説明

均一な厚さを有する熱可塑性ナイロン接着マトリックス及びそれから形成した複合材料積層体

本発明は、ポリマー性接着マトリックス及びこのようなポリマー性接着マトリックスの製造方法であって、前記マトリックスが、1)ナイロン12もしくはナイロン11ポリマー、またはこれらと40重量%までの量の他の相溶性熱可塑性ポリマー性材料とのブレンドを含む実質的に均一な厚さの不織ウェブ; あるいは2)アミン末端低吸湿性ポリアミド、好ましくはアミン末端ナイロン12もしくはアミン末端ナイロン11ポリマー、またはこれらと40重量%までの量の他の相溶性熱可塑性ポリマー性材料とのブレンドからなる実質的に均一な厚さの繊維質または非繊維質マトリックスのいずれかを含む、上記ポリマー性接着マトリックス及びこのようなポリマー性接着マトリックスの製造方法に関する。また本発明は、バインダー樹脂で含浸処理された複数の強化繊維層の間に配置された本発明のポリマー性接着マトリックスの少なくとも一つの層を含む多層複合材料積層体、並びにこのような多層複合材料積層体を製造する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー粒子、フィルム、不織繊維ウェブまたは非繊維質立体網状ウェブから作ることができる熱可塑性ナイロンポリマー性接着マトリックスに関する。また本発明は、このようなポリマー性接着マトリックスから形成した複合材料積層体にも関する。これらのマトリックスの全ては、熱可塑性の低吸湿性ナイロンポリマー及びこれらと一種もしくはそれ以上の他の低吸湿性熱可塑性ポリマーとのブレンドから製造される。該ポリマー性接着マトリックスは、特に、無機もしくは有機強化繊維、例えば炭素繊維もしくはガラス繊維からなる多層複合材料積層体を形成するのに有利である。このような多層積層体は、低吸湿性ナイロンポリマーを含む該ポリマー性接着マトリックスの一つもしくはそれ以上の層、相溶性有機バインダー樹脂、例えばエポキシ樹脂、及び強化繊維マトリックス、例えば炭素繊維布もしくはガラスマットからなる複合体などが包含される。この多層複合体は、例えば飛行機の機体及び部品、船舶の船体及び部品や、自動車の車体及び部品の製造に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
強化熱可塑性もしくは熱硬化性材料は、例えば、航空宇宙、船舶、自動車、工業/化学、及び運動用具の産業において広く使用されている。一種もしくはそれ以上の熱硬化性樹脂は、硬化の前に、なおこれらの粘度が低いうちに強化繊維材料中に含浸される。通常、熱可塑性材料は強化材料中に含浸するのがより困難である。なぜならば、これらは通常より高い粘度を示すからである。先ず繊維強化材料を適当な樹脂で含浸処理して製造されるこのような繊維強化材料は、“プレプレグ”と称される。次いで、二つもしくはそれ以上のプレプレグを圧密して多層複合材料積層体を形成する。
【0003】
通常、上記プレプレグの圧密は、繊維をバインダー樹脂で含浸するために使用する工程の間に、強化繊維のバンドル、トウ(tow)、ロービングまたはウェブ中の空気を置き換える際の含浸用のバインダー樹脂の限られた能力を通常原因とする空隙を除去するために必要である。これらのプレプレグの含浸された層は、通常は、熱と圧力、または熱と減圧を用いて圧密され、例えば、オートクレーブ中で真空バック成形及び圧縮によって圧密される。圧密段階は、通常は、比較的長い時間で、非常に高い温度下に非常に高い圧力及び減圧の適用を必要とする。またその代わりに、プレプレグ化した繊維マトリックスを、他のポリマー性材料または強化材を使用してまたは使用せずに、細断またはペレット化して、次いで成形または押出工程に使用することによって、強化した成形品または押出品とすることもできる。
【0004】
熱可塑性バインダー樹脂組成物は、強化用の繊維材料の含浸に使用する前にそれの粘度を減少させるために、加熱、スラリー化、混合されるか、または溶剤、可塑剤もしくは他の低分子量材料で希釈される。これらの方法には重大な欠点がある。例えば、余分に生じる工程費用がかなり高いことや(特に軽量ベースの炭素繊維マトリックスの場合)、希釈材を処分する必要があることなどである。
【0005】
熱可塑性バインダー樹脂組成物を、強化用の繊維を満足に含浸するのにそれの粘度が十分に低くなる温度に加熱する場合、加熱域中での樹脂の滞留時間がしばしばそのバインダー樹脂の分解を招く。加えて、熱可塑性バインダー樹脂の分子量は、含浸工程を容易にするためには、望まれるものよりも小さくする必要がある場合がある。最後に、前述のように、強化用の繊維マトリックス中に熱可塑性バインダー樹脂を含浸させるための工程は、物理的強度や他の物性を最大限高めかつ次の仕上げ工程中のガスの発生を最小化するためには、高温、高圧下での時間の掛かるプレプレグの圧密を必要とする。圧密工程中のガスの発生は、通常、複合材料積層体内に空隙を生じさせ、また微少亀裂や時期尚早の層の剥離をしばしば招く。コーティング工程中のガスの発生は、基材もしくは塗膜中にピンホールや気泡破裂(popping)を起こす傾向があり、その結果、表面が平坦でなくなってしまう。米国特許第6,656,316号明細書は、強化用バインダー樹脂の融点よりも高い温度に強化用繊維マトリックスを加熱して圧密を容易化し及び空隙を最大限減らすことによって、上記の問題の一部を解決する方法を提案している。
【0006】
