ないときのように、圧縮機の運転時間が短時間となる場合には、時間しきい値のみに基づいて圧縮機を圧縮停止に切換えると、突入電流の影響によって消費電力の増大や電磁開閉器の損傷が生じることがある。これに対し、本発明では、運転台数減少手段は、運転時間が規定時間よりも短いときには圧縮運転する圧縮機の台数を維持する。これにより、運転時間と停止時間との加算時間(圧縮機の運転周期)は時間しきい値よりも長くなるものの、突入電流による消費電力の増大や電磁開閉器の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態による圧縮機として圧縮空気を吐出する空気圧縮機を例に挙げて、添付図面に従って詳細に説明する。
【0025】
まず、図1ないし図8は第1の実施の形態を示している。図1において、1は空気を圧縮して吐出する空気圧縮機を示し、空気圧縮機1は、駆動源としての電動モータ2と、該電動モータ2によって駆動される圧縮機本体3とを備えている。ここで、圧縮機本体3は、例えばレシプロ型、スクリュウ型、スクロール型等の各種の圧縮機構によって構成されている。
【0026】
また、電動モータ2と電源との間には電磁開閉器4が設けられている。そして、電磁開閉器4は、そのON/OFFに応じて、電動モータ2に対する電力の供給/停止を切換える。これにより、電動モータ2は、電磁開閉器4によって、運転と停止とが切換わる構成となっている。
【0027】
5は圧縮機本体3の吐出側に接続されたタンクで、該タンク5は、圧縮機本体3から吐出された圧縮空気を貯留する。また、タンク5には、取出し弁6を備えた出力配管7が取付けられている。これにより、タンク5は、出力配管7を介して外部の空圧機器(図示せず)に接続されると共に、取出し弁6を開弁することによって該空圧機器に向けて圧縮空気を供給するものである。
【0028】
8はタンク5に接続された圧力検出手段としての圧力センサで、該圧力センサ8は、タンク5内の圧縮空気の圧力Pを検出し、圧力Pに応じた圧力信号を出力する。
【0029】
9は空気圧縮機1の圧縮運転と圧縮停止とを切換えて空気圧縮機1の吐出容量を制御する制御手段としての制御回路で、該制御回路9は、圧力センサ8および電磁開閉器4に接続されている。また、制御回路9には、例えば圧縮機本体3が供給する圧縮空気の供給流量Fs(NL/s)、タンク5の容量V(L)、初期時間しきい値T0(s)、タンク5内の圧力下限値Pmin(MPa)と圧力上限値Pmax(MPa)、圧縮空気の温度Tとして通常時の圧縮空気の平均温度等が予め記憶されている。このとき、圧力下限値Pminは、圧縮運転を再開するために予め設定されたタンク5内の圧力値である。一方、圧力上限値Pmaxは、圧縮運転を停止するために予め設定されたタンク5内の圧力値である。さらに、制御回路9は運転タイマ9Aと停止タイマ9Bとを備えている。そして、運転タイマ9Aは、空気圧縮機1が起動する毎に起動開始からの運転時間Taを計測する。一方、停止タイマ9Bは、空気圧縮機1が停止する毎に停止から再起動するまでの実際の停止時間Tbを計測する。
【0030】
そして、制御回路9は、後述する運転制御処理を行い、タンク5内の圧力Pに基づいて電磁開閉器4のON/OFFを制御する。これにより、制御回路9は、電動モータ2の運転と停止とを切換えることによって、空気圧縮機1の圧縮運転と圧縮停止とを切換える構成となっている。
【0031】
本実施の形態による空気圧縮機1は上述の如き構成を有するもので、次に、図1ないし図4を参照しつつ、タンク5の圧力P等に応じて圧縮運転と圧縮停止とを切換える運転制御処理について説明する。
【0032】
ここで、空気圧縮機1の制御フェーズS(制御状態)をタンク5の圧力P等に応じて次の3つに分ける。即ち、例えば空気圧縮機1を最初に起動したときのように、タンク5の圧力Pが圧力下限値Pminよりも低い場合には、制御フェーズSを1とする。タンク5の圧力Pが圧力上限値Pmaxと圧力下限値Pminとの間の値となり、かつ空気圧縮機1が運転している場合には、制御フェーズSを2とする。タンク5の圧力Pが圧力上限値Pmaxと圧力下限値Pminとの間の値となり、かつ空気圧縮機1が停止している場合には、制御フェーズSを3とする。また、誤差時間Erの初期値は0に設定されているものとする。
【0033】
そして、ステップ1では、制御フェーズSを1に設定する(S=1)。次に、ステップ2では、圧力センサ8からの圧力信号を用いて、一定のサンプリング周期(例えば200ms)で現在のタンク5内の圧力P(t)を計測する。
【0034】
次に、ステップ3では、制御フェーズSが1か否かを判定する。ステップ3で「YES」と判定したときには、ステップ4に移って、タンク5内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも低いか否かを判定する。そして、ステップ4で「YES」と判定したときには、タンク5内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも低下しているから、ステップ5に移って圧縮機1の運転を開始した後、後述のステップ30に移行する。
【0035】
一方、ステップ4で「NO」と判定したときには、タンク5内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも上昇しているから、ステップ6に移って制御フェーズSを2に設定する(S=2)。また、ステップ7では、運転タイマ9Aを初期化した後に、スタートさせる。その後、後述のステップ30に移行する。
【0036】
また、ステップ3で「NO」と判定したときには、制御フェーズSは2または3のいずれかであるから、ステップ8に移って、タンク5内の圧力P(t)が単位時間前(例えば1秒前)の圧力P(t-1)よりも高いか否かを判定する。そして、ステップ8で「YES」と判定したときには、タンク5内の圧力P(t)が上昇しているから、制御フェーズSは2に該当するものと考えられる。
【0037】
このため、ステップ9に移って、以下の数1の式に示すように、現在の圧力P(t)と1秒前の圧力P(t-1)との差を演算し、圧力変化値ΔP(MPa/s)を求める。なお、圧力P(t-1)として例えば前回のサンプリングで取得した200ms前の圧力を用いてもよい。この場合、圧力P(t)と圧力P(t-1)との差分をサンプリング周期(200ms)で割ることによって、単位時間(1秒)当たりの圧力変化値ΔP(MPa/s)を求めることができる。但し、サンプリング周期が短い場合には、タンク5内の圧力の変化量が小さくなるため、誤差が生じ易い傾向がある。
【0038】
【数1】
【0039】
また、圧縮機1の圧縮運転を停止した直後(例えば200ms後)は、圧力P(t)は低下しているにも拘らず、1秒前の圧力P(t-1)よりも高くなる場合がある。この場合、ステップ8で制御フェーズSを誤って判断する可能性がある。このため、本実施の形態では、図4に示すように、圧縮機1の圧縮運転を停止したときには、予め蓄積した1秒前までの圧力のデータを現在の圧力P(t)に書換える。具体的には、例えば後述のステップ18,22で、制御フェーズSを2から3に切換えるときには、予め蓄積した1秒前までの圧力のデータを現在の圧力P(t)に書換える。これにより、ステップ8で制御フェーズSの誤認識が生じるのを防止している。
【0040】
次に、ステップ10では、タンク5から外部に供給されている圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)を演算する。具体的には、以下の数2の式に示すように、例えば理想気体の状態方程式が用いられ、圧縮機本体3の供給流量Fs(NL/s)、タンク5の容量V(L)、圧力変化値ΔP(MPa/s)、気体定数R、温度Tに基づいて、圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)が算出される。
【0041】
【数2】
【0042】
次に、ステップ11では、運転中の圧縮機本体3を仮に停止した場合に、現在の圧力P(t)から圧力下限値Pminまで圧力が低下するまでの停止時間Tb(s)を演算する。具体的には、以下の数3の式に示すように、現在の圧力P(t)と圧力下限値Pminとの圧力差(MPa)、タンク5の容量V(L)、気体定数R、温度T、圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)に基づいて、停止時間Tb(s)が算出される。
【0043】
【数3】
【0044】
次に、ステップ12では、圧縮機本体3が起動開始してから現在までの運転時間Ta(s)を運転タイマ9Aが計時した値から取得する。
【0045】
次に、ステップ13では、初期時間しきい値T0に後述の誤差時間Erを加算して、時間しきい値Tsを補正する。これにより、時間しきい値Tsは、予め設定された初期時間しきい値T0に比べて、誤差時間Erの分だけ延長または短縮される。
【0046】
ここで、初期時間しきい値T0(時間しきい値Ts)は、電磁開閉器4の切換え回数に基づいて決定している。具体的には、空気圧縮機1のメンテナンス時間が予め決められているときには、メンテナンス時間を電磁開閉器4が寿命となるまでの切換え回数で割った値よりも大きな値となるように、初期時間しきい値T0は設定されている。例えば、空気圧縮機1のメンテナンス時間を10000時間とし、電気的または機械的寿命となる電磁開閉器4の切換え回数が200万回とすると、このメンテナンス時間を切換え回数で割った値は18秒となる。このため、実験的に求めた停止時間Tbの誤差マージン(例えば2秒)を考慮して、初期時間しきい値T0は例えば20秒に設定されている。
【0047】
次に、ステップ14では、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも大きいか否かを判定する。そして、ステップ14で「YES」と判定したときには、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも長時間となっているから、圧縮機本体3の運転頻度を一定に保つために、現在運転中の圧縮機本体3を停止する必要がある。このため、ステップ15で運転タイマ9Aを停止すると共に、運転タイマ9Aをリセットする。そして、ステップ16で電磁開閉器4をOFFに切換えて電動モータ2を停止する。これにより、圧縮機本体3は運転を停止し、圧縮停止に切換わる。ステップ16が終了すると、ステップ17に移って、停止タイマ9Bをリセットした後に、停止タイマ9Bをスタートさせる。その後、ステップ18に移って制御フェーズSを3に設定し(S=3)、圧力Pの蓄積データを書き換えた後に、ステップ30に移行する。
【0048】
一方、ステップ14で「NO」と判定したときには、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも短時間となっているから、圧縮機本体3の運転頻度の観点では現在運転中の圧縮機本体3を停止する必要はない。このため、ステップ19に移って現在の圧力P(t)が停止圧としての圧力上限値Pmax以上が否かを判定する。
【0049】
そして、ステップ19で「NO」と判定したときには、現在の圧力P(t)が圧力上限値Pmaxに到達しておらず、圧縮運転を停止する必要がないと考えられる。このため、現在の運転状態を維持して、後述のステップ30に移行する。
【0050】
一方、ステップ19で「YES」と判定したときには、現在の圧力P(t)が圧力上限値Pmax以上に高圧になっており、圧縮機本体3を圧縮停止に切換える必要があると考えられる。このため、ステップ20〜22の処理を行い、圧縮機本体3の停止、停止タイマ9Bの初期化およびスタートを行い、制御フェーズSを3に設定し(S=3)、圧力Pの蓄積データを書き換える。その後、ステップ30に移行する。
【0051】
また、ステップ8で「NO」と判定したときには、タンク5内の圧力P(t)が下降しているから、制御フェーズSは3に該当するものと考えられる。このため、ステップ23に移って、タンク5内の圧力P(t)が復帰圧としての圧力下限値Pminよりも低下したか否かを判定する。そして、ステップ23で「NO」と判定したときには、圧力P(t)は圧力下限値Pminよりも高く、タンク5に圧縮空気を補充する必要はないものと考えられる。このため、そのまま後述のステップ30に移行する。
【0052】
一方、ステップ23で「YES」と判定したときには、圧力P(t)は圧力下限値Pminよりも低下して、タンク5内の圧縮空気が不足しているものと考えられる。このため、ステップ24に移って圧縮機本体3が停止してから現在までの実際の停止時間Tb′(s)を停止タイマ9Bが計時した値から取得する。
【0053】
次に、ステップ25では、ステップ11で予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との差である誤差時間Erを演算する。具体的には、以下の数4の式に示すように、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との差に基づいて、誤差時間Erを演算する。
【0054】
【数4】
【0055】
次に、ステップ26では停止タイマ9Bを停止して、初期化する。そして、ステップ27では、電磁開閉器4をONに切換えて電動モータ2を駆動する。これにより、圧縮機本体3は圧縮運転を開始する。そして、ステップ28では、運転タイマ9Aを初期化した後に、スタートさせる。その後、ステップ29では、制御フェーズSを2に設定し、ステップ30に移行する。
【0056】
ステップ30では、制御回路9に接続して設けられた停止スイッチ(図示せず)がONとなっているか否かを判定する。そして、ステップ30で「NO」と判定したときには、ステップ2以降の処理を繰り返す。
【0057】
一方、ステップ30で「YES」と判定したときには、停止スイッチがONとなっているから、ステップ31に移って電磁開閉器4をOFFに切換えて電動モータ2を停止して、圧縮機本体3の圧縮運転を停止する。
【0058】
次に、本実施の形態による運転制御処理を用いて空気圧縮機1を制御し、このときのタンク5内の圧力Pの時間変化を調べた。その結果を図5に示す。
【0059】
図5に示すように、本実施の形態による運転制御処理では、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも短時間となるように、圧縮運転を圧縮停止に切換える。これにより、加算時間が時間しきい値Tsに到達する前に圧力Pが圧力上限値Pmaxに到達する場合のように、圧力Pの増加率が大きい場合を除いて、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間は時間しきい値Tsとほぼ同じ値で一定となる。このため、圧力Pの増加率が小さいときでも、圧力Pが圧力上限値Pmaxに到達する前に圧縮停止に切換えることができる。この結果、全体的に圧力Pが低い領域、即ち消費電力が少ない領域で圧縮運転を行うことができる。
【0060】
また、例えば図5に示すように、空気圧縮機1が圧縮運転を停止している間に、圧縮空気の消費量が増加した場合には、制御回路9によって予測した停止時間Tbが経過する以前にタンク5内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下する。この場合、空気圧縮機1が実際に停止した時間(実際の停止時間Tb′)が予測した停止時間Tbよりも短時間となるから、時間しきい値Ts(初期時間しきい値T0)によって設定した運転頻度よりも圧縮機本体3の運転頻度が高くなる傾向がある。
【0061】
これに対し、本実施の形態では、空気圧縮機1を圧縮停止に切換えた後に、予測した停止時間Tbが経過するよりも前にタンク5内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下した場合には、制御回路9は、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との間の誤差時間Erを計測し、初期時間しきい値T0と誤差時間Erとを加算して、次回の時間しきい値Tsを補正する。これにより、予測した停止時間Tbよりも実際の停止時間Tb′が短時間となるときでも、次回の時間しきい値Tsを誤差時間Erの分だけ延長することができ、圧縮機本体3の運転頻度をほぼ一定に保つことができる。
【0062】
次に、従来技術と同様な比較例による制御処理と、本実施の形態による運転制御処理とを比較した。その結果を図6ないし図8に示す。なお、図6ないし図8中の実線は、本実施の形態による運転制御処理を行った場合を示している。一方、図6ないし図8中の点線は、比較例による制御処理として、特許文献1と同様に、圧力下限値Pminに到達すると圧縮機の運転を開始し、圧力上限値Pmax付近に近付くと圧縮機を停止する場合を示している。
【0063】
図6は供給流量Fsに対する消費流量Fcの比率F(%)(F=Fc/Fs×100)と空気圧縮機1が停止(圧縮停止)する圧力(停止圧力)との関係を示している。比較例による制御処理では、圧力上限値Pmaxに到達するよりも一定時間だけ前に圧縮機1を停止する構成となっている。ここで、消費流量Fcが圧縮機1の供給流量Fsに近付く(比率Fが100に近付く)と、タンク5内の圧力Pの上昇率が低下する。このため、消費流量Fcが供給流量Fsに近付くに従って、停止圧力は圧力上限値Pmaxに近付く。この結果、比較例による制御処理を用いた場合、停止圧力Ps1は、以下の数5に示す1次比例の直線で表すことができ、消費流量Fcが供給流量Fsに近付く(比率Fが増加する)のに比例して高くなる。なお、制御定数Aは、圧力上限値Pmaxに到達するよりも一定時間前に圧縮機1を停止するとき、この一定時間によって決まる定数である。
【0064】
【数5】
【0065】
これに対し、本実施の形態による運転制御処理を用いた場合、停止圧力Ps2は消費流量Fcに対して2次曲線で近似することができる。この2次曲線は、以下の数6に示すように、タンク5の容量Vおよび省エネ定数Bによって決定される。具体的には、タンク5の容量Vが大きいほど、また省エネ定数Bが小さいほど停止圧力を低くすることができる。なお、省エネ定数Bは、時間しきい値Tsによって決まる定数である。
【0066】
【数6】
【0067】
