説明

基地局および回路制御方法

【課題】送信に係る消費電力を低減することが可能な基地局を得ること。
【解決手段】現在時刻が、送信周期が決まっているデータの送信時刻であるか否かを判定し、前記現在時刻において、送信周期が決まっていないデータを送信するか否かを判定し、また、送信に係る回路を監視し、移動局へデータを送信しない期間では、送信に係る回路に対して送信機能の停止を指示するスケジューラ部215と、現在時刻が、送信周期が決まっているデータの送信時刻の場合に、前記送信周期が決まっているデータを前記移動局へ送信し、前記現在時刻において、送信周期が決まっていないデータを送信すると判定した場合に、前記送信周期が決まっていないデータを前記移動局へ送信するTRX部208と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばEvolved UTRAに代表されるセルラ通信を含む無線通信システムにおける基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
下記非特許文献1において、第三世代移動通信システムの標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規格化されたEvolved UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)に関する技術が開示されている。Evolved UTRAでは、下りリンクにOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)を採用し、上りリンクにSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)を採用している。
【0003】
Evolved UTRAでは、無線通信システムは基地局と複数の移動局から構成され、複数のサブキャリアからなる周波数ブロックを伝送制御単位とし、一つ以上の周波数ブロックを用いてデータを送受信する。
【0004】
具体的に、上りリンクでは、移動局は、既知の信号を基地局へ周期的に送信し、基地局は、各移動局から受信した既知信号から上りリンクの回線品質を測定する。合わせて、移動局は、自身が送信すべきデータサイズを示す情報を基地局へ送信する。基地局は、移動局から受信したデータサイズを示す情報を用いて、任意の指標に基づいて周波数ブロックを割り当てる移動局を選択し、その後、当該移動局の回線品質に応じたデータの送信方法を決定し、決定した送信方法を移動局に通知する。そして、移動局は、基地局から通知された送信方法に従ってデータを送信することで、目標とする誤り率を実現しながら高効率なデータ伝送を実現している。
【0005】
一方、下りリンクでは、基地局は、既知の信号を移動局へ周期的に送信し、移動局は、基地局から受信した既知信号から下りリンクの回線品質を測定して基地局へ前記回線品質を示す情報を報告する。基地局は、上りリンクと同様に、任意の指標に基づいて周波数ブロックを割り当てる移動局と送信方法を決定し、前記送信方法に従い移動局へデータを送信する。
【0006】
ここで、使用する基地局として、建物内や高層階で十分なSINR(Signal to Noise Interference Ratio:信号対干渉雑音比)を確保するため、従来の基地局(マクロ基地局)に対して非常に小型、安価、低消費電力である基地局(フェムト基地局)が注目されている。フェムト基地局は、各家庭やオフィスのフロアといった不感地帯に設置されることを想定しており、同時接続可能な移動局の数は数台と非常に少ないが、移動局と基地局の距離が短いためSINRが高く、高速データ伝送を実現することができる。
【0007】
また、フェムト基地局の利用形態を考慮した場合、従来のマクロ基地局に比べて、フェムト基地局では、データの通信を行う時間は少ないことが想定される。例えば、下記非特許文献2では、基地局がデータを送受信している時間以外は送受信回路を停止し、基地局の消費電力を低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】3GPP TS36.300 「Overall description;Stage2」
【非特許文献2】R1−095011「Extended Cell DTX for enhanced energy−efficient network operation」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の技術によれば、基地局では、下りリンクにおいて移動局へ送信すべきデータが発生した場合、スケジューラは当該移動局へ周波数ブロックを割り当ててデータを送信する。ここで、移動局へ送信すべきデータが少量でありながら連続的に発生した場合、スケジューラは少量の周波数ブロックを用いて常にデータを送信することとなり、送信回路を停止することができない。そのため、基地局の送信に係る消費電力を低減することができない、という問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、移動局との通信において、送信に係る消費電力を低減することが可能な基地局を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、移動局との間で下りリンクの通信を行う基地局であって、現在時刻が、送信周期が決まっているデータの送信時刻であるか否かを判定する第一の送信判定手段と、前記現在時刻において、送信周期が決まっていないデータを送信するか否かを判定する第二の送信判定手段と、前記第一の送信判定手段の判定結果が真の場合に、前記送信周期が決まっているデータを前記移動局へ送信し、前記第二の送信判定手段の判定結果が真の場合に、前記送信周期が決まっていないデータを前記移動局へ送信し、前記第一の送信判定手段および前記第二の送信判定手段の判定結果がいずれも真の場合に、前記送信周期が決まっているデータおよび前記送信周期が決まっていないデータを前記移動局へ送信する送信手段と、前記送信手段を監視し、前記移動局へデータを送信しない期間では、前記送信手段に対して送信機能の停止を指示する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、送信に係る基地局の消費電力を低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、物理チャネルおよび制御信号を示す図である。
【図3】図3は、物理チャネルのフレームフォーマットを示す図である。
【図4】図4は、基地局の構成例を示す図である。
【図5】図5は、データをマッピングした一例を示す図である。
【図6】図6は、送信周期が決まっているデータの一例を示す図である。
【図7】図7は、データの切り出し指示を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、データの切り出し指示を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、移動局の構成例を示す図である。
【図10】図10は、下りリンクと上りリンクにおけるデータのマッピングの一例を示す図である。
【図11】図11は、PRACHの送信タイミングとprach−ConfigIndexの関係を示す図である。
【図12】図12は、CQIとPMIの送信タイミングとcqi−pmi−ConfigIndexの関係を示す図である。
【図13】図13は、RIの送信タイミングとri−ConfigIndexの関係を示す図である。
【図14】図14は、SRSの送信タイミングとsrs−ConfigIndexの関係を示す図である。
【図15】図15は、データの切り出し指示を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】図16は、データの切り出し指示を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】図17は、複数の基地局におけるデータ送信の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる基地局の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態における無線通信システムの構成例を示す図である。無線通信システムは、移動局100と、基地局200と、基地局終端局300と、交換局400と、から構成される。移動局100は、無線回線を介して基地局200と通信を行う。複数の基地局200は、基地局終端局300によって制御されている。基地局終端局300は、基地局200を制御する終端装置である。交換局400は、公衆網と、基地局終端局300または基地局200と、を接続する装置である。
【0016】
移動局100は、基地局200、基地局終端局300を経由し、交換局400を介して公衆網とデータを送受信できる。なお、基地局200同士が通信可能な構成となっているが、これに限定するものではなく、通信できない構成にすることも可能である。また、図1に示すように、基地局200は、基地局終端局300と接続する場合と、基地局終端局300を介さず交換局400と直接接続する場合のいずれも可能とする。
【0017】
図2は、移動局100と基地局200との間の通信に用いられる物理チャネルおよび制御信号を示す図である。矢印の向きは信号が送信される方向を示す。なお、本実施の形態では、図2に示す物理チャネル名を用いて説明するが、必ずしも当該物理チャネルに限定するものではなく、図2に示す以外の物理チャネルが存在していてもよい。
【0018】
ここで、図2に示す物理チャネルのフレームフォーマットについて説明する。図3は、物理チャネルのフレームフォーマットを示す図である。物理チャネルのフレームフォーマットは、「symbol」を最小単位とし、7symbolの集合を「slot」、2slotの集合を「sub frame」、10sub frameの集合を「frame」と定義する。
【0019】
つぎに、各物理チャネルおよび制御信号について説明する。PRACH(Physical Random Access Channel)は、移動局100から基地局200へ送信される物理チャネルであり、初期発呼、ハンドオーバ、データ送受信を再開する際に用いる。
【0020】
PUCCH(Physical Uplink Control Channel)は、移動局100から基地局200へ送信される物理チャネルであり、下りリンクの回線品質と、移動局100が上りリンクでデータを送信するための要求(Scheduling Request)と、後述するPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)の復号結果と、を基地局200へ送信する際に用いる。
【0021】
PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)は、移動局100から基地局200へ送信される物理チャネルであり、移動局100の上位機能が生成したユーザデータを基地局200へ送信する際に用いる。
【0022】
SRS(Sounding Reference Signal)は、移動局100から基地局200へ送信される制御信号であり、基地局200において上りリンクの回線品質を測定する際に用いる。
【0023】
PBCH(Physical Broadcast Channel)は、基地局200から移動局100へ送信される物理チャネルであり、基地局固有の報知情報を送信する際に用いる。
【0024】
Reference Signalは、基地局200から移動局100へ送信される制御信号であり、移動局100において下りリンクの回線品質を測定する際に用いる。
【0025】
Synchronization Signalは、基地局200から移動局100へ送信される制御信号であり、移動局200が基地局100と下りリンクの同期を取るために用いる。
【0026】
PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)は、基地局200から移動局100へ送信される物理チャネルであり、後述するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を下りリンクで送信する際の時間配置情報を移動局100へ送信する際に用いる。
【0027】
PDCCHは、基地局200から移動局100へ送信される物理チャネルであり、後述するPDSCHの伝送フォーマットと、PUSCHの伝送フォーマットと、を移動局100へ送信する際に用いる。
【0028】
PHICH(Physical HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest) Indicator Channel)は、基地局200から移動局100へ送信される物理チャネルであり、移動局100から送信されたPUSCHの復号結果を移動局100へ送信する際に用いる。
【0029】
PDSCHは、基地局200から移動局100へ送信される物理チャネルであり、基地局200が基地局終端局300または、交換局400から受信したユーザデータを移動局100へ送信する際に用いる。また、PBCH以外で送信される報知情報を移動局100へ送信する際にも用いる。
【0030】
つづいて、通信システムを構成する基地局200の構成について説明する。図4は、基地局200の構成例を示す図である。基地局200は、RRC(Radio Resource Control)部201と、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)部202と、RLC(Radio Link Control)部203と、MUX(Multiplexer)部204と、符号化部205と、DLHARQ(DownLink Hybrid Automatic Repeat reQuest)部206と、変調部207と、TRX(送受信)部208と、アンテナ部209と、復調部210と、ULHARQ(UpLink Hybrid Automatic Repeat reQuest)部211と、復号部212と、DEMUX(Demultiplexer)部213と、品質測定部214と、スケジューラ部215と、リソース管理部216と、RLC部217と、PDCP部218と、RRC部219と、を備える。
【0031】
RRC部201は、移動局100と基地局200間でモビリティ管理や呼制御などの制御データの送信を行う。また、基地局200に在圏する全ての移動局100に対する報知情報を生成する。
【0032】
PDCP部202は、ユーザデータと制御データ(以降、省略してデータと呼ぶ)の秘匿と、上位プロトコルで付与されたヘッダの圧縮と、データの重複検出と、データの破棄と、を行う。
【0033】
RLC部203は、再送制御と、再送制御によって生じるデータの順序逆転の並び変えと、スケジューラ部215が決定したTB(Transport Block)サイズに応じたデータの分割と、を行う。
【0034】
MUX部204は、スケジューラ部215の指示に従い、RLC部203から受信した複数の論理チャネルを多重し、TBを生成する。
【0035】
符号化部205は、スケジューラ部215の指示に従い、MUX部204からのデータに対して誤り訂正符号化を行う。
【0036】
DLHARQ部206は、符号化部205で生成した符号化後のデータを保持し、スケジューラ部215の指示に従いデータを再送する。
【0037】
変調部207は、符号化後のデータについて、スケジューラ部215から指示された周波数ブロックを、スケジューラ部215から指示された変調方式で複素平面上にマッピングする。
【0038】
TRX部208は、変調後のデータを増幅し、無線周波数帯信号へ変換する。また、TRX部208は、アンテナ部209で受信した無線周波数帯信号を、ベースバンド信号へ変換する。
【0039】
アンテナ部209は、移動局100との間でデータを送受信する。
【0040】
復調部210は、TRX部208でベースバンド信号へ変換された移動局100からの受信信号を復調する。
【0041】
ULHARQ部211は、移動局100から受信した初送、および再送データを合成する。
【0042】
復号部212は、合成されたデータを復号し、誤り判定を行う。
【0043】
DEMUX部213は、復号に成功したデータをRLC部203で扱う論理チャネルに分離する。