高強度複合材料積層体を提供するのに有用なプレプレグを製造するためのコストを減少させるために提案された方法の一つは、多層プレプレグ積層体を糸で縫合することにより、積層体を圧密することである(米国特許第6,599,610号明細書参照)。また別法として、プレプレグ積層体をニードリングして同様の結果を達成することも提案されている(米国特許第5,740,593号明細書参照)。強化用繊維、特に高い弾性率を有する繊維を縫合もしくはニードリングする機械的作用は、これらの高弾性率繊維は比較的脆いために、これらの大部分を破壊してしまう。
【0007】
複合材料積層体構造物を製造するために繊維を積み重ねる工程では、各繊維層を好ましい配向で(例えばランダムな配向で)予備接合することがしばしば必要である。熱接着ウェブの軽量の層を、これらの繊維を一緒に保持するために使用することができ、そして強化用繊維を固定するために熱を加えることができる。
【0008】
米国特許第6,503,856号明細書は、炭素繊維網状構造体の一つもしくはそれ以上の表面に直接接着した接着性ポリマー性材料を含む炭素繊維シートを開示している。この接着性材料は、繊維ウェブ、微少多孔性フィルム、または接着材の断続的なパターンの形であることができる。接着層は、好ましくは、繊維構造体を形成することができる接着性材料から作られるが、熱可塑性接着材または熱硬化性接着材のいずれでもよい。開示される好ましい接着材はポリオレフィン、特に非晶質ポリプロピレンである。最適な結果のためには、開示される炭素繊維層は、更に、一つもしくはそれ以上の追加の層を含み、この追加の層と、炭素繊維網状構造体との間に接着材層を挟む。この追加の層は、好ましくは、熱可塑性ポリマーで被覆された糸、例えばポリオレフィンで被覆されたガラス糸もしくはメッシュから形成されるスクリム(scrim)材料である。
【0009】
強化繊維積層体の加熱及び固定の後は、通常は、比較的低粘度の有機バインダー樹脂を使用してこの積層体構造を含浸処理し及びその中に流通させる。このバインダー樹脂の硬化は、強化用繊維が埋封された安定で、高強度の硬質もしくは半硬質プレプレグを供する。このような安定したプレプレグの一例が米国特許第6,475,596号明細書に記載されている。このプレプレグ炭素繊維層は、熱硬化性樹脂または他のポリマー性樹脂で予備含浸処理された布、テープまたは非不織ウェブであることができる。炭素繊維層は、好ましくは、高弾性率の強化用繊維から主としてもしくは専ら形成された織物である。この積層体の硬化は、典型的には、高温、高圧の環境中、例えばオートクレーブ中で行われる。
【0010】
米国特許第6,524,690号明細書は、実質上空隙の無いプレプレグ材料を製造する方法を開示している。熱硬化性または熱可塑性樹脂は、硬化する前に、強化用の繊維材料中に含浸され、その間はこれらの樹脂材料はまだ比較的低い粘度を有する。繊維強化された材料、例えば炭素繊維またはガラス繊維からなる繊維強化材料は、通常は、プレプレグを形成するために繊維質の強化用材料と硬化性バインダー樹脂から製造される。次いで通常は、二つもしくはそれ以上のプレプレグを圧密して積層体とする。上述の通り、圧密は、硬化性バインダー樹脂が、強化繊維マトリックをバインダー樹脂で含浸処理する際にこの繊維マトリックから空気を完全に置き換えることができなかったことに由来する空隙を除去するために必要である。このようなプレプレグの個別に含浸処理された各層は、通常、比較的長い時間、高温下に非常に高い圧力または減圧を通常必要とする工程を用いて圧密される。前述の通り、この圧密の間のガスの放出も、複合材料積層体中に空隙を作る恐れがあり、これはしばしば微細亀裂や時期尚早の層の剥離をまねく。この特許は、含浸処理用の硬化性樹脂の融点、軟化点またはガラス転移温度より高い温度に強化用の繊維材料を加熱することによってこのような空隙を実質的に除去する方法を開示するものである。
【0011】
飛行機及び航空宇宙の用途のための高性能の有機マトリックス構造体の製造は典型的には非常に費用がかかる。これらの高コストの主な原因の一つは、複合材料に基づく大型の部品を製造するのに通常必要なオートクレーブ及び硬化用の装置の購入とそれらの設置にかかる出費である。現在、オートクレーブ処理を避けるための二つの方策が提案されている。これらは、1) 低い温度で硬化可能な含浸用の樹脂、及び2)含浸用の樹脂の電子ビーム硬化である。低温法のためには、そのプレプレグ、含浸用のバインダー樹脂及び接着層の全てが、低温/低圧処理に資するものでなければならない。電子ビーム硬化を用いる代替法は迅速であるが、作業者を保護するための高額な手段を必要とする高エネルギー電子ビーム源を要する。
【0012】
このような低温処理を供するための他の方策が米国特許第6,642,347号明細書に提案されている。ビス−マレイミド重合を開始しそして熱硬化性樹脂、例えばビス−マレイミドまたはエポキシの強靱さ(耐衝撃性)を向上するために、新規のアミン末端ハイパー分枝状キノキサリンポリマー析出物が製造される。
【0013】
'MODE II FRACTURE OF COMPOSITES INTERLAYERED WITH NYLON PARTICLES'(モードII ナイロン粒子を層間に含む複合体の破断)というタイトルのComposite Science and Technology, 56 (1996), p. 1223-1240に記載の論文は、多層炭素繊維/エポキシ樹脂複合体の層の間に未変性のナイロン12粒子を使用することを記載している。1239頁には、複合体の後硬化の間に、ナイロン12の融点を超える温度に達し、それ故、ナイロン12粒子が溶融しその後再固化したことが述べられている。上記粒子の性質及び挙動に対するこれの影響を測定することは困難であると確認されたが、これらの粒子の多くが、SEMもしくはTEM検査で示されるように、それらの内部に空隙を形成したと記載されている。