図7は圧縮空気の消費流量Fcと空気圧縮機1の消費電力との関係を示している。なお、図7は圧力と電力が一次比例する場合を例示している。この場合、比較例による制御処理を用いた場合、図6と同様に、消費流量Fcが供給流量Fsに近付くのに比例して、消費電力Pow1も増大する。これに対し、本実施の形態による運転制御処理を用いた場合、比較例に比べて、消費流量Fcの比率Fの全範囲に亘って消費電力Pow2が低くなる。この結果、消費電力Pow1と消費電力Pow2との差の分(図7中の斜線部分)だけ、本実施の形態では、比較例に比べて省エネ効果が得られることが分かる。また、消費流量Fcの比率Fが増加するに従って、本実施の形態による省エネ効果は大きくなる。
【0068】
図8は圧縮空気の消費流量Fcと空気圧縮機1が起動して停止した後に再起動するまでの1周期分の時間(運転周期)との関係を示している。なお、図8は制御定数A,Bはいずれも60に設定した場合を例示している。比較例の場合、消費流量Fcが少ないときには空気圧縮機1が停止する時間が長くなり、消費流量Fcが多いときには、空気圧縮機1が運転する時間が長くなる。このため、消費流量Fc(比率F)が変化するのに従って、運転周期も変化し、特に消費流量Fcが少ないときおよび多いときに運転周期が長くなる傾向がある。このため、比較例の場合には、空気圧縮機1の運転周期が一定しないから、運転時間から適切なメンテナンス時間等を把握することが難しくなる。
【0069】
これに対し、本実施の形態では、空気圧縮機1の運転周期の平均値(平均周期)は、消費流量Fcに関係なく常に一定となる。このため、顧客の消費流量Fcに関係なく、空気圧縮機1の運転時間から適切なメンテナンス時間および寿命を計算することができる。
【0070】
かくして、本実施の形態によれば、制御回路9は、圧力Pの増加率に基づいて、運転中の空気圧縮機1を圧縮停止に切換えたときに、タンク5内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下するまでの停止時間Tbを予測する。そして、制御回路9は、停止時間Tbに現在までの運転時間Taを加算して、この加算時間が時間しきい値Tsに到達したときに、空気圧縮機1を圧縮停止に切換える。このため、運転時間Taと停止時間Tbとを加算した加算時間が一定となるにように空気圧縮機1を制御することができる。これにより、例えば圧縮空気の消費流量が非常に少ない場合や圧縮空気の消費流量が空気圧縮機1の供給流量に近い場合でも、検出圧力値P(t)が圧力上限値Pmaxに到達する前に空気圧縮機1を圧縮停止に切換えることができる。この結果、タンク5内の圧力Pが圧力上限値Pmax付近となった状態で圧縮運転を行う時間を短縮することができ、空気圧縮機1の負荷を軽減して消費電力を低減することができる。
【0071】
また、時間しきい値Tsは電磁開閉器4の切換え回数に基づいて決定したから、メンテナンス時間を寿命となる電磁開閉器4の切換え回数で割った値よりも時間しきい値Tsを大きな値に設定することができる。これにより、電磁開閉器4が寿命となる前に空気圧縮機1のメンテナンスを行うことができ、電磁開閉器4の損傷や故障を未然に防止することができる。
【0072】
さらに、制御回路9は、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との間の誤差時間Erを計測し、誤差時間Erを加算して次回の時間しきい値Tsを補正する。これにより、停止時間Tbの予測誤差が生じても、空気圧縮機1の圧縮運転と圧縮停止の頻度がばらつくことがなく、運転頻度を一定にすることができる。このため、空気圧縮機1の運転頻度に基づいて空気圧縮機1のメンテナンス時期や部品の寿命等を判別するときでも、高精度にメンテナンス時期等を判別することができる。
【0073】
なお、第1の実施の形態では、図3中のステップ23,27が圧縮運転開始手段の具体例を示し、図2中のステップ9が圧力増加率演算手段の具体例を示し、ステップ10,11が停止時間予測手段の具体例を示し、ステップ14〜18が圧縮停止切換手段の具体例を示し、図2、図3中のステップ13,24,25が時間しきい値補正手段の具体例を示している。
【0074】
次に、図9ないし図17は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、圧縮運転する圧縮機の台数を増加、減少させて圧縮空気の吐出容量を制御する制御回路に関して、圧縮機の運転頻度が一定となるように制御する構成としたしたことにある。なお、第2の実施の形態では、タンクに対して個別に圧縮空気を供給する3台の圧縮機を備えた空気圧縮装置を例に挙げて説明する。
【0075】
図9において、11は3台の圧縮機12A〜12C、制御回路22等によって構成された空気圧縮装置を示している。ここで、圧縮機12Aは、駆動源としての電動モータ13Aと、該電動モータ13Aによって駆動される圧縮機本体14Aとによって構成されている。また、他の圧縮機12B,12Cも、圧縮機12Aと同様に、電動モータ13B,13D、圧縮機本体14B,14Cによってそれぞれ構成されている。そして、圧縮機12A〜12Cは、全て同じ供給流量Fs(NL/min)(吐出容量)を有している。
【0076】
また、電動モータ13A〜13Cと電源との間には電磁開閉器15A〜15Cがそれぞれ設けられている。そして、電磁開閉器15A〜15Cは、そのON/OFFに応じて、電動モータ13A〜13Cに対する電力の供給/停止を切換える。これにより、電動モータ13A〜13Cは、電磁開閉器15A〜15Cによって、運転と停止とが切換わる構成となっている。
【0077】
16は圧縮機本体14A〜14Cの吐出側に接続されたタンクで、該タンク16は、圧縮機本体14A〜14Cから吐出された圧縮空気を収集して貯留する。また、タンク16は、吐出配管17A〜17Cを通じて圧縮機本体14A〜14Cに接続されると共に、各吐出配管17A〜17Cの途中には逆止弁18A〜18Cが設けられている。そして、タンク16には、取出し弁19を備えた出力配管20が取付けられている。これにより、タンク16は、出力配管20を介して外部の空圧機器(図示せず)に接続されると共に、取出し弁19を開弁することによって該空圧機器に向けて圧縮空気を供給するものである。
【0078】
21はタンク16に接続された圧力検出手段としての圧力センサで、該圧力センサ21は、タンク16内の圧縮空気の圧力Pを検出し、圧力Pに応じた圧力信号を出力する。
【0079】
22は圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を増加、減少させて空気圧縮装置1の吐出容量を制御する制御手段としての制御回路で、該制御回路22は、圧力センサ21および電磁開閉器15A〜15Cに接続されている。また、制御回路22には、例えば圧縮機本体14A〜14Cが供給する圧縮空気の供給流量Fs(NL/s)、タンク16の容量V(L)、初期時間しきい値T0(s)、タンク16内の圧力下限値Pmin(MPa)と圧力上限値Pmax(MPa)、圧縮空気の温度Tとして通常時の圧縮空気の平均温度等が予め記憶されている。このとき、圧力下限値Pminは、圧縮運転を再開するために予め設定されたタンク16内の圧力値である。一方、圧力上限値Pmaxは、圧縮運転を停止するために予め設定されたタンク16内の圧力値である。さらに、制御回路22は運転タイマ22Aと停止タイマ22Bとを備えている。そして、運転タイマ22Aは、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数が増加する(停止中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台が起動する)毎に増加後の経過時間を運転時間Taとして計測する。一方、停止タイマ22Bは、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数が減少する(運転中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台が停止する)毎に減少後に再度増加するまでの実際の停止時間Tbを計測する。
【0080】
そして、制御回路22は、後述する運転制御処理を行い、タンク16内の圧力Pに基づいて電磁開閉器15A〜15CのON/OFFを制御する。これにより、制御回路22は、電動モータ13A〜13Cの運転と停止とを切換えることによって、圧縮機12A〜12Cの圧縮運転と圧縮停止とを切換え、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を増加、減少させる構成となっている。
【0081】
本実施の形態による空気圧縮装置11は上述の如き構成を有するもので、次に、図9ないし図11を参照しつつ、タンク16の圧力P等に応じて圧縮機12A〜12Cの運転台数を増減させる台数制御処理について説明する。
【0082】
ここで、空気圧縮装置11の制御フェーズS(制御状態)をタンク16の圧力P等に応じて次の3つに分ける。即ち、例えば空気圧縮装置11を最初に起動したときのように、タンク16の圧力Pが圧力下限値Pminよりも低い場合には、制御フェーズSを1とする。タンク16の圧力Pが圧力上限値Pmaxと圧力下限値Pminとの間の値となり、かつ圧力Pが上昇している場合には、制御フェーズSを2とする。タンク16の圧力Pが圧力上限値Pmaxと圧力下限値Pminとの間の値となり、かつ圧力Pが低下している場合には、制御フェーズSを3とする。また、誤差時間Erの初期値は0に設定されているものとする。
【0083】
そして、ステップ41では、制御フェーズSを1に設定する(S=1)。次に、ステップ42では、圧力センサ21からの圧力信号を用いて、一定のサンプリング周期(例えば200ms)で現在のタンク16内の圧力P(t)を計測する。
【0084】
次に、ステップ43では、制御フェーズSが1か否かを判定する。ステップ43で「YES」と判定したときには、ステップ44に移って、タンク16内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも低いか否かを判定する。そして、ステップ44で「YES」と判定したときには、タンク16内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも低下しているから、ステップ45に移って全台の圧縮機12A〜12Cの運転を開始(n=3)した後、後述のステップ72に移行する。
【0085】
一方、ステップ44で「NO」と判定したときには、タンク16内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも上昇しているから、ステップ46に移って制御フェーズSを2に設定する(S=2)。また、ステップ47では、運転タイマ22Aを初期化した後に、スタートさせる。その後、後述のステップ72に移行する。
【0086】
また、ステップ43で「NO」と判定したときには、制御フェーズSは2または3のいずれかであるから、ステップ48に移って、タンク16内の圧力P(t)が単位時間前(例えば1秒前)の圧力P(t-1)よりも高いか否かを判定する。そして、ステップ48で「YES」と判定したときには、タンク16内の圧力P(t)が上昇しているから、制御フェーズSは2に該当するものと考えられる。
【0087】
このため、ステップ49に移って、以下の数7の式に示すように、現在の圧力P(t)と1秒前の圧力P(t-1)との差を演算し、圧力変化値ΔP(MPa/s)を求める。なお、圧力P(t-1)として例えば前回のサンプリングで取得した200ms前の圧力を用いてもよい。この場合、圧力P(t)と圧力P(t-1)との差分をサンプリング周期(200ms)で割ることによって、単位時間(1秒)当たりの圧力変化値ΔP(MPa/s)を求めることができる。但し、サンプリング周期が短い場合には、タンク16内の圧力の変化量が小さくなるため、誤差が生じ易い傾向がある。
【0088】
【数7】
【0089】
また、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させた直後(例えば200ms後)は、圧力P(t)は低下しているにも拘らず、1秒前の圧力P(t-1)よりも高くなる場合がある。この場合、ステップ48で制御フェーズSを誤って判断する可能性がある。このため、本実施の形態では、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させたときには、予め蓄積した1秒前までの圧力のデータを現在の圧力P(t)に書換える。具体的には、例えば後述のステップ60,64で、制御フェーズSを2から3に切換えるときには、予め蓄積した1秒前までの圧力のデータを現在の圧力P(t)に書換える。これにより、ステップ48で制御フェーズSの誤認識が生じるのを防止している。
【0090】
次に、ステップ50では、タンク16から外部に供給されている圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)を演算する。具体的には、以下の数8の式に示すように、例えば理想気体の状態方程式が用いられ、各圧縮機本体14A〜14Cの供給流量Fs(NL/s)、タンク16の容量V(L)、圧力変化値ΔP(MPa/s)、気体定数R、温度T、圧縮機12A〜12Cのうち圧縮運転している台数nに基づいて、圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)が算出される。
【0091】
【数8】
【0092】
次に、ステップ51では、圧縮機12A〜12Cのうち圧縮運転する台数を1台減少させた場合(運転中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台を停止した場合)、現在の圧力P(t)から圧力下限値Pminまで圧力が低下するまでの停止時間Tb(s)を演算する。具体的には、以下の数9の式に示すように、現在の圧力P(t)と圧力下限値Pminとの圧力差(MPa)、タンク16の容量V(L)、気体定数R、温度T、圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)等に基づいて、停止時間Tb(s)が算出される。
【0093】
【数9】
【0094】
次に、ステップ52では、圧縮機12A〜12Cの運転台数が増加してから現在までの運転時間Ta(s)を運転タイマ22Aが計時した値から取得する。
【0095】
次に、ステップ53では、予測した停止時間Tbが負の値(Tb<0)か否かを判定する。ステップ53で「YES」と判定したときには、圧縮機12A〜12Cのうち圧縮運転する台数を1台減少させても、圧縮空気の消費流量Fcに比べて空気圧縮装置11によって供給する圧縮空気の供給流量((n−1)×Fs)が多く、数9の分母の項が負の値となっていると考えられる。このため、ステップ54に移って、圧縮機12A〜12Cのうち圧縮運転する台数を1台減少させ(n=n−1)、後述のステップ72に移行する。
【0096】
一方、ステップ53で「NO」と判定したときには、ステップ55に移って、初期時間しきい値T0に後述の誤差時間Erを加算して、時間しきい値Tsを補正する。これにより、時間しきい値Tsは、予め設定された初期時間しきい値T0に比べて、誤差時間Erの分だけ延長または短縮される。
【0097】
ここで、初期時間しきい値T0(時間しきい値Ts)は、電磁開閉器15A〜15Cの切換え回数に基づいて決定している。具体的には、空気圧縮装置11のメンテナンス時間が予め決められているときには、メンテナンス時間を電磁開閉器15A〜15Cが寿命となるまでの切換え回数で割った値よりも大きな値となるように、初期時間しきい値T0は設定されている。例えば、空気圧縮装置11のメンテナンス時間を20000時間とし、電気的または機械的寿命となる電磁開閉器15A〜15Cの切換え回数が200万回とすると、このメンテナンス時間を切換え回数で割った値は36秒となる。また、3台の圧縮機12A〜12Cは、全台が均等に圧縮運転するように順番に運転、停止を行うから、36秒を3台で分割して12秒となる。さらに、実験的に求めた停止時間Tbの誤差マージン(例えば2秒)を考慮して、初期時間しきい値T0は例えば14秒に設定されている。
【0098】
次に、ステップ56では、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも大きいか否かを判定する。そして、ステップ56で「YES」と判定したときには、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも長時間となっているから、圧縮機12A〜12Cの運転頻度を一定に保つために、現在運転中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台を停止する必要がある。このため、ステップ57で運転タイマ22Aを停止すると共に、運転タイマ22Aをリセットする。そして、ステップ58で電磁開閉器15A〜15Bのうちいずれか1個(例えば、電磁開閉器15A)をOFFに切換えて、電磁開閉器15A〜15Bに接続された電動モータ13A〜13C(例えば、電動モータ13A)を停止する。これにより、現在運転中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台が停止(圧縮停止)し、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数が1台減少する(n=n−1)。ステップ58が終了すると、ステップ59に移って、停止タイマ22Bをリセットした後に、停止タイマ22Bをスタートさせる。その後、ステップ60に移って制御フェーズSを3に設定し(S=3)、圧力Pの蓄積データを書き換えた後に、ステップ72に移行する。
【0099】
一方、ステップ56で「NO」と判定したときには、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも短時間となっているから、圧縮機12A〜12Cの運転頻度の観点では現在運転中の圧縮機12A〜12Cを停止する必要はない。このため、ステップ61に移って現在の圧力P(t)が停止圧としての圧力上限値Pmax以上が否かを判定する。
【0100】
そして、ステップ61で「NO」と判定したときには、現在の圧力P(t)が圧力上限値Pmaxに到達しておらず、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させる必要がないと考えられる。このため、現在の運転状態を維持して、後述のステップ72に移行する。
