説明

基板保持装置、基板処理装置、基板処理方法、及び基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】基板の材質や表面の状態などの影響を受けることなく基板の保持状態の良否を正確に判断できるようにすること。
【解決手段】本発明では、基板(2)を保持するための基板保持手段(30)と、基板保持手段(30)で保持した基板(2)を押圧するための基板押圧手段(26)と、基板保持手段(30)で保持した基板(2)を検出するための基板検出手段(25)と、基板保持手段(30)、基板押圧手段(26)、及び基板検出手段(25)を制御するための制御手段(27)とを有し、制御手段(27)は、基板保持手段(30)で基板(2)を保持するとともに基板検出手段(25)で基板(2)を検出して初期値とし、その後、基板押圧手段(26)で基板(2)を押圧するとともに基板検出手段(25)で基板(2)を検出して比較値とし、初期値と比較値とを比較して基板保持手段(30)による基板(2)の保持状態の良否を判断することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を保持するための基板保持装置、基板を保持した状態で基板に各種の処理を施すための基板処理装置及び基板処理方法並びに基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体部品やフラットディスプレイなどを製造する場合には、各製造工程において半導体ウエハや液晶基板などの基板を基板搬送装置を用いて水平に保持した状態で搬送したり、基板処理装置を用いて基板を水平に保持した状態で洗浄やエッチングなどの各種の処理を施すようにしている。
【0003】
そして、基板搬送装置や基板処理装置では、複数の基板保持体を開閉可能に設け、複数の基板保持体で基板の端縁を挟持することで、基板を保持するようにしている。
【0004】
この基板搬送装置や基板処理装置では、基板が全ての基板保持体の正規位置に載置されずに一部の基板保持体の上部に載置されると、基板保持体で基板の端縁を挟持した際に基板の端縁が一部の基板保持体の上部に乗り上げられてしまい、基板が水平に保持されずに傾斜した状態となってしまう。そのため、基板保持体による基板の保持状態を基板検出手段で検出し、基板が良好に保持されていることを確認するようにしている。
【0005】
基板検出手段は、基板保持体で保持された基板の表面に向けて投光器からレーザー光を照射し、基板の表面での反射光の光量を受光器で検出し、その検出値に基づいて基板が傾斜せずに水平に良好に保持されているか否かを判断するようにしている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−229403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の基板搬送装置や基板処理装置における基板の状態を検出する基板検出手段では、受光器で検出した光量と予め設定した閾値とを比較して基板の状態を判別しているために、基板が基板保持体で良好に保持されている場合であっても、基板の材質や表面(反射面)の状態などの影響で基板の表面の反射率が低いと、それに伴って受光器による検出値も低くなってしまう。
【0008】
そのため、従来の基板搬送装置や基板処理装置では、基板が基板保持体で良好に保持されているにもかかわらず、基板の材質や表面の状態などの影響によって受光器で検出される光量が閾値よりも低くなってしまうと、基板が良好に保持されていないと誤った判断をしてしまい、基板搬送装置や基板処理装置の稼働率が低減してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明では、基板保持装置において、基板を保持するための基板保持手段と、前記基板保持手段で保持した基板を押圧するための基板押圧手段と、前記基板保持手段で保持した基板を検出するための基板検出手段と、前記基板保持手段、基板押圧手段、及び基板検出手段を制御するための制御手段とを有し、制御手段は、前記基板保持手段で基板を保持するとともに前記基板検出手段で基板の状態を検出して初期値とし、その後、前記基板押圧手段で基板を押圧するとともに前記基板検出手段で基板の状態を検出して比較値とし、前記初期値と比較値とを比較して前記基板保持手段による基板の保持状態の良否を判断することにした。
【0010】
また、前記基板押圧手段は、前記基板に気体を吹き付けることで基板を押圧するように構成することにした。
【0011】
また、前記基板保持手段は、基板の端縁を保持するための複数の基板保持体を有し、前記基板押圧手段は、前記各基板保持体の近傍に基板を押圧するための基板押圧機構を設けることにした。
【0012】
