説明

基板の処理装置

【課題】基板に気泡を含まない処理液を供給することができるようにした処理装置を提供することにある。
【解決手段】搬送される基板の上面を処理液供給装置から供給される処理液によって処理する処理装置であって、
処理液供給装置31は、処理液を供給する給液管33が接続された主貯液部32と、主貯液部の下端に設けられ主貯液部に給液管から供給されて貯えられた処理液を流出させる流出孔36と、流出孔から流出した処理液を貯留する補助貯液部38と、補助貯液部に設けられ流出孔から補助貯液部に流出した処理液を基板の上面に供給するスリット44と、補助貯液部に大気に連通して設けられ流出孔から処理液とともに流出した気泡を大気に放出させる第1のエア抜き管45を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は搬送される基板の上面にこの基板の搬送方向と交差する方向に沿って処理液を供給して処理する基板の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶表示装置の製造工程においては、ガラス製の基板に回路パターンを形成する工程がある。基板に回路パターンを形成する場合、成膜された基板にレジストを塗布してから露光し、露光後に現像液によって現像処理してからエッチング液でエッチング処理することで、基板の表面に回路パターンを精密に形成する。
【0003】
基板に回路パターンを形成したならば、その基板の表面に付着残留するレジスト膜やレジスト残渣などの有機物を剥離液によって除去する。剥離液によって有機物を除去したならば、その基板の板面を洗浄液で洗浄処理してから次工程に受け渡すということが行われる。
【0004】
基板を現像液、エッチング液、剥離液及び洗浄液などの処理液で処理する場合、上記基板を搬送手段によって所定方向に搬送しながら、この基板の上面に上記処理液を、基板の搬送方向と交差する方向に直線状に供給して処理するということが行なわれている。特許文献1には搬送される基板に処理液を供給するノズル体が示されている。
【0005】
特許文献1に示されたノズル体は、下面に複数の吐出口が長手方向に沿って所定間隔で形成されている。このノズル体には、供給された処理液を滞留させる液溜め室と、一端が上記吐出口に連通し、他端が上記液溜め室に連通して液溜め室に滞留する処理液を吐出口に流通させて吐出させる液吐出流路を備えている。
【0006】
そして、上記構成のノズル体は、長手方向を上記基板の搬送方向と交差する方向に沿わせて搬送される上記基板の上方に配置される。それによって、上記吐出口から処理液を流出させれば、その処理液を所定方向に搬送される基板の上面に、搬送方向と交差する方向に沿って直線状に供給することができるようになっている。
【0007】
上記ノズル体の液溜め室には供給管が接続され、この供給管から処理液が液溜め室に供給される。処理液はこの液溜め室に滞留しながら液吐出流路を通ってノズル体の下面に形成された吐出口から流出する。
【0008】
しかしながら、このような構成によると、処理液が供給管から液溜め室に供給される際、処理液が空気を巻き込むことがある。処理液が空気を巻き込むと、その空気が気泡となって基板に供給される処理液とともに吐出口から流出する。
【0009】
基板に処理液とともに流出した気泡は破裂せずに残留することがあり、その場合には基板の気泡が残留した部分に処理液が付着しない状態或いは他の部分に比べて付着量が少ない状態となるから、処理液による基板の処理にむらが生じるということがある。
【0010】
そこで、基板に処理液を供給する際、その処理液に含まれる気泡を除去するということが行なわれている。特許文献2には基板に供給される処理液に気泡が入り込まないようにした処理装置が示されている。
【0011】
特許文献2に示された処理装置は処理液吐出ノズルを有する。この処理液吐出ノズルの筐体の上面には送液管と排液管が接続され、下面には吐出孔が形成されている。上記送液管から上記筐体に形成された液溜まりには処理液が供給される。液溜まりに供給された処理液は上記吐出孔から基板の上面に向かって供給される。
【0012】
上記液溜まりで発生し、成長した気泡は浮力によって液溜まりの天井面に付着する。天井面は上記排液管に向かって高く傾斜した傾斜面となっている。それによって、液溜まりで発生、成長した気泡は処理液とともに上記送液管に流れるから、上記吐出孔から上記基板に供給される処理液に気泡が含まれるのが防止されるようになっている。
【特許文献1】特開2003−170086号公報
【特許文献2】特開平11−156278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献2に示された構成は、上述したように処理液に含まれる気泡を筐体に形成された液溜まりの上面に付着させ、その気泡を処理液とともに上記排液管から排出させるようにしている。
