説明

基板保持装置

【課題】基板を正確に位置合わせして保持する。保持を開放するときの衝撃を緩和する。
【解決手段】スピンチャック1は、ウエハWの周縁部の異なる位置にそれぞれ当接してウエハWほぼ水平姿勢に保持)する3個の位置決め保持部材F1〜F3および3個の補助保持部材S1〜S3を備えている。位置決め保持部材F1〜F3は第1動作変換機構FT1によって連動して動作させられ、補助保持部材S1〜S3は第2動作変換機構FT2によって連動して動作させられる。ウエハWを保持するとき、まず位置決め保持部材F1〜F3によってウエハWを位置決めして保持し、その後に補助保持部材S1〜S3によってウエハWを補助的に保持する。ウエハWの保持を開放するとき、まず、補助保持部材S1〜S3による保持を解除し、その後に位置決め保持部材F1〜F3による保持を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を保持する基板保持装置に関する。保持対象の基板の例としては、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などを挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、基板に対して処理液等による処理を施すための基板処理装置が用いられる。基板を一枚ずつ処理する枚葉型の基板処理装置には、基板を保持して回転するスピンチャックが備えられており、このスピンチャックに基板を保持させて回転させる一方で、その基板に対して処理液などを供給することにより、基板処理が行われる。
【0003】
スピンチャックは、円盤状のスピンベースと、このスピンベースの周縁部に設けられた複数の挟持部材と、この複数の挟持部材を作動させる挟持部材駆動機構とを含む。たとえば、ほぼ円形の基板である半導体ウエハの保持に適用されるスピンチャックでは、6個の挟持部材がスピンベースの周縁部に等間隔で設けられ、これらの6個の挟持部材が協働して半導体ウエハを挟持する。
【0004】
直径約20センチメートルのウエハが主流であった従前の基板処理装置に備えられていたスピンチャックのなかには、3個の挟持部材によってウエハを挟持するものもあったが、直径約30センチメートル以上の大口径ウエハを取り扱う必要がある昨今の基板処理装置では、6個の挟持部材を備えるのが通常である。これは、大口径ウエハを3個の挟持部材で挟持すると、基板周縁部に無視できない撓みが生じ、基板保持が不安定になるだけでなく、基板表面における処理むらが生じるおそれがあるからである。
【0005】
挟持部材は、たとえば、ウエハ下面の周縁部に当接するウエハ支持部と、ウエハの周端面に当接する端面当接部とを有している。端面当接部は、たとえば、側面視においてウエハ端面に向かって開いた横転V字形の微少な保持溝を有しており、この保持溝にウエハ周端面を受け入れて保持する構成となっている。保持対象のウエハはウエハ支持部上に一旦置かれ、その後に、端面当接部がウエハの周端面に当接するように移動し、他の挟持部材の端面当接部と協働してウエハを保持する。このとき、端面当接部は、ウエハ周縁部を若干持ち上げ、これにより、ウエハ周縁部はウエハ支持部から微少距離だけ上方に離間した位置で保持されることになる。端面当接部がウエハ周端面から離間してウエハの保持を開放するときには、ウエハの周縁部が自重により下降して、ウエハ支持部上に着地する。
【0006】
基板搬送ロボットによって搬入されるウエハをスピンチャックに保持させるとき、および処理済みのウエハを払い出すためにスピンチャックによるウエハの保持を開放するときは、いずれも、6個の挟持部材が同時に駆動される。
各挟持部材は、それぞれ、ばねによって保持位置に向けて付勢されている。したがって、挟持部材駆動機構は、ウエハの保持を開放すべきときには、ばね力に抗して挟持部材を開放位置へと移動させる駆動力を発生し、ウエハを保持すべきときには、挟持部材への外力を取り除いて、ばね力によって挟持部材を保持位置へと導く。このばね力によって、ウエハが保持されることになる。
【特許文献1】特開2004−111902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板搬送ロボットがスピンチャックにウエハを搬入して、挟持部材のウエハ支持部にウエハを載置した状態では、ウエハの中心とスピンチャックの回転中心とが一致していることは稀である。したがって、通常、ウエハは、偏心状態でスピンチャックに載置された状態となる。この偏心状態のウエハを6個の挟持部材で同時に挟持すると、ウエハは、その偏心状態がほとんど矯正されることなく保持されてしまう。これは、最初にウエハ周端面に当接した挟持部材がウエハの位置を矯正するよりも早く他の挟持部材がウエハの周端面に当接して、ウエハ位置の矯正を阻害するからであると推測される。6個の端面当接部がウエハを偏心させない位置で挟持するように調整できれば可能であるが、調整に時間を要し、治具等を使用しても複雑な調整を必要とする。
【0008】
また、個々の部品の加工精度の限界、組立精度の限界、およびばね定数のばらつきのために、6個の挟持部材の端面当接部を等しい力でウエハ周端面に当接させることは、実際上不可能である。以上より、ウエハの中心をスピンチャックの回転中心に正確に(要求精度範囲内で)一致させることができない。
このように、ウエハが偏心した状態でスピンチャックを回転させると、ウエハが大口径であればあるほど、大きな遠心力が発生し、ウエハの保持が不安定になるおそれがある。
【0009】
さらに、スピンチャックからウエハを開放するときにも、ウエハが偏心した状態となるので、基板搬送ロボットは、偏心した状態のウエハを受け取ることになる。そのため、基板の受け渡し時に、ウエハが落下するおそれがある。
また、6個の挟持部材によるウエハの保持を同時に開放すると、ウエハ支持部から上方に離間した状態で保持されていたウエハは、ウエハ支持部まで一気に落下する。この落下時の衝撃により、パーティクルが生じてウエハを汚染したり、ウエハがスピンチャックから落下したり、ウエハに欠けが生じたりするおそれがある。
【0010】
そこで、この発明の一つの目的は、基板を正確に位置合わせして保持することができる基板保持装置を提供することである。
また、この発明の他の目的は、基板の保持を開放するときの衝撃を緩和することができる基板保持装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、簡単な構成で基板を正確に位置合わせして保持することができる基板保持装置を提供することである。
【0011】
この発明のさらに他の目的は、簡単な構成で、基板の保持を開放するときの衝撃を緩和することができる基板保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)の縁部の異なる位置にそれぞれ当接し、協働して基板を保持(たとえばほぼ水平姿勢に保持)する少なくとも4個の保持部材(F1〜F3,S1〜S3)と、基板の保持および開放の際に、前記少なくとも4個の保持部材を駆動する保持部材駆動手段(FT1,FT2,51;FT1,FT2,M1,M2,161,162,168,178,181,182)とを含み、前記少なくとも4個の保持部材は、それぞれ少なくとも1つの保持部材を含む複数のグループ(F,S)に分類されており、前記保持部材駆動手段は、基板を保持または開放する際に、各グループの保持部材を他の少なくとも1つのグループの保持部材からタイミングをずらして駆動させるものである、基板保持装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0013】
この構成によれば、基板を保持するとき、または基板の保持を開放するときに、複数のグループの保持部材がタイミングをずらして駆動される。基板を保持するときにタイミングをずらすようにすれば、最初に基板の縁部に当接する保持部材のグループによって基板位置が矯正された後に、残りの保持部材が基板の縁部に当接して基板を保持するようになる。その結果、基板を正確に位置合わせして保持することができる。また、基板の保持を開放するときにタイミングをずらすようにすれば、基板の保持を段階的に解除することができるので、基板が一気に落下するようなことがなく、基板保持の開放時における衝撃を緩和することができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、前記少なくとも4個の保持部材は、基板の周端面の異なる位置にそれぞれ当接可能に構成されており、前記複数のグループは、基板を位置決めして保持可能な3個の位置決め保持部材からなる第1グループ(F)と、当該3個の位置決め保持部材以外の保持部材からなる第2グループ(S)とを含み、前記保持部材駆動手段は、基板を保持するに際して、前記第1グループを構成する前記3個の位置決め保持部材(好ましくは第1グループの位置決め保持部材のみ)によって基板を保持し、その後に、前記第2グループの保持部材を前記3個の位置決め保持部材によって保持されている基板に当接させるものである、請求項1記載の基板保持装置である。
【0015】
この構成によれば、基板を保持する際に、まず、3個の位置決め保持部材によって、3方向から基板が挟持される。これにより、基板が位置決めされた状態で保持され、その後に、第2グループの保持部材によって基板が保持される。こうして、基板を正確に位置決めした状態で、4箇所以上で基板の縁部を保持できる。この場合、3個の位置決め保持部材によって基板位置が矯正されるので、この3個の位置決め保持部材の構成部品の加工精度および組立精度等によって基板保持位置の精度が決まることになる。3個の位置決め保持部材の加工精度等を合わせ込むのは、4個以上(たとえば6個)の保持部材間の加工精度等を合わせ込むのに比較して格段に容易である。したがって、この発明の構成によって、要求精度(たとえば、±0.3mm以下)内で基板を位置合わせして保持することができる。
【0016】
請求項3記載の発明は、前記保持部材駆動手段は、基板の保持を開放するに際して、前記第2グループの保持部材を基板から離間させ、その後に、前記第1グループを構成する3個の位置決め保持部材を基板から離間させるものである、請求項2記載の基板保持装置である。