[発明の概要]
【0014】
ナイロンポリマーの製造においては、重合プロセスの間にポリマー鎖を停止させるために末端基が使用される。このようなポリアミドまたはコポリアミドの製造においては、通常は、カルボキシル基(−COOH)が、そのアミドポリマー鎖の末端基を停止するために使用される。このようなポリアミドでは、そのカルボキシル末端基は、アミン(−NH3)基ほど反応性は高くない。このポリアミド反応混合物とアミンとを混合するかまたはこのポリマー性マトリックスを、アミン、例えばAir Products社のAmicure(R)アミン、Huntsman社のJeffamine(R)アミンまたはCognis社のVersamid(R)ポリアミド(二量体化脂肪酸及びポリアミンに基づく多少低粘度の樹脂)でコーティングすることは、カルボキシル基をアミン基と交換し得る方法である。これは、有機バインダー樹脂、例えばエポキシ樹脂に対して、特により低い温度において、反応性がより高いより多くのアミン末端基を供する。
【0015】
【化1】

本発明のポリマー性接着マトリックスは、1)ナイロン12またはナイロン11ポリマー、あるいはこれらと40重量%までの量の他の相溶性熱可塑性ポリマー性材料とのブレンドからなる実質的に均一な不織ウェブ; あるいは2)低吸湿性のアミン末端ナイロン12またはアミン末端ナイロン11ポリマー、あるいはこれらと40重量%までの量の他の相溶性熱可塑性ポリマー性材料とのブレンドからなる実質的に均一な厚さの繊維質または非繊維質マトリックを含む。加えて、上記のアミン末端ナイロン12またはナイロン11は、押出工程に付す前に、他の相溶性の低吸湿性ポリマーと共重合することができる。このような相溶性の材料の例は、ナイロン6,10、ナイロン6またはナイロン6,6である。アミン末端及び未変性ナイロン12及びナイロン11はどちらも、実質的に低い吸湿性及び比較的低い溶融粘度を有する。
1)ナイロン12またはナイロン11ポリマー、あるいはこれらと40重量%までの量の他の相溶性熱可塑性ポリマー性材料とのブレンドを含む不織ウェブ; あるいは
2)アミン末端低吸湿性のアミン末端ナイロン12またはアミン末端ナイロン11ポリマー、あるいはこれらと40重量%までの量の他の相溶性熱可塑性ポリマー性材料とのブレンドを含む繊維質または非繊維質マトリックス、
のいずれかを実質的に均一な厚さで供することによってポリマー性接着マトリックスを製造する方法が提供される。またこの方法は、1)ポリマー粒子、2)フィルム、3)不織ウェブまたは4)非繊維質立体網状ウェブのいずれかのこのような実質的に均一な厚さのマトリックスを供することも含み得る。加えて、この方法は、上記ナイロン12またはナイロン11ポリマーを他の相溶性低吸湿性熱可塑性ポリマー(好ましくはナイロンポリマー)と共重合することを含む、ポリマー性接着マトリックスの提供も含み得る。また、多層複合材料積層体を製造する方法も提供され、この方法は、複数の強化用繊維層の間に配置される本発明による実質的に均一な厚さのポリマー性接着マトリックスの少なくとも一つの層を供することを含み、前記ポリマー性接着マトリックスは、好ましくは、繊維質または非繊維質不織ウェブである。
【0016】
上記ポリマー性接着マトリックスの好ましい態様の一つは、繊維質または非繊維質の不織ウェブである。この種の接着性ウェブマトリックスは、通常、それの比較的高い静的性質(static properties)のために製造するのが簡単ではない。それ故、本発明のこの好ましいナイロンウェブは、米国特許第4,898,634号明細書に記載の方法に類似して、回転式繊維押出法を用いて製造することができる。
【0017】
回転式布押出法(Rotational Fabric Extrusion, RFE)は、繊維布の長さ方向(Machine direction, MD)に渡って好ましい繊維配列度を有して、それによって繊維が繊維布の幅全体を横断している、連続フィラメント自己結合熱可塑性接着ウェブを製造する。一つの複合体構造では、上記連続フィラメントは、強化繊維の配列軸と交差する。長さ方向の強化繊維の配列に対する幅方向(cross machine direction, XD)の連続フィラメントは、強化繊維との最小の接触をもたらす。それ故、ポリマー性接着ウェブを構成する繊維のうちの少ない部分のものだけが、圧密工程中にMD配列強化繊維束内に埋め込まれる。これは、最終の複合体において亀裂及び微少空隙が発生する傾向を実質的に減少させる。これはまた、複合材料積層体中へのマトリックスフィラー及びバインダー(例えばエポキシ樹脂)の浸透に対する非常に低い耐性も供する。
【0018】
本発明の複合材料積層体は、ナイロン12またはナイロン11ポリマー性接着ウェブマトリックス及び無機もしくは有機強化繊維を含み、後者は、付加的な剛性及び耐衝撃性のために架橋性バインダー樹脂、例えばエポキシ樹脂で含浸処理される。このような強化繊維としては、炭素、グラファイト、セラミック、ガラス、Kevlar(R)繊維、Nomex(R)繊維または他の強化繊維などを挙げることができる。ナイロン12及び/またはナイロン11に基づく接着性ウェブマトリックスは、架橋性バインダー樹脂との反応性を高めるために、好ましくは、アミン末端ナイロン12またはナイロン11ポリマー系に基づく。
