説明

基板ホルダー及び基板搬送装置

【課題】 被処理基板に傷や割れが発生することを抑制できると共に、部品点数が少なく、パーティクルが付着しにくい基板ホルダー及びこれを用いた基板搬送装置を提供する。
【解決手段】 基板ホルダー1は、被処理基板Sの被処理面側の外周部に当接する当接部112と、被処理基板の被処理面を露出させる開口113とを有し、被処理基板の被処理面を露出させた状態で当接部で被処理基板を支持する支持部材を備え、当接部112には、被処理基板の端部に対向する位置に凹部14が設けてある。基板搬送装置は、これを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板ホルダー及び基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を支持する基板ホルダーは、被処理基板のセット時における衝撃や、セット後の搬送時における振動による衝撃で、基板受け部と被処理基板との接触する箇所において被処理基板に傷や割れが発生しやすく、これを抑制することが求められていた。特に、被処理基板を鉛直方向にたてた状態で保持するいわゆる縦型の基板ホルダーでは、このような問題は顕著であった。そこで、従来、縦型の基板ホルダーにおいては、被処理基板の下端の端面に接してこの端面で被処理基板を支える複数の基板受け部を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この基板受け部は、被処理基板側から下側に力を受けて変形し、かつ変形することにより上向きに力が働く弾性部を備えている。この弾性部を備えていることで、被処理基板のセット時における衝撃や、セット後の搬送時における振動による衝撃で、基板受け部と被処理基板との接触する箇所において被処理基板に傷や割れが発生することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−262539号公報(請求項1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような弾性部を設けるような構成では、部品点数が多く、コストが高くなってしまうという問題がある。また、この弾性部に成膜時のパーティクルが付着してしまい、所望の弾性力を得ることができず、被処理基板の傷や割れが発生するという問題が発生するという問題がある。
【0005】
なお、このような問題は、基板を床面に対して垂直に保持する基板ホルダーだけでなく、基板を水平に保持する基板ホルダーであっても、基板のセット時や搬送時に同様に発生する場合がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、基板のセット時や搬送時の衝撃により被処理基板に傷や割れが発生することを抑制できると共に、部品点数が少なく、パーティクルが付着しにくい基板ホルダー及びこれを用いた基板搬送装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板ホルダーは、被処理基板の被処理面側の外周部に当接する当接部と、該被処理基板の被処理面を露出させる開口とを有し、前記被処理基板の前記被処理面を露出させた状態で前記当接部で前記被処理基板を支持する支持部材を備え、前記当接部には、前記被処理基板の端部に対向する位置に凹部が設けてあることを特徴とする。本発明においては前記当接部には、前記被処理基板の端部に対向する位置に凹部が設けてあることで、基板のセット時や搬送時に、被処理基板の割れや欠けが発生しやすい端部が当接部に直接ぶつかることを抑制し、この結果、被処理基板への傷や割れを抑制している。
【0008】
前記凹部は、少なくとも前記開口側の開口縁部が曲面から構成されていることが好ましい。開口を設けたとしても、開口縁部が平面から構成されていると、基板のセット時や搬送時にこの部分と基板とが接触して割れや欠けが発生する可能性がある。そこで、開口縁部を面取りすることで、この基板の割れや欠けを効果的に抑制しうるように構成することが好ましい。
【0009】
前記凹部が、少なくとも前記被処理基板の各角部に対向する位置に形成されていることが好ましい。特に基板の角部において基板がセット時や搬送時に振動しやすく、割れや欠けが発生しやすいので、前記凹部が、前記開口の角部に対応する位置に形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明の基板搬送装置は、前記いずれかに記載の基板ホルダーと、該基板ホルダーを垂直に保持し搬送する搬送手段とを備えたことを特徴とする。前記いずれかの基板のセット時や搬送時に基板に割れや欠けが発生しにくい基板ホルダーを用いていることで、本発明の基板搬送装置も、基板に割れや欠けが発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】被処理基板を設置した場合の基板ホルダーの分解斜視図である。