【0101】
一方、ステップ61で「YES」と判定したときには、現在の圧力P(t)が圧力上限値Pmax以上に高圧になっており、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cを全て圧縮停止に切換える必要があると考えられる。このため、ステップ62〜64の処理を行い、圧縮機12A〜12Cを全て停止し、停止タイマ22Bの初期化およびスタートを行い、制御フェーズSを3に設定し(S=3)、圧力Pの蓄積データを書き換える。その後、ステップ72に移行する。
【0102】
また、ステップ48で「NO」と判定したときには、タンク16内の圧力P(t)が下降しているから、制御フェーズSは3に該当するものと考えられる。このため、ステップ65に移って、タンク16内の圧力P(t)が復帰圧としての圧力下限値Pminよりも低下したか否かを判定する。そして、ステップ65で「NO」と判定したときには、圧力P(t)は圧力下限値Pminよりも高く、タンク16に圧縮空気を補充する必要はないものと考えられる。このため、そのまま後述のステップ72に移行する。
【0103】
一方、ステップ65で「YES」と判定したときには、圧力P(t)は圧力下限値Pminよりも低下して、タンク16内の圧縮空気が不足しているものと考えられる。このため、ステップ66に移って圧縮機12A〜12Cの運転台数を1台減少させてから現在までに実際に経過した停止時間Tb′(s)を停止タイマ22Bが計時した値から取得する。
【0104】
次に、ステップ67では、ステップ51で予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との差である誤差時間Erを演算する。具体的には、前述した数4の式に示すように、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との差に基づいて、誤差時間Erを演算する。
【0105】
次に、ステップ68では停止タイマ22Bを停止して、初期化する。そして、ステップ69では、電磁開閉器15A〜15Cのうちいずれか1個(例えば、電磁開閉器15B)をONに切換えて、電磁開閉器15A〜15Cに接続された電動モータ13A〜13C(例えば、電動モータ13B)を駆動する。これにより、現在停止中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台が起動し、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数が1台増加する(n=n+1)。そして、ステップ70では、運転タイマ22Aを初期化した後に、スタートさせる。その後、ステップ71では、制御フェーズSを2に設定し、ステップ72に移行する。
【0106】
ステップ72では、制御回路22に接続して設けられた停止スイッチ(図示せず)がONとなっているか否かを判定する。そして、ステップ72で「NO」と判定したときには、ステップ42以降の処理を繰り返す。
【0107】
一方、ステップ72で「YES」と判定したときには、停止スイッチがONとなっているから、ステップ73に移って電磁開閉器15A〜15Cを全てOFFに切換えて電動モータ13A〜13Cを停止して、圧縮機12A〜12Cの圧縮運転を全て停止する。
【0108】
次に、本実施の形態による運転制御処理を用いて空気圧縮装置11を制御し、このときのタンク16内の圧力Pの時間変化を調べた。その結果を図12ないし図15に示す。
【0109】
図12は圧縮空気の消費流量Fcが空気圧縮装置11の最大供給流量(3×Fs)の1/3よりも少ない場合を示している。この場合、3台の圧縮機12A〜12Cのうち1台が圧縮運転すれば、消費流量Fcを満たすことができる。このため、タンク16内の圧力Pを上昇させるときには、圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台(例えば圧縮機12A)を起動する。このとき、例えば圧縮機12Aが起動している間は、圧縮機12B,12Cは停止する。そして、圧縮機12Aが停止した後にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下すると、圧縮機12Bが起動する。これにより、圧縮機12A〜12Cは順番に(サイクリックに)起動と停止を繰り返す。
【0110】
図13は圧縮空気の消費流量Fcが空気圧縮装置11の最大供給流量(3×Fs)の1/3よりも多く、2/3よりも少ない場合を示している。この場合、3台の圧縮機12A〜12Cのうち2台が圧縮運転すれば、消費流量Fcを満たすことができる。このため、タンク16内の圧力Pを上昇させるときには、圧縮機12A〜12Cのうちいずれか2台(例えば圧縮機12A,12B)を起動する。このとき、例えば圧縮機12A,12Bが起動している間は、圧縮機12Cは停止する。そして、圧縮機12Aが停止した後にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下すると、圧縮機12Cが起動する。これにより、圧縮機12A〜12Cは順番に起動と停止を繰り返す。
【0111】
図14は圧縮空気の消費流量Fcが空気圧縮装置11の最大供給流量(3×Fs)の2/3よりも多く、3/3よりも少ない場合を示している。この場合、3台の圧縮機12A〜12Cのうち3台全てが圧縮運転すれば、消費流量Fcを満たすことができる。このため、タンク16内の圧力Pを上昇させるときには、圧縮機12A〜12Cの全てを起動する。そして、圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させるときには、圧縮機12A〜12Cうちいずれか1台(例えば圧縮機12A)を停止する。圧縮機12Aが停止した後にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下すると、再び圧縮機12Aが起動し、次に圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させるときには、圧縮機12Aとは異なる圧縮機12Bを停止する。これにより、圧縮機12A〜12Cは順番に起動と停止を繰り返す。
【0112】
また、図9ないし図11に示すように、本実施の形態による運転制御処理では、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも短時間となるように、圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させる。これにより、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間は時間しきい値Tsとほぼ同じ値で一定となる。このため、圧力Pの増加率が小さいときでも、圧力Pが圧力上限値Pmaxに到達する前に圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させることができる。この結果、全体的に圧力Pが低い領域、即ち消費電力が少ない領域で圧縮運転を行うことができる。
【0113】
さらに、各圧縮機12A〜12Cは、時間しきい値Tsの3倍の時間を1周期として、起動と停止を繰り返す。このため、各圧縮機12A〜12Cの運転頻度も均一で、かつ一定となる。
【0114】
また、例えば図15に示すように、タンク16の圧力Pが低下している途中で、圧縮空気の消費量が増加した場合には、制御回路22によって予測した停止時間Tbが経過する以前にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下する。この場合、圧縮機12A〜12Cの運転台数が減少していた時間(実際の停止時間Tb′)が予測した停止時間Tbよりも短時間となるから、時間しきい値Ts(初期時間しきい値T0)によって設定した運転頻度よりも圧縮機12A〜12Cの運転頻度が高くなる傾向がある。
【0115】
これに対し、本実施の形態では、圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させた後に、予測した停止時間Tbが経過するよりも前にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下した場合には、制御回路22は、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との間の誤差時間Erを計測し、初期時間しきい値T0と誤差時間Erとを加算して、次回の時間しきい値Tsを補正する。これにより、予測した停止時間Tbよりも実際の停止時間Tb′が短時間となるときでも、次回の時間しきい値Tsを誤差時間Erの分だけ延長することができ、圧縮機12A〜12Cの運転頻度をほぼ一定に保つことができる。
【0116】
次に、従来技術と同様な比較例による制御処理と、本実施の形態による運転制御処理とを比較した。その結果を図16および図17に示す。なお、図16および図17中の実線は、本実施の形態による運転制御処理を行った場合を示している。一方、図16および図17中の点線は、比較例による制御処理として、特許文献1と同様に、圧力下限値Pminに到達すると圧縮機の運転台数を増加し、圧力上限値Pmax付近に近付くと圧縮機の運転台数を減少させる場合を示している。
【0117】
図16は圧縮空気の消費流量Fcと空気圧縮機1の消費電力との関係を示している。なお、図16は圧力と電力が一次比例する場合を例示している。この場合、比較例による制御処理を用いた場合、消費流量Fcが供給流量Fsの倍数に近付くのに比例して、消費電力Pow1も増大する。これに対し、本実施の形態による運転制御処理を用いた場合、比較例に比べて、消費流量Fcの比率Fの全範囲に亘って消費電力Pow2が低くなる。この結果、消費電力Pow1と消費電力Pow2との差の分(図16中の斜線部分)だけ、本実施の形態では、比較例に比べて省エネ効果が得られることが分かる。
【0118】
図17は圧縮空気の消費流量Fcと圧縮機12A〜12Cの運転台数が増加して減少した後に再び増加するまでの1周期分の時間(運転周期)との関係を示している。比較例の場合、消費流量Fcが供給流量Fsの倍数付近となるときに、運転周期が長くなる。このため、消費流量Fc(比率F)が変化するのに従って、運転周期も変化する。このため、比較例の場合には、圧縮機12A〜12Cの運転周期が一定しないから、運転時間から適切なメンテナンス時間等を把握することが難しくなる。
【0119】
これに対し、本実施の形態では、圧縮機12A〜12Cの運転周期の平均値(平均周期)は、消費流量Fcに関係なく常に一定となる。このため、顧客の消費流量Fcに関係なく、空気圧縮装置11の運転時間から適切なメンテナンス時間および寿命を計算することができる。
【0120】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、制御回路22は、圧力Pの増加率に基づいて、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させたときに、タンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下するまでの停止時間Tbを予測する。そして、制御回路22は、予測した停止時間Tbに現在までの運転時間Taを加算して、この加算時間が所定の時間しきい値Tsに到達したときに、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させる。このため、運転時間Taと停止時間Tbとを加算した加算時間が一定となるように、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を制御することができる。
【0121】
これにより、例えば圧縮空気の消費流量Fcが非常に少ない場合や圧縮空気の消費流量Fcが圧縮機12A〜12Cの供給流量Fsに近い場合でも、圧力Pが圧力上限値Pmaxに到達する前に圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させることができる。この結果、タンク16内の圧力Pが圧力上限値Pmax付近となった状態で圧縮運転を行う時間を短縮することができ、圧縮機12A〜12Cの負荷を軽減して消費電力を低減することができる。また、圧縮機12A〜12Cの運転台数を増減させることによって、複数台の圧縮機12A〜12Cによる吐出容量の時間平均値を制御することができる。
【0122】
さらに、圧縮空気の消費流量Fcによらず、各圧縮機12A〜12Cが圧縮運転を開始した後に、再度圧縮運転を開始するまでの運転周期(運転頻度)をほぼ一定にすることができる。このため、圧縮機12A〜12Cの運転頻度に基づいて、圧縮機12A〜12Cのメンテナンス時期や部品の寿命等を容易に判別することができる。
【0123】
また、例えば圧縮空気の消費流量が変化したとき等には、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させた後に、予測した停止時間Tbが経過するよりも前にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下することがある。この場合、制御回路22は、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との間の誤差時間Erを計測し、例えば誤差時間Erを加算して次回の時間しきい値Tsを補正することができる。これにより、停止時間Tbの予測誤差が生じても、圧縮機12A〜12Cの圧縮運転と圧縮停止の頻度がばらつくことがなく、運転頻度を一定にすることができる。このため、圧縮機12A〜12Cの運転頻度に基づいて圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を判別するときでも、高精度にメンテナンス時期等を判別することができる。
【0124】
なお、第2の実施の形態では、図11中のステップ65,69が運転台数増加手段の具体例を示し、図10中のステップ49が圧力増加率演算手段の具体例を示し、ステップ50,51が停止時間予測手段の具体例を示し、図11中のステップ56〜60が運転台数減少手段の具体例を示し、ステップ55,66,67が時間しきい値補正手段の具体例を示している。
【0125】
次に、図18ないし図21は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、制御回路は、運転時間が規定時間よりも短いときには圧縮運転する圧縮機の台数を維持する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第2の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0126】
図18において、31は第3の実施の形態による空気圧縮装置を示し、該空気圧縮装置31は、第2の実施の形態による空気圧縮装置11とほぼ同様に、3台の圧縮機12A〜12C、制御回路32等を用いて構成されている。また、制御回路32(制御手段)は、第2の実施の形態による制御回路22とほぼ同様に構成され、運転タイマ32Aおよび停止タイマ32Bを備えている。但し、制御回路32は、運転制御処理の一部が制御回路22とは異なっている。
【0127】
具体的には、制御回路32による運転制御処理では、図19に示すように、ステップ56とステップ57との間に、運転時間Taが予め決められた規定時間Cよりも短時間(Ta<C)か否かを判定するステップ81が設けられている。そして、ステップ81で「YES」と判定したときには、運転時間Taが規定時間Cよりも短時間となっている。このため、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも長時間となったときでも、圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させる処理等(ステップ57〜60)を行わず、そのままステップ72に移行する。
【0128】
一方、ステップ81で「NO」と判定したときには、運転時間Taが規定時間Cよりも長時間となっている。このため、第2の実施の形態と同様に、ステップ57〜60の処理を行い、圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させる。
【0129】
ここで、規定時間Cは、例えば圧縮機12A〜12Cの運転台数を増加させるときに発生する突入電流と消費電力との関係に基づいて設定されている。突入電流は、通常(定常時)に電動モータ13A〜13Cに供給する駆動電流に比べて、数倍程度大きな電流となる(図20参照)。一方、圧縮空気の消費流量Fcが非常に少ない場合(例えば10%以下)や、供給流量Fsの倍数を僅かに超える場合(例えば34〜44%、67〜77%)には、圧縮機12A〜12Cの運転台数を増加させても、直ぐに運転台数を減少させることになる。この場合、消費電力に対する突入電流の影響が大きくなり、圧縮機12A〜12Cの運転を継続した場合に比べて、消費電力が増加する(図21参照)。そこで、本実施の形態では、規定時間Cは、突入電流に基づく消費電力の増大を防止するために設定されたものであり、運転時間Taの最低限の継続時間となっている。これにより、運転時間Taを規定時間C以上に確保することができ、消費電力に対する突入電流の影響を軽減することができる。
【0130】
なお、ステップ81を除いた他の処理部分(ステップ41〜73)は第2の実施の形態による運転制御処理と同一である。
【0131】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、制御回路32は、運転時間Taが規定時間Cよりも短いときには圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を維持する。これにより、運転時間Taが規定時間Cよりも短時間となる場合には、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間(圧縮機12A〜12Cの運転周期)は、時間しきい値Tsよりも長くなるものの、突入電流による消費電力の増大や電磁開閉器の損傷を防止することができる。
