説明

基板カバー

【課題】基板の素子形成領域に塵芥が付着することを防止する。
【解決手段】複数の半導体素子が形成された素子形成領域を有する半導体基板の素子形成領域の表面を、素子形成領域に対して離間した状態で覆うとともに、素子形成領域の裏面を露出させた基板カバー。上記基板カバーは、半導体基板に対して気密に接して、素子形成領域を気密に包囲してもよい。また、上記基板カバーは、半導体基板に対して接する領域は、半導体基板のノッチまたはオリエンテーションフラットと相補的な形状を有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の素子等が形成された半導体基板を積層する積層型半導体装置の製造方法がある(特許文献1参照)。貼り合わせに係る作業は、基板貼り合わせ装置の内部で局所的にクリーン化された領域で実行され、塵芥等の基板への付着による歩留り低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−251972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、FOUP(Front Opening Unified Pod)等の基板容器から局所的にクリーン化された領域へと半導体基板を搬送する過程で、半導体基板が一時的に大気環境に晒される場合がある。このため、加工前の半導体基板に塵芥が付着する可能性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の態様のひとつとして、複数の半導体素子が形成された素子形成領域を有する半導体基板の素子形成領域の表面を、素子形成領域に対して離間した状態で覆うとともに、素子形成領域の裏面を露出させた基板カバーが提供される。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】基板貼り合わせ装置100全体の構造を示す平面図である。
【図2】基板貼り合わせ装置100全体の構造を示す縦断面図である。
【図3】加圧装置130の構造を模式的に示す縦断面図である。
【図4A】半導体基板102の状態を示す図である。
【図4B】半導体基板102の状態を示す図である。
【図4C】半導体基板102の状態を示す図である。
【図4D】半導体基板102の状態の変遷を示す図である。
【図5】基板カバー143の形状を示す斜視図である。
【図6】基板カバー143の縦断面図である。
【図7】基板カバー143を見上げた様子を示す斜視図である。
【図8】基板カバー143の部分拡大断面図である。
【図9】基板カバー143の他の形状を示す斜視図である。
【図10】基板カバー143のまた他の形状を示す斜視図である。
【図11】基板カバー143の更に他の形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、基板カバー143を用いる基板貼り合わせ装置100の平面図である。また、図2は、基板貼り合わせ装置100の縦断面図である。これら図面を参照して、基板貼り合わせ装置100全体の構造を説明する。
【0010】
基板貼り合わせ装置100は、筐体110に収容された位置合わせ装置120、加圧装置130、ホルダストッカ140、カバーストッカ141、環境ローダ150、ロードロック160、回転補正部170および大気ローダ180を備える。また、筐体の外面には、複数のFOUP190が装着される。
【0011】
FOUP190は、複数の半導体基板102を収容する。FOUP190を基板貼り合わせ装置100に装着することにより、複数の半導体基板102を一括して基板貼り合わせ装置100に装填できる。なお、FOUP190に収容された半導体基板102の各々には、基板カバー143が予めかぶせられている。基板カバー143の詳細については後述する。
【0012】
筐体110の内部において、FOUP190の直前には大気ローダ180が配される。大気ローダ180は、フォーク184および支持アーム186を有する。フォーク184は、基板カバー143を装着された半導体基板102を載せて保持する。フォーク184は支持アーム186を介して支持され、支持アーム186の進退に応じて移動する。
【0013】
更に、大気ローダ180は、基板貼り合わせ装置100の外部と同じ大気環境において、FOUP190が配された筐体110の一辺に沿って配されたガイドレール182に案内されて移動する。これにより、FOUP190のいずれかから搬出された基板カバー143付きの半導体基板102を回転補正部170に搬送する。
【0014】