また、請求項4の発明は、前記少なくとも4個の保持部材は、基板の周端面の異なる位置にそれぞれ当接可能に構成されており、前記複数のグループは、基板を位置決めして保持可能な3個の位置決め保持部材からなる第1グループ(F)と、当該3個の位置決め保持部材以外の保持部材からなる第2グループ(S)とを含み、前記保持部材駆動手段は、前記少なくとも4個の保持部材によって保持されている基板を開放するに際して、前記第2グループの保持部材を基板から離間させ、その後に、前記第1グループを構成する3個の位置決め保持部材を基板から離間させるものである、請求項1記載の基板保持装置である。
【0017】
これらの請求項の発明によれば、位置決め保持部材以外の保持部材による基板保持を開放した後に、位置決め保持部材による保持を開放(最後に開放)するようになっているので、位置決め保持部材によって位置決めされた正確な位置に基板が配置されている状態で、基板の保持を解除できる。これにより、その後に、基板搬送ロボットのハンド等によって基板を搬出したりするときに、基板の落下等の搬送不良が生じることを抑制または防止できる。
【0018】
請求項5記載の発明は、前記少なくとも4個の保持部材は、基板に当接する際に基板を持ち上げながら保持位置に移動し、基板から離間する際に基板の自重による下降を許容しながら開放位置に移動するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板保持装置である。
この構成によれば、基板を保持するときに複数の保持部材の駆動タイミングをずらすようにすれば、基板の縁部の上昇タイミングが各部でずれるので、基板を徐々に持ち上げることができ、基板保持の際の衝撃を緩和できる。また、基板を開放するときに複数の保持部材の駆動タイミングをずらすようにすれば、基板の縁部の下降タイミングが各部でずれるので、基板が一気に落下するようなことがなく、基板保持の開放時における衝撃を緩和することができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、前記保持部材駆動手段は、個々のグループの保持部材にそれぞれ連結された複数の作動部材(34,44)と、この複数の作動部材を順に作動させる順次作動手段(51;M1,M2,161,162,168,178,181,182)とを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板保持装置である。この構成によれば、複数の作動部材を順に作動させることによって、複数の保持部材をグループ間で時間間隔を開けて作動させることができる。
【0020】
請求項7記載の発明は、前記複数の作動部材は、保持部材が基板を保持している状態に対応した保持位置と、保持部材が基板から離間している状態に対応した開放位置との間で変位可能に設けられており、前記順次作動手段(51)は、前記作動部材を保持位置と開放位置との間で変位させるものであり、個々のグループの作動部材に共通に駆動力を与えることができる駆動力伝達部材(52)を含み、前記駆動力伝達部材と複数のグループの各作動部材との係合または係合解除が時間間隔を開けて生じるようになっている、請求項6記載の基板保持装置である。
【0021】
この構成によれば、駆動力伝達部材を駆動することによって、作動部材が時間間隔を開けて作動し、それに応じて、複数の保持部材はグループ間で時間間隔を開けて作動することになる。こうして、駆動力伝達部材に駆動力を与える単一の駆動源(59)を用いて、複数の保持部材をグループ毎にタイミングをずらして駆動することができる。これにより、簡単な構成で、基板を正確に位置合わせして保持したり、基板保持の開放時における基板への衝撃を緩和したりすることができる。
【0022】
請求項8記載の発明は、前記駆動力伝達部材と前記複数の作動部材とが係合解除状態から係合状態に至るまでの前記駆動力伝達部材のストロークが、前記作動部材毎に異なっている、請求項7記載の基板保持装置である。この構成により、複数の作動部材をタイミングをずらして駆動することができる。
請求項9記載の発明は、前記少なくとも4個の保持部材を支持する回転ベース(21)と、この回転ベースを回転駆動する回転駆動機構(2)と、前記回転駆動機構および前記保持部材駆動手段を制御し、前記回転駆動機構を停止して前記回転ベースの回転を停止した状態で、前記保持部材駆動手段を作動させる制御手段(100)とをさら含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板保持装置である。
【0023】
この構成により、スピンベースの回転を停止した状態で基板を正確に位置決めして保持し、その後にスピンベースを回転して基板を回転することができる。基板が正確に位置決めされることにより、基板の重心とスピンベースの回転中心とを高精度に一致させることができるので、基板に働く遠心力を最小限に抑制することができ、回転中における基板の保持を安定化させることができる。一方、スピンベースの回転を停止した状態で、基板の落下に伴う衝撃を緩和しつつ、基板の保持を開放することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図解図である。この基板処理装置は、ほぼ円形の基板である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wの裏面に形成された薄膜とウエハWの表面の周縁部および端面に形成されている薄膜を同時に除去することができるものである。この基板処理装置は、ウエハWをその表面を上方に向けてほぼ水平に保持するとともに、この保持したウエハWのほぼ中心を通る鉛直軸線まわりに回転するスピンチャック1を処理カップ(図示せず)の中に備えている。
【0025】
スピンチャック1は、回転駆動機構としてのモータ2の駆動軸である回転軸に結合されて回転されるようになっている。この回転軸は、中空軸とされていて、その内部には、純水(脱イオン化された純水)またはエッチング液を供給することができる処理液供給管3が挿通されている。この処理液供給管3には、スピンチャック1に保持されたウエハWの下面中央に近接した位置に吐出口を有する中心軸ノズル(固定ノズル)が結合されており、この中心軸ノズルの吐出口から、ウエハWの下面に向けて、純水またはエッチング液を供給できる。
【0026】
処理液供給管3には、純水供給源に接続された純水供給バルブ4またはエッチング液供給源に接続されたエッチング液供給バルブ5を介して、純水またはエッチング液が所要のタイミングで供給されるようになっている。
エッチング液には、ウエハWの表面(上面または下面)から除去しようとする薄膜の種類に応じた種類のものが適用される。たとえば、ウエハWの下面等から銅薄膜等の金属膜を除去するときには、たとえば、塩酸と過酸化水素水との混合液、フッ酸と過酸化水素水との混合液、またはフッ酸と硝酸との混合液がエッチング液として用いられる。また、ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜またはシリコン酸化膜をウエハWから除去するときには、たとえば、フッ酸と硝酸との混合液がエッチング液として用いられる。さらに、ウエハW上の酸化膜を除去するときには、たとえば、希フッ酸がエッチング液として用いられる。
【0027】
なお、図示はしないが、ウエハWの上面に向けて純水やエッチング液を供給するために、ウエハWの上方とウエハWの上方から外れた位置との間で往復移動可能なスキャンノズルがさらに備えられていてもよい。このスキャンノズルは、ウエハWの上面全面に対して処理を行うような場合に用いられる。
スピンチャック1の上方には、スピンチャック1に保持されたウエハWに対向する円盤状の遮断板6が水平に設けられている。この遮断板6は、ウエハWの上面のほぼ全域を覆うことができる大きさに形成されていて、昇降駆動機構7に結合されたアーム8の先端付近に、鉛直軸回りの回転が可能であるように取り付けられている。
【0028】
昇降駆動機構7によって、遮断板6をスピンチャック1に対して昇降させることができる。また、遮断板6は、回転駆動機構9によって、スピンチャック1の回転軸線と同一回転軸線上で回転させることができるようになっており、また、不活性ガスとしての窒素ガスを、遮断板6とウエハWとの間の空間に吐出することができるようになっている。窒素ガスは、窒素ガス供給バルブ10から、窒素ガス供給管11を介して、遮断板6の下面中央付近に設けられた窒素ガス吐出口(図示せず)へと導かれるようになっている。また、必要に応じて、遮断板6の中央下面に設けたノズルから、純水供給バルブ12からの純水やその他の処理液をウエハWの上面に供給することができる。
【0029】
図2は、スピンチャック1の平面図である。スピンチャック1は、円盤状のスピンベース21(回転ベース)を備え、このスピンベース21の上面には、その周縁部にほぼ等角度間隔で複数個(この実施形態では6個)の保持部材F1〜F3,S1〜S3が配置されている。これらのうち、周方向に沿って1つ置きに配置された3つの保持部材F1〜F3は、第1保持部材群F(第1グループ)を構成していて、これらは連動してウエハWを挟持し、またその挟持を解除するように動作する。残る3つの保持部材S1〜S3は、第2保持部材群S(第2グループ)を構成しており、これらは連動してウエハWを挟持し、またその挟持を解除するように動作する。
【0030】
第1保持部材群Fを構成する保持部材F1〜F3は、ウエハWをほぼ120度ずつの角度間隔の端面位置で挟持する。また、第2保持部材群Sを構成する保持部材S1〜S3は、ウエハWをほぼ120度の角度間隔の端面位置で挟持する。第1および第2保持部材群FおよびSの両方、すなわち、保持部材F1〜F3およびS1〜S3のすべてによってウエハWを挟持する場合には、ほぼ60度の角度間隔の6箇所の端面位置においてウエハWを挟持することができる。
【0031】
