説明

圧電アクチュエータの製造方法及び液体吐出ヘッドの製造方法

【課題】溝が設けられた振動板上にエアロゾルデポジション法を用いて形成した拡散防止層を備える圧電アクチュエータの製造方法、並びに液体吐出ヘッドの製造方法において、拡散防止層を振動板上にムラなく形成する。
【解決手段】拡散防止層形成工程に、振動板80に含まれる元素の圧電層81への拡散を規制するセラミックス粒子を含むエアロゾルを、振動板80の溝86が形成された面に向けて第一の方向から吹き付ける段階と、前記第一の方向と異なる第二の方向から吹き付ける段階とを含み、振動板80上の同一範囲につき複数の互いに異なる方向から前記エアロゾルを吹き付けることにより振動板80上に拡散防止層90を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾルデポジション法を用いた圧電アクチュエータ及び液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタに備えられているインクジェットヘッドには、圧電アクチュエータを具備しているものがある。この圧電アクチュエータは、インクの流路が形成された流路ユニットにおいてノズル開口と連通する圧力室の開口部を閉じるように設けられる振動板を備え、この振動板上に下部電極、圧電層、及び上部電極を積層したものである。下部電極と上部電極との間に電界を印加すると、圧電層の変形に伴って振動板が撓み、圧力室内のインクが加圧されてノズル開口から吐出される。
【0003】
上記のような圧電アクチュエータの製造工程において、振動板を十分に撓ませるために必要な圧電特性を圧電層に与えるために、振動板と圧電層との積層体にアニール処理が施される。しかし、600℃を越えるような高温でアニール処理を行うと、振動板に含まれる元素が圧電層中に拡散し、圧電層の圧電特性を低下させてしまうことがある。ステンレスは安価で加工性に優れていることから、圧電アクチュエータにはステンレス製の振動板が用いられることが多いが、ステンレスは圧電層中に拡散しやすいFe、Cr等の金属元素を含んでおり、振動板に含まれる元素の圧電層中への拡散が特に顕著となる。そこで、振動板と圧電層との間に拡散防止層としてアルミナなどの絶縁性酸化物の層が設けられた圧電アクチュエータがある。
【0004】
また、圧電アクチュエータにおいて、近接して配置される圧力室間の干渉を避け、比較的低電圧でも振動板を液滴噴射可能な程度にまで撓ませることができるように、振動板の圧力室間に対応する位置に溝が形成されることがある。このような圧電アクチュエータの製造方法として、特許文献1では、予め溝を形成した振動板上にエアロゾルデポジション法(以下、「AD法」と記載する)を用いて拡散防止層を形成し、さらに、AD法を用いて拡散防止層上に圧電層を形成することが開示されている。
【0005】
なお、AD法とは、材料粒子を気体中に分散させたもの(エアロゾル)を被成膜面に向けて噴射し、材料粒子を被成膜面に衝突させて堆積させることにより、被成膜面上に材料粒子を成分とする膜を形成する成膜手法である。一般に、AD法を実施する成膜装置には、減圧容器と、エアロゾル発生器と、エアロゾル発生器に接続された噴射ノズルとが備えられ、前記減圧容器内の天井に被成膜体が略水平方向に移動可能に配設され、この被成膜体の下方に噴射ノズルがその噴射方向が前記被成膜体の被成膜面と略直交するように配設されている。そして、噴射ノズルを固定したまま被成膜体を略水平方向に移動させることによって、噴射ノズルに対する被成膜面の相対的位置を変化させて、被成膜面の広範囲に対してエアロゾルを吹き付けることができるようにしている。
【特許文献1】特開2006−96034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1にも記載されているように、圧電アクチュエータの製造工程において、振動板上に拡散防止層を形成するために、AD法を用いることができる。しかし、AD法を実施する成膜装置において被成膜体の被成膜面と噴射ノズルの噴射方向との角度は略一定に保持されていることから、振動板に設けられている溝の形状によっては前記溝の内壁に噴射ノズルから噴射されたエアロゾルが当たらない死角が生じ、拡散防止層の厚みが極端に小さくなってしまう部分が生じる。このような場合に、振動板と拡散防止層と圧電層との積層体にアニール処理を施すと、拡散防止層の厚みが不十分である部分から振動板元素が圧電層へ拡散してしまい、圧電層の圧電特性を低下させてしまうこととなる。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、溝が設けられた振動板上にAD法を用いて形成した拡散防止層を備える圧電アクチュエータ及び液体吐出ヘッドの製造方法において、前記振動板に設けられた溝の内壁において拡散防止層の厚みが極端に小さくなる部分をなくして、振動板に含まれる金属元素の圧電層への拡散を抑制し、圧電アクチュエータの圧電特性の低下を防止するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、溝が形成された振動板に順に積層された拡散防止層及び圧電層を有する圧電アクチュエータの製造方法であって、