回転補正部170は、大気ローダ180により搬入された半導体基板102を、改めて大気ローダ180に搭載して搬出させる過程で、大気ローダ180に対する半導体基板102の搭載方向を補正する。これにより、回転補正部170を経た後は、大気ローダ180に対する半導体基板102の向きが一定しているものとして取り扱うことができる。
【0015】
回転補正部170において大気ローダ180に対する搭載方向を補正された半導体基板102は、再び大気ローダ180により、ロードロック160に搬入される。なお、大気ローダ180は、ロードロック160から搬出した半導体基板102を、FOUP190のいずれかに戻す場合にも用いられる。
【0016】
ロードロック160は、大気ローダ180側と、後述する環境ローダ150側とに、それぞれ個別に開閉できるシャッタ164、162を有する。ロードロック160の内部は、図示していない真空源に結合されて排気される。
【0017】
また、ロードロック160の内部には、プリアライナ166が配される。プリアライナ166には、後述する基板ホルダ104がまず搭置され、続いて、基板ホルダ104の上に半導体基板102が載せられる。このとき、半導体基板102は、基板ホルダ104に対する相対位置のばらつきが一定の範囲内に納まるようにプリアライメントされる。プリアライナ166の動作は、回転補正部170に隣接して配されたプリアライナ制御部116により制御される。
【0018】
基板ホルダ104は、平滑な保持面を有して、真空吸着、静電吸着等により半導体基板102を保持面に保持する。これにより、脆弱な半導体基板102を保護して取り扱いを容易にする。基板ホルダ104は、ロードロック160に対して環境ローダ150側に配されたホルダストッカ140に収容され、環境ローダ150により、ロードロック160内のプリアライナ166に搬入される。
【0019】
基板貼り合わせ装置100の筐体110内部における図中の上端近傍には、位置合わせ装置120が配される。位置合わせ装置120は、下ステージ126、X駆動部123、Y駆動部121および上ステージ226を有する。下ステージ126は、側方に配されたX駆動部123およびY駆動部121により、X方向およびY方向に移動する。下ステージ126には、半導体基板102を保持した基板ホルダ104が搭載される。
【0020】
また、下ステージ126には、ダクト125を通じて、電圧源および減圧源に結合される。これにより、下ステージ126の上面に、基板ホルダ104等を吸着して保持することができる。更に、基板ホルダ104による半導体基板102の静電吸着を維持し続けることができる。
【0021】
更に、下ステージ126の上には、互いに直交して配された一対の反射鏡128が搭載される。反射鏡128は、下ステージ126の位置および変位を測定する場合に、図示していない干渉計の出射光を反射する。
【0022】
特に図2から明らかなように、位置合わせ装置120は、上ステージ226も備える。上ステージ226は、位置合わせ装置120の天井面から懸下され、下向きに固定される。従って、上ステージ226には、下ステージ126に保持された半導体基板102と対向するように、他の半導体基板102を保持した他の基板ホルダ104が保持される。
【0023】
既に説明したように、下ステージ126はX−Y方向に移動するので、例えば、固定された上ステージ226に対して下ステージ126の位置を調節することにより、一対の半導体基板102の位置を合わせることができる。位置合わせされた一対の半導体基板102は、下ステージ126をZ方向に移動させて、互いに重ね合わせることにより仮接合される。仮接合された半導体基板102は、再び環境ローダ150により、後述する加圧装置130に搬送される。
【0024】
なお、基板貼り合わせ装置100は、位置合わせ装置120に隣接して配された位置合わせ制御部112を備える。位置合わせ制御部112は、位置合わせ装置120による上記の一連の位置合わせ動作を制御する。
【0025】
位置合わせ装置120は、耐熱壁129により包囲される。これにより、後述する加圧装置130等から輻射される熱が位置合わせ装置120の精度に及ぼす影響を遮断する。耐熱壁129の一面(図示の例では下側の一面)には装入口127が配され、これを通じて、半導体基板102を保持した基板ホルダ104が位置合わせ装置120搬入される。
【0026】
また、位置合わせ装置120は、基板貼り合わせ装置100の筐体110に対して、防振脚111を介して支持される。これにより、大気ローダ180、環境ローダ150、加圧装置130等の動作により生じる振動が、位置合わせ装置120の位置合わせ精度に与える影響が遮断される。
【0027】