この実施形態では、第1保持部材群Fを構成する保持部材F1〜F3は、ウエハWをスピンベース21の回転軸心に対して中心合わせするように位置決めするための位置決め保持部材である。すなわち、これらの位置決め保持部材F1〜F3によってウエハWを挟持することにより、ウエハWの中心をスピンベース21の回転軸線上に位置決めすることができる。一方、第2保持部材群Sを構成する保持部材S1〜S3は、第1保持部材群Fによって位置決めされて保持されているウエハWを補助的に保持する補助保持部材である。位置決め保持部材F1〜F3およびこれを駆動する駆動機構の加工精度、組立精度および調整精度は、補助保持部材S1〜S3およびその駆動機構の加工精度、組立精度および調整精度よりも高くなっている。換言すれば、補助保持部材S1〜S3およびその駆動機構に関しては、部品の加工精度および組立精度、ならびにその調整精度は、さほど高くなくてもよい。これは、位置決め保持部材F1〜F3によるウエハWの保持によって、ウエハWの位置決め精度が確保されるからである。
【0032】
図3および図4は、スピンベース21に備えられた動作変換機構の配置を説明するための斜視図である。図3には、スピンベース21の上板22(図5参照)を取り除いた構成が示されており、図4には、スピンベース21の上板22および下板23(図5参照)をいずれも取り除いた構成が示されている。
スピンベース21には、保持部材F1,F2,F3を連動して作動させるための第1動作変換機構FT1と、保持部材S1,S2,S3を連動して動作させるための第2動作変換機構FT2とが設けられている。第1動作変換機構FT1は、保持部材F1,F2,F3をそれぞれ作動させるためのリンク機構31,32,33と、これらのリンク機構31〜33を連動させるための作動部材としての第1連動リング34とを備えている。同様に、第2動作変換機構FT2は、保持部材S1,S2,S3をそれぞれ作動させるためのリンク機構41,42,43と、これらのリンク機構41〜43を連動させるための作動部材としての第2連動リング44とを備えている。
【0033】
第1連動リング34および第2連動リング44は、スピンベース21の回転軸線に対して同心に配置されたほぼ円環状の部材であり、第2連動リング44は、第1連動リング34よりも外側に配置されている。これらの第1および第2連動リング34,44は、スピンベース21の回転軸線に沿って昇降可能となっており、第1連動リング34を昇降させることによって、保持部材F1〜F3を作動させることができ、第2連動リング44を昇降させることによって、保持部材S1〜S3を作動させることができる。
【0034】
図5はスピンチャック1の縦断面図である。スピンベース21は、上板22と下板23とをボルトで固定して構成されており、上板22と下板23との間に第1および第2動作変換機構FT1,FT2を収容する収容空間が形成されている。上板22および下板23の中央部には、スピンベース21を貫通する貫通孔24が形成されている。この貫通孔24を通り、さらに、スピンチャック1の回転軸25を挿通するように、処理液供給管3が配置されている。この処理液供給管3の上端には、スピンチャック1に保持されたウエハWの下面中央に対向する吐出口26aを有する中心軸ノズル26が固定されている。
【0035】
回転軸25はモータ2の駆動軸と一体化しており、モータ2を貫通して設けられている。モータ2を包囲するようにケーシング27が配置されており、このケーシング27は、さらに、筒状のカバー部材28によって包囲されている。カバー部材28の上端はスピンベース21の下面近傍にまで及んでおり、その上端付近の内面にはシール機構29が配置されている。このシール機構29はスピンベース21の下面に固定されたシール部材30に摺接するようになっており、これにより、シール機構29と回転軸25との間には、スピンベース21とカバー部材28とによって区画され、外部雰囲気から遮断された密閉空間である機構部収容空間50が形成されている。
【0036】
この機構部収容空間50には、作動部材としての第1および第2連動リング34,44を順次作動させるための順次作動機構51が備えられている。この順次作動機構51は、第1および第2連動リング34,44の下方において、これらの下面に対向するように配置された駆動力伝達部材としての駆動リング52と、この駆動リング52を回転軸25に沿って上下動させる上下駆動機構55とを備えている。駆動リング52は、回転軸25に直交する平面(水平面)に沿って配置された平板状円環部材であり、その第1および第2連動リング34,44側の表面には、平板円環状の樹脂板53が固定されている。この樹脂板53の上面は、第1および第2連動リング34,35の下面に当接する水平な当接面54(以下、駆動リング52の当接面として説明する。)を形成している。
【0037】
上下駆動機構55によって駆動リング52を上昇させることによって、当接面54を第1および第2連動リング34,44の下面に当接させることができる。そして、当接面54が第1および第2連動リング34,44に当接している状態で、上下駆動機構55によって駆動リング52を上下動させることにより、第1および第2連動リング34,44を上下動させることができる。
【0038】
駆動リング52が十分下方の位置にあって、当接面54が第1および第2連動リング34,44のいずれとも接していない状態(図5に示されている状態)では、第1および第2連動リング34,44の下面間には、段差Δhだけの高低差が生じるようになっている。より具体的には、位置決め保持部材F1〜F3に対応した第1連動リング34の下面の方が、補助保持部材S1〜S3に対応した第2連動リング44の下面よりも、段差Δhだけ高い位置にある。したがって、駆動リング52が上昇するとき、当接面54は、まず第2連動リング44を持ち上げ、段差Δhに対応した時間だけ遅れて第1連動リング34を持ち上げる。一方、駆動リング52が下降するとき、当接面54は、まず、第1連動リング34の下面から離間し、その後、段差Δhに対応した時間だけ遅れて第2連動リング44の下面から離間する。このように、駆動リング52と第1および第2連動リング34,44とが係合解除状態(離間状態)から係合状態(当接状態)に至るまでの駆動リング52の上下動のストロークが、第1および第2連動リング34,44間で異なっている。
【0039】
なお、この実施形態では、内側に配置された第1連動リング34に対応する保持部材F1〜F3を位置決め保持部材とし、外側に配置された第2連動リング44に対応する保持部材S1からS3を補助保持部材としているが、保持部材F1〜F3を補助保持部材として用い、保持部材S1〜S3を位置決め保持部材として用いるようにしてもよい。この場合には、第2連動リング44の下面が第1連動リング34の下面よりも段差Δhだけ高い位置に配置されるようにすればよい。
【0040】
図6および図7は、順次作動機構51の構成を説明するための斜視図であり、図8は、上下駆動機構55の構成を説明するために駆動リング52および樹脂板53を一部切り欠いて示す斜視図である。上下駆動機構55は、ケーシング27の上蓋部27aに固定されたベース56と、ベース56に本体部57Aが固定され、その軸部57Bの上端が駆動リング52に結合された上下動案内手段としてのリニアブッシュ57と、ベース56と駆動リング52との間に回転自在に保持された回転リング58と、この回転リング58を所定角度だけ往復回動させるための回動駆動手段としてのエアシリンダ59と、回転リング58の回動を駆動リング52の上下動に変換する運動変換手段としてのカム機構60とを備えている。
【0041】
ベース56は、回転軸25が挿通する挿通孔を中央に有する円環形状に形成されている。このベース56の上面側に、周方向に関して等間隔で3個のリニアブッシュ57が配置されている。これらのリニアブッシュ57は、それぞれ、回転軸25に平行な鉛直方向に沿って固定された筒状の本体部57Aによって、軸部57Bを鉛直方向に案内するように構成されている。各軸部57Bの上端は駆動リング52の下面に結合されている。これにより、駆動リング52は、回転軸25に沿って、上下動可能とされている。軸部57Bにはコイルばね57Cが巻装されている。コイルばね57は駆動リング52が下降するときに、これを受け止めてショックを和らげる。
【0042】
ベース56の内周部からは、固定筒61が回転軸25に沿って上方に立ち上がっている。この固定筒61の内方を回転軸25が挿通している。固定筒61の上縁部の近傍には、外向きのフランジ61aが形成されており、その上方側に軸受け取り付け部を形成している。この軸受け取り付け部に、リング状の軸受け62の内輪が固定されている。軸受け62の外輪は、回転リング58の内周部に固定されている。これにより、回転リング58は、回転軸25のまわりで回動可能に支持されている。回転リング58には、周方向にほぼ等間隔で3箇所に長孔63が形成されている。この長孔63は、周方向に延びて形成されている。この長孔63に、リニアブッシュ57の軸部57Bが挿通されている。長孔63の周方向の長さは、回転リング58の往復回動幅よりも若干長くされており、これにより、回転リング58がリニアブッシュ57の軸部57Bと干渉することなく往復回動できるようになっている。
【0043】
エアシリンダ59は、ベース56の上面に固定されたシリンダ本体59Aと、このシリンダ本体59Aに対して進退するロッド59Bとを備えている。この実施形態では、エアシリンダ59は、電磁弁によりロッド59Bをシリンダ本体59A内へ伸縮させる制御を実施している。シリンダ本体59Aは、ロッド59Bを回転リング58外周の接線とほぼ平行な方向に進退させるようにベース56に取り付けられている。ロッド59Bの先端には、ジョイント65が固定されている。このジョイント65は、リンクブロック66に取り付けられた軸67に結合されている。リンクブロック66は、回転リング58の下面に固定されている。軸67は、鉛直方向に沿う姿勢でリンクブロック66に取り付けられており、リンクブロック66の下方へと突出している。ジョイント65は、鉛直軸線周りの相対回動を許容した状態でロッド59Bを軸67に結合するものである。この構成によって、エアシリンダ59を駆動してロッド59Bを進退させると、このロッド59Bの直線運動が、ジョイント65およびリンクブロック66を介して回転リング58へと伝達され、この回転リング58の回動運動へと変換される。
【0044】
