説明

基板処理システム

【課題】応答要求に対する応答を制限時間内に返せないことによる、通信障害を防止する基板処理システムを提供する。
【解決手段】基板を処理する少なくとも1つの基板処理装置1と、該基板処理装置を通信手段31を介して管理する管理装置29とで構成され、前記基板処理装置1と前記管理装置29との間で通信状態を確認しながらオンラインで接続される基板処理システムであって、前記基板処理装置1から前記管理装置29へ所定のメッセージを送信すると共に、該管理装置29との通信状態を確認するメッセージを付随して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ等の基板に、酸化処理、拡散処理、薄膜の生成等の処理を行う基板処理装置を具備する基板処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置の処理工程の1つとして、シリコンウェーハ等の基板に酸化処理、拡散処理、薄膜の生成等の処理を行う基板処理工程がある。該基板処理工程を実行する装置として基板処理装置があり、又、縦型処理炉を具備し、所定枚数の基板を一度に処理する縦型基板処理装置がある。
【0003】
又、所定数の基板処理装置はLAN等の通信手段を介してHOST PC等の管理装置に接続されている。該管理装置はSECS(Semiconductor Equipment Communication Standard)メッセージサービスにより、前記基板処理装置のオンライン運用が前記管理装置に統合管理され、種々の基板処理が自動化により実行される様になっている。
【0004】
上記処理中、図8に示される様に、前記基板処理装置から前記管理装置へと2次応答を要求しない様設定された1次メッセージ(S6F1)を送信する場合がある。該1次メッセージを送信する際には、前記基板処理装置と前記管理装置との通信状態を確認する為、前記1次メッセージと共に応答要求(LinkTest.Req)を送信し、前記管理装置から応答(LinkTest.Rsp)を返信させるLink Testが実施される。
【0005】
然し乍ら、前記1次メッセージを短い周期、例えば1秒間隔で送信した場合、或は前記管理装置が管理する前記基板処理装置が増加することで処理負荷が増加した場合、前記管理装置が処理性能の限界により、応答要求に対する応答を設定された時間内に前記基板処理装置に返せず、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が切断される場合があった。この為、TCP/IPが再接続される迄のトレースデータ、及び自動運転上で重要なイベントメッセージが欠落するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる実情に鑑み、応答要求に対する応答を制限時間内に返せないことによる、通信障害を防止する基板処理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板を処理する少なくとも1つの基板処理装置と、該基板処理装置を通信手段を介して管理する管理装置とで構成され、前記基板処理装置と前記管理装置との間で通信状態を確認しながらオンラインで接続される基板処理システムであって、前記基板処理装置から前記管理装置へ所定のメッセージを送信すると共に、該管理装置との通信状態を確認するメッセージを付随して送信する基板処理システムに係るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板を処理する少なくとも1つの基板処理装置と、該基板処理装置を通信手段を介して管理する管理装置とで構成され、前記基板処理装置と前記管理装置との間で通信状態を確認しながらオンラインで接続される基板処理システムであって、前記基板処理装置から前記管理装置へ所定のメッセージを送信すると共に、該管理装置との通信状態を確認するメッセージを付随して送信するので、通信状態の確認の回数を調節することで前記管理装置に対する処理負荷を軽減させることができ、処理負荷が増加することによる通信障害を防止することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の基板処理システムに使用される基板処理装置の概略立断面図である。
【図2】本発明に於ける基板処理システムを示すブロック図である。
【図3】本発明の基板処理システムに使用される基板処理装置の制御装置を説明するブロック図である。