なお、この実施形態では、環境ローダ150の稼働領域を真空雰囲気とし、位置合わせ装置120の装入口127にはロードロックを設けなかった。しかしながら、例えば、位置合わせ装置120の内部雰囲気を窒素ガス等で置換した場合、後述する加圧装置130で発生した熱が雰囲気を媒体として位置合わせ装置120に伝わり、位置合わせ精度に影響を与える場合がある。そこで、位置し合わせ装置120内部およびその周辺に熱媒体となる雰囲気がある場合は、装入口127にロードロックを設けることが好ましい。
【0028】
基板貼り合わせ装置100の中程には、環境ローダ150が配される。環境ローダ150は、基板ホルダ104を搭載する一対のフォーク152と、一対のフォーク152を共通に支持して移動させるフォールディングアーム154とを有する。
【0029】
なお、上ステージ226は、その下面に半導体基板102を保持するので、上ステージ226に基板ホルダ104を装填する環境ローダ150は、半導体基板102およびそれを保持した基板ホルダ104の表裏を反転させる。このため、環境ローダ150は、フォーク152を反転させる機能と、フォーク152が反転した場合に半導体基板102および基板ホルダ104の落下を防止する補助フォーク153とを備える。
【0030】
一対のフォーク152は、例えば、位置合わせ装置120に搬入する室温の基板ホルダ104を搬送する場合と、後述する加圧装置130から搬出される高温の基板ホルダ104を搬送する場合とで使い分けることができる。これにより、環境ローダ150から基板ホルダ104に伝わった熱により、位置合わせ装置120における位置合わせ精度が低下することが防止される。
【0031】
また、環境ローダ150は、ロードロック160、位置合わせ装置120、複数のホルダストッカ140、カバーストッカ141および複数の加圧装置130に包囲される。これにより、環境ローダ150は、基板貼り合わせ装置100を形成する各要素に対して、半導体基板102を搬入または搬出できる。
【0032】
ロードロック160、位置合わせ装置120、ホルダストッカ140、カバーストッカ141および複数の加圧装置130の相互の間は、気密壁159により気密に封鎖される。気密壁159の内側を排気することにより、位置合わせ装置120、加圧装置130および環境ローダ150を真空雰囲気で動作させることができる。
【0033】
ホルダストッカ140は、使用前または使用後の、その時点で使用していない基板ホルダ104を収容して待機させる。カバーストッカ141は、使用後の基板カバー143を収容して保存する。保存された基板カバー143は、清掃された上で再使用されてもよい。また、使用した基板カバー143は破棄してもよい。加圧装置130については、図3を参照して後述する。
【0034】
図3は、加圧装置130単独の構造を模式的に示す縦断面図である。加圧装置130は、筐体132の底部から積層された定盤138および加熱プレート136と、筐体132の天井面から順次垂下された圧下部134および加熱プレート136とを有する。加熱プレート136の各々はヒータを内蔵する。また、筐体132の側面のひとつには装入口131が設けられる。
【0035】
加圧装置130には、既に位置合わせして重ね合わされた一対の半導体基板102が、それを挟む一対の基板ホルダ104と共に搬入され、定盤138上の加熱プレート136上面に載置される。加圧装置130は、圧下部134により上側の加熱プレート136を降下させて、半導体基板102および基板ホルダ104を加熱プレート136に挟む。
【0036】
この状態で加熱プレート136を昇温させて半導体基板102を加熱した後に、更に、圧下部134により上側の加熱プレート136を押し下げる。これにより、加熱プレート136の間に挟まれた半導体基板102および基板ホルダ104が加圧され、半導体基板102は恒久的に接着される。
【0037】
なお、図示は省いたが、加熱、加圧した後に、半導体基板102を冷却する冷却部を、加圧装置130に更に設けてもよい。これにより、室温までには至らなくても、ある程度冷却してから接着した半導体基板102を搬出して、FOUP190に迅速に戻すことができる。なお、加圧装置130の動作は、加圧制御部113により制御される。
【0038】
図4A、図4B、図4Cおよび図4Dは、基板貼り合わせ装置100における半導体基板102の状態の変遷を示す図である。まず、図4Aに示すように、環境ローダ150がホルダストッカ140から搬出してロードロック160に搬入した基板ホルダ104に対して、大気ローダ180がロードロック160に搬入した半導体基板102が搭載される。
【0039】
基板ホルダ104は、例えば静電吸着等により半導体基板102を吸着して保持する。このように半導体基板102を保持した基板ホルダ104が2組用意される。なお、以下の工程においては、半導体基板102と、それを保持した基板ホルダ104とは一体的に取り扱われる。