エアロゾルデポジション法を用いて、前記振動板に含まれる元素の前記圧電層への拡散を規制するセラミックス粒子を含有するエアロゾルを前記振動板の溝が形成された表面に向けて、第一の方向から吹き付けるステップと、前記第一の方向と異なる第二の方向から吹き付けるステップとを含み、前記振動板上の同一範囲につき複数の異なる方向から前記エアロゾルを吹き付けることにより前記振動板上に拡散防止層を形成する拡散防止層形成工程を、含んでいるものである。
【0009】
前記圧電アクチュエータの製造方法において、前記複数の異なる方向には、前記エアロゾルの吹き付けにより前記振動板の溝の表面に形成される膜の膜厚の極小部分の位置が相違する2方向が含まれていることがよい。
【0010】
さらに、前記圧電アクチュエータの製造方法において、前記第一の方向と前記第二の方向はともに前記振動板の表面に対して垂直ではない傾きを有し、前記第一の方向の前記振動板の表面と略平行な成分と前記第二の方向の前記振動板の表面と略平行な成分はともに前記振動板の溝の伸びる方向に対して傾きを有していることがよい。
【0011】
また、本発明は、前記圧電アクチュエータの製造方法において、前記振動板に形成された前記拡散防止層上の所定位置に、前記圧電層に電圧を印加するための電極を形成する下部電極形成工程を、含んでいるものである。
【0012】
また、本発明は、前記圧電アクチュエータの製造方法において、エアロゾルデポジション法を用いて、前記振動板の前記拡散防止層が形成された面に向けて圧電材料の粒子を含有するエアロゾルを吹き付け、前記圧電層を形成する圧電層形成工程を、含んでいるものである。
【0013】
前記圧電層形成工程において、前記圧電材料の粒子を含むエアロゾルを、前記振動板の溝が形成された面に対して一方向から吹き付けることがよい。
【0014】
また、本発明は、前記圧電アクチュエータの製造方法において、前記圧電層上の所定位置に、前記圧電層に電圧を印加するための電極を形成する上部電極形成工程を、含んでいるものである。
【0015】
本発明は、溝が形成された振動板に順に積層された拡散防止層及び圧電層を有する圧電アクチュエータの製造方法であって、
前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、その圧電層形成工程の前に行われるものであって、エアロゾルデポジション法を用いて、前記振動板の溝が形成された面に向けて、前記振動板に含まれる元素の前記圧電層への拡散を規制するセラミックス粒子を含むエアロゾルを複数の異なる方向から吹き付け、前記拡散防止層を形成する拡散防止層形成工程を、含んでいるものである。
【0016】
本発明は、上述の圧電アクチュエータの製造方法によって製造された製造された圧電アクチュエータと、圧力室を含む個別液体流路を複数設けた流路ユニットとを接合して成る液体吐出ヘッドの製造方法であって、
前記個別液体流路となる孔が形成された複数の金属製プレートを積層して接合することにより前記流路ユニットを形成する流路ユニット形成工程と、前記個別液体流路の前記圧力室を前記振動板で覆うように前記流路ユニットと前記圧電アクチュエータの振動板とを接合する接合工程とを、含んでいるものである。
【0017】
前記圧電アクチュエータの製造方法において、前記振動板に形成された溝とは、前記流路ユニットの前記圧力室の周囲に対応する位置に形成された溝であることがよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
本発明によれば、エアロゾルデポジション法を用いて振動板上に拡散防止層を形成するにあたって、振動板に対して複数の異なる方向からエアロゾルを吹き付けるので、振動板に設けられた溝の内壁にもエアロゾル中の材料粒子を衝突させて、振動板上にムラなく拡散防止層を形成することができる。よって、アニール処理を施したときの圧電層への振動板に含まれる金属元素の拡散を確実に抑制して、圧電特性の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複説明を省略する。
【0021】
本発明の実施の形態に係る圧電アクチュエータは、液体吐出ヘッドに備えられている。ここでは、前記液体吐出ヘッドの一例として、記録用紙にインクを噴射するインクジェットヘッドを挙げている。そこで、まず、図1〜図3を参照してインクジェットヘッド1について説明する。図1は本発明の実施の形態に係るインクジェットの構造を示す一部平面図、図2は図1におけるII−II線断面図、図3は図1におけるIII−III線断面図である。
[インクジェットヘッド1の構造]
インクジェットヘッド1は、内部に圧力室14を含む個別液体流路21が形成された流路ユニット2と、この流路ユニット2の上面に積層された圧電アクチュエータ3とを備えている。
[流路ユニット2の構造]
