説明

地図更新システム、ナビゲーション装置、配信装置

【課題】ユーザにとって更新する必要のない地図データまでも更新されてしまうことを防ぎ、必要な地図データのみを更新することができる地図更新システムを提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置において、通信端末による通話履歴に記録されている電話番号から市内局番と市外局番の組み合わせを抽出して(ステップS5)、その組み合わせごとに発着信回数をカウントする(ステップS6)。このカウント値に基づいて地域特定情報を作成し(ステップS7)、更新地図データ配信センターへ送信する(ステップS8)。更新地図データ配信センターでは、ナビゲーション装置から送信された地域特定情報に基づいて更新対象地域を特定し(ステップS22)、更新地図データを作成して(ステップS23)、ナビゲーション装置へ送信する(ステップS24)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に記憶されている地図情報を更新する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地図データをハードディスク(HDD)に記録した車載ナビゲーション装置の地図データを更新する方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−333323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される方法では、地図データの全体が一度に更新されるため、ユーザにとって更新する必要のない地図データまでも更新されてしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明による地図更新システムは、車両を設定された目的地まで案内するためのナビゲーション装置と、ナビゲーション装置において使用される地図データを地域単位で部分的に更新するための更新地図データをナビゲーション装置に配信する配信装置とを有し、ナビゲーション装置の使用履歴に基づいて、更新地図データにおける更新対象地域を特定するものである。
請求項7の発明による地図更新システムは、車両を設定された目的地まで案内するためのナビゲーション装置と、ナビゲーション装置において使用される地図データを地域単位で部分的に更新するための更新地図データをナビゲーション装置に配信する配信装置とを有し、
ナビゲーション装置は、地図データを記憶する地図記憶手段と、更新地図データの配信を配信装置に要求する配信要求手段と、そのナビゲーション装置の使用履歴に基づいて、更新地図データにおける更新対象地域を特定するための地域特定情報を作成する地域特定情報作成手段と、地域特定情報作成手段により作成された地域特定情報を配信装置に送信する地域特定情報送信手段と、配信装置から配信される更新地図データを用いて、地図記憶手段に記憶されている地図データを地域単位で部分的に更新する地図更新手段とを備え、
配信装置は、ナビゲーション装置から地域特定情報送信手段により送信された地域特定情報に基づいて、更新対象地域を特定する地域特定手段と、配信要求手段によるナビゲーション装置からの要求に応じて、地域特定手段により特定された更新対象地域について更新地図データを作成する更新地図データ作成手段と、更新地図データ作成手段により作成された更新地図データをナビゲーション装置に送信する更新地図データ送信手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ナビゲーション装置の使用履歴に基づいて、更新地図データにおける更新対象地域を特定することとした。このようにしたので、ユーザにとって更新する必要のない地図データまでも更新されてしまうことを防ぎ、必要な地図データのみを更新することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施形態による地図更新システムを図1に示す。このシステムは、車両100に搭載されているナビゲーション装置(車載機)1、通信端末2、移動体通信網3および更新地図データ配信センター4によって構成されている。ナビゲーション装置1と通信端末2が互いに接続されており、移動体通信網3と更新地図データ配信センター4が互いに接続されている。
【0008】
ナビゲーション装置1は、内部のHDD(ハードディスク)に記録されている地図データに基づいて、ユーザから入力されたキーワードによって指定された各種の施設(POI:Point Of Interest)を検索する。そして、検索されたPOIを目的地に設定して推奨経路を探索し、その推奨経路に従って車両100を誘導することにより、指定されたPOIまでユーザを案内する。なお、ナビゲーション装置1のHDDに記憶されている地図データは、更新地図データ配信センター4から送信される更新地図データによって、地域単位で部分的に更新することができる。
【0009】