【0040】
次に、図4Bに示すように、それぞれが半導体基板102を保持した一対の基板ホルダ104は、位置合わせ装置120において、一方が反転される。これにより、半導体基板102が対向した状態で相互に位置合わせされる。位置合わせされた半導体基板102は、重ね合わされて仮接合される。
【0041】
なお、位置合わせ装置120においては、重ね合わせられた半導体基板102は、仮接合されているに過ぎない。このため、位置合わせされた状態を維持する目的で、基板ホルダ104の溝105にクリップ106が嵌められる。これにより、環境ローダ150は、位置合わせ装置120による位置合わせを保持したまま、半導体基板102を加圧装置に搬送できる。
【0042】
仮接合された半導体基板102は、環境ローダ150により加圧装置130に搬入される。加圧装置130により加熱、加圧されることにより、仮接合された一対の半導体基板102は恒久的に接着されて積層型半導体基板103となる。
【0043】
基板ホルダ104は、基板貼り合わせ装置100の仕様に応じて、加圧装置130からロードロック160までの間に積層型半導体基板から取り外され、ホルダストッカ140に戻される。積層型半導体基板103は、大気ローダ180により単体でFOUP190に戻される。
【0044】
上記のような基板貼り合わせ装置100において、基板カバー143は、以下のように使用される。まず、FOUP190に収容された半導体基板102は、基板カバー143を予め装着されている。大気ローダ180は、基板カバー143を装着させたまま、半導体基板102をFOUP190から搬出して回転補正部170に搬送する。
【0045】
回転補正部170は、半導体基板102に形成されたノッチあるいはオリエンテーションフラットを指標にして、基板カバー143を装着したまま半導体基板102の大気ローダ180に対する搭載方向を補正する。次に、大気ローダ180は、回転補正を終えた半導体基板102を、回転補正部170から搬出して、奥のシャッタ162が閉鎖されたロードロック160に搬入する。この場合も、半導体基板102は、基板カバー143を装着されたまま搬送される。
【0046】
半導体基板102がロードロック160に搬入されると、ロードロック160のもう一方のシャッタ164も閉鎖される。これにより、ロードロック160の内部は、大気からも、環境ローダ150を含む真空雰囲気からも遮断される。
【0047】
この状態で、ロードロック160の内部は、真空源に連通して減圧される。また、ロードロック160の内部において、半導体基板102は、プリアライナ166により基板ホルダ104に対してプリアライメントされる。やがてプリアライメントが完了すると共に、ロードロック160の内部が真空雰囲気と同程度まで減圧されると、環境ローダ150側のシャッタ162が開放され、プリアライメントが完了した半導体基板102および基板ホルダ104が、環境ローダ150によりロードロック160から搬出される。
【0048】
ここで、環境ローダ150に基板カバー143を単独で取り扱う機能がある場合は、ロードロック160から、まず、基板カバー143を単独で取り出して、カバーストッカ141に格納してもよい。あるいは、カバーストッカ141にカバー取り外し機能を設け、基板カバー143を装着したままの半導体基板102を基板ホルダ104に保持させて、環境ローダ150によりカバーストッカ141に搬送して、基板カバー143を取り外させてもよい。
【0049】
いずれの場合も、基板カバー143がカバーストッカ141に収納された後は、半導体基板102を保持した基板ホルダ104が、位置合わせ装置120に搬送される。搬送された基板ホルダ104は、位置合わせ装置120にとって1枚目の基板ホルダ104であれば、反転されて上ステージ226に保持される。また、位置合わせ装置120にとって2枚目の基板ホルダ104であれば、下ステージ126に保持される。
【0050】
このように、半導体基板102が大気環境にある期間は、基板カバー143が半導体基板102の素子形成領域を覆うので、塵芥等が付着することが防止される。従って、真空環境では、半導体基板102の清浄な面を貼り合わせることができる。また、ロードロック160の内側のシャッタ162が開いた直後に基板カバー143をカバーストッカに回収するので、環境ローダ150の周囲に塵芥等が持ち込まれて拡散することが抑制される。
【0051】