また、本発明では、基板に処理を施す基板処理装置において、基板を保持するための基板保持手段と、前記基板保持手段で保持した基板を押圧するための基板押圧手段と、前記基板保持手段で保持した基板を検出するための基板検出手段と、前記基板保持手段、基板押圧手段、及び基板検出手段を制御するための制御手段とを有し、制御手段は、前記基板保持手段で基板を保持するとともに前記基板検出手段で基板の状態を検出して初期値とし、その後、前記基板押圧手段で基板を押圧するとともに前記基板検出手段で基板の状態を検出して比較値とし、前記初期値と比較値とを比較して前記基板保持手段による基板の保持状態の良否を判断し、基板が良好に保持されている場合に基板に処理を施すことにした。
【0013】
また、前記基板押圧手段は、前記基板に気体を吹き付けることで基板を押圧するように構成することにした。
【0014】
また、前記基板保持手段は、基板の端縁を保持するための複数の基板保持体を有し、前記基板押圧手段は、前記各基板保持体の近傍に基板を押圧するための基板押圧機構を設けることにした。
【0015】
また、本発明では、基板を保持した状態で基板に処理を施す基板処理方法において、基板を保持しながら基板を検出して初期値とし、その後、前記基板を押圧しながら基板を検出して比較値とし、前記初期値と比較値とを比較して基板の保持状態の良否を判断し、基板が良好に保持されている場合に基板に処理を施すことにした。
【0016】
また、前記基板に気体を吹き付けることで前記基板を押圧することにした。
【0017】
また、前記基板の端縁を複数の基板保持体で保持するとともに、前記基板保持体の近傍で前記基板を押圧することにした。
【0018】
また、基板処理装置を用いて基板を保持した状態で基板に処理を施す基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、基板を保持しながら基板を検出して初期値とし、その後、前記基板を押圧しながら基板を検出して比較値とし、前記初期値と比較値とを比較して基板の保持状態の良否を判断し、基板が良好に保持されている場合に基板に処理を施すことにした。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、基板の材質や表面の状態などの影響によって基板が良好に保持されていないと誤った判断をしてしまうことが無くなり、基板の保持状態を正確に判断することができ、基板搬送装置や基板処理装置の稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】基板処理装置を示す平面図。
【図2】基板処理室を示す正面断面図。
【図3】同平面図。
【図4】基板保持手段及び基板押圧手段を示す正面拡大断面図。
【図5】同動作説明図。
【図6】基板処理方法を示す工程図。
【図7】光量の変化を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示すように、基板処理装置1は、前端部に基板2(ここでは、半導体ウエハ。)を複数枚(たとえば、25枚。)まとめてキャリア3で搬入及び搬出するための基板搬入出台4を形成するとともに、基板搬入出台4の後部にキャリア3に収容された基板2を搬送するための基板搬送ユニット5を形成し、基板搬送ユニット5の後部に基板2の洗浄処理やエッチング処理等を行うための基板処理ユニット6を形成している。
【0023】
基板搬入出台4は、4個のキャリア3を基板搬送ユニット5の前壁7に密着させた状態で左右に間隔をあけて載置できるように構成している。
【0024】
基板搬送ユニット5は、前側に基板搬送装置8を収容した搬送室9を形成するとともに、後側に基板受渡台10を収容した基板受渡室11を形成している。
【0025】
そして、基板搬送ユニット5は、基板搬送装置8を用いて基板搬入出台4に載置されたいずれか1個のキャリア3と基板受渡台10との間で基板2を搬送するようにしている。
【0026】
基板処理ユニット6は、中央部に前後に伸延する基板搬送室12を形成し、基板搬送室12の内部に基板搬送装置13を収容している。
【0027】
また、基板処理ユニット6は、基板搬送室12の左側に第1〜第4の基板処理室14〜17を前後に並べて形成するとともに、基板搬送室12の右側に第5〜第8の基板処理室18〜21を前後に並べて形成している。
【0028】
そして、基板処理ユニット6は、基板搬送装置13を用いて基板搬送ユニット5の基板受渡室11と各基板処理室14〜21との間で基板2を1枚ずつ水平に保持した状態で搬送するとともに、各基板処理室14〜21で基板2を1枚ずつ処理するようにしている。
【0029】
各基板処理室14〜21は、同様の構成をしており、ここでは、代表して第1の基板処理室14の構成について説明する。
【0030】
基板処理室14は、図2〜図5に示すように、基板2を水平に保持するとともに回転させるための基板回転手段22と、基板2の表面に処理液を供給するための処理液供給手段23と、基板2の表面に供給した処理液を回収する処理液回収手段24と、基板2の状態を検出するための基板検出手段25と、基板2を上方へ向けて押圧するための基板押圧手段26とを有し、これらの基板回転手段22と処理液供給手段23と基板検出手段25と基板押圧手段26を制御手段27で制御するように構成している。なお、制御手段27は、基板搬送装置8,13など基板処理装置1の全体を制御するようにしている。