【図4】本発明に於ける管理装置と基板処理装置との間でLink Testを実施する間隔を説明する説明図である。
【図5】本発明に於ける管理装置と基板処理装置との間でLink Testを実施する迄の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】本発明に於ける装置定数の自動調節処理の流れを説明する説明図である。
【図7】本発明に於ける装置定数の自動調節処理を説明するフローチャートである。
【図8】従来に於ける管理装置と基板処理装置との間でLink Testを実施する間隔を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0011】
先ず、図1に於いて本発明が実施される基板処理装置1について概略を説明する。
【0012】
図1中、2は筐体を示している。前記基板処理装置1へのウェーハ3の搬入搬出は、ウェーハ3が基板搬送容器に収納された状態で行われる。基板搬送容器としては、例えばポッド4が用いられ、該ポッド4にはウェーハ3が所定枚数、例えば25枚が収納される。前記ポッド4は、開閉可能な蓋を具備する密閉容器であり、該ポッド4へのウェーハ3の装填、払出しは、前記蓋を開いて実行される。
【0013】
前記基板処理装置1の前面には基板授受装置5が設けられ、前記ポッド4は図示しない外部搬送装置により前記基板授受装置5に対して搬入搬出が行われる。
【0014】
前記筐体2の前記基板授受装置5に対峙する部分にはポッド搬入出口6が設けられ、該ポッド搬入出口6を開閉するフロントシャッタ7が設けられており、前記ポッド4が前記フロントシャッタ7を通して前記筐体2内部に搬入搬出される様になっている。
【0015】
前記筐体2内の前部にはポッド搬送装置8が設けられ、該ポッド搬送装置8は前記ポッド4を保持可能なポッド移載アーム9を具備している。又、該ポッド移載アーム9は昇降、横行(紙面に対して垂直な方向)、進退(紙面の左右方向)可能であり、昇降、横行、進退の協働により前記ポッド4を任意な位置に搬送可能となっている。
【0016】
前記ポッド搬送装置8に対向し、前記筐体2内の上部にはポッド格納部11が設けられている。該ポッド格納部11は間欠回転可能な複数のポッド収納棚12を有し、各ポッド収納棚12毎に複数の前記ポッド4を収納可能となっている。各ポッド収納棚12には、ポッド4の収納の有無を検知するポッド検出センサ(図示せず)、又ポッド4内のウェーハ3を検出する基板検出センサ(図示せず)が設けられている。
【0017】
前記筐体2内の後部下方には、サブ筐体13が設けられ、該サブ筐体13は移載室14を画成する。
【0018】
前記サブ筐体13の前壁15には、上下2段にポッドオープナ16,16が設けられる。該ポッドオープナ16はそれぞれ載置台17、蓋着脱機構18を具備し、前記載置台17上に前記ポッド4が載置され、前記前壁15に密着され、前記蓋着脱機構18によって蓋が開閉される様になっている。前記ポッド4の蓋が開放された状態では、該ポッド4の内部と前記移載室14が連通状態となる。
【0019】
前記筐体2内の後部、前記サブ筐体13の上側には処理炉19が立設される。該処理炉19は処理室を気密に画成する反応管、該反応管の周囲に設けられたヒータを具備し、又、前記反応管にはガス供給ライン、排気ラインが連通されており、前記処理室を加熱すると共に所定の処理圧に維持して、処理ガスの給排を行う様になっている。
【0020】
前記処理室は、下端に前記移載室14に連通する炉口部を有し、該炉口部は炉口シャッタ21によって開閉される。
【0021】
前記移載室14には、前記処理炉19の下方にボートエレベータ22が設けられ、該ボートエレベータ22は前記炉口部を気密に閉塞可能なシールキャップ23を有し、該シールキャップ23にボート24が載置可能であり、前記ボートエレベータ22は前記シールキャップ23を昇降させることで、前記ボート24を前記処理室に装脱可能となっている。又、前記ボート24を前記処理室に装入した状態では、前記シールキャップ23が前記炉口部を気密に閉塞する。
【0022】
前記移載室14には、前記ポッドオープナ16と前記ボートエレベータ22との間に基板移載機25が設けられ、該基板移載機25はウェーハ3を保持する複数の保持基板プレート(ツイーザ)26を具備している。該ツイーザ26は、例えば上下に等間隔で5枚配置され、上下の間隔(ピッチ)は前記ポッド4のウェーハ収納ピッチ、ボート24のウェーハ保持ピッチと同一となっている。