まず、流路ユニット2の構造について説明する。流路ユニット2は圧力室プレート10、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及びノズルプレート13を備えており、これら4枚のプレート10〜13が積層状態で接着されている。このうち、圧力室プレート10、ベースプレート11及びマニホールドプレート12はステンレス鋼製の板であり、これら3枚のプレート10〜12に、後述するマニホールド17や圧力室14等を含む個別液体流路21がエッチングにより形成されている。また、ノズルプレート13は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料により形成され、マニホールドプレート12の下面に接着されている。或いは、このノズルプレート13も、3枚のプレート10〜12と同様にステンレス鋼等の金属材料で形成されていてもよい。
【0022】
圧力室プレート10には、複数の圧力室14が形成されている。これら複数の圧力室14は、流路ユニット2の表面(後述の振動板80が接合される圧力室プレート10の上面)において開口している。各圧力室14は、平面視で略長円(楕円)形状に形成されており、その長尺方向がインクジェットヘッド1の走査方向となるように配置されている。
【0023】
ベースプレート11の平面視で圧力室14の長尺方向両端部と重なる位置には、それぞれ連通孔15,16が形成されている。また、マニホールドプレート12には、圧力室14の長尺方向と略直交する方向に延び、平面視で圧力室14の長尺方向のいずれか一方の端部と重なるマニホールド17が形成されている。このマニホールド17には、インクタンク(図示略)から圧力室プレート10に形成されたインク供給口(図示略)を介してインクが供給される。また、平面視で圧力室14のマニホールド17と反対側の端部と重なる位置には、連通孔19も形成されている。さらに、ノズルプレート13には、平面視で複数の連通孔19にそれぞれ重なる位置に、複数のノズル20がそれぞれ形成されている。ノズル20は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂の基板にエキシマレーザー加工を施すことにより形成される。
【0024】
そして、マニホールド17は、連通孔15を介して圧力室14と連通され、さらに、圧力室14は連通孔16,19を介してノズル20と連通されている。このように、流路ユニット2内には、マニホールド17から圧力室14を経てノズル20に至る個別液体流路21が形成されている。
[圧電アクチュエータ3の構造]
次に、圧電アクチュエータ3の構造について説明する。圧電アクチュエータ3は、流路ユニット2の上面に配置された導電性を有する振動板80と、振動板80の上面に形成された拡散防止層90と、この拡散防止層90の上面に形成された下部電極82と、この下部電極82が形成された拡散防止層90の上面に複数の圧力室14に跨って形成された圧電層81と、この圧電層81の上面に形成された上部電極84とを備えている。
【0025】
振動板80は、平面視で略矩形状の金属材料からなる板であり、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金などからなる。この振動板80は、複数の圧力室14の開口を塞ぐ状態で圧力室プレート10の上面に積層されて接合されている。この振動板80の上面(流路ユニット2と反対側の面)において、平面視で最も近接する圧力室14(圧力室の短尺方向に隣接する圧力室14)との間に、圧力室14の長尺方向の縁に沿って延びる溝86が形成されている。この溝86は、隣接する2つの圧力室14,14の間の領域でこれら2つの圧力室14,14に共通に形成されている。但し、溝86の形状は上記形態に限定されるものではなく、例えば、振動板80の上面において、平面視で複数の圧力室14と重ならない領域に、圧力室14の縁に沿って延び、圧力室14のマニホールド17側の端部を除いて取り囲む形状の溝とすることもできる。
【0026】
拡散防止層90は、アルミナ、ジルコニア等のセラミックス材料などからなる絶縁膜であって、振動板80に含まれる元素の圧電層81への拡散の防止するために機能する。この拡散防止層90は、複数の圧力室14に跨って連続的に形成されている。なお、拡散防止層90の振動板80に形成された溝86に対応する位置には、溝86と同様の平面形状を有する溝88が形成されている。
【0027】
下部電極82は、金などの導電性材料からなり、ここでは複数の圧力室14間にわたって設けられた共通電極として形成されている。この共通電極としての下部電極82は、後述する複数の上部電極84に対向して上部電極84と下部電極82との間の圧電層81に電界を作用させる。
【0028】
圧電層81は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分としている。この圧電層81は、複数の圧力室14に跨って形成されている。なお、圧電層81の、振動板80に形成された溝86に対応する位置には、溝86と同様の平面形状を有する溝87が形成されている。