【0132】
なお、第3の実施の形態では、図19中のステップ56〜60およびステップ81が運転台数減少手段の具体例を示している。
【0133】
また、第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、圧縮機12A〜12Cの運転台数を増加、減少させる制御回路32に対して、運転時間Taを規定時間Cよりも長時間確保する構成を適用するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第1の実施の形態と同様に、1台の圧縮機を起動、停止させる制御回路に対して、運転時間Taを規定時間Cよりも長時間確保する構成を適用する構成としてもよい。この場合、例えば図2中の運転制御処理のうちステップ14とステップ15との間に、第3の実施の形態によるステップ81と同様に、運転時間Taが予め決められた規定時間Cよりも短時間(Ta<C)か否かを判定する処理を設ける。そして、運転時間Taが規定時間Cよりも短いときには、そのまま圧縮機1の運転を継続してステップ30に移行し、運転時間Taが規定時間Cよりも長いときには、ステップ15〜18の処理を行い、圧縮機1を停止するものである。
【0134】
また、前記第2,第3の実施の形態による空気圧縮装置では、3台の圧縮機12A〜12Cを備える構成としたが、2台の圧縮機を備える構成としてもよく、4台以上の圧縮機を備える構成としてもよい。
【0135】
また、前記各実施の形態では、初期時間しきい値T0(時間しきい値Ts)は電磁開閉器4,15A〜15Cの切換え回数の寿命および空気圧縮機1,12A〜12Cのメンテナンス時間に基づいて決定するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、時間しきい値は、圧縮機を起動するときの突入電流、電動モータのON/OFF頻度、寿命、故障率および空気圧縮装置のメンテナンス時間(メンテナンス周期)に基づいて決定する構成としてもよい。
【0136】
また、前記各実施の形態による空気圧縮装置では、消費流量Fc、停止時間Tbの演算に用いる圧縮空気の温度Tは、通常時の圧縮空気の平均温度等によって予め設定しておくものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばタンクに圧縮空気の温度を検出する温度センサを設け、該温度センサの検出温度を用いて消費流量Fc、停止時間Tbを演算する構成としてもよい。
【0137】
また、前記各実施の形態では、圧縮機本体3,14A〜14C(電動モータ2,13A〜13C)を駆動して圧縮運転を行い、圧縮機本体3,14A〜14Cを停止して圧縮停止する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばレシプロ型のようにアンロード運転が可能な圧縮機においては、ロード運転を行って圧縮運転を行い、アンロード運転を行って圧縮停止する構成としてもよい。
【0138】
さらに、前記各実施の形態では、圧縮空気を吐出する圧縮機1,12A〜12Cに適用するものとしたが、例えば冷媒を圧縮する冷媒圧縮機等のように、他の圧縮流体を吐出する圧縮機に適用してもよく、圧縮機として液体等の流体ポンプに適用する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の第1の実施の形態による空気圧縮機を示す全体構成図である。
【図2】図1中の空気圧縮機に用いる運転制御処理を示す流れ図である。
【図3】運転制御処理を示す図2に続く流れ図である。
【図4】圧縮停止に切換えたときの圧力のデータの書換えを示す説明図である。
【図5】消費流量の比率、タンク内の圧力、圧縮機のON/OFF、タイマ動作の時間変化を示す特性線図である。
【図6】消費流量の比率と圧縮機の停止圧力との関係を示す特性線図である。
【図7】消費流量の比率と消費電力との関係を示す特性線図である。
【図8】消費流量の比率と圧縮機の運転周期との関係を示す特性線図である。
【図9】第2の実施の形態による空気圧縮装置を示す全体構成図である。
【図10】図9中の空気圧縮装置に用いる運転制御処理を示す流れ図である。
【図11】運転制御処理を示す図10に続く流れ図である。
【図12】消費流量の比率が1/3よりも小さい場合に、タンク内の圧力、圧縮機のON/OFF、タイマ動作の時間変化を示す特性線図である。
【図13】消費流量の比率が1/3から2/3の間にある場合に、タンク内の圧力、圧縮機のON/OFF、タイマ動作の時間変化を示す特性線図である。
【図14】消費流量の比率が2/3から3/3の間にある場合に、タンク内の圧力、圧縮機のON/OFF、タイマ動作の時間変化を示す特性線図である。
【図15】消費流量の比率が途中で変化した場合に、タンク内の圧力、圧縮機のON/OFF、タイマ動作の時間変化を示す特性線図である。
【図16】消費流量の比率と消費電力との関係を示す特性線図である。
【図17】消費流量の比率と圧縮機の運転周期との関係を示す特性線図である。
【図18】第3の実施の形態による空気圧縮装置を示す全体構成図である。
【図19】図18中の空気圧縮装置に用いる運転制御処理を示す図11と同様な流れ図である。
【図20】電動モータの駆動電流の時間変化を示す特性線図である。
【図21】消費流量の比率と消費電力、運転周期との関係を示す特性線図である。
【符号の説明】
【0140】
1 空気圧縮機
2,13A〜13C 電動モータ
3,14A〜14C 圧縮機本体
4,15A〜15C 電磁開閉器
5,16 タンク
8,21 圧力センサ(圧力検出手段)
9,22,32 制御回路(制御手段)
9A,22A,32A 運転タイマ
9B,22B,32B 停止タイマ
11,31 空気圧縮装置
12A〜12C 圧縮機
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタンクに対して圧縮空気等の圧縮流体を供給する圧縮機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧縮機による圧縮空気を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を計測する圧力センサと、圧力センサによる圧力検出値に基づいて圧縮機を制御する制御回路を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、制御回路は、圧力検出値が圧力上限値よりも高くなったときに圧縮機の圧縮運転を停止(圧縮停止)し、圧力検出値が圧力下限値よりも低くなったときに圧縮機の圧縮運転を再開する構成となっていた。これにより、タンク内の圧力に応じて圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換えて、タンク内の圧力を調整していた。
【0003】
【特許文献1】特開2007-120497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来技術では、タンク内の圧力検出値と制御圧力値(圧力上限値、圧力下限値)とを比較して圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを制御していた。このため、例えば圧縮空気の消費流量が非常に少ないにも拘らず、検出圧力値が圧力下限値まで低下すると、圧力上限値に到達するまで圧縮運転を行うことになり、無駄な電力を消費していた。
【0005】
また、特許文献1には、タンク内の圧力変化に基づいて圧力検出値が圧力上限値に到達するまでの時間を予測すると共に、この予測した時間と予め設定された時間しきい値とを比較して、圧縮機の運転/停止を制御する構成が開示されている。しかし、この従来技術では、圧縮空気の消費流量と圧縮機が供給する供給流量とが近い場合には、タンク内の圧力変化が小さくなることから、圧力検出値が圧力上限値付近に到達するまで圧縮機を停止することができず、消費電力を低減する効果(省エネ効果)が得られないという問題がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、圧縮機の運転頻度が一定となるように制御し、消費電力を低減することができる圧縮機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、流体を圧縮して吐出する圧縮機と、該圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、前記圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換え制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、前記制御手段は、前記圧縮機の稼動時間内で複数回繰り返される圧縮運転と圧縮停止の運転周期の平均周期が所定の時間しきい値に収束するように制御することを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、流体を圧縮して吐出する圧縮機と、該圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、前記圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換え制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、前記制御手段は、前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力が所定の圧力下限値まで低下したときに、前記圧縮機の圧縮運転を開始する圧縮運転開始手段と、前記圧縮機の圧縮運転中に前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力の単位時間当たりの増加率を演算する圧力増加率演算手段と、該圧力増加率演算手段によって演算した圧力の増加率に基づいて、現在の前記圧縮機を圧縮停止に切換えたときに、前記タンク内の圧力が前記圧力下限値まで低下するまでの停止時間を予測する停止時間予測手段と、該停止時間予測手段によって予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、前記圧縮機を圧縮停止に切換える圧縮停止切換手段と、前記停止時間予測手段によって予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、該誤差時間を用いて次回の時間しきい値を補正する時間しきい値補正手段とを備える構成としたことを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、流体を圧縮して吐出する複数台の圧縮機と、該複数台の圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、圧縮運転する前記圧縮機の台数を増加、減少させて運転台数を制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、前記制御手段は、前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力が所定の圧力下限値まで低下したときに、圧縮運転する圧縮機の台数を増加させる運転台数増加手段と、前記圧縮機の圧縮運転中に前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力の単位時間当たりの増加率を演算する圧力増加率演算手段と、該圧力増加率演算手段によって演算した圧力の増加率に基づいて、現在の圧縮運転する圧縮機の台数を減少させたときに、前記タンク内の圧力が前記圧力下限値まで低下するまでの停止時間を予測する停止時間予測手段と、該停止時間予測手段によって予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、圧縮運転する圧縮機の台数を減少させる運転台数減少手段と、前記停止時間予測手段によって予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、該誤差時間を用いて次回の時間しきい値を補正する時間しきい値補正手段とを備える構成としたことを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明では、前記圧縮機は、駆動源となる電動モータと、該電動モータの運転と停止を切換える電磁開閉器とを備え、前記時間しきい値は、該電磁開閉器の切換え回数に基づいて決定する構成としている。
【0011】
請求項5の発明では、前記圧縮停止切換手段は、前記時間しきい値よりも短時間の規定時間と前記運転時間とを比較し、前記運転時間が規定時間よりも短いときには前記圧縮機の圧縮運転を継続し、前記運転時間が規定時間を越えたときには前記加算時間に基づいて前記圧縮機を圧縮停止に切換える構成としている。
【0012】
請求項6の発明では、前記運転台数減少手段は、前記時間しきい値よりも短時間の規定時間と前記運転時間とを比較し、前記運転時間が規定時間よりも短いときには圧縮運転する圧縮機の台数を維持し、前記運転時間が規定時間を越えたときには前記加算時間に基づいて圧縮運転する圧縮機の台数を減少させる構成としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、制御手段は、圧縮機の稼動時間内で圧縮運転と圧縮停止とが複数回繰り返されるときには、圧縮運転と圧縮停止からなる運転周期の平均周期(平均時間)が所定の時間しきい値に収束するように制御する。これにより、例えば圧縮流体の消費流量が非常に少ない場合や圧縮流体の消費流量が圧縮機の供給流量に近い場合でも、検出圧力値が圧力上限値に到達する前に圧縮機を圧縮停止に切換えることができる。この結果、タンク内の圧力が圧力上限値付近となった状態で圧縮運転を行う時間を短縮することができ、圧縮機の負荷を軽減して消費電力を低減することができる。また、運転周期(運転頻度)の平均値をほぼ一定にすることができるから、圧縮機の運転頻度に基づいて、圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を容易に判別することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、停止時間予測手段は、圧力の増加率に基づいて、運転中の圧縮機を圧縮停止に切換えたときに、タンク内の圧力が圧力下限値(運転再開する圧力値)まで低下するまでの停止時間を予測する。そして、圧縮停止切換手段は、予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、圧縮機を圧縮停止に切換える。このため、運転時間と停止時間とを加算した加算時間が一定となるように圧縮機を制御することができる。これにより、例えば圧縮流体の消費流量が非常に少ない場合や圧縮流体の消費流量が圧縮機の供給流量に近い場合でも、検出圧力値が圧力上限値に到達する前に圧縮機を圧縮停止に切換えることができる。この結果、タンク内の圧力が圧力上限値付近となった状態で圧縮運転を行う時間を短縮することができ、圧縮機の負荷を軽減して消費電力を低減することができる。
【0015】
また、本発明では、圧縮流体の消費流量によらず、圧縮機が圧縮運転を開始した後に、再度圧縮運転を開始するまでの運転周期(運転頻度)をほぼ一定にすることができる。このため、圧縮機の運転頻度に基づいて、圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を容易に判別することができる。
【0016】
また、例えば圧縮停止切換手段によって圧縮機を圧縮停止に切換えた後に圧縮流体の消費量が増えたとき等には、予測した停止時間が経過するよりも前にタンク内の圧力が圧力下限値まで低下することがある。この場合、時間しきい値補正手段は、予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、例えば誤差時間を加算して次回の時間しきい値を補正することができる。これにより、停止時間の予測誤差が生じても、圧縮機の圧縮運転と圧縮停止の頻度がばらつくことがなく、運転頻度を一定にすることができる。このため、圧縮機の運転頻度に基づいて圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を判別するときでも、高精度にメンテナンス時期等を判別することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、停止時間予測手段は、圧力の増加率に基づいて、圧縮運転する圧縮機の台数を減少させたときに、タンク内の圧力が圧力下限値(運転再開する圧力値)まで低下するまでの停止時間を予測する。そして、運転台数減少手段は、予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、圧縮運転する圧縮機の台数を減少させる。このため、運転時間と停止時間とを加算した加算時間が一定となるように、圧縮運転する圧縮機の台数を制御することができる。
【0018】
これにより、例えば圧縮流体の消費流量が非常に少ない場合や圧縮流体の消費流量が圧縮機の供給流量に近い場合でも、検出圧力値が圧力上限値に到達する前に圧縮運転する圧縮機の台数を減少させることができる。この結果、タンク内の圧力が圧力上限値付近となった状態で圧縮運転を行う時間を短縮することができ、圧縮機の負荷を軽減して消費電力を低減することができる。また、圧縮機の運転台数を増減させることによって、複数台の圧縮機による吐出容量の時間平均値を制御することができる。
【0019】
また、本発明では、圧縮流体の消費流量によらず、圧縮機が圧縮運転を開始した後に、再度圧縮運転を開始するまでの運転周期(運転頻度)をほぼ一定にすることができる。このため、圧縮機の運転頻度に基づいて、圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を容易に判別することができる。
【0020】