【図2】図1のA−A’線での断面図である。
【図3】被処理基板を設置した基板ホルダーの(a)正面図及び(b)裏面図である。
【図4】固定部材の設置状態を示す(a)上面図及び(b)図4(a)でのB−B’線での断面図である。
【図5】凹部を説明するための(a)収容部材の模式的平面図、(b)基板収容時の(a)におけるC−C’線での断面図及び(c)凹部の拡大図である。
【図6】基板搬送装置の概略を示す斜視図である。
【図7】チャンバー設置時における基板搬送装置の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の基板ホルダー1について、図1〜3を用いて説明する。基板ホルダー1は、例えばSUS等から構成される略長方形の枠状の支持部材11を備える。支持部材11は、四方を囲う側壁部111を備える。また、支持部材11は、被処理基板Sの被処理面側の外周部に当接する当接部112と、被処理面を露出するように形成された開口113とを備える。当接部112は、側壁部111の一方面側に、側壁部111に対して垂直となるように設けられたフランジ部である。これらの側壁部111と当接部112とにより、図2に示すように被処理基板Sを収容する収容部114が画成されている。収容部114は、被処理基板Sを収容するものであり、収容部114に収容された被処理基板Sは、開口113からその被処理面が露出する。収容部114は、被処理基板Sを収容しやすいように、被処理基板Sよりもやや大きく構成されている。
【0013】
また、基板ホルダー1は、基板と同一形状の(本実施形態では略長方形状の)バックプレート12を備える。バックプレート12は、例えばSUS等から構成される板状部材であり、収容部114に、被処理基板S及びバックプレート12の順で収容される。
【0014】
基板ホルダー1は、支持部材11の他方面側(被処理基板Sの被処理面が露出する面とは反対側)に、図3(b)に示すように、支持部材11に被処理基板S及びバックプレート12を収容した状態でバックプレート12を支持部材11に固定する固定部材13を備える。固定部材13は、基板ホルダー1に、それぞれ所定の距離離間して設けられている。具体的には、バックプレート12の各辺において複数箇所を支持部材11に固定するように、固定部材13は、バックプレート12と、側壁部111の他方面側とに亘って、複数設けられている。被処理基板Sのセット時においては、被処理基板Sとバックプレート12とが支持部材11の収容部114に収容され、固定部材13によりバックプレート12が支持部材11に固定される。これにより、支持部材11の当接部112とバックプレート12との間に被処理基板Sが支持される。この状態で、支持部材11の開口113からは、バックプレート12と支持部材11とにより支持された被処理基板Sの被処理面が露出する。
【0015】
固定部材13について、以下、図4を用いて詳細に説明する。本実施形態では、固定部材13は、バックプレート12に設けられた挿入部131と、側壁部111に設けられ、挿入部131が挿入される挿入穴132が設けられた被挿入部133とからなる。
【0016】
挿入部131は、台部151と、台部151上に設けられたスライド部152とからなる。台部151は、バックプレート12に設けられた埋設用凹部121に埋設され、第1固定部材153aにより固定されている。スライド部152は、台部151側の押圧部154と、押圧部154に第2固定部材153bにより固定された嵌合部155とからなる。押圧部154は、被処理基板Sの中央部側(図中左側)の端部が上方に向かって曲折されている。また、嵌合部155は、第2固定部材153bにより長手方向の一端側(基板の中央側)のみ押圧部154に固定されている。嵌合部155は、その長手方向の他端側は固定されておらず、若干浮き上がっている。この嵌合部155の他端側の端部は、上面視において一端側に比べて幅狭となっている。そして、嵌合部155の他端側の最端部は、押圧部154の他端側の端部よりも若干長くなっており、押圧部154側に傾斜している。
【0017】
押圧部154は、中央付近に第1溝156を備える。嵌合部155は、この第1溝156に対向して連通する第2溝157を備える。第1溝156及び第2溝157には、第1ピン158及び第2ピン159が、第1溝156及び第2溝157の開口端部に係合して設けられている。
【0018】
また、被挿入部133は、長手方向の両端が第3固定部材153cにより支持部材11の側壁部111に固定されている。被挿入部133は、基板側のみ開口した挿入穴132が設けられており、断面視において逆L字状となっている。
【0019】