【0029】
上部電極84は、金などの導電性材料からなり、ここでは複数の圧力室14にそれぞれ対応して設けられた個別電極として形成されている。上部電極84は、圧力室14よりも一回り小さい長円(楕円)形の平面形状を有し、圧電層81の表面の平面視で対応する圧力室14の中央部に重なる位置にそれぞれ形成されている。さらに、圧電層81の表面において、圧力室14の周囲に設けられた溝87に取り囲まれていない端部と部分的に重なる位置には、上部電極84に連なる端子部85が形成されている。複数の端子部85は、フレキシブルプリント配線板等の可撓性を有する配線部材を介してドライバIC(図示省略)と電気的に接続されており、ドライバICから端子部85を介して複数の上部電極84に対して選択的に駆動電圧が供給される。
【0030】
なお、上記圧電アクチュエータ3では、下部電極82が共通電極であって上部電極84が個別電極であるが、これを逆にして、下部電極82が個別電極であって上部電極84が共通電極であってもかまわない。但し、この場合は個別電極に設けられる端子部に接続される配線部材を絶縁させる必要がある。
[圧電アクチュエータ3の作用]
次に、インクジェットヘッド1における圧電アクチュエータ3の作用について説明する。複数の上部電極84に対してドライバICから選択的に駆動電圧が印加されると、駆動電圧が供給された圧電層81上側の上部電極84とグランド電位に保持されている圧電層81下側の下部電極82との電位が異なる状態となり、上部電極84と下部電極82の間に挟まれた圧電層81の部分に上下方向の電界が生じる。すると、駆動電圧が印加された上部電極84の直下の圧電層81の部分が分極方向である上下方向と直交する水平方向に収縮する。このとき、この圧電層81の収縮に伴って振動板80が圧力室14側に凸となるように変形するため、圧力室14内の容積が減少して圧力室14内のインクに圧力が付与され、圧力室14に連通するノズル20からインクが噴射される。
【0031】
従来のインクジェットヘッド1では、複数の圧力室14が平面に沿って密集して配置されており、ある圧力室14に対応する上部電極84に駆動電圧が印加されて、この圧力室14と重なる位置の圧電層81及び振動板80が変形したときに、この変形が隣接する圧力室14に重なる圧電層81及び振動板80に伝播してしまう現象、いわゆる、クロストークが生じやすい。しかし、前述した通り、振動板80、拡散防止層90及び圧電層81の、平面視で圧力室14と重ならない領域には、圧力室14の縁に沿って延び圧力室14同士の間に介在する溝86,87,88が形成されており、これら溝86,87,88が形成された領域においては、振動板80と圧電層81の厚さが他の領域に比べて薄くなっている。従って、ある圧力室14上において積層されている振動板80及び圧電層81の変形が、隣接する他の圧力室14上において積層されている振動板80及び圧電層81に伝播しにくくなるため、クロストークを確実に抑制することができる。
[成膜装置30の構造]
ところで、上記構成のインクジェットヘッド1の圧電アクチュエータ3の製造工程において、拡散防止層90と圧電層81とはエアロゾルデポジション法(以下、「AD法」と記載する)を実施する成膜装置を用いて成膜されたものである。そこで、この成膜装置の概略構成を図4を用いて説明する。図4は成膜装置の概略構成を示すブロック図である。
【0032】
成膜装置30は、拡散防止材料粒子をキャリアガスに分散させてエアロゾルを形成する第一エアロゾル発生器31と、第一エアロゾル発生器31にて生成したエアロゾルを被成膜体60に向けて噴射する第一噴射ノズル40及び第二噴射ノズル41と、圧電材料粒子をキャリアガスに分散させてエアロゾルを形成する第二エアロゾル発生器51と、第二エアロゾル発生器51にて生成したエアロゾルを被成膜体60に向けて噴射する第三噴射ノズル58と、内部に噴射ノズル40,41,58と被成膜体60とを配置した成膜チャンバ62とを備えている。
【0033】
第一エアロゾル発生器31は、拡散防止材料粒子を内部に収容可能なエアロゾル室33aと、このエアロゾル室33aに取り付けられてエアロゾル室33aを振動する加振装置33bとを備えている。エアロゾル室33aには、キャリアガスを導入するためのガスボンベ35が導入管34を介して接続されている。導入管34の先端はエアロゾル室33a内部において底面付近に位置し、材料粒子中に埋没されている。前記拡散防止材料粒子は、振動板80に含まれる元素の圧電層81への拡散を規制するアルミナ、ジルコニア等のセラミックスの微粒子である。また、前記キャリアガスとしては、例えばヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスや空気、酸素等を使用することができる。
【0034】
