基板の分断方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、電子機器
【課題】外形に曲線を含む基板を生産性良く製造が可能となる基板の分断方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、電子機器を提供すること。
【解決手段】基板34の内部にレーザ光を集光して照射し、改質部を配列して形成する。改質部の中心にはクラック部38が形成される。孔部40aが形成されているダイプレート40に基板34を配置し、クラック部38が孔部40aと対応するようにする。基板34のクラック部38で囲まれた場所をポンチ42で押圧して、クラック部38に剪断力を加える。クラック部38を起点としてクラックが進行して、クラック部38に囲まれた廃材部43が基板34から分断される。
【解決手段】基板34の内部にレーザ光を集光して照射し、改質部を配列して形成する。改質部の中心にはクラック部38が形成される。孔部40aが形成されているダイプレート40に基板34を配置し、クラック部38が孔部40aと対応するようにする。基板34のクラック部38で囲まれた場所をポンチ42で押圧して、クラック部38に剪断力を加える。クラック部38を起点としてクラックが進行して、クラック部38に囲まれた廃材部43が基板34から分断される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲線形状に分断可能な基板の分断方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光透過性のある基板を品質良く切断するために、レーザ光を基板に照射して基板内部に改質領域(以下、改質部と称す。)を形成するレーザスクライブ方法が特許文献1に開示されている。それによると、パルス幅が1μs以下のレーザ光を出射し、集光レンズで基板内部に集光し、集光点におけるピークパワー密度を1×108(W/cm2)以上にする。これにより、加工対象物の内部に多光子吸収による改質部を形成するものである。
【0003】
また、このレーザスクライブ方法において、加工対象物の内部に形成される改質部あるいはこれを起点として形成される改質部の大きさは、集光レンズの特性と、レーザ光のピークパワー密度に依存する。例えば、上記特許文献1に示されたガラス(厚さ700μm)をYAGレーザを用いて切断する実施例では、集光レンズの開口数が0.55の場合、ピークパワー密度がおよそ1×1011(W/cm2)では、改質部の大きさは、およそ100μmである。また、ピークパワー密度がおよそ5×1011(W/cm2)では、およそ250μmである。基板の内部に改質部を配列して形成し、改質部を押圧することで、基板を改質部に沿って品質良く分断することができる。
【0004】
液晶表示装置などの表示装置においては、外形が矩形の形状が一般的に用いられている。しかし、製品外観のデザインを優れたものにする為に、外形が曲線で構成される表示装置を用いることがある。外形が曲線で構成されるパネルを製造する方法として、特許文献2に、外形形状を所望の形状にエッチングして、パネルを形成する方法が紹介されている。この方法では、上下の各パネルの外形を形成する形状に溝を形成し、上下のパネルを接着後に、溝部に応力を加えて破断してパネルを形成している。
【0005】
【特許文献1】特開2002−192371号公報
【特許文献2】特開2000−75257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板に溝部を形成する方法は、次の通りである。基板にレジスト液を塗布して乾燥し、レジスト膜を形成する。レジスト膜を露光して、露光されたレジスト膜を剥離し、レジスト膜のパターンを形成する。続いて、基板をエッチング処理することで、溝を形成した後、レジスト膜を剥離する方法を行っていた。
この様にエッチングして溝を形成する方法では、溝部を形成するための工程数が多くなっているため、生産性の良くない基板の分断方法となっていた。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、外形に曲線を含む基板を生産性良く製造が可能となる基板の分断方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の基板の分断方法は、光透過性の基板を分断する基板の分断方法であって、基板にレーザ光を照射して、改質部を配列してスクライブ面を形成するスクライブ工程と、基板に形成されるスクライブ面に沿って分断する分断工程とを有し、分断工程では、基板のスクライブ面に沿って剪断力を加えて分断することを特徴とする。
【0009】
この基板の分断方法によれば、スクライブ工程で、基板にレーザ光を集光して照射し、改質部が配列して形成されるスクライブ面が、形成される。分断工程では、スクライブ面に沿って剪断力が加えられて分断される。スクライブ面が曲線からなる面であるときにも、スクライブ面に沿って剪断力を加えることで分断することが可能である。
【0010】
基板を曲線に沿って分断するとき、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜をパターニングして、基板をエッチングした後、レジストを剥離する方法に比べて、レーザ光を照射して形成される改質部が配列されているスクライブ面に沿って分断する方法の方が、少ない工程数で形成することができる。従って、生産性良く基板を分断することができる。
【0011】
本発明の基板の分断方法は、上記に記載の基板の分断方法であって、スクライブ工程では、基板の厚さ方向に対して、改質部を斜めに配列してスクライブ面を形成することを特徴とする。
【0012】
この基板の分断方法によれば、スクライブ工程で、基板の厚さ方向に対して、改質部を斜めに配列してスクライブ面を形成している。スクライブ面に沿って剪断力を加えるとき、スクライブ面が基板の厚さ方向に対して、斜めに形成されていることから、分断されるスクライブ面どうしが離れるように分断される。従って、分断されたスクライブ面どうしが擦れあうことなく分断される為、擦れにより基板を構成する材料が分離して粉状になることが生じにくくなる。その結果、基板の構成する材料の粉が基板に付着して不具合となることを防止することができる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置の製造方法は、第1の枠部と第1の本体部とを接続して支持する第1の支持部などからなる第1の基板の形状を形成する第1基板形成工程と、第2の枠部と第2の本体部とを接続して支持する第2の支持部などからなる第2の基板の形状を形成する第2基板形成工程と、第1の基板と第2の基板とを接着する接着工程と、第1の支持部及び第2の支持部を分断する分断工程とを有し、第1基板形成工程、第2基板形成工程、分断工程のうち少なくとも1つの工程において、上記に記載の基板の分断方法を用いて形成または分断することを特徴とする。
【0014】
この電気光学装置の製造方法によれば、第1基板形成工程で第1の基板を形成し、第2基板形成工程で第2の基板を形成する。接着工程で第1の基板と第2の基板とを接着し、分断工程で支持部を分断する。第1基板形成工程、第2基板形成工程、分断工程のうち少なくとも1つの工程において、上記の基板の分断方法が用いられる。上記の基板の分断方法は、曲線形状の基板が生産性良く形成されることから、上記基板の分断方法を用いた電気光学装置の製造方法は、その基板が生産性良く形成される。その結果、この電気光学装置の製造方法は、生産性良く形成される電気光学装置の製造方法とすることができる。
【0015】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記に記載の電気光学装置の製造方法において、第1基板形成工程、第2基板形成工程、分断工程の総ての工程において、上記に記載の基板の分断方法を用いて形成または分断することを特徴とする。
【0016】
この電気光学装置の製造方法によれば、第1基板形成工程、第2基板形成工程、分断工程の総ての工程において、上記に記載の基板の分断方法を用いて形成または分断されている。上記の基板の分断方法は、曲線形状の基板が生産性良く形成されることから、第1基板形成工程、第2基板形成工程、分断工程の総ての工程において、上記基板の分断方法を用いた電気光学装置の製造方法では、その基板が生産性良く形成される。その結果、この電気光学装置の製造方法は、生産性良く形成される電気光学装置の製造方法とすることができる。
【0017】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記に記載の電気光学装置の製造方法において、支持部に電極が形成されることを特徴とする。
【0018】
この電気光学装置の製造方法によれば、支持部に電極が形成されている。電気光学装置は電極部に配線が接続されて用いられる。従って、支持部が本体から突出する部分の形状に誤差があっても影響がない事が多い。従って、分断工程では電極が配置される支持部を分断することから、分断位置の変動する分断方法で分断することができる。
【0019】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記に記載の電気光学装置の製造方法において、分断工程では、ガラスカッタを用いてスクライブして分断することを特徴とする。
【0020】
ここで、ガラスカッタは、ダイヤモンド片又は、超硬合金片や表面にダイヤモンドや超硬合金等の硬質の素材を備えて形成された輪を基板上を加圧しながら移動することで、基板に傷をつけてクラックを形成する刃工具を示す。尚、超硬合金は、周期律表4族、5族、6族金属の炭化物をFe、Co、Niなどの鉄系金属で焼結した複合材料を示す。また、ガラスカッタを用いてスクライブすることとは、ガラスカッタを用いて基板に傷をつけてクラックを形成することを示す。
【0021】
この電気光学装置の製造方法によれば、分断工程において、支持部がガラスカッタを用いてスクライブされて、分断される。ガラスカッタを用いてスクライブする方法は、レーザ光を用いてスクライブするときに比べて短い時間でスクライブすることができる。従って、支持部を分断するとき、分断される面が曲面でなく平面でも良いときは、ガラスカッタを用いてスクライブすることで、短時間でスクライブできる。その結果、生産性良くスクライブすることができる為、生産性良く製造できる電気光学装置の製造方法とすることができる。
【0022】
本発明の電気光学装置は、上記に記載の電気光学装置の製造方法を用いて製造されることを特徴とする。
【0023】
この電気光学装置によれば、この電気光学装置は、上記の電気光学装置の製造方法を用いて製造されている。上記の電気光学装置の製造方法は生産性良く電気光学装置を製造できることから、この電気光学装置は、生産性良く製造される電気光学装置とすることができる。
【0024】
本発明の電気光学装置は、上記に記載の電気光学装置は、液晶を備えた表示装置であることを特徴とする。
【0025】
この電気光学装置によれば、液晶を備えていることから、少ない電力で駆動することができる為、省電力な電気光学装置とすることができる。
【0026】
本発明の電子機器は、上記に記載の電気光学装置を表示部として備えることを特徴とする。
【0027】
この電子機器によれば、この電子機器は上記に記載の電気光学装置を表示部として備えることから、表示部に生産性良く製造される電気光学装置を備えた電子機器とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施例について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
【0029】
本発明の第1の実施形態に係るレーザスクライブ方法について図1〜図4に従って説明する。
【0030】
最初にレーザ照射装置について説明する。図1は、レーザ照射装置の構成を示す概略図である。
図1に示すように、レーザ照射装置1は、レーザ光を出射するレーザ光源2と、出射されたレーザ光をワークに照射する光学経路部3と、光学経路部3に対してワークを相対的に移動させるテーブル部4と、動作を制御する制御装置5を主として構成されている。
【0031】
レーザ光源2は、出射するレーザ光を加工対象物の内部に集光して多光子吸収による改質部を形成できる光源であれば良い。例えば、本実施形態において、チタンサファイアを固体光源とするレーザ光をフェムト秒のパルス幅で出射するいわゆるフェムト秒レーザを採用している。発光条件及び集光レンズの条件としては、例えば、パルスレーザ光は、中心波長が約800nm、波長分布の半値幅はおよそ20nmであり、パルス幅は約300fs(フェムト秒)、パルス周期は1kHz、出力は約700mWの条件を採用している。集光レンズは、例えば、倍率が100倍、開口数(NA)が0.8、WD(Working Distance)が約3mmの対物レンズを採用している。
【0032】
光学経路部3はダイクロイックミラー6を備えている。ダイクロイックミラー6は、レーザ光源2から照射されるレーザ光の光軸7上に配置されている。ダイクロイックミラー6はレーザ光源2から照射されるレーザ光を反射して、光軸7の進行方向を変更する。ダイクロイックミラー6に反射したレーザ光が通過する光軸7上に集光レンズ8が配置されている。テーブル部4には基板としてのワーク9が配置され、集光レンズ8を通過したレーザ光がワーク9に照射されるようになっている。
【0033】