カム機構60は、回転リング58の外周に沿って、ほぼ等間隔で、3個設けられている。各カム機構60は、回転リング58の上面に固定されたカムブロック70と、このカムブロック70に係合するカムフォロワ71とを備えている。3個のカムブロック70にそれぞれ対応する3個のカムフォロワ71は、駆動リング52の外側面に、周方向にほぼ等間隔で取り付けられている。カムフォロワ71は、この実施形態では、駆動リング52の半径方向に沿う回転軸線まわりに回転可能なローラ部材で構成されている。
【0045】
カムブロック70は、大略的に、回転リング58の外周の接線方向に沿って延びる直方体形状に形成されている。このカムブロック70には、内側(回転軸25側)に開いたカム溝72が形成されている。このカム溝72は、カムブロック70の底面から上面に向かって斜めに形成されている。カム溝72の底面は、回転リング58の接線方向に沿うとともに、一定勾配の傾斜面からなるカム面73を形成している。
【0046】
カムフォロワ71は、カムブロック70のカム溝72と回転リング58の上面とによって区画される空間内に位置している。エアシリンダ59に駆動エアが供給されていないときには、ロッド59Bは最大伸張状態となっている。このとき、カムフォロワ71はカム溝72内の最低部にあって、回転リング58の上面に接している。この状態が図6に示されている。
【0047】
この状態から、エアシリンダ59に駆動エアが供給されると、ロッド59Bがシリンダ本体59Aへと伸縮する。これにより、回転リング58が回動すると、カムブロック70とカムフォロワ71とが相対的に変位する。これにより、カムフォロワ71は、カム面73に沿って転動することにより、回転リング58の上面から離れて上方へと変位し、図7に示す状態へと至る。これにより、カムフォロワ71に固定されている駆動リング52が上方へと変位する。すなわち、カム面73は、エアシリンダ59が駆動されてロッド59Bが収縮することにより引き起こされる回転リング58の回転方向上流側ほど高くなる傾斜面に形成されている。
【0048】
エアシリンダ59への駆動エアの供給を停止すると、ロッド59Bは伸張状態に戻る。これにより、カムフォロワ71はカム面73上を転動して下降し、回転リング58の上面に接する状態(図6参照)へと戻る。これに伴い、駆動リング52も下降することになる。リニアブッシュ57の軸部57Bに巻装されたコイルばね57Cは、エアシリンダ59への駆動エアの供給が停止されたときに、初期位置へと下降する駆動リング52を受け止めて衝撃を吸収する。
【0049】
図9は第1動作変換機構FT1を構成するリンク機構31の構成を説明するための斜視図である。保持部材F1は、鉛直方向に回転可能な軸35の上端に固定されており、平面視においてほぼ楔形状の板状部95において軸35の回転軸線から離れた位置にウエハWの端面に対向するように当接部96を立設して構成されている。板状部95の回転中心には、ウエハ支持部95aが突設されている。このウエハ支持部95aは、ウエハWの下面において周縁部から微小距離だけ内方に入り込んだ位置に対応する位置に設けられており、ウエハWの下面の周縁部を下方から支持する。
【0050】
軸35には、保持部材F1よりも下方において側方に突出したレバー36が固定されており、このレバー36の先端には鉛直上方に延びるピン36aが立設されている。リンク機構31は、このレバー36と、レバー36に係合する長穴37aを有する揺動板37と、この揺動板37に結合されたクランク部材38と、このクランク部材38の軸部38aを回転自在に軸支する軸受け部39aを有するレバー39と、このレバー39に結合されたクランク部材40と、このクランク部材40の一方の軸部40aを回転自在に支持する軸受け部材45と、クランク部材40の他方の軸部40bと係合する長穴46aを有する昇降部材46とを有している。この昇降部材46の下端は、第1連動リング34の上面に結合されている。
【0051】
図4および図5に示すように、第1連動リング34の上面側には、等角度間隔で複数本(この実施形態では3本)のガイド軸47が回転軸25に沿う鉛直上方に向かって立設されている。このガイド軸47は、スピンベース21の下板23を貫通し、スピンベース21内に設けられたブッシュ48によって、昇降可能に保持されている。
したがって、第1連動リング34は、駆動リング52によって下方から持ち上げられると、水平姿勢を維持しつつ、回転軸25に沿って昇降することになる。これに伴い、昇降部材46が昇降すると、クランク部材40が軸受け部材45に支持された軸部40aを中心に回動することになる。昇降部材46に形成された長穴46aは、水平方向に延びており、これにより、昇降部材46の昇降運動は、クランク部材40の回動へとスムーズに変換される。
【0052】
クランク部材40の回動により、レバー39が揺動し、その軸受け部39aに支持されたクランク部材38が平面視においてスピンベース21の周方向に沿って移動する。揺動板37に形成された長穴37aは、スピンベース21の半径方向に沿って長く形成されていて、この長穴37aに鉛直方向に沿ってピン36aが係合しているため、揺動板37は、水平姿勢を保持しつつ、スピンベース21に対して若干上下動しながら揺動することになる。この揺動板37の揺動に伴い、ピン36aがスピンベース21の周方向に沿って変位するから、これにより、レバー36が軸35を介して保持部材F1の回動を引き起こす。このようにして、リンク機構31は、第1連動リング34の昇降運動を、保持部材F1の回動運動へと変換する。
【0053】
リンク機構32,33の構成は、リンク機構31の構成と同様であり、これらは、第1連動リング34の働きにより、連動して動作する。
保持部材S1,S2,S3に対応するリンク機構41,42,43の構成も、リンク機構31とほぼ同様であるので、それらの主要部にはリンク機構31の場合と同じ参照符号を付すこととし、その説明を省略する。ただし、第2連動リング44は第1連動リング34よりもスピンベース21の半径方向外方側に位置しているから、クランク部材40の軸部40aはリンク機構31の場合よりも短くなっており、それに応じて、軸受け部材45の構成が若干異なっている。なお、図3〜図5において、49は、第2連動リング44に立設されたガイド軸であって、第1連動リング34に立設されたガイド軸47と同様な機能を有し、かつ、ガイド軸47と同様に、ブッシュ92を介して、スピンベース21に対して昇降可能に結合されている。
【0054】
図4および図5に示されているとおり、リンク機構31,32,33の昇降部材46には、スピンベース21の下板23の下面と第1連動リング34の上面との間に圧縮コイルばね93が巻装されている。これにより、第1連動リング34は、下方に向かって付勢されており、その結果として、保持部材F1は当接部96がスピンベース21の半径方向内方に向かう閉方向へと付勢されている。
【0055】
さらに、リンク機構41,42,43についても同様に、昇降部材46には、スピンベース21の下板23の下面と第2連動リング44の上面との間に圧縮コイルばね94が巻装されている。したがって、保持部材F1,F2,F3,S1,S2,S3は、当接部96がスピンベース21の半径方向内方へと向かう閉方向に向かって付勢されている。よって、駆動リング52が十分に下方にあれば、ウエハWは圧縮コイルばね93,94のばね力により閉方向に付勢された保持部材F1〜F3,S1〜S3によって挟持されることになる。このように圧縮コイルばね93,94の弾性力を利用してウエハWを弾性的に挟持する構成であるので、ウエハWの破損が生じにくいという利点がある。
【0056】
図10は、保持部材F1の構成を説明するための側面図である。ただし、他の保持部材F2,F3,S1〜S3も共通の構成となっている。
保持部材F1は、前述のとおり、ウエハWの周縁部の下面を支持するウエハ支持部95aと、ウエハWの周端面を側方から保持する当接部96とを備えてており、ウエハ支持部95aを中心として鉛直軸線まわりに回動されるようになっている。この回動により、当接部96をウエハWの周端面に対して近接/離反させることができ、ウエハWを保持する保持位置と、このような保持を解除してウエハWから離間した開放位置とに変位させることができる。当接部96は、ウエハWの周端面に対向した内向きのV字状断面を有する溝状のウエハ受け部97を備えている。当接部96をウエハWの周端面に押し当てて前記保持位置へと移動させると、その過程で、ウエハWはウエハ受け部97にせり上がり、ウエハ支持部95aから微小距離だけ上方に浮き上がった状態となる。逆に、当接部96を前記保持位置から前記開放位置へと移動させると、ウエハWは、その自重によって、ウエハW受け部97の傾斜に従って下降し、ウエハ支持部95a上に置かれる。
【0057】
図11は、前記基板処理装置の制御に関連する構成を説明するためのブロック図である。この基板処理装置には、各部の制御を行うための制御装置100が備えられている。この制御装置100は、スピンチャック1を回転させるためのモータ2、純水供給バルブ4、エッチング液供給バルブ5、昇降駆動機構7、回転駆動機構9、窒素ガス供給バルブ10、純水供給バルブ12、エアシリンダ59などの動作を制御する。
【0058】
ウエハWの受け渡し時の動作は、次のとおりである。
ウエハWに対する処理が行われていないとき、制御装置100は、昇降駆動機構7を制御して遮断板6を上方の退避位置に退避させておき、また、回転駆動機構9を制御して、遮断板6を回転停止状態に制御する。さらに、制御装置100は、純水供給バルブ4,12、エッチング液供給バルブ5および窒素ガス供給バルブ10をいずれも閉成状態に制御する。また、制御装置100は、モータ2を停止して、スピンチャック1を回転停止状態に制御する。
【0059】
基板搬送ロボット(図示せず)によって未処理のウエハWをスピンチャック1に搬入するとき、これに先だって、制御装置100は、エアシリンダ59を駆動する。すなわち、エアシリンダ59に対して駆動エアを供給させる。これにより、ロッド59Bが収縮し、回転リング58の回動を引き起こす結果、カム機構60の働きによって、駆動リング52が上昇する。駆動リング52の当接面54は、まず、第2連動リング44に当接し、段差Δhに対応する時間の後に、第1連動リング34に当接する。そして、これらの第1および第2連動リング34,44が、圧縮コイルばね93,94のばね力に抗して押し上げられることによって、保持部材F1〜F3,S1〜S3は、いずれも、保持位置(初期位置)から開放位置へと変位する。このときの駆動リング52の位置(上方位置)が、当該駆動リング52の「開放位置」である。