【0023】
前記基板移載機25は、前記ツイーザ26を水平方向に進退可能であり、又昇降方向、垂直軸中心に回転可能とする構成を具備し、進退、回転、昇降の協働によって前記ツイーザ26にウェーハ3を保持し、所望の位置に移載可能となっている。
【0024】
前記基板処理装置1は、制御装置27を具備しており、該制御装置27は、例えば前記基板処理装置1の前面に配置される。
【0025】
図2は、本発明が実施される基板処理システム28の構成の概略を示している。
【0026】
図2中、29はHOST PC等の管理装置を示しており、該管理装置29はLAN31等の通信手段により、HUB32やRouter33等を介して複数の前記基板処理装置1の前記制御装置27に接続されている。
【0027】
前記管理装置29は前記LAN31を介してSECSメッセージサービスにより複数の基板処理装置1のオンライン運用をコントロールすることが可能となっており、オンライン運用では、前記管理装置29から前記基板処理装置1の制御装置27に対して命令を入力することで、前記ポッド4の搬入搬出、プロセス条件指定、プロセス開始指定、トレースデータ収集等の一連の処理が自動化により実行できる様になっている。
【0028】
次に、図3に於いて、前記基板処理装置1の作動を制御する前記制御装置27について説明する。
【0029】
該制御装置27は、プロセス制御部34と、搬送制御部35と、主制御部36と、モニタ等の表示部37と、マウスやキーボード等の操作部38とで構成され、それぞれ電気的に接続されている。
【0030】
前記プロセス制御部34はメモリやHDD等の記憶部39を有し、該記憶部39には後述する各制御部を駆動させる駆動制御プログラムやプロセス処理を実行する為のレシピが格納されている。前記プロセス制御部34は、例えば図示しないヒータ等を駆動させて前記処理炉19の加熱制御を行う温度制御部や、図示しないポンプやバルブの開閉、流量制御器等の作動を制御して前記処理炉19への処理ガスの供給流量を制御する流量制御部や、前記処理炉19からのガスの排気を制御し、或は該処理炉19の圧力を制御する圧力制御部等を具備している。
【0031】
前記搬送制御部35はメモリやHDD等の記憶部41を有し、該記憶部41には後述する各搬送部を駆動させる為の搬送制御プログラムが格納されている。前記搬送制御部35は、例えば前記ポッド搬送装置8の駆動を制御するポッド搬送部や、前記ボートエレベータ22の駆動を制御するボート搬送部や、前記基板移載機25の駆動を制御するウェーハ搬送部等を具備している。
【0032】
前記主制御部36はCPU等の演算制御部42と、該演算制御部42に接続されたタイマ43と、メモリやHDD等の記憶部44と、通信制御部45とを有し、該通信制御部45は前記プロセス制御部34及び前記搬送制御部35から得られたアナログデータをデジタルデータに、或は前記管理装置29からのデジタルデータをアナログデータに変換するA/D変換機能、D/A変換機能、及び前記管理装置29とのデータの送受信を行う機能を有している。
【0033】
又、前記記憶部44には、データ格納領域46が形成されると共に、プログラム格納領域47が形成され、該プログラム格納領域47には通信制御プログラム48、判断プログラム49、カウンタ加算プログラム50、カウンタ初期化プログラム51、装置定数加算プログラム52が格納されている。
【0034】
前記データ格納領域46には、2次応答を要求しない様設定された1次メッセージ(S6F1)を、どの程度の周期で前記管理装置29に送信するかを示す待機時間n、前記1次メッセージの送信回数を示す送信カウンタ、該1次メッセージを何度送信する毎にLink Testを実施するか、即ち前記管理装置29に対するLink Testの実施間隔が設定された装置定数CN、装置定数CNの上限を示す送信間隔上限CN_MAX等の設定値が保存されている。尚、待機時間n、装置定数CN、送信間隔上限CN_MAXは、作業者により後述する操作部38、或は前記管理装置29を介して適宜設定されるものであり、装置定数CNはHDD等の不揮発記憶装置に保存されるものとする。
【0035】
前記通信制御プログラム48は、前記管理装置29と前記基板処理装置1との通信を制御する機能を有すると共に、前記データ格納領域46に格納された設定値に従って前記管理装置29とのLink Testを実施し、前記タイマ43に起動信号と待機時間nを送り、該タイマ43からの待機時間終了信号によって、S6F1、S6F11等の1次メッセージを前記管理装置29に送信する機能を有している。