固定部材13による固定について説明する。押圧部154の上方に向かって曲折されている端部が押圧されることにより、押圧部154及び押圧部154に固定されている嵌合部155とは、第1ピン158及び第2ピン159をガイドとして、第1溝156及び第2溝157に沿って図中左側に移動する。即ち、スライド部152は、台部151上をスライドする。そして、基板中央側の第1溝156及び第2溝157の開口端部が第1ピン158に当接する。この時に、嵌合部155の他端側の端部は、図中点線で示すように、押圧部154の端部を覆うように台部151側に移動する。嵌合部155は、台部151側に曲折されているので、挿入穴132に挿入されやすく、挿入後は、弾性力により挿入穴132に嵌合し、固定される。このように挿入部131が被挿入部133の挿入穴132に挿入されて、固定される。
【0020】
なお、本実施形態では固定部材13は、上述したようなスライドして固定するものを示したがこれに限定されず、被処理基板S及びバックプレート12を挟んで挟持する挟持部材(クランプ部材)等でもよい。
【0021】
ところで、バックプレート12と被処理基板Sとを収容部114に収容する際に、被処理基板Sに割れや欠けが発生しやすいので、これを抑制する必要がある。即ち、図4(b)に示すように、被処理基板Sの縁部は、Rになるように面取りされている。これは、被処理基板Sの縁部が平面から構成されているもの、例えば断面視において直角になっていると、応力集中しやすく、また、この被処理基板Sには、縁部に元々マイクロクラックが存在していることがあるのでこれを減少させるためにこの縁部をグラインダー処理によりRになるように面取りして除去しているものである。しかし、このグラインダー処理を行った面の縁部に平面から構成される部分が残っており、セット時や搬送時の振動によりこの部分が当接部112にぶつかると、これにより被処理基板Sの割れや欠けが発生することがある。特に、本実施形態のように固定部材13がバックプレート12と支持部材11の全面に設けられているのではなく、所定の距離離間して複数設けられている場合には、固定部材13が設けられていない部分や、固定部材13が設けにくい被処理基板Sの角部での振動が大きくなり、この部分で被処理基板Sの割れや欠けが発生しやすい。
【0022】
このため、本実施形態では、図5(a)に示すように、収容部114の当接部112の被処理基板Sの角部に対向する位置には、凹部14が設けてある。これにより、固定部材13が設けられておらず、被処理基板Sの割れや欠けが発生しやすい被処理基板Sの角部でのグラインダー処理後の面の縁部が当接部112にぶつからないので、被処理基板Sの割れや欠けを抑制することができる。この場合に、新たに部材を設ける必要がないために、コストをかけることもない。また、新たに部材を設ける場合には、この部材にパーティクルが付着するのを抑制する必要があるが、本実施形態では、この凹部14は被処理基板Sにより覆われてしまうので、パーティクルが付着する虞もない。以下、図5を用いて詳細に説明する。
【0023】
図5(a)に示すように、凹部14は、当接部112の被処理基板S側の面の四隅に、即ち被処理基板Sを設置した場合に被処理基板Sの角部に対向する位置に形成されている。この凹部14は、図5(b)に示すように、上面視において直角に曲折したL字状部141と、L字状部141の外側の角部に設けられた円形部142とからなる。L字状部141は、被処理基板Sのセット時や搬送時の振動による被処理基板Sの割れや欠けを抑制するためのものである。即ち、被処理基板Sの角部は、固定部材により固定することができないために、被処理基板Sのセット時や搬送時の振動により、被処理基板Sの角部のグラインダー処理された面の縁部が当接部112に接触しすい。これにより、当該部分で、被処理基板Sの割れや欠けが発生しやすい。従って、上述した位置に凹部14を設けることで、被処理基板Sが当接部112に接触することがないので被処理基板Sの割れや欠けを抑制できる。
【0024】
また、L字状部141の開口の外側の角部が直角であると、被処理基板Sがずれて(回転して)しまった状態で支持部材11に収容されると、被処理基板Sの角部がL字状部141の開口の外側の角部に接触し、割れや欠けが発生してしまうことがある。そこで、本実施形態では、被処理基板Sの角部が接触する可能性がある部分について凹部である円形部142を形成している。これにより、被処理基板Sの角部が当接部112に接触することを抑制し、その結果、さらに被処理基板Sの割れや欠けを抑制している。
【0025】
また、図5(c)に示すように、凹部14は、凹部14の開口端部143が断面視において曲線状となるように、即ち凹部14の開口端部143が曲面で構成されている。これは、凹部14の開口端部が平面で構成されていると、被処理基板Sの被処理面がこの開口端部と接触すると割れや欠けが発生してしまうことがある。本実施形態では、凹部14の開口端部143を曲面から構成していることで、被処理基板Sの被処理面が、当接部112に接触したとしても、被処理基板Sの割れや欠けを抑制することができる。また、円形部142も開口端部を曲面から構成されるようにしてもよい。