集光レンズ8はレンズ支持部10により、レンズ移動機構11に支持されている。レンズ移動機構11は、図示しない直動機構を有し、集光レンズ8を光軸7方向(図中Z軸方向)に移動させて、集光レンズ8を通過したレーザ光が集光する位置を移動可能としている。
直動機構は、例えばZ方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを供えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が所定のパルス信号を受けて所定のステップ単位で正逆転する図示しないZ軸モータに連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号がZ軸モータに入力されると、Z軸モータが正転又は反転して、レンズ移動機構11が同ステップ数に相当する分だけ、光軸7方向に沿って往動又は復動するようになっている。
【0034】
集光レンズ8とダイクロイックミラー6とを通過する光軸7の延長線上にあって、ダイクロイックミラー6に対して集光レンズ8と反対側には、撮像装置12を備えている。撮像装置12は、例えば、図示しない同軸落射型光源とCCD(Charge Coupled Device)が組み込まれたものである。同軸落射型光源から出射した可視光は、集光レンズ8を透過してワーク9を照射する。撮像装置12は、集光レンズ8とダイクロイックミラー6とを通してワーク9を撮像することが可能となっている。
【0035】
テーブル部4は、基台15を備えている。基台15の光学経路部3側には、レール16が凸設して配置されており、レール16上にはX軸スライド17が配置されている。X軸スライド17は、図示しない直動機構を備え、レール16上をX方向に移動可能となっている。直動機構は、レンズ移動機構11が備える直動機構と同様な機構であり、所定のステップ数に相当する駆動信号に対応してX軸スライド17が同ステップ数に相当する分だけ、X方向に沿って往動又は復動するようになっている。
【0036】
X軸スライド17の光学経路部3側にはレール18が凸設して配置されており、レール18上にはY軸スライド19が配置されている。Y軸スライド19は、X軸スライド17と同様な直動機構を備え、レール18上をY方向に移動可能となっている。
【0037】
Y軸スライド19の光学経路部3側には、ステージ20が配置され、ステージ20の上面には図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。そして、ワーク9を載置すると、チャック機構によって、ワーク9がステージ20の上面における所定の位置に固定されるようになっている。
【0038】
制御装置5は、メインコンピュータ24を備えている。メインコンピュータ24は内部に図示しないCPU(Central Processing Unit)やメモリーを備えている。CPUはメモリー内に記憶されたプログラムソフトに従って、レーザ照射装置1の動作を制御するものである。
メインコンピュータ24は、図示しない入出力インターフェースを備え、入力装置25、表示装置26、レーザ制御装置27、レンズ制御装置28、画像処理装置29、ステージ制御装置30と接続されている。
【0039】
入力装置25は、レーザ加工の際に用いられる各種加工条件のデータを入力する装置であり、表示装置26はレーザ加工時の各種情報を表示する装置である。CPUは、入力される各種加工条件とプログラムソフトとに従って、レーザ加工を行い、加工状況を表示装置26に表示する。操作者が表示装置26に表示される各種情報を見て、レーザ加工状況を確認して操作するようになっている。
【0040】
レーザ制御装置27は、レーザ光源2を駆動するパルス信号のパルス幅、パルス周期、出力の開始と停止、等を制御する装置であり、メインコンピュータ24の制御信号により制御される。
レンズ制御装置28は、レンズ移動機構11の移動、停止を制御する装置である。レンズ移動機構11には、移動距離を検出可能な図示しない位置センサが内蔵されており、レンズ制御装置28は、この位置センサの出力を検出することにより、集光レンズ8の光軸7方向の位置を認識する。レンズ制御装置28は、レンズ移動機構11にパルス信号を送信し、レンズ移動機構11を所望の位置に移動することができるようになっている。
【0041】
画像処理装置29は、撮像装置12から出力される画像データを演算する機能を備えている。ステージ20にワーク9を配置し、撮像装置12で撮像した画像を観察するとき、レンズ移動機構11を操作して、集光レンズ8とワーク9との距離を変えることにより画像が鮮明になるときとぼやけるときが存在する。集光レンズ8を移動して、ワーク9のステージ20側の面に焦点が合うときと、ワーク9の光学経路部3側の面に焦点が合うときに、撮像される画像が鮮明になる。一方、面に焦点が合っていないとき、撮像される画像は、ぼやけた画像となる。
【0042】
集光レンズ8を光軸7の方向に移動して、撮像装置12が撮像する画像が鮮明になる集光レンズ8の位置を、内蔵する位置センサで検出することにより、ワーク9の厚みを測定することが可能となる。
【0043】
撮像装置12で撮像するときに焦点が合う合焦点位置と、レーザ光を照射したときに、集光レンズ8により集光される集光位置との差の距離を計測することで、合焦点位置と集光位置の差の距離であるオフセット距離を知ることができる。例えば、透明な2枚の基板を重ねた物をワーク9としてステージ20に設置し、2枚の基板の接触部に撮像装置12の焦点が合うように集光レンズ8を移動する。次に、レーザ光を照射して改質部を形成する。2枚の基板の接触部と改質部の距離を計測することでオフセット距離を設定することができる。
【0044】
集光レンズ8を光軸7方向に移動して、ワーク9の光学経路部3側の面に撮像装置12の焦点を合わせる。レーザ光を照射したい位置とオフセット距離とで集光レンズ8の移動距離を演算し、演算した移動距離に対応する距離分、集光レンズ8を移動させる。この方法でワーク9における所定の深さにレーザ光を集光することが可能となる。
【0045】
ステージ制御装置30は、X軸スライド17とY軸スライド19との位置情報の取得と移動制御を行う。X軸スライド17とY軸スライド19とには図示しない位置センサが内蔵されており、ステージ制御装置30は位置センサの出力を検出することにより、X軸スライド17とY軸スライド19との位置を検出する。ステージ制御装置30は、X軸スライド17とY軸スライド19との位置情報を取得し、メインコンピュータ24から指示される位置情報とを比較し、差に相当する距離に対応して、X軸スライド17とY軸スライド19とを駆動して移動する。ステージ制御装置30はX軸スライド17とY軸スライド19とを駆動して、所望の位置にワーク9を移動することが可能となっている。
【0046】
レーザ制御装置27がレーザ光源2を制御しレーザ光を発光させる。画像処理装置29がワーク9の面における光軸7方向の位置を検出する。レンズ制御装置28がレーザ光を集光する光軸7方向の位置を制御する。ステージ制御装置30がワーク9をXY方向に移動して、ワーク9にレーザ光が照射される位置を制御する。上述した制御を行い所望の位置にレーザ光を集光して照射することが可能となっている。
【0047】
ここで、多光子吸収による改質部の形成について説明する。集光レンズ8によって集光されたレーザ光は、ワーク9に入射する。そして、ワーク9がレーザ光を透過する材料であっても、材料の吸収バンドギャップEgよりも光子のエネルギーhνが非常に大きいとき、ワーク9は光子エネルギーを吸収する。これを多光子吸収と言い、レーザ光のパルス幅を極めて短くすることでエネルギーを高めて、多光子吸収をワーク9の内部に起こさせると、多光子吸収のエネルギーが熱エネルギーに転化せずに、永続的な構造変化が誘起された領域が形成される。
【0048】
本実施形態では、この構造変化領域を改質部と呼ぶ。改質部のうち、大きく構造変化した結果複数のクラックが形成された領域をクラック部と呼ぶ。尚、材料の種類によっては、例えば石英などの場合には、クラック部は複数のクラックにならず、空洞が形成される場合もある。
【0049】
このような改質部を形成するためのレーザ光の照射条件は、加工対象物ごとにレーザ光の出力やパルス幅、パルス周期、レーザスキャン速度等の設定が必要になる。特に、レーザ光源2が照射するレーザ光の出力は、ダイクロイックミラー6や集光レンズ8のような光軸7上に配置される透過性物質による吸収で減衰することを考慮する必要がある。従って、実際の加工対象物を用いた予備試験を実施して、最適な照射条件を導くことが望ましい。
【0050】
(レーザスクライブ方法)
次に本発明の基板の分断方法について図2〜図5にて説明する。図2は、基板の分断方法のフローチャートであり、図3は基板の模式図である。図4〜図5は基板の分断方法を説明する図である。
【0051】
図2のフローチャートにおいて、ステップS1はスクライブ工程に相当し、基板の一部において、基板の内部に改質部を形成する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は分断工程に相当し、基板を分断する工程である。
【0052】
次に、図3〜図5を用いて、図2に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。
図3は、本実施形態において形成する基板の模式図である。図3(a)は基板の平面図であり、図3(b)は図3(a)の線A−Aにおける断面図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、基板34に孔部35を形成する。孔部35は平面形状が曲線にて構成されている孔部境界面35aに沿って形成される貫通孔となっている。孔部境界面35aの形状は孔部35が形成される前の段階では、境界予定面35bと称し、形状は同じ形状を示す。孔部35は断面形状が台形となっており、基板34の上側の面34aにおける孔部35の面積は、基板34の下側の面34bにおける孔部35の面積より狭く形成されている。基板34は光透過性の脆性材料からなる基板であれば良く、本実施形態では、ソーダ石灰ガラスを採用している。
【0053】
図4(a)〜図4(e)はステップS1に対応する図である。図4(a)に示すように、基板34の境界予定面35bに沿って、集光レンズ8からレーザ光36を基板34の内部に集光して照射する。レーザ光36が集光された場所には改質部37の1段目が形成される。改質部37の中央で最もレーザ光が集光する領域には複数のクラックからなるクラック部38が形成される。
【0054】
図4(b)に示すように、形成されている1段目の改質部37に対して、基板34の厚み方向に隣接する場所に、2段目の改質部37を形成する。2段目の改質部37についても、境界予定面35bに沿って、集光レンズ8からレーザ光36を基板34の内部に集光して照射し、2段目の改質部37を形成する。
【0055】
図4(c)に示すように、形成されている2段目の改質部37に対して、基板34の厚み方向に隣接する場所に、3段目の改質部37を形成する。3段目の改質部37についても、境界予定面35bに沿って、集光レンズ8からレーザ光36を基板34の内部に集光して照射し、3段目の改質部37を形成する。
【0056】
図4(d)に示すように、形成されている3段目の改質部37に対して、基板34の厚み方向に隣接する場所に、4段目の改質部37を形成する。4段目の改質部37についても、境界予定面35bに沿って、集光レンズ8からレーザ光36を基板34の内部に集光して照射し、4段目の改質部37を形成する。
【0057】
図4(e)に示すように、その結果、改質部37が境界予定面35bに沿って、基板34の上面34aから下面34bにわたって形成されているスクライブ面39が形成される。境界予定面35bは断面形状が台形に設定されており、改質部37は基板34の厚さ方向に対して、斜めの面となるように形成される。
【0058】
図5(a)〜図5(b)はステップS2に対応する図である。図5(a)に示すように、基板34を金属製のダイプレート40上に配置する。基板34のクラック部38に対応するダイプレート40の場所には孔部40aが形成されている。基板34に対してダイプレート40の反対側には、ポンチプレート41が配置され、ポンチプレート41の境界予定面35bに沿って形成されるクラック部38と対応する場所には、金属製のポンチ42が形成されている。ポンチ42は図示しないガイドと直動機構により上下動するようになっている。直動機構は、例えば油圧シリンダのように、油ポンプにより加圧された油をシリンダに流入及び流出して、シリンダを直動させる機構でもよい。
【0059】
図5(b)に示すように、ポンチ42にて基板34をダイプレート40に押圧する。基板34のスクライブ面39を構成するクラック部38には剪断力が加わり、クラック部38を起点としてクラックが成長し、スクライブ面39に囲まれた廃材部43が基板34から分離され、分断される。分断された廃材部43は、ポンチ42に押されてダイプレート40の孔部40aに移動して落下する。その結果、図3(a)に示す曲線形状の孔部35が形成される。
【0060】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS1のスクライブ工程で、基板34にレーザ光36を集光して照射し、改質部37がスクライブ面39に沿って配列して形成される。ステップS2の分断工程では、境界予定面35bに形成されるスクライブ面39に沿って剪断力が加えられて分断される。スクライブ面が曲線からなる面であるときにも、スクライブ面に沿って剪断力を加えることで分断することができる。
【0061】