【0060】
この状態で、基板搬送ロボットは、スピンチャック1上にウエハWを置き、その後、スピンチャック1から退避する。ウエハWは、このとき、6個の保持部材F1〜F3,S1〜S3のウエハ支持部95aによって、周縁部の下面の6箇所において支持された状態となる。
次いで、制御装置100は、エアシリンダ59への駆動エアの供給を停止する。すると、駆動リング52は、圧縮コイルばね93,94のばね力によって下方に付勢されている第1および第2連動リング34,44によって下方へと押され、さらにその自重によって下降する。この過程で、まず、第1連動リング34が駆動リング52の当接面54から離れて、駆動リング52による支持から解放される。これにより、圧縮コイルばね93の働きにより、第1保持部材群Fを構成する3個の位置決め保持部材F1〜F3がウエハWの周端面に当接して当該ウエハWを挟持する。これによって、スピンベース21の回転軸線上にウエハWの中心が一致するように、ウエハWが位置決めされる。その後に、段差Δhに対応する時間だけ遅れて、第2連動リング44が駆動リング52の当接面54から離れ、駆動リング52による支持から解放される。その結果、圧縮コイルばね94の働きにより、第2保持部材群Sを構成する補助保持部材S1〜S3がウエハWの周端面に当接して、当該ウエハWを挟持する。このときの駆動リング52の位置(下方位置)が、当該駆動リング52の「保持位置」である。
【0061】
こうして、第1保持部材群Fによる挟持によってウエハWが3方向から位置決めされた後に、第2保持部材群Sによって補助的にウエハWが保持される。その結果、ウエハWを位置決めされた状態でその周縁部の6箇所において安定に保持することができる。保持されたウエハWの周縁部は、各保持部材F1〜F3,S1〜S3において、ウエハ支持部95aから微小距離だけ上方に離間した位置において、ウエハ受け部97によって保持された状態となっている。
【0062】
ウエハWに対する処理が終了して、処理済みのウエハWをスピンチャック1から搬出するときには、制御装置100は、エアシリンダ59に駆動エアを供給させ、そのロッド59Bを収縮させる。これにより、駆動リング52が上昇し、その当接面54は、まず第2連動リング44に当接し、第2連動リング44を段差Δhの分だけ押し上げた後に、第1連動リング34に当接する。これにより、第2保持部材群Sを構成する補助保持部材S1〜S2によるウエハWの挟持が解かれ、その後に、第1保持部材群Fを構成する位置決め保持部材F1〜F3による挟持が解かれることになる。
【0063】
位置決め保持部材F1〜F3による挟持を最後に解除することにより、挟持解除後にも、ウエハWをスピンチャック1に対して正確に位置決めされた状態とすることができる。これにより、その後に、基板搬送ロボットによってウエハWを搬出するときに、基板搬送ロボットは、適正位置でウエハWを保持することができるから、搬送不良を抑制または防止できる。
【0064】
また、最初に補助保持部材S1〜S3による挟持を解除することによって、これらの補助保持部材S1〜S3においては、ウエハWの周縁部がウエハ受け部97の傾斜に従って下降し、ウエハ支持部95aに支持された状態に至る。その後に、位置決め保持部材F1〜F3による挟持が解除されることにより、これらの位置決め保持部材F1〜F3において、ウエハWの周縁部がウエハ受け部97の傾斜に従って下降し、ウエハ支持部95aに支持された状態に至る。これにより、6個の保持部材F1〜F3,S1〜S3のウエハ支持部95a上にウエハWが一気に落下するようなことがなく、ウエハWをウエハ支持部95a上に静かに着地させることができる。これにより、ウエハWの落下に伴うパーティクルの発生、ウエハWの欠損、スピンチャック1からのウエハWの落下等を抑制または防止できる。
【0065】
ウエハWが搬入されてから搬出されるまでのウエハWの処理内容の一例を以下に概説する。
ウエハWがスピンチャック1に搬入されると、制御装置100は、モータ2を付勢してスピンチャック1を回転させるとともに、昇降駆動機構7を制御して遮断板6を下降させてウエハWの近傍の高さまで導いた後に、回転駆動機構9を付勢し、遮断板6をスピンチャック1と同期回転させる。
【0066】
その後、制御装置100は、エッチング液供給バルブ5、窒素ガス供給バルブ10を開放する。これによって、中心軸ノズル26からウエハWの下面の中央に向けてエッチング液が供給される。このエッチング液は、ウエハWの下面を伝って半径方向外方側へと導かれ、ウエハWの端面を伝って上面側へと回り込む。この回り込み量は、遮断板6の中央から吹き出される窒素ガスによって規制されることになる。その結果、ウエハWの裏面全面をエッチング処理することができるとともに、ウエハWの端面の不要物をエッチング除去でき、さらにウエハWの上面の周縁部における不要物をエッチング除去することができる。
【0067】
エッチング液によりウエハWを処理した後には、制御装置100はエッチング液供給バルブ5を閉じて、純水供給バルブ4,12を開く。これにより、ウエハWの上下面に純水が供給され、純水リンス処理が行われる。
その後、制御装置100は、純水供給バルブ4,12を閉じると共に、モータ2を制御して、スピンチャック1を高速回転させる。これによって、ウエハWの上下面の水分が振り切られ、乾燥処理が行われる。
【0068】
この乾燥処理の後、制御装置100は、スピンチャック1および遮断板6の回転を停止させ、さらに遮断板6を上方の退避位置に退避させる。この状態で、スピンチャック1上の処理済みのウエハWが基板搬送ロボットによって搬出される。さらに処理すべき未処理のウエハWがあれば、同様の処理が繰り返される。
以上のように、この実施形態によれば、3個の位置決め保持部材F1〜F3からなる第1保持部材群FによってウエハWを位置決めして挟持した後に、別の3個の補助保持部材S1〜S3からなる第2保持部材群SによってウエハWを補助的に挟持するようにしている。3個の位置決め保持部材F1〜F3の部品加工精度および組立精度等を合わせ込むのは比較的容易であり、ウエハWをたとえば±0.3mm以内の精度でスピンチャック1の回転軸線に対して位置決めすることができる。この3個の位置決め保持部材F1〜F3による位置決めを先に行うことにより、補助保持部材S1〜S3によってウエハWをその後に補助的に挟持したときにも、ウエハWの位置を正確に保つことができる。しかも、補助保持部材S1〜S3については、さほど高い部品加工精度および組立精度等が必要となることもない。
【0069】
このようにして、ウエハWをスピンチャック1の回転軸線に対して正確に位置合わせして保持することができるので、スピンチャック1を回転したときにウエハWに生じる遠心力を小さくすることができる。これにより、ウエハWを安定に保持することができる。
さらにまた、この実施形態によれば、3個の補助保持部材S1〜S3によるウエハWの挟持を解いた後に、3個の位置決め保持部材F1〜F3による挟持を解除するようにしている。これにより、挟持解除された後のウエハWは、スピンチャック1上に正確に位置決めされた状態で置かれている。したがって、基板搬送ロボットによるウエハWの搬出を良好に行うことができる。
【0070】
そればかりでなく、ウエハWの挟持を段階的に解除していることから、保持部材F1〜F3,S1〜S3のウエハ支持部95aの上方に微小距離を開けて保持されているウエハWが一気に落下することがない。これにより、衝撃に起因するパーティクルの発生、ウエハWの欠損、スピンチャック1からのウエハWの落下を抑制または防止することができる。
【0071】
さらにまた、この実施形態では、一つの駆動源(エアシリンダ59)を用いて、第1保持部材群Fと第2保持部材群Sとをタイミングをずらせて駆動することができる。これにより、簡単な構成で、ウエハWの保持/解除を良好に行うことができる。
図12は、この発明の第2の実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための断面図であり、前述の図5に示す構成に代えて用いることができるスピンチャック1の構成例が示されている。この図12において、前述の図5に示された各部に対応する部分には、図5の場合と同一の参照符号を付して示す。
【0072】
この実施形態では、機構部収容空間50内において、ケーシング27の上蓋部27a上には、回転軸25を取り囲むほぼ円環状のギヤケース151が取り付けられている。ギヤケース151上には、図13の平面図に示すように、第1モータM1および第2モータM2が、回転軸25に対して対称な位置に固定されている。なお、図12は、図13のXII-XII線断面図である。
【0073】
ギヤケース151の内部には、図12に示されているように、その内壁面の内周側および外周側にそれぞれ軸受け152,153が圧入されている。軸受け152,153は回転軸25に対して同軸に配置されている。内側の軸受け152の回転側リングには、回転軸25を包囲するリング状の第1ギヤ154が固定されており、外側の軸受け153の回転側リングには回転軸25を包囲するリング状の第2ギヤ155が固定されている。したがって、ギヤケース151内において、第1ギヤ154および第2ギヤ155は回転軸25に対して同軸的に回転可能であり、第2ギヤ155は第1ギヤ154よりも外側に位置している。第1ギヤ154は、外周側にギヤ歯を有し、第2ギヤ155は、内周側にギヤ歯を有している。
【0074】
第1モータM1の駆動軸に固定されたピニオン156は、第1ギヤ154と第2ギヤ155との間に入り込み、内側に配置された第1ギヤ154に噛合している。同様に、図13に示されているとおり、第2モータM2の駆動軸に固定されたピニオン157は、第1ギヤ154と第2ギヤ155との間に位置し、外側に配置された第2ギヤ155に噛合している。
【0075】