【0044】
品質測定部214は、復調部210で復調した信号から、周波数ブロック毎の受信電力および干渉電力を測定する。
【0045】
スケジューラ部215は、移動局100が送信するPUSCHと基地局200が送信するPDSCHの伝送制御を行う。
【0046】
リソース管理部216は、データの送受信に係るQoS(Quality of Service)の制御を行う。
【0047】
RLC部217は、再送制御と、再送制御によって生じるデータの順序逆転の並び変えと、スケジューラ部215が決定したTBサイズに応じたデータの結合と、を行う。
【0048】
PDCP部218は、データの認証と、上位プロトコルで付与されたヘッダの展開と、データの重複検出と、データの破棄と、を行う。
【0049】
RRC部219は、移動局100と基地局200間でモビリティ管理や呼制御などの制御データの受信を行う。
【0050】
RRC部201〜変調部207が、送信処理を行う回路であり、復調部210〜DEMUX部213、RLC部217〜RRC部219が、受信処理を行う回路である。
【0051】
ここで、基地局200の各構成を一つの装置(構成)としているが、例えば、図2に示す物理チャネルおよび制御信号毎に、異なる構成に分割し個々に制御するようにしてもよい。例えば、変調部207を、PBCH、Reference Signal、Synchronization Signal、PCFICH、PDCCH、PHICH、PDSCH、のそれぞれに対して異なる構成として分割してもよい。
【0052】
つづいて、無線通信システムにおいて、基地局200と移動局100との間で行われる通信について説明する。ここでは、基地局200が基地局終端局300または交換局400から受信したデータを移動局100へ送信する動作、すなわち下りリンクの送信について説明する。
【0053】
基地局200では、基地局終端局300または交換局400からデータを受信すると、PDCP部202が、データの秘匿、および上位プロトコルで付与されたヘッダを圧縮し、RLC部203が、保持するバッファにデータを格納する。ここで、RLC部203は、移動局100に設定された論理チャネル毎にバッファを保持する。また、RLC部203は、報知情報を保持するバッファも報知情報の種別毎に備えてもよい。
【0054】
RLC部203は、スケジューラ部215に対して各バッファに格納されているデータ量を通知する。
【0055】
リソース管理部216は、下りリンクで送信すべきデータのうち、送信周期と伝送フォーマットが決まっているデータが存在する場合は、その送信周期と伝送フォーマットをスケジューラ部215へ通知する。なお、前記送信周期と伝送フォーマットが予め決まっている場合は、リソース管理部216から通知をせず、事前にスケジューラ部215にて前記送信周期を保持していてもよい。具体的に、送信周期が決まっているデータとは、例えば、報知チャネルであるPBCH等がある。
【0056】
スケジューラ部215は、前記リソース管理部216からの通知に基づいて、はじめに、現在のサブフレームと、送信周期が決まっているデータが格納されている各バッファに対応した送信タイミングと、が一致するかどうかを判定する。すなわち、現在の時刻が、送信周期が決まっているデータの送信時刻か否かを判定する。現在のサブフレームと送信タイミングが一致するデータが格納されているバッファが存在する場合、当該データを移動局100へ送信するために、スケジューラ部215は、当該バッファからデータを切り出すようMUX部204へ指示する。なお、当該バッファにデータがない場合、現在の時刻において送信対象となる送信周期が決まっているデータがないので、スケジューラ部215は、MUX部204へデータの切り出しを指示しない。
【0057】
スケジューラ部215は、つぎに、MUX部204から切り出したデータの伝送フォーマットを決定し、符号化部205、DLHARQ部206、および変調部207に通知する。ここで、伝送フォーマットは、変調方式、符号化率、周波数ブロックの割り当て情報、初送か再送を示す情報、および送信電力を示す情報のうち、少なくとも一つ以上の情報を含む、データを送信する際の送信条件を示す。
【0058】
なお、伝送フォーマットが予め決められている場合は、それに従う。例えば、PBCHは、全帯域の中心から6個の周波数ブロックを用い、変調方式はQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)を用いる。また、スロット#1(20スロットの先頭から2番目)の先頭から4シンボルを用いる。
【0059】
一方、伝送フォーマットが決まっていない場合、スケジューラ部215は、所望の誤り率を満たす伝送フォーマットを決定する。具体的には、目標となる誤り率をa%とした場合、スケジューラ部215は、誤り率a%を満たす回線品質と伝送フォーマットの組み合わせを予めテーブルとして保持し、移動局100から通知された回線品質情報に基づいて、前記組み合わせから誤り率a%を満たす伝送フォーマットをテーブル引きすればよい。
【0060】
また、スケジューラ部215は、PDSCHを、PBCH、またはSynchronization Signalと同じ周波数ブロックに割り当てた場合のみ、テーブル引きしたPDSCHの伝送フォーマットを補正してもよい。例えば、PDSCHを、PBCH、またはSynchronization Signalと同じ周波数ブロックに割り当てた場合のPDSCHを送信できるシンボル数を「bs」、上記以外の周波数ブロックを割り当てた場合のPDSCHを送信できるシンボル数を「wo」、補正係数を「α」とした場合、スケジューラ部215は、「α=bs/wo」として求めて、移動局100から通知された回線品質情報に前記αを乗算した値で伝送フォーマットをテーブル引きしてもよい。
【0061】
つぎに、スケジューラ部215は、現在のサブフレームと送信周期が決まっているデータの送信タイミングが一致する全てのデータに対して伝送フォーマットを決定した場合、送信周期が決まっていないデータを保持するバッファからデータを切り出すようMUX部204へ指示するかどうかを判定する。すなわち、現在の時刻において、送信周期が決まっていないデータを移動局100へ送信するか否かを判定する。
【0062】
ここで、スケジューラ部215は、送信周期が決まっていないデータについては、送信周期が決まっているデータの送信タイミング、または、前記送信周期のn倍(nは1以上自然数)と同じタイミングでのみ送信可能とする。送信周期が決まっていないデータは、送信周期が決まっているデータをn回送信するごとに1回送信することになる。このように、送信周期が決まっていないデータを送信するときは、必ず、送信周期が決まっているデータを送信するタイミングとなる。なお、n=1の場合は、スケジューラ部215は、送信周期が決まっているデータを送信する毎に、送信周期が決まっていないデータも送信する。
【0063】
スケジューラ部215は、送信周期が決まっていないデータを送信する場合は、送信周期が決まっていないデータを保持するバッファからデータを切り出すようMUX部204へ指示する。ここで、送信周期が決まっていないデータを保持するバッファが複数存在する場合、スケジューラ部215は、任意の指標に基づいてMUX部204へ切り出しを指示する。例えば、スケジューラ部215は、MUX部204に対して、各バッファに対応付けられた優先度(プライオリティ)が高いバッファから優先的にデータを切り出すように指示してもよいし、順番にデータを切り出すように指示してもよい。
【0064】
スケジューラ部215は、MUX部204から切り出したデータの伝送フォーマットを決定し、符号化部205、DLHARQ部206、および変調部207に通知する。なお、すでに割り当て済みの周波数ブロックが全帯域の周波数ブロックの総和に達しておらず、かつ、RLC部203が保持するバッファにデータが残留している場合、スケジューラ部215は、再びMUX部204へデータの切り出しを指示し、当該データに対して伝送フォーマットを決定する。それ以外の場合、すなわち、すでに割り当て済みの周波数ブロックが全帯域の周波数ブロックの総和に達した場合、または、RLC部203が保持するバッファにデータが残留していない場合、スケジューラ部215は、MUX部204への切り出し指示を終了する。
【0065】
MUX部204で切り出した全てのデータに対して伝送フォーマットを決定した後、符号化部205は、スケジューラ部215から通知された伝送フォーマットに従って、データを符号化する。また、前記伝送フォーマットも同様に符号化する。符号化の方法は、移動局100と基地局200との間で符号化のルールが取り決めされていれば、いかなる符号化方法を用いてもよい。また、送信するデータの種別(例えば、図2に示す物理チャネルの種別)毎に異なる符号化方法を用いてもよい。この場合、スケジューラ部215が、符号化方法を符号化部205に指示することで実現することができる。
【0066】
DLHARQ部206は、符号化部205で符号化されたデータを、再送用に一時的に蓄積する。移動局100は、当該データを復調し、復調に成功した場合は基地局200に対してACKを通知し、復調に失敗した場合はNACKを通知する。スケジューラ部215は、移動局100から通知されたACKまたはNACKを取得し、ACKだった場合は、DLHARQ部206に対して、蓄積したデータを消去するよう指示する。一方、NACKだった場合は、DLHARQ部206に対して、前記蓄積したデータを移動局100へ再送するよう指示する。ここで、再送データは、送信周期が決まっていないデータとして扱う。再送データの再送タイミングは、他の送信周期が決まっているバッファからデータを送信するタイミングと同じとし、スケジューラ部215は、当該タイミングにてDLHARQ部206へ再送を指示する。
【0067】
変調部207は、符号化部205で符号化された符号化データを時間と周波数領域へマッピングする。ここで、符号化データは、図2に示す物理チャネル毎に異なる領域へマッピングする。例えば、PCFICH、PBCH、Synchronization Signal、Reference Signalについては、移動局100と基地局200との間で予め決められたルールでマッピングされているものとし、PDCCHのマッピング位置を示す情報は、PCFICHに含めることにより、PDCCHのマッピング位置を一意に決定することができる。また、PDSCHのマッピング位置を示す情報は、PDCCHに含めることにより、PDSCHのマッピング位置を一意に決定することができる。
【0068】
TRX部208は、変調部207で変調されたデータを無線周波数帯域の信号に変換し、アンテナ部209を介して移動局100へ送信する。なお、変調部207において変調シンボルが存在しない場合、スケジューラ部215は、当該シンボルではTRX部208およびアンテナ部209の回路を停止する。
【0069】
上述した処理を、PDSCHを送信可能な時間単位毎に繰り返す、すなわち、サブフレームごとに実施することで、下りリンク伝送を実現することができる。
【0070】
なお、スケジューラ部215は、上述の処理において、各構成(回路)が処理を実施しているかどうかを監視し、処理を実施していない期間は、各構成(回路)に対して機能を停止するよう指示する。ここでいう機能とは、図4に示す基地局200を構成する各構成要素のそれぞれの機能とする。例えば、符号化部205にて符号化するデータが無い場合、スケジューラ部215は、符号化部205に対して当該サブフレームにおける符号化処理を停止するよう指示する。スケジューラ部215は、DLHARQ部206や変調部207等についても、送信するデータが無い場合には、同様にそれぞれの処理を停止するように指示する。
【0071】
なお、各構成要素が、例えば、図2に示す物理チャネルおよび制御信号毎に複数の分割された要素に分かれている場合、スケジューラ部215は、分割された要素毎に機能の停止を指示してもよい。また、複数の構成要素が一つのデバイスに実装されている場合、スケジューラ部215は、当該デバイスに対して機能の停止を指示してもよい。また、各構成要素の制御周期とスケジューラ部215の制御周期が異なる場合は、任意のパタンを通知することで当該制御周期中の動作パタンを指示してもよい。
【0072】
図5は、変調部207が時間領域と周波数領域にデータをマッピングした一例を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。時間領域の最小単位はシンボルとする。ここで、TRX部208の制御周期がシンボル単位で、スケジューラ部215の制御周期がサブフレーム単位とした場合、スケジューラ部215は、例えば、TRX部208をONするシンボルを“1”とし、OFFするシンボルを“0”として、14シンボル分のON/OFF状態を14ビットで表現し、TRX部208へ指示してもよい。この場合、図5に示すPBCHを含むサブフレーム(図5の左側)では、全てのシンボルにおいていずれかのデータが送信されていることから、1サブフレーム分のON/OFF状態を“11111111111111”と表現してもよい。また、Reference Signalのみ送信しているサブフレーム(図5の右側)では、“10001001000100”と表現してもよい。これにより、TRX部208は、サブフレーム単位でReference Signalを送信するシンボルを特定することができる。
【0073】
さらに、送信周期が決まっているデータが存在する場合は、1サブフレーム内の送信パタンが既知なので、スケジューラ部215は、TRX部208へ通知するビット数を削減することができる。例えば、PBCH、Synchronization Signal、Reference Signalを送信するサブフレームを“0”とし、Synchronization Signal、Reference Signalを送信するサブフレームを“1”とし、Reference Signalのみ送信するサブフレームを”2“とし、PDSCHを送信するサブフレームを”3“とすれば、スケジューラ部215は、2ビットの情報をTRX部208に通知することで、サブフレーム単位のON/OFF状態を表現することができる。
【0074】
また、スケジューラ部215は、本実施の形態とは異なる複数の指標と上述した方法を組み合わせてもよい。例えば、任意の指標“h”を定義し、本実施の形態において、スケジューラ部215が伝送フォーマットを決定するタイミングではh=1とし、それ以外のタイミングではh=0とする。そして、hに対して任意の係数αを乗算して、その他の指標と足し合わせた結果に基づいて、伝送フォーマットを決定してもよい。この場合、全ての指標の総和が最も高い移動局100から順に伝送フォーマットを決定すればよい。また、前記総和のうち、最も高い値が任意の閾値を下回る場合は、当該サブフレームにおいて伝送フォーマットを決定しないようにしてもよい。
【0075】
なお、上述した処理は、送信すべきデータの種別に応じて適用の有無を判断してもよい。例えば、VoIP(Voice over IP)やストリーミングのようにリアルタイム伝送が必要なデータに対しては上述の処理は適用せず、FTP(File Transfer Protocol)などリアルタイム伝送が不要なデータに対してのみ適用することとしてもよい。この場合、状態値に用いるバッファ滞留量にリアルタイム伝送が必要なデータのデータ滞留量は含めないこととする。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態では、基地局200が移動局100に対してデータを送信する過程において、スケジューラ部215は、送信周期が決まっているデータの送信タイミングにて、送信周期が決まっていないデータを送信する。具体的には、送信周期が決まっているデータのうち、現在のサブフレームと送信タイミングが一致するデータの伝送フォーマットを決定し、送信周期が決まっていないデータについては、前記送信周期が決まっているデータと同じタイミングで伝送フォーマットを決定し、移動局100へデータを送信または再送することとした。これにより、基地局200は、データの送信タイミングを特定のタイミングに集約でき、データを送信しないシンボル数を増大できることから、当該データを送信しないシンボルにおいて送信にかかる構成を停止することにより、送信に係る消費電力を低減することができる。
【0077】
実施の形態2.