【0019】
無機複合材料積層体構造の衝撃及び亀裂特性を大きく向上するために、1)未変性ナイロン12もしくはナイロン11に基づく接着マトリックス、または2)アミン末端ナイロン12もしくはナイロン11に基づくポリマー性接着不織ウェブのいずれかの一つまたはそれ以上の層を、強化用の無機もしくは有機繊維の二つまたはそれ以上の層の間に配置する。1)の上記接着マトリックスまたは2)の上記接着不織ウェブと強化繊維複合体とから構成される複合材料積層体の全体は、次いで処理され、強化繊維の繊維質網状体中に架橋性バインダー樹脂が注入される。本発明の1)の接着マトリックス及び2)の不織ウェブはこの注入を容易化する。またこれは、最終の複合材料積層体構造が長い時間負荷に曝された際に亀裂が伝播することを実質的に減少させると信じられる。
【0020】
強化繊維の二つの層の間に挟まれたエポキシのプラスチック領域が最適な厚さを有し、向上した破壊靱性を供することが従前判明している。このプラスチック領域が薄過ぎると、この領域が過度に閉じこめられ、他方、厚過ぎると、破壊がプラスチック領域まで広がる恐れがある。それ故、多層複合体構造の全体的な性能を向上するためには、強化材層の間隙の厚さが重要である。この均一な間隙は、不織ウェブ等の本発明の均一な厚さのポリマー性接着マトリックスを複合材料積層体中の強化繊維の層の間の二面間の間隙に組み入れることによって達成することができる。本発明では、10〜150ミクロン(マイクロメータ)の厚さのポリマー性接着マトリックスが好ましい。
【0021】
各強化繊維層の間の間隙中の実質的に均一な厚さのマトリックス層は、その間隔を維持することを可能にする。該マトリックス層の厚さは、最適な間隙の幅を維持するためには実質的に均一でなければならない。マトリックスのタイプの選択は重要であり、そして最も高レベルの均一さを与えるタイプのマトリックスは、上述のように回転式繊維押出法によって製造される。フィラメントの軌道分布(orbital distribution)及び横断(traversing)は、メルトブロー法、スパンボンド法、カーディング法、フォームアテニュエーション法 (foam attenuation)及び直接スプレー紡糸法の場合にように、フィラメントの密集化を起こすことなく幅寸法に渡って連続的に起こる。該ポリマー性接着マトリックスとしての不織ウェブの場合には、これは、ウェブの形成の後に、好ましい間隙の大きさ(厚さ)となるようにポストニッピング(カレンダリング)に付すことによって厚さを更に最適化し、それによって最も高レベルの厚さ均一性を達成することができる。この厚さ最適化は、向上した破壊靱性をもたらす。該不織ウェブの繊維密度も、亀裂エネルギーを吸収しそして異なる方向に再方向付けすることよって二面間層内での亀裂の伝播の減少に重要な役割を果たす。それ故、0.1〜1.5オンス/平方ヤード(osy)、好ましくは0.1〜1.0osyの基本重量を有する接着不織ウェブを供することが好ましい。
【0022】
上述の通り、本発明のポリマー性接着マトリックスは、これが不織ウェブの場合には、先ずカレンダリングに付して、ウェブの被覆均一性(coverage uniformity)及び厚さ一律性を高めることができる。このようなカレンダリングの後でも三次元構造はなお維持される一方で、これはポリマー性マトリックスを幾らか平坦にもし、それによってより広い領域を覆うことを可能にし、そして複合材料積層体の層間の該ポリマー性マトリックスの分布の均一さに寄与し得、そうして、よりしっかりした強度及び耐亀裂性能を与える。他の態様では、該ポリマー性接着マトリックスは、高融点のウェブ成分及び低融点のウェブ成分の両方を含む改変型の不織ウェブである。上記低融点成分の目的は、強化繊維の緩い堆積物を溶融及び結合することであり、他方、高融点成分は結合工程中に溶融せずそして予積層体のストレス負担成分を供する。これは、一つの成分が主にストレス負担要素であり、他は主に接着材として働く、改変布を提供する。
【0023】
本発明は、1)ポリマー粒子、2)フィルム、3)不織ウェブまたは4)非繊維質立体網状ウェブのいずれかの実質的に均一な厚さのマトリックスから構成される、ナイロン12またはナイロン11に基づくポリマー性接着マトリックスに関する。また本発明は、ナイロン12またはナイロン11を含む少なくとも一つの実質的に均一な厚さのマトリックスを含む多層積層体にも関し、この際、前記マトリックスは、複数の強化繊維質基材(層)の間に配置された繊維質もしくは非繊維質接着ポリマー性マトリックス層であることができる。該ポリマー性接着マトリックスは、好ましくは、低吸湿性の未変性ナイロン12、未変性ナイロン11、アミン末端ナイロン12またはアミン末端ナイロン11、またはこれらと少なくとも一種の他の相溶性低吸湿性熱可塑性ポリマーとの混合物を含む。該ポリマー性マトリックスは、好ましくは、実質的に均一な厚さを有する繊維質または非繊維質のウェブである。好ましい繊維ウェブは、布の幅を横断する連続フィラメントからなる自己結合した不織繊維マトリックスを供する方法によって製造される。この繊維質ウェブ接着マトリックスは、任意の溶融物押出方法、例えばメルトブロー法、カーディング法、フォームアテニュエーション法、直接スプレー紡糸法またはスパンボンド法を用いて形成することができる。該ポリマー接着マトリックスは、強化繊維の幅を横断する連続フィラメントを供することを含む方法によっても製造することができる。該繊維質または非繊維質マトリックスは、低吸湿性熱可塑性ナイロン材料から形成され、この際、このポリマー性ナイロン材料は、好ましくは、アミン末端ナイロン12及び/またはアミン末端ナイロン11、あるいはこのようなポリマーと一種もしくはそれ以上の他の相溶性低吸湿性ポリマーとのブレンドである。