ギヤケース151上にはさらに、モータM1,M2を回避した位置に、一対の第1ボールねじ機構161,161が回転軸25を挟んで対向する位置(すなわち、回転軸25の側方)に配置されている。さらに、ギヤケース151上には、モータM1,M2および第1ボールねじ機構161,161を回避した位置に、他の一対の第2ボールねじ機構162,162が、回転軸25を挟んで対向するように位置(すなわち、回転軸25の側方)に配置されている。
【0076】
第1ボールねじ機構161,161は、図12に示されているように、回転軸25と平行に配置されたねじ軸163と、このねじ軸163に螺合するボールナット164とを備えている。ねじ軸163は、ギヤケース151の上蓋部に軸受け部165を介して取り付けられており、その下端は、ギヤケース151の内部に及んでいる。このねじ軸163の下端には、ギヤ166が固定されており、このギヤ166は第1ギヤ154と第2ギヤ155との間に入り込み、内側に配置された第1ギヤ154に噛合している。
【0077】
一方、ボールナット164には第1非回転側可動部材168が取り付けられている。この第1非回転側可動部材168は、回転軸25を取り囲む環状の部材であって、その内周面には、回転軸25を取り囲むように設けられた第1軸受け171の非回転側リング171fが固定されている。第1軸受け171の回転側リング171rは非回転側リング171fよりも回転軸25に対して内方側に配置されている。この回転側リング171rは、回転軸25を取り囲む環状の第1回転側可動部材181の外周面側に固定されている。第1回転側可動部材181は、回転軸25の外周面に突出して設けられた案内レール191に係合している。この案内レール191は、回転軸25に平行な方向に沿って形成されており、これにより、第1回転側可動部材181は、回転軸25に沿う方向に案内されて移動可能な状態で、回転軸25に結合されている。
【0078】
第1モータM1を駆動してピニオン156を回転させると、この回転は第1ギヤ154に伝達される。これによって、第1ギヤ154に噛合しているギヤ166が回転して、ボールねじ機構161,161のねじ軸163が回転する。これによって、ボールナット164およびこれに結合された第1非回転側可動部材168が回転軸25に沿って昇降することになる。回転軸25とともに回転することになる第1回転側可動部材181は、軸受け171を介して第1非回転側可動部材168に結合されているから、この第1非回転側可動部材168の昇降により、案内レール191に沿って昇降されることになる。
【0079】
図14に示すように、第1ボールねじ機構161,161によって昇降されるリング状の第1非回転側可動部材168の外方には、別のリング状の第2非回転側可動部材178が配置されている。第1非回転側可動部材168には、一対の第1ボールねじ機構161,161のボールナット164に対応する位置に半径方向外方に突出した一対の突出部169,169が形成されており、さらに、これらの突出部169,169とは周方向に沿ってずれた位置に別の一対の突出部170,170が形成されている。この一対の突出部170,170には、回転軸25に沿う方向に延びるガイド軸167,167が結合されている。このガイド軸167,167は、回転軸25に沿う鉛直方向に沿って案内されるようになっており、これによって、第1非回転側可動部材168は、水平姿勢を保持しつつ回転軸25に沿って昇降することになる。
【0080】
一方、リング状の第2非回転側可動部材178は、第2ボールねじ機構162,162に対応する位置に、半径方向内方に突出した一対の突出部179,179を有している。第2ボールねじ機構162,162は、上記第1ボールねじ機構161と同様な構成を有しているが、そのねじ軸の下端に設けられたギヤは、ギヤケース151内の第1ギヤ154と第2ギヤ155との間において、第2ギヤ155に内側から噛合している。したがって、同じく第2ギヤ155に噛合しているピニオン157を第2モータM2によって駆動すれば、第2ボールねじ機構162,162のボールナットが昇降することになる。このボールナットが、第2非回転側可動部材178の突出部179,179に結合されている。
【0081】
第2非回転側可動部材178において、突出部179,179に対して周方向にずれた位置には、別の一対の突出部180,180が、半径方向内方に突出した状態で設けられている。これらの突出部180,180には、ガイド軸177,177がそれぞれ結合されている。これらのガイド軸177,177は、回転軸25に沿う鉛直方向に沿って案内されるようになっている。これによって、第2非回転側可動部材178は、水平姿勢を保ちながら、回転軸25に沿う鉛直方向に昇降することになる。
【0082】
図12に示すように、第2非回転側可動部材178の外周面には、回転軸25を取り囲むように設けられた第2軸受け172の非回転側リング172fが固定されている。この第2軸受け172の回転側リング172rは、回転軸25を取り囲むリング状の第2回転側可動部材182の内周面に固定されている。第2回転側可動部材182の上面には、案内ピン192が回転軸25に沿う鉛直上方に向けて植設されている。
【0083】
第2ボールねじ機構162,162のナットとともに第2非回転側可動部材178が昇降するとき、第2軸受け172を介して結合された第2回転側可動部材182も同時に昇降する。
図15は第1動作変換機構FT1を構成するリンク機構31の構成を説明するための斜視図である。前述の第1の実施形態の場合とほぼ同様の構成であるが、第1連動リング34は、第1回転側可動部材181の外周側の肩部181aと掛かり合う位置に配置されている点が異なる。したがって、第1連動リング34は、第1回転側可動部材181とともに、回転軸25に沿って昇降することになる。
【0084】
図16は、第2連動リング44と、リンク機構41,42,43の昇降部材46との結合部付近の構成を示す分解斜視図である。第2連動リング44の上面には、120度間隔で3本の昇降部材46が立設されている。また、第2連動リング44の上面において昇降部材46とはずれた位置に、段付きの貫通孔194が180度間隔で2箇所形成されており、この貫通孔194に、ブッシュ193がはめ込まれるようになっている。このブッシュ193に、第2回転側可動部材182の上面に立設された案内ピン192が挿通するようになっている。この案内ピン192は、その下端のねじ部192aを第2回転側可動部材182の上面に形成されたねじ孔182aに螺合させることにより、この第2回転側可動部材182に固定されている。
【0085】
このようにして、案内ピン192がブッシュ193に係合することにより、第2回転側可動部材182と第2連動リング44および昇降部材46(ただし、リンク機構41,42,43に対応するもの)との相対回転が規制されている。
よって、第2ボールねじ機構162によって、第2非回転側可動部材178が昇降されると、昇降部材46、第2連動リング44および第2回転側可動部材182は、回転軸25の方向に沿って昇降移動することになる。
【0086】
保持部材F1〜F3,S1〜S3によるウエハWの挟持状態を検出するために、図13、図15および図16に示すように、第1連動リング34および第2連動リング44の高さ(回転軸25に沿う方向に位置)をそれぞれ検出する位置センサ197,198が設けられている。位置センサ197,198は、機構部収容空間50(図12参照)内に配置されており、図17の部分拡大断面図に示すように、ギヤケース151の上面にそれぞれ固定されている。
【0087】
位置センサ197,198は、所定の基準位置から第1および第2連動リング34,44までの距離に応じて連続的に変動する検出信号を出力するものである。位置センサ197,198は、たとえば図15および図16に示すように、反射式のレーザ変位センサで構成されており、レーザ光L1,L2を第1および第2連動リング34,44の下面の所定位置に向けて照射する投光部Laと、第1および第2連動リング34,44からの反射光L1′,L2′をそれぞれ受光する受光部Lbとを有し、この受光部Lbでの受光状態に応じて、上記基準位置から第1および第2連動リング34,44までの距離をそれぞれ検出するものである。レーザ光L1,L2および反射光L1′,L2′の光路を確保するために、第1非回転側可動部材168の外周縁および第2非回転側可動部材178内周縁の該当位置には、凹部168a,178a(図14参照)がそれぞれ形成されている。
【0088】
受光部Lbは、たとえば、CCD素子のようなラインセンサからなり、このラインセンサを構成する個々の検出画素は、レーザ光L1の光路に対して所定角度θをなす方向からの反射光をそれぞれ受光する。これにより、いずれの検出画素によって反射光が受光されるかによって、距離の検出が可能になる。
位置センサ197,198は、第1および第2連動リング34,44の高さに応じて連続的に変動する検出信号を出力するから、第1および第2の連動リング34,44が、保持部材F1〜F3,S1〜S3の当接部96がウエハWの端面から退避した状態(開放状態)に対応する第1の高さ(開放位置)と、保持部材F1〜F3,S1〜S3がウエハWの端面に当接してこのウエハWを挟持している状態(挟持状態)に対応する第2の高さ(保持位置)と、スピンベース21上にウエハWが存在せず、保持部材F1〜F3,S1〜S3の当接部96がウエハWの端面位置よりもスピンベース21の半径方向内方側に入り込んだ状態(ウエハ無し状態)に対応する第3の高さとにあるときの各検出信号を、調整段階において予め調べて当該基板処理装置の制御装置100(図18参照)に教示しておくことで、第1および第2連動リング34,44の高さの検出を通じて、保持部材F1〜F3,S1〜S3の状態をそれぞれ検出することができる。なお、この実施形態では、第1の高さが最も高く、第2の高さが次いで高く、第3の高さが最も低い。
【0089】
この実施形態では、第1および第2連動リング34,44は独立に上下動させることができる。そのため、第1および第2連動リング34,44は、第1および第2回転側可動部材181,182によって下方から支持されていない状態において、それらの下面の高さが異なっている必要はない。