実施の形態1では、基地局200が、下りリンクにおいて、送信周期が決まっていないデータを、送信周期が決まっているデータと同じタイミングで移動局100へ送信することとした。
【0078】
しかしながら、下りの送信データ量が増大した場合、基地局200は、必ずしも送信周期が決まっているデータの送信タイミングだけで全てのデータを送りきれるとは限らない。この場合、基地局終端局300、または交換局400から基地局200へ送信する区間のデータレートに対して、基地局200が移動局100へ送信する無線区間のデータレートが小さくなるため、RLC部203でデータが滞留する時間が長くなり、移動局100へ送信するデータの遅延時間が増大する。また、RLC部203に滞留するデータサイズがバッファサイズの上限値を超過した場合、データの破棄が発生し、TCPレイヤの輻輳を引き起こす。
【0079】
本実施の形態では、下りリンクのデータ量が増大した場合に、基地局200が、送信に係る消費電力を不必要に増大させることなく、移動局100へデータを送信する方法について説明する。
【0080】
本実施の形態の無線通信システム、および基地局の構成は実施の形態1と同一である。また、本実施の形態の無線通信システムにおいては、基地局200のスケジューラ部215がMUX部204へデータの切り出しを指示する手順以外は実施の形態1の通信システムと同様である。そのため、実施の形態1と共通の部分については説明を省略する。
【0081】
図6は、実施の形態2の下りリンクにおいて、送信周期が決まっているデータの一例を示す図である。また、図7は、スケジューラ部215がMUX部204へデータの切り出し指示を決定する処理の一例を示すフローチャートである。以降、図6と図7を用いて、スケジューラ部215がMUX部204へデータの切り出しを指示する方法を説明する。
【0082】
図6では、送信周期が決まっているSynchronization Signal、PBCH、Reference Signalの配置を示している。横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。図6にあるように、1フレームの中で、PBCHは先頭のサブフレーム(subframe#0)に配置され、Synchronization Signalはsubframe#0とsubframe#5に配置されている。Reference Signalは、全てのサブフレームに配置されている。図6に示す配置では、PBCH、Synchronization Signal、およびReference Signalがマッピングされるサブフレームのパタンと、Synchronization Signal、およびReference Signalがマッピングされるサブフレームのパタンと、Reference Signalのみがマッピングされるパタンと、が存在する。ここでは、それぞれを、patternA、patternB、patternCとする。なお、patternBには、送信周期が決まっているその他のサブフレームを含めてよい。例えば、PDSCHで送信する報知情報は送信周期が決まっているので、patternBに含めてもよい。
【0083】
つづいて、図7に基づいて、スケジューラ部215がMUX部204へデータの切り出し指示を決定する処理について説明する。まず、スケジューラ部215は、現在の時刻における送信パタンを判定する。具体的に、スケジューラ部215は、現在のサブフレームがpatternCであるかどうかを判定する(ステップS001)。判定結果がYesの場合(ステップS001:Yes)、つぎに、スケジューラ部215は、RLC部203が保持しているデータの状態を示す状態値が、判定閾値cより大きいかどうかを判定する(ステップS002)。判定結果がYesの場合(ステップS002:Yes)、スケジューラ部215は、移動局100へデータを送信するため、MUX部204へデータを切り出すよう指示する(ステップS003)。一方、ステップS002において、判定結果がNoの場合(ステップS002:No)、スケジューラ部215は、移動局100へデータを送信しないため、MUX部204へデータの切り出しを指示しない。
【0084】
ステップS001に戻って、判定結果がNoの場合(ステップS001:No)、スケジューラ部215は、現在のサブフレームがpatternBであるかどうかを判定する(ステップS004)。判定結果がYesの場合(ステップS004:Yes)、つぎに、スケジューラ部215は、状態値が判定閾値bより大きいかどうかを判定する(ステップS005)。判定結果がYesの場合(ステップS005:Yes)、スケジューラ部215は、MUX部204へデータを切り出すよう指示する(ステップS003)。一方、判定結果がNoの場合(ステップS005:No)、スケジューラ部215は、MUX部204へデータの切り出しを指示しない。
【0085】
ステップS004に戻って、判定結果がNoの場合(ステップS004:No)、スケジューラ部215は、MUX部204へデータの切り出しを指示する(ステップS003)。なお、ステップS004の判定結果がNoの場合は、現在のサブフレームがpatternAであることを意味する。
【0086】
ここで、上述した状態値は、RLC部203が保持しているデータの状態を示す値であり、例えば、RLC部203が保持する全てのバッファに滞留するデータサイズとする。
【0087】
また、判定閾値bは、スケジューラ部215が過去にMUX部204へデータの切り出し指示をしたデータサイズの平均値のq倍(qは実数)とすればよい。平均化方法についてはここで言及しないが、例えば、忘却係数を用いることで平均化することができる。具体的に、qを“1”とした場合とは、スケジューラ部215が、MUX部204へ、patternAのタイミングでデータの切り出しを指示した場合のデータサイズの平均値に相当する。ここで、patternAのタイミングで移動局100へデータを送信しても、RLC部203のバッファにデータが滞留する場合、スケジューラ部215は、patternBのサブフレームも用いてデータを送信することとなる。
【0088】
一方、判定閾値cは、スケジューラ部215が過去にMUX部204へデータの切り出し指示をしたデータサイズの平均値のp倍(pは実数:p≧q))とすればよい。例えば、pを“2”とした場合とは、スケジューラ部215が、MUX部204へ、patternAとpatternBのタイミングでデータの切り出しを指示した場合のデータサイズの平均値に相当する。ここで、patternAとpatternBのタイミングで移動局100へデータを送信しても、RLC部203のバッファにデータが滞留する場合、スケジューラ部215は、patternCのサブフレームも用いてデータを送信することとなる。
【0089】
このように、判定閾値cは判定閾値b以上になることから、patternCのときの方が、patternBのときよりもデータを送信する条件が高いことになる。すなわち、patternBのときの方が、patternCのときよりも、よりデータを送信しやすいことになる。
【0090】
なお、図7ではpatternBとpatternCとを区別していたが、別の様態によれば、patternBとpatternCを同じパタンとして処理してもよい。また、送信パタンを4つ以上にすることも可能である。図8は、スケジューラ部215がMUX部204へデータの切り出し指示を決定する処理の一例を示すフローチャートである。一例として、送信パタンを2つにしたものである。
【0091】
例えば、図8のように、スケジューラ部215は、現在のサブフレームがpatternAであるかどうかを判定する(ステップS101)。判定結果がYesの場合(ステップS101:Yes)、つぎに、スケジューラ部215は、状態値が判定閾値bより大きいかどうかを判定する(ステップS102)。なお、状態値および判定閾値bは上述の値を用いる。判定結果がYesの場合(ステップS102:Yes)、スケジューラ部215は、MUX部204へデータを切り出すよう指示する(ステップS103)。一方、ステップS102において、判定結果がNoの場合(ステップS102:No)、スケジューラ部215は、MUX部204へデータの切り出しを指示しない。
【0092】
ステップS101に戻って、判定結果がNoの場合(ステップS101:No)、スケジューラ部215は、MUX部204へデータの切り出しを指示する(ステップS103)。なお、ステップS101の判定結果がNoの場合は、現在のサブフレームがpatternAであることを意味する。
【0093】
また、別の様態によれば、前記状態値は、RLC部203が保持する各移動局100に対応したバッファに滞留するデータサイズの総和としてもよい。また、前記判定閾値b、および判定閾値cは、各移動局100へ送信可能な最大データサイズのq倍、およびp倍(p≧q)としてもよい。なお、最大データサイズは、移動局100から受信した回線品質情報を用いて計算することができる。この場合、スケジューラ部215は、図7および図8に示す処理を各移動局100に対して実行することになり、特定の移動局100に対して瞬時的にデータが発生した場合でも、きめ細やかにデータを送信することができる。
【0094】
また、別の様態によれば、前記状態値は、RLC部203が保持する各移動局100の論理チャネルに対応したバッファに滞留するデータサイズとしてもよい。また、前記判定閾値b、および判定閾値cは、上述したように移動局100へ送信可能な最大データサイズのq倍、およびp倍(p≧q)としてもよい。この場合、スケジューラ部215は、図7および図8に示す処理を各移動局100の論理チャネルに対して実行することになり、特定の移動局100の任意の論理チャネルに対して瞬時的にデータが発生した場合でも、きめ細やかにデータを送信することができる。
【0095】
また、別の様態によれば、前記判定閾値b、判定閾値cは、それぞれ、RLC部203が保持するバッファサイズ(蓄積可能データサイズ)のrb倍(rbは0から1を範囲とする実数)、ra倍(raは0から1を範囲とする実数:ra≧rb)としてもよい。この場合、RLC部203が保持するバッファへの滞留データ量が超過してデータが破棄される確率を低減できるため、TCPレイヤの輻輳を回避することができる。
【0096】
また、別の様態によれば、前記判定閾値b、判定閾値cは、RLC部203が保持するバッファに対応する論理チャネルの許容遅延時間のうち、最も小さい値のt倍(tは0から1を範囲とする実数)、s倍(sは0から1を範囲とする実数:s≦t)とし、状態値は、RLC部203が保持するバッファに滞留するデータの猶予時間のうち、最も小さい値としてもよい。ここで、前記許容遅延時間とは、基地局終端局300、または交換局400から送信されたデータを基地局200が受信した時刻から、当該データを移動局100へ正しく送信されるまでの許容時間を指し、リソース管理部216からスケジューラ部215へ通知されるものである。
【0097】
なお、前記許容遅延時間は、Evolved UTRAにおいては、基地局終端局300、または交換局400から基地局200へ通知されるQCI(QoS Class Identifier)に含まれるPDB(Packet Delay Budget)から求めてもよく、論理チャネル毎に異なる値を設定してもよい。
【0098】
また、前記猶予時間とは、RLC部203が保持するバッファにデータが到着した時刻から計時を開始し、許容遅延時間から計時した時間を差し引いた値とすればよい。この場合、許容遅延時間を超過しない範囲でデータを送信することができるため、論理チャネル毎にQoSを保証することができる。
【0099】
また、別の様態によれば、前記判定閾値b、判定閾値cは、それぞれ、RLC部203が保持するバッファに対応する論理チャネルの許容遅延時間のv倍(vは0から1を範囲とする実数)、u倍(uは0から1を範囲とする実数:u≦v)とし、状態値は、RLC部203が保持する各バッファに滞留するデータの猶予時間としてもよい。この場合、スケジューラ部215は、図7、図8に示す処理を、各移動局100に割り当てられた論理チャネルに対して実行することになり、特定の論理チャネルにデータが滞留した場合でも、QoSを保証することができる。
【0100】
また、スケジューラ部215は、本実施の形態とは異なる複数の指標と上述した方法を組み合わせてもよい。例えば、任意の指標“h”を定義し、本実施の形態において、スケジューラ部215が伝送フォーマットを決定するタイミングではh=1とし、それ以外のタイミングではh=0とする。そして、h=1のときのみ、他の指標に基づいてデータを送信する移動局100または、移動局100に対応した論理チャネルを決定すればよい。また、上述した任意の指標“h”は、移動局100毎に定義してもよい。この場合、j番目の移動局100に対する指標“h_j”(jは移動局100の識別子)が“1”である移動局100の中から他の指標に基づいて、データを送信する移動局100を決定してもよい。また、上述した任意の指標“h”は、移動局100に対する論理チャネル毎に定義してもよい。この場合、j番目の移動局のk番目の論理チャネルに対する指標“h_j_k”(kは論理チャネルの識別子)が“1”である論理チャネルの中から他の指標に基づいてデータを送信する論理チャネルを決定してもよい。
【0101】
また、別の様態によれば、任意の指標“h”または“h_j”または“h_j_k”に対して任意の係数αを乗算して、その他の指標と足し合わせた結果に基づいて伝送フォーマットを決定してもよい。例えば、全ての指標の総和が最も高い移動局100、または移動局100の論理チャネルから順に伝送フォーマットを決定すればよい。また、前記総和のうち、最も高い値が任意の閾値を下回る場合は、当該サブフレームにおいて伝送フォーマットを決定しないようにしてもよい。
【0102】
実施の形態1と同様、上述した処理は、送信すべきデータの種別に応じて適用の有無を判断してもよい。例えば、VoIPやストリーミングのようにリアルタイム伝送が必要なデータに対しては上述の処理は適用せず、FTPなどリアルタイム伝送が不要なデータに対してのみ適用することとしてもよい。この場合、状態値に用いるバッファ滞留量にリアルタイム伝送が必要なデータのデータ滞留量は含めないこととする。
【0103】
以上説明したように、本実施の形態では、基地局200が移動局100へデータを送信する過程において、スケジューラ部215は、下りリンクで送信すべきデータ量が増大した場合は、下りリンクの滞留データの状態を閾値判定することにより、送信周期が決まっていないデータの送信機会を増やす。具体的には、送信周期が決まっているデータの組み合わせに対応したマッピングのパタンをサブフレーム単位で分類し、前記パタン毎に異なる閾値と保持しているデータの状態を示す状態値との大小判定を行うことにより、現在のサブフレームでデータを送信するか否かを決定することとした。これにより、基地局200は、送信すべきデータ量が増大した場合においても、QoSを保証しつつ、データの送信タイミングを効率的に集約することができるため、データを送信しないシンボルで送信にかかる回路を停止することにより、基地局200の送信に係る消費電力を低減することができる。
【0104】
実施の形態3.