【0014】
そのため、筐体に排液管を接続し、この排液管を通じて気泡とともに処理液を上記液溜まりから排出させなければならないから、構成の複雑化を招いたり、排出された処理液の処理に多くの手間や費用が掛かるということがあった。
【0015】
この発明は、処理液に巻き込まれた気泡を、処理液と分離して確実に排出することができるようにした基板の処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は、搬送される基板の上面を処理液供給手段から供給される処理液によって処理する処理装置であって、
上記処理液供給手段は、
上記処理液を供給する給液管が接続された主貯液部と、
この主貯液部の下端に設けられ主貯液部に上記給液管から供給されて貯えられた処理液を流出させる第1の流出部と、
この第1の流出部から流出した処理液を貯留する補助貯液部と、
この補助貯液部に設けられ上記第1の流出部から上記補助貯液部に流出した処理液を上記基板の上面に供給する第2の流出部と、
上記補助貯液部に大気に連通して設けられ上記第1の流出部から処理液とともに流出した気泡を大気に放出させる第1の放出部と
を具備したことを特徴とする基板の処理装置にある。
【0017】
上記第1の流出部は上記主貯液部の底部壁に形成されていることが好ましい。
【0018】
上記第1の流出部は上記主貯液部の側部壁に形成されていることが好ましい。
【0019】
上記主貯液部には、上記給液管から上記主貯液部に処理液とともに供給される気泡を大気に放出させる第2の放出部が形成されていることが好ましい。
【0020】
上記主貯液部の第1の流出部から上記補助貯液部に流出した処理液は、この補助貯液部で一時的に貯えられてから、補助貯液部の第2の流出部から流出する構成であることが好ましい。
【0021】
上記主貯液部には、上記給液管から供給される処理液を受ける受け部材が設けられていることが好ましい。
【0022】
上記第2の流出部は、上記基板の搬送方向と交差する方向に沿って形成されたスリットであることが好ましい。
【0023】
上記補助貯液部には、上記第1の流出部から流出した処理液を受ける傾斜面が形成されていて、この傾斜面の下端に上記第2の流出部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、処理液が気泡を巻き込んでも、その処理液が主貯液部の第1の流出部から補助貯液部に流出してここに残留する間に、処理液に含まれた気泡が浮力によって上昇して大気に連通した第1の放出部から放散されるから、上記補助貯液部に設けられた第2の流出部から基板に供給される処理液に気泡が含まれるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1乃至図4はこの発明の第1の実施の形態を示し、図1は処理装置の幅方向に沿う縦断面図である。この処理装置はチャンバ1を備えている。このチャンバ1は、上面が開口した本体部2と、この本体部2の上面開口を開閉する開閉可能な蓋体部3とによって構成されている。蓋体部3は幅方向の一側が上記本体部2にヒンジ4によって回動可能に連結され、幅方向他側には図示しないハンドルが設けられている。
【0027】
上記チャンバ1の本体部2の底部の幅方向両端部には支持部材11が設けられている。一対の支持部材11にはユニット化された搬送装置12が着脱可能に設置される。この搬送装置12は上記支持部材11の上面に載置される一対のベース部材13を有する。一対のベース部材13は複数、たとえば3本の連結部材14(図1に1本だけ示す)によって連結されている。
【0028】
各ベース部材13には支持板15が長手方向に沿って設けられている。一対の支持板15の対応する位置には軸受16が所定間隔で設けられている。対応する一対の軸受16には搬送軸17の両端部が回転自在に支持されている。つまり、一対のベース部材13には複数の搬送軸17がチャンバ1の幅方向と直交する長手方向に対して所定間隔で設けられている。
【0029】
なお、図示しないがチャンバ1の長手方向一側壁には搬入口が形成され、他側には搬出口が形成されていて、上記搬入口からチャンバ1内に液晶表示装置に用いられるガラス製の基板Wが供給されるようになっている。
【0030】
各搬送軸17には複数の搬送ローラ18が所定間隔で設けられている。上記連結部材14の両端部には上記搬入口から供給されて上記搬送ローラ18によって後述するように搬送される基板Wの幅方向両端部をガイドするガイドローラ19が設けられている。ガイドローラ19は搬送ローラ18により搬送される基板Wが蛇行するのを防止している。
【0031】
上記搬送軸17は駆動機構21によって回転駆動されるようになっている。この駆動機構21は駆動源22を有し、この駆動源22の出力軸23には駆動歯車24が嵌着されている。この駆動歯車24には取付け軸25に嵌着された従動歯車26が噛合している。上記取付け軸25と上記搬送軸17の端部には互いに噛合する歯車(図示せず)が設けられている。