図18は、この基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。マイクロコンピュータ等を含む制御装置100は、上記の第1および第2モータM1,M2を制御し、さらに、スピンチャック1を回転させるためのモータ2、回転駆動機構9、昇降駆動機構7を制御する。さらに、制御装置100は、窒素ガス供給バルブ10、純水供給バルブ12、純水供給バルブ4およびエッチング液供給バルブ5の開閉を制御する。
【0090】
この制御装置100には、位置センサ197,198が出力する検出信号を数値化して第1および第2連動リング34,44の位置を表す数値情報である位置情報をそれぞれ生成する第1数値化処理部101および第2数値化処理部102からの位置情報が入力されるようになっている。また、制御装置100に備えられた記憶部100Mには、保持部材F1〜F3,S1〜S3の開放状態を検出するためのしきい値、保持部材F1〜F3,S1〜S3の挟持状態を検出するためのしきい値、および保持部材F1〜F3,S1〜S3のウエハ無し状態を検出するためのしきい値が予め格納されている。
【0091】
制御装置100は、第1および第2数値化処理部101,102が出力する位置情報を取り込み、これらの位置情報と上記しきい値とに基づいて、保持部材F1〜F3および保持部材S1〜S3の各状態(開放状態、挟持状態、ウエハ無し状態)を判定するための保持部材状態判定処理を実行する。
図示しない基板搬送ロボットによってウエハWがスピンチャック1に受け渡されるとき、制御装置100は、モータM1,M2を停止状態に制御し、回転駆動機構9を停止状態に制御し、さらに昇降駆動機構7を遮断板6がスピンチャック1の上方の退避位置に退避した状態となるように制御する。さらに、制御装置100は、バルブ10,12,4,5をいずれも閉状態に制御する。
【0092】
また、制御装置100は、第1および第2数値化処理部101,102が出力する位置情報を参照して、第1および第2連動リング34,44がいずれも上昇位置(上記第1の高さ。開放状態)となるように第1および第2モータM1,M2を制御する。これにより、保持部材F1〜F3,S1〜S3は、いずれも、当接部96がスピンベース21の半径方向外方側に退避した開放状態とされる。この状態で、基板搬送ロボットは、ウエハWを保持部材F1〜F3,S1〜S3の板状部95のウエハ支持部95aに載置する。
【0093】
この状態から、制御装置100は、第1モータM1を制御することにより、第1ボールねじ機構161を駆動し、ボールナット164を下降させる。これにより、第1回転側可動部材181が下降するから、第1連動リング34が下降して、昇降部材46が圧縮コイルばね93からのばね力および重力を受けて下降する。その結果、位置決め保持部材F1〜F3の回動が生じ、それらの当接部96がウエハWの端面に当接して、位置決め保持部材F1〜F3によって、ウエハWが挟持されることになる。これにより、ウエハWの中心がスピンチャック1の回転軸線上に一致するようにウエハWの位置決めが達成される。
【0094】
次に、制御装置100は、第2モータM2を制御することにより、第2ボールねじ機構162を駆動し、そのボールナットを下降させる。これにより、第2回転側可動部材182が下降するから、第2連動リング44が下降して、これに結合された昇降部材46が圧縮コイルばね94からのばね力および重力を受けて下降する。その結果、第2動作変換機構FT2の働きにより、補助保持部材S1〜S3の回動が生じ、それらの当接部96がウエハWの端面に当接する。こうして、6個の保持部材F1〜F3,S1〜S3によって、6箇所の周端面でウエハWが保持される。各保持部材F1〜F3,S1〜S3においては、ウエハWの周端縁は横向きV字形のウエハ受け部97に入り込むので、ウエハWの周縁部の下面はウエハ支持部95aの上方に微小距離だけ離間した高さで保持されることになる。
【0095】
その後、制御装置100は、モータ2を付勢してスピンチャック1を回転させるとともに、昇降駆動機構7を制御して遮断板6を下降させてウエハWの近傍の高さまで導いた後に、回転駆動機構9を付勢し、遮断板6をスピンチャック1と同期回転させる。
その後、制御装置100は、エッチング液供給バルブ5、窒素ガス供給バルブ10を開放する。これによって、中心軸ノズル26からウエハWの下面の中央に向けてエッチング液が供給される。このエッチング液は、ウエハWの下面を伝って半径方向外方側へと導かれ、ウエハWの端面を伝って上面側へと回り込む。この回り込み量は、遮断板6の中央から吹き出される窒素ガスによって規制されることになる。その結果、ウエハWの裏面全面をエッチング処理することができるとともに、ウエハWの端面の不要物をエッチング除去でき、さらにウエハWの上面の周縁部における不要物をエッチング除去することができる。
【0096】
エッチング液によりウエハWを処理した後には、制御装置100はエッチング液供給バルブ5を閉じて、純水供給バルブ4,12を開く。これにより、ウエハWの上下面に純水が供給され、純水リンス処理が行われる。
その後、制御装置100は、純水供給バルブ4,12を閉じると共に、モータ2を制御して、スピンチャック1を高速回転させる。これによって、ウエハWの上下面の水分が振り切られ、乾燥処理が行われる。
【0097】
この乾燥処理の後、制御装置100は、スピンチャック1および遮断板6の回転を停止させ、さらに遮断板6を上方の退避位置に退避させる。
さらに制御装置100は、第2モータM2を駆動して、第2非回転側可動部材178を圧縮コイルばね94のばね力に抗して上昇させる。これにより、第2回転側可動部材182が押し上げられ、それに伴って、第2動作変換機構FT2の働きによって、補助保持部材S1〜S3の回転が生じる。これにより、それらの当接部96がウエハWの周端面から退避するので、ウエハWの周縁部はウエハ受け部97の下側の傾斜面に案内されながらウエハ支持部95a上に着地する。こうして、補助保持部材S1〜S3によるウエハWの保持が解除される。
【0098】
次に、制御装置100は、第1モータM1を駆動して、第1非回転側可動部材168を圧縮コイルばね93のばね力に抗して上昇させる。これにより、第1回転側可動部材181が押し上げられ、それに伴って、第1動作変換機構FT2の働きにより、位置決め保持部材F1〜F3の回転が生じる。これにより、それらの当接部96がウエハWの周端面から退避する。したがって、ウエハWの周縁部は、ウエハ受け部97の下側の傾斜面に案内されながらウエハ支持部95a上に着地する。こうして、位置決め保持部材F1〜F3による保持が解除される。
【0099】
その後は、基板搬送ロボットによって、スピンチャック1上のウエハWが搬出される。さらに処理すべき未処理のウエハWがあれば、同様の処理が繰り返される。
以上のように、この実施形態においても、3個の位置決め保持部材F1〜F3からなる第1保持部材群FによってウエハWを3方向から位置決めして挟持した後に、別の3個の補助保持部材S1〜S3からなる第2保持部材群SによってウエハWを補助的に挟持するようにしている。したがって、前述の第1の実施形態の場合と同様に、ウエハWを高精度でスピンチャック1の回転軸線上に位置決めして保持することができる。
【0100】
また、この実施形態でも、3個の補助保持部材S1〜S3によるウエハWの挟持を解いた後に、3個の位置決め保持部材F1〜F3による挟持を解除するようにしているから、ウエハWが精度よく位置決めされた状態でウエハWの挟持を解除できる。その結果、基板搬送ロボットによるウエハWの搬出を良好に行うことができる。
さらにまた、ウエハWの挟持を段階的に解除していることから、保持部材F1〜F3,S1〜S3のウエハ支持部95aの上方に微小距離を開けて保持されているウエハWが一気に落下することがない。これにより、衝撃に起因するパーティクルの発生、ウエハWの欠損、スピンチャック1からのウエハWの落下を抑制または防止することができる。
【0101】
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の第1の実施形態では、第1連動リング34と第2連動リング44との間で、下面の高さに段差Δhだけの高低差を設けておき、これによって、位置決め保持部材F1〜F3と、補助保持部材S1〜S3との開閉動作に時間差を生じさせるようにしている。しかし、第1および第2連動リング34,44の下面の高さに段差Δhを設けなくとも、同様な動作が可能である。たとえば、駆動リング52の当接面54に段差を形成しておいてもよい。すなわち、第1および第2連動リング34,44の下面の高さを等しくしておく一方で、当接面54において、第1連動リング34に対向する部分の高さを、第2連動リング44に対向する部分の高さよりも低くしておけばよい。また、位置決め保持部材F1〜F3と補助保持部材S1〜S3との間で、軸35に対する板状部95の取り付け角度を異ならせておいてもよい。すなわち、たとえば、第1および第2連動リング34,44を同時に作動するようにしておく一方で、位置決め保持部材F1〜F3の当接部96が補助保持部材S1〜S3の当接部96よりも若干内方(回転軸25に近い方)に位置するように、板状部95の取り付け角度を調整しておけばよい。
【0102】
また、前述の第1および第2の実施形態では、3個の位置決め保持部材F1〜F3と3個の補助保持部材S1〜S3とを備えた構成について説明したが、3個の位置決め保持部材と1個または2個の補助保持部材とを備えた構成としてもよいし、3個の位置決め保持部材と4個以上の補助保持部材とを備えた構成としてもよい。また、補助保持部材は、一気にウエハWを挟持/開放する必要はなく、1個ずつウエハWを挟持/解除するように動作してもよいし、少なくとも1つの補助保持部材を含むグループ単位で、時間間隔を開けて、挟持/解除するように動作してもよい。
【0103】
さらにまた、ウエハWの保持を解除するときにウエハWが落下することによる不具合は、4個以上の保持部材によるウエハWの周縁部の保持を順次開放すれば抑制または防止できる。すなわち、たとえば、4個の保持部材によってウエハWの周縁部が保持される場合に、この4個の保持部材によるウエハWの保持を、たとえば、1個ずつ解除していってもよいし、2個ずつ順に解除してもよい。むろん、保持部材の数は、5個以上であってもよい。