実施の形態1、2では、基地局200から移動局100へデータを送信する過程において、基地局200のスケジューラ部215がデータの送信タイミングを集約することにより、基地局200の送信に係る消費電力を低減した。
【0105】
しかしながら、基地局200では、上りリンクにおいて、移動局100から受信したデータサイズを示す情報が少量でありながら連続的に通知された場合、スケジューラ部215は、少量の周波数ブロックを常に移動局100へ割り当てることにより、受信回路を停止することができない。そのため、基地局200の受信に係る消費電力を低減することができない、という問題があった。
【0106】
本実施の形態では、基地局200が移動局100からデータを受信する過程において、基地局200の受信に係る消費電力を低減する方法について説明する。
【0107】
本実施の形態の移動通信システムおよび基地局の構成は実施の形態1と同一であるため説明を省略する。
【0108】
図9は、移動局100の構成例を示す図である。移動局100は、RRC部101と、PDCP部102と、RLC部103と、MUX部104と、符号化部105と、ULHARQ部106と、変調部107と、TRX(送受信)部108と、アンテナ部109と、復調部110と、DLHARQ部111と、復号部112と、DEMUX部113と、品質測定部114と、伝送制御部115と、RLC部116と、PDCP部117と、RRC部118と、を備える。
【0109】
RRC部101は、基地局200から受信したモビリティ管理や呼制御などの制御データの管理を行う。
【0110】
PDCP部102は、データの秘匿と、上位プロトコルで付与されたヘッダの圧縮と、データの重複検出と、データの破棄と、を行う。
【0111】
RLC部103は、再送制御と、再送制御によって生じるデータの順序逆転の並び変えと、伝送制御部115から通知されたTBサイズに応じたデータの分割と、を行う。
【0112】
MUX部104は、伝送制御部115の指示に従い、RLC部103から受信した複数の論理チャネルを多重し、TBを生成する。
【0113】
符号化部105は、伝送制御部115の指示に従い、MUX部104からのデータに対して誤り訂正符号化を行う。
【0114】
ULHARQ部106は、符号化部105で生成した符号化後のデータを保持し、伝送制御部115の指示に従いデータを再送する。
【0115】
変調部107は、符号化後のデータについて、伝送制御部115から指示された周波数ブロックを、伝送制御部115から指示された変調方式で複素平面上にマッピングする。
【0116】
TRX部108は、変調後のデータを増幅し、無線周波数帯信号へ変換する。また、TRX部108は、アンテナ部109で受信した無線周波数帯信号を、ベースバンド信号へ変換する。
【0117】
アンテナ部109は、基地局200との間でデータを送受信する。
【0118】
復調部110は、TRX部108でベースバンド信号へ変換された基地局200からの受信信号を復調する。
【0119】
DLHARQ部111は、基地局200から受信した初送、および再送データを合成する。
【0120】
復号部112は、合成されたデータを復号し、誤り判定を行う。
【0121】
DEMUX部113は、復号に成功したデータをRLC部103で扱う論理チャネルに分離する。
【0122】
品質測定部114は、復調部110で復調した信号から、受信電力および干渉電力を測定する。
【0123】
伝送制御部115は、基地局200から受信したPDSCHとPUSCHの伝送フォーマットに従い、各構成に対して指示を行う。
【0124】
RLC部116は、再送制御と、再送制御によって生じるデータの順序逆転の並び変えと、伝送制御部115から通知されたTBサイズに応じたデータの結合と、を行う。
【0125】
PDCP部117は、データの認証と、上位プロトコルで付与されたヘッダの展開と、データの重複検出と、データの破棄と、を行う。
【0126】
RRC部118は、基地局200から受信したモビリティ管理や呼制御などの制御データの管理を行う。
【0127】
つづいて、無線通信システムにおいて、基地局200と移動局100との間で行われる通信について説明する。ここでは、移動局100が生成したデータを基地局200へ送信する動作、すなわち上りリンクの送信について説明する。
【0128】
移動局100では、上位機能で送信すべきデータが発生した場合、基地局200から送信機会が与えられるまでデータを保持する。データを保持する構成は、PDCP部102であってもRLC部103であってもよい。またデータを保持する際には、複数のバッファを用いてもよく、例えば、論理チャネル毎、または、複数の論理チャネルのグループ毎にデータを保持することが可能である。
【0129】
伝送制御部115は、移動局100が送信すべきデータが蓄積されているかを監視する。送信すべきデータが蓄積されている場合は、基地局200に対して当該データの送信機会を要求するため、符号化部105に対して送信要求の生成を指示する。ここで、伝送制御部115は、符号化部105に対してデータの有無を示す情報のみを通知してもよいし、または、データの蓄積量を通知し、送信要求に前記データの蓄積量を含めることで、より高精度な送信要求を生成してもよい。また、蓄積されたデータのうち、任意の論理チャネルのデータ量のみを送信要求に含めることとしてもよい。
【0130】
符号化部105は、伝送制御部115から指示された送信要求を符号化する。符号化の方法としては、ターボ符号や畳み込み符号が広く知られているが、移動局100と基地局200の間で符号化のルールが取り決めされていれば、いかなる符号化方法を用いてもよい。また、送信するデータの種別(例えば、図2に示す物理チャネルの種別)毎に異なる符号化方法を用いてもよい。この場合、伝送制御部115が、符号化方法を符号化部105に指示することで実現できる。
【0131】
変調部107は、符号化部105で生成された送信要求の符号化後データを、PUCCHに割り当てられた周波数ブロックへマッピングする。符号化部105と同様に、変調方式と周波数ブロックは、移動局100と基地局200の間で変調方法のルールが取り決めされていればよい。
【0132】
TRX部108は、変調部107で変調されたデータを無線周波数帯域の信号に変換し、アンテナ部109を介して基地局200へ送信する。
【0133】
基地局200では、移動局100から送信された無線周波数帯信号を、アンテナ部209を介して受信し、TRX部208でベースバンドの変調信号に変換する。
【0134】
復調部210は、TRX部208で変換された変調信号を復調する。復調に用いる周波数ブロックと変調方式は、移動局100と基地局200との間で復調方式のルールが取り決めされていればよい。
【0135】
ULHARQ部211は、復調部210で復調されたデータを一時的に蓄積する。復号部212で復号に失敗した場合、基地局200は移動局100へ前記データを再送するよう指示し、ULHARQ部211は、移動局100から送信された再送データと、一時的に蓄積していたデータを合成する。一方、復号部212で復号に成功した場合、ULHARQ部211は、蓄積していた当該データを削除する。ここで、基地局200が移動局100へデータの再送を指示するタイミングは、下りリンクの送信周期が決まっているバッファからデータを送信するタイミングと同じとしてもよい。ULHARQ部211は、複数のバッファを構成することで、HARQのプロセス単位にデータを蓄積することができるため、N Channel Stop and Waitの再送方式を実現できる。なお、上記再送データも、上りリンクのデータに含まれる。
【0136】
復号部212は、ULHARQ部211で合成されたデータを誤り訂正符号によって復号し、CRC(Cyclic Redundancy Check)による復号判定を行う。復号部212は、CRCによる復号結果をスケジューラ部215へ通知する。なお、移動局100が送信する送信要求にCRCが付与されていない場合、復号後のデータをそのままスケジューラ部215へ通知する。
【0137】
品質測定部214は、各移動局100から送信される所定の既知信号に基づいて、これら既知信号を復調部210で受信した結果から、各移動局100に対してスケジューリングの基本単位である周波数ブロック毎の信号電力と干渉電力を測定し、スケジューラ部215へ通知する。
【0138】
なお、各移動局100は、予め決められたルールに従い既知信号を送信するものとする。例えば、基地局200のRRC部201が、既知信号を送信する周期と周波数とを移動局100へ通知することによって、移動局100と基地局200は既知信号の送信周期と周波数をお互いに知ることができる。
【0139】
スケジューラ部215は、復号部212から通知された送信要求と、品質測定部214から通知された移動局100毎に測定された周波数ブロック毎の信号電力と干渉電力から回線品質情報(例えばSINR(Signal Interference Noise Ratio))を保持する。また、スケジューラ部215は、実施の形態1で説明した、送信周期が決まっているデータの送信タイミング、または、前記送信周期のm倍(mは1以上の自然数)と同じタイミングにおいて、送信要求を受信した移動局100に対してPUSCHを送信する際の伝送フォーマットを決定し、送信する。移動局100に対する伝送フォーマットは、送信周期が決まっているデータをm回送信するごとに1回送信することになる。このように、移動局100に対する伝送フォーマットを送信するときは、必ず、送信周期が決まっているデータを送信するタイミングとなる。なお、m=1の場合は、スケジューラ部215は、送信周期が決まっているデータを送信する毎に、移動局100に対する伝送フォーマットも送信する。また、実施の形態1におけるnとの関係で、n=mとしてもよい。
【0140】
ここで、伝送フォーマットとは、変調方式、符号化率、周波数ブロックの割り当て情報、初送か再送を示す情報、および送信電力を示す情報の少なくとも一つ以上の情報を含む、データを送信する際の送信条件を示す。スケジューラ部215内の伝送フォーマットの決定手段は、前記回線品質情報を用いて所望の誤り率を満たす伝送フォーマットを決定すればよい。なお、品質測定部214から通知された移動局100毎に測定された周波数ブロック毎の信号電力と干渉電力から、SINR等の回線品質の状態を示す回線品質情報を得る処理は、スケジューラ部215内の回線品質情報取得手段が実行する。
【0141】
なお、スケジューラ部215は、下りリンクで送信すべきデータが存在する場合は、実施の形態1と同様に、送信周期が決まっているデータと合わせて、下りリンクのデータに対して伝送フォーマットを決定し、送信する。
【0142】
符号化部205は、スケジューラ部215から通知された伝送フォーマット(移動局100への周波数ブロックの割り当て情報を含む)を符号化する。符号化の方法は、移動局100の符号化部105と同様、移動局100と基地局200との間で符号化のルールが取り決めされていれば、いかなる符号化方法を用いてもよい。また、送信するデータの種別(例えば、図2に示す物理チャネルの種別)毎に異なる符号化方法を用いてもよい。この場合、スケジューラ部215が、符号化方法を符号化部205に指示することで実現できる。また、下りリンクで送信すべきデータがある場合は、実施の形態1と同様に、下りリンクのデータを符号化する。
【0143】
DLHARQ部206は、符号化部205で符号化されたデータを一時的に蓄積する機能部であるが、伝送フォーマットは任意の時刻で送信する上りユーザデータの伝送フォーマットを規定するものであるため、伝送フォーマットの再送は考慮しない。よって、受信動作においては、DLHARQ部206を用いない。ただし、下りリンクで送信すべきデータがある場合は、実施の形態1と同様に、符号化されたデータを再送用に一時的に蓄積する。
【0144】
変調部207は、符号化部205で符号化された伝送フォーマットの符号化後データを、PDCCHに割り当てられた時間と周波数領域へマッピングする。符号化部204と同様に、時間と周波数領域、および変調方式は、移動局100と基地局200との間で変調方法のルールが取り決めされていればよい。また、下りリンクで送信すべきデータがある場合は、実施の形態1と同様に、符号化データを時間と周波数領域にマッピングする。
【0145】
TRX部208は、変調部207で変調されたデータを無線周波数帯域の信号に変換し、アンテナ部209を介して移動局100へ送信する。なお、変調部207において変調シンボルが存在しない場合、スケジューラ部215は、TRX部208およびアンテナ部209の回路を停止する。
【0146】
移動局100では、基地局200から送信された無線周波数帯信号を、アンテナ部109を介して受信し、TRX部108でベースバンドの変調信号に変換する。
【0147】
復調部110は、TRX部108で変換された変調信号を復調する。なお、復調方式は、基地局200の復調部210と同様、データの種別に応じて異なる方法を用いることができる。移動局100と基地局200で復調方式のルールが取り決めされていればよい。
【0148】