また、例えば運転台数減少手段によって圧縮運転する圧縮機の台数を減少させた後に圧縮流体の消費量が増えたとき等には、予測した停止時間が経過するよりも前にタンク内の圧力が圧力下限値まで低下することがある。この場合、時間しきい値補正手段は、予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、例えば誤差時間を加算して次回の時間しきい値を補正することができる。これにより、停止時間の予測誤差が生じても、圧縮機の圧縮運転と圧縮停止の頻度がばらつくことがなく、運転頻度を一定にすることができる。このため、圧縮機の運転頻度に基づいて圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を判別するときでも、高精度にメンテナンス時期等を判別することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、時間しきい値は電磁開閉器の切換え回数に基づいて決定している。ここで、本発明では、圧縮流体の消費流量によらず、圧縮機が圧縮運転を開始した後に、再度圧縮運転を開始するまでの運転周期(起動頻度)をほぼ一定にする。一方、電磁開閉器の電気的または機械的な寿命は、一般的に電磁開閉器の切換え回数によって決まる。このため、例えば圧縮機のメンテナンス時間が予め決められているときには、メンテナンス時間を寿命までの切換え回数で割った値よりも圧縮機の運転周期を長くするのが好ましい。これにより、電磁開閉器が寿命となる前に圧縮機のメンテナンスを行うことができ、電磁開閉器の損傷や故障を未然に防止することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、圧縮停止切換手段は、運転時間と規定時間とを比較して圧縮機の圧縮運転を継続するか否かを決定する。ここで、電磁開閉器による給電の切換えに基づいて圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換える場合には、圧縮機の起動時(圧縮停止から圧縮運転への切換時)に突入電流が発生すると共に、この突入電流は通常(定常時)の駆動電流よりも大きくなる傾向がある。このため、例えば圧縮流体の消費流量が非常に少ないときのように、圧縮機の運転時間が短時間となる場合には、時間しきい値のみに基づいて圧縮機を圧縮停止に切換えると、突入電流の影響によって消費電力の増大や電磁開閉器の損傷が生じることがある。これに対し、本発明では、圧縮停止切換手段は、運転時間が規定時間よりも短いときには圧縮機の圧縮運転を継続する。これにより、運転時間と停止時間との加算時間(圧縮機の運転周期)は時間しきい値よりも長くなるものの、突入電流による消費電力の増大や電磁開閉器の損傷を防止することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、運転台数減少手段は、運転時間と規定時間とを比較して圧縮運転する圧縮機の台数を維持するか否かを決定する。ここで、電磁開閉器による給電の切換えに基づいて圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換えて、圧縮機の運転台数を増加、減少させる場合には、圧縮機の起動時(圧縮停止から圧縮運転への切換時)に突入電流が発生すると共に、この突入電流は通常(定常時)の駆動電流よりも大きくなる傾向がある。このため、例えば圧縮流体の消費流量が非常に少ないときのように、圧縮機の運転時間が短時間となる場合には、時間しきい値のみに基づいて圧縮機を圧縮停止に切換えると、突入電流の影響によって消費電力の増大や電磁開閉器の損傷が生じることがある。これに対し、本発明では、運転台数減少手段は、運転時間が規定時間よりも短いときには圧縮運転する圧縮機の台数を維持する。これにより、運転時間と停止時間との加算時間(圧縮機の運転周期)は時間しきい値よりも長くなるものの、突入電流による消費電力の増大や電磁開閉器の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態による圧縮機として圧縮空気を吐出する空気圧縮機を例に挙げて、添付図面に従って詳細に説明する。
【0025】
まず、図1ないし図8は第1の実施の形態を示している。図1において、1は空気を圧縮して吐出する空気圧縮機を示し、空気圧縮機1は、駆動源としての電動モータ2と、該電動モータ2によって駆動される圧縮機本体3とを備えている。ここで、圧縮機本体3は、例えばレシプロ型、スクリュウ型、スクロール型等の各種の圧縮機構によって構成されている。
【0026】
また、電動モータ2と電源との間には電磁開閉器4が設けられている。そして、電磁開閉器4は、そのON/OFFに応じて、電動モータ2に対する電力の供給/停止を切換える。これにより、電動モータ2は、電磁開閉器4によって、運転と停止とが切換わる構成となっている。
【0027】
5は圧縮機本体3の吐出側に接続されたタンクで、該タンク5は、圧縮機本体3から吐出された圧縮空気を貯留する。また、タンク5には、取出し弁6を備えた出力配管7が取付けられている。これにより、タンク5は、出力配管7を介して外部の空圧機器(図示せず)に接続されると共に、取出し弁6を開弁することによって該空圧機器に向けて圧縮空気を供給するものである。
【0028】
8はタンク5に接続された圧力検出手段としての圧力センサで、該圧力センサ8は、タンク5内の圧縮空気の圧力Pを検出し、圧力Pに応じた圧力信号を出力する。
【0029】
9は空気圧縮機1の圧縮運転と圧縮停止とを切換えて空気圧縮機1の吐出容量を制御する制御手段としての制御回路で、該制御回路9は、圧力センサ8および電磁開閉器4に接続されている。また、制御回路9には、例えば圧縮機本体3が供給する圧縮空気の供給流量Fs(NL/s)、タンク5の容量V(L)、初期時間しきい値T0(s)、タンク5内の圧力下限値Pmin(MPa)と圧力上限値Pmax(MPa)、圧縮空気の温度Tとして通常時の圧縮空気の平均温度等が予め記憶されている。このとき、圧力下限値Pminは、圧縮運転を再開するために予め設定されたタンク5内の圧力値である。一方、圧力上限値Pmaxは、圧縮運転を停止するために予め設定されたタンク5内の圧力値である。さらに、制御回路9は運転タイマ9Aと停止タイマ9Bとを備えている。そして、運転タイマ9Aは、空気圧縮機1が起動する毎に起動開始からの運転時間Taを計測する。一方、停止タイマ9Bは、空気圧縮機1が停止する毎に停止から再起動するまでの実際の停止時間Tbを計測する。
【0030】
そして、制御回路9は、後述する運転制御処理を行い、タンク5内の圧力Pに基づいて電磁開閉器4のON/OFFを制御する。これにより、制御回路9は、電動モータ2の運転と停止とを切換えることによって、空気圧縮機1の圧縮運転と圧縮停止とを切換える構成となっている。
【0031】
本実施の形態による空気圧縮機1は上述の如き構成を有するもので、次に、図1ないし図4を参照しつつ、タンク5の圧力P等に応じて圧縮運転と圧縮停止とを切換える運転制御処理について説明する。
【0032】
ここで、空気圧縮機1の制御フェーズS(制御状態)をタンク5の圧力P等に応じて次の3つに分ける。即ち、例えば空気圧縮機1を最初に起動したときのように、タンク5の圧力Pが圧力下限値Pminよりも低い場合には、制御フェーズSを1とする。タンク5の圧力Pが圧力上限値Pmaxと圧力下限値Pminとの間の値となり、かつ空気圧縮機1が運転している場合には、制御フェーズSを2とする。タンク5の圧力Pが圧力上限値Pmaxと圧力下限値Pminとの間の値となり、かつ空気圧縮機1が停止している場合には、制御フェーズSを3とする。また、誤差時間Erの初期値は0に設定されているものとする。
【0033】
そして、ステップ1では、制御フェーズSを1に設定する(S=1)。次に、ステップ2では、圧力センサ8からの圧力信号を用いて、一定のサンプリング周期(例えば200ms)で現在のタンク5内の圧力P(t)を計測する。
【0034】
次に、ステップ3では、制御フェーズSが1か否かを判定する。ステップ3で「YES」と判定したときには、ステップ4に移って、タンク5内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも低いか否かを判定する。そして、ステップ4で「YES」と判定したときには、タンク5内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも低下しているから、ステップ5に移って圧縮機1の運転を開始した後、後述のステップ30に移行する。
【0035】
一方、ステップ4で「NO」と判定したときには、タンク5内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも上昇しているから、ステップ6に移って制御フェーズSを2に設定する(S=2)。また、ステップ7では、運転タイマ9Aを初期化した後に、スタートさせる。その後、後述のステップ30に移行する。
【0036】
また、ステップ3で「NO」と判定したときには、制御フェーズSは2または3のいずれかであるから、ステップ8に移って、タンク5内の圧力P(t)が単位時間前(例えば1秒前)の圧力P(t-1)よりも高いか否かを判定する。そして、ステップ8で「YES」と判定したときには、タンク5内の圧力P(t)が上昇しているから、制御フェーズSは2に該当するものと考えられる。
【0037】
このため、ステップ9に移って、以下の数1の式に示すように、現在の圧力P(t)と1秒前の圧力P(t-1)との差を演算し、圧力変化値ΔP(MPa/s)を求める。なお、圧力P(t-1)として例えば前回のサンプリングで取得した200ms前の圧力を用いてもよい。この場合、圧力P(t)と圧力P(t-1)との差分をサンプリング周期(200ms)で割ることによって、単位時間(1秒)当たりの圧力変化値ΔP(MPa/s)を求めることができる。但し、サンプリング周期が短い場合には、タンク5内の圧力の変化量が小さくなるため、誤差が生じ易い傾向がある。
【0038】
【数1】
【0039】
また、圧縮機1の圧縮運転を停止した直後(例えば200ms後)は、圧力P(t)は低下しているにも拘らず、1秒前の圧力P(t-1)よりも高くなる場合がある。この場合、ステップ8で制御フェーズSを誤って判断する可能性がある。このため、本実施の形態では、図4に示すように、圧縮機1の圧縮運転を停止したときには、予め蓄積した1秒前までの圧力のデータを現在の圧力P(t)に書換える。具体的には、例えば後述のステップ18,22で、制御フェーズSを2から3に切換えるときには、予め蓄積した1秒前までの圧力のデータを現在の圧力P(t)に書換える。これにより、ステップ8で制御フェーズSの誤認識が生じるのを防止している。
【0040】
次に、ステップ10では、タンク5から外部に供給されている圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)を演算する。具体的には、以下の数2の式に示すように、例えば理想気体の状態方程式が用いられ、圧縮機本体3の供給流量Fs(NL/s)、タンク5の容量V(L)、圧力変化値ΔP(MPa/s)、気体定数R、温度Tに基づいて、圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)が算出される。
【0041】
【数2】
【0042】
次に、ステップ11では、運転中の圧縮機本体3を仮に停止した場合に、現在の圧力P(t)から圧力下限値Pminまで圧力が低下するまでの停止時間Tb(s)を演算する。具体的には、以下の数3の式に示すように、現在の圧力P(t)と圧力下限値Pminとの圧力差(MPa)、タンク5の容量V(L)、気体定数R、温度T、圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)に基づいて、停止時間Tb(s)が算出される。
【0043】
【数3】
【0044】
次に、ステップ12では、圧縮機本体3が起動開始してから現在までの運転時間Ta(s)を運転タイマ9Aが計時した値から取得する。
【0045】
次に、ステップ13では、初期時間しきい値T0に後述の誤差時間Erを加算して、時間しきい値Tsを補正する。これにより、時間しきい値Tsは、予め設定された初期時間しきい値T0に比べて、誤差時間Erの分だけ延長または短縮される。
【0046】
ここで、初期時間しきい値T0(時間しきい値Ts)は、電磁開閉器4の切換え回数に基づいて決定している。具体的には、空気圧縮機1のメンテナンス時間が予め決められているときには、メンテナンス時間を電磁開閉器4が寿命となるまでの切換え回数で割った値よりも大きな値となるように、初期時間しきい値T0は設定されている。例えば、空気圧縮機1のメンテナンス時間を10000時間とし、電気的または機械的寿命となる電磁開閉器4の切換え回数が200万回とすると、このメンテナンス時間を切換え回数で割った値は18秒となる。このため、実験的に求めた停止時間Tbの誤差マージン(例えば2秒)を考慮して、初期時間しきい値T0は例えば20秒に設定されている。
【0047】
次に、ステップ14では、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも大きいか否かを判定する。そして、ステップ14で「YES」と判定したときには、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも長時間となっているから、圧縮機本体3の運転頻度を一定に保つために、現在運転中の圧縮機本体3を停止する必要がある。このため、ステップ15で運転タイマ9Aを停止すると共に、運転タイマ9Aをリセットする。そして、ステップ16で電磁開閉器4をOFFに切換えて電動モータ2を停止する。これにより、圧縮機本体3は運転を停止し、圧縮停止に切換わる。ステップ16が終了すると、ステップ17に移って、停止タイマ9Bをリセットした後に、停止タイマ9Bをスタートさせる。その後、ステップ18に移って制御フェーズSを3に設定し(S=3)、圧力Pの蓄積データを書き換えた後に、ステップ30に移行する。
【0048】
一方、ステップ14で「NO」と判定したときには、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも短時間となっているから、圧縮機本体3の運転頻度の観点では現在運転中の圧縮機本体3を停止する必要はない。このため、ステップ19に移って現在の圧力P(t)が停止圧としての圧力上限値Pmax以上が否かを判定する。
【0049】
そして、ステップ19で「NO」と判定したときには、現在の圧力P(t)が圧力上限値Pmaxに到達しておらず、圧縮運転を停止する必要がないと考えられる。このため、現在の運転状態を維持して、後述のステップ30に移行する。
【0050】
一方、ステップ19で「YES」と判定したときには、現在の圧力P(t)が圧力上限値Pmax以上に高圧になっており、圧縮機本体3を圧縮停止に切換える必要があると考えられる。このため、ステップ20〜22の処理を行い、圧縮機本体3の停止、停止タイマ9Bの初期化およびスタートを行い、制御フェーズSを3に設定し(S=3)、圧力Pの蓄積データを書き換える。その後、ステップ30に移行する。
【0051】
また、ステップ8で「NO」と判定したときには、タンク5内の圧力P(t)が下降しているから、制御フェーズSは3に該当するものと考えられる。このため、ステップ23に移って、タンク5内の圧力P(t)が復帰圧としての圧力下限値Pminよりも低下したか否かを判定する。そして、ステップ23で「NO」と判定したときには、圧力P(t)は圧力下限値Pminよりも高く、タンク5に圧縮空気を補充する必要はないものと考えられる。このため、そのまま後述のステップ30に移行する。
【0052】
一方、ステップ23で「YES」と判定したときには、圧力P(t)は圧力下限値Pminよりも低下して、タンク5内の圧縮空気が不足しているものと考えられる。このため、ステップ24に移って圧縮機本体3が停止してから現在までの実際の停止時間Tb′(s)を停止タイマ9Bが計時した値から取得する。
【0053】
次に、ステップ25では、ステップ11で予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との差である誤差時間Erを演算する。具体的には、以下の数4の式に示すように、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との差に基づいて、誤差時間Erを演算する。
【0054】
【数4】
【0055】
次に、ステップ26では停止タイマ9Bを停止して、初期化する。そして、ステップ27では、電磁開閉器4をONに切換えて電動モータ2を駆動する。これにより、圧縮機本体3は圧縮運転を開始する。そして、ステップ28では、運転タイマ9Aを初期化した後に、スタートさせる。その後、ステップ29では、制御フェーズSを2に設定し、ステップ30に移行する。
【0056】
ステップ30では、制御回路9に接続して設けられた停止スイッチ(図示せず)がONとなっているか否かを判定する。そして、ステップ30で「NO」と判定したときには、ステップ2以降の処理を繰り返す。
【0057】
一方、ステップ30で「YES」と判定したときには、停止スイッチがONとなっているから、ステップ31に移って電磁開閉器4をOFFに切換えて電動モータ2を停止して、圧縮機本体3の圧縮運転を停止する。
【0058】
次に、本実施の形態による運転制御処理を用いて空気圧縮機1を制御し、このときのタンク5内の圧力Pの時間変化を調べた。その結果を図5に示す。
【0059】
図5に示すように、本実施の形態による運転制御処理では、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも短時間となるように、圧縮運転を圧縮停止に切換える。これにより、加算時間が時間しきい値Tsに到達する前に圧力Pが圧力上限値Pmaxに到達する場合のように、圧力Pの増加率が大きい場合を除いて、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間は時間しきい値Tsとほぼ同じ値で一定となる。このため、圧力Pの増加率が小さいときでも、圧力Pが圧力上限値Pmaxに到達する前に圧縮停止に切換えることができる。この結果、全体的に圧力Pが低い領域、即ち消費電力が少ない領域で圧縮運転を行うことができる。
【0060】