【0104】
たとえば、前述の第1の実施形態の構成を変形して、6個の保持部材F1〜F3,S1〜S3のそれぞれに対応する6個の連動リングを回転軸25まわりに同心円状に設け、それらの連動リングの下面の高さを微小高さずつ異ならせておくとともに、これらに対向する水平な当接面を有する駆動リングを前記6個の連動リングの下方で上下動させる構成とすることが考えられる。これにより、6個の保持部材によるウエハWの挟持/解除を、タイミングをずらせて生じさせることができる。
【0105】
また、前述の第2の実施形態では、モータM1,M2およびボールねじ機構161,162によって第1および第2非回転側可動部材168,178を昇降させているが、エアシリンダ等の他の駆動機構を用いて第1および第2非回転側可動部材168,178を昇降させることもできる。
また、前述の実施形態では、処理対象の基板として、半導体ウエハを例にとったが、この発明は、光ディスク等の他の円形基板のほか、液晶表示装置用ガラス基板などの角形基板に対しても適用が可能である。
【0106】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図解図である。
【図2】上記基板処理装置に備えられたスピンチャックの平面図である。
【図3】スピンベースに備えられた動作変換機構の配置を説明するための斜視図である。
【図4】同じくスピンベースに備えられた動作変換機構の配置を説明するための斜視図である。
【図5】スピンチャックの縦断面図である。
【図6】位置決め保持部材および補助保持部材を順に作動させるための順次作動機構の構成を説明するための斜視図である。
【図7】同じく位置決め保持部材および補助保持部材を順に作動させるための順次作動機構の構成を説明するための斜視図である。
【図8】順次作動機構に備えられた上下駆動機構の構成を説明するための斜視図である。
【図9】保持部材を作動させるためのリンク機構の構成を説明するための斜視図である。
【図10】保持部材の構成を説明するための側面図である。
【図11】前記基板処理装置の制御に関連する構成を説明するためのブロック図である。
【図12】この発明の第2の実施形態に係る基板処理装置のスピンチャックに関連する構成を説明するための断面図である(図13のXII−XII線断面)。
【図13】前記第2の実施形態において保持部材を駆動するための駆動機構の構成を説明するための平面図である。
【図14】図13の駆動機構によって駆動される第1および第2非回転側可動部材の構成を説明するための平面図である。
【図15】前記第1および第2非回転側可動部材から伝達される駆動力を保持部材の動作に変換する動作変換機構の構成を説明するための斜視図である。
【図16】動作変換機構の他の部分の構成を説明するための斜視図である。
【図17】保持部材と連動する第1および第2連動リングの高さを検出するための構成を説明するための部分拡大断面図である。
【図18】前記第2の実施形態の基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0108】
1 スピンチャック
2 モータ
3 処理液供給管
4 純水供給バルブ
5 エッチング液供給バルブ
6 遮断板
7 昇降駆動機構
8 アーム
9 回転駆動機構
10 窒素ガス供給バルブ
11 窒素ガス供給管
12 純水供給バルブ
21 スピンベース
22 上板
23 下板
24 貫通孔
25 回転軸
26 中心軸ノズル
26a 吐出口
27 ケーシング
27a 上蓋部
28 カバー部材
29 シール機構
30 シール部材
31〜33 リンク機構
34 第1連動リング
35 軸
36 レバー
36a ピン
37 揺動板
37a 長穴
38 クランク部材
38a 軸部
39 レバー
39a 軸受け部
40 クランク部材
40a,40b 軸部
41〜43 リンク機構
44 第2連動リング
45 軸受け部材
46 昇降部材
46a 長穴
47 ガイド軸
48 ブッシュ
49 ガイド軸
50 機構部収容空間
51 順次作動機構
52 駆動リング
53 樹脂板
54 当接面
55 上下駆動機構
56 ベース
57 リニアブッシュ
57A 本体部
57B 軸部
58 回転リング
59 エアシリンダ
59A シリンダ本体
59B ロッド
60 カム機構
61 固定筒
61a フランジ
62 軸受け
63 長孔
65 ジョイント
66 リンクブロック
67 軸
70 カムブロック
71 カムフォロワ
72 カム溝
73 カム面
92 ブッシュ
93,94 圧縮コイルばね
95 板状部
95a ウエハ支持部
96 当接部
97 ウエハ受け部
100 制御装置
100M 記憶部
101 第1数値化処理部
102 第2数値化処理部
151 ギヤケース
152,153 軸受け
154 第1ギヤ
155 第2ギヤ
156,157 ピニオン
161 第1ボールねじ機構
162 第2ボールねじ機構
163 ねじ軸
164 ボールナット
165 軸受け部
166 ギヤ
167 ガイド軸
168 第1非回転側可動部材
168a 凹部
169,170 突出部
171 第1軸受け
171f 非回転側リング
171r 回転側リング
172 軸受け
172f 非回転側リング
172r 回転側リング
177 ガイド軸
178 第2非回転側可動部材
179,180 突出部
181 第1回転側可動部材
181a 肩部
182 第2回転側可動部材
182a ねじ孔
191 案内レール
192 案内ピン
192a ねじ部
193 ブッシュ
194 貫通孔
197,198 位置センサ
F 第1保持部材群
F1〜F3 位置決め保持部材
S 第2保持部材群
S1〜S2 補助保持部材
FT1 第1動作変換機構
FT2 第2動作変換機構
La 投光部
Lb 受光部
M1 第1モータ
M2 第2モータ
W ウエハ
Δh 段差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の縁部の異なる位置にそれぞれ当接し、協働して基板を保持する少なくとも4個の保持部材と、
基板の保持および開放の際に、前記少なくとも4個の保持部材を駆動する保持部材駆動手段とを含み、
前記少なくとも4個の保持部材は、それぞれ少なくとも1つの保持部材を含む複数のグループに分類されており、
前記保持部材駆動手段は、基板を保持または開放する際に、各グループの保持部材を他の少なくとも1つのグループの保持部材からタイミングをずらして駆動させるものである、基板保持装置。
【請求項2】
前記少なくとも4個の保持部材は、基板の周端面の異なる位置にそれぞれ当接可能に構成されており、
前記複数のグループは、基板を位置決めして保持可能な3個の位置決め保持部材からなる第1グループと、当該3個の位置決め保持部材以外の保持部材からなる第2グループとを含み、
前記保持部材駆動手段は、基板を保持するに際して、前記第1グループを構成する前記3個の位置決め保持部材によって基板を保持し、その後に、前記第2グループの保持部材を前記3個の位置決め保持部材によって保持されている基板に当接させるものである、請求項1記載の基板保持装置。
【請求項3】
前記保持部材駆動手段は、基板の保持を開放するに際して、前記第2グループの保持部材を基板から離間させ、その後に、前記第1グループを構成する3個の位置決め保持部材を基板から離間させるものである、請求項2記載の基板保持装置。
【請求項4】
前記少なくとも4個の保持部材は、基板の周端面の異なる位置にそれぞれ当接可能に構成されており、
前記複数のグループは、基板を位置決めして保持可能な3個の位置決め保持部材からなる第1グループと、当該3個の位置決め保持部材以外の保持部材からなる第2グループとを含み、
前記保持部材駆動手段は、前記少なくとも4個の保持部材によって保持されている基板を開放するに際して、前記第2グループの保持部材を基板から離間させ、その後に、前記第1グループを構成する3個の位置決め保持部材を基板から離間させるものである、請求項1記載の基板保持装置。
【請求項5】
前記少なくとも4個の保持部材は、基板に当接する際に基板を持ち上げながら保持位置に移動し、基板から離間する際に基板の自重による下降を許容しながら開放位置に移動するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板保持装置。
【請求項6】
前記保持部材駆動手段は、個々のグループの保持部材にそれぞれ連結された複数の作動部材と、この複数の作動部材を順に作動させる順次作動手段とを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板保持装置。
【請求項7】
前記複数の作動部材は、保持部材が基板を保持している状態に対応した保持位置と、保持部材が基板から離間している状態に対応した開放位置との間で変位可能に設けられており、
前記順次作動手段は、前記作動部材を保持位置と開放位置との間で変位させるものであり、個々のグループの作動部材に共通に駆動力を与えることができる駆動力伝達部材を含み、
前記駆動力伝達部材と複数のグループの各作動部材との係合または係合解除が時間間隔を開けて生じるようになっている、請求項6記載の基板保持装置。
【請求項8】
前記駆動力伝達部材と前記複数の作動部材とが係合解除状態から係合状態に至るまでの前記駆動力伝達部材のストロークが、前記作動部材毎に異なっている、請求項7記載の基板保持装置。
【請求項9】
前記少なくとも4個の保持部材を支持する回転ベースと、
この回転ベースを回転駆動する回転駆動機構と、
前記回転駆動機構および前記保持部材駆動手段を制御し、前記回転駆動機構を停止して前記回転ベースの回転を停止した状態で、前記保持部材駆動手段を作動させる制御手段とをさら含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−34553(P2008−34553A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205126(P2006−205126)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】