【0026】
なお、本実施形態のように凹部14を設けるのではなく、樹脂などからなる緩衝材をこの凹部14の代わりに設けるとすれば、部品点数が増えるだけでなく、被処理基板Sに対して高温プロセスを行う場合に緩衝材が溶け出してしまうことがあるため、好ましくない場合も考えられる。従って、本実施形態のように基板の割れや欠けが発生しやすい位置に凹部14を設けることが好ましい。
【0027】
上述した実施形態では、凹部14は、L字状部141と、円形部142とから構成されているが、少なくとも、L字状部141を有していれば、被処理基板Sのグラインダー処理された面の縁部が当接部112に接触することを抑制できる。
【0028】
また、上述した実施形態では、被処理基板Sの割れや欠けが発生しやすい位置が被処理基板Sの各角部周辺であるので、この各角部周辺で被処理基板Sが当接部112に接触しないように、凹部14をL字状部141としているが、凹部14の形状はこの形状に限定されない。即ち、被処理基板Sの角部に対応する位置には、固定部材13が設けにくいため、この部分でセット時や搬送時の衝撃が大きくなりやすい。従って、当接部112の被処理基板Sの角部に対応する位置に凹部14を設けているが、これに限定されず、被処理基板Sのグラインダー処理された面の縁部のうち、割れや欠けが発生しやすい位置に対応して、当接部112に凹部14が形成されていればよい。例えば、凹部14を、当接部112の開口113の周囲全周に亘って設けてあってもよい。また、凹部14を、当接部112の開口113の周囲全周に亘って、破線状に設けてもよい。このように全周設けることで、予め基板のどの位置に割れや欠けが発生しやすいかを予測する必要がなく、被処理基板Sの割れや欠けを抑制することが可能である。また、被処理基板Sの角部周辺以外の位置から被処理基板Sの割れや欠けが発生することを抑制することも可能である。しかしながら、全周に亘って設けることで支持部材11の材質により強度が不足する場合がある。従って、本実施形態のように固定部材13との関係で特に被処理基板Sの割れや欠けが発生しやすい位置が特定できる場合には、凹部14は、被処理基板Sの割れや欠けが発生しやすい位置だけに設けることが好ましい。
【0029】
また、円形部142は、被処理基板Sが収容部114に収容される場合に被処理基板Sの角部が当接部112に接触しないように構成されていればよく、円形でなくてもよい。
【0030】
本実施形態では、支持部材11は、側壁部111を備えたが、支持部材11は、少なくとも当接部112と開口113とを備えていればよい。例えば、開口113が形成された板状の当接部112に、被処理基板Sを載置して、固定部材13により固定するように構成することも可能である。
【0031】
このような基板ホルダー1を備えた基板搬送装置2について、図6及び図7を用いて説明する。なお、図6は、基板搬送装置の概略を示す斜視図であり、図7は、チャンバー設置時における基板搬送装置の状態を示す斜視図である。
【0032】
基板搬送装置2は、基板に対して所定の処理を行うチャンバー内において、基板ホルダー1を垂直に、即ち被処理基板Sを垂直に保持した状態で搬送するものである。なお、本実施形態では、垂直には略垂直も含まれる。基板搬送装置2は、基板ホルダー1を吊り下げて被処理基板Sを垂直に保持した状態で搬送する搬送手段21を備える。基板ホルダー1は、支持部材11に、図示しない固定手段により固定された鉤状部116(図中では例として3つ)を備えている。この各鉤状部116を、搬送手段21の下面側に設けられたU字状の掛止部材211(図中では例として3つ)に引っ掛けることにより、基板ホルダー1は搬送手段21に接続される。
【0033】
搬送手段21は、その上面に長手方向に沿ってラック212が設けられている。図7に示すように、チャンバーには、図示しない駆動手段により駆動されて回転する駆動軸31と共に回転するピニオンギア32が設けられている。ラック212は、このピニオンギア32に係合するように構成されている。また、搬送手段21は、その側面に上部ローラー213(図中では例として3つ)を備える。この上部ローラー213は、図7に示すように、チャンバーに設けられた上部レールR1上に載置され、上部レールR1上を移動可能に構成されている。
【0034】
また、基板ホルダー1の下端側には、回転軸214(例として、図中では4つ)が回転自在に取付られると共に、回転軸214の他端側に下部ローラー215が設けられている。下部ローラー215は、回転軸214と共に回転する。下部ローラー215は、チャンバー内に設けられた一対の板状の下部レールR2で挟持されると共に、下部レールR2間を回転移動できるように構成されている。この下部ローラー215は駆動手段を備えておらず、上部の搬送手段21により基板ホルダー1が搬送される際に基板ホルダー1の下側を支持し、基板ホルダー1の搬送を補助するためのものである。