【0036】
前記判断プログラム49は、前記1次メッセージ等、前記基板処理装置1から前記管理装置29に送信されるメッセージの送信の成否やLink Testの成否を判断すると共に、1次メッセージの送信回数、装置定数CNの値等を判断する機能を有している。
【0037】
前記カウンタ加算プログラム50は、2次応答を要求しない様設定された1次メッセージを送信する毎に、該1次メッセージの送信回数をカウントした送信カウンタに1を加算する機能を有し、前記カウンタ初期化プログラム51は、送信カウンタが装置定数CNに達した際に、送信カウンタを0に初期化する機能を有している。
【0038】
更に、前記装置定数加算プログラム52は、前記判断プログラム49によりS6F1、S6F11等の1次メッセージの送信やLink Testに失敗したと判断された場合に、装置定数CNに1を加算する機能を有している。尚、前記装置定数加算プログラム52により装置定数CNが加算されるのは送信間隔上限CN_MAXに達する迄であり、装置定数CNが送信間隔上限CN_MAXに達した後は、前記装置定数加算プログラム52による装置定数CNの加算が行われない様になっている。
【0039】
又、前記表示部37及び前記操作部38は前記主制御部36と電気的に接続され、前記操作部38から各種命令を入力可能となっており、前記主制御部36を介して前記プロセス制御部34、前記搬送制御部35に各種命令が送信され、前記プロセス制御部34、前記搬送制御部35からの出力結果が前記主制御部36を介して前記表示部37に受信される様になっている。尚、前記表示部37をタッチパネルとし、該表示部37が前記操作部38を兼ねる様にしてもよい。
【0040】
前記管理装置29より処理の開始が入力されると、前記主制御部36を介して前記搬送制御部35が命令を受信し、命令の受信により前記記憶部41に格納された各搬送部を駆動させる為の搬送制御プログラムが実行される。
【0041】
該搬送制御プログラムにより、前記ポッド搬送装置8が駆動し、ポッド4が前記基板処理装置1内に搬入され、前記ポッド格納部11及び前記ポッドオープナ16に搬送させる。
【0042】
次に、前記基板移載機25により、前記基板載置台17に載置されたポッド4内のウェーハ3が前記ボート24に移載され、最後に前記ボートエレベータ22により、前記ボート24が前記処理炉19内に装入される。
【0043】
前記ボート24の装入後は、前記プロセス制御部34の前記記憶部39に格納されたレシピに従って所定のプロセス処理がなされ、プロセス処理終了後は、再び搬送制御プログラムが立上がり、上記とは逆の工程を行うことで、処理済のウェーハ3を収納したポッド4が前記基板処理装置1外へと搬出される。
【0044】
上記したプロセス処理中、該基板処理装置1から前記管理装置29へは、プロセス処理に於ける温度、ガス流量、圧力等の履歴データであるトレースデータが、1次メッセージであるトレースデータ報告(S6F1)として所定の間隔で送信されており、又前記基板処理装置1と前記管理装置29との通信状態を確認する為、1次メッセージ(S6F1)を所定回数送信する毎にLink Testが実施されている。
【0045】
図4に於いて、前記基板処理装置1から前記管理装置29への、2次応答であるトレースデータ確認(S6F2)を要求しない様設定された1次メッセージ(S6F1)の送信から、Link Testを行う迄の流れの概略について説明する。尚、図4中では1次メッセージ(S6F1)の送信間隔、即ち待機時間nを1秒とし、Link Testを行う迄の1次メッセージ(S6F1)の送信回数、即ち装置定数CNを60回としている。
【0046】
プロセス処理が開始されると、前記基板処理装置1は、前記プロセス制御部34からフィードバックされたトレースデータを、1次メッセージ(S6F1)として前記管理装置29に送信すると共に、1次メッセージ(S6F1)の送信回数をカウントする。
【0047】
1次メッセージ(S6F1)の送信後、1秒後に再度1次メッセージ(S6F1)を送信すると共に送信回数をカウントし、その後も同様の処理が繰返し行われる。
【0048】
1次メッセージ(S6F1)の送信回数が60回に到達すると、前記基板処理装置1と前記管理装置29との間で1次メッセージ(S6F1)の到達を確認する為、Link Testが行われ、前記基板処理装置1から前記管理装置29に対して該管理装置29との通信状態を確認する為のメッセージであるLinkTest.Reqが送信される。該管理装置29はLinkTest.Reqを受信すると、応答としてLinkTest.Rspを前記基板処理装置1に対して返信する。