DLHARQ部111は、復調部110で復調されたデータを一時的に蓄積する。後述する復号部112においてCRCによる復号判定の結果、復号できなかった場合は、基地局200から再送されたデータを合成する。なお、伝送フォーマットは再送制御を行わないため本機能部は用いない。
【0149】
復号部112は、DLHARQ部111から送信されたデータを誤り訂正符号によって復号し、CRCによる復号判定を行う。復号に成功した場合、復号後のデータを伝送制御部115へ通知する。なお、CRCが付与されていない物理チャネルについては、CRCによる復号判定を行わずに復号後のデータを伝送制御部115へ通知する。
【0150】
品質測定部114は、復調部110で復調された信号のうち、既知信号が挿入されている信号の受信電力、干渉電力を測定し、回線品質情報を伝送制御部115へ通知する。
【0151】
伝送制御部115は、復号部112から通知された復号後のデータのうちPDCCHに含まれる伝送フォーマットに基づいて、PUSCHで送信可能なデータサイズを決定する。その後、MUX部104に対して、RLC部103、またはPDCP部102に蓄積されているデータから、前記データサイズ分のデータを切り出すよう指示する。
【0152】
また、伝送制御部115は、前記データサイズのデータを送信するための符号化方法と変調方法を、符号化部105、変調部107にそれぞれ指示する。また、復号部112から通知された復号後のデータのうち、PHICHに含まれるPUSCHの復号結果を参照する。前記復号結果がCRC NGである場合、ULHARQ部106に蓄積されている送信済みのPUSCHを再送する。前記復号結果がCRC OKである場合、新規データを送信するようにMUX部104、符号化部105、変調部107に対して指示する。
【0153】
そして、MUX部104が切り出したデータを、符号化部105が符号化し、ULHARQ部106は再送用に符号化後データを蓄積する。その後、変調部107で変調を施し、TRX部108、アンテナ部109を介して基地局200へ送信する。各構成における動作は、前述の動作と同様である。
【0154】
基地局200では、移動局100から送信されたPUSCHを受信し復号部212で復号する。なお、移動局100から再送を受信している場合は、予めULHARQ部211に蓄積されているデータを合成した後に復号部212で復号する。
【0155】
DEMUX部213は、復号部212で復号されたデータをRLC部217が扱う論理チャネル単位に分離し、RLC部217へ送信する。その後、RLC部217、PDCP部218、RRC部219を経由して外部装置へ転送する。なお、RLC部217、PDCP部218、RRC部219は既存の技術を流用すればよく、本実施の形態の特徴との関連性が低いため説明を省略する。
【0156】
上述した動作を、PUSCHを送信可能な時間単位毎に繰り返す、すなわち、サブフレームごとに実施することで、上りリンク伝送を実現することができる。
【0157】
具体的に、Evolved UTRAに適用した場合について、詳細に説明する。図10は、下りリンクと上りリンクにおけるデータのマッピングの一例を示す図である。スケジューラ部215は、下りリンクの送信周期が決まっているPBCHと同じ送信タイミングでPUSCHを送信する際の伝送フォーマットを決定し、PDCCHで前記伝送フォーマットを移動局100へ送信することとする。移動局100は、基地局200からPDCCHを受信した4subframe後に、PUSCHを送信するものとする。
【0158】
なお、図2に示すように、上りリンクでは、PUSCH以外にPRACH、PUCCH、SRSが存在するが、これらは基地局200のRRC部201が送信タイミングに関わるパラメータを決定し、移動局100のRRC部101へ通知することにより、移動局100は、決められたタイミングでPRACH、PUCCH、SRSを送信することができる。よって、ここでは、PRACH、PUCCH、SRSを決められたタイミングで送信するためのパラメータ設定方法について説明する。なお、説明を簡単にするため、ここでは、図10にあるように、PRACH、PUCCH、SRSをsubframe#4で送信する方法について説明する。
【0159】
PRACHの送信タイミングは、RRC部201が決定するprach−ConfigIndexによって一意に特定することができる。図11は、PRACHの送信タイミングとprach−ConfigIndexの関係を示す図である。図11の表は、PRACH Configuration Indexと、System frame numberと、Subframe numberと、から構成される。図11において、“PRACH Configuration Index”はprach−ConfigIndexに対応する。図11から、subframe#4にPRACHを受信するには、Subframe numberが「4」のところを選択することにより、prach−ConfigIndexを「1、4、17、20、33、36、49、52」のいずれかに限定すればよい。
【0160】
PUCCHは、PDSCHの復号結果を示すACK/NACKと、下りリンクの回線品質情報を示すCQI(Channel Quality Indicator)と、下りリンクのプリコーディング情報を示すPMI(Precoding Matrix Indicator)と、下りリンクのランク状態を示すRI(Rank Indicator)と、上りリンクの送信要求を示すSR(Scheduling Request)と、が含まれ、個々に送信タイミングを決めることができる。
【0161】
ACK/NACKの送信タイミングは、PDSCHの受信タイミングの4subframe後に送信するため、基地局200のスケジューラ部215がsubframe#0でPDSCHを送信すればよく、実施の形態1の手段を用いることにより実現することができる。
【0162】
CQIとPMIの送信タイミングは、RRC部201が決定するcqi−pmi−ConfigIndexによって一意に特定することができる。図12は、CQIとPMIの送信タイミングとcqi−pmi−ConfigIndexの関係を示す図である。図12の表は、ICQI/PMIと、Value of NPと、Value of NOFFSET,CQIと、から構成される。なお、図12のICQI/PMIは、cqi−pmi−ConfigIndexに対応する。CQIとPMIは下記の式(1)を満たす場合に送信可能である。
【0163】
(10×nf+ns−NOFFSET,CQI)modNP=0…(1)
【0164】
ここで、nはフレーム番号を表し、nはサブフレーム番号を表す。以上から、subframe#4にCQIとPMIを受信するには、cqi−pmi−ConfigIndexは、「11」から「311」まで10ずつ増やした値(「21、31」など)のいずれかに限定すればよい。
【0165】
RIの送信タイミングは、RRC部201が決定するri−ConfigIndexとcqi−pmi−ConfigIndexによって一意に特定することができる。図13は、RIの送信タイミングとri−ConfigIndexの関係を示す図である。図13の表は、IRIと、Value of MRIと、Value of NOFFSET,RIと、から構成される。なお、図13のIRIは、ri−ConfigIndexに対応する。RIは下記の式(2)を満たす場合に送信可能である。
【0166】
(10×nf+ns−NOFFSET,CQI−NOFFSET,RI)mod(NP×MRI)=0…(2)
【0167】
ここで、cqi−pmi−ConfigIndexは、「11」から「311」まで10ずつ増やした値(「21、31」など)のいずれかに限定することから、subframe#4にRIを受信するには、NOFFSET,RIが10の整数倍になるri−ConfigIndexに限定すればよい。
【0168】
SRの送信タイミングは、移動局100にて送信要求が発生し、かつ、PUSCHに対する伝送フォーマットを受信していなければいつでも送信することができる。しかし、一度SRを送信した場合、RRC部201が決定するsr−ProhibitTimerが示す時間後にSRを再送することとなる。よって、subframe#4にSRを送信するためには、sr−ProhibitTimerは「0」に限定すればよい。ただし、この場合、移動局100は毎サブフレームSRを送信することになる。
【0169】
SRSの送信タイミングは、RRC部201が決定するsrs−ConfigIndexによって一意に特定することができる。図14は、SRSの送信タイミングとsrs−ConfigIndexの関係を示す図である。図14の表は、SRS Configuration Index ISRSと、SRS Periodicity TSRSと、SRS Subframe Offset Toffsetと、から構成される。なお、図14のISRSは、srs−ConfigIndexに対応する。SRSは下記の式(3)を満たす場合に送信可能である。
【0170】
(10×nf+ns−Toffset)modTSRS=0…(3)
【0171】
以上から、subframe#4にSRSを受信するには、srs−ConfigIndexは「11」から「631」まで10ずつ増やした値(「21、31」など)のいずれかに限定すればよい。
【0172】
このように、Evolved UTRAに適用した場合、PUSCHだけではなく、PUCCH、PRACH、SRSを含む全ての上りリンクのデータを特定のサブフレームに集約することができるため、基地局200は、当該サブフレームでのみ受信処理を行えばよい。
【0173】
なお、上述した処理では、PUSCHの受信タイミングに対してその他のデータ(PUCCH、PRACH、SRS)の受信タイミングを集約させることとしたが、別の様態によれば、PRACHの受信タイミングにその他のデータ(PUSCH、PUCCH、SRS)を集約させてもよい。この場合、PRACHの受信タイミングを上述のようにprach−ConfigIndexで限定し、当該タイミングの4サブフレーム前に、スケジューラ部215が、伝送フォーマットを決定すればよい。また、PUCCH、SRSも上述の方法に倣い、受信タイミング(移動局100からみれば送信タイミング)を特定するパラメータを決定すればよい。
【0174】
また、別の様態によれば、PUCCHに含まれるCQI、PMI、またはRIのいずれかの受信タイミングにその他のデータ(PUSCH、PRACH、SRS)を集約させてもよい。
【0175】
なお、上述した処理において、スケジューラ部215は、実施の形態1と同様に、各構成(回路)が処理を実施しているかどうかを監視し、処理を実施していない期間は、各構成(回路)に対して機能を停止するよう指示する。ここでは、スケジューラ部215は、送信系の構成(回路)の他、受信系の構成(回路)についても対象とする。例えば、データを受信していない場合、スケジューラ部215は、復調部210、ULHARQ部211、復号部212等に対して、それぞれの処理を停止するように指示する。
【0176】
なお、機能の停止方法については、実施の形態1における送信データの場合と同様、受信データのシンボル単位やサブフレーム単位で指示することができる。詳細な説明については実施の形態1と同様のため省略する。
【0177】
また、スケジューラ部215は、本実施の形態とは異なる複数の指標と上述した方法を組み合わせてもよい。例えば、任意の指標“h”を定義し、本実施の形態において、スケジューラ部215が伝送フォーマットを決定するタイミングではh=1とし、それ以外のタイミングではh=0とする。そして、hに対して任意の係数αを乗算して、その他の指標と足し合わせた結果に基づいて、伝送フォーマットを決定してもよい。この場合、全ての指標の総和が最も高い移動局100から順に伝送フォーマットを決定すればよい。また、前記総和のうち、最も高い値が任意の閾値を下回る場合は、当該サブフレームにおいて伝送フォーマットを決定しないようにしてもよい。
【0178】
実施の形態1、2と同様、上述した処理は、送信または受信すべきデータの種別に応じて適用の有無を判断してもよい。例えば、VoIPやストリーミングのようにリアルタイム伝送が必要なデータに対しては上述の処理は適用せず、FTPなどリアルタイム伝送が不要なデータに対してのみ適用することとしてもよい。この場合、滞留値に用いるバッファ滞留量にリアルタイム伝送が必要なデータのデータ滞留量は含めないこととする。
【0179】
以上説明したように、本実施の形態では、基地局200が移動局100からデータを受信する過程において、スケジューラ部215は、下りリンクで送信周期が決まっているデータの送信タイミングにおいて、送信要求を送信した移動局100に対して上りリンクの伝送フォーマットを決定し、送信する。そして、移動局100は、前記送信タイミングから所定のタイミング後に当該伝送フォーマットに基づいてデータを集約して送信する。これにより、基地局200は、データの受信タイミングを集約でき、データを受信しないシンボル数を増大できることから、データを受信しないシンボルにおいて受信にかかる構成を停止することにより、受信に係る消費電力を低減することができる。さらに、基地局200は、伝送フォーマットの送信タイミングと、下りリンクのデータ送信タイミングを集約することにより、基地局200の送信に係る消費電力を低減することができる。
【0180】
実施の形態4.
