説明

圧電発振器

【課題】
本発明の目的は容器同士の接続強度を改善可能な容器の接続用端子の電極配置構造及び接続用端子の電極配置を利用した書込端子の配置構造を改良した小型化対応可能な圧電発振器を提供することにある。
【解決手段】
圧電振動素子5を密閉容器構造の容器に収納した第1の容器1と、半導体集積部品6を収納した容器の裏面には外部との接続電極14と、容器の側面には半導体集積部品6に情報を書き込む、書込端子8を備えた第2の容器7とを有し、第2の容器7の上方に第1の容器1を重ねて一体化した圧電発振器において、
第2の容器7の側面に形成する書込端子8の位置と電気的に接続して、第1の容器1の側面に書込端子8を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用通信機器等の電子機器に用いられる圧電発振器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯用通信機器等の電子機器に圧電発振器が用いられている。
【0003】
かかる従来の圧電発振器としては、例えば図6に示す如く、内部に図中には示されていないが、圧電振動素子が収容されている第1の容器23を、開口部25内に前記の圧電振動素子の振動に基づいて発振出力を制御する半導体集積部品26やコンデンサ等の電子部品素子が収容されている第2の容器21上に取着させた構造のものが知られており、かかる圧電発振器をマザーボード等の外部配線基板上に載置させた上、第2の容器21の下面に設けられている外部端子を外部配線基板の配線にはんだ接合することにより外部配線基板上に実装される。
【0004】
なお、第1の容器23や第2の容器21は、通常、セラミック材料によって形成されており、その内部や表面には配線導体が形成され、従来周知のセラミックグリーンシート積層法等を採用することにより製作される。
【0005】
また、前記半導体集積部品26の内部には、圧電振動素子の温度特性に応じて作成された温度補償データに基づいて圧電発振器の発振周波数を補正するための温度補償回路が設けられており、圧電発振器を組み立てた後、上述の温度補償データを半導体集積部品26のメモリ内に格納すべく、第2の容器21の下面や外側面等には温度補償データ書込用の書込端子27が設けられていた。この書込端子27に温度補償データ書込装置のプローブ針を当てて半導体集積部品26内のメモリに温度補償データを入力することにより、温度補償データが半導体集積部品26のメモリ内に格納される。
【0006】
また、上述の第1の容器23と第2の容器21との接続には、第2の容器21上の接続用端子28と第1の容器23の裏面に接続用端子28と対応する位置に設けられた接続用端子(不図示)とを半田等の導電性材料で固着することにより行っていた。
【特許文献1】特開2004−129090号公報
【0007】
なお、出願人は前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を、本件出願時までに発見するに至らなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の圧電発振器の第1の容器23と第2の容器21とを接続させる場合、圧電発振器が小型化するにつれ、第2の容器21上の接続用端子28の占有面積が狭くなり、半田の塗布量不足や接合面不足により、第1の容器23と第2の容器21との接続強度を確保するのが困難となり、接続信頼性が劣化するという欠点を有していた。また、同様に書込端子27も縮小化され、書込作業が困難となる欠点も有していた。
【0009】
本発明は上記欠点に鑑み考え出されたものであり、従ってその目的は、容器同士の接続強度を改善できる容器の接続用端子の電極配置構造及び前記接続用端子の電極配置を利用した書込端子の配置構造を改良した小型化対応可能な圧電発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の圧電発振器は、圧電振動素子を密閉容器構造の容器に収納した第1の容器と、半導体集積部品を収納した容器の裏面には外部との接続電極と、前記容器の側面には半導体集積部品に情報を書き込む、書込端子を備えた第2の容器とを有し、前記第2の容器の上方に前記第1の容器を重ねて一体化した圧電発振器において、前記第2の容器の側面に形成する書込端子位置と電気的に接続して、前記第1の容器の側面に書込端子を形成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の圧電発振器は、上記構成において、第1の容器側面に形成する書込端子は、第2の容器の側面に形成する書込端子位置と同じ位置関係にあることを特徴とする。
【0012】
また、上記構成における圧電発振器は、第1の容器に収納する圧電振動素子の周波数出力端子と、書込端子とが第2の容器と電気的に接続されており、一体的に接合してあることを特徴とする。