【0049】
該基板処理装置1にLinkTest.Rspが受信されると、続いてイベントメッセージの報告である1次メッセージ(S6F11)が前記基板処理装置1から前記管理装置29に対して送信され、1次メッセージ(S6F11)を受信した該管理装置29が、2次応答としてイベントメッセージの受信確認である2次メッセージ(S6F12)を前記基板処理装置1に対して返信する。該基板処理装置1が2次メッセージ(S6F12)を受信した後は、1次メッセージ(S6F1)の送信回数をリセットし、プロセス処理が終了する迄上記処理が繰返される。
【0050】
次に、図5のフローチャートを用い、前記基板処理装置1から前記管理装置29への、2次応答であるトレースデータ確認(S6F2)を要求しない様設定された1次メッセージ(S6F1)の送信から、Link Testを行う迄の流れの詳細について説明する。
【0051】
STEP:01 プロセス処理が開始されると、先ず前記カウンタ初期化プログラム51が送信カウンタCを0に初期化し、初期化した送信カウンタCを前記データ格納領域46に格納する。
【0052】
STEP:02 送信カウンタCの初期化後、前記プロセス制御部34からフィードバックされたトレースデータが、前記通信制御部45によってA/D変換され、前記通信制御プログラム48により2次応答を要求しない様設定された1次メッセージ(S6F1)として、前記基板処理装置1から前記管理装置29に送信される。
【0053】
STEP:03 1次メッセージ(S6F1)の送信後、前記カウンタ加算プログラム50により、前記データ格納領域46に格納された送信カウンタCに1が加算される。
【0054】
STEP:04 送信カウンタCの加算後、前記判断プログラム49により、前記データ格納領域46に格納された送信カウンタCと、予め設定された装置定数CN(図4中では60)とが比較され、送信カウンタCと装置定数CNの値が等しいかどうかが判断される。
【0055】
STEP:05 STEP:04で、送信カウンタCと装置定数CNが等しくない、即ち送信カウンタCが装置定数CNに達していないと判断された場合には、前記管理装置29とのLink Testが行われない。
【0056】
STEP:06 STEP:05、或は後述するSTEP:08の後、前記通信制御プログラム48は、前記タイマ43に起動信号と共に前記データ格納領域46に格納されている待機時間n(図4中では1秒)を送る。待機時間nが経過すると、前記タイマ43より終了信号が出力され、終了信号を受けて、再度STEP:02の処理が行われる。
【0057】
STEP:07 STEP:04にて送信カウンタCと装置定数CNが等しいと判断される迄STEP:02〜STEP:06の処理が繰返され、送信カウンタCと装置定数CNが等しい、即ち送信カウンタCが装置定数CNに達したと判断された場合には、前記管理装置29に対してLinkTest.Reqが送信され、前記基板処理装置1と前記管理装置29との通信状態を確認するLink Testが実施される。
【0058】
STEP:08 Link Testの実施後、前記カウンタ初期化プログラム51により、前記データ格納領域46に格納された送信カウンタCが0に初期化され、再度STEP:02の処理が行われる。
【0059】
上述したSTEP:02〜STEP:06の処理は、前記基板処理装置1に於けるプロセス処理が終了する迄、繰返し行われる。
【0060】
尚、作業者により予め設定された装置定数CNでは、前記管理装置29に対する処理負荷を充分に軽減できない場合がある。本実施例では、2次応答を要求する1次メッセージ(S6F11等)や2次応答を要求しない1次メッセージ(S6F1等)、或はLink Test時に送信されるLinkTest.Reqの送信に失敗し、送信を失敗した旨の応答を受信した場合や、2次メッセージやLinkTest.Rspを制限時間内に受信できなかった場合に、自動的に装置定数CNの値を増やし、前記管理装置29に対する処理負荷を軽減する装置定数CNの自動調節処理が実行される様になっている。
【0061】
図6に於いて、装置定数CNの自動調節処理の概略について説明する。尚、図6中では、予め設定された装置定数CNを60、装置定数CNの上限、即ち送信間隔上限CN_MAXを70とし、1次メッセージ(S6F11)の送信に失敗した場合について説明している。