【0031】
基板回転手段22は、中空円筒状の回転軸28の上端部に円板状のテーブル29を水平に取付けるとともに、テーブル29に基板2を水平に保持するための基板保持手段30を設けている。回転軸28には、回転駆動機構31を接続しており、回転駆動機構31によって回転軸28及びテーブル29を回転させ、テーブル29に基板保持手段30で保持した基板2を回転させるようにしている。この回転駆動機構31は、制御手段27に接続しており、制御手段27で回転制御するようにしている。
【0032】
基板保持手段30は、テーブル29の周縁部に基板2の外周端縁を挟持して基板2を水平に保持する複数個(ここでは、3個)の基板保持体32を円周方向に間隔をあけて取付けている。基板保持体32は、テーブル29の下面に形成したブラケット33にアーム部34の基端部を枢軸35を介して上下回動自在に取付けるとともに、テーブル29の下面とアーム部34の上面との間にアーム部34を下方へ向けて付勢するスプリング36を介設し、アーム部34の基端側上部にテーブル29を貫通する保持部37を取付け、アーム部34の先端側下部に駆動ロッド38を間隔をあけて配置している。駆動ロッド38には、昇降機構39を接続しており、昇降機構39によって駆動ロッド38を昇降させ、それに連動して基板保持体32が開閉して、基板保持体32の閉塞時に保持部37が基板2の外周端縁を挟持して基板2を保持するようにしている。この昇降機構39は、制御手段27に接続しており、制御手段27で昇降制御(基板保持体32の開閉制御)するようにしている。
【0033】
また、基板回転手段22は、回転軸28の中空部に基板2を昇降させるための昇降ロッド40を昇降自在に設けるとともに、昇降ロッド40の上端部に円板状の昇降台41を取付け、昇降台41の上面に係止ピン42を取付けている。昇降ロッド40には、昇降機構43を接続しており、昇降機構43によって昇降ロッド40及び昇降台41を昇降させ、係止ピン42で係止した基板2を昇降させるようにしている。この昇降機構43は、制御手段27に接続しており、制御手段27で昇降制御するようにしている。
【0034】
処理液供給手段23は、テーブル29よりも上方にアーム44を水平移動可能に配置し、アーム44の先端部にノズル45を取付けている。アーム44には、移動機構46を接続しており、移動機構46によってノズル45を基板2の外方の退避位置と基板2の中央上方の開始位置との間で移動させるようにしている。この移動機構46は、制御手段27に接続しており、制御手段27で移動制御するようにしている。
【0035】
また、処理液供給手段23は、処理液(洗浄液やリンス液やエッチング液など)を供給するための処理液供給源47にノズル45を流量調整器48と供給流路49を介して接続しており、流量調整器48によってノズル45に供給する処理液の流量を調整するようにしている。この流量調整器48は、制御手段27に接続しており、制御手段27で開閉制御及び流量制御するようにしている。
【0036】
処理液回収手段24は、テーブル29の上部に環状のカバー50を支柱51を介して取付けるとともに、テーブル29の周囲に上方を開口させるとともに図示しない排液管に接続させたカップ52を配置し、テーブル29に載置した基板2をカバー50及びカップ52で囲んで処理液の飛散を防止するとともに処理液の回収をするようにしている。
【0037】
基板検出手段25は、テーブル29の一側方に支柱53を介して投光器54を基板2の上面中央部に向けて取付けるとともに、テーブル29の他側方に支柱55を介して受光器56を基板2の上面中央部に向けて取付けている。投光器54は、レーザー光を基板2の上面に向けて照射するものであり、駆動機構57を介して制御手段27に接続しており、受光器56は、基板2の上面で反射したレーザー光(反射光)の光量を検出するものであり、駆動機構58を介して制御手段27に接続している。
【0038】
そして、投光器54及び受光器56は、制御手段27で駆動機構57,58を駆動制御することで、投光器54から基板2に向けてレーザー光を照射し、受光器56でその反射光の光量を検出し、検出値から基板保持手段30で保持された基板2の状態を検出するようにしている。
【0039】
なお、基板検出手段25は、基板保持手段30で保持された基板2の状態を検出できればよく、レーザー光を用いた場合に限定されず、基板2の画像を撮影して基板2の状態を検出する画像認識装置などを用いることもできる。
【0040】
基板押圧手段26は、テーブル29の下方であって、かつ、基板回転手段22で基板2を停止させた際に基板保持手段30の各基板保持体32が停止する位置の近傍に複数個(ここでは、3個)の基板押圧機構としてのノズル59を上方の基板2の下面に向けて配置し、ノズル59に押圧ガス(空気又は窒素等の不活性ガス)を供給するための押圧ガス供給源60を開閉弁61と供給流路62を介して接続している。この開閉弁61は、制御手段27に接続しており、制御手段27で開閉制御するようにしている。