【0013】
また、上記構成における圧電発振器は、書込端子に書き込む情報は、温度補償型発振器に必要な温度補償データであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の圧電発振器によれば、圧電振動素子を密閉容器構造の容器に収納した第1の容器と、半導体集積部品を収納した容器の裏面には外部との接続電極と、前記容器の側面には半導体集積部品に情報を書き込む、書込端子を備えた第2の容器とを有し、前記第2の容器の上方に前記第1の容器を重ねて一体化した圧電発振器において、前記第2の容器の側面に形成する書込端子位置と電気的に接続して、前記第1の容器の側面に書込端子を形成したことから、第1の容器の書込端子と第2の容器の書込端子が接続されることで、書込端子が第1の容器と第2の容器の接続用端子として機能するため、第1の容器と第2の容器との接続強度の向上が可能となる。
【0015】
また、第1の容器側面に形成する書込端子は、第2の容器の側面に形成する書込端子位置と同じ位置関係にあることから、書込端子の面積を有効に利用可能となるため、圧電発振器が小型化されても、書込端子の面積を十分確保出来できるため、圧電発振器の小型化に有利となると共に、温度補償データの書込作業が容易となり圧電発振器の作業性、生産性の向上が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図においての同一の符号は同じ対象を示すものとする。
【0017】
図1は図3のX−X’線で切断した場合の本発明における圧電発振器の短辺側を示す概略の断面図であり、図2は図1の圧電発振器の長辺側の側面図である。図3は絶縁性のシート状基板15から切断された1個の基板領域Aとその一端の捨代部と成る捨代領域Bを示した凹形状の開口部11を有する第2の容器7の上面図である。また、図4は圧電振動素子5を収容した第1の容器1の下面図であり、図5はシート状基板15に圧電振動素子5を収容した第1の容器1を搭載した状態を示す上面図である。
【0018】
図1に示す圧電発振器は、半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7の下面に接続電極14が設けられ、半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7の上面には半導体集積部品6、電子部品素子8が搭載されている。また、半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7の開口部11を囲う側面には枠壁部9、枠壁部9の外側面には書込端子8が形成されている。また、図1に示すように枠壁部9の上面には、圧電振動素子5が収容されている第1の容器1を載置して固定した構造を有している。また、半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7とその上面に搭載された半導体集積部品6間には熱硬化性樹脂10が注入されており、半導体集積部品6の回路形成面(下面)を保護している。
【0019】
図1において、第1の容器1は、例えば、ガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料から成る基板2と、基板2と同様のセラミック材料から成る側壁3、42アロイやコバール、リン青銅等の金属から成る蓋体4とから成り、基板2の上面に側壁3を取着させ、その上面に蓋体4を載置して固定させることによって第1の容器1が構成され、側壁3の内側に位置する基板2の上面に圧電振動素子5が実装されている。
【0020】
また、第1の容器1は、その内部に、具体的には、基板2の上面と側壁3の内面と蓋体4の下面とで囲まれる開口部内に圧電振動素子5を収容して気密封止されており、基板2の上面には圧電振動素子5の振動電極に接続される一対の搭載パッド等が、基板2の下面には後述する第2の容器7上の枠壁部9に接続される複数個の第1の容器の接続用端子12がそれぞれ設けられ、これらのパッドや端子は基板2表面の配線パターンや基板内部に埋設されているビアホール等を介して、対応するもの同士、相互に電気的に接続されている。また、第1の容器1の下面に形成される接続用端子12は第1の容器1の下面の4隅部と第1の容器1の下面の長辺側の中央部にそれぞれ1個ずつ形成されている。
【0021】
また、同様に図3に示すように第2の容器7の上面に形成された第2の容器の接続用端子13も第2の容器7の上面の4隅部と第2の容器7の上面の長辺側にそれぞれ1個ずつ形成され、第1の容器1の接続用端子12と対応する位置にある第2の容器7の接続用端子13とは半田等の導電性接合材により第1の容器1と第2の容器7とが電気的、機械的に接続固着されている。