【0062】
プロセス処理中、Link Testが実施された後に、前記基板処理装置1が2次応答(2次メッセージ(S6F12))を要求する様設定された1次メッセージ(S6F11)の送信に失敗した場合、装置定数CN(図6中では60)に1を加算して前記管理装置29に対する処理負荷を軽減させた上で、再度1次メッセージ(S6F11)を送信する。
【0063】
装置定数CNに1を加算しても、前記管理装置29に対する処理負荷を充分に軽減できず、再び1次メッセージ(S6F11)の送信に失敗した場合には、1次メッセージ(S6F11)の送信に成功する迄、装置定数CNに順次1を加算していき、1次メッセージ(S6F11)の送信に成功した場合には、成功した時の装置定数CNの値を保った状態で処理が続行される。
【0064】
又、装置定数CNが送信間隔上限CN_MAX(図6中では70)に達した際には、1次メッセージ(S6F11)の送信に失敗した場合であっても、装置定数CNに対する加算は行われず、装置定数CNを送信間隔上限CN_MAXに保った状態で処理が続行される様になっている。
【0065】
次に、図7のフローチャートを用い、装置定数CNの自動調節処理の詳細について説明する。尚、図7中でも図6中と同様、2次メッセージ(S6F12)を要求する1次メッセージ(S6F11)の送信に失敗した場合について説明している。
【0066】
STEP:11 プロセス処理が開始されると、前記データ格納領域46に格納された設定値に従って、2次メッセージ(S6F12)を要求する様設定された1次メッセージ(S6F11)が前記管理装置29に対して送信される。
【0067】
STEP:12 1次メッセージ(S6F11)の送信後、前記判断プログラム49により、1次メッセージ(S6F11)の送信に成功したか、即ち1次メッセージ(S6F11)に対する2次メッセージ(S6F12)が、制限時間内の応答であったかが判断される。
【0068】
STEP:13 STEP:12にて2次メッセージ(S6F12)が制限時間内の応答であると判断された場合には、前記判断プログラム49により更に2次メッセージ(S6F12)が正常応答であったかが判断され、正常応答であればここで装置定数CNの自動調節処理を終了する。
【0069】
STEP:14 STEP:12にて1次メッセージ(S6F11)に対する2次メッセージ(S6F12)を制限時間内に受信できない、或はSTEP:13にて2次メッセージ(S6F12)が異常応答であると判断された場合には、前記装置定数加算プログラム52により、前記データ格納領域46に格納された装置定数CNの値に対して1を加算する。
【0070】
STEP:15 装置定数CNの加算後、前記判断プログラム49により、加算後の装置定数CNと前記データ格納領域46に格納された送信間隔上限CN_MAXとの比較が行われ、装置定数CNが送信間隔上限CN_MAX以上であるかどうかが判断される。装置定数CNが送信間隔上限CN_MAX以上ではない、即ち装置定数CNが送信間隔上限CN_MAXに達していないと判断された場合は、加算後の装置定数CNを用いて再度前記管理装置29に対する1次メッセージ(S6F11)の送信が行われる。
【0071】
STEP:16 STEP:15にて装置定数CNが送信間隔上限CN_MAX以上、即ち装置定数CNが送信間隔上限CN_MAXに達したと判断された場合には、装置定数CNの値を送信間隔上限CN_MAXの値と同様の値を保った状態で装置定数CNの自動調節処理を終了する。
【0072】
STEP:12、STEP:13にて1次メッセージ(S6F11)の送信に成功し、装置定数CNの自動調節処理を終了した場合は、その後に1次メッセージ(S6F11)が送信される毎に送信の成否が判断され、送信に失敗した場合には再度装置定数CNの自動調節処理が行われる。又、STEP:16にて装置定数CNの値を送信間隔上限CN_MAXの値に達した状態で装置定数CNの自動調節処理を終了した場合には、その後1次メッセージ(S6F11)の送信に失敗したとしても装置定数CNの自動調節処理は行われず、装置定数CNの値を送信間隔上限CN_MAXの値と同様の値を保った状態で処理が続行される。
【0073】
尚、図5にて説明した2次応答を要求しない様設定された1次メッセージ(S6F1)の送信からLink Testの実施迄の処理と、図7にて説明した装置定数CNの自動調節処理はそれぞれ独立した処理となっている。