通信端末2には携帯電話などが用いられており、指定された電話番号の発信先に対して電話発信を行うと共に、他の電話からの電話着信を受けることができる。携帯端末2において電話の発着信が行われる際には、携帯端末2と移動体通信網3が無線接続されて通話回線が確立される。これにより、ユーザは外部の電話との間で通話を行うことができるようになる。なお、ナビゲーション装置1はハンズフリー通話制御機能を有しており、携帯端末2における電話の発着信を制御すると共に、その通話履歴、すなわち発信先や着信元の電話番号の履歴を記録しておくことができる。
【0010】
さらに通信端末2は、上記の電話機能の他にデータ通信機能も有しており、ナビゲーション装置1からの出力データを更新地図データ配信センター4へ送信すると共に、更新地図データ配信センター4から送信されるデータをナビゲーション装置1へ出力することができる。その際、通信端末2はナビゲーション装置1の制御によって、移動体通信網3と無線接続される。通信端末2と移動体通信網3が無線接続されることにより、ナビゲーション装置1と更新地図データ配信センター4の間で通信回線が確立され、データの送受信が可能となる。
【0011】
なお、上記のように通話時やデータ通信時において通信端末2と移動体通信網3が無線接続される際には、不図示の無線基地局が用いられる。この無線基地局は、その周囲の所定の通信エリア内にある通信端末2と無線通信することが可能であり、全国各地に散在している。また、ナビゲーション装置1と通信端末2との接続には、ケーブル等による有線接続に限らず、たとえば赤外線などの無線接続を用いてもよい。
【0012】
ナビゲーション装置1のHDDに記憶されている地図データを更新する場合は、上記で説明した通信端末2のデータ通信機能を用いて、初めにナビゲーション装置1から更新地図データ配信センター4へ更新地図データの配信要求が送信される。すなわち、ナビゲーション装置1の制御によって通信端末2が移動体通信網3に無線接続され、ナビゲーション装置1と更新地図データ配信センター4の間で通信回線が確立される。この状態で、ナビゲーション装置1から通信端末2へ更新地図データの配信要求が出力され、通信端末2から更新地図データ配信センター4へと送信される。これにより、更新地図データの配信を更新地図データ配信センター4に要求する。
【0013】
さらに、上記のように更新地図データの配信要求を送信する際には、前述の通話履歴またはPOIの検索履歴のいずれかに基づいて、その更新対象の地域を特定するための情報(以下、地域特定情報という)がナビゲーション装置1において作成される。そして、更新地図データの配信要求と共に、ナビゲーション装置1から更新地図データ配信センター4へ送信される。なお、地域特定情報の作成方法については、後で詳しく説明する。
【0014】
更新地図データ配信センター4には、最新の地図データが記憶されている地図サーバが備えられている。上記のようにして、ナビゲーション装置1から更新地図データの配信要求と地域特定情報が送信されると、更新地図データ配信センター4は、この地図サーバに記憶されている最新の地図データに基づいて、更新地図データを作成する。その際、受信した地域特定情報の内容に基づいて更新対象地域を特定し、その地域のみを対象とする更新地図データを作成する。作成された更新地図データは、更新地図データ配信センター4からナビゲーション装置1へ送信される。
【0015】
ナビゲーション装置1は、上記の更新地図データを更新地図データ配信センター4から受信すると、それを用いて、HDDに記録されている地図データを地域単位で部分的に更新する。このようにして、地図データの更新が行われる。
【0016】
ナビゲーション装置1の構成を図2に示す。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、およびHDD18を有している。制御回路11には、通信端末2が接続されている。
【0017】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路11において図3または図4に示すフローチャートを実行することにより、地図データの更新時に更新地図データ配信センター4に対して、更新地図データの配信要求と地域特定情報が送信される。これに応じて更新地図データ配信センター4から送信される更新地図データを受信することで、HDD18の地図データが部分的に更新される。なお、図3、4のフローチャートの内容については後で説明する。
【0018】
現在地検出装置14は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方位を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された自車両の現在地に基づいて、推奨経路を探索するときの経路探索開始点を決定することができる。
【0019】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、地図を画像表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、制御回路11において、HDD18に記録されている地図データに基づいて作成される。この画像メモリ15に格納された画像データを用いて、自車位置周辺の地図が表示モニタ16に表示される。
【0020】