また、例えば図5に示すように、空気圧縮機1が圧縮運転を停止している間に、圧縮空気の消費量が増加した場合には、制御回路9によって予測した停止時間Tbが経過する以前にタンク5内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下する。この場合、空気圧縮機1が実際に停止した時間(実際の停止時間Tb′)が予測した停止時間Tbよりも短時間となるから、時間しきい値Ts(初期時間しきい値T0)によって設定した運転頻度よりも圧縮機本体3の運転頻度が高くなる傾向がある。
【0061】
これに対し、本実施の形態では、空気圧縮機1を圧縮停止に切換えた後に、予測した停止時間Tbが経過するよりも前にタンク5内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下した場合には、制御回路9は、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との間の誤差時間Erを計測し、初期時間しきい値T0と誤差時間Erとを加算して、次回の時間しきい値Tsを補正する。これにより、予測した停止時間Tbよりも実際の停止時間Tb′が短時間となるときでも、次回の時間しきい値Tsを誤差時間Erの分だけ延長することができ、圧縮機本体3の運転頻度をほぼ一定に保つことができる。
【0062】
次に、従来技術と同様な比較例による制御処理と、本実施の形態による運転制御処理とを比較した。その結果を図6ないし図8に示す。なお、図6ないし図8中の実線は、本実施の形態による運転制御処理を行った場合を示している。一方、図6ないし図8中の点線は、比較例による制御処理として、特許文献1と同様に、圧力下限値Pminに到達すると圧縮機の運転を開始し、圧力上限値Pmax付近に近付くと圧縮機を停止する場合を示している。
【0063】
図6は供給流量Fsに対する消費流量Fcの比率F(%)(F=Fc/Fs×100)と空気圧縮機1が停止(圧縮停止)する圧力(停止圧力)との関係を示している。比較例による制御処理では、圧力上限値Pmaxに到達するよりも一定時間だけ前に圧縮機1を停止する構成となっている。ここで、消費流量Fcが圧縮機1の供給流量Fsに近付く(比率Fが100に近付く)と、タンク5内の圧力Pの上昇率が低下する。このため、消費流量Fcが供給流量Fsに近付くに従って、停止圧力は圧力上限値Pmaxに近付く。この結果、比較例による制御処理を用いた場合、停止圧力Ps1は、以下の数5に示す1次比例の直線で表すことができ、消費流量Fcが供給流量Fsに近付く(比率Fが増加する)のに比例して高くなる。なお、制御定数Aは、圧力上限値Pmaxに到達するよりも一定時間前に圧縮機1を停止するとき、この一定時間によって決まる定数である。
【0064】
【数5】
【0065】
これに対し、本実施の形態による運転制御処理を用いた場合、停止圧力Ps2は消費流量Fcに対して2次曲線で近似することができる。この2次曲線は、以下の数6に示すように、タンク5の容量Vおよび省エネ定数Bによって決定される。具体的には、タンク5の容量Vが大きいほど、また省エネ定数Bが小さいほど停止圧力を低くすることができる。なお、省エネ定数Bは、時間しきい値Tsによって決まる定数である。
【0066】
【数6】
【0067】
図7は圧縮空気の消費流量Fcと空気圧縮機1の消費電力との関係を示している。なお、図7は圧力と電力が一次比例する場合を例示している。この場合、比較例による制御処理を用いた場合、図6と同様に、消費流量Fcが供給流量Fsに近付くのに比例して、消費電力Pow1も増大する。これに対し、本実施の形態による運転制御処理を用いた場合、比較例に比べて、消費流量Fcの比率Fの全範囲に亘って消費電力Pow2が低くなる。この結果、消費電力Pow1と消費電力Pow2との差の分(図7中の斜線部分)だけ、本実施の形態では、比較例に比べて省エネ効果が得られることが分かる。また、消費流量Fcの比率Fが増加するに従って、本実施の形態による省エネ効果は大きくなる。
【0068】
図8は圧縮空気の消費流量Fcと空気圧縮機1が起動して停止した後に再起動するまでの1周期分の時間(運転周期)との関係を示している。なお、図8は制御定数A,Bはいずれも60に設定した場合を例示している。比較例の場合、消費流量Fcが少ないときには空気圧縮機1が停止する時間が長くなり、消費流量Fcが多いときには、空気圧縮機1が運転する時間が長くなる。このため、消費流量Fc(比率F)が変化するのに従って、運転周期も変化し、特に消費流量Fcが少ないときおよび多いときに運転周期が長くなる傾向がある。このため、比較例の場合には、空気圧縮機1の運転周期が一定しないから、運転時間から適切なメンテナンス時間等を把握することが難しくなる。
【0069】
これに対し、本実施の形態では、空気圧縮機1の運転周期の平均値(平均周期)は、消費流量Fcに関係なく常に一定となる。このため、顧客の消費流量Fcに関係なく、空気圧縮機1の運転時間から適切なメンテナンス時間および寿命を計算することができる。
【0070】
かくして、本実施の形態によれば、制御回路9は、圧力Pの増加率に基づいて、運転中の空気圧縮機1を圧縮停止に切換えたときに、タンク5内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下するまでの停止時間Tbを予測する。そして、制御回路9は、停止時間Tbに現在までの運転時間Taを加算して、この加算時間が時間しきい値Tsに到達したときに、空気圧縮機1を圧縮停止に切換える。このため、運転時間Taと停止時間Tbとを加算した加算時間が一定となるにように空気圧縮機1を制御することができる。これにより、例えば圧縮空気の消費流量が非常に少ない場合や圧縮空気の消費流量が空気圧縮機1の供給流量に近い場合でも、検出圧力値P(t)が圧力上限値Pmaxに到達する前に空気圧縮機1を圧縮停止に切換えることができる。この結果、タンク5内の圧力Pが圧力上限値Pmax付近となった状態で圧縮運転を行う時間を短縮することができ、空気圧縮機1の負荷を軽減して消費電力を低減することができる。
【0071】
また、時間しきい値Tsは電磁開閉器4の切換え回数に基づいて決定したから、メンテナンス時間を寿命となる電磁開閉器4の切換え回数で割った値よりも時間しきい値Tsを大きな値に設定することができる。これにより、電磁開閉器4が寿命となる前に空気圧縮機1のメンテナンスを行うことができ、電磁開閉器4の損傷や故障を未然に防止することができる。
【0072】
さらに、制御回路9は、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との間の誤差時間Erを計測し、誤差時間Erを加算して次回の時間しきい値Tsを補正する。これにより、停止時間Tbの予測誤差が生じても、空気圧縮機1の圧縮運転と圧縮停止の頻度がばらつくことがなく、運転頻度を一定にすることができる。このため、空気圧縮機1の運転頻度に基づいて空気圧縮機1のメンテナンス時期や部品の寿命等を判別するときでも、高精度にメンテナンス時期等を判別することができる。
【0073】
なお、第1の実施の形態では、図3中のステップ23,27が圧縮運転開始手段の具体例を示し、図2中のステップ9が圧力増加率演算手段の具体例を示し、ステップ10,11が停止時間予測手段の具体例を示し、ステップ14〜18が圧縮停止切換手段の具体例を示し、図2、図3中のステップ13,24,25が時間しきい値補正手段の具体例を示している。
【0074】
次に、図9ないし図17は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、圧縮運転する圧縮機の台数を増加、減少させて圧縮空気の吐出容量を制御する制御回路に関して、圧縮機の運転頻度が一定となるように制御する構成としたしたことにある。なお、第2の実施の形態では、タンクに対して個別に圧縮空気を供給する3台の圧縮機を備えた空気圧縮装置を例に挙げて説明する。
【0075】
図9において、11は3台の圧縮機12A〜12C、制御回路22等によって構成された空気圧縮装置を示している。ここで、圧縮機12Aは、駆動源としての電動モータ13Aと、該電動モータ13Aによって駆動される圧縮機本体14Aとによって構成されている。また、他の圧縮機12B,12Cも、圧縮機12Aと同様に、電動モータ13B,13D、圧縮機本体14B,14Cによってそれぞれ構成されている。そして、圧縮機12A〜12Cは、全て同じ供給流量Fs(NL/min)(吐出容量)を有している。
【0076】
また、電動モータ13A〜13Cと電源との間には電磁開閉器15A〜15Cがそれぞれ設けられている。そして、電磁開閉器15A〜15Cは、そのON/OFFに応じて、電動モータ13A〜13Cに対する電力の供給/停止を切換える。これにより、電動モータ13A〜13Cは、電磁開閉器15A〜15Cによって、運転と停止とが切換わる構成となっている。
【0077】
16は圧縮機本体14A〜14Cの吐出側に接続されたタンクで、該タンク16は、圧縮機本体14A〜14Cから吐出された圧縮空気を収集して貯留する。また、タンク16は、吐出配管17A〜17Cを通じて圧縮機本体14A〜14Cに接続されると共に、各吐出配管17A〜17Cの途中には逆止弁18A〜18Cが設けられている。そして、タンク16には、取出し弁19を備えた出力配管20が取付けられている。これにより、タンク16は、出力配管20を介して外部の空圧機器(図示せず)に接続されると共に、取出し弁19を開弁することによって該空圧機器に向けて圧縮空気を供給するものである。
【0078】
21はタンク16に接続された圧力検出手段としての圧力センサで、該圧力センサ21は、タンク16内の圧縮空気の圧力Pを検出し、圧力Pに応じた圧力信号を出力する。
【0079】
22は圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を増加、減少させて空気圧縮装置1の吐出容量を制御する制御手段としての制御回路で、該制御回路22は、圧力センサ21および電磁開閉器15A〜15Cに接続されている。また、制御回路22には、例えば圧縮機本体14A〜14Cが供給する圧縮空気の供給流量Fs(NL/s)、タンク16の容量V(L)、初期時間しきい値T0(s)、タンク16内の圧力下限値Pmin(MPa)と圧力上限値Pmax(MPa)、圧縮空気の温度Tとして通常時の圧縮空気の平均温度等が予め記憶されている。このとき、圧力下限値Pminは、圧縮運転を再開するために予め設定されたタンク16内の圧力値である。一方、圧力上限値Pmaxは、圧縮運転を停止するために予め設定されたタンク16内の圧力値である。さらに、制御回路22は運転タイマ22Aと停止タイマ22Bとを備えている。そして、運転タイマ22Aは、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数が増加する(停止中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台が起動する)毎に増加後の経過時間を運転時間Taとして計測する。一方、停止タイマ22Bは、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数が減少する(運転中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台が停止する)毎に減少後に再度増加するまでの実際の停止時間Tbを計測する。
【0080】
そして、制御回路22は、後述する運転制御処理を行い、タンク16内の圧力Pに基づいて電磁開閉器15A〜15CのON/OFFを制御する。これにより、制御回路22は、電動モータ13A〜13Cの運転と停止とを切換えることによって、圧縮機12A〜12Cの圧縮運転と圧縮停止とを切換え、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を増加、減少させる構成となっている。
【0081】
本実施の形態による空気圧縮装置11は上述の如き構成を有するもので、次に、図9ないし図11を参照しつつ、タンク16の圧力P等に応じて圧縮機12A〜12Cの運転台数を増減させる台数制御処理について説明する。
【0082】
ここで、空気圧縮装置11の制御フェーズS(制御状態)をタンク16の圧力P等に応じて次の3つに分ける。即ち、例えば空気圧縮装置11を最初に起動したときのように、タンク16の圧力Pが圧力下限値Pminよりも低い場合には、制御フェーズSを1とする。タンク16の圧力Pが圧力上限値Pmaxと圧力下限値Pminとの間の値となり、かつ圧力Pが上昇している場合には、制御フェーズSを2とする。タンク16の圧力Pが圧力上限値Pmaxと圧力下限値Pminとの間の値となり、かつ圧力Pが低下している場合には、制御フェーズSを3とする。また、誤差時間Erの初期値は0に設定されているものとする。
【0083】
そして、ステップ41では、制御フェーズSを1に設定する(S=1)。次に、ステップ42では、圧力センサ21からの圧力信号を用いて、一定のサンプリング周期(例えば200ms)で現在のタンク16内の圧力P(t)を計測する。
【0084】
次に、ステップ43では、制御フェーズSが1か否かを判定する。ステップ43で「YES」と判定したときには、ステップ44に移って、タンク16内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも低いか否かを判定する。そして、ステップ44で「YES」と判定したときには、タンク16内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも低下しているから、ステップ45に移って全台の圧縮機12A〜12Cの運転を開始(n=3)した後、後述のステップ72に移行する。
【0085】
一方、ステップ44で「NO」と判定したときには、タンク16内の圧力P(t)が圧力下限値Pminよりも上昇しているから、ステップ46に移って制御フェーズSを2に設定する(S=2)。また、ステップ47では、運転タイマ22Aを初期化した後に、スタートさせる。その後、後述のステップ72に移行する。
【0086】
また、ステップ43で「NO」と判定したときには、制御フェーズSは2または3のいずれかであるから、ステップ48に移って、タンク16内の圧力P(t)が単位時間前(例えば1秒前)の圧力P(t-1)よりも高いか否かを判定する。そして、ステップ48で「YES」と判定したときには、タンク16内の圧力P(t)が上昇しているから、制御フェーズSは2に該当するものと考えられる。
【0087】
このため、ステップ49に移って、以下の数7の式に示すように、現在の圧力P(t)と1秒前の圧力P(t-1)との差を演算し、圧力変化値ΔP(MPa/s)を求める。なお、圧力P(t-1)として例えば前回のサンプリングで取得した200ms前の圧力を用いてもよい。この場合、圧力P(t)と圧力P(t-1)との差分をサンプリング周期(200ms)で割ることによって、単位時間(1秒)当たりの圧力変化値ΔP(MPa/s)を求めることができる。但し、サンプリング周期が短い場合には、タンク16内の圧力の変化量が小さくなるため、誤差が生じ易い傾向がある。
【0088】
【数7】
【0089】
また、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させた直後(例えば200ms後)は、圧力P(t)は低下しているにも拘らず、1秒前の圧力P(t-1)よりも高くなる場合がある。この場合、ステップ48で制御フェーズSを誤って判断する可能性がある。このため、本実施の形態では、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させたときには、予め蓄積した1秒前までの圧力のデータを現在の圧力P(t)に書換える。具体的には、例えば後述のステップ60,64で、制御フェーズSを2から3に切換えるときには、予め蓄積した1秒前までの圧力のデータを現在の圧力P(t)に書換える。これにより、ステップ48で制御フェーズSの誤認識が生じるのを防止している。
【0090】
次に、ステップ50では、タンク16から外部に供給されている圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)を演算する。具体的には、以下の数8の式に示すように、例えば理想気体の状態方程式が用いられ、各圧縮機本体14A〜14Cの供給流量Fs(NL/s)、タンク16の容量V(L)、圧力変化値ΔP(MPa/s)、気体定数R、温度T、圧縮機12A〜12Cのうち圧縮運転している台数nに基づいて、圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)が算出される。
【0091】
【数8】
【0092】
次に、ステップ51では、圧縮機12A〜12Cのうち圧縮運転する台数を1台減少させた場合(運転中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台を停止した場合)、現在の圧力P(t)から圧力下限値Pminまで圧力が低下するまでの停止時間Tb(s)を演算する。具体的には、以下の数9の式に示すように、現在の圧力P(t)と圧力下限値Pminとの圧力差(MPa)、タンク16の容量V(L)、気体定数R、温度T、圧縮空気の消費流量Fc(NL/s)等に基づいて、停止時間Tb(s)が算出される。
【0093】
【数9】
【0094】
次に、ステップ52では、圧縮機12A〜12Cの運転台数が増加してから現在までの運転時間Ta(s)を運転タイマ22Aが計時した値から取得する。
【0095】
次に、ステップ53では、予測した停止時間Tbが負の値(Tb<0)か否かを判定する。ステップ53で「YES」と判定したときには、圧縮機12A〜12Cのうち圧縮運転する台数を1台減少させても、圧縮空気の消費流量Fcに比べて空気圧縮装置11によって供給する圧縮空気の供給流量((n−1)×Fs)が多く、数9の分母の項が負の値となっていると考えられる。このため、ステップ54に移って、圧縮機12A〜12Cのうち圧縮運転する台数を1台減少させ(n=n−1)、後述のステップ72に移行する。
【0096】
一方、ステップ53で「NO」と判定したときには、ステップ55に移って、初期時間しきい値T0に後述の誤差時間Erを加算して、時間しきい値Tsを補正する。これにより、時間しきい値Tsは、予め設定された初期時間しきい値T0に比べて、誤差時間Erの分だけ延長または短縮される。
【0097】