【0074】
上述の様に、本実施例では2次応答を要求しない様設定された1次メッセージ(S6F1)を所定回数送信した後にLink Testを実施する、即ちLink Testの実施間隔を調節できる様にしたので、1次メッセージ(S6F1)を短い周期で送信する場合であっても、前記管理装置29に対する処理負荷を軽減させることができ、該管理装置29が前記基板処理装置1に対してLinkTest.Rspを返せないことによるTCP/IPの切断を防止することができる。又、TCP/IPの切断により、前記基板処理装置1から送信されるトレースデータ、イベントメッセージ等がTCP/IPが再接続される迄欠落するのを防止することができる。
【0075】
更に、前記管理装置29に対する1次メッセージ、或はLinkTest.Reqの送信を失敗した場合に、装置定数CNの値を自動的に増やし、Link Testの実施間隔を自動的に広げる様にしたので、前記管理装置29に対する処理負荷を更に軽減させることができ、より効果的にTCP/IPの切断を防止することができる。
【0076】
又、本実施例に於いては、装置定数CNの値を自動的に増やす様にしているが、正常応答か異常応答かの判断に利用される制限時間を自動的に増やす様に構成することも可能である。
【0077】
尚、本実施例の基板処理システムに適用される基板処理装置として、半導体製造装置だけではなくLCD装置の様なガラス基板を処理する装置であっても適用可能である。
【0078】
又、本実施例に適用される基板処理装置を用いた成膜処理には、例えばCVD、PVD、酸化膜、窒化膜を形成する処理や、金属を含む膜を形成する処理等を含むのは言う迄もない。
【0079】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0080】
(付記1)基板を処理する少なくとも1つの基板処理装置と、該基板処理装置を通信手段を介して管理する管理装置とで構成され、前記基板処理装置と前記管理装置との間で通信状態を確認しながらオンラインで接続される基板処理システムであって、前記基板処理装置から前記管理装置へ所定のメッセージを送信すると共に、該管理装置との通信状態を確認するメッセージを付随して送信することを特徴とする基板処理システム。
【0081】
(付記2)前記所定のメッセージの送信回数が予め設定した送信回数に達した後、前記通信状態を確認するメッセージを付随して送信する付記1の基板処理システム。
【0082】
(付記3)前記所定のメッセージ及び前記通信状態を確認するメッセージの送信が失敗した際には、予め設定した送信回数に1を加算した回数、前記所定のメッセージを送信した後、前記通信状態を確認するメッセージを付随して送信する付記2の基板処理システム。
【0083】
(付記4)管理装置が基板を処理する少なくとも1つの基板処理装置を通信手段を介して制御する工程と、前記基板処理装置と前記管理装置との間で通信状態を確認する工程とを有し、該通信状態を確認する工程では、前記基板処理装置から前記管理装置に所定のメッセージが送信されると共に、通信状態を確認するメッセージが付随して送信されることを特徴とする基板処理システムの制御方法。
【符号の説明】
【0084】
1 基板処理装置
27 制御装置
28 基板処理システム
29 管理装置
36 主制御部
44 記憶部
46 データ格納領域
49 判断プログラム
50 カウンタ加算プログラム
51 カウンタ初期化プログラム
52 装置定数加算プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する少なくとも1つの基板処理装置と、該基板処理装置を通信手段を介して管理する管理装置とで構成され、前記基板処理装置と前記管理装置との間で通信状態を確認しながらオンラインで接続される基板処理システムであって、前記基板処理装置から前記管理装置へ所定のメッセージを送信すると共に、該管理装置との通信状態を確認するメッセージを付随して送信することを特徴とする基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−89752(P2012−89752A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236622(P2010−236622)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】