エアロゾル室33aには、エアロゾル室33a内のエアロゾルを噴射ノズル40,41へ供給するためのエアロゾル供給管32が接続されている。エアロゾル供給管32は切替バルブ38を介して二本の供給管32a,32bに分岐されており、二本の供給管32a,32bにはそれぞれ第一噴射ノズル40、第二噴射ノズル41が接続されている。切替バルブ38は、コントローラ65の指令を受けて動作し、第一噴射ノズル40にエアロゾルを供給する状態、第二噴射ノズル41にエアロゾルを供給する状態、及びエアロゾル供給管32を閉止する状態の三態に切り替えることができる。
【0035】
第二エアロゾル発生器51は、圧電材料の粒子を内部に収容可能なエアロゾル室53aと、このエアロゾル室53aに取り付けられてエアロゾル室53aを振動する加振装置53bとを備えている。エアロゾル室53aには、キャリアガスを導入するためのガスボンベ55が導入管54を介して接続されている。導入管54の先端はエアロゾル室53a内部において底面付近に位置し、材料粒子中に埋没されている。前記圧電材料は、例えば、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。前記キャリアガスとしては、例えばヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスや空気、酸素等を使用することができる。
【0036】
エアロゾル室53aには、エアロゾル室53a内のエアロゾルを第三噴射ノズル58へ供給するためのエアロゾル供給管52が接続されている。エアロゾル供給管52には、コントローラ65の指令を受けて動作する切替バルブ57が設けられており、この切替バルブ57により、第三噴射ノズル58にエアロゾルを供給する状態とエアロゾル供給管52を閉止する状態とに切り替えることができる。
【0037】
成膜チャンバ62には、被成膜体60を取り付けるためのステージ61と、このステージ61の下方に設けられた噴射ノズル40,41,58が備えられている。また、この成膜チャンバ62には、粉体回収装置63を介して真空ポンプ64が接続されており、その内部を減圧することができる。
【0038】
成膜チャンバ62内において、三本の噴射ノズル40,41,58は、第一噴射ノズル40と第二噴射ノズル41とで第三噴射ノズル58をはさむように配置されている。そしてこれらの噴射ノズル40,41,58のうち、第三噴射ノズル58は、その噴射方向がステージ61に保持された被成膜体60の被成膜面に対して略垂直となるように配設されている。一方、第一噴射ノズル40と第二噴射ノズル41とは、その噴射方向がステージ61に保持された被成膜体60の被成膜面に対して垂直ではなく例えば、60〜80°程度の傾きを有していることがよい。そして、第一噴射ノズル40と第二噴射ノズル41との噴射方向の水平成分同士は対向していることが望ましい。なお、ここで噴射ノズル40,41,58の「噴射方向」とは噴射ノズル40,41,58の軸方向をいい、噴射方向の「水平成分」とは噴射方向の被成膜面と略平行な成分をいう。
[インクジェットヘッド1、圧電アクチュエータ3の製造方法]
ここで、インクジェットヘッド1の製造方法について説明し、そのうち特に、上記成膜装置30を用いて圧電アクチュエータ3を製造する方法について、図5〜図10を用いて詳細に説明する。図5は拡散防止層形成工程を説明する図であって(a)は第一拡散防止材料吹付段階の振動板の一部拡大断面図、(b)は第二拡散防止材料吹付段階の振動板の一部拡大断面図である。図6は振動板に対するエアロゾルの吹付方向の一例を説明する図であって(a)は振動板と吹付方向との関係を示す側面図、(b)は振動板と吹付方向との関係を示す平面図である。図7は下部電極形成工程を説明する振動板の一部拡大断面図、図8は圧電層形成工程を説明する振動板の一部拡大断面図、図9は上部電極形成工程を説明する圧電アクチュエータの一部拡大断面図、図10は圧電アクチュエータの製造過程の流れ図である。
【0039】
まず、流路ユニット2を製造する。ここで、圧力室14を含む個別液体流路21となる孔が形成された圧力室プレート10、ベースプレート11、マニホールドプレート12及びノズルプレート13をそれぞれ位置合わせして順に積層して接合することにより、流路ユニット2を形作る。この流路ユニット2の圧力室プレート10の上面に、振動板80によって各圧力室14が閉塞されるように該振動板80を位置合わせて積層し、圧力室プレート10と振動板80とを接合する。このとき、振動板80には、流路ユニット2の圧力室14の周囲に対応する位置に、エッチング加工などにより予め溝86が形成されている。
【0040】
次に、溝86が形成された振動板80上に、AD法を用いて拡散防止層90を形成する(拡散防止層形成工程(ステップS1))。この拡散防止層形成工程(ステップS1)では、振動板80に対して第一噴射ノズル40から拡散防止材料粒子を含むエアロゾルを吹き付ける第一拡散防止材料吹付段階(ステップS1a)と、振動板80に対して第二噴射ノズル41から拡散防止材料粒子を含むエアロゾルを吹き付ける第二拡散防止材料吹付段階(ステップS1b)との、振動板80の同一範囲につき複数の互いに異なる方向からエアロゾルを吹き付ける段階を踏んでいる。