【0024】
本発明の多層複合材料積層体は、好ましくは、バインダー樹脂の硬化の前に成形サイクルに付される。それによって、該複合材料積層体を、造形品の製造、例えば航空機、自走車または船舶の部品、部材に有用な造形品の製造を可能にする任意の方法で形作ることが可能になる。
[好ましい態様の説明]
【0025】
本発明において使用されるポリマー性接着マトリックスは、熱可塑性の低吸湿性ナイロンポリマーまたは低吸湿性ナイロンポリマーブレンドから形成される。複合材料の製造において強化繊維を敷設する行程では、繊維の層を好ましい配向またはランダムな配向で予め結合する必要が時折ある。熱接着マトリックスの軽量層を繊維を互いに保持させるために使用することができ、そして中程度の熱を、強化繊維を固定するために使用することができる。組み合わされた複合材料マトリックスの加熱及び固定の後は、通常は、バインダー樹脂を使用して、これを強化繊維マトリックス中に流し、そしてこのマトリックスを硬化して、強化繊維が埋め込まれた硬質もしくは半硬質の相を形成する。
【0026】
バインダー樹脂相とポリマー性接着マトリックス相との間の結合を強化するために、ポリマー性接着マトリックス相樹脂を変性して、バインダー樹脂相とのより良好な相溶性を供し、また場合によっては反応させて樹脂の一部とすることができる。このようにして、バインダー樹脂、強化繊維及びポリマー性接着マトリックスからなる複合体構造の最終の性能を増強することができ、それによって性質の向上、例えば、強化繊維を介して、得られる複合材料積層体に良好な破壊靱性、剛性、曲げ強さ及び低い亀裂伝播性を与える性質の向上がもたらされる。
【0027】
ナイロンの製造工程では、通常は、重合中にポリマー鎖を停止させるために末端基が使用される。多くのポリアミド及びコポリアミドでは、ポリマー鎖の末端基の停止のためには通常はカルボキシル基(−COOH)が使用される。この末端基は、アミン(−NH3)末端基ほどは反応性が高くない。二量体化した脂肪酸及びポリアミンに基づく粘度が多少低めの樹脂であるCognis社のVersamid(R)ポリアミドなどのアミン製品をカルボン酸末端ポリアミドと混合することによって、それらのカルボキシル基がアミン基と実質的に置き換わる。これは、エポキシバインダー樹脂との反応において反応性がより高い末端基を供する。
【0028】
他の態様の一つでは、該ポリマー性接着マトリックスの表面は、このポリマー性マトリックスをアミン末端基変性剤でコーティングすることにより変性される。他の態様では、該ポリマー性接着マトリックスのアミン変性樹脂は、バインダー樹脂とポリマー性接着マトリックス(例えば不織ウェブの繊維)との間の親和性を高めるために炭素繊維上にコーティングする。他の態様は、アミン変性接着マトリックス樹脂の粉末または粒状物を用意し、そして強化繊維上にこの粒子の実質的に均一な厚さの層を付着(例えば静電気的に付着)させて、このような粉末または粒状物の均一な厚さのマトリックスを供することを含む。またその代わりに、このようなアミン変性ナイロンの均一な厚さのマトリックス、ポリマーを強化繊維の上にプラズマ蒸着または静電気的に付着させる。
【0029】
本発明のナイロンポリマー性接着マトリックスは、低吸湿性ナイロン12ポリマーまたはナイロン11ポリマーを、発泡剤と混合し、溶融し、次いで押出機を通して成形ダイ(好ましくは環状押出ダイ)に導く方法によって製造することができる。このような方法は、2003年1月24日に出願された同時係続中の米国特許出願シリアル番号第10/350,707号明細書に記載されている。ナイロン押出物は、それがエクスパンダリングを通ると細くなり(配向され)、そして立体網状ポリマー性接着マトリックスが、長さ方向及び幅方向の両方に伸張される。
【0030】
本発明のポリマー性接着マトリックスは、熱可塑性低吸湿性ナイロンポリマーまたは低吸湿性ポリマーブレンドから形成される。本発明のポリマー性接着マトリックスは、このポリマー性接着マトリックスを、強化繊維の二つの層の間に入れることによって、樹脂含浸複合材料積層体の製造に利用することができる。より多くの強化繊維層の間により多くの接着マトリックス層を加えることによって、より多くの層を積み重ねることができる。強化繊維層及びポリマー性接着マトリックスを配置しそして層状化した後は、その一つもしくはそれ以上の強化繊維層に、架橋性樹脂、例えばエポキシまたはポリイミドを注入する。
【0031】
この多層複合材料積層体は幾つかの方法で製造することができる。このような方法の一つでは、強化繊維のトウ、ウェブまたは布状物を作りそしてポリマー性接着マトリックスをこれらの強化繊維と接触させて配置することができる。この接着マトリックスをべと付いた状態にさせそしてこれを強化繊維に接着させるのに充分な僅かな熱を加えることができる。該ポリマー性接着マトリックスは、衝撃を受けた際に、エネルギーデフレクター及びエネルギーアブソーバーの両方として機能し、また強化繊維を互いに保持する機構を供する。強化繊維中に過度に溶け込むことなく、ポリマー性マトリックスが維持されることが利点の一つであると考えられる。これにより、ポリマー性接着マトリックスがそれの元の形状に近い形状に保たれ、そして三次元向上が維持され、そうしてより良好にエネルギーを逸らせることが可能になり、かつ接着マトリックスと強化繊維との間の接触面積が減少する。この減少した接触面積は、次の段階において強化繊維全体中にバインダー樹脂を注入する際におけるそれのより簡単な分布に寄与する。このような方法を以下の図2に示す。