基板34を曲線に沿って分断するとき、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜をパターニングして、基板をエッチングした後、レジストを剥離する方法に比べて、レーザ光36を照射して形成される改質部37が配列されているスクライブ面39に沿って分断する方法の方が、少ない工程数で形成することができる。従って、生産性良く基板を分断することができる。
【0062】
(2)本実施形態によれば、ステップS1のスクライブ工程で、基板34の厚さ方向に対して、改質部37を斜めに配列してスクライブ面39を形成している。スクライブ面39に沿って剪断力を加えるとき、スクライブ面が基板34の厚さ方向に対して、斜めに形成されていることから、分断されるスクライブ面39どうしが離れるように分断される。従って、分断されたスクライブ面どうしが擦れあうことなく分断される為、擦れにより基板34を構成する材料が分離して粉状になることが生じにくくなる。その結果、基板34の構成する材料の粉が基板に付着して不具合となることを防止することができる。
(第2の実施形態)
【0063】
次に本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法について図6〜図13にて説明する。図6は液晶表示装置の模式図である。
この実施形態は、第1の実施形態の方法を応用するものである。
【0064】
(液晶表示装置)
最初に液晶表示装置について説明する。図6(a)は、液晶表示装置の模式平面図であり、図6(b)は、液晶表示装置の模式断面図である。
【0065】
図6(a)及び図6(b)において、本実施形態の電気光学装置としての液晶表示装置50は、対をなす第1の基板51と第2の基板52とが光硬化性の封止材であるシール材53によって貼り合わされ、このシール材53によって区画される領域内に封入された液晶54からなる液晶層を狭持している。
【0066】
第2の基板52は円形に形成された部位と矩形に形成された部位から構成されている。第2の基板52の矩形になっている辺52a(図6(a)中下側の辺)に沿って、電極としての実装端子55が配列して形成されている。第2の基板52の円形部分の中央から同心円状に扇形の画素電極56が配置され、画素電極56と実装端子55とが配線57を介して電気的に接続されている。
【0067】
第1の基板51の液晶54が配置されている側には、共通電極58が配置され、基板間導通材59を介して実装端子55と電気的に接続されている。
【0068】
シール材53は、基板面内の領域において円形の枠状に形成され、一部が第1の基板51及び第2の基板52の外周に接続され、液晶54を封入する封入口51eを形成している。封入口51eは液晶54を封入した後、封止剤60で封止されている。
【0069】
第1の基板51は、共通電極58と反対側の面に偏光シート61が配置され、第2の基板52も、画素電極56と反対側の面に偏光シート62が配置されている。
【0070】
実装端子55は図示しない駆動回路と電気的に接続される。液晶54は、該液晶54を挟持する画素電極56と共通電極58とに電圧が印加されると液晶分子の傾き角度が変化する性質を持っており、駆動回路により、液晶54にかける電圧をコントロールして液晶54の傾き角度を制御し、液晶54を通過する光の偏光角を切替える。液晶表示装置50は、偏光角を切替えて、偏光シート61と偏光シート62とを通過する光に対して、画素電極56毎に光を透過させたり遮ったりする動作を行う。
【0071】
(液晶表示装置の製造方法)
次に上述した液晶表示装置50の製造方法について図7〜図13にて説明する。図7は、液晶表示装置の製造方法のフローチャートであり、図8〜13は液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
【0072】
図7のフローチャートにおいて、ステップS11は第1基板のスクライブ工程に相当し、第1の基板の内部に改質部を形成してスクライブする工程である。次にステップS12に移行する。ステップS12は、第1基板の分断工程に相当し、第1基板の孔部を分断する工程である。ステップS11とステップS12とを合わせて第1基板形成工程(ステップS22)とする。次にステップS13に移行する。
【0073】
ステップS13は、第2基板のスクライブ工程に相当し、第2の基板の内部に改質部を形成してスクライブする工程である。次にステップS14に移行する。ステップS14は、第2基板の分断工程に相当し、第2の基板の孔部を分断する工程である。ステップS13とステップS14とを合わせて第2基板形成工程(ステップS23)とする。次にステップS15に移行する。
【0074】
ステップS15は、接着工程に相当し、第1の基板と第2の基板とを接着して組立てる工程である。次にステップS16に移行する。ステップS16は、短冊加工工程に相当し、基板を短冊形状に分断する工程である。次にステップS17に移行する。ステップS17は、液晶注入工程に相当し、第1の基板と第2の基板との間に液晶を注入する工程である。次にステップS18に移行する。ステップS18は、封止工程に相当し、注入した液晶が漏洩しないように封止する工程である。次にステップS19に移行する。
【0075】
ステップS19は、組立て基板のスクライブ工程に相当し、第1の基板と第2の基板とが組立てられた基板をスクライブする工程である。次にステップS20に移行する。ステップS20は、組立て基板の分断工程に相当し、ステップS19にて、スクライブされた基板を分断する工程である。ステップS19とステップS20とを合わせて分断工程(ステップS24)とする。次にステップS21に移行する。ステップS21は、偏光シート貼付け工程に相当し、第1の基板と第2の基板とに偏光シートを貼り付ける工程である。
【0076】
次に、図8〜図13を用いて、図7に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。
【0077】
図8(a)及び図8(b)はステップS11に対応する図である。図8(b)は図8(a)の線B−Bにおける断面図である。図8(a)及び図8(b)に示すように、第1の基板51には、図6に示す液晶表示装置50を4個形成できるように、共通電極58が4個形成されている。第1の実施形態に示す基板の分断方法と同様に、第1の基板51にレーザ光を照射して、共通電極58の周辺に、C字形状の廃材部63の周囲にクラック部64から構成されるスクライブ面65を形成する。
【0078】
第1の基板51には、液晶表示装置50に対応する第1の本体部51bと、第1の本体部51bを取り囲む第1の枠部51cと、第1の本体部51bと第1の枠部51cとを接続する第1の支持部51dとを形成するように、スクライブ面65が形成される。
【0079】
図8(c)はステップS12に対応する図である。図8(c)に示すように、第1の基板51をダイプレート66に配置する。ダイプレート66の基板51と接する面66bには、廃材部63の形状に孔部66aが形成されている。廃材部63の平面形状と同一の形状に形成されているポンチ67をポンチプレート68を介して第1の基板51に押圧する。第1の基板51のスクライブ面65には、剪断力が加わり、第1の基板51から廃材部63が分離され、分断される。
図8(d)に示すように、その結果、第1の基板51には図8(a)に示す廃材部63と略同じ形状の孔部69が形成される。
【0080】
図9(a)及び図9(b)はステップS13に対応する図である。図9(b)は図9(a)の線C−Cにおける断面図である。図9(a)及び図9(b)に示すように、第2の基板52には、図6に示す液晶表示装置50を4個形成できるように、画素電極56が形成されている。第1の実施形態に示す基板の分断方法と同様に、第2の基板52にレーザ光を照射して、画素電極56の周辺と実装端子55の両端付近に、括弧形状の廃材部70の周囲にクラック部71から構成されるスクライブ面72を形成する。
【0081】
第2の基板52には、液晶表示装置50に対応する第2の本体部52bと、第2の本体部52bを取り囲む第2の枠部52cと、第2の本体部52bと第2の枠部52cとを接続する第2の支持部52d,52eとを形成するように、スクライブ面72が形成される。
【0082】
図9(c)はステップS14に対応する図である。図9(c)に示すように、第2の基板52をダイプレート73に配置する。ダイプレート73の基板52と接する面には、廃材部70の形状に孔部73aが形成されている。廃材部70の平面形状と同一の形状に形成されているポンチ74をポンチプレート75を介して第2の基板52に押圧する。第2の基板52のスクライブ面72には、剪断力が加わり、第2の基板52から廃材部70が分離され、分断される。
図9(d)に示すように、その結果、第2の基板52には図9(a)に示す廃材部70と同じ形状の孔部76が形成される。
【0083】
図10(a)〜図10(c)はステップS15に対応する図である。図10(a)に示すように、第2の基板52にシール材53を塗布する。塗布方法は、塗布する位置及び材料が適正に塗布できれば良く、例えば、本実施形態ではスクリーン印刷法を用いて塗布している。
【0084】
図10(b)及び図10(c)に示すように、続いて、第1の基板51と第2の基板52との相対位置を合わせ、第1の基板51と第2の基板52とを貼り合せて接着する。接着後に加熱乾燥して、シール材53が硬化するまで放置する。例えば、本実施形態では光硬化性の接着剤を採用しており、シール材53に光を照射して半硬化させた後、加熱乾燥している。
【0085】
図10(d)〜図11(c)はステップS16に対応する図である。図10(d)に示すように、ガラスカッタ77を第1の基板51に押圧しつつ移動する。ガラスカッタ77の第1の基板51と接触する場所には、超硬合金からなる円板状のガラスカッタホイール78が配置されている。ガラスカッタ77が第1の基板51を押圧しつつ移動するとき、ガラスカッタホイール78が回転しつつ第1の基板51に応力を加え、クラック79を形成する。クラック79は第1の基板51の厚さ方向に形成され、ガラスカッタ77が第1の基板51を押圧しつつ移動する跡に連続して形成される。
続いて、第1の基板51に形成されているクラック79と対向する第2の基板52の位置に、同様の方法にてクラック79を形成する。
【0086】
図11(a)に示すように、その結果、クラック79が第1の基板51と第2の基板52とにおける所定の場所に形成される。クラック79は直線状に形成され、封入口51eが形成されている孔部76aを通るように形成される。
【0087】
図11(b)に示すように、第2の基板52を弾性のある台80の上に配置する。このとき、第2の基板52のクラック79が台80に接するように配置する。第2の基板52の内部に形成されたクラック79と対応する第1の基板51上の位置に加圧部材81を配置し、加圧部材81を第2の基板52方向に押圧する。第2の基板52は加圧部材81に押圧された場所が台80に沈み込み、第2の基板52と台80とが接触する面に張力が作用する。クラック79には張力がかかり、クラック79を起点として破断が進行して、第2の基板52が分断される。
【0088】
同様に、第1の基板51を台80の上に配置して、クラック79に対応する場所を加圧部材81で第1の基板51方向に押圧する。クラック79には張力がかかり、クラック79を起点として破断が進行して、第1の基板51が分断される。
【0089】
図11(c)に示すように、その結果、第1の基板51と第2の基板52とがクラック79で短冊形状に分断され、封入口51eが側面に露出している短冊基板82が形成される。短冊基板82は、外周に位置する枠部82aと、図6に示す液晶表示装置50に相当する本体部82bと、枠部82aと本体部82bとを接続する支持部82c,82dとから構成される。
【0090】
図12(a)はステップS17に対応する図である。図12(a)に示すように、短冊基板82を注入装置83に配置する。注入装置83は、容器84を備えている。容器84の上面にはカバー85が配置され、注入装置83は、容器84とカバー85にて箱状のチャンバ室86を形成している。容器84とカバー85は、その後部に、蝶番87を介して連結され、カバー85に設けた取っ手88を使って開閉可能になっている。
【0091】
注入装置83は真空ポンプ89を備え、チャンバ室86に備えられた吸入口90から配管91を介して、チャンバ室86内の空気を吸引し、チャンバ室86を減圧することが可能となっている。
【0092】
容器84は内部に液状の液晶92と多孔質の吸収体93が配置され、吸収体93の内部には液晶92が浸透している。
【0093】
まず、短冊基板82の封入口51eが吸収体93に接するように配置する。次に、真空ポンプ89を駆動して、チャンバ室86の空気を排出する。このとき、短冊基板82の内部に存在する空気は封入口51eから排出され、短冊基板82の内部は減圧される。
【0094】
続いて、チャンバ室86に空気を流入して、チャンバ室86の圧力を大気圧に戻す。このとき、短冊基板82の封入口51eから、吸収体93に浸透している液晶92が吸引され、短冊基板82の内部は液晶92で満たされる。
【0095】
図12(b)はステップS18に対応する図である。図12(b)に示すように、シリンダ94を用いて短冊基板82の封入口51eに封止剤95を塗布する。封止剤95は液晶92の流出を防ぎ、液晶92を変質させない材料であれば良く、例えば、本実施形態ではエポキシ樹脂を採用している。封止剤95を塗布した後、短冊基板82を加熱乾燥して封止剤95を固化する。
【0096】