入力装置17は、ユーザからのキーワード入力を受け付けるための各種入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、目的地として指定したいPOIの電話番号や施設名称などをキーワードとして入力し、そのPOIをナビゲーション装置1に検索させることができる。
【0021】
HDD18には、前述のように地図データが記録されている。すなわち、ナビゲーション装置1は、HDD18により地図データを記憶している。なお、ここではHDDを用いた例を説明しているが、他の書き換え可能な不揮発性の記録デバイス、たとえばDVD−RAM等の書き換え可能な記録ディスクや、フラッシュメモリなどをHDDに替えて用いてもよい。
【0022】
HDD18に記録されている地図データには、推奨経路を演算するために用いられる経路計算データや、交差点名称、道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するために用いられる経路誘導データ、道路形状を表す道路データ、さらには海岸線や河川、鉄道、建物など、道路以外の地図形状を表す背景データなどが含まれている。また、POIの名称や位置、種類、電話番号などを表すPOIデータも、地図データの中に含まれている。なお、経路計算データ以外については、地域ごとに別々にファイル化されており、そのファイル単位で書き換えることができる。そのため、地域単位で部分的に更新することができる。
【0023】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、各道路は所定の道路区間ごとに設定された複数のリンクによって構成されている。なお、リンクによって設定される道路区間の長さは異なっており、リンクの長さは一定ではない。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。また、リンク内にはノードとノードの間に形状補間点と呼ばれる点が設定されていることもある。形状補間点もノードと同じく、それぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードと形状補間点の位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。経路計算データには、上記の各リンクに対応して、自車両の通過所要時間を表すためのリンクコストと呼ばれる値が設定されている。
【0024】
前述のように電話番号や施設名称などがキーワードとして入力されると、地図データに含まれる前述のPOIデータに基づいて、入力されたキーワードに該当するPOIが検索される。こうして検索されたPOIがユーザによって目的地に設定されると、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、そこから目的地に設定されたPOIまでの経路演算が経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより行われ、目的地までの推奨経路が求められる。そして、求められた推奨経路付近の地図が表示モニタ16に表示され、推奨経路に従って右左折の指示などが適宜行われる。
【0025】
ナビゲーション装置1と更新地図データ配信センター4では、図3または図4の少なくともいずれか一方のフローチャートが実行されている。これにより、ナビゲーション装置1の使用履歴に基づいて更新地図データにおける更新対象地域が特定され、HDD18の地図データを地域単位で部分的に更新することができる。以下、図3、4のフローチャートについて説明する。なお、図3および4では、ナビゲーション装置1において実行されるフローチャートを(a)に、更新地図データ配信センター4において実行されるフローチャートを(b)にそれぞれ示している。図3は、通話履歴をナビゲーション装置1の使用履歴として用いて、その通話履歴に基づいて更新対象地域を特定する場合である。一方図4は、POI検索履歴をナビゲーション装置1の使用履歴として用いて、そのPOI検索履歴に基づいて更新対象地域を特定する場合である。
【0026】
なお、図3と図4のフローチャートのどちらかを実行するかは、ナビゲーション装置1の操作によってユーザが選択できるようにしてもよいし、予め固定しておいてもよい。または、ナビゲーション装置1または更新地図データ配信センター4において自動的に選択されるようにしてもよい。たとえば、通話履歴とPOI検索履歴のそれぞれの総履歴数をナビゲーション装置1または更新地図データ配信センター4において比較し、通話履歴の方が多ければ図3のフローチャートを、POI検索履歴の方が多ければ図4のフローチャートをそれぞれ実行する。あるいは、図3と図4のフローチャートを両方実行することにより、通話履歴とPOI検索履歴の両方に基づいて更新対象地域を特定するようにしてもよい。
【0027】
先に図3のフローチャートから説明する。ナビゲーション装置1は、(a)のステップS1では、電話の発着信があるか否か、すなわちユーザの操作による通信端末2からの発信要求、または他の電話からの通信端末2に対する着信要求があるか否かを判定する。発着信がある場合はステップS2へ進む。ステップS2では、通信端末2に対する通話制御を行う。これにより、通信端末2における電話の発着信が制御され、ユーザによってハンズフリー通話が行われる。通話が終了したら次のステップS3へ進む。ステップS3では、その発着信の回数および相手先の電話番号を通話履歴として記録することにより、通話履歴の更新を行う。ステップS3の実行後はステップS4へ進む。一方、ステップS1において電話の発着信がない場合は、ステップS2およびS3を実行せずにステップS4へ進む。