実施の形態3では、基地局200は、下りリンクの送信周期が決まっているデータの送信タイミングと同じタイミングで上りリンクの伝送フォーマットを決定し、移動局100へ前記伝送フォーマットを送信することとした。
【0181】
しかしながら、上りリンクの送信データ量が増大した場合、移動局100は、必ずしも伝送フォーマット受信後の所定のタイミングだけで全てのデータを送りきれるとは限らない。この場合、移動局100が生成するデータレートに対して、移動局100から基地局200へ送信する無線区間のデータレートが小さくなるため、移動局100が送信すべきデータの滞留時間が長くなり、データの伝送に係る遅延時間が増大する。また、RLC部103、またはPDCP部102に滞留するデータサイズがバッファサイズの上限値を超過した場合、データの破棄が発生し、TCPレイヤの輻輳を引き起こす。
【0182】
本実施の形態では、上りリンクのデータ量が増大した場合に、基地局200が、受信に係る消費電力を不必要に増大させることなく、移動局100からデータを受信する方法について説明する。
【0183】
本実施の形態の無線通信システム、基地局、および移動局の構成は実施の形態3と同一である。また、本実施の形態の無線通信システムにおいては、基地局200のスケジューラ部215が移動局100に対して伝送フォーマットを決定する手順以外は実施の形態3の通信システムと同様である。そのため実施の形態3と共通の部分については説明を省略する。
【0184】
図6は、実施の形態4の下りリンクにおいて、送信周期が決まっているデータの一例を示す図である。図の詳細は実施の形態2で説明したため、ここでは説明を省略する。図15は、実施の形態4の基地局200に含まれるスケジューラ部215が伝送フォーマットを決定する処理の一例を示すフローチャートである。以降、図6と図15を用いて、スケジューラ部215が伝送フォーマットを決定する方法を説明する。
【0185】
図15において、まず、スケジューラ部215は、現在の時刻における送信パタンを判定する。具体的に、スケジューラ部215は、現在のサブフレームがpatternCであるかどうかを判定する(ステップS201)。判定結果がYesの場合(ステップS201:Yes)、つぎに、スケジューラ部215は、移動局100において滞留しているデータサイズを示す滞留値が、判定閾値c´より大きいかどうかを判定する(ステップS202)。判定結果がYesの場合(ステップS202:Yes)、スケジューラ部215は、移動局100が上りリンクのデータを送信するための伝送フォーマットを決定する(ステップS203)。一方、ステップS202において、判定結果がNoの場合(ステップS202:No)、スケジューラ部215は、伝送フォーマットを決定しない。
【0186】
ステップS201に戻って、判定結果がNoの場合(ステップS201:No)、スケジューラ部215は、現在のサブフレームがpatternBであるかどうかを判定する(ステップS204)。判定結果がYesの場合(ステップS204:Yes)、つぎに、スケジューラ部215は、滞留値が判定閾値b´より大きいかどうかを判定する(ステップS205)。判定結果がYesの場合(ステップS205:Yes)、スケジューラ部215は、伝送フォーマットを決定する(S203)。一方、判定結果がNoの場合(ステップS205:No)、スケジューラ部215は、伝送フォーマットを決定しない。
【0187】
ステップS204に戻って、判定結果がNoの場合(ステップS204:No)、スケジューラ部215は、伝送フォーマットを決定する(ステップS203)。なお、S204の判定結果がNoの場合は、現在のサブフレームがpatternAであることを意味する。
【0188】
ここで、上述した滞留値は、基地局200に在圏する全ての移動局100に滞留するデータサイズの総和とする。移動局100は、自らが保持するバッファに滞留する上りリンクのデータサイズを論理チャネル毎に管理し、当該データサイズを基地局200に通知する。データサイズの通知方法は論理チャネル毎でもよいし、複数の論理チャネルをまとめたグループ毎でもよい。また、全ての論理チャネル、または論理チャネルのグループのうち、優先度が高い順に少なくとも一つ以上の論理チャネル、または論理チャネルのグループに対するデータサイズを通知してもよい。基地局200は、移動局100から前記データサイズを示す情報を受信した時点で当該移動局100に滞留するデータサイズを更新することで、常に最新の滞留量を管理することができる。また、基地局200は、移動局100からデータを受信した時点で、当該データのデータサイズを基地局200が管理している滞留量から差し引いてもよい。これにより、前記データサイズを示す情報の受信周期が長い場合においても、常に最新の滞留量を管理することができる。
【0189】
また、判定閾値b´は、スケジューラ部215が過去に決定した伝送フォーマットで受信可能なデータサイズの平均値のx倍(xは実数)とすればよい。平均化方法についてはここで言及しないが、例えば、忘却係数を用いることで平均化することができる。xを“1”とした場合とは、スケジューラ部215がpatternAのタイミングで決定した伝送フォーマットに対する上りリンクのデータサイズの平均値に相当する。ここで、patternAのタイミングで移動局100へ伝送フォーマットを通知しても、移動局100の送信バッファにデータが滞留する場合、スケジューラ部215は、patternBのサブフレームも用いて伝送フォーマットを通知することとなる。
【0190】
一方、判定閾値c´は、スケジューラ部215が過去に決定した伝送フォーマットで受信可能なデータサイズの平均値のw倍(wは実数:w≧x)とすればよい。例えば、wを“2”とした場合とは、スケジューラ部215がpatternAとpatternBのタイミングで決定した伝送フォーマットに対する上りリンクのデータサイズの平均値に相当する。ここで、patternAとpatternBのタイミングで移動局100へ伝送フォーマットを通知しても、移動局100の送信バッファにデータが滞留する場合、スケジューラ部215は、patternCのサブフレームも用いてデータを送信することとなる。
【0191】
このように、判定閾値c´は判定閾値b´以上になることから、patternCのときの方が、patternBのときよりも伝送フレームを送信する条件が高いことになる。すなわち、patternBのときの方が、patternCのときよりも、より伝送フレームを送信しやすいことになる。
【0192】
なお、図15ではpatternBとpatternCを区別していたが、別の様態によれば、patternBとpatternCは同じパタンとして処理してもよい。また、送信パタンを4つ以上にすることも可能である。図16は、データの切り出し指示を決定する処理の一例を示すフローチャートである。一例として、送信パタンを2つにしたものである。
【0193】
例えば、図16のように、スケジューラ部215は、現在のサブフレームがpatternAであるかどうかを判定する(ステップS301)。判定結果がYesの場合(ステップS301:Yes)、つぎに、スケジューラ部215は、滞留値が判定閾値b´より大きいかどうかを判定する(ステップS302)。なお、滞留値および判定閾値b´は上述の値を用いる。判定結果がYesの場合(ステップS302:Yes)、スケジューラ部215は、伝送フォーマットを決定する(ステップS303)。一方、ステップS302において、判定結果がNoの場合(ステップS302:No)、スケジューラ部215は、伝送フォーマットを決定しない。
【0194】
ステップS301に戻って、判定結果がNoの場合(ステップS301:No)、スケジューラ部215は、伝送フォーマットを決定する(ステップS303)。なお、S301の判定結果がNoの場合は、現在のサブフレームがpatternAであることを意味する。
【0195】
また、別の様態によれば、前記滞留値は、移動局100の全ての論理チャネルに滞留するデータサイズの総和としてもよい。また、前記判定閾値b´、および判定閾値c´は、移動局100が受信した伝送フォーマットに基づいて送信可能な最大データサイズのx倍、およびw倍としてもよい。なお、最大データサイズは、移動局100から送信される所定の既知信号に基づいてスケジューラ部215が求めた回線品質情報を用いて計算することができる。この場合、スケジューラ部215は、図15および図16に示す処理を各移動局100に対して実行することになり、特定の移動局100において瞬時的にデータが発生した場合でも、きめこまやかに上りリンクのための伝送フォーマットを決定することができる。
【0196】
また、別の様態によれば、前記滞留値は、移動局100の論理チャネルに滞留するデータサイズ、または、論理チャネルのグループに滞留するデータサイズとしてもよい。また、前記判定閾値b´、および判定閾値c´は、移動局100で決定した伝送フォーマットで送信可能な最大データサイズのx倍、およびw倍としてもよい。この場合、スケジューラ部215は、図15および図16に示す処理を各移動局100の論理チャネル、または論理チャネルのグループに対して実行することになり、特定の移動局100の任意の論理チャネル、または論理チャネルのグループにおいて瞬時的にデータが発生した場合でも、きめこまやかに上りデータの伝送フォーマットを決定することができる。
【0197】
また、スケジューラ部215は、本実施の形態とは異なる複数の指標と上述した方法を組み合わせてもよい。例えば、任意の指標“h”を定義し、本実施の形態において、スケジューラ部215が伝送フォーマットを決定するタイミングではh=1とし、それ以外のタイミングではh=0とする。そして、h=1のときのみ、他の指標に基づいて伝送フォーマットを決定する移動局100を決定すればよい。また、上述した任意の指標“h”は、移動局100毎に定義してもよい。この場合、j番目の移動局100に対する指標“h_j”(jは移動局100の識別子)が“1”である移動局100の中から他の指標に基づいて伝送フォーマットを決定する移動局100を決定してもよい。また、上述した任意の指標“h”は、移動局100に対する論理チャネル毎、または論理チャネルのグループ毎に定義してもよい。この場合、j番目の移動局のk番目の論理チャネルまたは論理チャネルのグループに対する指標“h_j_k”(kは論理チャネル、または論理チャネルのグループの識別子)が“1”である論理チャネル、または論理チャネルのグループの中から他の指標に基づいて伝送フォーマットを決定する論理チャネルを決定してもよい。
【0198】
また、別の様態によれば、任意の指標“h”または“h_j”または“h_j_k”に対して任意の係数αを乗算して、その他の指標と足し合わせた結果に基づいて伝送フォーマットを決定してもよい。例えば、全ての指標の総和が最も高い移動局100から順に伝送フォーマットを決定すればよい。また、前記総和のうち、最も高い値が任意の閾値を下回る場合は、当該サブフレームにおいて伝送フォーマットを決定しないようにしてもよい。
【0199】
実施の形態3と同様、上述した処理は、送信または受信すべきデータの種別に応じて適用の有無を判断してもよい。例えば、VoIPやストリーミングのようにリアルタイム伝送が必要なデータに対しては上述の処理は適用せず、FTPなどリアルタイム伝送が不要なデータに対してのみ適用することとしてもよい。この場合、滞留値に用いるバッファ滞留量にリアルタイム伝送が必要なデータのデータ滞留量は含めないこととする。
【0200】
以上説明したように、本実施の形態では、基地局200が移動局100からデータを受信する上りリンクにおいて、スケジューラ部215は、上りリンクで送信すべきデータ量が増大した場合は、上りリンクの滞留データ量を閾値判定することにより、上りリンクのための伝送フォーマットの送信機会を増やす。具体的には、送信周期が決まっているデータの組み合わせに対応したマッピングのパタンをサブフレーム単位で分類し、前記パタン毎に異なる閾値と滞留データ量を示す滞留値との大小判定を行うことにより、現在のサブフレームで伝送フォーマットを送信するか否かを決定することとした。これにより、移動局100は、送信すべきデータ量が増大した場合においても、基地局200から集約して伝送フォーマットを受信し、前記送信タイミングから所定のタイミング後に当該伝送フォーマットに基づいてデータを送信する。そして、基地局200は、移動局100からの送信データ量が増大した場合においても、QoSを保証しつつ、データの受信タイミングを効率的に集約することができるため、データを受信しないシンボルで受信にかかる回路を停止することにより、基地局200の受信に係る消費電力を低減することができる。
【0201】
実施の形態5.