図12(c)〜図12(d)はステップS19に対応する図である。図12(c)に示すように、第1の基板51にレーザ光36を集光レンズ8で集光して照射する。図12(b)に示す支持部82cをスクライブするスクライブ予定線96aに沿ってレーザ光36を照射する。レーザ光36が集光される場所には、改質部37が形成され、改質部37の中心にはクラック部38が形成される。第1の実施形態と同様に、第1の基板51にレーザ光36を集光する深さを換えて照射して、スクライブ予定線96aに沿って改質部37を配列して形成する。
図12(d)に示すように、その結果、第1の基板51にスクライブ面97が形成される。
【0097】
第2の基板52においても同様に、図12(b)に示す支持部82cをスクライブするスクライブ予定線96aと、支持部82dをスクライブするスクライブ予定線96bとに沿ってレーザ光36を照射して改質部37を形成する。第2の基板52にレーザ光36を集光する深さを換えて照射して、改質部37を配列して形成する。
【0098】
図13(a)及び図13(b)はステップS20に対応する図である。図13(a)に示すように、短冊基板82を弾性のある台80の上に配置する。このとき、第1の基板51のクラック部38から構成されるスクライブ面97が台80に接するように配置する。第1の基板51の内部に形成されるスクライブ面97と対応する第2の基板52上の位置に加圧部材81を配置し、加圧部材81を第1の基板51方向に押圧する。第1の基板51は加圧部材81に押圧された場所が台80に沈み込み、第1の基板51と台80とが接触する面に張力が作用する。クラック部38には張力がかかり、クラック部38を起点として破断が進行して、第1の基板51が分断される。
【0099】
図13(b)に示すように、第2の基板52が台80に接するように、短冊基板82を台80の上に配置して、スクライブ面97に対応する場所を加圧部材81で第2の基板52方向に押圧する。クラック部38には張力がかかり、クラック部38を起点として破断が進行して、第2の基板52が分断される。
【0100】
ステップS21において、図6(b)に示す偏光シート61を第1の基板51に貼付け、偏光シート62を第2の基板52に貼り付けて液晶表示装置50が完成する。
【0101】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS22の第1基板形成工程で第1の基板51を形成する。ステップS22の第1基板形成工程において、第1の実施形態に記載した基板の分断方法が用いられる。上記の基板の分断方法は、曲線形状の基板が生産性良く形成されることから、上記基板の分断方法を用いた液晶表示装置50の製造方法では、その第1の基板51が生産性良く形成される。
【0102】
(2)本実施形態によれば、ステップS23の第2基板形成工程で第2の基板52を形成する。ステップS23の第2基板形成工程において、第1の実施形態に記載した基板の分断方法が用いられる。上記の基板の分断方法は、曲線形状の基板が生産性良く形成されることから、上記基板の分断方法を用いた液晶表示装置50の製造方法では、その第2の基板52が生産性良く形成される。
【0103】
(3)本実施形態によれば、液晶表示装置50は液晶54を駆動して液晶表示装置50を透過する光と遮る光を制御する。液晶54の駆動は、画素電極56と共通電極58との間に印加する電圧で制御することから、LED(Light Emitting Diode)方式や電子管方式に比べて、少ない消費電力で駆動することができる。
(第3の実施形態)
【0104】
次に、本発明を具体化した液晶表示装置の一実施形態について図14の液晶表示装置の製造方法を説明する図を用いて説明する。
この実施形態が第2の実施形態と異なるところは、図12(c)及び図12(d)に示したスクライブ方法と異なる点にある。図7に示すステップS19,S20以外の工程は、第2の実施形態と同じであり、説明を省略する。
【0105】
すなわち、本実施形態では、図7に示すステップS19において、図14(a)に示すように、ガラスカッタ77を第1の基板51の共通電極58と逆側の面51aに押圧しつつ移動する。ガラスカッタ77の第1の基板51と接触する場所には、超硬合金からなる円板状のガラスカッタホイール78が配置されている。ガラスカッタ77が第1の基板51を押圧しつつ移動するとき、ガラスカッタホイール78が回転しつつ第1の基板51に応力を加え、クラック100を形成する。クラック100は第1の基板51の厚さ方向に形成され、ガラスカッタ77が第1の基板51を押圧しつつ移動する跡に連続して形成される。
【0106】
図14(b)に示すように、続いて、第2の基板52の画素電極56と逆側の面52aにおいて、分断する予定の場所にガラスカッタ77を押圧しつつ移動する。クラック100は第2の基板52の厚さ方向に形成され、ガラスカッタ77が第2の基板52を押圧しつつ移動する跡に連続して形成される。
図14(c)に示すように、その結果、短冊基板82の支持部82cと支持部82dとには、クラック100が形成される。
【0107】
図7に示すステップS20では、第2の実施形態と同様に、短冊基板82を弾性のある台の上に配置する。第1の基板51のクラック部100が台に接するように配置する。第1の基板51の内部に形成されるクラック100と対応する第2の基板52上の位置に加圧部材を配置し、加圧部材を第1の基板51方向に押圧する。第1の基板51は加圧部材に押圧された場所が台に沈み込み、第1の基板51と台とが接触する面に張力が作用する。クラック100には張力がかかり、クラック100を起点として破断が進行して、第1の基板51が分断される。
【0108】
第2の基板52が台に接するように、短冊基板82を台の上に配置して、クラック100と対応する場所を加圧部材で第2の基板52方向に押圧する。クラック100には張力がかかり、クラック100を起点として破断が進行して、第2の基板52が分断される。
【0109】
続いて、ステップS21にて、図6(b)に示す偏光シート61,62を貼り付けて液晶表示装置50が完成する。
【0110】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する
(1)本実施形態によれば、実装端子55が配置されている支持部82dを分断している。液晶表示装置50は実装端子55に配線が接続されて用いられる。支持部82dが本体部82bから突出する支持部82dの形状に誤差があっても影響がない事が多い。分断工程では実装端子55が配置される支持部82dを分断することから、分断位置が変動するガラスカッタ77を用いて分断する方法を採用することができる。分断工程において、支持部82c,82dがガラスカッタ77を用いてスクライブされて、分断されている。ガラスカッタ77を用いてスクライブする方法は、レーザ光36を用いてスクライブするときに比べて短い時間でスクライブすることができる。従って、支持部82c,82dを分断するとき、分断される面が曲面でなく平面のときは、ガラスカッタ77を用いてスクライブすることで、短時間でスクライブできる。その結果、生産性良くスクライブすることができる。
(第4の実施形態)
【0111】
次に、上記の第2の実施形態の液晶表示装置50を備えた電子機器について説明する。
図15は、腕時計に液晶表示装置を搭載した例を示す概略斜視図である。図15に示すように、電子機器としての腕時計104の本体は情報を表示する表示装置105を備えている。この表示装置105には複数の液晶表示装置を備えており、その液晶表示装置の一つは、第2の実施形態により製造された液晶表示装置50が配置されている。腕時計104に配置されている表示装置105は、第2の実施形態により製造されており、レーザ光を用いてクライブされ、外形が曲面に分断された液晶表示装置50を搭載している。従って、表示部にレーザ光を用いてクライブされ、外形が曲面に生産性良く分断された液晶表示装置50を備えた電子機器とすることができる。
【0112】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
【0113】
上記の第2の実施形態では、図13に示すように、第1の基板51と第2の基板52とを押圧して、スクライブ面97のクラック部38に張力を加えて分断した。これに限らず、図5に示すダイプレート40とポンチ42とを用いてスクライブ面97に剪断力を加えて分断しても良い。
スクライブ面97が曲線のときにも、曲線形状の基板が生産性良く形成することができる。
(変形例2)
【0114】
前記第1の実施形態では、レーザ光源2は、フェムト秒レーザを用いたが、LD励起Nd:YAGのレーザ媒質を用いて発光するレーザ光をQスイッチパルス発振することでレーザ光の光強度を高めているレーザ光を用いても良い。このとき、分極反転光デバイスを用いて波長を変換しても良い。条件を調整して、基板内部に改質部が形成可能な条件を用いてスクライブし、分断しても良い。
(変形例3)
【0115】
前記第1の実施形態では、ポンチ42を油圧シリンダにて押圧して剪断力を加えたが、モータにて重りを回転して、クランク機構により直線運動にかえてポンチ42を直線運動してもよい。廃材部43と基板34とを分断する動作を連続して行うときのサイクルタイムを早くすることができる。
(変形例4)
【0116】
前記第1の実施形態では、境界予定面35bは台形に設定したが、矩形に設定しても良い。レーザ光を照射する場所の演算を簡便にすることができる。
(変形例5)
【0117】
前記第2の実施形態では、実装端子55付近を支持部82dとして枠部82aと本体部82bとを接続していたが、分離する廃材部70の形状を括弧形状でなく、C字形状としても良い。支持部82dを分断する工程を削除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】第1の実施形態に係るレーザ照射装置の構成を示す概略図。
【図2】基板の分断方法のフローチャート。
【図3】基板の模式図。
【図4】基板の分断方法を説明する図。
【図5】基板の分断方法を説明する図。
【図6】第2の実施形態に係る液晶表示装置の模式図。
【図7】基板の分断方法のフローチャート。
【図8】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図9】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図10】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図11】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図12】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図13】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図14】第3の実施形態に係るレーザスクライブ方法を説明する図。
【図15】第4の実施形態に係る腕時計を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0119】
9…基板としてのワーク、34…基板、36…レーザ光、37…改質部、50…電気光学装置としての液晶表示装置、51…第1の基板、51b…第1の本体部、51c…第1の枠部、51d…第1の支持部、52…第2の基板、52b…第2の本体部、52c…第2の枠部、52d,52e…第2の支持部、55…電極としての実装端子、65…スクライブ面、77…ガラスカッタ、104…電子機器としての腕時計、105…表示部としての表示装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲線形状に分断可能な基板の分断方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光透過性のある基板を品質良く切断するために、レーザ光を基板に照射して基板内部に改質領域(以下、改質部と称す。)を形成するレーザスクライブ方法が特許文献1に開示されている。それによると、パルス幅が1μs以下のレーザ光を出射し、集光レンズで基板内部に集光し、集光点におけるピークパワー密度を1×108(W/cm2)以上にする。これにより、加工対象物の内部に多光子吸収による改質部を形成するものである。
【0003】
また、このレーザスクライブ方法において、加工対象物の内部に形成される改質部あるいはこれを起点として形成される改質部の大きさは、集光レンズの特性と、レーザ光のピークパワー密度に依存する。例えば、上記特許文献1に示されたガラス(厚さ700μm)をYAGレーザを用いて切断する実施例では、集光レンズの開口数が0.55の場合、ピークパワー密度がおよそ1×1011(W/cm2)では、改質部の大きさは、およそ100μmである。また、ピークパワー密度がおよそ5×1011(W/cm2)では、およそ250μmである。基板の内部に改質部を配列して形成し、改質部を押圧することで、基板を改質部に沿って品質良く分断することができる。
【0004】
液晶表示装置などの表示装置においては、外形が矩形の形状が一般的に用いられている。しかし、製品外観のデザインを優れたものにする為に、外形が曲線で構成される表示装置を用いることがある。外形が曲線で構成されるパネルを製造する方法として、特許文献2に、外形形状を所望の形状にエッチングして、パネルを形成する方法が紹介されている。この方法では、上下の各パネルの外形を形成する形状に溝を形成し、上下のパネルを接着後に、溝部に応力を加えて破断してパネルを形成している。
【0005】
【特許文献1】特開2002−192371号公報