【0028】
ステップS4では、地図データを更新するか否かを判定する。この判定には、様々な条件を用いることができる。たとえば、ユーザが入力装置17の操作によって地図データの更新を指示したときに、地図データを更新すると判定するようにしてもよい。あるいは、予め定められた所定期間が経過したときに、地図データを更新すると判定するようにしてもよい。この他にも、様々な地図データ更新の開始条件を設定することができる。ステップS4において地図データを更新すると判定した場合はステップS5へ進み、更新しないと判定した場合はステップS1へ戻る。
【0029】
ステップS5では、通話履歴に記録されている相手先の電話番号から市内局番と市外局番の組み合わせを抽出する。ステップS6では、ステップS5において抽出された市内局番と市内局番の組み合わせごとに、通話履歴において記録されている発着信回数をカウントする。すなわち、違う電話番号であっても市内局番と市外局番が同じであれば、その発着信回数を合計してカウントする。
【0030】
ステップS7では、ステップS6においてカウントされた発着信回数のカウント値に基づいて地域特定情報を作成する。具体的には、カウント値が所定の条件を満たす市内局番と市外局番の組み合わせをデータ化し、これを地域特定情報とする。たとえば、カウント値が最大である市内局番と市外局番の組み合わせや、カウント値が予め定められた所定数を上回っている全ての市内局番と市外局番の組み合わせが、この地域特定情報によって表される。ステップS8では、ステップS7において作成された地域特定情報を、更新地図データの配信を要求していることを示す更新地図データ配信要求と共に、更新地図データ配信センター4へ送信する。なお、更新地図データ配信要求には、たとえばナビゲーション装置1を特定するためのID番号や通信端末2の電話番号などが含まれている。
【0031】
更新地図データ配信センター4は、(a)のステップS8においてナビゲーション装置1から送信された更新地図データ配信要求と地域特定情報を、(b)のステップS21において受信する。すると次のステップS22では、ステップS21で受信した地域特定情報に基づいて、地図データの更新を行う更新対象地域を特定する。具体的には、上記のような地域特定情報によって表される市内局番と市外局番の組み合わせに対応する地域を、更新対象地域として特定する。
【0032】
ステップS23では、地図サーバに記憶されている最新の地図データから、ステップS22で特定された更新対象地域に対応する部分を抽出することにより、更新地図データを作成する。ステップS24では、この更新地図データをナビゲーション装置1へ送信する。ステップS24を実行したら、更新地図データ配信センター4は(b)のフローチャートを終了する。
【0033】
ナビゲーション装置1は、(b)のステップS24において更新地図データ配信センター4から送信された更新地図データを(a)のステップS9で受信する。すると次のステップS10では、この更新地図データを用いて、HDD18に記録されている地図データを更新する。これにより、更新対象地域の地図データのみが更新される。ステップS10を実行したら、ナビゲーション装置1は(a)のフローチャートを終了する。以上説明したようにして、地図データの部分更新が行われる。
【0034】
次に図4のフローチャートについて説明する。ナビゲーション装置1は、(a)のステップS11では、ユーザによって前述のようにしてキーワードが入力されたか否かを判定することにより、POIを検索するか否かを判定する。キーワードが入力された場合は、POIを検索すると判定してステップS12へ進む。ステップS12では、入力されたキーワードに該当するPOIをPOIデータに基づいて検索する。次のステップS13では、ステップS12のPOI検索における検索の回数および検索時に入力されたキーワードをPOI検索履歴として記録することにより、POI検索履歴の更新を行う。ステップS13の実行後はステップS14へ進む。一方、ステップS11においてキーワードが入力されなかった場合は、POIを検索しないと判断して、ステップS12およびS13を実行せずにステップS14へ進む。
【0035】
ステップS14では、図3のステップS4と同様にして、地図データを更新するか否かを判定する。更新すると判定した場合はステップS15へ進み、更新しないと判定した場合はステップS11へ戻る。
【0036】
ステップS15では、POI検索履歴に記録されている検索時の入力キーワードを抽出する。ステップS16では、ステップS15において抽出されたキーワードごとに、POI検索の回数をカウントする。このとき、キーワードが電話番号である場合には、図3のステップS6で発着信回数をカウントしたのと同様に、市内局番と市内局番の組み合わせごとに検索回数をカウントする。すなわち、違う電話番号であっても市内局番と市外局番が同じであれば、その検索回数を合計してカウントする。