【0035】
搬送手段21による搬送について説明する。駆動手段によりピニオンギア32が例えば時計回りに回転駆動すると、搬送手段21のラック212がピニオンギア32に係合して、搬送手段21に動力が伝わる。そして、この動力が伝達されたことにより、搬送手段21は、上部レールR1上を上部ローラー213を介して図中左方向へ移動する。これにより、搬送手段21に吊り下げられた基板ホルダー1が図中左方向へ移動する。この場合に、基板ホルダー1の下側が、下部ローラー215が下部レールR2との間を回転移動することで、基板ホルダー1の下側が支持されるので、基板ホルダー1が安定して移動しやすい。このように、本実施形態においては、基板ホルダー1の上下を支持していることで、大型基板であっても簡易に、かつ安定して搬送することができる。
【0036】
かかる基板搬送装置2は、成膜装置内に成膜ガスを導入しDC電力を印加してプラズマを形成して成膜を行うプラズマCVD法を行う成膜装置に用いることができる。例えば、成膜室を含む複数の処理室からなる成膜装置に上部レールR1及び下部レールR2を設けて、基板ホルダー1を処理室間で移動させ、成膜室において停止させることにより成膜することができる。基板ホルダー1を上部レールR1及び下部レールR2を介して移動させる場合に、本実施形態では、凹部14が設けられていることで、被処理基板Sの割れや欠けが発生しにくい。
【0037】
上述した実施形態では、基板搬送装置としては、被処理基板Sを床面に対して垂直に保持する縦型の基板搬送装置を示したが、これに限定されない。例えば、被処理基板Sを床面に対して水平に保持する横型の基板搬送装置に基板ホルダー1を用いることも可能である。この場合であっても、固定部材13が離間して設けられている場合には、被処理基板Sの搬送の際に被処理基板Sの固定部材13間で被処理基板Sの割れや欠けが発生する場合があるので、本実施形態の基板ホルダー1を用いることで、これを抑制できる。
【0038】
また、基板搬送装置は、上述した実施形態では、DC電力を印加するプラズマCVD法による成膜装置にも用いることができるものを示したが、例えば、下部ローラー215を金属製として、下部レールR2を介して電流を被処理基板S側に印加できるように構成し、RF電極を印加するプラズマCVD法を行う成膜装置に用いてもよい。また、基板搬送装置は、成膜装置内にスパッタリングガスを導入してターゲットをスパッタリングして成膜を行うスパッタリング法を行う成膜装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 基板ホルダー
2 基板搬送装置
11 支持部材
12 バックプレート
13 固定部材
14 凹部
21 搬送手段
111 側壁部
112 当接部
113 開口
114 収容部
116 鉤状部
121 埋設用凹部
131 挿入部
132 挿入穴
133 被挿入部
141 字状部
142 円形部
143 開口端部
151 台部
152 スライド部
153a〜153c 固定部材
154 押圧部
155 嵌合部
211 掛止部材
212 ラック
213 上部ローラー
214 回転軸
215 下部ローラー
R1 上部レール
R2 下部レール
S 被処理基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板の被処理面側の外周部に当接する当接部と、該被処理基板の被処理面を露出させる開口とを有し、前記被処理基板の前記被処理面を露出させた状態で前記当接部で前記被処理基板を支持する支持部材を備え、
前記当接部には、前記被処理基板の端部に対向する位置に凹部が設けてあることを特徴とする基板ホルダー。
【請求項2】
前記凹部は、少なくとも前記開口側の開口縁部が曲面から構成されていることを特徴とする請求項1記載の基板ホルダー。
【請求項3】
前記凹部が、少なくとも前記被処理基板の各角部に対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の基板ホルダー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の基板ホルダーと、該基板ホルダーを垂直に保持し搬送する搬送手段とを備えたことを特徴とする基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−124348(P2011−124348A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279893(P2009−279893)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】