【特許文献2】特開2000−75257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板に溝部を形成する方法は、次の通りである。基板にレジスト液を塗布して乾燥し、レジスト膜を形成する。レジスト膜を露光して、露光されたレジスト膜を剥離し、レジスト膜のパターンを形成する。続いて、基板をエッチング処理することで、溝を形成した後、レジスト膜を剥離する方法を行っていた。
この様にエッチングして溝を形成する方法では、溝部を形成するための工程数が多くなっているため、生産性の良くない基板の分断方法となっていた。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、外形に曲線を含む基板を生産性良く製造が可能となる基板の分断方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の基板の分断方法は、光透過性の基板を分断する基板の分断方法であって、基板にレーザ光を照射して、改質部を配列してスクライブ面を形成するスクライブ工程と、基板に形成されるスクライブ面に沿って分断する分断工程とを有し、分断工程では、基板のスクライブ面に沿って剪断力を加えて分断することを特徴とする。
【0009】
この基板の分断方法によれば、スクライブ工程で、基板にレーザ光を集光して照射し、改質部が配列して形成されるスクライブ面が、形成される。分断工程では、スクライブ面に沿って剪断力が加えられて分断される。スクライブ面が曲線からなる面であるときにも、スクライブ面に沿って剪断力を加えることで分断することが可能である。
【0010】
基板を曲線に沿って分断するとき、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜をパターニングして、基板をエッチングした後、レジストを剥離する方法に比べて、レーザ光を照射して形成される改質部が配列されているスクライブ面に沿って分断する方法の方が、少ない工程数で形成することができる。従って、生産性良く基板を分断することができる。
【0011】
本発明の基板の分断方法は、上記に記載の基板の分断方法であって、スクライブ工程では、基板の厚さ方向に対して、改質部を斜めに配列してスクライブ面を形成することを特徴とする。
【0012】
この基板の分断方法によれば、スクライブ工程で、基板の厚さ方向に対して、改質部を斜めに配列してスクライブ面を形成している。スクライブ面に沿って剪断力を加えるとき、スクライブ面が基板の厚さ方向に対して、斜めに形成されていることから、分断されるスクライブ面どうしが離れるように分断される。従って、分断されたスクライブ面どうしが擦れあうことなく分断される為、擦れにより基板を構成する材料が分離して粉状になることが生じにくくなる。その結果、基板の構成する材料の粉が基板に付着して不具合となることを防止することができる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置の製造方法は、第1の枠部と第1の本体部とを接続して支持する第1の支持部などからなる第1の基板の形状を形成する第1基板形成工程と、第2の枠部と第2の本体部とを接続して支持する第2の支持部などからなる第2の基板の形状を形成する第2基板形成工程と、第1の基板と第2の基板とを接着する接着工程と、第1の支持部及び第2の支持部を分断する分断工程とを有し、第1基板形成工程、第2基板形成工程、分断工程のうち少なくとも1つの工程において、上記に記載の基板の分断方法を用いて形成または分断することを特徴とする。
【0014】
この電気光学装置の製造方法によれば、第1基板形成工程で第1の基板を形成し、第2基板形成工程で第2の基板を形成する。接着工程で第1の基板と第2の基板とを接着し、分断工程で支持部を分断する。第1基板形成工程、第2基板形成工程、分断工程のうち少なくとも1つの工程において、上記の基板の分断方法が用いられる。上記の基板の分断方法は、曲線形状の基板が生産性良く形成されることから、上記基板の分断方法を用いた電気光学装置の製造方法は、その基板が生産性良く形成される。その結果、この電気光学装置の製造方法は、生産性良く形成される電気光学装置の製造方法とすることができる。
【0015】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記に記載の電気光学装置の製造方法において、第1基板形成工程、第2基板形成工程、分断工程の総ての工程において、上記に記載の基板の分断方法を用いて形成または分断することを特徴とする。
【0016】
この電気光学装置の製造方法によれば、第1基板形成工程、第2基板形成工程、分断工程の総ての工程において、上記に記載の基板の分断方法を用いて形成または分断されている。上記の基板の分断方法は、曲線形状の基板が生産性良く形成されることから、第1基板形成工程、第2基板形成工程、分断工程の総ての工程において、上記基板の分断方法を用いた電気光学装置の製造方法では、その基板が生産性良く形成される。その結果、この電気光学装置の製造方法は、生産性良く形成される電気光学装置の製造方法とすることができる。
【0017】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記に記載の電気光学装置の製造方法において、支持部に電極が形成されることを特徴とする。
【0018】
この電気光学装置の製造方法によれば、支持部に電極が形成されている。電気光学装置は電極部に配線が接続されて用いられる。従って、支持部が本体から突出する部分の形状に誤差があっても影響がない事が多い。従って、分断工程では電極が配置される支持部を分断することから、分断位置の変動する分断方法で分断することができる。
【0019】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記に記載の電気光学装置の製造方法において、分断工程では、ガラスカッタを用いてスクライブして分断することを特徴とする。
【0020】
ここで、ガラスカッタは、ダイヤモンド片又は、超硬合金片や表面にダイヤモンドや超硬合金等の硬質の素材を備えて形成された輪を基板上を加圧しながら移動することで、基板に傷をつけてクラックを形成する刃工具を示す。尚、超硬合金は、周期律表4族、5族、6族金属の炭化物をFe、Co、Niなどの鉄系金属で焼結した複合材料を示す。また、ガラスカッタを用いてスクライブすることとは、ガラスカッタを用いて基板に傷をつけてクラックを形成することを示す。
【0021】
この電気光学装置の製造方法によれば、分断工程において、支持部がガラスカッタを用いてスクライブされて、分断される。ガラスカッタを用いてスクライブする方法は、レーザ光を用いてスクライブするときに比べて短い時間でスクライブすることができる。従って、支持部を分断するとき、分断される面が曲面でなく平面でも良いときは、ガラスカッタを用いてスクライブすることで、短時間でスクライブできる。その結果、生産性良くスクライブすることができる為、生産性良く製造できる電気光学装置の製造方法とすることができる。
【0022】
本発明の電気光学装置は、上記に記載の電気光学装置の製造方法を用いて製造されることを特徴とする。
【0023】
この電気光学装置によれば、この電気光学装置は、上記の電気光学装置の製造方法を用いて製造されている。上記の電気光学装置の製造方法は生産性良く電気光学装置を製造できることから、この電気光学装置は、生産性良く製造される電気光学装置とすることができる。
【0024】
本発明の電気光学装置は、上記に記載の電気光学装置は、液晶を備えた表示装置であることを特徴とする。
【0025】
この電気光学装置によれば、液晶を備えていることから、少ない電力で駆動することができる為、省電力な電気光学装置とすることができる。
【0026】
本発明の電子機器は、上記に記載の電気光学装置を表示部として備えることを特徴とする。
【0027】
この電子機器によれば、この電子機器は上記に記載の電気光学装置を表示部として備えることから、表示部に生産性良く製造される電気光学装置を備えた電子機器とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施例について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
【0029】
本発明の第1の実施形態に係るレーザスクライブ方法について図1〜図4に従って説明する。
【0030】
最初にレーザ照射装置について説明する。図1は、レーザ照射装置の構成を示す概略図である。
図1に示すように、レーザ照射装置1は、レーザ光を出射するレーザ光源2と、出射されたレーザ光をワークに照射する光学経路部3と、光学経路部3に対してワークを相対的に移動させるテーブル部4と、動作を制御する制御装置5を主として構成されている。
【0031】
レーザ光源2は、出射するレーザ光を加工対象物の内部に集光して多光子吸収による改質部を形成できる光源であれば良い。例えば、本実施形態において、チタンサファイアを固体光源とするレーザ光をフェムト秒のパルス幅で出射するいわゆるフェムト秒レーザを採用している。発光条件及び集光レンズの条件としては、例えば、パルスレーザ光は、中心波長が約800nm、波長分布の半値幅はおよそ20nmであり、パルス幅は約300fs(フェムト秒)、パルス周期は1kHz、出力は約700mWの条件を採用している。集光レンズは、例えば、倍率が100倍、開口数(NA)が0.8、WD(Working Distance)が約3mmの対物レンズを採用している。
【0032】
光学経路部3はダイクロイックミラー6を備えている。ダイクロイックミラー6は、レーザ光源2から照射されるレーザ光の光軸7上に配置されている。ダイクロイックミラー6はレーザ光源2から照射されるレーザ光を反射して、光軸7の進行方向を変更する。ダイクロイックミラー6に反射したレーザ光が通過する光軸7上に集光レンズ8が配置されている。テーブル部4には基板としてのワーク9が配置され、集光レンズ8を通過したレーザ光がワーク9に照射されるようになっている。
【0033】
集光レンズ8はレンズ支持部10により、レンズ移動機構11に支持されている。レンズ移動機構11は、図示しない直動機構を有し、集光レンズ8を光軸7方向(図中Z軸方向)に移動させて、集光レンズ8を通過したレーザ光が集光する位置を移動可能としている。
直動機構は、例えばZ方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを供えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が所定のパルス信号を受けて所定のステップ単位で正逆転する図示しないZ軸モータに連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号がZ軸モータに入力されると、Z軸モータが正転又は反転して、レンズ移動機構11が同ステップ数に相当する分だけ、光軸7方向に沿って往動又は復動するようになっている。
【0034】
集光レンズ8とダイクロイックミラー6とを通過する光軸7の延長線上にあって、ダイクロイックミラー6に対して集光レンズ8と反対側には、撮像装置12を備えている。撮像装置12は、例えば、図示しない同軸落射型光源とCCD(Charge Coupled Device)が組み込まれたものである。同軸落射型光源から出射した可視光は、集光レンズ8を透過してワーク9を照射する。撮像装置12は、集光レンズ8とダイクロイックミラー6とを通してワーク9を撮像することが可能となっている。
【0035】
テーブル部4は、基台15を備えている。基台15の光学経路部3側には、レール16が凸設して配置されており、レール16上にはX軸スライド17が配置されている。X軸スライド17は、図示しない直動機構を備え、レール16上をX方向に移動可能となっている。直動機構は、レンズ移動機構11が備える直動機構と同様な機構であり、所定のステップ数に相当する駆動信号に対応してX軸スライド17が同ステップ数に相当する分だけ、X方向に沿って往動又は復動するようになっている。
【0036】
X軸スライド17の光学経路部3側にはレール18が凸設して配置されており、レール18上にはY軸スライド19が配置されている。Y軸スライド19は、X軸スライド17と同様な直動機構を備え、レール18上をY方向に移動可能となっている。
【0037】
Y軸スライド19の光学経路部3側には、ステージ20が配置され、ステージ20の上面には図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。そして、ワーク9を載置すると、チャック機構によって、ワーク9がステージ20の上面における所定の位置に固定されるようになっている。
【0038】
制御装置5は、メインコンピュータ24を備えている。メインコンピュータ24は内部に図示しないCPU(Central Processing Unit)やメモリーを備えている。CPUはメモリー内に記憶されたプログラムソフトに従って、レーザ照射装置1の動作を制御するものである。
メインコンピュータ24は、図示しない入出力インターフェースを備え、入力装置25、表示装置26、レーザ制御装置27、レンズ制御装置28、画像処理装置29、ステージ制御装置30と接続されている。
【0039】
入力装置25は、レーザ加工の際に用いられる各種加工条件のデータを入力する装置であり、表示装置26はレーザ加工時の各種情報を表示する装置である。CPUは、入力される各種加工条件とプログラムソフトとに従って、レーザ加工を行い、加工状況を表示装置26に表示する。操作者が表示装置26に表示される各種情報を見て、レーザ加工状況を確認して操作するようになっている。