【0032】
それによって、上記駆動源22が作動すれば、上記搬送軸17が回転駆動されるから、上記チャンバ1内に供給された基板Wが上記搬送軸17に設けられた搬送ローラ18に支持されて搬送されるようになっている。
【0033】
上記チャンバ1内には、上記搬送軸17に設けられた搬送ローラ18よって水平な状態で搬送される基板Wの上面に現像液、エッチング液、剥離液或いは洗浄液などの処理液Lを基板Wの搬送方向と直交する幅方向に沿って直線状に供給する処理液Lの供給手段としての処理液供給装置31が設けられている。
【0034】
上記処理液供給装置31は図2乃至図4に示すように主貯液部32を有する。この主貯液部32は上記基板Wの幅方向、つまりチャンバ1の幅方向に沿って細長い、断面が矩形の箱型状に形成されている。この主貯液部32の幅寸法は上記基板Wの幅寸法よりも長く設定されていて、上面には上記主貯液部32内に処理液Lを供給する複数の給液管33の一端が所定間隔で接続されている。各給液管33の他端は図示しない処理液Lの供給源に、同じく図示しない流量制御弁を介して接続されている。
【0035】
上記主貯液部32の内部には、各給液管33と対向する部分の高さ方向中途部に平板状の受け部材34がほぼ水平に設けられている。この受け部材34は上記給液管33から主貯液部32に供給された処理液Lを受ける。それによって、給液管33から主貯液部32に供給された処理液Lは主貯液部32内に静かに流入するから、処理液Lに巻き込まれる気泡が低減する。
【0036】
上記主貯液部32の底部壁32aには第1の流出部を形成する複数の流出孔36が長手方向に対して所定間隔で穿設されている。それによって、上記給液管33から上記主貯液部32に供給された処理液Lは上記流出孔36から流出するようになっている。
【0037】
なお、上記主貯液部32には、給液管33から供給される処理液Lが充満するよう、給液管33から供給される処理液Lの供給量と、流出孔36から流出する流出量とが設定されている。
【0038】
上記流出孔36から流出した処理液Lは補助貯液部38に貯留される。この補助貯液部38は、図4に示すように断面形状が漏斗状であって、上記主貯液部32の幅方向に沿って傾斜する一対の傾斜面39a,39bを形成するV字状の底部壁41と、この底部壁41の一方の傾斜面39a側の上端に上記主貯液部32の側面と平行に離間対向して立設された側部壁42及びこの側部壁42の上端に設けられ補助貯液部38の上面開口を閉塞する上部壁43とによって形成されている。
【0039】
上記底部壁41の他方の傾斜面39bは、上端部が上記主貯液部32の下面に開口した流出孔36に対向している。この傾斜面39bの下端である、底部壁41の最下端には長手方向ほぼ全長にわたって第2の流出部としてのスリット44が開口形成されている。
【0040】
上記主貯液部32に供給されて上記流出孔36から上記傾斜面39bの上端部に流出した処理液Lはこの傾斜面39bに沿って流れて漏斗状の底部壁41に貯留され、この底部壁41に形成されたスリット44から直線状となって流出する。それによって、処理液Lは所定方向に搬送される基板Wの搬送方向と交差する幅方向全長にわたって供給されるようになっている。
【0041】
なお、処理液Lは、上記補助貯液部38の底部壁41に一定量が貯留されるよう、上記流出孔36とスリット44の面積が設定されるとともに、給液管33から主貯液部32へ供給される処理液Lの供給量が制御される。すなわち、主貯液部32から補助貯液部38に流出した処理液Lは、直ちにスリット44から基板Wの上面に向かって流出せず、補助貯液部38に所定時間滞留して上記スリット44から流出するようになっている。
【0042】
主貯液部32の流出孔36から流出した処理液Lは、補助貯液部38の傾斜面39bに沿って流れる。そのため、上記流出孔36から流出する処理液Lに気泡が巻き込まれていれば、その気泡は処理液Lが傾斜面39bに沿って流れる間に、その浮力によって処理液Lから分離上昇する。
【0043】
さらに、傾斜面39bを流れた処理液Lは補助貯液部38の底部壁41上に貯留されてからスリット44から流出する。そのため、貯留される処理液Lに気泡が残留していても、処理液Lがスリット44から流出する前に処理液Lに含まれる気泡が分離上昇することになる。
【0044】
しかも、処理液Lが補助貯液部38に貯留されることで、処理液Lは基板Wの幅方向に沿って細長いスリット44から基板Wに向かって均一に流出する。それによって、基板Wの上面全体の処理を均一に行なうことができる。
【0045】
上記補助貯液部38の上部壁43には、処理液Lから分離してこの補助貯液部38内を上昇する気泡を放出するための第1の放出部としての第1のエア抜き管45が接続されている。それによって、処理液Lから分離された気泡は上記第1のエア抜き管45を通じて大気に放散されるようになっている。