【0041】
ここで成膜装置30を用いる。まず、溝86が予め形成された振動板80を被成膜体60として成膜装置30のステージ61に取り付ける。このとき、振動板80の溝86が形成された面を被成膜面とし、溝86の長尺方向と噴射ノズル40,41の噴射方向の水平成分とが平行とならないように、振動板80がステージ61に配置される。続いて、ガスボンベ35からキャリアガスを導入して、そのガス圧で材料粒子を舞い上がらせるとともに、加振装置33bによってエアロゾル室33aを振動することでキャリアガスと材料粒子とを混合してエアロゾルを発生させる。そして、成膜チャンバ62内を真空ポンプ64により減圧し、コントローラ65にて閉止されているエアロゾル供給管32を第一噴射ノズル40へエアロゾルを供給するように切替バルブ38を切り替えることにより、エアロゾル室33aと成膜チャンバ62との間の差圧により、エアロゾル室33aのエアロゾルを高速に加速しつつ第一噴射ノズル40から噴出させる。続いて、コントローラ65にて第二噴射ノズル41へエアロゾルを供給するように切替バルブ38を切り替えて、エアロゾル室33aのエアロゾルを高速に加速しつつ第二噴射ノズル41から噴出させる。このようにして、噴射ノズル40,41から噴出したエアロゾルに含まれる材料粒子は振動板80に衝突して堆積し、振動板80上に拡散防止材料を主成分とする膜が形成され、これが拡散防止層90となる。
【0042】
このように、拡散防止層形成工程(ステップS1)では、拡散防止材料粒子を含むエアロゾルを振動板80の溝86が形成された面の同一範囲に対して、噴射ノズル40より第一の方向D1から吹き付ける段階と(図5(a))、第二噴射ノズル41より前記第一の方向と異なる第二の方向D2から吹き付ける段階(図5(b))とを踏むことにより、振動板80の同一範囲につき複数の互いに異なる方向からエアロゾルを吹き付けている。このとき、図6(a)に示すように、第一の方向D1と第二の方向D2は、いずれも被成膜面60a(振動板80の溝86が形成された側の表面)に対して垂直ではなく例えば、60〜80°程度の傾きθ1,θ2を有していることがよい。さらに、図6(b)に示すように、第一の方向D1と第二の方向D2との水平成分D1h,D2hは何れも振動板80の溝86の長尺方向Mに対して傾きを有し(つまり、水平成分D1h,D2hと溝86の長尺方向Mとは平行でなく)、且つ、第一の方向D1と第二の方向D2との水平成分D1h,D2hの溝86の長尺方向Mと略直交する成分同士は対向していることがよい。かかる構成により、前記複数の異なる方向には、エアロゾルの吹き付けにより振動板80の溝86の表面に形成される膜の膜厚の極小部分の位置が相違する2方向が含まれることとなる。
【0043】
図5(a)に示すように、第一拡散防止材料吹付段階(ステップS1a)では、振動板80に形成された溝86の長尺方向に伸びる二側面のうち一方の側面に材料粒子が衝突して堆積することにより膜90aが形成されるが、他方の側面には材料粒子は堆積しない。従って、第一拡散防止材料吹付段階(ステップS1a)では、この振動板80の溝86の他方の側面が、振動板80の溝86の表面に形成される膜の膜厚の極小部分となる。
【0044】
一方、図5(b)に示すように、第二拡散防止材料吹付段階(ステップS1b)では、振動板80に形成された溝86の長尺方向に伸びる二側面のうち第一拡散防止材料吹付段階(ステップS1a)で材料粒子が堆積した方の側面には材料粒子が堆積しないが、他方の側面に材料粒子が衝突して堆積することにより膜90bが形成される。従って、第二拡散防止材料吹付段階(ステップS1b)では、この振動板80の溝86の第一拡散防止材料吹付段階(ステップS1a)で材料粒子が堆積した方の側面が、振動板80の溝86の表面に形成される膜の膜厚の極小部分となる。
【0045】
このように、第一拡散防止材料吹付段階(ステップS1a)と第二拡散防止材料吹付段階(ステップS1b)とを経る結果、振動板80に形成された凹部である溝86の側面にも材料粒子が衝突して堆積するので、拡散防止層90を振動板80上にムラなく形成することができ、拡散防止層90の層の厚みの極端に薄い部分をなくすことができる。
【0046】
なお、ここでは、第一拡散防止材料吹付段階(ステップS1a)と第二拡散防止材料吹付段階(ステップS1b)とで振動板80に対して二つの異なる方向からエアロゾルを吹き付けているが、エアロゾルの吹付方向の数及び吹付回数はこれに限定されるものではなく、エアロゾルの吹付方向が複数であれば、振動板80に設けられた溝86の内壁面を含めムラなく拡散防止層90を形成することが可能である。また、第一拡散防止材料吹付段階(ステップS1a)と第二拡散防止材料吹付段階(ステップS1b)は、それぞれをひとつづつ順番に行うことが可能であるし、第一噴射ノズル40と第二噴射ノズル41から一斉に噴射することで同時に行うことも可能である。また、本実施の形態では、成膜装置30に第一噴射ノズル40と第二噴射ノズル41との二つの噴射ノズルを備えているが、成膜装置30に一つの噴射ノズルを備えるとともにステージ61を略垂直方向に揺動可能に構成して噴射ノズルの噴射方向に対する被成膜面の角度を可変としてもよい。