【0032】
不織ウェブであるポリマー性接着マトリックスの場合には、三次元構造及び元の繊維断面の維持は、それぞれ異なる融点を有する二種のポリマーのシース/コアシステムを用いることによって供することができる。これは、繊維構造を溶融させることなく、ポリマー性ウェブを強化繊維と接触させて配置することを可能にする。この課題を達成するための他の方法の一つは、ポリマー性マトリックスの基材としてのナイロンポリマーを、少なくとも5重量%から40重量%までの量の相溶性低融点熱可塑性ポリマーとブレンドすることである。これは、最初にポリマー性接着マトリックスを強化繊維に固着させる際のより低い粘着点(tack point)を供して、ポリマー性マトリックスの殆どを未溶融の状態に保つ。上記課題を達成するための他の方法の一つは、ポリマー性接着マトリックス(例えば不織ウェブ)または強化繊維のいずれかの表面を粘着付与剤でコーティングすることによって、不織ウェブの元のままの状態及び三次元構造並びにこの不織ウェブを構成する繊維の元の断面を維持しながら、不織ウェブと強化繊維とを固定することである。
【実施例】
【0033】
例1
ナイロン12に基づく自己結合布を用いた一軸性炭素繊維堆積物の予積層化
図2は、この予積層行程の例示である。強化用炭素繊維をビームから供給し、次いで櫛で分けることにより、フィラメントを幅16インチに渡って均等に分配して、ばら繊維(loose fiber)のテープ状堆積物とする。このヤーンは、フィラメント当たり10デニールで700本のフィラメントを含む(インチ当たり15〜20本のヤーン)。このテープを、結合装置のコンベアベルトによって一分間当たり約20フィートのライン速度で引っ張り、そして巻取器で巻き取る。310°Fの温度の結合装置に導入する前に、炭素繊維堆積物をポリマーに接触させる。
【0034】
第二の操作では、上記予層状複合材料の切断片を、強化炭素繊維が互いに制御された角度で配列されて所望の積層材(lay-up)を形成するように層状化する。これらの積層材を、輪郭を持つ表面とこの積層材を入れる可撓性のメンブレンとを有する成形容器中に入れる。積層材を含む層の断面全体に減圧を引いて、液状のバインダーエポキシ樹脂を強化炭素繊維中に浸透させるための装備が供される。バインダー樹脂の粘度を低下させ、強化繊維積層材の浸透を容易化し、エントラップトエアを除去し、そしてバインダー樹脂の硬化を容易にするために、場合によっては熱が加えられる。
【0035】
例2
ナイロン12ポリマーブレンドウェブを用いた積層体の製造
予ポリマー性接着ウェブ製造
原料:
ナイロン12 −90部(−NH3末端)
ナイロンターポリマー −10部
タイプ: (ナイロン12,ナイロン6,6、ナイロン6)
組成: 50/25/25−重量部
混合: 原料を傾斜ドラムブレンダー中で20分間、乾式混合する。
押出システム: 図1に示す回転式布押出システム
巻取器: 標準繊維材料用巻取器
押出機: 2.5インチ標準単軸スクリュー押出機
ダイのタイプ: 放射形,16個の紡糸口金
急冷: ダイに合わせて放射形(周囲空気)
ニップロール: 空気式ニップロール
巻取器: 標準繊維材料用巻取器
【0036】
新たに混合した原料ブレンドを、6つの温度帯域を有する押出機のホッパーに供給する。この押出機は、約500°Fの溶融温度までの、ポリマーを溶融するための温度プロフィルに設定する。同時に空気で急冷しながら、1分間あたり500〜3000の回転数で回転する回転ダイを通して押出機からフィラメントを押出しして、ウェブの長さ方向から約43度ずれた実質的な繊維配列度を有する自己結合した不織ウェブを形成する。初期のウェブはチューブ状であるが、下流にいくにつれて潰れて平坦な二枚重ねのウェブとなる。最終のウェブは66インチの幅であり、そしてこれは巻取器上に巻き取られる。
【0037】
押出条件:
温度[°F]:
帯域−1 300
帯域−2 325
帯域−3 375
帯域−4 435
帯域−5 520
帯域−6 520
【0038】
ダイアンペア(Die-Amps):7.2
急冷[33イン−ウオータ]: 33
ダイ回転数[rpm]: 1700
圧力[psi]: 1000
速度[フィート/分]: 50
基本重量[osy]: 0.40
押出速度[Lb/hr/孔] 2.0
【0039】
例3
ブレンドしていないナイロン12を用いた積層体製造
ポリマー性接着ウェブが、アミン変性ナイロン12のみからなることを除いて例2の手順を繰り返す。
【0040】
例4
ビームに巻いた炭素繊維の幅へのウェブの適用
連続フィラメント炭素繊維をビームに巻く(インチ当たり約15〜20ヤーン(ヤーン当たりのフィラメント数500〜1,000本)で、シャフトの幅に渡って炭素ヤーンを一緒に予め巻いておく)。4%Versamid(R)ポリアミドとブレンドしたナイロン12/ナイロンターポリマーブレンドを、2003年1月24日に出願された同時係続中の米国特許出願シリアル番号第10/350,707号明細書に記載の方法を用いて次のように340°Fの温度で押出しする。
【0041】
原料:
ナイロン12 −90部