【0037】
また、キーワードが施設名称である場合には、その施設名称ごとに検索回数をカウントする。この際、そのキーワードが異なる複数の施設において共通する施設名称である場合には、その共通の施設名称ごとに検索回数をカウントする。たとえば、全国的にチェーン展開している「Xレストラン」がキーワードとして入力され、その「Xレストラン」について複数の店舗が検索されていた場合には、その検索回数を合計してカウントする。なお、施設名称の全部ではなくその一部、たとえば前述の「Xレストラン」のうち「X」の部分のみがキーワードとして入力されていた場合にも、キーワード「Xレストラン」についての検索回数として合計する。
【0038】
ステップS17では、ステップS16においてカウントされた検索回数に基づいて地域特定情報を作成する。具体的には、検索回数のカウント値が前述したような所定の条件を満たす市内局番と市内局番の組み合わせまたは施設名称をデータ化することにより、地域特定情報を作成する。ステップS18では、図3のステップS8と同様に、ステップS17において作成された地域特定情報を更新地図データ配信要求と共に、更新地図データ配信センター4へ送信する。
【0039】
更新地図データ配信センター4は、(b)のステップS21〜S24において図3と同じ処理を実行する。すなわち、ステップS21において、ナビゲーション装置1から送信された更新地図データ配信要求と地域特定情報を受信し、次のステップS22において、ステップS21で受信した地域特定情報に基づいて更新対象地域を特定する。なお、この場合は上記のように地域特定情報が市内局番と市内局番の組み合わせ、または施設名称を表しているため、ステップS22では、その内容に対応する地域を更新対象地域として特定する。
【0040】
具体的には、地域特定情報が市内局番と市内局番の組み合わせを表している場合は、図3で説明した通話履歴の場合と同様に、その市内局番と市外局番の組み合わせに対応する地域を更新対象地域として特定する。一方、地域特定情報が施設名称を表している場合には、その施設の周辺地域を更新対象地域として特定する。たとえば、地域特定情報によって表される施設名称が前述の「Xレストラン」であれば、日本全国に存在する「Xレストラン」にそれぞれ対応させて、その周辺地域を更新対象地域に特定する。
【0041】
ステップS22において更新対象地域を特定したら、次のステップS23において、最新の地図データから更新対象地域に対応する部分を抽出して更新地図データを作成し、ステップS24において、その更新地図データをナビゲーション装置1へ送信する。ステップS24を実行したら、更新地図データ配信センター4は(b)のフローチャートを終了する。
【0042】
ナビゲーション装置1は、ステップS19以降では図3のステップS9以降と同じ処理を実行する。すなわち、更新地図データ配信センター4から送信された更新地図データをステップS19で受信し、次のステップS20において、この更新地図データを用いてHDD18に記録されている地図データを更新する。これにより、更新対象地域の地図データのみが更新される。ステップS20を実行したら、ナビゲーション装置1は(a)のフローチャートを終了する。以上説明したようにして、地図データの部分更新が行われる。
【0043】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)ナビゲーション装置1の使用履歴に基づいて地域特定情報を作成し(ステップS7、S17)、その地域特定情報に基づいて、更新地図データにおける更新対象地域を特定することとした(ステップS22)。このようにしたので、ユーザにとって更新する必要のない地図データまでも更新されてしまうことを防ぎ、必要な地図データのみを更新することができる。
【0044】
(2)ナビゲーション装置1により、通信端末2の電話の発着信を制御して、その発着信の回数および相手先の電話番号を通話履歴として記録する(ステップS2、S3)。この通話履歴をナビゲーション装置1の使用履歴として用いて、これに基づいて地域特定情報を作成する(ステップS7)。こうして作成された地域特定情報に基づいて、更新対象地域を特定することとした。このようにしたので、携帯電話の通話履歴からユーザの生活圏を判断してその生活圏を更新対象地域とすることができ、ユーザに対して特別に意識させることなく、必要な地図データを自動的に更新することができる。
【0045】
(3)上記の場合、通話履歴に記録されている電話番号から相手先の市内局番と市外局番の組み合わせを抽出し(ステップS5)、その組み合わせごとに発着信回数をカウントする(ステップS6)。このカウント値に基づいて地域特定情報を作成し、更新対象地域を特定することとした。このようにしたので、通話履歴から簡単かつ確実に、ユーザの生活圏である地域を更新対象地域とすることができる。
【0046】
(4)あるいは、ナビゲーション装置1により、入力されたキーワードによって指定されたPOIを検索し、その検索の回数およびキーワードを検索履歴として記録する(ステップS12、S13)。このPOI検索履歴をナビゲーション装置1の使用履歴として用いて、これに基づいて地域特定情報を作成する(ステップS17)。こうして作成された地域特定情報に基づいて、更新対象地域を特定することとした。このようにしたので、ユーザが頻繁に出かける地域や利用する施設の周辺地域を優先的に更新対象地域とすることができ、ユーザに対して特別に意識させることなく、必要な地図データを自動的に更新することができる。