【0047】
続いて、拡散防止層90上に、下部電極82を形成する(下部電極形成工程(ステップS3))。図7に示すように、下部電極82は、スクリーン印刷法、スパッタ法、あるいは蒸着法等を用いて振動板80に積層された拡散防止層90の溝86と重複しない部分に形成される。
【0048】
さらに、下部電極82が形成された拡散防止層90上に、AD法を用いて圧電層81を形成する(圧電層形成工程(ステップS4))。ここで成膜装置30を用いる。まず、拡散防止層90及び下部電極82が形成された振動板80を被成膜体60として成膜装置30のステージ61に取り付ける。次に、ガスボンベ55からキャリアガスを導入して、そのガス圧で材料粒子を舞い上がらせるとともに、加振装置53bによってエアロゾル室53aを振動することでキャリアガスと材料粒子とを混合してエアロゾルを発生させる。そして、成膜チャンバ62内を真空ポンプ64により減圧し、コントローラ65にて閉止されているエアロゾル供給管52を第三噴射ノズル58へエアロゾルを供給するように切替バルブ57を切り替えることにより、エアロゾル室53aと成膜チャンバ62との間の差圧により、エアロゾル室53aのエアロゾルを高速に加速しつつ第三噴射ノズル58から噴出させる。噴出したエアロゾルに含まれる材料粒子は拡散防止層90又は下部電極82に衝突して堆積し、圧電層81となる膜を形成する。
【0049】
図8に示すように、圧電層形成工程(ステップS4)においてエアロゾルの吹き付けは、被成膜面に対して略垂直方向の噴射方向を有する第三噴射ノズル58により行われることから、拡散防止層90上の溝88の底部分に材料粒子は堆積するが、溝88の側壁部分には堆積しないか、堆積しても極端に厚みが小さくなる。このようにして被成膜面(下部電極82が設けられた拡散防止層90の表面)上で不連続に成膜された圧電層81は、該圧電層81に形成される溝87の側壁部分の層厚が極端に小さいものとなる。このような溝87の側壁部分の層厚が極端に小さい圧電層81を有する圧電アクチュエータ3は、振動板80に設ける溝86の作用を阻害しないという点で優位である。
【0050】
続いて、必要な圧電特性を得るために、形成した圧電層81のアニール処理を行う(ステップS5)。このとき、振動板80と圧電層81との間にムラなく形成された拡散防止層90が存在するために、ステンレス製の振動板80に含まれている金属元素は圧電層81には拡散しない。
【0051】
次に、圧電層81の上面に上部電極84及び上部電極84に接続した複数の端子部85を形成する(上部電極形成工程(ステップS6))。上部電極84及び端子部85を形成するに際して、例えば、上部電極84上の全域に導体膜を形成したのち、フォトリソグラフィ・エッチング法を利用して不要な部分を除去して所定のパターンに形成してもよく、あるいは、圧電層81の上面に直接スクリーン印刷により形成してもよい。
【0052】
このあと、上部電極84と下部電極82との間に通常のインク噴射動作時より強い磁界を印加して両電極間の圧電層81を厚み方向に分極する分極処理を行う(ステップS7)。以上により、流路ユニット2の圧力室プレート10に接合された振動板80の上に、拡散防止層90、下部電極82、圧電層81、及び上部電極84を順に積層して成る圧電アクチュエータ3が形成されて、インクジェットヘッド1が完成する。なお、流路ユニット2の圧力室プレート10と振動板80との接合を、分極処理(ステップS7)の後で行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、溝が設けられた振動板上にエアロゾルデポジション法を用いて形成した拡散防止層を有する圧電アクチュエータ、並びに、この圧電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドなどの液体吐出ヘッドの製造方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクジェットの構造を示す一部平面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】成膜装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】拡散防止層形成工程を説明する図であって(a)は第一拡散防止材料吹付段階の振動板の一部拡大断面図、(b)は第二拡散防止材料吹付段階の振動板の一部拡大断面図である。
【図6】振動板に対するエアロゾルの吹付方向の一例を説明する図であって(a)は振動板と吹付方向との関係を示す側面図、(b)は振動板と吹付方向との関係を示す平面図である。
【図7】下部電極形成工程を説明する振動板の一部拡大断面図である。
【図8】圧電層形成工程を説明する振動板の一部拡大断面図である。
【図9】上部電極形成工程を説明する圧電アクチュエータの一部拡大断面図である。
【図10】圧電アクチュエータの製造過程の流れ図である。