【0040】
レーザ制御装置27は、レーザ光源2を駆動するパルス信号のパルス幅、パルス周期、出力の開始と停止、等を制御する装置であり、メインコンピュータ24の制御信号により制御される。
レンズ制御装置28は、レンズ移動機構11の移動、停止を制御する装置である。レンズ移動機構11には、移動距離を検出可能な図示しない位置センサが内蔵されており、レンズ制御装置28は、この位置センサの出力を検出することにより、集光レンズ8の光軸7方向の位置を認識する。レンズ制御装置28は、レンズ移動機構11にパルス信号を送信し、レンズ移動機構11を所望の位置に移動することができるようになっている。
【0041】
画像処理装置29は、撮像装置12から出力される画像データを演算する機能を備えている。ステージ20にワーク9を配置し、撮像装置12で撮像した画像を観察するとき、レンズ移動機構11を操作して、集光レンズ8とワーク9との距離を変えることにより画像が鮮明になるときとぼやけるときが存在する。集光レンズ8を移動して、ワーク9のステージ20側の面に焦点が合うときと、ワーク9の光学経路部3側の面に焦点が合うときに、撮像される画像が鮮明になる。一方、面に焦点が合っていないとき、撮像される画像は、ぼやけた画像となる。
【0042】
集光レンズ8を光軸7の方向に移動して、撮像装置12が撮像する画像が鮮明になる集光レンズ8の位置を、内蔵する位置センサで検出することにより、ワーク9の厚みを測定することが可能となる。
【0043】
撮像装置12で撮像するときに焦点が合う合焦点位置と、レーザ光を照射したときに、集光レンズ8により集光される集光位置との差の距離を計測することで、合焦点位置と集光位置の差の距離であるオフセット距離を知ることができる。例えば、透明な2枚の基板を重ねた物をワーク9としてステージ20に設置し、2枚の基板の接触部に撮像装置12の焦点が合うように集光レンズ8を移動する。次に、レーザ光を照射して改質部を形成する。2枚の基板の接触部と改質部の距離を計測することでオフセット距離を設定することができる。
【0044】
集光レンズ8を光軸7方向に移動して、ワーク9の光学経路部3側の面に撮像装置12の焦点を合わせる。レーザ光を照射したい位置とオフセット距離とで集光レンズ8の移動距離を演算し、演算した移動距離に対応する距離分、集光レンズ8を移動させる。この方法でワーク9における所定の深さにレーザ光を集光することが可能となる。
【0045】
ステージ制御装置30は、X軸スライド17とY軸スライド19との位置情報の取得と移動制御を行う。X軸スライド17とY軸スライド19とには図示しない位置センサが内蔵されており、ステージ制御装置30は位置センサの出力を検出することにより、X軸スライド17とY軸スライド19との位置を検出する。ステージ制御装置30は、X軸スライド17とY軸スライド19との位置情報を取得し、メインコンピュータ24から指示される位置情報とを比較し、差に相当する距離に対応して、X軸スライド17とY軸スライド19とを駆動して移動する。ステージ制御装置30はX軸スライド17とY軸スライド19とを駆動して、所望の位置にワーク9を移動することが可能となっている。
【0046】
レーザ制御装置27がレーザ光源2を制御しレーザ光を発光させる。画像処理装置29がワーク9の面における光軸7方向の位置を検出する。レンズ制御装置28がレーザ光を集光する光軸7方向の位置を制御する。ステージ制御装置30がワーク9をXY方向に移動して、ワーク9にレーザ光が照射される位置を制御する。上述した制御を行い所望の位置にレーザ光を集光して照射することが可能となっている。
【0047】
ここで、多光子吸収による改質部の形成について説明する。集光レンズ8によって集光されたレーザ光は、ワーク9に入射する。そして、ワーク9がレーザ光を透過する材料であっても、材料の吸収バンドギャップEgよりも光子のエネルギーhνが非常に大きいとき、ワーク9は光子エネルギーを吸収する。これを多光子吸収と言い、レーザ光のパルス幅を極めて短くすることでエネルギーを高めて、多光子吸収をワーク9の内部に起こさせると、多光子吸収のエネルギーが熱エネルギーに転化せずに、永続的な構造変化が誘起された領域が形成される。
【0048】
本実施形態では、この構造変化領域を改質部と呼ぶ。改質部のうち、大きく構造変化した結果複数のクラックが形成された領域をクラック部と呼ぶ。尚、材料の種類によっては、例えば石英などの場合には、クラック部は複数のクラックにならず、空洞が形成される場合もある。
【0049】
このような改質部を形成するためのレーザ光の照射条件は、加工対象物ごとにレーザ光の出力やパルス幅、パルス周期、レーザスキャン速度等の設定が必要になる。特に、レーザ光源2が照射するレーザ光の出力は、ダイクロイックミラー6や集光レンズ8のような光軸7上に配置される透過性物質による吸収で減衰することを考慮する必要がある。従って、実際の加工対象物を用いた予備試験を実施して、最適な照射条件を導くことが望ましい。
【0050】
(レーザスクライブ方法)
次に本発明の基板の分断方法について図2〜図5にて説明する。図2は、基板の分断方法のフローチャートであり、図3は基板の模式図である。図4〜図5は基板の分断方法を説明する図である。
【0051】
図2のフローチャートにおいて、ステップS1はスクライブ工程に相当し、基板の一部において、基板の内部に改質部を形成する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は分断工程に相当し、基板を分断する工程である。
【0052】
次に、図3〜図5を用いて、図2に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。
図3は、本実施形態において形成する基板の模式図である。図3(a)は基板の平面図であり、図3(b)は図3(a)の線A−Aにおける断面図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、基板34に孔部35を形成する。孔部35は平面形状が曲線にて構成されている孔部境界面35aに沿って形成される貫通孔となっている。孔部境界面35aの形状は孔部35が形成される前の段階では、境界予定面35bと称し、形状は同じ形状を示す。孔部35は断面形状が台形となっており、基板34の上側の面34aにおける孔部35の面積は、基板34の下側の面34bにおける孔部35の面積より狭く形成されている。基板34は光透過性の脆性材料からなる基板であれば良く、本実施形態では、ソーダ石灰ガラスを採用している。
【0053】
図4(a)〜図4(e)はステップS1に対応する図である。図4(a)に示すように、基板34の境界予定面35bに沿って、集光レンズ8からレーザ光36を基板34の内部に集光して照射する。レーザ光36が集光された場所には改質部37の1段目が形成される。改質部37の中央で最もレーザ光が集光する領域には複数のクラックからなるクラック部38が形成される。
【0054】
図4(b)に示すように、形成されている1段目の改質部37に対して、基板34の厚み方向に隣接する場所に、2段目の改質部37を形成する。2段目の改質部37についても、境界予定面35bに沿って、集光レンズ8からレーザ光36を基板34の内部に集光して照射し、2段目の改質部37を形成する。
【0055】
図4(c)に示すように、形成されている2段目の改質部37に対して、基板34の厚み方向に隣接する場所に、3段目の改質部37を形成する。3段目の改質部37についても、境界予定面35bに沿って、集光レンズ8からレーザ光36を基板34の内部に集光して照射し、3段目の改質部37を形成する。
【0056】
図4(d)に示すように、形成されている3段目の改質部37に対して、基板34の厚み方向に隣接する場所に、4段目の改質部37を形成する。4段目の改質部37についても、境界予定面35bに沿って、集光レンズ8からレーザ光36を基板34の内部に集光して照射し、4段目の改質部37を形成する。
【0057】
図4(e)に示すように、その結果、改質部37が境界予定面35bに沿って、基板34の上面34aから下面34bにわたって形成されているスクライブ面39が形成される。境界予定面35bは断面形状が台形に設定されており、改質部37は基板34の厚さ方向に対して、斜めの面となるように形成される。
【0058】
図5(a)〜図5(b)はステップS2に対応する図である。図5(a)に示すように、基板34を金属製のダイプレート40上に配置する。基板34のクラック部38に対応するダイプレート40の場所には孔部40aが形成されている。基板34に対してダイプレート40の反対側には、ポンチプレート41が配置され、ポンチプレート41の境界予定面35bに沿って形成されるクラック部38と対応する場所には、金属製のポンチ42が形成されている。ポンチ42は図示しないガイドと直動機構により上下動するようになっている。直動機構は、例えば油圧シリンダのように、油ポンプにより加圧された油をシリンダに流入及び流出して、シリンダを直動させる機構でもよい。
【0059】
図5(b)に示すように、ポンチ42にて基板34をダイプレート40に押圧する。基板34のスクライブ面39を構成するクラック部38には剪断力が加わり、クラック部38を起点としてクラックが成長し、スクライブ面39に囲まれた廃材部43が基板34から分離され、分断される。分断された廃材部43は、ポンチ42に押されてダイプレート40の孔部40aに移動して落下する。その結果、図3(a)に示す曲線形状の孔部35が形成される。
【0060】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS1のスクライブ工程で、基板34にレーザ光36を集光して照射し、改質部37がスクライブ面39に沿って配列して形成される。ステップS2の分断工程では、境界予定面35bに形成されるスクライブ面39に沿って剪断力が加えられて分断される。スクライブ面が曲線からなる面であるときにも、スクライブ面に沿って剪断力を加えることで分断することができる。
【0061】
基板34を曲線に沿って分断するとき、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜をパターニングして、基板をエッチングした後、レジストを剥離する方法に比べて、レーザ光36を照射して形成される改質部37が配列されているスクライブ面39に沿って分断する方法の方が、少ない工程数で形成することができる。従って、生産性良く基板を分断することができる。
【0062】
(2)本実施形態によれば、ステップS1のスクライブ工程で、基板34の厚さ方向に対して、改質部37を斜めに配列してスクライブ面39を形成している。スクライブ面39に沿って剪断力を加えるとき、スクライブ面が基板34の厚さ方向に対して、斜めに形成されていることから、分断されるスクライブ面39どうしが離れるように分断される。従って、分断されたスクライブ面どうしが擦れあうことなく分断される為、擦れにより基板34を構成する材料が分離して粉状になることが生じにくくなる。その結果、基板34の構成する材料の粉が基板に付着して不具合となることを防止することができる。
(第2の実施形態)
【0063】
次に本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の製造方法について図6〜図13にて説明する。図6は液晶表示装置の模式図である。
この実施形態は、第1の実施形態の方法を応用するものである。
【0064】
(液晶表示装置)
最初に液晶表示装置について説明する。図6(a)は、液晶表示装置の模式平面図であり、図6(b)は、液晶表示装置の模式断面図である。
【0065】
図6(a)及び図6(b)において、本実施形態の電気光学装置としての液晶表示装置50は、対をなす第1の基板51と第2の基板52とが光硬化性の封止材であるシール材53によって貼り合わされ、このシール材53によって区画される領域内に封入された液晶54からなる液晶層を狭持している。
【0066】
第2の基板52は円形に形成された部位と矩形に形成された部位から構成されている。第2の基板52の矩形になっている辺52a(図6(a)中下側の辺)に沿って、電極としての実装端子55が配列して形成されている。第2の基板52の円形部分の中央から同心円状に扇形の画素電極56が配置され、画素電極56と実装端子55とが配線57を介して電気的に接続されている。
【0067】
第1の基板51の液晶54が配置されている側には、共通電極58が配置され、基板間導通材59を介して実装端子55と電気的に接続されている。
【0068】
シール材53は、基板面内の領域において円形の枠状に形成され、一部が第1の基板51及び第2の基板52の外周に接続され、液晶54を封入する封入口51eを形成している。封入口51eは液晶54を封入した後、封止剤60で封止されている。
【0069】
第1の基板51は、共通電極58と反対側の面に偏光シート61が配置され、第2の基板52も、画素電極56と反対側の面に偏光シート62が配置されている。
【0070】
実装端子55は図示しない駆動回路と電気的に接続される。液晶54は、該液晶54を挟持する画素電極56と共通電極58とに電圧が印加されると液晶分子の傾き角度が変化する性質を持っており、駆動回路により、液晶54にかける電圧をコントロールして液晶54の傾き角度を制御し、液晶54を通過する光の偏光角を切替える。液晶表示装置50は、偏光角を切替えて、偏光シート61と偏光シート62とを通過する光に対して、画素電極56毎に光を透過させたり遮ったりする動作を行う。
【0071】
(液晶表示装置の製造方法)