これまでの実施の形態では、基地局200が移動局100に対してデータを送信する過程において、スケジューラ部215は、送信周期が決まっているデータの組み合わせに対応したマッピングのパタンをサブフレーム単位で分類し、前記パタン毎に異なる閾値と状態値(または滞留値)との大小判定を行うことにより、当該サブフレームでデータ(または伝送フレーム)を送信するか否かを決定していた。
【0202】
ここで、複数の基地局200が互いに同じ周波数帯域を使用して下りリンクのデータ伝送を行っている場合、セルエッジでは周辺基地局からの干渉電力が大きくなり、下りデータの誤り率が増大するという問題がある。特に、実施の形態2を適用した場合、下りデータの送信周期が決まっていることから、各基地局200は、異なるタイミングでデータを送信することにより、セルエッジの干渉電力を低減できる。
【0203】
本実施の形態では、複数の基地局が周辺に設置されている場合において、各基地局が異なるタイミングでデータを送信し、セルエッジの干渉電力を低減する方法について説明する。
【0204】
本実施の形態の無線通信システムおよび基地局の構成は実施の形態2と同一である。また、本実施の形態の無線通信システムにおいては、基地局200の復調部210、品質測定部214、スケジューラ部215以外は実施の形態2の通信システムと同様である。そのため、実施の形態2と共通の部分については説明を省略する。
【0205】
図17は、実施の形態5の下りリンクにおいて、複数の基地局におけるデータ送信の一例を示す図である。ここで、図17ではsubframe毎に記号(A、B、C)が付与されているが、これは図6におけるpatternA、patternB、patternCに相当する。また、図17では、3つの基地局(基地局A、基地局B、基地局C)が図示されているが、これは自局(基地局200)の周辺に設置されている基地局を示している。以降、図17を用いて本実施の形態におけるデータ送信方法を説明する。
【0206】
実施の形態2では、基地局200の復調部210は、移動局100から受信した信号を復調していたが、本実施の形態では、さらに、自局の周辺に設定されている基地局が送信する下りリンクのデータを復調する。具体的には、周辺の基地局が送信したSynchronization Signal、およびPBCHを復調し、スケジューラ部215に対して現在時刻に復調したデータのパタン(patternA、patternB、patternC)を通知する。図17では、基地局200は周辺の基地局Aからsubframe#0においてpatternAの信号を受信し、subframe#5でpatternBの信号を受信し、その他のsubframeではpatternCの信号を受信している。また、基地局Bからsubframe#2においてpatternAの信号を受信し、subframe#7でpatternBの信号を受信し、その他のsubframeではpatternCの信号を受信している。また、基地局Cからsubframe#4においてpatternAの信号を受信し、subframe#9でpatternBの信号を受信し、その他のsubframeではpatternCの信号を受信している。
【0207】
また、品質測定部214も同様に、実施の形態2の手順に加えて、自局の周辺に設置されている基地局からの干渉電力を測定し、スケジューラ部215に現在時刻の干渉電力を通知する。図17では、subframe#2で最も干渉電力が大きく、subframe#1で最も干渉電力が小さい。
【0208】
スケジューラ部215は、各subframeにおける周辺基地局の送信パタンのうち、patternAとpatternBを含まないsubframeを自身の基地局におけるデータ送信タイミングとする。図17は、基地局A、基地局B、基地局Cの送信パタンを示しており、subframe#1、#3、#6、#8はいずれの基地局も送信パタンがpatternCなので、自局(基地局200)では、subframe#1、#3、#6、#8のいずれかを下りデータの送信タイミングとする。
【0209】
または、スケジューラ部215は、品質測定部214から取得した各subframeにおける干渉電力が最も小さい時刻を送信タイミングとしてもよい。図17では、最も干渉電力が小さいsubframe#1を下りデータの送信タイミングとする。
【0210】
または、スケジューラ部215は、各subframeにおける周辺基地局の送信パタンと、品質測定部214から取得した各subframeにおける干渉電力と、の2つの結果に基づいて下りデータの送信タイミングを決めてもよい。
【0211】
なお、基地局200では、各subframeにおける周辺基地局の送信パタンに基づいて下りデータの送信タイミングを決定する場合、干渉電力の測定を省略してもよい。同様に、基地局200では、品質測定部214から取得した各subframeにおける干渉電力に基づいて下りデータの送信タイミングを決定する場合、各subframeにおける周辺基地局の送信パタンを求めることを省略してもよい。
【0212】
スケジューラ部215は、上述した方法でデータの送信タイミングを決定した場合、当該タイミングを自身の基地局200における送信パタン「patternA」とし、実施の形態2で説明したように、パタン毎に異なる閾値と状態値との大小判定を行うことにより、当該サブフレームでデータを送信するか否かを決定してもよい。なお、実施の形態4に適用することも可能である。この場合、上記状態値を滞留値に置き換える。
【0213】
以上説明したように、本実施の形態では、基地局200が移動局100に対してデータを送信する過程において、スケジューラ部215は、周辺の基地局が送信するデータの送信パタン、または周辺基地局からの干渉電力、またはこれらの2つを用いて自身の基地局における送信タイミングを決定することとした。これにより、基地局200は、周辺の基地局と異なる送信タイミングで下りリンクのデータを送信できることから、干渉電力を低減することができる。
【0214】
実施の形態6.
実施の形態5では、各基地局が異なる送信タイミングで下りリンクのデータを送信することで、下りリンクの干渉電力を低減することとした。本実施の形態では、周辺の基地局に在圏する移動局と、自身の基地局に在圏する移動局から、異なるタイミングで上りデータを受信することにより、上りリンクの干渉電力を低減する。
【0215】
本実施の形態の無線通信システム、および基地局の構成は実施の形態4と同一である。また、本実施の形態の無線通信システムにおいては、基地局200のスケジューラ部215以外は実施の形態4の通信システムと同様である。そのため、実施の形態4と共通の部分については説明を省略する。
【0216】
まず、スケジューラ部215は、品質測定部214から各subframeにおける干渉電力を取得する。なお、前記「干渉電力」には、周辺の基地局に在圏する移動局が送信した上りリンクのデータが含まれるものとする。そして、スケジューラ部215は、最も干渉電力が小さいsubframeを上りデータの受信タイミングとし、前記受信タイミングの“z”subframe前(zは自然数)に移動局100へ伝送フォーマットを送信することとする。なお、E−UTRAにおいては“z”は4である(図10参照)。
【0217】
スケジューラ部215は、上述した方法で伝送フォーマットの送信タイミングを決定したら、当該タイミングを自身の基地局200における送信パタン「patternA」とし、実施の形態4で説明したように、パタン毎に異なる閾値と滞留値との大小判定を行うことにより、現在のサブフレームでデータを送信するか否かを決定してもよい。
【0218】
以上説明したように、本実施の形態では、基地局200が移動局100からデータを受信する過程において、スケジューラ部215は、上りリンクの干渉電力を取得し、最も干渉電力が小さいsubframeを上りデータの受信タイミングとし、前記タイミングの“z”subframe前に移動局100へ伝送フォーマットを送信することとした。これにより、基地局200は、周辺の基地局に在圏する移動局100と、自局に在圏する移動局100と、から異なるタイミングで上りデータを受信することができるため、上りリンクの干渉電力を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0219】
以上のように、本発明にかかる基地局は、移動局と通信を行う基地局に有用であり、特に、Evolved UTRAに代表されるセルラ通信を含む無線通信システムにおける基地局に適している。
【符号の説明】
【0220】
100 移動局
101、118、201、219 RRC部
102、117、202、218 PDCP部
103、116、203、217 RLC部
104、204 MUX部
105、205 符号化部
106、211 ULHARQ部
107、207 変調部
108、208 TRX部
109、209 アンテナ部
110、210 復調部
111、206 DLHARQ部
112、212 復号部
113、213 DEMUX部
114、214 品質測定部
115 伝送制御部
200 基地局
215 スケジューラ部
216 リソース管理部
300 基地局終端局
400 交換局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局との間で下りリンクの通信を行う基地局であって、
現在時刻が、送信周期が決まっているデータの送信時刻であるか否かを判定する第一の送信判定手段と、
前記現在時刻において、送信周期が決まっていないデータを送信するか否かを判定する第二の送信判定手段と、
前記第一の送信判定手段の判定結果が真の場合に、前記送信周期が決まっているデータを前記移動局へ送信し、前記第二の送信判定手段の判定結果が真の場合に、前記送信周期が決まっていないデータを前記移動局へ送信し、前記第一の送信判定手段および前記第二の送信判定手段の判定結果がいずれも真の場合に、前記送信周期が決まっているデータおよび前記送信周期が決まっていないデータを前記移動局へ送信する送信手段と、
前記送信手段を監視し、前記移動局へデータを送信しない期間では、前記送信手段に対して送信機能の停止を指示する制御手段と、
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記送信周期が決まっているデータを、報知チャネルのデータとする、
ことを特徴とする請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記第二の送信判定手段は、
前記第一の送信判定手段がn回真と判定するごとに真と判定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の基地局。
【請求項4】
前記nを1以上の自然数とする、ことを特徴とする請求項3に記載の基地局。
【請求項5】
前記送信周期が決まっていないデータには再送データを含む、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項6】
前記制御手段は、送信データのシンボル単位で送信機能の停止を指示する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項7】
前記制御手段は、送信データのサブフレーム単位で送信機能の停止を指示する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項8】
前記送信手段が、周期的に下りリンクで送信するデータ量が最も少ない第一の送信パタン、周期的に下りリンクで送信するデータ量が二番目に少ない第二の送信パタン、または、周期的に下りリンクで送信するデータ量が最も多い第三の送信パタン、のいずれかの送信パタンで前記移動局へデータを送信する場合に、
さらに、
現在時刻が、前記第一から第三のいずれかの送信パタンであるかを判定する送信パタン判定手段と、
現在の送信パタンが前記第一の送信パタンの場合に、自局が滞留しているデータの状態を示す状態値と、前記第一の送信パタンにおいて前記滞留しているデータを送信すべきか否かを判定するための第一の閾値と、を比較する第一の閾値判定手段と、
現在の送信パタンが前記第二の送信パタンの場合に、前記状態値と、前記第二の送信パタンにおいて前記滞留しているデータを送信すべきか否かを判定するための第二の閾値(第一の閾値>第二の閾値)と、を比較する第二の閾値判定手段と、
を備え、
前記送信手段は、
前記第一の閾値判定手段による比較の結果、状態値の方が大きい場合、または、前記第二の閾値判定手段による比較の結果、状態値の方が大きい場合、または、現在時刻が第三のパタンの場合に、前記移動局に対して、現在時刻で自局が滞留しているデータを送信する、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項9】
前記送信手段は、
前記第一の送信パタンでは参照信号を送信し、
前記第二の送信パタンでは参照信号および同期チャネルを送信し、
前記第三の送信パタンでは参照信号、同期チャネル、および報知チャネルを送信する、
ことを特徴とする請求項8に記載の基地局。
【請求項10】
前記状態値を、自局が保持する下りリンクの全てのバッファに滞留するデータサイズとし、
前記第一の閾値を、自局が過去に下りリンクで前記移動局に送信したデータサイズの平均値のp倍とし、
前記第二の閾値を、自局が過去に下りリンクで前記移動局に送信したデータサイズの平均値のq倍とし、
前記pおよび前記qは実数であり、p≧qとする、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の基地局。
【請求項11】
前記状態値を、自局が保持する下りリンクのバッファのうち、所定の移動局に対応づけられたバッファに滞留するデータサイズとし、
前記第一の閾値を、自局が下りリンクで所定の移動局へ送信可能なデータサイズのp倍とし、
前記第二の閾値を、自局が下りリンクで所定の移動局へ送信可能なデータサイズの平均値のq倍とし、
前記pおよび前記qは実数であり、p≧qとする、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の基地局。
【請求項12】
前記状態値を、自局が保持する下りリンクの全てのバッファに滞留するデータサイズとし、
前記第一の閾値を、自局が保持する下りリンクの全てのバッファサイズのra倍とし、
前記第二の閾値を、自局が保持する下りリンクの全てのバッファサイズのrb倍とし、
前記raおよび前記rbは0から1を範囲とする実数であり、ra≧rbとする、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の基地局。
【請求項13】
前記状態値を、自局が保持する下りリンクのバッファのうち、所定の移動局に対応づけられたバッファに滞留するデータサイズとし、
前記第一の閾値を、自局が保持する下りリンクの全てのバッファサイズのra倍とし、
前記第二の閾値を、自局が保持する下りリンクの全てのバッファサイズのrb倍とし、
前記raおよび前記rbは0から1を範囲とする実数であり、ra≧rbとする、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の基地局。