ここで、初期時間しきい値T0(時間しきい値Ts)は、電磁開閉器15A〜15Cの切換え回数に基づいて決定している。具体的には、空気圧縮装置11のメンテナンス時間が予め決められているときには、メンテナンス時間を電磁開閉器15A〜15Cが寿命となるまでの切換え回数で割った値よりも大きな値となるように、初期時間しきい値T0は設定されている。例えば、空気圧縮装置11のメンテナンス時間を20000時間とし、電気的または機械的寿命となる電磁開閉器15A〜15Cの切換え回数が200万回とすると、このメンテナンス時間を切換え回数で割った値は36秒となる。また、3台の圧縮機12A〜12Cは、全台が均等に圧縮運転するように順番に運転、停止を行うから、36秒を3台で分割して12秒となる。さらに、実験的に求めた停止時間Tbの誤差マージン(例えば2秒)を考慮して、初期時間しきい値T0は例えば14秒に設定されている。
【0098】
次に、ステップ56では、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも大きいか否かを判定する。そして、ステップ56で「YES」と判定したときには、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも長時間となっているから、圧縮機12A〜12Cの運転頻度を一定に保つために、現在運転中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台を停止する必要がある。このため、ステップ57で運転タイマ22Aを停止すると共に、運転タイマ22Aをリセットする。そして、ステップ58で電磁開閉器15A〜15Bのうちいずれか1個(例えば、電磁開閉器15A)をOFFに切換えて、電磁開閉器15A〜15Bに接続された電動モータ13A〜13C(例えば、電動モータ13A)を停止する。これにより、現在運転中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台が停止(圧縮停止)し、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数が1台減少する(n=n−1)。ステップ58が終了すると、ステップ59に移って、停止タイマ22Bをリセットした後に、停止タイマ22Bをスタートさせる。その後、ステップ60に移って制御フェーズSを3に設定し(S=3)、圧力Pの蓄積データを書き換えた後に、ステップ72に移行する。
【0099】
一方、ステップ56で「NO」と判定したときには、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも短時間となっているから、圧縮機12A〜12Cの運転頻度の観点では現在運転中の圧縮機12A〜12Cを停止する必要はない。このため、ステップ61に移って現在の圧力P(t)が停止圧としての圧力上限値Pmax以上が否かを判定する。
【0100】
そして、ステップ61で「NO」と判定したときには、現在の圧力P(t)が圧力上限値Pmaxに到達しておらず、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させる必要がないと考えられる。このため、現在の運転状態を維持して、後述のステップ72に移行する。
【0101】
一方、ステップ61で「YES」と判定したときには、現在の圧力P(t)が圧力上限値Pmax以上に高圧になっており、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cを全て圧縮停止に切換える必要があると考えられる。このため、ステップ62〜64の処理を行い、圧縮機12A〜12Cを全て停止し、停止タイマ22Bの初期化およびスタートを行い、制御フェーズSを3に設定し(S=3)、圧力Pの蓄積データを書き換える。その後、ステップ72に移行する。
【0102】
また、ステップ48で「NO」と判定したときには、タンク16内の圧力P(t)が下降しているから、制御フェーズSは3に該当するものと考えられる。このため、ステップ65に移って、タンク16内の圧力P(t)が復帰圧としての圧力下限値Pminよりも低下したか否かを判定する。そして、ステップ65で「NO」と判定したときには、圧力P(t)は圧力下限値Pminよりも高く、タンク16に圧縮空気を補充する必要はないものと考えられる。このため、そのまま後述のステップ72に移行する。
【0103】
一方、ステップ65で「YES」と判定したときには、圧力P(t)は圧力下限値Pminよりも低下して、タンク16内の圧縮空気が不足しているものと考えられる。このため、ステップ66に移って圧縮機12A〜12Cの運転台数を1台減少させてから現在までに実際に経過した停止時間Tb′(s)を停止タイマ22Bが計時した値から取得する。
【0104】
次に、ステップ67では、ステップ51で予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との差である誤差時間Erを演算する。具体的には、前述した数4の式に示すように、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との差に基づいて、誤差時間Erを演算する。
【0105】
次に、ステップ68では停止タイマ22Bを停止して、初期化する。そして、ステップ69では、電磁開閉器15A〜15Cのうちいずれか1個(例えば、電磁開閉器15B)をONに切換えて、電磁開閉器15A〜15Cに接続された電動モータ13A〜13C(例えば、電動モータ13B)を駆動する。これにより、現在停止中の圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台が起動し、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数が1台増加する(n=n+1)。そして、ステップ70では、運転タイマ22Aを初期化した後に、スタートさせる。その後、ステップ71では、制御フェーズSを2に設定し、ステップ72に移行する。
【0106】
ステップ72では、制御回路22に接続して設けられた停止スイッチ(図示せず)がONとなっているか否かを判定する。そして、ステップ72で「NO」と判定したときには、ステップ42以降の処理を繰り返す。
【0107】
一方、ステップ72で「YES」と判定したときには、停止スイッチがONとなっているから、ステップ73に移って電磁開閉器15A〜15Cを全てOFFに切換えて電動モータ13A〜13Cを停止して、圧縮機12A〜12Cの圧縮運転を全て停止する。
【0108】
次に、本実施の形態による運転制御処理を用いて空気圧縮装置11を制御し、このときのタンク16内の圧力Pの時間変化を調べた。その結果を図12ないし図15に示す。
【0109】
図12は圧縮空気の消費流量Fcが空気圧縮装置11の最大供給流量(3×Fs)の1/3よりも少ない場合を示している。この場合、3台の圧縮機12A〜12Cのうち1台が圧縮運転すれば、消費流量Fcを満たすことができる。このため、タンク16内の圧力Pを上昇させるときには、圧縮機12A〜12Cのうちいずれか1台(例えば圧縮機12A)を起動する。このとき、例えば圧縮機12Aが起動している間は、圧縮機12B,12Cは停止する。そして、圧縮機12Aが停止した後にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下すると、圧縮機12Bが起動する。これにより、圧縮機12A〜12Cは順番に(サイクリックに)起動と停止を繰り返す。
【0110】
図13は圧縮空気の消費流量Fcが空気圧縮装置11の最大供給流量(3×Fs)の1/3よりも多く、2/3よりも少ない場合を示している。この場合、3台の圧縮機12A〜12Cのうち2台が圧縮運転すれば、消費流量Fcを満たすことができる。このため、タンク16内の圧力Pを上昇させるときには、圧縮機12A〜12Cのうちいずれか2台(例えば圧縮機12A,12B)を起動する。このとき、例えば圧縮機12A,12Bが起動している間は、圧縮機12Cは停止する。そして、圧縮機12Aが停止した後にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下すると、圧縮機12Cが起動する。これにより、圧縮機12A〜12Cは順番に起動と停止を繰り返す。
【0111】
図14は圧縮空気の消費流量Fcが空気圧縮装置11の最大供給流量(3×Fs)の2/3よりも多く、3/3よりも少ない場合を示している。この場合、3台の圧縮機12A〜12Cのうち3台全てが圧縮運転すれば、消費流量Fcを満たすことができる。このため、タンク16内の圧力Pを上昇させるときには、圧縮機12A〜12Cの全てを起動する。そして、圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させるときには、圧縮機12A〜12Cうちいずれか1台(例えば圧縮機12A)を停止する。圧縮機12Aが停止した後にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下すると、再び圧縮機12Aが起動し、次に圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させるときには、圧縮機12Aとは異なる圧縮機12Bを停止する。これにより、圧縮機12A〜12Cは順番に起動と停止を繰り返す。
【0112】
また、図9ないし図11に示すように、本実施の形態による運転制御処理では、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも短時間となるように、圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させる。これにより、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間は時間しきい値Tsとほぼ同じ値で一定となる。このため、圧力Pの増加率が小さいときでも、圧力Pが圧力上限値Pmaxに到達する前に圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させることができる。この結果、全体的に圧力Pが低い領域、即ち消費電力が少ない領域で圧縮運転を行うことができる。
【0113】
さらに、各圧縮機12A〜12Cは、時間しきい値Tsの3倍の時間を1周期として、起動と停止を繰り返す。このため、各圧縮機12A〜12Cの運転頻度も均一で、かつ一定となる。
【0114】
また、例えば図15に示すように、タンク16の圧力Pが低下している途中で、圧縮空気の消費量が増加した場合には、制御回路22によって予測した停止時間Tbが経過する以前にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下する。この場合、圧縮機12A〜12Cの運転台数が減少していた時間(実際の停止時間Tb′)が予測した停止時間Tbよりも短時間となるから、時間しきい値Ts(初期時間しきい値T0)によって設定した運転頻度よりも圧縮機12A〜12Cの運転頻度が高くなる傾向がある。
【0115】
これに対し、本実施の形態では、圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させた後に、予測した停止時間Tbが経過するよりも前にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下した場合には、制御回路22は、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との間の誤差時間Erを計測し、初期時間しきい値T0と誤差時間Erとを加算して、次回の時間しきい値Tsを補正する。これにより、予測した停止時間Tbよりも実際の停止時間Tb′が短時間となるときでも、次回の時間しきい値Tsを誤差時間Erの分だけ延長することができ、圧縮機12A〜12Cの運転頻度をほぼ一定に保つことができる。
【0116】
次に、従来技術と同様な比較例による制御処理と、本実施の形態による運転制御処理とを比較した。その結果を図16および図17に示す。なお、図16および図17中の実線は、本実施の形態による運転制御処理を行った場合を示している。一方、図16および図17中の点線は、比較例による制御処理として、特許文献1と同様に、圧力下限値Pminに到達すると圧縮機の運転台数を増加し、圧力上限値Pmax付近に近付くと圧縮機の運転台数を減少させる場合を示している。
【0117】
図16は圧縮空気の消費流量Fcと空気圧縮機1の消費電力との関係を示している。なお、図16は圧力と電力が一次比例する場合を例示している。この場合、比較例による制御処理を用いた場合、消費流量Fcが供給流量Fsの倍数に近付くのに比例して、消費電力Pow1も増大する。これに対し、本実施の形態による運転制御処理を用いた場合、比較例に比べて、消費流量Fcの比率Fの全範囲に亘って消費電力Pow2が低くなる。この結果、消費電力Pow1と消費電力Pow2との差の分(図16中の斜線部分)だけ、本実施の形態では、比較例に比べて省エネ効果が得られることが分かる。
【0118】
図17は圧縮空気の消費流量Fcと圧縮機12A〜12Cの運転台数が増加して減少した後に再び増加するまでの1周期分の時間(運転周期)との関係を示している。比較例の場合、消費流量Fcが供給流量Fsの倍数付近となるときに、運転周期が長くなる。このため、消費流量Fc(比率F)が変化するのに従って、運転周期も変化する。このため、比較例の場合には、圧縮機12A〜12Cの運転周期が一定しないから、運転時間から適切なメンテナンス時間等を把握することが難しくなる。
【0119】
これに対し、本実施の形態では、圧縮機12A〜12Cの運転周期の平均値(平均周期)は、消費流量Fcに関係なく常に一定となる。このため、顧客の消費流量Fcに関係なく、空気圧縮装置11の運転時間から適切なメンテナンス時間および寿命を計算することができる。
【0120】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、制御回路22は、圧力Pの増加率に基づいて、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させたときに、タンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下するまでの停止時間Tbを予測する。そして、制御回路22は、予測した停止時間Tbに現在までの運転時間Taを加算して、この加算時間が所定の時間しきい値Tsに到達したときに、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させる。このため、運転時間Taと停止時間Tbとを加算した加算時間が一定となるように、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を制御することができる。
【0121】
これにより、例えば圧縮空気の消費流量Fcが非常に少ない場合や圧縮空気の消費流量Fcが圧縮機12A〜12Cの供給流量Fsに近い場合でも、圧力Pが圧力上限値Pmaxに到達する前に圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させることができる。この結果、タンク16内の圧力Pが圧力上限値Pmax付近となった状態で圧縮運転を行う時間を短縮することができ、圧縮機12A〜12Cの負荷を軽減して消費電力を低減することができる。また、圧縮機12A〜12Cの運転台数を増減させることによって、複数台の圧縮機12A〜12Cによる吐出容量の時間平均値を制御することができる。
【0122】
さらに、圧縮空気の消費流量Fcによらず、各圧縮機12A〜12Cが圧縮運転を開始した後に、再度圧縮運転を開始するまでの運転周期(運転頻度)をほぼ一定にすることができる。このため、圧縮機12A〜12Cの運転頻度に基づいて、圧縮機12A〜12Cのメンテナンス時期や部品の寿命等を容易に判別することができる。
【0123】
また、例えば圧縮空気の消費流量が変化したとき等には、圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を減少させた後に、予測した停止時間Tbが経過するよりも前にタンク16内の圧力Pが圧力下限値Pminまで低下することがある。この場合、制御回路22は、予測した停止時間Tbと実際の停止時間Tb′との間の誤差時間Erを計測し、例えば誤差時間Erを加算して次回の時間しきい値Tsを補正することができる。これにより、停止時間Tbの予測誤差が生じても、圧縮機12A〜12Cの圧縮運転と圧縮停止の頻度がばらつくことがなく、運転頻度を一定にすることができる。このため、圧縮機12A〜12Cの運転頻度に基づいて圧縮機のメンテナンス時期や部品の寿命等を判別するときでも、高精度にメンテナンス時期等を判別することができる。
【0124】
なお、第2の実施の形態では、図11中のステップ65,69が運転台数増加手段の具体例を示し、図10中のステップ49が圧力増加率演算手段の具体例を示し、ステップ50,51が停止時間予測手段の具体例を示し、図11中のステップ56〜60が運転台数減少手段の具体例を示し、ステップ55,66,67が時間しきい値補正手段の具体例を示している。
【0125】
次に、図18ないし図21は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、制御回路は、運転時間が規定時間よりも短いときには圧縮運転する圧縮機の台数を維持する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第2の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0126】
図18において、31は第3の実施の形態による空気圧縮装置を示し、該空気圧縮装置31は、第2の実施の形態による空気圧縮装置11とほぼ同様に、3台の圧縮機12A〜12C、制御回路32等を用いて構成されている。また、制御回路32(制御手段)は、第2の実施の形態による制御回路22とほぼ同様に構成され、運転タイマ32Aおよび停止タイマ32Bを備えている。但し、制御回路32は、運転制御処理の一部が制御回路22とは異なっている。
【0127】