【0022】
また、図2〜図4に示すように第1の容器1の下面の長辺側の中央部に形成された第1の容器1の接続用端子12は第1の容器1の側面に形成された書込端子8に電気的に接続されており、また同様に第2の容器7の上面の長辺側の中央部に形成された第2の容器7の接続用端子13は第2の容器7の側面に形成された書込端子8と電気的に接続されるように形成されている。
【0023】
一方、第1の容器1の内部に収容される圧電振動素子5は、所定の結晶軸でカットした圧電片の両主面に一対の振動電極を形成して成り、外部からの変動電圧が一対の振動電極を介して圧電片に印加されると、所定の周波数で厚みすべり振動を起こす。
【0024】
ここで第1の容器1の蓋体4を第1の容器1の接続用端子12や第2の容器7の接続用端子13を介して後述するグランド端子用の接続電極14に接続させておけば、その使用時に、金属から成る蓋体4が基準電位に接続されてシールド機能が付与されることと成るため、圧電振動素子5や半導体集積部品6を外部からの不要な電気的作用から良好に保護することができる。従って、第1の容器1の蓋体4は第1の容器1の接続用端子12や第2の容器7の接続用端子13を介してグランド端子用の接続電極14に接続させておくことが好ましい。
【0025】
そして、上述した第1の容器1が取着される半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7は概略矩形状を成しており、ガラス布基材エポキシ樹脂やポリカーボネイト,エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂等の樹脂材料やガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料等によって平板状を成すように形成されている。
【0026】
また、半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7は、基板領域Aの下面の四隅部に4つの接続電極14(電源電圧端子、グランド端子、発振出力端子、発振制御端子)が形成され、上面の四隅部を囲む周縁には枠壁部9が形成されている。また、第2の容器7の上面の中央域にはフリップチップ型の半導体集積部品6が、枠壁部9の長辺側の外側側面中央部には書込端子8が設けられている。
【0027】
また、半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7の下面に設けられている4つの接続電極14は、圧電発振器をマザーボード等の外部配線基板に接続するための端子として機能するものであり、圧電発振器を外部配線基板上に搭載する際、外部配線基板の回路配線と半田等の導電性接合材を介して電気的に接続されるように成っている。
【0028】
また、半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7の上面に設けられる枠壁部9は、半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7と第1の容器1との間に、半導体集積部品6を配置させるのに必要な所定の間隔を確保しつつ、半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7の接続用端子13を第1の容器1の接続用端子12に接続するためのものである。
【0029】
更に、上述した半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7の中央域には、複数個の電極パッドが設けられており、これら電極パッドに半導体集積部品6の接続パッドをAuバンプや半田、異方性導電接着材等の導電性接合材を介して電気的、及び機械的に接続させることによって半導体集積部品6が開口部11を有する第2の容器7上の所定位置に取着される。
【0030】
また、半導体集積部品6は、その回路形成面(下面)に、周囲の温度状態を検知する感温素子、圧電振動素子5の温度特性を補償する温度補償データを格納するメモリ、メモリ内の温度補償データに基づいて圧電振動素子5の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路、先の温度補償回路に接続されて所定の発振出力を生成する発振回路等が設けられており、この発振回路で生成された発振出力は、外部に出力された後、例えば、クロック信号等の基準信号として利用される。
【0031】
なお、上述した半導体集積部品6と開口部11を有する第2の容器7との間にはエポキシ樹脂等から成る熱硬化性樹脂10が介在されており、この熱硬化性樹脂10は半導体集積部品6の回路形成面(下面)と側面の一部を被覆するように被着されている。
【0032】