【請求項14】
前記状態値を、自局が保持する下りリンクのバッファに滞留するデータの猶予時間のうち、最小の猶予時間の値とし、
前記第一の閾値を、前記バッファに対応する論理チャネルの許容遅延時間のうち、最小の値のs倍とし、
前記第二の閾値を、前記バッファに対応する論理チャネルの許容遅延時間のうち、最小の値のt倍とし、
前記sおよび前記tは0から1を範囲とする実数であり、s≦tとする、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の基地局。
【請求項15】
前記状態値を、自局が保持する下りリンクのバッファのうち、所定のバッファに滞留するデータの猶予時間であり、
前記第一の閾値を、前記所定のバッファに対応する論理チャネルの許容遅延時間のu倍とし、
前記第二の閾値を、前記所定のバッファに対応する論理チャネルの許容遅延時間のv倍とし、
前記uおよび前記vは0から1を範囲とする実数であり、u≦vとする、
ことを特徴とする請求項8または9に記載の基地局。
【請求項16】
さらに、
前記移動局との間で上りリンクの通信を行う場合に、
前記現在時刻において、前記移動局に対して、当該移動局が上りリンクのデータを送信する際の送信条件を示す伝送フォーマットを送信するか否かを判定する第三の送信判定手段と、
前記第三の送信判定手段の判定結果が真である場合に、前記伝送フォーマットを決定する伝送フォーマット決定手段と、
前記移動局からデータを受信する受信手段と、
を備え、
前記送信手段は、前記伝送フォーマット決定手段が伝送フォーマットを決定した場合、さらに、当該伝送フォーマットを前記移動局へ送信し、
前記制御手段は、さらに、前記受信手段を監視し、前記移動局からデータを受信しない期間では、前記受信手段に対して受信機能の停止を指示する、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項17】
前記送信手段は、前記移動局におけるランダムアクセスチャネルのデータの送信タイミングを、前記移動局が前記伝送フォーマットに基づいてデータを送信するタイミングと同一に設定し、前記移動局へ通知する、
ことを特徴とする請求項16に記載の基地局。
【請求項18】
前記送信手段は、前記移動局における回線品質情報のデータの送信タイミングを、前記移動局が前記伝送フォーマットに基づいてデータを送信するタイミングと同一に設定し、前記移動局へ通知する、
ことを特徴とする請求項16または17に記載の基地局。
【請求項19】
前記第三の送信判定手段は、
前記第一の送信判定手段がm回真と判定するごとに真と判定する、
ことを特徴とする請求項16、17または18に記載の基地局。
【請求項20】
前記mを1以上の自然数とする、ことを特徴とする請求項19に記載の基地局。
【請求項21】
前記上りリンクのデータ送信には再送データを含む、
ことを特徴とする請求項16〜20のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項22】
前記制御手段は、受信データのシンボル単位で受信機能の停止を指示する、
ことを特徴とする請求項16〜21のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項23】
前記制御手段は、受信データのサブフレーム単位で受信機能の停止を指示する、
ことを特徴とする請求項16〜21のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項24】
前記送信手段が、周期的に下りリンクで送信するデータ量が最も少ない第一の送信パタン、周期的に下りリンクで送信するデータ量が二番目に少ない第二の送信パタン、または、周期的に下りリンクで送信するデータ量が最も多い第三の送信パタン、のいずれかの送信パタンで前記移動局へデータを送信する場合に、
さらに、
現在時刻が、前記第一から第三のいずれかの送信パタンであるかを判定する送信パタン判定手段と、
現在の送信パタンが前記第一の送信パタンの場合に、自局に在圏する移動局が滞留しているデータ量を示す滞留値と、前記第一の送信パタンにおいて前記移動局に対して伝送フォーマットを送信すべきか否かを判定するための第一の閾値と、を比較する第一の閾値判定手段と、
現在の送信パタンが前記第二の送信パタンの場合に、前記滞留値と、前記第二の送信パタンにおいて前記伝送フォーマットを送信すべきか否かを判定するための第二の閾値(第一の閾値>第二の閾値)と、を比較する第二の閾値判定手段と、
を備え、
前記送信手段は、
前記第一の閾値判定手段による比較の結果、滞留値の方が大きい場合、または、前記第二の閾値判定手段による比較の結果、状態値の方が大きい場合、または、現在時刻が第三のパタンの場合に、前記移動局に対して、現在時刻で前記伝送フォーマットを送信する、
ことを特徴とする請求項16〜23のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項25】
前記送信手段は、
前記第一の送信パタンでは参照信号を送信し、
前記第二の送信パタンでは参照信号および同期チャネルを送信し、
前記第三の送信パタンでは参照信号、同期チャネル、および報知チャネルを送信する、
ことを特徴とする請求項24に記載の基地局。
【請求項26】
前記滞留値を、自局に在圏する全ての移動局が滞留しているデータサイズの総和とし、
前記第一の閾値を、自局が過去に前記移動局へ送信した前記伝送フォーマットが示すデータサイズの平均値のw倍とし、
前記第二の閾値を、自局が過去に前記移動局へ送信した前記伝送フォーマットが示すデータサイズの平均値のx倍とし、
前記wおよび前記xは実数であり、w≧xとする、
ことを特徴とする請求項24または25に記載の基地局。
【請求項27】
前記滞留値を、所定の移動局のバッファに滞留しているデータサイズとし、
前記第一の閾値を、自局が所定の移動局へ送信する前記伝送フォーマットが示すデータサイズの最大値のw倍とし、
前記第二の閾値を、自局が所定の移動局へ送信する前記伝送フォーマットが示すデータサイズの最大値のx倍とし、
前記wおよび前記xは実数であり、w≧xとする、
ことを特徴とする請求項24または25に記載の基地局。
【請求項28】
さらに、
自局で信号を受信可能な範囲にある他の基地局から送信された下りリンクの送信パタンを判別するデータパタン判別手段、
を備え、
前記送信手段は、前記データパタン判別手段の判別の結果、他の基地局から受信した信号の送信パタンが全て第一の送信パタンの時刻を、自局において第三の送信パタンの送信時刻とする、
ことを特徴とする請求項8〜15のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項29】
さらに、
自局で信号を受信可能な範囲にある他の基地局から送信された下りリンクの干渉電力を測定する干渉電力測定手段、
を備え、
前記送信手段は、前記干渉電力が最も小さい時刻を、自局において第三の送信パタンの送信時刻とする、
ことを特徴とする請求項8〜15のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項30】
さらに、
自局で信号を受信可能な範囲にある他の基地局から送信された下りリンクの送信パタンを判別するデータパタン判別手段と、
自局で信号を受信可能な範囲にある他の基地局から送信された下りリンクの干渉電力を測定する干渉電力測定手段と、
を備え、
前記送信手段は、前記データパタン判別手段の判別結果、および前記干渉電力測定手段の測定結果に基づいて、自局における第三の送信パタンの送信時刻を決定する、
ことを特徴とする請求項8〜15のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項31】
さらに、
他の基地局に在圏している移動局から送信された上りリンクの干渉電力を測定する干渉電力測定手段、
を備え、
自局に在圏している移動局が、自局からの伝送フォーマットを受信し、当該伝送フォーマットに基づいてデータを送信するまでにzサブフレーム分の時間を要する場合に、
前記送信手段は、前記干渉電力の最も小さい時刻のzサブフレーム前の時刻を、自局における第三の送信パタンの送信時刻とする、
ことを特徴とする請求項24〜27のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項32】
さらに、
自局が送信または受信するデータが、リアルタイム伝送を要するデータか、リアルタイム伝送を要しない非リアルタイム伝送のデータか、を判別するデータ判別手段、
を備え、
非リアルタイム伝送のデータのみを対象とする、
ことを特徴とする請求項1〜31のいずれか1つに記載の基地局。
【請求項33】
移動局との間で下りリンクの通信を行う基地局における回路制御方法であって、
前記基地局が、前記移動局へデータの送信を行う送信回路、を備える場合に、
現在時刻が、送信周期が決まっているデータの送信時刻であるか否かを判定する第一の送信判定ステップと、
前記現在時刻において、送信周期が決まっていないデータを送信するか否かを判定する第二の送信判定ステップと、
前記送信回路が、前記第一の送信判定ステップにおける判定結果が真の場合に、前記送信周期が決まっているデータを前記移動局へ送信し、前記第二の送信判定ステップにおける判定結果が真の場合に、前記送信周期が決まっていないデータを前記移動局へ送信し、前記第一の送信判定ステップおよび前記第二の送信判定ステップにおける判定結果がいずれも真の場合に、前記送信周期が決まっているデータおよび前記送信周期が決まっていないデータを前記移動局へ送信する送信ステップと、
前記送信回路を監視し、前記移動局へデータを送信しない期間では、前記送信回路に対して送信機能の停止を指示する回路制御ステップと、
を含むことを特徴とする回路制御方法。
【請求項34】
前記第二の送信判定ステップでは、
前記第一の送信判定ステップにおいてn回真と判定するごとに真と判定する、
ことを特徴とする請求項33に記載の回路制御方法。
【請求項35】
前記送信ステップでは、周期的に下りリンクで送信するデータ量が最も少ない第一の送信パタン、周期的に下りリンクで送信するデータ量が二番目に少ない第二の送信パタン、または、周期的に下りリンクで送信するデータ量が最も多い第三の送信パタン、のいずれかの送信パタンで前記移動局へデータを送信する場合に、
さらに、
現在時刻が、前記第一から第三のいずれかの送信パタンであるかを判定する送信パタン判定ステップと、
現在の送信パタンが前記第一の送信パタンの場合に、自局が滞留しているデータの状態を示す状態値と、前記第一の送信パタンにおいて前記滞留しているデータを送信すべきか否かを判定するための第一の閾値と、を比較する第一の閾値判定ステップと、
現在の送信パタンが前記第二の送信パタンの場合に、前記状態値と、前記第二の送信パタンにおいて前記滞留しているデータを送信すべきか否かを判定するための第二の閾値(第一の閾値>第二の閾値)と、を比較する第二の閾値判定ステップと、
を含み、
前記送信ステップでは、
前記第一の閾値判定ステップによる比較の結果、状態値の方が大きい場合、または、前記第二の閾値判定ステップによる比較の結果、状態値の方が大きい場合、または、現在時刻が第三のパタンの場合に、前記移動局に対して、現在時刻で自局が滞留しているデータを送信する、
ことを特徴とする請求項33または34に記載の回路制御方法。
【請求項36】
前記送信ステップにおいて、
前記第一の送信パタンでは参照信号を送信し、
前記第二の送信パタンでは参照信号および同期チャネルを送信し、
前記第三の送信パタンでは参照信号、同期チャネル、および報知チャネルを送信する、
ことを特徴とする請求項35に記載の回路制御方法。
【請求項37】
前記移動局との間で上りリンクの通信を行う場合に、
前記基地局が、さらに、前記移動局からデータの受信を行う受信回路、を備え、
前記現在時刻において、前記移動局に対して、当該移動局が上りリンクのデータを送信する際の送信条件を示す伝送フォーマットを送信するか否かを判定する第三の送信判定ステップと、
前記第三の送信判定ステップにおける判定結果が真である場合に、前記伝送フォーマットを決定する伝送フォーマット決定ステップと、
前記受信回路が、前記移動局からデータを受信する受信ステップと、
を含み、
前記送信ステップでは、前記伝送フォーマット決定ステップにおいて伝送フォーマットを決定した場合、さらに、当該伝送フォーマットを前記移動局へ送信し、
前記回路制御ステップでは、さらに、前記受信回路を監視し、前記移動局からデータを受信しない期間では、前記受信回路に対して受信機能の停止を指示する、
ことを特徴とする請求項33または34に記載の回路制御方法。
【請求項38】
前記第三の送信判定ステップでは、
前記第一の送信判定ステップにおいてm回真と判定するごとに真と判定する、
ことを特徴とする請求項37に記載の回路制御方法。
【請求項39】
前記送信ステップでは、周期的に下りリンクで送信するデータ量が最も少ない第一の送信パタン、周期的に下りリンクで送信するデータ量が二番目に少ない第二の送信パタン、または、周期的に下りリンクで送信するデータ量が最も多い第三の送信パタン、のいずれかの送信パタンで前記移動局へデータを送信する場合に、
さらに、
現在時刻が、前記第一から第三のいずれかの送信パタンであるかを判定する送信パタン判定ステップと、
現在の送信パタンが前記第一の送信パタンの場合に、自局に在圏する移動局が滞留しているデータ量を示す滞留値と、前記第一の送信パタンにおいて前記移動局に対して伝送フォーマットを送信すべきか否かを判定するための第一の閾値と、を比較する第一の閾値判定ステップと、
現在の送信パタンが前記第二の送信パタンの場合に、前記滞留値と、前記第二の送信パタンにおいて前記伝送フォーマットを送信すべきか否かを判定するための第二の閾値(第一の閾値>第二の閾値)と、を比較する第二の閾値判定ステップと、
を含み、
前記送信ステップでは、
前記第一の閾値判定ステップによる比較の結果、滞留値の方が大きい場合、または、前記第二の閾値判定ステップによる比較の結果、状態値の方が大きい場合、または、現在時刻が第三のパタンの場合に、前記移動局に対して、現在時刻で前記伝送フォーマットを送信する、
ことを特徴とする請求項37または38に記載の回路制御方法。
【請求項40】
前記送信ステップにおいて、
前記第一の送信パタンでは参照信号を送信し、
前記第二の送信パタンでは参照信号および同期チャネルを送信し、
前記第三の送信パタンでは参照信号、同期チャネル、および報知チャネルを送信する、
ことを特徴とする請求項39に記載の回路制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−74855(P2012−74855A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217353(P2010−217353)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】