ナイロンターポリマー−12,6−6,6 −10部
Versamid(R)ポリアミド −ポリマー含有量の4%
加工助剤: −8部
発泡剤:
アゾジカルボンアミド −ポリマー及び加工助剤の重量に基づいて1.25%
混合: 原料及び発泡剤をドラムミキサ中で20分間乾式混合する。
押出機: 1.25インチ標準単軸スクリュー押出機
ダイのタイプ: 8.0インチの押出スロット径を有する放射形
急冷: ダイに合わせて放射形(周囲空気)
エキスパンダロール: 直径26.9インチ
ニップロール: 空気式ニップロール
巻取器: 標準繊維材料巻取器
【0042】
ウェブ製造の詳細:
新たに混合した原料ブレンドを押出機のホッパーに供給する。この押出機は、約340°Fの溶融温度まで、ポリマーを溶融する温度プロフィルに設定する。発泡した押出物を、同時に空気で急冷しながら放射形ダイを通して押出しして立体網状の押出物を形成し、これを、26インチ径のエクスパンジョンリングを介して拡布しながら更に展開させて、チューブ状のウェブを形成する。このウェブは下流では潰れて平坦な二枚重ねのウェブとなる。最終の立体網状ウェブは、幅が32インチであり、これを巻取器上に巻き取る。
【0043】
押出条件:
押出温度[°F] 345
アダプタ温度: 350
ダイ/リップ温度: 350
スクリュー速度[rpm]: 55
巻取器速度[フィート/分]: 22
得られたウェブの基本重量[gm/メータ2 ]: 14−17
【0044】
上記のナイロン12に基づく押出ウェブは、それがエクスパンダリングを通ると細くなり(配向され)、そしてナイロン12に基づくこの立体網状ポリマー性接着マトリックスは、長さ方向及び幅方向の両方に伸張される。次いで、このポリマー性接着不織ウェブは、図2に示すように、炭素繊維の幅の両側と接触させる。次いで、この組み合わせた層を約310°Fに加熱しそして軽い圧力を加えるが、このポリマー性接着ウェブはそれの三次元構造の元の状態の一部を保つ。次いで、この複合材料積層体を、今後の作業における次の層状化のためにロール上に巻き取る。
【0045】
例5
例1と同じ条件下に、4重量%のVersamid(R)ポリアミドとブレンドしたナイロン11を、ポリマー性接着ウェブとして押出しする。次いで、このポリマー性接着ウェブを利用して、例1と同じ条件下に炭素繊維複合材料積層体を形成する。
【0046】
例6
例1と同じ条件下に、4重量%のVersamid(R)ポリアミドとブレンドした50/50重量%比のナイロン11/ナイロン12ブレンドをポリマー性接着ウェブとして押出しする。次いで、このポリマー性接着ウェブを利用して、例1と同じ条件下に炭素繊維複合材料積層体を形成する。
【0047】
例7
布のコーティング及びパジング
自己結合した接着布の繊維を構成するナイロン12ポリマーブレンドの化学親和性を向上するために、アミン添加剤を溶解して粘性溶液とし、そしてこれを、不織布を構成する繊維の表面に塗布する。この例で使用した装置を図3に示す。この方法では、自己結合した接着布を、供給ロールから案内ローラを介してパッダ及びコータのニップ中に送る。そのニップ圧は、コーティング作用を制御する。ニップロールのロール回転は、ニップに供給されるコート液の重量を制御する。塗布された布はパッダを離れ、乾燥域中に入り、そして巻取器に向かって進行する。この巻取器は、フィルムの送出しのための巻出位置を含む。
【0048】
布: 例2で製造した布
添加剤:
Versamid(R)[Cognis] 二量体化した脂肪酸及びポリアミンに基づくポリアミドに基づく樹脂
処理した溶剤: アルコール90部当たり添加剤1部
速度,フィート/分: 50
布上の重量増分: 1〜3%
ロール圧,lb: 300/60インチロール長さ
【0049】
例8
樹脂でコーティングされた接着布
例7の装置及び方法を用いて、同じ不織ポリマー性接着ウェブを製造し、これを次いで、硬化剤を含まない高粘度エポキシ樹脂でコーティングする。この方法の製造物は、硬化してない限りは、比較的湿った粘着性の状態の布である。そのため、予積層工程における巻出しを容易化するために、巻き取りの前に、製造物ロールとコーティングされた布との間に薄いフィルムを敷くことを除いて、上記のウェブを例3と同じようにコーティングする。予積層化の間、上記フィルムはそのまま接着布と一緒にしておくことができ、そうして炭素繊維堆積物が二つのフィルム層の間に存在する予積層体を形成することができる。当然、最終の堆積物では、この差し込まれたフィルムは除去する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、RFEプロセスを示す。熱可塑性プラスチックが、環状紡糸ヘッドを介して押出機から押出しされて不織ウェブを与える。この不織ウェブは次いで二つのニップロール間に通され、そしてRFE布ロール上に集められる。
【図2】図2は、炭素繊維堆積物の予備積層化のための装置を示す。炭素繊維ビーム巻き取りプロセスが記載され、この際、不織ウェブは、ビームから供給された炭素繊維堆積物の両側に適用される。不織ウェブは、二つの別々のロールから供給されて炭素繊維堆積物の両側に接触する。この予積層体には熱及び圧力が加えられ、そしてこの予積層体は次いで冷却されてそして炭素繊維プレプレグが得られる。