次に上述した液晶表示装置50の製造方法について図7〜図13にて説明する。図7は、液晶表示装置の製造方法のフローチャートであり、図8〜13は液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
【0072】
図7のフローチャートにおいて、ステップS11は第1基板のスクライブ工程に相当し、第1の基板の内部に改質部を形成してスクライブする工程である。次にステップS12に移行する。ステップS12は、第1基板の分断工程に相当し、第1基板の孔部を分断する工程である。ステップS11とステップS12とを合わせて第1基板形成工程(ステップS22)とする。次にステップS13に移行する。
【0073】
ステップS13は、第2基板のスクライブ工程に相当し、第2の基板の内部に改質部を形成してスクライブする工程である。次にステップS14に移行する。ステップS14は、第2基板の分断工程に相当し、第2の基板の孔部を分断する工程である。ステップS13とステップS14とを合わせて第2基板形成工程(ステップS23)とする。次にステップS15に移行する。
【0074】
ステップS15は、接着工程に相当し、第1の基板と第2の基板とを接着して組立てる工程である。次にステップS16に移行する。ステップS16は、短冊加工工程に相当し、基板を短冊形状に分断する工程である。次にステップS17に移行する。ステップS17は、液晶注入工程に相当し、第1の基板と第2の基板との間に液晶を注入する工程である。次にステップS18に移行する。ステップS18は、封止工程に相当し、注入した液晶が漏洩しないように封止する工程である。次にステップS19に移行する。
【0075】
ステップS19は、組立て基板のスクライブ工程に相当し、第1の基板と第2の基板とが組立てられた基板をスクライブする工程である。次にステップS20に移行する。ステップS20は、組立て基板の分断工程に相当し、ステップS19にて、スクライブされた基板を分断する工程である。ステップS19とステップS20とを合わせて分断工程(ステップS24)とする。次にステップS21に移行する。ステップS21は、偏光シート貼付け工程に相当し、第1の基板と第2の基板とに偏光シートを貼り付ける工程である。
【0076】
次に、図8〜図13を用いて、図7に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。
【0077】
図8(a)及び図8(b)はステップS11に対応する図である。図8(b)は図8(a)の線B−Bにおける断面図である。図8(a)及び図8(b)に示すように、第1の基板51には、図6に示す液晶表示装置50を4個形成できるように、共通電極58が4個形成されている。第1の実施形態に示す基板の分断方法と同様に、第1の基板51にレーザ光を照射して、共通電極58の周辺に、C字形状の廃材部63の周囲にクラック部64から構成されるスクライブ面65を形成する。
【0078】
第1の基板51には、液晶表示装置50に対応する第1の本体部51bと、第1の本体部51bを取り囲む第1の枠部51cと、第1の本体部51bと第1の枠部51cとを接続する第1の支持部51dとを形成するように、スクライブ面65が形成される。
【0079】
図8(c)はステップS12に対応する図である。図8(c)に示すように、第1の基板51をダイプレート66に配置する。ダイプレート66の基板51と接する面66bには、廃材部63の形状に孔部66aが形成されている。廃材部63の平面形状と同一の形状に形成されているポンチ67をポンチプレート68を介して第1の基板51に押圧する。第1の基板51のスクライブ面65には、剪断力が加わり、第1の基板51から廃材部63が分離され、分断される。
図8(d)に示すように、その結果、第1の基板51には図8(a)に示す廃材部63と略同じ形状の孔部69が形成される。
【0080】
図9(a)及び図9(b)はステップS13に対応する図である。図9(b)は図9(a)の線C−Cにおける断面図である。図9(a)及び図9(b)に示すように、第2の基板52には、図6に示す液晶表示装置50を4個形成できるように、画素電極56が形成されている。第1の実施形態に示す基板の分断方法と同様に、第2の基板52にレーザ光を照射して、画素電極56の周辺と実装端子55の両端付近に、括弧形状の廃材部70の周囲にクラック部71から構成されるスクライブ面72を形成する。
【0081】
第2の基板52には、液晶表示装置50に対応する第2の本体部52bと、第2の本体部52bを取り囲む第2の枠部52cと、第2の本体部52bと第2の枠部52cとを接続する第2の支持部52d,52eとを形成するように、スクライブ面72が形成される。
【0082】
図9(c)はステップS14に対応する図である。図9(c)に示すように、第2の基板52をダイプレート73に配置する。ダイプレート73の基板52と接する面には、廃材部70の形状に孔部73aが形成されている。廃材部70の平面形状と同一の形状に形成されているポンチ74をポンチプレート75を介して第2の基板52に押圧する。第2の基板52のスクライブ面72には、剪断力が加わり、第2の基板52から廃材部70が分離され、分断される。
図9(d)に示すように、その結果、第2の基板52には図9(a)に示す廃材部70と同じ形状の孔部76が形成される。
【0083】
図10(a)〜図10(c)はステップS15に対応する図である。図10(a)に示すように、第2の基板52にシール材53を塗布する。塗布方法は、塗布する位置及び材料が適正に塗布できれば良く、例えば、本実施形態ではスクリーン印刷法を用いて塗布している。
【0084】
図10(b)及び図10(c)に示すように、続いて、第1の基板51と第2の基板52との相対位置を合わせ、第1の基板51と第2の基板52とを貼り合せて接着する。接着後に加熱乾燥して、シール材53が硬化するまで放置する。例えば、本実施形態では光硬化性の接着剤を採用しており、シール材53に光を照射して半硬化させた後、加熱乾燥している。
【0085】
図10(d)〜図11(c)はステップS16に対応する図である。図10(d)に示すように、ガラスカッタ77を第1の基板51に押圧しつつ移動する。ガラスカッタ77の第1の基板51と接触する場所には、超硬合金からなる円板状のガラスカッタホイール78が配置されている。ガラスカッタ77が第1の基板51を押圧しつつ移動するとき、ガラスカッタホイール78が回転しつつ第1の基板51に応力を加え、クラック79を形成する。クラック79は第1の基板51の厚さ方向に形成され、ガラスカッタ77が第1の基板51を押圧しつつ移動する跡に連続して形成される。
続いて、第1の基板51に形成されているクラック79と対向する第2の基板52の位置に、同様の方法にてクラック79を形成する。
【0086】
図11(a)に示すように、その結果、クラック79が第1の基板51と第2の基板52とにおける所定の場所に形成される。クラック79は直線状に形成され、封入口51eが形成されている孔部76aを通るように形成される。
【0087】
図11(b)に示すように、第2の基板52を弾性のある台80の上に配置する。このとき、第2の基板52のクラック79が台80に接するように配置する。第2の基板52の内部に形成されたクラック79と対応する第1の基板51上の位置に加圧部材81を配置し、加圧部材81を第2の基板52方向に押圧する。第2の基板52は加圧部材81に押圧された場所が台80に沈み込み、第2の基板52と台80とが接触する面に張力が作用する。クラック79には張力がかかり、クラック79を起点として破断が進行して、第2の基板52が分断される。
【0088】
同様に、第1の基板51を台80の上に配置して、クラック79に対応する場所を加圧部材81で第1の基板51方向に押圧する。クラック79には張力がかかり、クラック79を起点として破断が進行して、第1の基板51が分断される。
【0089】
図11(c)に示すように、その結果、第1の基板51と第2の基板52とがクラック79で短冊形状に分断され、封入口51eが側面に露出している短冊基板82が形成される。短冊基板82は、外周に位置する枠部82aと、図6に示す液晶表示装置50に相当する本体部82bと、枠部82aと本体部82bとを接続する支持部82c,82dとから構成される。
【0090】
図12(a)はステップS17に対応する図である。図12(a)に示すように、短冊基板82を注入装置83に配置する。注入装置83は、容器84を備えている。容器84の上面にはカバー85が配置され、注入装置83は、容器84とカバー85にて箱状のチャンバ室86を形成している。容器84とカバー85は、その後部に、蝶番87を介して連結され、カバー85に設けた取っ手88を使って開閉可能になっている。
【0091】
注入装置83は真空ポンプ89を備え、チャンバ室86に備えられた吸入口90から配管91を介して、チャンバ室86内の空気を吸引し、チャンバ室86を減圧することが可能となっている。
【0092】
容器84は内部に液状の液晶92と多孔質の吸収体93が配置され、吸収体93の内部には液晶92が浸透している。
【0093】
まず、短冊基板82の封入口51eが吸収体93に接するように配置する。次に、真空ポンプ89を駆動して、チャンバ室86の空気を排出する。このとき、短冊基板82の内部に存在する空気は封入口51eから排出され、短冊基板82の内部は減圧される。
【0094】
続いて、チャンバ室86に空気を流入して、チャンバ室86の圧力を大気圧に戻す。このとき、短冊基板82の封入口51eから、吸収体93に浸透している液晶92が吸引され、短冊基板82の内部は液晶92で満たされる。
【0095】
図12(b)はステップS18に対応する図である。図12(b)に示すように、シリンダ94を用いて短冊基板82の封入口51eに封止剤95を塗布する。封止剤95は液晶92の流出を防ぎ、液晶92を変質させない材料であれば良く、例えば、本実施形態ではエポキシ樹脂を採用している。封止剤95を塗布した後、短冊基板82を加熱乾燥して封止剤95を固化する。
【0096】
図12(c)〜図12(d)はステップS19に対応する図である。図12(c)に示すように、第1の基板51にレーザ光36を集光レンズ8で集光して照射する。図12(b)に示す支持部82cをスクライブするスクライブ予定線96aに沿ってレーザ光36を照射する。レーザ光36が集光される場所には、改質部37が形成され、改質部37の中心にはクラック部38が形成される。第1の実施形態と同様に、第1の基板51にレーザ光36を集光する深さを換えて照射して、スクライブ予定線96aに沿って改質部37を配列して形成する。
図12(d)に示すように、その結果、第1の基板51にスクライブ面97が形成される。
【0097】
第2の基板52においても同様に、図12(b)に示す支持部82cをスクライブするスクライブ予定線96aと、支持部82dをスクライブするスクライブ予定線96bとに沿ってレーザ光36を照射して改質部37を形成する。第2の基板52にレーザ光36を集光する深さを換えて照射して、改質部37を配列して形成する。
【0098】
図13(a)及び図13(b)はステップS20に対応する図である。図13(a)に示すように、短冊基板82を弾性のある台80の上に配置する。このとき、第1の基板51のクラック部38から構成されるスクライブ面97が台80に接するように配置する。第1の基板51の内部に形成されるスクライブ面97と対応する第2の基板52上の位置に加圧部材81を配置し、加圧部材81を第1の基板51方向に押圧する。第1の基板51は加圧部材81に押圧された場所が台80に沈み込み、第1の基板51と台80とが接触する面に張力が作用する。クラック部38には張力がかかり、クラック部38を起点として破断が進行して、第1の基板51が分断される。
【0099】
図13(b)に示すように、第2の基板52が台80に接するように、短冊基板82を台80の上に配置して、スクライブ面97に対応する場所を加圧部材81で第2の基板52方向に押圧する。クラック部38には張力がかかり、クラック部38を起点として破断が進行して、第2の基板52が分断される。
【0100】
ステップS21において、図6(b)に示す偏光シート61を第1の基板51に貼付け、偏光シート62を第2の基板52に貼り付けて液晶表示装置50が完成する。
【0101】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS22の第1基板形成工程で第1の基板51を形成する。ステップS22の第1基板形成工程において、第1の実施形態に記載した基板の分断方法が用いられる。上記の基板の分断方法は、曲線形状の基板が生産性良く形成されることから、上記基板の分断方法を用いた液晶表示装置50の製造方法では、その第1の基板51が生産性良く形成される。
【0102】
(2)本実施形態によれば、ステップS23の第2基板形成工程で第2の基板52を形成する。ステップS23の第2基板形成工程において、第1の実施形態に記載した基板の分断方法が用いられる。上記の基板の分断方法は、曲線形状の基板が生産性良く形成されることから、上記基板の分断方法を用いた液晶表示装置50の製造方法では、その第2の基板52が生産性良く形成される。
【0103】
(3)本実施形態によれば、液晶表示装置50は液晶54を駆動して液晶表示装置50を透過する光と遮る光を制御する。液晶54の駆動は、画素電極56と共通電極58との間に印加する電圧で制御することから、LED(Light Emitting Diode)方式や電子管方式に比べて、少ない消費電力で駆動することができる。
(第3の実施形態)
【0104】
次に、本発明を具体化した液晶表示装置の一実施形態について図14の液晶表示装置の製造方法を説明する図を用いて説明する。