【0041】
そして、基板押圧手段26は、制御手段27で開閉弁61を開放することによってノズル59からテーブル29に形成した貫通孔63を介して基板2の下面に向けて押圧ガスを噴射し、押圧ガスの噴射圧力で基板2を上方へ向けて押圧するようにしている。なお、制御手段27は、基板回転手段22を制御して、テーブル29の停止時にテーブル29の貫通孔63をノズル59の直上方に位置させるようにしている。
【0042】
なお、基板押圧手段26は、基板保持手段30で保持した基板2を押圧できればよく、ガスを用いた場合に限定されず、機械的に基板2に直接接触して基板2を押圧するようにしてもよい。ガスを用いて非接触で基板2を押圧するようにした場合には、基板2を傷付けることなく基板2を押圧することができる。また、基板押圧手段26は、基板保持手段30の各基板保持体32の近傍にノズル59を配置して複数個所で分散して基板2を押圧することで、ノズル59から基板2に向けて噴射する押圧ガスの噴射圧力を低くすることができ、基板2に及ぼす外力を低減することができて基板2のそり等の発生を防止することができる。また、基板押圧手段26は、一箇所で集中して基板2を押圧するようにしてもよく、たとえば、基板回転手段22の昇降台41の中央から基板2の下面中央に向けて押圧ガスを噴射して基板2を押圧するようにしてもよい。この場合、基板2を乾燥させるためのガスなどの吐出口を昇降台41に形成し、乾燥用のガスを押圧ガスとして兼用することもできる。
【0043】
基板処理装置1は、以上に説明したように構成しており、制御手段27(コンピュータ)で読み取り可能な記録媒体64に記録した基板処理プログラムにしたがって各基板処理室14〜21で基板2を処理するようにしている。なお、記録媒体64は、基板処理プログラム等の各種プログラムを記録できる媒体であればよく、ROMやRAMなどの半導体メモリ型の記録媒体であってもハードディスクやCD−ROMなどのディスク型の記録媒体であってもよい。
【0044】
上記基板処理装置1では、基板処理プログラムによって図6に示す工程に従って以下に説明するようにして基板2の処理を行うようにしている。なお、以下の説明では、代表して基板処理室14での基板2の処理について説明するが、他の基板処理室15〜21でも同様の処理を行う。
【0045】
まず、基板処理プログラムは、基板搬送装置13から基板2を基板処理室14の基板回転手段22で受取る基板受取工程を実行する。
【0046】
この基板受取工程において基板処理プログラムは、制御手段27によって基板回転手段22の昇降機構43を制御して昇降ロッド40及び昇降台41をテーブル29よりも上方に上昇させて、基板搬送装置13から基板2を受取る。
【0047】
その際に、基板処理プログラムは、図5(a)に示すように、制御手段27によって基板保持手段30の昇降機構39を制御して駆動ロッド38を降下させて、基板保持体32をスプリング36の付勢力で閉じた状態にしている。
【0048】
次に、基板処理プログラムは、基板2を基板保持手段30の上部に載置する基板載置工程を実行する。
【0049】
この基板載置工程において基板処理プログラムは、制御手段27によって基板回転手段22の昇降機構43を制御して昇降ロッド40及び昇降台41を降下させて、基板2を基板保持手段30の上部に載置する。
【0050】
その際に、基板処理プログラムは、図5(b)に示すように、制御手段27によって基板保持手段30の昇降機構39を制御して駆動ロッド38を所定位置まで上昇させて、基板保持体32をスプリング36の付勢力に抗して開いた状態にしている。
【0051】
ここで、基板2の位置が所定の範囲内の場合には、基板2は、図5(b)中で実線で示すように基板保持体32の保持部37の所定位置に載置されるが、基板2の位置が所定の範囲からずれている場合には、基板2は、図5(b)中で一点鎖線で示すように基板保持体32の保持部37の上部に載置されてしまう。
【0052】
次に、基板処理プログラムは、基板2を基板保持手段30で保持する基板保持工程を実行する。
【0053】
この基板保持工程において基板処理プログラムは、図5(c)に示すように、制御手段27によって基板保持手段30の昇降機構39を制御して駆動ロッド38を降下させて、基板保持体32をスプリング36の付勢力で閉じた状態にする。
【0054】
その際に、先の基板載置工程で基板2が基板保持体32の保持部37の所定位置に載置された場合には、基板2は、図5(c)中で実線で示すように基板2の端縁が基板保持体32の保持部37で良好に挟持されて保持されるが、基板載置工程で基板2が基板保持体32の保持部37の上部に載置された場合には、基板2は、図5(c)中で一点鎖線で示すように基板2の端縁が基板保持体32の保持部37の上部に乗り上げた状態となって良好に保持されなくなる。
【0055】