【符号の説明】
【0055】
1 インクジェットヘッド
2 流路ユニット
3 圧電アクチュエータ
10 圧力室プレート
11 ベースプレート
12 マニホールドプレート
13 ノズルプレート
14 圧力室
21 個別液体流路
80 振動板
81 圧電層
82 下部電極
84 上部電極
86,87,88 溝
90 拡散防止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝が形成された振動板に順に積層された拡散防止層及び圧電層を有する圧電アクチュエータの製造方法であって、
エアロゾルデポジション法を用いて、前記振動板に含まれる元素の前記圧電層への拡散を規制するセラミックス粒子を含有するエアロゾルを前記振動板の溝が形成された表面に向けて、第一の方向から吹き付けるステップと、前記第一の方向と異なる第二の方向から吹き付けるステップとを含み、前記振動板上の同一範囲につき複数の異なる方向から前記エアロゾルを吹き付けることにより前記振動板上に拡散防止層を形成する拡散防止層形成工程を、
含む圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項2】
前記複数の異なる方向には、前記エアロゾルの吹き付けにより前記振動板の溝の表面に形成される膜の膜厚の極小部分の位置が相違する2方向が含まれている、
請求項1に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項3】
前記第一の方向と前記第二の方向はともに前記振動板の表面に対して垂直ではない傾きを有し、前記第一の方向の前記振動板の表面と略平行な成分と前記第二の方向の前記振動板の表面と略平行な成分はともに前記振動板の溝の伸びる方向に対して傾きを有している、
請求項1又は請求項2に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項4】
前記振動板に形成された前記拡散防止層上の所定位置に、前記圧電層に電圧を印加するための電極を形成する下部電極形成工程を、
含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項5】
エアロゾルデポジション法を用いて、前記振動板の前記拡散防止層が形成された面に向けて圧電材料の粒子を含有するエアロゾルを吹き付け、前記圧電層を形成する圧電層形成工程を、
含む、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項6】
前記圧電材料の粒子を含むエアロゾルを、前記振動板の溝が形成された面に対して一方向から吹き付ける、
請求項5に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項7】
前記圧電層上の所定位置に、前記圧電層に電圧を印加するための電極を形成する上部電極形成工程を、
含む、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項8】
溝が形成された振動板に順に積層された拡散防止層及び圧電層を有する圧電アクチュエータの製造方法であって、
前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、
その圧電層形成工程の前に行われるものであって、
エアロゾルデポジション法を用いて、前記振動板の溝が形成された面に向けて、前記振動板に含まれる元素の前記圧電層への拡散を規制するセラミックス粒子を含むエアロゾルを複数の異なる方向から吹き付け、前記拡散防止層を形成する拡散防止層形成工程を、
含む圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の圧電アクチュエータの製造方法によって製造された圧電アクチュエータと、圧力室を含む個別液体流路を複数設けた流路ユニットとを接合して成る液体吐出ヘッドの製造方法であって、
前記個別液体流路となる孔が形成された複数の金属製プレートを積層して接合することにより前記流路ユニットを形成する流路ユニット形成工程と、
前記個別液体流路の前記圧力室を前記振動板で覆うように前記流路ユニットと前記圧電アクチュエータの振動板とを接合する接合工程とを、
含む液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記振動板に形成された溝は、前記流路ユニットの前記圧力室の周囲に対応する位置に形成された溝である、
請求項9に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−164312(P2009−164312A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341550(P2007−341550)
【出願日】平成19年12月29日(2007.12.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】