具体的には、制御回路32による運転制御処理では、図19に示すように、ステップ56とステップ57との間に、運転時間Taが予め決められた規定時間Cよりも短時間(Ta<C)か否かを判定するステップ81が設けられている。そして、ステップ81で「YES」と判定したときには、運転時間Taが規定時間Cよりも短時間となっている。このため、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間が時間しきい値Tsよりも長時間となったときでも、圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させる処理等(ステップ57〜60)を行わず、そのままステップ72に移行する。
【0128】
一方、ステップ81で「NO」と判定したときには、運転時間Taが規定時間Cよりも長時間となっている。このため、第2の実施の形態と同様に、ステップ57〜60の処理を行い、圧縮機12A〜12Cの運転台数を減少させる。
【0129】
ここで、規定時間Cは、例えば圧縮機12A〜12Cの運転台数を増加させるときに発生する突入電流と消費電力との関係に基づいて設定されている。突入電流は、通常(定常時)に電動モータ13A〜13Cに供給する駆動電流に比べて、数倍程度大きな電流となる(図20参照)。一方、圧縮空気の消費流量Fcが非常に少ない場合(例えば10%以下)や、供給流量Fsの倍数を僅かに超える場合(例えば34〜44%、67〜77%)には、圧縮機12A〜12Cの運転台数を増加させても、直ぐに運転台数を減少させることになる。この場合、消費電力に対する突入電流の影響が大きくなり、圧縮機12A〜12Cの運転を継続した場合に比べて、消費電力が増加する(図21参照)。そこで、本実施の形態では、規定時間Cは、突入電流に基づく消費電力の増大を防止するために設定されたものであり、運転時間Taの最低限の継続時間となっている。これにより、運転時間Taを規定時間C以上に確保することができ、消費電力に対する突入電流の影響を軽減することができる。
【0130】
なお、ステップ81を除いた他の処理部分(ステップ41〜73)は第2の実施の形態による運転制御処理と同一である。
【0131】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、制御回路32は、運転時間Taが規定時間Cよりも短いときには圧縮運転する圧縮機12A〜12Cの台数を維持する。これにより、運転時間Taが規定時間Cよりも短時間となる場合には、運転時間Taと停止時間Tbとの加算時間(圧縮機12A〜12Cの運転周期)は、時間しきい値Tsよりも長くなるものの、突入電流による消費電力の増大や電磁開閉器の損傷を防止することができる。
【0132】
なお、第3の実施の形態では、図19中のステップ56〜60およびステップ81が運転台数減少手段の具体例を示している。
【0133】
また、第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、圧縮機12A〜12Cの運転台数を増加、減少させる制御回路32に対して、運転時間Taを規定時間Cよりも長時間確保する構成を適用するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第1の実施の形態と同様に、1台の圧縮機を起動、停止させる制御回路に対して、運転時間Taを規定時間Cよりも長時間確保する構成を適用する構成としてもよい。この場合、例えば図2中の運転制御処理のうちステップ14とステップ15との間に、第3の実施の形態によるステップ81と同様に、運転時間Taが予め決められた規定時間Cよりも短時間(Ta<C)か否かを判定する処理を設ける。そして、運転時間Taが規定時間Cよりも短いときには、そのまま圧縮機1の運転を継続してステップ30に移行し、運転時間Taが規定時間Cよりも長いときには、ステップ15〜18の処理を行い、圧縮機1を停止するものである。
【0134】
また、前記第2,第3の実施の形態による空気圧縮装置では、3台の圧縮機12A〜12Cを備える構成としたが、2台の圧縮機を備える構成としてもよく、4台以上の圧縮機を備える構成としてもよい。
【0135】
また、前記各実施の形態では、初期時間しきい値T0(時間しきい値Ts)は電磁開閉器4,15A〜15Cの切換え回数の寿命および空気圧縮機1,12A〜12Cのメンテナンス時間に基づいて決定するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、時間しきい値は、圧縮機を起動するときの突入電流、電動モータのON/OFF頻度、寿命、故障率および空気圧縮装置のメンテナンス時間(メンテナンス周期)に基づいて決定する構成としてもよい。
【0136】
また、前記各実施の形態による空気圧縮装置では、消費流量Fc、停止時間Tbの演算に用いる圧縮空気の温度Tは、通常時の圧縮空気の平均温度等によって予め設定しておくものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばタンクに圧縮空気の温度を検出する温度センサを設け、該温度センサの検出温度を用いて消費流量Fc、停止時間Tbを演算する構成としてもよい。
【0137】
また、前記各実施の形態では、圧縮機本体3,14A〜14C(電動モータ2,13A〜13C)を駆動して圧縮運転を行い、圧縮機本体3,14A〜14Cを停止して圧縮停止する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばレシプロ型のようにアンロード運転が可能な圧縮機においては、ロード運転を行って圧縮運転を行い、アンロード運転を行って圧縮停止する構成としてもよい。
【0138】
さらに、前記各実施の形態では、圧縮空気を吐出する圧縮機1,12A〜12Cに適用するものとしたが、例えば冷媒を圧縮する冷媒圧縮機等のように、他の圧縮流体を吐出する圧縮機に適用してもよく、圧縮機として液体等の流体ポンプに適用する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の第1の実施の形態による空気圧縮機を示す全体構成図である。
【図2】図1中の空気圧縮機に用いる運転制御処理を示す流れ図である。
【図3】運転制御処理を示す図2に続く流れ図である。
【図4】圧縮停止に切換えたときの圧力のデータの書換えを示す説明図である。
【図5】消費流量の比率、タンク内の圧力、圧縮機のON/OFF、タイマ動作の時間変化を示す特性線図である。
【図6】消費流量の比率と圧縮機の停止圧力との関係を示す特性線図である。
【図7】消費流量の比率と消費電力との関係を示す特性線図である。
【図8】消費流量の比率と圧縮機の運転周期との関係を示す特性線図である。
【図9】第2の実施の形態による空気圧縮装置を示す全体構成図である。
【図10】図9中の空気圧縮装置に用いる運転制御処理を示す流れ図である。
【図11】運転制御処理を示す図10に続く流れ図である。
【図12】消費流量の比率が1/3よりも小さい場合に、タンク内の圧力、圧縮機のON/OFF、タイマ動作の時間変化を示す特性線図である。
【図13】消費流量の比率が1/3から2/3の間にある場合に、タンク内の圧力、圧縮機のON/OFF、タイマ動作の時間変化を示す特性線図である。
【図14】消費流量の比率が2/3から3/3の間にある場合に、タンク内の圧力、圧縮機のON/OFF、タイマ動作の時間変化を示す特性線図である。
【図15】消費流量の比率が途中で変化した場合に、タンク内の圧力、圧縮機のON/OFF、タイマ動作の時間変化を示す特性線図である。
【図16】消費流量の比率と消費電力との関係を示す特性線図である。
【図17】消費流量の比率と圧縮機の運転周期との関係を示す特性線図である。
【図18】第3の実施の形態による空気圧縮装置を示す全体構成図である。
【図19】図18中の空気圧縮装置に用いる運転制御処理を示す図11と同様な流れ図である。
【図20】電動モータの駆動電流の時間変化を示す特性線図である。
【図21】消費流量の比率と消費電力、運転周期との関係を示す特性線図である。
【符号の説明】
【0140】
1 空気圧縮機
2,13A〜13C 電動モータ
3,14A〜14C 圧縮機本体
4,15A〜15C 電磁開閉器
5,16 タンク
8,21 圧力センサ(圧力検出手段)
9,22,32 制御回路(制御手段)
9A,22A,32A 運転タイマ
9B,22B,32B 停止タイマ
11,31 空気圧縮装置
12A〜12C 圧縮機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮して吐出する圧縮機と、該圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、前記圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換え制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、
前記制御手段は、前記圧縮機の稼動時間内で複数回繰り返される圧縮運転と圧縮停止の運転周期の平均周期が所定の時間しきい値に収束するように制御することを特徴とする圧縮機の制御装置。
【請求項2】
流体を圧縮して吐出する圧縮機と、該圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、前記圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換え制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、
前記制御手段は、
前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力が所定の圧力下限値まで低下したときに、前記圧縮機の圧縮運転を開始する圧縮運転開始手段と、
前記圧縮機の圧縮運転中に前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力の単位時間当たりの増加率を演算する圧力増加率演算手段と、
該圧力増加率演算手段によって演算した圧力の増加率に基づいて、現在の前記圧縮機を圧縮停止に切換えたときに、前記タンク内の圧力が前記圧力下限値まで低下するまでの停止時間を予測する停止時間予測手段と、
該停止時間予測手段によって予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、前記圧縮機を圧縮停止に切換える圧縮停止切換手段と、
前記停止時間予測手段によって予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、該誤差時間を用いて次回の時間しきい値を補正する時間しきい値補正手段とを備える構成としたことを特徴とする圧縮機の制御装置。
【請求項3】
流体を圧縮して吐出する複数台の圧縮機と、該複数台の圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、圧縮運転する前記圧縮機の台数を増加、減少させて運転台数を制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、
前記制御手段は、
前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力が所定の圧力下限値まで低下したときに、圧縮運転する圧縮機の台数を増加させる運転台数増加手段と、
前記圧縮機の圧縮運転中に前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力の単位時間当たりの増加率を演算する圧力増加率演算手段と、
該圧力増加率演算手段によって演算した圧力の増加率に基づいて、現在の圧縮運転する圧縮機の台数を減少させたときに、前記タンク内の圧力が前記圧力下限値まで低下するまでの停止時間を予測する停止時間予測手段と、
該停止時間予測手段によって予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、圧縮運転する圧縮機の台数を減少させる運転台数減少手段と、
前記停止時間予測手段によって予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、該誤差時間を用いて次回の時間しきい値を補正する時間しきい値補正手段とを備える構成としたことを特徴とする圧縮機の制御装置。
【請求項4】
前記圧縮機は、駆動源となる電動モータと、該電動モータの運転と停止を切換える電磁開閉器とを備え、
前記時間しきい値は、該電磁開閉器の切換え回数に基づいて決定する構成としてなる請求項1,2または3に記載の圧縮機の制御装置。
【請求項5】
前記圧縮停止切換手段は、前記時間しきい値よりも短時間の規定時間と前記運転時間とを比較し、前記運転時間が規定時間よりも短いときには前記圧縮機の圧縮運転を継続し、前記運転時間が規定時間を越えたときには前記加算時間に基づいて前記圧縮機を圧縮停止に切換える構成としてなる請求項2に記載の圧縮機の制御装置。
【請求項6】
前記運転台数減少手段は、前記時間しきい値よりも短時間の規定時間と前記運転時間とを比較し、前記運転時間が規定時間よりも短いときには圧縮運転する圧縮機の台数を維持し、前記運転時間が規定時間を越えたときには前記加算時間に基づいて圧縮運転する圧縮機の台数を減少させる構成としてなる請求項3に記載の圧縮機の制御装置。
【請求項1】
流体を圧縮して吐出する圧縮機と、該圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、前記圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換え制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、
前記制御手段は、前記圧縮機の稼動時間内で複数回繰り返される圧縮運転と圧縮停止の運転周期の平均周期が所定の時間しきい値に収束するように制御することを特徴とする圧縮機の制御装置。
【請求項2】
流体を圧縮して吐出する圧縮機と、該圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、前記圧縮機の圧縮運転と圧縮停止とを切換え制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、
前記制御手段は、
前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力が所定の圧力下限値まで低下したときに、前記圧縮機の圧縮運転を開始する圧縮運転開始手段と、
前記圧縮機の圧縮運転中に前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力の単位時間当たりの増加率を演算する圧力増加率演算手段と、
該圧力増加率演算手段によって演算した圧力の増加率に基づいて、現在の前記圧縮機を圧縮停止に切換えたときに、前記タンク内の圧力が前記圧力下限値まで低下するまでの停止時間を予測する停止時間予測手段と、
該停止時間予測手段によって予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、前記圧縮機を圧縮停止に切換える圧縮停止切換手段と、
前記停止時間予測手段によって予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、該誤差時間を用いて次回の時間しきい値を補正する時間しきい値補正手段とを備える構成としたことを特徴とする圧縮機の制御装置。
【請求項3】
流体を圧縮して吐出する複数台の圧縮機と、該複数台の圧縮機による圧縮流体を貯留するタンクと、該タンク内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された前記タンク内の圧力に応じて、圧縮運転する前記圧縮機の台数を増加、減少させて運転台数を制御する制御手段とを備えてなる圧縮機の制御装置において、
前記制御手段は、
前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力が所定の圧力下限値まで低下したときに、圧縮運転する圧縮機の台数を増加させる運転台数増加手段と、
前記圧縮機の圧縮運転中に前記圧力検出手段によって検出された前記タンク内の圧力の単位時間当たりの増加率を演算する圧力増加率演算手段と、
該圧力増加率演算手段によって演算した圧力の増加率に基づいて、現在の圧縮運転する圧縮機の台数を減少させたときに、前記タンク内の圧力が前記圧力下限値まで低下するまでの停止時間を予測する停止時間予測手段と、
該停止時間予測手段によって予測した停止時間に現在までの運転時間を加算して、この加算時間が所定の時間しきい値に到達したときに、圧縮運転する圧縮機の台数を減少させる運転台数減少手段と、
前記停止時間予測手段によって予測した停止時間と実際の停止時間との間の誤差時間を計測し、該誤差時間を用いて次回の時間しきい値を補正する時間しきい値補正手段とを備える構成としたことを特徴とする圧縮機の制御装置。
【請求項4】
前記圧縮機は、駆動源となる電動モータと、該電動モータの運転と停止を切換える電磁開閉器とを備え、
前記時間しきい値は、該電磁開閉器の切換え回数に基づいて決定する構成としてなる請求項1,2または3に記載の圧縮機の制御装置。
【請求項5】
前記圧縮停止切換手段は、前記時間しきい値よりも短時間の規定時間と前記運転時間とを比較し、前記運転時間が規定時間よりも短いときには前記圧縮機の圧縮運転を継続し、前記運転時間が規定時間を越えたときには前記加算時間に基づいて前記圧縮機を圧縮停止に切換える構成としてなる請求項2に記載の圧縮機の制御装置。
【請求項6】
前記運転台数減少手段は、前記時間しきい値よりも短時間の規定時間と前記運転時間とを比較し、前記運転時間が規定時間よりも短いときには圧縮運転する圧縮機の台数を維持し、前記運転時間が規定時間を越えたときには前記加算時間に基づいて圧縮運転する圧縮機の台数を減少させる構成としてなる請求項3に記載の圧縮機の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−156208(P2009−156208A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336972(P2007−336972)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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