なお、ロードロック160の減圧と、半導体基板102および基板ホルダ104に対するプリアライメントとを並行して実行することにより、基板貼り合わせ装置100のスループットを向上させることができる。この場合、基板カバー143が装着されたままの半導体基板102に対してプリアライメントを実施するので、基板カバー143は、プリアライナ166の検出系に対して透明であることが望ましい。例えば、プリアライナ166が光学的な検出系によりプリアライメントを実行する場合、基板カバー143は、光学的に透明であることが望ましい。
【0052】
また、基板カバー143は真空環境に搬入されるので、真空環境においてガス等を発生しない安定な材料であることが好ましい。具体的には、フッ素系樹脂であるポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロエルキルビニルエーテル共重合体等を材料として例示できる。
【0053】
図5は、半導体基板102とそれに装着する基板カバー143の形状を示す斜視図である。半導体基板102は、上面に素子形成領域109を、側端面にノッチ107を、それぞれ有する。基板カバー143は、下端に近づくほど内径が広がる鍔部145を有する。
【0054】
図6は、基板カバー143を装着した半導体基板102を示す断面図である。鍔部145の上端において、基板カバー143は、半導体基板102の外径よりも小さな内径を有する。また、鍔部145の下端において、基板カバー143は、半導体基板102の外径よりも大きな内径を有する。
【0055】
これにより、基板カバー143を上方から半導体基板102に被せた場合、基板カバー143は、鍔部145の内面において半導体基板102に当接する。これにより、半導体基板102の素子形成領域109から離間した状態で素子形成領域109を覆うことができる。また、基板カバー143は、半導体基板102の縁部に線状に接するので、素子形成領域109には接触しない。
【0056】
図7は、基板カバー143を、下から見上げた様子を示す斜視図である。基板カバー143の鍔部145の内面には、基板カバー143の径方向に、内側に判って突出する係止突起147を有する。係止突起147は、半導体基板102のノッチ107と相補的な形状を有する。
【0057】
これにより、基板カバー143を半導体基板102に装着した場合、半導体基板102のノッチ107と係止突起147とが嵌まり合い、半導体基板102および基板カバー143の間を気密にすることができる。従って、半導体基板102および基板カバー143の間を、例えば外部に対して減圧することにより、基板カバー143を半導体基板102に吸着させ、基板カバー143の半導体基板102に対する位置ずれを防止できる。
【0058】
基板カバー143の内側を減圧する方法としては、基板カバー143を半導体基板102に載せた状態で基板カバー143の中央を僅かに押し下げて、基板カバー143の弾性により半導体基板102および基板カバー143の間を減圧させてもよい。また、減圧雰囲気下で半導体基板102に基板カバー143を載せた後、基板カバー143を載せた半導体基板102を常圧の雰囲気に戻すことにより、基板カバー143の内側を相対的に減圧させることもできる。
【0059】
図8は、半導体基板102および基板カバー143の接触部を拡大して示す部分断面図である。半導体基板102の多くは、素子形成領域109を含む面と側方端面との境界を面取りされて、面取り部108を有する。従って、基板カバー143の傾斜した鍔部145は、半導体基板102の面取り部108に主に接する。これにより、基板カバー143は、素子形成領域109側から装着されているにもかかわらず、素子形成領域109を含む半導体基板102の表面には全く接触しない。
【0060】
また、基板カバー143の下端は、図中に点線Aにより示す半導体基板102の下面よりも高い位置にある。これにより、基板カバー143を装着した半導体基板102を、例えば基板ホルダ104に保持させた場合に、基板カバー143が基板ホルダ104に接触することがない。従って、基板ホルダ104との接触により、基板カバー143がずれることを防止できる。
【0061】
なお、基板カバー143の内側において、半導体基板102に接触する領域には、弾性を有する材料を貼付または塗布した軟質部149を設けてもよい。これにより、基板カバー143の半導体基板102に対する滑り止めになる。また、前述したように、半導体基板102および基板カバー143の間を減圧する場合には、両者の間の気密性が向上される。
【0062】
図9は、基板カバー143の他の形態を示す部分拡大断面図である。この基板カバー143は、半導体基板102の下面よりも下方まで延在する裾部146を下端に有する。これにより、基板カバー143を装着した半導体基板102を基板ホルダ104に保持させた場合、基板カバー143は、基板ホルダ104に当接する。
【0063】