【図3】図3は、本発明のポリマー性接着ウェブ(布)のパジング(コーティング)を示す。不織布は、送出しロールからパジング/コーティング装置に送られ、ここでアミン変性剤がこの不織ウェブの表面にコーティングされる。このコーティングされたウェブは、排気室及び乾燥機に送られ、そしてウェブアキュムレータ上に送られる。次いで、このコーティングされた不織ウェブは、フィルム送出しロールから送られたフィルムの上に載せた状態で巻取器上に巻き取られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ナイロン12もしくはナイロン11ポリマー、またはこれらと40重量%までの量の他の相溶性熱可塑性ポリマー性材料とのブレンドを含む実質的に均一な厚さの不織ウェブ、あるいは2)アミン末端低吸湿性ポリアミド、好ましくはアミン末端ナイロン12もしくはアミン末端ナイロン11ポリマー、またはこれらと40重量%までの量の他の相溶性熱可塑性ポリマー性材料とのブレンドを含む実質的に均一な厚さの繊維質または非繊維質マトリックスのいずれかを含む、ポリマー性接着マトリックス。
【請求項2】
1)ポリマー粒子、2)フィルム、3)不織ウェブまたは4)非繊維質の立体網状ウェブのいずれかの実質的に均一な厚さのマトリックスを含む、請求項1のポリマー性接着マトリックス。
【請求項3】
1)のナイロン12またはナイロン11ポリマーが、他の相溶性低吸湿性ナイロンポリマーと共重合されている、請求項1のポリマー性接着マトリックス。
【請求項4】
2)のアミン末端ナイロン12またはアミン末端ナイロン11が、他の相溶性低吸湿性ナイロンポリマーと共重合されている、請求項1のポリマー性接着マトリックス。
【請求項5】
相溶性の低吸湿性ナイロンポリマーがナイロン6,10またはナイロン6,6である、請求項3のポリマー性接着マトリックス。
【請求項6】
不織ウェブが、布の幅を横断する連続フィラメントからなる自己結合した繊維マトリックスによって形成される、請求項1のポリマー性接着マトリックス。
【請求項7】
1)ポリマー粒子、2)フィルム、3)不織ウェブまたは4)非繊維質立体網状ウェブのいずれかの実質的に均一な厚さのマトリックスを含む、請求項1のポリマー性接着マトリックス。
【請求項8】
バインダー樹脂で含浸処理された複数の強化繊維層の間に配置された請求項1のポリマー性接着マトリックスの少なくとも一つの層を含む、多層積層体。
【請求項9】
ポリマー性接着マトリックスが、実質的に均一な厚さを有する繊維質ウェブである、請求項8の多層積層体。
【請求項10】
ポリマー性接着マトリックスの表面が、このマトリックスをアミン変性剤でコーティングすることによって変性されている、請求項9の多層積層体。
【請求項11】
アミンで変性された樹脂が強化繊維層の上にコーティングされて、それによってバインダー樹脂とポリマー性接着マトリックスとの間の親和性が高められている、請求項9の多層積層体。
【請求項12】
アミンで変性されたポリマー性接着マトリックスの粉末または粒状物の実質的に均一な厚さの層を強化繊維層の上に含む、請求項11の多層積層体。
【請求項13】
ポリマー性接着マトリックスが、三次元構造体の形の不織ウェブであり、そして繊維断面が、それぞれ異なる融点を有する二種のポリマーからなるシース/コアポリマー系を含む、請求項8の多層積層体。
【請求項14】
ポリマー性接着マトリックスが、相溶性低融点熱可塑性ナイロンポリマーを少なくとも5重量%から40重量%までの量で含む、請求項8の多層積層体。
【請求項15】
1)ナイロン12もしくはナイロン11ポリマー、またはこれらと40重量%までの量の他の相溶性熱可塑性ポリマー性材料とのブレンドを含む不織ウェブ; あるいは2)アミン末端低吸湿性ポリアミド、アミン末端ナイロン12もしくはアミン末端ナイロン11ポリマー、またはこれらと40重量%までの量の他の相溶性熱可塑性ポリマー性材料とのブレンドを含む繊維質または非繊維質マトリックスのいずれかを実質的に均一な厚さで供することによって、ポリマー性接着マトリックスを製造する方法。
【請求項16】
1)ポリマー粒子、2)フィルム、3)不織ウェブまたは4)非繊維質立体網状ウェブのいずれかの実質的に均一な厚さのマトリックスを供することを含む、請求項15の方法。
【請求項17】
1)のナイロン12またはナイロン11ポリマーが他の相溶性低吸湿性ナイロンポリマーと共重合されているポリマー性接着マトリックスを供することを含む、請求項15の方法。
【請求項18】
複数の強化繊維層の間に配置された請求項1の実質的に均一な厚さのポリマー性接着マトリックスの少なくとも一つの層を供することを含む、多層複合材料積層体の製造方法。
【請求項19】
繊維質または非繊維質不織ウェブであるポリマー性接着マトリックスを供することを含む、請求項18の方法。
【請求項20】
それぞれ異なる融点を有する二種のポリマーを含む不織ウェブであるポリマー性接着マトリックスを供することを含む、請求項18の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−531867(P2008−531867A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500683(P2008−500683)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/007364
【国際公開番号】WO2006/096170
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507300652)
【出願人】(507300663)
【Fターム(参考)】