【0047】
(5)上記の場合、POI検索履歴に記録されているキーワードが電話番号である場合には、その電話番号から市内局番と市外局番の組み合わせを抽出し(ステップS15)、その組み合わせごとに検索回数をカウントする(ステップS16)。このカウント値に基づいて地域特定情報を作成し、更新対象地域を特定することとした。このようにしたので、POI検索履歴から簡単かつ確実に、ユーザが頻繁に出かける地域の周辺地域を更新対象地域とすることができる。
【0048】
(6)また、POI検索履歴に記録されているキーワードが、異なる複数の施設において共通する施設名称の一部または全部である場合には、その共通の施設名称ごとに検索回数をカウントする(ステップS16)。このカウント値に基づいて地域特定情報を作成し、更新対象地域を特定することにより、異なる複数の施設にそれぞれ対応させて更新対象地域を特定することとした。このようにしたので、POI検索履歴から簡単かつ確実に、ユーザが頻繁に利用する施設の周辺地域を更新対象地域とすることができる。さらに、チェーン店などについてはその全店舗にそれぞれ対応させて、更新対象地域を特定することができる。
【0049】
なお、上記の実施形態では、ナビゲーション装置1において更新地図データを受信すると自動的に地図データを更新する例を説明したが、更新前にユーザに確認させるようにして、ユーザが了承した場合のみ地図データを更新するようにしてもよい。特に、図3のステップS4または図4のステップS14において地図データの更新開始を自動的に判断する場合、たとえば予め定められた所定期間が経過すると地図データの更新を開始すると判断するような場合には、上記のようにすることで、ユーザが望まないのに地図データが更新されるのを防ぐことができる。
【0050】
上記の実施形態では、地図記憶手段をHDD18により実現し、その他の各処理を、ナビゲーション装置1の制御回路11または更新地図データ配信センター4における処理によって実現している。しかし、これらはあくまで一例であって、本発明の特徴が損なわれない限り、各構成要素は上記実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態による地図更新システムを示す図である。
【図2】ナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図3】通話履歴をナビゲーション装置の使用履歴として用いて更新対象地域を特定し、地図データを更新する際に実行されるフローチャートである。
【図4】POI検索履歴をナビゲーション装置の使用履歴として用いて更新対象地域を特定し、地図データを更新する際に実行されるフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1:ナビゲーション装置
2:通信端末
3:移動体通信網
4:更新地図データ配信センター
11:制御回路
12:ROM
13:RAM
14:現在地検出装置
15:画像メモリ
16:表示モニタ
17:入力装置
18:HDD
100:車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を設定された目的地まで案内するためのナビゲーション装置と、
前記ナビゲーション装置において使用される地図データを地域単位で部分的に更新するための更新地図データを前記ナビゲーション装置に配信する配信装置とを有し、
前記ナビゲーション装置の使用履歴に基づいて、前記更新地図データにおける更新対象地域を特定することを特徴とする地図更新システム。
【請求項2】
請求項1の地図更新システムにおいて、
電話の発着信を前記ナビゲーション装置において制御し、
その発着信の回数および相手先の電話番号を通話履歴として記録し、
前記使用履歴としてその通話履歴に基づいて、前記更新対象地域を特定することを特徴とする地図更新システム。
【請求項3】
請求項2の地図更新システムにおいて、
前記通話履歴に記録されている相手先の電話番号から市内局番と市外局番の組み合わせを抽出し、
その組み合わせごとに発着信回数をカウントしたときのカウント値に基づいて、前記更新対象地域を特定することを特徴とする地図更新システム。
【請求項4】
請求項1の地図更新システムにおいて、
入力されたキーワードによって指定されたPOIを前記ナビゲーション装置において検索し、
その検索の回数およびキーワードをPOI検索履歴として記録し、
前記使用履歴としてそのPOI検索履歴に基づいて、前記更新対象地域を特定することを特徴とする地図更新システム。
【請求項5】
請求項4の地図更新システムにおいて、
前記POI検索履歴に記録されているキーワードが電話番号である場合、
その電話番号から市内局番と市外局番の組み合わせを抽出し、
その組み合わせごとに検索回数をカウントしたときのカウント値に基づいて、前記更新対象地域を特定することを特徴とする地図更新システム。
【請求項6】
請求項4の地図更新システムにおいて、