これにより、半導体集積部品6を収容する開口部11を有する第2の容器7に対する半導体集積部品6の取着強度が向上されるとともに、半導体集積部品6の回路形成面が熱硬化性樹脂10によって良好に被覆され、回路形成面の電子回路が大気中の水分等によって腐食されるのを有効に防止することができる。
【0033】
ここで、本発明の特徴部分は図1、図2に示すように、圧電振動素子5を密閉容器構造の容器に収納した第1の容器1と、半導体集積部品6を収納した容器の裏面には外部との接続電極14と、容器の側面には半導体集積部品6に情報を書き込む、書込端子8を備えた第2の容器7とを有し、第2の容器7の上方に第1の容器1を重ねて一体化した圧電発振器において、第2の容器7の側面に形成する書込端子8の位置と電気的に接続して、第1の容器1の側面に書込端子8を形成したことから、第1の容器1の書込端子8と第2の容器7の書込端子8が電気的に接続されることで、書込端子8が第1の容器1と第2の容器7を接続する電極として機能するため、第1の容器1と第2の容器7との接続強度の向上が可能となる。
【0034】
また、第1の容器1側面に形成される書込端子8は、第2の容器7の側面に形成する書込端子8の位置と同じ位置関係にあることから、書込端子8の面積を有効に利用可能となるため、圧電発振器が小型化されても、書込端子8の面積を十分確保出来できるため、圧電発振器の小型化に有利となるととともに、温度補償データの書込作業が容易となり圧電発振器の作業性、生産性の向上が可能となる。
【0035】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0036】
例えば、上述の実施形態においては、図2に示すように圧電発振器の長辺側の枠壁部9の中央部にそれぞれ1個の書込端子8を形成しているが、長辺側にそれぞれ複数個の書込端子8を設けても良いし、枠壁部9の短辺側に書込端子8を設けても構わない。この場合も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態にかかる圧電発振器の短辺側の概略の断面図である。
【図2】本発明の圧電発振器の長辺側の概略の側面図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる圧電発振器の絶縁性のシート状基板から切断された1個の基板領域とその一端の捨代領域を示した凹形状の第2の容器の上面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる圧電発振器の圧電振動素子が収容される第1の容器の概略の下面図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる圧電発振器に用いられるシート状基板に第1の容器を搭載した状態を示す上面図である。
【図6】従来の圧電発振器の概略の斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・第1の容器
2・・・基板
3・・・側壁
4・・・蓋体
5・・・圧電振動素子
6・・・半導体集積部品
7・・・第2の容器
8・・・書込端子
9・・・枠壁部
10・・・熱硬化性樹脂
11・・・開口部
12・・・第1の容器の接続用端子
13・・・第2の容器の接続用端子
14・・・接続電極
15・・・シート状基板
A・・・基板領域
B・・・捨代領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動素子を密閉容器構造の容器に収納した第1の容器と、半導体集積部品を収納した容器の裏面に外部との接続電極と、前記容器の側面には半導体集積部品に情報を書き込む、書込端子を備えた第2の容器とを有し、前記第2の容器の上方に前記第1の容器を重ねて一体化した圧電発振器において、
前記第2の容器の側面に形成する書込端子位置と電気的に接続して、前記第1の容器の側面に書込端子を形成することを特徴とする圧電発振器。
【請求項2】
請求項1に記載の第1の容器側面に形成する書込端子は、第2の容器の側面に形成する書込端子位置と同じ位置関係にあることを特徴とする圧電発振器。
【請求項3】
請求項1に記載の圧電発振器は、第1の容器に収納する圧電振動素子の周波数出力端子と、書込端子とが第2の容器と電気的に接続されており、一体的に接合してあることを特徴とする圧電発振器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−13721(P2007−13721A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193010(P2005−193010)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】