この基板保持工程に引き続き(基板保持工程で基板2を保持した状態のまま)、基板処理プログラムは、基板2の状態を基板検出手段25で検出し、その検出値を初期値とする初期値検出工程を実行する。
【0056】
この初期値検出工程において基板処理プログラムは、制御手段27によって基板検出手段25の駆動機構57,58を制御して、投光器54から基板2に向けてレーザー光を照射するとともに、受光器56でその反射光の光量を計測し(図7参照。)、その計測値を初期値として記憶するようにしている。
【0057】
次に、基板処理プログラムは、基板2を基板押圧手段26で押圧する基板押圧工程を実行する。
【0058】
この基板押圧工程において基板処理プログラムは、図5(d)に示すように、制御手段27によって基板押圧手段26の開閉弁61を制御して開放状態としてノズル59から押圧ガスを基板2の下面に向けて噴射し、押圧ガスの噴射圧力で基板2を上方へ向けて押圧するようにしている。
【0059】
その際に、先の基板保持工程で基板2が基板保持手段30で良好に保持されている場合には、図5(d)中で実線で示すように基板2が基板押圧手段26で上方に押圧されても基板2が上方へ移動してしまうことがないが、基板保持工程で基板2が基板保持手段30で良好に保持されていない場合には、図5(d)中で一点鎖線と二点鎖線で示すように基板2が基板押圧手段26で上方に押圧されると基板2が上方へ移動してしまう。
【0060】
この基板押圧工程に引き続き(基板押圧工程で基板2を押圧した状態のまま)、基板処理プログラムは、再び基板2の状態を基板検出手段25で検出し、その検出値を比較値とする比較値検出工程を実行する。
【0061】
この比較値検出工程において基板処理プログラムは、制御手段27によって基板検出手段25の駆動機構57,58を制御して、投光器54から基板2に向けてレーザー光を照射するとともに、受光器56でその反射光の光量を計測し(図7参照。)、その計測値を比較値として記憶するようにしている。
【0062】
次に、基板処理プログラムは、基板2の保持状態の良否を判断する良否判断工程を実行する。
【0063】
この良否判断工程において基板処理プログラムは、制御手段27によって初期値検出工程で検出した初期値と比較値検出工程で検出した比較値とを比較する。そして、初期値と比較値との差が予め設定した値よりも小さい場合には、基板2が基板保持手段30で良好に保持されていると判断して、その後の基板2の処理を続行する。なお、受光器56で受光される反射光の光量は絶えずふらついているため予め設定した範囲内でふらついていても基板2が良好に保持されていると判断するようにしている。一方、初期値と比較値との差が予め設定した値よりも大きい場合には、基板2が基板保持手段30で良好に保持されていないと判断して、その後の基板2の処理を中断するとともに、オペレーターに異常発生を知らせる。
【0064】
これは、図7に模式的に示すように、基板2が基板保持手段30で良好に保持されている場合には、基板押圧工程で基板2を上方に押圧しても基板2が上方へ移動してしまうことがなく、初期値と比較値との間に差がほとんど生じないが、基板2が基板保持手段30で良好に保持されていない場合には、基板押圧工程で基板2を上方に押圧すると基板2が上方へ移動してしまい、受光器56で受光される反射光の光量が下がるので、初期値に比べて比較値が小さくなって初期値と比較値との間に差が生じることになるため、初期値と比較値との差から基板2が良好に保持されているか否かを判断することができる。
【0065】
以上に説明したように、上記基板処理装置1では、基板2を保持しながら基板2の状態を検出して初期値とし、その後、基板2を押圧しながら基板2の状態を検出して比較値とし、初期値と比較値とを比較して基板2の保持状態の良否を判断するようにしている。
【0066】
そのため上記基板処理装置1では、基板2の材質や表面の状態などの影響を受けることなく基板2の保持状態の良否を判断することができ、基板2の保持状態を正確に判断することができ、基板処理装置1でのスループットを向上させることができる。
【0067】
なお、以上の説明では、本発明を基板処理装置1の基板処理室14〜21において基板2を保持するために用いられる基板保持装置に適用した場合について説明したが、本発明は、基板処理装置1の搬送室9の基板搬送装置8や基板搬送室12の基板搬送装置13において基板2を保持するために用いられる基板保持装置にも適用することができ、また、単独で基板2を搬送する基板搬送装置などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 基板処理装置 2 基板
3 キャリア 4 基板搬入出台
5 基板搬送ユニット 6 基板処理ユニット
7 前壁 8 基板搬送装置
9 搬送室 10 基板受渡台
11 基板受渡室 12 基板搬送室
13 基板搬送装置 14〜21 基板処理室
22 基板回転手段 23 処理液供給手段
24 処理液回収手段 25 基板検出手段
26 基板押圧手段 27 制御手段
28 回転軸 29 テーブル
30 基板保持手段 31 回転駆動機構