なお、第1のエア抜き管45は、図1に示すように補助貯液部38の長手方向の両端部に設けられている。
【0046】
このような構成の処理装置によれば、チャンバ1内に供給された基板Wは、チャンバ1内を所定方向に搬送される。搬送の途中で基板Wの上面には、処理液供給装置31から基板Wの搬送方向と交差する幅方向に沿って処理液Lが供給される。それによって、基板Wは処理液Lによって処理されてチャンバ1から搬出される。
【0047】
上記処理液供給装置31は、主貯液部32を有する。この主貯液部32に給液管33によって供給される処理液Lは、給液管33から主貯液部32内に直接落下せず、給液管33と対向して設けられた受け部材34で受けられてから落下する。それによって、処理液Lは主貯液部32内に静かに流入するから、流入時に処理液Lが巻き込む気泡の量も減少する。
【0048】
上記主貯液部32に貯留された処理液Lは、図4に矢印Aで示すように主貯液部32の下面に形成された流出孔36から補助貯液部38の底部壁41に形成された傾斜面39bに沿って流れ、補助貯液部38の漏斗状の底部壁41に貯留されてから上記傾斜面39bの下端に設けられたスリット44から流出し、チャンバ1内を搬送される基板Wの上面に供給される。
【0049】
上記主貯液部32の流出孔36から流出する処理液Lに気泡が含まれていると、その気泡は処理液Lが流出孔36から傾斜面39bに沿って流れる間に処理液Lから分離上昇することになり、その間に処理液Lから除去さなかった気泡は、傾斜面39bを流れてスリット44から流出するまでの間、つまり処理液Lが補助貯液部38の底部壁41上に貯留されている間に浮力によって処理液Lから分離して上昇する。
【0050】
そして、処理液Lから分離された気泡は第1のエア抜き管45から大気に放散されるから、上記補助貯液部38のスリット44から基板Wに供給される処理液Lに気泡が含まれることがない。したがって、基板Wは処理液Lによって上面全体が均一に処理されることになる。
【0051】
すなわち、上記構成の処理液供給装置31によれば、主貯液部32に供給された処理液Lを、補助貯液部38に貯留してから基板Wに供給するようにしているから、処理液Lに含まれた気泡は、処理液Lが主貯液部32から補助貯液部38に流れるとき、及び補助貯液部38に貯留されている間に浮力によって処理液から分離して上昇し、第1のエア抜き管45を通じて大気に放出される。
【0052】
そのため、従来のように気泡を処理液Lとともに排出するということをせずに、処理液Lから気泡を分離して大気に放出することができるから、処理液Lからの気泡の除去を簡単な構成で確実に行なうことが可能となる。
【0053】
図5はこの発明の第2の実施の形態の処理液供給装置31Aを示す。この実施の形態の処理液供給装置31Aは主貯液部32に供給された処理液を補助貯液部38に流出するための第1の流出部としての流出孔36Aが上記主貯液部32の側壁部32bの下端部に形成されている。
【0054】
上記流出孔36Aから矢印Aで示すように流出した処理液Lは、上記主貯液部32の側壁部32bの外方に形成された補助貯液部38に流入し、ここで一時的に貯えられてから補助貯液部38の底部壁41に形成されたスリット44から所定方向に搬送される基板Wの上面に供給される。
【0055】
上記補助貯液部38の上部壁43には第1の放出部としての第1のエア抜き管45が接続され、上記主貯液部32の側壁部の上部には第2の放出部を構成する第2のエア抜き管51の一端が接続されている。この第2のエア抜き管51の中途部には開閉弁52が設けられ、他端部の先端面51aは主貯液部32に貯えられる処理液Lの上面よりも高くなるようL字状に曲成されている。
【0056】
上記開閉弁52を開放しておけば、上記主貯液部32に供給された処理液に含まれる気泡が抜け出れば、その気泡は主貯液部32内の上部に溜まることなく、上記第2のエア抜き管51から外部に排出されることになる。
【0057】
上記構成の処理液供給装置31Aによれば、主貯液部32に供給された処理液Lを補助貯液部38に流出させる流出孔36Aを、上記主貯液部32の側壁部32bに形成した。
【0058】
そのため、上記流出孔36Aは、主貯液部32に処理液Lを供給する給液管33の鉛直方向に対して直交する方向を向いているから、上記流出孔36Aから補助貯液部38に流れる処理液Lが上記給液管33から主貯液部32に供給される処理液Lの圧力の影響を受け難くなる。
【0059】
それによって、主貯液部32から上記流出孔36Aを通って補助貯液部38に流れる処理液Lの流量が変動し難いため、補助貯液部38のスリット44から基板Wに供給される処理液Lの流出量も安定するから、処理液Lによる基板Wの処理を安定して行なうことができる。
【0060】