ここで、基板ホルダ104に例えば段差Sを設けて、基板カバー143が段差Sに接触させることで、基板ホルダ104に搭載した後は、半導体基板102ではなく、基板ホルダ104が基板カバー143を支持する。これにより、ロードロック160から真空環境に搬入された半導体基板102から基板カバー143を取り除くことが容易になる。
【0064】
図10は、基板カバー143のまた他の形態を示す図である。図9に示したように、基板カバー143の下端が、半導体基板102の下面よりも下方まで延在する場合、大気ローダ180が半導体基板102を搬送する場合に、フォーク184が基板カバー143に接してずれる場合がある。
【0065】
そこで、図10に示すように、フォーク184が半導体基板102の下面に接した場合に、基板カバー143の鍔部145下端に切欠き状の逃げ部142を設けてもよい。この逃げ部142にフォーク184を通すことにより、大気ローダ180は、基板カバー143と干渉することなく半導体基板102を搬送できる。
【0066】
図11は、基板カバー143の更に他の形態を示す図である。この基板カバー143は、天井面外縁部の複数個所において、水平部分が径方向外側に延長された延長部144を有する。これにより、この基板カバー143を装着した半導体基板102は、水平な延長部144を通じて、上方から半導体基板102の縁部を観察できる。
【0067】
この場合、観察方向が基板カバー143に対して直交するので、基板カバー143を透過することによる光学的影響が小さい。従って、半導体基板102の縁部を正確にて検出できる。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0069】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を、後の処理で用いる場合でない限り、任意の順序で実現しうることに留意されたい。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0070】
100 基板貼り合わせ装置、102 半導体基板、103 積層型半導体基板、104 基板ホルダ、105 溝、106 クリップ、107 ノッチ、108 面取り部、109 素子形成領域、110、132 筐体、111 防振脚、112 位置合わせ制御部、113 加圧制御部、116 プリアライナ制御部、120 位置合わせ装置、121 Y駆動部、182 ガイドレール、123 X駆動部、125 ダクト、126 下ステージ、127 装入口、128 反射鏡、129 耐熱壁、130 加圧装置、131 装入口、134 圧下部、136 加熱プレート、138 定盤、140 ホルダストッカ、141 カバーストッカ、142 逃げ部、143 基板カバー、144 延長部、145 鍔部、146 裾部、147 係止突起、149 軟質部、150 環境ローダ、152、184 フォーク、153 補助フォーク、154 フォールディングアーム、159 気密壁、160 ロードロック、162、164 シャッタ、166 プリアライナ、170 回転補正部、180 大気ローダ、186 支持アーム、190 FOUP、226 上ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体素子が形成された素子形成領域を有する半導体基板の前記素子形成領域の表面を、前記素子形成領域に対して離間した状態で覆うとともに、前記素子形成領域の裏面を露出させた基板カバー。
【請求項2】
前記半導体基板に対して気密に接して、前記素子形成領域を気密に包囲する請求項1に記載の基板カバー。
【請求項3】
前記半導体基板に対して接する領域は、前記半導体基板のノッチまたはオリエンテーションフラットと相補的な形状を有する請求項2に記載の基板カバー。
【請求項4】
外側から前記半導体基板の形状を観察し得る透明な材料により形成される請求項1から請求項3までのいずれかに記載の基板カバー。
【請求項5】
前記半導体基板を搭載して搬送する搬送部との干渉を避ける逃げ部を有する請求項1から請求項4までの何れかに記載の基板カバー。
【請求項6】
前記半導体基板を保持する基板保持部材に対して接する下端部を更に有する請求項1から請求項5までの何れかに記載の基板カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−287692(P2010−287692A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139617(P2009−139617)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】