32 基板保持体 33 ブラケット
34 アーム部 35 枢軸
36 スプリング 37 保持部
38 駆動ロッド 39 昇降機構
40 昇降ロッド 41 昇降台
42 係止ピン 43 昇降機構
44 アーム 45 ノズル
46 移動機構 47 処理液供給源
48 流量調整器 49 供給流路
50 カバー 51 支柱
52 カップ 53 支柱
54 投光器 55 支柱
56 受光器 57 駆動機構
58 駆動機構 59 ノズル
60 押圧ガス供給源 61 開閉弁
62 供給流路 63 貫通孔
64 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するための基板保持手段と、
前記基板保持手段で保持した基板を押圧するための基板押圧手段と、
前記基板保持手段で保持した基板を検出するための基板検出手段と、
前記基板保持手段、基板押圧手段、及び基板検出手段を制御するための制御手段と、
を有し、
制御手段は、前記基板保持手段で基板を保持するとともに前記基板検出手段で基板の状態を検出して初期値とし、その後、前記基板押圧手段で基板を押圧するとともに前記基板検出手段で基板の状態を検出して比較値とし、前記初期値と比較値とを比較して前記基板保持手段による基板の保持状態の良否を判断することを特徴とする基板保持装置。
【請求項2】
前記基板押圧手段は、前記基板に気体を吹き付けることで基板を押圧するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
【請求項3】
前記基板保持手段は、基板の端縁を保持するための複数の基板保持体を有し、前記基板押圧手段は、前記各基板保持体の近傍に基板を押圧するための基板押圧機構を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板保持装置。
【請求項4】
基板に処理を施す基板処理装置において、
基板を保持するための基板保持手段と、
前記基板保持手段で保持した基板を押圧するための基板押圧手段と、
前記基板保持手段で保持した基板を検出するための基板検出手段と、
前記基板保持手段、基板押圧手段、及び基板検出手段を制御するための制御手段と、
を有し、
制御手段は、前記基板保持手段で基板を保持するとともに前記基板検出手段で基板の状態を検出して初期値とし、その後、前記基板押圧手段で基板を押圧するとともに前記基板検出手段で基板の状態を検出して比較値とし、前記初期値と比較値とを比較して前記基板保持手段による基板の保持状態の良否を判断し、基板が良好に保持されている場合に基板に処理を施すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
前記基板押圧手段は、前記基板に気体を吹き付けることで基板を押圧するように構成したことを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板保持手段は、基板の端縁を保持するための複数の基板保持体を有し、前記基板押圧手段は、前記各基板保持体の近傍に基板を押圧するための基板押圧機構を設けたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板を保持した状態で基板に処理を施す基板処理方法において、
基板を保持しながら基板を検出して初期値とし、その後、前記基板を押圧しながら基板を検出して比較値とし、前記初期値と比較値とを比較して基板の保持状態の良否を判断し、基板が良好に保持されている場合に基板に処理を施すことを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
前記基板に気体を吹き付けることで前記基板を押圧することを特徴とする請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記基板の端縁を複数の基板保持体で保持するとともに、前記基板保持体の近傍で前記基板を押圧することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
基板処理装置を用いて基板を保持した状態で基板に処理を施す基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体において、
基板を保持しながら基板を検出して初期値とし、その後、前記基板を押圧しながら基板を検出して比較値とし、前記初期値と比較値とを比較して基板の保持状態の良否を判断し、基板が良好に保持されている場合に基板に処理を施すことを特徴とする基板処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−222240(P2012−222240A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88418(P2011−88418)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】