図6はこの発明の第3の実施の形態の処理液供給装置31Bを示す。この実施の形態は第2の実施の形態の変形例であって、補助貯液部38の底部壁41を形成する一対の傾斜面39a,39bのうち、主貯液部32側に位置する一方の傾斜面39bが他方の傾斜面39aよりも下方に突出している。
【0061】
それによって、スリット44から流出した処理液Lは一方の傾斜面39bにガイドされて基板Wの上面に静かに供給される。つまり、基板Wの上面に供給される処理液Lが乱れて空気を巻き込み、気泡を含んだ状態で基板Wの上面に供給されるのを防止できるから、このことによって基板Wの処理を確実かつ均一に行なうことが可能となる。
なお、図5と図6に示す、第2、第3の実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分には同一記号を付して説明を省略する。
【0062】
上記各実施の形態では第1、第2の流出部として主貯液部に流出孔を形成し、補助貯液部にスリットを形成したが、各流出部は流出孔或いはスリットのいずれであっても差し支えない。
【0063】
補助貯液部から気泡を大気に放出するのに、この補助貯液部に第1のエア抜き管を接続したが、第1のエア抜き管を接続せずに、エア抜き孔を形成するだけであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の第1の形態を示す処理装置の幅方向に沿う縦断面図。
【図2】上記処理装置内に設けられる処理液供給装置の正面図。
【図3】上記処理液供給装置の横面図。
【図4】上記処理液供給装置の拡大縦断面図。
【図5】この発明の第2の形態を示す処理装置の幅方向に沿う縦断面図。
【図6】この発明の第3の形態を示す処理装置の幅方向に沿う縦断面図。
【符号の説明】
【0065】
1…チャンバ、31…処理液供給装置(処理液供給手段)、32…主貯液部、33…給液管、34…受け部材、36,36A…流出孔(第1の流出部)、38…補助貯液部、39…傾斜面、44…スリット(第2の流出部)、45…第1のエア抜き管(第1の放出部)、51…第2のエア抜き管(第2の放出部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される基板の上面を処理液供給手段から供給される処理液によって処理する処理装置であって、
上記処理液供給手段は、
上記処理液を供給する給液管が接続された主貯液部と、
この主貯液部の下端に設けられ主貯液部に上記給液管から供給されて貯えられた処理液を流出させる第1の流出部と、
この第1の流出部から流出した処理液を貯留する補助貯液部と、
この補助貯液部に設けられ上記第1の流出部から上記補助貯液部に流出した処理液を上記基板の上面に供給する第2の流出部と、
上記補助貯液部に大気に連通して設けられ上記第1の流出部から処理液とともに流出した気泡を大気に放出させる第1の放出部と
を具備したことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項2】
上記第1の流出部は上記主貯液部の底部壁に形成されていることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項3】
上記第1の流出部は上記主貯液部の側部壁に形成されていることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項4】
上記主貯液部には、上記給液管から上記主貯液部に処理液とともに供給される気泡を大気に放出させる第2の放出部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項5】
上記主貯液部の第1の流出部から上記補助貯液部に流出した処理液は、この補助貯液部で一時的に貯えられてから、補助貯液部の第2の流出部から流出する構成であることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項6】
上記主貯液部には、上記給液管から供給される処理液を受ける受け部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項7】
上記第2の流出部は、上記基板の搬送方向と交差する方向に沿って形成されたスリットであることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項8】
上記補助貯液部には、上記第1の流出部から流出した処理液を受ける傾斜面が形成されていて、この傾斜面の下端に上記第2の流出部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−53689(P2008−53689A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147131(P2007−147131)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】