前記POI検索履歴に記録されているキーワードが、異なる複数の施設において共通する施設名称の一部または全部である場合、
その施設名称ごとに検索回数をカウントしたときのカウント値に基づいて、前記異なる複数の施設にそれぞれ対応させて前記更新対象地域を特定することを特徴とする地図更新システム。
【請求項7】
車両を設定された目的地まで案内するためのナビゲーション装置と、
前記ナビゲーション装置において使用される地図データを地域単位で部分的に更新するための更新地図データを前記ナビゲーション装置に配信する配信装置とを有し、
前記ナビゲーション装置は、
前記地図データを記憶する地図記憶手段と、
前記更新地図データの配信を前記配信装置に要求する配信要求手段と、
そのナビゲーション装置自身の使用履歴に基づいて、前記更新地図データにおける更新対象地域を特定するための地域特定情報を作成する地域特定情報作成手段と、
前記地域特定情報作成手段により作成された地域特定情報を前記配信装置に送信する地域特定情報送信手段と、
前記配信装置から配信される更新地図データを用いて、前記地図記憶手段に記憶されている地図データを地域単位で部分的に更新する地図更新手段とを備え、
前記配信装置は、
前記ナビゲーション装置から前記地域特定情報送信手段により送信された地域特定情報に基づいて、前記更新対象地域を特定する地域特定手段と、
前記配信要求手段による前記ナビゲーション装置からの要求に応じて、前記地域特定手段により特定された更新対象地域について前記更新地図データを作成する更新地図データ作成手段と、
前記更新地図データ作成手段により作成された更新地図データを前記ナビゲーション装置に送信する更新地図データ送信手段とを備えることを特徴とする地図更新システム。
【請求項8】
請求項7の地図更新システムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、
電話の発着信を制御する発着信制御手段と、
前記発着信制御手段により制御された発着信の回数および相手先の電話番号を通話履歴として記録する通話履歴記録手段とをさらに備え、
前記地域特定情報作成手段は、前記通話履歴記録手段により記録された通話履歴を前記使用履歴として用いて、その通話履歴に基づいて前記地域特定情報を作成し、
前記地域特定手段は、その地域特定情報に基づいて前記更新対象地域を特定することを特徴とする地図更新システム。
【請求項9】
請求項8の地図更新システムにおいて、
前記地域特定情報作成手段は、前記通話履歴に記録されている相手先の電話番号から市内局番と市外局番の組み合わせを抽出して、その組み合わせごとに発着信回数をカウントしたときのカウント値に基づいて前記地域特定情報を作成し、
前記地域特定手段は、その地域特定情報に基づいて前記更新対象地域を特定することを特徴とする地図更新システム。
【請求項10】
請求項7の地図更新システムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、
入力されたキーワードによって指定されたPOIを検索するPOI検索手段と、
前記POI検索手段による検索の回数およびキーワードをPOI検索履歴として記録するPOI検索履歴記録手段をさらに備え、
前記地域特定情報作成手段は、前記POI検索履歴記録手段により記録されたPOI検索履歴を前記使用履歴として用いて、そのPOI検索履歴に基づいて前記地域特定情報を作成し、
前記地域特定手段は、その地域特定情報に基づいて前記更新対象地域を特定することを特徴とする地図更新システム。
【請求項11】
請求項10の地図更新システムにおいて、
前記地域特定情報作成手段は、前記POI検索履歴に記録されているキーワードが電話番号である場合、その電話番号から市内局番と市外局番の組み合わせを抽出して、その組み合わせごとに検索回数をカウントしたときのカウント値に基づいて前記地域特定情報を作成し、
前記地域特定手段は、その地域特定情報に基づいて前記更新対象地域を特定することを特徴とする地図更新システム。
【請求項12】
請求項10の地図更新システムにおいて、
前記地域特定情報作成手段は、前記POI検索履歴に記録されているキーワードが、異なる複数の施設において共通する施設名称の一部または全部である場合、その共通の施設名称ごとに検索回数をカウントしたときのカウント値に基づいて前記地域特定情報を作成し、
前記地域特定手段は、その地域特定情報に基づいて、前記異なる複数の施設にそれぞれ対応させて前記更新対象地域を特定することを特徴とする地図更新システム。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれかの地図更新システムにおいて記載されたナビゲーション装置。
【請求項14】
請求項7〜12のいずれかの地図更新システムにおいて記載された配信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−162269(P2006−162269A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349803(P2004−349803)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】