この実施形態が第2の実施形態と異なるところは、図12(c)及び図12(d)に示したスクライブ方法と異なる点にある。図7に示すステップS19,S20以外の工程は、第2の実施形態と同じであり、説明を省略する。
【0105】
すなわち、本実施形態では、図7に示すステップS19において、図14(a)に示すように、ガラスカッタ77を第1の基板51の共通電極58と逆側の面51aに押圧しつつ移動する。ガラスカッタ77の第1の基板51と接触する場所には、超硬合金からなる円板状のガラスカッタホイール78が配置されている。ガラスカッタ77が第1の基板51を押圧しつつ移動するとき、ガラスカッタホイール78が回転しつつ第1の基板51に応力を加え、クラック100を形成する。クラック100は第1の基板51の厚さ方向に形成され、ガラスカッタ77が第1の基板51を押圧しつつ移動する跡に連続して形成される。
【0106】
図14(b)に示すように、続いて、第2の基板52の画素電極56と逆側の面52aにおいて、分断する予定の場所にガラスカッタ77を押圧しつつ移動する。クラック100は第2の基板52の厚さ方向に形成され、ガラスカッタ77が第2の基板52を押圧しつつ移動する跡に連続して形成される。
図14(c)に示すように、その結果、短冊基板82の支持部82cと支持部82dとには、クラック100が形成される。
【0107】
図7に示すステップS20では、第2の実施形態と同様に、短冊基板82を弾性のある台の上に配置する。第1の基板51のクラック部100が台に接するように配置する。第1の基板51の内部に形成されるクラック100と対応する第2の基板52上の位置に加圧部材を配置し、加圧部材を第1の基板51方向に押圧する。第1の基板51は加圧部材に押圧された場所が台に沈み込み、第1の基板51と台とが接触する面に張力が作用する。クラック100には張力がかかり、クラック100を起点として破断が進行して、第1の基板51が分断される。
【0108】
第2の基板52が台に接するように、短冊基板82を台の上に配置して、クラック100と対応する場所を加圧部材で第2の基板52方向に押圧する。クラック100には張力がかかり、クラック100を起点として破断が進行して、第2の基板52が分断される。
【0109】
続いて、ステップS21にて、図6(b)に示す偏光シート61,62を貼り付けて液晶表示装置50が完成する。
【0110】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する
(1)本実施形態によれば、実装端子55が配置されている支持部82dを分断している。液晶表示装置50は実装端子55に配線が接続されて用いられる。支持部82dが本体部82bから突出する支持部82dの形状に誤差があっても影響がない事が多い。分断工程では実装端子55が配置される支持部82dを分断することから、分断位置が変動するガラスカッタ77を用いて分断する方法を採用することができる。分断工程において、支持部82c,82dがガラスカッタ77を用いてスクライブされて、分断されている。ガラスカッタ77を用いてスクライブする方法は、レーザ光36を用いてスクライブするときに比べて短い時間でスクライブすることができる。従って、支持部82c,82dを分断するとき、分断される面が曲面でなく平面のときは、ガラスカッタ77を用いてスクライブすることで、短時間でスクライブできる。その結果、生産性良くスクライブすることができる。
(第4の実施形態)
【0111】
次に、上記の第2の実施形態の液晶表示装置50を備えた電子機器について説明する。
図15は、腕時計に液晶表示装置を搭載した例を示す概略斜視図である。図15に示すように、電子機器としての腕時計104の本体は情報を表示する表示装置105を備えている。この表示装置105には複数の液晶表示装置を備えており、その液晶表示装置の一つは、第2の実施形態により製造された液晶表示装置50が配置されている。腕時計104に配置されている表示装置105は、第2の実施形態により製造されており、レーザ光を用いてクライブされ、外形が曲面に分断された液晶表示装置50を搭載している。従って、表示部にレーザ光を用いてクライブされ、外形が曲面に生産性良く分断された液晶表示装置50を備えた電子機器とすることができる。
【0112】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
【0113】
上記の第2の実施形態では、図13に示すように、第1の基板51と第2の基板52とを押圧して、スクライブ面97のクラック部38に張力を加えて分断した。これに限らず、図5に示すダイプレート40とポンチ42とを用いてスクライブ面97に剪断力を加えて分断しても良い。
スクライブ面97が曲線のときにも、曲線形状の基板が生産性良く形成することができる。
(変形例2)
【0114】
前記第1の実施形態では、レーザ光源2は、フェムト秒レーザを用いたが、LD励起Nd:YAGのレーザ媒質を用いて発光するレーザ光をQスイッチパルス発振することでレーザ光の光強度を高めているレーザ光を用いても良い。このとき、分極反転光デバイスを用いて波長を変換しても良い。条件を調整して、基板内部に改質部が形成可能な条件を用いてスクライブし、分断しても良い。
(変形例3)
【0115】
前記第1の実施形態では、ポンチ42を油圧シリンダにて押圧して剪断力を加えたが、モータにて重りを回転して、クランク機構により直線運動にかえてポンチ42を直線運動してもよい。廃材部43と基板34とを分断する動作を連続して行うときのサイクルタイムを早くすることができる。
(変形例4)
【0116】
前記第1の実施形態では、境界予定面35bは台形に設定したが、矩形に設定しても良い。レーザ光を照射する場所の演算を簡便にすることができる。
(変形例5)
【0117】
前記第2の実施形態では、実装端子55付近を支持部82dとして枠部82aと本体部82bとを接続していたが、分離する廃材部70の形状を括弧形状でなく、C字形状としても良い。支持部82dを分断する工程を削除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】第1の実施形態に係るレーザ照射装置の構成を示す概略図。
【図2】基板の分断方法のフローチャート。
【図3】基板の模式図。
【図4】基板の分断方法を説明する図。
【図5】基板の分断方法を説明する図。
【図6】第2の実施形態に係る液晶表示装置の模式図。
【図7】基板の分断方法のフローチャート。
【図8】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図9】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図10】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図11】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図12】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図13】液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図14】第3の実施形態に係るレーザスクライブ方法を説明する図。
【図15】第4の実施形態に係る腕時計を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0119】
9…基板としてのワーク、34…基板、36…レーザ光、37…改質部、50…電気光学装置としての液晶表示装置、51…第1の基板、51b…第1の本体部、51c…第1の枠部、51d…第1の支持部、52…第2の基板、52b…第2の本体部、52c…第2の枠部、52d,52e…第2の支持部、55…電極としての実装端子、65…スクライブ面、77…ガラスカッタ、104…電子機器としての腕時計、105…表示部としての表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の基板を分断する基板の分断方法であって、
前記基板にレーザ光を照射して、改質部を配列してスクライブ面を形成するスクライブ工程と、
前記基板に形成されるスクライブ面に沿って分断する分断工程とを有し、
前記分断工程では、前記基板の前記スクライブ面に沿って剪断力を加えて分断することを特徴とする基板の分断方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板の分断方法であって、
前記スクライブ工程では、前記基板の厚さ方向に対して、前記改質部を斜めに配列して前記スクライブ面を形成することを特徴とする基板の分断方法。
【請求項3】
第1の枠部と第1の本体部とを接続して支持する第1の支持部などからなる第1の基板の形状を形成する第1基板形成工程と、
第2の枠部と第2の本体部とを接続して支持する第2の支持部などからなる第2の基板の形状を形成する第2基板形成工程と、
前記第1の基板と第2の基板とを接着する接着工程と、
前記第1の支持部及び第2の支持部を分断する分断工程とを有し、
前記第1基板形成工程、前記第2基板形成工程、前記分断工程のうち少なくとも1つの工程において、請求項1又は2に記載の基板の分断方法を用いて形成または分断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電気光学装置の製造方法において、
前記第1基板形成工程、前記第2基板形成工程、前記分断工程の総ての工程において、請求項1又は2に記載の基板の分断方法を用いて形成または分断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の電気光学装置の製造方法において、
前記支持部に電極が形成されることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載の電気光学装置の製造方法において、
分断工程では、ガラスカッタを用いてスクライブして分断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法を用いて製造されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電気光学装置は、液晶を備えた表示装置であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の電気光学装置を表示部として備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
光透過性の基板を分断する基板の分断方法であって、
前記基板にレーザ光を照射して、改質部を配列してスクライブ面を形成するスクライブ工程と、
前記基板に形成されるスクライブ面に沿って分断する分断工程とを有し、
前記分断工程では、前記基板の前記スクライブ面に沿って剪断力を加えて分断することを特徴とする基板の分断方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板の分断方法であって、
前記スクライブ工程では、前記基板の厚さ方向に対して、前記改質部を斜めに配列して前記スクライブ面を形成することを特徴とする基板の分断方法。
【請求項3】
第1の枠部と第1の本体部とを接続して支持する第1の支持部などからなる第1の基板の形状を形成する第1基板形成工程と、
第2の枠部と第2の本体部とを接続して支持する第2の支持部などからなる第2の基板の形状を形成する第2基板形成工程と、
前記第1の基板と第2の基板とを接着する接着工程と、
前記第1の支持部及び第2の支持部を分断する分断工程とを有し、
前記第1基板形成工程、前記第2基板形成工程、前記分断工程のうち少なくとも1つの工程において、請求項1又は2に記載の基板の分断方法を用いて形成または分断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電気光学装置の製造方法において、
前記第1基板形成工程、前記第2基板形成工程、前記分断工程の総ての工程において、請求項1又は2に記載の基板の分断方法を用いて形成または分断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の電気光学装置の製造方法において、
前記支持部に電極が形成されることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
請求項3に記載の電気光学装置の製造方法において、
分断工程では、ガラスカッタを用いてスクライブして分断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法を用いて製造されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電気光学装置は、液晶を備えた表示装置であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の電気光学装置を表示部として備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−319920(P2007−319920A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155784(P2006−155784)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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